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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024105963
(43)【公開日】2024-08-07
(54)【発明の名称】ドアウエザーストリップ
(51)【国際特許分類】
   B60J 10/86 20160101AFI20240731BHJP
   B60J 10/277 20160101ALI20240731BHJP
【FI】
B60J10/86
B60J10/277
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023009987
(22)【出願日】2023-01-26
(71)【出願人】
【識別番号】000158840
【氏名又は名称】鬼怒川ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100205682
【弁理士】
【氏名又は名称】高嶋 一彰
(72)【発明者】
【氏名】地引 与将
(72)【発明者】
【氏名】石橋 浩
【テーマコード(参考)】
3D201
【Fターム(参考)】
3D201AA26
3D201BA01
3D201CA23
3D201DA16
3D201DA23
3D201DA31
3D201DA34
3D201DA47
3D201DA56
(57)【要約】
【課題】サブシールリップがドアのパネルラインよりも室外側へはみ出すことを抑制することができるドアウエザーストリップを提供する。
【解決手段】本発明に係るドアウエザーストリップ(4)では、第1パネルリップ(81)がドアサッシュ(12)のフランジ部(121)の内側面(121a)に当接し、当該第1パネルリップ(81)がいわゆるつっかえ棒としてサブシールリップ(7)の基部(71)を支持することによって、サブシールリップ(7)の基部71の屈曲変形を抑制することが可能となる。これにより、サブシールリップ(7)が設計上の折れ点(Pb)において適切に折れ曲がり、サブシールリップ(7)のリップ部(72)がドア(1)のパネルライン(PL)からはみ出す不具合を抑制することができる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のドアパネルに取り付けられる取付基部と、
前記取付基部から室内側へ突出し、ドア閉時に車体パネルの内側シール領域に弾接する中空シール部と、
前記取付基部から室外側へ向かって屈曲し、前記ドア閉時に前記車体パネルの外側シール領域に弾接するサブシールリップと、
前記サブシールリップの根元部から室外側へ向かって突出し、前記取付基部が前記ドアパネルに固定された状態において先端部が前記ドアパネルの内側面に当接するパネルリップと、
を備え、
前記パネルリップは、前記ドア閉時において、前記ドアパネルの内側面に当接し、前記サブシールリップの根元部を支持する、
ことを特徴とするドアウエザーストリップ。
【請求項2】
請求項2に記載のドアウエザーストリップであって、
前記パネルリップは、根元側が最も太く、かつ先端側に向かって細くなるように形成されている、
ことを特徴とするドアウエザーストリップ。
【請求項3】
請求項1に記載のドアウエザーストリップであって、
前記パネルリップの根元部は、前記サブシールリップの根元部における長手方向のほぼ全域にわたって延在している、
ことを特徴とするドアウエザーストリップ。
【請求項4】
車両のドアパネルに取り付けられる取付基部と、
前記取付基部から室内側へ突出し、ドア閉時に車体パネルの内側シール領域に弾接する中空シール部と、
前記取付基部から室外側へ向かって屈曲し、前記ドア閉時に前記車体パネルの外側シール領域に弾接するサブシールリップと、
前記サブシールリップの根元部から室外側へ向かって突出し、前記取付基部が前記ドアパネルに固定された状態において先端部が前記ドアパネルの内側面に当接するパネルリップと、
を備え、
前記サブシールリップは、前記根元部から中間部までの根元側領域が、前記中間部に向かうにつれて前記ドアパネルの内側面から離間するような反り形状を有し、
前記パネルリップは、前記取付基部よりも前記サブシールリップ側に偏移して配置されている、
ことを特徴とするドアウエザーストリップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車のドアの内側周縁部に取り付けられるドアウエザーストリップに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のドアウエザーストリップとしては、例えば以下の特許文献に記載されたものが知られている。
【0003】
概略を説明すれば、この従来のドアウエザーストリップ4は、図8図9に示すように、取付孔54に挿通される図示外のクリップを介してドア1の内側周縁部(ドアサッシュ12の取付面122)に固定される取付基部5と、取付基部5の上壁部55から室内側へ突出形成され、ドア1の閉時に車体パネル2のうち内側シール領域21に弾接する中空シール部6と、取付基部5の上壁部55から室外側へ向かって屈曲形成され、ドア1の閉時に車体パネル2のうち外側シール領域22に弾接するサブシールリップ7と、取付基部5の側部56に室外側へ向かって延設され、ドアサッシュ12のフランジ部121の内側面121aに弾接する第1パネルリップ81と、を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3145716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来のドアウエザーストリップ4は、サブシールリップ7に明確な折れ点が設けられていない。このため、図9に示すように、ドア1の閉時にサブシールリップ7が屈曲変形する際に、設計上の折れ点である第1の折れ点P1に加えて、基部71の中間部に第2の折れ点P2が発生し、第1の折れ点P1と第2の折れ点P2との間の区間Qの全域にわたって折れ曲がることとなる。その結果、サブシールリップ7のリップ部72がドア1のパネルラインPLからはみ出してしまい、図示外の車体の外観を損ねてしまう点で、改善の余地が残されていた。
【0006】
本発明は、かかる技術的課題に着目して案出されたものであり、サブシールリップがドアのパネルラインよりも室外側へはみ出す不具合を抑制することができるドアウエザーストリップを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るドアウエザーストリップは、その一態様として、車両のドアパネルに取り付けられる取付基部と、前記取付基部から室内側へ突出し、ドア閉時に車体パネルの内側シール領域に弾接する中空シール部と、前記取付基部から室外側へ向かって屈曲し、前記ドア閉時に前記車体パネルの外側シール領域に弾接するサブシールリップと、前記サブシールリップの根元部から室外側へ向かって突出し、前記取付基部が前記ドアパネルに固定された状態において先端部が前記ドアパネルの内側面に当接するパネルリップと、を備え、前記パネルリップは、前記ドア閉時において、前記ドアパネルの内側面に当接し、前記サブシールリップの根元部を支持する、ことを特徴としている。
【0008】
このように、本発明では、パネルリップがドアパネルに当接してサブシールリップの根元部を支持することにより、ドアの閉時におけるサブシールリップの根元部の屈曲変形が規制される。これにより、サブシールリップについて、設計上の折れ点における適切な屈曲変形を確保することが可能となる。
【0009】
また、本発明に係るドアウエザーストリップの好ましい態様として、前記パネルリップは、根元側が最も太く、かつ先端側に向かって細くなるように形成されている、ことが望ましい。
【0010】
このように、パネルリップにおいて、根元側が最も太くなるように形成されていることで、パネルリップの剛性の向上を図ることができる。これにより、ドア閉時において、サブシールリップの根元部の屈曲変形を効果的に抑制することができる。
【0011】
さらに、パネルリップについて、根元側が最も太く形成されていることで、当該パネルリップの根元部により、サブシールリップの根元部を比較的広範囲にわたって支持することが可能となる。これにより、ドア閉時において、サブシールリップの根元部の屈曲変形をより効果的に抑制することができる。
【0012】
また、本発明に係るドアウエザーストリップのさらに好ましい態様として、前記パネルリップの根元部は、前記サブシールリップの根元部における長手方向のほぼ全域にわたって延在している、ことが望ましい。
【0013】
このように、パネルリップの根元部がサブシールリップの根元部の長手方向のほぼ全域にわたって延在していることにより、パネルリップによって、サブシールリップの根元部を長手方向の全域にわたって支持することが可能となる。これにより、ドア閉時において、サブシールリップの根元部の屈曲変形をより一層効果的に抑制することができる。
【0014】
また、別の観点から、本発明に係るドアウエザーストリップの好ましい態様として、車両のドアパネルに取り付けられる取付基部と、前記取付基部から室内側へ突出し、ドア閉時に車体パネルの内側シール領域に弾接する中空シール部と、前記取付基部から室外側へ向かって屈曲し、前記ドア閉時に前記車体パネルの外側シール領域に弾接するサブシールリップと、前記サブシールリップの根元部から室外側へ向かって突出し、前記取付基部が前記ドアパネルに固定された状態において先端部が前記ドアパネルの内側面に当接するパネルリップと、を備え、前記サブシールリップは、前記根元部から中間部までの根元側領域が、前記中間部に向かうにつれて前記ドアパネルの内側面から離間するような反り形状を有し、前記パネルリップは、前記取付基部よりも前記サブシールリップ側に偏移して配置されている、ことを特徴としている。
【0015】
このように、本発明では、サブシールリップの根元部から中間部までの根元側領域が、中間部に向かうにつれてパネルリップから離間するような反り形状を有すると共に、パネルリップが、取付基部よりもサブシールリップ側に偏移して配置されている。このため、ドアを閉じた際、パネルリップがドアパネルに弾接することによって発生する反力に基づき、サブシールリップの根元部を室内側へ回動させるモーメントが発生しやすくなる。これにより、ドア閉時において、サブシールリップの根元部が室外側へ傾倒して折れ曲がることが抑制され、サブシールリップの先端部がドアパネルよりも室外側へはみ出す不具合を抑制することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、パネルリップがドアパネルに当接してサブシールリップの根元部を支持することによって、ドア閉時におけるサブシールリップの根元部の屈曲変形が規制される。これにより、サブシールリップが設計上の折れ点において適切に折れ曲がり、サブシールリップの先端部がドアパネルよりも室外側へはみ出す不具合を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係るドアウエザーストリップが適用される自動車の側面図である。
図2】本発明の第1実施形態を示し、図1のA-A線断面におけるドア開時のドアウエザーストリップの自由状態を示す断面図である。
図3】本発明の第1実施形態を示し、図1のA-A線断面におけるドア閉時のドアウエザーストリップの圧縮状態を示す断面図である。
図4図3の要部拡大図である。
図5】本発明の第2実施形態を示し、図1のA-A線断面におけるドア開時のドアウエザーストリップの自由状態を示す断面図である。
図6】本発明の第2実施形態を示し、図1のA-A線断面におけるドア閉時のドアウエザーストリップの圧縮状態を示す断面図である。
図7図6の要部拡大図である。
図8】従来のドアウエザーストリップを示し、図1のA-A線断面に相当するドア開時のドアウエザーストリップの自由状態を示す断面図である。
図9】従来のドアウエザーストリップを示し、図1のA-A線断面に相当するドア閉時のドアウエザーストリップの圧縮状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明に係るドアウエザーストリップの実施形態を図面に基づいて詳述する。なお、以下では、本発明に係るドアウエザーストリップを自動車用ドアに適用した態様を例示する。また、説明の便宜上、車体取付状態の天地を基準として、鉛直方向上側に相当する各図の上側を「上」と定義すると共に、鉛直方向下側に相当する各図の下側を「下」と定義して説明する。
【0019】
[第1実施形態]
(ドアウエザーストリップの構成)
図1は、本実施形態に係るドアウエザーストリップ4が適用される自動車の側面の要部拡大図を示している。図2は、本実施形態に係るドアウエザーストリップ4の自由状態であって、図1のA-A線に沿って切断したドア1の開時におけるドアウエザーストリップ4の横断面図を示している。一方、図3は、本実施形態に係るドアウエザーストリップ4が圧縮された状態であって、図1のA-A線に沿って切断したドア1の閉時におけるドアウエザーストリップ4の横断面図を示している。図4は、図3の要部を拡大して表示した図3の要部拡大図を示している。なお、図4の矢印Dは、ドア1の進入軌跡を示している。
【0020】
例えば図1に示すような、ほぼアーチ状のドアサッシュ12(本発明のドアパネルに相当)を有するフロントドア(以下、単に「ドア」と略称する。)1の室内側の周縁部に、図2に示すように、長尺状のドアウエザーストリップ4が、例えばクリップ(図示外)などを用いて閉ループ状に装着されている。そして、ドア1の閉時には、図3に示すように、ドアウエザーストリップ4が、車体側のドア開口部周縁の車体パネル2に弾接することによって、車室内外がシールされ、気密性、水密性及び遮音性等が確保されている。
【0021】
ドア1は、図1に示すように、ドア本体11と、このドア本体11の上部にアーチ状に延設されたドアサッシュ12と、が一体に形成されたものである。ドアサッシュ12は、図2図3に示すように、ドアインナーパネル101のフランジ部101aに対しドアアウターパネル102のフランジ部102aを折り返し状に重ねることでヘミング結合されてなるフランジ部121と、フランジ部121から室内側へ延設され、ドアウエザーストリップ4が取り付けられる平坦状の取付面122と、を有する。
【0022】
ドアウエザーストリップ4は、図1に示すように、ドアサッシュ12の上辺部に沿うほぼ直線状の上辺部41と、ドア1の前後の縦辺部及び下辺部にそれぞれ沿う縦辺部42,43及び下辺部44と、を含む一般部が、EPDMスポンジ材を押出成形することによって形成されている。また、上辺部41と縦辺部43とは、図示外の型成形部を介して接続されている。
【0023】
ドアウエザーストリップ4の上辺部41は、前記押出成形により形成される、図2に示すような均一断面形状をする。具体的には、ドアウエザーストリップ4は、中空状の空間部(後述する第1空間部51及び第2空間部52)を含む取付基部5と、取付基部5から室内側へ向かって斜めに突出形成され、ドア1の閉時に車体パネル2の内側シール領域21に弾接可能な中空シール部6と、取付基部5から室外側へ向かって屈曲形成され、ドア1の閉時に車体パネル2の外側シール領域22に弾接可能なサブシールリップ7と、取付基部5の室外側の側部56に上下二段状に配置され、室外側へ向かって延出することによりドアサッシュ12のフランジ部121の内側面に弾接可能な一対の第1パネルリップ81(本発明のパネルリップに相当)及び第2パネルリップ82と、を有している。
【0024】
取付基部5は、中空状を呈し、内部に長手方向に延びる2つの空間部である第1空間部51及び第2空間部52を有する。この取付基部5は、例えば第1空間部51から下方へ向かって底壁部53を貫通する複数の取付孔54に挿通された複数のクリップ(図示外)を介してドアサッシュ12の取付面122に固定されている。また、取付基部5は、車体パネル2と対向する上壁部55に、中空シール部6とサブシールリップ7が接続されている。また、取付基部5は、ドアサッシュ12のフランジ部121の内側面121aに対向する室外側の側部56に、第2パネルリップ82が接続されている。
【0025】
中空シール部6は、図2に示す自由状態において横断面がほぼ逆U字状に形成されていて、室内側に湾曲する室内側辺部61と、室外側に湾曲する室外側辺部62と、一体に有する。この中空シール部6は、ドア1の閉時に、図3に示すように、室内側辺部61が車体パネル2に弾接して撓み変形すると共に、室内側辺部61が車体パネル2に押圧されて室外側辺部62が屈曲変形することにより、車体パネル2に弾接し、シール機能を発揮する。
【0026】
サブシールリップ7は、図2に示すように、取付基部5の上壁部55の室外側端部から上方へと延設され、根元側に向かって徐々に幅広となるように形成された基部71(本発明の根元部に相当)と、基部71の先端から屈曲部73を介して室外側へ折れ曲がるリップ部72と、を一体に有し、図3図4に示すように、ドア1の閉時に屈曲部73を介して室外側へ屈曲したリップ部72の先端部が車体パネル2の外側シール領域22に弾接するようになっている。また、サブシールリップ7は、基部71とリップ部72との境界部が相対的に細く形成されていて、当該境界部が、ドア1の閉時においてサブシールリップ7が折れ曲がる際の設計上の折れ点Pbとして設定されている。
【0027】
第1パネルリップ81は、図2に示すように、サブシールリップ7の基部71の側部であって、長手方向において取付基部5よりもサブシールリップ7のリップ部72に近い位置に、室外側へと向かって延設されている。すなわち、第1パネルリップ81は、サブシールリップ7の基部71に接続される基部811(本発明の根元部に相当)と、基部811の先端部にサブシールリップ7側へ折れ曲がるように突出形成された突起部812と、を一体に有しており、自由状態において突起部812がドアサッシュ12のフランジ部121の内側面121aに弾接可能に設けられている。
【0028】
基部811は、図4に示すように、ドア1の閉時におけるサブシールリップ7の屈曲変形時のサブシールリップ7の折れ点Pbと、サブシールリップ7の基部71と取付基部5との接続点Pcとの間の根元側領域Spにわたってサブシールリップ7の基部71と接続されている。また、基部811は、ドア1の閉時にサブシールリップ7が屈曲変形することにより車体パネル2側から作用する押圧力Fに対して対抗可能な剛性が確保されている。すなわち、基部811は、ドア1の閉時におけるサブシールリップ7の屈曲変形時において、サブシールリップ7の基部71とドアサッシュ12のフランジ部121との間で、いわゆるつっかえ棒として機能する。
【0029】
なお、上記「車体パネル2側から作用する押圧力Fに対して対抗可能」とは、必ずしも基部811の撓み変形を完全に除外することを意味するものではなく、サブシールリップ7のリップ部72のはみ出しを抑制可能な程度にサブシールリップ7の基部71の屈曲変形を抑制可能であれば多少の撓み変形を許容することを含む。
【0030】
突起部812は、ドアサッシュ12のフランジ部121の内側面121aとのなす角(劣角)θが鋭角となるように設定されていて、当該突起部812の先端部が取付基部5よりも高い位置でドアサッシュ12のフランジ部121の内側面121aと当接可能となっている。また、突起部812は、サブシールリップ7側へ折れ曲がるように形成されていることで、ドア1の閉時においてサブシールリップ7が屈曲変形した際、車体パネル2側から作用する押圧力Fとは反対側の方向に、基部811に沿って反力RFを発生させる。換言すれば、第1パネルリップ81がドアサッシュ12のフランジ部121の内側面121aに弾接することに伴う反力RFによって押圧力Fに抗し、サブシールリップ7の基部71の折れ曲がりを抑制することが可能となっている。
【0031】
第2パネルリップ82は、図2図3に示すように、取付基部5の底壁部53の室外側端部から室外側へ向かって延設されている。この第2パネルリップ82は、第1パネルリップ81と同様、ドア1の閉時に、根元部に設けられた薄肉の基部821を屈曲点として上方へ屈曲し、その反力でもって第2パネルリップ82の先端部822がドアサッシュ12のフランジ部121の内側面121aに弾接するようになっている。
【0032】
(本実施形態の作用効果)
前記従来のドアウエザーストリップ4は、サブシールリップ7において、明確な折れ点が設けられていない。このため、図9に示すように、ドア1の閉時にサブシールリップ7が屈曲変形する際に、設計上の折れ点である第1の折れ点P1に加えて、基部71の中間部に第2の折れ点P2が発生し、第1の折れ点P1と第2の折れ点P2との間の区間Qの全域にわたって折れ曲がることとなる。その結果、サブシールリップ7のリップ部72がドア1のパネルラインPLからはみ出してしまい(図9中のY参照)、外観を損ねてしまう点で、改善の余地が残されていた。
【0033】
これに対して、本実施形態に係るドアウエザーストリップ4は、図4に示すように、第1パネルリップ81がドアサッシュ12のフランジ部121の内側面121aに当接し、当該第1パネルリップ81がいわゆるつっかえ棒としてサブシールリップ7の基部71を支持することにより、サブシールリップ7の基部71の屈曲変形が規制される。これにより、サブシールリップ7が設計上の折れ点Pbにおいて適切に折れ曲がり、サブシールリップ7のリップ部72がドア1のパネルラインPLよりも内側(室内側)に収まることとなる(図4中のX参照)。その結果、サブシールリップ7のリップ部72がドア1のパネルラインPLからはみ出す不具合を抑制することができる。
【0034】
また、本実施形態では、第1パネルリップ81の基部811において、根元側が最も太くなるように形成されている。このため、第1パネルリップ81の剛性の向上が図れ、サブシールリップ7の基部71の屈曲変形を効果的に抑制することができる。
【0035】
さらに、本実施形態の場合、第1パネルリップ81の基部811について、根元側が最も太く形成されていることで、第1パネルリップ81の基部811によりサブシールリップ7の基部71を比較的広範囲にわたって支持することが可能となる。これにより、サブシールリップ7の基部71の屈曲変形をより効果的に抑制することができる。
【0036】
また、本実施形態では、第1パネルリップ81の基部811が、サブシールリップ7の基部71の長手方向のほぼ全域にわたって延在していることにより、第1パネルリップ81によって、サブシールリップ7の基部71を長手方向の全域にわたって支持することが可能となる。これにより、サブシールリップ7の基部71の屈曲変形を、より一層効果的に抑制することができる。
【0037】
[第2実施形態]
図5図7は、本発明に係るドアウエザーストリップの第2実施形態を示している。なお、本実施形態は、主として、取付基部5と第1パネルリップ81の相対的な位置関係を調整すると共に、サブシールリップ7の基部71の形態を変更したものであり、他の構成については、前記第1実施形態と同様である。したがって、前記第1実施形態と同じ構成については、同一の符号を付すことにより、具体的な説明を省略する。
【0038】
(ドアウエザーストリップの構成)
図5は、本実施形態に係るドアウエザーストリップ4の自由状態であって、図1のA-A線に沿って切断したドア開時におけるドアウエザーストリップ4の横断面図を示している。一方、図6は、本実施形態に係るドアウエザーストリップ4が圧縮された状態であって、図1のA-A線に沿って切断したドア閉時におけるドアウエザーストリップ4の横断面図を示している。図7は、図6の要部を拡大して表示した図6の要部拡大図を示している。なお、図7の矢印Dは、ドア1の進入軌跡を示している。
【0039】
図5図6に示すように、本実施形態に係るドアウエザーストリップ4は、第1パネルリップ81が、サブシールリップ7のリップ部72に近い位置に、オフセットして配置されている。さらに、本実施形態に係る第1パネルリップ81についても、サブシールリップ7の基部71と接続する根元部が最も太くなるように、先端部813に対して基部811側が相対的に太くなるように形成されている。
【0040】
また、本実施形態では、図5に示すように、サブシールリップ7の基部71について、根元部に相当する取付基部5との接続点Pcから中間部に相当する設計上の折れ点Pbまでの根元側領域Spが、設計上の折れ点Pbに向かうにつれてドアサッシュ12のフランジ部121の内側面121aから徐々に離間するような反り形状を有する。
【0041】
(本実施形態の作用効果)
前記従来のドアウエザーストリップ4では、図9に示すように、第1パネルリップ80が、取付基部5の上壁部55よりも低い位置、すなわちサブシールリップ7のリップ部72から遠い位置に配置されていた。このため、ドア1の閉時においてサブシールリップ7が屈曲変形する際、車体パネル2側から作用する押圧力Fによってサブシールリップ7の基部71が室外側へ傾倒しやすく、設計上の折れ点である第1の折れ点P1に加えて、基部71の中間部に第2の折れ点P2が発生しやすくなる。これにより、第1の折れ点P1と第2の折れ点P2との区間Qの全域が折れ曲がり、サブシールリップ7のリップ部72がドア1のパネルラインPLからはみ出してしまうおそれがあった(図9中のY参照)。
【0042】
これに対して、本実施形態に係るドアウエザーストリップ4は、図5に示すように、サブシールリップ7の取付基部5との接続点Pcから設計時に定められた設計上の折れ点Pbまでの根元側領域Spが、前記設計上の折れ点Pbに向かうにつれてドアサッシュ12のフランジ部121の内側面121aから離間する反り形状を有すると共に、第1パネルリップ81が、取付基部5よりもサブシールリップ7側に偏倚して配置されている。このため、ドア1を閉じた際、図7に示すように、第1パネルリップ81がドアパネルに弾接することにより発生する反力RFに基づき、第1パネルリップ81と取付基部5の上壁部55との間に位置する中心C回りに、サブシールリップ7の基部71を室内側へ回動させるモーメントMが発生しやすくなる。これにより、ドア1の閉時において、サブシールリップ7の基部71が室外側へ傾倒して折れ曲がることが抑制され、サブシールリップ7のリップ部72がドア1のパネルラインPLよりも内側に収まることとなる(図7中のX参照)。その結果、サブシールリップ7のリップ部72がドア1のパネルラインPLよりも室外側へはみ出す不具合を抑制することができる。
【0043】
本発明は、前記各実施形態等において開示された構成に限定されるものではなく、例えば取付基部5の形状や中空シール部6の形状及び配置、第2パネルリップ82の有無など、本発明の技術的特徴と直接関係しない細部の具体的な態様については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、適用対象である車体の仕様等に応じて自由に変更することができる。
【符号の説明】
【0044】
1…フロントドア(ドア)
12…ドアサッシュ(ドアパネル)
121…フランジ部
121a…内側面
2…車体パネル
21…内側シール領域
22…外側シール領域
4…ドアウエザーストリップ
5…取付基部
6…中空シール部
7…サブシールリップ
71…基部(根元部)
72…リップ部(先端部)
81…第1パネルリップ(パネルリップ)
811…基部(根元部)
812…突起部
Pb…折れ点(中間部)
Pc…接続点(根元部)
Sp…根元側領域
PL…パネルライン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9