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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024105978
(43)【公開日】2024-08-07
(54)【発明の名称】紙製箱の組立装置及び組立方法
(51)【国際特許分類】
   B31B 50/99 20170101AFI20240731BHJP
【FI】
B31B50/99
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023010008
(22)【出願日】2023-01-26
(71)【出願人】
【識別番号】590001164
【氏名又は名称】アイシンシロキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100166408
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 邦陽
(72)【発明者】
【氏名】池田 敬祐
【テーマコード(参考)】
3E075
【Fターム(参考)】
3E075AA04
3E075AA12
3E075BA07
3E075CA01
3E075DC43
3E075DC44
3E075DC45
3E075DC46
3E075DD27
3E075DD43
3E075GA03
(57)【要約】
【課題】構造が簡単で紙製箱を傷付けることがない紙製箱の組立装置及び組立方法を得る。
【解決手段】展開状態の紙製箱を押し込むための凹部と、前記凹部を画成するための複数のパイプと、を有し、前記凹部に前記展開状態の前記紙製箱を押し込むときに、前記複数のパイプが前記展開状態の前記紙製箱を折り曲げることで、前記紙製箱を組み立てる、ことを特徴とする紙製箱の組立装置。展開状態の紙製箱を押し込むための凹部と、前記凹部を画成するための複数のパイプと、を有する紙製箱の組立装置による紙製箱の組立方法であって、前記凹部に前記展開状態の前記紙製箱を押し込むときに、前記複数のパイプが前記展開状態の前記紙製箱を折り曲げることで、前記紙製箱を組み立てる、ことを特徴とする紙製箱の組立方法。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
展開状態の紙製箱を押し込むための凹部と、
前記凹部を画成するための複数のパイプと、
を有し、
前記凹部に前記展開状態の前記紙製箱を押し込むときに、前記複数のパイプが前記展開状態の前記紙製箱を折り曲げることで、前記紙製箱を組み立てる、
ことを特徴とする紙製箱の組立装置。
【請求項2】
前記凹部は、平面視矩形を有し、
前記複数のパイプは、
前記平面視矩形の四隅に位置するとともに、それぞれが長手方向に延びる4つの第1パイプと、
前記平面視矩形の四隅のうち、長手方向の両端部どうしを繋ぐように短手方向に延びる2つの第2パイプと、
前記平面視矩形の四隅のうち、短手方向の両端部どうしを繋ぐように長手方向に延びる2つの第3パイプと、
前記平面視矩形の四隅に位置するとともに、それぞれが長手方向と短手方向に直交する上下方向に延びる4つの第4パイプと、
を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の紙製箱の組立装置。
【請求項3】
前記4つの第1パイプ、前記2つの第2パイプ、及び、前記2つの第3パイプは、軸線方向の全部の領域において円筒状であり、
前記4つの第4パイプは、軸線方向の一部の領域において円筒状であり、軸線方向の他部の領域において傾斜状に切断された傾斜切断面を有する、
ことを特徴とする請求項2に記載の紙製箱の組立装置。
【請求項4】
前記平面視矩形の四隅のうち、短手方向の両端部どうしを繋ぐように長手方向に延びるとともに、前記2つの第3パイプの下方に位置する2つのフラットバーをさらに有する、
ことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の紙製箱の組立装置。
【請求項5】
前記平面視矩形の四隅のうち、長手方向の両端部どうしを繋ぐように短手方向に延びるとともに、載置面に載置される2つの成形基部を有し、
前記4つの第1パイプ、前記2つの第2パイプ、前記2つの第3パイプ、前記4つの第4パイプ、及び、前記2つのフラットバーは、前記2つの成形基部を介して設けられる、
ことを特徴とする請求項4に記載の紙製箱の組立装置。
【請求項6】
前記紙製箱は、
前記凹部に対応する平面視矩形を有する底面部と、
前記底面部の長手側の両端部から延びる2つの短手側側壁部と、
前記2つの短手側側壁部のそれぞれにおいて短手側の両側に延びる2つの短手側ヒレ部と、
前記底面部の短手側の両端部から延びる2つの長手側側壁部と、
前記2つの長手側側壁部のそれぞれにおいて長手側の両側に延びる2つの長手側ヒレ部と、
を有する、
ことを特徴とする請求項2に記載の紙製箱の組立装置。
【請求項7】
前記4つの第1パイプは、前記2つの短手側側壁部のそれぞれに対して前記2つの短手側ヒレ部を折り曲げ、
前記2つの第2パイプは、前記底面部に対して前記2つの短手側側壁部を折り曲げ、
前記2つの第3パイプは、前記底面部に対して前記2つの長手側側壁部を折り曲げ、
前記4つの第4パイプは、前記2つの長手側側壁部のそれぞれに対して前記2つの長手側ヒレ部を折り曲げる、
ことを特徴とする請求項6に記載の紙製箱の組立装置。
【請求項8】
前記紙製箱の組立装置又は前記4つの第1パイプの高さは、前記2つの短手側ヒレ部の高さよりも小さく設定される、
ことを特徴とする請求項7に記載の紙製箱の組立装置。
【請求項9】
展開状態の紙製箱を押し込むための凹部と、
前記凹部を画成するための複数のパイプと、
を有する紙製箱の組立装置による紙製箱の組立方法であって、
前記凹部に前記展開状態の前記紙製箱を押し込むときに、前記複数のパイプが前記展開状態の前記紙製箱を折り曲げることで、前記紙製箱を組み立てる、
ことを特徴とする紙製箱の組立方法。
【請求項10】
前記紙製箱は、
前記凹部に対応する平面視矩形を有する底面部と、
前記底面部の長手側の両端部から延びる2つの短手側側壁部と、
前記2つの短手側側壁部のそれぞれにおいて短手側の両側に延びる2つの短手側ヒレ部と、
前記底面部の短手側の両端部から延びる2つの長手側側壁部と、
前記2つの長手側側壁部のそれぞれにおいて長手側の両側に延びる2つの長手側ヒレ部と、
を有し、
前記複数のパイプは、第1パイプと、第2パイプと、第3パイプと、第4パイプと、を有し、
前記第1パイプにより、前記2つの短手側側壁部のそれぞれに対して前記2つの短手側ヒレ部を折り曲げ、
前記第2パイプにより、前記底面部に対して前記2つの短手側側壁部を折り曲げ、
前記第3パイプにより、前記底面部に対して前記2つの長手側側壁部を折り曲げ、
前記第4パイプにより、前記2つの長手側側壁部のそれぞれに対して前記2つの長手側ヒレ部を折り曲げる、
ことを特徴とする請求項9に記載の紙製箱の組立方法。
【請求項11】
前記第3パイプの下方に位置するフラットバーにより、前記第3パイプと協働して、前記底面部に対して前記2つの長手側側壁部を折り曲げる、
ことを特徴とする請求項10に記載の紙製箱の組立方法。
【請求項12】
前記第2パイプの下方に位置する成形基部の成形面により、前記第2パイプと協働して、前記底面部に対して前記2つの短手側側壁部を折り曲げる、
ことを特徴とする請求項10又は請求項11に記載の紙製箱の組立方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙製箱の組立装置及び組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、平板状の段ボール箱材料を段ボール箱に組み立てるための装置及び方法が記載されている。特許文献1に記載の装置は、第一治具と、第二治具と、折り込み手段とを有している。第一治具は、平板状の段ボール箱材料の第一側面部、第二側面部及び補強片をそれぞれ起立させるように案内する第一成形部材、第二成形部材及び第三成形部材を備えている。第二治具は、第一治具上に置かれた段ボール箱材料を、その底面部を押して第一成形部材及び第二成形部材で囲まれた凹部内に押し込む。折り込み手段は、第一治具の凹部内に押し込まれて箱状に起こされた段ボール箱材料の第二側面部先端の折り返し部を内側に折り曲げる。第一治具に設けている第一成形部材、第二成形部材及び第三成形部材は、段ボール箱材料を第二治具で押し込んでゆく際、まず第三成形部材が補強片を第一側面部に対して少し起立させ、その後、第一成形部材及び第二成形部材が第一側面部及び第二側面部を起立させ、段ボール箱材料を所定位置まで押し込んだ際には第一側面部及び第二側面部を底面部に対して直角になるまで起立させる形状を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9-239870号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の装置は、構造が大掛かりであるために大型化、複雑化、重量化を招いてしまい、高コスト化も避けられないという問題がある。例えば、第二治具は、エアシリンダによって昇降するように配置されており、段ボール箱材料の底面部を押して第一成形部材及び第二成形部材で囲まれた凹部内に押し込むための平板と、その平板の上面に位置する一対の爪押込部材と、一対の爪押込部材を拡がったり狭まったりするように移動させるエアシリンダ(昇降用のエアシリンダとは別の構成要素)とを備えることが必須である。折り込み手段は、第一治具に設けられており(第一治具の構成要素と捉えることができ)、第二成形部材、第三成形部材に回転可能に保持された回転軸と、その回転軸に取り付けられた一対のL字型の折り込み爪と、回転軸を往復回転させるロータリーアクチュエータを備えることが必須である。また、特許文献1に記載の装置は、平板状の段ボール箱材料を段ボール箱に組み立てる途中で傷が付いてしまうおそれがあった。
【0005】
本発明は、以上の問題意識に基づいてなされたものであり、構造が簡単で紙製箱を傷付けることがない紙製箱の組立装置及び組立方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態の紙製箱の組立装置は、展開状態の紙製箱を押し込むための凹部と、前記凹部を画成するための複数のパイプと、を有し、前記凹部に前記展開状態の前記紙製箱を押し込むときに、前記複数のパイプが前記展開状態の前記紙製箱を折り曲げることで、前記紙製箱を組み立てる、ことを特徴とする。
【0007】
前記凹部は、平面視矩形を有し、前記複数のパイプは、前記平面視矩形の四隅に位置するとともに、それぞれが長手方向に延びる4つの第1パイプと、前記平面視矩形の四隅のうち、長手方向の両端部どうしを繋ぐように短手方向に延びる2つの第2パイプと、前記平面視矩形の四隅のうち、短手方向の両端部どうしを繋ぐように長手方向に延びる2つの第3パイプと、前記平面視矩形の四隅に位置するとともに、それぞれが長手方向と短手方向に直交する上下方向に延びる4つの第4パイプと、を有していてもよい。
【0008】
前記4つの第1パイプ、前記2つの第2パイプ、及び、前記2つの第3パイプは、軸線方向の全部の領域において円筒状であり、前記4つの第4パイプは、軸線方向の一部の領域において円筒状であり、軸線方向の他部の領域において傾斜状に切断された傾斜切断面を有していてもよい。
【0009】
前記平面視矩形の四隅のうち、短手方向の両端部どうしを繋ぐように長手方向に延びるとともに、前記2つの第3パイプの下方に位置する2つのフラットバーをさらに有していてもよい。
【0010】
前記平面視矩形の四隅のうち、長手方向の両端部どうしを繋ぐように短手方向に延びるとともに、載置面に載置される2つの成形基部を有し、前記4つの第1パイプ、前記2つの第2パイプ、前記2つの第3パイプ、前記4つの第4パイプ、及び、前記2つのフラットバーは、前記2つの成形基部を介して設けられていてもよい。
【0011】
前記紙製箱は、前記凹部に対応する平面視矩形を有する底面部と、前記底面部の長手側の両端部から延びる2つの短手側側壁部と、前記2つの短手側側壁部のそれぞれにおいて短手側の両側に延びる2つの短手側ヒレ部と、前記底面部の短手側の両端部から延びる2つの長手側側壁部と、前記2つの長手側側壁部のそれぞれにおいて長手側の両側に延びる2つの長手側ヒレ部と、を有していてもよい。
【0012】
前記4つの第1パイプは、前記2つの短手側側壁部のそれぞれに対して前記2つの短手側ヒレ部を折り曲げ、前記2つの第2パイプは、前記底面部に対して前記2つの短手側側壁部を折り曲げ、前記2つの第3パイプは、前記底面部に対して前記2つの長手側側壁部を折り曲げ、前記4つの第4パイプは、前記2つの長手側側壁部のそれぞれに対して前記2つの長手側ヒレ部を折り曲げてもよい。
【0013】
前記紙製箱の組立装置又は前記4つの第1パイプの高さは、前記2つの短手側ヒレ部の高さよりも小さく設定されてもよい。
【0014】
本実施形態の紙製箱の組立方法は、展開状態の紙製箱を押し込むための凹部と、前記凹部を画成するための複数のパイプと、を有する紙製箱の組立装置による紙製箱の組立方法であって、前記凹部に前記展開状態の前記紙製箱を押し込むときに、前記複数のパイプが前記展開状態の前記紙製箱を折り曲げることで、前記紙製箱を組み立てる、ことを特徴とする。
【0015】
前記紙製箱は、前記凹部に対応する平面視矩形を有する底面部と、前記底面部の長手側の両端部から延びる2つの短手側側壁部と、前記2つの短手側側壁部のそれぞれにおいて短手側の両側に延びる2つの短手側ヒレ部と、前記底面部の短手側の両端部から延びる2つの長手側側壁部と、前記2つの長手側側壁部のそれぞれにおいて長手側の両側に延びる2つの長手側ヒレ部と、を有し、前記複数のパイプは、第1パイプと、第2パイプと、第3パイプと、第4パイプと、を有し、前記第1パイプにより、前記2つの短手側側壁部のそれぞれに対して前記2つの短手側ヒレ部を折り曲げ、前記第2パイプにより、前記底面部に対して前記2つの短手側側壁部を折り曲げ、前記第3パイプにより、前記底面部に対して前記2つの長手側側壁部を折り曲げ、前記第4パイプにより、前記2つの長手側側壁部のそれぞれに対して前記2つの長手側ヒレ部を折り曲げてもよい。
【0016】
前記第3パイプの下方に位置するフラットバーにより、前記第3パイプと協働して、前記底面部に対して前記2つの長手側側壁部を折り曲げてもよい。
【0017】
前記第2パイプの下方に位置する成形基部の成形面により、前記第2パイプと協働して、前記底面部に対して前記2つの短手側側壁部を折り曲げてもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、構造が簡単で紙製箱を傷付けることがない紙製箱の組立装置及び組立方法を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本実施形態による段ボール箱の組立装置の構成を示す斜視図である。
図2】本実施形態による段ボール箱の組立装置を上面から見た図である。
図3】本実施形態による段ボール箱の組立装置を短手方向から見た図である。
図4】本実施形態による段ボール箱の組立装置を長手方向から見た図である。
図5】段ボール箱の展開状態を示す図である。
図6】段ボール箱の組立装置による段ボール箱の組立工程を示す第1の図である。
図7】段ボール箱の組立装置による段ボール箱の組立工程を示す第2の図である。
図8】段ボール箱の組立装置による段ボール箱の組立工程を示す第3の図である。
図9】段ボール箱の組立装置による段ボール箱の組立工程を示す第4の図である。
図10】段ボール箱の組立装置による段ボール箱の組立工程を示す第5の図である。
図11】段ボール箱の組立装置による段ボール箱の組立工程を示す第6の図である。
図12】段ボール箱の組立装置による段ボール箱の組立工程を示す第7の図である。
図13】段ボール箱の組立装置による段ボール箱の組立工程を示す第8の図である。
図14】段ボール箱の組立装置による段ボール箱の組立工程を示す第9の図である。
図15】段ボール箱の組立装置による段ボール箱の組立工程を示す第10の図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1図15を参照して、本実施形態による段ボール箱の組立装置(以下、単に「組立装置」と呼ぶことがある)100について詳細に説明する。図1図15では、組立装置100の一部分の構成要素の視認性を向上して発明の理解を容易にするために、組立装置100の他部分の構成要素を省略して描いた箇所がある(本明細書と図1図15を総合的に勘案したときに組立装置100の全体像を把握できることは勿論である)。
【0021】
組立装置100は、例えば、人間の手で展開状態の段ボール箱200を押し込むだけで、段ボール箱200を簡単に折り曲げて組み立てられる組立治具である。詳しくは後述するが、組立装置100は、パイプ(丸パイプ)と斜面を利用して、段ボール箱200を傷付けることなく折り曲げて組み立てることができる。段ボール箱200の折曲(組立)にパイプ(丸パイプ)を有効的に活用することで、装置の構造の小型化、簡単化、軽量化を図りながら必要な剛性を同時に確保するとともに、装置の低コスト化も両立することができる。さらに、組立装置100を載置面(例えば組立用のテーブルの上)に乗せて使用できるので利便性も高い。
【0022】
本明細書において、「段ボール箱の組立装置」は「紙製箱の組立装置」と読み替えてもよく、「段ボール箱」は「紙製箱」と読み替えてもよい。すなわち、本明細書で組立対象となる箱は段ボール製である必要はなく、段ボール以外の材料(例えば厚紙材料や折曲可能な紙以外の材料)であってもよい。
【0023】
組立装置100は、展開状態の段ボール箱200を押し込むための凹部100Xと、凹部100Xを画成するための複数のパイプ(後述する第1パイプ110、第2パイプ120、第3パイプ130、第4パイプ140)とを有している。凹部100Xに展開状態の段ボール箱200を押し込むときに、複数のパイプ(第1パイプ110~第4パイプ140)が展開状態の段ボール箱200を折り曲げることで、段ボール箱200を組み立てることができる。
【0024】
主に図1図4に示すように、組立装置100の凹部100Xは、平面視矩形を有している。組立装置100は、2つの成形基部150を有している。2つの成形基部150は、平面視矩形の四隅のうち、長手方向の両端部どうしを繋ぐように短手方向に延びるとともに、載置面に載置される。成形基部150は、組立装置100の成形基部150以外の構成要素(第1パイプ110~第4パイプ140、後述するフラットバー160)を支持する基礎部品である。成形基部150が組立装置100の基礎部品として載置面(例えば組立用のテーブルの上)に乗せられると、組立装置100の成形基部150以外の構成要素(第1パイプ110~第4パイプ140、フラットバー160)が浮遊状態で支持される。
【0025】
2つの成形基部150のそれぞれの長手方向の対向面には、上方から下方に向かうに連れて凹部100Xの内部に向かって傾斜する成形面151が形成されている。2つの成形基部150のそれぞれの短手方向の両端部には、成形面151より高い位置まで延びる4つのパイプ基準壁部152が形成されており、4つのパイプ基準壁部152の短手方向の対向面には、上方から下方に向かうに連れて凹部100Xの内部に向かって傾斜する成形面153が形成されている。
【0026】
第1パイプ110は、組立装置100の凹部100Xの平面視矩形の四隅に位置する4つが設けられており、4つの第1パイプ110のそれぞれが長手方向に延びている。4つの第1パイプ110は、第1パイプ110~第4パイプ140の中で最も高い位置に設けられており、4つのパイプ基準壁部152の成形面153の最上部の直上に位置している。第1パイプ110は、軸線方向の全部の領域において円筒状の「丸パイプ」を構成する。
【0027】
第2パイプ120は、組立装置100の凹部100Xの平面視矩形の四隅のうち、長手方向の両端部どうしを繋ぐように短手方向に延びる2つが設けられている。2つの第2パイプ120は、2つの成形基部150の成形面151の最上部の裏側、且つ、4つのパイプ基準壁部152の成形面153のやや下方に位置している。第2パイプ120は、軸線方向の全部の領域において円筒状の「丸パイプ」を構成する。
【0028】
第3パイプ130は、組立装置100の凹部100Xの平面視矩形の四隅のうち、短手方向の両端部どうしを繋ぐように長手方向に延びる2つが設けられている。2つの第3パイプ130は、2つの第2パイプ120より若干低い位置に設けられており、4つのパイプ基準壁部152のうち、2つの第2パイプ120が設けられた側(短手方向の内側)と反対側(短手方向の外側)に設けられている。第3パイプ130は、軸線方向の全部の領域において円筒状の「丸パイプ」を構成する。
【0029】
第4パイプ140は、組立装置100の凹部100Xの平面視矩形の四隅に位置する4つが設けられており、4つの第4パイプ140のそれぞれが長手方向と短手方向に直交する上下方向に延びている。4つの第4パイプ140は、長手方向において、4つの第1パイプ110の内側に位置している。4つの第4パイプ140は、短手方向において、4つの第1パイプ110と2つの第3パイプ130の内側、且つ、2つの第2パイプ120の外側に位置している。第4パイプ140は、軸線方向の一部の領域において円筒状であり、軸線方向の他部の領域において傾斜状に切断された傾斜切断面141を有している。この傾斜切断面141の傾斜角度は、パイプ基準壁部152の成形面153の傾斜角度と同一となっている。別言すると、第4パイプ140はパイプ基準壁部152の一部を形成しており、第4パイプ140の傾斜切断面141はパイプ基準壁部152の成形面153の一部を形成している。
【0030】
組立装置100は、2つのフラットバー160を有している。2つのフラットバー160は、組立装置100の凹部100Xの平面視矩形の四隅のうち、短手方向の両端部どうしを繋ぐように長手方向に延びている。2つのフラットバー160は、2つの第3パイプ130の下方、且つ、短手方向において2つの第3パイプ130の内側に位置している。2つのフラットバー160は、上方から下方に向かうに連れて凹部100Xの内部に向かって傾斜する成形面161を有している。成形面161の傾斜角度には自由度があり、種々の設計変更が可能であるが、例えば、45°に設定することができる。
【0031】
このようにして、4つの第1パイプ110、2つの第2パイプ120、2つの第3パイプ130、4つの第4パイプ140、及び、2つのフラットバー160が、2つの成形基部150を介して設けられる(2つの成形基部150に浮遊状態で支持される)。
【0032】
4つの第1パイプ110、2つの第2パイプ120、2つの第3パイプ130、4つの第4パイプ140、2つの成形基部150、及び、2つのフラットバー160は、組立装置100(凹部100X)の中心とした対称形となるように設けられている。
【0033】
続いて、図5を参照して、段ボール箱200の構成について詳細に説明する。図5は、段ボール箱200の展開状態を示す図である。
【0034】
段ボール箱200は、組立装置100の凹部100Xの平面視矩形に対応する平面視矩形を有する底面部210を有している。展開状態の段ボール箱200を組立装置100の凹部100Xに押し込むことは、底面部210を凹部100Xに位置合わせして上方から下方に移動させることを意味している。
【0035】
底面部210の長手側の両端部からは、それぞれ、短手側側壁部220が折曲片を介して折り曲げ可能に延びている。それぞれの短手側側壁部220の両側には、短手側ヒレ部221が折曲片を介して折り曲げ可能に延びている。短手側ヒレ部221には切欠部222が形成されている。それぞれの短手側側壁部220の底面部210の反対側には、短手側延伸部230が折曲片を介して折り曲げ可能に延びている。それぞれの短手側延伸部230には、切欠部231と、一対の挿入片232とが形成されている。
【0036】
底面部210の短手側の両端部からは、それぞれ、第1の長手側側壁部240が折曲片を介して折り曲げ可能に延びている。底面部210と第1の長手側側壁部240を繋ぐ折曲片には挿入孔241が形成されている。第1の長手側側壁部240からは、さらに、第2の長手側側壁部250が折曲片を介して折り曲げ可能に延びている。第1の長手側側壁部240と第2の長手側側壁部250を繋ぐ折曲片には各2つの挿入孔251が形成されている。それぞれの第2の長手側側壁部250の第1の長手側側壁部240と反対側には、挿入片252が形成されている。それぞれの第2の長手側側壁部250の長手方向の両側には、長手側ヒレ部253が折曲片を介して折り曲げ可能に延びている。
【0037】
このように、段ボール箱200は、凹部100Xに対応する平面視矩形を有する底面部210と、底面部210の長手側の両端部から延びる2つの短手側側壁部220と、2つの短手側側壁部220のそれぞれにおいて短手側の両側に延びる2つの短手側ヒレ部221と、底面部210の短手側の両端部から延びる2つの長手側側壁部(第1の長手側側壁部240、第2の長手側側壁部250)と、2つの長手側側壁部(第2の長手側側壁部250)のそれぞれにおいて長手側の両側に延びる2つの長手側ヒレ部253とを有している。
【0038】
図6図15を参照して、組立装置100による段ボール箱200の組立工程について説明する。図6図15では、各組立工程で注目すべき部分にのみ符号を付して当該工程を強調することがある。また、図7図13では、組立装置100のうち段ボール箱200の組立に寄与している構成要素にドット状の模様を付してこれを強調している。
【0039】
図6に示すように、展開状態の段ボール箱200を組立装置100の凹部100Xに押し込む。すなわち、段ボール箱200の底面部210を組立装置100の凹部100Xに位置合わせして上方から下方に移動させる。この押込工程は、人間(作業者)の手作業により行ってもよいし、段ボール箱200を保持手段(保持機構)で保持して当該保持手段(保持機構)を下降させることにより行ってもよい。
【0040】
図7に示すように、組立装置100の凹部100Xの四隅において、短手側側壁部220と短手側ヒレ部221の間の折曲片又はその近傍に第1パイプ110が当接することで、短手側ヒレ部221が短手側側壁部220に対して折り曲げられる(起こされる)。短手側側壁部220に対して折り曲げられた(起こされた)短手側ヒレ部221は、成形基部150の成形面153(第4パイプ140の傾斜切断面141を含む)に沿って滑りながら傾斜角度が維持される。
【0041】
図8に示すように、成形基部150の成形面153(第4パイプ140の傾斜切断面141を含む)に沿って短手側ヒレ部221が短手側側壁部220に対して折り曲げられた状態で、底面部210と短手側側壁部220の間の折曲片又はその近傍に第2パイプ120が当接することで、短手側側壁部220が底面部210に対して折り曲げられる(起こされる)。底面部210に対して折り曲げられた(起こされた)短手側側壁部220は、成形基部150の成形面151に沿って滑りながら傾斜角度が維持される。すなわち、第2パイプ120の下方に位置する成形基部150の成形面151により、第2パイプ120と協働して、底面部210に対して短手側側壁部220を折り曲げる。
【0042】
図9に示すように、成形基部150の成形面153(第4パイプ140の傾斜切断面141を含む)によって短手側ヒレ部221が短手側側壁部220に対して折り曲げられ、且つ、成形基部150の成形面151によって短手側側壁部220が底面部210に対して折り曲げられた状態で、底面部210と第1の長手側側壁部240の間の折曲片又はその近傍に第3パイプ130が当接することで、第1の長手側側壁部240が底面部210に対して折り曲げられる(起こされる)。
【0043】
図10に示すように、成形基部150の成形面153(第4パイプ140の傾斜切断面141を含む)によって短手側ヒレ部221が短手側側壁部220に対して折り曲げられ、且つ、成形基部150の成形面151によって短手側側壁部220が底面部210に対して折り曲げられた状態で、第3パイプ130によって底面部210に対して折り曲げられた第1の長手側側壁部240がフラットバー160にガイドされて、その折曲角度が鋭角から鈍角、そして直角に向けて変化していく。すなわち、第3パイプ130の下方に位置するフラットバー160により、第3パイプ130と協働して、底面部210に対して第1の長手側側壁部240を折り曲げる。
【0044】
図11に示すように、第2の長手側側壁部250と長手側ヒレ部253の間の折曲片又はその近傍に第4パイプ140の傾斜切断面141が当接することで、長手側ヒレ部253が第2の長手側側壁部250に対して外側に折り曲げられる。その後、図12図13に示すように、第4パイプ140の傾斜切断面141によって長手側ヒレ部253が第2の長手側側壁部250に対して外側に押し広げられていき、その折曲角度が鋭角から鈍角に移行していく。ここで、長手側ヒレ部253を第2の長手側側壁部250に対して外側に折り曲げる工程は、第1パイプ110と第4パイプ140の傾斜切断面141が協働して実行してもよい(第1パイプ110と第4パイプ140が長手側ヒレ部253に同時に接触してもよい)。
【0045】
やがて、底面部210が載置面に沿う最大押込位置に到達すると、段ボール箱200が図14(a)の形状まで折り曲げられる。図14(a)では組立装置100を省略して描いている。図14(a)の状態では、底面部210に対して短手側側壁部220が直角に折り曲げられ、短手側側壁部220に対して短手側ヒレ部221が直角に折り曲げられ、底面部210に対して第1の長手側側壁部240が直角に折り曲げられ、第2の長手側側壁部250に対して長手側ヒレ部253が鈍角に折り曲げられている。短手側ヒレ部221は、第1の長手側側壁部240の内面に沿うように延びている。
【0046】
このように、展開状態の段ボール箱200を組立装置100の凹部100Xに押し込んでいくと、4つの第1パイプ110が、2つの短手側側壁部220のそれぞれに対して2つの短手側ヒレ部221を折り曲げる。また、2つの第2パイプ120が、底面部210に対して2つの短手側側壁部220を折り曲げる。また、2つの第3パイプ130が、底面部210に対して2つの第1の長手側側壁部240を折り曲げる。また、4つの第4パイプ140が、2つの第2の長手側側壁部250のそれぞれに対して2つの長手側ヒレ部253を折り曲げる。2つの第2の長手側側壁部250のそれぞれに対して2つの長手側ヒレ部253を折り曲げる工程は、4つの第1パイプ110と4つの第4パイプ140が協働して実行してもよい。以上の第1パイプ110~第4パイプ140による折曲動作が、展開状態の段ボール箱200を組立装置100の凹部100Xに押し込むだけで一挙に実行される。
【0047】
ここで、4つの第1パイプ110が2つの短手側側壁部220のそれぞれに対して2つの短手側ヒレ部221を折り曲げる機能、2つの第2パイプ120が底面部210に対して2つの短手側側壁部220を折り曲げる機能、及び、2つの第3パイプ130が底面部210に対して2つの第1の長手側側壁部240を折り曲げる機能を時系列に実行することを保証するために、第1パイプ110、第2パイプ120、第3パイプ130は、この順番で、高さが小さくなるように設けられている。但し、短手側ヒレ部221を折り曲げる機能が発揮された後は、第2パイプ120と第3パイプ130の機能が同時に発揮されてもよく、第2パイプ120と第3パイプ130の高さが同じであってもよい。
【0048】
組立装置100の高さ(第1パイプ110の高さ)は、短手側側壁部220に対して短手側ヒレ部221を折り曲げる際の邪魔にならないように、短手側ヒレ部221の高さよりも小さく設定されることが好ましい。
【0049】
図14(b)では、2つの第1の長手側側壁部240に対して2つの第2の長手側側壁部250を折曲片に沿って内側に折り曲げて、挿入片252を挿入孔241に挿入する。これにより、第1の長手側側壁部240と第2の長手側側壁部250が協働して二つ折りの長手側側壁部を形成するとともに、第1の長手側側壁部240と第2の長手側側壁部250の間に短手側ヒレ部221が挟まれた状態となる。
【0050】
図15(a)では、2つの短手側側壁部220に沿うように、それぞれの両側の2つの長手側ヒレ部253を順番に折り曲げる。また、2つの短手側延伸部230のそれぞれの両側の挿入片232を内側に折り曲げる。図15(b)では、2つの短手側側壁部220に対して2つの短手側延伸部230を折曲片に沿って内側に折り曲げて、挿入片232を挿入孔251に挿入する。
【0051】
図14(a)、(b)及び図15(a)、(b)の組立工程は、組立装置100を使用することなく、人間(作業者)による手作業(最終工程、仕上げ工程)で行うことができる。
【0052】
以上、本開示に係る発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本開示に係る発明が本開示中に説明した実施形態に限定されないということは明らかである。本開示に係る発明は、特許請求の範囲の記載に基づいて定まる発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本開示の記載は、例示説明を目的とし、本開示に係る発明に対して何ら制限的な意味をもたらさない。
【符号の説明】
【0053】
100 段ボール箱の組立装置(段ボール箱の組立治具、紙製箱の組立装置、紙製箱の組立治具)
100X 凹部
110 第1パイプ
120 第2パイプ
130 第3パイプ
140 第4パイプ
141 傾斜切断面
150 成形基部
151 成形面
152 パイプ基準壁部
153 成形面
160 フラットバー
161 成形面
200 段ボール箱(紙製箱)
210 底面部
220 短手側側壁部
221 短手側ヒレ部
222 切欠部
230 短手側延伸部
231 切欠部
232 挿入片
240 第1の長手側側壁部(長手側側壁部)
241 挿入孔
250 第2の長手側側壁部(長手側側壁部)
251 挿入孔
252 挿入片
253 長手側ヒレ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
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図15