(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106000
(43)【公開日】2024-08-07
(54)【発明の名称】毛髪用の水中油型乳化物及び毛髪処理方法
(51)【国際特許分類】
A61K 8/06 20060101AFI20240731BHJP
A61K 8/64 20060101ALI20240731BHJP
A61K 8/92 20060101ALI20240731BHJP
A61Q 5/00 20060101ALI20240731BHJP
【FI】
A61K8/06
A61K8/64
A61K8/92
A61Q5/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023010033
(22)【出願日】2023-01-26
(71)【出願人】
【識別番号】592255176
【氏名又は名称】株式会社ミルボン
(72)【発明者】
【氏名】松本 尚人
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA121
4C083AB051
4C083AC011
4C083AC012
4C083AC071
4C083AC171
4C083AC241
4C083AC331
4C083AC641
4C083AC642
4C083AC691
4C083AC692
4C083AD151
4C083AD152
4C083AD162
4C083AD172
4C083AD411
4C083AD422
4C083AD432
4C083AD441
4C083AD442
4C083AD452
4C083BB06
4C083BB13
4C083CC31
4C083DD33
4C083EE01
4C083EE03
(57)【要約】
【課題】
液状油を高配合させた場合においても、乳化安定性を向上させた毛髪用の水中油型乳化物の提供、及び、当該水中油型乳化物を用いた毛髪処理方法を目的とする。
【解決手段】
加水分解タンパク質及び/又はその誘導体、カチオン界面活性剤、水、並びに、液状油が配合されており、前記液状油の配合量が40質量%以上である、毛髪用の水中油型乳化物、及び、当該水中油型乳化物を用いた毛髪処理方法。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加水分解タンパク質及び/又はその誘導体、カチオン界面活性剤、水、並びに、液状油が配合されており、
前記液状油の配合量が40質量%以上である、毛髪用の水中油型乳化物。
【請求項2】
レオメーターを用いて下記測定条件で測定した貯蔵弾性率G’と損失弾性率G’’の差(G’-G’’)が、応力(τ)が0.3Paのときに、正の値となる請求項1に記載の水中油型乳化物。
<測定条件>
測定方法:応力依存動的粘弾性測定
センサー:直径35mm、傾斜角2°のコーンプレートセンサー
温度 :25℃
周波数 :1Hz
応力範囲:0.1Pa~1000Pa
【請求項3】
前記加水分解タンパク質及び/又はその誘導体が、加水分解タンパク質、加水分解タンパク質のカチオン化物、加水分解タンパク質のアシル化物、及び加水分解タンパク質のシリル化物から選ばれる1種又は2種以上である、請求項1又は請求項2に記載の水中油型乳化物。
【請求項4】
前記加水分解タンパク質及び/又はその誘導体が、加水分解ケラチン及び/又はその誘導体である、請求項1又は請求項2に記載の水中油型乳化物。
【請求項5】
前記カチオン界面活性剤が、モノ長鎖を有する4級アンモニウム塩及び/又は脂肪酸アミドアミンである、請求項1又は請求項2に記載の水中油型乳化物。
【請求項6】
前記液状油が、液状シリコーン油、液状炭化水素、液状エステル油、液状エーテル油、液状油脂、液状ロウ、液状高級アルコール、及び液状脂肪酸から選ばれる1種又は2種以上である、請求項1又は請求項2に記載の水中油型乳化物。
【請求項7】
請求項1又は請求項2に記載の水中油型乳化物を用いた毛髪処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪用の水中油型乳化物、及び当該水中油型乳化物を用いた毛髪処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
毛髪用の水中油型乳化物は、目的に応じて各種の成分が配合されたものが提供されている。
【0003】
下記特許文献1には、カチオン化セルロースと、ヒアルロン酸、アセチルヒアルロン酸又はそれらの塩と、炭素数5以下のアルコールとが配合され、粘度が1000mPa・s以上の毛髪処理剤として用いることができる水中油型乳化物により、低温環境下に置いても油相分離が抑えられるといった技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これまでの毛髪用の水中油型乳化物は、乳化状態を安定にするため、液状油の配合量が少ないものが比較的多く提供されている(特許文献1の実施例参照)。
【0006】
液状油は、毛髪上に伸び広がり易く、毛髪への油性感の付与に優れるものである。しかしながら、水中油型乳化物において液状油を高配合させようとすると、乳化状態が不安定となり、水中油型乳化物の状態とならないことや、水中油型乳化物をしばらく静置すると経時的に水と液状油とが分離することがあった。
【0007】
そのため、液状油が高配合された毛髪用の水中油型乳化物において、乳化安定性を向上させることが要望されている。
【0008】
本発明の目的は、液状油を高配合させた場合においても、乳化安定性を向上させた毛髪用の水中油型乳化物の提供である。また、本発明の別の目的は、当該水中油型乳化物を用いた毛髪処理方法の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記目的に基づき鋭意検討したところ、水と、液状油が40質量%以上の量で配合された毛髪用の水中油型乳化物に、加水分解タンパク質及び/又はその誘導体、並びにカチオン界面活性剤を組み合わせて配合させることにより、水中油型乳化物の乳化安定性を向上できることを見出した。また、本発明者は、上記毛髪用の水中油型乳化物を用いた毛髪処理が可能となることを見出した。
【0010】
本発明は、以下の発明を含む。
【0011】
[1]の水中油型乳化物は、加水分解タンパク質及び/又はその誘導体、カチオン界面活性剤、水、並びに、液状油が配合されており、前記液状油の配合量が40質量%以上である、毛髪用の水中油型乳化物である。
【0012】
[2]の水中油型乳化物は、[1]の水中油型乳化物であって、レオメーターを用いて下記測定条件で測定した貯蔵弾性率G’と損失弾性率G’’の差(G’-G’’)が、応力(τ)が0.3Paのときに、正の値となるものである。
<測定条件>
測定方法:応力依存動的粘弾性測定
センサー:直径35mm、傾斜角2°のコーンプレートセンサー
温度 :25℃
周波数 :1Hz
応力範囲:0.1Pa~1000Pa
【0013】
[3]の水中油型乳化物は、[1]又は[2]の水中油型乳化物であって、前記加水分解タンパク質及び/又はその誘導体が、加水分解タンパク質、加水分解タンパク質のカチオン化物、加水分解タンパク質のアシル化物、及び加水分解タンパク質のシリル化物から選ばれる1種又は2種以上である。
【0014】
[4]の水中油型乳化物は、[1]~[3]から選ばれるいずれか1つの水中油型乳化物であって、前記加水分解タンパク質及び/又はその誘導体が、加水分解ケラチン及び/又はその誘導体である。
【0015】
[5]の水中油型乳化物は、[1]~[4]から選ばれるいずれか1つの水中油型乳化物であって、前記カチオン界面活性剤が、モノ長鎖を有する4級アンモニウム塩及び/又は脂肪酸アミドアミンである。
【0016】
[6]の水中油型乳化物は、[1]~[5]から選ばれるいずれか1つの水中油型乳化物であって、前記液状油が、液状シリコーン油、液状炭化水素、液状エステル油、液状エーテル油、液状油脂、液状ロウ、液状高級アルコール、及び液状脂肪酸から選ばれる1種又は2種以上である。
【0017】
[7]の毛髪処理方法は、[1]~[6]から選ばれるいずれか1つの水中油型乳化物を用いた毛髪処理方法である。
【発明の効果】
【0018】
本発明の水中油型乳化物によれば、液状油を高配合させた場合においても、乳化安定性を向上させた毛髪用の水中油型乳化物が提供できる。また、本発明の毛髪処理方法によれば、当該水中油型乳化物を用いた毛髪処理方法が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】実施例1、比較例1、2の水中油型乳化物を水平な机上に静置した後の外観を撮影した写真(静置直後及び静置2時間後)。
【
図2】実施例2、比較例3、4の水中油型乳化物を水平な机上に静置した後の外観を撮影した写真(静置直後及び静置2時間後)。
【
図3】実施例3、比較例5、6の水中油型乳化物を水平な机上に静置した後の外観を撮影した写真(静置直後及び静置2時間後)。
【
図4】実施例1、比較例7~9の水中油型乳化物を水平な机上に静置した後の外観を撮影した写真(静置直後及び静置2時間後)。
【
図5】実施例1、4~6の水中油型乳化物を水平な机上に静置した後の外観を撮影した写真(静置直後及び静置2時間後)。
【
図6】実施例1、7、8の水中油型乳化物を水平な机上に静置した後の外観を撮影した写真(静置直後及び静置2時間後)。
【
図7】実施例9~11の水中油型乳化物を水平な机上に静置した後の外観を撮影した写真(静置直後及び静置2時間後)。
【
図8】実施例12~14の水中油型乳化物を水平な机上に静置した後の外観を撮影した写真(静置直後及び静置2時間後)。
【
図9】実施例15~18の水中油型乳化物を水平な机上に静置した後の外観を撮影した写真(静置直後及び静置2時間後)。
【
図10】実施例19~21の水中油型乳化物を水平な机上に静置した後の外観を撮影した写真(静置直後及び静置2時間後)。
【
図11】実施例22~24の水中油型乳化物を水平な机上に静置した後の外観を撮影した写真(静置直後及び静置2時間後)。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施形態(以下、本実施形態という)に基づき、本発明を以下に説明する。
【0021】
<水中油型乳化物>
本実施形態の水中油型乳化物は、加水分解タンパク質及び/又はその誘導体、カチオン界面活性剤、水、並びに、液状油が配合されており、前記液状油の配合量が40質量%以上であり、毛髪用の水中油型乳化物である。本実施形態の水中油型乳化物は、液状油を40質量%以上の量で高配合された水中油型乳化物を製造する場合であっても、加水分解タンパク質及び/又はその誘導体と、カチオン界面活性剤とを組み合わせて配合させることにより、水中油型乳化物の乳化安定性を向上できる。
【0022】
本実施形態の水中油型乳化物において、「乳化安定性が向上する」とは、比較対象となる水中油型乳化物と比べて、外観上、水中油型乳化物の製造直後に分離が見られず、且つ、水中油型乳化物を水平な机上に静置してから一定時間経過後に、油吐き若しくは分離が見られないか、又は、油吐き若しくは分離の程度が少ないことをいう。なお、油吐きとは、机上に静置した水中油型乳化物において、一定時間経過後に水中油型乳化物から液状油が排出されることをいう。
【0023】
(水中油型乳化物)
本実施形態の水中油型乳化物において、「水中油型乳化物」とは、外相となる水相の中に油滴が分散した組成物である。
【0024】
なお、本実施形態の水中油型乳化物における乳化粒子の体積平均粒子径は特に限定されないが、例えば、0.1μm以上1000μm以下であってもよく、0.5μm以上300μm以下であってもよい。上記体積平均粒子径は、レーザー回折・散乱法により測定可能な機器(例えば、日機装社製の測定装置「Microtrac MT3000」など)を用いて、レーザー回折・散乱法により測定することができる。
【0025】
(加水分解タンパク質及び/又はその誘導体)
本実施形態の水中油型乳化物は、加水分解タンパク質及び/又はその誘導体が1種又は2種以上配合されたものである。本実施形態の水中油型乳化物は、加水分解タンパク質及び/又はその誘導体と、カチオン界面活性剤とを組み合わせて配合されたものとすることにより、それぞれ単独で配合された場合に比べて、水中油型乳化物の乳化安定性を向上できる。なお、「及び/又は」とは、いずれか一方又は両方であることを指す(以下、同様の意味で用いる)。
【0026】
上記加水分解タンパク質とは、タンパク質が加水分解されたものである。なお、加水分解タンパク質は、タンパク質を常法により加水分解して得たものを用いてもよく、市販品を用いてもよい。
【0027】
上記加水分解タンパク質の誘導体とは、加水分解タンパク質に置換基(例えば、カチオン基、アシル基、シリル基など)が付加されたものである。なお、加水分解タンパク質の誘導体は、加水分解タンパク質に対して常法により置換基を付加して得たものを用いてもよく、市販品を用いてもよい。
【0028】
上記加水分解タンパク質の誘導体としては、例えば、加水分解タンパク質のカチオン化物、加水分解タンパク質のアシル化物、加水分解タンパク質のシリル化物が挙げられる。
【0029】
本実施形態の水中油型乳化物に配合される加水分解タンパク質及び/又はその誘導体としては、乳化安定性がより向上する観点から、少なくとも、加水分解タンパク質、加水分解タンパク質のカチオン化物、及び、加水分解タンパク質のシリル化物から選ばれる1種又は2種以上が配合されたものが好ましい。
【0030】
加水分解タンパク質/又はその誘導体におけるタンパク質の由来としては、公知のタンパク質であればよく、例えば、ケラチン、コラーゲン、シルク、ダイズタンパク質などが挙げられる。なお、本実施形態の水中油型乳化物に配合される加水分解タンパク質及び/又はその誘導体におけるタンパク質の由来としては、毛髪に用いた後にハリコシのある手触りを付与できる観点から、ケラチンが好ましい。
【0031】
本実施形態の水中油型乳化物は、上記加水分解タンパク質及び/又はその誘導体として、例えば、加水分解ケラチン又はその誘導体、加水分解コラーゲン又はその誘導体、加水分解シルク又はその誘導体、並びに加水分解ダイズタンパク質又はその誘導体から選ばれる1種又は2種以上が配合されたものとすることができる。
なお、本実施形態の水中油型乳化物には、毛髪に用いた後にハリコシのある手触りを付与できる観点から、加水分解タンパク質及び/又はその誘導体として、少なくとも、加水分解ケラチン又はその誘導体が配合されたものが好ましい。
【0032】
上記加水分解タンパク質及び/又はその誘導体における加水分解タンパク質の数平均分子量は、特に限定されず、例えば、300以上であるが、乳化状態の経時的変化が生じるのをより少なく抑える観点から、1000以上が好ましく、2000以上がより好ましく、4000以上がさらに好ましく、10000以上が特に好ましい。
また、上記加水分解タンパク質及び/又はその誘導体における加水分解タンパク質の数平均分子量は、例えば、50000以下である。
【0033】
上記加水分解タンパク質及びその誘導体における加水分解タンパク質の数平均分子量の範囲としては、例えば、300以上50000以下であるが、加水分解タンパク質及びその誘導体における加水分解タンパク質の数平均分子量について上述した観点から、1000以上50000以下が好ましく、2000以上50000以下がより好ましく、4000以上50000以下がさらに好ましく、10000以上50000以下が特に好ましい。
【0034】
上記の数平均分子量は、加水分解タンパク質又はその誘導体を構成するペプチドの総窒素量と末端のアミノ酸窒素量の比から求めるアミノ酸末端基定量法に基づいて、下記式により算出できる。
数平均分子量=(((アミノ酸の平均分子量-18)×総窒素量)/アミノ態窒素量)+18
【0035】
上記加水分解タンパク質としては、例えば、加水分解ケラチン、加水分解コラーゲン、加水分解シルク、加水分解ダイズタンパク、加水分解アーモンドタンパク、加水分解エンドウタンパク、加水分解カゼイン、加水分解カラスムギタンパク、加水分解酵母タンパク、加水分解コメタンパク、加水分解コンキオリン、加水分解シロバナルーピンタンパク、加水分解トウモロコシタンパク、加水分解乳タンパク、加水分解ハチミツタンパク、加水分解ヘーゼルナッツタンパク、加水分解ホホバタンパク、加水分解野菜タンパク、加水分解ローヤルゼリータンパクなどが挙げられる(例示の成分名は、いずれも化粧品表示名称)。
【0036】
上記加水分解タンパク質のカチオン化物としては、例えば、ヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解ケラチン、ヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解コラーゲン、ヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解シルク、ヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解カゼイン、ヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解ダイズタンパク、クオタニウム-76加水分解コラーゲン、クオタニウム-79加水分解シルク、コカミドプロピルジメチルアミノヒドロキシプロピル加水分解コラーゲン、セテアラミドエチルジエトニウム加水分解ケラチン、セテアラミドエチルジエトニウムイソステアロイル加水分解シルクなどが挙げられる(例示の成分名は、いずれも化粧品表示名称)。
【0037】
上記加水分解タンパク質のアシル化物としては、ウンデシレノイル加水分解コラーゲンK、ラウロイル加水分解シルクNa、ラウロイル加水分解ダイズタンパクK、ラウロイル加水分解エンドウタンパクK、ミリストイル加水分解コラーゲン、ミリストイル加水分解コラーゲンK、ココイル加水分解ケラチン、ココイル加水分解ケラチンK、オレオイル加水分解コラーゲン、ステアロイル加水分解コラーゲンK、ステアロイル加水分解コラーゲンNa、イソステアロイル加水分解ケラチン、イソステアロイル加水分解シルク、イソステアロイル加水分解シルクAMP、イソステアロイル加水分解コラーゲン、イソステアロイル加水分解コラーゲンAMP、イソステアロイル加水分解コラーゲンAMPDなどが挙げられる(例示の成分名は、いずれも化粧品表示名称)。
【0038】
上記シリル化加水分解タンパク質としては、例えば、加水分解ケラチンPGプロピルシラントリオール、加水分解コラーゲンPGプロピルメチルシランジオール、(加水分解シルク/PGプロピルメチルシランジオール)クロスポリマー、(ジヒドロキシメチルシリルプロポキシ)ヒドロキシプロピル加水分解ケラチン、(ジヒドロキシメチルシリルプロポキシ)ヒドロキシプロピル加水分解シルク、(ジヒドロキシメチルシリルプロポキシ)ヒドロキシプロピル加水分解ダイズタンパクなどが挙げられる(例示の成分名は、いずれも化粧品表示名称)。
【0039】
上記加水分解タンパク質のエチルエステル化物としては、加水分解ケラチンエチル、加水分解コラーゲンエチル、加水分解シルクエチルなどが挙げられる(例示の成分名は、いずれも化粧品表示名称)。
【0040】
加水分解タンパク質を含有する市販品の例としては、成和化成社製の「プロモイス WK」、「プロモイス WK-H」、「プロモイス WK-GB」、「プロモイス KR-30」、一丸ファルコス社製の「プロティキュート Hガンマ」、クローダジャパン社製の「PROSINA」などの加水分解ケラチン含有品;成和化成社製の「プロモイス W-52USP」、一丸ファルコス社製の「スプリジェン500i(PF)」などの加水分解コラーゲン含有品;成和化成社製の「プロモイス SERICIN-N」、「プロモイス シルク-700SP」、一丸ファルコス社製の「シルクゲンGソルブル」、「シルクゲンGソルブル KE」、クローダジャパン社製の「CROSILK 10000」などの加水分解シルク含有品;成和化成社製の「プロモイス ミルク、プロモイス ミルク-P」などの加水分解カゼイン含有品;成和化成社製の「プロモイス WS-H」、一丸ファルコス社製の「シコニックスリキッド AB(N)」などの加水分解ダイズタンパク含有品;などが挙げられる。
【0041】
加水分解タンパク質の誘導体を含有する市販品の例としては、成和化成社製の「プロモイス WK-Q」、「プロモイス WK-HQ」、一丸ファルコス社製の「プロティキュート Cアルファ」、「プロティキュート Cガンマ」などのヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解ケラチン含有品;成和化成社製の「プロモイス WK-HCAQ-NA」などのココジモニウムヒドロキシプロピル加水分解ケラチン含有品;Active Concepts社製の「20597PF AC FOAMING COLLAGEN PF」などのココイル加水分解コラーゲンK含有品;成和化成社製の「プロモイス EFLS」などのラウロイル加水分解シルクNa含有品;成和化成社製の「プロモイス WK-HSIGF」などの(ジヒドロキシメチルシリルプロポキシ)ヒドロキシプロピル加水分解ケラチン含有品;成和化成社製の「プロモイス S-700SIGF」などの(ジヒドロキシメチルシリルプロポキシ)ヒドロキシプロピル加水分解シルク含有品;成和化成社製の「プロモイス シルク-A」などの加水分解シルクエチル含有品;などが挙げられる。
【0042】
本実施形態の水中油型乳化物に配合される加水分解タンパク質及びその誘導体の配合量は、特に限定されず、適宜設定すればよい。なお、「加水分解タンパク質及びその誘導体の配合量」とは、本実施形態の水中油型乳化物に加水分解タンパク質及び/又はその誘導体として、加水分解タンパク質又はその誘導体のいずれか一方が配合された場合は、その一方の配合量であり、加水分解タンパク質及びその誘導体の両方が配合された場合は、その両方の配合量の合計を指す(以下の記載においても同様の意味で用いる)。
【0043】
本実施形態の水中油型乳化物に配合される加水分解タンパク質及びその誘導体の配合量としては、例えば、0.01質量%以上であるが、乳化状態の経時的変化が生じるのをより少なく抑える観点から、0.1質量%以上が好ましく、0.2質量%以上がより好ましく、0.3質量%以上がさらに好ましい。
また、本実施形態の水中油型乳化物における加水分解タンパク質及びその誘導体の配合量としては、例えば、10質量%以下であるが、低コスト化の観点から、5質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましく、1質量%以下がさらに好ましい。
【0044】
本実施形態の水中油型乳化物における加水分解タンパク質及びその誘導体の範囲としては、例えば、0.01質量%以上10質量%以下であるが、加水分解タンパク質及びその誘導体の配合量について上述した観点から、0.1質量%以上5質量%以下が好ましく、0.2質量%以上3質量%以下がより好ましく、0.3質量%以上1質量%以下がさらに好ましい。
【0045】
(カチオン界面活性剤)
本実施形態の水中油型乳化物は、カチオン界面活性剤が1種又は2種以上配合されたものである。本実施形態の水中油型乳化物は、カチオン界面活性剤と、加水分解タンパク及び/又はその誘導体とを組み合わせて配合されたものとすることにより、それぞれ単独で配合された場合に比べて、水中油型乳化物の乳化安定性を向上できる。
【0046】
上記カチオン界面活性剤としては、例えば、モノ長鎖を有する4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム型4級アンモニウム、アルコキシアルキルトリメチルアンモニウム塩、エチレンオキサイド(E.O.)付加型の第4級アンモニウム塩、脂肪酸アミドアミン、アルキルアミンなどが挙げられる。なお、上記「モノ長鎖を有する4級アンモニウム塩」とは、炭素数が8以上である炭化水素基又はヒドロキシ炭化水素基(該炭化水素基又はヒドロキシ炭化水素基は、アミド基若しくはエステル基を有していてもよく、直鎖状又は分枝状であってもよく、飽和又は不飽和であってもよい)を1つ有する4級アンモニウム塩を意味する。前記モノ長鎖を有する4級アンモニウム塩における炭化水素基は、炭素数が16以上28以下であると皮膚刺激を低減できる観点から好ましい。
【0047】
本実施形態の水中油型乳化物は、毛髪により優れた滑らかさを付与できる観点から、カチオン界面活性剤として、モノ長鎖を有する4級アンモニウム塩及び/又は脂肪酸アミドアミンから選ばれるカチオン界面活性剤が配合されたものが好ましい。
【0048】
上記モノ長鎖を有する4級アンモニウム塩としては、例えば、下記一般式(1)で表される4級アンモニウム塩が挙げられる。
【化1】
[上記一般式(1)において、R
1、R
2、R
3、R
4、及びXは、以下の通りである。R
1は、炭素数8以上28以下(炭素数16以上22以下でもよい。)のアミド基(-CONH-)若しくはエステル基(-COO-)を有していてもよい炭化水素基又はヒドロキシ炭化水素基を表す。このR
1の炭化水素基又はヒドロキシ炭化水素基は、飽和又は不飽和であってもよく、また、直鎖状又は分岐鎖状であってもよい。R
2、R
3、及びR
4は、炭素数3以下(炭素数2以下でもよい。)の炭化水素基又はヒドロキシ炭化水素基を表す。このR
2、R
3、及びR
4の炭化水素基又はヒドロキシ炭化水素基は、いずれも直鎖状又は分岐鎖状のものである。なお、R
2、R
3、及びR
4は、同じであってもよく、異なっていても良い。Xは、ハロゲン原子(例えば、塩素、臭素など)、メチル硫酸、エチル硫酸、又はサッカリンを表す。]
【0049】
上記一般式(1)で表される4級アンモニウム塩としては、例えば、ラウリルトリモニウムクロリド、ヒドロキシエチルラウルジモニウムクロリド、ラウルトリモニウムブロミド、ミルトリモニウムブロミド、セトリモニウムクロリド、セトリモニウムブロミド、セトリモニウムサッカリン、セトリモニウムメトサルフェート、ステアルトリモニウムクロリド、ステアルトリモニウムブロミド、ステアルトリモニウムメトサルフェート、ステアリルトリモニウムサッカリン、ココトリモニウムクロリド、ココトリモニウムメト硫酸、水添パームトリモニウムクロリド、ソイトリモニウムクロリド、セテアルトリモニウムクロリド、ヒドロキシエチルオレイルジモニウムクロリド、ベヘントリモニウムクロリド、ベヘントリモニウムメトサルフェート、オクタコサトリモニウムクロリド、アルキル(C28)トリモニウムクロリド、ベヘナミドプロピルトリモニウムメトサルフェート、ウンデシレンアミドプロピルトリモニウムメトサルフェート、リシノレアミドプロピルトリモニウムメトサルフェート、シア脂アミドプロピルトリモニウムクロリド、ベヘノイルPGトリモニウムクロリドなどが挙げられる(例示の成分名は、いずれも化粧品表示名称)。
【0050】
なお、上記モノ長鎖を有する4級アンモニウム塩としては、例えば、モノアルキルトリメチルアンモニウム塩を用いることができる。
【0051】
上記ベンザルコニウム型4級アンモニウムとしては、例えば、ベンザルコニウムクロリド、ステアラルコニウムクロリドなどが挙げられる。
上記アルコキシアルキルトリメチルアンモニウム塩としては、例えば、ステアロキシプロピルトリモニウムクロリド、ステアリルPGトリモニウムクロリド、ベヘニルPGトリモニウムクロリドなどが挙げられる。
上記エチレンオキサイド(E.O.)付加型の第4級アンモニウム塩としては、例えば、PEG-2オレアンモニウムクロリド、PEG-5ステアリルアンモニウムクロリド、PEG-5ステアリルメチルアンモニウムクロリド、ジヒドロキシプロピルPEG-5リノールアンモニウムクロリドなどが挙げられる。
なお、上記に例示した成分名は、いずれも化粧品表示名称である。
【0052】
上記脂肪酸アミドアミンとしては、例えば、下記一般式(2)で表される脂肪酸アミドアミンが挙げられる。
R5-CONH-(CH)n-NR6R7 (2)
[上記一般式(2)において、R5、n、R6、及びR7は、以下の通りである。R5は、炭素数11以上25以下(炭素数15以上21以下でもよい。)の炭化水素基又はヒドロキシ炭化水素基を表す。このR5の炭化水素基又はヒドロキシ炭化水素基は、飽和又は不飽和であってもよく、また、直鎖状又は分岐鎖状であってもよい。nは、1以上4以下(2以上3以下でもよい。)の整数を表す。R6、R7は、炭素数3以下(炭素数2以下でもよい。)のアルキル基又はヒドロキシアルキル基を表す。このR6、R7のアルキル基又はヒドロキシアルキル基は、直鎖状又は分岐鎖状のものである。なお、R6、R7は、同じであってもよく、異なっていても良い。]
【0053】
上記一般式(2)で表される脂肪酸アミドアミンとしては、例えば、コカミドプロピルジメチルアミン、ステアラミドプロピルジメチルアミン、イソステアラミドプロピルジメチルアミン、ベヘナミドプロピルジメチルアミン、リシノレアミドプロピルジメチルアミン、ブラシカアミドプロピルジメチルアミン、ステアラミドエチルジエチルアミン、ベヘナミドエチルジエチルアミンなどが挙げられる(例示の成分名は、いずれも化粧品表示名称)。
【0054】
上記アルキルアミンとしては、例えば、ステアロキシプロピルジメチルアミン、ステアリルPGジメチルアミン、PEG-5オレアミン、PEG-2ソイアミン、PEG-15ソイアミンなどが挙げられる(例示の成分名は、いずれも化粧品表示名称)。
【0055】
本実施形態の水中油型乳化物に配合されるカチオン界面活性剤の配合量は、特に限定されず、適宜設定すればよい。
【0056】
本実施形態の水中油型乳化物におけるカチオン界面活性剤の配合量としては、例えば、0.01質量%以上であるが、乳化状態の経時的変化が生じるのをより少なく抑える観点から、0.1質量%以上が好ましく、0.2質量%以上がより好ましく、0.3質量%以上がさらに好ましい。
また、本実施形態の水中油型乳化物におけるカチオン界面活性剤の配合量としては、例えば、10質量%以下であるが、皮膚刺激が生じるおそれを低減させる観点から、5質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましく、1質量%以下がさらに好ましい。
【0057】
本実施形態の水中油型乳化物におけるカチオン界面活性剤の配合量の範囲としては、例えば、0.01質量%以上10質量%以下であるが、カチオン界面活性剤の配合量について上述した観点から、0.1質量%以上5質量%以下が好ましく、0.2質量%以上3質量%以下がより好ましく、0.3質量%以上1質量%以下がさらに好ましい。
【0058】
(加水分解タンパク質及びその誘導体の配合量に対するカチオン界面活性剤の配合量の質量比)
本実施形態の水中油型乳化物は、加水分解タンパク質及びその誘導体の配合量に対するカチオン界面活性剤の配合量の質量比([カチオン界面活性剤の配合量/加水分解タンパク質及びその誘導体の配合量]比)として、例えば、1以上3以下であるが、乳化状態の経時的変化が生じるのをより少なく抑える観点から、1.2以上2.5以下が好ましく、1.5以上2以下がより好ましい。
【0059】
(液状油)
本実施形態の水中油型乳化物は、1種又は2種以上の液状油が配合されており、当該液状油の配合量が40質量%以上である。本実施形態の水中油型乳化物は、液状油の配合量が40質量%以上であることにより、毛髪に用いた後に、毛髪に優れた油性感を付与するとともに、滑りの良い毛髪の手触りが実現できる。
【0060】
本実施形態の水中油型乳化物に配合される液状油とは、25℃で静置後、傾けた際に流動性を示す油である。前記液状油としては、例えば、融点20℃以下の液状油を用いることができる。
【0061】
上記液状油としては、例えば、液状シリコーン油、液状炭化水素、液状エステル油、液状エーテル油、液状油脂、液状ロウ、液状高級アルコール、液状脂肪酸などが挙げられる。
【0062】
本実施形態の水中油型乳化物は、上記液状油として、例えば、液状シリコーン油、液状炭化水素、液状エステル油、液状エーテル油、液状油脂、液状ロウ、液状高級アルコール、及び液状脂肪酸から選ばれる1種又は2種以上が配合されたものとしてよい。
【0063】
本実施形態の水中油型乳化物は、毛髪に用いた後に、より滑りの良い手触りを実現できる観点から、上記液状油として、液状シリコーン油、液状炭化水素、液状エステル油、液状エーテル油、液状油脂、及び液状ロウから選ばれる1種又は2種以上が配合されたものが好ましく、液状シリコーン油、及び液状炭化水素から選ばれる1種又は2種以上が配合されたものがより好ましい。
【0064】
(液状シリコーン油)
本実施形態の水中油型乳化物は、上記液状油として、液状シリコーン油を1種又は2種以上配合されたものである。上記液状シリコーン油としては、化粧品に配合可能な公知の液状シリコーン油を用いることができる。
【0065】
上記液状シリコーン油としては、例えば、揮発性の液状シリコーン油、不揮発性の液状シリコーン油が挙げられる。揮発性の液状シリコーン油としては、例えば、25℃での動粘度が5mm2/s以下の液状シリコーン油を用いることができる。また、不揮発性の液状シリコーン油とは、例えば、25℃での動粘度が5mm2/sを超えるものを用いることができる。前記25℃での動粘度は、医薬部外品原料規格2021 一般試験法 粘度測定法第1法に準拠して25℃で測定した値である。
【0066】
前記揮発性の液状シリコーン油としては、例えば、25℃での動粘度が5mm2/s以下の直鎖状シロキサン(例えば、25℃での動粘度が2mm2/s以下のジメチコン、ジシロキサン、トリシロキサンなど)、25℃での動粘度が5mm2/s以下の環状シロキサン(例えば、シクロテトラシロキサン、シクロペンタシロキサン、シクロヘキサシロキサンなど)、25℃での動粘度が5mm2/s以下のアルキルメチコン(例えば、エチルメチコン、カプリリルメチコンなど)、25℃での動粘度が5mm2/s以下の分岐状シロキサン(例えば、メチルトリメチコンなど)などが挙げられる。
【0067】
上記不揮発性の液状シリコーン油としては、例えば、ジメチルシリコーン(例えば、25℃での動粘度が5mm2/sを超えるジメチコン(平均重合度が650以上である高重合のジメチコンを含む)など)、アミノ変性シリコーン(例えば、アモジメチコン、アミノプロピルジメチコン、クオタニウム-80、シリコーンクオタニウム-22など)、アミノ・ポリエーテル変性シリコーン(例えば、(ビスイソブチルPEG-14/アモジメチコン)コポリマー、メトキシPEG/PPG-7/3アミノプロピルジメチコンなど)、アミノフェニル変性シリコーン(例えば、アミノプロピルフェニルトリメチコンなど)、フェニル変性シリコーン(例えば、フェニルトリメチコン、ジフェニルジメチコン、フェニルプロピルジメチルシロキシケイ酸など)、シラノール基含有シリコーン(例えば、25℃での動粘度が5mm2/sを超えるジメチコノール(平均重合度が650以上である高重合のジメチコノールを含む)など)、長鎖アルキル変性シリコーン(例えば、セチルジメチコン、ステアロキシジメチコン、ステアロキシメチルポリシロキサン、(ステアロキシメチコン/ジメチコン)コポリマーなど)、ポリエーテル変性シリコーン(例えば、PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、PEG-12ジメチコン、PEG-32メチルエーテルジメチコン、PEG/PPG-20/22ブチルエーテルジメチコン、セチルPEG/PPG-10/1ジメチコン、PEG/PPG-25/25ジメチコンなど)、シリコーン3次元架橋物(例えば、(ビニルジメチコン/ラウリルジメチコン)クロスポリマー、(ラウリルポリジメチルシロキシエチルジメチコン/ビスビニルジメチコン)クロスポリマー、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー、(ジメチコン/フェニルビニルジメチコン)クロスポリマーなど)、ベタイン基を有するシリコーン(例えば、ジメチコンプロピルPGベタインなど)などが挙げられる(上記カッコ内で例示した成分名は、いずれも化粧品表示名称)。
【0068】
本実施形態の水中油型乳化物に配合される液状シリコーン油としては、指通りのよい毛髪の手触りを実現できる観点から、少なくとも揮発性の液状シリコーン油が配合されたものが好ましい。また、前記揮発性の液状シリコーン油としては、より指通りの毛髪の手触りを実現できる観点から、25℃での動粘度が3mm2/s以下の液状シリコーン油がより好ましい。
【0069】
(液状炭化水素)
本実施形態の水中油型乳化物は、上記液状油として、液状炭化水素を1種又は2種以上配合されたものである。上記液状炭化水素としては、化粧品に配合可能な公知の液状炭化水素を用いることができる。
【0070】
上記液状炭化水素としては、例えば、揮発性の液状炭化水素、不揮発性の液状炭化水素が挙げられる。揮発性の液状炭化水素としては、例えば、沸点が270℃以下の液状炭化水素を用いることができる。また、不揮発性の液状炭化水素とは、例えば、沸点が270℃を超える液状炭化水素を用いることができる。
【0071】
上記揮発性の液状炭化水素としては、例えば、分岐状構造を有する揮発性の液状炭化水素、直鎖状構造を有する揮発性の液状炭化水素が挙げられる。
前記分岐状構造を有する揮発性の液状炭化水素としては、例えば、イソドデカン、軽質イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、37.8℃での動粘度が20mm2/s以下の水添ポリイソブテン、イソヘキサデカンなどが挙げられる。
前記直鎖状構造を有する揮発性の液状炭化水素としては、例えば、ドデカン、C9-12アルカン、C10-13アルカンなどが挙げられる。
なお、前記37.8℃での動粘度は、キャノン-フェンスケ粘度計またはウベローデ粘度計などの粘度計を用いて、JIS Z8803に記載される方法を用いて測定した値である。また、上記で例示した成分名は、軽質イソパラフィン、軽質流動イソパラフィンを除き、いずれも化粧品表示名称である。
【0072】
上記不揮発性の液状炭化水素としては、例えば、流動パラフィン、37.8℃での動粘度が20mm2/sを超える水添ポリイソブテン、テトラデカン、スクワラン、水添ファルネセン、ポリブテン(但し、液状油に該当するものに限る)などが挙げられる。
【0073】
本実施形態の水中油型乳化物に配合される液状炭化水素としては、指通りのよい毛髪の手触りを実現できる観点から、少なくとも揮発性の液状炭化水素が配合されたものが好ましい。
【0074】
(液状エステル油)
本実施形態の水中油型乳化物は、上記液状油として、液状エステル油を1種又は2種以上配合されたものである。上記液状エステル油としては、化粧品に配合可能な公知の液状エステル油を用いることができる。
【0075】
上記液状エステル油としては、化学構造中に含まれる炭素原子の合計数が、12以上60以下のものを用いることでき、例えば、直鎖又は分岐脂肪酸と1価の直鎖又は分岐アルコールとのエステル(例えば、エチルヘキサン酸セチルなど)、直鎖又は分岐脂肪酸と多価のアルコールとのエステル(例えば、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリルなど)、1価の直鎖又は分岐アルコールと1価又は多価のカルボン酸とのエステル(例えば、クエン酸トリエチルなど)、ヒドロキシル基を有する直鎖又は分岐脂肪酸と直鎖又は分岐脂肪酸とのエステル化合物と1価の直鎖又は分岐アルコールとのエステル(例えば、12-ステアロイルステアリン酸オクチルドデシルなど)が挙げられる(上記カッコ内で例示した成分名は、いずれも化粧品表示名称)。
【0076】
(液状エーテル油)
本実施形態の水中油型乳化物は、上記液状油として、液状エーテル油を1種又は2種以上配合されたものである。
上記液状エーテル油としては、化粧品に配合可能な公知の液状エーテル油を用いることができ、例えば、ジカプリリルエーテル、ジイソノニルエーテルなどが挙げられる(例示の成分名は、いずれも化粧品表示名称)。
【0077】
(液状油脂)
本実施形態の水中油型乳化物は、上記液状油として、液状油脂を1種又は2種以上配合されたものである。
上記液状油脂としては、化粧品に配合可能な公知の液状油脂を用いることができ、例えば、コメヌカ油、サフラワー油、月見草油、オリーブ油などが挙げられる(例示の成分名は、いずれも化粧品表示名称)。
【0078】
(液状ロウ)
本実施形態の水中油型乳化物は、上記液状油として、液状ロウを1種又は2種以上配合されたものである。
上記液状ロウとしては、化粧品に配合可能な公知の液状ロウを用いることができ、例えば、ホホバ油、オレンジラフィー油などが挙げられる(例示の成分名は、いずれも化粧品表示名称)。
【0079】
(液状高級アルコール)
本実施形態の水中油型乳化物は、上記液状油として、液状高級アルコールを1種又は2種以上配合されたものである。
上記液状高級アルコールとしては、化粧品に配合可能な公知の液状高級アルコールを用いることができ、例えば、炭素数8以上22以下である1価の液状高級アルコールを用いてもよい。上記炭素数8以上22以下である1価の液状高級アルコールとしては、例えば、ヘキシルデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール、オレイルアルコール、ホホバアルコールなどが挙げられる(例示の成分名は、いずれも化粧品表示名称)。
【0080】
(液状の高級脂肪酸)
本実施形態の水中油型乳化物は、上記液状油として、液状の高級脂肪酸を1種又は2種以上配合されたものである。
上記液状の高級脂肪酸としては、炭素数8以上22以下の液状の高級脂肪酸を用いることができ、例えば、オレイン酸、イソステアリン酸などが挙げられる(例示の成分名は、いずれも化粧品表示名称)。
【0081】
本実施形態の水中油型乳化物に配合される液状油の配合量は、40質量%以上を満たす限りにおいて、適宜設定できる。
【0082】
本実施形態の水中油型乳化物における液状油の配合量としては、毛髪に用いた後に、より滑りの良い手触りを実現できる観点から、50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましく、80質量%以上が特に好ましい。
また、本実施形態の水中油型乳化物における液状油の配合量としては、例えば、95質量%以下であるが、低コスト化の観点から、90質量%以下が好ましい。
【0083】
本実施形態の水中油型乳化物における液状油の配合量の範囲としては、例えば、40質量%以上95質量%以下であるが、液状油の配合量について上述した観点から、50質量%以上90質量%以下が好ましく、60質量%以上90質量%以下がより好ましく、70質量%以上90質量%以下がさらに好ましく、80質量%以上90質量%以下が特に好ましい。
【0084】
(カチオン界面活性剤の配合量と加水分解タンパク質及びその誘導体の配合量との合計配合量に対する液状油の配合量の質量比)
本実施形態の水中油型乳化物は、カチオン界面活性剤の配合量と加水分解タンパク質及びその誘導体の配合量との合計配合量に対する液状油の配合量の質量比([液状油の配合量/(カチオン界面活性剤の配合量+加水分解タンパク質及びその誘導体の配合量)]比)として、例えば、5以上600以下であるが、乳化状態の経時的変化が生じるのをより少なく抑える観点から、10以上550以下が好ましい。
【0085】
(水)
本実施形態の水中油型乳化物は、水が配合されたものである。本実施形態の水中油型乳化物における水は、液状油の分散媒である。
【0086】
本実施形態の水中油型乳化物に配合される水の配合量は、特に限定されず、適宜設定すればよい。
【0087】
本実施形態の水中油型乳化物における水の配合量としては、例えば、0.01質量%以上であるが、水中油型乳化物の粘度が高くなるのを抑える観点から、0.1質量%以上が好ましく、0.3質量%以上がより好ましく、0.5質量%以上がさらに好ましく、1質量%以上がさらに好ましい。
また、本実施形態の水中油型乳化物における水の配合量としては、例えば、50質量%以下であるが、乳化状態の経時的変化が生じるのをより少なく抑える観点から、30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましく、5質量%以下が特に好ましい。
【0088】
本実施形態の水中油型乳化物における水の配合量の範囲としては、例えば、0.01質量%以上50質量%以下であるが、水の配合量について上述した観点から、0.1質量%以上30質量%以下が好ましく、0.5質量%以上20質量%以下がより好ましく、0.5質量%以上10質量%以下がさらに好ましく、1質量%以上5質量%以下が特に好ましい。
【0089】
(任意成分)
本実施形態の水中油型乳化物は、上述した加水分解タンパク質及び/又はその誘導体、カチオン界面活性剤、水、並びに、液状油以外の成分(「任意成分」という)が適宜配合されたものとしてよい。
【0090】
本実施形態の水中油型乳化物に配合できる任意成分としては、例えば、多価アルコール(炭素数2以上8以下の2価アルコールを含む)、アニオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤、固形油、合成高分子化合物、半合成高分子化合物、天然高分子化合物、蛋白、動植物抽出物、微生物由来物、無機化合物(無機塩を含む)、香料、防腐剤、酸、アルカリ剤、キレート剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤(液状油に該当するものを除く)などである。
【0091】
(炭素数2以上8以下の2価アルコール)
本実施形態の水中油型乳化物は、炭素数2以上8以下の2価アルコールが配合されたものであってもよく、配合されないものであってもよい。上記炭素数2以上8以下の2価アルコールとしては、例えば、PG、プロパンジオール、メチルプロパンジオール、BG、ペンチレングリコール、1,2-ヘキサンジオール、ヘキサンジオール、DPG、オクタンジオールなどが挙げられる(例示の成分名は、いずれも化粧品表示名称)。
【0092】
本実施形態の水中油型乳化物は、乳化状態の経時的変化が生じるのをより少なく抑える観点から、炭素数2以上8以下の2価アルコールが5質量%以下の量で配合されたものであるか、または、炭素数2以上8以下の2価アルコールが配合されないものが好ましい。
【0093】
本実施形態の水中油型乳化物は、炭素数2以上8以下の2価アルコールが配合されたものとする場合、乳化状態の経時的変化が生じるのをより少なく抑える観点から、炭素数2以上8以下の2価アルコールの配合量が5質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以下であることがさらに好ましく、0.01質量%以下であることがさらにより好ましい。
【0094】
なお、本実施形態の水中油型乳化物は、乳化状態の経時的変化が生じるのをより少なく抑える観点から、炭素数2以上8以下の2価アルコールが配合されないことが特に好ましい。
【0095】
(無機塩)
本実施形態の水中油型乳化物は、無機塩が配合されたものであってもよく、配合されないものであってもよい。
上記無機塩としては、例えば、塩化Na、塩化K、硫酸Na、リン酸Na、リン酸Kなどが挙げられる(カッコ内で例示した成分名は、いずれも化粧品表示名称)。
【0096】
本実施形態の水中油型乳化物は、乳化状態の経時的変化が生じるのをより少なく抑える観点から、無機塩が1質量%以下の量で配合されたものであるか、または、無機塩が配合されないものが好ましい。
【0097】
本実施形態の水中油型乳化物は、無機塩が配合されたものとする場合、乳化状態の経時的変化が生じるのをより少なく抑える観点から、無機塩の配合量が1質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以下であることがさらに好ましい。
【0098】
なお、本実施形態の水中油型乳化物は、乳化状態の経時的変化が生じるのをより少なく抑える観点から、無機塩が配合されないことが特に好ましい。
【0099】
(貯蔵弾性率G’及び損失弾性率G’’)
本実施形態の水中油型乳化物は、レオメーターを用いて測定した貯蔵弾性率G’及び損失弾性率G’’の値が、適宜設定されるものである。
【0100】
上記貯蔵弾性率G’及び損失弾性率G’’の値は、レオメーター(例えば、HAAKE社製の応力制御型レオメーター「Rheo Stress 6000」)を使用し、下記測定条件で測定した貯蔵弾性率G’と損失弾性率G’’の測定値を採用する。
<測定条件>
測定方法:応力依存動的粘弾性測定
センサー:直径35mm、傾斜角2°のコーンプレートセンサー
温度 :25℃
周波数 :1Hz
応力範囲:0.1Pa~1000Pa
【0101】
(貯蔵弾性率G’と損失弾性率G’’の差(G’-G’’))
本実施形態の水中油型乳化物は、水中油型乳化物の乳化状態に優れる観点から、レオメーターを用いて上記測定条件で測定した際の応力(τ)が0.1Pa~1Paの範囲内において、応力(τ)がある値のときに、貯蔵弾性率G’と損失弾性率G’’の差が、正の値(0を超える値)であることが好ましい。本実施形態の水中油型乳化物が、応力(τ)が比較的低い0.1Pa~1Paの範囲内において、応力(τ)がある値のときに、貯蔵弾性率G’と損失弾性率G’’の差が正の値であれば、水中油型乳化物の粘弾性が高いことにより、経時的な乳化粒子の合一が生じにくい傾向となり、水中油型乳化物の乳化状態に優れる。
【0102】
以下の記載において、応力(τ)を単に「τ」と表記することがあり、貯蔵弾性率G’と損失弾性率G’’の差を「G’-G’’」と表記することがある。また、応力(τ)が●Paであった場合を「τ=●」と表記することがあり(例えば、τが0.3Paである場合は「τ=0.3」)、応力(τ)が●PaであったときのG’-G’’を「τ=●のときのG’-G’’」と表記することがある(例えば、応力(τ)が0.3PaのときのG’-G’’は「τ=0.3のときのG’-G’’」)。
【0103】
本実施形態の水中油型乳化物は、τ=0.1~1Paの範囲において、τの値がより大きい場合に、G’-G’’が正の値となれば、水中油型乳化物の乳化状態により優れる傾向となる。
そのため、本実施形態の水中油型乳化物は、水中油型乳化物の乳化状態に優れる観点から、レオメーターを用いて上記測定条件で測定したG’-G’’において、τ=0.3のときのG’-G’’が、正の値であることがより好ましく、τ=0.5のときのG’-G’’が、正の値であることがさらに好ましく、τ=0.6のときのG’-G’’が、正の値であることがさらにより好ましく、τ=0.7のときのG’-G’’が、正の値であることが特により好ましい。
【0104】
なお、本実施形態の水中油型乳化物は、τ=0.1~1Paの範囲において、G’-G’’が正の値となる範囲がより広いほど、水中油型乳化物の乳化状態により優れる。
【0105】
(τ=0.3のときのG’-G’’)
本実施形態の水中油型乳化物は、水中油型乳化物の乳化状態に優れる観点から、レオメーターを用いて上記測定条件で測定したG’-G’’が、τが0.3Paのときに、正の値であることが好ましい。
【0106】
本実施形態の水中油型乳化物は、τ=0.3のときのG’-G’’としては、水中油型乳化物の乳化状態がより優れたものとする観点から、1以上が好ましく、3以上がより好ましく、6以上がさらに好ましく、20以上がさらにより好ましく、30以上が特に好ましい。
また、本実施形態の水中油型乳化物は、τ=0.3のときのG’-G’’としては、例えば、5000以下である。
【0107】
本実施形態の水中油型乳化物は、τ=0.3のときのG’-G’’の範囲として、例えば、0.5以上3000以下であるが、水中油型乳化物の乳化状態がより優れたものとする観点から、1以上5000以下が好ましく、3以上5000以下がより好ましく、6以上5000以下がさらに好ましく、20以上5000以下がさらにより好ましく、30以上5000以下が特に好ましい。
【0108】
(τ=0.5のときのG’-G’’)
本実施形態の水中油型乳化物は、水中油型乳化物の乳化状態に優れる観点から、レオメーターを用いて上記測定条件で測定した際のτ=0.5のときのG’-G’’が、正の値であることがより好ましい。
【0109】
本実施形態の水中油型乳化物は、τ=0.5のときのG’-G’’として、水中油型乳化物の乳化状態がさらに優れたものとする観点から、1以上が好ましく、3以上がより好ましく、6以上がさらに好ましく、20以上がさらにより好ましく、30以上が特に好ましい。
また、本実施形態の水中油型乳化物は、τ=0.5のときのG’-G’’としては、例えば、5000以下である。
【0110】
本実施形態の水中油型乳化物は、τ=0.5のときのG’-G’’の範囲として、例えば、0.5以上3000以下であるが、水中油型乳化物の乳化状態がさらに優れたものとする観点から、1以上5000以下が好ましく、3以上5000以下がより好ましく、6以上5000以下がさらに好ましく、20以上5000以下がさらにより好ましく、30以上5000以下が特に好ましい。
【0111】
(τ=0.6のときのG’-G’’)
本実施形態の水中油型乳化物は、水中油型乳化物の乳化状態に優れる観点から、レオメーターを用いて上記測定条件で測定した際のτ=0.6のときのG’-G’’が、正の値であることがさらにより好ましい。
【0112】
本実施形態の水中油型乳化物は、τ=0.6のときのG’-G’’として、水中油型乳化物の乳化状態がさらにより優れたものとする観点から、1以上が好ましく、3以上がより好ましく、6以上がさらに好ましく、20以上がさらにより好ましく、30以上が特に好ましい。
また、本実施形態の水中油型乳化物は、τ=0.6のときのG’-G’’としては、例えば、5000以下である。
【0113】
本実施形態の水中油型乳化物は、τ=0.5のときのG’-G’’の範囲として、例えば、0.5以上3000以下であるが、水中油型乳化物の乳化状態がさらにより優れたものとする観点から、1以上5000以下が好ましく、3以上5000以下がより好ましく、6以上5000以下がさらに好ましく、20以上5000以下がさらにより好ましく、30以上5000以下が特に好ましい。
【0114】
(τ=0.7のときのG’-G’’)
本実施形態の水中油型乳化物は、水中油型乳化物の乳化状態に優れる観点から、レオメーターを用いて上記測定条件で測定した際のτ=0.7のときのG’-G’’が、正の値であることが特に好ましい。
【0115】
本実施形態の水中油型乳化物は、τ=0.7のときのG’-G’’として、水中油型乳化物の乳化状態が特に優れたものとする観点から、1以上が好ましく、3以上がより好ましく、6以上がさらに好ましく、20以上がさらにより好ましく、30以上が特に好ましい。
また、本実施形態の水中油型乳化物は、τ=0.7のときのG’-G’’として、例えば、5000以下である。
【0116】
本実施形態の水中油型乳化物は、τ=0.7のときのG’-G’’の範囲として、例えば、0.5以上3000以下であるが、水中油型乳化物の乳化状態が特に優れたものとする観点から、1以上5000以下が好ましく、3以上5000以下がより好ましく、6以上5000以下がさらに好ましく、20以上5000以下がさらにより好ましく、30以上5000以下が特に好ましい。
【0117】
(τ=0.2~1のときのG’-G’’)
本実施形態の水中油型乳化物は、水中油型乳化物の乳化状態に優れる観点から、レオメーターを用いて上記測定条件で測定した際のτ=0.2~1の範囲のときのG’-G’’が、すべて正の値であることが好ましい。
【0118】
(pH)
本実施形態の水中油型乳化物におけるpHは、適宜設定すればよく、例えば、pH2以上12以下である。なお、pHは25℃における測定値が採用される。
【0119】
(剤型)
本実施形態の水中油型乳化物の剤型は、適宜設定すればよく、例えば、クリーム状、乳液状、ジェル状などが挙げられる。
【0120】
なお、本実施形態の水中油型乳化物は、剤型がクリーム状であれば、毛髪への塗布が容易となる。
【0121】
(外観)
本実施形態の水中油型乳化物の外観は、適宜設定すればよく、例えば、透明状、不透明状などが挙げられる。
【0122】
(用途)
本実施形態の水中油型乳化物は、毛髪用のものである。本実施形態の水中油型乳化物を毛髪に用いることで、毛髪の根元部分から毛先部分までに均一な滑りのある手触りを付与できる。
【0123】
本実施形態の水中油型乳化物の用途は、毛髪用であれば特に限定されず、例えば、ヘアケア用途(例えば、シャンプー、ヘアトリートメント、スタイリング兼用ヘアトリートメント、多剤式ヘアトリートメントの一構成剤、パーマの前処理用ヘアトリートメント、パーマの後処理用ヘアトリートメント、ヘアカラーリングの前処理用ヘアトリートメント、ヘアカラーリングの後処理用ヘアトリートメント、ブリーチの前処理用ヘアトリートメント、ブリーチの後処理用ヘアトリートメントなど)、ヘアスタリング用途、ヘアカラー用途、パーマネントウェーブ用途、ストレートパーマ用途などが挙げられる。なお、前記ヘアトリートメントは、洗い流さないヘアトリートメントであってもよく、洗い流すヘアトリートメントであってもよい。
【0124】
本実施形態の水中油型乳化物は、毛髪に優れた油性感を付与できる観点から、毛髪に塗布した後に洗い流さないヘアトリートメントとして用いると好ましい。毛髪に塗布した後に洗い流さないヘアトリートメントの製品形態としては、例えば、ヘアクリーム、ヘアミルク、アウトバストリートメントが挙げられる。
【0125】
本実施形態の水中油型乳化物は、毛髪用の化粧品又は毛髪用の医薬部外品であっても良い。
【0126】
(使用方法)
本実施形態の水中油型乳化物は、毛髪用の水中油型乳化物における公知の使用方法を用いることができる。
【0127】
本実施形態の水中油型乳化物における使用方法の一例を挙げる。
・水で濡れた毛髪に本実施形態の水中油型乳化物を塗布し、塗布後の水中油型乳化物を水で洗い流さずに、又は、水で洗い流してから、毛髪を乾燥させて使用する方法。
・乾燥した毛髪に本実施形態の水中油型乳化物を塗布し、塗布後の水中油型乳化物を水で洗い流さずに使用する方法。
・乾燥した毛髪に本実施形態の水中油型乳化物を塗布し、塗布後の水中油型乳化物を水で洗い流してから、毛髪を乾燥させて使用する方法。
【0128】
なお、本実施形態の水中油型乳化物をヘアスタイリング用途として用いる場合には、上記の使用方法の例において、水中油型乳化物を塗布した後に適宜の手段により整髪を行うとよい。
【0129】
(製造方法)
本実施形態の水中油型乳化物の製造方法は、水中油型乳化物の公知の製造方法から適宜設定し、製造することができる。
【0130】
本実施形態の水中油型乳化物の製造方法は、特に限定されないが、例えば、下記〔1〕~〔4〕のいずれかに示す製造方法を採用してもよい。
【0131】
〔1〕カチオン界面活性剤と、加水分解タンパク質及び/又はその誘導体と、水とを混合した混合物(1A)を得る第1-1工程、並びに、上記第1-1工程における混合物(1A)と液状油とを混合する第1-2工程により製造する方法。
〔2〕加水分解タンパク質及び/又はその誘導体と、液状油の一部の量の量と、水とを混合した混合物(2A)を得る第2-1工程、上記第2-1工程における混合物(2A)とカチオン界面活性剤とを混合した混合物(2B)を得る第2-2工程、並びに、上記第2-2工程における混合物(2B)と液状油の残部の量とを混合する第2-3工程により製造する方法。
〔3〕カチオン界面活性剤と、液状油の一部の量と、水とを混合した混合物(3A)を得る第3-1工程、上記第3-1工程における混合物(3A)と加水分解タンパク質及び/又はその誘導体とを混合した混合物(3B)を得る第3-2工程、並びに、上記第3-2工程における混合物(3B)と液状油の残部の量とを混合する第3-3工程により製造する方法。
〔4〕加水分解タンパク質及び/又はその誘導体と、カチオン界面活性剤と、液状油の一部の量と、水の一部の量とを混合した混合物(4A)を得る第4-1工程、上記第4-1工程における混合物(4A)と液状油の残部の量とを混合した混合物(4B)を得る第4-2工程、並びに、上記第4-2工程における混合物(4B)と水の残部の量とを混合した混合物(4C)を得る第4-3工程により製造する方法。
なお、各種成分の混合は、適宜の攪拌装置を用いて混合すればよく、例えば、ディスパーなどを用いてもよい。
【0132】
<毛髪処理方法>
本実施形態の毛髪処理方法は、本実施形態の水中油型乳化物を用いた毛髪処理方法である。
本実施形態の毛髪処理方法としては、本実施形態の水中油型乳化物を用いる以外には、公知の毛髪処理方法を採用すればよい。そのため、上述した本実施形態の水中油型乳化物の使用方法を用いてもよい。
【0133】
<付記>
本実施形態の水中油型乳化物、製造方法、又は毛髪処理方法を、以下の[付記1]~[付記8]に記載する。
【0134】
[付記1]
カチオン界面活性剤と、加水分解タンパク質及び/又はその誘導体と、水とを混合した混合物(1A)を得る第1-1工程、並びに、
上記第1-1工程における混合物(1A)と液状油とを混合する第1-2工程により製造された、
毛髪用の水中油型乳化物。
【0135】
[付記2]
加水分解タンパク質及び/又はその誘導体と、液状油の一部の量と、水とを混合した混合物(2A)を得る第2-1工程、
上記第2-1工程における混合物(2A)とカチオン界面活性剤とを混合した混合物(2B)を得る第2-2工程、並びに、
上記第2-2工程における混合物(2B)と液状油の残部の量の量とを混合する第2-3工程により製造された、
毛髪用の水中油型乳化物。
【0136】
[付記3]
カチオン界面活性剤と、液状油の一部の量と、水とを混合した混合物(3A)を得る第3-1工程、
上記第3-1工程における混合物(3A)と加水分解タンパク質及び/又はその誘導体とを混合した混合物(3B)を得る第3-2工程、並びに、
上記第3-2工程における混合物(3B)と液状油の残部の量とを混合する第3-3工程により製造された、
毛髪用の水中油型乳化物。
【0137】
[付記4]
加水分解タンパク質及び/又はその誘導体と、カチオン界面活性剤と、液状油の一部の量と、水の一部の量とを混合した混合物(4A)を得る第4-1工程、
上記第4-1工程における混合物(4A)と液状油の残部の量とを混合した混合物(4B)を得る第4-2工程、並びに、
上記第4-2工程における混合物(4B)と水の残部の量とを混合した混合物(4C)を得る第4-3工程により製造された、
毛髪用の水中油型乳化物。
【0138】
[付記5]
上記[付記1]~[付記4]のいずれか1つに記載の水中油型乳化物を用いた毛髪処理方法。
【0139】
[付記6]
カチオン界面活性剤と、加水分解タンパク質及び/又はその誘導体と、水とを混合した混合物(1A)を得る第1-1工程、並びに、
上記第1-1工程における混合物(1A)と液状油とを混合する第1-2工程を備える、
毛髪用の水中油型乳化物の製造方法。
【0140】
[付記7]
加水分解タンパク質及び/又はその誘導体と、液状油の一部の量と、水とを混合した混合物(2A)を得る第2-1工程、
上記第2-1工程における混合物(2A)とカチオン界面活性剤とを混合した混合物(2B)を得る第2-2工程、並びに、
上記第2-2工程における混合物(2B)と液状油の残部の量とを混合する第2-3工程を備える、
毛髪用の水中油型乳化物の製造方法。
【0141】
[付記8]
カチオン界面活性剤と、液状油の一部の量と、水とを混合した混合物(3A)を得る第3-1工程、
上記第3-1工程における混合物(3A)と加水分解タンパク質及び/又はその誘導体とを混合した混合物(3B)を得る第3-2工程、並びに、
上記第3-2工程における混合物(3B)と液状油の残部の量とを混合する第3-3工程を備える、
毛髪用の水中油型乳化物の製造方法。
【0142】
[付記9]
加水分解タンパク質及び/又はその誘導体と、カチオン界面活性剤と、液状油の一部の量と、水の一部の量とを混合した混合物(4A)を得る第4-1工程、
上記第4-1工程における混合物(4A)と液状油の残部の量とを混合した混合物(4B)を得る第4-2工程、並びに、
上記第4-2工程における混合物(4B)と水の残部の量とを混合した混合物(4C)を得る第4-3工程を備える、
毛髪用の水中油型乳化物の製造方法。
【0143】
[付記10]
[付記6]~[付記9]のいずれか1つに記載の製造方法により製造された水中油型乳化物を用いた毛髪処理方法。
【実施例0144】
以下、実施例に基づき本発明を詳述するが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるものではない。
【0145】
(実施例1~24、比較例1~10)
次の通り、実施例1~24、比較例1~10の水中油型乳化物を製造し、評価を行った。
【0146】
(実施例1~24、比較例1~10の水中油型乳化物の製造)
加水分解ケラチン含有品、ヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解ケラチン含有品、加水分解シルク含有品、加水分解カゼイン含有品、加水分解コラーゲン含有品、ココジモニウムヒドロキシプロピル加水分解ケラチン含有品、ラウロイル加水分解シルクNa含有品、加水分解シルクエチル含有品、(ジヒドロキシメチルシリルプロポキシ)ヒドロキシプロピル加水分解ケラチン含有品から選ばれる加水分解タンパク質又はその誘導体を含有する市販品と、カルボマー、ポリクオタニウム-10、ポリクオタニウム-39、ラウレス硫酸Na、セトリモニウムクロリド、ステアルトリモニウムクロリド、ステアラミドプロピルジメチルアミン、イソドデカン、ジメチコン(1.5mm2/s)、ジメチコン(2mm2/s)、シクロペンタシロキサン、ジメチコン(高重合)、ジメチコノール(高重合)、乳酸(90%)(乳酸90質量%と精製水10質量%との混合物)、水酸化カリウム、フェノキシエタノール、香料、並びに、精製水から選ばれる成分とを用いて、表1~表11の組成となるように、実施例1~24、比較例1~10の水中油型乳化物を下記に示す製造工程により製造した。なお、ジメチコン(高重合)は平均重合度が650以上のジメチコンであり、ジメチコノール(高重合)は平均重合度が650以上のジメチコノールを用いた。
【0147】
なお、表1~表11において、成分名の欄の数値の単位は質量%であり、「-」は未配合であることを示す。また、表1~表11の表下部に、実施例1~24、比較例2、4、6の水中油型乳化物の製造に使用した加水分解タンパク質又はその誘導体を含有する市販品の名称を記載している((※1)~(※13)参照)。また、表4の比較例7の組成において、水酸化カリウムの適量とは、比較例7の水中油型乳化物がpH5.5となる水酸化カリウムの量であり、精製水の計100となる量とは、比較例7の水中油型乳化物が全量で100質量%となる精製水の量である。
【0148】
実施例1~24の水中油型乳化物は、以下の工程1~工程3の製造工程により製造した。
(工程1)加水分解タンパク質又はその誘導体を含有する市販品と、セトリモニウムクロリド、ステアルトリモニウムクロリド、又はステアラミドプロピルジメチルアミン及び乳酸(90%)と、約0.6乃至1.2質量%の精製水とを100mLビーカーに入れ、各成分を混合し、混合物1を得た。
(工程2)上記工程1で得た混合物1が入ったビーカーに、実施例1~24の水中油型乳化物の組成に用いたイソドデカン、ジメチコン(1.5mm2/s)、ジメチコン(2mm2/s)、シクロペンタシロキサン、ジメチコン(高重合)、ジメチコノール(高重合)から選ばれる各成分を少量ずつ添加しながら混合し、混合物2を得た。なお、ジメチコン(高重合)は、イソドデカン又はシクロペンタシロキサンと混合されたものを用いており、ジメチコノール(高重合)は、ジメチコン(2mm2/s)又はシクロペンタシロキサンと混合されたものを用いた。
(工程3)上記工程2で得た混合物2が入ったビーカーに、各実施例の組成に応じて残量の水、フェノキシエタノール、又は香料を添加して混合し、各水中油型乳化物を得た。
なお、実施例1~11、15~24の水中油型乳化物は、攪拌棒を用いて手で攪拌しながら工程1~工程3の混合を室温下で行った。また、実施例13~14の水中油型乳化物は、攪拌棒を用いて手で攪拌しながら工程1の混合を室温下で行い、工程2、3ではディスパーを用いて混合を行った。ディスパーを用いた混合は、ディスパー装置(プライミクス社製 T.K.ロボミックス)により、ディスパー羽4cmを使って、1500rpm、5分の条件により室温下で混合した。
【0149】
上記工程により製造された実施例1~24の水中油型乳化物は、25℃でpHが5~7の範囲であり、外観はクリーム状であった。
【0150】
比較例1、3、5の水中油型乳化物は、上記実施例1~24の水中油型乳化物の製造工程と同様の工程で製造したが、工程1において、加水分解タンパク質又はその誘導体を含有する市販品を配合しなかった(工程1~工程3における混合は、攪拌棒を用いて手で攪拌し、室温下で混合した)。
比較例2、4、6の水中油型乳化物は、上記実施例1~24の水中油型乳化物の製造工程と同様の工程で製造したが、工程1において、セトリモニウムクロリド、ステアルトリモニウムクロリド、又はステアラミドプロピルジメチルアミン及び乳酸(90%)を配合しなかった(工程1~工程3における混合は、攪拌棒を用いて手で攪拌し、室温下で混合した)。
比較例7~10の水中油型乳化物は、上記実施例1~24の水中油型乳化物の製造工程と同様の工程で製造したが、工程1において、加水分解タンパク質又はその誘導体を含有する市販品を配合せずに、カルボマー、ポリクオタニウム-10、ポリクオタニウム-39、又はラウレス硫酸Naが配合されたものとした(工程1~工程3における混合は、攪拌棒を用いて手で攪拌し、室温下で混合した)。
【0151】
(評価1)
製造した実施例1~24、比較例1~10の水中油型乳化物を用いて、製造直後の分離の有無と静置2時間後の乳化安定性を評価した。
【0152】
(製造直後の分離の有無の評価方法)
製造した実施例1~24、比較例1~10の水中油型乳化物を、製造後1日以内に、製造直後の分離の有無を評価した。なお、評価は、下記評価基準に従って、日常的に水中油型乳化物の評価を行う評価者が目視にて行った。
【0153】
(評価基準)
○ :水中油型乳化物に分離が見られない
× :水中油型乳化物に分離が見られる
【0154】
(静置2時間後の乳化安定性の評価方法)
製造した実施例1~24、比較例1~9の水中油型乳化物を、各2gずつ水平な机上(机表面の素材は、フェノール樹脂)に置き、室温で2時間静置した。そして、静置2時間後の水中油型乳化物の外観の状態を評価し、静置2時間後の乳化安定性の評価を行った。評価は、下記評価基準に従って、日常的に水中油型乳化物の評価を行う評価者が目視で行った。また、静置直後と静置2時間経過後の実施例1~24、比較例1~9の水中油型乳化物の外観をそれぞれ写真撮影した。
なお、比較例10の水中油型乳化物は、表4の評価結果で示す通り、製造直後の分離の有無の評価が×であり、水中油型乳化物に分離が見られたため、静置2時間後の乳化安定性の評価を行っていない。
【0155】
(評価基準)
○ :静置2時間後、水中油型乳化物に油吐きが見られない
△ :静置2時間後、水中油型乳化物に油吐きがごくわずかに見られる
× :静置2時間後、水中油型乳化物に油吐きがやや見られる
××:静置2時間後、水中油型乳化物に油吐きがかなり見られる
【0156】
(評価2)
製造した実施例1~24の水中油型乳化物を用いて、レオメーターによる測定を行い、貯蔵弾性率G’及び損失弾性率G’’の評価を行った。なお、レオメーターによる測定は、実施例1~14の水中油型乳化物は製造後7日以内に行い、実施例15~24の水中油型乳化物は製造後35日以内に行った。
【0157】
(レオメーター測定)
実施例1~24の水中油型乳化物における貯蔵弾性率G’及び損失弾性率G’’の値は、レオメーター(HAAKE社製の応力制御型レオメーター「Rheo Stress 6000」)を使用し、下記測定条件で貯蔵弾性率G’及び損失弾性率G’’を測定した。
【0158】
(測定条件)
測定方法:応力依存動的粘弾性測定
センサー:直径35mm、傾斜角2°のコーンプレートセンサー
温度:25℃
周波数:1Hz
応力範囲:0.1Pa~1000Pa
【0159】
上記測定条件において、τが0.2Pa~1Paの範囲での0.1Pa間隔における貯蔵弾性率G’と損失弾性率G’’の測定データを取得した。そして、τが0.2Pa~1Paの範囲のときの貯蔵弾性率G’と損失弾性率G’’の差(G’-G’’)を評価した。
【0160】
(評価結果:実施例1、比較例1、2)
表1に実施例1、比較例1、2の水中油型乳化物の組成と評価1(製造直後の分離の有無、及び静置2時間後の乳化安定性)、評価2(貯蔵弾性率G’及び損失弾性率G’’)の評価結果を示す。
【0161】
【0162】
表1に示す結果から、実施例1の水中油型乳化物は、加水分解タンパク質及び/又はその誘導体、又は、カチオン界面活性剤が配合されていない比較例1、2の水中油型乳化物に比べて、評価1の静置2時間後の乳化安定性に優れることが分かる。また、実施例1の水中油型乳化物は、評価2の結果において、τ=0.3のときのG’-G’’が正の値であるため、水中油型乳化物の乳化状態により優れることが分かる。
【0163】
図1に静置2時間後の乳化安定性を評価した際の静置直後又は静置2時間後の実施例1、比較例1、2の水中油型乳化物の写真を示す。
図1に示す結果から、実施例1の水中油型乳化物は、静置直後及び静置2時間後において、水中油型乳化物の外周付近に油吐きが見られなかった。しかしながら、比較例1、2の水中油型乳化物は、静置2時間後において、水中油型乳化物の外周付近に油吐きが見られた。この結果から、実施例1の水中油型乳化物は、比較例1、2の水中油型乳化物に比べて、評価1の静置2時間後の乳化安定性に優れることが分かる。
【0164】
(評価結果:実施例2、比較例3、4)
表2に実施例2、比較例3、4の水中油型乳化物の組成と評価1(製造直後の分離の有無、及び静置2時間後の乳化安定性)、評価2(貯蔵弾性率G’及び損失弾性率G’’)の評価結果を示す。
【0165】
【0166】
表2に示す結果から、実施例2の水中油型乳化物は、加水分解タンパク質及び/又はその誘導体、又は、カチオン界面活性剤が配合されていない比較例3、4の水中油型乳化物に比べて、評価1の静置2時間後の乳化安定性に優れることが分かる。また、実施例2の水中油型乳化物は、評価2の結果において、τ=0.3のときのG’-G’’が正の値であるため、水中油型乳化物の乳化状態により優れることが分かる。
【0167】
図2に静置2時間後の乳化安定性を評価した際の静置直後又は静置2時間後の実施例2、比較例3、4の水中油型乳化物の写真を示す。
図2に示す結果から、実施例2の水中油型乳化物は、静置直後及び静置2時間後において、水中油型乳化物の外周付近に油吐きが見られなかった。しかしながら、比較例3、4の水中油型乳化物は、静置2時間後において、水中油型乳化物の外周付近に大きく広がった油吐きが見られた。この結果から、実施例2の水中油型乳化物は、比較例3、4の水中油型乳化物に比べて、評価1の静置2時間後の乳化安定性に優れることが分かる。
【0168】
(評価結果:実施例3、比較例5、6)
表3に実施例3、比較例5、6の水中油型乳化物の組成と評価1(製造直後の分離の有無、及び静置2時間後の乳化安定性)、評価2(貯蔵弾性率G’及び損失弾性率G’’)の評価結果を示す。
【0169】
【0170】
表3に示す結果から、実施例3の水中油型乳化物は、加水分解タンパク質及び/又はその誘導体、又は、カチオン界面活性剤が配合されていない比較例5、6の水中油型乳化物に比べて、評価1の静置2時間後の乳化安定性に優れることが分かる。また、実施例3の水中油型乳化物は、評価2の結果において、τ=0.3のときのG’-G’’が正の値であるため、水中油型乳化物の乳化状態により優れることが分かる。
【0171】
図3に静置2時間後の乳化安定性を評価した際の静置直後又は静置2時間後の実施例3、比較例5、6の水中油型乳化物の写真を示す。
図3に示す結果から、実施例3の水中油型乳化物は、静置直後及び静置2時間後において、水中油型乳化物の外周付近に油吐きが見られなかった。しかしながら、比較例6の水中油型乳化物は、静置直後において、水中油型乳化物の外周付近に油吐きが見られた、また、比較例5、6の水中油型乳化物は、静置2時間後において、水中油型乳化物の外周付近に大きく広がった油吐きが見られた。この結果から、実施例2の水中油型乳化物は、比較例5、6の水中油型乳化物に比べて、評価1の静置2時間後の乳化安定性に優れることが分かる。
【0172】
(評価結果:実施例1、比較例7~10)
表4に実施例1、比較例7~10の水中油型乳化物の組成と評価1(製造直後の分離の有無、及び静置2時間後の乳化安定性)、評価2(貯蔵弾性率G’及び損失弾性率G’’)の評価結果を示す。
【0173】
【0174】
表4に示す結果から、実施例1の水中油型乳化物は、加水分解タンパク質及び/又はその誘導体の代わりに、カルボマー、ポリクオタニウム-10、ポリクオタニウム-39、又はラウレス硫酸Naに置き換えた比較例7~9の水中油型乳化物に比べて、評価1の静置2時間後の乳化安定性に優れることが分かる。なお、加水分解タンパク質及び/又はその誘導体の代わりに、ラウレス硫酸Naが配合された比較例10の水中油型乳化物は、製造直後に分離が見られたため、実施例1の水中油型乳化物に比べて、評価1の製造直後の分離の有無の評価に劣ることが分かる。
【0175】
図4に静置2時間後の乳化安定性を評価した際の静置直後又は静置2時間後の実施例1、比較例7~9の水中油型乳化物の写真を示す。
図4に示す結果から、実施例1の水中油型乳化物は、静置直後及び静置2時間後において、水中油型乳化物の外周付近に油吐きが見られなかった。しかしながら、比較例7の水中油型乳化物は、静置直後において、水中油型乳化物の外周付近に油吐きが見られた。また、比較例7~9の水中油型乳化物は、静置2時間後において、水中油型乳化物の外周付近に油吐きが見られた。なお、比較例7の水中油型乳化物は、比較例8、9の水中油型乳化物に比べて、水中油型乳化物から吐き出された油がより大きく広がっていた。この結果から、実施例1の水中油型乳化物は、比較例7~9の水中油型乳化物に比べて、評価1の静置2時間後の乳化安定性に優れることが分かる。
【0176】
(評価結果:実施例1、4~6)
表5に実施例1、4~6の水中油型乳化物の組成と評価1(製造直後の分離の有無、及び静置2時間後の乳化安定性)、評価2(貯蔵弾性率G’及び損失弾性率G’’)の評価結果を示す。
【0177】
【0178】
表5に示す結果から、実施例1、4~6の水中油型乳化物は、表1~4に示す比較例1~10の水中油型乳化物に比べて、評価1の静置2時間後の乳化安定性に優れることが分かる。また、実施例1、4~6の水中油型乳化物は、評価2の結果において、τ=0.3のときのG’-G’’が正の値であるため、水中油型乳化物の乳化状態により優れることが分かる。
【0179】
図5に静置2時間後の乳化安定性を評価した際の静置直後又は静置2時間後の実施例1、4~6の水中油型乳化物の写真を示す。
図5に示す結果から、実施例1、4~6の水中油型乳化物は、静置直後及び静置2時間後において、水中油型乳化物の外周付近に油吐きが見られなかった。この結果から、実施例1、4~6の水中油型乳化物は、
図1~4に示す比較例1~9の水中油型乳化物に比べて、評価1の静置2時間後の乳化安定性に優れることが分かる。
【0180】
(評価結果:実施例1、7、8)
表6に実施例1、7、8の水中油型乳化物の組成と評価1(製造直後の分離の有無、及び静置2時間後の乳化安定性)、評価2(貯蔵弾性率G’及び損失弾性率G’’)の評価結果を示す。
【0181】
【0182】
表6に示す結果から、実施例1、7、8の水中油型乳化物は、表1~4に示す比較例1~10の水中油型乳化物に比べて、評価1の静置2時間後の乳化安定性に優れることが分かる。また、実施例1、7、8の水中油型乳化物は、評価2の結果において、τ=0.3のときのG’-G’’が正の値であるため、水中油型乳化物の乳化状態により優れることが分かる。
【0183】
図6に静置2時間後の乳化安定性を評価した際の静置直後又は静置2時間後の実施例1、7、8の水中油型乳化物の写真を示す。
図6に示す結果から、実施例1、7、8の水中油型乳化物は、静置直後及び静置2時間後において、水中油型乳化物の外周付近に油吐きが見られなかった。この結果から、実施例1、7、8の水中油型乳化物は、
図1~4に示す比較例1~9の水中油型乳化物に比べて、評価1の静置2時間後の乳化安定性に優れることが分かる。
【0184】
(評価結果:実施例1、9~14)
表7、表8に実施例1、9~14の水中油型乳化物の組成と評価1(製造直後の分離の有無、及び静置2時間後の乳化安定性)、評価2(貯蔵弾性率G’及び損失弾性率G’’)の評価結果を示す。
【0185】
【0186】
【0187】
表7、表8に示す結果から、実施例1、9~14の水中油型乳化物は、表1~4に示す比較例1~10の水中油型乳化物に比べて、評価1の静置2時間後の乳化安定性に優れることが分かる。また、実施例1、9~14の水中油型乳化物は、評価2の結果において、τ=0.3のときのG’-G’’が正の値であるため、水中油型乳化物の乳化状態により優れることが分かる。
【0188】
図7、
図8に静置2時間後の乳化安定性を評価した際の静置直後又は静置2時間後の実施例9~14の水中油型乳化物の写真を示す。
図7、
図8に示す結果から、実施例9~14の水中油型乳化物は、静置直後及び静置2時間後において、水中油型乳化物の外周付近に油吐きが見られなかった。この結果から、実施例9~14の水中油型乳化物は、
図1~4に示す比較例1~9の水中油型乳化物に比べて、評価1の静置2時間後の乳化安定性に優れることが分かる。
【0189】
(評価結果:実施例15~24)
表9~表11に実施例15~24の水中油型乳化物の組成と評価1(製造直後の分離の有無、及び静置2時間後の乳化安定性)、評価2(貯蔵弾性率G’及び損失弾性率G’’)の評価結果を示す。
【0190】
【0191】
【0192】
【0193】
表9~表11に示す結果から、実施例15~24の水中油型乳化物は、表1~4に示す比較例1~10の水中油型乳化物に比べて、評価1の静置2時間後の乳化安定性に優れることが分かる。また、実施例15~24の水中油型乳化物は、評価2の結果において、τ=0.3のときのG’-G’’が正の値であるため、水中油型乳化物の乳化状態により優れることが分かる。
【0194】
図9~
図11に静置2時間後の乳化安定性を評価した際の静置直後又は静置2時間後の実施例15~24の水中油型乳化物の写真を示す。
図9~
図11に示す結果から、実施例15~24の水中油型乳化物は、静置直後及び静置2時間後において、水中油型乳化物の外周付近に油吐きが見られなかった。この結果から、実施例15~24の水中油型乳化物は、
図1~4に示す比較例1~9の水中油型乳化物に比べて、評価1の静置2時間後の乳化安定性に優れることが分かる。
【0195】
(評価結果:実施例1~24)
以下の表12~表14に、実施例1~24の水中油型乳化物の評価2(貯蔵弾性率G’及び損失弾性率G’’)の評価結果を示す(τ=0.2~1)。
【0196】
【0197】
【0198】
【0199】
表12~表14に示す評価2の結果から、実施例1~24の水中油型乳化物は、τ=0.2又は0.3のときのG’-G’’が正の値であるため、水中油型乳化物の乳化状態に優れることが分かる。また、実施例1~3、実施例5~24の水中油型乳化物は、τ=0.4又は0.5のときのG’-G’’が正の値であるから、実施例4の水中油型乳化物に比べて、水中油型乳化物の乳化状態により優れることが分かる。また、実施例1~3、実施例5、実施例7~13、実施例15~24の水中油型乳化物は、τ=0.6のときのG’-G’’が正の値であるから、実施例4、6、14の水中油型乳化物に比べて、水中油型乳化物の乳化状態にさらに優れることが分かる。また、実施例1~3、実施例5、実施例7~8、実施例11~13、実施例15~24の水中油型乳化物は、τ=0.7のときのG’-G’’が正の値であるから、実施例4、6、9、14の水中油型乳化物に比べて、水中油型乳化物の乳化状態にさらにより優れることが分かる。