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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024010575
(43)【公開日】2024-01-24
(54)【発明の名称】ストレッチャブルデバイス
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/02 20060101AFI20240117BHJP
【FI】
H05K1/02 L
H05K1/02 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022111992
(22)【出願日】2022-07-12
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菱沼 賢智
(72)【発明者】
【氏名】金城 拓海
【テーマコード(参考)】
5E338
【Fターム(参考)】
5E338AA03
5E338AA12
5E338AA16
5E338BB80
5E338CD12
5E338CD17
5E338EE60
(57)【要約】
【課題】多点検出が可能なストレッチャブルデバイスを提供する。
【解決手段】ストレッチャブルデバイスは、樹脂基材とアレイ層を有し、樹脂基材は、離隔して配置された複数のボディ部と、ボディ部同士を接続する複数のヒンジ部を有し、ヒンジ部は、樹脂基材とアレイ層とが重なる積層方向から視て屈曲する複数の屈曲部を有し、屈曲部は、屈曲部が延在する方向に直交する幅方向の中央を境界として、内側に配置される内周部と、外側に配置される外周部と、に区分けされ、一つのヒンジ部に含まれる複数の内周部が集合して内周部領域を成し、一つのヒンジ部に含まれる複数の外周部が集合して外周部領域を成し、アレイ層は、積層方向から視て、各ヒンジ部と重なる複数のゲージ線を有し、ゲージ線の少なくとも一部は、積層方向から視て、内周部領域と外周部領域のうちいずれか一方のみと重なっている。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂基材と、
前記樹脂基材に積層されるアレイ層と、
を有し、
前記樹脂基材は、
互いに離隔して配置された複数のボディ部と、
前記ボディ部同士を接続する複数のヒンジ部と、
を有し、
前記ヒンジ部は、前記樹脂基材と前記アレイ層とが重なる積層方向から視て屈曲する複数の屈曲部を有し、
前記屈曲部は、前記屈曲部が延在する方向に直交する幅方向の中央を境界として、内側に配置される内周部と、外側に配置される外周部と、に区分けされ、
一つの前記ヒンジ部に含まれる複数の前記内周部が集合して内周部領域を成し、
一つの前記ヒンジ部に含まれる複数の前記外周部が集合して外周部領域を成し、
前記アレイ層は、前記積層方向から視て、各前記ヒンジ部と重なる複数のゲージ線を有し、
前記ゲージ線の少なくとも一部は、前記積層方向から視て、前記内周部領域と前記外周部領域のうちいずれか一方のみと重なっている
ストレッチャブルデバイス。
【請求項2】
前記ゲージ線は、前記積層方向から視て前記内周部領域と重なっており、
前記ゲージ線は、前記内周部領域に含まれる全ての前記内周部と重なっている
請求項1に記載のストレッチャブルデバイス。
【請求項3】
前記ゲージ線は、前記積層方向から視て前記外周部領域と重なっており、
前記ゲージ線は、前記外周部領域に含まれる全ての前記外周部と重なっている
請求項1に記載のストレッチャブルデバイス。
【請求項4】
前記ゲージ線は、前記ヒンジ部の一端から他端に延びるとともに、前記ヒンジ部の他端から折り返して前記ヒンジ部の一端に延び、U字状を成している
請求項1に記載のストレッチャブルデバイス。
【請求項5】
前記ゲージ線は、重なっている前記内周部又は前記外周部において、前記屈曲部が延在する方向の一方から他方に折り返すとともに、再び前記屈曲部が延在する方向の他方から一方に折り返す折り返し部を有している
請求項1に記載のストレッチャブルデバイス。
【請求項6】
前記ゲージ線は、前記積層方向に重なる第1ゲージ線と第2ゲージ線を有している
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のストレッチャブルデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストレッチャブルデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
ストレッチャブルデバイスは、樹脂基材を有し、伸縮性及び可撓性に優れている。この樹脂基材は、マトリックス状に配置されたボディ部と、ボディ部同士を接続するヒンジ部と、を有している。特許文献1に示すように、ヒンジ部は、蛇行したミアンダ形状となっている。例えば引っ張り荷重がストレッチャブルアレイデバイスに作用すると、ヒンジ部が伸びる。
【0003】
ところで、特許文献2のセンサ基板は、センサ基板に沿って延在する導電膜を有している。この導電膜は、ひずみゲージであり、センサ基板全体のひずみ量を検出している。そして、検出したひずみ量からセンサ基板に作用した荷重を算出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-118273号公報
【特許文献2】特開2019-174373号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ストレッチャブルデバイスにおいても、ストレッチャブルデバイスに作用したひずみ量を検出できることが望まれている。また、特許文献2のようにセンサ基板全体のひずみ量でなく、ストレッチャブルデバイスの各部位のひずみ量を検出できること(以下、多点検出という)が望まれている。
【0006】
本発明は、多点検出が可能なストレッチャブルデバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係るストレッチャブルデバイスは、樹脂基材と、前記樹脂基材に積層されるアレイ層と、を有している。前記樹脂基材は、互いに離隔して配置された複数のボディ部と、前記ボディ部同士を接続する複数のヒンジ部と、を有している。前記ヒンジ部は、前記樹脂基材と前記アレイ層とが重なる積層方向から視て屈曲する複数の屈曲部を有している。前記屈曲部は、前記屈曲部が延在する方向に直交する幅方向の中央を境界として、内側に配置される内周部と、外側に配置される外周部と、に区分けされる。一つの前記ヒンジ部に含まれる複数の前記内周部が集合して内周部領域を成している。一つの前記ヒンジ部に含まれる複数の前記外周部が集合して外周部領域を成している。前記アレイ層は、前記積層方向から視て、各前記ヒンジ部と重なる複数のゲージ線を有している。前記ゲージ線の少なくとも一部は、前記積層方向から視て、前記内周部領域と前記外周部領域のうちいずれか一方のみと重なっている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態1に係るストレッチャブルデバイスを斜視した模式図である。
図2図2は、実施形態1に係るストレッチャブルデバイスの断面を模式的に示した図であり、詳細には、図3のII-II線に沿って切った断面図である。
図3図3は、実施形態1に係るストレッチャブルデバイスであって、アレイ層の方から樹脂基材及び第1樹脂板の一部を見た拡大図である。
図4図4は、図3のIV-IV線の矢視断面図である。次にアレイ層30の断面構造について説明する。
図5図5は、実施形態1のストレッチャブルデバイスにおけるの回路構成を示す回路図である。
図6図6は、実施形態1の第1ヒンジを拡大した拡大図である。
図7図7は、実施形態1の第1ヒンジであって第1方向に伸張するような荷重が作用した場合の拡大図である。
図8図8は、実施形態1の第1ヒンジとゲージ線との位置関係を示す図である。
図9図9は、変形例1に係るヒンジ部を平面視した平面図である。
図10図10は、変形例2に係るヒンジ部を平面視した平面図である。
図11図11は、変形例3に係るヒンジ部を平面視した平面図である。
図12図12は、変形例4に係るヒンジ部及びゲージ線を平面視した平面図である。
図13図13は、変形例5に係るヒンジ部及びゲージ線を平面視した平面図である。
図14図14は、変形例6に係るヒンジ部及びゲージ線を平面視した平面図である。
図15図15は、実施形態2の第1ヒンジとゲージ線との平面視における配置関係を示す図である。
図16図16は、図15のXVI-XVI線矢視断面図である。
図17図17は、実施形態2のストレッチャブルデバイスの断面構造を示す断面図である。
図18図18は、実施形態2のストレッチャブルデバイスの回路構成を示す回路図である。
図19図19は、図15の矢印XIXの方向から視たストレッチャブルデバイスの模式図である。
図20図20は、曲げ荷重が作用した場合のストレッチャブルデバイスの模式図である。
図21図21は、実施形態2のストレッチャブルデバイスにおいて、検出結果(電気信号)を受け取った後の処理工程を示すフロー図である。
図22図22は、変形例7のストレッチャブルデバイスの断面図である。
図23図23は、変形例7のストレッチャブルデバイスの回路図である。
図24図24は、変形例7の回路図における第1の動作を示す図である。
図25図25は、変形例7の回路図における第2の動作を示す図である。
図26図26は、変形例7の回路図における第3の動作を示す図である。
図27図27は、変形例8のストレッチャブルデバイスの回路図である。
図28図28は、変形例9のストレッチャブルデバイスの回路図である。
図29図29は、他の実施形態に係るストレッチャブルデバイスを斜視した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本開示の発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の構成要素には、同一の符号を付し、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0010】
また、本明細書及び特許請求の範囲において、ある構造体の上に他の構造体を配置する態様を表現するにあたり、単に「上に」と表記する場合、特に断りの無い限りは、ある構造体に接するように、直上に他の構造体を配置する場合と、ある構造体の上方に、さらに別の構造体を介して他の構造体を配置する場合との両方を含むものとする。
【0011】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係るストレッチャブルデバイスを斜視した模式図である。図1に示すように、ストレッチャブルデバイス1は、平板状を成している。ストレッチャブルデバイス1は、互いに反対方向を向く表面1aと裏面1b(図1で不図示。図2参照)を有している。以下、表面1a及び裏面1bと平行な方向を平面方向と称する。平面方向と平行な一方向を第1方向Dxと称する。平面方向と平行であり、かつ第1方向Dxと交差する方向を第2方向Dyと称する。
【0012】
表面1a及び裏面1bは、長方形(四角形)を成している。表面1aは、一対の短辺1cと一対の長辺1dを有している。なお、本実施形態において、第1方向Dxは、長辺1dと平行な方向とする。第2方向Dyは、短辺1cと平行な方向とする。つまり、本実施形態では、第1方向Dxと第2方向Dyとは、互いに直交している。また、表面1aの法線方向(積層方向)を第3方向Dzと称する。そして、ストレッチャブルデバイス1を第3方向Dzから視ることを平面視と称する。
【0013】
ストレッチャブルデバイス1は、平面視で、ストレッチャブルデバイス1のひずみ量を検出可能な検出領域2と、検出領域2の外側を囲む枠状の周辺領域3と、に区分けされる。なお、図1では、検出領域2と周辺領域3の境界を理解し易くするため、境界線L1を引いている。
【0014】
図2は、実施形態1に係るストレッチャブルデバイスの断面を模式的に示した図であり、詳細には、図3のII-II線に沿って切った断面図である。図2に示すように、ストレッチャブルデバイス1は、裏面1bを有する第1樹脂板60と、第1樹脂板60に順に積層される樹脂基材10及びアレイ層30と、表面1aを有する第2樹脂板70と、を備えている。
【0015】
第1樹脂板60と第2樹脂板70は、樹脂材料により製造され、伸縮性及び可撓性を有している。樹脂材料としては、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂が挙げられるが、本開示はこれらに限定されない。第1樹脂板60と第2樹脂板70によって、樹脂基材10とアレイ層30とが挟まれるように設けられている。
【0016】
以下の説明において、上側又は上方とは、第3方向Dzの一方向であり、第1樹脂板60から視て第2樹脂板70が配置されている方を指す。また、下側又は下方とは、第3方向Dzの他方向であり、第2樹脂板70から視て第1樹脂板60が配置されている方を指す。
【0017】
図3は、実施形態1に係るストレッチャブルデバイスであって、アレイ層の方から樹脂基材及び第1樹脂板の一部を見た拡大図である。なお、図3において、ドットで塗られた範囲が樹脂基材10である。樹脂基材10は、第1樹脂板60の上側の面に設けられている。樹脂基材10は、伸縮性、可撓性、及び絶縁性を有している。樹脂基材10は、例えばポリイミドなどの樹脂材料から成る。
【0018】
図3に示すように、樹脂基材10は、第1方向Dxと第2方向Dyに配列しマトリックス状に配置されたボディ部11と、ボディ部11を接続するヒンジ部12と、を有している。
【0019】
本実施形態においては、ボディ部11は、平面視で四角形状を成している。このボディ部11に積層されるアレイ層30には、トランジスタ50が含まれている(図4参照)。なお、平面視におけるボディ部11の形状は、四角形に限定されず、円形や他の多角形であってもよい。
【0020】
ヒンジ部12は、第1方向Dxに延在する第1ヒンジ部13と、第2方向Dyに延在する第2ヒンジ部14と、を有している。第1ヒンジ部13に積層されるアレイ層30には、信号線32、電流供給線33、及びゲージ線35が含まれている。一方で、第2ヒンジ部14に積層されるアレイ層30には、ゲート線31が含まれている。なお、第3方向Dzから視て第1ヒンジ部13を90°回転させると、第2ヒンジ部14と同一形状となる。よって、ヒンジ部12の形状については、第1ヒンジ部13の方を説明し、第2ヒンジ部14の説明を省略する。
【0021】
第1ヒンジ部13は、2つのボディ部11の間を蛇行しながら第1方向Dxに延在している。第1ヒンジ部13は、第1ヒンジ部13の長さ方向の両端部に配置された2つの基部15と、第1ヒンジ部13の長さ方向の中央部に配置された2つの円弧部16と、を有している。
【0022】
基部15は、ボディ部11に連続し、ボディ部11から第1方向Dxに直線状に延びている。円弧部16は、円弧状を成している。二つの円弧部16のうち一方は、基部15よりも第2方向Dyの一方に突出している。二つの円弧部16のうち他方は、基部15よりも第2方向Dyの一方に突出している。
【0023】
樹脂基材10には、枠状に配置された4つのヒンジ部12により囲まれる肉抜き部19が複数設けられている。肉抜き部19は、樹脂基材10を貫通する穴である。
【0024】
図2に示すように、肉抜き部19には、樹脂基材10とアレイ層30とが積層されていない。代わりに第2樹脂板70により肉抜き部19が埋められている。このため、ストレッチャブルデバイス1は、肉抜き部19と重なる範囲の剛性が低く、伸縮性や屈曲性(ストレッチャブル性)を備える。つまり、ストレッチャブルデバイス1に荷重が作用すると、ヒンジ部12が変形し、ボディ部11の変形が小さく抑えられる。これにより、ボディ部11に積層される機能素子(本実施形態ではトランジスタ50)の破損が抑制される。なお、本実施形態では、肉抜き部19は、第2樹脂板70により埋められているが、第1樹脂板60により埋められてもよく、若しくは、第1樹脂板60と第2樹脂板70により埋められていてもよい。
【0025】
次にアレイ層30について説明する。アレイ層30は、ヒンジ部12の変形量を検出するため、複数のゲージ線35(図3参照)を有している。なお、本実施形態では、ゲージ線35は、第1ヒンジ部13のみに重なるように配置されている。よって、第1ヒンジ部13に発生するひずみのみを検出し、第2ヒンジ部14に発生するひずみは検出しないような仕様になっている。
【0026】
また、アレイ層は、ゲージ線35の抵抗値を検出するための各種構成を含んでいる。具体的には、アレイ層30は、トランジスタ50(図4参照)と、ゲート線31(図3参照)、信号線32(図3参照)、電流供給線33(図3参照)、接続部6(図1参照)、ゲート線駆動回路7(図1参照)、信号線選択回路8(図1参照)、及び基準電流配線9(図1参照)を有している。
【0027】
図3に示すように、ゲート線31は、第2方向Dyに延在している。図3に特に図示しないが、ゲート線31は、第1方向Dxに複数設けられている。信号線32及び電流供給線33は、第1方向Dxに延在している。また、図3に特に図示しないが、信号線32及び電流供給線33は、第2方向Dyに複数設けられている。
【0028】
図1に示すように、接続部6、ゲート線駆動回路7、信号線選択回路8、基準電流配線9は、周辺領域3に重なるように配置されている。接続部6は、ストレッチャブルデバイス1の外部に配置された駆動IC(Integrated Circuit)と接続するためのものである。なお、駆動ICは、接続部6に接続されたフレキシブルプリント基板(図29を参照。図29において、符号101が駆動ICであり、符号102がフレキシブルプリント基板である)や、リジット基板の上にCOF(Chip On Film)として実装されてもよい。または、駆動ICは、第1樹脂板60の周辺領域3にCOG(Chip On Glass)として実装されてもよい。
【0029】
ゲート線駆動回路7は、駆動ICからの各種制御信号に基づいて複数のゲート線31を駆動する回路である。ゲート線駆動回路7は、複数のゲート線31を順次又は同時に選択し、選択したゲート線31にゲート駆動信号を供給する。信号線選択回路8は、複数の信号線32を順次又は同時に選択するスイッチ回路である。信号線選択回路8は、例えばマルチプレクサである。信号線選択回路8は、駆動ICから供給される選択信号に基づき、選択された信号線32と駆動ICとを接続する。基準電流配線9は、電流供給線33に所定量の電流を供給するための配線であり、周辺領域3に沿って延在している。基準電流配線9は、接続部6を介して駆動ICに接続しており、所定量の電流が流れている。
【0030】
図4は、図3のIV-IV線の矢視断面図である。次にアレイ層30の断面構造について説明する。なお、図4において、矢印L11の範囲は、平面視でボディ部11と重なる範囲である。矢印L13の範囲は、平面視で第1ヒンジ部13と重なる範囲である。矢印L14の範囲は平面視で第2ヒンジ部14と重なる範囲である。
【0031】
図4に示すように、アレイ層30は、複数の絶縁層を有している。具体的に、アレイ層30は、樹脂基材10の上方に順に積層される、第1絶縁層41、第2絶縁層42、第3絶縁層43、第4絶縁層44、第5絶縁層45、及び第6絶縁層46を有している。第1絶縁層41、第2絶縁層42、第3絶縁層43、第4絶縁層44、第5絶縁層45、及び第6絶縁層46は、例えばシリコン酸化膜であり、トランジスタ50や各種配線(ゲート線31、信号線32、電流供給線33、及びゲージ線35)を覆っている。
【0032】
ゲート線31は、第5絶縁層45上に成膜されている。ゲート線31は、ボディ部11上の第5絶縁層45と、第2ヒンジ部14上の第5絶縁層45と、に跨って積層され、平面方向(第2方向Dy)に連続している。また、図3に示すように、ゲート線31は、複数のボディ部11と複数の第2ヒンジ部14とに跨っている。これにより、ゲート線31は、検出領域2内の第2方向Dyの一端から他端まで連続した状態で延在している。
【0033】
図4に示すように、信号線32は、第4絶縁層44上に成膜されている。信号線32は、ボディ部11上の第4絶縁層44と、第1ヒンジ部13上の第4絶縁層44と、に跨って積層され、平面方向(第1方向Dx)に連続している。また、図3に示すように、信号線32は、複数のボディ部11と複数の第1ヒンジ部13とに跨っている。これにより、信号線32は、検出領域2内の第1方向Dx一端から他端まで連続した状態で延在している。
【0034】
電流供給線33は、基準電流配線9と接続し、ゲージ線に所定量の電流を供給するための配線である。図4に示すように、電流供給線33は、第3絶縁層43上に成膜されている。電流供給線33は、ボディ部11上の第3絶縁層43と、第1ヒンジ部13上に第3絶縁層43と、に跨って積層され、平面方向(第1方向Dx)に連続している。また、図3に示すように、電流供給線33は、複数のボディ部11と複数の第1ヒンジ部13に跨っている。これにより、電流供給線33は、検出領域2内の第1方向Dx一端から他端まで連続した状態で延在している。
【0035】
図4に示すように、ゲージ線35は、第2絶縁層42上に成膜されている。ゲージ線35は、ボディ部11上の第2絶縁層42と、第1ヒンジ部13の第2絶縁層42と、に跨って積層され、平面方向(第1方向Dx)に連続している。図3に示すように、ゲージ線35は、1つのボディ部11と1つの第1ヒンジ部13とに跨っている。よって、複数のゲージ線35は、第1方向Dxに互いに分離した状態で延在している。
【0036】
なお、本実施形態のゲージ線35は、第1ヒンジ部13の一端から他端まで延び、その後、第1ヒンジ部13の他端で折り返し、第1ヒンジ部13の一端に戻っている(図8参照)。つまり、ゲージ線35は平面視でU字状を成しており、ボディ部11にはゲージ線35の2つの端部(始点と終点)が重なっている。
【0037】
図4に示すように、トランジスタ50は、半導体層50aと、ゲート絶縁膜50bと、ゲート電極50cと、ドレイン電極50dと、ソース電極50eと、を備えている。半導体層50aは、コンタクト層51a、51bを介して、ドレイン電極50dとソース電極50eに接続している。ゲート電極50cは、コンタクト層51cを介して、ゲート線31と接続している。ドレイン電極50dは、電流供給線33と同層に配置され、電流供給線33と接続している。ソース電極50eは、ゲージ線35と同層に配置され、ゲージ線35の一端(始点)と接続している。なお、ゲージ線35の他端(終点)は、コンタクト層51dを介して、信号線32と接続している。
【0038】
図5は、実施形態1のストレッチャブルデバイスにおけるの回路構成を示す回路図である。次にアレイ層30に含まれる回路構成について説明する。図5に示すように、ゲート線駆動回路7に選択されてゲート線31が走査されると、トランジスタ50がONとなる。この結果、電流供給線33とゲージ線35の一端(始点)とが電気的に接続し、所定量の電流がゲージ線35に流れる。その後、ゲージ線35の他端(終点)と接続する信号線32に電流(電気信号)が信号線32に入力される。そして、信号線32に入力された電流(電気信号)は、駆動ICに送られる。
【0039】
ここで、第1ヒンジ部13が変形していると(ゲージ線35にひずみが生じていると)、ゲージ線35の抵抗値が変化する。つまり、ゲージ線35にひずみが発生している場合と発生していない場合では、信号線32に入力される電流値が異なる。よって、駆動ICでは、電流値の変化量からゲージ線35のひずみ量を検出する。
【0040】
次に、本実施形態の第1ヒンジ部13とゲージ線35の詳細について説明する。
【0041】
図6は、実施形態1の第1ヒンジを拡大した拡大図である。図7は、実施形態1の第1ヒンジであって第1方向に伸張するような荷重が作用した場合の拡大図である。図8は、実施形態1の第1ヒンジとゲージ線との位置関係を示す図である。
【0042】
説明の都合上、図6に示すように、第1ヒンジ部13の両側にある2つのボディ部11の一方を第1ボディ部11aと称し、他方を第2ボディ部と称する。2つの基部15のうち、第1ボディ部11aと接続する方を第1基部15aと称し、第2ボディ部11bと接続する方を第2基部15bと称する。2つの円弧部16のうち、第1基部15aと接続する方を第1円弧部16aと称し、第2基部15bと接続する方を第2円弧部16bと称する。また、図6で示す仮想線Kは、第1ヒンジ部13の幅方向Wの中央を通過する仮想線である。
【0043】
図6で示すように、第1ヒンジ部13において、第1基部15aと第1円弧部16aとの接続部は、90度折れ曲がっており、第1屈曲部21を成している。第1円弧部16a自体は、180度折れ曲がっており、第2屈曲部22を成している。第3円弧部自体も、180度折れ曲がっており、第3屈曲部23を成している。第2円弧部と第2基部との接続部は、90度折れ曲がっており、第4屈曲部24を成している。
【0044】
以下、第1屈曲部21と第2屈曲部22と第3屈曲部23と第4屈曲部24を総称して屈曲部20と称する。各屈曲部20は、仮想線Kを境界として、内側に配置される内周部と、外側に配置される外周部と、に区分けされる。なお、図6では、各屈曲部20の内周部と外周部の範囲を明確にするため、内周部と外周部を楕円形で囲んでいる。ただし、仮想線Kよりも内周側の全てが内周部であり、仮想線Kよりも外周側の全てが外周部である。よって、楕円で囲まれた範囲は、内周部又は外周部の一部である。
【0045】
例えば、ストレッチャブルデバイス1に第1方向Dxに伸張荷重(図7の矢印F参照)が作用すると、図7に示すように、第1ヒンジ部13が第1方向Dxに伸張する。つまり、各屈曲部20が折れ曲がり角度が大きくなり、第1ヒンジ部13の第1方向Dxの長さが大きくなる。また、各屈曲部20が折れ曲がり角度が大きくなった場合、各屈曲部20の内周部と外周部とでは、つぎのような荷重(応力が)作用する。
【0046】
第1屈曲部21の第1内周部21Nに、引っ張り荷重が作用する。第1屈曲部21の第1外周部21Gに圧縮荷重が作用する。第2屈曲部22の第2内周部22Nに、引っ張り荷重が作用する。第2屈曲部22の第2外周部22Gに圧縮荷重が作用する。第3屈曲部23の第3内周部23Nに、引っ張り荷重が作用する。第3屈曲部23の第3外周部23Gに圧縮荷重が作用する。第4屈曲部24の第4内周部24Nに、引っ張り荷重が作用する。第4屈曲部24の第4外周部24Gに圧縮荷重が作用する。
【0047】
つまり、各屈曲部20の内周部には引っ張り荷重が作用し、一方で、各屈曲部20の外周部には圧縮荷重が作用する。よって、ゲージ線35を、第1ヒンジ部13の端に沿って延在させても、引っ張り荷重と圧縮荷重の両方が作用してしまう。以下、各内周部を集合させたものを内周部領域Nと称し、各外周部を集合させたものを外周部領域Gと称する。
【0048】
なお、上記では、ストレッチャブルデバイス1に第1方向Dxに伸張荷重が作用した場合を例に挙げて説明したが、ストレッチャブルデバイス1に第1方向Dxに圧縮荷重が作用した場合、各屈曲部20の内周部には圧縮荷重が作用し、各屈曲部20の外周部には引っ張り荷重が作用する。
【0049】
本実施形態においては、図8に示すように、ゲージ線35は、第1ボディ部11aから第2ボディ部11bに延びる往路ゲージ部36と、第2ボディ部11bから折り返して第1ボディ部11aに延びる復路ゲージ部37と、を有している。つまり、ゲージ線35は、第2ボディ部11bから折り返して第1ボディ部11aに戻るU字状の配線となっている。
【0050】
往路ゲージ部36及び復路ゲージ部37は、第1屈曲部21において第1内周部21Nと重なるように配置されている。往路ゲージ部36及び復路ゲージ部37は、第2屈曲部22において第2内周部22Nと重なるように配置されている。往路ゲージ部36及び復路ゲージ部37は、第3屈曲部23において第3内周部23Nと重なるように配置されている。往路ゲージ部36及び復路ゲージ部37は、第4屈曲部24において第4内周部24Nと重なるように配置されている。
【0051】
つまり、往路ゲージ部36及び復路ゲージ部37は、各屈曲部20において、内周部領域Nのみと重なるように配置され、外周部領域Gと重なっていない。よって、ゲージ線35に対し、第1ヒンジ部13において引っ張り荷重と圧縮荷重の両方が入力される、ということが回避されている。よって、第1ヒンジ部13に作用する荷重(ひずみ量)を正確に検出することができる。
【0052】
なお、本開示において、例えば基部15など、屈曲部20と重ならない範囲において、ゲージ線35の配置は特に限定されない。つまり、仮想線Kと重なるように中央に配置されてもよく、また、仮想線Kから幅方向Wに離れるように端寄りに配置されていてもよい。
【0053】
また、上記したようにヒンジ部12において、各屈曲部20の内周部と外周部は大きく変形する。つまり、ゲート線31、信号線32、及び電流供給線33が変形して抵抗値が変化すると、ひずみ量が正確に検出できない可能性がある。よって、特に図示しないが、本実施形態のゲート線31、信号線32、及び電流供給線33は、それぞれヒンジ部12の中央(仮想線K)と重なるように配置されている。
【0054】
以上、実施形態1のゲージ線35によれば、各屈曲部20と重なる範囲で、共通したひずみが生じる。よって、第1ヒンジ部13に作用する荷重を検出することができる。また、ゲージ線35は、複数の第1ヒンジ部13に重なるように配置されるため、多点検出が可能となる。
【0055】
また、実施形態1のゲージ線35は、各屈曲部20の内周部(第1内周部21N、第2内周部22N、第3内周部23N、第4内周部24N)のそれぞれと重なっている。よって、例えば各屈曲部20のうち1つの内周部のみと重なっている場合よりもひずみ量が多く発生し、検出感度が高い。
【0056】
また、実施形態1のゲージ線35は、往路ゲージ部36と復路ゲージ部37の2つの配線(ゲージ線)を有している。よって、1本のゲージ線から成る場合よりもひずみ量が多く発生し、検出感度が高い。
【0057】
以上、実施形態1について説明したが、本開示は、実施形態1で示した例に限定されない。例えば、実施形態1では、ゲージ線を第1ヒンジ部に設けているが、本開示は、ゲージ線を第2ヒンジ部に設けるようにしてもよい。又は、ゲージ線を第1ヒンジ部と第2ヒンジ部の両方に設けるようにしてもよい。
【0058】
また、ヒンジ部の形状に関し、本開示は、変形の際、引っ張り荷重や圧縮荷重が発生する屈曲部20を1つ以上有していればよく、実施形態1で示した例に限定されない。以下、ヒンジ部の変形例を説明する。
【0059】
(変形例1)
図9は、変形例1に係るヒンジ部を平面視した平面図である。図9に示すように、変形例1に係るヒンジ部12Aは、4つの円弧部16を有している点で、実施形態1のヒンジ部12と相違する。また、変形例1に係るヒンジ部12Aは、円弧部16同士の間に、基部15と平行な直線状の直線部17を有している点で、実施形態1のヒンジ部12と相違する。この変形例1によれば、屈曲部20が多くなり、ゲージ線35に発生するひずみ量が多くなり、検出感度が高くなる。このように、本開示においては、円弧部16や屈曲部20の数は特に限定されない。
【0060】
(変形例2)
図10は、変形例2に係るヒンジ部を平面視した平面図である。図10に示すように、変形例2に係るヒンジ部12Bは、円弧部16同士の間に、基部15と交差する直線状の直線部17Bを有している点で、実施形態1のヒンジ部12と相違する。このように、本開示においては、円弧部16同士の接続部の形状について特に限定されない。
【0061】
(変形例3)
図11は、変形例3に係るヒンジ部を平面視した平面図である。図11に示すように、変形例3に係るヒンジ部12Cは、複数の円弧部16に代えて複数の波形部16Cを有している点で、実施形態1のヒンジ部12と相違する。波形部16Cは、直線状に延び、角部を作るように折れ曲がっている。このように、本開示においては、蛇行形状を構成する各部位の形状は、円弧形状に限定されず、変形例3で示すような三角波であってもよく、若しくは矩形波であってもよく、特に限定されない。
【0062】
以上、ヒンジ部の変形例を説明した。また、ゲージ線に関し、実施形態1のゲージ線は、往路ゲージ部36及び復路ゲージ部37を有しているが、本開示は、これに限定されない。以下、ゲージ線の変形例を示す。
【0063】
(変形例4)
図12は、変形例4に係るヒンジ部及びゲージ線を平面視した平面図である。図12に示すように、変形例4に係るゲージ線35Dは、ヒンジ部12に沿って延在する配線が1つとなっている点で、実施形態1と相違する。このようなゲージ線35Dであってもヒンジ部12の変形を検出することができる。つまり、本開示のゲージ線は、ヒンジ部12に沿って延在するゲージ線35の本数は、1つや2つであってもよく、又は3つ以上であってもよく、特に限定されない。なお、変形例4においては、ゲージ線35Dの一端(始点)は、第1ボディ部11aの方のトランジスタ50に接続される。ゲージ線35Dの他端(終点)は、第2ボディ部11bの方の信号線32と接続される。
【0064】
(変形例5)
図13は、変形例5に係るヒンジ部及びゲージ線を平面視した平面図である。変形例5に係るゲージ線35Eは、ヒンジ部12に沿って延在する配線が1つとなっている点で、変形例4と共通している。ただし、変形例5に係るゲージ線35Eは、平面視で外周部領域G(第1外周部21G、第2外周部22G、第3外周部23G、第4外周部24G)と重なっている点で、変形例4と相違する。このようなゲージ線35Eであっても、各屈曲部20と重なる範囲で、共通したひずみが生じ、ヒンジ部12に作用する荷重を検出できる。このように、本開示のゲージ線は、第3方向Dz(積層方向)から視て、内周部領域Nと外周部領域Gのうちいずれか一方のみと重なっていればよい。
【0065】
(変形例6)
図14は、変形例6に係るヒンジ部及びゲージ線を平面視した平面図である。変形例6に係るゲージ線35Fは、ヒンジ部12に沿って延在する配線が1つとなっている点で、変形例4と共通している。ただし、変形例6に係るゲージ線35Fは、折り返し部18を有している点で、変形例4と相違する。折り返し部18は、各屈曲部20(第1屈曲部21、第2屈曲部22、第3屈曲部23、第4屈曲部24)に配置されている。また、折り返し部18は、屈曲部20が延在する方向の一方から他方に折り返すとともに、再び屈曲部が延在する方向の他方から一方に折り返している。よって、ゲージ線35Fは、屈曲部20において延在する長さが長くなっている。この結果、ゲージ線35Fのひずみ量が多くなり、検出感度が高い。
【0066】
以上、ゲージ線35の変形例について説明したが、内周部又は外周部においてゲージ線が配置される幅方向Wの位置に関し、仮想線K2(図6参照)から離れているほど好ましい。つまり、ゲージ線35は、ヒンジ部12の端に近い方が多くのひずみ量が発生し、検出感度が高くなるからである。
【0067】
また、実施形態と変形例のゲージ線は、各屈曲部20において内周部(又は外周部)の全てと重なるように配置されているが、本開示はこれに限定されない。各屈曲部20のうち1つの内周部(又は外周部)と重なるように配置されていてもよい。
【0068】
以上、ゲージ線の変形例について説明したが、その他に、ゲージ線35は、変形した場合における抵抗値の変化量が大きいと、検出感度が高く好ましい。ゲージ線35の抵抗値の変化量は、以下の式(1)により求められる。
【0069】
【数1】
【0070】
式(1)中のΔRは、ゲージ線の抵抗値の変化量である。式(1)中のRは、ゲージ線の初期の抵抗値である。式(1)中のKは、ゲージ率である。式(1)中のεは、ゲージ線のひずみ量である。式(1)中のρは、ゲージ線の抵抗率である。式(1)中のLは、ゲージ線の長さである。式(1)中のsは、ゲージ線の断面積である。
【0071】
ゲージ線は、式(1)で示すように、ゲージ線の断面積sが小さいほど、抵抗値の変化量が大きくなり、検出感度が高くなる。よって、ゲージ線は、例えば幅5μm~10μmなど、比較的小さい幅に設定してもよい。一方で、ゲート線31、信号線32、及び電流供給線33は、ヒンジ部の変形時における抵抗値の変化量が大きくなると、ヒンジ部に作用する荷重を正確に検出できない可能性がある。よって、ゲート線31、信号線32、及び電流供給線33は、例えば幅10μm~30μmなど、比較的大きい幅に設定し、抵抗値の変化量を小さく抑えることが好ましい。
【0072】
また、実施形態1のゲージ線35により検出されるひずみは、ひずみの向きが不明である。つまり、ストレッチャブルデバイス1に作用した荷重が伸縮荷重によるものか、それとも曲げ荷重によるものかが不明である。よって、実施形態2では、ひずみ量以外に、ひずみの向きも検出できるストレッチャブルデバイスを説明する。
【0073】
(実施形態2)
図15は、実施形態2の第1ヒンジとゲージ線との平面視における配置関係を示す図である。図16は、図15のXVI-XVI線矢視断面図である。図15に示すように、実施形態2のストレッチャブルデバイス1Gは、第1ヒンジ部に13に積層されるアレイ層30にゲージ線35Gが含まれている点で、実施形態1と共通する。一方で、図16に示すように、実施形態2のストレッチャブルデバイス1Gは、一つの第1ヒンジ部13に対して2つのゲージ線35G(第1ゲージ線135と第2ゲージ線235)が設けられている点が実施形態1と相違する。また、図16に示すように、実施形態2のストレッチャブルデバイス1Gは、第1ヒンジ部13に積層されるアレイ層30に2つの信号線32G(132と232)が含まれている点で、実施形態1と相違する。
【0074】
また、図16に示すように、実施形態2のアレイ層30は、第1絶縁層41、第2絶縁層42、第3絶縁層43、第4絶縁層44、第5絶縁層45、第6絶縁層46、第7絶縁層47、及び第8絶縁層48を有している。第1ゲージ線135は、アレイ層30の第4絶縁層44に積層されている。第2ゲージ線235は、アレイ層30の第2絶縁層42に積層されている。よって、第1ゲージ線135と第2ゲージ線235は、異なる絶縁層に配置され、第1ゲージ線135の方が上方に配置されている。
【0075】
図15に示すように、第1ゲージ線135及び第2ゲージ線235は、平面視で、実施形態1のゲージ線35と同一形状となっている。なお、第2ゲージ線235は、第1ゲージ線135と重なっているため、平面図である図15で図示されていない。第1ゲージ線135は、第1往路ゲージ部136と第1復路ゲージ部137を有している。また、第2ゲージ線235は、第2往路ゲージ部236と第2復路ゲージ部237を有している(図16参照)。
【0076】
また、第1ゲージ線135と第2ゲージ線235は、実施形態1のゲージ線35と同じように内周部領域Nと重なるように配置されている。さらに、図16に示すように、第1ゲージ線135と第2ゲージ線235は、上下方向に重なっている。つまり、第1往路ゲージ部136と第2往路ゲージ部236は、幅方向Wの中央(仮想線K)からの距離が同じである。同様に、第1復路ゲージ部137と第2復路ゲージ部237は、幅方向Wの中央(仮想線K)からの距離が同じである。これによれば、第1ヒンジ部13が第1方向Dxに伸縮した場合、第1ゲージ線135と第2ゲージ線235に生じするひずみ量は等しくなる。
【0077】
図17は、実施形態2のストレッチャブルデバイスの断面構造を示す断面図である。図17に示すように、トランジスタ50のソース電極50eは、第2絶縁層42上に積層され、第2往路ゲージ部236の始点(第2ゲージ線235の一端)に接続している。また、トランジスタ50のソース電極50eは、コンタクト層51fを介して、第1往路ゲージ部136の始点(第1ゲージ線135の一端)と接続している。
【0078】
図16に示すように、第1信号線132と第2信号線232は、第6絶縁層46に積層されている。図17に示すように、第1信号線132は、コンタクト層51gを介して、第1復路ゲージ部137(図17で不図示)の終点(第1ゲージ線135の他端)と接続している。第2信号線232は、コンタクト層51hを介して、第2復路ゲージ部237の終点(第2ゲージ線235の他端)と接続している。
【0079】
図18は、実施形態2のストレッチャブルデバイスの回路構成を示す回路図である。実施形態2では、図18に示すように、ゲート線31にゲート駆動信号が送られると、トランジスタ50がONとなる。そして、電流供給線33から第1ゲージ線135と第2ゲージ線235に同時に所定量の電流が流れる。また、第1ゲージ線135の抵抗値に応じた電流が第1信号線132に送られる。また、第2ゲージ線235の抵抗値に応じた電流が第2信号線232に送られる。
【0080】
なお、本開示は、1つのヒンジ部12に2つのゲージ線35を重なるように配置する場合、実施形態1に示す回路(図5参照)を2つ備え、第1ゲージ線135の抵抗値と第2ゲージ線235の抵抗値をそれぞれ取得するようにしてもよい。ただし、実施形態1に示す回路を2つ備えるとなると、ボディ部11に積層されるトランジスタ50が多くなる。また、第1ゲージ線135と第2ゲージ線245とに電流を流すタイミングがずれてしまう可能性がある。一方で、実施形態2によれば、アレイ層30のレイアウトが簡易となる。また、第1ゲージ線135と第2ゲージ線235との抵抗値を同時に検出できるため、好ましい。
【0081】
図19は、図15の矢印XIXの方向から視たストレッチャブルデバイスの模式図である。図20は、曲げ荷重が作用した場合のストレッチャブルデバイスの模式図である。次に、ストレッチャブルデバイス1Gに荷重が作用し、第1ヒンジ部13が変形した場合について説明する。なお、説明の都合上、第1ボディ部11aに積載されるアレイ層30を第1アレイ層30Aと称する。第2ボディ部11bに積載されるアレイ層30を第2アレイ層30Bと称する。第1ヒンジ部13に積層されるアレイ層30を第3アレイ層30Cと称する。
【0082】
図19に示すように、ストレッチャブルデバイス1Gに第1方向Dxの引っ張り荷重が作用した場合、第1アレイ層30Aと第2アレイ層30Bには、互いに離れるような荷重が作用する(図19の矢印A1参照)。これに伴い、第3アレイ層30Cは、第1方向Dxに延びるように変形する。つまり、第3アレイ層30Cに含まれる第1ゲージ線135と第2ゲージ線235は、それぞれ、第1方向Dxに延びる(矢印A2、A3参照)。また、第1ゲージ線135と第2ゲージ線235に発生するひずみ量が等しい。
【0083】
図20に示すように、第2方向Dyに延びる仮想線Pを中心とする曲げ荷重Bがストレッチャブルデバイス1Gに作用した場合、ストレッチャブルデバイス1Gが撓む。そして、第1アレイ層30Aと第2アレイ層30Bには、互いに離れつつ、かつ下向きの荷重が作用する(図20の矢印B1参照)。
【0084】
これに伴い、第3アレイ層30Cは、第2方向Dyから視て撓む。第3アレイ層30Cのうち第2樹脂板70寄りの各層には、第1方向Dxへの引っ張り荷重が作用する(図20の矢印B2参照)。一方で、第3アレイ層30Cのうち第1樹脂板60寄りの各層には、第1方向Dxへの圧縮荷重が作用する(図20の矢印B3参照)。よって、第1ゲージ線135は第1方向Dxに延び、一方で、第2ゲージ線235は第1方向Dxに縮む。よって、第1ゲージ線135と第2ゲージ線235に発生するひずみの向き及び量が異なる。
【0085】
なお、上記説明では、引っ張り荷重と曲げ荷重とを分けて説明したが、ストレッチャブルデバイス1Gには、引っ張り荷重と曲げ荷重との両方が作用することがある。よって、このような場合、第1ゲージ線135及び第2ゲージ線235の両方ともに第1方向Dxに延びるように変形するものの、その変形量(ひずみ量)が異なる。
【0086】
図21は、実施形態2のストレッチャブルデバイスにおいて、検出結果(電気信号)を受け取った後の処理工程を示すフロー図である。次に駆動ICによる第1信号線132と第2信号線232から電気信号を受け取った場合の処理工程を説明する。
【0087】
駆動ICは、第1信号線132と第2信号線232から検出結果(電流値)を取得した場合(Start)、ステップS1に移る。
【0088】
ステップS1において、駆動ICは、第1ゲージ線135と第2ゲージ線235の検出結果(電気信号)から、変形後の第1ゲージ線の抵抗値と変形後の第2ゲージ線の抵抗値を算出する。
【0089】
ステップS2において、駆動ICは、算出した抵抗値から、第1ゲージ線と抵抗値の変化量ΔR1と第2ゲージ線の抵抗値の変化量ΔR2を算出する。
【0090】
ステップS3において、第1ゲージ線135の抵抗値の変化量ΔR1と第2ゲージ線235の抵抗値の変化量ΔR2の平均値((ΔR1+ΔR2)×1/2)を算出する。そして、抵抗値の変化量の平均値((ΔR1+ΔR2)×1/2)を、ΔRとして式(1)に代入し、第1方向Dxのひずみ量(伸縮荷重によるひずみ量)を算出する。
【0091】
また、ステップS3において、第1ゲージ線135と第2ゲージ線235の抵抗値の差分(|ΔR1-ΔR2|)を算出する。そして、抵抗値の差分(|ΔR1-ΔR2|)をΔRとして式(1)に代入し、曲げ方向のひずみ量(曲げ荷重によるひずみ量)を算出し、処理工程が終了となる(End)。
【0092】
以上、実施形態2のストレッチャブルデバイス1Gによれば、多点検出が可能となるとともに、伸縮荷重に対応するひずみ量と、曲げ荷重に対応するひずみ量を検出することができる。
【0093】
以上、実施形態1、実施形態2、及び各変形例を説明したが、次に回路構成の変形例を説明する。
【0094】
(変形例7)
図22は、変形例7のストレッチャブルデバイスの断面図である。図23は、変形例7のストレッチャブルデバイスの回路図である。図24は、変形例7の回路図における第1の動作を示す図である。図25は、変形例7の回路図における第2の動作を示す図である。図26は、変形例7の回路図における第3の動作を示す図である。
【0095】
なお、変形例7のストレッチャブルデバイス1Hでは、第1ヒンジ部13に積層されるアレイ層30にのみゲージ線35が含まれている。また、ゲージ線35は、1つの配線からなる変形例4のゲージ線35Dである。
【0096】
図22に示すように、アレイ層30は、樹脂基材10の上に順に積層される第1絶縁層41、第2絶縁層42、第3絶縁層43、第4絶縁層44、第5絶縁層45、第6絶縁層46、第7絶縁層47、共通電極49、及び第8絶縁層48を有している。共通電極49は、検出領域2の全域に成膜されたベタ膜である。また、ボディ部11に積層されるアレイ層30には、第1トランジスタ150、第2トランジスタ250、及び第3トランジスタ350が含まれている。
【0097】
図22図23に示すように、第1トランジスタ150のゲート電極150cは、ゲート線31に接続している。第1トランジスタ150のドレイン電極側にリセット配線160が接続し、ソース電極側に共有電極151が接続している。
【0098】
共有電極151は、第1トランジスタ150、第2トランジスタ250、及び第3トランジスタ350の上方に成膜されている。共有電極151は、コンタクト層152、153を介して、第2トランジスタ250の半導体層250aと第3トランジスタ350の半導体層350aとに接続している。よって、共有電極151は、第1トランジスタ150、第2トランジスタ250、及び第3トランジスタ350のそれぞれに共有されている。また、共有電極151は、第7絶縁層47を介して共通電極49と対向している。共通電極49には、所定の電位が与えられており、共有電極151と共通電極49とが協働してコンデンサCsを構成している。
【0099】
第2トランジスタ250のゲート電極250cには、充電開始信号線161が接続している。第2トランジスタ250のドレイン電極側に電流供給線33が接続している。第3トランジスタ350のゲージ線350cには、検出開始信号線162が接続している。第3トランジスタ350のドレイン電極側には、ゲージ線35Dの一端が接続している。なお、図23に示すように、ゲージ線35Dの他端は、隣のボディ部11に積層された信号線32と接続している。また、変形例7においては、ゲージ線35Dごとに信号線32が設けられている。
【0100】
次に変形例7の動作例を説明する。図24に示すように、最初に、充電開始信号線161に充電開始信号を送る。これにより、第2トランジスタ250がONとなり、電流供給線33から共有電極151に所定量の電流が流れる(図24の矢印参照)。そして、コンデンサCsに所定量の電荷が溜まる。
【0101】
次に、充電開始信号線161に検出開始信号を送る。図25に示すように、これにより、第3トランジスタ350がONとなり、コンデンサCsに溜められた電荷がゲージ線35Dを通過し、信号線32に流れる(図25の矢印参照)。これにより、信号線32には、ゲージ線35Dの抵抗値に応じた電流が流れ、変形後のゲージ線35Dの抵抗値が検出される。
【0102】
次に、ゲート線31にリセット信号を送る。図26に示すように、これにより、第1トランジスタ150がONとなり、コンデンサCsに残った電荷がリセット配線160に送られ、コンデンサCsの充電がリセットされる(電荷がゼロとなる)。
【0103】
以上、変形例7のストレッチャブルデバイス1Hについて説明した。なお、変形例7では、第1ヒンジ部13に積層されるアレイ層30にのみゲージ線35が含まれているが、第1ヒンジ部13と第22ヒンジ部14に積層されるアレイ層30にゲージ線35が含まれていてもよい。このような2つのゲージ線35を有している場合、変形例7で示す回路構成を2つ備えるようにしてもよい。若しくは、変形例8や変形例9で示すような回路構成にしてもよい。
【0104】
(変形例8)
図27は、変形例8のストレッチャブルデバイスの回路図である。図27に示すように、変形例8のストレッチャブルデバイス1Iでは、第1ヒンジ部13に積層されたアレイ層30に第1ゲージ線335が含まれ、第2ヒンジ部14に積層されたアレイ層30に第2ゲージ線435が含まれている。なお、第1ゲージ線135と第2ゲージ線235は、ともに、1つの配線からなる変形例4のゲージ線35Dである。
【0105】
また、ボディ部11に積層されるアレイ層30には、第1ゲージ線135の抵抗値を検出するための3つのトランジスタ(第1トランジスタ150A、第2トランジスタ250A、第3トランジスタ350A)と、第2ゲージ線235D抵抗値を検出するための3つのトランジスタ(第1トランジスタ150B、第2トランジスタ250B、第3トランジスタ350B)と、各トランジスタを駆動させるための各種配線と、を有している。
【0106】
なお、3つのトランジスタ(第1トランジスタ150A、第2トランジスタ250A、第3トランジスタ350A)と、第2ヒンジ部14のゲージ線35Dの抵抗値を検出する3つのトランジスタ(第1トランジスタ150B、第2トランジスタ250B、第3トランジスタ350B)と、は変形例7の回路構成を同一であるため、説明を省略する。
【0107】
変形例8において、第2トランジスタ250Aと第2トランジスタ250Bは、それぞれのゲート電極が共通する充電開始信号線161に接続している。また、第2トランジスタ250Aと第2トランジスタ250Bは、それぞれ、ソース側電極(又はドレイン電極側)が共通する電流供給線33に接続している。さらに、第3トランジスタ350Aと第3トランジスタ350Bにおいて、それぞれのゲート電極が共通する検出開始信号線162に接続している。
【0108】
よって、変形例8によれば、充電開始信号線161、電流供給線33、及び検出開始信号線162が共用される。よって、変形例8によれば、変形例7で示す回路構成を2つそのまま備えた場合よりも、配線の数を低減することができる。また、第1ゲージ線335と第2ゲージ線435に同時に電流を流すことができる。
【0109】
(変形例9)
図28は、変形例9のストレッチャブルデバイスの回路図である。図28に示すように、変形例9のストレッチャブルデバイス1Jは、変形例7で示した3つのトランジスタ(第1トランジスタ150A、第2トランジスタ250A、第3トランジスタ350A)を有している。また、第3トランジスタ350のドレイン電極側(ソース電極側)に、第1ゲージ線135と第2ゲージ線235とに接続している。
【0110】
これによれば、第3トランジスタ350がONとなると、コンデンサCsに溜められた電荷が第1ゲージ線135と第2ゲージ線235に同時に流れる。そして、信号線32Aには、第1ゲージ線135の抵抗値に応じた電流が流れる。信号線32Bには、第2ゲージ線235の抵抗値に応じた電流が流れる。以上から、第1ゲージ線135と第2ゲージ線235の抵抗値を検出することができる。また、変形例9によれば、変形例8の回路図よりもトランジスタの数を減らすことができる。
【符号の説明】
【0111】
1、1G、1H、1I、1J ストレッチャブルデバイス
2 検出領域
3 周辺領域
10 樹脂基材
11 ボディ部
12、12A、12B、12C ヒンジ部
13 第1ヒンジ部
14 第2ヒンジ部
15 基部
16 円弧部
17、17B 直線部
18 折り返し部
19 肉抜き部
20 屈曲部
21 第1屈曲部
22 第2屈曲部
23 第3屈曲部
24 第4屈曲部
30 アレイ層
31 ゲート線
32 信号線
33 電流供給線
35、35D、35E、35F ゲージ線
36(136、236) 往路ゲージ部(第1往路ゲージ部、第2往路ゲージ部)
37(137、237) 復路ゲージ部(第1復路ゲージ部、第2復路ゲージ部)
50 トランジスタ
60 第1樹脂板
70 第2樹脂板
135、335 第1ゲージ線
150、150A、150B 第1トランジスタ
151 共有電極
160 リセット配線
161 充電開始信号線
162 検出開始信号線
235、435 第2ゲージ線
250、250A、250B 第2トランジスタ
350、350A、350B 第3トランジスタ
N(21N、22N、23N、24N) 内周部領域(内周部)
G(21G、22G、23G、24G) 外周部領域(外周部)
図1
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