(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024105979
(43)【公開日】2024-08-07
(54)【発明の名称】電源装置及び送風装置付き物品
(51)【国際特許分類】
A41D 13/002 20060101AFI20240731BHJP
A41D 13/005 20060101ALI20240731BHJP
【FI】
A41D13/002 105
A41D13/005 103
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023010009
(22)【出願日】2023-01-26
(71)【出願人】
【識別番号】592171005
【氏名又は名称】株式会社セフト研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】市ヶ谷 弘司
(72)【発明者】
【氏名】井上 直紀
【テーマコード(参考)】
3B011
3B211
【Fターム(参考)】
3B011AA01
3B011AC02
3B011AC03
3B211AA01
3B211AC02
3B211AC03
(57)【要約】
【課題】電源装置と接続された装置に対して、過大な電力が供給されることを防止し易くする。
【解決手段】電源装置3は、電池32が発生させた電流を出力する第1ジャック33及び第2ジャック34と、第1ジャック33から出力される電流を検出する第1検出回路351と、第2ジャック34から出力される電流を検出する第2検出回路361と、第1検出回路351が検出した電流が設定値を超えた場合に第1ジャック33からの出力を止める第1制御回路352と、第2検出回路361が検出した電流が設定値を超えた場合に第2ジャック34からの出力を止める第2制御回路362と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電流発生部が発生させた電流を出力する出力部を複数備え、
前記出力部ごとに出力される電流を検出し、検出した電流が設定値を超えた出力部が存在した場合に少なくとも当該出力部からの電流の出力を止めることを特徴とする電源装置。
【請求項2】
電流発生部が発生させた電流を出力する第1出力部と、
前記電流発生部が発生させた電流を出力する前記第1出力部と別個の第2出力部と、
前記第1出力部から出力される電流を検出する第1検出部と、
前記第2出力部から出力される電流を検出する第2検出部と、
前記第1検出部が検出した電流が設定値を超えた場合に前記第1出力部からの出力を止める第1制御部と、
前記第2検出部が検出した電流が設定値を超えた場合に前記第2出力部からの出力を止める第2制御部と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記第1制御部は、前記第1検出部が検出した電流が設定値を超えた場合に前記第1出力部からの出力を止め、前記第2検出部が検出した電流が設定値を超え、前記第1検出部が検出した電流が設定値を超えない場合には前記第1出力部からの出力を止めず、
前記第2制御部は、前記第2検出部が検出した電流が設定値を超えた場合に前記第2出力部からの出力を止め、前記第1検出部が検出した電流が設定値を超え、前記第2検出部が検出した電流が設定値を超えない場合には前記第2出力部からの出力を止めないことを特徴とする請求項2に記載の電源装置。
【請求項4】
前記第1制御部は、前記第1検出部が検出した電流が設定値を超えた場合に加え、前記第2検出部が検出した電流が設定値を超えた場合にも前記第1出力部からの出力を止め、
前記第2制御部は、前記第2検出部が検出した電流が設定値を超えた場合に加え、前記第1検出部が検出した電流が設定値を超えた場合にも前記第2出力部からの出力を止めることを特徴とする請求項2に記載の電源装置。
【請求項5】
前記設定値は、前記出力部と接続された装置に備えられたモータのインダクタンスに応じて定められた値であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の電源装置。
【請求項6】
前記設定値は、前記出力部と接続された装置に備えられたモータのインダクタンスをLとした場合に、√(2×320×10^-6/L)という式によって算出される値であることを特徴とする請求項5に記載の電源装置。
【請求項7】
前記電流発生部を備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の電源装置。
【請求項8】
前記電流発生部から出力された電流が入力される入力部を備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の電源装置。
【請求項9】
請求項1から4のいずれか一項に記載の電源装置と、
前記出力部のそれぞれと接続された複数の送風装置と、
前記送風装置によって空気が導入される本体部と、
を備えることを特徴とする送風装置付き物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置及び送風装置付き物品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、送風装置によって内部に空気を流通させることにより身体を冷却する機能を有する物品、例えば、外気を服内に導入して着用者の身体を冷却する機能を有する衣服(ファン付きウェア)、2枚のシートの間に空気を導入し、このようなシートと体との接触部を冷却する機能を有する座布団や寝具、ヘルメット内に空気を流通させて着用者の頭部を冷却する機能を有するヘルメット、リュック内に空気を導入することで着用者の背中を冷却する機能を有するリュック等が実用化されている。
このような物品(以下、「送風装置付き物品」という。)は、通常、空気を流通させる本体部と、本体部内に空気を導入するための送風装置と、送風装置に電力を供給するための電源装置と、送風装置と電源装置とを接続するための接続ケーブルと、を備える(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような送風装置付き物品については、故障等のトラブルによって、電源装置から送風装置に対し、送風装置付き物品の正常な動作時に供給されるものを超える過大な電力が供給されてしまうと、送風装置の故障の原因となる、当該物品が防爆仕様、すなわち可燃性のガス、蒸気、粉塵等が存在する環境下での使用時に火災や爆発を防止するための規格を満たす仕様とされている場合に、このような規格を満たさなくなる等の問題が生じる可能性があった。
【0005】
本発明の課題は、電源装置と接続された装置に対して、過大な電力が供給されることを防止し易くすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、電源装置において
電流発生部が発生させた電流を出力する出力部を複数備え、
前記出力部ごとに出力される電流を検出し、検出した電流が設定値を超えた出力部が存在した場合に少なくとも当該出力部からの電流の出力を止めることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電源装置において、
電流発生部が発生させた電流を出力する第1出力部と、
前記電流発生部が発生させた電流を出力する前記第1出力部と別個の第2出力部と、
前記第1出力部から出力される電流を検出する第1検出部と、
前記第2出力部から出力される電流を検出する第2検出部と、
前記第1検出部が検出した電流が設定値を超えた場合に前記第1出力部からの出力を止める第1制御部と、
前記第2検出部が検出した電流が設定値を超えた場合に前記第2出力部からの出力を止める第2制御部と、
を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の電源装置において、
前記第1制御部は、前記第1検出部が検出した電流が設定値を超えた場合に前記第1出力部からの出力を止め、前記第2検出部が検出した電流が設定値を超え、前記第1検出部が検出した電流が設定値を超えない場合には前記第1出力部からの出力を止めず、
前記第2制御部は、前記第2検出部が検出した電流が設定値を超えた場合に前記第2出力部からの出力を止め、前記第1検出部が検出した電流が設定値を超え、前記第2検出部が検出した電流が設定値を超えない場合には前記第2出力部からの出力を止めないことを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の電源装置において、
前記第1制御部は、前記第1検出部が検出した電流が設定値を超えた場合に加え、前記第2検出部が検出した電流が設定値を超えた場合にも前記第1出力部からの出力を止め、
前記第2制御部は、前記第2検出部が検出した電流が設定値を超えた場合に加え、前記第1検出部が検出した電流が設定値を超えた場合にも前記第2出力部からの出力を止めることを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載の電源装置において、
前記設定値は、前記出力部と接続された装置に備えられたモータのインダクタンスに応じて定められた値であることを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の電源装置において、
前記設定値は、前記出力部と接続された装置に備えられたモータのインダクタンスをLとした場合に、√(2×320×10^-6/L)という式によって算出される値であることを特徴とする。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載の電源装置において、
前記電流発生部を備えることを特徴とする。
【0013】
請求項8に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載の電源装置において、
前記電流発生部から出力された電流が入力される入力部を備えることを特徴とする。
【0014】
請求項9に記載の発明は、送風装置付き物品において、
請求項1から4のいずれか一項に記載の電源装置と、
前記出力部のそれぞれと接続された複数の送風装置と、
前記送風装置によって空気が導入される本体部と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、電源装置と接続された装置に対して、過大な電力が供給されることを防止し易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施形態に係るファン付きウェアの開閉手段を開いた状態における正面図である。
【
図2】実施形態に係るファン付きウェアの電源装置の斜視図である。
【
図3】実施形態に係るファン付きウェアの構成を示すブロック図である。
【
図4】変形例に係るファン付きウェアの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明をファン付きウェアに適用した場合の実施の形態について、
図1から
図4に基づいて説明する。ただし、本発明の技術的範囲は図示例に限定されるものではなく、以下説明する実施の形態には、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の変更を加えることが可能である。
【0018】
また、以下においては、着用者がファン付きウェア100を着用した状態を基準として、着用者の前方向を前、着用者の後方向を後、着用者の上方向を上、着用者の下方向を下、着用者の右方向を右、着用者の左方向を左と定めて説明する。
なお、ウェア本体1の開閉手段11を開いた状態においては、
図1に示すように、ウェア本体1の着用時に着用者側に向く面が向く方向を前、その反対方向を後と定めて説明する。
また、ファン付きウェア100のいずれの構成について説明する際にも、ファン付きウェア100の着用時に着用者に向く側を内面側、その反対側の外部空間に向く側を外面側とする。
【0019】
[1 実施形態の構成]
実施形態に係るファン付きウェア100は、
図1に示すように、ウェア本体1と、ウェア本体1内(ファン付きウェア100の着用時におけるウェア本体1と着用者の身体との間の空間内)に空気を導入する第1ファン21及び第2ファン22と、第1ファン21及び第2ファン22に電力を供給する電源装置3と、電源装置3と第1ファン21との間を接続する第1接続ケーブル41と、電源装置3と第2ファン22との間を接続する第2接続ケーブル42と、を備え、第1ファン21及び第2ファン22によってウェア本体1内に取り込まれた空気を、着用者の身体又はウェア本体1の下に着用した下着の表面に沿って流通させた後に、ファン付きウェア100の着用時にウェア本体1の襟部と着用者の首との間の隙間及びウェア本体1の袖部と着用者の腕との間の隙間に形成される空気排出部から排出することで、身体から出た汗を蒸発させ、蒸発する際の気化熱により身体を冷却するものである。
【0020】
[(1) ウェア本体]
ウェア本体1は、ファン付きウェア100の内、第1ファン21、第2ファン22、電源装置3、第1接続ケーブル41及び第2接続ケーブル42を除いた衣服部分であり、
図1に示すように、着用者の胴部及び腕部を覆うブルゾン型の上衣の形状に形成されている。
なお、ウェア本体1の形状は着用者の身体の少なくとも一部を覆うものであればよく、このような形状に限られない。例えば、着用者の胴部のみを覆うベスト型に形成してもよい。
【0021】
ウェア本体1は、
図1に示すように、前身頃に、線ファスナー等を備えて形成された着脱自在な分割部分である開閉手段11を備え、裾部に、ゴム紐等の伸縮性のある部材を着用者の身体を周回するように備えることによって形成された、ウェア本体1内の空気がウェア本体1の裾部から外部に漏れることを防止するための手段である空気漏れ防止手段12を備える。
【0022】
ウェア本体1の後身頃の着用者の腰の左右に対応する位置には、
図1に示すように、ファン付きウェア100の着用時において、ウェア本体1内と、ウェア本体1の外部の空間と、を繋ぐこととなる円形の孔部である第1ファン取付孔131及び第2ファン取付孔132が形成されている。着用者の腰の右側に形成された第1ファン21が取り付けられる孔部を第1ファン取付孔131、着用者の腰の左側に形成された第2ファン22が取り付けられる孔部を第2ファン取付孔132とする
【0023】
第1ファン取付孔131は、直径が第1ファン21の直径と略同一の円形となるように形成され、第2ファン取付孔132は、直径が第2ファン22の直径と略同一の円形となるように形成され、
図1に示すように第1ファン取付孔131を挿通するようにして第1ファン21を取り付け、第2ファン取付孔132を挿通するようにして第2ファン22を取り付けることで、第1ファン取付孔131及び第2ファン取付孔132を介して、外部の空気をウェア本体1内に取り込むことができる。
【0024】
ウェア本体1の内面側には、
図1に示すように、電源装置3を第1ファン21及び第2ファン22と第1接続ケーブル41又は第2接続ケーブル42を介して接続可能な位置において保持するため、電源装置3を収納可能なポケット状に形成された電源装置保持手段14と、第1接続ケーブル41をウェア本体1の内面側に保持するため、第1接続ケーブル41を挿通可能な開口部を有するリング状に形成されたケーブル保持手段15と、が備えられている。
【0025】
[(2) ファン]
第1ファン21及び第2ファン22は、ウェア本体1内に空気を導入するための装置であり、第1ファン21は、ウェア本体1の第1ファン取付孔131を挿通するようにしてウェア本体1に取り付けられ、第2ファン22は、ウェア本体1の第2ファン取付孔132を挿通するようにしてウェア本体1に取り付けられる。
【0026】
また、第1ファン21には、電源装置3より第1接続ケーブル41を介して稼働に必要な電力が供給され、第2ファン22には、電源装置3より第2接続ケーブル42を介して稼働に必要な電力が供給される。
【0027】
第1ファン21と第2ファン22とは、取り付けられる位置が異なるのみでその構成に違いはなく、いずれも内部にモータ(
図3に示すように第1ファン内のものをモータ211、第2ファン内のものをモータ221とする。)及びプロペラ(
図3に示すように第1ファン内のものをプロペラ212、第2ファン内のものをプロペラ222とする。)を備え、電源装置3により供給された電力を用いてモータがプロペラを回転させることで、第1ファン取付孔131又は第2ファン取付孔132を介して、外部の空気を、ウェア本体1内に導入できるように構成されている。
【0028】
[(3) 電源装置]
電源装置3は、第1ファン21及び第2ファン22に電力を供給するための装置であり、
図2に示すようにプラスチック等によって箱状に形成された筐体31内に、
図3に示すようにリチウムイオン組電池等からなる電池32が内蔵されている。
【0029】
また、筐体31には、
図2及び
図3に示すように、電池32が発生させた電流を出力するための第1ジャック33及び第2ジャック34が備えられ、筐体31内には、
図3に示すように、第1ジャック33と電池32とを繋ぐ第1回路35と、第2ジャック34と電池32とを繋ぐ第2回路36と、が別個に備えられている。
【0030】
第1回路35は、
図3に示すように、第1ジャック33から出力される電流を検出する第1検出回路351と、第1ジャック33から出力される電流を制御する第1制御回路352を備える。
また、第2回路36は、
図3に示すように、第2ジャック34から出力される電流を検出する第2検出回路361と、第2ジャック34から出力される電流を制御する第2制御回路362を備える。
【0031】
また、電源装置3は、
図3に示すように、第1検出回路351、第1制御回路352、第2検出回路361及び第2制御回路362と接続され、第1検出回路351による検出結果に従い第1制御回路352を制御すると共に、第2検出回路361による検出結果に従い第2制御回路362を制御するマイクロコントローラ37を備える。マイクロコントローラ37は、例えば、一つの集積回路上に、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備える一般的ものを用いればよい。
【0032】
第1制御回路352は、マイクロコントローラ37による制御により、第1検出回路351が検出した電流が、所定の値である設定値を超えた場合に、第1ジャック33からの電流の出力を止める。
【0033】
この場合、第1検出回路351について定められた設定値は、第1ジャック33と第1接続ケーブル41を介して接続された第1ファン21に備えられたモータ211のインダクタンスに応じて定められた値である。
具体的には、第1制御回路352は、第1ジャック33と第1接続ケーブル41を介して接続された第1ファン21に備えられたモータ211のインダクタンスをL1とした場合に、第1検出回路351が検出した電流I1(アンペア)が、I1=√(2×320×10^-6/L1)を超える場合に、第1ジャック33からの電流の出力を止める。
【0034】
第2制御回路362は、マイクロコントローラ37による制御により、第2検出回路361が検出した電流が、所定の値である設定値を超えた場合に、第2ジャック34からの電流の出力を止める。
【0035】
この場合、第2検出回路361について定められた設定値は、第2ジャック34と第2接続ケーブル42を介して接続された第2ファン22に備えられたモータ221のインダクタンスに応じて定められた値である。
具体的には、第2制御回路362は、第2ジャック34と第2接続ケーブル42を介して接続された第2ファン22に備えられたモータ221のインダクタンスをL2とした場合に、第2検出回路361が検出した電流I2(アンペア)が、I2=√(2×320×10^-6/L2)を超える場合に、第2ジャック34からの電流の出力を止める。
【0036】
[(4) 接続ケーブル]
第1接続ケーブル41は、
図1及び
図3に示すように、電源装置3の第1ジャック33と第1ファン21とを接続するケーブルであり、第1接続ケーブル41を通じて、電源装置3の第1ジャック33から出力された電流が、第1ファン21のモータ211へと供給される。
第1接続ケーブル41は、例えば、一端部に第1ジャック33と接続可能なプラグを備えると共に、他端部に第1ファン21に備えられたジャックと接続可能なプラグを備えることで、電源装置3の第1ジャック33と第1ファン21とを接続することができるようにすればよい。
【0037】
第2接続ケーブル42は、
図1及び
図3に示すように、電源装置3の第2ジャック34と第2ファン22とを接続するケーブルであり、第2接続ケーブル42を通じて、電源装置3の第2ジャック34から出力された電流が、第2ファン22のモータ221へと供給される。
第2接続ケーブル42は、例えば、一端部に第2ジャック34と接続可能なプラグを備えると共に、他端部に第2ファン22に備えられたジャックと接続可能なプラグを備えることで、電源装置3の第2ジャック34と第2ファン22とを接続することができるようにすればよい。
【0038】
[2 実施形態の効果]
従来のファン付きウェアにおいては、複数のファンを備える場合、途中で二股に分かれる一つの接続ケーブルを使用して、電源装置に備えられた一つのジャックから二つのファンに電力を供給していたことから、いずれかのファンが故障すると、二つのファンに供給されるはずの電力が一つのファンに供給されてしまい、電力の供給が過大となることから、ファンの故障の原因となる、防爆仕様とされている場合に、これを満たさなくなる等の問題が生じる可能性があった。
【0039】
これに対し、本実施形態に係るファン付きウェア100によれば、電源装置3が、電池32が発生させた電流を出力する複数の出力部(第1ジャック33及び第2ジャック34)を備え、かつ、第1ジャック33及び第2ジャック34に対して別個に、出力される電流を検出する検出部(第1ジャック33に対して第1検出回路351、第2ジャック34に対して第2検出回路361)及び検出部が検出した電流が設定値を超えた場合に出力部からの出力を止める制御部(第1ジャック33に対して第1制御回路352、第2ジャック34に対して第2制御回路362)を備える。
【0040】
これによって、ファン付きウェア100に備えられる二つのファン(第1ファン21及び第2ファン22)のそれぞれに対して別個に、電源装置3において出力される電流の検出及び出力される電力の制限がなされることから、ファンの一方が故障した場合においても、もう一方のファンに対して過大な電力が供給されることを防止することができ、電源装置3と接続された第1ファン21及び第2ファン22に対して、過大な電力が供給されることを防止し易くなる。
【0041】
なお、いずれかのファンが故障した場合に備えて、予めファンに供給される電力を抑えることによっても、ファンの一方が故障した場合におけるもう一方のファンへの過大な電力の供給防止という目的は一応達成できるが、この場合、ファン付きウェアの正常な動作時にもファンに供給される電力が抑えられてしまうことから、ファンによる送風量が減少し、ファン付きウェアの冷却機能が低下してしまう。
これに対し、本実施形態に係るファン付きウェア100によれば、このような冷却機能低下という弊害を伴うことなく、上記のような効果を得ることができる。
【0042】
また、本実施形態に係るファン付きウェア100によれば、第1ジャック33と第1接続ケーブル41を介して接続された第1ファン21に備えられたモータ211のインダクタンスをL1とした場合に、第1検出回路351が検出した電流I1が、L1に応じて定められた値、具体的にはI1=√(2×320×10^-6/L1)を超える場合に、第1制御回路352が第1ジャック33からの電流の出力を止め、第2ジャック34と第2接続ケーブル42を介して接続された第2ファン22に備えられたモータ221のインダクタンスをL2とした場合に、第2検出回路361が検出した電流I2が、L2に応じて定められた値、具体的にはI2=√(2×320×10^-6/L2)を超える場合に、第2制御回路362が第2ジャック34からの電流の出力を止める。
【0043】
従来の電源装置においては、過大な電流の供給を防止するための回路を備える場合においても、このような回路は、電源装置が備える制御基板が破損しない範囲で電流の出力を止めるための設定値を設けることから、必ずしも電源装置と接続されたファンに対する過大な電流の供給を防止することができるものではなかった。
【0044】
これに対して、本実施形態に係るファン付きウェア100によれば、第1制御回路352が第1ジャック33からの電流の出力を止めるための設定値が、第1ジャック33と第1接続ケーブル41を介して接続された第1ファン21に備えられたモータ211のインダクタンスに応じて定められ、第2制御回路362が第2ジャック34からの電流の出力を止めるための設定値が、第2ジャック34と第2接続ケーブル42を介して接続された第2ファン22に備えられたモータ221のインダクタンスに応じて定められることで、電流の出力先となる第1ファン21及び第2ファン22が備えるモータに応じて適切な設定値を定めることが可能となることから、この点によっても、電源装置3と接続された第1ファン21及び第2ファン22に対して、過大な電力が供給されることを防止し易くなる。
【0045】
[3 変形例]
次に、本実施形態に係るファン付きウェア100の変形例について説明する。
【0046】
[(1) 変形例1:電池の分離]
上記構成の説明においては、
図3に示すように電源装置3が電池32を備える場合について説明したが、これに代えて、
図4に示す電源装置3Aのように、電池32を備えず、外部に設けられた電池32から出力された電流の入力部としての第3ジャック38を備え、第3接続ケーブル43を介して第3ジャック38に入力された電流を、第1ジャック33及び第2ジャック34から出力するようにしてもよい。
【0047】
この場合、電源装置3Aが電池32を備えないことから、電池32が劣化した場合等において、電池32のみを交換し、その他の回路を再度利用することが容易となる。
【0048】
[(2) 変形例2:電流の出力を停止させるジャックの増加]
上記構成の説明においては、第1制御回路352は、第1検出回路351が検出した電流が設定値を超えた場合に第1ジャック33からの出力を止め、第2検出回路361が検出した電流が設定値を超え、第1検出回路351が検出した電流が設定値を超えない場合には第1ジャック33からの出力を止めず、第2制御回路362は、第2検出回路361が検出した電流が設定値を超えた場合に第2ジャック34からの出力を止め、第1検出回路351が検出した電流が設定値を超え、第2検出回路361が検出した電流が設定値を超えない場合には第2ジャック34からの出力を止めない場合について説明したが、これに代えて、いずれの検出回路で検出した電流が設定値を超えた場合にも、第1ジャック33及び第2ジャック34の両者からの出力を止めるようにしてもよい。
【0049】
すなわち、この場合、第1制御回路352は、第1検出回路351が検出した電流が第1検出回路351について定められた設定値(I1=√(2×320×10^-6/L1))を超えた場合に加え、第2検出回路361が検出した電流が第2検出回路361について定められた設定値(I2=√(2×320×10^-6/L2))を超えた場合にも第1ジャック33からの出力を止め、第2制御回路362は、第2検出回路361が検出した電流が第2検出回路361について定められた設定値(I2=√(2×320×10^-6/L2)を超えた場合に加え、第1検出回路351が検出した電流が第1検出回路351について定められた設定値(I1=√(2×320×10^-6/L1))を超えた場合にも第2ジャック34からの出力を止めることとなる。
【0050】
これによって、ファン付きウェア100に備えられる二つのファン(第1ファン21及び第2ファン22)の一方が故障した場合において、もう一方のファンに対して過大な電力が供給されることを防止することができると共に、故障したファンに対して電力が供給され続けることも防止することができる。
【0051】
[(3) 変形例3:ファンの追加]
上記構成の説明においては、ファン付きウェア100が第1ファン21及び第2ファン22の二つのファンを備え、第1ファン21に対して電源装置3の第1ジャック33から電力が供給され、第2ファン22に対して電源装置3の第2ジャック34から電力が供給される場合について説明したが、ファン付きウェア100に備えられるファンの数は二つに限られず、さらに多数のファンを備えるようにしてもよい。
【0052】
この場合、電源装置3について、ファン付きウェア100が備えるファンの数に応じたジャックを備えるようにした上で、それぞれのジャックについて別個に、出力される電流を検出する検出回路と、検出回路が検出した電流が設定値を超えた場合にジャックからの出力を止める制御回路と、を備えるようにし、各検出回路における設定値を、各ジャックからの電流の出力先となるファンに備えられたモータのインダクタンスに応じて定めればよい。
【0053】
[(4) 変形例4:送風装置付き物品の変更]
上記構成の説明においては、電源装置3が備えられる物品の一例として、ファン付きウェア100について説明したが、電源装置3が備えられる物品は、ファン付きウェア100には限られない。
【0054】
ファン付きウェア100以外の物品であっても、複数のファンを備え、複数のファンによって本体部内に空気が導入される物品であれば、電源装置3を使用することで、いずれかのファンが故障した場合において、他のファンに対して過大な電力が供給されることを防止することができ、電源装置3と接続されたファンに対して、過大な電力が供給されることを防止し易くなるという効果を同様に得ることができる。
【符号の説明】
【0055】
100 ファン付きウェア(送風装置付き物品)
1 ウェア本体(本体部)
21 第1ファン(送風装置)
22 第2ファン(送風装置)
3、3A 電源装置
31 筐体
32 電池(電流発生部)
33 第1ジャック(出力部、第1出力部)
34 第2ジャック(出力部、第2出力部)
35 第1回路
351 第1検出回路(第1検出部)
352 第1制御回路(第1制御部)
36 第2回路
361 第2検出回路(第2検出部)
362 第2制御回路(第2制御部)
37 マイクロコントローラ
38 第3ジャック(入力部)
41 第1接続ケーブル
42 第2接続ケーブル
43 第3接続ケーブル