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特開2024-10578画像形成装置用樹脂ベルト、定着ベルト、定着装置及び画像形成装置
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  • 特開-画像形成装置用樹脂ベルト、定着ベルト、定着装置及び画像形成装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024010578
(43)【公開日】2024-01-24
(54)【発明の名称】画像形成装置用樹脂ベルト、定着ベルト、定着装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/20 20060101AFI20240117BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20240117BHJP
【FI】
G03G15/20 515
G03G15/00 552
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022111997
(22)【出願日】2022-07-12
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 智丈
(72)【発明者】
【氏名】吉川 亮平
(72)【発明者】
【氏名】梶原 賢志
(72)【発明者】
【氏名】衣田 康彦
(72)【発明者】
【氏名】小室 仁
【テーマコード(参考)】
2H033
2H171
【Fターム(参考)】
2H033AA23
2H033BA11
2H033BA12
2H033BA25
2H033BB03
2H033BB05
2H033BB06
2H033BB13
2H033BB14
2H033BB15
2H033BB17
2H033BB26
2H033BB29
2H033BB30
2H033BB31
2H033BB37
2H171FA07
2H171FA19
2H171FA26
2H171FA27
2H171FA30
2H171GA25
2H171JA12
2H171PA05
2H171PA08
2H171QA04
2H171QA08
2H171QA24
2H171QC37
2H171QC40
2H171TA14
2H171UA03
2H171UA07
2H171UA10
2H171UA20
2H171VA02
2H171VA04
2H171VA06
2H171XA03
(57)【要約】
【課題】画像形成装置用樹脂ベルトを駆動した場合における画像形成装置用樹脂ベルトの内周面と接する部材の摩耗を抑制する画像形成装置用樹脂ベルトの提供。
【解決手段】フィラーを含む樹脂基材層を有し、前記樹脂基材層の内周面側のフィラー露出面積が0.1%以下である画像形成装置用樹脂ベルト。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィラーを含む樹脂基材層を有し、
前記樹脂基材層の内周面側のフィラー露出面積が0.1%以下である画像形成装置用樹脂ベルト。
【請求項2】
前記樹脂基材層が、
前記フィラーの含有量が、3質量%以上30質量%以下である第1の樹脂層と、
前記フィラーの含有量が、0質量%以上0.1質量%以下である第2の樹脂層と、を有する請求項1に記載の画像形成装置用樹脂ベルト。
【請求項3】
前記第2の樹脂層が前記フィラーを含まない請求項2に記載の画像形成装置用樹脂ベルト。
【請求項4】
前記第2の樹脂層の厚さが、前記樹脂基材層の厚さに対して、10%以下である請求項2又は請求項3に記載の画像形成装置用樹脂ベルト。
【請求項5】
前記フィラーのアスペクト比が3以上である請求項1に記載の画像形成装置用樹脂ベルト。
【請求項6】
前記アスペクト比が3以上のフィラーがカーボンナノチューブである請求項5に記載の画像形成装置用樹脂ベルト。
【請求項7】
樹脂ベルトの熱伝導率が0.8W/mK以上である請求項1に記載の画像形成装置用樹脂ベルト。
【請求項8】
前記樹脂基材層の内周面側の表面粗さRaが0.2μm以上1.5μm以下である請求項1に記載の画像形成装置用樹脂ベルト。
【請求項9】
フィラーを含む樹脂基材層を有し、
前記樹脂基材層が、
前記フィラーの含有量が、3質量%以上30質量%以下である第1の樹脂層と、
前記フィラーの含有量が、0質量%以上0.1質量%以下である第2の樹脂層と、
を有する、画像形成装置用樹脂ベルト。
【請求項10】
請求項1に記載の画像形成装置用樹脂ベルトと、前記ベルト上に順次設けられた弾性層及び表面層と、を有する定着ベルト。
【請求項11】
第1回転体と、前記第1回転体の外面に接触して配置される第2回転体と、を備え、
前記第1回転体及び前記第2回転体の少なくとも一方が請求項10に記載の定着ベルトであり、
トナー像が表面に形成された記録媒体を前記第1回転体と前記第2回転体との接触部に挿通して前記トナー像を定着する定着装置。
【請求項12】
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記像保持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
トナーを含む現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
前記トナー像を前記記録媒体に定着する、請求項11に記載の定着装置から構成される定着手段と、
を備える画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置用樹脂ベルト、定着ベルト、定着装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、「少なくとも、金属からなる円筒状基材と、前記円筒状基材の内周面側に形成され耐熱性樹脂からなる第一被膜と、前記第一被膜上のさらに内周面側に形成される耐熱性樹脂からなる第二被膜を有し、前記第二被膜は、前記第二被膜の内側に当接するバックアップ部材と摺動する摺動面を有し、前記第二被膜上の内面側の表面粗さが前記第一被膜のみで形成された場合の内面側の表面粗さよりも小さく、かつ少なくとも前記第一被膜にはフィラーが配合されていることを特徴とする定着ベルト。」が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-063868号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の第一実施形態が解決しようとする課題は、フィラーを含む樹脂基材層を有する画像形成装置用樹脂ベルトにおいて、前記樹脂基材層の内周面側のフィラー露出面積が0.1%を超える場合と比較して、画像形成装置用樹脂ベルトを駆動した場合における画像形成装置用樹脂ベルトの内周面と接する部材の摩耗を抑制する画像形成装置用樹脂ベルトを提供することである。
また、本発明の第二実施形態が解決しようとする課題は、フィラーの含有量が異なる2つの樹脂層を有するフィラーを含む樹脂基材層を含む画像形成装置用樹脂ベルトにおいて、フィラーの含有量が少ない樹脂層のフィラーの含有量が、当該樹脂層全体に対して、0.1質量%以上である場合と比較して画像形成装置用樹脂ベルトを駆動した場合における画像形成装置用樹脂ベルトの内周面と接する部材の摩耗を抑制する画像形成装置用樹脂ベルトを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための手段には、以下の手段が含まれる。
<1> フィラーを含む樹脂基材層を有し、
前記樹脂基材層の内周面側のフィラー露出面積が0.1%以下である画像形成装置用樹脂ベルト。
<2> 前記樹脂基材層が、
前記フィラーの含有量が、3質量%以上30質量%以下である第1の樹脂層と、
前記フィラーの含有量が、0質量%以上0.1質量%以下である第2の樹脂層と、を有する<1>に記載の画像形成装置用樹脂ベルト。
<3> 前記第2の樹脂層が前記フィラーを含まない<2>に記載の画像形成装置用樹脂ベルト。
<4> 前記第2の樹脂層の厚さが、前記樹脂基材層の厚さに対して、10%以下である<2>又は<3>に記載の画像形成装置用樹脂ベルト。
<5> 前記フィラーのアスペクト比が3以上である<1>~<4>のいずれか1つに記載の画像形成装置用樹脂ベルト。
<6> 前記アスペクト比が3以上のフィラーがカーボンナノチューブである<5>に記載の画像形成装置用樹脂ベルト。
<7> 樹脂ベルトの熱伝導率が0.8W/mK以上である<1>~<6>のいずれか1つに記載の画像形成装置用樹脂ベルト。
<8> 前記樹脂基材層の内周面側の表面粗さRaが0.2μm以上1.5μm以下である<1>~<7>のいずれか1つに記載の画像形成装置用樹脂ベルト。
<9> フィラーを含む樹脂基材層を有し、
前記樹脂基材層が、
前記フィラーの含有量が、3質量%以上30質量%以下である第1の樹脂層と、
前記フィラーの含有量が、0質量%以上0.1質量%以下である第2の樹脂層と、
を有する、画像形成装置用樹脂ベルト。
<10> <1>に記載の画像形成装置用樹脂ベルトと、前記ベルト上に順次設けられた弾性層及び表面層と、を有する定着ベルト。
<11> 第1回転体と、前記第1回転体の外面に接触して配置される第2回転体と、を備え、
前記第1回転体及び前記第2回転体の少なくとも一方が<10>に記載の定着ベルトであり、
トナー像が表面に形成された記録媒体を前記第1回転体と前記第2回転体との接触部に挿通して前記トナー像を定着する定着装置。
<12> 像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記像保持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
トナーを含む現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
前記トナー像を前記記録媒体に定着する、<11>に記載の定着装置から構成される定着手段と、
を備える画像形成装置。
【発明の効果】
【0006】
<1>に係る発明によれば、フィラーを含む樹脂基材層を有する画像形成装置用樹脂ベルトにおいて、前記樹脂基材層の内周面側のフィラー露出面積が0.1%を超える場合と比較して、画像形成装置用樹脂ベルトを駆動した場合における画像形成装置用樹脂ベルトの内周面と接する部材の摩耗を抑制する画像形成装置用樹脂ベルトが提供される。
<2>に係る発明によれば、前記樹脂基材層が、前記フィラーの含有量が、3質量%以上30質量%以下である第1の樹脂層と、前記フィラーの含有量が、0.1質量%を超える第2の樹脂層と、を有する場合と比較して、画像形成装置用樹脂ベルトを駆動した場合における画像形成装置用樹脂ベルトの内周面と接する部材の摩耗を抑制する画像形成装置用樹脂ベルトが提供される。
<3>に係る発明によれば、前記第2の樹脂層が前記フィラーを含む場合と比較して、画像形成装置用樹脂ベルトを駆動した場合における画像形成装置用樹脂ベルトの内周面と接する部材の摩耗を抑制する画像形成装置用樹脂ベルトが提供される。
<4>に係る発明によれば、前記第2の樹脂層の厚さが、前記樹脂基材層の厚さに対して、10%を超える場合と比較して、画像形成装置用樹脂ベルトの熱伝導率が高く、定着性に優れる画像形成装置用樹脂ベルトが提供される。
<5>に係る発明によれば、前記フィラーのアスペクト比が3未満である場合と比較して、画像形成装置用樹脂ベルトの熱伝導率が高く、定着性に優れる画像形成装置用樹脂ベルトが提供される。
【0007】
<6>に係る発明によれば、前記アスペクト比が3以上のフィラーが窒化ホウ素である場合と比較して、画像形成装置用樹脂ベルトを駆動した場合における画像形成装置用樹脂ベルトの内周面と接する部材の摩耗を抑制する画像形成装置用樹脂ベルトが提供される。
<7>に係る発明によれば、樹脂ベルトの熱伝導率が0.8W/mK未満の樹脂ベルトと比較して熱伝導率が高く、定着性に優れる画像形成装置用樹脂ベルトが提供される。
<8>に係る発明によれば、前記樹脂基材層の内周面側の表面粗さRaが0.2μm未満又は1.5μmを超える場合と比較して、画像形成装置用樹脂ベルトを駆動した場合における画像形成装置用樹脂ベルトの内周面と接する部材の摩耗を抑制する画像形成装置用樹脂ベルトが提供される。
<9>に係る発明によれば、フィラーの含有量が異なる2つの樹脂層を有するフィラーを含む樹脂基材層を含む画像形成装置用樹脂ベルトにおいて、フィラーの含有量が少ない樹脂層のフィラーの含有量が、当該樹脂層全体に対して、0.1質量%を超える場合と比較して画像形成装置用樹脂ベルトを駆動した場合における画像形成装置用樹脂ベルトの内周面と接する部材の摩耗を抑制する画像形成装置用樹脂ベルトが提供される。
<10>に係る発明によれば、フィラーを含む樹脂基材層を有し、前記樹脂基材層の内周面側のフィラー露出面積が0.1%を超える画像形成装置用樹脂ベルトを備える場合又はフィラーの含有量が異なる2つの樹脂層を有するフィラーを含む樹脂基材層を含み、フィラーの含有量が少ない樹脂層のフィラーの含有量が、当該樹脂層全体に対して、0.1質量%を超える画像形成装置用樹脂ベルトを備える場合と比較して定着ベルトを駆動した場合に耐久性に優れる定着ベルトが提供される。
<11>又は<12>に係る発明によれば、フィラーを含む樹脂基材層を有し、前記樹脂基材層の内周面側のフィラー露出面積が0.1%を超える画像形成装置用樹脂ベルトを備える場合又はフィラーの含有量が異なる2つの樹脂層を有するフィラーを含む樹脂基材層を含み、フィラーの含有量が少ない樹脂層のフィラーの含有量が、当該樹脂層全体に対して、0.1質量%を超える画像形成装置用樹脂ベルトを備える場合と比較して定着ベルトを駆動した場合における定着ベルトの内周面と接する部材の摩耗を抑制する定着ベルトを備えた定着装置又は画像形成装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係る定着ベルトの一例を示す模式断面図である。
図2】本実施形態に係る定着装置の第1実施形態の一例を示す概略構成図である。
図3】本実施形態に係る定着装置の第2実施形態の一例を示す概略構成図である。
図4】本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一例である実施形態について説明する。これらの説明および実施例は、実施形態を例示するものであり、発明の範囲を制限するものではない。
本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
【0010】
各成分は該当する物質を複数種含んでいてもよい。
組成物中の各成分の量について言及する場合、組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計量を意味する。
【0011】
<画像形成装置用樹脂ベルト>
第一実施形態に係る画像形成装置用樹脂ベルトは、フィラーを含む樹脂基材層を有し、樹脂基材層の内周面側のフィラー露出面積が0.1%以下である。
【0012】
第一実施形態に係る画像形成装置用樹脂ベルトは、上記構成により、画像形成装置用樹脂ベルトを駆動した場合における画像形成装置用樹脂ベルトの内周面と接する部材の摩耗を抑制する画像形成装置用樹脂ベルトとなる。その理由は、次の通り推測される。
【0013】
画像形成装置用樹脂ベルトの熱伝導率を向上する目的で樹脂ベルト中にフィラーを含ませる場合がある。このとき、画像形成装置用樹脂ベルトの内周面にフィラーが露出しやすくなることがあった。内周面に露出するフィラーの量が大きくなると、画像形成装置用樹脂ベルトを駆動した場合において、画像形成装置用樹脂ベルトの内周面と接する部材が摩耗しやすくなる。
【0014】
第一実施形態に係る画像形成装置用樹脂ベルトは、フィラーを含む樹脂基材層を有し、樹脂基材層の内周面側のフィラー露出面積が0.1%以下である。樹脂基材層の内周面側のフィラー露出面積を0.1%以下とすることで、フィラーを含む画像形成装置用樹脂ベルトであっても、内周面に露出するフィラーの量が低減する。
【0015】
以上のことから、第一実施形態に係る画像形成装置用樹脂ベルトは、画像形成装置用樹脂ベルトを駆動した場合における画像形成装置用樹脂ベルトの内周面と接する部材の摩耗を抑制する画像形成装置用樹脂ベルトとなると推測される。
【0016】
第二実施形態に係る画像形成装置用樹脂ベルトは、フィラーを含む樹脂基材層を有し、前記樹脂基材層が、前記フィラーの含有量が、3質量%以上30質量%以下である第1の樹脂層と、前記フィラーの含有量が、0質量%以上0.1質量%以下である第2の樹脂層と、を有する。
ここで、第1の樹脂層のフィラーの含有量は、第1の樹脂層全体の質量に対する、第1お樹脂層に含まれるフィラーの含有量である。
また、第2の樹脂層のフィラーの含有量は、第2の樹脂層全体の質量に対する、第2お樹脂層に含まれるフィラーの含有量である。
【0017】
第二実施形態に係る画像形成装置用樹脂ベルトは、上記構成により、画像形成装置用樹脂ベルトを駆動した場合における画像形成装置用樹脂ベルトの内周面と接する部材の摩耗を抑制する画像形成装置用樹脂ベルトとなる。その理由は、次の通り推測される。
【0018】
第2の樹脂層中におけるフィラーの含有量を、0質量%以上0.1質量%以下とすることで、第2の樹脂層に含まれるフィラーの含有量が低減する。それにより、画像形成装置用樹脂ベルトの内周面に露出するフィラーの量が低減し、内周面に露出するフィラーの量が低減する。
また、第1の樹脂層中におけるフィラーの含有量を、3質量%以上30質量%以下とすることで、画像形成装置用樹脂ベルトの熱伝導率が維持される。
【0019】
以上のことから、第二実施形態に係る画像形成装置用樹脂ベルトは、画像形成装置用樹脂ベルトを駆動した場合における画像形成装置用樹脂ベルトの内周面と接する部材の摩耗を抑制する画像形成装置用樹脂ベルトとなると推測される。
【0020】
以下、第一及び第二実施形態のいずれにも該当する画像形成装置用樹脂ベルトについて詳細に説明する。ただし、本発明の画像形成装置用樹脂ベルトの一例は、第一又は第二実施形態のいずれか一つに該当する画像形成装置用樹脂ベルトであればよい。
【0021】
(樹脂基材層)
樹脂基材層について詳細に説明する。
樹脂基材層は、画像形成装置用樹脂ベルトの内周面を構成する層である。
ここで「内周面」とは、画像形成装置用樹脂ベルトを無端状(筒状)にした場合における、内側の面である。
-フィラー-
樹脂基材層はフィラーを含む。
フィラーはアスペクト比が3以上であることが好ましく、3以上5000以下であることがより好ましく、3以上3000以下であることが更に好ましい。
フィラーのアスペクト比を3以上とすることで、画像形成装置用樹脂ベルトの屈曲耐久性が向上しやすくなる。屈曲耐久性が向上する理由としては、屈曲時にフィラーと樹脂との界面にかかる応力集中を小さくできるためと推測される。
【0022】
またフィラーのアスペクト比が3以上であると、フィラーがベルトの内周面に露出した場合、内周面の表面粗さが大きくなりやすい。しかしながら、本実施形態に係る画像形成装置用樹脂ベルトの場合、フィラーのアスペクト比が3以上であっても内周面に露出するフィラーの量が低減するため内周面の表面粗さが小さくなる。それにより、画像形成装置用樹脂ベルトを駆動した場合における画像形成装置用樹脂ベルトの内周面と接する部材の摩耗を抑制する画像形成装置用樹脂ベルトとなる。
【0023】
フィラーのアスペクト比の算出手順は以下の通りである。
測定対象とするベルトをミクロトームにてベルトの厚み方向に切断し、得られたベルト断面を電子顕微鏡で観察し、倍率1000倍の写真を撮影する。撮影された写真からフィラー100個を選び、そのフィラーの短径(長径と直交する直線のうち、フィラーの輪郭内に含まれる線分長さ)及び長径(フィラーの輪郭上の任意の2点を結んだとき、その2点間の線分の距離が最長となる長さ)を測定する。測定した短径の算術平均値と、長径の算術平均値を求め、長径の算術平均値を短径の算術平均値で割る(長径の算術平均値÷短径の算術平均値)ことでアスペクト比を算出する。
【0024】
画像形成装置用樹脂ベルトの熱伝導率を向上する観点から、フィラーの熱伝導率は500W/mK以上であることが好ましい。
【0025】
フィラーは特に限定されないが、繊維状炭素であることが好ましい。
ここで「繊維状炭素」とは炭素原子を主成分(材料中における炭素原子の含有量が80質量%以上)とする、アスペクト比が2以上の材料である。
フィラーとしては、カーボンナノチューブであることが好ましい。
フィラーとしてカーボンナノチューブを適用することで画像形成装置用樹脂ベルトの屈曲耐久性がより向上しやすくなる。カーボンナノチューブは機械的な強度が高い特性を有するため、当該特性が影響しているためと推測される。
【0026】
フィラーの含有量は、樹脂基材層全体に対して、10質量%以上40質量%以下であることが好ましく、15質量%以上35質量以下であることがより好ましく、20質量%以上30質量%以下であることが更に好ましい。
【0027】
-樹脂-
樹脂基材層は樹脂を含む。
樹脂としては、特に制限はなく、ベルトの用途に応じた樹脂を選択すればよい。
実施形態に含まれる樹脂としては、耐熱性樹脂であることが好ましい。
樹脂としては、ポリイミド、芳香族ポリアミド、サーモトロピック液晶ポリマー等の液晶材料など、高耐熱かつ高強度の耐熱性樹脂等が挙げられ、これら以外にも、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルケトン、ポリサルフォン、ポリイミドアミド等が用いられる。
これらの中でも、樹脂としては、ポリイミドが好ましい。
【0028】
ポリイミドとしては、例えば、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物との重合体であるポリアミック酸(ポリイミド樹脂の前駆体)のイミド化物が挙げられる。ポリイミドとして具体的には、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物との等モル量を溶媒中で重合反応させてポリアミド酸の溶液として得て、そのポリアミド酸をイミド化して得られた樹脂が挙げられる。
【0029】
テトラカルボン酸二無水物としては、芳香族系、及び脂肪族系いずれの化合物も挙げられるが、耐熱性の観点から、芳香族系の化合物であることが好ましい。
【0030】
芳香族系テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-フランテトラカルボン酸二無水物、4,4’-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4’-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4’-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、3,3’,4,4’-パーフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド二無水物、p-フェニレン-ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、m-フェニレン-ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)-4,4’-ジフェニルエーテル二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)-4,4’-ジフェニルメタン二無水物等を挙げられる。
【0031】
脂肪族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3-ジメチル-1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5-トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、3,5,6-トリカルボキシノルボナン-2-酢酸二無水物、2,3,4,5-テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロフリル)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸二無水物、ビシクロ[2,2,2]-オクト-7-エン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物等の脂肪族又は脂環式テトラカルボン酸二無水物;1,3,3a,4,5,9b-ヘキサヒドロ-2,5-ジオキソ-3-フラニル)-ナフト[1,2-c]フラン-1,3-ジオン、1,3,3a,4,5,9b-ヘキサヒドロ-5-メチル-5-(テトラヒドロ-2,5-ジオキソ-3-フラニル)-ナフト[1,2-c]フラン-1,3-ジオン、1,3,3a,4,5,9b-ヘキサヒドロ-8-メチル-5-(テトラヒドロ-2,5-ジオキソ-3-フラニル)-ナフト[1,2-c]フラン-1,3-ジオン等の芳香環を有する脂肪族テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
【0032】
これらの中でも、テトラカルボン酸二無水物としては、芳香族系テトラカルボン酸二無水物がよく、具体的には、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物がよく、更に、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物がよく、特に、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物がよい。
【0033】
なお、テトラカルボン酸二無水物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて併用してもよい。
また、テトラカルボン酸二無水物を2種以上組み合わせて併用する場合、芳香族テトラカルボン酸二無水物、又は脂肪族テトラカルボン酸二無水物を各々併用しても、芳香族テトラカルボン酸二無水物と脂肪族テトラカルボン酸二無水物とを組み合わせてもよい。
【0034】
一方、ジアミン化合物は、分子構造中に2つのアミノ基を有するジアミン化合物である。ジアミン化合物としては、芳香族系、脂肪族系いずれの化合物も挙げられるが、芳香族系の化合物であることが好ましい。
【0035】
ジアミン化合物としては、例えば、p-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルエタン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、1,5-ジアミノナフタレン、3,3-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、5-アミノ-1-(4’-アミノフェニル)-1,3,3-トリメチルインダン、6-アミノ-1-(4’-アミノフェニル)-1,3,3-トリメチルインダン、4,4’-ジアミノベンズアニリド、3,5-ジアミノ-3’-トリフルオロメチルベンズアニリド、3,5-ジアミノ-4’-トリフルオロメチルベンズアニリド、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、2,7-ジアミノフルオレン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’-メチレン-ビス(2-クロロアニリン)、2,2’,5,5’-テトラクロロ-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’-ジクロロ-4,4’-ジアミノ-5,5’-ジメトキシビフェニル、3,3’-ジメトキシ-4,4’-ジアミノビフェニル、4,4’-ジアミノ-2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)-ビフェニル、1,3’-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン、4,4’-(p-フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4’-(m-フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、2,2’-ビス[4-(4-アミノ-2-トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、4,4’-ビス[4-(4-アミノ-2-トリフルオロメチル)フェノキシ]-オクタフルオロビフェニル等の芳香族ジアミン;ジアミノテトラフェニルチオフェン等の芳香環に結合された2個のアミノ基と当該アミノ基の窒素原子以外のヘテロ原子を有する芳香族ジアミン;1,1-メタキシリレンジアミン、1,3-プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、4,4-ジアミノヘプタメチレンジアミン、1,4-ジアミノシクロヘキサン、イソフォロンジアミン、テトラヒドロジシクロペンタジエニレンジアミン、ヘキサヒドロ-4,7-メタノインダニレンジメチレンジアミン、トリシクロ[6,2,1,02.7]-ウンデシレンジメチルジアミン、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルアミン)等の脂肪族ジアミン及び脂環式ジアミン等が挙げられる。
【0036】
これらの中でも、ジアミン化合物としては、芳香族系ジアミン化合物がよく、具体的には、例えば、p-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’-ジアミノジフェニルスルホンがよく、特に、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、p-フェニレンジアミンがよい。
【0037】
なお、ジアミン化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて併用してもよい。
また、ジアミン化合物を2種以上組み合わせて併用する場合、芳香族ジアミン化合物、又は脂肪族ジアミン化合物を各々併用しても、芳香族ジアミン化合物と脂肪族ジアミン化合物とを組み合わせてもよい。
【0038】
これらの中でも、耐熱性の観点から、ポリイミドとしては、芳香族ポリイミド(具体的には、芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミン化合物との重合体であるポリアミック酸(ポリイミド樹脂の前駆体)のイミド化物)が好ましい。
そして、芳香族ポリイミドとしては、下記一般式(PI1)で表される構造単位を有するポリイミドであることがより好ましい。
【0039】
【化1】
【0040】
一般式(PI1)中、RP1はフェニル基、またはビフェニル基を示し、RP2は2価の芳香族基を示す。
P2が示す2価の芳香族基は、フェニレン基、ナフチル基、ビフェニル基、ジフェニルエーテル基等が挙げられる。2価の芳香族基としては、屈曲耐久性の観点から、フェニレン基、ビフェニル基が好ましい。
【0041】
ポリイミドの数平均分子量は、5,000以上100,000以下であることがよく、より好ましくは7,000以上50,000以下、更に好ましくは10,000以上30,000以下である。
【0042】
ポリイミドの数平均分子量は、下記測定条件のゲル・パーミエーション・クロマトグラフィ(GPC)法で測定される。
・カラム:東ソーTSKgelα-M(7.8mm I.D×30cm)
・溶離液:DMF(ジメチルホルムアミド)/30mMLiBr/60mMリン酸
・流速:0.6mL/min
・注入量:60μL
・検出器:RI(示差屈折率検出器)
【0043】
樹脂の含有量は、樹脂基材層全体に対して、70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、85質量%以上であることが更に好ましく、90質量%以上であることが特に好ましい。
【0044】
-添加剤-
樹脂基材層は、フィラー及び樹脂の他、潤滑剤などの周知の添加剤を含んでもよい。
【0045】
-第1の樹脂層及び第2の樹脂層-
樹脂基材層は、第1の樹脂層及び第2の樹脂層を有することが好ましい。
第1の樹脂層は、フィラーの含有量が、3質量%以上30質量%以下である。
第2の樹脂層は、フィラーの含有量が、0質量%以上0.1質量%以下である。
ここで、第1の樹脂層のフィラーの含有量は、第1の樹脂層全体の質量に対する、第1お樹脂層に含まれるフィラーの含有量である。
また、第2の樹脂層のフィラーの含有量は、第2の樹脂層全体の質量に対する、第2お樹脂層に含まれるフィラーの含有量である。
【0046】
第2の樹脂層は画像形成装置用樹脂ベルトの内周面に存在する層である。
第1の樹脂層は第2の樹脂層に接した層であり、かつ画像形成装置用樹脂ベルトの外周面側に存在する層である。
【0047】
第2の樹脂層に含まれるフィラーの含有量が少ないことにより、画像形成装置用樹脂ベルトの内周面に露出するフィラーの量が低減し、内周面の表面粗さが小さくなる。これにより画像形成装置用樹脂ベルトを駆動した場合における画像形成装置用樹脂ベルトの内周面と接する部材の摩耗を抑制する。
また、第1の樹脂層を有することで、画像形成装置用樹脂ベルトの熱伝導率が維持される。
【0048】
画像形成装置用樹脂ベルトの熱伝導率の観点から、第1の樹脂層のフィラーの含有量が、第1の樹脂層全体に対して、3質量%以上30質量%以下であることが好ましく、5質量%以上30質量%以下であることがより好ましく、6質量%以上30質量%以下であることが更に好ましい。
画像形成装置用樹脂ベルトの内周面と接する部材の摩耗を抑制する観点から、第2の樹脂層のフィラーの含有量が、第2の樹脂層全体に対して、0質量%以上0.1質量%以下であることが好ましく、0質量%以上0.08質量%以下であることがより好ましく、0質量%以上0.05質量%以下であることが更に好ましい。
【0049】
第2の樹脂層はフィラーを含まないことが特に好ましい(すなわち、第2の樹脂層のフィラーの含有量が、第2の樹脂層全体に対して、0質量%であることが特に好ましい。)。
【0050】
第2の樹脂層がフィラーを含まないことにより、画像形成装置用樹脂ベルトの内周面に露出するフィラーの量がさらに低減し、内周面の表面粗さがさらに小さくなる。これにより画像形成装置用樹脂ベルトを駆動した場合における画像形成装置用樹脂ベルトの内周面と接する部材の摩耗をさらに抑制する。
【0051】
第2の樹脂層の厚さが、樹脂基材層の厚さに対して、10%以下であることが好ましい。
第2の樹脂層の厚さを、樹脂基材層の厚さに対して10%以下とすることで画像形成装置用樹脂ベルトの内周面と接する部材の摩耗を抑制しながら画像形成装置用樹脂ベルトの熱伝導率をより向上しやすくなる。
第2の樹脂層はフィラーの含有量が少ないため、熱伝導率を低下しやすくなる。そこで第2の樹脂層の厚さの割合を上記範囲内とすることで、ベルト全体の熱伝導率の低下を抑制することができる。なお、第2の樹脂層有することにより画像形成装置用樹脂ベルトの内周面と接する部材の摩耗も抑制される。
【0052】
樹脂基材層の厚さ及び第2の樹脂層の厚さは以下の通り測定する。
測定対象とするベルトをミクロトームにてベルトの厚み方向に切断し、得られたベルト断面を電子顕微鏡で観察し、ベルト断面の写真を任意の倍率で撮影する。
写真を観察し、任意の3点における樹脂基材層の厚さを測定しその算術平均値を算出する。また、写真を観察し、任意の3点における第2の樹脂層の厚さを測定しその算術平均値を算出する。
【0053】
樹脂基材層の厚さは50μm以上200μm以下であることが好ましく、60μm以上150μmであることがより好ましく、70μm以上100μm以下であることが更に好ましい。
【0054】
(画像形成装置用樹脂ベルトの特性)
-樹脂基材層の内周面側のフィラー露出面積-
本実施形態に係る画像形成装置用樹脂ベルトは、樹脂基材層の内周面側のフィラー露出面積が0.1%以下である。
【0055】
画像形成装置用樹脂ベルトの内周面と接する部材の摩耗を抑制する観点から、樹脂基材層の内周面側のフィラー露出面積は0.05%以下であることが好ましく、0.03%以下であることがより好ましく、0%であることが更に好ましい。
【0056】
樹脂基材層の内周面側のフィラー露出面積の算出手順は以下の通りである。
測定対象とするベルトの内周面を走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)にて観測し、倍率1000倍の写真を撮影する。撮影された写真からフィラーが露出した部分(フィラーに由来する白く映る部分)の面積の合計値を算出する。そして、撮影された写真の面積を100としたときのフィラーが露出した部分の面積の合計値の百分率を求め、この値を樹脂基材層の内周面側のフィラー露出面積とする。
【0057】
-熱伝導率-
本実施形態に係る画像形成装置用樹脂ベルトは熱伝導率が0.8W/mK以上であることが好ましく、1.0W/mK以上であることがより好ましく、1.1W/mK以上であることが更に好ましい。
【0058】
本実施形態に係る画像形成装置用樹脂ベルトは内周面のフィラー露出面積を低くしている関係上、熱伝導率が低下しやすい。そこで、画像形成装置用樹脂ベルトの熱伝導率を0.8W/mK以上とすることで、ベルト全体の熱伝導率が向上する。
【0059】
ベルトの熱伝導率は、以下のようにして測定する。
即ち、対象のベルトから、平板状の試験片を切り出し、試験片の厚み方向の熱拡散率から熱伝導率を求める。具体的には、試験片を、熱伝導率測定装置アイフェイズ・モバイル(株式会社アイフェイズ製)のプローブに載せた後、50gfの錘を置き、マニュアルモードで、1.41V、3Hz~100Hzを10分割、測定時間2秒の条件で、熱伝導率を3回測定する。3回の測定値の算術平均値を、ベルトの熱伝導率とする。
【0060】
-樹脂基材層の内周面側の表面粗さRa-
本実施形態に係る画像形成装置用樹脂ベルトの樹脂基材層の内周面側の表面粗さRaは0.2μm以上1.5μm以下であることが好ましく、0.3μm以上1.5μm以下であることがより好ましく、0.5μm以上1.2μm以下であることが更に好ましい。
【0061】
樹脂基材層の内周面側の表面粗さRaを1.5μm以下とすることで、画像形成装置用樹脂ベルトの凸部にかかる圧力が低減される。そのため画像形成装置用樹脂ベルトを駆動した場合において、画像形成装置用樹脂ベルトの内周面と接する部材が摩耗しやすくなる。
一方、画像形成装置用樹脂ベルトの樹脂基材層の内周面側の表面粗さRaが小さすぎると、画像形成装置用樹脂ベルトを駆動した場合に、ベルトの内周面とそれに接する部材との間の摩擦が過度に大きくなりやすくなる。そうすると画像形成装置用樹脂ベルトの内周面と接する部材が摩耗しやすくなる。
そこで、樹脂基材層の内周面側の表面粗さRaを0.2μm以上とすることで、画像形成装置用樹脂ベルトの内周面が適度な表面粗さRaとなり、ベルトの内周面とそれに接する部材との間の摩擦が低減される。
【0062】
(画像形成装置用樹脂ベルトの形状)
本実施形態に係る画像形成装置用樹脂ベルトは、用途選択性を高める観点、屈曲耐久性を高める観点等から、無端ベルト(シームレスベルトともいう)であることが好ましい。ここで、無端ベルトとは、ベルトの両端部が接合しており、且つ、つなぎ目が存在しないベルトをいう。
【0063】
(画像形成装置用樹脂ベルトの製造方法)
本実施形態に係る画像形成装置用樹脂ベルトは、以下の方法で製造される。
即ち、本実施形態に係る画像形成装置用樹脂ベルトは、ベルトを構成する各成分を含む塗布液を調製する工程(塗布液調製工程)と、得られた塗布液を円筒状基材上に塗布し、乾燥する工程(ベルト形成工程)と、を経ることで得られる。塗布液には、フィラー、樹脂、必要に応じて添加剤等が含まれる。
なお、樹脂がポリイミドの場合、本実施形態に係る画像形成装置用樹脂ベルトは、フィラー、ポリアミック酸(ポリイミド樹脂の前駆体)、必要に応じて添加剤等を含む塗布液を調製し、得られた塗布液を円筒状基材上に塗布し、焼成する(即ち、イミド化)ことで得られる。
以下本実施形態に係る画像形成装置用樹脂ベルトの製造方法について、より詳細に説明する。
【0064】
(塗布液調製工程)
塗布液調製工程では、まず、フィラーと樹脂と分散媒とを混合し、塗布液を調製することが好ましい。
ここで、分散媒としては、フィラーは、溶解せず又は溶解し難く、且つ、樹脂は溶解しうる有機溶剤が挙げられる。例えば、樹脂として、ポリアミック酸(ポリイミド樹脂の前駆体)を用いる場合には、分散媒としては、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、
ジメチルスルホキシド(DMSO)等が挙げられる。
【0065】
ここで塗布液調製工程では、フィラーの含有量が異なる2種類の塗布液を調製することが好ましい。
具体的には、フィラーの含有量が後述の塗布液Bより少ない、またはフィラーを含有しない塗布液Aと、フィラーの含有量が塗布液Aより多い塗布液Bと、を調製することが好ましい。
【0066】
塗布液A中の樹脂の含有量は、塗布液Aの全質量に対して、1質量%以上20質量%以下(好ましくは、3質量%以上18質量%以下)程度とすることが好ましい。
塗布液B中のフィラーの含有量は、例えば、塗布液Bの全質量に対して、0.1質量%以上10質量%以下であることが好ましい。
塗布液B中の樹脂の含有量は、塗布液Bの全質量に対して、1質量%以上20質量%以下(好ましくは、3質量%以上18質量%以下)程度とすることが好ましい。
【0067】
(ベルト形成工程)
ベルト形成工程は、以下の(1)~(3)の手順で行うことが好ましい。
(1)塗布液Aを円筒状基材上に塗布し、乾燥し、塗膜Aを形成する。
(2)塗布液Bを塗膜A上に塗布し、乾燥し、塗膜Bを形成する。
(3)塗膜A及び塗膜Bを焼成する。
【0068】
上記(1)及び(2)の乾燥温度は、塗布液に含まれる分散媒の揮発が促進する温度であればよく、塗布液に含まれる分散媒の沸点によって適宜調整することが好ましい。例えば、分散媒としてN-メチル-2-ピロリドン(NMP)を使用する場合、上記(1)及び(2)の乾燥温度は160℃以上200℃以下とすることが好ましい。
上記(3)の焼成温度は、上記(1)及び(2)の乾燥温度よりも高い温度であることが好ましい。上記(3)の焼成温度は、例えば、塗布液がポリアミック酸を含む場合、イミド化が進行する温度とすることが好ましい。上記(3)の焼成温度は、例えば、塗布液がポリアミック酸を含む場合、300℃以上400℃以下とすることが好ましい。
【0069】
以上、画像形成装置用樹脂ベルトの製造方法として、フィラーの含有量が異なる2種類の塗布液を調製し、これらを塗布して2層構造の画像形成装置用樹脂ベルトを製造する方法を記載したが、本実施形態に係る画像形成装置用樹脂ベルトの製造方法はこれに限定されない。
例えば、フィラーを含有せず、樹脂及び分散媒を含む塗布液を調製し、当該塗布液を円筒状基材上に塗布しながら、当該塗布液中にフィラーを添加して塗布液のフィラーの含有量を徐々に高めることによって円筒状基材上に塗布液を塗布してもよい。そして、この方法で塗布液を塗布して得られた塗膜を乾燥及び焼成することで画像形成装置用樹脂ベルトを製造してもよい。
【0070】
(画像形成装置用樹脂ベルトの用途)
本実施形態に係る画像形成装置用樹脂ベルトの用途としては、例えば、定着ベルト、冷却ベルトなどが挙げられる。
【0071】
<定着ベルト>
本実施形態に係る定着ベルトは、本実施形態に係る画像形成装置用樹脂ベルトと、前記ベルト上に順次設けられた弾性層及び表面層と、を有する。
即ち、本実施形態に係る定着ベルトは、既述の、本実施形態に係る画像形成装置用樹脂ベルトを基材層とし、この上に順次設けられた弾性層及び表面層を有する。
【0072】
本実施形態に係る定着ベルトについて、図1を参照して、説明する。
図1は、本実施形態に係る定着ベルトの一例を示す概略断面図である。
図1に示す定着ベルト110は、基材層110Aと、基材層110A上に設けられた弾性層110Bと、弾性層110B上に設けられた表面層110Cと、を有している。
なお、本実施形態に係る定着ベルト110の層構成は、図1に示す層構成に限定されず、基材層110Aと弾性層110Bとの間に接着層を介在させた層構成、弾性層110Bと表面層110Cとの間に接着層を介在させた層構成であってもよい。
【0073】
以下、本実施形態に係る定着ベルトの主要な構成要素について詳細に説明する。なお、符号は省略して説明する。
【0074】
(基材層)
本実施形態に係る定着ベルトにおいては、本実施形態に係る画像形成装置用樹脂ベルトが基材層として用いられる。
本実施形態に係る定着ベルトにおける基材層の膜厚は、熱伝導性及び屈曲耐久性等の観点から、20μm以上200μm以下であることが好ましく、30μm以上150μm以下であることがより好ましく、40μm以上120μm以下であることが特に好ましい。
【0075】
基材層の形成には、上述の、本実施形態に係る画像形成装置用樹脂ベルトの製造方法が適用されればよい。
【0076】
(弾性層)
本実施形態に係る定着ベルトは、基材層(即ち、本実施形態に係るベルト)上に弾性層を有する。
弾性層は、弾性を有する層であればよく、特に限定されるものではない。
弾性層は、定着ベルトへの外周側からの加圧に対して弾性を付与する観点で設けられる層であり、記録媒体上のトナー像の凹凸に追従して、定着ベルトの表面がトナー像に密着する役割を担う。
【0077】
弾性層は、例えば、100Paの外力印加により変形させても、もとの形状に復元する弾性材料から構成されることがよい。
弾性層に用いられる弾性材料としては、例えば、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、フッ素ゴム、フルオロシリコーンゴム等が挙げられる。弾性層の材質としては、耐熱性、熱伝導性、絶縁性等の観点から、シリコーンゴム及びフッ素ゴムが好ましく、シリコーンゴムがより好ましい。
【0078】
シリコーンゴムとしては、例えば、RTVシリコーンゴム、HTVシリコーンゴム、液状シリコーンゴムなどが挙げられ、具体的には、ポリジメチルシリコーンゴム(MQ)、メチルビニルシリコーンゴム(VMQ)、メチルフェニルシリコーンゴム(PMQ)、フルオロシリコーンゴム(FVMQ)等が挙げられる。
【0079】
シリコーンゴムとしては、架橋形態として付加反応型を主とするものが好ましい。また、シリコーンゴムは様々な種類の官能基が知られており、メチル基を有するジメチルシリコーンゴム、メチル基とフェニル基を有するメチルフェニルシリコーンゴム、ビニル基を有するビニルシリコーンゴム(ビニル基含有シリコーンゴム)等が好ましい。
また、シリコーンゴムとしては、ビニル基を有するビニルシリコーンゴムがより好ましく、ビニル基を有するオルガノポリシロキサン構造とケイ素原子に結合する水素原子(SiH)を有するハイドロジェンオルガノポリシロキサン構造とを有するシリコーンゴムが更に好ましい。
【0080】
フッ素ゴムとしては、フッ化ビニリデン系ゴム、四フッ化エチレン/プロピレン系ゴム、四フッ化エチレン/パーフルオロメチルビニルエーテルゴム、フォスファゼン系ゴム、フルオロポリエーテル等が挙げられる。
【0081】
弾性層に用いられる弾性材料は、シリコーンゴムが主成分である(つまり、弾性材料の全質量に対してシリコーンゴムを50質量%以上含む)ことが好ましい。
シリコーンゴムの含有量は、弾性層に用いられる弾性材料の全質量に対して、90質量%以上であることがより好ましく、99質量%以上であることが更に好ましく、100質量%であってもよい。
【0082】
弾性層は、弾性材料のほか、補強、耐熱、及び伝熱等を目的として、無機系の充填剤を含んでもよい。無機系の充填剤としては、公知のものが挙げられ、例えば、煙霧状シリカ、結晶性シリカ、酸化鉄、アルミナ、金属珪素等が好ましく挙げられる。
無機系の充填剤の材質としては、上記のほか炭化物(例えば、カーボンブラック、カーボンファイバ、カーボンナノチューブ等)、酸化チタン、炭化ケイ素、タルク、マイカ、カオリン、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、酸化マグネシウム、黒鉛、窒化ケイ素、窒化ホウ素、酸化セリウム、炭酸マグネシウム等の周知の無機フィラーが挙げられる。
これらの中でも、熱伝導性の点からは、窒化ケイ素、炭化ケイ素、黒鉛、窒化ホウ素、炭化物が好ましい。
弾性層における無機系の充填剤の含有量は、求められる熱伝導性、機械的強度等により決定されればよく、例えば、1質量%以上20質量%以下が挙げられ、3質量%以上15質量%以下が好ましく、5質量%以上10質量%以下がより好ましい。
【0083】
また、弾性層は、添加剤として、例えば、軟化剤(パラフィン系等)、加工助剤(ステアリン酸等)、老化防止剤(アミン系等)、加硫剤(硫黄、金属酸化物、過酸化物等)等が含んでいてもよい。
【0084】
弾性層の厚みは、例えば、30μm以上600μm以下であることが好ましく、100μm以上500μm以下であることがより好ましい。
【0085】
弾性層の形成は、公知の方法を適用すればよく、例えば、塗布法が適用される。
弾性層の弾性材料としてシリコーンゴムを用いる場合、例えば、まず、加熱により硬化されてシリコーンゴムとなる液状シリコーンゴムを含む弾性層形成用塗布液を調製する。次に、基材層上に弾性層形成用塗布液を塗布して塗膜を形成し、必要に応じて塗膜を加硫させることで、基材層上に弾性層を形成する。なお、塗膜の加硫において、加硫温度としては、例えば、150℃以上250℃以下が挙げられ、加硫時間としては、例えば、30分以上120分以下が挙げられる。
【0086】
(表面層)
本実施形態に係る定着ベルトは、弾性層上に表面層を有する。
表面層は、記録媒体と接触する側の面(外周面)に、定着時に溶融状態のトナー像が固着するのを抑制する役割を担う層である。
【0087】
表面層は、例えば、耐熱性や離型性が求められる。この観点から、表面層を構成する材料には、耐熱性離型材料を用いることが好ましく、具体的には、フッ素ゴム、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられる。
これらの中でも、耐熱性離型材料としては、フッ素樹脂がよい。
フッ素樹脂として、具体的には、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリエチレン-テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリクロロ三フッ化エチレン(PCTFE)、フッ化ビニル(PVF)等が挙げられる。
【0088】
表面層の弾性層側の面には表面処理を施してもよい。表面処理としては、湿式処理であっても乾式処理であってもよく、例えば、液体アンモニア処理、エキシマレーザ処理、プラズマ処理等が挙げられる。
【0089】
表面層の厚さは、10μm以上100μm以下であることが好ましく、20μm以上50μm以下であることがより好ましい。
【0090】
表面層の形成は公知の方法を適用すればよく、例えば、塗布法を適用してもよい。
また、チューブ状の表面層を予め準備し、これを弾性層の外周上に被覆させることで、表面層を形成してもよい。なお、チューブ状の表面層の内面に接着剤層(例えば、エポキシ基を有するシランカップリング剤を含む接着剤層)を形成した上で、外周上に被覆させてもよい。
【0091】
本実施形態に係る定着ベルトの膜厚は、例えば、0.06mm以上0.90mm以下が好ましく、より好ましくは0.08mm以上0.70mm以下、更に好ましくは0.10mm以上0.60mm以下である。
【0092】
<定着装置>
本実施形態に係る定着装置としては、種々の構成があり、例えば、第1回転体と、第1回転体の外面に接して配置される第2回転体と、を備え、トナー像が表面に形成された記録媒体を第1回転体と第2回転体との接触部に挿通してトナー像を定着する定着装置が例示できる。そして、第1回転体及び第2回転体の少なくとも一方として、本実施形態に係る定着ベルトが適用される。
【0093】
以下に、本実施形態に係る定着装置について、第1実施形態として、加熱ロールと加圧ベルトとを備えた定着装置、第2実施形態として、加熱ベルトと加熱ロールとを備えた定着装置を説明する。そして、第1及び第2実施形態において、本実施形態に係る定着ベルトは、加熱ベルト、及び加圧ベルトのいずれにも適用され得る。
なお、本実施形態に係る定着装置は、第1及び第2の実施形態に限られず、加熱ロール又は加熱ベルトと加圧ベルトとを備えた定着装置であってよい。そして、本実施形態に係る定着ベルトは、加熱ベルト、及び加圧ベルトのいずれにも適用され得る。
【0094】
(定着装置の第1実施形態)
定着装置の第1実施形態について図2を参照して説明する。図2は、定着装置の第1実施形態の一例(即ち、定着装置60)を示す概略図である。
【0095】
図2に示すように、定着装置60は、例えば、回転駆動する加熱ロール61(第1回転体の一例)と、加圧ベルト62(第2回転体の一例)と、加圧ベルト62を介して加熱ロール61を押圧する押圧パッド64(押圧部材の一例)と、を備えて構成されている。
なお、押圧パッド64は、例えば、加圧ベルト62と加熱ロール61とが相対的に加圧されていればよい。従って、加圧ベルト62側が加熱ロール61に加圧されてもよく、加熱ロール61側が加熱ロール61に加圧されてもよい。
【0096】
加熱ロール61の内部には、ハロゲンランプ66(加熱手段の一例)が配設されている。加熱手段としては、ハロゲンランプに限られず、発熱する他の発熱部材を用いてもよい。
【0097】
一方、加熱ロール61の表面には、例えば、感温素子69が接触して配置されている。この感温素子69による温度計測値に基づいて、ハロゲンランプ66の点灯が制御され、加熱ロール61の表面温度が目的とする設定温度(例えば、150℃)に維持される。
【0098】
加圧ベルト62は、例えば、内部に配置された押圧パッド64とベルト走行ガイド63とによって回転自在に支持されている。そして、挟込領域N(ニップ部)において押圧パッド64により加熱ロール61に対して押圧されて配置されている。
【0099】
押圧パッド64は、例えば、加圧ベルト62の内側において、加圧ベルト62を介して加熱ロール61に加圧される状態で配置され、加熱ロール61との間で挟込領域Nを形成している。
押圧パッド64は、例えば、幅の広い挟込領域Nを確保するための前挟込部材64aを挟込領域Nの入口側に配置し、加熱ロール61に歪みを与えるための剥離挟込部材64bを挟込領域Nの出口側に配置している。
【0100】
加圧ベルト62の内周面と押圧パッド64との摺動抵抗を小さくするために、例えば、前挟込部材64a及び剥離挟込部材64bの加圧ベルト62と接する面にシート状の摺動部材68が設けられている。そして、押圧パッド64と摺動部材68とは、金属製の保持部材65に保持されている。
なお、摺動部材68は、例えば、その摺動面が加圧ベルト62の内周面と接するように設けられており、加圧ベルト62との間に存在するオイルの保持・供給に関与する。
【0101】
保持部材65には、例えば、ベルト走行ガイド63が取り付けられ、加圧ベルト62が回転する構成となっている。
ベルト走行ガイド63には、加圧ベルト62の内周面に潤滑剤(例えばオイル)を供給する手段である潤滑剤供給装置67が取り付けられていてもよい。
【0102】
加熱ロール61は、例えば、図示しない駆動モータにより矢印S方向に回転し、この回転に従動して加圧ベルト62は、加熱ロール61の回転方向と反対の矢印R方向へ回転する。すなわち、例えば、加熱ロール61が図2における時計方向へ回転するのに対して、加圧ベルト62は反時計方向へ回転する。
【0103】
そして、未定着トナー像を有する用紙K(記録媒体の一例)は、例えば、定着入口ガイド56によって導かれて、挟込領域Nに搬送される。そして、用紙Kが挟込領域Nを通過する際に、用紙K上の未定着トナー像は挟込領域Nに作用する圧力と熱とによって定着される。
【0104】
定着装置60では、例えば、加熱ロール61の外周面に倣う凹形状の前挟込部材64aにより、前挟込部材64aがない構成に比して、広い挟込領域Nを確保される。
【0105】
また、定着装置60では、例えば、加熱ロール61の外周面に対し突出させて剥離挟込部材64bを配置することにより、挟込領域Nの出口領域において加熱ロール61の歪みが局所的に大きくなるように構成されている。
【0106】
このように剥離挟込部材64bを配置すれば、例えば、定着後の用紙Kは、剥離挟込領域を通過する際に、局所的に大きく形成された歪みを通過することになるので、用紙Kが加熱ロール61から剥離しやすい。
【0107】
剥離の補助手段として、例えば、加熱ロール61の挟込領域Nの下流側に、剥離部材70を配設されている。剥離部材70は、例えば、剥離爪71が加熱ロール61の回転方向と対向する向き(カウンタ方向)に加熱ロール61と近接する状態で保持部材72によって保持されている。
【0108】
(定着装置の第2実施形態)
定着装置の第2実施形態について図3を参照して説明する。図3は、定着装置の第2実施形態の一例(即ち、定着装置80)を示す概略図である。
【0109】
定着装置80は、図3に示すように、例えば、加熱ベルト84(第1回転体の一例)を備える定着ベルトモジュール86と、加熱ベルト84(定着ベルトモジュール86)に押圧して配置された加圧ロール88(第2回転体の一例)とを含んで構成されている。そして、例えば、加熱ベルト84(定着ベルトモジュール86)と加圧ロール88との接触部には挟込領域N(ニップ部)が形成されている。挟込領域Nでは、用紙K(記録媒体の一例)が加圧及び加熱されトナー像が定着される。
【0110】
定着ベルトモジュール86は、例えば、無端状の加熱ベルト84と、加圧ロール88側で加熱ベルト84が巻き掛けられ、モータ(不図示)の回転力で回転駆動すると共に加熱ベルト84をその内周面から加圧ロール88側へ押し付ける加熱押圧ロール89と、加熱押圧ロール89と異なる位置で内側から加熱ベルト84を支持する支持ロール90と、を備えている。
定着ベルトモジュール86は、例えば、加熱ベルト84の外側に配置されてその周回経路を規定する支持ロール92と、加熱押圧ロール89から支持ロール90までの加熱ベルト84の姿勢を矯正する姿勢矯正ロール94と、加熱ベルト84と加圧ロール88とで形成された挟込領域Nの下流側において加熱ベルト84に内周面から張力を付与する支持ロール98と、が設けられている。
【0111】
そして、定着ベルトモジュール86は、例えば、加熱ベルト84と加熱押圧ロール89との間に、シート状の摺動部材82が介在するように設けられている。
摺動部材82は、例えば、その摺動面が加熱ベルト84の内周面と接するように設けられており、加熱ベルト84との間に存在するオイルの保持・供給に関与する。
ここで、摺動部材82は、例えば、その両端が支持部材96により支持された状態で設けられている。
【0112】
加熱押圧ロール89の内部には、例えば、ハロゲンヒータ89A(加熱手段の一例)が設けられている。
【0113】
支持ロール90は、例えば、アルミニウムで形成された円筒状ロールであり、内部にはハロゲンヒータ90A(加熱手段の一例)が配設されており、加熱ベルト84を内周面側から加熱するようになっている。
支持ロール90の両端部には、例えば、加熱ベルト84を外側に押圧するバネ部材(不図示)が配設されている。
【0114】
支持ロール92は、例えば、アルミニウムで形成された円筒状ロールであり、支持ロール92の表面には厚さ20μmのフッ素樹脂からなる離型層が形成されている。
支持ロール92の離型層は、例えば、加熱ベルト84の外周面からのトナーや紙粉が支持ロール92に堆積するのを防止するために形成されるものである。
支持ロール92の内部には、例えば、ハロゲンヒータ92A(加熱手段の一例)が配設されており、加熱ベルト84を外周面側から加熱するようになっている。
【0115】
つまり、例えば、加熱押圧ロール89と支持ロール90及び支持ロール92とによって、加熱ベルト84が加熱される構成となっている。
【0116】
姿勢矯正ロール94は、例えば、アルミニウムで形成された円柱状ロールであり、姿勢矯正ロール94の近傍には、加熱ベルト84の端部位置を測定する端部位置測定機構(不図示)が配置されている。
姿勢矯正ロール94には、例えば、端部位置測定機構の測定結果に応じて加熱ベルト84の軸方向における当り位置を変位させる軸変位機構(不図示)が配設され、加熱ベルト84の蛇行を制御するように構成されている。
【0117】
一方、加圧ロール88は、例えば、回転自在に支持されると共に、図示しないスプリング等の付勢手段によって加熱ベルト84が加熱押圧ロール89に巻き回された部位に押圧されて設けられている。これにより、定着ベルトモジュール86の加熱ベルト84(加熱押圧ロール89)が矢印S方向へ回転移動するのに伴って、加熱ベルト84(加熱押圧ロール89)に従動して加圧ロール88が矢印R方向に回転移動するようになっている。
【0118】
そして、未定着トナー像(不図示)を有する用紙Kは、矢印P方向に搬送され、定着装置80の挟込領域Nに導かれる。そして、用紙Kが挟込領域Nを通過する際に、用紙K上の未定着トナー像は、挟込領域Nに作用する圧力と熱とによって定着される。
【0119】
なお、定着装置80では、複数ある加熱手段の一例としてハロゲンヒータ(ハロゲンランプ)を適用した形態を説明したが、これに限られず、ハロゲンヒータ以外の輻射ランプ発熱体(放射線(赤外線等)を発する発熱体)、抵抗発熱体(抵抗に電流を流すことによりジュール熱を発生させる発熱体:例えばセラミック基板に抵抗を有する膜を形成して焼成させたもの等)を適用してもよい。
【0120】
[画像形成装置]
次に、本実施形態に係る画像形成装置について説明する。
本実施形態に係る画像形成装置は、像保持体と、像保持体の表面を帯電する帯電手段と、帯電した像保持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、トナーを含む現像剤により、像保持体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、トナー像を記録媒体に定着する定着手段と、を備える。
そして、定着手段として、本実施形態に係る定着装置が適用される。
【0121】
ここで、本実施形態に係る画像形成装置において、定着装置は、画像形成装置に着脱するようにカートリッジ化していてもよい。つまり、本実施形態に係る画像形成装置は、プロセスカートリッジの構成装置として、本実施形態に係る定着装置を備えてもよい。
【0122】
以下、本実施形態に係る画像形成装置について図面を参照しつつ説明する。
図4は、本実施形態に係る画像形成装置の構成を示した概略構成図である。
【0123】
本実施形態に係る画像形成装置100は、図4に示すように、例えば、一般にタンデム型と呼ばれる中間転写方式の画像形成装置であって、電子写真方式により各色成分のトナー像が形成される複数の画像形成ユニット1Y、1M、1C、1Kと、各画像形成ユニット1Y、1M、1C、1Kにより形成された各色成分トナー像を中間転写ベルト15に順次転写(一次転写)させる一次転写部10と、中間転写ベルト15上に転写された重畳トナー像を記録媒体である用紙Kに一括転写(二次転写)させる二次転写部20と、二次転写された画像を用紙K上に定着させる定着装置60と、を備えている。また、画像形成装置100は、各装置(各部)の動作を制御する制御部40を有している。
【0124】
この定着装置60が既述の定着装置の第1実施形態である。なお、画像形成装置100は、既述の定着装置の第2実施形態を備える構成であってもよい。
【0125】
画像形成装置100の各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、表面に形成されるトナー像を保持する像保持体の一例として、矢印A方向に回転する感光体11を備えている。
【0126】
感光体11の周囲には、帯電手段の一例として、感光体11を帯電させる帯電器12が設けられ、潜像形成手段の一例として、感光体11上に静電潜像を書込むレーザ露光器13(図中露光ビームを符号Bmで示す)が設けられている。
【0127】
また、感光体11の周囲には、現像手段の一例として、各色成分トナーが収容されて感光体11上の静電潜像をトナーにより可視像化する現像器14が設けられ、感光体11上に形成された各色成分トナー像を一次転写部10にて中間転写ベルト15に転写する一次転写ロール16が設けられている。
【0128】
更に、感光体11の周囲には、感光体11上の残留トナーが除去される感光体クリーナ17が設けられ、帯電器12、レーザ露光器13、現像器14、一次転写ロール16及び感光体クリーナ17の電子写真用デバイスが感光体11の回転方向に沿って順次配設されている。これらの画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、中間転写ベルト15の上流側から、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の順に、略直線状に配置されている。
【0129】
中間転写体である中間転写ベルト15は、ポリイミド又はポリアミド等の樹脂をベース層としてカーボンブラック等の帯電防止剤を適当量含有させたフィルム状の加圧ベルトで構成されている。そして、その体積抵抗率は10Ωcm以上1014Ωcm以下となるように形成されており、その厚さは、例えば、0.1mm程度に構成されている。
【0130】
中間転写ベルト15は、各種ロールによって図4に示すB方向に目的に合わせた速度で循環駆動(回転)されている。この各種ロールとして、定速性に優れたモータ(不図示)により駆動されて中間転写ベルト15を回転させる駆動ロール31、各感光体11の配列方向に沿って略直線状に延びる中間転写ベルト15を支持する支持ロール32、中間転写ベルト15に対して張力を与えると共に中間転写ベルト15の蛇行を防止する補正ロールとして機能する張力付与ロール33、二次転写部20に設けられる背面ロール25、及び、中間転写ベルト15上の残留トナーを掻き取るクリーニング部に設けられるクリーニング背面ロール34を有している。
【0131】
一次転写部10は、中間転写ベルト15を挟んで感光体11に対向して配置される一次転写ロール16で構成されている。一次転写ロール16は、芯体と、芯体の周囲に固着された弾性層としてのスポンジ層と、で構成されている。芯体は、鉄、SUS等の金属で構成された円柱棒である。スポンジ層はカーボンブラック等の導電剤を配合したNBRとSBRとEPDMとのブレンドゴムで形成され、体積抵抗率が107.5Ωcm以上108.5Ωcm以下のスポンジ状の円筒ロールである。
【0132】
そして、一次転写ロール16は中間転写ベルト15を挟んで感光体11に圧接配置され、更に一次転写ロール16にはトナーの帯電極性(マイナス極性とする。以下同様。)と逆極性の電圧(一次転写バイアス)が印加されるようになっている。これにより、各々の感光体11上のトナー像が中間転写ベルト15に順次、静電吸引され、中間転写ベルト15上において重畳されたトナー像が形成されるようになっている。
【0133】
二次転写部20は、背面ロール25と、中間転写ベルト15のトナー像保持面側に配置される二次転写ロール22と、を備えて構成されている。
【0134】
背面ロール25は、表面がカーボンを分散したEPDMとNBRのブレンドゴムのチューブ、内部はEPDMゴムで構成されている。そして、その表面抵抗率が10Ω/□以上1010Ω/□以下となるように形成され、硬度は、例えば、70°(アスカーC:高分子計器社製、以下同様。)に設定される。この背面ロール25は、中間転写ベルト15の裏面側に配置されて二次転写ロール22の対向電極を構成し、二次転写バイアスが安定的に印加される金属製の給電ロール26が接触配置されている。
【0135】
一方、二次転写ロール22は、芯体と、芯体の周囲に固着された弾性層としてのスポンジ層と、で構成されている。芯体は鉄、SUS等の金属で構成された円柱棒である。スポンジ層はカーボンブラック等の導電剤を配合したNBRとSBRとEPDMとのブレンドゴムで形成され、体積抵抗率が107.5Ωcm以上108.5Ωcm以下のスポンジ状の円筒ロールである。
【0136】
そして、二次転写ロール22は中間転写ベルト15を挟んで背面ロール25に圧接配置され、更に、二次転写ロール22は接地されて背面ロール25との間に二次転写バイアスが形成され、二次転写部20に搬送される用紙K上にトナー像を二次転写する。
【0137】
また、中間転写ベルト15の二次転写部20の下流側には、二次転写後の中間転写ベルト15上の残留トナーや紙粉を除去し、中間転写ベルト15の表面をクリーニングする中間転写ベルトクリーナ35が、中間転写ベルト15に対し接離自在に設けられている。
【0138】
なお、中間転写ベルト15、一次転写部10(一次転写ロール16)、及び二次転写部20(二次転写ロール22)が、転写手段の一例に該当する。
【0139】
一方、イエローの画像形成ユニット1Yの上流側には、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kにおける画像形成タイミングをとるための基準となる基準信号を発生する基準センサ(ホームポジションセンサ)42が配設されている。この基準センサ42は、中間転写ベルト15の裏側に設けられたマークを認識して基準信号を発生しており、この基準信号の認識に基づく制御部40からの指示により、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは画像形成を開始するように構成されている。
また、黒の画像形成ユニット1Kの下流側には、画質調整を行うための画像濃度センサ43が配設されている。
【0140】
更に、本実施形態に係る画像形成装置では、用紙Kを搬送する搬送手段として、用紙Kを収容する用紙収容部50、この用紙収容部50に集積された用紙Kを予め定められたタイミングで取り出して搬送する給紙ロール51、給紙ロール51により繰り出された用紙Kを搬送する搬送ロール52、搬送ロール52により搬送された用紙Kを二次転写部20へと送り込む搬送ガイド53、二次転写ロール22により二次転写された後に搬送される用紙Kを定着装置60へと搬送する搬送ベルト55、及び、用紙Kを定着装置60に導く定着入口ガイド56を備えている。
【0141】
次に、本実施形態に係る画像形成装置の基本的な作像プロセスについて説明する。
本実施形態に係る画像形成装置では、図示しない画像読取装置や図示しないパーソナルコンピュータ(PC)等から出力される画像データは、図示しない画像処理装置により画像処理が施された後、画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kによって作像作業が実行される。
【0142】
画像処理装置では、入力された反射率データに対して、シェーディング補正、位置ズレ補正、明度/色空間変換、ガンマ補正、枠消しや色編集、移動編集等の各種画像編集等の画像処理が施される。画像処理が施された画像データは、Y、M、C、Kの4色の色材階調データに変換され、レーザ露光器13に出力される。
【0143】
レーザ露光器13では、入力された色材階調データに応じて、例えば半導体レーザから出射された露光ビームBmを画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの各々の感光体11に照射している。画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの各感光体11では、帯電器12によって表面が帯電された後、このレーザ露光器13によって表面が走査露光され、静電潜像が形成される。形成された静電潜像は、各々の画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kによって、Y、M、C、Kの各色のトナー像として現像される。
【0144】
画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの感光体11上に形成されたトナー像は、各感光体11と中間転写ベルト15とが接触する一次転写部10において、中間転写ベルト15上に転写される。より具体的には、一次転写部10において、一次転写ロール16により中間転写ベルト15の基材に対しトナーの帯電極性(マイナス極性)と逆極性の電圧(一次転写バイアス)が付加され、トナー像を中間転写ベルト15の表面に順次重ね合わせて一次転写が行われる。
【0145】
トナー像が中間転写ベルト15の表面に順次一次転写された後、中間転写ベルト15は移動してトナー像が二次転写部20に搬送される。トナー像が二次転写部20に搬送されると、搬送手段では、トナー像が二次転写部20に搬送されるタイミングに合わせて給紙ロール51が回転し、用紙収容部50から目的とするサイズの用紙Kが供給される。給紙ロール51により供給された用紙Kは、搬送ロール52により搬送され、搬送ガイド53を経て二次転写部20に到達する。この二次転写部20に到達する前に、用紙Kは一旦停止され、トナー像が保持された中間転写ベルト15の移動タイミングに合わせて位置合わせロール(不図示)が回転することで、用紙Kの位置とトナー像の位置との位置合わせがなされる。
【0146】
二次転写部20では、中間転写ベルト15を介して、二次転写ロール22が背面ロール25に加圧される。このとき、タイミングを合わせて搬送された用紙Kは、中間転写ベルト15と二次転写ロール22との間に挟み込まれる。その際に、給電ロール26からトナーの帯電極性(マイナス極性)と同極性の電圧(二次転写バイアス)が印加されると、二次転写ロール22と背面ロール25との間に転写電界が形成される。そして、中間転写ベルト15上に保持された未定着トナー像は、二次転写ロール22と背面ロール25とによって加圧される二次転写部20において、用紙K上に一括して静電転写される。
【0147】
その後、トナー像が静電転写された用紙Kは、二次転写ロール22によって中間転写ベルト15から剥離された状態でそのまま搬送され、二次転写ロール22の用紙搬送方向下流側に設けられた搬送ベルト55へと搬送される。搬送ベルト55は、定着装置60における最適な搬送速度に合わせて、用紙Kを定着装置60まで搬送する。定着装置60に搬送された用紙K上の未定着トナー像は、定着装置60によって熱及び圧力で定着処理を受けることで用紙K上に定着される。そして定着画像が形成された用紙Kは、画像形成装置の排出部に設けられた排紙収容部(不図示)に搬送される。
【0148】
一方、用紙Kへの転写が終了した後、中間転写ベルト15上に残った残留トナーは、中間転写ベルト15の回転に伴ってクリーニング部まで搬送され、クリーニング背面ロール34及び中間転写ベルトクリーナ35によって中間転写ベルト15上から除去される。
【0149】
以上、本実施形態について説明したが、上記実施の形態に限定的に解釈されるものではなく、種々の変形、変更、改良が可能である。
【実施例0150】
以下に実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0151】
<実施例1>
(塗布液調製工程)
-塗布液Aの調製-
N-メチル-2-ピロリドン(NMP)100質量部に対して、ポリアミック酸溶液(ユニチカ社製:TX-HMM(ポリイミドワニス)、固形分濃度:18質量%、溶媒:NMP)を80質量部添加して混合することで塗布液Aを調製した。
-塗布液Bの調製-
N-メチル-2-ピロリドン(NMP)と、カーボンナノチューブ(昭和電工株式会社製)と、を、質量比(NMP:カーボンナノチューブ)にて、80:20にて混合して分散液を調製した。分散液100質量部に対して、ポリアミック酸溶液(ユニチカ社製:TX-HMM(ポリイミドワニス)、固形分濃度:18質量%、溶媒:NMP)を445質量部添加して混合することで塗布液Bを調製した。
【0152】
(ベルト形成工程)
-(1)-
塗布液Aを表面粗さRa0.8μmの円筒状基材上に塗布し、180℃で15分間乾燥し、塗膜Aを形成した。なお、塗布液Aの塗布量は焼成後の第2の樹脂層の厚さが6μmとなるようにした。
-(2)-
塗布液Bを塗膜A上に塗布し、180℃で15分間乾燥し、塗膜Bを形成した。なお、塗布液Bの塗布量は焼成後の第1の樹脂層の厚さが72μmとなるようにした。
-(3)-
塗膜A及び塗膜Bを380℃で焼成し、シームレスベルト状の基材層(画像形成装置用樹脂ベルト)を形成した。
【0153】
(弾性層の形成)
次に、得られた基材層の外周面に、液状シリコーンゴム(信越化学工業株式会社製、X34-1053)を塗布し、110℃で15分間加熱し、膜厚400μmの弾性層を得た。
【0154】
(表面層の形成)
次に、PFAを含む、膜厚30μmのフッ素樹脂チューブを、射出成形により成形し、チューブ内面を液体アンモニアで処理した。
このフッ素樹脂チューブを弾性層の上に被せ、200℃で120分間加熱し、フッ素樹脂チューブからなる表面層を形成した。
【0155】
以上の工程を経て、定着ベルトを得た。
【0156】
<実施例2>
塗布液Aの調製手順を下記に変更し、第2の樹脂層のフィラーの含有量が0.1質量%となるように変更し、焼成後の第2の樹脂層の厚さを8μmとしたこと以外は実施例1と同一の手順でシームレスベルト状の基材層(画像形成装置用樹脂ベルト)及び定着ベルトを作製した。
-塗布液Aの調製-
N-メチル-2-ピロリドン(NMP)100質量部に対して、ポリアミック酸溶液(実施例1と同一)100質量部及びカーボンナノチューブ(昭和電工株式会社製)を0.018質量部添加して混合することで塗布液Aを調製した。
【0157】
<実施例3>
(ベルト形成工程)の-(1)-において塗布液Aの塗布量を焼成後の第2の樹脂層の厚さが12μmとなるようにしたこと、及び(ベルト形成工程)の-(2)-において塗布液Aの塗布量を焼成後の第1の樹脂層の厚さが68μmとなるようにしたこと以外は実施例1と同一の手順でシームレスベルト状の基材層(画像形成装置用樹脂ベルト)及び定着ベルトを作製した。
【0158】
<比較例1>
(ベルト形成工程)を以下の手順に変更したこと以外は実施例1と同一の手順でシームレスベルト状の基材層(画像形成装置用樹脂ベルト)及び定着ベルトを作製した。
【0159】
(ベルト形成工程)
塗布液Bを円筒状基材上に塗布し、その塗膜を380℃で焼成し、シームレスベルト状の基材層(画像形成装置用樹脂ベルト)を作製した。
【0160】
<参考例1>
スルファミン酸ニッケルを500g/L、亜リン酸ナトリウムを150mg/L、硼酸を30g/L、一次光沢剤としてナフタレン-1,3,6-トリスルホン酸三ナトリウムを1.0g/L、二次光沢剤として2-ブチン-1,4-ジオールを20mg/L添加して、所望のスルファミン酸リン電鋳浴を調製した。この電鋳浴を60℃、pHを4.5として、ステンレス鋼製の円筒状金型を陰極とし、デポラライズドニッケルを陽極として、16A/dmの電流密度下で電鋳を行い、金型の外周面に電析体を形成した。この電析体を有する金型から電析体を引き抜き、厚さ60μmのニッケルリン合金電鋳からなるシームレスベルト状の基材層を作製した。
得た基材層を用いたこと以外は実施例1と同一の手順で定着ベルトを作製した。
【0161】
<比較例2>
特開2021-063868号公報の実施例に記載されたものと同一のシームレスベルト状の基材層を作製した。
得た基材層を用いたこと以外は実施例1と同一の手順で定着ベルトを作製した。
【0162】
<参考例2>
(ベルト形成工程)を以下の手順に変更したこと以外は実施例1と同一の手順でシームレスベルト状の基材層(画像形成装置用樹脂ベルト)及び定着ベルトを作製した。
【0163】
(ベルト形成工程)
塗布液Aを円筒状基材上に塗布し、その塗膜を380℃で焼成し、シームレスベルト状の基材層(画像形成装置用樹脂ベルト)を作製した。
【0164】
<比較例3>
塗布液Aの調製手順を下記に変更し、第2の樹脂層のフィラーの含有量が0.8質量%となるように変更し、焼成後の第2の樹脂層の厚さを7μmとしたこと以外は実施例1と同一の手順でシームレスベルト状の基材層(画像形成装置用樹脂ベルト)及び定着ベルトを作製した。
-塗布液Aの調製-
N-メチル-2-ピロリドン(NMP)100質量部に対して、ポリアミック酸溶液(実施例1と同一)100質量部及びカーボンナノチューブ(昭和電工株式会社製)を0.145質量部添加して混合することで塗布液Aを調製した。
【0165】
<実施例4>
焼成後の第2の樹脂層の厚さを7μmとし、塗布液Bを下記組成に変更したこと以外は実施例1と同一の手順でシームレスベルト状の基材層(画像形成装置用樹脂ベルト)及び定着ベルトを作製した。
-塗布液Bの調製-
N-メチル-2-ピロリドン(NMP)と、カーボンナノチューブ(昭和電工株式会社製)と、を、質量比(NMP:カーボンナノチューブ)にて、98:2にて混合して分散液を調製した。分散液100質量部に対して、ポリアミック酸溶液(実施例1と同一)を445質量部添加して混合することで塗布液Bを調製した。
【0166】
<実施例5>
塗布液Bを下記組成に変更したこと以外は実施例4と同一の手順でシームレスベルト状の基材層(画像形成装置用樹脂ベルト)及び定着ベルトを作製した。
-塗布液Bの調製-
N-メチル-2-ピロリドン(NMP)と、カーボンナノチューブ(昭和電工株式会社製)と、を、質量比(NMP:カーボンナノチューブ)にて、97.5:2.5にて混合して分散液を調製した。分散液100質量部に対して、ポリアミック酸溶液(実施例1と同一)を445質量部添加して混合することで塗布液Bを調製した。
【0167】
<実施例6>
塗布液Bを下記組成に変更したこと以外は実施例4と同一の手順でシームレスベルト状の基材層(画像形成装置用樹脂ベルト)及び定着ベルトを作製した。
-塗布液Bの調製-
N-メチル-2-ピロリドン(NMP)と、カーボンナノチューブ(昭和電工株式会社製)と、を、質量比(NMP:カーボンナノチューブ)にて、65.7:34.3にて混合して分散液を調製した。分散液100質量部に対して、ポリアミック酸溶液(実施例1と同一)を445質量部添加して混合することで塗布液Bを調製した。
【0168】
<実施例7>
塗布液Bを下記組成に変更したこと以外は実施例4と同一の手順でシームレスベルト状の基材層(画像形成装置用樹脂ベルト)及び定着ベルトを作製した。
-塗布液Bの調製-
N-メチル-2-ピロリドン(NMP)と、カーボンナノチューブ(昭和電工株式会社製)と、を、質量比(NMP:カーボンナノチューブ)にて、62.3:37.7にて混合して分散液を調製した。分散液100質量部に対して、ポリアミック酸溶液(実施例1と同一)を445質量部添加して混合することで塗布液Bを調製した。
【0169】
<実施例8>
焼成後の第2の樹脂層の厚さを7μmとしたこと以外は実施例2と同一の手順でシームレスベルト状の基材層(画像形成装置用樹脂ベルト)及び定着ベルトを作製した。
【0170】
<比較例4>
塗布液Aの調製手順を下記に変更し、第2の樹脂層のフィラーの含有量が1質量%となるように変更し、焼成後の第2の樹脂層の厚さを7μmとしたこと以外は実施例1と同一の手順でシームレスベルト状の基材層(画像形成装置用樹脂ベルト)及び定着ベルトを作製した。
-塗布液Aの調製-
N-メチル-2-ピロリドン(NMP)100質量部に対して、ポリアミック酸溶液(実施例1と同一)100質量部及びカーボンナノチューブ(昭和電工株式会社製)を0.18質量部添加して混合することで塗布液Aを調製した。
【0171】
<実施例9~実施例11>
塗布液A及び塗布液Bに含まれるカーボンナノチューブを下記のフィラーに変更したこと以外は実施例8と同一の手順でシームレスベルト状の基材層(画像形成装置用樹脂ベルト)及び定着ベルトを作製した。
・実施例9:アスペクト比が2.5であるカーボンナノチューブ(昭和電工社製)
・実施例10:アスペクト比が3であるカーボンナノチューブ(昭和電工社製)
・実施例11:アスペクト比が100である炭化ケイ素(Haydale Technologies Inc社製)
【0172】
<実施例12~実施例15>
焼成後の第2の樹脂層の厚さを7μmとし、(ベルト形成工程)において塗布液Aを塗布する円筒状基材の表面粗さRaの値を下記の通りに変更したこと以外は実施例1と同一の手順でシームレスベルト状の基材層(画像形成装置用樹脂ベルト)及び定着ベルトを作製した。
・実施例12:表面粗さRa0.20μm
・実施例13:表面粗さRa0.22μm
・実施例14:表面粗さRa1.6μm
・実施例15:表面粗さRa1.7μm
【0173】
<評価>
各例で得られた定着ベルトを、画像形成装置(富士フイルムビジネスイノベーション社製:Versant 3100 Press)の定着装置に加熱ベルトとして装着し、下記評価を行った。
【0174】
(定着性の評価)
画像形成装置により、画像濃度30%のハーフトーンの定着画像をA4用紙に連続して10枚出力し、10枚目の画質を目視にて評価した。
評価基準は、以下の通りである。
A:ネイルスクラッチにて厚み350gsm紙まで定着画像の剥がれなし
B:ネイルスクラッチにて厚み256gsm紙まで定着画像の剥がれなし
C:ネイルスクラッチにて厚み204gsm紙まで定着画像の剥がれなし
D:ネイルスクラッチにて厚み204gsm紙で定着画像の剥がれあり
【0175】
(対向部材摩耗性の評価)
画像形成装置を用いて、A4用紙に10%ハーフトーン画像を連続出力した。出力枚数10万枚毎に対向部材(定着ベルトの内周面と接する部材)を取り外し、対向部材の定着ベルトと接触していた部分をレーザー顕微鏡(キーエンス社製VK-X)で観察し、未使用時からの凹凸高さ減少率を算出した。
なお、凹凸高さ減少率は以下の通り算出する。
使用前の対向部材の3次元高さ測定を行い、凹部と凸部の高低差を5カ所測定して平均凹凸高さを算出する。画像形成装置を用いた連続出力後に再度、対向部材の3次元高さ測定を行い、使用前と同様にして凹凸高さを算出し、使用前後の算出値から凹凸高さ減少率を算出する。
評価基準は以下の通りである。
A:凹凸高さ減少率が20%以下。
B:凹凸高さ減少率が20%を超え40%以下。
C:凹凸高さ減少率が40%を超え60%以下。
D:凹凸高さ減少率が60%を超える。
【0176】
(屈曲耐久性の評価)
画像形成装置を用いて、A4用紙に10%ハーフトーン画像を連続出力した。出力枚数2万枚毎に定着ベルトを取り外し、取り出した定着ベルトの亀裂や破断の有無を目視にて確認した。
屈曲耐久性は、以下の基準で評価した。
A:30万枚まで、定着ベルトの亀裂や破断が見られなかった。
B:20万枚以上30万枚未満で、定着ベルトの亀裂や破断が見られた。
C:10万枚以上20万枚未満で、定着ベルトの亀裂や破断が見られた。
D:10万枚未満で、定着ベルトの亀裂や破断が見られた。
【0177】
【表1】
【0178】
表1中の説明を以下に記載する。
・フィラー含有量(質量%):第1の樹脂層の下欄中に記載された数値は「第1の樹脂層中における、第1の樹脂層全体に対するフィラーの含有量」を表す。第2の樹脂層の下欄中に記載された数値は「第2の樹脂層中における、第2の樹脂層全体に対するフィラーの含有量」を表す。
・フィラー種:CNTはカーボンナノチューブを表す。
・樹脂層比率(第2/基材)(%):樹脂基材層の厚さに対する、第2の樹脂層の厚さを表す。
【0179】
表1中、樹脂基材層が単層である場合、フィラー種、アスペクト比、フィラー含有量(質量%)、及び厚さ(μm)は「第1の樹脂層」の下欄に記載する。
【0180】
上記結果から、本実施例の駆動した場合における画像形成装置用樹脂ベルトの内周面と接する部材の摩耗を抑制する画像形成装置用樹脂ベルトが提供されることがわかる。
【0181】
(((1))) フィラーを含む樹脂基材層を有し、
前記樹脂基材層の内周面側のフィラー露出面積が0.1%以下である画像形成装置用樹脂ベルト。
(((2))) 前記樹脂基材層が、
前記フィラーの含有量が、3質量%以上30質量%以下である第1の樹脂層と、
前記フィラーの含有量が、0質量%以上0.1質量%以下である第2の樹脂層と、を有する(((1)))に記載の画像形成装置用樹脂ベルト。
(((3))) 前記第2の樹脂層が前記フィラーを含まない(((2)))に記載の画像形成装置用樹脂ベルト。
(((4))) 前記第2の樹脂層の厚さが、前記樹脂基材層の厚さに対して、10%以下である(((2)))又は(((3)))に記載の画像形成装置用樹脂ベルト。
(((5))) 前記フィラーのアスペクト比が3以上である(((1)))~(((4)))のいずれか1つに記載の画像形成装置用樹脂ベルト。
(((6))) 前記アスペクト比が3以上のフィラーがカーボンナノチューブである(((5)))に記載の画像形成装置用樹脂ベルト。
(((7))) 樹脂ベルトの熱伝導率が0.8W/mK以上である(((1)))~(((6)))のいずれか1つに記載の画像形成装置用樹脂ベルト。
(((8))) 前記樹脂基材層の内周面側の表面粗さRaが0.2μm以上1.5μm以下である(((1)))~(((7)))のいずれか1つに記載の画像形成装置用樹脂ベルト。
(((9))) フィラーを含む樹脂基材層を有し、
前記樹脂基材層が、
前記フィラーの含有量が、3質量%以上30質量%以下である第1の樹脂層と、
前記フィラーの含有量が、0質量%以上0.1質量%以下である第2の樹脂層と、
を有する、画像形成装置用樹脂ベルト。
(((10))) (((1)))~(((9)))のいずれか1つに記載の画像形成装置用樹脂ベルトと、前記ベルト上に順次設けられた弾性層及び表面層と、を有する定着ベルト。
(((11))) 第1回転体と、前記第1回転体の外面に接触して配置される第2回転体と、を備え、
前記第1回転体及び前記第2回転体の少なくとも一方が(((10)))に記載の定着ベルトであり、
トナー像が表面に形成された記録媒体を前記第1回転体と前記第2回転体との接触部に挿通して前記トナー像を定着する定着装置。
(((12))) 像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記像保持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
トナーを含む現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
前記トナー像を前記記録媒体に定着する、(((11)))に記載の定着装置から構成される定着手段と、
を備える画像形成装置。
【0182】
(((1)))に係る発明によれば、フィラーを含む樹脂基材層を有する画像形成装置用樹脂ベルトにおいて、前記樹脂基材層の内周面側のフィラー露出面積が0.1%を超える場合と比較して、画像形成装置用樹脂ベルトを駆動した場合における画像形成装置用樹脂ベルトの内周面と接する部材の摩耗を抑制する画像形成装置用樹脂ベルトが提供される。
(((2)))に係る発明によれば、前記樹脂基材層が、前記フィラーの含有量が、3質量%以上30質量%以下である第1の樹脂層と、前記フィラーの含有量が、0.1質量%を超える第2の樹脂層と、を有する場合と比較して、画像形成装置用樹脂ベルトを駆動した場合における画像形成装置用樹脂ベルトの内周面と接する部材の摩耗を抑制する画像形成装置用樹脂ベルトが提供される。
(((3)))に係る発明によれば、前記第2の樹脂層が前記フィラーを含む場合と比較して、画像形成装置用樹脂ベルトを駆動した場合における画像形成装置用樹脂ベルトの内周面と接する部材の摩耗を抑制する画像形成装置用樹脂ベルトが提供される。
(((4)))に係る発明によれば、前記第2の樹脂層の厚さが、前記樹脂基材層の厚さに対して、10%を超える場合と比較して、画像形成装置用樹脂ベルトの熱伝導率が高く、定着性に優れる画像形成装置用樹脂ベルトが提供される。
(((5)))に係る発明によれば、前記フィラーのアスペクト比が3未満である場合と比較して、画像形成装置用樹脂ベルトの熱伝導率が高く、定着性に優れる画像形成装置用樹脂ベルトが提供される。
【0183】
(((6)))に係る発明によれば、前記アスペクト比が3以上のフィラーが窒化ホウ素である場合と比較して、画像形成装置用樹脂ベルトを駆動した場合における画像形成装置用樹脂ベルトの内周面と接する部材の摩耗を抑制する画像形成装置用樹脂ベルトが提供される。
(((7)))に係る発明によれば、樹脂ベルトの熱伝導率が0.8W/mK未満の樹脂ベルトと比較して熱伝導率が高く、定着性に優れる画像形成装置用樹脂ベルトが提供される。
(((8)))に係る発明によれば、前記樹脂基材層の内周面側の表面粗さRaが0.2μm未満又は1.5μmを超える場合と比較して、画像形成装置用樹脂ベルトを駆動した場合における画像形成装置用樹脂ベルトの内周面と接する部材の摩耗を抑制する画像形成装置用樹脂ベルトが提供される。
(((9)))に係る発明によれば、フィラーの含有量が異なる2つの樹脂層を有するフィラーを含む樹脂基材層を含む画像形成装置用樹脂ベルトにおいて、フィラーの含有量が少ない樹脂層のフィラーの含有量が、当該樹脂層全体に対して、0.1質量%を超える場合と比較して画像形成装置用樹脂ベルトを駆動した場合における画像形成装置用樹脂ベルトの内周面と接する部材の摩耗を抑制する画像形成装置用樹脂ベルトが提供される。
(((10)))に係る発明によれば、フィラーを含む樹脂基材層を有し、前記樹脂基材層の内周面側のフィラー露出面積が0.1%を超える画像形成装置用樹脂ベルトを備える場合又はフィラーの含有量が異なる2つの樹脂層を有するフィラーを含む樹脂基材層を含み、フィラーの含有量が少ない樹脂層のフィラーの含有量が、当該樹脂層全体に対して、0.1質量%を超える画像形成装置用樹脂ベルトを備える場合と比較して定着ベルトを駆動した場合に耐久性に優れる定着ベルトが提供される。
(((11)))又は(((12)))に係る発明によれば、フィラーを含む樹脂基材層を有し、前記樹脂基材層の内周面側のフィラー露出面積が0.1%を超える画像形成装置用樹脂ベルトを備える場合又はフィラーの含有量が異なる2つの樹脂層を有するフィラーを含む樹脂基材層を含み、フィラーの含有量が少ない樹脂層のフィラーの含有量が、当該樹脂層全体に対して、0.1質量%を超える画像形成装置用樹脂ベルトを備える場合と比較して定着ベルトを駆動した場合における定着ベルトの内周面と接する部材の摩耗を抑制する定着ベルトを備えた定着装置又は画像形成装置が提供される。
【符号の説明】
【0184】
60 定着装置
62 加圧ベルト
63 ベルト走行ガイド
64 押圧パッド
64a 前挟込部材
64b 剥離挟込部材
65 保持部材
66 ハロゲンランプ
68 摺動部材
69 感温素子
70 剥離部材
71 剥離爪
72 保持部材
80 定着装置
82 摺動部材
84 加熱ベルト
86 定着ベルトモジュール
88 加圧ロール
89A ハロゲンヒータ
89 加熱押圧ロール
90A ハロゲンヒータ
90 支持ロール
92A ハロゲンヒータ
92 支持ロール
94 姿勢矯正ロール
96 支持部材
98 支持ロール
100 画像形成装置
110 定着ベルト
110A 基材
110B 弾性層
110C 表面層
図1
図2
図3
図4