IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-レーダ装置及び点群生成方法 図1
  • 特開-レーダ装置及び点群生成方法 図2
  • 特開-レーダ装置及び点群生成方法 図3
  • 特開-レーダ装置及び点群生成方法 図4
  • 特開-レーダ装置及び点群生成方法 図5
  • 特開-レーダ装置及び点群生成方法 図6
  • 特開-レーダ装置及び点群生成方法 図7
  • 特開-レーダ装置及び点群生成方法 図8
  • 特開-レーダ装置及び点群生成方法 図9
  • 特開-レーダ装置及び点群生成方法 図10
  • 特開-レーダ装置及び点群生成方法 図11
  • 特開-レーダ装置及び点群生成方法 図12
  • 特開-レーダ装置及び点群生成方法 図13
  • 特開-レーダ装置及び点群生成方法 図14
  • 特開-レーダ装置及び点群生成方法 図15
  • 特開-レーダ装置及び点群生成方法 図16
  • 特開-レーダ装置及び点群生成方法 図17
  • 特開-レーダ装置及び点群生成方法 図18
  • 特開-レーダ装置及び点群生成方法 図19
  • 特開-レーダ装置及び点群生成方法 図20
  • 特開-レーダ装置及び点群生成方法 図21
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106071
(43)【公開日】2024-08-07
(54)【発明の名称】レーダ装置及び点群生成方法
(51)【国際特許分類】
   G01S 13/536 20060101AFI20240731BHJP
   G01S 13/72 20060101ALI20240731BHJP
   G01S 13/931 20200101ALI20240731BHJP
【FI】
G01S13/536
G01S13/72
G01S13/931
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023010158
(22)【出願日】2023-01-26
(71)【出願人】
【識別番号】322003857
【氏名又は名称】パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】四方 英邦
(72)【発明者】
【氏名】由比 智裕
(72)【発明者】
【氏名】岸上 高明
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 典昭
【テーマコード(参考)】
5J070
【Fターム(参考)】
5J070AB17
5J070AC02
5J070AC12
5J070AC13
5J070AD05
5J070AD08
5J070AE01
5J070AF03
5J070AH12
5J070AH25
5J070AH31
5J070AH35
5J070AK22
5J070BA01
5J070BB04
5J070BB05
(57)【要約】
【課題】レーダ装置における物標の検出精度を向上する。
【解決手段】レーダ装置は、レーダ信号が物体で反射した反射波信号に基づいて、フレーム毎に点群データを生成する信号処理回路と、点群データから、過去フレームにおける静止物に対応する第1点群を抽出する抽出回路と、現フレームの点群データと、過去フレームの第1点群とを重畳する重畳回路と、を具備する。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーダ信号が物体で反射した反射波信号に基づいて、フレーム毎に点群データを生成する信号処理回路と、
前記点群データから、静止物に対応する第1点群を抽出する抽出回路と、
現フレームの前記点群データと、過去フレームの前記第1点群とを重畳する重畳回路と、
を具備するレーダ装置。
【請求項2】
前記抽出回路は、前記第1点群を複数の前記過去フレームから抽出し、
前記複数の過去フレームのそれぞれで抽出された前記第1点群を重畳する第2重畳回路、を更に具備する、
請求項1に記載のレーダ装置。
【請求項3】
前記レーダ装置を搭載する車両の移動ベクトルを導出する導出回路と、
前記移動ベクトルに基づいて、前記複数の過去フレームのそれぞれから抽出された前記第1点群の位置をシフトするシフト回路と、を更に具備し、
前記第2重畳回路は、前記位置をシフトされた複数の前記第1点群を重畳する、
請求項2に記載のレーダ装置。
【請求項4】
前記レーダ装置の検出対象エリアを分割して得られる複数の領域毎に1つの前記第1点群を記憶する記憶回路、を更に具備する、
請求項1に記載のレーダ装置。
【請求項5】
前記抽出回路は、前記点群データから、移動物に対応する第2点群を抽出し、
前記第1点群の位置と前記第2点群の位置に基づいて、前記第1点群をクリアするか否かを判断するクリア回路、を更に具備する、
請求項1に記載のレーダ装置。
【請求項6】
前記重畳回路から出力される前記点群データに基づいて、前記物体に対して1つのクラスタを生成するクラスタリング回路と、
前記クラスタをトラッキングするトラッキング回路と、を更に具備し、
前記抽出回路は、前記トラッキングの結果に基づいて、前記点群データ内の各点群が、前記第1点群であるか、前記第2点群であるかを判断する、
請求項5に記載のレーダ装置。
【請求項7】
Nフレームに亘る前記第1点群を記憶し、前記Nフレームに亘る、前記レーダ装置を搭載する車両の移動ベクトルを記憶する記憶回路と、
前記Nフレームのそれぞれで抽出された前記第1点群を、前記移動ベクトルに基づいて位置シフトした後に重畳する第2重畳回路、を更に具備する、
請求項1に記載のレーダ装置。
【請求項8】
前記記憶回路は、前記レーダ装置を搭載する車両が停止していないフレームから前記第1点群及び前記移動ベクトルを記憶し、前記車両が停止しているフレームから前記第1点群及び前記移動ベクトルを記憶しない、
請求項7に記載のレーダ装置。
【請求項9】
前記レーダ装置を搭載する車両の動力源が停止する前の前記車両の位置と、前記動力源が再始動した後の前記車両の位置とが一致しない場合、前記第1点群をクリアするクリア回路と、をさらに具備する、
請求項1に記載のレーダ装置。
【請求項10】
前記レーダ装置を搭載する車両の動力源が停止する前の前記第1点群の位置と、前記動力源が再始動した後の前記第1点群の位置とが一致しない場合、前記第1点群をクリアするクリア回路と、をさらに具備する、
請求項1に記載のレーダ装置。
【請求項11】
前記レーダ装置を搭載する車両の移動ベクトルを導出する導出回路と、
現フレームの点群データと前フレームの点群データとの比較結果に基づいて前記移動ベクトルを補償する補償回路と、を更に具備する、
請求項1に記載のレーダ装置。
【請求項12】
レーダ装置は、
レーダ信号が物体で反射した反射波信号に基づいて、フレーム毎に点群データを生成し、
前記点群データから、静止物に対応する第1点群を抽出し、
現フレームの前記点群データと、過去フレームの前記第1点群とを重畳する、
点群生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レーダ装置及び点群生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、衝突防止といった安全確保、又は、自動運転を実現するセンサとして、降雪又は濃霧といった視界不良の周囲環境においても検出性能の劣化が比較的少ないミリ波帯を用いたレーダ装置が注目されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5700940号公報
【特許文献2】特表2022-511990号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Yi Jin,他5名,”Comparison of Different Approaches for Identification of Radar Ghost Detections in Automotive Scenarios”, 2021年5月, IEEE Radar Conference
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、レーダ装置における物体の検出精度を向上する方法については検討の余地がある。
【0006】
本開示の非限定的な実施例は、レーダ装置における物体の検出精度を向上できるレーダ装置の提供に資する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一実施例に係るレーダ装置は、レーダ信号が物体で反射した反射波信号に基づいて、フレーム毎に点群データを生成する信号処理回路と、前記点群データから、静止物に対応する第1点群を抽出する抽出回路と、現フレームの前記点群データと、過去フレームの前記第1点群とを重畳する重畳回路と、を具備する。
【0008】
なお、これらの包括的または具体的な実施例は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム、または、記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一態様によれば、レーダ装置における物体の検出精度を向上できる。
【0010】
本開示の一態様における更なる利点及び効果は、明細書及び図面から明らかにされる。かかる利点及び/または効果は、いくつかの実施形態並びに明細書及び図面に記載された特徴によってそれぞれ提供されるが、1つまたはそれ以上の同一の特徴を得るために必ずしも全てが提供される必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】レーダ進行方向と反射物の位置関係の一例を鳥観図で示す図である。
図2】レーダ進行方向と複数の反射物の位置関係の一例を鳥観図で示す図である。
図3】レーダ装置における信号処理部等の構成例を示す図である。
図4】レーダ進行方向と複数の反射物の位置関係の一例をトップビューで示す図である。
図5】レーダ進行方向と複数の反射物の位置関係と方位角の一例をトップビューで示す図である。
図6】車両が移動している場合の距離-ドップラー周波数マップの一例を示す図である。
図7】車両が移動している場合のドップラー周波数-方位マップの一例を示す図である。
図8】車両が停止している場合の距離-ドップラー周波数マップの一例を示す図である。
図9】車両が停止している場合のドップラー周波数-方位マップの一例を示す図である。
図10】第1の実施の形態に係るレーダ装置のブロック構成の一例を示す図である。
図11】第1の実施の形態に係る各フレームタイミングと検出結果の様子を示す、距離-方位マップの一例を示す図である。
図12】第1の実施の形態に係る各フレームタイミングの重畳結果の様子を示す、距離-方位マップの一例を示す図である。
図13】第1の実施の形態に係る静止していた車両が走行を開始するタイミングにおける、距離-方位マップの一例を示す図である。
図14】第1の実施の形態に係るレーダ装置のブロック構成の一例を示す図である。
図15】第1の実施の形態に係るレーダ装置の処理内容を説明する図である。
図16】第1の実施の形態に係るレーダ装置のブロック構成の別の例を示す図である。
図17】第2の実施の形態に係るレーダ装置のブロック構成の一例を示す図である。
図18】第2の実施の形態に係るレーダ装置のブロック構成の別の例を示す図である。
図19】第2の実施の形態に係るレーダ装置の処理フローの一例を示す図である。
図20】第3の実施の形態に係るレーダ装置のブロック構成の一例を示す図である。
図21】第4の実施の形態に係るレーダ装置のブロック構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の一実施例に係る実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、実施の形態において、同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明は重複するので省略する。
【0013】
これまで、自動車専用道路のように検出対象(又は、検知対象)領域に含まれる物体の数又は種類が限定的であり比較的単純な環境の場合には、レーダ装置の機能としては、検出対象物までの距離及び水平方向の方位を検出する機能で十分であった。また、この場合、既存の技術によるレーダ装置の検出対象物としては、走行している車両といった移動物でよく、道路上の設置物又は駐停車している車両といった、静止物を検出対象から除外していた。これは、レーダ装置が検出しなくてもよい、標識、陸橋、又は、路上のマンホールといった静止物を誤って検出してしまうことで、車両の急ブレーキをかけるような制御が行われる可能性があるためであり、このような制御動作を防止する観点からも静止物が検出対象物から除外されていた。
【0014】
このため、例えば、送信アンテナ数が3個、受信アンテナ数が4個程度の比較的少ない数量のアンテナ数によってミリ波レーダ装置は実現されていた。
【0015】
その一方で、レーダ装置を活用するシーンとして、市街地又はショッピングモールの駐車場といった場所での走行シーンにも広げる要望も高まっている。このような場所は、様々な種類の物体が数多く存在する複雑な環境である。このため、レーダ装置の機能としては、上述したような検出対象物までの距離及び検出対象物が位置する水平方向の方位角を検出する機能に加え、垂直方向の仰角を検出する機能も求められる。
【0016】
そして、レーダ装置において、静止物を検出対象から除外する処理の代わりに、車両が通過可能な高い位置にある静止物を検出対象から除外する一方で、駐停車している車両のように、衝突の可能性がある静止物を検出対象とするような機能が望まれる。
【0017】
また、自動車専用道路のような環境においても、停止と低速走行とを繰り返すような渋滞時には、標識、陸橋、又は、橋梁の継ぎ目といった走行に支障の無い物体と、周囲の停止車両のような走行する方向に制約を与える物体とを的確に区別して検出する機能が望まれる。
【0018】
既存の技術によるレーダ装置は、ターゲット及びレーダの少なくとも一方が移動する場合には十分な検出性能を発揮するが、ターゲット及びレーダの両方が静止する状態ではレーダ装置の検出性能が低下しやすい。
【0019】
例えば、ターゲット及びレーダの両方とも静止している状態では、ドップラー効果による周波数偏移が生じにくいため、方位角又は仰角の違いによる周波数偏移の差も存在しにくく、等距離に複数の反射点がある場合、レーダ装置は、複数の反射波が互いに重なり合った同一周波数の合成波を受信する。このため、例えば、レーダ装置のアンテナ開口長が十分に大きくない場合には、十分な角度分解能が得られない可能性がある。その一方で、ターゲット又はレーダの少なくとも一方が移動する場合には、レーダ装置は、ドップラー効果を利用可能となり、個々の反射点が位置する方位角又は仰角が異なることによって周波数偏移に違いが生じる。このため、それぞれの反射点が位置する角度に応じたドップラー周波数の反射波を得て、ドップラー周波数領域に反射波が分散されるので、レーダ装置のアンテナ開口長が十分に大きくない場合でも、角度分解能が向上し、十分な検出性能が得られる。
【0020】
例えば、レーダ装置において、LiDAR(Light Detection And Ranging)からの点群出力に基づいてターゲットの種別判定を行う際に、点群の密度が不十分であるためにターゲットの種別を誤って判定する可能性がある。これに対して、点群の密度を増大させるために、連続するフレーム間でターゲットの相対的な移動量又は回転量を補償した上で、過去のフレームの点群を重畳させ、重畳結果に基づいてターゲットの種別判定を実施する技術が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0021】
また、白線等の道路上に引かれた車線を検出する際、車両の位置又は姿勢がフレーム間で異なるため、車両の位置又は姿勢を補償する位置シフトといった変換を行い、最新フレームの点群に過去フレームの点群を重畳する技術が提案されている(例えば、特許文献2を参照)。
【0022】
また、レーダ装置の点群密度がLiDARの点群密度よりも粗であるため、深層学習の性能を十分に引き出せないため、最新フレームの車両(例えば、レーダ装置を搭載する車両)の位置に補償した上で、過去の一定時間内のタイミングで検出された静止物点群を重畳させる技術が提案されている(例えば、非特許文献1を参照)。
【0023】
本開示の非限定的な一実施例では、レーダ装置を用いて静止物を含む障害物の形状を検出し、走行可能なフリースペースを的確に判定することにより、安全な走行を支援する技術について説明する。
【0024】
本開示の非限定的な一実施例に係るレーダ装置は、例えば、車両への搭載が想定される。レーダ装置の搭載位置としては、バンパー内に限定されず、ルーフ、サイドミラー、フェンダーといった他の位置への搭載も想定される。なお、レーダ装置の搭載については、これらに限定されず、例えば、歩道のような場所を低速走行する小型の荷物配送車両への搭載にも適用可能である。
【0025】
例えば、レーダ装置は、距離、方位角、及び、仰角の推定を行うレーダ信号処理部からの点群出力に基づいて、衝突防止といった制御を行うシステムにおいて、最新フレームの点群に過去フレームで得られた点群を重畳させることにより、レーダ装置を搭載する車両が停止状態の場合でも、静止物の点群密度を低下させることなく、形状等の推定が可能となる。また、レーダ装置は、車両が停止中に周囲の停止車両が移動を開始した場合にも適切に最新状況を把握することができるため、正確なフリースペース検出(又は、フリースペース検知)等が可能となる。
【0026】
<第1の実施の形態>
複数アレイで構成される送信アンテナ、及び、複数アレイで構成される受信アンテナを有するレーダ装置において、水平方向及び垂直方向の両方向にアレイを配置することにより、反射物の水平方向の方位角に加え、垂直方向の仰角も同時に取得可能な3Dレーダ装置が具現化される。
【0027】
3Dレーダ装置の活用により、走行に支障の無い高さに位置する標識及び陸橋、又は、路上のマンホール及び道路の継ぎ目といった衝突の可能性が低い物体(又は、通過可能な物体)からの反射波であるか、停止車両のように衝突の可能性が高い物体(又は、通過困難な物体)であるかを判断可能となる。これにより、レーダ装置の検出対象を、移動している障害物に限定することなく、静止物も含めることが可能となる。
【0028】
例えば、図1に示すように、進行方向にレーダ装置10を装着した車両が速度v_egoで走行する際に、方位角θ_1、仰角φ_1に位置する静止した反射物(静止物、又は、静止反射物とも呼ぶ)102が検出される場合、レーダ装置10において観測されるドップラー周波数f_d1は、送信信号の中心周波数をf_0、光速をcとした場合、次式(1)で表される。
f_d1 = (2・v_ego・f_0・cosθ_1・cosφ_1)/ c (1)
【0029】
また、図2に示すように、レーダ装置10から静止反射物202までの距離に等しく、別の角度(方位角θ_2、仰角φ_2、|θ_1|≠|θ_2|又は|φ_1|≠|φ_2|)に静止反射物203が位置する場合には、レーダ装置10において観測されるドップラー周波数として、f_d1のドップラー周波数成分に加え、以下の式(2)で表されるf_d2のドップラー周波数成分が含まれる。
f_d2 = (2・v_ego・f_0・cosθ_2・cosφ_2)/ c (2)
【0030】
このため、レーダ装置10は、例えば、レーダ信号処理部(後述する)によってドップラー周波数を検出(又は観測)することにより、等距離に存在する二つの反射物を容易に分離検出できる。
【0031】
図3は、レーダ方式として周波数を高速パルス状に変調するFCM(Fast-Chirp Modulation)を採用する場合のレーダ装置10の構成例を示す。
【0032】
図3に示すレーダ装置10は、送受信アンテナ及びレーダ信号処理部300を含む。送受信アンテナは、例えば、複数アレイで構成される送信アンテナ302、及び、複数アレイで構成される受信アンテナ303とから構成されてよい。
【0033】
レーダ信号処理部300は、例えば、送信高周波部301、受信高周波部304、A/D変換部305、RFFT(Range-Fast Fourier Transform)部306、1フレーム保持部307、VFFT(Velocity-FFT)部308、CFAR(Constant False Alarm Rate)部309、DOA(Direction of Arrival)推定部310を含む。
【0034】
送信高周波部301は、レーダ信号(例えば、チャープ信号、FCM信号)を送信アンテナ302に出力する。受信高周波部304は、受信アンテナ303からの信号に対して、送信信号とのミキシングを行うことによりビート信号を出力する。
【0035】
A/D変換部305は、ビート信号をアナログ/デジタル変換する。RFFT部306は、受信したチャープ信号毎にFFT(高速フーリエ変換)を行い、反射物との距離(range)を導出する。1フレーム保持部307は、RFFT部306から出力される信号を1フレームに亘ってメモリー等に保持する。VFFT部308は、1フレーム分保持された信号から各々の距離bin(距離方向における各インデックス値)毎にRFFT出力の複素信号1フレーム分に対してFFTを行い、ドップラー速度(velocity)に対応するドップラー周波数bin毎の複素信号を得る。
【0036】
CFAR部309は、VFFT部308の出力における電力が所定の閾値を超過し、反射物が存在する可能性の高い距離bin及びドップラー周波数binの組み合わせを抽出する。DOA推定部310は、CFAR部309において抽出される距離bin及びドップラー周波数binにおける各受信アンテナ系統からの複素信号と方向ベクトルとの相関演算によって到来方向を推定する。
【0037】
このようにして、レーダ装置10は、例えば、電波(送信波)を送信し、送信波が検出対象領域内の物体において反射した反射波を受信する。レーダ装置10(レーダ信号処理部300)は、例えば、受信した反射波信号に基づいて、検出対象に対応する反射点の集合(以下、「点群」と称する)に関する情報(以下、「点群データ」と称する)をフレーム毎に生成する。レーダ装置10は、生成した点群データを外部の装置(例えば、クラスタリング/トラッキング部)に出力してもよい。点群データにおいて、1つの検出対象の物体(例えば、1台の車両)に対応する点群は、1つに限らず、2つ以上の点群が現れる可能性がある。
【0038】
例えば、図4に示すように、鉛直方向から眺めた際にレーダ装置10(車両)が矢印の方向に進行する場合、レーダ装置10の検出対象エリア402内に静止物a(403)、b(404)、c(405)、d(406)、e(407)が存在する場合を仮定する。
【0039】
この場合、図5に示すように、各静止物に対する到来方向推定の結果は、θ_a、θ_b、θ_c、θ_d、θ_eのように表される。図5に示すように、レーダ装置10の近傍の静止物ほど、推定角度θが大きく、cosθの値が小さくなる。これにより、例えば、式(1)及び式(2)で表されるように、レーダ装置10の近傍の静止物ほど、レーダ装置10において検出されるドップラー周波数は低くなる。
【0040】
図6は、図5の様子を距離-ドップラー周波数マップ上にプロットした例を示す。図6に示す距離-ドップラー周波数マップは、各受信アンテナ系統のVFFT部308の出力における電力和を求め、CFAR部309によって所定の閾値条件を超過した距離bin及びドップラー周波数binの抽出により作成される。
【0041】
例えば、レーダ装置10を搭載する車両が所定の速度で走行する場合、車両の速度又は車両と静止物との位置関係によって、図6における静止物の分布は様々になり得て、一様に定まらない。このため、レーダ装置10において検出される反射物が静止物であるか移動物であるかを判断することは困難である。
【0042】
そこで、レーダ装置10は、DOA推定部310の出力を利用して、図7に示すようなドップラー周波数-方位マップを作成する。例えば、レーダ装置10において観測されるドップラー周波数は距離に無関係であり、反射物が位置する角度(例えば、方位)に依存するため、図7に示すような静止物曲線を描くことが可能となる。ここで、ドップラー速度(例えば、ドップラー周波数)の最大値は、車両の進行方向に静止物が存在する場合に観測され、この場合のドップラー周波数を「f_ego」と表す。
【0043】
例えば、車両の速度が定まることによって、静止物曲線は一位に定まるため、レーダ装置10において検出される点群が静止物であるか、移動物であるかの判定は、この静止物曲線上にプロットされるか否かという観点で実施可能となる。
【0044】
ただし、車両の進行方向と直角方向、いわゆるクロスレンジ方向に移動する物体については、ドップラー速度が抽出されにくいため、レーダ装置10は、上述した静止物曲線による判定と、トラッキングといった他の処理とを組み合わせて静止物/移動物の判定を行うことも好適である。
【0045】
次に、レーダ装置10を搭載する車両が静止している場合について説明する。
【0046】
例えば、図8は、図4と同様の位置に静止物が存在する場合に、車両も静止している場合の距離-ドップラー周波数マップの例を示す。図8に示すように、車両が静止している場合には、静止物は、ドップラー周波数がゼロの直線上に全てプロットされる。
【0047】
このため、例えば、異なる方位であり、同じ距離に複数の反射物が位置する場合、レーダ装置10においてドップラー周波数による分離効果が得られず、分解能が低下し、物体の形状推定が困難になる。
【0048】
なお、車両が静止する場合、ドップラー周波数-方位マップは、図9に示すように、周波数がゼロの直線上に全てプロットされる。
【0049】
そこで、本実施の形態では、レーダ装置10は、レーダ装置10を搭載する車両が停止する前に取得した過去フレームの点群データを、停止後に得られる最新フレームの点群データに重畳する仕組みを導入する。
【0050】
図10は、本実施の形態に係るレーダ装置10の構成例を示すブロック図である。
【0051】
図10に示すレーダ装置10は、図3に示すレーダ信号処理部300、複数アレイで構成される送信アンテナ302、複数アレイで構成される受信アンテナ303に加え、車両移動ベクトル導出部1001、静止点群抽出部1002、重畳部1003、領域グリッド化部1004、静止重畳記憶部1005、点群位置シフト部1006、重畳部1007を含む。
【0052】
車両移動ベクトル導出部1001は、車両の移動方向及び速度といった移動ベクトル(例えば、移動ベクトル量)に関する情報を導出する。
【0053】
静止点群抽出部1002は、レーダ信号処理部300から入力される点群データから、静止物に対応する点群(以下、「静止物点群」又は「静止点群」と呼ぶ)を抽出する。例えば、静止点群抽出部1002は、ドップラー周波数-方位マップにおける静止物曲線上にある点群等の静止点群を抽出する。
【0054】
点群位置シフト部1006は、車両移動ベクトル導出部1001から入力される移動ベクトルに関する情報に基づいて、静止重畳記憶部1005に記憶された過去フレームで得られる静止点群の位置を、最新フレームにて検出され得る位置にシフトさせる。
【0055】
重畳部1003は、静止点群抽出部1002から出力される点群に対して、点群位置シフト部1006からの出力点群を重畳する。
【0056】
領域グリッド化部1004は、重畳部1003からの出力を量子化する。例えば、領域グリッド化部1004は、レーダ装置10の検出対象エリアを分割して得られる複数の領域に、静止点群を量子化してもよい。例えば、領域グリッド化部1004は、検出対象エリアのグリッド化された各領域において、静止重畳記憶部1005に点群が記憶されているか否かを判断し、点群が記憶されていない領域の点群を静止重畳記憶部1005に出力(又は、追加)し、点群が記憶されている領域の点群を静止重畳記憶部1005に出力(又は、追加)しない。このような検出対象エリアのグリッド化により、静止重畳記憶部1005は、例えば、検出対象エリアの複数の領域毎に1つ(又は、規定数)の点群を記憶する。これにより、過去フレームの点群を保持する際のデータ容量を削減できる。
【0057】
静止重畳記憶部1005は、領域グリッド化部1004からの出力データを保持する。
【0058】
重畳部1007は、過去フレームにて検出された静止物点群と、最新フレーム(例えば、現フレーム)で検出された移動物点群を含む全点群とを重畳する。
【0059】
このように、レーダ装置10において、静止点群抽出部1002は、静止点群を複数のフレーム(例えば、最新フレームに対する複数の過去フレーム)において抽出し、点群位置シフト部1006は、車両の移動ベクトルに基づいて、複数の過去フレームのそれぞれで抽出された静止点群の位置をシフトし、重畳部1003は、複数の過去フレームのそれぞれで抽出された静止点群であり、位置をシフトされた複数の静止点群を重畳してよい。例えば、点群位置シフト部1006は、車両移動ベクトル導出部1001で得られた、一つ前のフレームからの移動量を補償するように、点群の位置をシフトさせてよい。
【0060】
例えば、図11の(a)~(c)は、最新フレームがNフレームであり、過去2フレームの静止物(反射物)Aの位置及び検出された点群の様子の例を示す。例えば、(N-2)フレーム目で検出される点群は、図11の(a)のように〇印で表され、(N-1)フレーム目で検出される点群は、図11の(b)のように△印で表され、Nフレームで検出される点群は、図11の(c)のように●印で表される。
【0061】
なお、最新のNフレーム目で車両が停止することを仮定し、図11の(c)では、車両の停止によって、検出される点群の数が減少する様子も示す。
【0062】
図12は、重畳部1003の出力ポイントにおける点群の様子の例を示す。
【0063】
図12の(a)に示すように、(N-1)フレームのタイミングでは、静止重畳記憶部1005にて一つ前のフレーム((N-2)フレーム)までの点群が保存されている。点群位置シフト部1006は、例えば、静止重畳記憶部1005からの出力に対して、車両の移動ベクトル量に基づく補償を行い、重畳部1003は、補償後の静止点群と、静止点群抽出部1002からの出力(例えば、(N-1)フレームで検出される点群)との重畳を行う。
【0064】
この処理により、重畳部1003の出力ポイントでは、図12の(a)に示すように、(N-1)フレーム目で検出される△印の点群に加えて、(N-2)フレーム目で検出される〇印の点群も加わり、図11の(b)と場合と比較して、点群密度が高い点群データが得られる。図12の(b)において、(N-2)フレーム目で検出される○印の点群は、(N-1)フレームから(N-1)フレームまでの間の車両の移動(例えば、移動ベクトル量)に応じた位置(例えば、(N-1)フレーム目における静止物Aの位置)にシフトされている。
【0065】
また、図12の(b)に示すように、次のNフレーム目でも同様に、点群密度の高い点群データが得られる。
【0066】
このように、レーダ装置10は、最新フレームの点群データ(例えば、移動物及び静止物に対応する点群を含む)と、過去フレームの静止点群とを重畳する。これにより、例えば、レーダ装置10を搭載する車両が停止している場合、例えば、現フレームにおいて静止物に対応する点群を検出しにくい状況でも、レーダ装置10は、過去フレームにおいて取得した点群データにより、静止物を適切に特定できるので、分解能の低下を抑え、物体形状の推定精度を向上できる。
【0067】
ところで、レーダ装置10を搭載する車両が再度走行するまでの間、最新のNフレームで検出される静止物Aが静止したままであれば、図10に示すレーダ装置10の構成及び動作により、物体の形状推定が可能である。その一方で、車両が停止した状態の間に、静止物Aが移動した場合には、以下について検討することが望ましい。例えば、図13に示すように、(N+m)フレームのタイミングで静止物Aの状況が静止から移動に変化すると、最新の(N+m)フレームで◇印の点群が検出されるのに加え、過去フレームで検出された〇印、△印、●印の点群があたかも存在しているかの様な結果が出力され得る。
【0068】
そこで、本実施の形態では、図14に示されるレーダ装置10aを構成してもよい。
【0069】
図14に示すレーダ装置10aは、図10に示すレーダ装置100における静止点群抽出部1002を静止/移動点群抽出部1401に置き換え、静止重畳記憶部1005を部分領域削除機能付きの静止重畳記憶部1402に置き換え、さらに、移動物領域クリア部1403を追加した構成である。
【0070】
静止/移動点群抽出部1401は、レーダ信号処理部300から入力される点群データから、静止点群の抽出に加え、移動点群を抽出する。
【0071】
静止重畳記憶部1402は、領域グリッド化部1004からの出力データ(静止点群のデータ)を保持する。また、静止重畳記憶部1402において保持される静止点群のデータの少なくとも一部は、後述する移動物領域クリア部1403によってクリアされてよい。
【0072】
移動物領域クリア部1403は、例えば、静止点群の位置と移動点群の位置に基づいて、静止重畳記憶部1402に記憶された静止点群をクリアするか否かを判断する。
【0073】
移動物領域クリア部1403は、例えば、車両移動ベクトル導出部1001から入力される移動ベクトルに関する情報に基づいて、レーダ装置10を搭載する車両が停止しているか否か、又は、車両の移動ベクトルがゼロであるか否かを判断する。そして、移動物領域クリア部1403は、レーダ装置10を搭載する車両が停止し、車両移動ベクトルがゼロである条件において、静止/移動点群抽出部1401から移動点群が出力される場合に、当該移動点群の位置が、静止重畳記憶部1402に記憶される過去フレームにおいて静止点群として既に検出された位置であるか否かを判断する。移動物領域クリア部1403は、移動点群の位置が静止点群として検出された位置でない場合には処理を行わない。その一方で、移動物領域クリア部1403は、移動点群の位置が静止点群として検出された位置の場合、静止重畳記憶部1402に記憶されている点群のうち、当該位置の点群を部分的に削除するクリア処理を行う。
【0074】
なお、移動点群の位置が静止点群として検出された位置である状況の一例として、車両の前方に停止していた車両が走行を開始した状況が挙げられる。
【0075】
図15の(a)は、一例として、(N+m-1)フレームのタイミングにおいて、静止重畳記憶部1402に記憶された点群の距離-方位マップの例を示す。図15の(a)に示すように、静止重畳記憶部1402には、静止物Aに対応する静止点群、及び、静止物Bに対応する静止点群が記憶されている。
【0076】
また、図15の(b)は、(N+m)フレームのタイミングにおいて静止/移動点群抽出部1401から出力される移動点群の例を示す。
【0077】
図15の(b)において、静止/移動点群抽出部1401にて抽出される移動点群の位置が、静止重畳記憶部1402に記憶される静止物Aに対応する点群の位置に対応するため、移動物領域クリア部1403は、図15の(a)における静止物Aが移動した(又は、移動を開始した)と判断する。移動物領域クリア部1403は、例えば、図15の(c)に示すように、静止重畳記憶部1402に記憶された静止点群のうち、移動点群の位置(又は、静止物体Aに対応した位置)に相当する当該領域(点線の〇印で囲まれた領域)に存在する点群データを削除(クリア)する。
【0078】
なお、クラスタリング/トラッキング部(図示せず)に出力される重畳部1007の出力では、静止重畳記憶部1402からの出力(例えば、静止点群)に加えて、(N+m)フレームで検出される全ての点群が重畳されるため、静止重畳記憶部1402から部分的に点群が削除されても、正確な最新の検出状況が出力される。
【0079】
レーダ装置10aの処理(静止点群のクリア)により、レーダ装置10aを搭載する車両が停止した状態の間に、静止物Aが移動する場合でも、レーダ装置10aは、最新のフレームにおいて、過去フレームで検出された点群が存在した結果を出力することを防ぐことができる。これにより、レーダ装置10aは、静止物を適切に特定できるので、分解能の低下を抑え、物体形状の推定精度を向上できる。
【0080】
なお、レーダ装置10を搭載する車両と、静止物Aがほぼ同時に移動する場合も想定される。例えば、赤信号で停車していた複数の車両がほぼ同時に走行を再開するシーン等である。この場合にも静止物Aが停止していた時の静止点群はクリアされてもよい。よって、必ずしも、レーダ装置10を搭載する車両が停止している場合に限定せずとも、走行を再開する場合も含むとする条件としても良い。
【0081】
ここで、例えば、レーダ装置を搭載する車両が停止している間に、反射物の移動方向がレーダ装置10bに近づく方向、又は、レーダ装置から遠ざかる方向である場合、ドップラー周波数偏移が生じるため、レーダ装置は、移動物と静止物との区別を的確に行える。その一方で、いわゆるクロスレンジ方向(レーダ装置の検出対象領域の中央を横切る方向)に反射物が移動する場合、ドップラー周波数偏移が生じにくいため、レーダ装置において、移動物であるにも関わらず、静止物として誤って判定される可能性が高い。
【0082】
そこで、次に、静止点群及び移動点群の抽出をより高精度に実施する方法について説明する。
【0083】
図16は、静止点群及び移動点群の抽出をより高精度に実施するためのレーダ装置10bの構成例を示す。
【0084】
図16に示すレーダ装置10bは、図14に示すレーダ装置10aにおける静止/移動点群抽出部1401を静止/移動点群抽出部1603に置き換え、さらに、クラスタリング部1601及びトラッキング部1602を追加した構成である。
【0085】
クラスタリング部1601は、例えば、重畳部1007から出力される点群データに基づいて、所定の条件を満たす複数の点群を領域化(又は、クラスタ化)し、各物体に対して1つのクラスタを生成する。クラスタ化により、複数の点群が一つの物体からの複数の反射点であることが仮定される。
【0086】
トラッキング部1602は、例えば、クラスタリング部1601から出力されるクラスタに関する情報に基づいて、各クラスタの過去の移動ベクトル、及び、最新フレームで検出された位置に応じて、ノイズ又はクラッターによる影響を低減して真の位置を推定(トラッキング)する。
【0087】
静止/移動点群抽出部1603は、例えば、トラッキング部1602におけるトラッキング結果も利用して、レーダ信号処理部300から入力される点群データ内の各点群が静止点群であるか、移動点群であるかを判断する。例えば、静止/移動点群抽出部1603は、ドップラー速度がゼロ又はゼロに近い場合には、トラッキング部1602にて移動物として追尾された点群に該当するか否かを確認した上で、検出される点群が静止物か移動物かを判定してよい。
【0088】
図16に示すレーダ装置10bの構成により、例えば、ドップラー周波数偏移が生じにくい状況でも、移動物と静止物とを的確に区別して判定することができ、静止点群及び移動点群の抽出精度を向上できる。
【0089】
<第2の実施の形態>
図17は、本実施の形態に係るレーダ装置20の構成例を示すブロック図を示す。
【0090】
図17に示すレーダ装置20は、図14に示すレーダ装置10aの構成から、領域グリッド化部1004を無くし、点群記憶部1701及びベクトル記憶部1702を追加した構成である。
【0091】
点群記憶部1701は、例えば、静止/移動点群抽出部1401から出力される、Nフレーム分の点群を記憶する。また、ベクトル記憶部1702は、例えば、車両移動ベクトル導出部1001から出力される、Nフレーム分の車両移動ベクトルを記憶する。例えば、点群記憶部1701及びベクトル記憶部1702は、Nフレームに亘る静止点群、及び、Nフレームに亘る車両の移動ベクトルを記憶する記憶回路に対応してよい。
【0092】
例えば、レーダ装置20は、最新のフレームが取得される度に、過去Nフレームに亘って検出される点群データに対して、車両のベクトル移動を補償しながら、重畳する処理を実施する。
【0093】
本実施の形態では、実施の形態1のような領域グリッド化部1004における量子化を行わないため、より高精度な静止点群の生成が可能となる。これにより、レーダ装置20は、フレームにおいて取得した点群データにより、静止物を適切に特定できるので、分解能の低下を抑え、物体形状の推定精度を向上できる。
【0094】
なお、記憶容量の制限から過去の点群を全て保持することは困難であるため、点群記憶部1701及びベクトル記憶部1702において記憶するフレーム数をN個に設定(又は、制限)する。
【0095】
ここで、長時間に亘ってレーダ装置20を搭載する車両が停車する場合、又は、車両が停止と徐行を繰り返す場合、記憶するフレーム数がN個に設定(又は、制限)されるため、取得したタイミングが古い点群データであって、車両の移動時に取得した密度の高い点群データが失われる可能性もある。そこで、例えば、図18に示すレーダ装置20aのように、車両移動ベクトル導出部1001から出力される移動ベクトルに基づいて、レーダ装置20aを搭載する車両が移動しているタイミングの点群データ及び移動ベクトルを記憶し、停止時のデータを記憶しない(又は、棄却する)構成でもよい。なお、図18に示すレーダ装置20aにおいて記憶しない(棄却する)フレームについては、点群記憶部1701とベクトル記憶部1702とで同じフレームが設定される。
【0096】
図19は、本実施の形態に係るレーダ装置20aの動作例を示すフローチャートを示す。なお、図19では、変数iの初期値は1に設定されてよい。
【0097】
図19において、レーダ装置20aは、最新フレームの点群を取得する(S101)。
【0098】
レーダ装置20aは、最新フレームの点群を取得後に、レーダ装置20aを搭載する車両が停止しているか否かを判断する(S102)。車両が移動している場合(又は、停止していない場合)(S102:No)、レーダ装置20aは、検出した点群データを点群記憶部1701に追加し、移動ベクトルに関するデータをベクトル記憶部1702に追加する(S103)。その一方で、車両が停止している場合(S102:Yes)、レーダ装置20aは、当該フレームで検出される点群データ及び移動ベクトルに関するデータを記憶しない(又は、棄却する)。
【0099】
そして、レーダ装置20aは、点群記憶部1701に記憶されたNフレーム分の点群に対して、対応するフレームにおける車両の移動ベクトル補償を実施しながら重畳するループ処理をN回繰り返す(S104~S110)。
【0100】
N回のループ処理が終了すると(S104:No)、レーダ装置20aは、生成した静止点群重畳結果を最新フレーム点群に重畳する(S111~S113)。
【0101】
レーダ装置20aの処理により、長時間に亘ってレーダ装置20を搭載する車両が停車する場合、又は、車両が停止と徐行を繰り返す場合でも、点群データが記憶されるNフレームにおいて、車両の移動時に取得した密度の高い点群データが失われにくくなるので、物体形状の推定精度を向上できる。
【0102】
なお、フレーム数Nは、固定値でもよく、可変値でもよい。例えば、車両の速度に応じてNの値は可変に設定されてもよい。また、Nフレームは、連続するフレームでもよく、不連続なフレームでもよい。
【0103】
また、本実施の形態では、レーダ装置20aが車両が停止しているか否かを判断する場合について説明したが、これに限定されず、例えば、レーダ装置20aは、車両の移動速度が閾値以下であるか否かを判断してもよい。
【0104】
<第3の実施の形態>
図20は、本実施の形態に係るレーダ装置30の構成例を示すブロック図を示す。
【0105】
レーダ装置30は、例えば、レーダ装置30を搭載する車両が交差点等での一時停止に加え、駐車場等に停車してエンジン等の動力源を停止させて暫く時間が経過した後に、再度、動力源を開始させた後の停止状態においても、過去の移動時に取得していた点群を活用する。
【0106】
図20に示すレーダ装置30は、図14に示すレーダ装置10aの構成から、移動物領域クリア部1403を移動物領域クリア部2004に置き換え、位置検出部2001、動力源停止前記憶部2002、比較部2003を追加した構成である。
【0107】
位置検出部2001は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System:全球測位衛星システム)を用いて車両の位置を検出する。なお、車両の位置検出は、GNSSによる検出に限定されず、他の方法でもよい。
【0108】
動力源停止前記憶部2002は、車両の動力源を停止する前の静止物点群、及び、位置検出部2001によって検出される車両の位置情報を記憶する。
【0109】
比較部2003は、例えば、車両の動力源が再始動された時に得られる車両の位置情報と、動力源停止前記憶部2002に記憶された動力源を停止する前の車両の位置情報とを比較する。また、比較部2003は、例えば、車両の動力源が再始動された時に静止/移動点群抽出部1401から得られる静止点群の位置と、動力源停止前記憶部2002に記憶された動力源を停止する前に得られた静止点群の位置とを比較する。
【0110】
移動物領域クリア部2004は、移動物領域クリア部1403の機能に加え、動力源を停止した後の再始動時におけるクリア処理に対応する機能を有する。
【0111】
例えば、比較部2003での車両位置の比較結果が一致する場合、車両の動力源が停止してから再始動するまでの間、車両が同じ場所に停車し続けたと判断できる。その一方で、比較部2003での車両位置の比較結果が一致しない場合、車両の動力源が停止してから再始動するまでの間に車両が他の場所に移動され、車両の周囲の環境が変化したと判断できる。そこで、移動物領域クリア部2004は、比較部2003での車両位置の比較結果が一致しない場合、静止重畳記憶部1402に記憶されたデータを削除(クリア)してよい。
【0112】
また、車両が同じ場所に停車し続けた場合でも、車両の周囲の環境は変化している可能性がある。そこで、移動物領域クリア部2004は、例えば、比較部2003における、動力源再始動後に得られる最新の静止点群の位置と動力源停止前の静止点群の位置との比較結果が不一致となる領域について、静止物であった対象物が移動したと判断して、静止重畳記憶部1402に記憶されたデータを削除(クリア)してよい。
【0113】
レーダ装置30の処理により、レーダ装置30を搭載する車両が動力源を停止させて暫く時間が経過した後に、再度、動力源を開始させた後の停止状態において、過去フレームで検出された点群が存在した結果を出力することを防ぐことができる。これにより、レーダ装置30は、静止物を適切に特定できるので、分解能の低下を抑え、物体形状の推定精度を向上できる。
【0114】
なお、動力源停止前に検出された静止点群の殆どが、動力源再始動後に得られない場合には、レーダ装置30の直近に新たに反射物が存在(例えば、停車)するといった遮蔽(オクルージョン)が生じた可能性が高い。この場合、レーダ装置30は、過去の移動時に取得した点群データの活用が困難となる。そこで、レーダ装置30は、十分な静止物の形状推定が困難であると判断し、例えば、自動運転モードでの始動を行わずに、運転手が責任を持つ運転支援モードで走行を開始するようにシステムに促してもよい。
【0115】
<第4の実施の形態>
例えば、レーダ装置を搭載する車両が移動している場合、車両周辺の静止物からの反射信号を利用して検出されるドップラー周波数と方位との関係から、レーダ装置では、図7に示すドップラー周波数-方位マップによって得られる静止物曲線に関する情報に基づいて、車両の速度及びヨーレートといった移動ベクトルに関する情報の推定が可能となる。ただし、実際にはピッチング又はローリングといった他の影響も含まれること、または、必ずしも一定の速度で車両が移動するとは限らず、加減速も行われることから、ドップラー周波数-方位マップの情報から、車両の移動ベクトルを正確に推定することは困難になる場合もあり得る。
【0116】
そこで、本実施の形態では、車両の移動ベクトルを高精度に推定するために、ICP(Iterative Closest Point)マッチング処理を導入する例について説明する。ICPマッチング処理では、例えば、前フレームで得られる点群データと最新フレームで得られる点群データとの位置合わせを繰り返し計算によって実現する手法である。
【0117】
図21は、本実施の形態に係るレーダ装置40の構成例を示すブロック図を示す。
【0118】
図21に示すレーダ装置40は、図14に示すレーダ装置10aの構成から、車両移動ベクトル導出部1001を車両移動ベクトル導出部2101に置き換え、ICPマッチング部2102及び前フレーム記憶部2103を追加した構成である。
【0119】
前フレーム記憶部2103は、例えば、静止/移動点群抽出部1401から出力される前フレームにおける静止点群を記憶する。
【0120】
ICPマッチング部2102は、まず、静止物曲線から推定した移動ベクトルに基づいて、前フレーム記憶部2103に記憶される点群の位置をシフトさせ、最新フレームで得られる点群データの位置に近づける。そして、ICPマッチング部2102は、前フレームと最新フレームとの間の二つの点群データ間において対応する点同士を特定し、対応する点同士の位置の誤差を最小化する変換を算出する。ICPマッチング部2102は、前フレームと最新フレームとの間の二つの点群データ間同士の位置の誤差が所定の誤差に収まるまで上記処理を繰り返し実施する。
【0121】
車両移動ベクトル導出部2101は、レーダ信号処理部300からの出力に加え、ICPマッチング部2102からの出力を利用して、車両の移動ベクトルを導出する。
【0122】
このように、レーダ装置40は、現フレームの点群データと前フレームの点群データとの比較結果(例えば、ICPマッチング処理結果)に基づいて移動ベクトルを補償することにより、実施の形態1と比較して、車両の移動ベクトルを導出する精度を向上できる。
【0123】
なお、前フレームと最新フレームとでは、車両の位置が異なり得るため、反射物における反射点が厳密には異なることが想定され得る。よって、外れ値等も生じるため、レーダ装置40は、外れ値を除去するといった処理を行ってもよい。
【0124】
また、本実施の形態では、図14に示すレーダ装置10aの構成に対して、ICPマッチング処理を追加で行う構成について説明したが、これに限定されず、車両の移動ベクトルを導出する処理を行うレーダ装置の別の構成に対して、本実施の形態に係るICPマッチング処理を追加してもよい。
【0125】
以上、本開示の実施例について説明した。
【0126】
なお、車両の移動ベクトル推定について、レーダ信号処理部300の出力データ、又は、ICPマッチング結果を用いる場合について説明したが、これに限定されない。例えば、ICPマッチングの代わりに、前フレームで得られる点群データと最新フレームで得られる点群データとの位置合わせを行う他の処理が行われてもよい。また、例えば、ICPマッチング結果に加え、車両が提供する速度情報、ヨーレートセンサ情報、舵角センサ情報といった他の情報も活用して、推定精度を向上させてもよい。
【0127】
また、上記実施の形態では、点群データの活用方法について詳細には記載していないが、クラスタリング/トラッキングといった処理を行い、障害物への衝突を防止するために車両を制御する活用方法に限定されず、様々な活用方法が適用されてもよい。
【0128】
例えば、障害物が存在せずに走行可能なエリアであることを明確化するためのフリースペース検出、予め保存している地図情報等とのマッチングを行うことによって車両の自己位置を推定する方式への活用、又は、SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)のように、自己位置推定と環境地図作成とを同時に行う技術等にも活用可能である。
【0129】
更には、生成された点群データを周囲の車両又はインフラストラクチャといった外部装置とも共有し、周囲の交通参加者にとって死角が出来る限り少なくなるようなシステムの構成への適用も可能である。
【0130】
また、生成された点群データを画面といった表示部に表示させ、衝突の可能性の高い障害物に対応する点群エリアを幾何学模様等で囲う等の処理を行い、運転手に注意を喚起することも可能である。例えば、降雪又は濃霧といった悪天候下にて、目視又はカメラ映像では運転制御が困難な場合にも、上記実施の形態によって生成される点群データを描画することにより、運転の継続が可能になることも期待される。
【0131】
また、上記実施の形態において、点群データの生成に用いる過去フレームの数、静止物の数といった値は、一例であり、他の値でもよい。
【0132】
また、本開示の一実施例に係るレーダ装置は、図示しないが、例えば、CPU(Central Processing Unit)、制御プログラムを格納したROM(Read Only Memory)等の記憶媒体、およびRAM(Random Access Memory)等の作業用メモリを有する。この場合、上記した各部の機能は、CPUが制御プログラムを実行することにより実現される。但し、レーダ装置のハードウェア構成は、かかる例に限定されない。例えば、レーダ装置の各機能部は、集積回路であるIC(Integrated Circuit)として実現されてもよい。各機能部は、個別に1チップ化されてもよいし、その一部または全部を含むように1チップ化されてもよい。
【0133】
以上、図面を参照しながら各種の実施形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。また、開示の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【0134】
また、上述した実施の形態における「・・・部」という表記は、「・・・回路(circuitry)」、「・・・アッセンブリ」、「・・・デバイス」、「・・・ユニット」、又は、「・・・モジュール」といった他の表記に置換されてもよい。
【0135】
上記各実施形態では、本開示はハードウェアを用いて構成する例にとって説明したが、本開示はハードウェアとの連携においてソフトウェアでも実現することも可能である。
【0136】
また、上記各実施形態の説明に用いた各機能ブロックは、典型的には集積回路であるLSIとして実現される。集積回路は、上記実施の形態の説明に用いた各機能ブロックを制御し、入力端子と出力端子を備えてもよい。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部または全てを含むように1チップ化されてもよい。ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
【0137】
また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路または汎用プロセッサを用いて実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、LSI内部の回路セルの接続又は設定を再構成可能なリコンフィギュラブル プロセッサ(Reconfigurable Processor)を利用してもよい。
【0138】
さらには、半導体技術の進歩又は派生する別技術により、LSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックを集積化してもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてありえる。
【0139】
<本開示のまとめ>
本開示の一実施例に係るレーダ装置は、レーダ信号が物体で反射した反射波信号に基づいて、フレーム毎に点群データを生成する信号処理回路と、前記点群データから、静止物に対応する第1点群を抽出する抽出回路と、現フレームの前記点群データと、過去フレームの前記第1点群とを重畳する重畳回路と、を具備する。
【0140】
本開示の一実施例において、前記抽出回路は、前記第1点群を複数の前記過去フレームから抽出し、前記複数の過去フレームのそれぞれで抽出された前記第1点群を重畳する第2重畳回路、を更に具備する。
【0141】
本開示の一実施例において、前記レーダ装置を搭載する車両の移動ベクトルを導出する導出回路と、前記移動ベクトルに基づいて、前記複数の過去フレームのそれぞれから抽出された前記第1点群の位置をシフトするシフト回路と、を更に具備し、前記第2重畳回路は、前記位置をシフトされた複数の前記第1点群を重畳する。
【0142】
本開示の一実施例において、前記レーダ装置の検出対象エリアを分割して得られる複数の領域毎に1つの前記第1点群を記憶する記憶回路、を更に具備する。
【0143】
本開示の一実施例において、前記抽出回路は、前記点群データから、移動物に対応する第2点群を抽出し、前記第1点群の位置と前記第2点群の位置に基づいて、前記第1点群をクリアするか否かを判断するクリア回路、を更に具備する。
【0144】
本開示の一実施例において、前記重畳回路から出力される前記点群データに基づいて、前記物体に対して1つのクラスタを生成するクラスタリング回路と、前記クラスタをトラッキングするトラッキング回路と、を更に具備し、前記抽出回路は、前記トラッキングの結果に基づいて、前記点群データ内の各点群が、前記第1点群であるか、前記第2点群であるかを判断する。
【0145】
本開示の一実施例において、Nフレームに亘る前記第1点群を記憶し、前記Nフレームに亘る、前記レーダ装置を搭載する車両の移動ベクトルを記憶する記憶回路と、前記Nフレームのそれぞれで抽出された前記第1点群を、前記移動ベクトルに基づいて位置シフトした後に重畳する第2重畳回路、を更に具備する。
【0146】
本開示の一実施例において、前記記憶回路は、前記レーダ装置を搭載する車両が停止していないフレームから前記第1点群及び前記移動ベクトルを記憶し、前記車両が停止しているフレームから前記第1点群及び前記移動ベクトルを記憶しない。
【0147】
本開示の一実施例において、前記レーダ装置を搭載する車両の動力源が停止する前の前記車両の位置と、前記動力源が再始動した後の前記車両の位置とが一致しない場合、前記第1点群をクリアするクリア回路と、をさらに具備する。
【0148】
本開示の一実施例において、前記レーダ装置を搭載する車両の動力源が停止する前の前記第1点群の位置と、前記動力源が再始動した後の前記第1点群の位置とが一致しない場合、前記第1点群をクリアするクリア回路と、をさらに具備する。
【0149】
本開示の一実施例において、前記レーダ装置を搭載する車両の移動ベクトルを導出する導出回路と、現フレームの点群データと前フレームの点群データとの比較結果に基づいて前記移動ベクトルを補償する補償回路と、を更に具備する。
【0150】
本開示の一実施例に係る点群生成方法において、レーダ装置は、レーダ信号が物体で反射した反射波信号に基づいて、フレーム毎に点群データを生成し、前記点群データから、静止物に対応する第1点群を抽出し、現フレームの前記点群データと、過去フレームの前記第1点群とを重畳する。
【産業上の利用可能性】
【0151】
本開示は、物体を検出するレーダ装置として好適である。
【符号の説明】
【0152】
10,10a,10b,20,20a,30,40 レーダ装置
300 レーダ信号処理部
301 送信高周波部
302 送信アンテナ
303 受信アンテナ
304 受信高周波部
305 A/D変換部
306 RFFT部
307 1フレーム保持部
308 VFFT部
309 CFAR部
310 DOA推定部
1001,2101 車両移動ベクトル導出部
1002 静止点群抽出部
1003、1007 重畳部
1004 領域グリッド化部
1005,1402 静止重畳記憶部
1006 点群位置シフト部
1401,1603 静止/移動点群抽出部
1403,2004 移動物領域クリア部
1601 クラスタリング部
1602 トラッキング部
1701 点群記憶部
1702 ベクトル記憶部
2001 位置検出部
2002 動力源停止前記憶部
2003 比較部
2102 ICPマッチング部
2103 前フレーム記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21