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  • 特開-車両の後部構造 図1
  • 特開-車両の後部構造 図2
  • 特開-車両の後部構造 図3
  • 特開-車両の後部構造 図4
  • 特開-車両の後部構造 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024105981
(43)【公開日】2024-08-07
(54)【発明の名称】車両の後部構造
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/06 20060101AFI20240731BHJP
   B62D 25/08 20060101ALI20240731BHJP
   B62D 25/04 20060101ALI20240731BHJP
【FI】
B62D25/06 B
B62D25/08 K
B62D25/04 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023010011
(22)【出願日】2023-01-26
(71)【出願人】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002424
【氏名又は名称】ケー・ティー・アンド・エス弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】和田 宗助
(72)【発明者】
【氏名】秋竹 俊太郎
(72)【発明者】
【氏名】安武 嶺
【テーマコード(参考)】
3D203
【Fターム(参考)】
3D203AA02
3D203BB56
3D203BB59
3D203BB62
3D203BB64
3D203CA58
3D203DA36
(57)【要約】
【課題】車両の操縦安定性に寄与する車両の後部構造を提供する。
【解決手段】車両の後部開口構造は、車両の後部に配置されるリアゲート開口と、前記リアゲート開口の上部に配置され、車幅方向に延びる第1部材と、前記リアゲート開口の側部に配置され、上下方向に延びる第2部材と、前記第1部材と、前記第2部材を接続する第3部材と、を備える。前記第3部材は、前記開口に沿って前記車両の前後方向に延びる第1面と、前記第1面から前記車両の上下方向に延びる第2面と、を有し、前記第2面は、前記第2面の外縁を形成する第1稜線と、前記第1面と前記第2面の境界を形成する第2稜線と、前記第2稜線から分岐し、前記第1稜線に向かって延びる第3稜線と、を含む。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の後部に配置されるリアゲート開口と、
前記リアゲート開口の上部に配置され、車幅方向に延びる第1部材と、
前記リアゲート開口の側部に配置され、上下方向に延びる第2部材と、
前記第1部材と、前記第2部材を接続する第3部材と、
を備え、
前記第3部材は、前記リアゲート開口に沿って前記車両の前後方向に延びる第1面と、前記第1面から前記車両の上下方向に延びる第2面と、を有し、
前記第2面は、前記第2面の外縁を形成する第1稜線と、
前記第1面と前記第2面の境界を形成する第2稜線と、
前記第2稜線から分岐し、前記第1稜線に向かって延びる第3稜線と、
を含む、
車両の後部構造。
【請求項2】
前記第3稜線は、前記第3部材の上下方向に延びる部分の前記第2稜線から分岐し、前記第3部材の車幅方向に延びる部分または前記第1部材の車幅方向に延びる部分において、前記第1稜線と合流する、
請求項1に記載の車両の後部構造。
【請求項3】
前記車両のルーフの側部を支持する第4部材をさらに備え、
前記第4部材は、前記第3部材に接続される、
請求項1に記載の車両の後部構造。
【請求項4】
前記第4部材の上端は、前記第2面の前記第3稜線よりも上方に接合される、
請求項3に記載の車両の後部構造。
【請求項5】
前記第4部材の下端は、前記第2面の前記第3稜線よりも上方に接合される、
請求項3または4に記載の車両の後部構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両の後部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、テールゲートを有する車両の後部構造が知られている。特許文献1は、サイドボディーの縦壁からルーフメンバの縦壁に向けた2つの稜線が形成される車両の後部構造を開示している(特許文献1の図6参照)。特許文献1の車両の後部構造は、この2つの稜線の間隔が車両の上部に向かうほど広くなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許6880995号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は、車両の操縦安定性に寄与する車両の後部構造を開示していない。
【0005】
本開示の課題は、車両の操縦安定性に寄与する車両の後部構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る車両の後部構造は、車両の後部に配置されるリアゲート開口と、前記リアゲート開口の上部に配置され、車幅方向に延びる第1部材と、前記リアゲート開口の側部に配置され、上下方向に延びる第2部材と、前記第1部材と、前記第2部材を接続する第3部材と、を備える。前記第3部材は、前記開口に沿って前記車両の前後方向に延びる第1面と、前記第1面から前記車両の上下方向に延びる第2面と、を有し、前記第2面は、前記第2面の外縁を形成する第1稜線と、前記第1面と前記第2面の境界を形成する第2稜線と、前記第2稜線から分岐し、前記第1稜線に向かって延びる第3稜線と、を含む。
【0007】
この車両の後部構造によれば、第3稜線によって第1部材から第3部材にかかる応力が分散する。これによって、リアゲート開口周囲の剛性が向上するとともに、ボデー剛性が向上する。この結果、操縦安定性が向上する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、車両の操縦安定性に寄与する車両の後部構造を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】車両の後部構造を示す図。
図2】車両の後部構造の拡大図。
図3図2のA-A断面図。
図4図2のB-B断面図。
図5図2のC-C断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、車両1の進行方向を前、反対側を後ろ、車両1の進行方向に向かって右を右、反対側を左と明細書および図面に記す。また上下方向は、上、下、と明細書および図面に記す。また、左右方向は、車幅方向と記す場合もある。
【0011】
図1に示すように、車両1は、車両1の後部に配置されるリアゲート開口2と、リアルーフレール(第1部材の一例)4と、ゲートピラー(第2部材の一例)6と、コーナー部材(第3部材の一例)8と、コーナー部材8と接続されるルーフサイドピラー(第4部材の一例)10と、を備える。リアルーフレール4は、リアゲート開口2の上部に配置され、車幅方向に延びる。ゲートピラー6は、リアゲート開口2の左右の側部にそれぞれ配置され、上下方向に延びる。コーナー部材8は、上下方向および車幅方向に延びリアルーフレール4と、ゲートピラー6と、を接続する部材である。本実施形態の車両1は、ハッチバックタイプの自動車である。このようなハッチバックタイプの自動車は、リアゲート開口2に、図示しないリアゲートが取り付けられる。すなわち、リアゲート開口2は、リアゲートによって開閉される空間である。
【0012】
ゲートピラー6、コーナー部材8、およびルーフサイドピラー10は、サイドパネル12およびシャシー(図示なし)などに接合され、車両1のボデー部材の骨格として機能する。コーナー部材8およびルーフサイドピラー10は、図示しないルーフパネルが接合される。ルーフサイドピラー10は、このルーフパネルの左右の側部を支持する。
【0013】
図2に示すように、コーナー部材8は、前後方向に延びるフランジ面(第1面の一例)14と、フランジ面14から上下方向および車幅方向に延びる立壁(第2面の一例)16と、を有する。図2から図5に示すように、立壁16は、コーナー部材8の上部では、フランジ面14との前端から上下方向に延びる。立壁16は、コーナー部材8の側部では、フランジ面14の前端から車幅方向に延びる。フランジ面14は、リアルーフレール4およびゲートピラー6にも設けられ、コーナー部材8のフランジ面14がリアルーフレール4およびゲートピラー6のフランジ面14と連続的に形成される。
【0014】
立壁16は、立壁16の外縁を形成する第1稜線18と、フランジ面14と立壁16との境界を形成する第2稜線20と、コーナー部材8において第2稜線20から分岐し、第1稜線18に向かって延びる第3稜線22と、を含む。
【0015】
より具体的には、図3図4、および図5の仮想線に示すようにゲートピラー6、コーナー部材8、およびルーフサイドピラー10は、実際にはアウターパネル24を有する。図3および図4に示すようにフランジ面14は、後端にリアゲート開口2に沿って前後方向に延びるフランジ接合面14aを有し、フランジ接合面14aがアウターパネル24と接合される。
【0016】
図3に示すように、立壁16は、車両1の上部の前端に前後方向に延びる上部接合面16aを有し、車両1の上部において上部接合面16aがアウターパネル24と接合する。また、図5に示すように、立壁16は、車両1の側部の端部(左右方向端部)に前後方向に延びる側部接合面16bを有し、車両1の側部において側部接合面16bがアウターパネル24と接合する。このように、コーナー部材8とアウターパネル24とが接合することによって、コーナー部材8とアウターパネル24との間には空間を有する。なお、アウターパネル24は、車両1の上部においては、図示しないルーフパネルと接合され、車両1の側部においてはサイドパネル12と接合される。
【0017】
図2および図3に示すように、第1稜線18は、コーナー部材8の車両1の上部においては、上部接合面16aと立壁16との境界を形成することによって、上下方向に延びる立壁16の外縁を形成する。また、図2および図5に示すように、第1稜線18は、コーナー部材8の車両1の側部においては、側部接合面16bと立壁16との境界を形成することによって、左右方向に延びる立壁16の外縁を形成する。図2に示すように、第1稜線18は、ルーフサイドピラー10が立壁16に接合されるルーフサイドピラー接合部26を挟んで、左右方向および上下方向に延びる。
【0018】
図2から図5に示すように、第2稜線20は、リアゲート開口2に沿って上下方向および左右方向に延びることによって、フランジ面14と立壁16との境界を形成する。なお図2に示すように、フランジ面14と同様に、リアルーフレール4およびゲートピラー6にも立壁16が設けられ、コーナー部材8の立壁16がリアルーフレール4およびゲートピラー6の立壁16と連続的に形成される。したがって、第1稜線18および第2稜線20は、リアルーフレール4およびゲートピラー6にも形成される。このため、コーナー部材8の第1稜線18は、リアルーフレール4およびゲートピラー6の第1稜線18と接続される。さらに、コーナー部材8の第2稜線20は、リアルーフレール4およびゲートピラー6の第2稜線20と接続される。
【0019】
図2および図4に示すように、第3稜線22は、第2稜線20から分岐して上部接合面16aと立壁16との境界を形成する第1稜線18に合流する。より具体的には、第3稜線22は、コーナー部材8に形成される第2稜線20のうち、上下方向から車幅方向へ方向が切り替わるR部20aの始点付近(図2のS参照)よりも上方で分岐する。第3稜線22は、第2稜線20のR部22aが車幅方向に延びるR部終点付近(図2のF参照)よりも車幅方向内側において、第1稜線18と合流する。この付近では、第1稜線18が車幅方向(左右方向)に延びる。
【0020】
図4に示すように、このような第3稜線22とすることによって、立壁16が左右方向から上下方向に折れ曲がる位置において、立壁16の外側に位置する外側面16dと、外側面16dよりも上下方向下方および車幅方向内側に位置する内側面16eと、が形成される。また、内側面16eは、外側面16dよりも前後方向に傾斜した面となる。
【0021】
図1および図2に示すように、ルーフサイドピラー10は、ルーフサイドピラー接合部26によって立壁16に接合される。図2に示すように、ルーフサイドピラー接合部26は、第3稜線22よりも車両1の上方に接合される。より具体的には、本実施形態では、図4に示すように、ルーフサイドピラー10の上端10aおよびルーフサイドピラー10の下端10bの両方が、第3稜線22よりも上方で立壁16と接合される、すなわち、ルーフサイドピラー10は、立壁16のうち外側面16dに接合される。しかし、ルーフサイドピラー10は、第3稜線22を跨いで立壁16と接合されてもよい。
【0022】
このように構成された車両1の後部構造では、車両1が曲がる際は、ボデーが左右方向に捻じれる方向に荷重がかかる。ルーフサイドピラー10は、車両1のルーフパネル(図示なし)およびサイドパネル12と接合されるため、このような車両1の状態において上下方向、左右方向、および前後方向にかかる荷重を受ける。このとき、ルーフサイドピラー10がコーナー部材8を引っ張る、または押すことによって、コーナー部材8に荷重がかかる。
【0023】
しかし、本開示の車両1の後部構造によれば、外側面16dにかかる応力が第3稜線22を介して第1稜線18および第2稜線20に分散される。このため、コーナー部材8の剛性が向上する結果、リアルーフレール4およびゲートピラー6を含むリアゲート開口2周囲の剛性が向上する。これによって、ルーフサイドピラー10の動きを抑制され、ボデー全体の捻じれ剛性が向上する。この結果、車両1の操縦安定性が向上する。
【0024】
以上説明した通り、本開示によれば、車両1の操縦安定性に寄与する車両1の後部構造を提供することができる。
【0025】
<他の実施形態>
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の変形例は必要に応じて任意に組合せ可能である。
【0026】
上記実施形態では、第3稜線22がコーナー部材8の上部において第1稜線18と合流する例を用いて説明したが、本開示はこれに限定されるものではない。第3稜線22は、リアルーフレール4の第1稜線18と合流してもよい。
【符号の説明】
【0027】
1:車両,2:リアゲート開口
4:リアルーフレール(第1部材の一例),6:ゲートピラー(第2部材の一例)
8:コーナー部材(第3部材の一例),10:ルーフサイドピラー(第4部材の一例)
10a:上端,10b:下端
14:フランジ面(第1面の一例),16:立壁(第2面の一例)
18:第1稜線,20:第2稜線,22:第3稜線
図1
図2
図3
図4
図5