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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106095
(43)【公開日】2024-08-07
(54)【発明の名称】ワイヤハーネス
(51)【国際特許分類】
   H02G 15/10 20060101AFI20240731BHJP
   H05K 9/00 20060101ALI20240731BHJP
   H01B 7/00 20060101ALI20240731BHJP
【FI】
H02G15/10
H05K9/00 L
H01B7/00 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023010203
(22)【出願日】2023-01-26
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】濱本 直也
(72)【発明者】
【氏名】黒石 亮
(72)【発明者】
【氏名】木本 裕一
【テーマコード(参考)】
5E321
5G309
5G375
【Fターム(参考)】
5E321AA01
5E321AA14
5E321AA24
5E321BB41
5E321BB53
5E321GG09
5E321GH07
5G309AA01
5G309AA09
5G375BA27
5G375CA02
5G375CA03
5G375DB09
5G375DB23
5G375DB42
(57)【要約】
【課題】電磁シールド部材の良好な接続状態を確保することで接続部周辺からの電磁波の放射を抑制可能としたワイヤハーネスを提供すること。
【解決手段】ワイヤハーネスは、芯線(13a,14a)と芯線の外周を覆う電磁シールド部材(13c,14c)とを有する複数のシールド電線(13,14)と、芯線同士が接続されている接続部と、接続部の外周を覆う樹脂ケース(21)と、樹脂ケースの外周を覆いつつ複数の電磁シールド部材が接続されるシールド連結部材(31)と、複数のシールド電線を束ねつつ複数のシールド電線の各々の電磁シールド部材とシールド連結部材とをまとめて結束して接続する結束バンド(33)とを備え、樹脂ケースは、結束バンドの内側において複数のシールド電線の間に介在されることで複数のシールド電線の変形を抑制するスペーサ部(24)を有する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯線と該芯線の外周を覆う電磁シールド部材とを有する複数のシールド電線と、
前記芯線同士が接続されている接続部と、
前記接続部の外周を覆う樹脂ケースと、
前記樹脂ケースの外周を覆いつつ複数の前記電磁シールド部材が接続されるシールド連結部材と、
前記複数のシールド電線を束ねつつ、前記複数のシールド電線の各々の前記電磁シールド部材と前記シールド連結部材とをまとめて結束して接続する結束バンドと、を備え、
前記樹脂ケースは、前記結束バンドの内側において前記複数のシールド電線の間に介在されることで前記複数のシールド電線の変形を抑制するスペーサ部を有する、
ワイヤハーネス。
【請求項2】
前記スペーサ部は、前記シールド電線の外周に沿った円弧部を有する、
請求項1に記載のワイヤハーネス。
【請求項3】
前記シールド電線は、前記電磁シールド部材の外周を覆う外側絶縁被覆を有し、
前記電磁シールド部材は、前記外側絶縁被覆の内部から外部へ折り返されて前記外側絶縁被覆の外周を覆うように配置された折り返し部を有し、
前記結束バンドは、前記折り返し部と前記シールド連結部材とをまとめて結束する、
請求項1に記載のワイヤハーネス。
【請求項4】
前記外側絶縁被覆と前記折り返し部との間に配置される下敷きリングを備える、
請求項3に記載のワイヤハーネス。
【請求項5】
前記折り返し部は、前記外側絶縁被覆の外周面に接触された状態で前記結束バンドによって結束されている、
請求項3に記載のワイヤハーネス。
【請求項6】
前記樹脂ケースは、前記シールド電線の長手方向に沿った前記結束バンドのずれを規制すべく、前記結束バンドと係合可能なバンド規制部を有する、
請求項1に記載のワイヤハーネス。
【請求項7】
前記樹脂ケースは、前記接続部を挟み込むように組み付けられる第1分割ケースと第2分割ケースとを有する、
請求項1に記載のワイヤハーネス。
【請求項8】
前記第1分割ケースと前記第2分割ケースとは、同一形状である、
請求項7に記載のワイヤハーネス。
【請求項9】
前記第1分割ケースと前記第2分割ケースとは、前記結束バンドにて束ねられる前記複数のシールド電線が並んでいる方向である幅方向の両側に互いを係止する係止部を有する、
請求項7に記載のワイヤハーネス。
【請求項10】
前記第1分割ケースと前記第2分割ケースとは、前記結束バンドにて束ねられる前記複数のシールド電線の間に互いを係止する中間係止部を有する、
請求項7に記載のワイヤハーネス。
【請求項11】
前記複数のシールド電線は、前記接続部を基点に互いに反対方向に延びる第1シールド電線と第2シールド電線とを有し、
前記第1シールド電線及び前記第2シールド電線の少なくとも一方が、複数設けられており、前記一方が前記結束バンドに束ねられている、
請求項1に記載のワイヤハーネス。
【請求項12】
前記樹脂ケース、前記電磁シールド部材、前記シールド連結部材、及び前記結束バンドをまとめて覆う防水部材を備える、
請求項1に記載のワイヤハーネス。
【請求項13】
前記樹脂ケース内で前記接続部を覆う接続部防水部材を備え、
前記シールド連結部材、及び前記結束バンドは、露出している、
請求項1に記載のワイヤハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ワイヤハーネスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ワイヤハーネスとしては、複数の電線の芯線同士が接続された接続部を有するものがある(例えば、特許文献1参照)。このワイヤハーネスでは、接続部がそれぞれの電線の絶縁被覆から露出することになるが、接続部を含む露出部が止水材によって覆われることで外部からの被水が防止されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-248527号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のようなワイヤハーネスの電線に、シールド電線が採用される場合がある。シールド電線は、絶縁被覆を介して芯線の外周を覆う編組線等の電磁シールド部材を有し、電磁波の放射が抑えられる。しかしながら、シールド電線を採用した場合でも、接続部の周辺が電磁シールド部材から露出することに起因して接続部周辺から電磁波が放射される虞があった。その対策として、接続部の外側で電磁シールド部材同士を直接接続するといった構成も考えられるが、接続部の全周を覆いつつ良好に接続することは困難であった。
【0005】
本開示の目的は、電磁シールド部材の良好な接続状態を確保することで接続部周辺からの電磁波の放射を抑制可能としたワイヤハーネスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のワイヤハーネスは、芯線と該芯線の外周を覆う電磁シールド部材とを有する複数のシールド電線と、前記芯線同士が接続されている接続部と、前記接続部の外周を覆う樹脂ケースと、前記樹脂ケースの外周を覆いつつ複数の前記電磁シールド部材が接続されるシールド連結部材と、前記複数のシールド電線を束ねつつ、前記複数のシールド電線の各々の前記電磁シールド部材と前記シールド連結部材とをまとめて結束して接続する結束バンドと、を備え、前記樹脂ケースは、前記結束バンドの内側において前記複数のシールド電線の間に介在されることで前記複数のシールド電線の変形を抑制するスペーサ部を有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示のワイヤハーネスによれば、電磁シールド部材の良好な接続状態を確保することで接続部周辺からの電磁波の放射を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態におけるワイヤハーネスの断面図である。
図2図2は、第1実施形態におけるワイヤハーネスの一部拡大断面図である。
図3図3は、第1実施形態におけるワイヤハーネスの一部拡大断面図である。
図4図4は、第1実施形態におけるワイヤハーネスの一部の分解斜視図である。
図5図5は、第1実施形態における樹脂ケースの分解斜視図である。
図6図6は、第1実施形態におけるワイヤハーネスの一部の斜視図である。
図7図7は、第1実施形態におけるワイヤハーネスの一部の横断面図である。
図8図8は、第2実施形態におけるワイヤハーネスの断面図である。
図9図9は、第2実施形態におけるワイヤハーネスの一部拡大断面図である。
図10図10は、第2実施形態におけるワイヤハーネスの一部拡大断面図である。
図11図11は、第2実施形態におけるワイヤハーネスの一部の分解斜視図である。
図12図12は、第2実施形態における樹脂ケースの分解斜視図である。
図13図13は、第2実施形態におけるワイヤハーネスの一部の斜視図である。
図14図14は、第2実施形態におけるワイヤハーネスの一部の横断面図である。
図15図15は、別例におけるワイヤハーネスの断面図である。
図16図16は、別例におけるワイヤハーネスの一部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示のワイヤハーネスは、
[1]芯線と該芯線の外周を覆う電磁シールド部材とを有する複数のシールド電線と、前記芯線同士が接続されている接続部と、前記接続部の外周を覆う樹脂ケースと、前記樹脂ケースの外周を覆いつつ複数の前記電磁シールド部材が接続されるシールド連結部材と、前記複数のシールド電線を束ねつつ、前記複数のシールド電線の各々の前記電磁シールド部材と前記シールド連結部材とをまとめて結束して接続する結束バンドと、を備え、前記樹脂ケースは、前記結束バンドの内側において前記複数のシールド電線の間に介在されることで前記複数のシールド電線の変形を抑制するスペーサ部を有する。
【0010】
同構成によれば、シールド連結部材で覆われることで接続部周辺からの電磁波の放射を抑制できる。また、複数の電磁シールド部材は結束バンドでまとめてシールド連結部材に接続されるため、例えば、複数の電磁シールド部材の各々を複数の結束バンド等でシールド連結部材に接続する構成に比べて、部品点数を少なくできる。そして、結束バンドで束ねられる複数のシールド電線は、複数のシールド電線の間に介在されるスペーサ部によって変形が抑制されるため、複数の電磁シールド部材とシールド連結部材とを良好に接続することができる。すなわち、例えば、スペーサ部を有さない構成では、結束バンドで束ねられる際に複数のシールド電線が互いに近づく側に撓むなど変形することにより、電磁シールド部材とシールド連結部材との面圧が小さくなるなど接続が不安定になる虞がある。これに対して、スペーサ部によって複数のシールド電線の変形が抑制されるため、複数の電磁シールド部材とシールド連結部材とを良好に接続することができる。また、スペーサ部は、樹脂ケースに設けられるため、例えば、スペーサ部を樹脂ケースと別体で設けた場合に比べて、部品点数を少なくできる。
【0011】
[2]上記[1]において、前記スペーサ部は、前記シールド電線の外周に沿った円弧部を有していてもよい。
同構成によれば、スペーサ部は、シールド電線の外周に沿った円弧部を有するため、シールド電線が潰れるように変形することを良好に抑制できる。
【0012】
[3]上記[1]または上記[2]において、前記シールド電線は、前記電磁シールド部材の外周を覆う外側絶縁被覆を有し、前記電磁シールド部材は、前記外側絶縁被覆の内部から外部へ折り返されて前記外側絶縁被覆の外周を覆うように配置された折り返し部を有し、前記結束バンドは、前記折り返し部と前記シールド連結部材とをまとめて結束してもよい。
【0013】
同構成によれば、電磁シールド部材は、外側絶縁被覆の外周を覆うように配置された折り返し部がシールド連結部材とまとめて結束バンドによって結束される。よって、例えば、電磁シールド部材が外側絶縁被覆の外周を覆うように折り返されていない場合に比べて、電磁シールド部材を広い面積でシールド連結部材と接触させることができる。
【0014】
[4]上記[3]において、前記外側絶縁被覆と前記折り返し部との間に配置される下敷きリングを備えていてもよい。
同構成によれば、下敷きリングと結束バンドとによって、折り返し部とシールド連結部材とを安定して挟み込んで良好に接続することができる。
【0015】
[5]上記[3]において、前記折り返し部は、前記外側絶縁被覆の外周面に接触された状態で前記結束バンドによって結束されていてもよい。
同構成によれば、例えば、折り返し部の内側に下敷きリングを備えた構成に比べて、部品点数を少なくできる。
【0016】
[6]上記[1]から上記[5]のいずれか1つにおいて、前記樹脂ケースは、前記シールド電線の長手方向に沿った前記結束バンドのずれを規制すべく、前記結束バンドと係合可能なバンド規制部を有していてもよい。
【0017】
同構成によれば、バンド規制部によって、結束バンドがシールド電線の長手方向に沿ってずれることが規制されるので、複数の電磁シールド部材とシールド連結部材との接続状態を安定して維持することができる。
【0018】
[7]上記[1]から上記[6]のいずれか1つにおいて、前記樹脂ケースは、前記接続部を挟み込むように組み付けられる第1分割ケースと第2分割ケースとを有していてもよい。
【0019】
同構成によれば、第1分割ケースと第2分割ケースとによって、接続部の外周を容易に覆うことができる。
[8]上記[7]において、前記第1分割ケースと前記第2分割ケースとは、同一形状であってもよい。
【0020】
同構成によれば、第1分割ケースと第2分割ケースを製造するための金型が1種類となるため、製造が容易となる。また、第1分割ケースと第2分割ケースとの部品管理が容易となる。
【0021】
[9]上記[7]または上記[8]において、前記第1分割ケースと前記第2分割ケースとは、前記結束バンドにて束ねられる前記複数のシールド電線が並んでいる方向である幅方向の両側に互いを係止する係止部を有していてもよい。
【0022】
同構成によれば、樹脂ケースの幅方向の両側を係止部によってバランス良く係止することができる。
[10]上記[7]から上記[9]のいずれか1つにおいて、前記第1分割ケースと前記第2分割ケースとは、前記結束バンドにて束ねられる前記複数のシールド電線の間に互いを係止する中間係止部を有していてもよい。
【0023】
同構成によれば、結束バンドにて束ねられる複数のシールド電線の間のスペースを中間係止部によって有効利用することができる。
[11]上記[1]から上記[10]のいずれか1つにおいて、前記複数のシールド電線は、前記接続部を基点に互いに反対方向に延びる第1シールド電線と第2シールド電線とを有し、前記第1シールド電線及び前記第2シールド電線の少なくとも一方が、複数設けられており、前記一方が前記結束バンドに束ねられていてもよい。
【0024】
同構成によれば、複数のシールド電線を束ねる場合に、部品点数を少なくしつつ、複数の電磁シールド部材とシールド連結部材とを良好に接続することができる。
[12]上記[1]から上記[11]のいずれか1つにおいて、前記樹脂ケース、前記電磁シールド部材、前記シールド連結部材、及び前記結束バンドをまとめて覆う防水部材を備えていてもよい。
【0025】
同構成によれば、接続部や電磁シールド部材やシールド連結部材が被水することをまとめて防止できる。
[13]上記[1]から上記[11]のいずれか1つにおいて、前記樹脂ケース内で前記接続部を覆う接続部防水部材を備え、前記シールド連結部材、及び前記結束バンドは、露出していてもよい。
【0026】
同構成によれば、接続部防水部材によって、接続部が被水することを防止できる。また、シールド連結部材等をまとめて覆う防水部材を備えた構成に比べて、例えば、小型化を図ることができる。
【0027】
[本開示の実施形態の詳細]
(第1実施形態)
本開示のワイヤハーネスの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。各図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張又は簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率については各図面で異なる場合がある。本明細書における「平行」や「直交」や「真円」は、厳密に平行や直交や真円の場合のみでなく、本実施形態における作用効果を奏する範囲内で概ね平行や直交や真円の場合も含まれる。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0028】
(ワイヤハーネス11の構成)
図1に示すように、ワイヤハーネス11は、シールド電線としての1本の第1シールド電線12と、シールド電線としての2本の第2シールド電線13,14と、下敷きリング15(図2及び図3参照)とを備える。また、ワイヤハーネス11は、樹脂ケース21と、シールド連結部材31と、かしめリング32(図2参照)と、結束バンドとしての結束かしめリング33(図3参照)と、防水部材34とを備える。
【0029】
(第1シールド電線12及び第2シールド電線13,14と下敷きリング15の構成)
図2に示すように、第1シールド電線12は、芯線としての第1芯線12aと、該第1芯線12aの外周を覆う内側絶縁被覆12bとを有している。第1芯線12aの横断面形状は円形である。また、第1シールド電線12は、内側絶縁被覆12bの外周を覆う電磁シールド部材としての第1電磁シールド部材12cと、第1電磁シールド部材12cの外周を覆う外側絶縁被覆12dとを有している。
【0030】
図3に示すように、第2シールド電線13,14は、芯線としての第2芯線13a,14aと、該第2芯線13a,14aの外周を覆う内側絶縁被覆13b,14bとを有している。第2芯線13a,14aの横断面形状は円形である。また、第2シールド電線13,14は、内側絶縁被覆13b,14bの外周を覆う電磁シールド部材としての第2電磁シールド部材13c,14cと、第2電磁シールド部材13c,14cの外周を覆う外側絶縁被覆13d,14dとを有している。
【0031】
第1電磁シールド部材12c及び第2電磁シールド部材13c,14cは、第1芯線12a及び第2芯線13a,14aからの電磁波の放射を抑えるものである。本実施形態の第1電磁シールド部材12c及び第2電磁シールド部材13c,14cは、例えば、アルミニウム合金などの導電性の素線が筒状に編み込まれた編組線である。なお、図中では、第1電磁シールド部材12c及び第2電磁シールド部材13c,14cにおける編組線の形状や外観等を適宜、模式的に図示している。
【0032】
第1シールド電線12及び第2シールド電線13,14の端部では、第1芯線12a及び第2芯線13a,14aは外部に露出するように設けられている。また、第1シールド電線12及び第2シールド電線13,14の端部では、第1電磁シールド部材12c及び第2電磁シールド部材13c,14cは外部に露出するように設けられている。第1電磁シールド部材12c及び第2電磁シールド部材13c,14cは、外側絶縁被覆12d,13d,14dの内部から外部へ折り返されて外側絶縁被覆12d,13d,14dの外周を覆うように配置された折り返し部12e,13e,14eを有する。言い換えると、第1電磁シールド部材12c及び第2電磁シールド部材13c,14cは、外側絶縁被覆12d,13d,14dの外部で露出した部位が折り返されてなる折り返し部12e,13e,14eを有する。
【0033】
第1シールド電線12及び第2シールド電線13,14の端部は、まず外側絶縁被覆12d,13d,14dが剥がされる。そして、次に第1シールド電線12及び第2シールド電線13,14の端部は、第1電磁シールド部材12c及び第2電磁シールド部材13c,14cが折り返され、次に内側絶縁被覆12b,13b,14bが剥がされる。これにより、第1電磁シールド部材12c及び第2電磁シールド部材13c,14cが露出されるとともに折り返し部12e,13e,14eが形成され、さらに第1芯線12a及び第2芯線13a,14aが露出されている。
【0034】
下敷きリング15は、金属製で筒状に形成されている。下敷きリング15は、外側絶縁被覆12d,13d,14dと折り返し部12e,13e,14eとの間に配置されている。すなわり、下敷きリング15は、第1電磁シールド部材12c及び第2電磁シールド部材13c,14cが折り返される際に外側絶縁被覆12d,13d,14dの外周に配置されている。
【0035】
そして、第1芯線12a及び第2芯線13a,14aは、接続されることで接続部16を構成している。本実施形態では、第1芯線12a及び第2芯線13a,14aは、直接溶接されている。第1シールド電線12及び第2シールド電線13,14は、接続部16を基点に互いに反対方向に延びている。詳しくは、第1シールド電線12及び第2シールド電線13,14は、接続部16を基点として、一方向(図1中、左方向)に1本の第1シールド電線12が延びるとともに、他方向(図1中、右方向)に2本の第2シールド電線13,14が延びている。ワイヤハーネス11は、例えば、第1芯線12aに接続されたバッテリと、第2芯線13a,14aの各々に接続された電気機器とを電気的に接続する。
【0036】
(樹脂ケース21の構成)
また、図4に示すように、樹脂ケース21は、接続部16の外周を覆うことが可能な扁平箱形状に形成されている。樹脂ケース21は、接続部16を挟み込むように組み付けられる第1分割ケース22と第2分割ケース23とによって構成されている。樹脂ケース21、すなわち第1分割ケース22及び第2分割ケース23の材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリアセタールなどの合成樹脂が使用可能である。第1分割ケース22と第2分割ケース23とは、同一形状である。言い換えると、第1分割ケース22と第2分割ケース23とは、品番が同じである。
【0037】
図4及び図5に示すように、第1分割ケース22及び第2分割ケース23は、露出した内側絶縁被覆12b,13b,14bの各々を挟む位置に配置される半円弧形状の半円開口部22a,22b,22c,23a,23b,23cを有する。また、第1分割ケース22及び第2分割ケース23は、第2シールド電線13,14が並んでいる方向である幅方向の両側に互いを係止する係止部22d,22e,23d,23eを有する。なお、第1分割ケース22において、一方の係止部22dは雄型係止部であり、他方の係止部22eは雌型係止部である。また、第2分割ケース23において、一方の係止部23dは雄型係止部であり、他方の係止部23eは雌型係止部である。第1分割ケース22及び第2分割ケース23は、第1分割ケース22の雄型係止部が第2分割ケース23の雌型係止部に嵌まることと、第2分割ケース23の雄型係止部が第1分割ケース22の雌型係止部に嵌まることによって、互いに係止される。
【0038】
(シールド連結部材31、かしめリング32、結束かしめリング33の構成)
図6に示すように、シールド連結部材31は、樹脂ケース21からの電磁波の放射を抑えるものである。シールド連結部材31は、樹脂ケース21の外周を覆いつつ第1電磁シールド部材12c及び第2電磁シールド部材13c,14cが接続される。シールド連結部材31は、柔軟性を有する。本実施形態のシールド連結部材31は、例えば、アルミニウム合金などの導電性の素線が筒状に編み込まれた編組線である。なお、図中では、シールド連結部材31における編組線の形状や外観等を適宜、模式的に図示している。シールド連結部材31は、第1電磁シールド部材12cの折り返し部12eから第2電磁シールド部材13c,14cの折り返し部13e,14eまでの範囲を連続的に覆うように配置されている。
【0039】
図2に示すように、かしめリング32は、金属製で筒状に形成されている。かしめリング32は、第1電磁シールド部材12cの折り返し部12eとシールド連結部材31とを接続する。詳しくは、かしめリング32は、外周からかしめられることにより、第1電磁シールド部材12cの折り返し部12eとシールド連結部材31とを外周から締め付けることで接続する。折り返し部12eとシールド連結部材31とは、下敷きリング15とかしめリング32とによって挟み込まれて接続されている。
【0040】
図3及び図7に示すように、結束かしめリング33は、金属製で筒状に形成されている。結束かしめリング33は、第2電磁シールド部材13c,14cの折り返し部13e,14eとシールド連結部材31とを接続する。詳しくは、結束かしめリング33は、外周からかしめられることにより、2本の第2シールド電線13,14を束ねつつ、2つの第2電磁シールド部材13c,14cの折り返し部13e,14eとシールド連結部材31とをまとめて結束することで接続する。なお、結束かしめリング33は、組み付けられた状態で、第2シールド電線13,14の長手方向から見て(図7参照)、樹脂ケース21の幅方向の両側に設けられる一対の半円弧部33aと、半円弧部33aの端部同士を繋ぐ一対の連結部33bとを有する。
【0041】
(防水部材34の構成)
図1に示すように、防水部材34は、樹脂ケース21、第1電磁シールド部材12cと第2電磁シールド部材13c,14cの折り返し部12e,13e,14e、シールド連結部材31、かしめリング32、及び結束かしめリング33等をまとめて覆う。本実施形態の防水部材34は、非導電性のモールド樹脂である。本実施形態の防水部材34は、シールド連結部材31等の外側に配置される図示しない成形型によって囲われた範囲に溶融状態の樹脂材が充填されてモールド成型される。なお、本実施形態では、溶融状態の樹脂材は、樹脂ケース21の内部に配置された接続部16等に達するまで入り込んだ後に硬化する。すなわち、本実施形態の防水部材34は、樹脂ケース21の内部にも配置されている。
【0042】
(樹脂ケース21の一部詳細な構成)
図3及び図7に示すように、樹脂ケース21は、スペーサ部24を有する。スペーサ部24は、結束かしめリング33の内側において2本の第2シールド電線13,14の間に介在されることで第2シールド電線13,14の変形を抑制する。
【0043】
詳しくは、図7に示すように、スペーサ部24は、第1分割ケース22に設けられた第1分割スペーサ部22fと第2分割ケース23に設けられた第2分割スペーサ部23fとによって構成されている。
【0044】
スペーサ部24は、第2シールド電線13,14の外周に沿った円弧部24aを有する。詳しくは、円弧部24aは、折り返し部13e,14eの外周に沿った円弧形状に形成されている。円弧部24aは、第2シールド電線13,14の長手方向から見て、対向する折り返し部13e,14e同士の間をほぼ全て埋めるように一対形成されている。
【0045】
図6及び図7に示すように、樹脂ケース21は、第2シールド電線13,14の長手方向に沿った結束かしめリング33のずれを規制すべく、結束かしめリング33と係合可能なバンド規制部24bを有する。バンド規制部24bは、スペーサ部24から突出している。バンド規制部24bは、第2シールド電線13,14の長手方向に一対設けられ、それら一対の間に結束かしめリング33が配置されることで、第2シールド電線13,14の長手方向に沿った結束かしめリング33のずれを規制する。また、バンド規制部24bは、第1分割ケース22及び第2分割ケース23の各々に設けられている。すなわち、バンド規制部24bは樹脂ケース21の表裏に設けられている。
【0046】
次に、上記のように構成されたワイヤハーネス11の作用について説明する。
第1シールド電線12は、内側絶縁被覆12bを介して第1芯線12aの外周を覆う第1電磁シールド部材12cを有するため、第1シールド電線12からの電磁波の放射が抑えられる。また、第2シールド電線13,14は、内側絶縁被覆13b,14bを介して第2芯線13a,14aの外周を覆う第2電磁シールド部材13c,14cを有するため、第2シールド電線13,14からの電磁波の放射が抑えられる。また、接続部16は、樹脂ケース21を介して第1電磁シールド部材12c及び第2電磁シールド部材13c,14cに接続されたシールド連結部材31に覆われるため、接続部16周辺からの電磁波の放射が抑えられる。
【0047】
次に、上記第1実施形態の効果を以下に記載する。
(1)2つの第2電磁シールド部材13c,14cは結束かしめリング33でまとめてシールド連結部材31に接続される。よって、例えば、2つの第2電磁シールド部材13c,14cの各々を複数のかしめリング等でシールド連結部材31に接続する構成に比べて、部品点数を少なくできる。そして、結束かしめリング33で束ねられる2本の第2シールド電線13,14は、2本の第2シールド電線13,14の間に介在されるスペーサ部24によって変形が抑制される。よって、2つの第2電磁シールド部材13c,14cとシールド連結部材31とを良好に接続することができる。すなわち、例えば、スペーサ部24を有さない構成では、2本の第2シールド電線13,14が互いに近づく側に撓むなど変形することにより、第2電磁シールド部材13c,14cとシールド連結部材31との面圧が小さくなるなど接続が不安定になる虞がある。これに対して、スペーサ部24によって2本の第2シールド電線13,14の変形が抑制されるため、2つの第2電磁シールド部材13c,14cとシールド連結部材31とを良好に接続することができる。また、スペーサ部24は、樹脂ケース21に設けられるため、例えば、スペーサ部24を樹脂ケース21と別体で設けた場合に比べて、部品点数を少なくできる。
【0048】
(2)スペーサ部24は、第2シールド電線13,14の外周に沿った円弧部24aを有するため、第2シールド電線13,14が潰れるように変形することを良好に抑制できる。
【0049】
(3)第2電磁シールド部材13c,14cは、外側絶縁被覆13d,14dの外周を覆うように配置された折り返し部13e,14eがシールド連結部材31とまとめて結束かしめリング33によって結束される。よって、例えば、第2電磁シールド部材13c,14cが外側絶縁被覆13d,14dの外周を覆うように折り返されていない場合に比べて、第2電磁シールド部材13c,14cを広い面積でシールド連結部材31と接触させることができる。
【0050】
(4)外側絶縁被覆13d,14dと折り返し部13e,14eとの間に配置される下敷きリング15を備える。よって、下敷きリング15と結束かしめリング33とによって、折り返し部13e,14eとシールド連結部材31とを安定して挟み込んで良好に接続することができる。
【0051】
(5)樹脂ケース21は、第2シールド電線13,14の長手方向に沿った結束かしめリング33のずれを規制すべく、結束かしめリング33と係合可能なバンド規制部24bを有する。よって、バンド規制部24bによって、結束かしめリング33が第2シールド電線13,14の長手方向に沿ってずれることが規制されるので、2つの第2電磁シールド部材13c,14cとシールド連結部材31との接続状態を安定して維持することができる。
【0052】
(6)樹脂ケース21は、接続部16を挟み込むように組み付けられる第1分割ケース22と第2分割ケース23とを有する。よって、第1分割ケース22と第2分割ケース23とによって、接続部16の外周を容易に覆うことができる。
【0053】
(7)第1分割ケース22と第2分割ケース23とは、同一形状である。よって、第1分割ケース22と第2分割ケース23を製造するための金型が1種類となるため、製造が容易となる。また、第1分割ケース22と第2分割ケース23との部品管理が容易となる。
【0054】
(8)第1分割ケース22及び第2分割ケース23は、2つの第2シールド電線13,14が並んでいる方向である幅方向の両側に互いを係止する係止部22d,22e,23d,23eを有する。よって、樹脂ケース21の幅方向の両側を係止部22d,22e,23d,23eによってバランス良く係止することができる。
【0055】
(9)接続部16を基点に互いに反対方向に延びる第1シールド電線12と第2シールド電線13,14とを備えたワイヤハーネス11において適応できる。本実施形態では、2本の第2シールド電線13,14が配置される側で、部品点数を少なくしつつ、2つの第2電磁シールド部材13c,14cとシールド連結部材31とを良好に接続することができる。
【0056】
(10)防水部材34によって、樹脂ケース21、折り返し部12e,13e,14e、シールド連結部材31、かしめリング32、及び結束かしめリング33が被水することをまとめて防止できる。
【0057】
(第2実施形態)
第2実施形態のワイヤハーネス41は、第1実施形態のワイヤハーネス11の構成の一部が異なる構成であるため、同様の構成については、同様の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0058】
(ワイヤハーネス11の構成)
図8から図10に示すように、ワイヤハーネス41は、1本の第1シールド電線12と、2本の第2シールド電線13,14と、下敷きリング15(図9及び図10参照)と、接続ターミナル42とを備える。また、ワイヤハーネス11は、樹脂ケース51と、シールド連結部材31と、かしめリング32(図9参照)と、結束バンドとしての結束かしめリング33(図10参照)と、防水部材34とを備える。
【0059】
本実施形態の第1芯線12a及び第2芯線13a,14aは、接続ターミナル42を介して接続されている。本実施形態では、接続ターミナル42と接続ターミナル42に接続された第1芯線12a及び第2芯線13a,14aによって接続部43が構成されている。第1シールド電線12及び第2シールド電線13,14は、接続部43を基点に互いに反対方向に延びている。
【0060】
(樹脂ケース51の構成)
また、図11に示すように、樹脂ケース51は、接続部43の外周を覆うことが可能な扁平箱形状に形成されている。樹脂ケース51は、接続部43を挟み込むように組み付けられる第1分割ケース52と第2分割ケース53とによって構成されている。樹脂ケース51、すなわち第1分割ケース52及び第2分割ケース53の材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリアセタールなどの合成樹脂が使用可能である。
【0061】
図11及び図12に示すように、第1分割ケース52及び第2分割ケース53は、露出した内側絶縁被覆12b,13b,14bの各々を挟む位置に配置される半円弧形状の半円開口部52a,52b,52c,53a,53b,53cを有する。また、第1分割ケース22及び第2分割ケース23は、2つの第2シールド電線13,14の間に貫通孔52d,53dを有し、その貫通孔52d,53dの内壁に互いを係止する中間係止部52e,53eを有する。なお、第1分割ケース22の中間係止部52eは雌型係止部である。また、第2分割ケース23の中間係止部53eは雄型係止部である。また、第1分割ケース52は、第2分割ケース53との対向面の一部に位置決め凹部52fを有する。第2分割ケース53は、第1分割ケース52との対向面の一部に位置決め凸部53fを有する。第1分割ケース22及び第2分割ケース23は、位置決め凸部53fが位置決め凹部52fに嵌まることと、互いの中間係止部52e,53eが嵌まることによって、互いに係止される。
【0062】
図10及び図14に示すように、樹脂ケース51は、スペーサ部54を有する。スペーサ部54は、結束かしめリング33の内側において2本の第2シールド電線13,14の間に介在されることで第2シールド電線13,14の変形を抑制する。
【0063】
詳しくは、図12に示すように、スペーサ部54は、第1分割ケース52に設けられた第1分割スペーサ部52gと第2分割ケース53に設けられた第2分割スペーサ部53gとによって構成されている。
【0064】
図14に示すように、スペーサ部54は、第2シールド電線13,14の外周に沿った円弧部54aを有する。詳しくは、円弧部54aは、折り返し部13e,14eの外周に沿った円弧形状に形成されている。円弧部54aは、第2シールド電線13,14の長手方向から見て、対向する折り返し部13e,14e同士の間をほぼ全て埋めるように一対形成されている。
【0065】
また、図13及び図14に示すように、樹脂ケース51は、第2シールド電線13,14の長手方向に沿った結束かしめリング33のずれを規制すべく、結束かしめリング33と係合可能なバンド規制部54bを有する。バンド規制部54bは、スペーサ部54から突出している。バンド規制部54bは、第2シールド電線13,14の長手方向に一対設けられ、それら一対の間に結束かしめリング33が配置されることで、第2シールド電線13,14の長手方向に沿った結束かしめリング33のずれを規制する。また、バンド規制部54bは、第1分割ケース52及び第2分割ケース53の各々に設けられている。すなわち、バンド規制部54bは樹脂ケース51の表裏に設けられている。
【0066】
次に、上記第2実施形態の効果を以下に記載する。
第2実施形態のワイヤハーネス41は、第1実施形態の効果(1)から(6)、(9)、及び(10)と同様の効果を得ることができる。
【0067】
(11)第1分割ケース22及び第2分割ケース23は、2つの第2シールド電線13,14の間に互いを係止する中間係止部52e,53eを有する。よって、2つの第2シールド電線13,14の間のスペースを中間係止部52e,53eによって有効利用することができる。
【0068】
上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記実施形態では、ワイヤハーネス11,41は、樹脂ケース21、折り返し部12e,13e,14e、シールド連結部材31等をまとめて覆う防水部材34を備えるとしたが、これに限定されず、防水部材34を備えていなくてもよい。また、防水部材34は、同様の機能を有する他の構成としてもよく、例えば、筒状の樹脂パイプとゴム栓とを有する防水部材としてもよいし、収縮チューブ等からなる防水部材としてもよい。
【0069】
また、例えば、図15に示すように、ワイヤハーネス11は、防水部材34を備えず、樹脂ケース21内で接続部16を覆う接続部防水部材61を備えつつ、シールド連結部材31やかしめリング32や結束かしめリング33等が露出している構成としてもよい。接続部防水部材61は、非導電性のモールド樹脂である。詳しくは、接続部防水部材61は、非導電性の樹脂材が接続部16の外周を覆いつつ樹脂ケース21の内側の隙間を埋めるように設けられてなるモールド樹脂である。
【0070】
このようにしても、接続部防水部材61によって、接続部16が被水することを防止できる。また、シールド連結部材31等をまとめて覆う防水部材34を備えた構成に比べて、例えば、小型化を図ることができる。また、例えば、小型化に伴って、材料の低減や製造コストの低減を図ることができる。なお、防水部材34を備えたワイヤハーネス11と、接続部防水部材61を備えたワイヤハーネス11とは、防水タイプが異なる2種類の製品として、例えば、利用者の要望に応じてそれぞれ提供することができる。
【0071】
・上記実施形態では、ワイヤハーネス11,41は、外側絶縁被覆13d,14dと折り返し部13e,14eとの間に配置される下敷きリング15を備えるとしたが、これに限定されず、下敷きリング15を備えていなくてもよい。
【0072】
例えば、図16に示すように、折り返し部13e,14eは、外側絶縁被覆13d,14dの外周面に接触された状態で結束かしめリング33によって結束されている構成としてもよい。このようにすると、例えば、折り返し部13e,14eの内側に下敷きリング15を備えた構成に比べて、部品点数を少なくできる。
【0073】
・上記実施形態では、スペーサ部24,54は、第2シールド電線13,14の外周に沿った円弧部24a,54aを有するとしたが、これに限定されず、円弧部24a,54aを有していない構成としてもよい。
【0074】
・上記実施形態では、第2電磁シールド部材13c,14cは、外側絶縁被覆13d,14dの外周を覆うように配置された折り返し部13e,14eを有するとしたが、これに限定されず、折り返し部13e,14eを有していない構成としてもよい。この場合、例えば、第2電磁シールド部材13c,14cは、内側絶縁被覆13b,14bの外周と接触した状態で、結束かしめリング33によってシールド連結部材31とまとめて結束されていてもよい。
【0075】
・上記実施形態では、樹脂ケース21,51は、結束かしめリング33と係合可能なバンド規制部24b,54bを有するとしたが、これに限定されず、バンド規制部24b,54bを有していない構成としてもよい。また、バンド規制部24b,54bは、第2シールド電線13,14の長手方向に沿った結束かしめリング33のずれを規制できれば、位置や形状や数は変更してもよい。
【0076】
・上記実施形態では、樹脂ケース21,51は、第1分割ケース22,52と第2分割ケース23,53とを有するとしたが、これに限定されず、例えば、第1分割部と第2分割部とが薄肉のヒンジ部を介して一体成形された樹脂ケースに変更してもよい。また、樹脂ケース21,51は、3つ以上の分割ケースから構成されていてもよい。
【0077】
・上記実施形態では、1本の第1シールド電線12と2本の第2シールド電線13,14とを備えたワイヤハーネス11としたが、これに限定されず、第1シールド電線12や第2シールド電線13,14の数を変更してもよい。また、例えば、接続部16,43から同一方向に延びる複数本の第2シールド電線13,14を備えつつ、複数本の第2シールド電線13,14とは反対方向に延びる第1シールド電線12を備えていない構成としてもよい。
【0078】
・上記実施形態では、第1電磁シールド部材12c及び第2電磁シールド部材13c,14cは素線が筒状に編み込まれた編組線であるとしたが、これに限定されず、例えば、アルミニウム合金などを材料とした金属箔としてもよい。
【0079】
・上記実施形態では、シールド連結部材31は、素線が筒状に編み込まれた編組線であるとしたが、これに限定されず、例えば、アルミニウム合金などを材料とした金属箔としてもよい。また、シールド連結部材31は、樹脂ケース21,51の外側から配設可能に構成されていてもよい。例えば、シールド連結部材31は、素線がシート状に編み込まれた編組線であってもよく、樹脂ケース21,51の外側から樹脂ケース21,51に巻き付けられることで樹脂ケース21,51の外周を覆うように配置されるものとしてもよい。
【0080】
・上記実施形態では、結束バンドを金属製で筒状に形成された結束かしめリング33としたが、第2電磁シールド部材13c,14cとシールド連結部材31とをまとめて結束して接続することができれば、他の結束バンドとしてもよい。例えば、複数の第2電磁シールド部材13c,14cとシールド連結部材31とをまとめて結束可能な樹脂製の結束バンドとしてもよい。
【0081】
(参考例)
・樹脂ケース21,51は、結束かしめリング33と係合可能なバンド規制部24b,54bを有しながらも、第2シールド電線13,14の変形を抑制するスペーサ部24,54を有していない構成としてもよい。
【0082】
上記から把握できる技術的思想について記載する。
(イ)芯線と該芯線の外周を覆う電磁シールド部材とを有する複数のシールド電線と、前記芯線同士が接続されている接続部と、前記接続部の外周を覆う樹脂ケースと、前記樹脂ケースの外周を覆いつつ複数の前記電磁シールド部材が接続されるシールド連結部材と、前記複数のシールド電線を束ねつつ、前記複数のシールド電線の各々の前記電磁シールド部材と前記シールド連結部材とをまとめて結束して接続する結束バンドと、を備え、前記樹脂ケースは、前記シールド電線の長手方向に沿った前記結束バンドのずれを規制すべく、前記結束バンドと係合可能なバンド規制部を有する、ワイヤハーネス。
【0083】
同構成によれば、シールド連結部材で覆われることで接続部周辺からの電磁波の放射が抑制される。また、複数の電磁シールド部材は結束バンドでまとめてシールド連結部材に接続されるため、例えば、複数の電磁シールド部材の各々を複数の結束バンド等でシールド連結部材に接続する構成に比べて、部品点数を少なくできる。また、バンド規制部によって、結束バンドがシールド電線の長手方向に沿ってずれることが規制されるので、複数の電磁シールド部材とシールド連結部材との接続状態を安定して維持することができる。また、バンド規制部は、樹脂ケースに設けられるため、例えば、バンド規制部を樹脂ケースと別体で設けた場合に比べて、部品点数を少なくできる。
【0084】
すなわち、単に接続部の外側で電磁シールド部材同士を直接接続するといった構成では、接続部の全周を良好に覆いつつ良好に接続することが困難であるという問題があった。これに対して、簡単な構成で電磁シールド部材の接続状態を安定して維持できるとともに、接続部周辺からの電磁波の放射を良好に抑制できる。
【符号の説明】
【0085】
11 ワイヤハーネス
12 第1シールド電線(シールド電線)
12a 第1芯線(芯線)
12b 内側絶縁被覆
12c 第1電磁シールド部材(電磁シールド部材)
12d 外側絶縁被覆
12e 折り返し部
13 第2シールド電線(シールド電線)
13a 第2芯線(芯線)
13b 内側絶縁被覆
13c 第2電磁シールド部材(電磁シールド部材)
13d 外側絶縁被覆
13e 折り返し部
14 第2シールド電線(シールド電線)
14a 第2芯線(芯線)
14b 内側絶縁被覆
14c 第2電磁シールド部材(電磁シールド部材)
14d 外側絶縁被覆
14e 折り返し部
15 下敷きリング
16 接続部
21 樹脂ケース
22 第1分割ケース
22a 半円開口部
22b 半円開口部
22c 半円開口部
22d 係止部
22e 係止部
22f 第1分割スペーサ部
23 第2分割ケース
23a 半円開口部
23b 半円開口部
23c 半円開口部
23d 係止部
23e 係止部
23f 第2分割スペーサ部
24 スペーサ部
24a 円弧部
24b バンド規制部
31 シールド連結部材
32 かしめリング
33 結束かしめリング(結束バンド)
33a 半円弧部
33b 連結部
34 防水部材
41 ワイヤハーネス
42 接続ターミナル
43 接続部
51 樹脂ケース
52 第1分割ケース
52a 半円開口部
52b 半円開口部
52c 半円開口部
52d 貫通孔
52e 中間係止部
52f 位置決め凹部
52g 第1分割スペーサ部
53 第2分割ケース
53a 半円開口部
53b 半円開口部
53c 半円開口部
53d 貫通孔
53e 中間係止部
53f 位置決め凸部
53g 第2分割スペーサ部
54 スペーサ部
54a 円弧部
54b バンド規制部
61 接続部防水部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16