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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024105745
(43)【公開日】2024-08-07
(54)【発明の名称】車椅子
(51)【国際特許分類】
   A61G 5/02 20060101AFI20240731BHJP
【FI】
A61G5/02 701
A61G5/02 707
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021094830
(22)【出願日】2021-06-05
(71)【出願人】
【識別番号】521246758
【氏名又は名称】有限会社ハーティー・メッセージ
(74)【代理人】
【識別番号】100129207
【弁理士】
【氏名又は名称】中越 貴宣
(72)【発明者】
【氏名】敷地 雄一
(57)【要約】
【課題】 ハンドリムの操作時にスポーク等が邪魔にならず、車輪で手や衣服が汚れたり、ハンドリムに衣服の袖口等が巻き込まれたりすることがない車椅子を提供する。
【解決手段】 車椅子1は、車体2の左右両側部に配設されるハンドリム10と、ハンドリム10の外周面13を支持するハンドリム支持ローラー22と、車体2の左右両側部後方に配設される走行車輪11と、ハンドリム10の駆動力を走行車輪11に伝達する駆動力伝達部20とを含んで成り、ハンドリム10が、ハンドリム10の内周面に沿ってハンドリムギヤ12を備え、駆動力伝達部20が、ハンドリムギヤ12に噛合するハブレスギヤ21と、ハブレスギヤ21の駆動軸23と、駆動軸23の駆動力を走行車輪11に伝達する駆動力伝達手段30とを含んで構成される。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の左右両側部に配設されるハンドリムと、
前記ハンドリムの外周面を支持するハンドリム支持ローラーと、
前記車体の左右両側部後方に配設される走行車輪と、
前記ハンドリムの駆動力を前記走行車輪に伝達する駆動力伝達部と、
を含んで成り、
前記ハンドリムが、該ハンドリムの内周面に沿ってハンドリムギヤを備え、
前記駆動力伝達部が、前記ハンドリムギヤに噛合するハブレスギヤと、該ハブレスギヤの駆動軸と、該駆動軸の駆動力を前記走行車輪に伝達する駆動力伝達手段と、を含んで構成されることを特徴とする車椅子。
【請求項2】
車体の左右両側部に配設されるハンドリムと、
前記ハンドリムの両側面に配設される一対のハンドリムガイドプレートと、
前記一対のハンドリムガイドプレート間に配設され、前記ハンドリムの内周面を支持する複数のガイドローラーと、
前記車体の左右両側部後方に配設される走行車輪と、
前記ハンドリムの駆動力を前記走行車輪に伝達する駆動力伝達部と、
を含んで成り、
前記ハンドリムが、該ハンドリムの内周面に沿ってハンドリムギヤを備え、
前記駆動力伝達部が、前記ハンドリムギヤに噛合するハブレスギヤと、該ハブレスギヤの駆動軸と、該駆動軸の駆動力を前記走行車輪に伝達する駆動力伝達手段と、を含んで構成されることを特徴とする車椅子。
【請求項3】
前記駆動力伝達手段が、チェーンドライブ、ベルトドライブ、シャフトドライブ、ギヤドライブの何れかから選択されることを特徴とする請求項1に記載の車椅子。
【請求項4】
前記ハンドリムの一部を覆って配設されるハンドリムカバーを備えることを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の車椅子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハブレス構造のハンドリムを備えた車椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の一般的な車椅子に係るハンドリムは、駆動輪となる後輪のリム部分に同一軸心で取付固定されている。従って、車椅子に座った状態でのハンドリム操作は非常に腕力を要するため、車椅子利用者にとって負担が大きい。
【0003】
また、駆動輪とハンドリムが近接配置されているため、ハンドリムを操作する際に、駆動輪に手や衣服が触れて汚れたり、衣服の袖口等が巻き込まれたり、駆動輪が備えるスポーク、駆動輪とハンドリムとの取付部等によって怪我をしたりすることがあった。
【0004】
そこで、ハンドリムと駆動輪とを独立構造とした車椅子が種々開示されている(例えば、特許文献1から特許文献3参照)。特許文献1に開示された車椅子は、ハンドリムと大車輪とを各々異なる回転軸により偏心して配置し、ハンドリムの径を大車輪の径より大径となすとともに、ハンドリムと大車輪との間にギヤー、スプロケット、チェーン等の回転伝達機構を介在させたことを特徴とする。この特許文献1に開示された車椅子によると、ハンドリム操作の労力が軽減されるとともに、平地において多少の凹凸面がある場所でも十分な走行が可能となり、また、ハンドリムを操作する際に大車輪の外周縁に手や衣服の袖等が触れて汚損されることがない、と記載されている。
【0005】
また、特許文献2に開示されたハンドリム独立の車椅子は、車椅子の側面の任意の所に取り付けたプーリ軸に、側面にピンのはまり込む穴を開け、ベアリングを組み込んだ小プーリをはめ込み、スペーサボルトをプーリ軸にねじ込んでベアリングの内輪を固定し、ハンドリムとツマミのねじの通る穴の開いた円盤をピンを固定したスポークで連結して固定し、ツマミをスペーサボルトにねじ込んで円盤を固定し、大車輪のホイールハブに取り付けた大プーリと小プーリをベルトで連結した左右の駆動装置が独立していることを特徴とする。この特許文献2に開示された車椅子によると、ハンドリムの取付位置をどんな所にでも持ってくることができ、障害者の残存機能に合わせた車椅子の設計ができる、また、使用する筋力が小さくても、大きな推進力の得られる車椅子が提供できる、と記載されている。
【0006】
更に、特許文献3に開示された車椅子の駆動力伝達装置は、駆動アームに一対の駆動プーリーを一定の間隔で配置してなる駆動部と、車椅子の駆動輪の車軸に同軸的に取り付けた伝動プーリーと、前記一対の駆動プーリーの間に張架した駆動ベルトと、駆動ベルトの幅方向中間部に設けた溝にはめて前記一対の駆動プーリーと伝動プーリーの間に張架した伝動ベルトより構成し、前記駆動アームは車椅子のフレームに斜め前方へ任意の角度で傾斜させて取り付けたことを特徴とする。この特許文献3に開示された車椅子の駆動力伝達装置によると、車椅子利用者が移動のために握り力を加える駆動部の駆動ベルトと、その駆動力を車輪に伝達する伝動ベルトまたはチェーンなどがそれぞれ単独に周長を設定できることから利用者が移動のために力を加える駆動部を有する駆動アームを車椅子のフレームへ利用者の体格・障害の程度・部位に応じて前後上下また取り付け角度など設置位置を柔軟に対応でき、さらに駆動輪およびその同軸的に設けられるプーリーやスプロケットの大きさの比を柔軟に設定できる事から車椅子利用者の駆動力を移動力として最大限利用できる、と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭50-69739号公報
【特許文献2】特開平2-98354号公報
【特許文献3】特開2008-173435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1及び特許文献2に開示された車椅子によると、ハンドリムと駆動輪(特許文献1及び特許文献2における大車輪)が独立した構造となっており、特に特許文献2に開示された車椅子ではハンドリムと駆動輪が大きく離れているため、ハンドリムを操作する際に、駆動輪に手や衣服が触れて汚れるおそれが殆ど無いものと思料する。
【0009】
また、特許文献1から特許文献3に開示された車椅子によると、各構成物品の設計変更(ギヤ比の変更等)によってハンドリムや駆動ベルトの操作に必要な腕力の省力化を図ることができるものと思料する。
【0010】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に開示された車椅子に係るハンドリムは、ハンドリムの駆動力を伝達するための駆動軸を備えるため、ハンドリムに係る把持部(外周部)と駆動軸を連結するスポークが必要となる。従って、ハンドリムの操作時にこのスポークが邪魔となったり、ハンドリムに併設されるスプロケットやプーリに衣服の袖口等が巻き込まれたりするおそれがある。また、特許文献3に開示された車椅子においても、駆動部の端部において衣服の袖口等が巻き込まれるおそれがある。
【0011】
そこで本願発明者は、上記の問題点に鑑み、ハンドリムの操作時にスポーク等が邪魔にならず、車輪で手や衣服が汚れたり、ハンドリムに衣服の袖口等が巻き込まれたりすることがない車椅子を提供するべく鋭意検討を重ねた結果、本発明に至ったのである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
即ち、本発明の車椅子は、車体の左右両側部に配設されるハンドリムと、前記ハンドリムの外周面を支持するハンドリム支持ローラーと、前記車体の左右両側部後方に配設される走行車輪と、前記ハンドリムの駆動力を前記走行車輪に伝達する駆動力伝達部と、を含んで成り、前記ハンドリムが、該ハンドリムの内周面に沿ってハンドリムギヤを備え、前記駆動力伝達部が、前記ハンドリムギヤに噛合するハブレスギヤと、該ハブレスギヤの駆動軸と、該駆動軸の駆動力を前記走行車輪に伝達する駆動力伝達手段と、を含んで構成されることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の車椅子は、車体の左右両側部に配設されるハンドリムと、前記ハンドリムの両側面に配設される一対のハンドリムガイドプレートと、前記一対のハンドリムガイドプレート間に配設され、前記ハンドリムの内周面を支持する複数のガイドローラーと、前記車体の左右両側部後方に配設される走行車輪と、前記ハンドリムの駆動力を前記走行車輪に伝達する駆動力伝達部と、を含んで成り、前記ハンドリムが、該ハンドリムの内周面に沿ってハンドリムギヤを備え、前記駆動力伝達部が、前記ハンドリムギヤに噛合するハブレスギヤと、該ハブレスギヤの駆動軸と、該駆動軸の駆動力を前記走行車輪に伝達する駆動力伝達手段と、を含んで構成されることを特徴とする。
【0014】
更に、本発明の車椅子において、前記駆動力伝達手段が、チェーンドライブ、ベルトドライブ、シャフトドライブ、ギヤドライブの何れかから選択されることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の車椅子において、前記ハンドリムの一部を覆って配設されるハンドリムカバーを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の車椅子によると、ハンドリムによって駆動される走行車輪(後輪)をハンドリムと分離するとともに、ハンドリムをハブレス構造として駆動力伝達部をハンドリムの操作位置から離すことができるため、ハンドリムの駆動力伝達部や走行車輪に衣服の袖口等が巻き込まれるおそれが殆どない。
【0017】
また、ハンドリムをハブレス構造とすることによって、ハンドリムの内側にはスポークが存在しないため、ハンドリムの操作性が大幅に向上するとともに、ハンドリムの内側のスペースを有効活用することができる。
【0018】
更に、ハンドリムと走行車輪とを分離・独立させることによって、ハンドリムの操作時において、走行車輪で手や衣服が汚れるおそれもない。
【0019】
また更に、本発明の車椅子において、駆動力伝達部を構成する駆動力伝達手段に係る各種構成物品を適宜設計変更するによって、ハンドリムの回動操作に必要な腕力の省力化を図ることが容易にできる。
【0020】
また、本発明の車椅子において、ハンドリムを覆って配設されるハンドリムカバーを備え、ハンドリムカバーの一部からハンドリムを露出させることによって、ハンドリムカバーからの露出部分においてハンドリムを回動操作することができるとともに、ハンドリムカバーで覆われた部分においては、ハンドリムカバーがハンドリムのガイド機能を果たすため、ハンドリムの回動操作の安定性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】(a)は本発明の一実施形態に係る車椅子の側面図、(b)は正面図である。
図2】(a)は図1(a)における駆動力伝達部の拡大側面図、(b)は拡大正面図である。
図3】本発明の他の実施形態に係る車椅子の側面図である。
図4】(a)は本発明の他の実施形態に係る車椅子の側面図、(b)は正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の車椅子の実施形態について、図面に基づいて詳述する。図1(a)は、本発明の一実施形態に係る車椅子1を示す側面図、図1(b)は、図1(a)に示した車椅子1の正面図である。これらの図に示すように、本実施形態の車椅子1は、一般的な車椅子の構成とほぼ同様であって、主として、車体2、手押しハンドル3、バックサポート4、アームサポート5、シート6、フットサポート7、キャスター8(前輪)等を含んで構成されている。
【0023】
そして、本実施形態の車椅子1においては、特に、車体2の左右両側部に配設されるハンドリム10と、ハンドリム10の外周面13を支持するハンドリム支持ローラー22と、車体2の左右両側部後方に配設される走行車輪11(後輪)と、ハンドリム10の駆動力を走行車輪11に伝達する駆動力伝達部20と、を含んで成る。つまり、一般的な車椅子に係るハンドリムは、駆動輪となる走行車輪(後輪)のリム部分に同一軸心で取付固定されているが、本実施形態の車椅子1では、ハンドリム10と走行車輪11とが分離され、独立してそれぞれ配設されている。
【0024】
本実施形態に係るハンドリム10にはハブレス構造が採用されている。つまり、ハンドリム10にはハブが存在せず、ハンドリム10の内周面に沿ってハンドリムギヤ12が配設されている。ハンドリム10は、このハンドリムギヤ12に噛合するハブレスギヤ21と、ハンドリム10の外周面13を支持する少なくとも2個のハンドリム支持ローラー22とによって支持されている。
【0025】
本実施形態の車椅子1に係る走行車輪11(後輪)は、車体2の左右両側部後方にそれぞれ配設されており、走行車輪11の回転軸14が、ベースパイプ9に回動自在に軸支されている。
【0026】
そして、本実施形態の車椅子1に係る駆動力伝達部20において、ハンドリム10を回動操作することによって発生する駆動力が走行車輪11に伝達される。本実施形態に係る駆動力伝達部20は、図1及び図2に示すように、ハンドリム10に配設されたハンドリムギヤ12に噛合するハブレスギヤ21と、このハブレスギヤ21の駆動軸23と、ハブレスギヤ21の駆動軸23の駆動力を走行車輪11の回転軸14に伝達する駆動力伝達手段30と、を含んで構成されている。つまり、駆動力伝達部20では、ハブレスギヤ21と2個のハンドリム支持ローラー22とでハンドリム10を挟持することによってハブレス構造であるハンドリム10を支持するとともに、ハンドリム10の回動操作によって発生する駆動力が走行車輪11に伝達される。
【0027】
ここで、本発明の駆動力伝達部に係る駆動力伝達手段は特に限定されず、公知のあらゆる駆動力伝達手段が適用可能であるが、例えば、チェーンドライブ、ベルトドライブ、シャフトドライブ、ギヤドライブ等の駆動力伝達手段が適用できる。本実施形態の車椅子1に係る駆動力伝達手段30には、図1及び図2に示すように、チェーンドライブを適用している。具体的には、ハンドリム10に係るハンドリムギヤ12に噛合するハブレスギヤ21の駆動軸23に駆動スプロケット31が配設され、走行車輪11の回転軸14に従動スプロケット32が配設されている。そして、これら駆動スプロケット31と従動スプロケット32とにチェーン33が掛架される。
【0028】
本実施形態に係るチェーンドライブの駆動力伝達手段30によると、ハンドリム10を回動操作することによって、ハンドリム10に係るハンドリムギヤ12に噛合するハブレスギヤ21が駆動され、ハブレスギヤ21の駆動軸23に配設された駆動スプロケット31が回動する。駆動スプロケット31が回動すると、チェーン33によって従動スプロケット32が回動し、従動スプロケット32の回動が回転軸14を介して走行車輪11に伝達され、走行車輪11が回転する。
【0029】
以上のように、本実施形態の車椅子1によると、ハンドリム10によって駆動される走行車輪11(後輪)をハンドリム10と分離するとともに、ハンドリム10をハブレス構造として駆動力伝達部20をハンドリム10の操作位置から離すことができるため、駆動力伝達部20や走行車輪11に衣服の袖口等が巻き込まれるおそれが殆どない。
【0030】
また、本実施形態の車椅子1に係るハンドリム10をハブレス構造とすることによって、ハンドリム10の内側にはスポークが存在しないため、ハンドリム10の操作性が大幅に向上するとともに、ハンドリム10の内側のスペースを有効活用することができ、例えば、ブレーキレバー等を配設することができる。
【0031】
更に、ハンドリム10と走行車輪11とを分離・独立させることによって、ハンドリム10の操作時において、走行車輪11で手や衣服が汚れるおそれもない。
【0032】
また更に、ハブレスギヤ21、駆動スプロケット31及び従動スプロケット32のギヤ比を適宜変更することによって、ハンドリム10の回動操作に必要な腕力の省力化が容易に実現できる。
【0033】
以上、本発明の一実施形態に係る車椅子1について詳述したが、本発明の車椅子は上述した実施形態に限定されない。特に、本発明の車椅子に係る駆動力伝達手段に関し、上述した実施形態に係る駆動力伝達手段30ではチェーンドライブを適用したが、例えば、図3に示す駆動力伝達手段30aのように、駆動スプロケット31を駆動プーリー35、従動スプロケット32を従動プーリー36とし、これら駆動プーリー35と従動プーリー36とにベルト37が掛架されることによって、ベルトドライブの駆動力伝達手段30aが適用された本発明の車椅子を提供することができる。ベルトドライブの駆動力伝達手段30aであっても、上記の実施形態に係るチェーンドライブを適用した車椅子1と同様の効果が得られる。
【0034】
また、本発明の車椅子に係る駆動力伝達手段の他の実施形態として、ギヤドライブやシャフトドライブを適用することもできる。例えば、ハンドリム10に係るハンドリムギヤ12に噛合するハブレスギヤ21の駆動軸23に駆動ギヤを配設し、走行車輪11の回転軸14に従動ギヤを配設する。そして、駆動ギヤの駆動力を従動ギヤに伝達する2段ギヤを配設したギヤドライブを本発明の車椅子に係る駆動力伝達手段に採用することによって、上述した本発明の実施形態に係る車椅子1と同様の効果が得られ、特に、駆動ギヤ、従動ギヤ、2段ギヤ等のギヤ比を適宜変更することによって、ハンドリム10の回動操作に必要な腕力の省力化が容易に実現できる。なお、本実施形態に係る駆動力伝達手段における駆動ギヤと従動ギヤとの間には2段ギヤを介装したが、駆動ギヤと従動ギヤとを直接噛合させてもよく、或いは他のギヤが介装されてもよい。
【0035】
次に、本発明の他の実施形態として、図4に示した車椅子1aは、基本的な構成は上述した実施形態に係る車椅子1と同様に、主として、車体2、手押しハンドル3、バックサポート4、アームサポート5、シート6、フットサポート7、キャスター8(前輪)、といった一般的な車椅子が備える構成とともに、車体2の左右両側部に配設されるハンドリム10と、車体2の左右両側部後方に配設される走行車輪11(後輪)と、ハンドリム10の駆動力を走行車輪11に伝達する駆動力伝達部20aと、を含んで成る。本実施形態の車椅子1aに係るハンドリム10も、ハンドリム10の内周面に沿ってハンドリムギヤ12を備えている。
【0036】
そして、本実施形態の車椅子1aは、ハンドリム10の両側面に配設される一対のハンドリムガイドプレート40、40と、この一対のハンドリムガイドプレート40、40間に配設され、ハンドリム10を内周面側から支持する複数のガイドローラー41と、を含んで構成されている。ハンドリムガイドプレート40、40は、複数のガイドローラー41を回動自在に軸支した状態で、複数のボルト42によって車体2に取付固定されている。従って、本実施形態の車椅子1aに係るハンドリム10は、一対のハンドリムガイドプレート40、40間において、複数のガイドローラー41によって内周面側から回動自在に支持されることとなる。
【0037】
なお、ハンドリムガイドプレート40、40自体の側面視外形状は略U字形状を成しており、ハンドリム10の一部がハンドリムガイドプレート40、40から露出する部分が存在する。このハンドリム10がハンドリムガイドプレート40、40から露出している部分ではハンドリム10を把持することができ、この部分がハンドリム10の回動操作部分となる。
【0038】
本実施形態に係る駆動力伝達部20aにおいて、ハンドリム10を回動操作することによって発生する駆動力が走行車輪11に伝達される。本実施形態に係る駆動力伝達部20aは、図4に示すように、ハンドリム10に配設されたハンドリムギヤ12に噛合するハブレスギヤ21と、このハブレスギヤ21の駆動軸23と、ハブレスギヤ21の駆動軸23の駆動力を走行車輪11の回転軸14に伝達する駆動力伝達手段30と、を含んで構成されている。なお、本実施形態に係る駆動力伝達手段30は、上述した実施形態の車椅子1に係る駆動力伝達手段30と同様、チェーンドライブを適用している。
【0039】
本実施形態の車椅子1aによると、上述した実施形態に係る車椅子1と同様の効果が得られるとともに、ハンドリム10が一対のハンドリムガイドプレート40、40及び複数のガイドローラー41によって内周面側から支持され、ハンドリム10をより安定的に支持することができる。また、ハンドリム10の回動操作時に、ハンドリム10が一対のハンドリムガイドプレート40、40及び複数のガイドローラー41によって案内されるため、ハンドリム10の回動操作の安定性の更なる向上を図ることができる。
【0040】
以上、本発明の車椅子に係る種々の実施形態について詳述したが、本発明の技術的思想を実質的に限定するものと解してはならない。例えば、本発明の実施形態における車椅子1において、ハンドリム10の一部を覆って配設されるハンドリムカバーを備えることが好ましい。このハンドリムカバーが配設されることによって、ハンドリムカバーからの露出部分ではハンドリムを回動操作することができ、ハンドリムカバーで覆われた部分では、ハンドリムカバーがハンドリムのガイド機能を果たすため、ハンドリムの回動操作の安定性を向上することができる。本発明はその要旨を逸脱しない範囲で、当業者の創意と工夫により、適宜に改良、変更又は追加をしながら実施できる。
【符号の説明】
【0041】
1、1a:車椅子
2:車体
3:手押しハンドル
4:バックサポート
5:アームサポート
6:シート
7:フットサポート
8:キャスター
9:ベースパイプ
10:ハンドリム
11:走行車輪
12:ハンドリムギヤ
13:外周面
14:回転軸
20、20a:駆動力伝達部
21:ハブレスギヤ
22:ハンドリム支持ローラー
23:駆動軸
30、30a:駆動力伝達手段
31:駆動スプロケット
32:従動スプロケット
33:チェーン
35:駆動プーリー
36:従動プーリー
37:ベルト
40:ハンドリムガイドプレート
41:ガイドローラー
42:ボルト
図1
図2
図3
図4