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▶ 三和シヤッター工業株式会社の特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106015
(43)【公開日】2024-08-07
(54)【発明の名称】防火シャッター
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/17 20060101AFI20240731BHJP
【FI】
E06B9/17 M
E06B9/17 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023010058
(22)【出願日】2023-01-26
(71)【出願人】
【識別番号】307038540
【氏名又は名称】三和シヤッター工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103137
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 滋
(74)【代理人】
【識別番号】100145838
【弁理士】
【氏名又は名称】畑添 隆人
(72)【発明者】
【氏名】高島 健一
(72)【発明者】
【氏名】初見 空
(57)【要約】
【課題】
開口部全閉時にレールの側方部位を良好に塞ぐ。
【解決手段】
床面FLには、シャッターによって閉鎖される開口に略直交するようにレール4が敷設されており、シャッターカーテンの座板3には、レール4に対応して下方に開口した凹部が形成されており、凹部の側縁に位置して塞ぎ材5が回動可能に設けてある。座板3がレール上方に位置する時には、塞ぎ材5が第1の姿勢を維持するように付勢されており、開口部全閉時には、レール4が凹部内に位置して、塞ぎ材5がレール4の側面41に当接した第2の姿勢となる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャッターカーテンの幅方向両端部が、左右のガイドレールに案内されて下降して、ガイドレール間に形成された開口を閉鎖して防火区画を形成する防火シャッターにおいて、
床面には、前記開口に略直交するようにレールが敷設されており、
前記シャッターカーテンの下端の座板は、垂直状の板状部を備え、前記板状部には、前記レールに対応する幅方向の所定部位において、下方に開口した凹部が形成されており、
前記座板には、前記凹部の少なくとも一方の側縁に位置して塞ぎ材が回動可能に設けてあり、
前記座板が、前記レール上方に位置する時には、前記塞ぎ材が第1の姿勢にあり、前記塞ぎ材は第1の姿勢を維持するように付勢されており、
前記塞ぎ材の下端部位には、前記シャッターカーテンの降下時に前記レールに当接して、第1の姿勢にある塞ぎ材を拡開させる当接ガイド部が形成されており、開口部全閉時には、前記レールが前記凹部内に位置して、前記塞ぎ材が前記レールの側面に当接した第2の姿勢となる、
防火シャッター。
【請求項2】
前記塞ぎ材は、主面部と、前記主面部の下端部位の傾斜部と、からなり、前記傾斜部が前記当接ガイド部を形成している、
請求項1に記載の防火シャッター。
【請求項3】
前記塞ぎ材の前記第1の姿勢は、平面視において、前記板状部に対して傾斜した第1の傾斜姿勢にあり、
前記塞ぎ材の前記第2の姿勢は、平面視において、前記第1の傾斜姿勢から拡開した第2の傾斜姿勢にある、
請求項1に記載の防火シャッター。
【請求項4】
開口部全閉時において、第2の姿勢にある前記塞ぎ材と前記レールとの間には隙間が形成されており、
前記板状部には、前記隙間の上方部位を覆うように前記凹部の上縁に位置して上部カバーが突設されている、
請求項1に記載の防火シャッター。
【請求項5】
前記凹部の一対の側縁に位置して一対の塞ぎ材が設けてあり、開口部全閉時において、
一方の塞ぎ材は、前記レールの一方の側面に当接し、
他方の塞ぎ材は、前記レールの他方の側面に当接している、
請求項1~4いずれか1項に記載の防火シャッター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防火シャッターに係り、詳しくは、床面にレールが敷設された部位を区画する防火シャッターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
マテハンとは、「マテリアル・ハンドリング」の略称であり、「生産拠点や物流拠点内の原材料・仕掛品・完成品の全てのモノの移動に関わる取り扱い」のことを指す言葉であり、マテハンを最適化することは、工場全体の生産性を大きく向上させることに繋がる。マテハンの主要業務の一つは工場や倉庫内でモノを搬送する業務であり、マテハン設備には、床面に敷設されたレールが含まれる。
【0003】
工場や倉庫内において、床面にレールが敷設された開口をシャッターで閉鎖して防火区画を形成したい場合がある。防火区画を形成する場合には、閉鎖姿勢のシャッターの第1側空間と第2側空間との間で防火上不利な隙間が形成されないことが重要であるが、第1側空間と第2側空間の床面に亘ってレールが敷設されている場合には、シャッターの下方部位に隙間が形成されてしまうことになる。
【0004】
特許文献1には、シャッター本体の下部に、レールの周囲に対応して防火シートを設けたものが開示されているが、開口部閉鎖時に上方から下降する要素で、レールの側部を隙間なく塞ぐことには課題が残る。
【特許文献1】特開2011-219939
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、床面にレールが敷設された部位を区画する防火シャッターにおいて、開口部全閉時にレールの側方部位を良好に塞ぐことにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明が採用した技術手段は、
シャッターカーテンの幅方向両端部が、左右のガイドレールに案内されて下降して、ガイドレール間に形成された開口を閉鎖して防火区画を形成する防火シャッターにおいて、
床面には、前記開口に略直交するようにレールが敷設されており、
前記シャッターカーテンの下端の座板は、垂直状の板状部を備え、前記板状部には、前記レールに対応する幅方向の所定部位において、下方に開口した凹部が形成されており、
前記座板には、前記凹部の少なくとも一方の側縁に位置して塞ぎ材が回動可能に設けてあり、
前記座板が、前記レール上方に位置する時には、前記塞ぎ材が第1の姿勢にあり、前記塞ぎ材は第1の姿勢を維持するように付勢されており、
前記塞ぎ材の下端部位には、前記シャッターカーテンの降下時に前記レールに当接して、第1の姿勢にある塞ぎ材を拡開させる当接ガイド部が形成されており、開口部全閉時には、前記レールが前記凹部内に位置して、前記塞ぎ材が前記レールの側面に当接した第2の姿勢となる、
防火シャッター、である。
【0007】
1つの態様では、前記塞ぎ材は、主面部と、前記主面部の下端部位の傾斜部と、からなり、前記傾斜部が前記当接ガイド部を形成している。
【0008】
1つの態様では、前記塞ぎ材の前記第1の姿勢は、平面視において、前記板状部に対して傾斜した第1の傾斜姿勢にあり、
前記塞ぎ材の前記第2の姿勢は、平面視において、前記第1の傾斜姿勢から拡開した第2の傾斜姿勢にある。
【0009】
1つの態様において、開口部全閉時において、第2の姿勢にある前記塞ぎ材と前記レールとの間には隙間が形成されており、
前記板状部には、前記隙間の上方部位を覆うように前記凹部の上縁に位置して上部カバーが突設されている。
【0010】
1つの態様では、前記凹部の一対の側縁に位置して一対の塞ぎ材が設けてあり、開口部全閉時において、
一方の塞ぎ材は、前記レールの一方の側面に当接し、
他方の塞ぎ材は、前記レールの他方の側面に当接している。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、シャッターカーテン下端の座板に、床面のレールに対応して、凹部を形成すると共に、凹部の側縁に塞ぎ材を回動可能に設け、開口部全閉時には、凹部内に位置したレールの側面に塞ぎ材の先端が当接することで、塞ぎ材によって、レールの側方部位を塞ぐようにした。
【0012】
座板に凹部の上縁に位置して設けた上部カバーによって、開口部全閉時に塞ぎ材とレール側面との間に形成される隙間(空間)の上方部位を覆うことで、隙間(空間)を介した内外空間の直接の連通を防いでいる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本実施形態に係るシャッター装置(全閉姿勢)の正面図である。
図2】本実施形態に係るシャッター装置(全閉姿勢となる少し前の状態)の正面図である。
図3図1の下方部位の部分拡大図及び側面図である。
図4】上図は、図3におけるA矢視横断面図、下図は、図3におけるB矢視横断面図である。
図5図2の下方部位の部分拡大図及び側面図である。
図6】上図は、図5におけるA矢視横断面図、下図は、図5におけるB矢視横断面図である。
図7図5の正面部及び図6のA矢視横断面図に基づいて、座板に形成した凹部及び塞ぎ材を詳細に説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1図2は、本実施形態に係るシャッター装置の正面図であって、図1はシャッターの全閉状態、図2はシャッターが全閉状態に近づいた状態を示している。シャッター装置は、開口部の左右のガイドレール1と、上端が開口部上方のシャッターケースC内に設けた巻取シャフト(図示せず)に連結されており、幅方向両端がガイドレール1の溝部内に案内されて開口部を開閉するシャッターカーテンと、を備えている。シャッターカーテンは、互いに揺動可能に連結された複数枚のスラット2と、複数枚のスラット2の最下位のスラット2に揺動可能に連結された座板3と、からなり、開口部全開時には、シャッターカーテンは巻取シャフトに巻き取られるようになっている。通常の開閉時には、開閉機Мによって巻取シャフトを回転させることで、シャッターカーテンを電動で昇降させて開口部を開閉する。火災時には、火災の煙感知に応じて、図示しない自動閉鎖装置が作動して、シャッターカーテン2が自重で降下して開口部を閉鎖するようになっている。
【0015】
本実施形態では、床面FLには、複数本のレール4が平行して敷設されており、レール4の延びる方向は、左右のガイドレール1間の開口、すなわち、閉鎖姿勢のシャッターカーテンが形成する垂直面に直交している。レール4の本数や断面形状は限定されない。
【0016】
スラット2は、開口幅方向に延びる鋼製の長尺材であって、図5に示すように、板状の本体20と、本体20の上側に一体形成された上側の係合部21と、本体20の下側に一体形成された下側の係合部22と、からなる。上下に隣接するスラット2において、上側のスラット2の下側の係合部22に下側のスラット2の上側の係合部21がインターロック連結するようになっている。
【0017】
座板3は、開口幅方向に延びる鋼製の長尺材であって、図3図5に示すように、垂直状の板状部30と、板状部30の下端の水平状の底辺31と、から側面視L形状を有している。なお、座板3の側面視はL形状に限定されず、例えば、側面視逆T形状であってもよい。座板3は、板状部30の上端が、直上のスラット2の下側の係合部22に係合している。
【0018】
座板3は、幅方向の所定部位(レール4に対応する部位)において切り欠かれており、切り欠きによって、下方に開口した凹部が形成されている。凹部の高さ寸法は、レール4の高さ寸法よりも僅かに大きく、凹部の幅寸法は、レール4の幅寸法よりも大きい。開口部全閉時には、レール4が凹部内に位置するようになっている。図2の状態からシャッターカーテンが下降して全閉姿勢(図1の状態)となる時に、一方のレール4が一方の凹部に受け入れられ、他方のレール4が他方の凹部に受け入れられながら下降して、座板3の下端の底辺31が床面FLに着床するようになっている。
【0019】
図7に示すように、凹部の上部は、座板3の板状部30を水平に切り欠くことで形成した上縁302(本実施形態では、上部カバー6のカバー本体60の高さ位置と同じ位置)からなり、凹部の左右の側部は、座板3の板状部30を垂直に切り欠くことで形成した側縁301と、底辺31を切り欠くことで形成した下端縁310と、からなる。
【0020】
本実施形態では、上縁302の幅寸法と、左右の下端縁310間の寸法は同じである一方、左右の側縁301間の寸法は、上縁302の幅寸法よりも小さく、凹部の側部には、板状部30の部分からなる側縁部300が形成されている。板状部30の側縁部300は、平面視において、板状部30が形成する面に対して底辺31と反対側に傾斜するように折り曲げられており(図7等参照)、側縁部300の下端には底辺31は位置していない。
【0021】
座板3には、凹部の両側縁に位置して一対の塞ぎ材5が回動可能に設けてある。塞ぎ材5は、外力が作用しない状態(座板3が、レール4の上方に位置する時)では、第1の姿勢(図2図5図7)にあり、塞ぎ材5は第1の姿勢を維持するように付勢されている。塞ぎ材5の下端部位には、シャッターカーテンの降下時にレール4に当接して、塞ぎ材5を第1姿勢からさらに拡開させる当接ガイド部が形成されており、開口部全閉時には、レール4が凹部内に位置して、塞ぎ材5がレール4の側面41に当接した第2の姿勢(図1図3図4)となる。
【0022】
本実施形態に係る塞ぎ材5は、主面部50と、主面部50の下端部位の傾斜部51と、からなり、全体として略長方形状の板状体ないしパネルである。塞ぎ材5の傾斜部51は、座板3の底辺31から離間する方向に傾斜している。
【0023】
塞ぎ材5の主面部50の基端側は、凹部の側縁部300にバネ丁番52を介して回動可能に連結されている。塞ぎ材5の第1の姿勢(平面視において第1の傾斜姿勢)は、平面視における側縁部300の傾斜姿勢によって決定されており、側縁部300は、塞ぎ材5を支持する傾斜支持片を形成している。塞ぎ材5は、バネ丁番52の付勢力によって第1の姿勢が維持されている。
【0024】
本実施形態において、一対の塞ぎ材5が第1の姿勢にある時には、塞ぎ材5の先端53間には隙間(レール4の幅寸法よりも小さい)が形成されている。塞ぎ材5の上端54は、凹部の上縁302よりも少し下方に位置しており、塞ぎ材5の下端55は、底辺31よりも少し上方に位置しており、塞ぎ材5の回動を妨げることがない。塞ぎ材5は主面部50の基端56が側縁部300に連結されており、下方の傾斜部51の基端は側縁部300に連結されていない。
【0025】
シャッターカーテンの下降時に、座板3に設けた塞ぎ材5の傾斜部51がレール4の上面40(角部)に当接すると、シャッターカーテンの下降にしたがって、第1の姿勢(第1の傾斜姿勢)にある左右の塞ぎ材5が拡開し(バネ丁番52の付勢力に抗して)、塞ぎ材5(主面部50)の先端53がレール4の側面41に当接して第2の姿勢(第2の傾斜姿勢)となる。開口部全閉時には、塞ぎ材5が第2の姿勢にあり、塞ぎ材5の先端53とレール4の側面41との当接状態が維持されるので(バネ丁番52の付勢力によって)、塞ぎ材5の主面部50とレール4の側面41との間には隙間が形成されないようになっている。開口部全閉時において、レール4の上面40と凹部の上縁302は近接しており、その隙間は無視できる。
【0026】
本実施形態では、座板3の板状部30には上部カバー6が設けてある。上部カバー6は、座板3の板状部30の面(底辺31が延びる側と反対側の面)に固定される固定片61と、凹部の上縁302に位置して、板状部30から塞ぎ材5が位置する側(底辺31と反対側)に水平に延びるカバー本体60と、からなる。本実施形態では、カバー本体60は方形状であり、凹部の幅寸法よりも少しい大きい幅寸法(左右幅)を有し、第2姿勢にある塞ぎ材5の先端53を越えて延びる突出寸法(前後幅)を有している。
【0027】
図4に示すように、開口部全閉時において、第2の姿勢にある塞ぎ材5とレール4の側面41との間には隙間S(平面視において三角形状の隙間)が形成されている。隙間Sの上端は開放状であり、隙間Sは、上端を通して、シャッターカーテンによって仕切られた内外空間を連通する空間である。本実施形態では、開口部全閉時には、隙間Sの上方部位を上部カバー6のカバー本体60が覆うことで、隙間Sを介した内外空間の直接の連通を防いでいる。
【符号の説明】
【0028】
1 ガイドレール
2 スラット
3 座板
30 板状部
300 側縁部
301 側縁
302 上縁
31 底辺
310 下端縁
4 レール
40 上面
41 側面
5 塞ぎ材
50 主面部
51 傾斜部(当接ガイド部)
52 バネ丁番
6 上部カバー
60 カバー本体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7