(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024001058
(43)【公開日】2024-01-09
(54)【発明の名称】チョコレート製品、成分、プロセス、及び使用
(51)【国際特許分類】
A23G 1/32 20060101AFI20231226BHJP
【FI】
A23G1/32
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023158734
(22)【出願日】2023-09-22
(62)【分割の表示】P 2019551361の分割
【原出願日】2019-02-01
(31)【優先権主張番号】18154926.2
(32)【優先日】2018-02-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】18166122.4
(32)【優先日】2018-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】18178071.9
(32)【優先日】2018-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2018/084848
(32)【優先日】2018-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】18212466.9
(32)【優先日】2018-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2018/084842
(32)【優先日】2018-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】590002013
【氏名又は名称】ソシエテ・デ・プロデュイ・ネスレ・エス・アー
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100140453
【弁理士】
【氏名又は名称】戸津 洋介
(74)【代理人】
【識別番号】100200540
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 祐子
(72)【発明者】
【氏名】フェストリング, ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】クシェル, ビアトリス
(72)【発明者】
【氏名】ヴィエラ, ホセリオ, バティスタ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本発明は、チョコレート製品の成分として、テオブロマ属の植物のパルプ又は当該パルプ抽出物から得ることができる組成物の使用を提供する。
【解決手段】テオブロマ属の植物由来のパルプ又はテオブロマ属の植物由来のパルプ抽出物を含むチョコレート製品であって、c.前記パルプ又はパルプ抽出物は、処理されて多糖類含有量が低減されており、及び、d.前記チョコレート製品は、前記チョコレート製品の1.0重量%~65重量%の前記パルプ又は前記パルプ抽出物の抽出物を含む、チョコレート製品を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
テオブロマ属の植物由来のパルプ又はテオブロマ属の植物由来のパルプ抽出物を含むチョコレート製品であって、
c.前記パルプ又はパルプ抽出物は、処理されて多糖類含有量が低減されており、及び、
d.前記チョコレート製品は、前記チョコレート製品の1.0重量%~65重量%の前記パルプ又は前記パルプ抽出物の抽出物を含む、
チョコレート製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規のチョコレート製品、当該製品で使用するための新規の成分、及び新規の成分の使用の分野に関する。
【0002】
更に、本発明は、脂肪ベースである高気温耐性付与剤組成物(tropicalizing agents’ compositions)、その調製方法、チョコレート又はその類似体の高気温耐性付与(tropicalizing)方法、及び高気温耐性付与剤を含むチョコレート又はチョコレートの類似体に関する。特に、本発明の方法における酵素の使用、並びに高気温耐性付与剤組成物及び本発明の製品へのそれらの組み込みに関する。
【背景技術】
【0003】
カカオ植物は、カカオリカー、カカオバター、及びカカオ粉末を提供するために使用されるカカオ種子を生産するために収穫されることが周知であるが、カカオポッドの他の部分は利用されない。
【0004】
カカオポッドは、外皮、パルプ、及びカカオ豆からなる。パルプは、ポッドを包囲する芳香のある湿潤した塊である。
【0005】
カカオ種子の一次加工では、パルプは、典型的には発酵によって除去され、微生物によって加水分解される。加水分解されたパルプは、業界で「液化物(sweatings)」として知られている。発酵中、パルプは、様々な微生物に基質を提供し、これがチョコレート風味の前駆物質の発生には不可欠であり、前駆物質は後に焙煎過程で完全に展開される。発酵にはパルプが必要であるが、多くの場合、必要以上のパルプが存在する。
【0006】
余剰分のパルプは、カカオゼリー、アルコール及び酢、ナタ、及び加工パルプを製造するために使用されてきた。制御された発酵及び蒸留により、液化物を、40%超のエタノールを含有するアルコールスピリッツにすることができる。生成されたアルコールを更に発酵させて、酢酸を生成することができる。
【0007】
カカオ液化物は、発酵によりナタを製造するのに好適な基質であることが示されており、このナタは、一般的にはココナツ水を発酵させることにより得られる生成物である。
【0008】
加えて、未加工のカカオパルプは、スムージー及びその他のいわゆる「健康」飲料を製造するために使用されている。
【0009】
しかし、糖不添加の菓子、特にチョコレート製品におけるカカオパルプ又はその抽出物の使用については知られておらず、本発明は、有利な特性を有する新規な製品を提供する。
【0010】
更に、従来法により製造されたチョコレートは、脂肪及びカカオバター由来の脂肪物質中に均質に分散された糖、カカオ固形物及びタンパク質(通常は乳由来)からなる。チョコレート類似体は、カカオバター脂肪の部分的/完全な代替として他の植物性脂肪を含む。多くの場合、連続脂肪相は乳脂肪も含む。
【0011】
カカオバターは、典型的には約28℃で軟化し始め、その結果、チョコレートの機械的強度が失われる。これは、熱帯諸国で頻繁に置かれる高い周囲温度では、チョコレートがべたつき、又は更にはふにゃふにゃに柔らかく(runny)なることを意味する。そのような状態になったチョコレートは、包装材に付着し、またかかる包装材を除去したときに崩れて、半液状の物質があとに残されがちである。このような物質は、清潔さを望む場合には多くの場合スプーンで食べるしかない。チョコレートによりエンローブされた製品は、典型的には、これらの条件下でエンローブの完全性(integrity)を失い、多くの場合、内容物が漏出し、別個の単位が包装内でくっついてまとまってしまう傾向がある。チョコレートはまた、涼しい条件下で保管され、食されたチョコレートに関係する重要な(及び楽しさを感じさせ得る)テクスチャ特性である「スナップ性」を失う。
【0012】
熱に対する耐性を有するチョコレートを製造しようとする試みは数多くある。当業者は、一般に、チョコレートに高気温耐性を付与する方法により耐熱性であるチョコレート又はチョコレート類似体を達成する方法に言及している。最も広く使用されているアプローチは、主に2つの群に分けることができる:1)高融点の脂肪を組み込むこと、及び2)スポンジとして作用し、脂肪を保持する、すなわち、脂肪が融解しても製品の構造を維持する糖結晶若しくはタンパク質粒子の3次元マトリクス又は網状組織を作製すること。この1世紀の間に、様々な方法が報告されている。
【0013】
チョコレートにおける高融点の脂肪の使用には、2つの主な欠点がある。すなわち多くの国では、食品規制により、チョコレートにカカオバターの置換物を使用することが制限されている。更に、チョコレート様製品中の高融点の脂肪は、好ましくない蝋様の口当たりを与える。
【0014】
元々は独国特許出願公開第389127号(1919年)に開示されているように、水又はポリオールをチョコレートに添加することによって糖結晶を増加させる多くの方法が記載されている。中国特許出願公開第409,603号(1962年)には、製造中に液体チョコレート塊に水を直接組み込むことで、粘度が急速に増加することが記述されている。その結果、材料を型に流し込むこと又はエンローブに使用することは不可能である。
【0015】
欧州特許第0688506号では、ポリオール又はポリオール/水と、ゲル化剤及びアルカリ又はアルカリ土類金属塩とを含むゲルの調製が記載されている。ゲルは、120℃の温度に加熱し、次いで液体窒素中で凍結させることによって製造され、その後で液体チョコレートに添加される。これらの従来技術の参照は、チョコレート塊への水の放出などの欠点を有しており、それらの欠点はプロセスの早期に発生し、典型的なエンローブプロセスに使用される材料に十分な程度の長さには遅延されず、水の分散及び放出は、最終製品において不快なざらざらした質感が生じるのを回避するのに十分に良好に制御されておらず、及び/又は安定性を提供するために必要とされる構造を十分に形作るためには、活性化又は不都合に長い保管時間が必要とされる。
【0016】
プロセスの多くは複雑であり、又は製造手順において更なる工程を必要とし、並びに/又は乳化剤及び/若しくはゲル化剤の使用を必要とする。このような薬剤の使用は、チョコレート製品が消費されるとき、不利な感覚刺激特性をもたらす。
【0017】
これらの方法及び多くの他の方法は、「クリーンラベル」ではない成分、すなわち、消費者に十分に受容されないポリオールの使用を採用する。
【0018】
本発明者は、驚くべきことに、本発明のパルプ又はその抽出物の使用により、好ましくは適切な酵素の活性を受けたときに、チョコレート又はチョコレート類似体への高気温耐性付与効果を達成することを見出した。
【0019】
開示される発明によれば、本発明の組成物は、液体チョコレート塊に組み込むことができ、通常の処理時間にわたって著しい粘度の増加を伴わずに、得られるチョコレートの耐熱性を改善する、高気温耐性付与剤として作用することができる。
【発明の概要】
【0020】
本発明は、テオブロマ属の植物由来のパルプ又はパルプ抽出物から得ることができる組成物を含むチョコレート製品に関する。本発明はまた、植物のテオブロマ属由来のパルプから得ることができる新規の組成物を提供する。
【0021】
本発明は、好ましくは、カカオパルプ又はカカオパルプ抽出物から得ることができる組成物を含む、好ましくは糖を添加していないチョコレート製品を提供する。
【0022】
本発明は、チョコレート製品に使用するための糖の置換物として、カカオパルプ又はカカオパルプ抽出物から得ることができる当該組成物の使用を提供する。
【0023】
本発明は、添加糖の低減又は完全な除去に関して有利な特性を提供し、甘味は天然の供給源から提供され、好ましくは、カカオポッドのチョコレートの風味に寄与する他の成分も含有する。
【0024】
したがって、本発明は、カカオマス、カカオバター、及び/又は、カカオ粉末の供給源に存在する天然に生じる糖を提供することによって、添加糖の代替物を提供する。
【0025】
更に、本発明は、チョコレート製造プロセスの、通常であれば廃棄されてしまう副生成物の使用を提供する。したがって、本発明は、持続可能性に関して利点を提供する。
【0026】
したがって、本発明は、
a.カカオパルプ又はカカオパルプ抽出物を処理して、多糖類含有量を低減させ、及び/又は、カカオパルプ又はカカオパルプ抽出物を処理して、pHを調整する、工程と、
b.工程a).の生成物を乾燥させる工程と、
を含む、方法により得られる組成物を提供する。
【0027】
本発明はまた、カカオパルプ又はカカオパルプ抽出物に由来する組成物の製造方法であって、
a.カカオパルプ又はカカオパルプ抽出物を処理して、多糖類含有量を低減させ、及び/又はカカオパルプ、又はカカオパルプ抽出物を処理して、pHを調整する、工程と、
b.工程a).の生成物を乾燥させる工程と、
を含む、方法を提供する。
【0028】
本発明はまた、チョコレート製品、好ましくはチョコレートの製造方法であって、
a.テオブロマ属の植物由来のパルプ、好ましくはカカオパルプ、又はテオブロマ属の植物由来のパルプ抽出物、好ましくはカカオパルプ抽出物を処理して、多糖類含有量を低減させ、及び/又は、テオブロマ属の植物由来のパルプ、好ましくはカカオパルプ、又はテオブロマ属の植物由来のパルプ抽出物、好ましくはカカオパルプ抽出物を処理して、pHを調整する、工程と、
b.工程a.の生成物を乾燥させる工程と、
c.工程b.の生成物を、チョコレート製品中に存在する少なくとも1種の他の成分と組み合わせる工程と、
を含む、方法を提供する。
【0029】
本発明の一態様によれば、チョコレート製品中の高気温耐性付与剤として、テオブロマ属の植物由来のパルプ、好ましくはカカオパルプ、又はテオブロマ属の植物由来のパルプ抽出物、好ましくはカカオパルプ抽出物の使用が提供される。
【0030】
別の態様では、本発明は、高気温耐性付与剤として、前処理された(すなわち、チョコレート製品に組み込む前に処理が実施された)ものの使用を包含する。
【0031】
なお更なる態様では、本発明は、チョコレート又はチョコレート類似体の完全性、熱安定性、又は形状保持を高めるのに十分な量の高気温耐性付与剤組成物を含むチョコレート又はチョコレート類似体を包含する。
【0032】
本明細書で使用される用語「高気温耐性付与」、「高気温耐性の付与方法」、及びその変形は、チョコレート又はチョコレート類似製品における熱及び形状耐性を達成するための本発明の方法及びプロセスを指す。
【0033】
本明細書で使用される用語「高気温耐性付与製品」及びその変形は、熱及び形状耐性を有する本発明のチョコレート及びチョコレート類似体製品を指す。
【0034】
有利には、本発明の高気温耐性付与剤組成物は、食品成分から調製することができ、乳化剤、ゲル化剤、又は他の添加剤の使用を必要としない。多くの国における食品規制は、チョコレートへの人工添加剤の添加を制限又は禁止するため、有利には、高気温耐性付与剤組成物は、チョコレートへの使用に好適である。
【0035】
有利には、本発明は、室温より高い温度、例えば40℃以下の温度、及び更にはより高温で、改善された形状安定性を示すチョコレート製品を提供する。
【0036】
チョコレート製品は、接触しても乾燥しており、脂肪組成物の融解範囲を超える温度に曝された場合であっても、その包装材に付着しない、又は包装材に合わせて変形しない。
【0037】
有利には、一般的な高気温耐性を付与したチョコレートにはなく、通常のチョコレートにはある、良好な質感及び感覚刺激特性が保持される。
【0038】
加えて、以下に記載されるように、本発明のパルプ及び/又はパルプ抽出物の前処理は、前処理をしていない単純に乾燥したパルプと比較した場合に、チョコレート製品を製造する際の加工条件及び感覚刺激特性、例えば口当たりに関して利点を提供する。
【0039】
したがって、本発明は、チョコレート製品への追加の添加剤を必要とせずに、熱安定性、加工困難性、及び感覚刺激特性に関連する問題を解決する。
【0040】
具体的には、本発明は、特許請求の範囲に記載される組成物、方法、及び使用を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】実施例8のGC-MSデータを示す図である。
【
図2】実施例9のGC-MSデータを示す図である。
【
図3】実施例10のGC-MSデータを示す図である。
【
図4】実施例20からのブルーム発生の結果を示す図である。
【
図5-1】実施例20からのブルーム発生の結果を示す図である。
【
図5-2】実施例20からのブルーム発生の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
パルプ
本発明で使用するためのパルプは、テオブロマ属の植物、テオブロマ・アングスティフォリウム(Theobroma angustifolium)、テオブロマ・ビコロール(Theobroma bicolor)(モキャンボ)、テオブロマ・カカオ、テオブロマ・カヌマネンセ(Theobroma canumanense)、テオブロマ・グランディフローラム(Theobroma grandiflorum)(クプアス)、テオブロマ・マンモスム(Theobroma mammosum)、テオブロマ・ミクロカルプム(Theobroma microcarpum)、テオブロマ・オボバツム(Theobroma obovatum)、テオブロマ・シミアリウム(Theobroma simiarum)、テオブロマ・スペシオスム(Theobroma speciosum)、テオブロマ・スティプラツム(Theobroma stipulatum)、テオブロマ・サブインカヌム(Theobroma subincanum)、及びテオブロマ・シルベスタ(Theobroma sylvestre)、を含む植物属から得られる。好ましくは、パルプは、カカオ、クプアス、及びモキャンボ、並びにこれらの混合物から、好ましくはカカオから選択される。
【0043】
以下に記載される実施形態は、好ましい実施形態のカカオに関して言及されるが、テオブロマ属のすべての他の植物のパルプにも等しく適用可能である。
【0044】
本発明において、用語「パルプ」は、それぞれの豆の粘液様コーティングに関する。本発明において、用語「カカオパルプ」はまた、例えば粉末の形態の乾燥されたカカオパルプも包含する。しかし、例えば、用語「乾燥されたカカオパルプ」が使用される場合、カカオパルプは、乾燥されたカカオパルプに限定される。カカオパルプの供給源は特に限定されず、すべての既知の種類のカカオポッドがパルプを提供し得る。しかし、カカオパルプの糖の含有量は可能な限り高いことが好ましい。
【0045】
本発明では、用語「抽出物」は、一般的な辞書の意味、すなわち、カカオパルプの1つ以上の成分を含む、カカオパルプの一部であるという意味を有し、元のカカオパルプの1つ以上の成分が除去された抽出物を提供している。本発明では、カカオパルプ中に存在する水は抽出物であると解釈されず、すなわち、カカオパルプ抽出物は水ではない。本発明の一実施形態では、カカオパルプ抽出物は粉末の形態であり、すなわち、カカオパルプ抽出物を乾燥させて水を除去している。
【0046】
本発明の好ましい実施形態では、カカオパルプ又はカカオパルプ抽出物から得られる組成物が乾燥される。残存含水量は、以下に定義される。
【0047】
以下に記載される実施形態では、カカオパルプ抽出物が定義され、記載される成分は、当然ながら元のカカオパルプ中に存在するものであり、すなわち添加されるものではない。
【0048】
一実施形態では、カカオパルプ抽出物は、
a.カカオパルプ若しくはカカオパルプ抽出物(この抽出物は、この方法で調製される抽出物とは異なる)を処理して、多糖類含有量を低減させ、及び/又は、カカオパルプ、又はカカオパルプ抽出物を処理して、pHを調整する、工程と、
b.工程a.の生成物を乾燥させる工程と、
を含む、方法により得られる組成物であり得る。
【0049】
本発明の好ましい実施形態では、カカオパルプを上記で定義された方法によって処理し、カカオパルプ抽出物である組成物を提供する。したがって、以下の本出願において、用語「カカオパルプ抽出物」は、本発明の方法により得られる組成物を包含するために使用されるが、これらに限定されない。すなわち、本発明の組成物は、好ましくはカカオパルプ抽出物と見なされ得る。
【0050】
一実施形態では、本発明のパルプは発酵されない。
【0051】
好ましい実施形態では、本発明のパルプは、テオブロマ属の植物由来の豆の非存在下で、工程a.及び/又はb.で処理される。好ましい実施形態では、処理されたパルプは、テオブロマ属の植物由来の豆、好ましくはホール豆と混合されない。好ましい実施形態では、処理されたパルプは、テオブロマ属の植物由来の豆、好ましくはホール豆と混合されない。好ましい実施形態では、処理されたパルプは、テオブロマ属の植物由来のニブと混合されない。
【0052】
好ましい実施形態では、本発明のカカオパルプは、ホールカカオ豆及び/又はカカオニブの非存在下で、工程a.及び/又はb.で処理される。
【0053】
本発明の一実施形態では、糖を含むカカオパルプ抽出物が提供される。
【0054】
一実施形態では、糖は、単糖類(例えば、フルクトース、フコース、ガラクトース、グルコース及び/若しくはラムノース)、二糖類(例えば、ラクトース、マルトース及び/若しくはスクロース)並びに/又はオリゴ糖類(例えば、20糖単位未満、10糖単位未満、又は8糖単位未満)を含み、ここでは糖は「カカオ糖(cocoa sugar)」と定義される。カカオパルプ又はカカオパルプ抽出物中に存在する好ましい糖としては、スクロース、グルコース又はフルクトース、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0055】
一実施形態では、カカオパルプ抽出物の糖は、グルコース、スクロース、及びフルクトース、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される糖を含み、ここではかかる糖は「カカオ糖」と定義される。カカオ糖は、カカオポッドの種類に基づいて、含有量及び性質が変化し得る。
【0056】
本発明の一実施形態では、カカオパルプ抽出物又は乾燥されたカカオパルプは、抽出物又はパルプの総重量に基づいて、20.0重量%~100重量%、より好ましくは30.0重量%~99.75重量%、より好ましくは30.0重量%~99.50重量%、より好ましくは30.0重量%~99.25重量%、より好ましくは40.0重量%~95.0重量%のカカオ糖を含む。
【0057】
本発明の実施形態では、例えば、カカオパルプ抽出物又は乾燥されたカカオパルプは、抽出物又はパルプの総重量に基づいて、50.0重量%~95.0重量%、より好ましくは60.0重量%~95.0重量%、より好ましくは65.0重量%~90.0重量%、より好ましくは65.0重量%~85.0重量%、より好ましくは65.0重量%~80.0重量%のカカオ糖を含む。
【0058】
一実施形態では、カカオパルプ抽出物又は乾燥されたカカオパルプ中のカカオ糖は、有意な量のスクロースを含み、好ましくは大部分がスクロースである。一実施形態では、糖成分のスクロース含有量は、糖成分の重量(すなわち、全糖含有量)に基づいて、35.0重量%超、より好ましくは40.0重量%超、より好ましくは45.0重量%超、より好ましくは50.0重量%超、より好ましくは55.0重量%超、より好ましくは60.0重量%超である。
【0059】
一実施形態では、カカオ糖成分は、糖成分スクロースの90.0重量%未満、好ましくは85.0重量%未満、より好ましくは80.0重量%未満、より好ましくは75.0重量%未満である。
【0060】
上記の実施形態では、カカオ糖は、グルコース、フルクトース、又はグルコースとフルクトースとの混合物を含み、好ましくは、グルコース、フルクトース及びスクロースの合計は、カカオ糖成分の95.0重量%超、より好ましくは97.5重量%超、より好ましくは98.5重量%超、より好ましくは99.0重量%超、より好ましくは100重量%に等しい。
【0061】
代替的な実施形態では、カカオパルプ抽出物又は乾燥カカオパルプ中のカカオ糖は、有意な量のグルコース及びフルクトースを含み、好ましくは大部分がグルコース及びフルクトースである。一実施形態では、糖成分のグルコース及びフルクトース含有量は、糖成分の重量に基づいて、45.0重量%超、より好ましくは50.0重量%超、より好ましくは55.0重量%超である。例えば、65.0重量%超、75.0重量%超、80.0重量%超、又は85.0重量%超である。
【0062】
一実施形態では、カカオ糖成分は、100重量%のグルコース及びフルクトースからなる、又は99.0重量%未満、好ましくは95.0重量%未満のグルコース及びフルクトースを含む。例えば、92.0重量%未満、90.0重量%未満、87.0重量%未満、85.0重量%未満、又は75.0重量%未満である。
【0063】
一実施形態では、カカオ糖成分は、糖成分の重量に基づいて、45.0重量%~100重量%、好ましくは55.0重量%~100重量%、好ましくは60.0重量%~100重量%又は80.0重量%~99.0重量%のグルコースとフルクトースとの組み合わせを含む。
【0064】
一実施形態では、糖成分のフルクトース含有量は、糖成分の重量(すなわち、全糖含有量)に基づいて、15.0重量%超、より好ましくは20.0重量%超、より好ましくは25.0重量%超、より好ましくは30.0重量%超、35.0重量%超、40.0重量%超である。
【0065】
一実施形態では、カカオ糖成分は、75.0重量%未満、好ましくは70.0重量%未満、より好ましくは65.0重量%未満、より好ましくは60.0重量%未満の糖成分フルクトースを含む。
【0066】
一実施形態において、カカオ糖成分は、20.0重量%~75.0重量%、好ましくは30.0重量%~60.0重量%のフルクトースを含む。
【0067】
一実施形態では、糖成分のグルコース含有量は、糖成分の重量(すなわち、全糖含有量)に基づいて、15.0重量%超、より好ましくは20.0重量%超、より好ましくは25.0重量%超、より好ましくは30.0重量%超、35.0重量%超、40.0重量%超である。
【0068】
一実施形態では、カカオ糖成分は、75.0重量%未満、好ましくは70.0重量%未満、より好ましくは65.0重量%未満、より好ましくは60.0重量%未満の糖成分グルコースを含む。
【0069】
一実施形態において、カカオ糖成分は、20.0重量%~75.0重量%、好ましくは30.0重量%~60.0重量%のグルコースを含む。
【0070】
上記の実施形態では、カカオ糖の残部はスクロースを含み、好ましくは糖の残部はスクロース、ラクトース、マルトース、ガラクトース、又はこれらの組み合わせを含む。
【0071】
好ましい実施形態では、カカオパルプ又はカカオパルプ抽出物の糖成分は、0.10重量%~50.0重量%、又は5.0重量%~50.0重量%のスクロースを含み、糖成分は、カカオパルプ又はカカオパルプ抽出物の20.0重量%~100重量%を構成し、好ましくはカカオパルプ又はカカオパルプ抽出物は乾燥させる。
【0072】
好ましい実施形態では、カカオパルプ又はカカオパルプ抽出物の糖成分は、45.0重量%~100.0重量%、又は45.0重量%~99.0重量%のフルクトース及びグルコースを含み、糖成分は、カカオパルプ又はカカオパルプ抽出物の20.0重量%~100重量%を構成し、好ましくはカカオパルプ又はカカオパルプ抽出物は乾燥させる。
【0073】
好ましい実施形態では、上記の糖含有量は、HPAEC-PAD(パルスドアンペロメトリ検出器を用いた高性能陰イオン交換クロマトグラフィ、High-Performance Anion-Exchange Chromatography with Pulsed Amperometric Detection)を使用して得られる。好ましい分析方法は、実施例の項に定義される。
【0074】
本発明の一実施形態では、カカオパルプ抽出物は、繊維、ヒドロコロイド、タンパク質、酸、ポリフェノール、フェノールポリマー、多糖類、メチルキサンチン及び抗酸化剤(列挙される他の成分に包含されるもの以外)を含むリストから選択される更なる成分を含む。好ましい実施形態では、これらはカカオパルプの固有成分であり、別々に添加されない。
【0075】
本発明の一実施形態では、カカオパルプ抽出物は、フェノール酸、カテキン、エピカテキン、及びプロアントシアニジンからなるリストから選択される成分を含む。
【0076】
本発明の一実施形態では、カカオパルプ抽出物はペクチンを含む。一実施形態では、以下に記載されるように、カカオパルプを処理して、好ましくは部分的に又は本質的にすべてのペクチンを除去し、任意に、好ましくは部分的に他の多糖類を除去する。
【0077】
本発明の一実施形態では、カカオパルプ抽出物はリグニンを含む。
【0078】
本発明の一実施形態では、カカオパルプ抽出物は、セルロース又はヘミセルロース、及びこれらの組み合わせを含む。一実施形態では、以下に記載されるように、カカオパルプを処理して、好ましくは部分的に又は本質的にすべてのセルロース又はヘミセルロース及びこれらの組み合わせを除去し、任意に、好ましくは部分的に他の多糖類を除去する。
【0079】
本発明の一実施形態では、カカオパルプ抽出物は、カフェイン、テオブロミン、及びテオフィリンからなるリストから選択される成分を含む。
【0080】
本発明の一実施形態では、カカオパルプ抽出物は、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸及びアスコルビン酸、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される酸を含む。
【0081】
本発明の一実施形態では、繊維は食物繊維を含む。
【0082】
好ましい実施形態では、食物繊維は不溶性食物繊維及び可溶性食物繊維を含む。
【0083】
好ましい実施形態では、不溶性食物繊維は、セルロース、ヘミセルロース、又はこれらの組み合わせを含む。好ましい実施形態では、可溶性食物繊維はペクチンを含む。
【0084】
好ましい実施形態では、食物繊維、好ましくは不溶性成分及び可溶性成分を合わせた平均重合度は、12超、好ましくは20超、好ましくは30超、好ましくは40超である。一実施形態では、食物繊維の平均重合度は、100未満、好ましくは75未満である。例えば、40~75である。一実施形態では、平均重合度は、SEC-MALS(サイズ排除クロマトグラフィ-多角度光散乱検出器)を使用して得られる。例えば、試料はDMSOに部分的に溶解させた。
【0085】
一実施形態では、乾燥されたパルプ又はパルプ抽出物は、抽出物又はパルプの総重量に基づいて、0.0重量%~80.0重量%、0.25重量%~70.0重量%、0.5重量%~70.0重量%、0.75重量%~60.0重量%、より好ましくは5.0重量%~60.0重量%の食物繊維を含む。
【0086】
一実施形態では、上記の割合は、本発明の方法によって前処理されていない乾燥されたパルプ又はパルプ抽出物に関する。好ましい実施形態では、乾燥されたパルプ又はパルプ抽出物中の食物繊維の量は、多糖類含有量を低減させるための処理、好ましくはセルラーゼ及び/又はペクチナーゼによる処理のため、より少量の食物繊維からなる。以下に記載されるように、本発明の処理による多糖類の量の低減は、より大きい多糖類をより小さい多糖類、オリゴ糖(好ましくは3~8糖類又は3~10糖類)、及び/又は二糖類/単糖類に分解するものである。
【0087】
したがって、本発明の一実施形態では、乾燥されたパルプ又はパルプ抽出物は、乾燥されたパルプ又はパルプ抽出物の重量に基づいて、30.0重量%未満、好ましくは20.0%重量未満、好ましくは15.0%重量%未満、又は好ましくは10.0%重量%未満、5.0%重量%未満、又は2.5%重量%未満の食物繊維を含む。例えば、0.0%~20.0重量%の食物繊維、又は0.25%~10.0重量%の食物繊維、又は0.25%~5.0重量%の食物繊維である。
【0088】
一実施形態では、乾燥されたパルプ又は乾燥されたパルプ抽出物中の総食物繊維及びその画分は、Journal of AOAC International,Volume 102,Number 1,January-February 2019,pp.196-207(12)に記載されている酵素的重量測定法であるRapid Integrated Total Dietary Fiber法によって測定される。
【0089】
本発明の一実施形態では、カカオパルプ抽出物は、繊維成分及び酸成分を含み、繊維成分の量は、パルプ抽出物において糖成分よりも30重量%以上少ない。
【0090】
したがって、本発明の一実施形態では、乾燥されたパルプ又はパルプ抽出物は、20.0重量%~100重量%の単糖類、二糖類及び/又はオリゴ糖類からなる糖と、0.0重量%~80.0重量%の食物繊維と、0.0%~10%の酸成分と、0.0%~10%の水と、を含む(すべての%は乾燥されたパルプ又は抽出物の重量による)。好ましい実施形態では、食物繊維成分は、20重量%未満、好ましくは5.0重量%未満である。
【0091】
一実施形態では、本発明のチョコレート製品は、カカオポッドに由来する更なる成分、例えば、カカオパウダー又はカカオ外皮繊維(可溶性食物繊維及び不溶性食物繊維)を含む製品を含む。一実施形態では、追加の成分は、カカオパルプ又はカカオパルプ抽出物の担体として提供される。一実施形態では、追加の成分は、本発明の組成物の調製前にカカオパルプ又はカカオパルプ抽出物と組み合わされる。
【0092】
本発明の一実施形態では、カカオパルプ抽出物、乾燥されたカカオパルプ抽出物又は乾燥されたカカオパルプは、10.0重量%未満、好ましくは8.0重量%未満、より好ましくは5.0重量%未満、より好ましくは2.0重量%未満、より好ましくは1.0重量%未満の水を含む。一実施形態では、完全な脱水が達成されない可能性があり、したがって、含水量が、任意に、0.1%超、0.5%超又は1.0%超であることに留意されたい。
【0093】
本発明の一実施形態において、チョコレート製品は、チョコレート製品の重量に基づいて0.1重量%~5重量%、好ましくは0.5重量%~4.5重量%、より好ましくは0.75重量%~3.5重量%、より好ましくは水の1.0%~3.0%、最も好ましくは1.5%~2.75%を含む。
【0094】
好ましい実施形態では、上記の含水量は、例えば、実施例で指定された方法によって、カール・フィッシャー分析を使用して測定することができる。
【0095】
本発明の一実施形態では、カカオパルプ抽出物は、カカオパルプをカカオポッドから除去する工程と、熱処理する工程と、任意に濃縮する工程と、カカオパルプを乾燥させる工程とを含む方法によって調製される。
【0096】
一実施形態では、カカオパルプは、例えば、欧州特許第0442421号(Nestle SA)のプロセスによってカカオポッドから除去される。本発明の一実施形態でのカカオポッドからカカオパルプを除去する代替的な手段は、好ましくはブラシを装着した市販のパルパーの使用である。
【0097】
上記の実施形態では、熱処理工程は、非常に短期間(典型的には200秒以下、及び場合により典型的には50秒超)の高温(典型的には120℃~160℃)での処理に関し、いかなる微生物由来の汚染物質も不活性化して、当該原材料をヒトが消費するのに安全なものにする。あるいは、異なる温度、例えば、80℃~100℃、及び異なる時間、例えば10~25秒を使用してもよい。熱処理工程は、製品の分解を伴わずに低温殺菌が生じるのであれば、特に限定されない。
【0098】
一実施形態では、乾燥は、好ましくは、噴霧乾燥、真空乾燥、ドラム乾燥、オーブン乾燥、発泡乾燥、トレイ乾燥、流動床乾燥、結晶化乾燥(好ましくは、糖の種晶を使用する)又は真空凍結乾燥(凍結乾燥)を使用して実施される。
【0099】
一実施形態では、乾燥は、45℃超、好ましくは50℃超、好ましくは55℃超、及び60℃超で行われる。一実施形態では、乾燥は125℃未満、好ましくは100℃未満、好ましくは90℃未満、好ましくは85℃未満又は80℃未満で行われる。好ましい実施形態では、乾燥は45℃~100℃、より好ましくは45℃~85℃で行われる。
【0100】
一実施形態では、乾燥は、1時間超、好ましくは5時間超、好ましくは10時間超、15時間超又は20時間超で行われる。一実施形態では、乾燥は、72時間未満、好ましくは60時間未満、好ましくは50時間未満又は40時間未満で行われる。
【0101】
好ましい実施形態では、乾燥は、45℃~125℃及び1時間~72時間行われる。好ましくは、上記の範囲は、任意に真空を伴う又は伴わない、オーブン乾燥に関連する。
【0102】
一実施形態では、乾燥工程は、カカオパルプがカカオポッドの他の成分から単離された後、できるだけ早く行われる。
【0103】
好ましい実施形態では、カカオパルプ及び/又はカカオパルプ抽出物は、粉末、好ましくは乾燥された粉末の形態である。一実施形態では、粉末は、粒子径d50(好ましくは、試料中の粒子集団の50%がその値を下回る直径を有するという直径)を有し、好ましくは20~1000マイクロメートル、好ましくは200~800マイクロメートル又は20~150マイクロメートルの範囲である。例えば、100~1000マイクロメートル、25~100マイクロメートル又は35~200マイクロメートルである。好ましくは、マルバーンマスターサイザー2000、Method Scirocco 2000乾燥アタッチメント、フラウンホーファー回析理論を使用して、レーザー回折を使用して粒子径d50を測定する。
【0104】
あるいは、粒径は、メッシュによって測定され、例えば、18メッシュ(1000マイクロメートル)未満、20メッシュ(841マイクロメートル)未満、40メッシュ(420マイクロメートル)未満、100メッシュ(149マイクロメートル)未満、及び140メッシュ(105マイクロメートル)未満、625メッシュ(20マイクロメートル)、550メッシュ(25マイクロメートル)超、140メッシュ(105マイクロメートル)又は70メッシュ(210マイクロメートル)超の粒子径を有する。
【0105】
粉末は、標準的な精製方法、例えば、ミリング、ボールミル粉砕、ジェットミル粉砕、2、3又は5ロール精製機を使用して、乾燥されたカカオパルプ又は乾燥されたカカオパルプ抽出物から得ることができる。一実施形態では、粉末はチョコレート製品の製造プロセス、例えばチョコレートを調製するためのコンチングプロセスにおいて更に精製されてもよい。
【0106】
カカオパルプが新鮮であるうちに処理することが好ましいが、一実施形態では、カカオパルプを取り出した時点で、その後の処理までに新鮮さを確保するため冷凍してもよい。この凍結は、当該技術分野において既知の、野菜及び果実を凍結させるための標準的な機器によって行われてもよい。本発明の方法における任意の時点で凍結が使用される場合、カカオパルプ又はカカオパルプ抽出物は、好ましくは本発明の製品に組み込む前に、続いて解凍される。
【0107】
一実施形態では、カカオパルプ又はカカオパルプ抽出物を処理して、多糖類含有量を低減させて、本発明の組成物を得る。
【0108】
多糖類という用語は、そのようなポリマーの辞書的定義、すなわち、互いに結合した多数の分子からなる炭水化物を指し、好ましくは多糖類は、8個超の糖単位、10単位超、又は20単位超、及び任意に1000単位未満、又は750単位未満を有する。
【0109】
この用語は、例えば、ヘテロ多糖類及びホモ多糖類、直鎖及び非直鎖の両方を包含する。
【0110】
好ましい実施形態では、多糖類含有量の低減は、元の多糖類の分解を意味し、例えば、ペクチン、セルロースなどの、より小さい多糖類、オリゴマー、及び/又は二糖類/単糖類への分解を意味する。この分解により、多糖類の分子量分布の変化がもたらされ、すなわち、より大きい多糖類がより小さい化合物へと分解されることによって多糖類の分子量が低減させられる。
【0111】
理論に束縛されるものではないが、多糖類含有量、好ましくはペクチン及び/又はセルロースの低減により、本発明の製品を摂食する際に起こるなんらかのゲル化及び/又は「ジャム化(jamming)」効果が低減する。
【0112】
一実施形態では、カカオパルプ又はカカオパルプ抽出物を処理して、粘度を変更し、好ましくは粘度を低下させる。
【0113】
一実施形態では、粘度は、未処理の試料の粘度に対して、20%超、好ましくは40%超、より好ましくは60%超、より好ましくは80%超、より好ましくは90%超低減される。一実施形態では、粘度は、98%未満、95%未満、75%未満又は70%未満低減される。本発明の一実施形態では、粘度は20%~98%低減され、すなわち、処理された試料の粘度は未処理の試料の粘度と比較して低減される(低減度が大きくなるほど、%が高くなる)。粘度の測定方法を実施例に示す。これは相対値であるため、使用する方法は特に重要ではない。しかし、好ましくは、粘度はセンチポアズで測定される動的粘度である。粘度を測定するための好ましい特定の方法は、ラピッド・ビスコ・アナライザーを使用する実施例に示す。
【0114】
酵素を用いる処理により、チョコレート製品、好ましくは本発明の組成物を含有するチョコレートの口当たりが改良される。
【0115】
一実施形態では、カカオパルプ又はカカオパルプ抽出物は、加水分解され、多糖類含有量が低減される。
【0116】
一実施形態では、カカオパルプ又はカカオパルプ抽出物の処理により、単糖類及び/又は二糖類及び/又はオリゴ糖類含有量が増加され得る。
【0117】
一実施形態では、カカオパルプ抽出物の製造プロセスは、カカオパルプ又はカカオパルプ抽出物を酵素で処理することを含む。一実施形態では、酵素での処理により、カカオパルプ又はカカオパルプ抽出物の粘度が低減される。本発明の態様は、組成物を製品に加工することに関して利点を提供し、及び/又は過度に粘性の原材料を使用することにより生じ得る望まれない感覚刺激特性を除去する。
【0118】
一実施形態では、多糖類含有量を低減し、及び/又は粘度を変更するための処理は、機械的又は物理的に、例えば遠心分離によって、好ましくはデキャンティング遠心分離機で行うことができる。この処理は、パルプ中に存在する多糖類を除去するために使用され得る。
【0119】
一実施形態では、酵素処理の温度は、20℃~75℃、例えば30℃~65℃、55℃~75℃、又は30℃~55℃である。
【0120】
一実施形態では、使用される酵素の量は、カカオパルプ又はカカオパルプ抽出物の10mg/L~250mg/L、好ましくは25mg/L~200mg/L、好ましくは50mg/L~150mg/Lである。
【0121】
一実施形態では、使用される酵素の量は、カカオパルプ又はカカオパルプ抽出物の1.0g/L~200g/L、好ましくは2.0g/L~100g/L、好ましくは5.0g/L~50g/Lである。
【0122】
一実施形態では、使用される酵素の量は、カカオパルプ又はカカオパルプ抽出物の0.05mL/kg~200mL/kg、0.1mL/kg~200mL/kg、1.0mL/kg~200mL/kg、好ましくは2.0mL/kg~100mL/kg、好ましくは5.0mL/kg~50mL/kg、より好ましくは5.0mL/kg~20mL/kg、又は0.1mL/kg~10mL/kgである。
【0123】
一実施形態では、使用される酵素の量は、カカオパルプ又はカカオパルプ抽出物の重量の0.10%~20%、好ましくは0.20%~10%、より好ましくは0.5%~5.0%である。
【0124】
上記量は、存在するすべての酵素に関し、すなわち、カカオパルプ又はカカオパルプ抽出物に対して使用される酵素の総量に関する。
【0125】
一実施形態では、上記の割合は、カカオパルプ又はカカオパルプ抽出物の固形分含有量に基づき10%~75%であり、好ましくはカカオパルプの総固形分含有量に基づき10%~20%である。
【0126】
一実施形態では、酵素での処理プロセスは、10分~20時間、10分~10時間、10分~8時間、10分~6時間、15分~4時間、15分~2時間、又は30分~2時間実行される。
【0127】
一実施形態では、処理されたカカオパルプ又はカカオパルプ抽出物が保存され、懸濁された粒子が沈殿し、好ましくは、これは、2.0℃~10.0℃の温度であり、好ましくは、12時間~72時間の期間(例えば、3.0℃~5.0℃で24時間~60時間)である。一実施形態では、処理されたカカオパルプ又はカカオパルプ抽出物は、その後、果物パルプ加工の分野で既知の濾過技術を用いて濾過され、精製された生成物が得られる。
【0128】
一実施形態では、カカオパルプ又はカカオパルプ抽出物を処理して、ペクチン及び/又はセルロースを、好ましくは酵素での処理によって除去又は分解する。
【0129】
一実施形態では、カカオパルプ又はカカオパルプ抽出物は、ペクチナーゼ、例えばEC4.2.2.10(CAS9033-35-6)、EC3.2.1.15(CAS9032-75-1)、EC3.1.1.11(CAS9025-98-3)、EC 4.2.2.9又はEC4.2.2.2(CAS9015-75-2)及びこれらの混合物で処理される。
【0130】
更なる実施形態では、ペクチナーゼ以外の酵素を使用してもよく、又は酵素の混合物を使用してもよい。一実施形態では、使用される酵素は、リグニン改質酵素及びカルボヒドラーゼ(例えば、アラバナーゼ/アラビナナーゼ、セルラーゼ、β-グルカナーゼ、ヘミセルラーゼ及びキシラナーゼ)並びにこれらの混合物を含む群から選択され得る。
【0131】
一実施形態では、カカオパルプ又はカカオパルプ抽出物は、セルラーゼ、例えばEC3.2.1.4、EC3.2.1.91又はEC3.2.1.21、又はEC3.2.1.99及びこれらの混合物で処理される。
【0132】
ペクチナーゼは、1)ペクチン、ペクチン酸、又はオリゴ-ガラクツロン酸が基質である、2)ランダム切断型(エンド型、液化又は脱重合酵素)又は末端切断型(エキソ型又は糖化酵素)である、及び3)加水分解又はトランス位脱離により作用するものであるかどうか、といった点で分類される。好ましい実施形態では、使用される酵素は、ペクチンエステラーゼ、ポリメチルガラクツロナーゼ(エキソ又はエンド)、ポリガラクツロナーゼ(エキソ又はエンド)、ポリメチルガラクツロネートリアーゼ(エキソ又はエンド)、ポリガラクツロネートリアーゼ(エキソ又はエンド)、及びプロトペクチナーゼ(例えば、エンド-1.5-α-L-アラビナーゼ)及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0133】
一実施形態では、任意の乾燥工程及び/又は濃縮工程の前又は後のいずれかに、カカオパルプ又はカカオパルプ抽出物に酵素を添加する。一実施形態では、酵素の添加は、カカオパルプ中に元々存在している酵素がすべて不活性化されている加工工程後に行われる。
【0134】
一実施形態では、酵素の選択及び反応条件は、処理される基質に対して最適化され得る。例えば、ある種のペクチナーゼは、酸性pHで最適に動作し、他はアルカリ性pHで最適に動作することが周知である(例えば、参照により組み込まれるTable 2,Pectinases:Enzymes for fruit processing industry,International Food Research Journal 21(2):447-453(2014)を参照されたい)。
【0135】
一実施形態では、使用されるペクチナーゼの量は、カカオパルプ又はカカオパルプ抽出物の10mg/L~250mg/L、好ましくは25mg/L~200mg/L、好ましくは50mg/L~150mg/Lである。
【0136】
一実施形態では、使用されるペクチナーゼの量は、カカオパルプ又はカカオパルプ抽出物の1.0g/L~200g/L、好ましくは2.0g/L~100g/L、好ましくは5.0g/L~50g/Lである。
【0137】
一実施形態では、使用されるペクチナーゼの量は、カカオパルプ又はカカオパルプ抽出物の0.05mL/kg~200mL/kg、0.1mL/kg~200mL/kg、1.0mL/kg~200mL/kg、好ましくは2.0mL/kg~100mL/kg、好ましくは5.0mL/kg~50mL/kg、より好ましくは5.0mL/kg~20mL/kg、又は0.1mL/kg~10mL/kgである。
【0138】
一実施形態では、使用されるペクチナーゼの量は、カカオパルプ又はカカオパルプ抽出物の重量の0.10%~20%、好ましくは0.20%~10%、より好ましくは0.5%~5.0%である。
【0139】
上記の量は、存在するすべてのペクチナーゼに関し、すなわち酵素の混合物を使用する場合、カカオパルプ又はカカオパルプ抽出物に対して使用されるペクチナーゼの総量に関する。
【0140】
一実施形態では、ペクチナーゼは、パルプ1グラム当たり0.50U~1.50U、例えばパルプ1グラム当たり0.75U~1.25Uの活性を有する。
【0141】
適切な場合、酵素は、1000PGNU/mL~30000PGNU/mL、2000PGNU/mL~10000PGNU/mL、例えば3000PGNU/mL~8500PGNU/mLの活性を有し得る。
【0142】
適切な場合、酵素は、50PTF~500PTF、例えば、60PTF~400PTFの活性を有し得る。
【0143】
適切な場合、酵素は、2000~20000マイクロモル/分/g、例えば、3000~12000マイクロモル/分/gのポリガラクツロナーゼ活性を有し得る。
【0144】
本発明で使用され得る様々なペクチナーゼの活性は、列挙された既知の標準によって規定される。ポリガラクツロナーゼ単位(PGNU)は、標準条件下(酢酸緩衝液、pH4.5、40℃、10分の反応時間、540nm)で1mgのガラクツロン酸ナトリウム塩を生成する酵素の量として定義され、基質1mL当たりに与えられる、又は酢酸緩衝液中、pH4.5、40℃でポリガラクツロン酸から1分間当たり1マイクロモルのガラクツロン酸を放出するのに必要とされる酵素の量として定義され、酵素1mL又は1g当たりに与えられる(好ましくは、後者の方法が使用される)。それに対応して、ペクチンエステラーゼ単位(PEU)活性は、標準条件(30℃、pH4.5)下で1分間当たり1マイクロ当量の水酸化ナトリウムを消費する酵素の量である。ペクチンリアーゼ単位(PLU)は、上記の条件であるが、45℃、pH5.5で、1分で1マイクロモルのデルタ-4,5不飽和生成物を形成する結合したエンド-α-1-4ガラクツロノシジル(C6メチルエステル)の分割を触媒する酵素の量である。PTF単位活性は酵素活性に対応し、これは、0.5%ペクチン溶液中、pH5.8及び30℃で235nmで、1分後の0.01の抽出の増加をもたらす。
【0145】
本発明の一実施形態では、本発明の処理プロセスで使用される酵素は、例えば、Ultrazym(登録商標)AFP-L(例えば、Novo Nordisk Ferment Ltd)、Rohament(登録商標)PL、Rohapect(登録商標)TPL又はPTF(AB ENZYMES)、Novozyme(登録商標)33095,Pectinex(登録商標)Ultra AFP、UF、Ultra Colour又はUltra Clear(Novozymes A/S)、Neopectinase PL1(登録商標)(Novozymes A/S)、ペクチンリアーゼ1A(Nzytech)、Depol 793(Biocatalyst)、Rapidase(登録商標)Fibre(DSM)及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0146】
一実施形態では、カカオパルプ又はカカオパルプ抽出物は、ペクチナーゼ以外の他の酵素、又はペクチンと別の酵素との混合物で処理されてもよい。他の酵素は、カカオパルプ中に存在する他の多糖類(例えば、グルカン、セルロース、ヘミセルロース、アラビナン、及び/又は、β-1,4-キシラン)に対する活性を有し得る。
【0147】
一実施形態では、使用されるセルラーゼの量は、カカオパルプ又はカカオパルプ抽出物の0.05mL/kg~200mL/kg、0.10mL/kg~150mL/kg、好ましくは0.1.0mL/kg~100mL/kg、好ましくは5.0mL/kg~50mL/kg、より好ましくは5.0mL/kg~20mL/kg、又は0.1mL/kg~10mL/kgである。
【0148】
一実施形態では、使用される酵素の量は、カカオパルプ又はカカオパルプ抽出物の重量の0.10%~20%、好ましくは0.20%~10%、より好ましくは0.5%~5.0%である。
【0149】
上記の量は、存在するすべてのセルラーゼに関し、すなわち酵素の混合物を使用する場合、カカオパルプ又はカカオパルプ抽出物に対して使用されるセルラーゼの総量に関する。
【0150】
一実施形態では、上記の割合は、カカオパルプ又はカカオパルプ抽出物の固形分含有量に基づき10%~75%であり、好ましくはカカオパルプの総固形分含有量に基づき10%~20%である。
【0151】
本発明で使用され得る様々なセルラーゼの活性は、列挙された既知の標準によって規定される。1単位のセルラーゼ単位(U)は、pH4.6及び40℃で1分間当たり1.25マイクロモルのグルコース当量を放出させる酵素の量として定義される。1単位のセルロース分解ユニット(ACU)は、グアーガム溶液の粘度の低減に基づいて決定される。好ましい実施形態では、活性は、400~3000マイクロモル/分/g、例えば、500~2500マイクロモル/分/gである。
【0152】
本発明の一実施形態では、本発明の処理プロセスで使用される酵素は、例えば、セルラーゼ13L(Biocatalysts)、セルラーゼCE-3、セルラーゼFG濃縮物(Enzyme Development Corporation)、Cellulosin GMY、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0153】
一実施形態では、酵素処理は、少なくとも2種のカルボヒドラーゼ、任意に、少なくとも3種のカルボヒドラーゼ、任意に少なくとも4種のカルボヒドラーゼ、及び任意に20未満のカルボヒドラーゼ、又は10未満のカルボヒドラーゼを使用して実施されてもよい。
【0154】
一実施形態では、酵素の混合物は、60FBGU超、任意に75FBGU超の活性で使用される。任意に、活性は、180FBGU未満、任意に150FBGU未満、及び任意に125FBGU未満である。例えば、60FBGU~180FBGUである。1単位の真菌β-グルカナーゼ単位(FBGU)は、真菌β-グルカンを加水分解し、30℃、pH5.0で1分間当たり1μモルのグルコースに相当する還元糖にする酵素量である。
【0155】
一実施形態では、カカオパルプ又はカカオパルプ抽出物は、1時間~7時間、好ましくは2時間~5時間、酵素の混合物で処理される。
【0156】
一実施形態では、カカオパルプ又はカカオパルプ抽出物は、アラバナーゼ、セルラーゼ、β-グルカナーゼ、ヘミセルラーゼ、及びキシラナーゼを含む広範なカルボヒドラーゼを含有する多酵素複合体である、Viscozyme L(Novozymes A/S)で処理される。
【0157】
一実施形態では、処理に使用される酵素は、好ましくはカカオパルプ及び/又はカカオパルプ抽出物の任意の乾燥前に不活性化させてもよい。この不活性化には、任意の好適なプロセス、例えば、80~110℃で、好ましくは2分~10分間、例えば5分間での処理を使用することができる。
【0158】
一実施形態では、カカオパルプ又はカカオパルプ抽出物を処理してpHを上昇させ、例えば、カカオパルプをアルカリ塩又は塩基で処理する。化合物の性質は特に限定されないが、好ましくは食品等級の化合物である。好ましい実施形態では、カカオパルプは、pHを増加させるために、モノ/ジ/トリナトリウム/カリウム/カルシウムホスフェート、モノ/ジアンモニウムホスフェート、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、又は炭酸カリウム、及びこれらの混合物などの化合物で処理される。
【0159】
一実施形態では、アルカリ塩又は塩基は、カカオパルプ又はカカオパルプ抽出物の0.10重量%超、好ましくは0.15重量%超、好ましくは0.20重量%超の量でカカオパルプ又はカカオパルプ抽出物と混合される。一実施形態では、アルカリ塩又は塩基は、カカオパルプ又はカカオパルプ抽出物の1.25重量%未満、好ましくは1.0重量%未満、好ましくは0.90重量%未満、例えば、0.10重量%~1.25重量%、0.20重量%~0.90重量%又は0.25重量%~0.85重量%の量でカカオパルプ又はカカオパルプ抽出物と混合される。
【0160】
一実施形態では、上述したように、カカオパルプのpHは、2.75~4.0、任意に、3.3~4.0又は3.0~3.7(全て20℃で測定)を超える範囲より高くなるように増加し、例えば、pHは、4.5超、5.0超、5.5超又は6.0超に増加する。例えば、pHは増加しているが、8.0以下、7.5以下又は7.0以下又は6.5以下又は6.0以下である。
【0161】
好ましい実施形態では、pHを増加させるための剤を、水溶液又はスラリーとしてパルプに添加する。好ましい実施形態では、水中の剤の濃度は、5g/100mL~50g/100mL、好ましくは10g/100mL~30g/100mLである。好ましくは、水溶液又はスラリーとして剤を添加することにより、高濃度の剤が添加されたときにパルプの粘度を増加させ得る望ましくないゲル化は生じない。
【0162】
一実施形態では、酵素処理は、pHを増加させる処理の後に行われる。代替的な実施形態では、酵素処理は、pH処理の前に実施される。
【0163】
一実施形態では、酵素処理は、パルプのpHが3.3~6.0、好ましくは4.25~5.0であるときに実行される。
【0164】
代替的な実施形態では、pH処理は、透析(イオン交換)を用いて行われる。例えば、欧州特許第0049497号(Nestle SA)に開示されている方法を使用する。
【0165】
一実施形態では、この方法は、抽出物の糖含有量を最大化するための、カカオパルプの処理を含む。一実施形態では、この処理は、二糖類、三糖類、オリゴ糖類及び/若しくは多糖類を消費して単糖類の量を増加させる、又は多糖類を消費して三糖類及び/又はオリゴ糖類含有量を増加させるためのものである。一実施形態では、この処理は酵素処理であってもよい。
【0166】
本発明の一実施形態は、以下の工程:カカオポッドの非パルプ化、パルプの低温殺菌(例えば、熱処理)、任意に酵素処理、並びに/又は任意にアルカリ化処理及び乾燥(好ましくは凍結乾燥、真空乾燥、若しくは噴霧乾燥)を含む。好ましい実施形態では、カカオポッドの非パルプ化、パルプの低温殺菌(例えば、熱処理)、酵素処理並びに/又はアルカリ化処理及び乾燥(好ましくは凍結乾燥、真空乾燥、若しくは噴霧乾燥による)を含む方法が提供される。低温殺菌工程は、プロセス中の任意の適切な時点であってもよく、例えば、酵素処理の後であってもよい。
【0167】
本発明の一実施形態は、以下の工程:非パルプ化、任意の凍結、任意の解凍、酵素処理、任意の低温殺菌、アルカリ化及び乾燥を含む。
【0168】
本発明の一実施形態は、以下の工程:非パルプ化、凍結、解凍、酵素処理、低温殺菌、アルカリ化及び乾燥を含む。
【0169】
本発明の一実施形態は、以下の工程:非パルプ化、任意の凍結、任意の解凍、アルカリ化、酵素処理、低温殺菌及び乾燥を含む。
【0170】
本発明の一実施形態は、以下の工程:非パルプ化、凍結、解凍、アルカリ化、酵素処理、低温殺菌及び乾燥を含む。
【0171】
上記実施形態では、アルカリ化工程はpHの調整に関連し、酵素処理の前又は後、好ましくは後に生じ得る。
【0172】
本発明は、添加糖の低減又は完全な除去に関して有利な特性を提供し、甘味は天然の資源からもたらされ、カカオポッドのチョコレートの風味に寄与する他の成分も含有する。
【0173】
添加糖に関して、一実施形態では、用語「添加糖」は、標準的な栄養規定を有する、加工された糖、例えば白砂糖又はブラウンシュガーを包含する精製糖を指す。好ましくは、Regulation(EC)No 1924/2006に列挙されるように、本発明は糖が添加されていないチョコレート製品に関し、製品は、添加された単糖類若しくは二糖類、又は成分に元々自然に存在する糖以外の甘味特性のために使用される他の食品を含まない。
【0174】
したがって、本発明は、カカオマス、カカオバター、及び/又は、カカオ粉末の供給源に存在する天然に生じる糖を提供することによって、添加糖の代替物を提供する。したがって、本発明は、天然糖を含有する、糖を添加していないチョコレート製品を提供する。
【0175】
上記のように、本発明は熱安定性に関して有利な特性を提供する。
【0176】
好ましい実施形態では、これらの特性は、熱安定性を改善するために通常使用される追加のゲル化剤、乳化剤及び/又は保湿剤を必要とせずに提供され、好ましくは本発明のチョコレート製品はそのような添加剤を実質的に含まず、好ましくはそのような添加剤を含まない。好ましい実施形態では、本発明のチョコレート製品は保湿剤、好ましくは食品等級の保湿液を実質的に含まず、好ましくは含まない。例示的な保湿剤としては、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロールなどのポリオール及びソルビトール、キシリトール、マルチトール、マンニトールなどの糖アルコール、又はそれらの任意の混合物が含まれる。特定の除外によれば、保湿液はポリオールである。一部の除外によれば、保湿液はグリセロールである。別の除外によれば、保湿液はプロピレングリコールである。しかし、糖アルコールなどの他のポリオールが想定されている。
【0177】
本発明の高気温耐性を付与されたチョコレート及びチョコレート類似物は、暑い気候により頻繁に又は急速にチョコレート、チョコレート類似物の融解が起こる熱帯諸国で有利に使用することができる。例えば、薄くて急速に溶けやすいコーティング及び被覆物を含むチョコレート類似物は、本発明の高気温耐性付与剤を用いて驚くべきことに有利に形成することができる。本発明の高気温耐性付与食品は、包装から滑らかに滑り出て、かつ消費中に消費者の指に食品が残ることがないように、非粘着性のままである。
【0178】
好ましい実施形態では、熱安定特性は、本発明の実施例に示されるような熱衝撃試験及び機械的衝撃試験により証明される。例えば、SRI(形状保持指数=(l1×w1)/(l2×w2)、式中、l1及びw1は加熱前のバーの長さと幅であり、l2及びw2は熱衝撃試験及び機械的衝撃試験後のサンプルを完全に含む最小の長方形領域の長さと幅の寸法である)で示される。
【0179】
本発明の範囲内で、0.65超、好ましくは0.70超、好ましくは0.75超のSRIは、望ましい熱安定性特性を示す。SRIは1を超えることはできず、つまり、l1とw1はl2とw2より大きくなることはない。
【0180】
更に、本発明は、ブルームの発生を遅らせることにより、改善された熱安定特性を示す。チョコレートのブルームは、チョコレートの表面に現れ得る2種類の白っぽいコーティング:チョコレートの脂肪結晶の変化によって起こるファットブルーム、及び砂糖に水分が作用すると結晶が形成されることによるシュガーブルームのいずれかである。ファットブルーム及びシュガーブルームは、チョコレートの外観を損ない、その貯蔵寿命を制限する。「ブルーム化した」チョコレートは、食べても安全である(砂糖の含有量から保存の効く食品であるため)が、食欲をそそらない外観と表面の質感を有する。
【0181】
好ましい実施形態では、パルプ又はパルプ抽出物の含有量を増加させることにより、ブルームの開始を更に遅らせることができることが見出された。したがって、好ましい実施形態では、チョコレート製品、好ましくはチョコレートは、チョコレート製品、好ましくはチョコレートの15重量%~65重量%、好ましくは20%~60%、より好ましくは22.5%~50%、より好ましくは25%~45%、例えば25%~40%又は30%~40%のパルプ(好ましくは乾燥された)又はパルプ抽出物(好ましくは乾燥されたもの)を含む。
【0182】
理論に拘束されることを望まないが、本発明の処理により、未処理のパルプ及びパルプ抽出物の使用と比較した利点を提供する糖類の分布がもたらされると考えられる。これは、熱安定性とブルーム特性をもたらし、また製造における未処理のパルプを超える利点、感覚刺激特性、好ましくは未処理のパルプを超える口当たりを提供する。
【0183】
チョコレート製品
本発明の一般的な製品
本発明は、本発明の材料を含む新規のチョコレート製品を提供する。
【0184】
一実施形態では、本発明の組成物は、有用には(本明細書で定義されるような)チョコレート製品であってもよく、より有用にはチョコレート又はチョコレートコンパウンドであってもよい。用いられ得る任意の他の法的規定とは無関係に、乳成分(粉ミルクなど)と共に、25重量%~35重量%のカカオ固形分含有量を含む本発明の組成物を、本明細書では非公式に「ミルクチョコレート」と略記することがある(この用語は、同量のカカオ固形物又はその代替物を有する他の類似のチョコレート製品も含む)。用いられ得る任意の他の法的規定とは無関係に、35重量%超のカカオ固形分含有量(最大100%(すなわち、純カカオ固形分))を含む本発明の組成物を、本明細書では非公式に「ダークチョコレート」と略記することがある(この用語は、同量のカカオ固形物又はその代替物を有する他の類似のチョコレート製品も含む)。
【0185】
本明細書中で使用する「チョコレート」という用語は、任意の管轄区域におけるチョコレートの法的規定を満たす任意の製品(及び/又はそれが製品である場合はその成分)を意味し、また、カカオバター(CB)のすべて又は一部を、カカオバター同等物(CBE)及び/又はカカオバター代替物(CBR)で置き換えられる製品(及び/又はその成分)も含む。
【0186】
いくつかの管轄では、コンパウンドは最小量のカカオ固形分の存在によって法的に規定され得るが、本明細書で使用するとき(文脈上明らかにそうでないと示さない限り)、用語「チョコレートコンパウンド」は、任意の量のカカオ固形物(カカオリカー/カカオマス、カカオバター及びカカオパウダーを含む)の存在によって特徴付けられるチョコレート様類似物を意味する。
【0187】
本明細書で使用するとき、用語「チョコレート製品」は、チョコレート、カカオバター(CB)、カカオバター同等物(CBE)、カカオバター代替物(CBR)及び/又はカカオバター置替物(CBS)含むコンパウンド及び他の関連材料を意味する。したがって、チョコレート製品は、チョコレート及び/又はチョコレート類似物に基づく製品を含み、したがって、例えば、ダークチョコレート、ミルクチョコレート、又はホワイトチョコレートに基づくことができる。
【0188】
文脈が明確に示さない限り、本発明において、任意の1つのチョコレート製品を何らかの他のチョコレート製品の代わりに使用することができ、チョコレートという用語もコンパウンドという用語も本発明の範囲を特定の種類のチョコレート製品に限定するものと見なされるべきではないことが理解されるであろう。好ましいチョコレート製品はチョコレート及び/又はコンパウンドを含み、より好ましいチョコレート製品はチョコレートを含み、最も好ましいチョコレート製品は、主要な管轄(ブラジル、EU及び/又は米国など)で法的に規定されるチョコレートを含む。
【0189】
本明細書で使用するとき、用語「チョココーティング」(「チョコシェル」とも呼称する)は、任意のチョコレート製品から作製されたコーティングを意味する。「チョコレートコーティング」及び「コンパウンドコーティング」という用語は、類推によって同様に定義することができる。同様に、用語「チョコ組成物(又は塊)」、「チョコレート組成物(又は塊)」及び「コンパウンド組成物(又は塊)」は、その成分(複数可)として全体又は一部にチョコレート製品、チョコレート及びコンパウンドをそれぞれ含む組成物(又は塊)を意味する。それらの成分次第では、かかる組成物及び/又は塊の規定は当然重複する可能性がある。
【0190】
本明細書で使用するとき、用語「チョコレート製品菓子」は、チョコレート製品及び任意に他の成分を含む任意の食品を意味し、したがって、チョコレート製品がチョココーティング及び/又は製品の大部分を占めるかどうかにかかわらず、菓子、ウエハース、ケーキ及び/又はビスケットなどの食品を指し得る。チョコレート製品菓子は、例えば、含有物、層、塊、片及び/又はドロップなどの任意の好適な形態のチョコレート製品を含んでもよい。菓子製品は、例えばクリスピー含有物、例えばシリアル(例えば、発芽米及び/又はトーストされた米)及び/又は乾燥果実片等の任意の他の好適な含有物を更に含有することができる。
【0191】
本発明のチョコレート製品は、菓子物品をコーティングするため、及び/又はより複雑な菓子製品を調製するために、タブレット及び/又はバーの成形に使用することができる。任意に、チョコレート製品菓子製品の調製に使用する前に、所望のレシピに従って含有物をチョコレート製品に添加してもよい。当業者には明らかであるように、場合によっては、本発明の製品は、対応する組成物及び/又は塊と同じレシピ及び原材料を有するが、他の場合には、特に含有物が添加されるか、又はより複雑な製品の場合には、製品の最終レシピは、それを調製するために使用される組成物及び/又は塊のレシピと異なる場合がある。
【0192】
本発明の非常に好ましい一実施形態では、チョコレート製品菓子製品は、実質的に固体の成形されたチョコタブレット、チョコバー、及び/又は相当量のチョコレート製品に覆われた焼成製品を含む。これらの製品は、例えば、チョコレート製品で型を実質的に充填し、任意に含有物及び/又は焼成製品をその中に加え、チョコレート製品を型から外す(いわゆるウェットシェリングプロセス)ことによって調製され、必要に応じて、更にチョコレート製品を型につぎ足すことによって調製される。本発明のこのような非常に好ましい製品では、チョコレート製品は、製品の実質的な部分若しくは製品の全体的な部分、及び/又は内部に焼成製品(ウエハース及び/又はビスケット積層体など)を取り囲む厚い外層、を形成する。成形型がチョコレートで実質的に充填されるそのような固体製品は、異なる課題を提示する成形された薄いチョコレートシェルを含む製品と対比されるべきである。薄くコーティングされたチョコレートシェルを調製するために、成形型はチョコレートの薄い層でコーティングされて、この成形型は、過剰なチョコレートを除去するために反転され、及び/又はコールドプランジャでスタンピングされて、シェル形状を画定し、成形型はほとんど空になる。このようにして成形型をチョコレートの薄い層でコーティングし、このコーティングに、更なる原材料やフィリングを添加して製品の内部ボディを形成することができる。
【0193】
本明細書で文脈が明確に示さない限り、本明細書で使用されるチョコレート製品菓子という用語は、本出願を通して使用されるチョコレート菓子という用語によって容易に置換され得、かかる用語と同等物であり、実際には本明細書で非公式に使用されるときこれら2つの用語は互換可能であることが当業者には理解されるであろう。しかし、本明細書に与えられる文脈においてこれらの用語の意味に違いがある場合、したがってチョコレート菓子及び/又はコンパウンド菓子は、本発明のチョコレート製品菓子の好ましい実施形態であり、好ましい実施形態はチョコレート菓子である。
【0194】
好ましいチョコレート製品菓子は、例えば、チョコレート製品(複数可)、コンパウンド製品(複数可)、チョコレートコーティング(複数可)、及び/又はコンパウンドコーティング(複数可)からなる群から選択される1つ以上の成分を含んでもよい。製品は、含有物の有無にかかわらずチョコバー(複数可)及び/又はチョコタブレット(複数可)などといったコーティングされていない製品、並びに/あるいはコーティングされたビスケット、ケーキ、ウエハース、及び/又は他の菓子物品などといったチョコレート製品でコーティングされた製品、を含んでもよい。より好ましくは、及び/又は代わりに、上記のもののいずれかは、1つ以上のカカオバター代替物(複数可)(CBR)、カカオバター同等物(複数可)(CBE)、カカオバター置換物(複数可)(CBS)、及び/又はそれらの任意の好適な混合物を含むことができる。
【0195】
チョコレート製品菓子では、カカオバター(CB)は、他の供給源からの脂肪で置き換えてもよい。かかる製品は、概ね、ラウリン酸脂肪(複数可)(例えばヤシの木の果実の核から得られるカカオバター置換物(CBS));非ラウリン酸植物性脂肪(複数可)(例えばパーム又は他の特殊脂肪をベースとするもの);カカオバター代替物(複数可)(CBR);カカオバター同等物(複数可)(CBE)及び/又はその任意の好適な混合物(複数可)からなる群から選択される1つ以上の脂肪(複数可)を含むことができる。いくつかのCBE、CBR、特にCBSは、主に飽和脂肪と非常に低レベルの不飽和オメガ3及びオメガ6脂肪酸(健康上の利点を有する)を含有し得る。したがって、一実施形態では、本発明のチョコレート製品菓子では、このような種類の脂肪はCBよりも好ましくない。
【0196】
本発明の一実施形態は、任意に多層製品を提供し、当該多層製品は、焼成食品(好ましくは1つ以上のウエハース及び/若しくは複数のビスケット層から選択される)の複数の層、及び/又はこれらの食品層の周囲に配置された少なくとも1つのコーティング層との間に存在する1つ以上のフィリング層を含み、コーティングは、本発明のチョコレート製品を含むか、又は本発明に従って調製される。
【0197】
本発明の更なる実施形態は、チョコレート(又はコンパウンドなどのその同等物)で更にコーティングされたチョコレート製品菓子製品、例えば、プラリネ、チョコレートシェル製品及び/又はチョコレートコーティングされたウエハース若しくはビスケットを提供し、それらのいずれかは層状であってもなくてもよい。チョコレートコーティングは、エンロービング又は成形等の任意の好適な手段によって適用又は作り出すことができる。コーティングは、本発明の又は本発明に従って調製されたチョコレート製品を含んでもよい。
【0198】
本発明の別の実施形態は、本発明の及び/又は本発明で使用されるチョコレート製品菓子製品を提供し、これは、例えば、プラリネ、チョコレートシェル製品などの外層によって覆われたフィリングを含む。
【0199】
本発明の別の好ましい実施形態では、食品は、少なくとも1つの層又はコーティングが本発明のチョコレート製品(例えば、チョコレート)であり、フィリングが間に挟まれた、複数の層のウエハース、チョコレート製品、ビスケット及び/又は焼成食品を含む多層コーティングチョコレート製品を含む。最も好ましくは、多層製品は、サンドイッチビスケット(複数可)、クッキー(複数可)、ウエハース(複数可)、マフィン(複数可)、押出スナック(複数可)及び/又はプラリネ(複数可)から選択されるチョコレート製品の菓子製品(例えば、本明細書に記載される)を含む。このような製品の一例は、フィリングで挟まれ、チョコレートでコーティングされた、焼成ウエハース及び/又はビスケット層の多層ラミネートである。
【0200】
本発明で使用される焼成品は甘くても、又は辛くてもよい。好ましい焼成品は、焼成されたグレイン食材を含むことができ、この用語には、シリアル及び/又は豆類を含む焼成食品を含む。焼成シリアル品がより好ましく、最も好ましくはウエハース及び/又はビスケットなどの焼成された小麦食品である。ウエハースは、平坦であってもよいし、又は(例えば、アイスクリーム用のコーン又はバスケットに)形作られてもよく、ビスケットはいろいろな形状を有してもよいが、好ましいウエハース及び/又はビスケットは、本発明の菓子フィリング(及び場合によっては果実ベースのフィリング)と一緒に有用にラミネートすることができるように、平坦である。より好ましいウエハースは、辛くないウエハースであり、例えば、甘い風味又はプレーンな風味を有するウエハースである。
【0201】
本発明のチョコレート製品を含む、及び/又は本発明で使用されるチョコレート組成物を含み得る、これらの可能な焼成食品の非限定的リストは、高脂肪ビスケット、ケーキ、パン、ペストリー及び/又はパイから選択され、例えば以下からなる群から選択される:ANZACビスケット、ビスコッティ、フラップジャック、クラビエ(kurabiye)、レープクーヘン、レケルリ(leckerli)、マカロン(macroon)、バーボンビスケット、バタークッキー、ダイジェスティブ・ビスケット、カスタードクリーム、押し出しスナック、フロランタン、ガリバルディ、ジンジャーブレッド、クロラキア(koulourakia)、コウラビエデス(kourabiedes)、リンツァートルテ、マフィン、オレオ、ナイスビスケット、ピーナツバタークッキー、ポルボロン、ピッツェル、プレッツェル、クロワッサン、ショートブレッド、クッキー、フルーツパイ(例えば、アップルパイ、チェリーパイ)、レモン・ドリズル・ケーキ、バナナブレッド、キャロットケーキ、ピーカンパイ、アップルシュトゥルーデル、バクラヴァ、ベルリーナ、ビション・オ・シトロン(bichon au citron)、及び/又は同様の製品。
【0202】
好ましくは、本発明のチョコレート製品及び/又は本発明により調製されたチョコレート製品は、1つ以上のコーティング及び/又はフィリングとして(成分の全体又は一部に)使用するのに好適であり得る。
【0203】
コーティング及び/又はフィリングは、複数の相、例えば、脂肪、及び/又は乳濁液、分散液、クリーム及び/又は泡などの水液相及び/又はガス状相などの、1つ以上の固相及び/又は液相を含むことができる。
【0204】
したがって、概して、本発明の更なる態様は、本明細書に記載のチョコレート製品を含む。
【0205】
本発明の尚更なる態様は、チョコレート製品菓子製品として及び/又はフィリングとして及び/又は本明細書に記載される本発明の食品のコーティングとしての、本発明のチョコレート製品又は本発明により調製されたチョコレート製品の使用を広く含む。
【0206】
本発明の特定の製品
本発明の一実施形態では、カカオパルプ及び/又はカカオパルプ抽出物が存在することで、従来知られているチョコレート製品とは区別されるチョコレート製品が得られる。
【0207】
好ましい実施形態では、本発明は、ペンタノールアセテート、好ましくは2-ペンタノールアセテートを含む組成物を提供し、好ましくは本発明は、ペンタノールアセテート、好ましくは2-ペンタノールアセテートを含むチョコレート製品、最も好ましくはペンタノールアセテート、好ましくは2-ペンタノールアセテートを含むチョコレート製品を提供する。
【0208】
好ましい実施形態では、本発明は、ヘプタノールアセテート、好ましくは2-ヘプタノールアセテートを含む組成物を提供し、好ましくは本発明は、ヘプタノールアセテート、好ましくは2-ヘプタノールアセテートを含むチョコレート製品、最も好ましくはヘプタノールアセテート、好ましくは2-ヘプタノールアセテートを含むチョコレート製品を提供する。
【0209】
好ましい実施形態では、チョコレート製品中、好ましくはチョコレート中に存在するフルフラールの量に対するペンタノールアセテート及びヘプタノールアセテートの合計量は、0.75:1.0超、好ましくは1.50:1超の比率、例えば、好ましくは、2.00:1.0超、3.00:1.0超、5.00:1.0超、又は6.50:1.0超の比率で存在する。好ましい実施形態では、チョコレート製品中、好ましくはチョコレート中に存在するリナロールの量に対するペンタノールアセテート及びヘプタノールアセテートの合計量は、10.0:1.0未満又は9.0:1.0未満の比率、例えば、0.75:1.0~10.0:1.0の比率で存在する。
【0210】
好ましい実施形態では、チョコレート製品中、好ましくはチョコレート中に存在するリナロールの量に対するペンタノールアセテート及びヘプタノールアセテートの合計量は、1.20:1.0超、好ましくは1.40:1.0超の比率、例えば、好ましくは、2.00:1.0超、3.00:1.0超、5.00:1.0超、又は6.50:1.0超の比率で存在する。好ましい実施形態では、チョコレート製品中、好ましくはチョコレート中に存在するリナロールの量に対するペンタノールアセテート及びヘプタノールアセテートの合計量は、12.0:1.0未満又は10.0:1.0未満の比率、例えば、1.20:1.0~12.0:1.0の比率で存在する。
【0211】
上記の結果は、好ましくは、GC-MS(ガスクロマトグラフィ質量分析法)、好ましくは、本明細書の実施例で設定されたGC-MSプロトコルを使用して得られる。上記の結果は、実施例で言及した標準に従って測定したときに、それぞれのピークのピーク面積から得ることができる。
【0212】
好ましい実施形態では、ペンタノールアセテートの量は、チョコレート製品中、好ましくはチョコレート中に、以下で定義される標準に対するピーク面積比が0.05:1.0超、好ましくは0.10:1.0超、好ましくは、0.20:1.0超の量、例えば0.25:1.0超、0.50:1.0超、又は1.0:1.0超となるような量で存在する。
【0213】
好ましい実施形態では、ペンタノールアセテートの量は、チョコレート製品中、好ましくはチョコレート中に、以下で定義される標準に対するピーク面積比が2.00:1.0未満、好ましくは1.75:1.0未満、好ましくは1.50:1.0未満の量、例えば0.75:1.0未満、0.30:1.0未満、又は0.25:1.0未満となるような量で存在する。上記の好ましい実施形態は、0.05:1.0~2.00:1.0のピーク面積比を有する。
【0214】
好ましい実施形態では、ヘプタノールアセテートの量は、チョコレート製品中、好ましくはチョコレート中に、以下で定義される標準に対するピーク面積比が0.03:1.0超、好ましくは0.05:1.0超、好ましくは、0.10:1.0超の量、例えば0.15:1.0超、0.20:1.0超、又は0.40:1.0超となるような量で存在する。
【0215】
好ましい実施形態では、ペンタノールアセテートの量は、チョコレート製品中、好ましくはチョコレート中に、以下で定義される標準に対するピーク面積比が1.00:1.0未満、好ましくは0.85:1.0未満、好ましくは、0.75:1.0未満の量、例えば0.65:1.0未満、0.60:1.0未満、又は0.50:1.0未満となるような量で存在する。上記の好ましい実施形態は、0.03:1.0~1.00:1.0のピーク面積比を有する。
【0216】
本発明の一実施形態では、チョコレート製品、好ましくはチョコレートは、チョコレート製品、好ましくはチョコレートの5重量%~65重量%、好ましくは10%~65%、より好ましくは15%~60%、より好ましくは20%~60%、例えば20%~55%、20%~40%、34%~58%又は37%~50%のカカオパルプ(好ましくは乾燥された)又はカカオパルプ抽出物(好ましくは乾燥された)を含む。
【0217】
本発明の一実施形態では、カカオパルプ又はカカオパルプ抽出物及びカカオマスを含む組成物が提供され、好ましくは、組成物中の一部(好ましくは全て)の糖はカカオパルプ又はカカオパルプ抽出物によって提供される。
【0218】
本発明の一実施形態では、カカオパルプ又はカカオパルプ抽出物が、好ましくは粉末の状態でチョコレート製品全体に分散している。好ましい実施形態では、カカオパルプ又はカカオパルプ抽出物は、チョコレート製品の連続脂肪相内に分散され、好ましくは、カカオバター相と共に分散される。好ましい実施形態では、カカオパルプ又はカカオパルプ抽出物は、チョコレート製品のカカオバターマトリクス中に分散された乾燥粉末である。
【0219】
本発明の一実施形態では、カカオパルプ、又はカカオパルプ抽出物は、含有物の形態であってよく、好ましくは、大きさは0.5~15.0mm、例えば1.0~10.0mmであってよい。一実施形態では、この粒径は、10個以上、好ましくは10の試料片に関して定規で測定され、肉眼で最も長い直径が評価され、平均される。
【0220】
好ましい実施形態では、含有物は、チョコレート製品の連続脂肪相内に分散され、好ましくはカカオバター相と共に分散される。
【0221】
あるいは、粉末及び/又は含有物はチョコレート製品のフィリング中に存在し得る。
【0222】
本発明の一実施形態では、カカオパルプ又はカカオパルプ抽出物は、チョコレート製品、好ましくはチョコレート中の糖の主な供給源であり、好ましくは、カカオ糖は、チョコレート製品、好ましくはチョコレート中の糖の60重量%超、好ましくは75%超、より好ましくは80%超、より好ましくは85%超、より好ましくは90%超、より好ましくは95%超、より好ましくは100%を構成する。
【0223】
本発明の一実施形態では、砂糖を添加しないカカオパルプ抽出物及びカカオマスを含む組成物が提供される。
【0224】
一実施形態では、チョコレート製品は、最終製品に応じて、チョコレート製品の0重量%~95重量%、好ましくは0重量%~85重量%のカカオマス、例えばチョコレート製品の45重量%~80重量%、5重量%未満又は8重量%~12重量%のカカオマスを含む。
【0225】
一実施形態では、チョコレート製品は、最終製品に応じて、チョコレート製品の0重量%~35重量%、好ましくは0重量%~30重量%のカカオバター、例えばチョコレート製品の6重量%~15重量%、5重量%未満又は20重量%~35重量%のカカオバターを含む。一実施形態では、カカオバターの添加は、カカオマス中に存在するものとは独立している。
【0226】
本発明の一実施形態において、チョコレート製品は、ミルクチョコレート、ダークチョコレート、及びホワイトチョコレートからなる群から選択される。
【0227】
本発明では、カカオマスは、カカオ固形分及びカカオバターのみから本質的になる。
【0228】
一実施形態では、カカオマスは、周囲温度(例えば、20℃)で、好ましくは固体又は半固体のカカオリカーである。一実施形態では、カカオリカーは、蒸気処理されてもよい。一実施形態では、カカオマスは、アリバカカオマスであってもよい。
【0229】
一実施形態では、組成物は、カカオマス及びカカオパルプ抽出物のみから本質的になるか、又はカカオマス及び乾燥されたカカオパルプのみから本質的になる。
【0230】
本発明において、用語「から本質的になる」は、少なくとも95.0重量%、より好ましくは少なくとも97.5重量%、より好ましくは少なくとも98.0重量%、及びより好ましくは少なくとも99.0重量%、好ましくは最大100.0重量%を意味する。
【0231】
一実施形態では、本発明は、カカオマス及びカカオパルプ抽出物からなるチョコレートを提供する。
【0232】
一実施形態では、組成物は、香味料、乳ベース成分、乳化剤、カカオバター、及び追加の糖からなる群から選択される少なくとも1つの成分、好ましくは乳ベース成分、乳化剤、及びカカオバターからなる群から選択される少なくとも1つの成分を更に含む。
【0233】
一実施形態では、組成物は、乳ベース成分、乳化剤、及びカカオバターからなる群から選択される少なくとも1つの成分、好ましくは乳ベース成分、乳化剤、及びカカオバターからなる群から選択される少なくとも1つの成分を更に含む。
【0234】
一実施形態では、カカオマスに加えてカカオバターが使用される場合、追加のカカオバターは、チョコレート製品組成物の20重量%未満、好ましくは15重量%未満及び好ましくは2.5重量%超、好ましくは5.0重量%超、例えば2.5重量%~20重量%の量で使用される。
【0235】
本発明の一実施形態では、乳ベース成分は、無脂肪乳固形分、乳粉末(任意に全クリームの、脱脂された又は半脱脂された)及び乳脂肪からなる群から選択される。一実施形態では、乳製品は、これらの既知の製品の製造のための標準的なパラメータにより噴霧乾燥され得る。
【0236】
一実施形態では、乳化剤は、レシチン、ポリグリセロールポリリシノレエート及びアンモニウムホスファチドからなる群から選択される。一実施形態では、乳化剤の量は、組成物の0.05~1.0重量%、好ましくは0.1重量%~0.5重量%であり得る。あるいは、乳化剤は存在しなくてもよい。
【0237】
一実施形態では、香味料は、典型的にチョコレートの製造に使用される任意のもの、例えば、バニラベース/バニラ抽出物(例えば、バニリン)又はヘーゼルナッツベース/ヘーゼルナッツ抽出物(例えば、ヘーゼルナッツペースト又はヘーゼルナッツ油)であってもよい。
【0238】
一実施形態において、組成物は含有物を含む。含有物は、当該技術分野において一般的に使用される任意のもの、例えば、フルーツベースの含有物、ナッツベースの含有物、穀物ベースの含有物及びヨーグルトベースの含有物であってもよい。含有物は、一般に使用される形態、例えば、チップ、フレークなどの形態をとることができる。含有物は、チョコレート製品の重量に基づいて2.5%~25%の量で存在し得る。
【0239】
一実施形態では、本発明は、ホワイトチョコレート組成物、例えば、10重量%~65重量%のカカオパルプ(好ましくは乾燥させたもの)又はカカオパルプ抽出物(好ましくは乾燥させたもの)と、20重量%~60重量%の乳粉末(任意に、全乳粉末と脱脂粉乳との混合物)と、を含む組成物に関する。
【0240】
特定の非限定的なチョコレートのレシピをここで説明する。以下のすべての実施形態において、百分率は、チョコレート製品全体の重量%に関する。
【0241】
一実施形態において、チョコレート製品組成物は、以下の成分を含む。
45~80%のカカオマス
10~55%の本発明のカカオパルプ抽出物
0~5%のカカオバター
0.0~0.5%のレシチン
【0242】
一実施形態において、チョコレート製品組成物は、以下の成分を含む。
8~12%のカカオマス
34~58%の本発明のカカオパルプ抽出物
18~25%のカカオバター
3.5~6.5%の乳脂肪
15~30%の乳粉末
0.3~0.5%のレシチン
【0243】
一実施形態において、チョコレート製品組成物は、以下の成分を含む。
37~50%の本発明のカカオパルプ抽出物
18~24%の無脂肪乳固形物
4~7%の乳脂肪
22~35%の(任意に脱臭された)カカオバター
20~40%の乳粉末
0.2~0.5%のレシチン
【0244】
本発明の一実施形態では、チョコレート製品は、当該技術分野において周知のカカオ豆の従来の発酵及び焙煎プロセスを含む方法により調製される。
【0245】
一実施形態では、テオブロマ属のポッドは、発酵されていない、不完全発酵である、又は完全発酵である。一実施形態では、上記の用語は、以下のように規定され得る。発酵は、通常、種類、供給源及びどの風味を供給させるかに応じて、2~6日間行われる。発酵されていないとは、意図的な発酵が起こらないことを意味し、不完全発酵とは発酵が2日未満であることを意味する。
【0246】
代替的な実施形態では、本発明のチョコレート製品は、焙煎されていない。焙煎されていないとは、組成物が非焙煎プロセスによって製造されることを意味し、組成物のカカオ固形物成分(カカオ豆、ニブなど)は、長時間(例えば、30分以上)にわたって高温(例えば、140℃以上、又は120℃以上)に供されていない。任意の機構によって束縛されることを望むものではないが、非焙煎プロセスでは、条件は、温度の高さが不十分である(好ましくは120℃未満、より好ましくは110℃以下、更により好ましくは100℃以下、最も好ましくは90℃以下、例えば80℃以下)及び/又は持続時間が十分に短い(好ましくは30分未満、より好ましくは20分未満、更により好ましくは10分未満、最も好ましくは5分未満であり、例えば4分未満)のどちらかであり、そのため、メイラード反応などの望ましくない化学反応は広範に展開されず、したがって、組成物に強い焙煎ノートを付与し得る有意な量の香味活性化合物は生成されないと考えられる。焙煎プロセス又は工程は、カカオ豆及び/又はニブなどの原材料を、非常に短い期間(典型的には200秒以下)にわたって高温(典型的には120℃~160℃)で処理し、微生物汚染物質を不活性化して、成分をヒトの消費に安全なものにすることができる、瞬間加熱などの処理と区別される。このような抗菌及び/若しくは脱細菌処理並びに/又は工程は、依然として、非焙煎プロセスの範囲内であると考えられる。
【0247】
したがって、本発明は、1つの供給源、すなわちカカオポッドからのチョコレート製品を提供する。
【0248】
したがって、本発明は、チョコレート製品の調製方法を提供し、チョコレート製品の成分は、好ましくは乾燥されたカカオパルプ、又はカカオパルプ抽出物と組み合わされる。
【0249】
好ましい実施形態では、本発明はまた、チョコレート製品の製造方法であって、
a.カカオパルプ又はカカオパルプ抽出物を処理して、多糖類含有量を低減させ、及び/又はカカオパルプ、又はカカオパルプ抽出物を処理して、pHを調整する、工程と、
b.工程a.の生成物を乾燥させる工程と、
c.工程b.の生成物を、チョコレート製品中に存在する少なくとも1種の他の成分と組み合わせる工程と、を含む、方法を提供する。
【0250】
好ましい実施形態では、上記の方法は、チョコレート製品、好ましくはチョコレートの調製に関し、少なくとも1種の他の成分はカカオマスである。
【0251】
本発明の一実施形態では、すべての成分がカカオポッドに由来するチョコレート製品の製造方法であって、すなわち、チョコレート製品が、カカオポッド由来の成分のみから本質的になる方法が提供される。
【0252】
本発明の一実施形態では、チョコレート製品の製造において、乾燥されたカカオパルプ又はカカオパルプ抽出物は、添加糖が通常導入される時点で他の成分と組み合わされる。
【0253】
本発明の一実施形態では、カカオマスと、カカオパルプ又はカカオパルプ抽出物とを組み合わせる工程を含むチョコレート製品の調製方法が提供される。一実施形態では、カカオパルプ又はカカオパルプ抽出物を組み合わせることは、チョコレートの製造に従来使用されるとおりに糖とカカオマスとを組み合わせるために従来使用されている任意の装置によって行われてもよい。
【0254】
一実施形態において、本発明のチョコレート組成物は、適用可能な既知の装置を使用して精製することができる。好ましい実施形態では、チョコレートを精製して、粒感のない質感を確保する。例えば、精製を実行し、50マイクロメートル未満、好ましくは15マイクロメートル~35マイクロメートルの粒径(マルバーンマスターサイザー3000により測定したD90)を達成することができる。
【0255】
一実施形態では、従来のコンチングプロセスを使用してチョコレートを調製する。好ましい実施形態では、コンチング工程における温度は60℃を超えず、好ましくは57.5℃を超えず、好ましくは56℃を超えない。この工程中の温度を制御することにより、パルプのカラメル化が回避され、最終製品の質感に粒感はない。好ましい実施形態では、温度は30℃超、好ましくは35℃超、40℃超又は45℃超である。
【0256】
一実施形態では、コンチングは、1.5時間超、好ましくは2時間以上、好ましくは2.5時間以上の期間にわたって行われる。一実施形態では、コンチングは、8時間未満、好ましくは6時間未満の期間にわたって行われる。
【0257】
一実施形態では、コンチングは、30℃~60℃の温度で1.5時間~8時間の期間にわたって行われる。
【0258】
一実施形態では、コンチング速度は、200rpm~2000rpm、好ましくは400rpm~1600rpmである。
【0259】
好ましい実施形態では、カカオパルプ及び/又はカカオパルプ抽出物はカラメル化されず、例えば、本発明の組成物を製造するために使用される加工工程はカラメル化をもたらさない。
【0260】
一実施形態では、コンチング速度及び/又は温度は、上記の範囲内のコンチング工程にわたって変化し得る。
【0261】
別段の規定がされていない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、本開示が関係する当該技術分野の当業者によって通常理解されているものと同じ意味を有し、かつ提示されるべきである。
【0262】
文脈が明確に別のものを示していない限り、本明細書で使用するとき、本明細書の用語の複数形は、単数形を含むと解すべきであり、単数形が使用されるときには複数形も含まれるものと解すべきである。
【0263】
上記に規定されたすべての範囲において、エンドポイントは、記載された範囲の範囲内に含まれる。加えて、一実施形態における最も広い範囲のエンドポイントと、より狭い範囲のエンドポイントとが組み合わされてもよい。
【0264】
本明細書に記載のいずれの量についても、百分率としての合計量は、(丸め誤差を許容しつつも)100%を超過し得ないものと理解されよう。例えば、本発明の組成物が含む成分(又はそれらの部分(複数可))の合計は、組成物(又はそれらの同じ部分(複数可)の重量(又は他の)百分率として記載される場合、丸め誤差を許容しつつも、合計100%とすることができる。しかし、成分の列挙が非排除的なものである場合、そのような成分の各々についての百分率の合計は、本明細書において明示的に記載されていない場合のある追加のいずれの成分量(複数可)に関しても、ある程度の百分率を許容するため、100%未満になり得る。
【0265】
本明細書で使用するとき、用語「実質的に」は、多量又は大きな割合を意味する量又は実体を指し得る。これに関連して、「実質的に」が使用される文脈において、「実質的に」は、(記載の文脈において参照される量又は実体のいずれかに対する)量を意味し、対象とするものの全量の少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、特に少なくとも98%、例えば、約100%の割合を構成する量として理解できる。類似する用語「実質的に含まない」は、同様に、参照される量又は実体が、対象とするものの全量の20%以下、好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下、とりわけ好ましくは5%以下、特に2%以下、例えば、約0%を構成することを表すことができる。好ましくは、適切な場合(例えば、原材料の量において)、そのような百分率は重量基準である。
【0266】
別段の指定がない限り、列挙される百分率は、重量によるものである。
【0267】
本発明は、非限定的な具体例を参照して更に説明される。
【実施例0268】
本発明の範囲内の以下の組成物を調製した。
【0269】
【0270】
【0271】
実施例1~4のカカオパルプ粉末の調製
種PH16、Salobrinho、及びCCN51のカカオポッドを流水で洗浄した。次いでそれらを、200mg/Lの遊離塩素を含む塩素添加水に10分間浸漬した。次いでそれらを、5mg/Lの遊離塩素を含む塩素添加水を噴霧することにより洗浄した。
【0272】
ステンレス鋼ナイフを用いて、手作業で果物を割った。次いで、パルプ種子を樹皮から分離した。
【0273】
パルプ化は、ブラシシステムを使用する市販のフルーツパルパーで実施した。パルプを40×50cmのポリプロピレンプラスチック袋に直接回収し、真空下で密封した。パッキング後、-80℃のCold Lab超低温フリーザーでパルプを凍結し、保存した。
【0274】
カカオパルプの凍結乾燥を、Lio Top装置上で2バッチで96時間実施した。各バッチで、2.5~3.0kg/トレイで8枚のトレイを配置した。
【0275】
凍結乾燥プロセスが完了した後、脱水されたパルプの入ったトレイを装置から出した。凍結乾燥したパルプをトレイから取り出し、ロール袋に入れ、次いで真空密封し、凍結乾燥カカオパルプ粉末を得た。
【0276】
チョコレート組成物の調製
実施例1
上記で製造したカカオパルプ粉末を室温にし、標準的な調理用フードプロセッサ(Cryptoミルミキサ)を使用してカカオリカーと混合した。
【0277】
Buhler SDY 200 3シリンダー精製機を使用して、粒径を23マイクロメートルまで低減させた(マイクロメータを使用して手で測定)。精製器の圧力を設定することによってシリンダーの間隔を制御した(ゲージ読み取り-右0.7、7;左0.4、6.4;右出口0、11.8及び左出口0.8、7.8)。
【0278】
次いで、精製した組成物を、以下のパラメータに設定したElkolino ELK-0005-V装置でコンチングに供した:コンチング工程を開始する前、コンチェに100gのカカオバターを加え、45℃で、10分間、500回転/分で加工し、次いで温度及び回転を56℃、時間220分、1200回転/分に変更する。500gのカカオバターを加え、温度を45℃、60分、1500回転/分に変更する。
【0279】
次いで、チョコレートを、29.8℃で大理石のテーブル上で、手でテンパリングした。
【0280】
実施例2
この実施例は、実施例1に記載のプロセスに従って、但し表1に示すようにカカオパルプ粉末の量を変更して用い、調製した。
【0281】
実施例3
この実施例は、実施例2に記載されたプロセスに従って、但し、精製工程で41マイクロメートルの粒径を得て、イチゴ片を特定の量で添加して、調製した。
【0282】
実施例4
上記のダークチョコレートと対照的にホワイトチョコレートを調製した。乳粉末、カカオパルプ粉末、天然バニラ、及びカカオバターの一部(最終製品中の総カカオバターの64%)を、調理用フードプロセッサを使用して組み合わせた。組成物を精製して、32マイクロメートルの粒径を得た。残りのカカオバター及び精製された塊を実験室用Lippコンチェに加え、45~50℃の温度で2時間処理して最終製品を得た。
【0283】
チョコレート組成物は、カカオパルプを糖の代替物として使用しなかったチョコレート組成物と区別されるフルーティでフローラルな味を有することが判明した。
【0284】
実施例5~6のカカオパルプ粉末の調製
種PH16、Salobrinho、及びCCN51のカカオポッドを流水で洗浄した。次いでそれらを、200mg/Lの遊離塩素を含む塩素添加水に10分間浸漬した。次いでそれらを、5mg/Lの遊離塩素を含む塩素添加水を噴霧することにより洗浄した。
【0285】
ステンレス鋼ナイフを用いて、手作業で果物を割った。次いで、パルプ種子を樹皮から分離した。
【0286】
パルプ化は、ブラシシステムを使用する市販のフルーツパルパーで実施した。パルプを40×50cmのポリプロピレンプラスチック袋に直接回収し、真空下で密封した。パッキング後、-18℃でパルプを凍結し、保存した。
【0287】
実施例5
最初に、パルプを解凍した。次いで、酵素処理のために、3.0kgのパルプのバッチをジャケット付き反応器に入れ、恒温槽を用いて温度を42.5℃に上昇させ、温度が達したとき、以下の条件下で酵素(Pectinex(登録商標)Ultra Clear、Novozymes)を添加した:
濃度:1mLの酵素/100gのパルプ
温度:42.5℃
反応時間:60分
回転100rpm
【0288】
酵素処理直後に、90℃で5分間熱処理を行い、20℃で冷却した。冷却された材料を、更なる凍結乾燥処理のために凍結した。
【0289】
実施例6
実施例5に記載の60分間の酵素反応終了時に、試料を採取し、十分な水酸化カルシウムをパルプに添加してpHを約5.0に調整した。以下の条件を使用した:
各3kgのパルプに12.9gのCa(OH)2を添加した(0.43%)。
【0290】
混合は、ミキサーを用いて約15分間、200rpmの速度で実施し、その後、低温殺菌を90℃で5分間実行し、20℃に冷却した。
【0291】
冷却した材料を凍結し、凍結乾燥させた。
【0292】
カカオパルプの凍結乾燥を、Lio Top装置上で2バッチで96時間実施した。各バッチで、2.5~3.0kg/トレイで8枚のトレイを配置した。
【0293】
凍結乾燥プロセスが完了した後、脱水されたパルプの入ったトレイを装置から出した。凍結乾燥したパルプをトレイから取り出し、ロール袋に入れ、次いで真空密封し、凍結乾燥カカオパルプ粉末を得た。
【0294】
試験
凍結乾燥の前に、天然パルプ、酵素処理されたパルプ及び二重処理されたパルプのpHは、2組の測定値の平均に基づいて、20℃でそれぞれ3.52±0.32、3.36±0.02及び4.77±0.05であることが判明した。
【0295】
粘度測定は、30℃で60秒間、回転を用いるBrookfields RVDV IIIレオメーターを使用して2組の測定値の平均に基づいて行った。
【0296】
見かけ粘度(100rpm)見かけ粘度(250rpm)、天然パルプの場合、611.5±2.12及び322.5±3.53、酵素処理されたパルプの場合、400.0±14.14及び162.5±10.60、並びにpH調整され、酵素処理されたパルプの場合、392.5±12.43及び158±11.32(すべての結果はセンチポアズで報告される)。
【0297】
したがって、本発明の処理により、粘度の低減がもたらされることが分かる。
【0298】
実施例7
実施例5及び6で調製した組成物を、実施例1について先に規定したプロセスを用いてチョコレート組成物に加工した。但し、パルプ組成物は、最終製品には33重量%で、カカオマスには53重量%で、カカオバターには14重量%で含まれ、コンチング温度は50℃であった。
【0299】
少数のパネルによる非公式な食味検査では、パルプの前処理により、前処理されていないパルプと比較して、口内特性において口溶けが早く及び後味が短いチョコレートが提供された。
【0300】
実施例8
上記の調製試料からPH16及びSalobrinhoカカオパルプの試料500mgを、GC-MSを使用して評価した。プロトコルは以下のとおりであった。
【0301】
標準の調製:
100(±1)mgの吉草酸メチルを10mLのメスフラスコに量り入れた。フラスコにメタノールを10mLまでつぎ足し、10g/Lの濃度の原液を得た。使用するまで、溶液を約-30℃の冷凍庫に保管した。標準溶液を調製するために、約30mLの水を含む100mLのメスフラスコに原液50μLをピペットで入れた。その後、フラスコに水を100mLまでつぎ足し、混合物を均質化した。分析前に、標準溶液を試料に直接添加した。異なる試験のために、標準溶液を新たに調製した。
【0302】
500(±5)mgの粉末化されたカカオパルプを、20mLのヘッドスペースバイアルに正確に量り入れた。その後、4mLの精製水及び50μLの標準溶液を添加した。バイアルを密封し、混合物を均質化し、固相マイクロ抽出(SPME)を用いて揮発性成分を試料から抽出した。試料を、ガスクロマトグラフィ質量分析法(GC-MS)によって、2連で分析した。SPMEは、CTC CombiPAL(CTC Analytics,Zwingen,Switzerland)を使用して自動的に行った。試料を、60℃及び300rpmで30分間インキュベートした。その後、揮発物を、ジビニルベンゼン/カルボキセン/ポリジメチルシロキサン(DVB/CAR/PDMS)でコーティングされた繊維(50/30μm、安定した柔軟性/SS,1cm,Supelco,Bellefonte,USA)上に、60℃及び300rpmで30分間吸収させた。次いで、匂い物質を、240℃で10分間GC-MS入口に放出し、2分後に脱気してスプリットした。次の抽出のためのいかなる追加のコンディショニングもせずに、繊維を再使用した。
【0303】
アジレント6890Nガスクロマトグラフ(Agilent,Stockport,UK)及びアジレント5973 Network MSD(Agilent,Stockport,UK)を使用して試料を分析した。ガスクロマトグラフ分離は、BP-20カラム(60m×0.25mm内径;フィルム厚さ0.25μm;SGE Analytical Science,Milton Keynes,UK)で実施した。試料を、240℃の入口温度を使用してスプリットレスモードで注入した。キャリアガスとしてヘリウムを使用した(流量=1.5mL/分)。質量分析計は、70eVの電子エネルギーを使用して、電子衝撃(EI)モードで、m/z30~300の走査モードで動作させた。GC-MS移送ライン、イオン源及び四極子温度は、それぞれ280℃、230℃、及び150℃であった。オーブンプログラムを40℃で5分間、等温工程で開始し、5℃/分で240℃まで昇温した。次いで、オーブンを240℃で10分間保持した。
【0304】
GC-MSデータファイルを、MassHunter GC/MS Translator(登録商標)B.07.00(Agilent,Waldbronn,Germany)を使用して、MassHunter互換ファイルに変換した。これらのファイルを、その後、MassHunter Unknown Analysis(登録商標)B.06.00(Agilent,Waldbronn,Germany)にインポートした。解析は、左に0.3amu及び右に0.7amuの非対称の範囲を用いて実施した。同定は、解析されたピークのスペクトルと市販のNIST質量スペクトルライブラリとの比較によって達成された。正のヒットを手動で修正した。標的検体のピーク面積を、MassHunter Quantitative Analysis(登録商標)ソフトウェアB.06.00(Agilent,Waldbronn,Germany)によって、m/z値を用いて抽出した。各検体について、面積比(ピーク面積(検体)/ピーク面積(内部標準))を計算し、繰り返し(4回繰り返し)結果を平均化した。
【0305】
【0306】
【0307】
実施例9
コートジボワール産のカカオマスを用いて、1.スクロース、2.Salobrinho、及び3.PH16との60/40の重量比でのカカオマスブレンドを調製した。
【0308】
【0309】
実施例10a
実施例5及び6のカカオパルプ試料を上記のように試験し、結果を
図3に示す。
【0310】
実施例10b
実施例7の組成物及び33%のスクロースを含む参照試料を、上記の手順を用いて分析し、ピーク面積比を得た。
【0311】
【0312】
実施例11
様々なカカオ植物由来のカカオパルプを得、-20℃で凍結した後、pH調整及び/又は酵素処理を行う前に解凍した。パルプの初期pHは3.0であった。
【0313】
pH調整
500gのパルプに1.4gのCa(OH)2→pH4
500gのパルプに2.0gのCa(OH)2→pH4.5
500gのパルプに3.0gのCa(OH)2→pH5
【0314】
酵素処理:
パルプ500g+Ca(OH)2(2.0g)+Depol(商標)5mL→pH4.5、2h、43℃
パルプ500g+Ca(OH)2(3.5g)+Depol(商標)5mL→pH>6、2h、43℃
【0315】
酵素を、500cm2乾燥表面(25×20cmトレイ)を有するストーブで、100℃で1時間処理することによって不活性化し、ストーブで80℃で乾燥させた。
【0316】
【0317】
粘度は、Bostwickコンシストメータを使用して測定し、時間を30秒に固定した後、cm単位で移動距離を記録した。測定は、試料が周囲温度(20.0℃)に冷却されたときに行った。
【0318】
したがって、本発明は、食品製造中に、好ましくはチョコレートベースの菓子の製造中に、粘度低減により、より容易に加工することができる材料を提供する。
【0319】
前処理されたカカオパルプを使用して製造されたチョコレート組成物は、酵素処理により、取り扱い及びチョコレート製品への加工がより容易である成分がもたらされるため、製造が容易であった。
【0320】
実施例12
上記の調製例並びに実施例5及び6からのカカオパルプ粉末を、HPAEC-PADを用いて評価して、以下の手順を用いて糖含有量を測定した。
【0321】
試料を、室温で上記のpHで脱イオン水に溶解し、70℃で27分間加熱し、より低温で遠心分離し、希釈したアリコートを調製する。0.2マイクロメートルの注射器を使用してアリコートを濾過し、溶出剤として水酸化ナトリウム水溶液を用いて陰イオン交換ポリスチレン-ジビニルベンゼンカラムを使用して糖を分離し、溶出した炭水化物をPADを使用して検出する。
【0322】
【0323】
実施例5及び6で試験したカカオの種類は、調製例1のものと異なる。更に、全糖含有量は、例えば、存在し得るオリゴ糖類を全く含めずに測定される糖に関する。
【0324】
更に、Ricaeliから得た凍結パルプを乾燥させ、以下のように評価した。
【0325】
カカオパルプ試料の全糖は、パルスドアンペロメトリ検出器(HPAEC-PAD)を備えた高性能陰イオン交換クロマトグラフィによって測定した。試料から糖を温水で抽出し、HPAEC-PADシステムに注入した。弱酸である中性糖は、高pHで部分的にイオン化され、塩基安定性ポリマーカラム(CarboPac PA20)上の陰イオン交換クロマトグラフィによって分離することができる。糖は、金電極の表面での当該糖の酸化によって生成される電流を測定することにより検出される。
【0326】
カカオパルプ試料中の総食物繊維及びその画分は、Journal of AOAC International,Volume 102,Number 1,January-February 2019,pp.196-207(12)に記載されている酵素的重量測定法であるRapid Integrated Total Dietary Fiber法によって測定される。
【0327】
タンパク質の含有量は、有機化合物を分解し、硫酸アンモニアとして窒素を遊離させる硫酸消化により構成されるケルダール法によって求めた。続いて、水酸化ナトリウムの存在下で蒸留してアンモニウムをアンモニアに変換する。アンモニア含有量、ひいては窒素含有量は、滴定によって求める。窒素の量は、変換係数6.25を乗じることによってタンパク質に変換される。
【0328】
カカオパルプ中のリグニン含有量をAACC国際法32-25.01で測定した。
【0329】
未加工のカカオパルプは、主に単糖類及び二糖類(79重量%の乾燥物)から構成されており、食物繊維は、試験したこのパルプの6.5%を構成する。高分子量の可溶性食物繊維は、未加工のカカオパルプ中の食物繊維画分の主要成分であり、次いで不溶性繊維である。これらの結果は、可溶性食物繊維-高分子量の平均重合度(DP)が12単糖類単位以上であることを考慮すると、カカオパルプ繊維が有意な量のオリゴ糖を含有しないことを示す(Okhuma et al.,2000.J AOAC Int.Volume 83 Number 4,Pages 1013-1019)。加えて、不溶性繊維及び可溶性食物繊維-高分子量を含有する凍結乾燥粉末の試料に、SEC-MALSによる分析を行った。この分析に際し、試料を部分的にDMSOに溶解させたところ、9.5kDaの平均分子量を示した。これはDP50~60と解釈される。
【0330】
【0331】
実施例13
実施例11で使用したものと同じ供給源からのカカオパルプ30gを、ラピッド・ビスコ・アナライザー(RVA)アルミニウムカップに導入し、50rpmで撹拌しながら40℃で5分間安定化した。次いで、酵素形態に応じて、150μLの液体酵素又は150mgの酵素粉末を添加した。撹拌を8秒間960rpmまで上げ、50rpmに戻し、温度は40℃に維持した。10分間酵素を不活性化するために、温度を40℃で更に45分間維持した後、90℃まで上昇させた。平均粘度は、各作動の時間、41~49分の間で得られた値の平均を計算した。粘度の低減は、非処理の試料と比較しての粘度の減少に基づいて計算し、百分率で表した。
【0332】
ポリガラクツロナーゼ活性を40℃で測定し、100mMのpH4.5の酢酸緩衝液中5.0g/mLでポリガラクツロン酸(Megazyme P-PGAT)を加水分解した。正確に2、4、6、8、10及び12分後に試料を採取し、反応速度曲線を作成した。DNS試薬溶液(1%の3,3-ジニトロサリチル酸+1.6%のNaOH+40%の酒石酸カリウムナトリウム四水和物)を直ちに加えて酵素反応を停止させ、放出された還元末端を発色させ、試料を10分間沸騰させた。最後に、吸光度を540nmで読み取った。ガラクツロン酸を標準として使用して検量線を作成した。
【0333】
酵素アッセイ:Megazymeからの改変エンドセルラーゼCellG5キット手順。1g/Lのウシ血清アルブミンを含有する100mMのpH4.5の酢酸緩衝液中、37℃でセルラーゼ活性を測定した。酵素反応を正確に2、4、6、8、10及び12分後に停止して反応速度曲線を作成し、2%のTRIS緩衝液(pH10.0)を添加した。最後に、吸光度を405nmで読み取った。P-ニトロフェノールを標準として使用して検量線を作成した。平均3回の読み取りを行った。
【0334】
【0335】
実施例14
以下の試験を実施した。凍結カカオパルプの100gパウチをRicaeliから購入した。基準のパルプ粘度は、上記のBostwichコンシストメータを用いて測定したところ9.5cmであった。pH4.5で800gのパルプを使用し、Pectinex(登録商標)Ultra SP-Lで処理した。
【0336】
【0337】
実施例1及び実施例11と同じプロセスを用いて、上記の試料からチョコレートを作製した。少数の非公式なパネルによる食味検査では、パルプの前処理により、前処理されていないパルプと比較して、口内特性において、口溶けが早くかつ後味が短いチョコレートが提供された。
【0338】
実施例15~19及び参照例E1~E8
参照組成物E1を、以下のような組成で調製した。
【0339】
【0340】
55℃の温度で、Kenwood Multi-Proフードプロセッサのリキダイザージャグアタッチメントを用い、乾燥柑橘類繊維粉末100gを、溶融カカオバター置換物(パーム核油)300g及びレシチン7.5gに、最大速度で2分間分散させた。
【0341】
最大速度を維持しながら、この繊維分散液に、55℃に加温したグリセロール200gをゆっくりと少しずつ加えた。4つの成分すべてについて均質な混合物を作製し、グリセロールを繊維粒子の分散液中に均一に分布させた。グリセロールの添加中の混合の合計時間は、30分であった。
【0342】
混合物を冷却し、周囲温度で凝固させた。
【0343】
参照組成物E2を、以下のような組成で調製した。
【0344】
【0345】
55℃の温度で、Kenwood Multi-Proフードプロセッサのリキダイザージャグアタッチメントを用い、乾燥柑橘類繊維粉末100gを、溶融カカオバター置換物(パーム核油)300g及びレシチン7.5gに、最大速度で2分間分散させた。
【0346】
高速を維持しながら、この繊維分散液に、55℃に加温した水200gをゆっくりと少しずつ。4つの成分すべてについて均質な混合物を作製し、水を繊維粒子の分散液中に均一に分布させた。水の添加中の混合の合計時間は、30分であった。
【0347】
混合物を冷却し、周囲温度で凝固させた。
【0348】
参照組成物E3を、以下のような組成で調製した。
【0349】
【0350】
55℃の温度で、Kenwood Multi-Proフードプロセッサのリキダイザージャグアタッチメントを用い、乾燥柑橘類繊維粉末100gを、溶融カカオバター置換物(パーム核油)300g及びレシチン7.5gに、最大速度で2分間分散させた。
【0351】
最大速度を維持しながら、この繊維分散液に、55℃に加温したグリセロール200gをゆっくりと少しずつ加えた。4つの成分すべてについて均質な混合物を作製し、水を繊維粒子の分散液中に均一に分布させた。水の添加中の混合の合計時間は、30分であった。
【0352】
混合物を冷却し、周囲温度で凝固させた。
【0353】
参照組成物E4を、以下のような組成で調製した。
【0354】
【0355】
55℃の温度で、Kenwood Multi-Proフードプロセッサのリキダイザージャグアタッチメントを用い、乾燥小麦繊維粉末100gを、溶融カカオバター置換物(パーム核油)300g及びレシチン7.5gに、最大速度で2分間分散させた。
【0356】
最大速度を維持しながら、この繊維分散液に、55℃に加温したグリセロール200gをゆっくりと少しずつ加えた。4つの成分すべてについて均質な混合物を作製し、水を繊維粒子の分散液中に均一に分布させた。水の添加中の混合の合計時間は、30分であった。
【0357】
混合物を冷却し、周囲温度で凝固させた。
【0358】
チョコレート塊のサンプルは、実施例の組成物:コンパウンドの割合=6:94w/wで液体コンパウンド[砂糖(44.5%)、パーム核油(27.23%)、脱脂粉乳(22%)、ココアパウダー(6%)、レシチン(0.23%)]にE1、E2、E3、E4を混合することによって製造した。100RPMで設定した、w型パドルを取り付けたオーバーヘッドミキサーを使用して、試料を20分間十分に混合した。
【0359】
調製した異なるチョコレート類似体塊の試料をバーに成形し、22℃で保存し、22日後に分析した。
【0360】
「スラム試験」(機械的剪断)を行い、容積の変化をSRI[形状保持指数=(l1×w1)/(l2×w2)、式中、l1及びw1は加熱前のバーの長さと幅であり、l2及びw2は熱衝撃試験及び機械的衝撃試験後のサンプルを完全に含む最小の長方形領域の長さと幅の寸法である]として測定した。
【0361】
得られた結果を以下に報告する。試験した試料では、完全なSRIは1であり、有意に融解したコンパウンドのみ、試料SRIは0.5未満である。
【0362】
高温に供されるチョコレートの形状及び寸法安定性を評価するために適用される技術は、
(i)同一の寸法の型に注ぐことによって、液体チョコレート試料を標準寸法のバーに形成し、冷却及び凝固させること。
(ii)チョコレートバーを離型し、加熱前に固形チョコレートバーの寸法(長さ×幅)を測定すること。
(iii)周囲条件で最大22日間、チョコレートバーを保管すること。
(iv)チョコレートバーを水平な金属トレイ上で十分な時間40℃に加熱して、脂肪マトリクスを完全に融解すること(これらの試験において1時間加熱)。
(v)次に、テーブルを叩いて垂直下からの繰り返しの衝撃を加える形で試料に機械的衝撃を加えること。チョコレートを冷却して再固化させ、熱処理後の試料チョコレート製品の広がりを完全に含む最小矩形領域の寸法を測定すること。
(vi)形状保持指数SRI(l1×w1)/(l2×w2)[式中、l1及びw1は加熱前のバーの長さと幅であり、l2及びw2は熱衝撃試験及び機械的衝撃試験後のサンプルを完全に含む最小の長方形領域の長さと幅の寸法である]を計算すること。
を含む。
【0363】
サンプル識別子 形状保持指数(SRI)
比較例E1を組み込んだバー 0.54
比較例E2を組み込んだバー 0.70
比較例E3を組み込んだバー 0.74
比較例E4を組み込んだバー 0.72
【0364】
本発明の影響を示すために、以下の組成物を調製し、前述のプロセスによってチョコレートを作製した。45℃で2時間、及び必要なpH処理の変更を加えて、実施例14からの酵素処理及びpH処理を繰り返した。処理したパルプを、水分が5重量%未満になるまでオーブン乾燥した。
【0365】
市販の標準的なチョコレートを使用する参照例及び乾燥したリンゴ繊維及びカカオ繊維を使用して作製した試料も試験した。
【0366】
乾燥されたパルプ及びチョコレート製品の含水量を試験した。乾燥されたパルプにはメタノール:ホルムアミド2:1を用い、カール・フィッシャー法によるOrion 2 Turboを使用し、及びチョコレートにはメタノール:ヘキサン2:1を用い、カール・フィッシャー法によるOrion AF8を使用し試験した。
【0367】
【0368】
結果は、既知の高気温耐性付与方法の影響を明確に示すが、保湿剤/水及び追加の基質の添加の必要性を示す。
【0369】
しかし、本発明は、保湿剤の添加を必要とせずに、熱安定性に関して優れた又は同等の特性を提供する。
【0370】
実施例20
図4は、参照例E8bに対する実施例E15bからの熱ショックを受けたチョコレートにおけるブルームの発生の結果を示す。目視検査によって見ることができるように、本発明は、市販の参照試料と比較して、ブルームの発生の有意な低減をもたらす。
【0371】
加えて、18日後には、実施例15~19a、及び22日後には、実施例15~19bに基づく更なる研究を行い、ブルームを評価した。乾燥され、処理されたカカオパルプの量を増加させることにより、ブルームの発生が更に遅延されたことが見出された(
図5)。
【0372】
したがって、熱安定性を提供するだけでなく、本発明で使用される組成物は、熱ショックを受けたチョコレートにおけるブルームの発生の改善をもたらす。熱ショックはブルームの発生を潜在的に加速するので、この利点は、熱ショックを受けていないチョコレートにも及ぶと考えられる。
【0373】
本発明の実施形態は、以下の番号付けされた項目において規定される。
【0374】
1.テオブロマ属の植物由来のパルプ、好ましくはカカオパルプ又はテオブロマ属の植物由来のパルプ抽出物、好ましくはカカオパルプ抽出物を含む菓子製品。
2.菓子製品が、チョコレート製品、好ましくはチョコレートである、項目1に記載の菓子製品。
3.パルプ又はパルプ抽出物が、糖の供給源を菓子製品に提供し、パルプ又はパルプ抽出物が、菓子製品中の糖の主な供給源である、項目1又は2に記載の菓子製品。
4.菓子製品が、パルプ抽出物、乾燥されたパルプ、又は乾燥されたパルプ抽出物を含むチョコレート製品である、項目1~3のいずれかに記載の菓子製品。
5.パルプ抽出物が、糖、繊維、ヒドロコロイド、タンパク質、酸、ポリフェノール、フェノールポリマー、多糖類、及びメチルキサンチン並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される成分を含む、項目1~4のいずれかに記載の菓子製品。
6.パルプ抽出物がカカオ糖を含み、好ましくはカカオ糖が、スクロース、フルクトース及びグルコース、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される、項目5に記載の菓子製品。
7.パルプ抽出物が、抽出物の総重量に基づいて、20重量%~95重量%のパルプ糖を含み、好ましくは、抽出物の総重量に基づいて、60重量%~95重量%のカカオ糖を含む、項目6に記載の菓子製品。
8.菓子製品の10重量%及び65重量%、好ましくは20重量%~60重量%が、パルプ、又はパルプ抽出物の抽出物である、項目1~7のいずれかに記載の菓子製品。
9.菓子製品が、カカオマスを含み、好ましくは、菓子製品が、菓子製品の45重量%~80重量%又は8重量%~12重量%のカカオマスを含み、任意に、菓子製品が、カカオマス及びパルプ抽出物又はカカオマス及び乾燥されたパルプのみから本質的になる、項目1~8のいずれかに記載の菓子製品。
10.すべての成分がカカオポッド由来であるチョコレート製品の製造方法。
11.a.テオブロマ属の植物由来のパルプ、好ましくはカカオパルプ、又はテオブロマ属の植物由来のパルプ抽出物、好ましくはカカオパルプ抽出物を処理して、多糖類含有量を低減させ、及び/又は、テオブロマ属の植物由来のパルプ、好ましくはカカオパルプ、又はテオブロマ属の植物由来のパルプ抽出物、好ましくはカカオパルプ抽出物を処理して、pHを調整する、工程と、
b.工程a.の生成物を乾燥させる工程と、
を含む、方法によって得ることができる組成物。
12.処理工程a.が、多糖類含有量を低減させるための酵素による処理を含む、項目11に記載の組成物。
13.処理工程a.が、パルプ又はパルプ抽出物中のペクチン含有量及び/又はセルロース含有量の低減を含む、項目11又は12に記載の組成物。
14.処理工程a.が、ペクチナーゼ及び/又はセルラーゼによる処理を含む、項目13に記載の組成物。
15.処理工程a.が、2種以上の酵素による処理を含む、項目12~14のいずれかに記載の組成物。
16.処理工程a.で、ペクチナーゼ以外の他の酵素又はペクチナーゼと別の酵素との混合物を用い、好ましくは、他の酵素が、他の多糖類、好ましくはセルロース、ヘミセルロース、アラビナン、及び/又はβ-1,4-キシランに対する活性を有する、項目12~15のいずれかに記載の組成物。
17.酵素処理が20℃~75℃で10分~20時間にわたり行われる、項目12~16のいずれかに記載の組成物。
18.カカオパルプ又はカカオパルプを処理して、pH3.0よりも高いpHに上昇させ、好ましくは、この処理は、工程a.において多糖類含有量を低減させるいかなる処理の前又は後に行ってもよい、項目1~17のいずれかに記載の組成物。
19.乾燥工程b.が、得られる組成物中の水が10.0重量%未満になるまで含水量を低減させる、項目1~18のいずれかに記載の組成物。
20.項目11~19のいずれかに規定される加工工程を含む、テオブロマ属の植物由来のパルプに由来する、好ましくはカカオパルプに由来する、又はテオブロマ属の植物由来のパルプ抽出物に由来する、好ましくはカカオパルプ抽出物に由来する組成物の、製造方法。
21.項目11~20のいずれかに記載の組成物を含む、食品、好ましくは菓子製品であって、好ましくは、菓子製品はチョコレート製品、好ましくはチョコレートであり、好ましくは、食品、好ましくは菓子製品の5重量%~65重量%が、項目11~20のいずれかに記載の組成物である、食品、好ましくは菓子製品。
22.カカオマス及び項目11~19のいずれかに記載の組成物のみから本質的になる菓子製品である、項目21に記載の食品。
23.
i.テオブロマ属の植物由来のパルプ、好ましくはカカオパルプに、ペクチナーゼ及び/又はセルラーゼによる処理を含む処理をして、多糖類含有量を低減させる工程と、
ii.工程i.の生成物を処理して、pHを4.0~7.0に調整する工程と、
iii.工程ii.の生成物を、10%未満の含水量まで乾燥させる工程と、
を含む、項目20に記載の方法。
24.食品製品中、好ましくは菓子製品中の、糖を置き換えるための糖置換組成物としての、項目11~19のいずれかに記載の組成物の、使用。
25.カカオパルプ又はカカオパルプ抽出物を含む、菓子製品。
26.菓子製品が、チョコレート製品、好ましくはチョコレートである、項目25に記載の菓子製品。
27.パルプ、又はパルプ抽出物が、糖の供給源を菓子製品に提供し、パルプ、又はパルプ抽出物が、菓子製品中の糖の主な供給源である、項目25又は26に記載の菓子製品。
28.菓子製品が、パルプ抽出物、乾燥されたパルプ、又は乾燥されたパルプ抽出物を含むチョコレート製品である、項目25~27のいずれかに記載の菓子製品。
29.パルプ抽出物が、糖、繊維、ヒドロコロイド、タンパク質、酸、ポリフェノール、フェノールポリマー、多糖類、及びメチルキサンチン並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される成分を含む、項目25~28のいずれかに記載の菓子製品。
30.パルプ抽出物がカカオ糖を含み、好ましくはカカオ糖が、スクロース、フルクトース及びグルコース、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される、項目29に記載の菓子製品。
31.パルプ抽出物が、抽出物の総重量に基づいて、20重量%~95重量%のパルプ糖を含み、好ましくは、抽出物の総重量に基づいて、60重量%~95重量%のカカオ糖を含む、項目30に記載の菓子製品。
32.菓子製品の10重量%及び65重量%、好ましくは20重量%~60重量%が、パルプ、又はパルプ抽出物の抽出物である、項目25~31のいずれかに記載の菓子製品。
33.菓子製品が、カカオマスを含み、好ましくは、菓子製品が、菓子製品の45重量%~80重量%又は32重量%~12重量%のカカオマスを含み、任意に、菓子製品が、カカオマス及びパルプ抽出物又はカカオマス及び乾燥されたパルプのみから本質的になる、項目25~8のいずれかに記載の菓子製品。
34.すべての成分がカカオポッド由来であるチョコレート製品の製造方法。
35.
a.カカオパルプ又はカカオパルプ抽出物を処理して、多糖類含有量を低減させ、及び/又はカカオパルプ、又はカカオパルプ抽出物を処理して、pHを調整する、工程と、
b.工程a.の生成物を乾燥させる工程と、
を含む、方法によって得ることができる組成物。
36.処理工程a.が、多糖類含有量を低減させるための酵素による処理を含む、項目35に記載の組成物。
37.処理工程a.が、パルプ又はパルプ抽出物中のペクチン含有量及び/又はセルロース含有量の低減を含む、項目35又は36に記載の組成物。
38.処理工程a.が、ペクチナーゼ及び/又はセルラーゼによる処理を含む、項目37に記載の組成物。
39.処理工程a.が、2種以上の酵素による処理を含む、項目36~38のいずれかに記載の組成物。
40.処理工程a.で、ペクチナーゼ以外の他の酵素又はペクチナーゼと別の酵素との混合物を用い、好ましくは、他の酵素が、他の多糖類、好ましくはセルロース、ヘミセルロース、アラビナン、及び/又はβ-1,4-キシランに対する活性を有する、項目36~39のいずれかに記載の組成物。
41.酵素処理が、20℃~75℃で10分~20時間にわたり行われる、項目36~40のいずれかに記載の組成物。
42.カカオパルプ又はカカオパルプを処理して、pH3.0よりも高いpHに上昇させ、好ましくは、この処理は、工程a.において多糖類含有量を低減させるいかなる処理の前又は後に行ってもよい、項目25~41のいずれかに記載の組成物。
43.乾燥工程b.が、得られる組成物中の水が10.0重量%未満になるまで含水量を低減させる、項目25~42のいずれかに記載の組成物。
44.カカオパルプ又はカカオパルプ抽出物由来の組成物を製造するための方法であって、項目35~43のいずれかに定義される加工工程を含む、方法。
45.項目35~44のいずれかに記載の組成物を含む、項目25~33のいずれかに定義される菓子製品。
46.
i.カカオパルプに、ペクチナーゼ及び/又はセルラーゼによる処理を含む処理をして多糖類含有量を低減させる工程と、
ii.工程i.の生成物を処理して、pHを4.0~7.0に調整する工程と、
iii.工程ii.の生成物を、10%未満の含水量まで乾燥させる工程と、
を含む、項目44に記載の方法。
47.食品製品中、好ましくは菓子製品中の、糖を置き換えるための糖置換組成物としての、項目35~43のいずれかに記載の組成物の、使用。
【0375】
本発明の他の実施形態は、以下の番号付けされた項目において規定される。
1.
テオブロマ属の植物由来のパルプ又はテオブロマ属の植物由来のパルプ抽出物を含むチョコレート製品であって、
a.前記パルプ又はパルプ抽出物は、処理されて多糖類含有量が低減されており、及び、
b.前記チョコレート製品は、前記チョコレート製品の1.0重量%~65重量%の前記パルプ又は前記パルプ抽出物の抽出物を含む、
チョコレート製品。
2.
前記パルプ又はパルプ抽出物が、カカオパルプ又はカカオパルプ抽出物である、項目1に記載のチョコレート製品。
3.
前記パルプ又は前記パルプ抽出物が、好ましくは、乾燥した前記パルプ又はパルプ抽出物の重量に基づいて水が10.0%重量%未満になるまで、乾燥される、項目1又は2に記載のチョコレート製品。
4.
前記パルプ又は前記パルプ抽出物が、粉末、好ましくは20~1000マイクロメートルのd50を有する粉末の形態である、項目1~3のいずれか一項に記載のチョコレート製品。
5.
前記乾燥されたパルプ又は乾燥されたカカオパルプ抽出物が、糖を含み、好ましくは前記カカオ糖が、スクロース、フルクトース、及びグルコース、並びにこれらの組み合わせを含む群から選択される、項目3又は4に記載のチョコレート製品。
6.
前記乾燥されたパルプ又は乾燥されたパルプ抽出物が、前記乾燥されたパルプ又は乾燥されたパルプ抽出物の総重量に基づいて、20重量%~95重量%の糖を含み、好ましくは、前記乾燥されたパルプ又は乾燥されたパルプ抽出物の総重量に基づいて、40重量%~95重量%の糖を含む、項目5に記載のチョコレート製品。
7.
前記パルプ又はパルプ抽出物が、前記パルプ又はパルプ抽出物の0.25重量%~30.0重量%の食物繊維を含む、項目1~6のいずれか一項に記載のチョコレート製品。
8.
前記パルプ又は前記パルプ抽出物が、前記チョコレート製品の連続脂肪相内に分散される、項目1~7のいずれか一項に記載のチョコレート製品。
9.
前記チョコレート製品が、カカオマスを含み、好ましくは、前記チョコレート製品が、前記チョコレート製品の45重量%~80重量%又は8重量%~12重量%のカカオマスを含み、任意に、前記チョコレート製品が、カカオマス及び前記パルプ抽出物又はカカオマス及び乾燥されたパルプのみから本質的になる、項目1~8のいずれか一項に記載のチョコレート製品。
10.
チョコレート製品の調製方法及び/又はチョコレート製品に高気温耐性を付与するための方法であって、
a.テオブロマ属の植物由来のパルプ又はテオブロマ属の植物由来のパルプ抽出物を処理して、多糖類含有量を低減させる工程と、
b.任意に、テオブロマ属の植物由来のパルプ又はテオブロマ属の植物由来のパルプ抽出物を処理して、工程aの前又は後にpHを調整する工程と、
c.工程aの生成物を、又は存在する場合には工程bの生成物を、乾燥させる工程と、
d.工程cの生成物をチョコレート製品中の他の成分と混合する工程と、
を含む、方法。
11.
前記処理工程a.が、前記多糖類含有量を低減させるための酵素による処理を含む、項目10に記載の方法。
12.
処理工程a.が、前記パルプ又はパルプ抽出物中のペクチン含有量及び/又はセルロース含有量の低減を含む、項目10又は11に記載の方法。
13.
処理工程a.が、ペクチナーゼ及び/又はセルラーゼによる処理を含む、項目12に記載の方法。
14.
前記酵素処理が、20℃~75℃で10分~20時間にわたり行われる、項目11~13のいずれか一項に記載の方法。
15.
工程bにおいて前記パルプ又はパルプ抽出物を処理して、pHをpH3.0よりも高くする、項目10~14のいずれか一項に記載の方法。
16.
前記乾燥工程cが、得られる組成物中の水が10.0重量%未満になるまで含水量を低減させる、項目10~15のいずれか一項に記載の方法。
17.
i.カカオパルプに、ペクチナーゼ及び/又はセルラーゼによる処理を含む処理をして多糖類含有量を低減させる工程と、
ii.工程i.の生成物を処理して、pHを4.0~7.0に調整する工程と、
iii.工程ii.の生成物を、10%未満の含水量まで乾燥させる工程と、
を含む、項目10に記載の方法。
18.
チョコレート製品の熱安定性を改善するため及び/又はチョコレート製品のブルームの発生を遅らせるための、項目10~17のいずれか一項に記載の工程a.~c.で調製された組成物の使用。