(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106066
(43)【公開日】2024-08-07
(54)【発明の名称】置換終了時の判定方法、基板処理方法および基板処理装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20240731BHJP
F26B 5/00 20060101ALI20240731BHJP
【FI】
H01L21/304 651K
H01L21/304 648G
F26B5/00
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023010147
(22)【出願日】2023-01-26
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100105935
【弁理士】
【氏名又は名称】振角 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100136836
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 一正
(72)【発明者】
【氏名】墨 周武
【テーマコード(参考)】
3L113
5F157
【Fターム(参考)】
3L113AA01
3L113AC45
3L113AC46
3L113AC48
3L113AC50
3L113AC57
3L113AC67
3L113BA34
3L113CB15
3L113CB23
3L113CB28
5F157AB02
5F157AB13
5F157AB33
5F157CB14
5F157CB27
5F157CD47
5F157CD49
5F157CE03
5F157CE10
5F157CE11
5F157DA21
5F157DB32
(57)【要約】
【課題】チャンバ内で超臨界状態の処理流体により置換対象液を置換するのに際して、置換の終了時期を適切に判定する。
【解決手段】チャンバ内に置換対象液が存在しないドライ状態で、所定の給排レシピに従って処理流体を供給および排出し、処理流体を超臨界状態に維持しながら密度プロファイルを取得してこれを基準プロファイルとする。チャンバ内に置換対象液が存在するウェット状態で取得される密度プロファイルと基準プロファイルとの差分を積算し、その積算値に対して設定した閾値との比較に基づき、置換終了時を判定する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバ内で超臨界状態の処理流体により置換対象液を置換する処理における、置換終了時の判定方法であって、
前記チャンバ内を超臨界状態の前記処理流体により満たすための所定の給排レシピに従って、前記置換対象液が存在する前記チャンバに対し前記処理流体を供給および排出することで、前記チャンバ内の前記処理流体を超臨界状態に維持し、
前記チャンバから排出される前記処理流体の密度を検出し、各時刻における検出値と、予め取得された基準密度プロファイルにより示される値との差分を積算し、
積算値と所定の閾値とに基づき、前記処理流体による前記置換対象液の置換が終了したか否かを判定し、
前記基準密度プロファイルは、前記チャンバ内に前記置換対象液が存在しない状態で前記給排レシピに従って前記チャンバに対し前記処理流体を供給および排出しながら前記チャンバ内の前記処理流体の密度を検出することで取得される、前記密度の時間変化を表す密度プロファイルとして求められる、置換終了時の判定方法。
【請求項2】
前記積算値が前記閾値に達したときに前記置換が終了したと判定する、請求項1に記載の置換終了時の判定方法。
【請求項3】
前記積算値の時間変化量が前記閾値以下となったときに前記置換が終了したと判定する、請求項1に記載の置換終了時の判定方法。
【請求項4】
前記密度は、前記チャンバから前記処理流体を排出する排出流路上で検出される、請求項1ないし3のいずれかに記載の置換終了時の判定方法。
【請求項5】
前記チャンバには、平板状の基板支持部材で水平姿勢に支持された基板が収容され、
前記密度は、前記チャンバ内で前記基板の上側を流れる前記処理流体を排出する上側排出流路と前記基板支持部材の下側を流れる前記処理流体を排出する下側排出流路とのそれぞれで検出され、
前記上側排出流路および前記下側排出流路のそれぞれにおける前記差分の合計が積算される、請求項4に記載の置換終了時の判定方法。
【請求項6】
置換対象液が付着した状態の基板をチャンバに収容し、
前記チャンバ内を超臨界状態の処理流体により満たすための所定の給排レシピに従って前記チャンバに対し前記処理流体を供給および排出することで、前記チャンバ内の前記処理流体を超臨界状態に維持し、
前記チャンバから排出される前記処理流体の密度を検出し、各時刻における検出値と、予め取得された基準密度プロファイルにより示される値との差分を積算し、
積算値と所定の閾値とに基づき、前記処理流体による前記置換対象液の置換が終了したか否かを判定し、
前記置換が終了したと判定すると、前記処理流体を排出し前記チャンバ内を減圧して前記基板を乾燥させ、
前記基準密度プロファイルは、前記チャンバ内に前記置換対象液が存在しない状態で前記給排レシピに従って前記チャンバに対し前記処理流体を供給および排出しながら前記チャンバ内の前記処理流体の密度を検出することで取得される、前記密度の時間変化を表す密度プロファイルとして求められる、基板処理方法。
【請求項7】
前記基準密度プロファイルは、前記置換対象液が付着していない前記基板を前記チャンバに収容した状態で取得される、請求項6に記載の基板処理方法。
【請求項8】
置換対象液が付着した状態の基板を収容可能な内部空間を有するチャンバと、
前記チャンバに対し処理流体を供給および排出する流体給排部と、
前記チャンバから排出される前記処理流体の密度を検出する密度検出部と、
前記密度検出部の検出結果に基づき前記流体給排部を制御する制御部と
を備え、
前記制御部は、請求項1ないし3のいずれかに記載の置換終了時の判定方法を実行し、前記置換が終了したと判定すると、前記流体給排部に前記処理流体を排出させて前記チャンバ内を減圧し前記基板を乾燥させる、基板処理装置。
【請求項9】
前記基板は平板状の基板支持部材で水平姿勢に支持された状態で前記チャンバに搬入され、
前記チャンバ内で前記基板の上側を流れる前記処理流体を排出する上側排出流路と前記基板支持部材の下側を流れる前記処理流体を排出する下側排出流路とが設けられ、
前記密度検出部は、前記上側排出流路と前記下側排出流路とのそれぞれで前記密度を検出し、
前記上側排出流路および前記下側排出流路のそれぞれにおける前記差分の合計が積算される、請求項8に記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記密度検出部は、前記チャンバから前記処理流体を排出する排出流路上に配置された質量流量計を有し、前記質量流量計の検出結果に基づき前記処理流体の密度を検出する請求項8に記載の基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、チャンバ内で超臨界状態の処理流体により置換対象液を置換する技術に関するものであり、特に置換が終了した時を判定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体基板、表示装置用ガラス基板等の各種基板の処理工程には、基板の表面を各種の処理流体によって処理するものが含まれる。処理流体として薬液やリンス液などの液体を用いる処理は従来から広く行われているが、近年では超臨界流体を用いた処理も実用化されている。特に、表面に微細パターンが形成された基板の処理においては、液体に比べて表面張力が低い超臨界流体はパターンの隙間の奥まで入り込むため効率よく処理を行うことが可能であり、また乾燥時において表面張力に起因するパターン倒壊の発生リスクを低減することができる。
【0003】
例えば特許文献1には、基板に付着した液体を超臨界流体によって置換し、基板の乾燥処理を行う基板処理装置が記載されている。より具体的には、特許文献1には、超臨界処理流体として二酸化炭素を、これにより置換される置換対象液としてIPA(Isopropyl alcohol;イソプロピルアルコール)を用いた場合の乾燥処理の流れが詳しく記載されている。この処理では、基板を収容したチャンバ内が超臨界流体で満たされ、置換された置換対象液を含む超臨界流体が排出された後に、チャンバを減圧し超臨界流体を気化させることで基板が乾燥される。
【0004】
チャンバ内に置換対象液が残留している状態で超臨界流体の気化が開始されると、置換対象液が基板に再付着してしまい乾燥不良を惹き起こすおそれがある。このため、置換対象液がチャンバから完全に排出されてから超臨界流体の気化が始まるようにする必要がある。この点に関して、本願出願人が先に開示した特許文献2では、チャンバから排出される処理流体の密度変化から置換の終了時を判定する技術が提案されている。この技術は、排出される処理流体の密度の時間変化を表す密度プロファイルが、処理流体に置換対象液が含まれるウェット状態と含まれないドライ状態とで異なるとの知見に着目したものである。具体的には、ウェット状態の密度プロファイルがドライ状態の密度プロファイルと一致する時を以って、置換が終了したと判定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-081966号公報
【特許文献2】特開2022-115405号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
処理流体の密度については例えば質量流量計により検出することが可能であるが、処理流体の流れ自体に揺らぎがあることや検出誤差等により、検出結果にはばらつきが生じることが避けられない。このことから、上記した2つの密度プロファイルの一致の有無を指標とする判定だけでなく、さらに確実に終了時期を判定することのできる指標が確立されることが望ましい。
【0007】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、チャンバ内で超臨界状態の処理流体により置換対象液を置換するのに際して、置換の終了時期を適切に判定することのできる技術を提供することを第1の目的とする。また、この技術を用いた基板処理により、処理に要する時間および処理流体の消費量の低減を図ることを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の一の態様は、チャンバ内で超臨界状態の処理流体により置換対象液を置換する処理における、置換終了時の判定方法である。この発明では、前記チャンバ内を超臨界状態の前記処理流体により満たすための所定の給排レシピに従って、前記置換対象液が存在する前記チャンバに対し前記処理流体を供給および排出することで、前記チャンバ内の前記処理流体を超臨界状態に維持し、前記チャンバから排出される前記処理流体の密度を検出し、各時刻における検出値と、予め取得された基準密度プロファイルにより示される値との差分を積算し、積算値と所定の閾値とに基づき、前記処理流体による前記置換対象液の置換が終了したか否かを判定する。
【0009】
また、この発明の一の態様は、置換対象液が付着した状態の基板をチャンバに収容し、前記チャンバ内を超臨界状態の処理流体により満たすための所定の給排レシピに従って前記チャンバに対し前記処理流体を供給および排出することで、前記チャンバ内の前記処理流体を超臨界状態に維持し、前記チャンバから排出される前記処理流体の密度を検出し、各時刻における検出値と、予め取得された基準密度プロファイルにより示される値との差分を積算し、積算値と所定の閾値とに基づき、前記処理流体による前記置換対象液の置換が終了したか否かを判定し、前記置換が終了したと判定すると、前記処理流体を排出し前記チャンバ内を減圧して前記基板を乾燥させる、基板処理方法である。
【0010】
また、この発明の他の一の態様は、置換対象液が付着した状態の基板を収容可能な内部空間を有するチャンバと、前記チャンバに対し処理流体を供給および排出する流体給排部と、前記チャンバから排出される前記処理流体の密度を検出する密度検出部と、前記密度検出部の検出結果に基づき前記流体給排部を制御する制御部とを備える基板処理装置である。この発明において、前記制御部は、上記した置換終了時の判定方法を実行し、前記置換が終了したと判定すると、前記流体給排部に前記処理流体を排出させて前記チャンバ内を減圧し前記基板を乾燥させる。
【0011】
これらの発明において、前記基準密度プロファイルは、前記チャンバ内に前記置換対象液が存在しない状態で前記給排レシピに従って前記チャンバに対し前記処理流体を供給および排出しながら前記チャンバ内の前記処理流体の密度を検出することで取得される、密度の時間変化を表す密度プロファイルとして求められる。
【0012】
このように構成された発明では、チャンバ内に置換対象液が付着した基板が存在する状態(以下、「ウェット状態」という)からチャンバ内を超臨界状態の処理流体で満たしたときの処理流体の密度変化と、置換対象液が存在しない「ドライ状態」で取得された基準密度プロファイルとに基づき、置換終了時が判定される。具体的には以下の通りである。
【0013】
チャンバ内に置換対象液が存在するウェット状態と存在しないドライ状態との間で密度プロファイルに差が生じるという現象の定性的な解釈については、特許文献2に記載された通りである。一方、この差は、定量的には処理流体に含まれている置換対象液の量に依存している。すなわち、密度が検出される処理流体が多くの置換対象液を含んでいるとき、ドライ状態との密度の差が大きい。
【0014】
したがって、ウェット状態とドライ状態との間で、互いに対応する時刻において検出された密度の差分はそのときの処理流体に含まれる置換対象液の量を表す指標となっていると言うことができる。そうすると、各時刻において検出される密度の差分を積算(原理的には、時刻の関数として表したときの密度差を積分)すれば、その積算値(積分値)は、当該時刻までに処理流体とともに排出された置換対象液の総量を指標する値となっていると言える。
【0015】
このように、ウェット状態とドライ状態とにおける密度プロファイルの差分の積算値は排出された置換対象液の量を表すから、この値を置換終了時の判定に利用することが可能である。例えばチャンバ内に持ち込まれた置換対象液の量が予めわかっている場合には、排出された置換対象液の量が持ち込まれた量に達した時点で置換は終了したと判定することができる。また例えば、持ち込まれた量が既知であるか否かに関わらず、経時的に算出される積算値が有意な増加を示さなくなった時点で置換が終了したと判定することができる。現実的には、例えば積算値に対して適宜の閾値を予め設定しておき、算出された積算値と閾値との比較の結果に基づき、置換終了時を適切に判定することが可能である。
【発明の効果】
【0016】
上記のように、本発明では、置換対象液が存在する状態からのチャンバ内の処理流体の密度プロファイルと、予め取得された基準密度プロファイルとの差分の積算値に基づき置換処理の終了時を判定することで、置換対象液が排除された時期を適切に把握することができる。また、その判定結果を超臨界状態の処理流体による基板処理に適用することで、基板処理における処理時間および処理流体の消費量の低減を図ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に係る基板処理装置の一例の概略構成を示す図である。
【
図2】この基板処理装置が実行する処理の概要を示すフローチャートである。
【
図3】超臨界処理における各部の状態変化を示すタイミングチャートである。
【
図4】本実施形態における置換終了時の判定処理の原理を説明する図である。
【
図5】置換終了判定を含む超臨界乾燥処理の概要を示すフローチャートである。
【
図6】基準プロファイルの取得処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は本発明に係る基板処理装置の一例の概略構成を示す図である。この基板処理装置1は、例えば半導体基板のような各種基板の表面を超臨界流体により処理するための装置である。そして、この基板処理装置1は、本発明に係る置換終了時の判定方法および基板処理方法を好適に適用可能な構成を有している。以下の各図における方向を統一的に示すために、
図1に示すようにXYZ直交座標系を設定する。ここで、XY平面は水平面であり、Z方向は鉛直方向を表す。より具体的には、(-Z)方向が鉛直下向きを表す。
【0019】
ここで、本実施形態における「基板」としては、半導体ウエハ、フォトマスク用ガラス基板、液晶表示用ガラス基板、プラズマ表示用ガラス基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板などの各種基板を適用可能である。以下では主として半導体ウエハの処理に用いられる基板処理装置を例に採って図面を参照して説明するが、上に例示した各種の基板の処理にも同様に適用可能である。
【0020】
基板処理装置1は、処理ユニット10、供給ユニット50および制御ユニット90を備えている。処理ユニット10は、超臨界乾燥処理の実行主体となるものであり、供給ユニット50は、処理に必要な化学物質および動力を処理ユニット10に供給する。
【0021】
制御ユニット90は、これら装置の各部を制御して所定の処理を実現する。この目的のために、制御ユニット90には、各種の制御プログラムを実行するCPU91、処理データを一時的に記憶するメモリ92、CPU91が実行する制御プログラムを記憶するストレージ93、およびユーザや外部装置と情報交換を行うためのインターフェース94などを備えている。後述する装置の動作は、CPU91が予めストレージ93に書き込まれた制御プログラムを実行し装置各部に所定の動作を行わせることにより実現される。
【0022】
処理ユニット10は、処理チャンバ100を備えている。処理チャンバ100は、それぞれ金属ブロックにより形成された第1部材11、第2部材12および第3部材13を備えている。第1部材11と第2部材12とが図示しない結合部材により上下方向に結合され、その(+Y)側側面に、図示しない結合部材により第3部材13が結合されて、内部が空洞となった構造の処理チャンバ100が構成される。この空洞の内部空間が、基板Sに対する処理が実行される処理空間SPとなっている。処理対象の基板Sは処理空間SP内に搬入されて処理を受ける。処理チャンバ100の(-Y)側側面には、X方向に細長く延びるスリット状の開口部101が形成されており、開口部101を介して処理空間SPと外部空間とが連通している。
【0023】
処理チャンバ100の(-Y)側側面には、開口部101を閉塞するように蓋部材14が設けられている。蓋部材14の(+Y)側側面には平板状の支持トレイ15が水平姿勢で取り付けられており、支持トレイ15の上面は基板Sを載置可能な支持面となっている。より具体的には、支持トレイ15は、略平坦な上面151に基板Sの平面サイズより少し大きく形成された凹部152が設けられた構造を有している。この凹部152に基板Sが収容されることで、基板Sは支持トレイ15上で所定位置に保持される。基板Sは、処理対象となる表面(以下、単に「基板表面」ということがある)Saを上向きにして保持される。このとき、支持トレイ15の上面151と基板表面Saとが同一または略同一の平面をなしていることが好ましい。
【0024】
蓋部材14は図示を省略する支持機構により、Y方向に水平移動自在に支持されている。また、蓋部材14は、供給ユニット50に設けられた進退機構53により、処理チャンバ100に対して進退移動可能となっている。具体的には、進退機構53は、例えばリニアモータ、直動ガイド、ボールねじ機構、ソレノイドまたはエアシリンダ等の直動機構を有しており、このような直動機構が蓋部材14をY方向に移動させる。進退機構53は制御ユニット90からの制御指令に応じて動作する。
【0025】
蓋部材14が(-Y)方向に移動することにより、支持トレイ15が処理空間SPから開口部101を介して外部へ引き出されると、外部から支持トレイ15へのアクセスが可能となる。すなわち、支持トレイ15への基板Sの載置、および支持トレイ15に載置されている基板Sの取り出しが可能となる。一方、蓋部材14が(+Y)方向に移動することにより、支持トレイ15は処理空間SP内へ収容される。支持トレイ15に基板Sが載置されている場合、基板Sは支持トレイ15とともに処理空間SPに搬入される。
【0026】
液体の表面張力に起因するパターン倒壊を防止しつつ基板を乾燥させることを主たる目的とする超臨界乾燥処理においては、基板Sは、その表面Saが露出してパターン倒壊が発生するのを防止するために、表面Saが液膜で覆われた状態で搬入される。液膜を構成する液体としては、例えばイソプロピルアルコール(IPA)、アセトン等の表面張力が比較的低い有機溶剤を好適に用いることができる。
【0027】
蓋部材14が(+Y)方向に移動し開口部101を塞ぐことにより、処理空間SPが密閉される。蓋部材14の(+Y)側側面と処理チャンバ100の(-Y)側側面との間にはシール部材16が設けられ、処理空間SPの気密状態が保持される。シール部材16としては、弾性樹脂材料、例えばゴムにより形成された環状のものを用いることができる。また、図示しないロック機構により、蓋部材14は処理チャンバ100に対して固定される。このようにして処理空間SPの気密状態が確保された状態で、処理空間SP内で基板Sに対する処理が実行される。
【0028】
この実施形態では、供給ユニット50に設けられた流体供給部57から、超臨界処理に利用可能な物質の流体、例えば二酸化炭素が、気体または液体の状態で処理ユニット10に供給される。二酸化炭素は比較的低温、低圧で超臨界状態となり、また基板処理に多用される有機溶剤をよく溶かす性質を有するという点で、超臨界乾燥処理に好適な化学物質である。二酸化炭素が超臨界状態となる臨界点は、気圧(臨界圧力)が7.38MPa、温度(臨界温度)が31.1℃である。
【0029】
より具体的には、流体供給部57は、基板Sを処理する処理流体として、超臨界状態の流体、または、ガス状もしくは液状で供給され所定の温度・圧力が与えられることで事後的に超臨界状態となる流体を出力する。例えば、ガス状もしくは液状の二酸化炭素が加圧状態で出力される。流体は配管571およびその途中に介挿されたバルブ572,573を介して、処理チャンバ100の(+Y)側側面に設けられた入力ポート102,103に圧送される。すなわち、制御ユニット90からの制御指令に応じてバルブ572,573が開成されることで、流体は流体供給部57から処理チャンバ100へ送られる。
【0030】
入力ポート102,103から処理空間SPに至る流体の流路17は、流体供給部57から供給される処理流体を処理空間SPに導入する導入流路として機能する。具体的には、入力ポート102には、流路171が接続されている。入力ポート102とは反対側の流路171の端部には、流路断面積が急激に拡大するように形成されたバッファ空間172が設けられている。
【0031】
バッファ空間172と処理空間SPとを接続するように、流路173がさらに設けられている。流路173は、上下方向(Z方向)に狭く、水平方向(X方向)に長い幅広の断面形状を有しており、その断面形状は、処理流体の流通方向において略一定である。バッファ空間172とは反対側の流路171の端部は、処理空間SPに臨んで開口する吐出口174となっており、この吐出口174から処理流体が処理空間SP内に導入される。
【0032】
望ましくは、流路173の高さは、支持トレイ15が処理空間SPに収容された状態で、処理空間SPの天井面110aと基板表面Saとの距離と等しい。そして、吐出口174は、処理空間SPの天井面110aと支持トレイ15の上面151との間のギャップに臨んで開口している。例えば、流路173の天井面と処理空間SPの天井面110aとが同一平面をなすようにすることができる。このように、吐出口174は、処理空間SPに臨んで水平方向に細長いスリット状に開口している。
【0033】
支持トレイ15の下方にも同様にして処理流体の流路が形成される。具体的には、入力ポート103には流路175が接続されている。入力ポート103とは反対側の流路175の端部には、流路断面積が急激に拡大するように形成されたバッファ空間176が設けられている。
【0034】
そして、バッファ空間176と処理空間SPとは流路177を介して連通している。流路177は、上下方向(Z方向)に狭く、水平方向(X方向)に長い幅広の断面形状を有しており、その断面形状は、処理流体の流通方向において略一定である。バッファ空間176とは反対側の流路177の端部は、処理空間SPに臨んで開口する吐出口178となっており、この吐出口178から処理流体が処理空間SP内に導入される。
【0035】
望ましくは、流路177の高さは、処理空間SPの底面110bと支持トレイ15の下面との距離と同等とされる。そして、吐出口178は、処理空間SPの底面110bと支持トレイ15の下面との間のギャップに臨んで開口している。例えば、流路177の底面110bと処理空間SPの底面とが同一平面をなすようにすることができる。つまり、吐出口178は、処理空間SPに臨んで水平方向に細長いスリット状に開口している。
【0036】
Z方向において、流路171の配設位置と流路173の配設位置とが異なっていることが望ましい。両者が同一高さにあるとき、流路171からバッファ空間172に流入した処理流体の一部がそのまま直進して流路173に流入することになる。そうすると、流通方向に直交する流路の幅方向、つまりX方向においては、流路171に対応する位置とそれ以外の位置とで、流路173に流れ込む処理流体の流量や流速に差が生じるおそれがある。このことは、流路173から処理空間SPに流れ込む処理流体の流れにX方向の不均一性を生じさせ、乱流の原因となる。
【0037】
流路171と流路173とをZ方向に異ならせて配置することにより、このような流路171から流路173への処理流体の直進は生じなくなり、幅方向において均一な層流として処理流体を処理空間SPに導入することが可能となる。流路175と流路177との位置関係についても同様の考え方を適用することができる。
【0038】
このように構成された導入流路17から導入される処理流体は、処理空間SP内で支持トレイ15の上面および下面それぞれに沿って流れ、以下のように構成される排出流路18を介して処理容器外へ排出される。基板Sよりも(-Y)側において、処理空間SPの天井面と支持トレイ15の上面151とはいずれも水平な平面をなしており、両者は一定のギャップを保って平行に対向している。このギャップが、支持トレイ15の上面151および基板Sの表面Saに沿って流れた処理流体を流体排出部55に導く排出流路18の上流部181として機能する。この上流部181は上下方向(Z方向)に狭く、水平方向(X方向)に長い幅広の断面形状を有している。
【0039】
上流部181の処理空間SPとは反対側の端部はバッファ空間182に接続している。バッファ空間182は、処理チャンバ100と、蓋部材14と、シール部材16とで囲まれた空間である。X方向におけるバッファ空間182の幅は上流部181の幅と同等またはこれより大きく、Z方向におけるバッファ空間182の高さは上流部181の高さよりも大きい。したがって、バッファ空間182は上流部181より大きな流路断面積を有している。
【0040】
バッファ空間182の上部に上側排出流路の下流部183が接続されている。下流部183は処理チャンバ100を構成する上部ブロックである第1部材11を貫通して設けられた貫通孔である。その上端は処理チャンバ100の上面に開口する出力ポート104を構成し、下端はバッファ空間182に臨んで開口している。
【0041】
同様に、処理空間SPの底面と支持トレイ15の下面とはいずれも水平な平面をなしており、両者は一定のギャップを保って平行に対向している。このギャップが、支持トレイ15の下面に沿って流れる処理流体を流体排出部55に導く排出流路18の上流部185として機能する。また、支持トレイ15の下面側の上流部185は、支持トレイ15の上面側と同様に、バッファ空間186を介して下流部187と接続されている。
【0042】
処理空間SPにおいて支持トレイ15の上方を流れた処理流体は、排出流路18のうち上側排出流路を構成する上流部181、バッファ空間182および下流部183を介して出力ポート104へ送出される。出力ポート104は、配管551によって流体排出部55に接続されており、配管551の途中には密度検出部552およびバルブ553が介挿されている。
【0043】
同様に、処理空間SPにおいて支持トレイ15の下方を流れた処理流体は、排出流路18のうち下側排出流路を構成する上流部185、バッファ空間186および下流部187を介して出力ポート105へ送出される。出力ポート105は、配管555によって流体排出部55に接続されており、配管555の途中には密度検出部556およびバルブ557が介挿されている。
【0044】
バルブ553,557は制御ユニット90により制御されている。制御ユニット90からの制御指令に応じてバルブ553,557が開成すると、処理空間SP内の処理流体が配管551,555を介して流体排出部55に回収される。
【0045】
このように、この基板処理装置1では、排出流路18のうち上流部181、バッファ空間182および下流部183と、配管551とが一体として、処理空間SP内で基板Sの上面側を通過してくる処理流体を排出する「上側排出流路18a」を構成している。また、排出流路18のうち上流部185、バッファ空間186および下流部187と、配管555とが一体として、処理空間SP内で支持トレイ15の下面側を通過してくる処理流体を排出する「下側排出流路18b」を構成している。
【0046】
そして、上側排出流路18aおよび下側排出流路18bのそれぞれに、流体の密度を検出する密度検出部552,556が設けられる。密度検出部552,556としては流路上の流体の密度を検出可能な各種の原理のものを適用可能であり、例えば質量流量計、より具体的には例えばコリオリ流量計を用いることが可能である。流路上での圧力損失による検出誤差を低減するため、密度検出部552,556は排出流路上でできるだけ上流位置に設けられることが望ましい。
【0047】
図2はこの基板処理装置により実行される処理の概要を示すフローチャートである。この基板処理装置1は、超臨界乾燥処理、すなわち前工程において洗浄液により洗浄された基板Sを乾燥させる処理を実行する。具体的には以下の通りである。処理対象の基板Sは、基板処理システムを構成する他の基板処理装置で実行される前工程において、洗浄液により洗浄される。その後、例えばイソプロピルアルコール(IPA)などの有機溶剤による液膜が表面に形成された状態で、基板Sは基板処理装置1に搬送される。
【0048】
例えば基板Sの表面に微細パターンが形成されている場合、基板Sに残留付着している液体の表面張力によってパターンの倒壊が生じるおそれがある。また、不完全な乾燥によって基板Sの表面にウォーターマークが残留する場合がある。また、基板S表面が外気に触れることで酸化等の変質を生じる場合がある。このような問題を未然に回避するために、基板Sの表面(パターン形成面)を、液体または固体の表面層で覆った状態で搬送することがある。
【0049】
例えば洗浄液が水を主成分とするものである場合には、これより表面張力が低く、かつ基板に対する腐食性が低い液体、例えばIPAやアセトン等の有機溶剤により液膜を形成した状態で、搬送が実行される。すなわち、基板Sは、水平状態に支持され、かつその上面に液膜が形成された状態で、基板処理装置1に搬送されてくる。
【0050】
図示しない搬送装置により搬送されてきた基板Sは処理チャンバ100に収容される(ステップS101)。具体的には、基板Sは、パターン形成面を上面にして、しかも該上面が薄い液膜に覆われた状態で搬送されてくる。基板Sは、図示しないリフトピンを介して支持トレイ15に受け渡される。すなわち、蓋部材14が(-Y)側へ移動し支持トレイ15が引き出された状態で、リフトピンが、支持トレイ15に設けられた図示しない貫通孔を介して支持トレイ15の上面151よりも上方へ進出する。搬送装置は基板Sをリフトピンへ受け渡し、リフトピンが下降することで、基板Sは支持トレイ15に載置される。支持トレイ15および蓋部材14が一体的に(+Y)方向に移動すると、基板Sを支持する支持トレイ15が処理チャンバ100内の処理空間SPに収容されるとともに、開口101が蓋部材14により閉塞される。
【0051】
この状態で、処理流体としての二酸化炭素が、気相の状態で処理空間SPに導入される(ステップS102)。基板Sの搬入時に処理空間SPには外気が侵入するが、気相の処理流体を導入することで、これを置換することができる。さらに気相の処理流体を注入することで、処理チャンバ100内の圧力が上昇する。
【0052】
なお、処理流体の導入過程において、処理空間SPからの処理流体の排出は継続的に行われる。すなわち、流体供給部57により処理流体が導入されている間にも、流体回収部55による処理空間SPからの処理流体の排出が実行されている。これにより、処理に供された処理流体が処理空間SPに対流することなく排出され、処理流体中に取り込まれた残留液体などの不純物が基板Sに再付着することが防止される。
【0053】
処理流体の供給量が排出量よりも多ければ、処理空間SPにおける処理流体の密度が上昇しチャンバ内圧が上昇する。逆に、処理流体の供給量が排出量よりも少なければ、処理空間SPにおける処理流体の密度は低下しチャンバ内は減圧される。このような処理流体の処理チャンバ100への供給および処理チャンバ100からの排出については、予め作成された給排レシピに基づいて行われる。すなわち、制御ユニット90が給排レシピに基づき流体供給部57および流体回収部55を制御することによって、処理流体の供給・排出タイミングやその流量等が調整される。
【0054】
処理空間SP内で処理流体の圧力が上昇し臨界圧力を超過すると、処理流体はチャンバ内で超臨界状態となる。すなわち、処理空間SP内での相変化により、処理流体が気相から超臨界状態に遷移する。なお、超臨界状態の処理流体は外部から供給されてもよい。処理空間SPに超臨界流体が導入されることで、基板Sを覆うIPAなどの有機溶剤が超臨界流体により置換される。基板Sの表面から遊離した有機溶剤は処理流体に溶け込んだ状態で処理流体と共に処理チャンバ100から排出され、基板Sから除去される。すなわち、超臨界状態の処理流体は、基板Sに付着する有機溶剤を置換対象液としてこれを置換し、処理チャンバ100外へ排出する機能を有する。
【0055】
処理チャンバ100内での超臨界流体による置換対象液の置換が終了すると(ステップS103)、処理空間SP内の処理流体を排出して基板Sを乾燥させる。具体的には、処理空間SPからの流体の排出量を増大させることで、超臨界状態の処理流体で満たされた処理チャンバ100内を減圧する(ステップS104)。このとき処理流体の供給は停止されてもよく、また少量の処理流体が継続して供給される態様でもよい。処理空間SPが超臨界流体で満たされた状態から減圧されることで、処理流体は超臨界状態から相変化して気相となる。気化した処理流体を外部へ排出することで、基板Sは乾燥状態となる。このとき、急激な温度低下により固相および液相を生じることがないように、減圧速度が調整される。これにより、処理空間SP内の処理流体は、超臨界状態から直接気化して外部へ排出される。したがって、乾燥後の表面が露出した基板Sに気液界面が形成されることは回避される。
【0056】
このように、この実施形態の超臨界乾燥処理では、処理空間SPを超臨界状態の処理流体で満たした後、気相に相変化させて排出することにより、基板Sに付着する液体を効率よく置換し、基板Sへの残留を防止することができる。しかも、不純物の付着による基板の汚染やパターン倒壊等、気液界面の形成に起因して生じる問題を回避しつつ基板を乾燥させることができる。
【0057】
処理後の基板Sは後工程へ払い出される。すなわち、蓋部材14が(-Y)方向へ移動することで支持トレイ15が処理チャンバ12から外部へ引き出され、移載ユニット30を介して外部の搬送装置へ基板Sが受け渡される(ステップS105)。このとき、基板Sは乾燥した状態となっている。後工程の内容は任意である。次に処理すべき基板がなければ(ステップS106においてNO)、処理は終了する。他に処理対象基板がある場合には(ステップS106においてYES)、ステップS101に戻って新たな基板Sが受け入れられ、上記処理が繰り返される。
【0058】
1枚の基板Sに対する処理の終了後、引き続き次の基板Sの処理が行われる場合には、以下のようにすることでタクトタイムを短縮することができる。すなわち、支持トレイ15が引き出されて処理済みの基板Sが搬出された後、新たに未処理基板Sが載置されてから支持トレイ15を処理チャンバ100内に収容する。また、こうして蓋部材14の開閉回数を低減させることにより、外気の進入に起因する処理チャンバ100内の温度変化を抑制する効果も得られる。
【0059】
次に、超臨界流体による置換対象液の置換がどの時点で終了したとみなすか(ステップS103)を決める方法について説明する。上記のように、超臨界流体による置換対象液の置換が終了した後、チャンバ内が減圧され処理流体が気化することにより基板の乾燥が行われる。ここで、もし処理空間SP内に置換対象液が残留した状態で処理流体が気化してしまうと、置換対象液が基板Sに再付着し乾燥不良を生じるおそれがある。これを回避するために、処理流体による置換が終了した状態、つまり処理空間SPから置換対象液が完全に排出された状態で、処理流体の気化が起こるようにする必要がある。
【0060】
そのためには、チャンバ内で置換処理が終了したタイミングを適切に把握する必要がある。本願出願人は、高圧下の処理チャンバ100内で置換が終了したかどうか、つまり置換対象液が完全に排出されたかどうかを見極めるための技術を先に提案した(特許文献2参照)。この技術は、処理流体の密度が他の液体を含むか否かで異なることを利用したものであり、処理空間SPから排出される処理流体の密度の時間変化(密度プロファイル)と、予め取得された、処理空間SP内に置換対象液が存在しない状態で処理流体を導入したときの密度プロファイルとの違いに着目して置換終了時を判定する。
【0061】
以下では、特許文献2の記載と説明が一部重複することになるが、超臨界乾燥処理における処理空間SP内での流体の密度変化と、それを利用した置換終了時の判定技術について説明する。
【0062】
図3は超臨界処理における各部の状態変化を示すタイミングチャートである。より具体的には、
図3は、給排レシピに基づく処理流体の供給および排出のタイミングと、これに伴う処理チャンバ100内の状態変化との関係を示す図である。まず、処理流体の供給および排出のタイミングおよびその量を規定した給排レシピについて説明する。
【0063】
初期状態(時刻T0)では、処理チャンバ100に基板Sを収容するために蓋部材14が開かれ、処理空間SPは大気開放されている。すなわちチャンバ内圧力はほぼ大気圧Paであり、臨界圧力Pcより十分に小さい。一方、処理流体としての二酸化炭素の臨界温度Tcが室温に近いことから、チャンバ内温度は臨界温度Tcに近い温度となっている。図ではチャンバ内温度が臨界温度Tcよりも少し高いが、臨界温度Tcより低いケースもあり得る。
【0064】
基板Sの収容後、時刻T1において気相の処理流体が所定の流量で処理空間SPに導入開始される。このとき、一定量での排出も行われる。排出流量に対して供給流量を大きくすることで、チャンバ内圧力が次第に上昇する。チャンバ内圧力が臨界圧力Pcに達する時刻T2において、チャンバ内温度が臨界温度Tcを上回っていれば処理流体は超臨界状態に相転移する。
【0065】
時刻T3において、処理流体の供給量がチャンバ内圧力を略一定に維持する量に調整される。そして、時刻T4において減圧が開始される。すなわち、処理流体の供給量が大きく減らされる一方で排出量が大きく増やされることで排出過多となり、チャンバ内圧力が急激に低下する。処理流体の急激な膨張に伴ってチャンバ内温度も低下する。
【0066】
チャンバ内圧力が臨界圧力Pcを下回る、またはチャンバ内温度が臨界温度Tcを下回る時刻T5において、処理流体は気相に相転移する。チャンバ内圧力がほぼ大気圧Paまで低下する時刻T6以降、処理空間SPを大気開放して基板Sを搬出することができる。超臨界状態の処理流体が液相を介することなく気相に転移するように、減圧速度が設定される。
【0067】
本願発明者は、このような一連の処理におけるチャンバ内の密度変化を観測し、以下のような知見を得た。観測された密度変化の例が
図3下部に示されている。初期状態でチャンバ内に置換対象液が存在しない状態での密度変化が実線で示される。チャンバ内の流体の密度はチャンバ内の温度と圧力とに依存し、温度変化が小さければ概ね圧力変化に倣って推移すると言える。
【0068】
一方、予めチャンバ内に置換対象液を存在させた状態で同様に処理流体の給排を行うと、図に破線および点線で示すように、置換対象液が存在しない状態よりも密度は高くなり、その後は密度差が次第に減少して、ある時刻Tx以降は置換対象液が存在しない状態とほぼ同じような推移となる。破線に示すように当初より高い密度を示すケースと、点線で示すように密度増加の立ち上がりが遅れるケースとがあり得るが、いずれも最終的には置換対象液が存在しない状態よりも高密度となる。これは、超臨界状態となった処理流体が置換対象液を溶存させることで、同じ圧力、温度で置換対象液を含まない処理流体よりも密度が高くなったものと考えられる。
【0069】
処理流体の供給と排出とを継続することで、チャンバ内の置換対象液の濃度は次第に低下し、最終的には残留量がゼロとなる。上記した経時的な密度差の減少と、時刻Tx以降における密度変化の推移とは、この状況に対応したものと考えることができる。
【0070】
言い換えれば、処理空間SP内に置換対象液が存在しない状態と存在する状態とのそれぞれで、上記のようなチャンバ内流体の密度の時間変化を表す密度プロファイルを取得し、それらを比較すれば、処理空間SP内から置換対象液が完全に除去される、つまり処理流体による置換が終了する時期を把握することが可能となる。この原理に基づく置換終了時の判定方法につき、以下に説明する。
【0071】
図4は本実施形態における置換終了時の判定処理の原理を説明する図であり、
図3の一部を取り出して拡大したものに相当する。具体的には、
図3のうち処理流体の供給・排出状態と流体の密度変化とを、時刻T0から時刻T4を過ぎる期間までに限って示したものである。また、
図4において処理流体の密度プロファイルは、置換対象液が存在しないドライ状態で取得されるものが点線で、置換対象液が存在するウェット状態で取得されるものが実線でそれぞれ示されている。
【0072】
給排レシピに従って、処理空間SP内に処理流体が導入され、処理流体が超臨界状態となる間、処理空間SPからの処理流体の排出が継続されている。
図3では、流体の密度変化が単一の曲線により表されている。しかし実際には、処理流体は基板Sの上方を通る上側排出流路18aと支持トレイ15の下側を通る下側排出流路18bとに分かれて排出される。上側排出流路18aを流れる処理流体と、下側排出流路18bを流れる処理流体とでは置換対象液の含有量は必ずしも同じではない。そのため、
図4に示すように、上側排出流路18a(
図4では単に「上側流路」と記載)と下側排出流路18b(
図4では単に「下側流路」と記載)との間では、処理流体の密度は互いに独立に変化する。
【0073】
一般的には、上面Saに液膜が形成された状態で搬入された基板Sの上側を通る処理流体には、比較的多くの置換対象液が含まれると考えられる。一方、支持トレイ15の下側を通る処理流体には、何らかの理由で基板上面Saから回り込んだ置換対象液のみが含まれるため、その含有量は上側ほどには多くならないと考えられる。
【0074】
任意の時刻におけるウェット状態とドライ状態との密度差は、当該時刻において密度検出部を通過する処理流体に含まれる置換対象液の量を表していると考えることができる。例えば上側排出流路18aでは、時刻Tyにおけるウェット状態とドライ状態との密度差D1が当該時刻における処理流体中の置換対象液の量を指標するものとなる。したがって、各時刻において算出された密度差D1を積算すれば、その積算値S1はそれまでに通過した処理流体に含まれていた置換対象液の総量を指標する値となっている。これは、ウェット状態の密度プロファイルとドライ状態の密度プロファイルとで囲まれる領域の面積を求めることと等価である。
【0075】
同様に、下側排出流路18bについても、時刻Tyにおけるウェット状態とドライ状態との密度差D2が当該時刻における処理流体中の置換対象液の量を指標することから、各時刻の密度差D2を積算することで、下側排出流路18bを流れた処理流体中の置換対象液の総量を指標する値S2を得ることができる。
【0076】
上側排出流路における密度差D1の積算値S1と、下側排出流路における密度差D2の積算値S2とを合算すれば、その合計値(S1+S2)は、処理空間SPから排出された置換対象液の総量を指標する値となっている。この値を、置換の終了時の判定に用いることができる。
【0077】
例えば、液膜として処理空間SPに持ち込まれた置換対象液の量が予めわかっている場合には、排出された液量を指標する積算値の合計が持ち込まれた液量に相当する値となった時点で置換は終了したと判定することができる。また例えば、排出される処理流体に置換対象液が含まれている間は合計値(S1+S2)が増加し続ける一方、置換対象液が含まれなくなれば増加は止まることから、増加が実質的に停止した時点で置換は終了したと判定することができる。後者の方法は、元の液量が既知でなくても成立する。
【0078】
特許文献2に記載の判定方法では、基板Sに対する処理中のウェット状態で取得される密度プロファイルが、ドライ状態で予め取得された密度プロファイルと一致する時を以って置換終了と判定している。この場合、処理流体の密度変化自体が処理ごとにばらつくことや検出誤差等に起因して、両プロファイルが不適切な(つまり本来の置換終了時とは異なる)タイミングで一致してしまうケースや、逆に両プロファイルが一致しない状態が置換終了後も継続してしまうケースが生じ得る。
【0079】
上記原理に基づく本実施形態の判定処理では、密度プロファイルの差を定量的な指標として、これを積算して排出された置換対象液の総量を見積もり、その結果に基づき置換終了時の判定を行う。このため、より精度よく、かつ安定した判定が可能となる。
【0080】
図5は置換終了時の判定処理を含めた超臨界乾燥処理の概要を示すフローチャートである。より詳しくは、
図5は、
図2のフローチャートを、置換終了時の判定処理(ステップS103)の内容をより具体的に示すように書き改めたものに相当する。そこで、
図2のフローチャートに記載された各処理ステップと同等の処理ステップには同じステップ番号を付して説明を省略し、新たに付加された各処理ステップについて説明する。
【0081】
基板Sに対する超臨界乾燥処理に先立って、基準プロファイルを取得するための処理が実行される(ステップS201)。基準プロファイルは、基板Sに対する処理を実行中に検出される密度変化との比較において基準となるものであり、上記したドライ状態における密度プロファイル(
図4における点線)に相当するものである。
【0082】
図6は基準プロファイルの取得処理を示すフローチャートである。基準プロファイルは次のようにして取得される。最初に、上面に液膜を担持せず、置換対象液が付着していない状態の基板を処理空間SPに収容する(ステップS301)。このときの基板は、後続の超臨界乾燥処理で実際に使用される基板Sである必要はない。例えば、処理対象となる基板Sと同サイズ、同材料のダミー基板を用いることができる。より好ましくは、処理対象となる基板Sと同じパターンが形成された基板を、ダミー基板として用いることができる。
【0083】
この状態から、超臨界乾燥処理と同一の給排レシピに基づき、処理空間SPへの処理流体の導入が開始される(ステップS302)。そして、レシピが終了するまでの間、処理空間SPから排出される処理流体の密度を密度検出部552,556により継続的に検出する(ステップS303,S304)。検出結果はメモリ92またはストレージ93に保存される。その後、処理チャンバ100内が減圧されて基板が搬出される(ステップS305)。検出された各時刻の密度から、その経時的変化を表す密度プロファイルを作成し、これを基準プロファイルとする(ステップS306)。必要に応じ、複数回の計測による平均化やノイズ除去のためのスムージング処理等が行われてもよい。
【0084】
基準プロファイルは、上側排出流路18a、下側排出流路18bのそれぞれについて個別に求められる。すなわち、上側排出流路18aに設けられた密度検出部552の検出結果に基づく上側排出流路18aの基準プロファイルと、下側排出流路18bに設けられた密度検出部556の検出結果に基づく下側排出流路18bの基準プロファイルとがそれぞれ作成される。作成された基準プロファイルはストレージ93に保存され、以後の処理において必要なときに読み出される。
【0085】
図5に戻って、超臨界乾燥処理(ステップS102~S106)の内容は基本的に先に説明したものと同じである。ただし、
図3に単一処理ステップS103として示された置換終了時の判定は、複数の処理ステップS201~S206に細分化される。
【0086】
基板Sが収容された処理空間SPに処理流体が導入される間、密度検出部552,556による密度検出が継続的に行われる(ステップS201)。各時刻の検出値を用いて、基準プロファイルにおいて対応する時刻の密度値との差分が求められ積算される(ステップS202,S203)。
【0087】
このとき、密度検出部552により検出される上側排出流路18aにおける密度検出結果については、上側排出流路18aについて求められた基準プロファイルとの差分D1が求められ、さらに積算値S1が求められる。また、密度検出部556により検出される下側排出流路18bにおける密度検出結果については、下側排出流路18bについて求められた基準プロファイルとの差分D2が求められ、さらに積算値S2が求められる。
【0088】
それらの積算値S1,S2は最終的に合算されて合計値(合計積算値)S3(=S1+S2)が求められる(ステップS204)。したがって、この実施形態では差分D1,D2を合計してから積算し合計積算値S3を求めるようにしても、その技術的意味は等価である。また、これと数学的に等価な他の方法、例えば当該時刻までの密度検出値の積算値と基準プロファイルの積算値との差分を合計積算値S3とみなす方法も適用可能である。
【0089】
合計値S3は、予め用意された閾値と比較される(ステップS205)。前記したように、原理的には、合計値S3が処理空間SPに持ち込まれた置換対象液の全量に相当する値となるか、経時的な増加がなくなる時点を置換終了時とすることができる。しかしながら、やはり検出誤差やばらつきに起因してこれらの条件が完全に満たされないケースもあることから、合計値S3が所定の閾値に達したときを以って置換終了とみなす方法を採ることができる。
【0090】
図7は合計積算値と閾値との関係を示す図である。上側排出流路18aについて求められる積算値S1と下側排出流路18bについて求められる積算値S2との合計値(合計積算値)S3は時間とともに増加し、最終的には処理空間SPに持ち込まれた置換対象液の全量に相当する値Saに達する。ただし、検出誤差やばらつきに起因して、必ずしもS3=Saとはならない場合がある。そこで例えば、置換対象液の全量に相当する値Saに十分近い閾値Stを予め設定しておき、合計積算値S3が閾値St以上になった時を置換が終了した時Txとみなすことができる(ステップS205,S206)。
【0091】
所定サイズの基板Sに所定厚さの液膜が形成される条件下では、これらの数値から処理空間SPに持ち込まれる置換対象液の量を予測可能である。基板Sに対し湿式処理を実行する湿式処理装置によって前工程が実行される場合、基板に形成する液膜の厚さを精度よく制御することが可能であり、したがって液膜を構成する置換対象液の量を事前に把握することができる。この液量に応じて閾値Stを設定することで、置換終了時を適切に判定することが可能になる。
【0092】
また、置換対象液が完全に置換された後では、排出される処理流体に置換対象液が含まれないため、合計積算値S3の経時的増加は見られなくなる。したがって、
図7に符号Δで示すように、時刻に対する合計積算値S3の増加率Δに対して閾値を設定し、増加率Δが閾値以下となった時を置換が終了した時とみなすこともできる。この場合には、ステップS205における処理は、「閾値以下の場合にYES」となるように改変する必要がある。この方法では、処理空間SPに持ち込まれる液量が事前にわかっている必要はなく、そのような場合でも置換終了時を適切に判定することが可能である。
【0093】
置換が終了したと判定された後の処理(ステップS104~S106)については、
図3に示した処理と同一とすることができる。なお、ステップS201で取得された基準プロファイルは、処理対象基板Sの種類や処理レシピが同じであれば、複数の基板Sに対して共通利用することが可能である。したがって、ステップS106において次の基板Sに対する処理が必要であると判断されたとき、ステップS201を再実行する必要はなく、ステップS101からの処理を繰り返せばよい。
【0094】
以上のように、この実施形態における置換終了時の判定方法によれば、ウェット状態で取得される密度プロファイルを、ドライ状態で取得された基準プロファイルと比較するだけでなく、それらの差分が有する定量的な情報に基づいて置換の終了時を判定している。具体的には、その差分が処理流体に含まれる置換対象液の量を表すものとして、排出された置換対象液の量を定量的に見積もった結果を用いて置換の終了を判定する。
【0095】
このため、例えば処理流体自体の密度ばらつきや検出誤差等により2つのプロファイルが偶然一致したような場合であっても、そのことが直ちに置換終了との判定結果につながることはなく、適切かつロバスト性の高い判定を行うことが可能となる。
【0096】
以上説明したように、この実施形態においては、処理チャンバ100が本発明の「チャンバ」として機能しており、支持トレイ15が本発明の「基板支持部材」として機能している。また、密度検出部552,556が本発明の「密度検出部」および「質量流量計」に相当している。また、流体供給部57および流体回収部55が一体として、本発明の「流体給排部」として機能している。また、制御ユニット90が本発明の「制御部」として機能している。また、上記説明では単に「基準プロファイル」と記述しているが、これは本発明の「基準密度プロファイル」に相当するものである。
【0097】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形態では、超臨界乾燥処理時に実測された密度プロファイルと基準プロファイルとの差分の積算値に基づいて置換終了時の判定が行われる。しかしながら、特許文献2に記載された「両プロファイルの一致を以って置換終了とみなす」との判定基準は依然として有効であり、これらが併用されてもよい。
【0098】
すなわち、これら2つの判定基準を組み合わせて、例えば「2つのプロファイルが一致し、かつ密度差の合計積算値が閾値以上である場合に置換終了とみなす」との判定基準や、「2つのプロファイルが一致し、または密度差の合計積算値が閾値以上である場合に置換終了とみなす」との判定基準を採用するようにしてもよい。また、上記した合計積算値S3に閾値を設定して判定する方法と、その時間変化量Δに閾値を設定して判定する方法とが併用されてもよい。
【0099】
また例えば、上記実施形態では、本発明に係る置換終了時の判定方法を、超臨界乾燥処理の処理レシピを最適化する目的に適用している。しかしながら、この方法の適用対象はこれに限定されるものではない。例えば、置換処理の終了後に次の処理工程を実行する際に、その終了時の判定のために本発明が利用されてもよい。
【0100】
また例えば、上記実施形態の基板処理装置1では、処理流体の排出流路に密度検出部552,556が設けられているが、チャンバ内の流体の密度を検出することができる限りにおいて、これらの配設位置は上記に限定されない。また、上記実施形態では処理空間SPのうち支持トレイ15の上部空間と下部空間とにそれぞれ排出流路が接続され、それらの排出流路にそれぞれ密度検出部が配置されているが、排出流路の位置やその数については任意であり、密度検出部の配置もそれに応じて適宜変更することが可能である。また、密度検出部はコリオリ流量計に限定されるものでもない。
【0101】
また、上記実施形態の処理で使用される各種の化学物質は一部の例を示したものであり、上記した本発明の技術思想に合致するものであれば、これに代えて種々のものを使用することが可能である。
【0102】
以上、具体的な実施形態を例示して説明してきたように、本発明においては、例えば差分の積算値が閾値に達したときに置換が終了したと判定することができる。積算値はそれまでに排出された置換対象液の総量を指標する値であるから、総排出量がある値に到達したことを以って置換終了とすることには合理的意味がある。特に、チャンバ内に持ち込まれる置換対象液の量が予めわかっている場合には、その量に応じた閾値を設定することにより、置換対象液が全て排出されたタイミングを的確に把握することができる。
【0103】
また他の判定方法としては、例えば、積算値の時間変化量が閾値以下となったときに置換が終了したと判定することができる。チャンバ内に残留する置換対象液の量が少なくなるほど積算値の増加は鈍り、全て排出されると積算値はそれ以上増加しなくなる。したがって、積算値の時間変化率がゼロまたは十分に小さくなったことを以って置換終了とみなすことで、置換対象液が全て排出されたタイミングを的確に把握することができる。
【0104】
処理流体の密度については、例えばチャンバから処理流体を排出する排出流路上で検出することが可能である。このような構成によれば、チャンバから排出される処理流体の密度変化から、排出される置換対象液の量を見積もることが可能である。
【0105】
ここで、チャンバ内に平板状の基板支持部材で水平姿勢に支持された基板が収容されている場合には、チャンバ内で基板の上側を流れる処理流体を排出する上側排出流路と基板支持部材の下側を流れる処理流体を排出する下側排出流路とのそれぞれで密度が検出され、上側排出流路および下側排出流路のそれぞれにおける差分の合計が積算されることが望ましい。
【0106】
また例えば、基準密度プロファイルは、置換対象液が付着していない基板をチャンバに収容した状態で取得されることが望ましい。このような構成によれば、実際の処理との間での条件の違いは置換対象液の有無のみとなるので、処理の実態に即した基準都度プロファイルを取得することが可能になる。したがって、その結果を用いる置換終了時の判定についてもより精度よく行うことが可能になる。
【0107】
また、この発明において、処理流体の密度は、例えばチャンバから処理流体を排出する排出流路上に配置された質量流量計によって行うことが可能である。質量流量計は、流路上を流れる処理流体の密度をリアルタイムで検出することが可能であるから、処理流体の排出流路上で随時その密度を検出するという本発明の目的に好適に適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0108】
この発明は、チャンバ内に導入した処理流体を用いて置換対象液を置換する処理全般に適用することができる。例えば、半導体基板等の基板を超臨界流体によって乾燥させる基板乾燥処理に適用することができる。
【符号の説明】
【0109】
1 基板処理装置
15 支持トレイ(基板支持部材)
18a(181,182,183,551) 上側排出流路
18b(185,186,187,555) 下側排出流路
55 流体回収部(流体給排部)
57 流体供給部(流体給排部)
90 制御ユニット(制御部)
100 処理チャンバ(チャンバ)
552,556 密度検出部(密度検出部、質量流量計)
S 基板
SP 処理空間