(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106022
(43)【公開日】2024-08-07
(54)【発明の名称】太陽電池セル、太陽電池セルの製造方法、及び太陽電池セルの重畳構造
(51)【国際特許分類】
H01L 31/0224 20060101AFI20240731BHJP
H01L 31/0216 20140101ALI20240731BHJP
【FI】
H01L31/04 260
H01L31/04 240
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023010066
(22)【出願日】2023-01-26
(71)【出願人】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】100100480
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100201455
【弁理士】
【氏名又は名称】横尾 宏治
(72)【発明者】
【氏名】福田 将典
【テーマコード(参考)】
5F151
5F251
【Fターム(参考)】
5F151AA01
5F151CA02
5F151CA03
5F151CA04
5F151CA15
5F151DA07
5F151EA05
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5F151GA04
5F151GA15
5F251AA01
5F251CA02
5F251CA03
5F251CA04
5F251CA15
5F251DA07
5F251EA05
5F251EA16
5F251FA04
5F251FA06
5F251FA13
5F251FA15
5F251FA16
5F251GA04
5F251GA15
(57)【要約】
【課題】本発明は、他の太陽電池セルとともに積み重ねたときに、電極部が接触することによる光電変換基板への傷等の損傷を抑制できる太陽電池セル及び太陽電池セルの製造方法を提供する。また本発明は、隣接する太陽電池セルにおいて電極部が接触することによる光電変換基板への傷等の損傷を抑制できる太陽電池セルの重畳構造を提供する。
【解決手段】第1主面と第2主面を両主面とする光電変換基板と、第1主面に設けられた第1電極部と、第2主面に設けられた第2電極部を有し、光電変換基板の第2主面は、第2電極部の近傍に樹脂被覆部が形成されており、第1電極部は、光電変換基板を平面視したときに、大部分が樹脂被覆部と重なっている構成とする。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主面と第2主面を両主面とする光電変換基板と、前記第1主面に設けられた第1電極部と、前記第2主面に設けられた第2電極部を有し、
前記光電変換基板の第2主面は、前記第2電極部の近傍に樹脂被覆部が形成されており、
前記第1電極部は、前記光電変換基板を平面視したときに、大部分が前記樹脂被覆部と重なっている、太陽電池セル。
【請求項2】
前記第1電極部は、以下の(1)又は(2)を満たす、請求項1に記載の太陽電池セル。
(1)前記第1電極部は、前記光電変換基板を平面視したときに、大部分が前記樹脂被覆部と重なっており、残部が前記第2電極部と重なっている。
(2)前記第1電極部は、前記光電変換基板を平面視したときに、全体が前記樹脂被覆部と重なっている。
【請求項3】
前記第1電極部は、前記光電変換基板を平面視したときに、全体が前記樹脂被覆部と重なっている、請求項2に記載の太陽電池セル。
【請求項4】
前記第2電極部は、前記樹脂被覆部と隣接しており、前記樹脂被覆部と共通の樹脂成分を含む、請求項1又は2に記載の太陽電池セル。
【請求項5】
前記第1電極部は、第1集電極を有し、
前記第1集電極は、所定の方向に延びる第1バスバー電極部と、前記第1バスバー電極部から前記第1バスバー電極部の延び方向に対する交差方向に延びる第1フィンガー電極部を有し、
前記第1フィンガー電極部は、前記樹脂被覆部と重なっている、請求項1又は2に記載の太陽電池セル。
【請求項6】
前記第1電極部は、前記第1主面に対して厚み方向に突出している、請求項1又は2に記載の太陽電池セル。
【請求項7】
前記光電変換基板は、前記第1主面又は前記第2主面にテクスチャ構造が形成されており、
前記樹脂被覆部は、前記テクスチャ構造の凹凸よりも小さな凹凸が形成された凹凸領域を備えている、請求項1又は2に記載の太陽電池セル。
【請求項8】
前記光電変換基板は、前記第2主面にテクスチャ構造が形成されており、
前記樹脂被覆部は、前記テクスチャ構造の凹凸を覆うことで、前記凹凸領域が形成されている、請求項7に記載の太陽電池セル。
【請求項9】
第1主面と第2主面を両主面とする光電変換基板と、前記第1主面に設けられた第1電極部と、前記第2主面に設けられた第2電極部を有する太陽電池セルの製造方法であって、
前記光電変換基板の第1主面に前記第1電極部を形成する第1電極形成工程と、
液状樹脂を含む導電性ペーストを前記光電変換基板の第2主面に塗布し、前記導電性ペーストの液状樹脂の一部が前記光電変換基板への塗布部分から染み出た状態で前記導電性ペーストを固化させることで前記第2電極部と、前記液状樹脂の樹脂成分を含む樹脂被覆部とを形成する第2電極形成工程を含み、
前記第1電極形成工程と前記第2電極形成工程が終了した状態において、前記第1電極部は、平面視したときに、大部分が前記樹脂被覆部と重なる、太陽電池セルの製造方法。
【請求項10】
前記導電性ペーストは、導電性粒子と前記液状樹脂を含む、請求項9に記載の太陽電池セルの製造方法。
【請求項11】
請求項1又は2に記載の太陽電池セルを複数有し、複数の太陽電池セルが厚み方向に重畳した太陽電池セルの重畳構造であって、
前記複数の太陽電池セルには、厚み方向に隣接する第1太陽電池セルと第2太陽電池セルがあり、
前記第1太陽電池セルの第1主面は、前記第2太陽電池セルの第2主面と対向しており、
前記第1太陽電池セルは、平面視したときに、前記第2太陽電池セルと重畳し、第1電極部の大部分が、前記第2太陽電池セルの樹脂被覆部と重なっている、太陽電池セルの重畳構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池セル、太陽電池セルの製造方法、及び太陽電池セルの重畳構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、一枚のパネル状の太陽電池セルを短冊状の複数の分割太陽電池セルに分割し、分割太陽電池セルの端辺同士を電気的に接続した太陽電池モジュールが知られている(例えば、特許文献1)。
特許文献1の太陽電池モジュールは、分割太陽電池セルの端辺同士を重ねて接続するので(シングリング接続、Shingling接続と呼ばれる)、有効受光面積を大きくでき、従来に比べて出力が大きい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2020/158379号
【特許文献2】特開2006-278940号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、太陽電池セルを切断する工程は、太陽電池セルを製造した製造ラインとは異なる製造ラインで行う場合がある。
このような場合、特許文献2のように、製造ライン間で太陽電池セルを上下に重ねて梱包して運搬することが考えられる。
しかしながら、特許文献2の梱包方法では、上段の太陽電池セルの電極部と下段の太陽電池セルの電極部が重なる位置にあるので、電極部同士が接触するとともに、上段の太陽電池セルの重量を電極部間の接触部分で支持することになる。そのため、接触面積が小さく安定せず、電極部に欠けや割れ等が発生したりする問題がある。
そこで、本発明者は、上段の太陽電池セルの電極部と下段の太陽電池セルの電極部の位置をずらすことで、電極部同士の接触面積を減らすことを試みた。
しかしながら、上段の太陽電池セルの電極部と下段の太陽電池セルの電極部の位置をずらした太陽電池セルを試作すると、上段の太陽電池セルの電極部が下段の太陽電池セルの光電変換基板の表面に接触して光電変換基板の表面に傷等の損傷が発生し、当該損傷により品質が低下するおそれがあった。
【0005】
そこで、本発明は、他の太陽電池セルとともに積み重ねたときに、電極部が接触することによる光電変換基板への傷等の損傷を抑制できる太陽電池セル及び太陽電池セルの製造方法を提供することを課題とする。また本発明は、隣接する太陽電池セルにおいて電極部が接触することによる光電変換基板への傷等の損傷を抑制できる太陽電池セルの重畳構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した課題を解決するための本発明の一つの様相は、第1主面と第2主面を両主面とする光電変換基板と、前記第1主面に設けられた第1電極部と、前記第2主面に設けられた第2電極部を有し、前記光電変換基板の第2主面は、前記第2電極部の近傍に樹脂被覆部が形成されており、前記第1電極部は、前記光電変換基板を平面視したときに、大部分が前記樹脂被覆部と重なっている、太陽電池セルである。
【0007】
ここでいう「近傍」とは、1mm以内の範囲をいう。
ここでいう「大部分」とは、全体の80%以上の部分をいい、「平面視したときの第1電極部の大部分」とは、第1電極部の全面積の80%以上の面積をいう。
【0008】
本様相によれば、他の太陽電池セルとともに積み重ねたときに、他の太陽電池セルの第1電極部の大部分を光電変換基板の第2主面に設けられた樹脂被覆部で受けることができるため、他の太陽電池セルの第1電極部が光電変換基板の第2主面に直接接触することによる傷等の損傷を抑制できる。
【0009】
好ましい様相は、前記第1電極部は、以下の(1)又は(2)を満たす。
(1)前記第1電極部は、前記光電変換基板を平面視したときに、大部分が前記樹脂被覆部と重なっており、残部が前記第2電極部と重なっている。
(2)前記第1電極部は、前記光電変換基板を平面視したときに、全体が前記樹脂被覆部と重なっている。
【0010】
本様相によれば、他の太陽電池セルとともに積み重ねたときに、他の太陽電池セルの第1電極部を光電変換基板の第2主面に設けられた樹脂被覆部又は第2電極部で受けることができるため、他の太陽電池セルの第1電極部が光電変換基板の第2主面に直接接触することによる傷等の損傷をより抑制できる。
【0011】
好ましい様相は、前記第1電極部は、前記光電変換基板を平面視したときに、全体が前記樹脂被覆部と重なっている。
【0012】
好ましい様相は、前記第2電極部は、前記樹脂被覆部と隣接しており、前記樹脂被覆部と共通の樹脂成分を含む。
【0013】
好ましい様相は、前記第1電極部は、第1集電極を有し、前記第1集電極は、所定の方向に延びる第1バスバー電極部と、前記第1バスバー電極部から前記第1バスバー電極部の延び方向に対する交差方向に延びる第1フィンガー電極部を有し、前記第1フィンガー電極部は、前記樹脂被覆部と重なっている。
【0014】
好ましい様相は、前記第1電極部は、前記第1主面に対して厚み方向に突出している。
【0015】
好ましい様相は、前記光電変換基板は、前記第1主面又は前記第2主面にテクスチャ構造が形成されており、前記樹脂被覆部は、前記テクスチャ構造の凹凸よりも小さな凹凸が形成された凹凸領域を備えている。
【0016】
より好ましい様相は、前記光電変換基板は、前記第2主面にテクスチャ構造が形成されており、前記樹脂被覆部は、前記テクスチャ構造の凹凸を覆うことで、前記凹凸領域が形成されている。
【0017】
本発明の一つの様相は、第1主面と第2主面を両主面とする光電変換基板と、前記第1主面に設けられた第1電極部と、前記第2主面に設けられた第2電極部を有する太陽電池セルの製造方法であって、前記光電変換基板の第1主面に前記第1電極部を形成する第1電極形成工程と、液状樹脂を含む導電性ペーストを前記光電変換基板の第2主面に塗布し、前記導電性ペーストの一部が前記光電変換基板への塗布部分から染み出た状態で前記導電性ペーストを固化させることで前記第2電極部と、前記液状樹脂の樹脂成分を含む樹脂被覆部とを形成する第2電極形成工程を含み、前記第1電極形成工程と前記第2電極形成工程が終了した状態において、前記第1電極部は、平面視したときに、大部分が前記樹脂被覆部と重なる、太陽電池セルの製造方法である。
【0018】
本様相によれば、他の太陽電池セルとともに積み重ねたときに、他の太陽電池セルの第1電極部の大部分を樹脂被覆部で受けることができる太陽電池セルを製造できる。
本様相によれば、第2電極部と樹脂被覆部を導電性ペーストによって同時に形成することができ、容易に製造できる。
【0019】
好ましい様相は、前記導電性ペーストは、導電性粒子と前記液状樹脂を含む。
【0020】
本発明の一つの様相は、上記の太陽電池セルを複数有し、複数の太陽電池セルが厚み方向に重畳した太陽電池セルの重畳構造であって、前記複数の太陽電池セルには、厚み方向に隣接する第1太陽電池セルと第2太陽電池セルがあり、前記第1太陽電池セルの第1主面は、前記第2太陽電池セルの第2主面と対向しており、前記第1太陽電池セルは、平面視したときに、前記第2太陽電池セルと重畳し、第1電極部の大部分が、前記第2太陽電池セルの樹脂被覆部と重なっている、太陽電池セルの重畳構造である。
【0021】
本様相によれば、第1太陽電池セルの第1電極部の大部分を第2太陽電池セルの樹脂被覆部で受けることができるため、第1太陽電池セルの第1電極部が第2太陽電池セルの光電変換基板に接触することによる傷等の損傷を防止できる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の太陽電池セルによれば、他の太陽電池セルとともに積み重ねたときに、電極部が接触することによる光電変換基板への傷等の損傷を抑制できる。
本発明の太陽電池セルの製造方法によれば、第2電極部と樹脂被覆部を導電性ペーストによって同時に形成することができ、容易に製造できる。
本発明の太陽電池セルの重畳構造によれば、第1太陽電池セルの第1電極部が第2太陽電池セルの光電変換基板に接触することによる第2太陽電池セルの光電変換基板への傷等の損傷を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の第1実施形態の太陽電池セルの重畳構造の斜視図である。
【
図3】
図1の太陽電池セルの説明図であり、(a)は第1セル主面側から視た斜視図であり、(b)は(a)の太陽電池セルを矢印Rの方向に回転させ、第2セル主面側から視た斜視図である。
【
図4】
図2の太陽電池セルの説明図であり、(a)は
図2のA-A断面の端面図であり、(b)は
図2のB-B断面の端面図である。
【
図5】
図4の太陽電池セルの説明図であり、(a)は
図4(a)のC領域の拡大図であり、(b)は
図4(a)のD領域の拡大図である。
【
図6】
図1の太陽電池セルを分割した分割太陽電池セルを用いた太陽電池モジュールの平面図であり、理解を容易にするために第1封止部材及び第1封止材を省略している。
【
図7】
図6の太陽電池モジュールの断面の端面図であり、理解を容易にするために第1封止材及び第2封止材のハッチングを省略している。
【
図8】
図6の分割太陽電池セルの断面斜視図である。
【
図9】
図1の太陽電池セルを製造する太陽電池セル製造工程の説明図であり、(a)は光電変換部形成工程後の断面図であり、(b)は透明導電層形成工程後の断面図である。なお、(b)は各工程で形成された部分についてドットを示し、それ以外はハッチングを省略する。
【
図10】
図1の太陽電池セルを製造する太陽電池セル製造工程の説明図であり、(a)は第1電極形成工程後の断面図であり、(b)は第2電極形成工程後の断面図である。なお、(a),(b)は各工程で形成された部分についてドットを示し、それ以外はハッチングを省略する。
【
図11】重畳工程における太陽電池セル間の位置関係の説明図であり、(a)は縦方向の断面の端面図であり、(b)は横方向の断面の端面図である。
【
図12】
図2の太陽電池セルを加工する太陽電池セル加工工程の説明図であり、(a)はレーザー工程後の断面図であり、(b)は折割工程後の断面図である。なお、(a),(b)は、理解を容易にするためにハッチングを省略している。
【
図13】本発明の他の実施形態の太陽電池セルの要部の説明図であり、(a)は第1フィンガー電極部の間に複数の第2フィンガー電極部が位置する実施形態の平面図であり、(b)は第2フィンガー電極部の間に複数の第1フィンガー電極部が位置する実施形態の平面図である。
【
図14】本発明の他の実施形態の太陽電池セルを加工する太陽電池セル加工工程の説明図であり、(a)はレーザー工程後の太陽電池セルの断面図であり、(b)は折割工程後の太陽電池セルの断面図である。なお、(a),(b)は、理解を容易にするためにハッチングを省略している。
【
図15】本発明の他の実施形態の重畳構造の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0025】
本発明の第1実施形態の太陽電池セルの重畳構造1(以下、単に重畳構造1ともいう)は、
図1のように、複数の太陽電池セル2を有し、太陽電池セル2を天地方向(上下方向Z)に積み重ねた積重体である。
すなわち、重畳構造1は、各太陽電池セル2を寝かした状態で積み重ねられており、上段側の太陽電池セル2の大部分が下段側の太陽電池セル2と重なるように重畳している。
本実施形態の重畳構造1は、平面視したときに、上段側の太陽電池セル2の90%以上が下段側の太陽電池セル2と重なるように重畳している。
なお、重畳構造1を構成する太陽電池セル2の積重数は、特に限定されるものではない。
【0026】
(太陽電池セル2)
太陽電池セル2は、
図2に示される分割線L1で切断して、複数の短冊状の分割太陽電池セル101に分割して使用されるものであり、
図6,
図7のように、各分割太陽電池セル101を直接又は導電性接着材102を介して接続した太陽電池群103を有する太陽電池モジュール100を形成するものである。すなわち、太陽電池セル2は、太陽電池モジュール100の仕掛品である仕掛太陽電池セルである。
【0027】
本実施形態の太陽電池セル2は、結晶型の太陽電池セルであって、ヘテロ接合型の太陽電池セルである。
太陽電池セル2は、
図3のように、第1セル主面10と第2セル主面11を両主面とする板状セルであり、光電変換基板20と、第1電極部21と、第2電極部22と、第1樹脂被覆部23と、第2樹脂被覆部24を備えている。
太陽電池セル2は、
図2のように、光電変換基板20を平面視したときに四角形状をしており、横方向Xに延びる横辺30,31と、縦方向Yに延びる縦辺32,33を備えている。
太陽電池セル2は、横辺30,31が互いに平行となっており、縦辺32,33が互いに平行となっている。
【0028】
(光電変換基板20)
光電変換基板20は、
図4のように、第1基板主面28(第1主面)と、第2基板主面29(第2主面)を両主面とする板状基板であり、第1透明導電層25と、光電変換部26と、第2透明導電層27を備えている。ここで、第1基板主面28(第1主面)が主たる受光面である。
【0029】
透明導電層25,27は、互いに対をなし光電変換部26から電気を取り出す導電層であり、電極部21,22の下地となる下地導電層である。
透明導電層25,27は、透明性と導電性を有するものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、インジウム錫酸化物(ITO)等の透明導電性酸化物で構成されている。
【0030】
光電変換部26は、光エネルギーを電気エネルギーに変換する部位であり、
図5のように、半導体基板35と、第1真性半導体層36と、第1導電型半導体層37と、第2真性半導体層38、第2導電型半導体層39を備えている。
光電変換部26は、半導体基板35の一方の主面側(第1セル主面10側)に第1真性半導体層36、第1導電型半導体層37がこの順に積層され、半導体基板35の他方の主面側(第2セル主面11側)に第2真性半導体層38、第2導電型半導体層39がこの順に積層されている。
【0031】
半導体基板35は、n型シリコンやp型シリコン等のn型又はp型の導電型をもつ基材である。
半導体基板35は、第1導電型半導体層37と逆の導電型を有するものであり、第2導電型半導体層39と同一の導電型を有するものである。
例えば、半導体基板35がp型の半導体で構成される場合には、第1導電型半導体層37がn型半導体で構成され、第2導電型半導体層39がn型半導体で構成される。一方、半導体基板35がn型の半導体で構成される場合には、第1導電型半導体層37がp型半導体で構成され、第2導電型半導体層39がn型半導体で構成される。
すなわち、光電変換部26は、半導体基板35を基準として、第1セル主面10側でpn接合部が形成されている。
pn接合部は、光電変換部26の厚み方向にp型半導体とn型半導体が直接又は真性半導体を介して接合した部位であり、光電変換部26の厚み方向の中央よりも第1セル主面10側に形成されている。
【0032】
第1真性半導体層36は、i型シリコン等の真性半導体で構成される層である。
【0033】
第1導電型半導体層37は、n型シリコンやp型シリコン等のn型又はp型の導電型をもつ半導体層である。
【0034】
第2真性半導体層38は、i型シリコン等の真性半導体で構成される層である
【0035】
第2導電型半導体層39は、p型シリコンやn型シリコン等のp型又はn型の導電型をもつ半導体層であり、第1導電型半導体層37とは異なる導電型を有するものである。
【0036】
光電変換基板20は、
図5のように、半導体基板35の一方の主面(第1基板主面28側の面)と他方の主面(第2基板主面29側の面)の双方に、表面凹凸が形成された第1テクスチャ構造80,81が形成されている。
光電変換基板20は、半導体基板35の一方の主面上の半導体層36,37が半導体基板35の第1テクスチャ構造80の凹凸を追随して反映され、第1導電型半導体層37に表面凹凸が形成された第2テクスチャ構造82が形成されている。
光電変換基板20は、半導体基板35の他方の主面上の半導体層38,39が半導体基板35の第1テクスチャ構造81の凹凸を追随して反映され、第2導電型半導体層39に表面凹凸が形成された第2テクスチャ構造83が形成されている。
光電変換基板20は、第1導電型半導体層37上の第1透明導電層25が第1導電型半導体層37の第2テクスチャ構造82の凹凸を追随して反映され、第3テクスチャ構造84が形成されている。
光電変換基板20は、第2導電型半導体層39上の第2透明導電層27が第2導電型半導体層39の第2テクスチャ構造83の凹凸を追随して反映され、第3テクスチャ構造85が形成されている。
光電変換基板20は、透明導電層25,27が基板主面28,29の全面に形成されておらず、平面視したときに、基板主面28,29の一部に第2テクスチャ構造82,83がそれぞれ形成されており、基板主面28,29の残部に第3テクスチャ構造84,85がそれぞれ形成されている。
【0037】
(第1電極部21)
第1電極部21は、第1導電ペーストが固化して形成されるものであり、
図2,
図3(a)のように、複数の第1集電極40(40a~40d)で構成されている。
第1集電極40は、
図3(a),
図4のように、第1セル主面10の一部を構成し、光電変換基板20の第1基板主面28上に部分的に積層された導電層である。
第1集電極40は、第1セル主面10の他の部分(光電変換基板20の第1基板主面28)に対して厚み方向に厚み分突出している。
第1集電極40の厚みは、特に限定されるものではないが、5μm以上40μm以下であることが好ましい。
【0038】
第1集電極40は、
図2,
図3(a)のように、櫛歯状に延びており、第1バスバー電極部50と、複数の第1フィンガー電極部51でそれぞれ構成されている。
第1集電極40は、導電性を有するものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、金、銀、アルミニウム、銅、パラジウム等の金属又はその金属合金を主成分とする金属材料で構成できる。第1集電極40は、下地となる第1透明導電層25よりも導電率が高いことが好ましい。
本実施形態の第1集電極40は、後述する第1電極形成工程によって、第1導電性ペーストから第1樹脂被覆部23と同時に形成されるものであり、第1樹脂被覆部23と共通の樹脂成分を含んでいる。
各第1集電極40a~40dは、
図3(a)のように、それぞれ独立して個別に設けられており、互いに直接接続されていない。
【0039】
第1バスバー電極部50は、
図2のように、平面視したときに、横方向Xに延び、各第1フィンガー電極部51の端部間を接続する接続部である。
各第1集電極40a~40dの第1バスバー電極部50は、縦方向Yに間隔を空けて配されており、それぞれ平行となっている。
本実施形態の各第1集電極40a~40dの第1バスバー電極部50は、縦方向Yに等間隔に並設されている。
第1バスバー電極部50の幅は、特に限定されるものではないが、0.1mm以上8mm以下であることが好ましい。
【0040】
第1フィンガー電極部51は、第1バスバー電極部50の延び方向(横方向X)の中間部から横辺31側に向かって縦方向Yに延びる線状電極部である。
各第1フィンガー電極部51は、
図2のように、同一方向に延びて、横方向Xに間隔D2を空けて並設されており、本実施形態の各第1フィンガー電極部51は、横方向Xに間隔D2を空けて等間隔に並設されている。
第1フィンガー電極部51の幅は、第1バスバー電極部50の幅よりも狭くなっており、20μm以上70μm以下であることが好ましい。
隣接する第1フィンガー電極部51,51の間隔D2は、後述する第1電極形成工程において第1導電性ペーストの染み出しによって第1フィンガー電極部51,51間を第1樹脂被覆部23で覆う観点から、1mm以下であることが好ましい。
【0041】
(第2電極部22)
第2電極部22は、第2導電ペーストが固化して形成されるものであり、
図2,
図3(b)のように、複数の第2集電極60(60a~60d)で構成されている。
第2集電極60は、
図3(b),
図4のように、第2セル主面11の一部を構成し、光電変換基板20の第2基板主面29上に部分的に積層された導電層である。
第2集電極60は、第2セル主面11の他の部分(光電変換基板20の第2基板主面29)に対して厚み方向に厚み分突出している。
第2集電極60の厚みは、特に限定されるものではないが、5μm以上40μm以下であることが好ましい。
【0042】
第2集電極60は、
図2,
図3(b)のように、櫛歯状に延びており、第2バスバー電極部70と、複数の第2フィンガー電極部71で構成されている。
第2集電極60は、導電性を有するものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、金、銀、アルミニウム、銅、パラジウム等の金属又はその金属合金を主成分とする金属材料で構成できる。第2集電極60は、下地となる第2透明導電層27よりも導電率が高いことが好ましい。
本実施形態の第2集電極60は、後述する第2電極形成工程によって、第2導電性ペーストから第2樹脂被覆部24と同時に形成されるものであり、第2樹脂被覆部24と共通の樹脂成分を含んでいる。
各第2集電極60a~60dは、
図3(b)のように、それぞれ独立して個別に設けられており、互いに直接接続されていない。
【0043】
第2バスバー電極部70は、
図2のように、平面視したときに、横方向Xに延び、各第2フィンガー電極部71の端部間を接続する接続部である。
各第2集電極60a~60dの第2バスバー電極部70は、縦方向Yに間隔を空けて配されており、それぞれ平行となっている。
本実施形態の各第2集電極60a~60dの第2バスバー電極部70は、縦方向Yに等間隔に並設されている。
第2バスバー電極部70の幅は、特に限定されるものではないが、0.1mm以上8mm以下であることが好ましい。
【0044】
第2フィンガー電極部71は、第2バスバー電極部70の横方向Xの中間部から横辺30側に向かって縦方向Yに延びる線状電極部である。
各第2フィンガー電極部71は、
図2のように、同一方向に延びて、横方向Xに間隔D3を空けて並設されており、本実施形態の各第2フィンガー電極部71は、横方向Xに間隔D3を空けて等間隔に並設されている。
隣接する第2フィンガー電極部71,71の間隔D3は、隣接する第1フィンガー電極部51,51の間隔D2とほぼ同じ間隔であり、同じ間隔であることが好ましい。
ここでいう「ほぼ同じ間隔」とは、第1フィンガー電極部51の間隔D2と第2フィンガー電極部71の間隔D3の差が1μm以下であることをいう。
第2フィンガー電極部71の幅は、第2バスバー電極部70の幅よりも狭くなっており、20μm以上70μm以下であることが好ましい。
隣接する第2フィンガー電極部71,71の間隔D3は、後述する第2電極形成工程において第2導電性ペーストの染み出しによって第2フィンガー電極部71,71間を第2樹脂被覆部24で覆う観点から、1mm以下であることが好ましい。
【0045】
(第1樹脂被覆部23)
第1樹脂被覆部23は、重畳構造1を形成する際に、他の太陽電池セル2とともに積み重ねたときに、光電変換基板20の第1基板主面28を、他の太陽電池セル2の第2電極部22の物理的・力学的なコンタクトから保護する層である。
また、後述するレーザー工程において照射されるレーザー光から光電変換基板20を保護し、光電変換基板20へのダメージを抑制する層でもある。
第1樹脂被覆部23は、ガスバリア性と絶縁性と透光性を有することが好ましい。
本実施形態の第1樹脂被覆部23は、第1電極部21を形成する際に使用する第1導電性ペーストの液状樹脂を含む樹脂成分が固化したものであり、第1電極部21と共通の樹脂成分を含んでいる。すなわち、第1電極部21と第1樹脂被覆部23の間には、連続的につながった樹脂部分がある。
第1樹脂被覆部23は、
図4のように、第1電極部21と隣接して設けられ、第1電極部21と連続している。
第1樹脂被覆部23は、第1透明導電層25上から第1導電型半導体層37の第1透明導電層25からの露出部分に跨っており、下地となる第1導電型半導体層37の第2テクスチャ構造82と第1透明導電層25の第3テクスチャ構造84の凹凸を追随して反映され、凹凸領域86が形成されている。
凹凸領域86は、流動性を有する液状樹脂を含む樹脂成分によって形成されているため、凹凸が均されており、第2テクスチャ構造82の凹凸や第3テクスチャ構造84の凹凸よりも表面凹凸が小さい。
【0046】
(第2樹脂被覆部24)
第2樹脂被覆部24は、重畳構造1を形成する際に、他の太陽電池セル2とともに積み重ねたときに、光電変換基板20の第2基板主面29を、他の太陽電池セル2の第1電極部21の物理的・力学的なコンタクトから保護する層である。
第2樹脂被覆部24は、ガスバリア性と絶縁性と透光性を有することが好ましい。
本実施形態の第2樹脂被覆部24は、第2電極部22を形成する際に使用する第2導電性ペーストの液状樹脂を含む樹脂成分が固化したものであり、第2電極部22と共通の樹脂成分を含むものである。すなわち、第2電極部22と第2樹脂被覆部24の間には、連続的につながった樹脂部分がある。
第2樹脂被覆部24は、
図4のように、第2電極部22と隣接して設けられ、第2電極部22と連続している。
第2樹脂被覆部24は、第2透明導電層27上から第2導電型半導体層39の第2透明導電層27からの露出部分に跨っており、下地となる第2導電型半導体層39の第2テクスチャ構造83と第2透明導電層27の第3テクスチャ構造85の凹凸を追随して反映され、凹凸領域87が形成されている。
凹凸領域87は、流動性を有する液状樹脂を含む樹脂成分によって形成されているため、凹凸が均されており、第2テクスチャ構造83の凹凸や第3テクスチャ構造85の凹凸よりも表面凹凸が小さい。
【0047】
(太陽電池モジュール100)
太陽電池モジュール100は、
図6,
図7のように、複数の分割太陽電池セル101が直接又は導電性接着材102によって電気的に直列接続された複数の太陽電池群103が第1封止部材115と第2封止部材116で挟まれ、第1封止部材115と第2封止部材116の間を第1封止材117と第2封止材118で充填されて封止されたものである。
また太陽電池モジュール100は、
図6のように、各太陽電池群103の電気の流れ方向の端部が外部への取出配線113,114に接続されており、各太陽電池群103が電気的に並列接続されている。
【0048】
(分割太陽電池セル101)
分割太陽電池セル101は、太陽電池セル2が
図2に示される分割線L1で切断され、分割されたものである。
分割太陽電池セル101は、
図8のように、光電変換基板20の第1基板主面28に第1集電極40と第1樹脂被覆部23が設けられ、第2基板主面29に第2集電極60と第2樹脂被覆部24が設けられている。
分割太陽電池セル101は、切断面である幅方向の端面に、レーザー痕が形成されたレーザー切断部120と、折り割り痕が形成された折割切断部121が形成されている。
レーザー切断部120は、折割切断部121と連続し、折割切断部121に対して傾斜した傾斜面を構成しており、表面に保護樹脂層122が形成されている。
分割太陽電池セル101の光電変換基板20は、平面視したときに、縦方向Yに幅をもち、横方向Xに延びている。
保護樹脂層122は、第1樹脂被覆部23と連続し、第1樹脂被覆部23に含まれる樹脂成分の酸化物成分を含んでいる。
【0049】
(導電性接着材102)
導電性接着材102は、導電性を有した導電部材であり、
図7のように、分割太陽電池セル101,101のバスバー電極部50,70間を接続する接着材である。
本実施形態の導電性接着材102は、導電性フィルムの両面に導電性粘着材が設けられた導電性接着フィルムである。
【0050】
(封止部材115,116)
封止部材115,116は、面状に広がりをもち、封止性と絶縁性を有する絶縁封止基板である。
少なくとも受光側の封止部材115は、厚み方向に光を透過可能な透光性部材である。
【0051】
(封止材117,118)
封止材117,118は、封止性を有し、封止部材115,116とともに太陽電池群103を封止する部材であり、封止部材115,116間を接着する接着材でもある。
【0052】
続いて、本実施形態の太陽電池セル2の各部位の位置関係について説明する。
【0053】
太陽電池セル2は、
図2のように、光電変換基板20を平面視したときに、縦方向Yに隣接する第1集電極40,40の間に第2集電極60が位置しており、縦方向Yに隣接する第2集電極60,60の間に第1集電極40が位置している。
第1集電極40a~40cの第1バスバー電極部50は、隣接する第2集電極60b~60dの第2バスバー電極部70と近接した位置で平行に延びている。
縦方向Yに最近接する第1バスバー電極部50と第2バスバー電極部70との間には、分割太陽電池セル101を分割する際の切断領域が設けられている。
図2に示される分割線L1を挟んで隣接する第1バスバー電極部50と第2バスバー電極部70の間隔D1(切断領域の幅)は、太陽電池セル2を分割しやすさの観点から、0.5mm以上4mm以下であることが好ましい。
各第1集電極40の第1バスバー電極部50は、
図4(a)のように、各第2集電極60の第2バスバー電極部70に対して縦方向Yにずれており、厚み方向に重なっていない。
【0054】
第1集電極40の第1フィンガー電極部51は、
図2のように、光電変換基板20を平面視すると、第2集電極60の第2フィンガー電極部71とは逆方向に延びており、その延伸方向の先端部は、対向する第2集電極60の近傍まで至っている。
第1フィンガー電極部51は、第1バスバー電極部50から横方向Xに隣接する第2フィンガー電極部71,71の間を位置して延びており、第2フィンガー電極部71は、第2バスバー電極部70から横方向Xに隣接する第1フィンガー電極部51,51の間に位置して延びている。
【0055】
各第1集電極40の第1フィンガー電極部51は、
図4(b)のように、各第2集電極60の第2フィンガー電極部71に対して横方向Xにずれており、厚み方向に重なっていない。
各第1フィンガー電極部51は、横方向Xに隣接する第2フィンガー電極部71,71の間に位置しており、隣接する第2フィンガー電極部71,71間の中央に位置することが好ましい。
各第2フィンガー電極部71は、横方向Xに隣接する第1フィンガー電極部51,51の間に位置しており、隣接する第1フィンガー電極部51,51間の中央に位置することが好ましい。
【0056】
太陽電池セル2の第1セル主面10は、
図5のように、第1電極部21と第1樹脂被覆部23で構成された第1内縁領域130が形成されており、第1内縁領域130の縁は、太陽電池セル2の外周縁から0.5mm以内の範囲に形成されている。
第1内縁領域130は、第1電極部21の総面積よりも第1樹脂被覆部23の総面積の方が大きいことが好ましい。
第1セル主面10の第1内縁領域130では、隣接する第1バスバー電極部50,50の間が第1樹脂被覆部23で構成されており、隣接する第1フィンガー電極部51,51の間も第1樹脂被覆部23で構成されている。
第1内縁領域130の面積は、第1透明導電層25の面積よりも広く、
図5(a)のように第1樹脂被覆部23が第1透明導電層25の端面を覆っている。
【0057】
同様に、太陽電池セル2の第2セル主面11は、第2電極部22と第2樹脂被覆部24で構成された第2内縁領域131が形成されており、第2内縁領域131の縁は、太陽電池セル2の外周縁から0.5mm以内の範囲に形成されている。
第2内縁領域131は、第2電極部22の総面積よりも第2樹脂被覆部24の総面積の方が大きいことが好ましい。
第2セル主面11の第2内縁領域131では、隣接する第2バスバー電極部70,70の間が第2樹脂被覆部24で構成されており、隣接する第2フィンガー電極部71,71の間も第2樹脂被覆部24で構成されている。
第2内縁領域131の面積は、第2透明導電層27の面積よりも広く、
図5(a)のように、第2樹脂被覆部24が第2透明導電層27の端面を覆っている。
【0058】
続いて、本実施形態の太陽電池モジュール100の製造方法について説明する。
【0059】
太陽電池モジュール100の製造方法は、第1製造ラインと第2製造ラインに跨って製造されるものであり、太陽電池セル製造工程と、重畳構造形成工程と、搬送工程と、太陽電池セル加工工程で構成されている。
【0060】
(太陽電池セル製造工程)
太陽電池セル製造工程は、第1製造ラインで太陽電池セル2を形成する工程である。
太陽電池セル製造工程では、まず、異方性アルカリウェットエッチングにより、半導体基板35の両面をエッチングするとともに、表面に第1テクスチャ構造80,81を形成する。続いて、プラズマCVD装置等によって、
図9(a)のように半導体基板35の一方の主面上に第1真性半導体層36及び第1導電型半導体層37をこの順に積層し、半導体基板35の他方の主面上に第2真性半導体層38及び第2導電型半導体層39をこの順に積層して光電変換部26を形成する(光電変換部形成工程)。
【0061】
続いて、スパッタ装置等によって、
図9(b)のように、光電変換部26の一方の主面側及び他方の主面側のそれぞれに透明導電層25,27を形成し、光電変換基板20を形成する(透明導電層形成工程)。
【0062】
このとき、光電変換基板20は、平面視したときに、基板主面28,29の大部分に透明導電層25,27が形成されており、基板主面28,29には外周縁に沿って透明導電層25,27が形成されていない透明導電層非形成領域133,134が形成されている。
すなわち、透明導電層非形成領域133,134は、平面視したときに、光電変換基板20の外周縁に設けられた透明導電層25,27からの光電変換部26の露出部分である。
【0063】
続いて、スクリーン印刷法等によって、
図10(a)のように、光電変換基板20の第1基板主面28を構成する第1透明導電層25上に、導電性粒子と液状樹脂を含む第1導電性ペーストを塗布すると、導電性粒子は密度が大きいため、第1電極部21の形成予定位置にとどまる一方で、液状樹脂は第1電極部21の形成予定位置からさらに染み出る。
すなわち、第1電極部21の形成予定位置には、導電性粒子が凝集し、その導電性粒子の隙間部分は液状樹脂が含まれている一方で、第1電極部21の形成予定位置の近傍には、液状樹脂が染み出る。
そして、この第2導電性ペーストの液状樹脂が第1電極部21の形成予定位置(光電変換基板20への塗布部分)から染み出た状態で、加熱等を行って第1導電性ペーストを固化し、第1電極部21と第1樹脂被覆部23を形成する(第1電極形成工程)。
すなわち、第1電極形成工程では、第1電極部21が形成される第1導電性ペーストの塗布部分から液状樹脂を含む液状成分が第1電極部21の隙間に染み出して第1樹脂被覆部23が形成される。
【0064】
この第1電極形成工程で形成された第1電極部21と第1樹脂被覆部23とは、共通の樹脂成分を含んでいる。すなわち、第1電極部21と第1樹脂被覆部23の間には、連続的につながった樹脂部分がある。より詳細には、第1電極部21を構成する導電性粒子の隙間部分の樹脂の一部と第1樹脂被覆部23の間には、連続的につながった樹脂部分が形成される。
第1導電性ペーストに使用される導電性粒子は、導電性を有する粒子であれば、特に限定されるものではない。導電性粒子としては、例えば、銀、アルミニウム、銅、インジウム、ビスマス、ガリウム等の金属材料が使用できる。
第1導電性ペーストに使用される液状樹脂は、性状が液体状のバインダー樹脂であり、熱や紫外線等によって固化するものであれば、特に限定されるものではない。液状樹脂としては、例えば、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、アクリル系樹脂などの熱硬化性樹脂が使用できる。
第1導電性ペーストは、有機溶剤や無機溶剤などの液状溶剤をさらに含んでいてもよい。
本実施形態の第1導電性ペーストは、導電性粒子と液状樹脂と液状溶剤を含んだ混合物である。
【0065】
この第1電極形成工程において、
図10(a)のように、第1内縁領域130が形成され、この第1内縁領域130は、第1透明導電層非形成領域133と重なり、第1電極部21と第1樹脂被覆部23が第1透明導電層25全体を被覆しており、さらに第1樹脂被覆部23が第1透明導電層25上から第1透明導電層非形成領域133に至る。
すなわち、第1樹脂被覆部23は、第1透明導電層25上から光電変換部26の露出部分に跨って設けられ、第1内縁領域130の外周縁は、第1透明導電層25の外周縁の外側であって光電変換基板20の外周縁の内側に形成される。
【0066】
続いて、スクリーン印刷法等によって、
図10(b)のように、光電変換基板20の第2基板主面29を構成する第2透明導電層27上に導電性粒子と液状樹脂を含む第2導電性ペーストを塗布すると、導電性粒子は密度が大きいため、第2電極部22の形成予定位置にとどまる一方で、液状樹脂は第2電極部22の形成予定位置からさらに染み出る。
すなわち、第2電極部22の形成予定位置には、導電性粒子が凝集し、その導電性粒子の隙間部分は液状樹脂が含まれている一方で、第2電極部22の形成予定位置の近傍には、液状樹脂が染み出る。
そして、この第2導電性ペーストの液状樹脂が第2電極部22の形成予定位置(光電変換基板20への塗布部分)から染み出た状態で、加熱等を行って第2導電性ペーストを固化し、第2電極部22と第2樹脂被覆部24を形成する(第2電極形成工程)。
すなわち、第2電極形成工程では、第2電極部22が形成される第2導電性ペーストの塗布部分から液状樹脂を含む液状成分が第2電極部22の隙間に染み出して第2樹脂被覆部24が形成される。
【0067】
この第2電極形成工程で形成された第2電極部22と第2樹脂被覆部24とは、共通の樹脂成分を含んでいる。すなわち、第2電極部22と第2樹脂被覆部24の間には、連続的につながった樹脂部分がある。より詳細には、第2電極部22を構成する導電性粒子の隙間部分の樹脂の一部と第2樹脂被覆部24の間には、連続的につながった樹脂部分が形成される。
第2導電性ペーストは、第1電極形成工程で使用した第1導電性ペーストと同様の導電性粒子及び液状樹脂が使用できる。
本実施形態の第2導電性ペーストは、導電性粒子と液状樹脂と液状溶剤を含んだ混合物である。
【0068】
この第2電極形成工程において、
図10(b)のように、第2内縁領域131が形成され、この第2内縁領域131は、第2透明導電層非形成領域134と重なり、第2電極部22と第2樹脂被覆部24が第2透明導電層27全体を被覆しており、さらに第2樹脂被覆部24が第2透明導電層27上から第2透明導電層非形成領域134に至る。
すなわち、第2樹脂被覆部24は、第2透明導電層27上から光電変換部26の露出部分に跨って設けられ、第2内縁領域131の外周縁は、第2透明導電層27の外周縁の外側であって光電変換基板20の外周縁の内側に形成される。
【0069】
上記の第1電極形成工程と第2電極形成工程が終了すると、太陽電池セル2が完成し、太陽電池セル製造工程が終了される。
【0070】
(重畳構造形成工程)
重畳構造形成工程は、搬送工程にて太陽電池セル2を第1製造ラインから第2製造ラインへを搬送するために、重畳構造1を形成する工程である。
重畳構造形成工程では、まず、
図1のように、複数の太陽電池セル2を上下方向Zに重ねて、各太陽電池セル2を厚み方向に重畳させて重畳構造1を形成する。
【0071】
このとき、
図11に示される厚み方向に積層された3段の太陽電池セル2A~2Cに注目すると、各太陽電池セル2A~2Cは、第1セル主面10が上面を構成し、第2セル主面11が下面を構成している。
中段の太陽電池セル2B(第1太陽電池セル)は、
図11のように、第2セル主面11の第2電極部22が下段の太陽電池セル2Aの第1セル主面10の第1樹脂被覆部23に接触して支持されており、第1セル主面10の第1電極部21が上段の太陽電池セル2C(第2太陽電池セル)の第2セル主面11の第2樹脂被覆部24に接触して支持している。
中段の太陽電池セル2Bは、第2セル主面11の第2樹脂被覆部24に下段の太陽電池セル2Aの第1電極部21が接触して支持されており、第1セル主面10の第1樹脂被覆部23に上段の太陽電池セル2Cの第2電極部22が接触して支持している。
【0072】
(搬送工程)
搬送工程は、重畳構造形成工程で形成された重畳構造1を第1製造ラインから第2製造ラインに輸送する工程である。
【0073】
(太陽電池セル加工工程)
太陽電池セル加工工程は、第2製造ラインで太陽電池セルを加工して太陽電池モジュール100を形成する工程である。
太陽電池セル加工工程では、まず、重畳構造形成工程で形成された重畳構造1から太陽電池セル2を取り出し、
図2に示される分割線L1で切断し、複数の分割太陽電池セル101に分割する(分割工程)。
【0074】
具体的には、
図12(a)のように、太陽電池セル2の第1セル主面10側から、平面視で、電極部21,22を避けて樹脂被覆部23,24と重なる位置を通過するように、レーザー光を照射して第1樹脂被覆部23から少なくとも半導体基板35の内部(厚み方向の中間部)まで至る分割溝125を形成する(分割溝形成工程)。
【0075】
このとき、第1樹脂被覆部23の一部がレーザー光によって酸化され、保護樹脂層122が分割溝125の表面に形成される。
【0076】
続いて、
図12(b)のように、太陽電池セル2を分割溝125に沿って第2樹脂被覆部24を通過するように折り割り、複数の分割太陽電池セル101に分割する(折割工程)。
【0077】
このとき、分割溝125の底部から厚み方向に切断され、レーザー切断部120と折割切断部121が形成される。
【0078】
続いて、
図7のように、各分割太陽電池セル101の第1バスバー電極部50と第2バスバー電極部70を導電性接着材102で接着して分割太陽電池セル101が電気的に直列接続された太陽電池群103を形成する(太陽電池群形成工程)。
【0079】
続いて、
図6のように、各太陽電池群103の電気の流れ方向の端部のバスバー電極部50,70をそれぞれ取出配線113,114に接続する(配線接続工程)。
【0080】
続いて、
図7のように各太陽電池群103を封止部材115,116で挟み、各太陽電池群103と封止部材115,116の間を封止材117,118で充填して封止することで、太陽電池モジュール100が完成する(組立工程)。
【0081】
本実施形態の太陽電池セル2によれば、第1セル主面10上に、上段の太陽電池セル2の第2セル主面11を積み重ねたときに、上段の太陽電池セル2の第2電極部22の大部分を第1樹脂被覆部23で受けることができるため、上段の太陽電池セル2の第2電極部22が光電変換基板20の第1基板主面28に接触することによる傷等の損傷を低減できる。
また、本実施形態の太陽電池セル2によれば、下段の太陽電池セル2の第1セル主面10上に第2セル主面11を積み重ねたときに、下段の太陽電池セル2の第1電極部21の大部分を第2樹脂被覆部24で受けることができるため、下段の太陽電池セル2の第1電極部21が光電変換基板20の第2基板主面29に接触することによる傷等の損傷を低減できる。
【0082】
本実施形態の太陽電池セル2によれば、第1電極部21は、第1樹脂被覆部23と隣接しており、第1樹脂被覆部23と共通の樹脂成分を含むため、第1導電性ペーストによって同時に形成することができる。同様に、第2電極部22は、第2樹脂被覆部24と隣接しており、第2樹脂被覆部24と共通の樹脂成分を含むため、第2導電性ペーストによって同時に形成することができる。
【0083】
本実施形態の太陽電池セル2によれば、第1バスバー電極部50に比べて細く荷重により切断されやすい第1フィンガー電極部51が平面視したときに第2樹脂被覆部24と重なっているため、第1セル主面10上に、上段の太陽電池セル2の第2セル主面11を積み重ねたときに、第1フィンガー電極部51が上段の太陽電池セル2の第2樹脂被覆部24と接触し、第2樹脂被覆部24が緩衝材として機能する。そのため、第1フィンガー電極部51が切断されにくい。
また、本実施形態の太陽電池セル2によれば、第2バスバー電極部70に比べて細く荷重により切断されやすい第2フィンガー電極部71が平面視したときに第1樹脂被覆部23と重なっているため、下段の太陽電池セル2の第1セル主面10上に第2セル主面11を積み重ねたときに、第2フィンガー電極部71が下段の太陽電池セル2の第1樹脂被覆部23と接触し、第1樹脂被覆部23が緩衝材として機能する。そのため、第2フィンガー電極部71が切断されにくい。
【0084】
本実施形態の太陽電池セル2の製造方法によれば、第1電極部21と第1樹脂被覆部23を第1導電性ペーストによって同時に形成することができ、容易に製造できる。同様に第2電極部22と第2樹脂被覆部24を第2導電性ペーストによって同時に形成することができ、容易に製造できる。
【0085】
本実施形態の太陽電池セル2によれば、第1セル主面10において外周縁から0.5mm以内の範囲に形成された第1内縁領域130が第1電極部21と第1樹脂被覆部23で構成されているため、第1セル主面10から厚み方向に水分等が進入することを抑制できる。
また、本実施形態の太陽電池セル2によれば、第2セル主面11において外周縁から0.5mm以内の範囲に形成された第2内縁領域131が第2電極部22と第2樹脂被覆部24で構成されているため、第2セル主面11から厚み方向に水分等が進入することを抑制できる。
【0086】
本実施形態の太陽電池セル2によれば、電極部21,22と樹脂被覆部23,24が連続的につながった樹脂部分を含むため、電極部21,22と樹脂被覆部23,24の隙間から水分等が進入することを防止できる。
【0087】
本実施形態の太陽電池セル2によれば、内縁領域130,131は、電極部21,22の総面積よりも樹脂被覆部23,24の総面積の方が大きいので、水分等の進入を防止しつつ、受光面積を大きく確保することができる。
【0088】
本実施形態の太陽電池セル2によれば、第1内縁領域130は、隣接する第1フィンガー電極部51,51の間が第1樹脂被覆部23で構成されているので、より水分等の進入を防止できる。
また、本実施形態の太陽電池セル2によれば、第2内縁領域131は、隣接する第2フィンガー電極部71,71の間が第2樹脂被覆部24で構成されているので、より水分等の進入を防止できる。
【0089】
本実施形態の太陽電池セル2によれば、樹脂被覆部23,24は、第2テクスチャ構造82,83の凹凸や第3テクスチャ構造84,85の凹凸よりも小さな凹凸をもつ凹凸領域86,87を備えているので、電極部21,22近傍の濡れ性を低下させることができ、太陽電池群形成工程において導電性接着材102が電極部21,22からはみ出た場合であっても導電性接着材102の濡れ広がりを防止できる。
【0090】
本実施形態の太陽電池セル2によれば、pn接合部が第1電極部21と第1樹脂被覆部23により保護されているため、pn接合部が水分侵入や機械的接触の影響を受けにくい。
【0091】
本実施形態の太陽電池セル2によれば、内縁領域130,131が電極部21,22と樹脂被覆部23,24で構成されているため、光電変換部26との間に透明導電層25,27が介在していても、光電変換部26への水分等の進入を抑制できる。
【0092】
本実施形態の太陽電池セル2によれば、樹脂被覆部23,24は、透明導電層25,27の外周に沿って透明導電層25,27を被覆し、透明導電層25,27から透明導電層非形成領域133,134に至っている。すなわち、樹脂被覆部23,24が透明導電層25,27の端面を覆っているため、光電変換部26と透明導電層25,27との界面方向への水分等の進入を抑制できる。
【0093】
本実施形態の分割太陽電池セル101の製造方法によれば、光電変換基板20の分割溝125が形成される部分が第1樹脂被覆部23によって保護されるので、分割溝125を形成する際の光電変換基板20への影響を抑制できる。
【0094】
本実施形態の分割太陽電池セル101の製造方法によれば、光電変換基板20の折り割りされる部分が第2樹脂被覆部24によって保護されているので、折り割りする際の光電変換基板20への影響を抑制できる。
【0095】
本実施形態の分割太陽電池セル101によれば、光電変換基板20の端面の一部に保護樹脂層122が形成されているため、光電変換基板20の端面での短絡が生じにくく、信頼性が高い。
【0096】
本実施形態の太陽電池セル2によれば、第1電極部21と第2電極部22が平面視したときに重なっていないので、他の太陽電池セル2ともに積み重ねたときに、電極部21,22同士が接触することによる欠けや割れ等の不具合が生じることを防止できる。
【0097】
本実施形態の太陽電池セル2によれば、平面視したときに、第1フィンガー電極部51と第2フィンガー電極部71が第1バスバー電極部50と第2バスバー電極部70の間を互いに逆方向に延びているので、太陽電池セル2を複数積み重ねた場合に、太陽電池セル2の面内に均等に荷重がかかるので、より安定する。
【0098】
本実施形態の太陽電池セル2によれば、平面視したときに、第1フィンガー電極部51が横方向Xに隣接する第2フィンガー電極部71,71の間に位置して延びており、第2フィンガー電極部71が横方向Xに隣接する第1フィンガー電極部51,51の間に位置して延びているので、太陽電池セル2を複数積み重ねた場合に、太陽電池セル2の面内に均等に荷重がかかるので、より安定する。
【0099】
本実施形態の太陽電池セル2によれば、互いに独立した第1集電極40a,40bの間に第2集電極60bが位置しており、互いに独立した第2集電極60a,60bの間に第1集電極40aが位置しているので、第1集電極40aと第2集電極60bの間で切断しても、切断された各分割太陽電池セル101でそれぞれ第1集電極40a(40b)と第2集電極60a(60b)から電力を取り出すことができる。
【0100】
本実施形態の重畳構造1によれば、下段の太陽電池セル2Bの第1電極部21と上段の太陽電池セル2Cの第2電極部22が接触していないので、電極部21,22同士が接触することによって欠けや割れ等の不具合が生じることを防止できる。
【0101】
上記した実施形態では、太陽電池セル2を寝かして上下方向Zに太陽電池セル2を重ねていたが、本発明はこれに限定されるものではない。太陽電池セル2を立たして上下方向Zに対する交差方向に太陽電池セル2を重ねてもよい。
【0102】
上記した実施形態では、太陽電池セル2を複数積み重ねていたが、本発明はこれに限定されるものではない。分割太陽電池セル101を複数積み重ねてもよい。
【0103】
上記した実施形態では、1枚の太陽電池セル2から4枚の分割太陽電池セル101に分割されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。1枚の太陽電池セル2から2枚以上3枚以下の分割太陽電池セル101に分割されていてもよいし、5枚以上の分割太陽電池セル101に分割されていてもよい。この場合、分割する分割太陽電池セル101の数に応じて各集電極40,60の数を増減させることになる。
【0104】
上記した実施形態では、太陽電池セル2を複数の分割太陽電池セル101に分割していたが、本発明はこれに限定されるものではない。太陽電池セル2を分割しなくてもよい。
【0105】
上記した実施形態では、第1電極形成工程後に第2電極形成工程を行ったが本発明はこれに限定されるものではない。第2電極形成工程後に第1電極形成工程を行ってもよい。
【0106】
上記した実施形態では、pn接合部は、半導体基板35を基準として第1セル主面10側に設けられていたが、本発明はこれに限定されるものではない。pn接合部は、半導体基板35を基準として第2セル主面11側に設けられていてもよい。
【0107】
上記した実施形態では、各電極部21,22はバスバー電極部50,70と、フィンガー電極部51,71とを有していたが、本発明はこれに限定されるものではない。バスバー電極が設けられていない、いわゆるバスバーレスの太陽電池セルであってもよい。
【0108】
上記した実施形態では、第1フィンガー電極部51は、等間隔に並設されているが、本発明はこれに限定されるものではない。第1フィンガー電極部51は、非等間隔であってもよい。同様に、上記した実施形態では、第2フィンガー電極部71は、等間隔に並設されているが、本発明はこれに限定されるものではない。第2フィンガー電極部71は、非等間隔であってもよい。
【0109】
上記した実施形態では、第1フィンガー電極部51の間隔D2と、第2フィンガー電極部71の間隔D3とは、ほぼ同じであったが、本発明はこれに限定されるものではない。第1フィンガー電極部51の間隔D2は第2フィンガー電極部71の間隔D3より狭くてもよいし、第2フィンガー電極部71の間隔D3は第1フィンガー電極部51の間隔D2より狭くてもよい。
また、複数本の第1フィンガー電極部51は、
図13(a)のように、横方向Xに隣接する第2フィンガー電極部71,71の間に位置してもよい。また、複数の第2フィンガー電極部71は、
図13(b)のように、横方向Xに隣接する第1フィンガー電極部51,51の間に位置してもよい。
例えば、
図13(a)のように、複数の第1フィンガー電極部51が等間隔に間隔D2を隔てて並設されており、複数の第2フィンガー電極部71が等間隔に間隔D2/n(nは2以上の自然数)を隔てて並設されている場合には、各第1フィンガー電極部51は、横方向Xに隣接する第2フィンガー電極部71,71の中央に位置し、隣接する第1フィンガー電極部51,51の間には、n本の第2フィンガー電極部71が位置する構成としても良い。
また、例えば、
図13(b)のように、複数の第2フィンガー電極部71が等間隔に間隔D3を隔てて並設されており、複数の第1フィンガー電極部51が等間隔に間隔D3/n(nは2以上の自然数)を隔てて並設されている場合には、各第2フィンガー電極部71は、横方向Xに隣接する第1フィンガー電極部51,51の中央に位置し、隣接する第2フィンガー電極部71,71の間には、n本の第1フィンガー電極部51が位置する構成としても良い。
【0110】
上記した実施形態では、太陽電池セル2は、各電極部21,22が縦方向Yに間隔を空けて並んでいたが、本発明はこれに限定されるものではない。太陽電池セル2は、各電極部21,22が横方向Xに並んでいてもよい。
【0111】
上記した実施形態では、太陽電池セル2が結晶型の太陽電池セルであってヘテロ接合型の太陽電池セルの場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。太陽電池セル2は他の種類の太陽電池セルであってもよい。例えば、PERC型の太陽電池セルであってもよい。
【0112】
上記した実施形態では、第1内縁領域130は、第1電極部21と第1樹脂被覆部23のみで構成されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。第1内縁領域130は、光電変換基板20が部分的に第1電極部21及び第1樹脂被覆部23から露出していてもよい。同様に第2内縁領域131は、第2電極部22と第2樹脂被覆部24のみで構成されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。第2内縁領域131は、光電変換基板20が部分的に第2電極部22及び第2樹脂被覆部24から露出していてもよい。
【0113】
上記した実施形態では、光電変換基板20の両基板主面28,29に樹脂被覆部23,24が形成されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。光電変換基板20の両基板主面28,29のうち一方の基板主面28(基板主面29)にのみ樹脂被覆部23(樹脂被覆部24)が被覆されていてもよい。
【0114】
上記した実施形態では、光電変換基板20の第1基板主面28側と第2基板主面29側の両方に樹脂被覆部23,24を形成したが、本発明はこれに限定されるものではない。光電変換基板20の一方の基板主面28(基板主面29)側のみに樹脂被覆部23(樹脂被覆部24)を形成してもよい。
【0115】
上記した実施形態では、太陽電池セル2は、光電変換基板20を平面視したときに、第1電極部21の全体が第2樹脂被覆部24と重なっていたが、本発明はこれに限定されるものではない。第1電極部21は、大部分が第2樹脂被覆部24と重なり、残部が第2電極部22と重なっていてもよい。
同様に、太陽電池セル2は、光電変換基板20を平面視したときに、第2電極部22の全体が第1樹脂被覆部23と重なっていたが、本発明はこれに限定されるものではない。第2電極部22は、大部分が第1樹脂被覆部23と重なり、残部が第1電極部21と重なっていてもよい。
【0116】
上記した実施形態では、重畳構造1は、バスバー電極部50,70とフィンガー電極部51,71の双方が樹脂被覆部24,23と接触していたが、本発明はこれに限定されるものではない。バスバー電極部50,70は、樹脂被覆部24,23と接触していなくてもよい。すなわち、バスバー電極部50,70と対応する位置に樹脂被覆部24,23が設けられていなくてもよく、バスバー電極部50,70同士が接触してもよい。また、下段の太陽電池セル2Bの第1フィンガー電極部51の先端部が上段の太陽電池セル2Cの第2バスバー電極部70と接触してもよい。
【0117】
上記した実施形態では、第1電極部21の厚みと第2電極部22の厚みとがほぼ同じであったが、本発明はこれに限定されるものではない。第1電極部21の厚みが第2電極部22の厚みより大きくてもよい。その場合、
図11のような重畳構造において、中段の太陽電池セル2B(第1太陽電池セル)は、第1セル主面10の第1電極部21が上段の太陽電池セル2C(第2太陽電池セル)の第2セル主面11の第2樹脂被覆部24に接触して太陽電池セル2Cを支持している。また、中段の太陽電池セル2Bは、第2セル主面11の第2樹脂被覆部24に下段の太陽電池セル2Aの第1電極部21が接触して支持される。
【0118】
上記した実施形態では、第1電極部21の厚みと第2電極部22の厚みとがほぼ同じであったが、本発明はこれに限定されるものではない。第2電極部22の厚みが第1電極部21の厚みより大きくてもよい。その場合、
図11のような重畳構造において、中段の太陽電池セル2B(第1太陽電池セル)は、第2セル主面11の第2電極部22が下段の太陽電池セル2Aの第1セル主面10の第1樹脂被覆部23に接触して支持される。また、 中段の太陽電池セル2Bは、第1セル主面10の第1樹脂被覆部23に上段の太陽電池セル2Cの第2電極部22が接触して支持している。
【0119】
上記した実施形態では、レーザー光を照射することで分割溝125を形成したが、本発明はこれに限定されるものではない。ダイシングソー等の他の手法により分割溝125を形成してもよい。
【0120】
上記した実施形態では、分割工程において、第1セル主面10側からレーザー光を照射して分割溝125を形成し、分割溝125に沿って折って複数の分割太陽電池セル101に分割したが、本発明はこれに限定されるものではない。分割工程において、
図14(a)のように第2セル主面11側からレーザー光を照射して分割溝125を形成し、
図14(b)のように分割溝125に沿って折って複数の分割太陽電池セル101に分割してもよい。
また、分割工程においてレーザー光を照射して太陽電池セル2の厚み方向全体に至る分割溝125を形成して複数の分割太陽電池セル101に分割してもよい。すなわち、レーザー工程のみで複数の分割太陽電池セル101に分割してもよい。この場合、第1セル主面10側からレーザー光を照射してもよいし、第2セル主面11側からレーザー光を照射してもよい。この場合、光電変換基板20の端面の全部に保護樹脂層122が形成されることになる。
【0121】
上記した実施形態では、平面視したときに隣接する第1集電極40,40間が第1樹脂被覆部23に被覆されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。他の太陽電池セル2の第2集電極60が接触する部分に第1樹脂被覆部23が被覆していれば、第1樹脂被覆部23の被覆範囲は特に限定されない。例えば、
図15のように第1樹脂被覆部23を第1電極部21の近傍のみに形成してもよい。
同様に上記した実施形態では、平面視したときに隣接する第2集電極60,60間が第2樹脂被覆部24に被覆されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。他の太陽電池セル2の第1集電極40が接触する部分に第2樹脂被覆部24が被覆していれば、第2樹脂被覆部24の被覆範囲は特に限定されない。例えば、
図15のように第2樹脂被覆部24を第2電極部22の近傍のみに形成してもよい。
【0122】
上記した実施形態は、本発明の技術的範囲に含まれる限り、各実施形態間で各構成部材を自由に置換や付加できる。
【符号の説明】
【0123】
1 重畳構造
2,2A~2C 太陽電池セル
20 光電変換基板
21 第1電極部
22 第2電極部
23 第1樹脂被覆部
24 第2樹脂被覆部
28 第1基板主面(第1主面)
29 第2基板主面(第2主面)
40,40a~40d 第1集電極
50 第1バスバー電極部
51 第1フィンガー電極部
60,60a~60d 第2集電極
70 第2バスバー電極部
71 第2フィンガー電極部
82,83 第2テクスチャ構造
84,85 第3テクスチャ構造
86,87 凹凸領域