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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024105952
(43)【公開日】2024-08-07
(54)【発明の名称】免震装置
(51)【国際特許分類】
   F16F 15/04 20060101AFI20240731BHJP
   E04H 9/02 20060101ALI20240731BHJP
   F16F 15/08 20060101ALI20240731BHJP
【FI】
F16F15/04 A
E04H9/02 331Z
F16F15/08 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023009964
(22)【出願日】2023-01-26
(71)【出願人】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100130605
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 浩治
(74)【代理人】
【識別番号】100218084
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊光
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 貞義
【テーマコード(参考)】
2E139
3J048
【Fターム(参考)】
2E139AA01
2E139CA01
2E139CC02
2E139CC11
3J048AA01
3J048BA11
3J048BD08
3J048DA01
3J048EA38
(57)【要約】
【課題】取り付けが容易な免震装置を提供する。
【解決手段】
ここで開示される免震装置1は、建物の土台60と基礎70の間に配置される。免震装置1は、土台60に取り付けられる第1プレート10と、基礎70に取り付けられる第2プレート20と、第1プレート10と第2プレート20の間に挟まれ、第1プレート10と第2プレート20に対して加硫接着された粘弾性ゴム30とを備えている。第1プレート10は、粘弾性ゴム30が加硫接着されている面10aとは反対側の面10bに設けられた第1突起12を有している。第2プレート20は、粘弾性ゴム30が加硫接着されている面20aとは反対側の面20bに設けられた第2突起22を有している。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の土台と基礎の間に配置される免震装置であって、
前記土台に取り付けられる第1プレートと、
前記基礎に取り付けられる第2プレートと、
前記第1プレートと前記第2プレートの間に挟まれ、前記第1プレートと前記第2プレートに対して加硫接着された粘弾性ゴムと
を備え、
前記第1プレートは、前記粘弾性ゴムが加硫接着されている面とは反対側の面に設けられた第1突起を有し、
前記第2プレートは、前記粘弾性ゴムが加硫接着されている面とは反対側の面に設けられた第2突起を有する、
免震装置。
【請求項2】
前記第1プレートは、幅方向の両側に前記土台の側面に沿って延びる一対の第1ガイドを有する、請求項1に記載された免震装置。
【請求項3】
前記第2プレートは、幅方向の両側に前記基礎の側面に沿って延びる一対の第2ガイドを有する、請求項1または2に記載された免震装置。
【請求項4】
前記第1突起は、外周面に雄ねじが形成された基部と、前記基部から先端に向かって先細るスパイク部とを備え、
前記第1プレートには、前記基部が取り付けられるねじ穴が形成されている、請求項1または2に記載された免震装置。
【請求項5】
前記第2突起は、外周面に雄ねじが形成された基部と、前記基部から先端に向かって先細るスパイク部とを備え、
前記第2プレートには、前記基部が取り付けられるねじ穴が形成されている、請求項1または2に記載された免震装置。
【請求項6】
スペーサをさらに備え、
前記第1プレートと前記第2プレートは、それぞれ前記粘弾性ゴムが加硫接着された領域の外側に長く延びており、かつ、前記粘弾性ゴムが加硫接着された領域の外側において互いに対向しており、
前記スペーサは、互いに対向する前記第1プレートと前記第2プレートの間隙に対応する高さを有する、請求項1または2に記載された免震装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、免震装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2020-023791号公報には、住宅の土台と基礎との間に配置する免震装置が開示されている。同公報に開示されている免震装置は、基礎内のアンカーボルトと連結され、土台を支持する土台支持部と、土台の側面と土台支持部との間に配置する粘弾性体と、土台、土台支持部および粘弾性体を連結する連結具とからなる。かかる免震装置によると、地震による建物の損傷を安価に防止できるとされている。
【0003】
特開2001-355350号公報には、基礎コンクリートの上面に、予め所定形状
に成形した免震ゴムを所定間隔で配設することを特徴とする一戸建住宅の免震構造が開示されている。同公報に開示されている免震構造によると、構造物の規模に応じた免震効果が確保され、施工コストが抑えられ、土台柱の経年劣化が防止され、かつ、床下空間の通気性をより容易に確保できるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-023791号公報
【特許文献2】特開2001-355350号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、地震時には、建物の基礎および土台を介して大きな振動エネルギーが作用しうる。建物に作用する振動エネルギーを低減するために、基礎と土台の間には、免震装置が配置されることが望ましい。免震装置を配置するためには、基礎と土台には、免震装置を固定するための、アンカーボルトやナット等を設ける必要があった。また、免震装置を固定するための構造を既存の建物の基礎と土台に設けるのは困難である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ここで開示される免震装置は、建物の土台と基礎の間に配置される免震装置である。免震装置は、土台に取り付けられる第1プレートと、基礎に取り付けられる第2プレートと、第1プレートと第2プレートの間に挟まれ、第1プレートと第2プレートに対して加硫接着された粘弾性ゴムとを備えている。第1プレートは、粘弾性ゴムが加硫接着されている面とは反対側の面に設けられた第1突起を有している。第2プレートは、粘弾性ゴムが加硫接着されている面とは反対側の面に設けられた第2突起を有している。
【発明の効果】
【0007】
かかる免震装置は、取り付けが容易である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、免震装置1の模式図である。
図2図2は、免震装置1の断面図である。
図3図3は、他の実施形態にかかる第1突起12Aの模式図である。
図4図4は、土台60および基礎70に固定された免震装置1の模式図である。
図5図5は、土台60および基礎70に固定された免震装置1の模式図である。
図6図6は、土台60と免震装置1の位置関係を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されない。各図面は模式的に描かれており、必ずしも実物を反映していない。また、各図面は、一例を示すのみであり、特に言及されない限りにおいて本発明を限定しない。また、同一の作用を奏する部材・部位には、適宜に同一の符号を付し、重複する説明を省略する。上、下、左、右、前、後の向きは、図中、U、D、L、R、F、Rrの矢印でそれぞれ表されている。
【0010】
〈免震装置1〉
図1は、免震装置1の模式図である。図1では、免震装置1を構成する部材がそれぞれ分けて記載されている。図1では、粘弾性ゴム30が第2プレート20に接着される位置は、二点鎖線で示されている。図2は、免震装置1の断面図である。図2では、土台60および基礎70が延びる方向に沿って見た免震装置1の断面が示されている。図2では、土台60および基礎70の断面のハッチングは、省略されている。
【0011】
免震装置1は、図1および図2に示されているように、建物の土台60と基礎70の間に配置される装置である。免震装置1は、例えば、木造軸組工法、木造枠組壁工法(ツーバイフォー工法とも称される)のような枠組み工法によって建てられた木造の建物の基礎と土台の間に配置されうる。以下では、ここで開示される免震装置の一例として、木造軸組工法よって建てられる木造住宅に用いられる免震装置1について説明する。
【0012】
この実施形態では、建物の土台60は、梁や桁とも称される横架材から構成されている。土台60は、角柱状の木材である。土台60の上面60aには、柱62が立てられている。柱62は、例えば、通し柱であってもよい。土台60には、予め定められた位置に基礎70に設けられたアンカー74が通される孔64が形成されている。
【0013】
基礎70は、建物が建てられる土地に設けられる構造である。この実施形態では、基礎70は、鉄筋コンクリート製であり、建物の土台60の配置に沿って、ベースコンクリート71から立ち上がった立ち上がり72を備えている。立ち上がり72は、土台60を構成する横架材を支持するため所要の幅を有している。立ち上がり72の上面72aには、基礎70から土台60および建物の浮き上がりを防ぐアンカー74が設けられている。アンカー74は、基礎70に埋め込まれており、基礎70の立ち上がり72から上方に突出した棒材で構成されている。アンカー74は、アンカーボルトとも称される。アンカー74が通される孔64は、例えば、アンカー74の径よりも大きく形成されていてもよい。なお、アンカー74は、基礎70から土台60の浮き上がりを防ぐことができる限りにおいて、上述した形態に限定されない。アンカーは、基礎70と土台60の側面を繋ぐように設けられていてもよい。
【0014】
免震装置1は、図1および図2に示されているように、第1プレート10と、第2プレート20と、粘弾性ゴム30とを備えている。
【0015】
〈第1プレート10,第2プレート20〉
第1プレート10は、建物の土台60に取り付けられる部材である。第2プレート20は、建物の基礎70に取り付けられる部材である。第1プレート10および第2プレート20は、それぞれ略矩形状である。第1プレート10は、土台60の長さ方向に沿って配置される長辺と、土台60の幅方向に沿って配置される短辺とを有している。第2プレート20は、基礎70の立ち上がり72の長さ方向に沿って配置される長辺と、立ち上がり72の幅方向に沿って配置される短辺とを有している。第1プレート10と第2プレート20とは、粘弾性ゴム30を挟んで対向している。第1プレート10と第2プレート20とは、例えば、所要の剛性と所要の耐食性を有する金属が用いられている。第1プレート10と第2プレート20には、ステンレスや耐食メッキ処理が施された鋼板などが用いられうる。
【0016】
〈粘弾性ゴム30〉
粘弾性ゴム30は、第1プレート10と第2プレート20の間に挟まれ、第1プレート10と第2プレート20に対して加硫接着されている。この実施形態では、粘弾性ゴム30は、略矩形状である。第1プレート10と第2プレート20とは、長辺に沿った長さ方向の略中央部に、粘弾性ゴム30が加硫接着されている。長さ方向において、第1プレート10と第2プレート20は、粘弾性ゴム30に比べて長く、粘弾性ゴム30からはみ出ている。短辺方向に沿った幅方向において、粘弾性ゴム30は、第1プレート10および第2プレート20よりも一回り小さい。
【0017】
粘弾性ゴム30としては、高減衰性を有する粘弾性ゴム(制震ゴム)が好適に採用されうる。高減衰性を有する粘弾性ゴム(制震ゴム)には、例えば、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ニトリルブタジエンゴム(NBR)、ブタジエンゴム素材(BR)、イソプレンゴム(IR)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム(X-IIR)、クロロプレンゴム(CR)、あるいは、これらのゴムのうち複数のゴム素材を混合したゴム素材に、高減衰性を発揮する添加剤を加えて生成された高減衰性ゴム組成物を用いることができる。高減衰性を発揮する添加剤としては、例えば、カーボンブラックなど、種々の添加剤が知られている。
【0018】
〈第1突起12〉
第1プレート10は、粘弾性ゴム30が加硫接着されている面10aとは反対側の面10bに、第1突起12を有している。第1突起12は、基端から先端に向かって先細る、いわゆるスパイク形状である。第1突起12は、土台60に刺さる突起である。第1突起12は、土台60に刺さる程度の強度を備えているとよい。第1突起12は、木材から構成されている土台60を損傷しない程度の寸法および形状であるとよい。この実施形態では、第1突起12は、第1プレート10の長さ方向の両端部に1つずつ設けられている。しかしながら、かかる形態に限定されず、第1プレート10に設けられている第1突起12は、1つでもよく、複数(例えば、3つ以上)でもよい。第1突起12は、面10bのいずれの位置に設けられていてもよい。より安定した角度で第1突起12を土台60に刺すために、第1突起12は、面10bのうち粘弾性ゴム30が接着されている領域に対応する位置に設けられていることが好ましい。
【0019】
〈第2突起22〉
第2プレート20は、粘弾性ゴム30が加硫接着されている面とは反対側の面に設けられた第2突起22を有している。第2突起22は、基端から先端に向かって先細る、いわゆるスパイク形状である。第2突起22は、基礎70に刺さる突起である。第2突起22は、コンクリート製の基礎70に刺さる程度の強度を備えているとよい。第2突起22は、第1突起12とは異なる材質であってもよい。この実施形態では、第2突起22は、第2プレート20の長さ方向の両端部に1つずつ設けられている。第2突起22の数および位置は、第1突起12と同様、特に限定されない。より安定した角度で第2突起22を基礎70に刺すために、第2突起22は、面20bのうち粘弾性ゴム30が接着されている領域に対応する位置に設けられていることが好ましい。
【0020】
第1突起12および第2突起22は、それぞれ種々の方法で第1プレート10および第2プレート20に設けることができる。以下、第1プレート10に第1突起12に設ける方法について説明する。第2突起22を第2プレート20に設ける方法については、第1突起12を第1プレート10に設ける方法と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。特に限定されないが、第1突起12は、第1プレート10に溶接されていてもよい。第1突起12が第1プレート10に対して溶接される場合には、第1プレート10と第1突起12は、同じ材料から形成されていることが好ましい。第1プレート10に第1突起12を溶接する場合には、第1プレート10の面10bに対して、第1突起12を任意の位置に設けることができる。このため、第1突起12が刺さる対象物(この実施形態では、土台60)の材質、形状、強度等に応じて第1突起12の位置、数、寸法等を適宜設定することができる。
【0021】
なお、第1プレート10に第1突起12を設ける方法は、溶接に限定されない。図3は、他の実施形態にかかる第1突起12Aの模式図である。図3では、第1プレート10に取り付けられた第1突起12Aが模式的に示されている。図3に示されているように、第1突起12Aは、外周面に雄ねじが形成された基部12A1と、基部12A1から先端に向かって先細るスパイク部12A2とを備えている。第1突起12Aは、第1プレート10の面10bに形成されたねじ穴10b1を介して第1プレート10に取り付けられる。かかる構成の第1突起12Aは、交換が容易である。例えば、第1突起12Aの寸法、材質等を、土台60の材質等に応じて変えることができる。例えば、建築現場において免震装置1を土台60および基礎70に取り付ける直前であっても第1突起12Aを適宜調整することができる。なお、第2突起22についても、第1突起12Aと同様の構成であってもよい。
【0022】
免震装置1は、図1および図2に示されているように、土台60の底面60bに第1プレート10が取り付けられ、基礎70の立ち上がり72の上面72aに第2プレート20が取り付けられる。この際、第1プレート10の第1突起12が、土台60の底面60bに突き刺さった状態で取り付けられる。第2プレート20の第2突起22が、基礎70の立ち上がり72の上面72aに突き刺さった状態で取り付けられる。
【0023】
図4は、土台60および基礎70に固定された免震装置1の模式図である。図4では、基礎70に振動エネルギーが作用した場合の免震装置1が模式的に示されている。振幅の大きさを示す矢印は、模式的に描かれており、実際の振幅の差を反映していない。地震の際には、図4に示されているように、土台60と基礎70との間に相対的な変位が生じうる。このとき、第1突起12が土台60の底面60bに突き刺さっているので、第1プレート10は土台60の動きに従って変位する。第2突起22が基礎70の立ち上がり72の上面72aに突き刺さっているので、第2プレート20は基礎70の動きに従って変位する。第1プレート10と第2プレート20の間には粘弾性ゴム30が挟まれており、第1プレート10と第2プレート20に加硫接着されている。このため、第1プレート10と第2プレート20との間に、土台60と基礎70との間の変位に応じた相対変位が生じると、かかる相対変位に応じて粘弾性ゴム30が変形する。粘弾性ゴム30が変形すると、その弾性反力が第1プレート10と第2プレート20との間に作用する。このため、基礎70に対する土台60の揺れは小さく抑えられる。また、粘弾性ゴム30を変形させる際に、地震のエネルギーが吸収されるので、揺れが早期に減衰する。
【0024】
なお、免震装置1の構成は、上述した形態に限定されない。
【0025】
〈第1ガイド14〉
第1プレート10は、幅方向の両側に一対の第1ガイド14をさらに有している。一対の第1ガイド14は、粘弾性ゴム30が加硫接着されている面10aとは反対側の面10bに設けられている。一対の第1ガイド14は、土台60の側面に沿って延びている。この実施形態では、第1プレート10の幅(短辺の寸法)は、土台60の幅よりも広く、第1プレート10の両側が、土台60の側面に沿って延びるように、第1突起12が設けられた側に折り曲げられている。ここで、一対の第1ガイド14の間の間隔は、土台60を挟みうるように、土台60の幅と略同一か少し広い幅に設定されているとよい。この実施形態では、図2に示されているように、土台60の両側面の下部が一対の第1ガイド14の間に嵌まる。これによって、土台60に対して第1プレート10がずれにくくなる。
【0026】
〈第2ガイド24〉
第2プレート20は、幅方向の両側に一対の第2ガイド24をさらに有している。一対の第2ガイド24は、粘弾性ゴム30が加硫接着されている面20aとは反対側の面20bに設けられている。一対の第2ガイド24は、基礎70の側面に沿って延びている。この実施形態では、第2プレート20の幅(短辺の寸法)は、基礎70の幅よりも広く、第2プレート20の両側が、基礎70の側面に沿って延びるように、第2突起22が設けられた側に折り曲げられている。ここで、一対の第2ガイド24の間の間隔は、基礎70を挟みうるように、基礎70の幅と略同一か少し広い幅に設定されているとよい。第1プレート10の第1ガイド14と同様、第2プレート20に第2ガイド24が設けられていることによって、基礎70の両側面の下部が一対の第2ガイド24の間に嵌まる。これによって、基礎70に対して第2プレート20がずれにくくなる。なお、第1ガイド14と第2ガイド24の高さは、特に限定されない。
【0027】
ところで、免震装置1は、第1プレート10と第2プレート20との間に粘弾性ゴム30が挟まれ、かつ、第1プレート10と第2プレート20とに加硫接着されている。第1プレート10は、建物の土台60に取り付けられ、第2プレート20は建物の基礎70に取り付けられている。第1プレート10と第2プレート20との間に挟まれた粘弾性ゴム30に建物の重さが作用すると、第1プレート10と第2プレート20との間に挟まれた粘弾性ゴム30が押しつぶされて外側にはみ出るかもしれない。
【0028】
以下、ここで開示される免震装置1を建物の土台60と基礎70の間に配置する方法の一例について説明する。建物を建てる際に、基礎70の立ち上がり72の上面72aに第2プレート20が載るように免震装置1を取り付ける。この際、第2突起22を基礎70に食い込ませるとよい。次に、免震装置1の第1プレート10の上に土台60を取り付けるとよく、この際、第1突起12を土台60に食い込ませるとよい。その上で、建物の重みによって、第1突起12を土台60に深く食い込ませ、第2突起22を基礎70に深く食い込ませてもよい。
【0029】
上述した免震装置1は、土台60と基礎70の間への取り付けが容易である。免震装置1は、新築の建物の土台と基礎の間に取り付けるだけではなく、リフォーム時等に既存の建物の土台と基礎の間に取り付けることも可能である。免震装置1は、例えば、以下の要領で既存の建物の土台60と基礎70の間に取り付けられうる。ジャッキを用いて建物ごと土台60を基礎70から持ち上げる。基礎70から土台60が持ち上げられた状態で、免震装置1を基礎70の上面72aの予め定められた位置に配置する。ジャッキを下げて土台60を免震装置1が配置された基礎70に降ろす。土台60が免震装置1の上に降ろされると、建物の重みによって第1突起12と第2突起22は、それぞれ土台60と基礎70に刺さる。その結果、免震装置1は、土台60と基礎70に固定される。このように、上述した免震装置1には、土台60に刺さる第1突起12と、基礎70に刺さる第2突起22とが設けられていることにより、土台60と基礎70の間への取り付けが容易である。このように、免震装置1は、建物の重みによって土台60と基礎70に固定されうる。このため、免震装置1を取り付けるための土台60と基礎70に対する追加工(ねじ穴、アンカー用の孔等)は、必ずしも必要ではない。
【0030】
図5に示された形態では、免震装置1の第1プレート10と第2プレート20は、それぞれ粘弾性ゴム30が加硫接着された領域よりも長く延びている。第1プレート10と第2プレート20は、粘弾性ゴム30が加硫接着された領域の外側において互いに対向している。第1突起12は、第1プレート10に粘弾性ゴム30が加硫接着された領域の外側に設けられている。第2突起22は、第2プレート20に粘弾性ゴム30が加硫接着された領域の外側に設けられている。かかる免震装置1は、建物に取り付けられる際に、粘弾性ゴム30が加硫接着された領域の外側において、第1プレート10と第2プレート20との間にスペーサ40を挟んだ状態で仮置きされる。スペーサ40は、互いに対向する第1プレート10と第2プレート20の間隙に対応する高さを有している。ここで、第1プレート10と第2プレート20の間隙とは、第1プレート10の面10aと第2プレート20の面20aとの間の寸法のことであり、粘弾性ゴム30の厚みと一致する。スペーサ40の高さは、第1プレート10と第2プレート20の間隙と略同一であるとよい。第1プレート10と第2プレート20との間にスペーサ40を挟んだ状態で、土台60と基礎70との間に、免震装置1を配置する。この際、第1プレート10と第2プレート20との間にスペーサ40が挟まれているので、粘弾性ゴム30は所定以上には圧縮されない。建物の重さは、スペーサ40を通じて第1プレート10と第2プレート20とに作用し、第1突起12が土台60に突き刺さり、第2突起22が基礎70に突き刺さる。第1突起12が土台60に突き刺さり、第2突起22が基礎70に突き刺さった後で、第1プレート10と第2プレート20との間に挟まれた状態で仮置きされたスペーサ40が除去されてもよい。
【0031】
なお、上述した実施形態では、免震装置1は、土台60の柱62が設けられる位置に配置されている。しかしながら、免震装置1が配置される位置は、特に限定されない。免震装置1は、柱62が設けられていない位置に配置されていてもよい。免震装置1は、柱62が設けられている位置と、柱62が設けられていない位置との両方に設けられていてもよい。図6は、土台60と免震装置1の位置関係を示す模式図である。図6では、土台60と基礎70とが重ねられる方向に沿って見た、土台60と免震装置1の位置関係が図示されている。図6に示されているように、土台60は、4本の横架材60A,60Bによって略矩形状に形成されている。一対の横架材60Aは、互いに平行である。一対の横架材60Bは、互いに平行である。横架材60Aと横架材60Bとは互いに略垂直である。
【0032】
この実施形態では、土台60と基礎70の間には、複数の免震装置1が配置されている。横架材60Aの下に配置されている免震装置1は、長辺が横架材60Aの長さ方向に沿っている。横架材60Bの下に配置されている免震装置1は、長辺が横架材60Bの長さ方向に沿っている。このため、横架材60Aの下に配置されている免震装置1と、横架材60Bの下に配置されている免震装置1は、異なる向きに配置されている。このように、複数の免震装置1が異なる向きを向いてバランス良く配置されていることによって、基礎70の振動方向によらず土台60および建物に作用する振動エネルギーは低減されうる。なお、免震装置1が配置される向きは、かかる形態に限定されない。
【0033】
この実施形態では、免震装置1は、柱62の直下と、隣り合う柱62の間の中間部に配置されている。この実施形態では、土台60と基礎70の間には、剛性の異なる免震装置1が配置されている。柱62の直下には、相対的に剛性の大きい粘弾性ゴム30を備える免震装置1aが配置されている。隣り合う柱62の間には、相対的に剛性の小さい粘弾性ゴム30を備える免震装置1bが配置されている。建物の荷重に耐えられるように、柱62の直下には、相対的に剛性の大きい粘弾性ゴム30を備える免震装置1aが用いられている。また、隣り合う柱62の間に免震装置1bが配置されていることによって、地震時に横揺れが発生した場合にも粘弾性ゴム30の変形によって地震のエネルギーが吸収される。これによって、揺れが早期に減衰する。なお、隣り合う柱62の間に配置されている免震装置1bは、建物の荷重が作用しにくい。このため、粘弾性ゴム30の剛性は小さくてもよい。なお、柱62の直下に配置される免震装置1と、隣り合う柱62の間に配置される免震装置1の剛性は、同じであってもよく、どちらかが高くてもよい。
【0034】
以上、ここで開示される免震装置について、種々説明した。しかしながら、ここで開示される技術は、特に言及されない限りにおいて、上述した形態に限定されない。また、種々言及した形態の各構成は、互いに阻害しない関係であれば、適宜に組み合わせることができる。本明細書は以下の開示を含んでおり、以下の開示は、上記した実施形態には限定されない。
【0035】
本発明(1)は、免震装置に関する。本発明における免震装置は、
建物の土台と基礎の間に配置される免震装置であって、
前記土台に取り付けられる第1プレートと、
前記基礎に取り付けられる第2プレートと、
前記第1プレートと前記第2プレートの間に挟まれ、前記第1プレートと前記第2プレートに対して加硫接着された粘弾性ゴムと
を備え、
前記第1プレートは、前記粘弾性ゴムが加硫接着されている面とは反対側の面に設けられた第1突起を有し、
前記第2プレートは、前記粘弾性ゴムが加硫接着されている面とは反対側の面に設けられた第2突起を有する。
【0036】
本発明(2)は、本発明(1)に記載された免震装置であって、
前記第1プレートは、幅方向の両側に前記土台の側面に沿って延びる一対の第1ガイドを有する。
【0037】
本発明(3)は、本発明(1)または(2)に記載された免震装置であって、
前記第2プレートは、幅方向の両側に前記基礎の側面に沿って延びる一対の第2ガイドを有する。
【0038】
本発明(4)は、本発明(1)~(3)のいずれかひとつに記載された免震装置であって、
前記第1突起は、外周面に雄ねじが形成された基部と、前記基部から先端に向かって先細るスパイク部とを備え、
前記第1プレートには、前記基部が取り付けられるねじ穴が形成されている。
【0039】
本発明(5)は、本発明(1)~(4)のいずれかひとつに記載された免震装置であって、
前記第2突起は、外周面に雄ねじが形成された基部と、前記基部から先端に向かって先細るスパイク部とを備え、
前記第2プレートには、前記基部が取り付けられるねじ穴が形成されている。
【0040】
本発明(6)は、本発明(1)~(5)のいずれかひとつに記載された免震装置であって、
スペーサをさらに備え、
前記第1プレートと前記第2プレートは、それぞれ前記粘弾性ゴムが加硫接着された領域の外側に長く延びており、かつ、前記粘弾性ゴムが加硫接着された領域の外側において互いに対向しており、
前記スペーサは、互いに対向する前記第1プレートと前記第2プレートの間隙に対応する高さを有する。
【符号の説明】
【0041】
1 免震装置
10 第1プレート
12 第1突起
14 第1ガイド
20 第2プレート
22 第2突起
24 第2ガイド
30 粘弾性ゴム
60 土台
62 柱
70 基礎
図1
図2
図3
図4
図5
図6