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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024105991
(43)【公開日】2024-08-07
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 45/47 20180101AFI20240731BHJP
   F21V 29/503 20150101ALI20240731BHJP
   F21S 43/20 20180101ALI20240731BHJP
   F21S 43/27 20180101ALI20240731BHJP
   F21W 103/55 20180101ALN20240731BHJP
   F21W 103/10 20180101ALN20240731BHJP
   F21W 103/20 20180101ALN20240731BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20240731BHJP
【FI】
F21S45/47
F21V29/503 100
F21S43/20
F21S43/27
F21W103:55
F21W103:10
F21W103:20
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023010024
(22)【出願日】2023-01-26
(71)【出願人】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100081433
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 章夫
(72)【発明者】
【氏名】藤澤 太郎
(72)【発明者】
【氏名】大塚 雄太
(72)【発明者】
【氏名】片岡 亮輔
(57)【要約】
【課題】ランプを構成する光源基板とヒートシンクをランプに組み付ける作業の簡略化を図り、コストの低減を図った車両用灯具を提供する。
【解決手段】光源(LED)41を搭載した光源基板4と、光源41の熱を放熱するヒートシンク5と、これら光源基板4とヒートシンク5が配設されるケース3を有する光源部1を備えた車両用灯具であり、ヒートシンク5とケース3は互いに係合してヒートシンク5をケース3に支持させる係合部(係合スリット36,係合フック37,係合片51,係合穴52)を備える。光源基板4はケース3とヒートシンク5との間に挟持された状態でケース3に支持される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源を搭載した光源基板と、当該光源の熱を放熱するヒートシンクと、これら光源基板とヒートシンクを配設するケースを有する光源部を備えた車両用灯具であって、前記ヒートシンクと前記ケースは互いに係合してヒートシンクをケースに支持させる係合部を備え、前記光源基板は前記ケースと前記ヒートシンクとの間に挟持された状態で当該ケースに支持されることを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記係合部は、ケースに設けられたケース側係合部と、ヒートシンクに設けられて前記ケース側係合部に係合されるシンク側係合部を備える請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記ケース側係合部と前記シンク側係合部の一方は係合スリット及び係合フックであり、他方はこれら係合スリット及び係合フックに係合される係合片及び係合穴である請求項2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記ケースは複数箇所に配設された支承リブを備え、前記光源基板は前記ケースに係合された前記ヒートシンクと前記支承リブとで当該光源基板の板厚方向に挟持される請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記ヒートシンクは前記光源基板に密接されるとともに、これら光源基板とヒートシンクとの間にシート状の伝熱部材が介在されている請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項6】
一端部に設けられた光入射面に入射された光を導光して光出射面から出射するインナーレンズを備え、当該インナーレンズの一端部は前記ケースに設けられたレンズ挿通穴に外部から内挿され、前記光源から出射された光が当該インナーレンズの光入射面に入射される請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項7】
前記ケース及び前記インナーレンズはランプハウジングを構成する部材に対してそれぞれ位置決めされた状態で支持されている請求項6に記載の車両用灯具。
【請求項8】
前記ケースは複数箇所に立設された位置決めピンを備え、前記光源基板は当該位置決めピンが内挿される位置決め穴を備え、これら位置決めピンと位置決め穴とで当該光源基板は前記ケースに対して面方向に位置決めされる請求項7に記載の車両用灯具。
【請求項9】
前記インナーレンズは前記ランプハウジングを構成する部材に支持されているエクステンションに対して位置決めされた状態で支持され、前記ケースは前記エクステンション若しくは当該エクステンションを支持する前記部材に対して位置決めされた状態で支持されている請求項7に記載の車両用灯具。
【請求項10】
自動車のPL,CL、DRLを含む表示ランプとして構成されている請求項1ないし9のいずれかに記載の車両用灯具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光源の放熱を行うヒートシンクを備えた車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
光源にLED(発光ダイオード)等の半導体発光素子を用いた車両用灯具が提供されている。このような灯具においては、光源の放熱性を高めることが好ましく、ヒートシンクを備えた灯具が提供されている。特許文献1には、発光素子を搭載した光源基板をヒートシンクに配置し、このヒートシンクをランプハウジングに結合させた灯具が提案されている。この灯具によれば、発光素子で発生した熱を光源基板からヒートシンクに伝熱させ、ヒートシンクからランプハウジングの外部に放熱させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-155221号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術は、発光素子を搭載した光源基板を予めヒートシンクに組み付けるためのサブアッセンブリ工程が必要であり、そのための作業と費用が無視できず、灯具の低コスト化の障害になる。また、光源基板を交換する等のメインテナンスに際しては、光源基板をヒートシンクから取外して再度組み付けるための作業も必要であり、この面でのコスト高も無視することができない。
【0005】
このような課題に対して、光源基板とヒートシンクを別体に構成しておき、ランプハウジングに組み付ける際に、光源基板とヒートシンクをネジ(スクリュー)等により一体的にランプハウジング固定することが考えられている。しかし、この手法では、組み付けに際してのネジの締結作業や、メインテナンス時におけるネジの締結・解除作業にかかわる工程が必要であり、この面における作業の煩雑さとコスト高を無視することができない。
【0006】
本発明の目的は、ランプを構成する光源基板やヒートシンクをランプに組み付ける作業の簡略化を図り、コストの低減に寄与することが可能な車両用灯具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の車両用灯具は、光源を搭載した光源基板と、光源の熱を放熱するヒートシンクと、これら光源基板とヒートシンクを配設するケースを有する光源部を備えた車両用灯具であり、ヒートシンクとケースは互いに係合してヒートシンクをケースに支持させる係合部を備え、光源基板はケースとヒートシンクとの間に挟持された状態で当該ケースに支持される。この係合部は、例えば、ケースに設けられたケース側係合部と、ヒートシンクに設けられてケース側係合部に係合されるシンク側係合部を備えている。これらケース側係合部とシンク側係合部の一方は係合スリット及び係合フックであり、他方はこれら係合スリット及び係合フックに係合される係合片及び係合穴である。
【0008】
本発明の好ましい形態は、ケースは複数箇所に配設された支承リブを備え、光源基板はケースに係合されたヒートシンクと支承リブとで光源基板の板厚方向に挟持される。また、好ましくは、ヒートシンクは光源基板に密接されるとともに、これら光源基板とヒートシンクとの間にシート状の伝熱部材が介在される。
【0009】
本発明の車両用灯具は、さらに、一端部に設けられた光入射面に入射された光を導光して光出射面から出射するインナーレンズを備えており、当該インナーレンズの一端部はケースに設けられたレンズ挿通穴に外部から内挿され、光源から出射された光が当該インナーレンズの光入射面に入射される構成とされる。
【0010】
この形態において、ケース及びインナーレンズはランプハウジングを構成する部材に対してそれぞれ位置決めされた状態で支持される。例えば、ケースは複数箇所に立設された位置決めピンを備え、光源基板は位置決めピンが内挿される位置決め穴を備え、これら位置決めピンと位置決め穴とで光源基板はケースに対して面方向に位置決めされる。また、インナーレンズはランプハウジングを構成する部材に支持されているエクステンションに対して位置決めされた状態で支持され、ケースはエクステンション若しくはエクステンションを支持する部材に対して位置決めされた状態で支持される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ヒートシンクをケースに対して係合させることによりヒートシンクの組み付けを行うことができ、ヒートシンクを組み付けたときには、光源基板はケースとヒートシンクとの間に挟持された状態でケースに支持されるので、光源基板とヒートシンクの組み付け作業の簡略化を図り、コストの低減に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態のフロントランプを装備した自動車の一部の正面図。
図2図1のフロントランプの概略の分解斜視図。
図3】表示ランプの一部の概略斜視図。
図4】光源部を後方から見た部分分解斜視図。
図5】光源基板を前方から見た概略斜視図。
図6】光源部の後面図。
図7図6のA-A線に沿う概略縦断面図。
図8】光源部の組み付けを説明する模式的な断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の車両用ランプを、自動車CARの車体の右前部に配設された複合型のフロントランプ(フロントコンビネーションランプ)FCLに適用した実施形態の概略正面図である。フロントランプFCLは車体に固定支持されるランプハウジング100内に、照明ランプLLと表示ランプDLと信号ランプSLが配設されている。以降の説明において、前後方向はフロントランプの前後方向であり、上下方向及び左右方向は図1における方向を基準としている。
【0014】
照明ランプLLは1つのランプユニットで構成されており、点灯されたときに白色光を出射し、所要のロービーム配光とハイビーム配光での光照明を行うヘッドランプとして構成されている。表示ランプDLは、照明ランプLLの上側位置において水平ライン状に延びる発光面を有するランプユニットとして構成されており、白色光で発光するDRL(デイタイムランニングランプ)として構成されている。あるいは、PL(ポジショニングランプ)、CL(クリアランスランプ)として構成されてもよい。信号ランプSLは車幅方向の外側寄りの位置に配設されており、アンバー色光で点滅発光するTSL(ターンシグナルランプ)として構成されている
【0015】
図2はフロントランプFCLの概略の分解斜視図である。ランプハウジング100は、車両の前方から側方に向けた部位が開口されたランプボディ101と、このランプボディ101の開口を塞ぐように取り付けられた透光性のアウターレンズ102を備えている。このアウターレンズ102はアウターカバーとも称されるが、無色の透光性樹脂等からなる、いわゆる素通しレンズとして構成されており、自動車CARの車体の右前部の湾曲形状に倣って湾曲された曲面に形成されている。このランプハウジング100内に前記した照明ランプLLと表示ランプDLと信号ランプSLが配設されるとともに、各ランプ間の隙間を覆い隠してフロントランプFCLの意匠性を高めるためのエクステンション110が配設されている。なお、照明ランプLL及び信号ランプSLについては、本発明との関連が少ないので詳細な説明は省略する。
【0016】
前記表示ランプDLは、光源部1と、この光源部1から出射された白色光を導光し、かつ発光面から出射するインナーレンズ2を備えている。インナーレンズ2は、略水平方向に延長された透明樹脂等からなる細長い光透過部材で形成されたライトガイド(導光体)で構成されており、その一端部21、この例では車幅方向の外側の端部が光源部1に連結されている。光源部1からの光は、インナーレンズ2の光入射面として構成されている一端部21の端面から入射される。入射された光はインナーレンズ2内を他端部に向けて導光され、フロントランプFCLの前方に向けられている発光面部22から出射され、表示ランプDLが点灯されるようになっている。
【0017】
図3は表示ランプDLの要部の概略斜視図である。光源部1はランプハウジング100に内装され、かつランプボディ101に固定支持されるサブボディ120に支持されている。また、このサブボディ120には前記エクステンション110が支持されている。エクステンション110には、照明ランプLLと信号ランプSLを露呈させるための窓112,113が開口されており、さらにその上縁に沿った左右方向に延びる部位にはインナーレンズ2が延設された状態で支持されている。この部位はインナーレンズ2の光を前方に向けて反射するリフレクタ111としても機能される。
【0018】
インナーレンズ2の一端部21は、前記サブボディ120に貫通された挿通孔121を貫通され、光源部1に光学的に連結されている。この一端部21を除く他の領域は図2に示した発光面部22として構成されており、特に点灯時における表示ランプDLの意匠性を高めるために、発光面部22は意匠効果のある形状、ここではテーパライン型に形成されている。この発光面部22の前面は点灯時に光を出射する光出射面として構成されており、必要に応じて出射する光を発散ないし拡散して所要の配光を得るための配光ステップ(レンズステップ)が形成される。また、この発光面部22の後面は、光反射面として所要の反射ステップ(レンズステップ)が形成され、あるいは光反射膜が形成される。
【0019】
図4は光源部1を後方から見た分解斜視図である。光源部1は、容器状をしたケース3と、このケース3内に配設される光源基板4と、この光源基板4をケース3に支持させるとともに光源基板4の放熱を行う板状のヒートシンク5を備えている。この光源部1においては、詳細を後述するように、ヒートシンク5をケース3に対して係合させることにより支持させており、支持させたときに光源基板4をケース3との間に挟持した状態でケース3に内装する構成がとられている。
【0020】
ケース3は、略L形をした面形状の底面部31と、この底面部31の周囲に沿って延長された側壁部32を有する容器状に形成されており、幾分の弾性変形が可能な樹脂等の部材により形成されている。ケース3は底面部31を前方に向けた状態でサブボディ120に固定支持されている。ここでは、ケース3の一部に設けられた支持片33を利用してネジ等の締結部材によりサブボディ120に固定されているが、他の手段で固定されてもよい。また、図示は省略するが、ケース3の外面の一部には位置決め片が形成されており、この位置決め片がエクステンション110又はサブボディ120の一部に係合されることにより、エクステンション110又はサブボディ120に対するケース3の位置決めがなされている。
【0021】
ケース3の底面部31の一部には略円形をしたレンズ挿通孔30が開口されており、ケース3がサブボディ120に支持されたときには、このレンズ挿通孔30はサブボディ120の挿通孔121に連通される。そして、このレンズ挿通孔30には、サブボディ120の挿通孔121を挿通されたインナーレンズ2の一端部21が内挿され、その端面、すなわち光入射面がケース3内に露呈される。
【0022】
また、ケース3の内部には、側壁部32の内面に沿った周方向の複数箇所に、底面部31を基準にして所要の高さをした複数の支承リブ34が形成されている。この支承リブ34の先端はケース3の開口縁に近接した位置とされている。また、底面部31の2箇所には支承リブ34よりも幾分高い位置まで突出された位置決めピン35が形成されている。この位置決めピン35は先端がケース3の開口縁に達する位置にまで突出されている。
【0023】
さらに、ケース3にはヒートシンク5をケース3に係合支持させるためのケース側係合部として、1つの係合スリット36と、2つの係合フック37が形成されている。係合スリット36は側壁部32の下縁に沿った1箇所に設けられて側壁部の厚み方向に貫通されたスリットとして構成されている。また、係合フック37は側壁部32の上縁に沿った2箇所に設けられてケース3の後方に向けて突出されたランス状(槍状)のフックとして構成されている。
【0024】
前記光源基板4は、は所要の回路パターンが形成された回路基板として構成されており、ケース3の開口に沿った外縁形状とされている。光源基板4の前面の所定位置には、図5に前方から見た概略斜視図を示すように、白色光を発光する2つのLED(発光ダイオード)41が、発光面を前方に向けた状態で搭載されている。この2つのLED41は、光源基板4がケース3に配設されたときに、両者が共にレンズ挿通孔30に対向される位置である。換言すれば、2つのLED41は、レンズ挿通孔30を挿通されたインナーレンズ2の一端部21の端面、すなわち光入射面に対向される位置である。
【0025】
また、光源基板4の2箇所には、ケース3の位置決めピン35に対応する箇所に位置決め穴42が開口されている。さらに、光源基板4の後面には、回路パターンに電気接続されたコネクタ43と電極端子44が配設されている。コネクタ43には図外の外部コネクタが接続可能であり、電極端子44には所定の電気コードが接続される。図示を省略したこれらの外部コネクタや電気コードは、自動車に設けられている図外の点灯回路や点灯制御回路に電気接続され、点灯時に所定の電力が光源基板4に供給されるようになっている。
【0026】
前記ヒートシンク5は伝熱性の高い板状部材、例えばアルミニウム板で形成されている。ヒートシンク5には、ケース3に係合支持させるためのシンク側係合部が設けられている。このシンク側係合部として、ヒートシンク5の下縁には、ケース3の係合スリット36に対応する位置に、下方に向けて舌片状の係合片51が突出形成されている。また、ヒートシンク5の上縁には、ケース3の2つの係合フック37にそれぞれ対応する位置に、細幅の矩形状をした2つの係合穴52が開口されている。係合片51は係合スリット36に内挿されることが可能であり、2つの係合穴52は係合フック37に係合されることが可能である。
【0027】
また、ヒートシンク5には、ケース3の位置決めピン35に対応する箇所に位置決め穴53が開口されている。さらに、ヒートシンク5には、光源基板4の後面に密接することができるように、光源基板4に設けられているコネクタ43と電極端子44にそれぞれ干渉することを防止するための逃げ窓54と切欠き55が設けられている。
【0028】
以上の構成の光源基板4とヒートシンク5はケース3の開口側から組み付けられる。図6は組み付けられた光源部1の後面図であり、図7図6のA-A線に沿った概略の縦断面図である。この光源部1の組み付けにおいては、図8に示すように、ケース3の開口側から光源基板4とヒートシンク5をこの順に組み付ける。先ず、開口を通してケース3に光源基板4が内装されると、光源基板4は、2箇所に設けられた位置決め穴42がケース3の位置決めピン35に挿通されることにより、ケース3に対する面方向の位置決めが行われる。また、光源基板4の前面は周縁部の複数箇所においてケース3の支承リブ34の端面に当接されることにより、ケース3の深さ方向の位置決めが行われる。これらの位置決めにより、光源基板4に搭載されているLED41はケース3のレンズ挿通穴30に対応する位置に設定され、インナーレンズ2の一端部21の端面に対向位置される。
【0029】
次いで、光源基板4の後面側からヒートシンク5をケース3の開口部位に組み付ける。このときには、先にヒートシンク5の下縁に設けた係合片51をケース3の係合スリット36に内挿する。この内挿した状態では、ヒートシンク5はこの係合片51を支点にして板厚方向に傾倒が可能である。その上で、ヒートシンク5が光源基板4の後面に当接するようにヒートシンク5をケース3に向けて傾倒させると、2箇所に設けた係合穴52がケース3の係合フック37に係合される。これにより、ヒートシンク5は係合片51と係合スリット36との係合、及び係合穴52と係合フック37との係合によって、ケース3に位置決めされた状態で支持される。また、この支持された状態では、ヒートシンク5は光源基板4を後面側からケース3に向けて押圧し、光源基板4をケース3の支承片34との間に板厚方向に挟持した状態で支持する。
【0030】
このようにヒートシンク5で光源基板4を後面側から押圧した状態で支持しているが、光源基板4の後面側に形成されている回路パターン等の導電部と金属材からなるヒートシンク5との短絡を防止するために、光源基板4の後面には絶縁性がありかつ伝熱性の高い伝熱シート6が介在される。この絶縁伝熱シート6は予め光源基板4の後面、あるいはヒートシンク5の前面に接着しておいてもよく、あるいは絶縁性の伝熱部材をシート状(膜状)に塗布してもよい。
【0031】
以上のように、この実施形態においては、光源部1の組み付けは、ケース3の開口を通して光源基板4を内装した上で、光源基板4に重ねるようにしてヒートシンク5をケース3に支持させる。このときには、ヒートシンク5の係合片51をケースの係合スリット36に内挿し、係合穴52をケース3の係合フック37に係合させる作業を行うだけで済む。したがって、光源基板4をヒートシンク5に予め搭載させておくためのサブアッセンブリの作業は不要であり、あるいはヒートシンク5や光源基板4をケース3に対してネジ止めするための作業も不要であり、極めて簡易に組み付けることができる。
【0032】
表示灯DLの点灯時には、光源部1では光源基板4に所定の電力が供給されることによりLED41が発光される。発光されたLED41の光は、図7において光路を模式的に示すように、LED41の発光面からインナーレンズ2の一端部21の光入射面に入射され、入射された光はインナーレンズ2の内部を車幅方向に導光される。そして、発光面部22において後面の反射ステップにより反射され、光出射面としての前面から出射され、発光面部22から自動車の前方ないし側方に向けて所要の配光で照射される。
【0033】
インナーレンズ2は、前記したようにエクステンション110の一部、すなわちリフレクタ111として構成されている部位に支持されているので、エクステンション110に対して位置決めされている。また、インナーレンズ2は、このエクステンション110を介してサブボディ120に対しても位置決めされることになり、さらにはこのサブボディ120に支持されている光源部1に対しても位置決めされることになる。すなわち、インナーレンズ2の一端部21の光入射面はケース3に対して位置決められていることになる。
【0034】
一方、光源部1においては、光源基板4は位置決めピン35によりケース3に対して平面方向に位置決めされており、したがって光源基板4に搭載されているLED41もケース3に対して位置決めされていることになる。したがって、インナーレンズ2の一端部21の光入射面は、光源基板4に搭載されているLED41に対して位置決めされることになる。これにより、LED41から出射される光は、インナーレンズ2の光入射面に対して好適な位置関係で入射されることになり、インナーレンズ2の発光面部22から出射される光の形態、すなわち表示ランプDLの配光特性を好適に制御することができる。
【0035】
LED41は発光により発熱するが、この熱は光源基板4に伝熱かつ拡散され、後面に配設されているヒートシンク5に伝熱され、このヒートシンク5から放熱される。光源基板4とヒートシンク5の間には伝熱シート6が介在されているので、光源基板4からヒートシンク5に対して高い効率で伝熱が行われ、放熱効果が高められる。
【0036】
本発明において、ケース3の係合スリット36及び係合フック37と、ヒートシンク5の係合片51と係合穴52からなるヒートシンク5の係合支持構造は、実施形態の構成に限られるものではない。例えば、ケース3とヒートシンク5の2箇所に係合スリットと係合片が設けられ、1箇所に係合フックと係合穴が設けられた構成とされてもよい。あるいは、スリットとフックがそれぞれ1箇所であってもよいし、実施形態と異なる個数の構成であってもよい。
【0037】
本発明におけるヒートシンクは、光源基板に密接ないし密接に近い状態で配設されるとともに、ケースとの間に挟持した状態で光源基板をケースに支持させることができる構成であれば、必ずしも板状に形成される必要はなく、放熱フィンを備えた構成のヒートシンクであってもよい。
【0038】
実施形態では、ライトガイドとして構成されているインナーレンズを備えるランプに適用しているが、本発明はケースに光源基板とヒートシンクを配設する構成の光源部を備えるランプであれば同様に適用できる。すなわち、実施形態に記載の表示ランプに限られるものではなく、照明ランプあるいは信号ランプの光源部としても適用できる。
【0039】
また、実施形態では、サブボディとエクステンションを備え、これらが別体に構成されているが、サブボディとエクステンションを一体化した構成であってもよく、あるいはサブボディを備えておらずランプボディやエクステンションに直接に光源部を支持させる構成のランプについても適用することができる。
【符号の説明】
【0040】
1 光源部
2 インナーレンズ
3 ケース
4 光源基板
5 ヒートシンク
6 伝熱シート
21 一端部(光入射面)
22 発光面部(光出射面)
30 レンズ挿通穴
34 支承リブ
35 位置決めピン
36 係合スリット(ケース側係合部)
37 係合フック(ケース側係合部)
41 LED(光源)
42 位置決め穴
51 係合片(シンク側係合部)
52 係合穴(シンク側係合部)
53 位置決め穴
100 ランプハウジング
101 ランプボディ
102 アウターレンズ
110 エクステンション
120 サブボディ
FCL フロントランプ
DL 表示ランプ
LL 照明ランプ
SL 信号ランプ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8