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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024010577
(43)【公開日】2024-01-24
(54)【発明の名称】引掛防止具、遮蔽装置
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/42 20060101AFI20240117BHJP
【FI】
E06B9/42 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022111994
(22)【出願日】2022-07-12
(71)【出願人】
【識別番号】000134958
【氏名又は名称】株式会社ニチベイ
(74)【代理人】
【識別番号】100107928
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正則
(74)【代理人】
【識別番号】110003362
【氏名又は名称】弁理士法人i.PARTNERS特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】青木 孝明
(72)【発明者】
【氏名】千坂 之則
(72)【発明者】
【氏名】西野 公久
(72)【発明者】
【氏名】江上 賢一郎
(72)【発明者】
【氏名】外村 英章
(72)【発明者】
【氏名】横山 匡芳
(57)【要約】
【課題】バー材が突出物に引っ掛かることを防止することができる技術を提供する。
【解決手段】左右方向に延びるスリット状の開口が上方側に形成され、開口から挿入されたスクリーンの下端が連結され、昇降可能に設けられるバー材に取り付けられる引掛防止具であって、開口の少なくとも一部を閉鎖し、バー材が上昇された場合、スリットの後方に位置するとともに前方側に突出する突出物の一部が開口に挿入されることを防止する閉鎖部を備えた。
【選択図】図5C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右方向に延びるスリット状の開口が形成され、該開口から挿入されたスクリーンの下端が連結され、昇降可能に設けられるバー材に取り付けられる引掛防止具であって、
前記開口の少なくとも一部を閉鎖し、前記バー材が上昇された場合、前記スリットの後方に位置するとともに前方側に突出する突出物の一部が前記開口に挿入されることを防止する閉鎖部を備える引掛防止具。
【請求項2】
前記閉鎖部は、前記開口の後方側の縁部側から該開口の少なくとも一部を閉鎖することを特徴とする請求項1に記載の引掛防止具。
【請求項3】
前記スクリーンは、前記開口の前方側の縁部に当接するように前記バー材に連結され、
前記スクリーンと前記閉鎖部との間に生じる間隙は2mm以下であることを特徴とする請求項2に記載の引掛防止具。
【請求項4】
前記閉鎖部は、前記開口に挿入されることにより該開口を閉鎖する弾性部材であることを特徴とする請求項1に記載の引掛防止具。
【請求項5】
左右方向に延びるスリット状の開口が形成され、該開口から挿入されたスクリーンの下端が連結され、昇降可能に設けられるバー材に取り付けられる引掛防止具であって、
前記バー材から後方に突出し、前記開口の後方側の縁部を前記スリットの後方に位置するとともに前方側に突出する突出物の前端部よりも前方に位置付けるように、前記突出物が設けられる壁と当接する後方突出部を備える引掛防止具。
【請求項6】
左右方向に延びるスリット状の開口が形成され、該開口から挿入されたスクリーンの下端が連結され、昇降可能に設けられるバー材に取り付けられる引掛防止具であって、
前記スクリーンの背面側に設けられ、前記バー材が上昇されて、前記スリットの後方に位置するとともに前方側に突出する突出物の下面に当接された場合に前記バー材を揺動させるように前記バー材から上方に突出する上方突出部を備える引掛防止具。
【請求項7】
前記上方突出部の背面において、該上方突出部の先端から後方側に下方に傾斜し、前記バー材が上昇された場合、前記突出物の前端と当接して前記バー材を前方に案内する傾斜部が形成されることを特徴とする請求項6に記載の引掛防止具。
【請求項8】
左右方向に延びるスリット状の開口が形成され、該開口から挿入されたスクリーンの下端が連結され、昇降可能に設けられるバー材に取り付けられる引掛防止具であって、
弾性部材により膜状に形成され、前記開口を介して前記バー材の外部と連通する前記バー材に画成された内部空間内に一端部が連結されるとともに、他端部が前記スクリーンの後方において前記開口から前記バー材の外部に突出する引掛防止具。
【請求項9】
左右方向に延びるスリット状の開口が形成され、該開口から挿入されたスクリーンの下端が連結され、昇降可能に設けられるバー材が、前記スクリーンの後方に設けられて前方に突出する突出物に引っ掛かることを防止する引掛防止具であって、
前記突出物の下面に固定される固定部と、
後方から前方に向かって漸次上方に傾斜し、前記バー材が上昇された場合、該バー材と当接して該バー材を前方に案内する案内傾斜部と
を備える引掛防止具。
【請求項10】
端部が開口された左右方向に延在する筒状に形成され、左右方向に延びるスリット状の開口が形成され、該開口から挿入されたスクリーンの下端が連結され、昇降可能に設けられるバー材に取り付けられる引掛防止具であって、
前記バー材の端部の開口を閉塞可能な板状に形成されるベース部と、
前記ベース部の一面から面外方向に突出し、前記バー材の端部の開口に嵌合する嵌合部と、
前記ベース部の前記嵌合部が形成される面に設けられ、前記嵌合部が前記バー材の端部の開口に嵌合された状態において、前記スリット状の開口の少なくとも一部を閉鎖するように前記ベース部の面外方向に突出する閉鎖部と
を備える引掛防止具。
【請求項11】
前記スクリーンと、前記バー材と、請求項1~請求項10のいずれか一項に記載の前記引掛防止具とを備える遮蔽装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、バー材を昇降する遮蔽装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、遮蔽装置としてのロールスクリーンに備えられるバー材として、一方向に延在する筒状に形成され、延在方向に沿ったスリット状の開口が形成されるウエイトバーが知られている(例えば、特許文献1参照)。この種のウエイトバーは、遮蔽材としてのスクリーンの下端に取り付けられた板状部材をウエイトバー内部に収容することによってスクリーンと連結される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平5-3586号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ウエイトバーに形成された開口の幅が狭い場合、スクリーンとウエイトバーの連結作業が煩雑となり、また、そのようなウエイトバーを製造するには大きなコストが掛かる。そのような事情から、ウエイトバーの開口は、スクリーンの厚みよりも大きな幅に形成される。
【0005】
また、ウエイトバーとスクリーンとを備える遮蔽装置は、窓面などの建物の開口部に対して室内側に設置される。一般的に、窓面は室内側に突出する突出物としての窓枠によって囲われており、遮蔽装置は、窓面全体を遮蔽するようにスクリーンの長さが調整される。よって、スクリーンが窓面前面を遮蔽するように最下端まで下降されたウエイトバーは、窓枠の下枠よりも下方に位置付けられることとなる。
【0006】
遮蔽装置は、ウエイトバーが窓枠よりも前方側に位置するように設置されるが、室内の気流や、室外と室内との気圧差などによって、スクリーンが窓枠に対して押し付けられることがある。この際、ウエイトバーが窓枠の前端部よりも後方側、即ち窓枠が設けられる壁側に位置付けられる。この状態でウエイトバーが上昇されると、ウエイトバーが窓枠の下枠に引っ掛かってしまう、という課題があった。
【0007】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、バー材が突出物に引っ掛かることを防止することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するため、本発明の一態様は、左右方向に延びるスリット状の開口が形成され、該開口から挿入されたスクリーンの下端が連結され、昇降可能に設けられるバー材に取り付けられる引掛防止具であって、前記開口の少なくとも一部を閉鎖し、前記バー材が上昇された場合、前記スリットの後方に位置するとともに前方側に突出する突出物の一部が前記開口に挿入されることを防止する閉鎖部を備える。
【0009】
また、本発明の一態様は、左右方向に延びるスリット状の開口が形成され、該開口から挿入されたスクリーンの下端が連結され、昇降可能に設けられるバー材に取り付けられる引掛防止具であって、前記バー材から後方に突出し、前記開口の後方側の縁部を前記スリットの後方に位置するとともに前方側に突出する突出物の前端部よりも前方に位置付けるように、前記突出物が設けられる壁と当接する後方突出部を備える。
【0010】
また、本発明の一態様は、左右方向に延びるスリット状の開口が形成され、該開口から挿入されたスクリーンの下端が連結され、昇降可能に設けられるバー材に取り付けられる引掛防止具であって、前記スクリーンの背面側に設けられ、前記バー材が上昇されて、前記スリットの後方に位置するとともに前方側に突出する突出物の下面に当接された場合に前記バー材を揺動させるように前記バー材から上方に突出する上方突出部を備える。
【0011】
また、本発明の一態様は、左右方向に延びるスリット状の開口が形成され、該開口から挿入されたスクリーンの下端が連結され、昇降可能に設けられるバー材に取り付けられる引掛防止具であって、弾性部材により膜状に形成され、前記開口を介して前記バー材の外部と連通する前記バー材に画成された内部空間内に一端部が連結されるとともに、他端部が前記スクリーンの後方において前記開口から前記バー材の外部に突出する。
【0012】
また、本発明の一態様は、左右方向に延びるスリット状の開口が形成され、該開口から挿入されたスクリーンの下端が連結され、昇降可能に設けられるバー材が、前記スクリーンの後方に設けられて前方に突出する突出物に引っ掛かることを防止する引掛防止具であって、前記突出物の下面に固定される固定部と、後方から前方に向かって漸次上方に傾斜し、前記バー材が上昇された場合、該バー材と当接して該バー材を前方に案内する案内傾斜部とを備える。
【0013】
また、本発明の一態様は、端部が開口された左右方向に延在する筒状に形成され、左右方向に延びるスリット状の開口が形成され、該開口から挿入されたスクリーンの下端が連結され、昇降可能に設けられるバー材に取り付けられる引掛防止具であって、前記バー材の端部の開口を閉塞可能な板状に形成されるベース部と、前記ベース部の一面から面外方向に突出し、前記バー材の端部の開口に嵌合する嵌合部と、前記ベース部の前記嵌合部が形成される面に設けられ、前記嵌合部が前記バー材の端部の開口に嵌合された状態において、前記スリット状の開口の少なくとも一部を閉鎖するように前記ベース部の面外方向に突出する閉鎖部とを備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、バー材が突出物に引っ掛かることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1実施形態に係る遮蔽装置の構成を示す正面図である。
図2】第1実施形態に係る遮蔽装置の構成を示す概略側断面図である。
図3】第1実施形態に係るウエイトバーの構成を示す斜視図である。
図4】第1実施形態に係る引掛防止具の構成を示す斜視図である。
図5A】引掛防止具のウエイトバーへの取付工程を示す側面図である。
図5B】引掛防止具のウエイトバーへの取付工程を示す側面図である。
図5C】ウエイトバーに取り付けられた引掛防止具を示す側面図である。
図6A】スクリーンが窓枠に近接した状態を示す側面図である。
図6B】引掛防止具が窓枠に接触した状態を示す側面図である。
図6C】ウエイトバーが回転される状態を示す側面図である。
図7】2mmの間隙を有して引掛防止具が取り付けられたウエイトバーを示す要部拡大図である。
図8】3mmの間隙を有して引掛防止具が取り付けられたウエイトバーを示す要部拡大図である。
図9】窓枠に引っ掛かるウエイトバーを示す側面図である。
図10】第2実施形態に係る引掛防止具を示す側面図である。
図11】第3実施形態に係る引掛防止具を示す側面図である。
図12A】窓枠と接触して摺動する引掛防止具を示す側面図である。
図12B】窓枠に先端が接触する引掛防止具を示す側面図である。
図12C】ウエイトバーが回転される状態を示す側面図である。
図13】第4実施形態に係る引掛防止具を示す側面図である。
図14】第5実施形態に係る引掛防止具を示す側面図である。
図15】窓枠と接触する引掛防止具を示す側面図である。
図16】第6実施形態に係る引掛防止具を示す側面図である。
図17】第7実施形態に係る引掛防止具を示す斜視図である。
図18】第7実施形態に係る引掛防止具を示す側断面図である。
図19】第8実施形態に係るウエイトバーの構成を示す斜視図である。
図20】第8実施形態に係る引掛防止具の構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る実施形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態においては、遮蔽材として昇降可能なスクリーンを備えるロールスクリーンに本発明を適用した遮蔽装置を例にとり説明を行う。なお、本実施形態においては、遮蔽装置が設けられた際の室内側の面を正面、室外側の面を背面、正面と背面とからなる方向を前後方向、遮蔽装置の長手方向を左右方向と称して以後説明を行う。また、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0017】
<第1実施形態>
(全体構成)
第1実施形態に係る遮蔽装置の全体構成について説明する。図1図2は、それぞれ、本実施形態に係る遮蔽装置の構成を示す正面図、概略側断面図である。なお、図2には、上下方向及び前後方向に延在する平面により切断された遮蔽装置と建物の壁とが示される。
【0018】
図1図2に示すように、本実施形態に係る遮蔽装置1は、窓WDにより閉鎖された建物の壁WLに形成された開口部に対して設置される電動ロールスクリーンとして構成される。建物の開口部には方形状の枠体として構成された窓枠FRが設けられる。遮蔽装置1は、セットフレーム20と、2つのサイドブラケット21と、2つの取付用ブラケット24と、スクリーン3と、巻き取りパイプ4と、ウエイトバー6と、2つの引掛防止具7と、モータ51と、コントロールユニット52とを備える。
【0019】
セットフレーム20は、左右方向に長尺に形成され、2つのサイドブラケット21を介して巻き取りパイプ4を支持するとともに、2つの取付用ブラケット24によって壁WLにおける窓枠FRの上枠の上方に固定される。2つのサイドブラケット21は、それぞれ、セットフレーム20の長尺方向における両端部のそれぞれに設けられる。
【0020】
巻き取りパイプ4は、長尺な円筒状に形成され、長尺方向における両端部には2つの軸受け41が設けられる。巻き取りパイプ4は、2つの軸受け41を介して、その回転軸が左右方向を向くように2つのサイドブラケット21により回転可能に支持される。
【0021】
スクリーン3は、長尺な方形状に形成された薄膜状部材であり、長尺方向における一端部が略全域に亘って巻き取りパイプ4に連結され、長尺方向における他端部が略全域に亘ってウエイトバー6に連結される。ウエイトバー6は、スクリーン3の幅以上に長尺に形成された部材であり、スクリーン3の端部に連結されることによって、スクリーン3に張力を与える。ウエイトバー6には、後に詳述する2つの引掛防止具7が左右方向に異なる位置に取り付けられる。
【0022】
モータ51は、巻き取りパイプ4内に設けられ、巻き取りパイプ4を順方向、または逆方向に回転駆動する。コントロールユニット52は、モータ51と通信可能に接続され、リモートコントローラRCにより送信された指示信号に従ってモータ51を制御する。モータ51により巻き取りパイプ4が順方向に回転されるとスクリーン3が巻き取りパイプ4に巻き取られ、建物の開口部が開放される。モータ51により巻き取りパイプ4が逆方向に回転されるとスクリーン3が巻き取りパイプ4から巻き解かれ、建物の開口部が閉鎖される。
【0023】
(引掛防止具の構成)
第1実施形態に掛かる引掛防止具の構成について説明する。図3図4は、それぞれ、本実施形態に係るウエイトバー、引掛防止具の構成を示す斜視図である。図5A図5Bは、それぞれ、引掛防止具のウエイトバーへの取付工程を示す側面図である。図5Cは、ウエイトバーに取り付けられた引掛防止具を示す側面図である。なお、図5A図5Cにおいては、スクリーン及びウエイトバーが、前後方向及び上下方向に延在する平面により切断された断面により示される。
【0024】
引掛防止具7の説明に先立って、引掛防止具7を取り付ける対象であるウエイトバー6の詳細な構成について説明する。図3に示すように、ウエイトバー6は、内部空間を画成する略円筒状に形成され、内部空間は、上下に区分された2つ収容室を有する。ウエイトバー6の上方側には上方の収容室と外部とを連通する上方開口61が形成され、ウエイトバー6の下方側には下方の収容室と外部とを連通する下方開口62が形成される。上方開口61、下方開口62は、いずれもスクリーン3の幅以上に長尺に形成され、本実施形態においては、ウエイトバー6の長手方向全域に亘って形成されるスリットとして形成される。なお、ウエイトバー6の左右方向両端部は、不図示のウエイトバーキャップにより閉塞される。
【0025】
図5A図5Cに示すように、スクリーン3の下端には、スクリーン3の幅と略同等の長さを有する板状部材である取付プレート31が固定される。スクリーン3は、取付プレート31がウエイトバー6の上方の収容室内に挿入されることよってウエイトバー6と連結される。スクリーン3は、その下端部が取付プレート31の一面にステープルなどにより固着される。取付プレート31は、固着面が下方を向き、前方縁部でスクリーン3が折り返され、且つ、前方縁部が上方開口61の前方側縁部より前方側に位置づけられるようにウエイトバー6の上方の収容室内に配される。これによって、スクリーン3は、前面側が上方開口61の前方側縁部に接するようにウエイトバー6と連結される。
【0026】
なお、下方の収容室は上方の収容室とは大きさが異なっており、また、下方開口62は上方開口61よりも前後方向幅が大きくなっている。これによって、より厚みが大きいスクリーン3や、使用者がスクリーン3を下降させるために牽引するプルコードなどをウエイトバー6に連結することができる。
【0027】
引掛防止具7は、図4に示すように、全体として、上方開口61と下方開口62を境界としてウエイトバー6を前後方向に区分したウエイトバー6の後方側の外郭形状に沿った形状に形成される。本実施形態においては、引掛防止具7は、ウエイトバー6よりも小さい幅を有する略円弧状に延在する。引掛防止具7は、閉鎖部70と、第1係止部71と、第2係止部72とを備える。閉鎖部70及び第1係止部71は、引掛防止具7の一端に設けられる。第2係止部72は、引掛防止具7の他端に設けられる。
【0028】
図5A図5Cに示すように、第1係止部71は、上方開口61に挿入されることによって引掛防止具7をウエイトバー6に係止するように第2係止部72が設けられる引掛防止具7の他端側に突出する。第2係止部72は、下方開口62に挿入されることによって引掛防止具7をウエイトバー6に係止するように、引掛防止具7の一端側に突出する。閉鎖部70は、引掛防止具7がウエイトバー6に係止された状態において、上方開口61を後方側から閉鎖する。
【0029】
引掛防止具7は、可撓性を有する部材から構成され、作業者は、引掛防止具7を変形させながらウエイトバー6に取り付ける。まず、作業者は、図5Aに示すように、第1係止部71を上方開口61に挿入する。次に、作業者が、図5Bに示すように、引掛防止具7を変形させつつ第2係止部72を下方開口62に近接させ、図5Cに示すように、第2係止部72を下方開口62に挿入することによって、ウエイトバー6への引掛防止具7の取り付けが完了する。
【0030】
引掛防止具7は、ウエイトバー6に取り付けられた状態において、閉鎖部70の前端と上方開口61の前方側縁部との間にはスクリーン3の厚み以上の間隙が生じるように形成される。この間隙の大きさについては後に詳述する。また、引掛防止具7がウエイトバー6に取り付けられた状態において、閉鎖部70は、前方側が後方側よりも低くなるように傾斜される。この傾斜によれば、スクリーン3に前後方向に凹凸が生じるような撓みが生じた場合であっても、引掛防止具7がスクリーン3を後方から押圧することが防止され、遮蔽装置1を前方から見た際の美観を損なうことがない。
【0031】
(引掛防止具の効果)
引掛防止具の効果について説明する。図6A図6B図6Cは、それぞれ、スクリーンが窓枠に近接した状態、引掛防止具が窓枠に接触した状態、ウエイトバーが回転される状態を示す側面図である。図7図8は、それぞれ、2mm,3mmの間隙を有して引掛防止具が取り付けられたウエイトバーを示す要部拡大図である。図9は、窓枠に引っ掛かるウエイトバーを示す側面図である。
【0032】
遮蔽装置1は、図2の2点鎖線に示されるように、建物内の気圧や気流の影響によってスクリーン3が室外側に押圧されると、図6Aに示すように、窓枠FRの下枠に接触する状態となる。このような状態において、スクリーン3が巻き取りパイプ4に巻き取られてウエイトバー6が上昇されると、図6Bに示すように、ウエイトバー6の頂部、具体的には、スクリーン3が導出される上方開口61部分が下枠の下方の角部近傍に近接する。
【0033】
ウエイトバー6が更に上昇されると、図6Cに示すように、下枠の角部近傍が上方開口61を閉鎖する引掛防止具7の閉鎖部70に当接し、この当接部分を支点としてウエイトバー6が揺動される。これによって、ウエイトバー6が下枠の角部近傍に引っ掛かることが防止され、ウエイトバー6は窓枠FRの下枠を乗り越えて更に上昇する。
【0034】
なお、図5C図6A図6Cに示すウエイトバー6に引掛防止具7を取り付けた遮蔽装置1において、スクリーン3の厚さを0.5mmとし、閉鎖部70の前端と上方開口61の前方側縁部との距離を1.5mmとする。上述したように、スクリーン3の前面は上方開口61の前方側縁部と接しているため、スクリーン3の背面と閉鎖部70の前端との間に生じる間隙は1mm程度となる。
【0035】
引掛防止具7は、図7に示すように、スクリーン3の背面と閉鎖部70の前端との間に生じる間隙を2mm以下とするように構成されることが望ましい。図8に示すように、間隙が3mm程度となるように引掛防止具7が構成され、窓枠FRの下枠の角が直角をなしている場合、図9に示すように、窓枠FRの角が間隙に引っ掛かり、ウエイトバー6の上昇が妨げられる。窓枠FRの下枠の角が直角より鈍角である場合、または角が大きく丸められている場合には、間隙が2mmより大きくなるように引掛防止具7が構成されてもウエイトバー6が窓枠FRに引っ掛かることを防止することができるが、一般的に、窓枠FRの角は直角であり、角Rの半径はさほど大きくない。
【0036】
<第2実施形態>
第2実施形態に係る引掛防止具について説明する。図10は、本実施形態に係る引掛防止具を示す側面図である。なお、図10においては、スクリーン及びウエイトバーが、前後方向及び上下方向に延在する平面により切断された断面により示される。
【0037】
図10に示すように、本実施形態に係る引掛防止具7Aは、閉鎖部70に代えて後方突出部73を備える点において第1実施形態に係る引掛防止具7とは異なる。後方突出部73は、第1係止部71と第2係止部72との間において後方側に突出するように形成される。本実施形態においては、円筒状のウエイトバー6の外郭形状に合わせて円弧状に形成された引掛防止具7Aの延在方向の略中央部分の厚みを大きくすることによって後方突出部73が形成される。
【0038】
後方突出部73の厚み、即ち突出距離は、後方突出部73において最も突出する部分が壁WLに接する状態において、窓枠FRの下枠の下方の角の位置が、ウエイトバー6の上方開口61の後方側縁部よりも後方側に位置付けられる大きさとすることが望ましい。このような引掛防止具7Aによれば、ウエイトバー6が窓枠FRの下枠の下方に位置する際、上方開口61が窓枠FRの下枠の下方の角よりも前方に位置することとなるため、ウエイトバー6が窓枠FRに引っ掛かることが防止される。
【0039】
なお、引掛防止具7Aは、第1係止部71、第2係止部72が省略されて構成されても良い。この場合、後方突出部73が形成される部分のみによって構成され、例えば、両面テープによってウエイトバー6の後方側に貼着される。
【0040】
<第3実施形態>
第3実施形態に係る引掛防止具について説明する。図11は、本実施形態に係る引掛防止具を示す側面図である。図12Aは、窓枠と接触して摺動する引掛防止具を示す側面図である。図12Bは、窓枠に先端が接触する引掛防止具を示す側面図である。図12Cは、ウエイトバーが回転される状態を示す側面図である。なお、図11図12A図12Cにおいては、スクリーン及びウエイトバーが、前後方向及び上下方向に延在する平面により切断された断面により示される。
【0041】
図11に示すように、本実施形態に係る引掛防止具7Bは、閉鎖部70に代えて上方突出部74を備える点において第1実施形態に係る引掛防止具7とは異なる。上方突出部74は、第1係止部71が設けられる引掛防止具7Bの一端部において上方側に突出するように形成される。引掛防止具7Bがウエイトバー6に取り付けられた状態において、上方突出部74の先端は、上方開口61の後方側縁部よりも前方に位置付けられる。また、上方突出部74の後方側には、上方突出部74の先端から後方側に下方に傾斜する傾斜部741が形成される。
【0042】
スクリーン3が窓枠FRから離間した状態、より具体的には、上方突出部74の先端が窓枠FRよりも前方に位置する状態においてウエイトバー6が上昇されると、図12Aに示すように、窓枠FRの下枠の下方の角が傾斜部741に当接して、ウエイトバー6が前方に案内されながら上昇される。よって、ウエイトバー6が窓枠FRに引っ掛かることが防止される。
【0043】
図12Bに示すように、スクリーン3が窓枠FRに接した状態、より具体的には、上方突出部74の先端が窓枠FRの下枠の下方の角よりも後方に位置する状態においてウエイトバー6が上昇されると、図12Bに示すように、上方突出部74の先端が下枠の下面に当接する。更にウエイトバー6が上昇されると、図12Cに示すように、上方突出部74の先端を支点としてウエイトバー6が揺動される。よって、ウエイトバー6が窓枠FRに引っ掛かることが防止される。
【0044】
<第4実施形態>
第4実施形態に係る引掛防止具について説明する。図13は、本実施形態に係る引掛防止具を示す側面図である。なお、図13においては、スクリーン及びウエイトバーが前後方向及び上下方向に延在する平面により切断された断面により示される。
【0045】
図13に示すように、本実施形態に係る引掛防止具8Aは、弾性部材が全体として長尺の円筒状に形成されており、例えば、ゴムチューブなどにより構成される。引掛防止具8Aは、その直径が上方開口61の前後方向幅と略同一となるように形成され、また、その長手方向距離がウエイトバー6の長手方向距離と略同一となるように形成される。引掛防止具8Aは、その長手方向がウエイトバー6の長手方向を向くように上方開口61に挿入されて上方開口61を閉塞し、ウエイトバー6が窓枠FRに引っ掛かることを防止する。
【0046】
<第5実施形態>
第5実施形態に係る引掛防止具について説明する。図14は、本実施形態に係る引掛防止具を示す側面図である。図15は、窓枠と接触する引掛防止具を示す側面図である。なお、図14図15においては、スクリーン及びウエイトバーが、前後方向及び上下方向に延在する平面により切断された断面により示される。
【0047】
図14に示すように、本実施形態に係る引掛防止具8Bは、略方形状に形成された厚みのある膜状の弾性部材であり、取付プレート31に設けられる。引掛防止具8Bは、スクリーン3の下端が固着される取付プレート31の一面に対して、その一端部がスクリーン3と取付プレート31とに挟まれるように固着される。ここで、引掛防止具8Bは、例えばステープルなどによってスクリーン3とともに取付プレート31に固着されることが望ましい。引掛防止具8Bの一端が取付プレート31に固着された状態において、引掛防止具8Bの他端部は、スクリーン3よりも後方側に位置してウエイトバー6の上方の収容室から上方開口61を介して外部に突出する。この際、突出部分が鉛直方向に対して後方に傾斜する。
【0048】
このような引掛防止具8Bによれば、ウエイトバー6が上昇されると、図15に示すように、引掛防止具8Bの突出部分が屈曲しながら窓枠FRの下枠の下面に当接し、この当接部分を支点として引掛防止具8Bの復元力によってウエイトバー6が揺動される。これによって、ウエイトバー6が下枠の角部近傍に引っ掛かることが防止され、ウエイトバー6は窓枠FRの下枠を乗り越えて更に上昇する。
【0049】
<第6実施形態>
第6実施形態に係る引掛防止具について説明する。図16は、本実施形態に係る引掛防止具を示す側面図である。なお、図16においては、スクリーン及びウエイトバーが前後方向及び上下方向に延在する平面により切断された断面により示される。
【0050】
図16に示すように、本実施形態に係る引掛防止具8Cは、底面が直角二等辺三角形を成して一方向に延在する三角柱状に形成された部材であり、その延在方向が窓枠FRの下枠の延在方向を向くように下枠の下面に取り付けられる。なお、遮蔽装置1は、その長手方向が窓枠FRの上枠及び下枠と一致するように設置されるため、引掛防止具8Cは、その延在方向がウエイトバー6の長手方向、即ち左右方向を向く。
【0051】
引掛防止具8Cは、案内傾斜部81と固着部82とを有する。案内傾斜部81は、直角二等辺三角形の斜辺を成す三角柱としての側面である。固着部82は、直角二等辺三角形の1つの等辺を成す三角柱としての側面である。引掛防止具8Cは、案内傾斜部81が前方を向き、案内傾斜部81の前端部、即ち斜辺と等辺とが成す頂点が下枠の角に略一致するように下枠の下面に取り付けられる。この際、案内傾斜部81以外の2つの側面のうち、上方を向く側面が固着部82であり、固着部82は、例えば、両面テープによって下枠の下面に貼着される。なお、引掛防止具8Cは、下枠に設置するための固着部82と、下枠に設置された際に前方に向かって漸次上昇する傾斜面を成す案内傾斜部81を有するものであれば良い。
【0052】
このような引掛防止具8Cによれば、ウエイトバー6が上昇されると案内傾斜部81により漸次前方側へ案内され、ウエイトバー6が下枠の角部近傍に引っ掛かることが防止される。
【0053】
<第7実施形態>
第7実施形態に係る引掛防止具について説明する。図17図18は、本実施形態に係る引掛防止具を示す斜視図、側断面図である。なお、図18には、閉鎖部のみが存在する左右方向位置において、上下方向及び前後方向に延在する平面により切断された遮蔽装置と建物の壁とが示される。
【0054】
図17図18に示すように、本実施形態に係る引掛防止具8Dは、開口されたウエイトバー6の両端を閉塞するウエイトバーキャップとして構成され、ベース部85と、嵌合部86と、閉鎖部87とを備える。なお、ウエイトバー6にはその両端部に対して、2つの引掛防止具8Dが取り付けられるが、2つの引掛防止具8Dは左右対称に形成されるため、図17図18には、ウエイトバー6の右側端部に取り付けられる1つの引掛防止具8Dが代表して示される。
【0055】
ベース部85は、略円盤状に形成され、ウエイトバー6の端部に形成された開口を閉鎖する。嵌合部86、閉鎖部87は、いずれもベース部85の一面側に設けられ、面外方向に突出する。嵌合部86は、ウエイトバー6の下方の収容室に嵌合するように形成される。嵌合部86が下方の収容室に挿入されて嵌合されることによって、ベース部85がウエイトバー6の端部開口を閉鎖するように引掛防止具8Dがウエイトバー6に取り付けられる。
【0056】
閉鎖部87は、ウエイトバー6に取り付けられた状態において、左右方向に延在するように形成される。本実施形態において、閉鎖部87は、嵌合部86よりも左右方向内方側に突出する長さに形成される。閉鎖部87は、第1実施形態に係る引掛防止具7の閉鎖部70と同様に、引掛防止具8Dがウエイトバー6に取り付けられた状態において、閉鎖部87の前端と上方開口61の前方側縁部との間にスクリーン3の厚み以上の間隙が生じるように形成される。
【0057】
このような引掛防止具8Dによれば、ウエイトバー6の開口を閉鎖しつつ、ウエイトバー6が下枠の角部近傍に引っ掛かることが防止される。
【0058】
上述した実施形態において、引掛防止具7,7A,7B,8A,8B,8C,8Dを電動のロールスクリーンに適用するものとしたが、スクリーンの下端をウエイトバーに接続する全ての遮蔽装置に適用することができる。また、上述した実施形態において、ウエイトバー6が引っ掛かる対象を窓枠FRの下枠として説明したが、引掛防止具7,7A,7B,8A,8B,8C,8Dは、遮蔽装置1の接地面から突出する全ての突出物に対する引っ掛かりを防止するために用いることができる。
【0059】
<第8実施形態>
第8実施形態に係る引掛防止具について説明する。図19図20は、それぞれ、本実施形態に係るウエイトバー、引掛防止具の構成を示す斜視図である。
【0060】
図20に示すように、本実施形態に係る引掛防止具7Dは、第1係止部71Dの左右方向の幅が第2係止部72Dの左右方向の幅よりも大きく形成される点において第1実施形態に係る引掛防止具7とは異なる。引掛防止具7Dは、図19及び図20に示すように、第1実施形態と同様に、全体として、上方開口61と下方開口62を境界としてウエイトバー6を前後方向に区分したウエイトバー6の後方側の外郭形状に沿った形状に形成される。引掛防止具7Dは、閉鎖部70Dと、第1係止部71Dと、第2係止部72Dとを備える。閉鎖部70Dの左右方向の幅は、第1係止部71Dの左右方向の幅と一致するとともに第1実施形態に係る引掛防止具7の閉鎖部70よりも大きく形成されているため、より広い範囲で上方開口61を閉鎖できる。一方で、第2係止部72Dの左右方向の幅は、第1実施形態に係る引掛防止具7の第2係止部72と同等とすることができる。
【0061】
このような引掛防止具7Dによれば、第2係止部72Dの幅が第1係止部71Dの幅よりも小さく形成されるため、第2係止部72Dを下方開口62に係止させる作業をより煩雑にすることなく、閉鎖部70Dが上方開口61を閉鎖する範囲を大きくすることができる。
【0062】
本発明は、その要旨または主要な特徴から逸脱することなく、他の様々な形で実施することができる。そのため、前述の各実施形態は、あらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、何ら拘束されない。更に、特許請求の範囲の均等範囲に属する全ての変形、様々な改良、代替および改質は、全て本発明の範囲内のものである。
【符号の説明】
【0063】
1 遮蔽装置
3 スクリーン
6 ウエイトバー(バー材)
7,7A,7B,8A,8B,8C,8D 引掛防止具
70,87 閉鎖部
71 第1係止部
73 後方突出部
74 上方突出部
81 案内傾斜部
82 固着部(固定部)
741 傾斜部
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図12C
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20