(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024105960
(43)【公開日】2024-08-07
(54)【発明の名称】蓋部材及び液体貯留容器
(51)【国際特許分類】
B65D 47/42 20060101AFI20240731BHJP
B65D 47/18 20060101ALI20240731BHJP
【FI】
B65D47/42 200
B65D47/18 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023009982
(22)【出願日】2023-01-26
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 達也
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA02
3E084AA12
3E084AB05
3E084AB09
3E084BA02
3E084CA01
3E084CC03
3E084DA01
3E084DB12
3E084FB01
3E084GA01
3E084GB01
3E084LD29
3E084LE04
3E084LG01
(57)【要約】
【課題】容器の開口部に着脱するだけで容器内の液体を塗布可能な状態とする。
【解決手段】蓋部材1が、容器2に取り付けられる蓋本体10の内側に設けられ、陰圧を発生させる陰圧発生部31と、陰圧発生部31により発生した陰圧により容器2内の液体Lを吸い上げる吸い口33と、吸い口33から吸い上げられた液体Lを保持する胴部32と、を有するスポイト部材3と、塗布手段4と、を備え、陰圧発生部31は、容器2の口頸部22に蓋本体10を取り付けることで「収縮状態」となり、蓋本体10を容器2の口頸部22から取り外すことで「初期状態」に復帰して陰圧を発生させる第1の陰圧発生部と、押圧することで収縮し「収縮状態」から「初期状態」に復帰することで陰圧を発生させる第2の陰圧発生部と、を含み、第2の陰圧発生部が押圧されることにより、液体Lを塗布手段4に補充する。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器に取り付けられる蓋本体の内側に設けられ、陰圧を発生させる陰圧発生部と、前記陰圧発生部により発生した陰圧により前記容器内の液体を吸い上げる吸い口と、前記吸い口から吸い上げられた液体を保持する胴部と、を有するスポイト部材と、
前記スポイト部材の少なくとも前記吸い口の周りに設けられる塗布手段と、
を備え、
前記陰圧発生部は、前記容器の開口部に前記蓋本体を取り付けることで収縮状態となり、前記蓋本体を前記容器の開口部から取り外すことで初期状態に復帰して陰圧を発生させる第1の陰圧発生部と、押圧することで収縮し収縮状態から初期状態に復帰することで陰圧を発生させる第2の陰圧発生部と、を含み、前記第2の陰圧発生部が押圧されることにより、前記液体を前記塗布手段に補充する、
ことを特徴とする蓋部材。
【請求項2】
前記容器は、液体を貯留する容器本体と、前記容器本体から立設する開口部であり外周に雄螺子部が形成された口頸部とを含み、
前記蓋本体における取付け側の内周面には、前記口頸部の雄螺子部に対して外側から螺着される雌螺子部が形成されており、
前記蓋本体は、前記雄螺子部と前記雌螺子部とが螺合することで前記容器の開口部に取り付けられ、
前記陰圧発生部は、前記開口部の開口側端面によって押し上げられることで収縮状態となる、
ことを特徴とする請求項1に記載の蓋部材。
【請求項3】
前記陰圧発生部と前記雌螺子部との間には、外径が前記雌螺子部の内径よりも大きく形成され、前記容器の開口部に前記蓋本体を取り付けることで前記容器の開口部の開口側端面により押し上げられる押上部材がさらに設けられており、
前記陰圧発生部は、前記押上部材によって押し上げられることで収縮状態となる、
ことを特徴とする請求項2に記載の蓋部材。
【請求項4】
前記押上部材は、その内径が前記容器の開口部の外径よりも小さく形成されている、
ことを特徴とする請求項3に記載の蓋部材。
【請求項5】
前記押上部材における、前記陰圧発生部側から前記雌螺子部側までの長さを可変とするとともに、前記押上部材を任意の長さで係止可能とする調整機構をさらに備えている、
ことを特徴とする請求項3に記載の蓋部材。
【請求項6】
前記第1の陰圧発生部は、蛇腹構造を有する蛇腹状部を含み、
前記蛇腹状部は、押し上げられることで収縮状態となり、押し上げ状態が解除されることで復元力により初期状態に復帰する、
ことを特徴とする請求項1に記載の蓋部材。
【請求項7】
前記第2の陰圧発生部は、押圧することで収縮する袋状部であり、
前記蓋本体は、前記袋状部を、前記蓋本体の外部から押圧可能な押圧部を備えている、
ことを特徴とする請求項1に記載の蓋部材。
【請求項8】
前記蓋本体における前記容器への取付け側の部分は、伸縮性を有する材料で形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の蓋部材。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の蓋部材と、
内部に液体を貯留し、前記蓋部材が取り付けられる容器と、
を備えている、
ことを特徴とする液体貯留容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓋部材及び液体貯留容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液体を貯留する液体貯留容器において蓋部材にスポイトを設けたものが知られている。
例えば特許文献1には、容器の口頸部に蓋部材(特許文献1において「キャップ」)を螺合させ螺脱するだけで蓋部材に設けられているカム機構により自動的にスポイト内へ容器内の液体が吸込まれるように構成したスポイト容器が記載されている。
【0003】
蓋部材にこのような構成を設けることで、ユーザが液体を吸引する手間を省くことができ、容器から蓋部材を外すだけで容器内の液体をスポイト内に取り込むことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された構成では蓋部材内の限られた空間にカム機構等を組み込まなければならず、構成が複雑となってしまう。
また、容器が例えばネイルアートに用いるマニキュア液等を貯留するものである場合、単にスポイト内に液体を吸引するだけでなく、吸引した液体をそのまま爪の上面等、塗布対象面に塗布したいとの要望がある。
【0006】
本発明はこうした課題を解決するためのものであり、容器の開口部に着脱するだけで容器内の液体を塗布可能な状態とすることのできる蓋部材及び液体貯留容器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明に係る蓋部材は、
容器に取り付けられる蓋本体の内側に設けられ、陰圧を発生させる陰圧発生部と、前記陰圧発生部により発生した陰圧により前記容器内の液体を吸い上げる吸い口と、前記吸い口から吸い上げられた液体を保持する胴部と、を有するスポイト部材と、
前記スポイト部材の少なくとも前記吸い口の周りに設けられる塗布手段と、
を備え、
前記陰圧発生部は、前記容器の開口部に前記蓋本体を取り付けることで収縮状態となり、前記蓋本体を前記容器の開口部から取り外すことで初期状態に復帰して陰圧を発生させる第1の陰圧発生部と、押圧することで収縮し収縮状態から初期状態に復帰することで陰圧を発生させる第2の陰圧発生部と、を含み、前記第2の陰圧発生部が押圧されることにより、前記液体を前記塗布手段に補充することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、蓋部材を容器の開口部に着脱するだけで容器内の液体を塗布可能な状態とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態における液体貯留容器の要部構成図である。
【
図2】実施形態における蓋本体の要部斜視図である。
【
図3】
図2に示す蓋本体を、押圧部を正面にして示した要部平面図である。
【
図4】
図2に示す蓋本体の内部に設けられるスポイト部材及び塗布手段の要部平面図である。
【
図5】本実施形態における液体貯留容器の一例を示す模式的平面図である。
【
図6】
図5に示すものよりも容器の口頸部の外径が大きい場合の一例を示す模式的平面図である。
【
図7】
図6に示すものよりもさらに容器の口頸部の外径が大きくアタッチメントを装着して対応した例を示す模式的平面図である。
【
図8】本実施形態における蓋部材を模式的に示す平面図である。
【
図9】容器の口頸部と蓋本体の取付け部と押上部材との位置関係を模式的に示す説明図である。
【
図10】本実施形態における容器に蓋部材を取り付けた蓋閉状態の液体貯留容器を示す要部側断面図である。
【
図11】
図10に示す状態の後、蓋部材を容器から取り外した蓋開被状態の液体貯留容器を示す要部側断面図である。
【
図13】
図12に示す状態から調整機構により押上部材を伸長した状態を示す平面図である。
【
図14】蓋本体の一変形例を示す模式的な斜視図である。
【
図15】蓋本体の一変形例を示す模式的な斜視図である。
【
図16】一変形例に係る蓋部材を高さの高い容器に対応させた状態を示す説明図である。
【
図17】一変形例に係る蓋部材を高さの低い容器に対応させた状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1から
図11を参照しつつ、本発明に係る蓋部材及び液体貯留容器の一実施形態について説明する。
なお、以下に述べる実施形態では、液体貯留容器が、液体L(
図10等参照)として人の爪表面等に塗布されるマニキュア液を貯留するものである場合を例として説明する。また、以下の実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0011】
[構成]
図1は、実施形態における液体貯留容器の要部構成図である。なお
図1では蓋本体10の内部に設けられている部材等の図示を省略している。また
図1では容器本体21の一部を切り欠いて容器本体21内に挿入されている部材を図示している。
図1に示すように、本実施形態の液体貯留容器100は、蓋部材1と、この蓋部材1が取り付けられる容器2と、を備えている。
【0012】
容器2は、実施形態においてほぼ立方体形状に形成された容器本体21と、容器本体21から立設する開口部である口頸部22とを含んでいる。なお、容器本体21の形状は特に限定されず、例えば円筒形状等であってもよい。また容器2を形成する材料は特に限定されず、例えば各種の合成樹脂やガラス等が適用可能である。
容器2の容器本体21内には、液体L(例えばマニキュア液)が貯留されている。
また容器2の口頸部22の外周には、雄螺子部23が形成されている(例えば
図10及び
図11参照)。
【0013】
蓋部材1は、蓋本体10、蓋本体10の内側に設けられたスポイト部材3、塗布手段4等、を備えている。本実施形態の蓋部材1は、このようにスポイト部材3や塗布手段4等が蓋本体10と一体となった一体型の蓋部材である。
図2は、蓋本体の一例を示す斜視図であり、
図3は、蓋本体の平面図である。また
図4は、本実施形態において蓋本体に取り付けられるスポイト部材、塗布手段等を模式的に示す図である。
図2及び
図3に示すように、本実施形態の蓋本体10は、上面が閉塞されたほぼ円筒形状の外装部11と、外装部11の側面に設けられた押圧部12と、を有している。
【0014】
押圧部12は、蓋本体10の外部から蓋本体10(外装部11)の内部(具体的には蓋本体10の内部に設けられた後述の袋状部312(
図4等参照))を押圧可能なものである。
押圧部12は、例えばゴム等の弾性変形可能な樹脂等で形成されており、2本の指で挟んで蓋本体10の内部を押圧することができるように外装部11の外周面に一対設けられる。
具体的には、一対の押圧部12は、内部の袋状部312を二方向から偏りなく押圧できるように、ほぼ円筒形状の蓋本体10(外装部11)の円筒中心に対してほぼ対称位置に配置される。
【0015】
外装部11は例えば各種の合成樹脂等で形成されている。外装部11には押圧部12に対応する位置に内外に貫通する孔部(図示せず)が形成されており、押圧部12はこの外装部11の孔部に嵌装されている。押圧部12は蓋本体10(外装部11)内に配置される陰圧発生部31のうちの袋状部312を押圧可能なものであればよく、その形状や配置等は図示例に限定されない。
【0016】
図3に示すように、蓋本体10(外装部11)における取付け側端部(
図3等において、取付け部13)の内周面には、容器2の口頸部22の雄螺子部23に対して外側から螺着(例えば
図10及び
図11参照)される雌螺子部14が形成されている。なお、
図3では蓋本体10(外装部11)の内側で実際には見えない部分である雌螺子部14を破線で図示している。
蓋本体10における容器2への取付け側端部である取付け部13(すなわち、内側に雌螺子部14が形成されている部分)は、伸縮性を有する材料、例えばゴム等の弾性変形可能な材料で形成されていることが好ましい。
【0017】
なお、
図5から
図7は、液体貯留容器の一例を示す模式的平面図である。
図5は例えば一般的なサイズの容器に蓋部材を取り付けた例であり、
図6は、
図5に示すものよりも容器の口頸部22の外径が大きい場合の例であり、
図7は、
図6に示すものよりもさらに容器の口頸部22の外径が大きい場合の例を示している。
取付け部13を、ある程度柔軟性のある弾性変形可能な材料で形成することにより、例えば
図6に示すように、一般的なサイズの容器2(例えば
図5に示す容器2)よりも容器2aの口頸部22の外径が多少大きい場合でも、取付け部13を押し広げながら口頸部22に被せることで対応することができる。被せることが可能な範囲であれば、大きな径の口頸部22に対応させても、締め付け力が向上することはあっても、液体貯留容器100の密閉性を損なうことはない。
【0018】
これに対して、取付け部13を押し広げても口頸部22に被せることができないほど容器2bの口頸部22の外径が大きい場合には、例えば
図7に示すようにアタッチメント15を蓋本体10(外装部11)における取付け部13に取り付けて対応することも可能である。この場合アタッチメント15も取付け部13と同様に、ある程度柔軟性のある弾性変形可能な材料で形成する。またアタッチメント15における容器2への取付け側には雄螺子部23と螺合する図示しない雌螺子部が形成される。なお、アタッチメント15は、径の異なる複数種類の口頸部22に対応することができるように、複数種類用意されていてもよい。
【0019】
また
図8は、スポイト部材等が蓋本体(外装部)に組み付けられた状態を示す平面図である。
図4及び
図8に示すように、スポイト部材3は、陰圧発生部31と、胴部32と、吸い口33と、を有し、これら陰圧発生部31から吸い口33までが連通している。
吸い口33は、陰圧発生部31により発生した陰圧により容器2内の液体Lを吸い上げる。吸い口33は、蓋部材1を容器2に取り付けた際に容器2(容器本体21)内に貯留されている液体L内に浸るようになっている(例えば
図10及び
図11参照)。すなわち、吸い口33は容器2内の液体Lの液面よりも下に配置される。
また胴部32は、吸い口33から吸い上げられた液体Lを保持する部分である。
【0020】
陰圧発生部31は、「初期状態」よりも収縮した「収縮状態」を取り得、「収縮状態」から「初期状態」に復帰することで陰圧を発生させるものである。本実施形態の陰圧発生部31は、蛇腹構造を有する第1の陰圧発生部としての蛇腹状部311と、押圧することで収縮する第2の陰圧発生部としての袋状部312と、を含んでいる。
このうち袋状部312は、弾性を有する材料で形成され、前述の押圧部12を蓋本体10(外装部11)の外側から指等で押圧することで押し縮められ「収縮状態」とすることができる。また押圧状態が解除されると(すなわち例えば押圧していた指を離すと)、収縮前の「初期状態」に戻ろうとする。蓋本体10(外装部11)に押圧部12を取り付けた状態において、押圧部12が取り付けられている部分は、例えば
図8等に示すように多少外方に膨らんでいる。本実施形態では、この膨らんだ箇所に袋状部312が嵌ることでスポイト部材3の上端位置が固定される。
【0021】
蛇腹状部311は、袋状部312より吸い口33に近い側に設けられている。
本実施形態では、容器2の口頸部22の外周面に形成されている雄螺子部23と、蓋部材1の取付け部13の内周面に形成されている雌螺子部14と、が螺合して蓋本体10が容器2の開口部である口頸部22に取り付けられることにより、蛇腹状部311が自動的に「収縮状態」となる。
具体的には、
図8等に示すように本実施形態では、陰圧発生部31のうち蛇腹状部311と蓋本体10(外装部11)の雌螺子部14との間に押上部材34が配置されており、蛇腹状部311は、押上部材34により押し上げられることで「収縮状態」となる。
【0022】
押上部材34はスポイト部材3の胴部32及び吸い口33が挿通される環状の部材である。
図9は、液体貯留容器を
図1における矢視IX方向から見た場合の、容器の口頸部と蓋本体の取付け部と押上部材との位置関係を模式的に示す説明図である。
図9では濃い網掛けで容器2の口頸部22(口頸部22の雄螺子部23)を示し、薄い網掛けで蓋本体10(外装部11)の取付け部13(取付け部13の雌螺子部14)を示している。また、図中斜線で示し二点鎖線で範囲を示した部分に押上部材34が配置される。
【0023】
図9に示すように、押上部材34は、外径が雌螺子部14の内径よりも大きく、内径が容器2の開口部である口頸部22の外径よりも小さく形成されている。これにより、押上部材34は、雌螺子部14の内側に係止されて抜け落ちることがない。また容器2の開口部である口頸部22に蓋本体10を取り付けることで口頸部22が蓋本体10(外装部11)の内側に挿入され、せり上がった際には、口頸部22の開口側端面24が押上部材34の下側面(
図8等における下側の面)に突き当たる。
【0024】
蓋本体10の雌螺子部14が完全に口頸部22の雄螺子部23に螺合するまで蓋本体10を締め込むと、これにしたがって押上部材34が開口側端面24によって下方から押し上げられ、蛇腹状部311を押し縮める。これにより蛇腹状部311は「収縮状態」となる。
そして、容器2の口頸部22から蓋部材1の蓋本体10を取り外すと、これに応じて口頸部22開口側端面24も押上部材34から離間していき、押上部材34による押し上げ状態が解除される。押し上げ状態が解除されると、蛇腹状部311は、復元力により「初期状態」に復帰して陰圧を発生させる。
【0025】
塗布手段4は、スポイト部材3の少なくとも吸い口33の周りに設けられ、胴部32に保持された液体Lを対象面(例えば爪等の表面)に塗布するものである。
塗布手段4は、例えばナイロン等の合成繊維等で形成された筆や刷毛である。塗布手段4は、液体Lを塗布できるものであればよく、具体的な形状や材料等は限定されない。
【0026】
[作用]
次に、本実施形態の蓋部材1及び蓋部材1を備える液体貯留容器100の作用について説明する。
蓋部材1を形成する際には、まず蓋本体10の外装部11の側面に形成された孔部にそれぞれ押圧部12を嵌め込む(
図2等参照)。そして、押圧部12が設けられている部分に袋状部312が配置されるように、蓋本体10(外装部11)の内側にスポイト部材3を取り付ける(
図8等参照)。
そして、スポイト部材3の吸い口33側から胴部32、陰圧発生部31側に向って押上部材34を挿通させ、蛇腹状部311の下面側に配置させる。
【0027】
またスポイト部材3の吸い口33の周辺に塗布手段4を取り付ける。本実施形態では例えば
図8等に示すように吸い口33を外側から取り囲むように塗布手段4が巻き付けられる。なお塗布手段4は、その下端部(自由端側の端部)が、スポイト部材3の吸い口33よりも下方までくるようにする。これにより吸い口33から液体Lが滲み出たときに塗布手段4で適切に受けることができる。
これにより、
図8に示すような蓋部材1が完成する。
【0028】
図10は、本実施形態における容器に蓋部材を取り付けた蓋閉状態の液体貯留容器を示す要部側断面図である。
図11は、
図10に示す状態の後、蓋部材を容器から取り外した蓋開被状態の液体貯留容器を示す要部側断面図である。
容器2に蓋部材1を取り付ける前の状態では、押上部材34は蓋本体10(外装部11)の雌螺子部14の上端に突き当たって係止された状態となっている。
図10及び
図11において、この状態にあるときの押上部材34の上端の高さ位置を、「初期位置FP」として点線で示している。
【0029】
容器2の開口部である口頸部22に蓋部材1を取り付ける際には、
図10に示すように、容器2の口頸部22が蓋本体10(外装部11)の内側に挿入され、蓋本体10の雌螺子部14を口頸部22の雄螺子部23に螺着させていくにつれて口頸部22の開口側端面24が蓋本体10内においてせり上がっていく。
そして開口側端面24が押上部材34の下側面(
図8等における下側の面)に突き当たると、押上部材34が開口側端面24によって「初期位置FP」よりも上に押し上げられ、押上部材34の上端面が蛇腹状部311を押し上げていく(
図10参照)。これにより蛇腹状部311は押し縮められていなかった「初期状態」から押し縮められた「収縮状態」となる。なお、蓋部材1を容器2に対して完全に締め込んだ状態で蛇腹状部311がどの程度収縮するか(すなわち「収縮状態」の程度)は適宜設定される。完全に収縮しきった状態まで押し縮められてもよいし、まだ収縮の余地のある程度にとどまってもよい。
【0030】
蛇腹状部311が
図10に示すような「収縮状態」となったのち、蓋部材1を容器2から取り外すと、蓋本体10の雌螺子部14と口頸部22の雄螺子部23との螺合が解かれるにしたがって、蓋本体10(外装部11)の内側に挿入されていた容器2の口頸部22が
図11に示すように下がっていく。これに伴い口頸部22の開口側端面24が押上部材34の下面から離間して、押上部材34は、その上端の高さ位置が「初期位置FP」まで戻り、雌螺子部14の上端に係止される。
これにより蛇腹状部311に対する押上部材34による押し上げ状態が解除されて、蛇腹状部311は蛇腹の復元力によって「初期状態」に復帰する。このときスポイト部材3内には陰圧が発生し、吸い口33から容器2内の液体Lが自動的に吸引され、
図11に示すように胴部32内に保持される。
【0031】
胴部32内に保持された液体Lは、吸い口33から滲み出て塗布手段4によって対象面に塗布することが可能な状態となる。
また、液体Lを塗布したい面が広い場合や何度も塗り重ねたい場合等には、蛇腹状部311の収縮と初期状態への復帰により生じた陰圧で自動的に吸引された液体Lでは液量が足りない場合もあり得る。
このような場合には、蓋部材1のスポイト部材3を、その吸い口33が容器本体21内の液体Lに浸るところまで容器2内に挿入し、蓋本体10の押圧部12をユーザが指で押すことで蓋本体10内部のスポイト部材3の袋状部312を押圧する。これにより陰圧発生部31である袋状部312が「収縮状態」となる。そしてその後、ユーザが押圧部12を押圧するのを止めることで袋状部312が「初期状態」に復帰して陰圧を発生させる。これにより、押圧の程度に応じて吸い口33から容器2内の液体Lが吸引され、胴部32内に保持されて、再び塗布手段4によって塗布することが可能な状態となる。
【0032】
このように本実施形態では蓋部材1を容器2に対して着脱するだけで自動的に陰圧発生部31である蛇腹状部311により陰圧を発生させ容器2内の液体Lを吸引することができる。また、吸引した液体Lはそのまま塗布手段4によって塗布可能な状態で保持される。さらに、より多くの液体Lを塗布したい場合には、手動で袋状部312を押圧することで液体Lをさらに吸引し、塗布可能な状態で保持することができる。このように胴部32に液体Lが保持された状態で第2の陰圧発生部である袋状部312が押圧されることにより、液体Lを塗布手段4に補充することが可能となる。
【0033】
[効果]
以上のように本実施形態における蓋部材1は、容器2の蓋本体10の内側に設けられ、陰圧を発生させる陰圧発生部31と、陰圧発生部31により発生した陰圧により容器2内の液体Lを吸い上げる吸い口33と、吸い口33から吸い上げられた液体Lを保持する胴部32と、を有するスポイト部材3と、スポイト部材3の少なくとも吸い口33の周りに設けられる塗布手段4と、を備え、陰圧発生部31は、容器2の開口部である口頸部22に蓋本体10を取り付けることで「収縮状態」となり、蓋本体10を容器2の口頸部22から取り外すことで「初期状態」に復帰して陰圧を発生させる第1の陰圧発生部(本実施形態では蛇腹状部311)と、押圧することで収縮し「収縮状態」から「初期状態」に復帰することで陰圧を発生させる第2の陰圧発生部(本実施形態では袋状部312)と、を含み、第2の陰圧発生部(袋状部312)が押圧されることにより、液体Lを塗布手段4に補充する。
このため、ユーザが意識して容器2内の液体Lを吸い上げる吸引動作等を行わなくても、蓋部材1を容器2に対して着脱するだけで自動的に陰圧を発生させ容器2内の液体Lを吸引することができる。
また、吸引した液体Lはそのまま塗布手段4によって塗布可能な状態で保持される。このため液体Lを他の容器に移し替えたりする手間がなく、蓋部材1を容器2から外せばすぐに爪等の塗布対象の対象面(爪表面等)にマニキュア液等の液体Lを塗布することができる。
さらに、本実施形態では蛇腹状部311を自動的に収縮・復帰させることで陰圧を発生させることができる他に、手動で袋状部312を押圧することによっても陰圧を発生させることができる。これにより、蛇腹状部311を用いた自動的な吸引では液量が足りないような場合には、再度蓋部材1の着脱動作を行うことなく、袋状部312を押圧するだけで簡易に液体Lの追加吸引を行い、液体Lを補充することが可能となる。
【0034】
また本実施形態の容器2は、液体Lを貯留する容器本体21と、容器本体21から立設する開口部であり外周に雄螺子部23が形成された口頸部22と、を含み、蓋本体10における取付け部13側の内周面には、口頸部22の雄螺子部に対して外側から螺着される雌螺子部14が形成されており、蓋本体10は、雄螺子部23と雌螺子部14とが螺合することで容器2の開口部(口頸部22)に取り付けられ、陰圧発生部31は、開口部の開口側端面24によって押し上げられることで収縮状態となる。
このように、蓋部材1と容器2との取付けは螺旋状の螺子の螺合によるため、蓋部材1を締めた状態において容器2内の液体Lが液漏れしにくく、容器2内の液体Lの蒸発も効果的に防ぐことができる。このため蓋部材1と容器2とを備える液体貯留容器100の取り扱いがしやすく、長期間の保管にも対応することができる。
そして、蓋部材1を容器2に取付けるだけで自動的に陰圧発生部31を収縮させ、液体Lの吸引が可能な状態とすることができる。
【0035】
また本実施形態において、陰圧発生部31と雌螺子部14との間には、外径が雌螺子部14の内径よりも大きく形成され、容器2の開口部(口頸部22)に蓋本体10を取り付けることで容器2の開口部(口頸部22)の開口側端面24により押し上げる押上部材34がさらに設けられており、陰圧発生部31は、押上部材34により押し上げられることで「収縮状態」となる。
このような構造により、押上部材34が雌螺子部14の上端に係止されることでスポイト部材3が蓋本体10から外れるのを防ぐことができる。
さらに押上部材34を介在させることにより、開口側端面24が直接陰圧発生部31(本実施形態では蛇腹状部311)に当接して押し上げ収縮させる場合と比べて、陰圧発生部31に対して押圧力が比較的均等にかかりやすく、陰圧発生部31を適切に「収縮状態」とすることができる。
【0036】
また本実施形態の押上部材34は、その内径が容器2の開口部の外径よりも小さく形成されている。
このため、蓋部材1を容器2に取付けることで開口部の開口側端面24が押上部材34に当接し、押上部材34が押し上げられる。これにより蓋部材1を容器2に取付けるだけで自動的に陰圧発生部31を収縮させ、液体Lの吸引が可能な状態とすることができる。
【0037】
また本実施形態において、陰圧発生部31は、第1の陰圧発生部として蛇腹構造を有する蛇腹状部311を含んでいる。
このように、液体Lを容器2から吸引する手段である陰圧発生部31が、陰圧を発生させる蛇腹状部311である場合には、蓋本体10の内側に組み込むのに邪魔にならない簡易な構造である。このため、部品コスト、組立コストの面でも優れている。
また蓋部材1の着脱によって陰圧を生じさせる構成を蛇腹状部311によって簡易に実現することができる。
【0038】
また本実施形態において、陰圧発生部31は、第2の陰圧発生部として押圧することで収縮する袋状部312を含んでいる。
これにより、手動で袋状部312を押圧することによっても陰圧を発生させることができる。このため、蛇腹状部311を用いた自動的な吸引では液量が足りないような場合には、再度蓋部材1の着脱動作を行うことなく、袋状部312を押圧するだけで簡易に液体Lの追加吸引を行うことが可能となる。
【0039】
また本実施形態において、蓋本体10は、袋状部312を、蓋本体10の外部から押圧可能な押圧部12を備えている。
これにより、スポイト部材3を蓋本体10から取り外すような手間を必要とせず、ユーザは蓋本体10の外部から押圧部12を押すだけで容易に袋状部312を押圧し「収縮状態」とすることができる。
【0040】
また本実施形態において、蓋本体10における容器2への取付け側の部分である取付け部13は、伸縮性を有する材料で形成されている。
これにより、蓋本体10を取り付ける容器2の開口部である口頸部22の径に多少のばらつきがある場合にも、同じ蓋部材1により柔軟に対応することができる。
【0041】
また液体貯留容器100が、本実施形態に示すような蓋部材1と、容器2と、を備えている場合には、蓋部材1がそのまま液体Lを塗布する手段となるため、液体Lを移し替えたりする必要がない。
また、一旦容器2内から液体Lを吸い上げた後は胴部32内に保持した液体Lがなくなるまで続けて対象面への塗布を行うことができる。
これにより、液体Lの入った容器2を持ちながら塗布作業を行う必要がなく、スポイト部材3の付いた蓋部材1だけを持って、手軽にマニキュア液等の塗布作業を行うことができる。
【0042】
[変形例]
なお、以上本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で、種々変形が可能であることは言うまでもない。
【0043】
例えば本実施形態では、押上部材34は所定の厚み(陰圧発生部31側から雌螺子部14側までの長さ)を有するものとしたが、蓋部材1aの押上部材34aの構成はこれに限定されない。
例えば
図12及び
図13には、押上部材34aを、その陰圧発生部31側から雌螺子部14側までの長さを変えることができるように構成した例を示している。すなわち、
図12及び
図13に示す例では、押上部材34aが、陰圧発生部31側から雌螺子部14側までの長さを可変とするとともに、押上部材34aを任意の長さで係止可能とする調整機構を備えている。
【0044】
具体的には、
図13に示すように、押上部材34aを第1の筒部材341と、第1の筒部材341の内側に重なり合うように設けられた第2の筒部材342と、を備える二重構造とする。そして、外側に配置される第1の筒部材341の外周面に、第2の筒部材342の、第1の筒部材341との重なり量を調整するための固定ピン35を設ける。
固定ピン35を緩めれば第2の筒部材342が第1の筒部材341の内周面に沿って上下(
図12及び
図13における上下)に移動可能となり、押上部材34aの長さ(陰圧発生部31側から雌螺子部14側までの長さ)を変えることができる。また固定ピン35を締めれば第1の筒部材341に対する第2の筒部材342の位置(重なり量)が固定される。これにより、押上部材34aを任意の長さで係止することが可能となる。このように
図12及び
図13に示す例では、重なり合って設けられた第1の筒部材341及び第2の筒部材342と、これらの重なり合いの程度(重なり量)を固定する固定ピン35とによって調整機構が形成される。
【0045】
このように押上部材34aを、相対的にずれて重なり量を調整することのできる第1の筒部材341と第2の筒部材342との二重構造とした場合には、第2の筒部材342だけが雌螺子部14の直上に配置される場合でも雌螺子部14から抜け落ちずに係止されるように、第2の筒部材342の外径が雌螺子部14の内径よりも大きくなるようにする。また、蓋部材1aを容器2に取り付けた際に口頸部22の開口側端面24が押上部材34aの下側面を押し上げることができるように、第2の筒部材342の内径が口頸部22の外径よりも小さくなるように形成する。
【0046】
例えば容器2の深さが深い場合や、液体Lの液量が減って液面が容器2の下の方にある場合には、スポイト部材3の吸い口33を下の方まで下げる必要がある。
この場合には一旦固定ピン35を緩め、
図12に示すように第1の筒部材341と第2の筒部材342とが重なり合う位置まで下げて固定ピン35を締め付け、押上部材34aの長さを固定する。
これに対して例えば容器2が浅い場合や、液体Lの液量が多く液面が容器2の上の方にある場合には、スポイト部材3の吸い口33を下まで下げる必要がない。
この場合には一旦固定ピン35を緩め、
図13に示すように第1の筒部材341を、第2の筒部材342が外れない程度の位置まで引き上げて固定ピン35を締め付け、押上部材34aの長さを固定する。
【0047】
なお、この構造において押上部材34aの長さを調整することのできる限界としては、少なくとも第1の筒部材341の一部が第2の筒部材342と重なり、重なっている部分において、固定ピン35により第1の筒部材341に対する第2の筒部材342の位置(重なり量)を固定することができる必要がある。また、押上部材34aの長さを伸ばすと押上部材34aの上端部によって蛇腹状部311が押上げられ、収縮する。そして押上部材34aの長さを伸ばしすぎて蛇腹状部311が収縮し切ってしまうと、その状態で蓋部材1aを容器2に取り付けてもそれ以上蛇腹状部311が収縮状態とならない。このため蓋部材1aを容器から外した際に陰圧が発生せず、液体Lを吸引することができない。そこで押上部材34aを伸ばすことができる長さは、蛇腹状部311が収縮し切らない程度である必要がある。
【0048】
またこのように押上部材34aの長さを可変とする場合には、固定ピン35は蓋本体10aの外部から操作可能とするために、
図12及び
図13に示すように、蓋本体10aの外装部11aの周面であって固定ピン35に対応する位置に、上下方向に長い切欠き部111を形成し、固定ピン35のうち少なくとも操作部となるピン頭部351が切欠き部111から外装部11aの外部に露出するように構成する。
【0049】
このように押上部材34aの厚み(陰圧発生部31側から雌螺子部14側までの長さ)を可変とすることで、様々な深さの容器本体21に対応することができる。
また、容器2は同じであっても容器2内の液体Lの量が多い場合、使用により液量が少なくなった場合のように、容器2内部に貯留されている液体Lの液面の高さが変化することが考えられる。押上部材34aの厚みを変更することができれば、このような液面高さの変化にも対応することができる。
【0050】
また、蓋本体10に設けられる押圧部12の構成は、実施形態において説明した、指等によって直接押圧する構成のものに限定されない。
例えば、
図14は、押圧部12aが指等によって押圧操作を行う操作部である押圧頭部121と、押圧頭部121が押圧操作されたときに押圧力を蓋本体10b(外装部11b)内部の袋状部312に伝える軸部122とを備え、軸部122だけが蓋本体10b(外装部11b)内部に挿通され、押圧頭部121は蓋本体10b(外装部11b)の外側に露出する構成を示している。このように、押圧部12aは、軸部122等の部材を介して押圧力を袋状部312に伝達するものであってもよい。
なお、この場合にも一対の押圧部12aは内部の袋状部312を二方向から偏りなく押圧できるように、ほぼ円筒形状の蓋本体10bの円筒中心に対してほぼ対称位置に配置される。
【0051】
また、上記実施形態においてはスポイト部材3の上端位置は固定されていることを前提としたが、スポイト部材3が固定されていることは必須ではない。例えばスポイト部材3は、蓋本体10c(外装部11c、
図15等参照)内部で上下方向に移動可能となっていてもよい。この場合には袋状部312の位置も変化することから、例えば
図15に示すように、袋状部312を押圧する押圧部12bも上下方向に移動可能に構成することが好ましい。
【0052】
具体的には、外装部11cの周面に上下方向に切り欠かれたスリット部112を形成し、押圧部12bのうち少なくとも指等によって押圧操作を行う操作部である押圧頭部123が外装部11cの外側に露出し、それ以外の部分がスリット部112を介して外装部11cの内部に収容される。なお、この場合にも一対の押圧部12bは内部の袋状部312を二方向から偏りなく押圧できるように、ほぼ円筒形状の蓋本体10cの円筒中心に対してほぼ対称位置に配置される。そして押圧操作を行う際には一対の押圧部12bを共に(連動して)押圧することができるように、外装部11cの内部に一対の押圧部12bを繋いで同じように上下動させる図示しない連動部材が設けられることが好ましい。連動部材の詳細は特に限定されないが、例えば外装部11cの内周面に沿って設けられた環状又は円弧状の板部材等であり、一対の押圧部12bがこれに取り付けられて同期して移動することを可能とする。
【0053】
図16は、
図15に示すような蓋本体を備えて、蓋本体の内部に収容されたスポイト部材及びスポイト部材の袋状部312を押圧する押圧部が上下方向に移動可能に構成された蓋部材を高さの高い容器に対応させた状態を示す説明図である。また
図17は、
図16と同様の蓋部材を高さの低い容器に対応させた状態を示す説明図である。
【0054】
図16に示すように、高さの高い容器2cに蓋部材1cを取り付ける場合には、スポイト部材3の上下方向の位置を下げて、深い容器本体21cの奥(下方)までスポイト部材3が挿入されるようにする。なお、スポイト部材3は例えば袋状部312が一対の押圧部12bに挟まれることで押圧部12bに係止され、押圧部12bを上下させるとスポイト部材3全体が上下するように構成されることが好ましい。
スポイト部材3の位置を下げることで、深い容器2cの容器本体21cの場合、さらには深い容器2cの容器本体21cの低い位置に液体Lの液面があるような場合でも、スポイト部材3の吸い口33を液面よりも下に配置させることができる。このため、スポイト部材3により適切に容器2c内の液体Lを吸引することができる。
【0055】
なお、スポイト部材3の位置を下げた場合でも、蛇腹状部311の下面側に配置されている押上部材34は、蓋本体10cに形成されている雌螺子部14を通り抜けることはできない。このため、スポイト部材3の位置が下がるにしたがって蛇腹状部311が押上部材34に押し付けられて収縮する。そしてスポイト部材3が下がり過ぎて、蛇腹状部311が収縮し切ってしまうと、その状態で蓋部材1cを容器2cに取り付けてもそれ以上蛇腹状部311が「収縮状態」とならない。このため蓋部材1cを容器2cから外した際に陰圧が発生せず、液体Lを吸引することができない。そこでスポイト部材3の位置を下げることができる限界は、蛇腹状部311が収縮し切らない程度である必要がある。
【0056】
これに対して
図17に示すように、高さの低い容器2dに蓋部材1cを取り付ける場合には、スポイト部材3の上下方向の位置を上げて、浅い容器2dの容器本体21dの底にスポイト部材3の先端が突き当たらないようにする。なお、スポイト部材3自体が容器2dの底に当たらなくても、先端側に設けられている塗布手段4が容器2dの容器本体21dの底に突き当たって折れ曲がる等すると塗布手段4に折り癖が付くなどして塗布作業に支障が出たり、傷んでしまうおそれもある。このため、スポイト部材3は先端側に設けられている塗布手段4の先端(
図17等において下端)が容器2dの容器本体21の底に突き当たらない位置まで移動可能とすることが好ましい。
【0057】
このように、スポイト部材3の位置を上下させることによっても、蓋部材1cを各種深さの容器2c、2dに対応させることができるとともに、容器2c、2d内の液体Lの液面の高さが変わってもスポイト部材3の吸い口33を液面よりも下に配置させることができ、適切に液体Lの吸引を行うことができる。
【0058】
また、本実施形態では、陰圧発生部31として第1の陰圧発生部である蛇腹状部311と第2の陰圧発生部である袋状部312とを備える場合を例示したが、陰圧発生部31の構成はこれに限定されない。
例えば陰圧発生部31を蓋部材1の着脱によって自動的に陰圧を発生させる蛇腹状部311のみで構成し、袋状部312を備えない構成としてもよい。
この場合には、袋状部312を押圧する押圧部12を設ける必要もない。この場合にスポイト部材3の上端位置を固定する構成とする場合には、例えば蛇腹状部311の上端面を蓋本体10の内部に係止する構成等を設ける。
また第1の陰圧発生部は容器2の開口部に蓋本体1を取り付けることで「収縮状態」となり、蓋本体1を容器2の開口部から取り外すことで「初期状態」に復帰して陰圧を発生させることができるものであればよく、蛇腹構造を有する蛇腹状部に限定されない。例えば第1の陰圧発生部が袋状部であってもよい。この場合、例えば袋状部が蓋部材1の着脱によって自動的に陰圧を発生させるとともに、指等で押圧することによって手動で陰圧を発生させることができるようにし、第1の陰圧発生部と第2の陰圧発生部とを兼ねる構成としてもよい。
【0059】
また、本実施形態では、蓋部材1が容器2の口頸部22に螺着される場合を例示したが、蓋部材1を容器2に取り付ける構成はこれに限定されない。
スポイト部材3の陰圧発生部31において、容器2の開口部である口頸部22に蓋本体10を取り付けることで「収縮状態」となり、蓋本体10を容器2のる口頸部22から取り外すことで「初期状態」に復帰して陰圧を発生させるような構成が取られていればよく、例えば、単に蓋本体10を容器2の口頸部22に圧入したり嵌合させたりすることで陰圧発生部31が「収縮状態」となるものであってもよい。
【0060】
また、蛇腹状部311を押し上げる押上部材34を設けることは必須ではない。
例えば容器2に蓋部材1を取り付けた際に、蛇腹状部311の下側面に口頸部22の開口側端面24が直接突き当たって蛇腹状部311を押し上げ、「収縮状態」とするように構成してもよい。この場合には押上部材34を設けない分、部品点数が少なくて済む。
【0061】
また、
図16及び
図17に示すように、スポイト部材3の高さ位置を可変とする場合でも、押圧部を上下に移動させる構成をとることは必須ではない。
例えば押圧部を上下に移動させる代わりに、蓋本体の外周面に、上下に広い幅の押圧部を設けて、スポイト部材3が上下に移動しても、その袋状部312を押圧することができる構成を採用してもよい。
【0062】
また、本発明の液体貯留容器は、内部に液体Lを貯留する容器であれば広く適用可能であり、容器2内に貯留される液体Lはマニキュア液に限定されない。
【0063】
以上本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
【符号の説明】
【0064】
1 蓋部材
10 蓋本体
11 外装部
12 押圧部
13 取付け部
14 雌螺子部
2 容器
21 容器本体
22 口頸部
23 雄螺子部
24 開口側端面
3 スポイト部材
31 陰圧発生部
311 蛇腹状部(第1の陰圧発生部)
312 袋状部(第2の陰圧発生部)
32 胴部
33 吸い口
34 押上部材
35 固定ピン
4 塗布手段
100 液体貯留容器
FP 初期位置
L 液体