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特開2024-105957制御装置、画像形成システム、情報処理方法及びプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024105957
(43)【公開日】2024-08-07
(54)【発明の名称】制御装置、画像形成システム、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/60 20060101AFI20240731BHJP
   H04N 1/387 20060101ALI20240731BHJP
   H04N 1/407 20060101ALI20240731BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20240731BHJP
   B41J 2/525 20060101ALI20240731BHJP
   G06F 3/12 20060101ALI20240731BHJP
【FI】
H04N1/60
H04N1/387 110
H04N1/407 780
B41J29/38 202
B41J2/525
G06F3/12 308
G06F3/12 342
G06F3/12 364
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023009978
(22)【出願日】2023-01-26
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高口 正嗣
【テーマコード(参考)】
2C061
2C262
5C076
5C077
5C079
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AQ05
2C061AQ06
2C061AS02
2C061CK01
2C061HJ06
2C061HK07
2C061HK11
2C262AA02
2C262AA04
2C262EA04
2C262EA08
2C262FA13
5C076AA17
5C076AA26
5C076BA06
5C077LL19
5C077MM27
5C077MP08
5C077PP19
5C077PP23
5C077PP37
5C077PP55
5C077PQ08
5C077TT02
5C079LA31
5C079LA40
5C079LB01
5C079MA10
5C079MA20
5C079NA03
5C079NA06
5C079PA03
(57)【要約】
【課題】容易に色調整を行うことができるようにする。
【解決手段】制御装置(画像処理装置20)は、画像形成されたシートに対して行われる断裁処理またはミシン目加工処理の位置に関する後処理位置情報を取得する取得部(制御部21)と、シートに画像形成を行うための印刷データを生成する生成部(制御部21)と、を備え、生成部は、取得部により取得された後処理位置情報に基づいて、シートに形成される画像の色調整を行うための第1色調整用パッチ(断裁チャートCH2が有するパッチ)を配置した印刷データを生成する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成されたシートに対して行われる断裁処理またはミシン目加工処理の位置に関する後処理位置情報を取得する取得部と、
前記シートに画像形成を行うための印刷データを生成する生成部と、
を備え、
前記生成部は、前記取得部により取得された前記後処理位置情報に基づいて、前記シートに形成される画像の色調整を行うための第1色調整用パッチを配置した印刷データを生成する制御装置。
【請求項2】
前記生成部は、前記断裁処理またはミシン目加工処理が施される位置に前記第1色調整用パッチを配置する、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記生成部は、前記断裁処理またはミシン目加工処理が施される位置に沿って、色が異なる複数の前記第1色調整用パッチを配列する、請求項1に記載の制御装置。
【請求項4】
前記生成部は、前記第1色調整用パッチの代わりに、前記第1色調整用パッチとは異なる第2色調整用パッチを配置した印刷データを生成することが可能であり、
前記生成部が前記第2色調整用パッチを配置した印刷データに基づいて画像形成されたシートには、前記断裁処理またはミシン目加工処理を行わないように制御する制御情報を送信する制御部を備える、請求項1に記載の制御装置。
【請求項5】
前記色が異なる複数の第1色調整用パッチは、第1パッチ及び前記第1パッチに対して色を変化させた複数の第2パッチからなるグループを複数有し、
前記生成部は、各グループの前記第1パッチを一列に配列し、前記第2パッチをグループごとに配列する、請求項3に記載の制御装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の制御装置と、
前記シートに画像形成を行う画像形成部と、
前記画像形成されたシートに対して断裁処理またはミシン目加工処理を行う後処理部と、
を備える画像形成システム。
【請求項7】
制御装置における情報処理方法であって、
画像形成されたシートに対して行われる断裁処理またはミシン目加工処理の位置に関する後処理位置情報を取得する取得工程と、
前記シートに画像形成を行うための印刷データを生成する生成工程と、
を含み、
前記生成工程は、前記取得工程において取得された前記後処理位置情報に基づいて、前記シートに形成される画像の色調整を行うための第1色調整用パッチを配置した印刷データを生成する情報処理方法。
【請求項8】
制御装置のコンピューターを、
画像形成されたシートに対して行われる断裁処理またはミシン目加工処理の位置に関する後処理位置情報を取得する取得部、
前記シートに画像形成を行うための印刷データを生成する生成部、
として機能させ、
前記生成部は、前記取得部により取得された前記後処理位置情報に基づいて、前記シートに形成される画像の色調整を行うための第1色調整用パッチを配置した印刷データを生成するプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、画像形成システム、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
印刷業者では、顧客から原稿画像データに基づく印刷を受注する場合に、目標とする出力物(色見本)を受け取ることがある。このような状況では、色見本(目標出力物)の色再現を目指すために、まず、パッチの色味を少しずつ変えた色調整チャートを印刷する。そして、印刷された色調整チャートと色見本とを見比べて、色調整チャートの中から色見本に近い色のパッチを選択するという色合わせ(色調整)方法がある。
【0003】
図18に、色見本Aと、従来の色調整チャート(従来チャートCH1)とを比較する例を示す。
図18に示すように、実際の出力物である色見本Aと、従来チャートCH1が印刷されたシートSとを見比べる場合、次の問題がある。それは、比較対象である色見本Aの色調整対象領域Aaと、従来チャートCH1が有するそれぞれのパッチP1との位置が隣り合っていないため見比べづらいという問題である。
そこで、色調整チャートが印刷されたシートを断裁し、色見本と見比べやすい態様にすることが検討される。
【0004】
画像が形成されたシートの断裁に関して、特許文献1には、用紙(シート)に形成される画像の表裏ずれを測定するために、用紙上に目印となる目盛りを印字し、用紙断裁後の目盛りを元に画像形成位置の調整を行うことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007-60551号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の発明において、シートは、色見本と見比べやすい態様となるようには断裁されていないため、上記問題を解決できない。
【0007】
本発明は、上記の従来技術における問題に鑑みてなされたものであって、容易に色調整を行うことができる制御装置、画像形成システム、情報処理方法及びプログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の制御装置は、
画像形成されたシートに対して行われる断裁処理またはミシン目加工処理の位置に関する後処理位置情報を取得する取得部と、
前記シートに画像形成を行うための印刷データを生成する生成部と、
を備え、
前記生成部は、前記取得部により取得された前記後処理位置情報に基づいて、前記シートに形成される画像の色調整を行うための第1色調整用パッチを配置した印刷データを生成する。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の制御装置において、
前記生成部は、前記断裁処理またはミシン目加工処理が施される位置に前記第1色調整用パッチを配置する。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の制御装置において、
前記生成部は、前記断裁処理またはミシン目加工処理が施される位置に沿って、色が異なる複数の前記第1色調整用パッチを配列する。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の制御装置において、
前記生成部は、前記第1色調整用パッチの代わりに、前記第1色調整用パッチとは異なる第2色調整用パッチを配置した印刷データを生成することが可能であり、
前記生成部が前記第2色調整用パッチを配置した印刷データに基づいて画像形成されたシートには、前記断裁処理またはミシン目加工処理を行わないように制御する制御情報を送信する制御部を備える。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項3に記載の制御装置において、
前記色が異なる複数の第1色調整用パッチは、第1パッチ及び前記第1パッチに対して色を変化させた複数の第2パッチからなるグループを複数有し、
前記生成部は、各グループの前記第1パッチを一列に配列し、前記第2パッチをグループごとに配列する。
【0013】
請求項6に記載の画像形成システムは、
請求項1から5のいずれか一項に記載の制御装置と、
前記シートに画像形成を行う画像形成部と、
前記画像形成されたシートに対して断裁処理またはミシン目加工処理を行う後処理部と、
を備える。
【0014】
請求項7に記載の情報処理方法は、
制御装置における情報処理方法であって、
画像形成されたシートに対して行われる断裁処理またはミシン目加工処理の位置に関する後処理位置情報を取得する取得工程と、
前記シートに画像形成を行うための印刷データを生成する生成工程と、
を含み、
前記生成工程は、前記取得工程において取得された前記後処理位置情報に基づいて、前記シートに形成される画像の色調整を行うための第1色調整用パッチを配置した印刷データを生成する。
【0015】
請求項8に記載のプログラムは、
制御装置のコンピューターを、
画像形成されたシートに対して行われる断裁処理またはミシン目加工処理の位置に関する後処理位置情報を取得する取得部、
前記シートに画像形成を行うための印刷データを生成する生成部、
として機能させ、
前記生成部は、前記取得部により取得された前記後処理位置情報に基づいて、前記シートに形成される画像の色調整を行うための第1色調整用パッチを配置した印刷データを生成する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、容易に色調整を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本実施形態における画像形成システムのシステム構成図である。
図2】コンピューターのハードウェア構成を示す図である。
図3】画像処理装置のハードウェア構成を示す図である。
図4】特色テーブルの一例を示す図である。
図5】画像形成装置のハードウェア構成を示す図である。
図6】断裁部における断裁機能を説明するための図である。
図7】従来の色調整チャートの一例を示す図である。
図8】断裁用の色調整チャートの一例を示す図である。
図9】画像形成システムにおいて実行されるチャート出力処理を示すラダーチャートである。
図10】コンピューターにおいて実行される設定受付処理を示すフローチャートである。
図11A】チャート設定画面の一例を示す図である。
図11B】チャート設定画面の一例を示す図である。
図12】画像処理装置において実行されるパッチ配置処理を示すフローチャートである。
図13】断裁される断裁用の色調整チャートの一例を示す図である。
図14】色見本と断裁用の色調整チャートとの比較の一例を示す図である。
図15】画像形成システムにおいて実行される色保存処理を示すラダーチャートである。
図16】チャート設定画面の一例を示す図である。
図17】変形例における断裁用の色調整チャートの一例を示す図である。
図18】色見本と従来の色調整チャートとの比較の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る画像形成システムの実施の形態について説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。
【0019】
(1.画像形成システム100の構成)
図1は、本実施形態における画像形成システム100のシステム構成図である。
図1に示すように、画像形成システム100は、コンピューター10、制御装置としての画像処理装置20、及び画像形成装置30を備える。
コンピューター10と画像処理装置20は、LAN(Local Area Network)等の通信ネットワークNTを介して接続されている。
画像処理装置20と画像形成装置30は、画像データ(印刷データ)を含む制御情報を送信するための専用ラインLを介して接続されている。
【0020】
コンピューター10は、プリンタードライバーや印刷ジョブ管理プログラム等の印刷ジョブのデータ(以下、印刷ジョブデータという。)を出力するためのプログラムを実行する。
印刷ジョブ管理プログラムは、印刷ジョブの実行、予約、保存等を管理するためのプログラムである。
コンピューター10は、ユーザーの操作に基づいて、画像形成装置30で実行される印刷ジョブの設定を受け付け、印刷ジョブデータを画像処理装置20に出力する。
【0021】
画像処理装置20は、コンピューター10から印刷ジョブデータを受信し、画像形成装置30において画像形成を行うための印刷データを生成するプリンターコントローラーである。
画像処理装置20は、印刷ジョブデータに対応付けられた原稿データに基づいて、RIP処理を実行する。そして、画像処理装置20は、RIP処理により生成された印刷データ(ビットマップデータ)を含む制御情報を画像形成装置30に出力する。
【0022】
画像形成装置30は、画像処理装置20から受信した印刷データに基づいて、画像形成を行う。
【0023】
(1-1.コンピューター10の構成)
図2に、コンピューター10のハードウェア構成を示す。
図2に示すように、コンピューター10は、制御部11、RAM(Random Access Memory)12、記憶部13、NIC(Network Interface Controller)14、操作部15、表示部16等を備える。
【0024】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)を備え、記憶部13に記憶されている各種プログラムを読み出してRAM12に展開し、当該プログラムとの協働により各種処理を行う。
RAM12は、制御部11により実行制御される各種処理において、記憶部13から読み出された各種プログラム、入力若しくは出力データ及びパラメーター等を一時的に記憶するワークエリアを形成する。
【0025】
記憶部13は、ハードディスクや不揮発性の半導体メモリー等により構成される記憶装置である。例えば、記憶部13には、プリンタードライバーや印刷ジョブ管理プログラム等(以下、プリンタードライバー等という。)の各種プログラムが記憶されているほか、各種プログラムを実行するために必要なパラメーターやデータが記憶されている。
【0026】
NIC14は、LAN等の通信ネットワークNTを介して接続されている画像処理装置20等の外部機器との間でデータの送受信を行う。
【0027】
操作部15は、カーソルキー、文字・数字入力キー及び各種機能キー等を備えたキーボードと、マウス等のポインティングデバイスを備え、キーボードに対するキー操作やマウス操作により入力された操作信号を制御部11に出力する。
【0028】
表示部16は、LCD(Liquid Crystal Display)等のモニターを備えており、制御部11から入力される表示信号の指示に従って、各種画面を表示する。
【0029】
制御部11は、ユーザーの操作部15からの操作に応じて、記憶部13に記憶されているプリンタードライバー等のプログラムをRAM12に展開し、当該プログラムを実行することにより、プリンタードライバー等の機能を実現する。
制御部11は、プリンタードライバー等の機能において、ユーザーの操作に応じて、印刷ジョブデータに対して各種設定等を行い、NIC14を介して、印刷ジョブデータを画像処理装置20に出力する。
【0030】
印刷ジョブは、原稿データ情報、原稿サイズ設定、印字面設定、出力シートサイズ設定、後処理設定、チャート設定等を含む。
原稿データ情報は、原稿に対応する画像のデータそのものを含んでいてもよいし、原稿データを特定するための識別情報(URL等)でもよい。
原稿サイズ設定は、原稿のサイズ(例えば、A4サイズ等)を示す情報である。
印字面設定は、両面印刷、または片面印刷を示す情報である。
出力シートサイズ設定は、印刷ジョブにおいて画像形成されるシートのサイズを示す情報である。
後処理設定は、後述する画像形成装置30の第2後処理部37において行われる後処理に関する情報である。
チャート設定は、色調整を行うために画像形成装置30によりシートに形成される色調整チャートに関する情報であり、調整対象色情報、チャート種類情報、及びステップ量情報等を含む。
調整対象色情報は、調整対象である色に関する情報であり、調整対象色を識別する情報(例えばカラー名)である。
チャート種類情報は、画像形成装置30により形成する色調整チャートの種類に関する情報であって、例えば、従来の色調整チャートか、または断裁用の色調整チャートかを示す情報である。
ステップ量情報は、色調整チャートにおいて、調整対象色に対してCMYK値を増減させる量を示す。
【0031】
(1-2.画像処理装置20の構成)
図3に、画像処理装置20のハードウェア構成を示す。
図3に示すように、画像処理装置20は、制御部21、RAM22、記憶部23、NIC24、DATA I/F25、I/F26等を備える。
【0032】
制御部21は、CPUを備え、記憶部23に記憶されている各種プログラムを読み出してRAM22に展開し、当該プログラムとの協働により各種処理を行う。
RAM22は、制御部21により実行制御される各種処理において、記憶部23から読み出された各種プログラム、入力若しくは出力データ及びパラメーター等を一時的に記憶するワークエリアを形成する。
【0033】
記憶部23は、ハードディスクや不揮発性の半導体メモリー等により構成される記憶装置である。例えば、記憶部23には、パッチ配置プログラム等の各種プログラムが記憶されているほか、各種プログラムを実行するために必要なパラメーターやデータが記憶されている。
【0034】
また、記憶部23は、特色テーブルT1を記憶している。
図4に、特色テーブルT1の例を示す。
特色テーブルT1には、図4に示すように、特色カラー名に対して、CMYK値が対応付けられて登録されている。例えば、「特色1」に対しては、C0.0%、M100.0%、Y68.7%、K0.0%が対応付けられている。
【0035】
また、記憶部23は、画像形成装置30の後述する第1後処理部34によりシートが断裁される断裁箇所数、及び当該シートサイズに応じた断裁位置に関する情報を記憶している。
【0036】
NIC24は、LAN等の通信ネットワークNTを介して接続されているコンピューター10等の外部機器との間でデータの送受信を行う。
【0037】
DATA I/F25は、専用ラインLを介して接続されている画像形成装置30との間でデータの送受信を行う。
【0038】
I/F26は、操作部27、表示部28と接続するためのインターフェースである。
操作部27は、カーソルキー、文字・数字入力キー及び各種機能キー等を備えたキーボードと、マウス等のポインティングデバイスを備え、キーボードに対するキー操作やマウス操作により入力された操作信号を、I/F26を介して制御部21に出力する。
表示部28は、LCD等のモニターを備えており、I/F26を介して制御部21から入力される表示信号の指示に従って、各種画面を表示する。
【0039】
なお、操作部27、表示部28として、コンピューター10の操作部15、表示部16を利用してもよいし、画像形成装置30の操作部(図示せず)、表示部(図示せず)を利用してもよい。
【0040】
制御部21は、記憶部23に記憶されているパッチ配置プログラムをRAM22に展開し、当該プログラムを実行することにより、パッチ配置処理を行う。
また、制御部21は、NIC24を介して印刷ジョブデータを受信し、印刷ジョブデータに対応する原稿データに基づいて、RIP処理を行う。そして、制御部21は、RIP処理の結果としての印刷データ(ビットマップデータ)を含む制御情報をDATA I/F25を介して画像形成装置30に出力する。
【0041】
(1-3.画像形成装置30の構成)
図5に、画像形成装置30のハードウェア構成を示す。
図5に示すように、画像形成装置30は、給紙部31、画像形成部32、反転機構33、第1後処理部34(後処理部)、排出部36、第2後処理部37、載置部38、制御部39を備える。
【0042】
給紙部31は、画像形成部32に用紙等のシートを供給する。
【0043】
画像形成部32は、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4色のトナーやインク等の色材を用いて、給紙部31により供給されたシートに対し、印刷データに基づいて画像を形成する。
印刷データが、両面印刷に対応するものである場合は、画像形成部32は、シートの第1面(先に画像が形成される面)に画像を形成した後、反転機構33により表裏が反転されたシートの第2面(後から画像が形成される面)に画像を形成する。画像が形成されたシートは、第1後処理部34に搬送される。
【0044】
反転機構33は、第1面に画像が形成されたシートの表裏及び先端後端を反転させて、画像形成部32にシートを再供給する。
【0045】
第1後処理部34は、画像形成装置30において、画像形成部32により画像形成されたシートが搬送される搬送経路上に設けられており、画像形成されたシートを1枚ずつ搬送経路上で断裁する断裁機能を有する。
第1後処理部34は、図6に示すように、シートSを1枚ずつ、シートSが搬送される搬送方向と直交する方向に断裁し、シートSを複数枚(図6に示す例においては6枚)に分断する。
なお、第1後処理部34による断裁位置は、断裁箇所数(図6に示す例においては5箇所)、及びシートサイズに応じて、予め設定されている。
第1後処理部34は、断裁されたシートを、下流の排出部36に搬送する。
【0046】
排出部36は、画像が形成され、必要に応じて断裁・後処理が施されたシートを載置部38に排出する。
第2後処理部37は、排出部36に搬送されてくるシートに、折り加工処理、ステープル処理、パンチ処理等の後処理を行う。
載置部38は、排出部36から排出されたシートが、排出された順に積載されるトレイである。
【0047】
制御部39は、CPU、ROM、RAM等を備える。
制御部39は、ROMから処理内容に応じたプログラムを読み出してRAMに展開し、展開したプログラムと協働して画像形成装置30の各部の動作を集中制御する。
【0048】
(2.色調整チャートの構成)
ここで、画像形成装置30によりシートに形成される従来の色調整チャート(従来チャートCH1)、及び断裁用の色調整チャート(断裁チャートCH2)について説明する。
従来チャートCH1は、第2色調整用パッチを有する。
断裁チャートCH2は、第1色調整用パッチを有する。
【0049】
図7に従来チャートCH1の一例を示す。
従来チャートCH1は、調整対象色(パッチP10の色)に対して、CMYK値をユーザーが設定するステップ量ずつ増減させた色の複数のパッチを有する。そして、従来チャートCH1では、当該複数のパッチが以下のようなルールに従って配置されている。
図7に示す例においては、従来チャートCH1は、3×3である9つのパッチを一つのグループとして、当該グループを3×3個有しており、つまり計81個のパッチを有する。
なお、従来チャートCH1が有するパッチの数は81個に限らない。パッチの数は、従来チャートCH1が形成されるシートの大きさによって決定されてもよい。
【0050】
従来チャートCH1では、グループごとに識別用の記号が対応付けられている。図7に示す例においては、従来チャートCH1は、グループA~Iである9つのグループを有する。
また、従来チャートCH1では、図7に示すように、一つのグループに含まれる9つのパッチにそれぞれ識別番号が対応付けられている。図7に示す例においては、一つのグループに含まれる9つのパッチに「1~9」の番号が対応付けられている。
【0051】
図7に示す例における従来チャートCH1では、グループEにおいて、5番のパッチを調整対象色のパッチ(パッチP10)とする。そして、パッチP10の周囲に、調整対象色に対してCMYK値のうちの2色をステップ量ずつ増減させた色のパッチ(第1差異パッチ)を8つ配置する。そして、さらに、当該グループEの周囲に、第1差異パッチの色に対してCMYK値のうちの残りの2色をステップ量ずつ増減させた色のパッチ(第2差異パッチ)を8つ配置する。そして、さらに、第2差異パッチの周囲に、第2差異パッチの色に対してCMYK値のうちの2色をステップ量ずつ増減させた色のパッチ(第3差異パッチ)を8つ配置する。
【0052】
具体的には、図7に示す例では、グループEにおいて、調整対象色に対してC及びM値をステップ量ずつ増減させた色の8つのパッチを、調整対象色のパッチP10の周囲に配置している。
例えば、図7に示す例おいて、ステップ量が5%であるとすると、グループEの4番のパッチ(パッチP11)の色は、調整対象色(パッチP10の色)に対して、C値を5%増、且つM値を増減なしにした色である。同様に、グループEの1番のパッチ(パッチP12)の色は、調整対象色に対して、C値を5%増、且つM値を5%増にした色である。同様に、グループEの2番のパッチ(パッチP13)の色は、調整対象色に対して、C値を増減なし、且つM値を5%増にした色である。同様に、グループEの9番のパッチ(パッチP14)の色は、調整対象色に対して、C値を5%減、且つM値を5%減にした色である。
グループEの1番~4番、及びグループEの6番~9番のパッチが第1差異パッチである。
【0053】
そして、例えば、パッチP13の色に対して、Y値を増減なし、且つK値を5%増にした色のパッチであるパッチP132を、グループBの5番のパッチとする。
そして、グループBにおいて、パッチP132の色に対してC及びM値をステップ量ずつ増減させた色の8つのパッチを、パッチP132の周囲に配置している。
具体的には、グループBの4番のパッチ(パッチP19)の色は、パッチP132の色に対して、C値を5%増、且つM値を増減なしにした色である。同様に、グループBの1番のパッチ(パッチP20)の色は、パッチP132の色に対して、C値を5%増、且つM値を5%増にした色である。同様に、グループBの2番のパッチ(パッチP21)の色は、パッチP132の色に対して、C値を増減なし、且つM値を5%増にした色である。同様に、グループBの9番のパッチ(パッチP22)の色は、パッチP132の色に対して、C値を5%減、且つM値を5%減にした色である。
【0054】
また、例えば、パッチP14の色に対して、Y値を5%減、且つK値を5%減にした色のパッチであるパッチP142を、グループIの5番のパッチとする。
そして、グループIにおいて、パッチP142の色に対してC及びM値をステップ量ずつ増減させた色の8つのパッチを、パッチP142の周囲に配置している。
具体的には、グループIの4番のパッチ(パッチP15)の色は、パッチP142の色に対して、C値を5%増、且つM値を増減なしにした色である。同様に、グループIの1番のパッチ(パッチP16)の色は、パッチP142の色に対して、C値を5%増、且つM値を5%増にした色である。同様に、グループIの2番のパッチ(パッチP17)の色は、パッチP142の色に対して、C値を増減なし、且つM値を5%増にした色である。同様に、グループIの9番のパッチ(パッチP18)の色は、パッチP142の色に対して、C値を5%減、且つM値を5%減にした色である。
【0055】
図7に示す例において、グループA~Dの5番のパッチ、及びグループF~Iの5番のパッチが第2差異パッチである。
そして、グループA~Dの1番~4番、グループA~Dの6番~9番、グループF~Iの1番~4番、及びグループF~Iの6番~9番のパッチが第3差異パッチである。
【0056】
図8に断裁チャートCH2の一例を示す。
断裁チャートCH2では、図7に示した従来チャートCH1が有する例えば81個のパッチを、所定数ずつ、シートの搬送方向と直交する方向に並べて配置している。図8に示す例においては、17個のパッチの列が4列、13個のパッチの列が1列になるように配置されている。
断裁チャートCH2が有するパッチの並び順は任意であってよい。
また、断裁チャートCH2が有するパッチの数は81個に限らない。パッチの数は、断裁チャートCH2が形成されるシートの大きさによって決定されてもよい。
また、図8に示す例において、パッチの列は5列であるとしたがこれに限らない。パッチの列の数は、断裁チャートCH2が形成されるシートの大きさによって決定されてもよい。
【0057】
断裁チャートCH2では、パッチの列ごとに識別用の記号が対応付けられている。図8に示す例においては、断裁チャートCH2は、列J~Nである5列を有する。
また、断裁チャートCH2では、図8に示すように、パッチにそれぞれ識別番号が対応付けられている。図8に示す例においては、列J~Mに含まれるパッチに「1~17」、列Nに含まれるパッチに「1~13」の番号が対応付けられている。
【0058】
(3.画像形成システム100の動作)
次に、画像形成システム100における動作について説明する。
図9は、画像形成システム100が備えるコンピューター10、画像処理装置20、及び画像形成装置30において実行されるチャート出力処理を示すラダーチャートである。
【0059】
本実施形態においては、特色である色見本の色再現を目指して色調整を行うとする。
特色の色調整は、直接CMYK値を指定した特色テーブルT1を使用して行うものであり、通常色のカラープロファイル(色変換パラメーター)を使用した色調整とは独立している。
【0060】
まず、コンピューター10において、制御部11は、操作部15を介したユーザーの操作に応じて、印刷ジョブにおける各種設定を受け付ける設定受付処理を実行する(ステップS1)。
図10に、設定受付処理のフローチャートを示す。
【0061】
設定受付処理において、まず、制御部11は、表示部16に図11A図11Bに示すチャート設定画面161を表示する(ステップA1)。
次に、制御部11は、ユーザーによるテーブルの選択を受け付ける(ステップA2)。具体的には、ユーザーは、チャート設定画面161内のテーブルボタン161aを押下し、色調整を行う色(調整対象色)が登録されているテーブルを選択する。図11A図11Bに示す例では、画像処理装置20の記憶部23に記憶された「特色テーブルT1」が選択されている。
次に、制御部11は、ユーザーによる調整対象色の選択を受け付ける(ステップA3)。具体的には、ユーザーは、ステップA2において選択したテーブルから調整対象色を選択する。図11A図11Bに示す例では、「特色テーブルT1」から「特色1」が選択されている。
【0062】
次に、制御部11は、ユーザーによるチャート種類の選択を受け付ける(ステップA4)。具体的には、ユーザーは、従来チャートCH1を用いて色調整を行いたい場合、図11Aに示すように、チェックボックス161bにチェックを入れない。また、ユーザーは、断裁チャートCH2を用いて色調整を行いたい場合、図11Bに示すように、チェックボックス161bにチェックを入れる。
【0063】
次に、制御部11は、ユーザーによるステップ量の設定を受け付ける(ステップA5)。具体的には、ユーザーは、入力欄161cに希望のステップ量を入力する。図11A図11Bに示す例では、ステップ量は「5%」に設定されている。
次に、制御部11は、ユーザーによる、色調整チャートを形成するシートサイズ(出力シートサイズ)の設定を受け付け(ステップA6)、本処理を終了する。
【0064】
図9に戻り、制御部11は、ステップS1において受け付けた各種設定情報に基づいて、印刷ジョブデータを生成し、生成した印刷ジョブデータを画像処理装置20に出力する(ステップS2)。
ステップS2において生成された印刷ジョブには、出力シートサイズ設定、及びチャート設定が含まれる。
この場合の出力シートサイズ設定は、設定受付処理のステップA6において受け付けた設定である。
また、この場合のチャート設定に含まれる調整対象色情報は、設定受付処理のステップA3において選択された調整対象色のカラー名(例えば、特色1)である。
また、この場合のチャート設定に含まれるチャート種類情報は、設定受付処理のステップA4において選択されたチャートを示す情報である。
また、この場合のチャート設定に含まれるステップ量情報は、設定受付処理のステップA5において受け付けた設定である。
【0065】
画像処理装置20の制御部21は、コンピューター10から印刷ジョブデータを受信すると、印刷ジョブデータから印刷ジョブにおける各種設定情報を取得する(ステップS3)。
次に、制御部21は、ステップS3において取得した各種設定情報に基づいて、図12に示すパッチ配置処理を実行する(ステップS4)。
【0066】
パッチ配置処理において、制御部21は、ステップS3において取得したチャート種類情報が示すチャートは、断裁用の色調整チャートか否か、つまり、断裁用の色調整チャートか、または従来の色調整チャートかを判断する(ステップB1)。
【0067】
チャート種類情報が示すチャートが断裁用の色調整チャートである場合(ステップB1;YES)、制御部21は、ステップS3において取得した出力シートサイズ設定に基づいて、断裁用の色調整チャートが有するパッチの数、及びパッチの列数を決定する(ステップB2)。
図13に示すように、断裁チャートCH2が形成されたシートSは、第1後処理部34により、パッチの列ごとに断裁される。つまり、制御部21は、ステップB2において断裁チャートCH2が有するパッチの列数を決定することにより、断裁チャートCH2が形成されたシートSを断裁する断裁箇所数を決定する。
【0068】
次に、制御部21は、記憶部23から、ステップB2において決定した断裁箇所数、及びステップS3において取得した出力シートサイズ設定に応じた、第1後処理部34による断裁位置に関する情報を取得する(ステップB3)。
つまり、制御部21は、画像形成されたシートSに対して行われる第1後処理部34による断裁処理の位置に関する後処理位置情報を取得する。ここで、制御部21は取得部として機能する。
ここで、後処理位置情報とは、記憶部23に記憶された第1後処理部34によりシートが断裁される断裁箇所数、及び出力シートサイズに応じた断裁位置に関する情報である。
パッチ配置処理のステップB3が取得工程である。
【0069】
次に、制御部21は、ステップB2において決定した断裁用の色調整チャートが有するパッチの数と列数、及びステップB3において取得した断裁位置に関する情報に基づいて、断裁用の色調整チャートのパッチを配置する位置を決定する(ステップB4)。
具体的には、図13に示すように、制御部21は、第1後処理部34によりシートSを複数枚(図13に示す例においては6枚)に断裁した際に、断裁された各シートSの断裁箇所にパッチが並ぶように配置する。
つまり、生成部としての制御部21は、第1後処理部34による断裁箇所(断裁処理が施される位置)に断裁用の色調整チャートのパッチ(第1色調整用パッチ)を配置する。
また、生成部としての制御部21は、第1後処理部34による断裁箇所(断裁処理が施される位置)に沿って、断裁用の色調整チャートが有する色が異なる複数のパッチ(第1色調整用パッチ)を配列する。
【0070】
なお、制御部21は、図13に示すように、第1後処理部34による断裁によってそれぞれのパッチが分断されるように配置してもよいし、シートSの断裁箇所にそれぞれのパッチの端部が接するように配置してもよい。また、シートSの断裁箇所がパッチの列間に位置するように配置してもよい。
しかし、シートSの断裁箇所にそれぞれのパッチの端部が接するように配置した場合、第1後処理部34による断裁位置のずれにより、シートSの断裁箇所にパッチが接しなくなる可能性がある。また、シートSの断裁箇所がパッチの列間に位置するように配置した場合、シートSの断裁箇所にパッチが接しない。シートSの断裁箇所にパッチが接していた方が、色見本と比較しやすいため、図13に示すように、第1後処理部34によりそれぞれのパッチが分断されるように配置することが好ましい。
【0071】
次に、制御部21は、ステップS3において取得した調整対象色情報及びステップ量情報に基づいて、色調整チャートが有するそれぞれのパッチの色を指定するCMYK値を決定する(ステップB5)。
【0072】
次に、制御部21は、ステップB4で決定した位置において、ステップB5で決定した色のパッチを配置した印刷データを生成し(ステップB6)、本処理を終了する。
つまり、制御部21は、シートに画像形成を行うための印刷データを生成する。ここで、制御部21は、生成部として機能する。
そして、生成部としての制御部21は、取得部により取得された後処理位置情報に基づいて、シートに形成される画像の色調整を行うための第1色調整用パッチを配置した印刷データを生成する。
パッチ配置処理のステップB6が生成工程である。
【0073】
一方、チャート種類情報が示すチャートが従来の色調整チャートである場合(ステップB1;NO)、制御部21は、ステップS3において取得した出力シートサイズ設定に基づいて、従来の色調整チャートが有するパッチの数を決定し(ステップB7)、本処理をステップB5に移行する。
この場合、ステップB6において、制御部21は、ステップB7において決定した数のパッチを、ステップB5で決定した色で配置した印刷データを生成する。
つまり、生成部としての制御部21は、断裁用の色調整チャートのパッチ(第1色調整用パッチ)の代わりに、第1色調整用パッチとは異なる従来の色調整チャートのパッチ(第2色調整用パッチ)を配置した印刷データを生成することが可能である。
【0074】
図9に戻り、制御部21は、DATA I/F25を介して、色調整チャートのパッチを配置した印刷データ(ビットマップデータ)を含む制御情報を画像形成装置30に出力する(ステップS5)。
この場合の制御情報は、出力シートサイズの情報を含む。
また、制御情報は、印刷データにおける色調整チャートは断裁用の色調整チャートであるか否か、つまり第1後処理部34によりシートを断裁するか否かの情報を含む。また、シートを断裁する場合、制御情報は、シートを断裁する断裁箇所数の情報を含む。
つまり、制御部21は、従来の色調整チャートのパッチ(第2色調整用パッチ)を配置した印刷データに基づいて画像形成されたシートには、第1後処理部34による断裁処理を行わないように制御する制御情報を画像形成装置30に送信する。
また、色調整チャートのパッチを配置した印刷データには、色調整チャートが有するそれぞれのパッチに対応付けられた識別用の記号及び番号が含まれる。
【0075】
画像形成装置30では、画像処理装置20から制御情報を受信すると、制御部39は、受信した印刷データに基づいて、画像形成部32により画像形成を行う(ステップS6)。画像形成部32は、シートに色調整チャートを形成し、且つ色調整チャートが有するそれぞれのパッチに対応付けられた識別用の記号及び番号をパッチ近くに形成する。
次に、制御部39は、受信した制御情報に基づいて、第1後処理部34によりシートを断裁するか否かを判断する(ステップS7)。
シートを断裁する場合(ステップS7;YES)、制御部39は、制御情報に含まれる断裁箇所数、及び出力シートサイズの情報に基づいて、第1後処理部34により画像形成後のシートを複数枚に断裁する(ステップS8)。
次に、制御部39は、断裁後のシートを排出部36により載置部38に排出し(ステップS9)、本処理を終了する。
【0076】
一方、シートを断裁しない場合(ステップS7;NO)、制御部39は、本処理をステップS9に移行する。
ステップS9において、制御部39は、画像形成後のシートを排出部36により載置部38に排出する。
【0077】
ユーザーは、画像形成装置30の載置部38に排出されたシートと色見本とを見比べて、シートに形成された色調整チャートの中から色見本に近い色のパッチを探す。
図14に、色見本Aと、断裁チャートCH2が形成された断裁処理済みのシートSとを比較する例を示す。
この場合、図14に示すように、シートSの断裁箇所に断裁チャートCH2が有するパッチP2が並ぶ。そのため、比較対象である色見本Aの色調整対象領域Aaと、断裁チャートCH2が有するそれぞれのパッチP2とを隣り合わせることができるため、見比べやすい。
【0078】
色調整チャートの中から色見本に近い色のパッチが見つからない場合、ユーザーは、再度チャート出力処理を実行させる。そして、ユーザーは、チャート出力処理のステップS1において、ステップ量を前回から変更し、変更したステップ量で再度色調整チャートを出力させる。
【0079】
一方、色調整チャートの中から色見本に近い色のパッチを見つけた場合、ユーザーは、画像形成システム100において色保存処理を実行させ、当該パッチの色を特色テーブルT1に保存させる。
図15は、画像形成システム100が備えるコンピューター10、及び画像処理装置20において実行される色保存処理を示すラダーチャートである。
【0080】
まず、コンピューター10において、制御部11は、操作部15を介したユーザーの操作に応じて、保存する色に対応する識別用の記号及び番号の入力を受け付ける(ステップS11)。
具体的には、制御部11は、表示部16に図16に示すチャート設定画面161を表示する。
ユーザーは、図16に示すチャート設定画面161内の入力欄161dにおいて、色見本に近い色のパッチに対応する識別用の記号及び番号を入力する。図16に示す例においては、断裁チャートCH2における列Bの5番のパッチが選択されている。
なお、図16に示す例においては、調整対象色として「特色1」が選択されている状態である。
【0081】
次に、制御部11は、ステップS11において受け付けた保存する色に対応する識別用の記号及び番号の情報、及び調整対象色を識別する情報(例えば、カラー名)を含む色保存情報を画像処理装置20に出力する(ステップS12)。
【0082】
画像処理装置20の制御部21は、コンピューター10から色保存情報を受信すると、保存する色に対応する識別用の記号及び番号の情報に基づいて、パッチ配置処理において決定した、当該識別用の記号及び番号に対応するパッチの色を指定するCMYK値を取得する(ステップS13)。
次に、制御部21は、特色テーブルT1に登録された、調整対象色のカラー名に対応するCMYK値を、ステップS13で取得したCMYK値に更新することにより、色を保存し(ステップS14)、本処理を終了する。
【0083】
(変形例)
次に、上記実施形態の変形例について説明する。
以下では、上記実施形態との差異を中心に説明する。
【0084】
図17に、本変形例の断裁チャートCH2を示す。
図17に示すように、本変形例の断裁チャートCH2では、従来チャートCH1におけるグループA~Iの5番のパッチを、列Jに並べる。
また、グループA~Iにおける5番以外のパッチを、グループごとに列K~Sにそれぞれ並べる。
つまり、断裁チャートCH2が有する複数のパッチ(色が異なる複数の第1色調整用パッチ)は、グループA~Iの5番のパッチ(第1パッチ)及びグループA~Iにおける5番以外のパッチ(第1パッチに対して色を変化させた複数の第2パッチ)からなるグループを複数有する。そして、生成部としての制御部21は、グループA~Iの5番のパッチ(第1パッチ)を一列に配列し、グループA~Iにおける5番以外のパッチ(第2パッチ)をグループごとに配列した印刷データを生成する。
なお、グループA~Iにおける5番以外のパッチの並べ方は任意であってよい。
また、図17の右図に示す破線は、第1後処理部34による断裁位置を示す。
【0085】
ユーザーが、本変形例の断裁チャートCH2が形成されたシートSと色見本とを見比べて、シートに形成された色調整チャートの中から色見本に近い色のパッチを探す場合を以下に説明する。
この場合、ユーザーは、まず、列Jの中から色見本に近い色のパッチを探す。そして、ユーザーは、列Jの中で見つけた色見本に近い色のパッチが属するグループの1番~4番、及び6番~9番のパッチが並ぶ列が形成されたシートと色見本とを見比べて、より色見本と近い色のパッチを探す。
【0086】
つまり、本変形例の断裁チャートCH2では、複数枚に断裁されたシートにおいて、最初に確認するシート(列Jが形成されたシート)のパッチの色によって、次に確認するシートを選択できるようにパッチが配置されている。
これにより、ユーザーは、より色見本と近い色のパッチを容易に探すことができる。
【0087】
以上、本発明について上記実施形態に基づいて説明を行ったが、上記実施形態における記述は、本発明に係る画像形成システムの一例であり、これに限定されるものではない。
例えば、上記実施形態の第1後処理部34は、シートSを1枚ずつ、シートSが搬送される搬送方向と直交する方向に断裁するとしたがこれに限らない。第1後処理部34は、シートSを断裁せず、シートSが搬送される搬送方向と直交する方向に、シートSにミシン目を形成するミシン目加工処理を実施してもよい。
この場合、ユーザーは、色調整チャートが形成されたシートと色見本とを見比べる際に、上記ミシン目により色調整チャートが形成されたシートを複数枚に分断する。
【0088】
(3.効果)
以上説明したように、本実施形態における制御装置(画像処理装置20)は、画像形成されたシートに対して行われる断裁処理またはミシン目加工処理の位置に関する後処理位置情報を取得する取得部(制御部21)と、シートに画像形成を行うための印刷データを生成する生成部(制御部21)と、を備え、生成部(制御部21)は、取得部(制御部21)により取得された後処理位置情報に基づいて、シートに形成される画像の色調整を行うための第1色調整用パッチ(断裁チャートCH2が有するパッチ)を配置した印刷データを生成する。
これにより、シートに対して行われる断裁処理またはミシン目加工処理の位置に基づいて、パッチを配置できる。そのため、例えば、シートの断裁箇所に断裁チャートCH2が有するパッチを並べることができる。よって、色見本Aの色調整対象領域Aaと、断裁チャートCH2が有するそれぞれのパッチとを隣り合わせることができるため、色調整対象領域Aaとパッチを見比べやすい。
したがって、容易に色調整を行うことができる。
【0089】
また、本実施形態における制御装置において、生成部(制御部21)は、断裁処理またはミシン目加工処理が施される位置に第1色調整用パッチを配置する。
したがって、シートの断裁箇所、またはミシン目形成箇所に断裁チャートCH2が有するパッチを並べることができる。
【0090】
また、本実施形態における制御装置において、生成部(制御部21)は、断裁処理またはミシン目加工処理が施される位置に沿って、色が異なる複数の第1色調整用パッチを配列する。
したがって、シートの断裁箇所、またはミシン目形成箇所に沿って、断裁チャートCH2が有するパッチを並べることができる。
【0091】
また、本実施形態における制御装置において、生成部(制御部21)は、第1色調整用パッチの代わりに、第1色調整用パッチとは異なる第2色調整用パッチ(従来チャートCH1が有するパッチ)を配置した印刷データを生成することが可能であり、生成部(制御部21)が第2色調整用パッチを配置した印刷データに基づいて画像形成されたシートには、断裁処理またはミシン目加工処理を行わないように制御する制御情報を送信する制御部21を備える。
したがって、色見本と色調整チャートの比較において、断裁チャートCH2よりも従来チャートCH1の方が見比べやすい場合等では、従来チャートCH1を出力することができる。
【0092】
また、本実施形態における制御装置において、色が異なる複数の第1色調整用パッチは、第1パッチ及び第1パッチに対して色を変化させた複数の第2パッチからなるグループを複数有し、生成部(制御部21)は、各グループの第1パッチを一列に配列し、第2パッチをグループごとに配列する。
つまり、複数枚に断裁されたシートにおいて、最初に確認するシート(列Jが形成されたシート)のパッチの色によって、次に確認するシートを選択できるようにパッチが配置されている。
これにより、ユーザーは、より色見本と近い色のパッチを容易に探すことができる。
【0093】
また、本実施形態における画像形成システム100は、制御装置と、シートに画像形成を行う画像形成部32と、画像形成されたシートに対して断裁処理またはミシン目加工処理を行う後処理部(第1後処理部34)と、を備える。
【0094】
また、本実施形態における情報処理方法は、画像形成されたシートに対して行われる断裁処理またはミシン目加工処理の位置に関する後処理位置情報を取得する取得工程(パッチ配置処理のステップB3)と、シートに画像形成を行うための印刷データを生成する生成工程(パッチ配置処理のステップB6)と、を含み、生成工程は、取得工程において取得された後処理位置情報に基づいて、シートに形成される画像の色調整を行うための第1色調整用パッチを配置した印刷データを生成する。
【0095】
また、本実施形態における制御装置が実行するプログラムは、制御装置のコンピューター(制御部21)を、画像形成されたシートに対して行われる断裁処理またはミシン目加工処理の位置に関する後処理位置情報を取得する取得部、シートに画像形成を行うための印刷データを生成する生成部、として機能させ、生成部は、取得部により取得された後処理位置情報に基づいて、シートに形成される画像の色調整を行うための第1色調整用パッチを配置した印刷データを生成する。
【0096】
なお、上記各実施の形態における記述は、本発明に係る制御装置、画像形成システム、情報処理方法及びプログラムの例であり、これに限定されるものではない。装置を構成する各部の細部構成及び細部動作に関しても本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【0097】
例えば、画像形成装置30と画像処理装置20(プリンターコントローラー)は、一つの装置としても提供可能である。例えば、画像処理装置20の機能が画像形成装置30の内部に備えられていてもよい。
【0098】
また、上記各実施の形態では、画像処理装置20(プリンターコントローラー)が制御装置である場合について説明したが、プリンタードライバー又は印刷ジョブ管理プログラムを実行する装置であるコンピューター10が制御装置の役割を担っていてもよい。
【0099】
また、上記各実施の形態では、特色の色調整を行ったが、これに限らない。カラープロファイル(色変換パラメーター)で指定される通常色において色調整を行ってもよい。
【0100】
各処理を実行するためのプログラムを格納するコンピューター読み取り可能な媒体としては、上記の例に限定されず、CD-ROM等の可搬型記録媒体を適用することも可能である。また、プログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウェーブ(搬送波)を適用することとしてもよい。
【符号の説明】
【0101】
10 コンピューター
11 制御部
12 RAM
13 記憶部
14 NIC
15 操作部
16 表示部
161 チャート設定画面
20 画像処理装置
21 制御部(取得部、生成部)
22 RAM
23 記憶部
24 NIC
25 DATA I/F
26 I/F
27 操作部
28 表示部
30 画像形成装置
31 給紙部
32 画像形成部
33 反転機構
34 第1後処理部(後処理部)
36 排出部
37 第2後処理部
38 載置部
39 制御部
100 画像形成システム
A 色見本
Aa 色調整対象領域
CH1 従来チャート
CH2 断裁チャート
L 専用ライン
NT 通信ネットワーク
S シート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18