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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106096
(43)【公開日】2024-08-07
(54)【発明の名称】バルブ装置、及び既設管撤去方法
(51)【国際特許分類】
   F16L 41/06 20060101AFI20240731BHJP
   F16L 55/00 20060101ALI20240731BHJP
   F16K 43/00 20060101ALI20240731BHJP
【FI】
F16L41/06
F16L55/00 C
F16K43/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023010204
(22)【出願日】2023-01-26
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 開催名称 工法説明会 開催日 令和4年11月18日
(71)【出願人】
【識別番号】396020361
【氏名又は名称】株式会社水道技術開発機構
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】各務 修爾
(72)【発明者】
【氏名】桝家 雅史
【テーマコード(参考)】
3H019
3H066
【Fターム(参考)】
3H019CB01
3H019CB02
3H066BA17
3H066BA18
(57)【要約】
【課題】施工作業の効率を向上させるバルブ装置及び既設管撤去方法を提供する。
【解決手段】既設管Pの切断された切断領域Rに挿入されるバルブ装置100であって、既設管Pの切断端部Kの一方に接続され、既設管Pから離れるほど縮径している第1管部10と、第1管部10の既設管Pと接続される側とは反対側に接続され、弁体を含むバルブ部20とを備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
既設管の切断された切断領域に挿入されるバルブ装置であって、
前記既設管の切断端部の一方に接続され、前記既設管から離れるほど縮径している第1管部と、
前記第1管部の前記既設管と接続される側とは反対側に接続され、弁体を含むバルブ部とを備えるバルブ装置。
【請求項2】
前記既設管の軸方向に沿って見たときに、前記バルブ部は前記第1管部の外縁より内側の領域に含まれる請求項1に記載のバルブ装置。
【請求項3】
前記バルブ部の前記第1管部と接続される側とは反対側に形成された開口を覆う閉塞蓋を更に備える請求項1又は2記載のバルブ装置。
【請求項4】
前記バルブ部の前記第1管部と接続される側とは反対側に接続され、前記既設管の軸方向に沿って伸縮自在な伸縮管を更に備え、
前記伸縮管は、前記既設管の軸方向に沿って収縮することにより前記バルブ部との間に隙間を形成可能に構成されている請求項1又は2に記載のバルブ装置。
【請求項5】
前記既設管の切断端部の他方に接続され、前記既設管から離れるほど縮径している第2管部を更に備え、
前記第2管部は、前記伸縮管の前記バルブ部と接続される側とは反対側に接続され、前記既設管を流れる流体が排出される排出部を含む請求項4に記載のバルブ装置。
【請求項6】
既設管の切断された切断領域に、前記既設管よりも小径のバルブ部及び軸方向に沿って伸縮自在な伸縮管を有するバルブ装置を装着するバルブ装着工程と、
前記バルブ部を閉弁する閉弁工程と、
前記既設管のうちの撤去対象管を流れる流体を排出させる流体排出工程と、
前記伸縮管を収縮させることにより、前記撤去対象管と前記バルブ部との間に隙間を形成する隙間形成工程と、
前記撤去対象管を撤去する撤去工程と、を含む既設管撤去方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルブ装置、及び既設管撤去方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、流体管(既設管)内を流れる流体の流路を遮断する制流体設置装置が開示されている。特許文献1に開示の制流体設置装置は、切断装置によって切削された流体管の切断箇所である筐体内に制流体が挿入配置される。制流体が、筐体内に完全に挿入配置されることにより、筐体内における流体の流路が完全に遮断される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-211635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示される制流体設置装置では、流体の流路を遮断するため、既設管(流体管)の直径と同等のサイズの制流体が切断箇所に挿入される。したがって、特許文献1に開示される制流体設置装置では、例えば、施工対象の既設管が直径の比較的大きい大径の既設管である場合、その既設管の直径に応じた大型の制流体が必要とされる。しかしながら、大型の制流体は、取り扱いが煩雑であり、施工作業の効率が低下するといった課題がある。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、施工作業の効率を向上させるバルブ装置及び既設管撤去方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るバルブ装置の特徴構成は、既設管の切断された切断領域に挿入されるバルブ装置であって、前記既設管の切断端部の一方に接続され、前記既設管から離れるほど縮径している第1管部と、前記第1管部の前記既設管と接続される側とは反対側に接続され、弁体を含むバルブ部とを備える点にある。
【0007】
この特徴構成によると、第1管部は既設管から離れるほど縮径しており、第1管部の既設管と接続する側とは反対側、すなわち、縮径している側がバルブ部と接続される。このため、縮径している側に接続されるバルブ部は、縮径している側に応じた大きさを有していればよい。つまり、バルブ部として、既設管よりも小型のものを利用することができる。したがって、バルブ部の取り扱いが容易になり、施工作業の効率が向上する。
【0008】
他の構成として、前記既設管の軸方向に沿って見たときに、前記バルブ部は前記第1管部の外縁より内側の領域に含まれてもよい。
【0009】
この特徴構成によると、既設管の軸方向に沿って見たときに、バルブ部が第1管部の外縁より内側の領域に含まれる。つまり、バルブ部の外形寸法は、少なくとも、既設管に接続される第1管部の最大直径より小さい。これにより、バルブ部の取り扱いが容易になり、施工作業の効率が向上する。
【0010】
他の構成として、前記バルブ部の前記第1管部と接続される側とは反対側に形成された開口を覆う閉塞蓋を更に備えてもよい。
【0011】
この特徴構成によると、閉塞蓋がバルブ部の第1管部とは反対側に形成された開口を覆うため、バルブ部から開口を介して流体が外部へ流出することを防止できる。
【0012】
他の構成として、前記バルブ部の前記第1管部と接続される側とは反対側に接続され、前記既設管の軸方向に沿って伸縮自在な伸縮管を更に備え、前記伸縮管は、前記既設管の軸方向に沿って収縮することにより前記バルブ部との間に隙間を形成可能に構成されてもよい。
【0013】
この特徴構成によると、伸縮管が軸方向に沿って収縮することによりバルブ部との間に隙間を形成することが可能であるため、伸縮管をバルブ部から容易に軸方向に沿って離間させることができる。その結果、伸縮管を仮設管として設置した場合に、伸縮管の撤去作業が容易である。
【0014】
他の構成として、前記既設管の切断端部の他方に接続され、前記既設管から離れるほど縮径している第2管部を更に備え、前記第2管部は、前記伸縮管の前記バルブ部と接続される側とは反対側に接続され、前記既設管を流れる流体が排出される排出部を含んでもよい。
【0015】
この特徴構成によると、第2管部が、軸方向に沿って収縮することによりバルブ部との間に隙間を形成可能な伸縮管と接続される。このため、伸縮管をバルブ部から軸方向に沿って離間させることにより、第2管部を容易に撤去することが可能になる。また、第2管部が流体を排出させる排出部を含む。このため、第2管部の撤去前に第2管部の内部に含まれる流体を排出することができ、施工作業の効率が向上する。
【0016】
本発明に係る既設管撤去方法は、既設管の切断された切断領域に、前記既設管よりも小径のバルブ部及び軸方向に沿って伸縮自在な伸縮管を有するバルブ装置を装着するバルブ装着工程と、前記バルブ部を閉弁する閉弁工程と、前記既設管のうちの撤去対象管を流れる流体を排出させる流体排出工程と、前記伸縮管を収縮させることにより、前記撤去対象管と前記バルブ部との間に隙間を形成する隙間形成工程と、前記撤去対象管を撤去する撤去工程と、を含む点にある。
【0017】
この特徴構成によると、上記のバルブ装置と同様の作用効果を奏することができる。特に、流体排出工程と隙間形成工程とを含むことで、撤去工程が円滑に実行できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施形態に係る管路作業装置の構成を示す図である。
図2図1に示す切断機構及び切断された既設管を持ち上げた状態の管路作業装置を示す図である。
図3】バルブ装置が挿入された状態の管路作業装置を示す図である。
図4】実施形態に係るバルブ装置の構成を示す図である。
図5A】実施形態に係る第1管部の構成を示す側面図である。
図5B】実施形態に係る第1管部の構成を示す正面図である。
図6A】実施形態に係る第2管部の構成を示す側面図である。
図6B】実施形態に係る第2管部の構成を示す正面図である。
図7A】実施形態に係るバルブ部の構成を示す側面図である。
図7B】実施形態に係るバルブ部の構成を示す正面図である。
図8A】実施形態に係る伸縮管の構成を示す側面図である。
図8B】実施形態に係る伸縮管の構成を示す正面図である。
図9】実施形態に係る支持機構の構成を示す図である。
図10図9に示すX-X線に沿った断面図である。
図11A】実施形態に係るバルブ装着工程及び閉弁工程を示す図である。
図11B】実施形態に係る下流側弁閉止工程及び流体排出工程を示す図である。
図11C】実施形態に係る隙間形成工程を示す図である。
図12】実施形態に係る既設管撤去工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係るバルブ装置、及び既設管撤去方法について説明する。バルブ装置は、流体が流れる既設管Pに対する作業を行う管路作業装置Aに備えられる。本実施形態において、既設管Pは、水道管であり、水平方向に沿って延在する。また、流体は、水であり、図1の右側から左側へと流れるものとする。以下、既設管Pの延在方向、すなわち、軸心Xに沿う方向を「軸方向」と称し、流体の流通方向Fにおける上流側を「上流側」と称し、流通方向Fにおける下流側を「下流側」と称する。なお、流体は水に限定されない。
【0020】
〔管路作業装置の概要〕
まず、図1図3を参照して管路作業装置Aについて説明する。図1図3に示すように、管路作業装置Aは、既設管Pの軸心Xに沿う方向における一部を切断し、既設管Pが切断されて取り除かれた領域にバルブ装置100(図3参照)を挿入するための装置である。以下、既設管Pの切断された一部を「切片」と称し、既設管Pが取り除かれた領域を「切断領域R」と称する(図2及び図3参照)。なお、本実施形態では、バルブ装置100が挿入された後、バルブ装置100が挿入された箇所よりも更に下流側の既設管Pの一部(軸心Xに沿う方向における一部)も撤去される。
【0021】
管路作業装置Aは、既設管Pを収容する第1ハウジングHaと、作業弁Vと、第2ハウジングHbと、駆動ユニットEと、切断機構Dと、連結機構Gとを備える。第1ハウジングHa、作業弁V、及び第2ハウジングHbはこの順で下方から配置されて連結される。第1ハウジングHa、作業弁V、及び第2ハウジングHbが連結されることにより、既設管Pの外周に密封空間が形成される。
【0022】
作業弁Vは、弁体V1を有し、図1に示すように、この弁体V1が開放位置に設定されると、弁体V1よりも上側の空間(第2ハウジングHb)と、弁体V1よりも下側の空間(第1ハウジングHa)とが連通する。一方、図2に示すように、弁体V1が閉塞位置に設定されると、弁体V1よりも上側の空間と、弁体V1よりも下側の空間とが遮断される。
【0023】
駆動ユニットEは、駆動軸E1と、駆動軸E1を駆動回転する電動モータE2とを有する。駆動軸E1は、鉛直方向に沿って第2ハウジングHbから第1ハウジングHaに亘る領域をスライド自在に第2ハウジングHbに支持される。
【0024】
切断機構Dは、既設管Pを切断するバイト(不図示)を有する。連結機構Gは、切断機構Dと駆動ユニットEとを連結可能、あるいは、それらの連結を解除可能に構成される。連結機構Gは、例えば、溝(不図示)、溝に係合するボルト(不図示)等によって構成される。
【0025】
〔作業の概要〕
続いて、図1図3を参照して、管路作業の概要について説明する。図1に示すように、管路作業装置Aが設置される前には、施工を可能にする準備作業が作業者等によって行われる。準備作業では、地面を掘削することにより作業空間Tが形成される。作業空間Tでは、地面に埋設された既設管Pが露出され、既設管Pの施工対象箇所の外方にコンクリート製の支持壁Taが形成される。また、準備作業では、既設管Pの施工対象箇所の外周面の錆、付着物等が除去され、既設管Pの外周面を平滑に仕上げる作業も行われる。
【0026】
その後、図1に示すように、第1ハウジングHaと、第2ハウジングHbと、作業弁Vと、駆動ユニットEと、切断機構Dとが、クレーン等によって配置されて連結される。これにより、管路作業装置Aのセットアップが完了する。
【0027】
管路作業装置Aのセットアップ完了後、駆動ユニットEが有する駆動軸E1の基端部に接続された電動モータE2を駆動することにより、切断機構Dのバイトが既設管Pの切断対象箇所(上流側と下流側と)を切断する。
【0028】
その後、図2に示すように、切断機構Dと切片(切断された既設管Pの一部)とが第2ハウジングHbの内部へと持ち上げられる。切断機構D及び切片は、例えば、クレーン(不図示)によって吊り上げられる。吊り上げられた切断機構D及び切片は、弁体V1が閉塞位置に設定された後、第2ハウジングHbの内部から取り出される。その後、バルブ装置100が駆動軸E1の先端部に連結機構Gを介して連結される。バルブ装置100は、弁体V1が開放位置に設定された後、駆動軸E1に連結されたクレーン等によって切断領域Rに送り込まれる。これにより、図3に示すように、バルブ装置100が切断領域Rに挿入される。
【0029】
〔バルブ装置〕
図4は、バルブ装置100の構成を示す図である。なお、図4は、水平方向のうち軸方向と直交する方向に沿って見たバルブ装置100を示す図である。
【0030】
図4に示すように、バルブ装置100は、第1管部10と、バルブ部20と、伸縮管30と、第2管部40と、を備える。なお、第1管部10及びバルブ部20は、既設管Pを閉塞する栓として機能する閉塞栓を構成する。
【0031】
第1管部10は、既設管Pが切断されることにより形成された端部(以下、「切断端部K」と称する)のうちの一方(上流側)に接続される。バルブ部20は、第1管部10の既設管Pと接続される側とは反対側に接続される。伸縮管30は、バルブ部20の第1管部10と接続される側とは反対側に接続される。第2管部40は、伸縮管30のバルブ部20と接続される側とは反対側に接続されるとともに、既設管Pの切断端部Kのうちの他方(下流側)に接続される。つまり、上流側の既設管P、第1管部10、バルブ部20、伸縮管30、第2管部40及び下流側の既設管Pが、この順で上流側から配置され、接続される。以下では、上流側の切断端部Kを「上流側切断端部K1」と称し、下流側の切断端部Kを「下流側切断端部K2」と称する。なお、下流側の既設管Pは、撤去される対象の撤去対象管に相当する。
【0032】
〔第1管部及び第2管部〕
第1管部10及び第2管部40は、既設管Pと同軸に配置され、継輪J1、押輪J2、抜け止めリングJ3(図11A参照)等で構成される継手部材Jを介して、既設管Pに接続される。なお、本実施形態において、既設管Pは鋼管である。このため、継手部材Jを構成する抜け止めリングJ3は、既設管Pに溶接される。
【0033】
〔第1管部〕
図5A及び図5Bは、第1管部10の構成を示す図である。なお、図5Aは、軸方向に沿って切断した第1管部10の一部断面を示す図であり、図5Bは、軸方向に沿ってバルブ部20側から見た第1管部10を示す図である。
【0034】
図5Aに示すように、第1管部10は、第1本体部11と、第1シール部材M1と、第1締結部材T1とを有する。第1本体部11は、既設管Pに接続される第1基端部111と、軸方向において第1基端部111とは反対側の第1先端部112とを有する。
【0035】
〔第1基端部〕
図4に示すように、第1基端部111は、既設管Pの上流側と継手部材Jを介して接続され、第1先端部112は、バルブ部20に接続される。
【0036】
図5A及び図5Bに示すように、第1基端部111は、第1円筒部111cと、第1基端フランジ部111fと、第1突出部111tとを有する。第1円筒部111cの外周には、環状の第1シール部材M1が配置される(図5Aの2点鎖線参照)。
【0037】
第1円筒部111cは、円筒状であって、第1基端開口部111hを基端側に有する。第1管部10が既設管Pの軸心Xと同軸となるように配置された状態において(図4参照)、第1基端開口部111hは、軸心Xを中心とする円形である。第1基端開口部111hの開口面(開口縁)の内径は、既設管Pの内径と等しい(又は略等しい。以下、同様)。
【0038】
第1基端フランジ部111fは、円環状であって、第1円筒部111cから径方向(軸心Xと直交する方向)の外側に延在する。第1基端フランジ部111fは、図4を参照して説明した継手部材Jのフランジ部(不図示)と第1締結部材T1によって接合される。これにより、第1管部10と既設管Pとが継手部材Jを介して接続され、上流側の既設管Pの内部空間と第1管部10の第1基端開口部111h(図5A参照)とが連通する。
【0039】
図5Bに示すように、第1突出部111tは、第1基端フランジ部111fから径方向の外側へ突出する。第1突出部111tは、複数(本実施形態では、4つ)設けられる。4つの第1突出部111tは、第1基端フランジ部111fの周方向に沿って等間隔(軸心Xを中心とする90度の間隔)で設けられる。第1突出部111tの各々は、後述の支持機構60(図10参照)と締結部材(不図示)によって接合される。なお、締結部材は、ボルト、ナット等である。
【0040】
〔第1先端部〕
図5Aに示すように、第1先端部112は、径方向(軸心Xと直交する方向)から見たときに、先端側が膨らむ円弧状に形成される。つまり、第1管部10は、先端(既設管Pから離れるほど)縮径している。このため、第1管部10は、縮径管と称される場合がある。
【0041】
第1先端部112は、第1先端開口部112hと、第1先端フランジ部112fとを有する。第1先端フランジ部112fは、第1先端開口部112hの周囲に沿って円環状に設けられる(図5B参照)。
【0042】
第1先端開口部112hは、先端側(縮径している側)に設けられる。第1先端開口部112hは、第1管部10が既設管Pの軸心Xと同軸となるように配置された状態において(図4参照)、軸心Xを中心とする円形である。第1先端開口部112hの開口面(開口縁)の内径は、既設管Pの内径より小さい。
【0043】
〔第2管部〕
図6A及び図6Bは、第2管部40の構成を示す図である。なお、図6Aは、軸方向に沿って切断した第2管部40の一部断面を示す図であり、図6Bは、軸方向に沿って伸縮管30側から見た第2管部40を示す図である。なお、第2管部40は、管路作業における仮設のものであって、後述の既設管撤去工程(図11C及び図12参照)において撤去される。このため、第2管部40は、仮設管と称される場合がある。
【0044】
図6Aに示すように、第2管部40は、第2本体部41と、第2シール部材M2と、第2締結部材T2とを有する。第2本体部41は、既設管Pに接続される第2基端部411と、軸方向において第2基端部411とは反対側の第2先端部412とを有する。
【0045】
〔第2基端部〕
図4に示すように、第2基端部411は、既設管Pの下流側と継手部材Jを介して接続され、第2先端部412は、伸縮管30に接続される。
【0046】
図6A及び図6Bに示すように、第2基端部411は、第2円筒部411cと、第2基端フランジ部411fと、第2突出部411tとを有する。第2円筒部411cの外周には、環状の第2シール部材M2が配置される(図6Aの2点鎖線参照)。
【0047】
第2円筒部411cは、円筒状であって、第2基端開口部411hを基端側に有する。第2管部40が既設管Pの軸心Xと同軸となるように配置された状態において(図4参照)、第2基端開口部411hは、軸心Xを中心とする円形である。第2基端開口部411hの開口面(開口縁)の内径は、既設管Pの内径と等しい。
【0048】
第2基端フランジ部411fは、円環状であって、第2円筒部411cから径方向の外側に延在する。第2基端フランジ部411fは、図4参照を参照して説明した継手部材Jのフランジ部(不図示)と第2締結部材T2によって接合される。これにより、第2管部40と既設管Pとが継手部材Jを介して接続され、下流側の既設管Pの内部空間と第2管部40の第2基端開口部411h(図6A参照)とが連通する。
【0049】
図6Bに示すように、第2突出部411tは、第2基端フランジ部411fから径方向の外側に突出する。第2突出部411tは、複数(本実施形態では、4つ)設けられる。4つの第2突出部411tは、第2基端フランジ部411fの周方向に沿って等間隔(軸心Xを中心とする90度の間隔)で設けられる。第2突出部411tの各々は、支持機構60(図9及び図10参照)と締結部材(不図示)によって接合される。
【0050】
〔第2先端部〕
図6Aに示すように、第2先端部412は、径方向(軸心Xと直交する方向)から見たときに、先端側が膨らむ円弧状に形成される。つまり、第2管部40は、先端に向かうにつれて縮径している。
【0051】
第2先端部412は、第2先端開口部412hと、第2先端フランジ部412fとを有する。第2先端フランジ部412fは、第2先端開口部412hの周囲に沿って円環状に設けられる(図6B参照)。
【0052】
第2先端開口部412hは、先端側(縮径している側)に設けられる。第2先端開口部412hは、第2管部40が既設管Pの軸心Xと同軸となるように配置された状態において(図4参照)、軸心Xを中心とする円形である。第2先端開口部412hの開口面(開口縁)の内径は、既設管Pの内径より小さい。
【0053】
また、第2先端部412は、排出部413と、プラグ414とを更に有する。排出部413は、第2管部40の内部の流体を排出する。排出部413は、第2本体部41(第2先端部412)から軸方向へ突出する排出筒部413aと、排出筒部413aを流通する流体の流れを制御する排出用バルブ413bとを含む。排出用バルブ413bは、ゲート弁、バタフライ弁等である。ただし、排出用バルブ413bは、流体の流れを制御することができるバルブであれば特に種類は限定されない。
【0054】
プラグ414は、エア抜き用のプラグである。流体が排出部413を介して排出されることにより、第2管部40の内圧と第2管部40の外圧との間に差が生じると、プラグ414を介して第2管部40の外気が第2管部40の内部に流入する。
【0055】
〔バルブ〕
図7A及び図7Bは、バルブ部20の構成を示す図である。詳しくは、図7Aは、水平方向のうち軸方向と直交する方向に沿って見たバルブ部20を示す図であり、図7Bは、軸方向に沿って伸縮管30側から見た第1管部10及びバルブ部20を示す図である。
【0056】
バルブ部20は、既設管Pを流れる流体を制御する。本実施形態において、バルブ部20は、ゲート弁である。図7Bに示すように、軸方向に沿って見たときに、バルブ部20は、第1管部10の外縁(第1基端フランジ部111fの外縁)よりも内側の領域に含まれる。
【0057】
図7A及び図7Bに示すように、バルブ部20は、弁箱21と、弁体22とを有する。弁箱21は、第1弁端部21a(上流側)と第2弁端部21b(下流側)とを有する。弁箱21の第1弁端部21aと第2弁端部21bとには、弁箱21を構成する壁を軸方向に沿って貫通する2つの弁開口21hが形成されている。弁開口21h(開口縁)の各々の内径は、既設管P(図4参照)の内径よりも小さく、第1先端開口部112hの内径と等しい。以下、2つの弁開口21hのうち、第1弁端部21aに形成される(第1管部10側)の弁開口21hを「第1弁開口211h」と称し、第2弁端部21bに形成される(伸縮管30側)の弁開口21hを「第2弁開口212h」と称する。
【0058】
弁箱21は、円環状の弁フランジ部211(図7B参照)を有する。弁フランジ部211は、上流側と下流側とにそれぞれ設けられ、第1弁開口211h及び第2弁開口212hの縁から径方向の外側に延在する。以下、上流側の弁フランジ部211を「第1弁フランジ211f」と称し、下流側の弁フランジ部211を「第2弁フランジ212f」と称する。
【0059】
第1弁フランジ211fは、第1管部10の第1先端フランジ部112f(図5A参照)と締結部材によって接合される。これにより、バルブ部20と第1管部10とが接続され(図4参照)、バルブ部20の第1弁開口211hと第1管部10の第1先端開口部112hとが連通する。
【0060】
弁体22は、弁箱21に収容される。弁体22は、閉じた状態及び開いた状態のいずれかに状態が変化することにより、流体の流通を制御可能である。本実施形態では、弁体22の外形(直径)は、弁開口21hの内径と略等しく、弁体22の直径は、既設管Pの内径よりも小さい。つまり、弁体22の外形寸法は、既設管Pの外形寸法よりも小さい。
【0061】
〔伸縮管〕
図8A及び図8Bは、伸縮管30の構成を示す図である。詳しくは、図8Aは、軸方向に沿って切断した伸縮管30の一部断面を示す図であり、図8Bは、軸方向に沿ってバルブ部20側から見た伸縮管30を示す図である。
【0062】
図8Aに示すように、伸縮管30は、軸方向に沿って伸縮自在である。以下、伸縮管30が軸方向において、伸縮管30が伸長可能な長さにおいて最も長い状態(伸長している)状態を「伸長状態」と称する。つまり、伸長状態において、伸縮管30は収縮可能である。
【0063】
図8A及び図8Bに示すように、伸縮管30は、内管31と、外管32と、軸部材33とを有する。内管31及び外管32は、既設管Pの軸心Xと同軸に配置される(図4参照)。
【0064】
内管31は、円筒状の内筒部311と、円環状の内管フランジ部312とを有する。
【0065】
内管フランジ部312は、内筒部311の軸方向における一方の内管端部311a(伸縮管30の上流側の端部に相当)に設けられる。内管フランジ部312は、内筒部311から径方向の外側に延在する。内管フランジ部312は、図7A及び図7Bを参照して説明したバルブ部20の第2弁フランジ212fと締結部材が締結されることにより接合される。これにより、伸縮管30とバルブ部20とが接続され、バルブ部20の第2弁開口212h(図7A及び図7B参照)と伸縮管30の内部空間とが連通する。
【0066】
外管32には、既設管Pの軸心Xに沿ってスライド自在に内管31が内嵌される。外管32は、円筒状の外筒部321と、円環状の外管フランジ部321fと、スリーブ321sとを有する。
【0067】
外管フランジ部321fは、外筒部321の軸方向における一方の外管端部32a(伸縮管30の下流側の端部に相当)に設けられる。外管フランジ部321fは、外筒部321から径方向の外側に延在する。外管フランジ部321fは、第2管部40の第2先端フランジ部412f(図6A及び図6B参照)と締結部材によって接合される。これにより、伸縮管30と第2管部40とが接続され、伸縮管30の内部空間と第2管部40の第2先端開口部412h(図6A及び図6B参照)とが連通する。
【0068】
スリーブ321sは、外筒部321の内筒部311が挿入される側(外管端部32aとは反対側)に設けられる。スリーブ321sは、スリーブ本体323aと、シール部材323bと、支持部323cとを含む。
【0069】
スリーブ本体323aは、外管32の軸方向における端部のうちの内管31側に設けられる。シール部材323bは、スリーブ本体323aと内管31との間に配置される。支持部323cは、スリーブ本体323aから外管32の径方向の外側へ突出する。支持部323cには、軸部材33が挿通される挿通穴が形成される。
【0070】
軸部材33は、内管31と外管32との延在方向に沿って延在する。軸部材33は、内管31と外管32との相対位置を決定するための棒状のネジ軸である。軸部材33は、一方の端部が内管31の内管フランジ部312に固定される。また、軸部材33は、軸方向における支持部323cと接触するように位置決めナットが締結される。これにより、内管31と外管32との相対位置が決定される。例えば、作業者等が位置決めナットを緩め、外管32に対して内管31を離間又は接近させた後、位置決めナットを締めることにより、内管31と外管32との相対位置が決定される。つまり、内管31が外管32の内部でスライドすることにより、伸縮管30の軸方向における長さが変更される。すなわち、伸縮管30が伸縮する。
【0071】
また、図7Aに示すように、バルブ装置100は、閉塞蓋50を更に備える。閉塞蓋50は、バルブ部20の第2弁開口212h(第1管部10とは反対側の端部に形成された開口)を覆う。閉塞蓋50は、軸方向に沿って見たときに第2弁フランジ212fと同等の外形及び寸法を有する。閉塞蓋50は、伸縮管30とバルブ部20との接続(接合)が解除された後にバルブ部20の第2弁フランジ212fと締結部材によって接合される。
【0072】
〔支持機構〕
図3及び図9に示すように、バルブ装置100は、第1管部10、バルブ部20、伸縮管30及び第2管部40を支持する支持機構60を更に備える。支持機構60は、バルブ装置100を切断領域Rに送り込む際に、第1管部10、バルブ部20、伸縮管30及び第2管部40を固定及び/又は補強する。なお、支持機構60は、後述の既設管撤去方法における既設管撤去工程(第2管部40及び下流側の既設管Pが撤去される)まで(図11B及び図11C参照)、第1管部10、バルブ部20、伸縮管30及び第2管部40を支持するために残置される。
【0073】
図9及び図10は、支持機構60の構成を示す図である。詳しくは、図9は、水平方向のうち軸方向と直交する方向から見たバルブ装置100を示す図であり、図10は、図9に示すX-X線に沿った見たバルブ装置100を示す図である。
【0074】
図9及び図10に示すように、支持機構60は、第1支持部61、第2支持部62及び第3支持部63を有する。
【0075】
第1支持部61は、連結機構Gと連結される。第1支持部61は、第1管部10、バルブ部20、伸縮管30及び第2管部40を連結機構G側(上側)から支持する(吊り下げ支持する)。
【0076】
第1支持部61は、複数の第1連結部材611と、複数の第1補強部材612とを含む。第1連結部材611の各々は、軸方向に沿って延在し(図9参照)、第1補強部材612の各々は、水平方向のうち軸方向と直交する方向に延在する(図10参照)。第1連結部材611及び第1補強部材612は、鉄などの剛性を有する棒状の部材であって、例えば、H形鋼である。本実施形態において、第1連結部材611及び第1補強部材612はそれぞれ、2つ設けられる。
【0077】
図9に示すように、2つの第1連結部材611は、水平方向のうち軸方向に沿う方向に離間して設けられる。第1連結部材611の各々は、連結機構Gの先端部に締結部材によって接合される。
【0078】
図9に示すように、2つの第1補強部材612のうちの一方は、第1管部10側に設けられ、他方は第2管部40側に設けられる。
【0079】
図10に示すように、第2管部40側に設けられる第1補強部材612は、第1連結部材611と、第1管部10及び第2管部40との間に設けられる。第1補強部材612は、第1連結部材611の各々に締結部材や溶接等によって接合される。また、第1補強部材612は、第2管部40の第2突出部411tに締結部材によって接合される。なお、第1管部10側に設けられる第1補強部材612も同様に、第1連結部材611の各々と第1管部10側の第1突出部111tとに締結部材によって接合される。
【0080】
第2支持部62は、第1管部10、バルブ部20、伸縮管30及び第2管部40を水平方向のうち軸方向と直交する方向から挟むように支持する。第2支持部62は、鉛直方向において第1管部10及び第2管部40の中央、詳しくは、バルブ部20の第1弁開口211hと同等の位置に設けられる。
【0081】
第2支持部62は、複数の第2連結部材621と、複数の第2補強部材622と、複数のガイド623とを含む。第2連結部材621の各々は、鉛直方向に沿って延在し、第2補強部材622の各々は、軸方向に沿って延在する(図10参照)。第2連結部材621及び第2補強部材622は、鉄などの剛性を有する棒状の部材であって、例えば、H形鋼である。本実施形態において、第2連結部材621及び第2補強部材622はそれぞれ、4つ設けられ、ガイド623は、2つ設けられる。
【0082】
図9及び図10に示すように、4つの第2連結部材621のうちの2つの第2連結部材621は、第1管部10側に設けられ、残りの2つの第2連結部材621は、第2管部40側に設けられる。図10に示すように、第2管部40側に設けられる2つの第2連結部材621の各々は、第2管部40の第2突出部411tと締結部材によって接合される。なお、第1管部10側に設けられる2つの第2連結部材621の各々も同様に、第1管部10の第1突出部111tと接合される。
【0083】
4つの第2補強部材622は、水平方向のうち軸方向と直交する方向に離れて2つずつ設けられる。2つの第2補強部材622は、鉛直方向に離間して設けられる。
【0084】
図9に示すように、鉛直方向に離間して設けられる2つの第2補強部材622は、第1管部10側に設けられた第2連結部材621と第2管部40側に設けられた第2連結部材621とに締結部材によって接合される。
【0085】
2つのガイド623は、図10に示すように、水平方向のうち軸方向と直交する方向にそれぞれ2つずつ設けられる。ガイド623の各々は、鉛直方向に離間して設けられる2つの第2補強部材622に締結部材や溶接等によって接合される(図9も参照)。
【0086】
第3支持部63は、第1管部10、バルブ部20、伸縮管30及び第2管部40を連結機構Gとは反対側(下側)から支持する。
【0087】
第3支持部63は、第3連結部材631と、複数の第3補強部材632と、複数のガイドピン633とを含む。第3連結部材631は、例えば板状の部材であり、第3補強部材632は、鉄などの剛性を有する棒状の部材であって、例えば、H形鋼である。図9に示すように、本実施形態では、第3補強部材632は、2つ設けられ、ガイドピン633は、2つ設けられる。
【0088】
2つの第3補強部材632のうちの一方は、第1管部10側に設けられ、他方は、第2管部40側に設けられる。
【0089】
図10に示すように、第2管部40側に設けられる第3補強部材632は、第3連結部材631と、第2管部40との間に設けられる。第3補強部材632は、第3連結部材631の各々に締結部材や溶接等によって接合される。また、第3補強部材632は、第2管部40の第2突出部411tに締結部材によって接合される。なお、第1管部10側に設けられる第3補強部材632も、第3連結部材631と第1管部10側の第1突出部111tとに締結部材によって接合される。
【0090】
図9に示すように、2つのガイドピン633の一方は、第1管部10側に設けられ、他方は、第2管部40側に設けられる。ガイドピン633の各々は、第3連結部材631の連結機構Gから遠い側の面(下面)に設けられ、連結機構Gとは反対側(下側)へ向けて第3連結部材631から突出している。2つのガイドピン633は、図1図3を参照して説明した第1ハウジングHaに設けられた凹部(不図示)に嵌合する。これにより、既設管Pに対するバルブ装置100の位置が決定される。
【0091】
〔既設管撤去方法〕
続いて、図3及び図11A図12を参照して既設管撤去方法について説明する。既設管撤去方法は、バルブ装着工程(01)、閉弁工程(02)、下流側弁閉止工程(03)、流体排出工程(04)、隙間形成工程(05)、既設管撤去工程(撤去工程の一例)(06)、及び閉塞蓋接合工程(07)を含み、各工程がこの順序で実行される。なお、下流側弁閉止工程(03)と流体排出工程(04)との順番は相互に入れ替え可能である。
【0092】
バルブ装着工程(01)では、図1図3を参照して説明したように、既設管Pの切断された切断領域Rに、バルブ部20及び伸縮管30を有するバルブ装置100を挿入し、図11Aに示すように、第1管部10及び第2管部40の各々を既設管Pの切断端部K(上流側切断端部K1及び下流側切断端部K2)の各々に継手部材Jを介して接続する。本実施形態では、継手部材Jを構成する抜け止めリングJ3は、既設管Pに溶接される。なお、バルブ装着工程では、バルブ装置100は、バルブ部20の弁体22が開いた状態のまま切断領域Rに挿入される。
【0093】
閉弁工程(02)では、弁体22を閉弁する(弁体22を開いた状態から閉じた状態に遷移させる)。これにより、バルブ部20から伸縮管30への流体の流通が遮断される。
【0094】
流体排出工程(04)では、図11Bに示すように、第2管部40の排出部413の排出用バルブ413bを開いた状態にする。これにより、第2管部40の内部に残留する流体が第2管部40の外部に排出される。なお、残置されていた支持機構60は、流体の排出後に撤去される。
【0095】
下流側弁閉止工程(03)では、下流側切断端部K2よりも更に下流側の既設管Pに設置されている下流側バルブVDが閉じ状態にされる。これにより、下流側バルブVDとバルブ部20との間で流体の流通が遮断される。
【0096】
隙間形成工程(05)では、図11Cに示すように、伸縮管30の軸方向における長さを収縮させる。これにより、伸縮管30、第2管部40及び下流側の既設管Pと、バルブ部20との間に隙間Hが形成される。伸縮管30は、バルブ装置100が既設管Pの切断された切断領域R(図3参照)に挿入される際、伸長状態(収縮可能な状態)で挿入されている。つまり、伸縮管30は、収縮することにより、バルブ部20との間に隙間Hを形成可能に構成されている。
【0097】
既設管撤去工程(06)では、図12に示すように、伸縮管30、第2管部40及び第2管部40に接続された既設管P(下流側の既設管P)を撤去する。図11Cを参照して説明したように、伸縮管30が収縮することにより、バルブ部20との間に隙間Hが形成されているため、第2管部40及び第2管部40に接続された既設管Pを容易に撤去することができる。
【0098】
閉塞蓋接合工程(07)では、閉塞蓋50が第2弁フランジ212fと締結部材によって接合される。これにより、閉塞蓋50によって、バルブ部20の第2弁開口212hが覆われる。
【0099】
〔実施形態の作用効果〕
以上説明したように、本実施形態によれば、第1管部10は既設管Pから離れるほど縮径しており、第1管部10の既設管Pと接続する側とは反対側(第1先端部112)、すなわち、縮径している側がバルブ部20と接続される。縮径している側に接続されるバルブ部20は、縮径している側に応じた大きさを有していればよい。つまり、バルブ部20として、既設管Pよりも小型のものを利用することができる。したがって、バルブ部20の取り扱いが容易になり、施工作業の効率が向上する。また、バルブ部20として小型なものを採用できることにより、バルブ部20の入手が困難となり施工作業が長期化することも回避できる。
【0100】
また、既設管Pの軸方向に沿って見たときに、バルブ部20が第1管部10の外縁より内側の領域に含まれる。つまり、バルブ部20の外形寸法は、第1管部10の最大直径よりも小さい。これにより、バルブ部20の取り扱いが容易になり、施工作業の効率が向上する。
【0101】
また、閉塞蓋50がバルブ部20の第2弁開口212hを覆うため、伸縮管30をバルブ部20から離間した後であっても、バルブ部20から第2弁開口212hを介して流体が外部へ流出することを防止できる。
【0102】
また、伸縮管30が軸方向に沿って収縮することによりバルブ部20との間に隙間Hを形成することが可能であるため、伸縮管30をバルブ部20から容易に軸方向に沿って離間させることができる。
【0103】
また、第2管部40は、軸方向に沿って収縮することによりバルブ部20との間に隙間Hを形成可能な伸縮管30と接続する。このため、伸縮管30をバルブ部20から軸方向に沿って離間させることにより、第2管部40を容易に撤去することが可能になる。また、第2管部40が流体を排出させる排出部413を含む。このため、第2管部40の撤去前に第2管部40の内部に含まれる流体を排出することができ、施工作業の効率が向上する。
【0104】
また、本実施形態では、バルブ装置100の挿入時にバルブ部20の弁体22が開いた状態のまま、上流側の既設管Pと、下流側の既設管Pとを接続することにより、既設管Pを流れる流体の流通を妨げることなく、施工作業を行うことができる。
【0105】
〔別実施形態〕
本発明は、上記した実施形態以外に以下のように構成してもよい(実施形態と同じ機能を有するものには、実施形態と共通の番号、符号を付している)。
【0106】
(1)本実施形態では、バルブ装置100が閉塞蓋50を備える構成を例に説明したが、バルブ装置100は、閉塞蓋50を省略可能である。例えば、閉塞蓋50を省略して、第2管部40等を残置してもよい。この場合、既設管Pを閉塞する栓として機能する閉塞栓が、第1管部10、バルブ部20、伸縮管30及び第2管部40で構成される。
【0107】
(2)本実施形態において、排出用バルブ413bがバルブ部20の弁体22よりも小型(小径)である場合を説明したが、排出用バルブ413bは、第1先端開口部112hを干渉することなく、第1管部10から流体を排出することができる大きさを有する限り、バルブ部20の弁体22よりも小型(小径)でなくてもよい。
【0108】
(3)本実施形態において、バルブ部20が、ゲート弁である場合を説明したが、バルブ部20は、流体の流れを制御することができる弁であればよく、バタフライ弁、ボール弁等であってもよい。
【0109】
(4)本実施形態の既設管撤去工程(06)において、伸縮管30、第2管部40及び下流側の既設管Pが撤去されたが、伸縮管30、第2管部40及び下流側の既設管Pに加えて、バルブ部20も撤去されてもよい。この場合、閉塞蓋50は、第1管部10の第1先端開口部112hを覆うように、第1先端フランジ部112fに接合されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本発明は、バルブ装置、及び既設管撤去方法に利用することができる。
【符号の説明】
【0111】
10 :第1管部
20 :バルブ部
22 :弁体
30 :伸縮管
40 :第2管部
50 :閉塞蓋
100 :バルブ装置
212h :第2弁開口(開口)
413 :排出部
H :隙間
K :切断端部
K1 :切断端部の一方
K2 :切断端部の他方
P :既設管
R :切断領域
V1 :弁体
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9
図10
図11A
図11B
図11C
図12