(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024001061
(43)【公開日】2024-01-09
(54)【発明の名称】抗炎症薬、免疫調節薬及び抗増殖薬としての新規カルシウム塩多形
(51)【国際特許分類】
C07C 235/82 20060101AFI20231226BHJP
A61K 31/192 20060101ALI20231226BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20231226BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20231226BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20231226BHJP
A61P 1/00 20060101ALI20231226BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20231226BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20231226BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20231226BHJP
A61P 33/02 20060101ALI20231226BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20231226BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20231226BHJP
A61P 11/06 20060101ALI20231226BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20231226BHJP
A61P 17/02 20060101ALI20231226BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20231226BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20231226BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20231226BHJP
A61P 17/06 20060101ALI20231226BHJP
A61P 11/02 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
C07C235/82
A61K31/192
A61P43/00 111
A61P29/00
A61P29/00 101
A61P19/02
A61P1/00
A61P37/02
A61P37/06
A61P35/00
A61P33/02
A61P31/12
A61P27/02
A61P11/06
A61P25/00
A61P17/02
A61P13/12
A61P3/10
A61P1/16
A61P17/06
A61P11/02
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023159416
(22)【出願日】2023-09-25
(62)【分割の表示】P 2020549636の分割
【原出願日】2019-03-15
(31)【優先権主張番号】18162244.0
(32)【優先日】2018-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】520078237
【氏名又は名称】イミュニック アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【弁理士】
【氏名又は名称】武居 良太郎
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ビット
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス ミューラー
(72)【発明者】
【氏名】マンフレート グレッペル
(72)【発明者】
【氏名】ヘラ コールホフ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】DHODHの阻害を必要とする疾病の治療に使用されうる新たな化合物の提供。
【解決手段】式Iに記載の化合物又はその溶媒和化合物及び/又はその水和物とカルシウムとの2±0.3であるモル比を有する、式Iに記載の化合物又はその溶媒和化合物及び/又はその水和物のCa塩の白色の結晶多形A。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iに記載の化合物のCa塩の水和物の白色の結晶多形Aであって、
【化1】
式Iに記載の前記化合物とカルシウムとの2±0.3のモル比を有すると共に、2シータ=5.91°、9.64°、16.78°、17.81°、19.81°、及び25.41°の各2シータ値±0.2の2シータ角で表される特性ピークを有する粉末X線回折パターンを特徴とする、式Iに記載の化合物のCa塩の水和物の白色結晶多形A。
【請求項2】
前記特性ピークが、
図1に示す粉末X線回折パターンにおける、下記表1に示す各値±0.2の2シータ角を有する、請求項1に記載の式Iに記載の化合物のCa塩の水和物の白色結晶多形A。
【表1】
表1:Caビドフルジムスの水和物の多形Aのピークリスト
[
図1]
図1:Caビドフルジムスの水和物の多形AのPXRD
【請求項3】
図2に示す1664、1624、1617、1532、1449、及び1338cm
-1に示される特性ピークを有するFTラマン吸収スペクトルを特徴とする、請求項1又は2に記載の式Iに記載の化合物のCa塩の水和物の白色結晶多形A。
[
図2]
図2:Caビドフルジムスの水和物の多形Aのラマンスペクトル
【請求項4】
図3a及び
図3bに示す1980、1659、1584、1335、及び1145cm
-1に示される特性ピークを有する赤外吸収スペクトルを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の式Iに記載の化合物のCa塩の水和物の白色結晶多形A。
[
図3a]
図3a:Caビドフルジムスの水和物の多形Aの赤外スペクトルの全範囲
[
図3b]
図3b:Caビドフルジムスの水和物の多形Aの赤外スペクトルの特徴の範囲
【請求項5】
図4に示すスペクトルの15.2、8.3、7.6、7.5、7.4、7.2、6.8、3.8、2.7、及び1.6ppmに示される特性ピークを有するDMSO中の
1H-NMRスペクトルを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の式Iに記載の化合物のCa塩の水和物の白色結晶多形A。
〔
図4〕
図4:Caビドフルジムスの水和物の多形Aの
1H-NMR
【請求項6】
約1:1の式Iに記載の化合物と水とのモル比を有する水和物である、請求項1から5のいずれか一項に記載の式Iに記載の化合物のCa塩の水和物の白色結晶多形A。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の式Iに記載の化合物のCa塩の水和物の白色結晶多形Aを含む医薬製剤。
【請求項8】
医薬品として使用するための、請求項7に記載の医薬製剤。
【請求項9】
リウマチ、急性免疫不全、自己免疫疾患、悪性細胞増殖により起こる疾病、炎症性疾患、ヒト及び動物の原虫感染により起こる疾病、ウイルス感染及びニューモシスチス・カリニにより起こる疾病、繊維症、ぶどう膜炎、鼻炎、喘息又は関節症を含む群から選択した疾病の治療に使用するための、請求項7に記載の医薬製剤。
【請求項10】
移植片対宿主及び宿主対移植片反応、関節リウマチ、多発性硬化症、筋委縮性側索硬化症、エリテマトーデス、炎症性腸疾患、並びに乾癬を含む群から選択した疾病を含む群から選択した疾病の治療に使用するための、請求項7に記載の医薬製剤。
【請求項11】
・Ca-ビドフルジムス又はその溶媒和化合物及び/又はその水和物を提供すること、
・非プロトン性有機溶媒を用いて、Ca-ビドフルジムス又はその溶媒和化合物及び/又はその水和物を洗浄すること、並びに、
・単離されたCa-ビドフルジムスをアルコール溶媒でスラリー化すること及び前記スラリーに水を加えること、
の工程を含む、請求項1から6のいずれか一項に定義した式Iに記載の化合物のCa塩の水和物の白色結晶多形Aの製造方法。
【請求項12】
a)水酸化カルシウムと式Iに記載の化合物又はその溶媒和化合物及び/又はその水和物の遊離酸との混合物に有機溶媒及び水を加えること
b)a)工程で得られた懸濁液を溶液が得られるまで撹拌すること、
c)式Iに記載の化合物又はその溶媒和化合物及び/又はその水和物のCa塩の懸濁液を得るために前記有機溶媒及び水を少なくとも部分的に蒸発すること
d)水とc)工程で得られた式Iに記載の化合物又はその溶媒和化合物及び/又はその水和物のCa塩の前記懸濁液とを十分に混合できる非プロトン性有機溶媒を加えること
e)d)工程で得られた懸濁液を撹拌すること、
f)e)工程で得られた混合物から式Iに記載の化合物又はその溶媒和化合物及び/又はその水和物のCa塩を回収すること、並びに
g)f)工程で得られた式Iに記載の化合物又はその溶媒和化合物及び/又はその水和物のCa塩をd)工程で述べられた非プロトン性有機溶媒で洗浄すること
h)g)工程で得られた式Iに記載の化合物又はその溶媒和化合物及び/又はその水和物の分離したCa塩をアルコール溶媒で15~80℃でスラリー化すること
i)h)工程で得られたスラリーに水を15~85℃で加えること
j)i)工程で得られた混合物から式Iに記載の化合物のCa塩の水和物の白色結晶多形Aを回収すること、並びに、
k)j)工程で得られた式Iに記載の化合物のCa塩の水和物の白色結晶多形Aをd)工程で述べられた非プロトン性有機溶媒で洗浄すること
の工程を含む、請求項1から6のいずれか一項に定義した式Iに記載の化合物のCa塩の水和物の白色結晶多形Aの製造方法。
【請求項13】
g)工程及びk)工程の後に乾燥工程が加えられ、そして任意にその後に粉砕工程、任意にその後に再結晶化工程が加えられた、請求項12に記載の白色結晶多形Aの製造方法。
【請求項14】
b)工程後及びc)工程前に溶液が濾過され、そしてその時にフィルターが前記有機溶媒で洗浄される、請求項12又は13に記載の白色結晶多形Aの製造方法。
【請求項15】
a)工程の懸濁液を25~30℃で加温する、請求項12~14のいずれか一項に記載の白色結晶多形Aの製造方法。
【請求項16】
e)工程の懸濁液を15~25℃で加温する、請求項12~15のいずれか一項に記載の白色結晶多形Aの製造方法。
【請求項17】
前記有機溶媒をDMF、DMSO、NMP、THF、アセトン、ジオキサン、2-メチル-THF又は(メタノール/CH2Cl2(1:3))を含む群から選択した、請求項12~16のいずれか一項に記載の白色結晶多形Aの製造方法。
【請求項18】
前記非プロトン性有機溶媒をDMF、DMSO、NMP、THF、アセトン、ジオキサン、2-メチル-THF又は(メタノール/CH2Cl2(1:3))を含む群から選択した、請求項12~17のいずれか一項に記載の白色結晶多形Aの製造方法。
【請求項19】
前記非プロトン性有機溶媒がアセトンである、請求項18に記載の白色結晶多形Aの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の主題は、式Iに記載の化合物又はその溶媒和化合物及び/又はその水和物とカルシウムとの2±0.3であるモル比を有する、式Iに記載の化合物又はその溶媒和化合物及び/又はその水和物のCa塩の白色の結晶多形Aである。本発明の主題は特に、以下に示される値の±0.2の2θ角で示される特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを特徴とする式Iに記載の化合物又はその溶媒和化合物及び/又はその水和物である:2θ=5.91°、9.64°、16.78°、17.81°、19.81°、25.41°。特に本発明ではジヒドロオロト酸脱水素酵素(DHODH)を阻害する式Iに記載の化合物又はその溶媒和化合物及び/又はその水和物のCa塩の新たなカルシウム塩の多形、それらの製造工程、それらを含む医薬組成物並びに疾病の治療及び予防のためのそれらの使用、特にジヒドロオロト酸脱水素酵素(DHODH)を阻害することにおいて利点を有する疾病におけるそれらの使用に関する。関連性のある疾病の例を以下に示す。
【0002】
炎症性腸疾患(IBD)は結腸及び小腸の炎症性疾患の群である。その主なタイプとしてクローン病及び潰瘍性大腸炎がある。クローン病は小腸及び大腸、口、食道、胃及び肛門に影響しうる。潰瘍性大腸炎は主に結腸及び直腸に影響する。
【0003】
関節リウマチ(RA)は特に高齢者の間でかなり一般的である疾病である。例えば非ステロイド性抗炎症薬のような通常の薬物療法によるその治療は良好でない。人口の高齢化を考慮して、特に西欧諸国又は日本においてRAの治療のための新規薬物療法の開発は緊急に必要とされている。
【背景技術】
【0004】
WO 2003/006425にはある特定の化合物が記載され、それはジヒドロオロト酸脱水素酵素(DHODH)を阻害することに利点がある場合に疾病の治療及び予防に有用であると報告されている。しかしながら、本発明に記載の前記特定の塩は、開示されていない。WO 2012/001148には前記化合物のカルシウム塩が記載されている。しかしながら、本発明に記載のその特定の多形は開示されていない。
【0005】
WO 99/38846及びEP 0 646 578にはRAの治療に有用であると報告する化合物を開示されている。
【0006】
新規作用機序を有する関節リウマチに対する薬物、レフルノミドはARAVA[EP 780128、WO 97/34600]の商標名でアベンティス社により市販されていた。レフルノミドは免疫調節性及び抗炎症性の特徴を有する[EP 217206、DE 2524929]。その作用機序は、ピリミジン生合成の酵素の、ジヒドロオロト酸デヒドロゲナーゼ(DHODH)の阻害に基づいている。
【0007】
De Julian-Ortiz(J.Med.Chem.1999,42,3308-3314)ではシクロペンテン酸部位を有するある潜在的な抗ヘルペス化合物を記載する。
【0008】
DE 33 46 814 A1は脳機能障害及びそれにより引き起こされる症状と関係のある疾病の治療、予防及び回復のためのあるカルボン酸アミド誘導体を記載する。
【0009】
ヒトの体において、DHODHはピリミジンの合成を触媒し、それは特に細胞の代謝に必要である。DHODHの阻害は代謝的に活性化した細胞内の敏感な遺伝子の転写阻害に繋がり、一方で、通常の代謝活性を有する細胞は、ピリミジンサルベージ経路からそれらの必要なピリミジン構成要素を得て、通常の転写活性を示す。活性化したリンパ球に関連性のある疾病は、de novoピリミジン生合成に依存し、そしてDHODH阻害のために特に敏感に反応する。DHODHを阻害するいくつかの基質は慢性炎症性及び自己免疫性疾患の治療のための重要な薬剤である。
【0010】
レフルノミド(ARAVA)と名付けられた化合物は、最初に承認されたDHODH阻害薬であり、そしてヒトの疾病、特に関節リウマチの治療のために用いられる。WO 99/45926では、DHODHの阻害薬として作用する化合物を開示するさらなる参考文献である。DHODHを標的にする別の薬剤はレフルノミドの代謝物であるテリフルノミド(AUBAGIO)である。いくつかの国では多発性硬化症の治療のためにテリフルノミドを承認している。
【0011】
JP-A-50-121428には除草剤としてN-置換したシクロペンテン-1,2-ジカルボン酸モノアミド及びそれらの合成物が開示されている。例えば、N-(4-クロロフェニル)-1-シクロペンテン-1,2-ジカルボン酸モノアミドは1-シクロペンテン-1,2-ジカルボン酸無水物と4-クロロアニリンとを反応させることで産生される。
【0012】
Journal of Med.Chemistry,1999,Vol.42,pages 3308-3314において、新規の有望な抗ヘルペス化合物の仮想的なコンビナトリアル合成及びコンピュータのスクリーニングが記載された。3313頁の表3において、2-(2,3-ジフルオロフェニルカルバモイル)-1-シクロペンテン-1-カルボン酸、2-(2,6-ジフルオロフェニルカルバモイル)-1-シクロペンテン-1-カルボン酸及び2-(2,3,4-トリフルオロフェニルカルバモイル)-1-シクロペンテン-1-カルボン酸についてIC50及び細胞毒性に関する実験結果を示した。
【0013】
DE 3346814及びUS 4661630にはカルボン酸アミドが開示されている。これらの化合物は脳機能性障害を伴う疾病に有用であり、また、抗潰瘍、抗喘息、抗炎症性及び低コレステロール活性も有する。
【0014】
EP 0097056、JP 55157547、DE 2851379及びDE 2921002において、テトラヒドロフタルアミノ酸誘導体が記載されている。
【0015】
本発明の目的は、特にそれらのカルシウム塩のある多形の形状における、有効な薬剤の提供であり、それはDHODHの阻害を必要とする疾病の治療に使用されうる。
【0016】
本発明の目的はまた、WO2003/006425及びWO2012/001148において開示された化合物と類似の範囲においてDHODHを阻害し、そして同時に無作為化二重盲検プラセボ対照試験を促進するための白色を示す化合物を提供することである。
【0017】
本発明の目的はまた、WO2003/006425及びWO2012/001148において開示された化合物と類似の範囲においてDHODHを阻害し、そして欧州医薬品庁のガイドライン(例えば、the version 6 December 2016;EMA/CHMP/ICH/82260/2006による)に準拠するために720ppm以下のTHF含有量を有することを特徴とする化合物を含む化合物及び組成物を提供することである。
【0018】
特に、本明細書で以下に示す一般的な式(I)のある化合物、例えば2-(3-フルオロ-3’-メトキシ-ビフェニル-4-イルカルバモイル)-シクロペント-1-エンカルボン酸(INN ビドフルジムス)が良い抗炎症活性を示すことが以前に発見され、自己免疫疾患、例えば関節リウマチ又は炎症性腸疾患の治療のための経口療法におけるそれらの有用性が取り組まれていた。
【0019】
したがって、DHODHの、特にヒトのDHODHの阻害効果を有する多形Aと名付けられたカルシウム-ビドフルジムスの新規の白色の多形を、提供した。さらに、720ppm以下のテトラヒドロフラン(THF)含有量を有することを特徴とする多形Aと名付けられたカルシウム-ビドフルジムスの前記白色の多形を含む組成物を提供した。
【0020】
本発明は式(I)、2-({3-フルオロ-3’-メトキシ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル}カルバモイル)シクロペント-1-エン-1-カルボン酸)又はその溶媒和化合物及び/又はその水和物の白色の結晶カルシウム塩、CAS-No717824-30-1に関する。
【化1】
【0021】
それゆえ、本発明の主題は、ビドフルジムスとカルシウムとの2±0.3のモル比を有するビドフルジムスの白色の結晶カルシウム塩又はその溶媒和化合物及び/又はその水和物である。EP 2588446B1、例えば例4に記載されるような淡黄色の多形と対照的に、本発明の主題は白色である。
【0022】
白色の結晶は米国連邦規格595カラーコードの「白色506」、#27885と同等又は類似であるRALカラーコードのRAL9010と類似の純粋な白色を有する結晶として定義されうる。
【0023】
本発明の全ての態様において、溶媒和化合物はエタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、THF、水を含む群から選択されうる。本発明の全ての態様に対する好ましい態様において、その溶媒和化合物は水和物である。一の好ましい態様において、その溶媒和化合物は本発明の全ての態様においてカルシウム二水和物である。
【0024】
特に、本発明の主題は、以下に示す値の±0.2の2θ角で示される特徴的なピークを有する粉末X回折パターンを特徴とする式Iに記載の化合物(ビドフルジムス)又はその溶媒和化合物及び/又はその水和物のCa塩の白色の結晶多形Aである:
2θ=5.91°、9.64°、16.78°、17.81°、19.81°、25.41°。
【0025】
特定の態様において、本発明の主題は以下に示す値の±0.2の2θを有する特徴的なピークである式Iに記載の化合物(ビドフルジムス)のCa塩(カルシウム-ビドフルジムス)又はその溶媒和化合物及び/又はその水和物の白色の結晶多形Aである:
【0026】
本出願における全ての2θ値はCopper Kalphaである線源由来のX線放射の波長に関する。それゆえ、2θ値はCu K-alpha、0.15418nmの放射線波長により得られる。
【0027】
表1:カルシウム-ビドフルジムス多形Aのピークリスト
【表1】
【0028】
特定の態様において、本発明の主題は
図1に示す粉末X線回折パターンによるカルシウム-ビドフルジムス又はその溶媒和化合物及び/又はその水和物の白色の結晶多形Aである。
【0029】
特定の態様において、本発明の主題は
図2に示すスペクトルの1664、1624,1617、1532、1449、1338cm
-1に示される以下の特徴的なピークを有するFTラマン吸収スペクトルを特徴とするカルシウム-ビドフルジムス又はその溶媒和化合物及び/又はその水和物の白色の結晶多形Aである。
【0030】
特定の態様において、本発明の主題は
図3に示すスペクトルの1980、1659、1584、1335、1145cm
-1において示される特徴的なピークを有するIR吸収スペクトルを特徴とするカルシウム-ビドフルジムス又はその溶媒和化合物及び/又はその水和物の白色の結晶多形Aである。
【0031】
特定の態様において、本発明の主題は
図4に示すスペクトルの15.2、8.3、7.6、7.5、7.4、7.2、6.8、3.8、2.7、1.6ppmにおいて示される特徴的なピークを有する
1H-NMRスペクトルを特徴とするカルシウム-ビドフルジムス又はその溶媒和化合物及び/又はその水和物の白色の結晶多形Aである。
【0032】
特定の態様において、本発明の主題は約1:1のビドフルジムスと水とのモル比を有する水和物であるカルシウム-ビドフルジムス又はその溶媒和化合物及び/又はその水和物の白色の結晶多形Aである。
【0033】
特定の態様において、本発明の主題はそのカルシウム-ビドフルジムス又は、Ca-ビドフルジムス若しくはその溶媒和化合物及び/若しくはその水和物から得ることができる、好ましくはビドフルジムス若しくはその溶媒和化合物及び/若しくはその水和物のCa塩の結晶多形から得ることができる、例えばより詳細には以下に記載の工程におけるビドフルジムス又はその溶媒和化合物及び/又はその水和物のCa塩の結晶多形Bから得ることができる、白色の結晶多形Aを含む医薬製剤である。
【0034】
720ppm未満のTHFを含むビドフルジムスのCa塩の多形を含む医薬製剤又は組成物を提供することができたのはこれが初めてである。それゆえ、特定の態様において、本発明の主題は720ppm未満のTHF、好ましくは650ppm未満、好ましくは600ppm未満、好ましくは500ppm未満、好ましくは400ppm未満、好ましくは300ppm未満、好ましくは250ppm未満、好ましくは200ppm未満、好ましくは100ppm未満のTHF含有量を有するビドフルジムスの多形を含む医薬製剤又は組成物である。
【0035】
特定の態様において、本発明の主題はCa-ビドフルジムス又はその溶媒和化合物及び/又はその水和物から得ることができる、好ましくはビドフルジムスのCa塩又はその溶媒和化合物及び/又はその水和物の結晶多形から得ることができる、例えばより詳細に以下に記載した工程におけるビドフルジムス又はその溶媒和化合物及び/又はその水和物のCa塩の結晶多形Bから得ることができるそのカルシウム-ビドフルジムス又はその溶媒和化合物及び/又はその水和物の白色の結晶多形Aを含む医薬製剤であり、ここで前記医薬製剤は720ppm未満、好ましくは650ppm未満、好ましくは600ppm未満、好ましくは500ppm未満、好ましくは400ppm未満、好ましくは300ppm未満、好ましくは250ppm未満、好ましくは200ppm未満、好ましくは100ppm未満のTHF含有量を有する。
【0036】
本発明の主題は医薬品として使用するための本発明に記載のそのカルシウム-ビドフルジムスの白色の結晶多形A又は本発明に記載の医薬製剤である。
【0037】
本発明の主題はリウマチ、急性免疫不全、自己免疫疾患、悪性細胞増殖により起こる疾病、炎症性疾患、ヒト及び動物の原虫感染により起こる疾病、ウイルス感染及びニューモシスチス・カリニにより起こる疾病、繊維症、ぶどう膜炎、鼻炎、喘息又は関節症を含む群から選択した疾病の治療として使用するための本発明に記載のカルシウム-ビドフルジムス若しくはその溶媒和化合物及び/若しくはその水和物の結晶多形A又は本発明に記載の医薬製剤である。
【0038】
本発明の主題は疾病又は治療の適応が移植片対宿主及び宿主対移植片反応、関節リウマチ、乾癬性関節炎、多発性硬化症、筋委縮性側索硬化症、エリテマトーデス、ループス腎炎、炎症性腸疾患、1型糖尿病、自己免疫性肝炎、原発性硬化性胆管炎並びに乾癬を含む群から選択した疾病又は治療指針を含む群から選択する疾病の治療として使用するための本発明に記載のカルシウム-ビドフルジムス若しくはその溶媒和化合物及び/若しくはその水和物の結晶多形A又は本発明に記載の医薬製剤である。本発明の一の特定の態様において、前記患者は炎症性腸疾患、特に潰瘍性大腸炎及びクローン病を患う。
【0039】
本発明の主題は上記の任意の態様において定義したカルシウム-ビドフルジムス又はその溶媒和化合物及び/又はその水和物の白色の結晶多形Aの製造工程であって、ここで前記工程は好ましくはビドフルジムス又はその溶媒和化合物及び/又はその水和物のCa塩の結晶多形から得ることができる、Ca-ビドフルジムス又はその溶媒和化合物及び/又はその水和物から開始するスラリーからスラリーへの工程であって、ここで前記工程は次の工程を含む:
・ビドフルジムスカルシウム塩又はその溶媒和化合物及び/又はその水和物を非プロトン性有機溶媒、好ましくはDMF、DMSO、NMP、THF、アセトン、ジオキサン、2-メチル-THF又は(メタノール/CH2Cl2(1:3))、好ましくはアセトンを含む群から選択した非プロトン性有機溶媒で洗浄すること、そして
・アルコール溶媒において得られた分離したカルシウム-ビドフルジムス又はその溶媒和化合物及び/又はその水和物をスラリー化し、そしてスラリーに水を加えること。
【0040】
本発明の工程により、Ca-ビドフルジムス又は溶媒和化合物及び/又はその水和物、好ましくはビドフルジムス又は溶媒和化合物及び/又はその水和物のCa塩の結晶多形、例えばビドフルジムス又は溶媒和化合物及び/又はその水和物の結晶多形Bを720ppm未満のTHF含有量を有するカルシウム-ビドフルジムス又はその溶媒和化合物及び/又はその水和物の白色の結晶多形Aに変換することが可能である。
【0041】
本発明の主題は上記の任意の態様で定義したカルシウム-ビドフルジムス又はその溶媒和化合物及び/又はその水和物の白色の結晶多形Aの製造工程であって、それは次の工程を含む
a)水酸化カルシウムとビドフルジムスの遊離酸との混合物に有機溶媒及び水を加える
b)十分に水と混合できる非プロトン性有機溶媒を、a)工程で得られたカルシウム-ビドフルジムス又はその溶媒和化合物及び/又はその水和物の前記懸濁液に添加する
c)b)工程で得られた混合物からカルシウム-ビドフルジムス又はその溶媒和化合物及び/又はその水和物の塩を回収する、そして
d)c)工程で得られたカルシウム-ビドフルジムス又はその溶媒和化合物及び/又はその水和物のカルシウム塩をb)工程で述べられた非プロトン性有機溶媒で洗浄する
e)d)工程で得られた分離されたカルシウム-ビドフルジムス又はその溶媒和化合物及び/又はその水和物をアルコール溶媒内で15~80℃でスラリー化し、カルシウム-ビドフルジムス多形Bを得る
f)e)工程で得られたスラリーに水を15~85℃で加え、減少した量の非プロトン性有機溶媒を有するカルシウム-ビドフルジムス多形A又はその溶媒和化合物及び/又はその水和物を再度得る。
【0042】
a)工程に従う有機溶媒はTHF、2-メチル-THF、ジオキサン又は類似の溶媒を含む群から選択されうる。
【0043】
c)工程に従う蒸発は常圧で真空蒸留又は蒸留を使用して有機溶媒を蒸留することにより成し遂げられうる。
【0044】
非プロトン性有機溶媒はDMF、DMSO、NMP、THF、アセトン、ジオキサン、2-メチル-THF又は(メタノール/CH2Cl2(1:3))を含む群から選択されうる。
【0045】
懸濁液/スラリーは利用した溶媒の混合物中の結晶、固体産物の混合物である。目視検査をスラリー若しくは懸濁液又は溶液が得られたかどうかを決定する場合に用いられる。
【0046】
e)工程で得られた混合物からビドフルジムス(4SC-101、SC12267)又はその溶媒和化合物及び/又はその水和物のカルシウム塩の回収は、次のように成し遂げられうる:濾過又は遠心等のような固体/液体分離の任意の種類による産物の分離。
【0047】
e)工程に従うアルコール溶媒はメタノール、エタノール又はイソプロパノールを含む群から選択されうる。
【0048】
一の態様において、e)工程で得られた混合物からビドフルジムス(4SC-101、SC12267)又はその溶媒和化合物及び/又はその水和物のカルシウム塩を回収することは、以下のように成し遂げられうる:濾過又は遠心又等のような固体/液体の任意の種類による産物の分離。
【0049】
特定の態様において、本発明の主題は上記に記載した工程に記載の結晶多形の製造工程であって、ここでf)工程後に乾燥工程が加えられ、そして任意に次に粉砕工程、任意にその後に再結晶化工程が加えられる。
【0050】
別の態様において、本発明の主題は上記に記載した工程に記載の結晶多形の製造工程であって、ここでb)工程後及びc)工程前に溶液が濾過され、そして次にフィルターが前記有機溶媒で洗浄される。
【0051】
別の態様において、本発明の主題は上記に記載した工程に記載の結晶多形の製造工程であって、ここでa)工程の懸濁液を25~30℃で加温する。
【0052】
別の態様において、本発明の主題は上記に記載した工程に記載の結晶多形の製造工程であって、ここでe)工程の懸濁液を15~25℃で加温する。
【0053】
別の態様において、本発明の主題は上記に記載した工程に記載の結晶多形の製造工程であって、ここで前記有機溶媒はTHFである。
【0054】
別の態様において、本発明の主題は上記に記載した工程に記載の結晶多形の製造工程であって、ここで前記非プロトン性有機溶媒はアセトンである。別の特定の態様において、本発明の主題は上記に記載した工程に記載の結晶多形の製造工程であって、ここでアルコール溶媒は好ましくはエタノールである。
【0055】
別の態様において、本発明の主題は上記に記載した工程により得ることができるビドフルジムスとカルシウムとのモル比を2±0.3で有するビドフルジムス(4SC-101、SC12267)の結晶のカルシウム塩である。
【0056】
本発明に記載の多形は、それ自体が治療薬として、他との混合物として、又は経腸若しくは非経口使用を可能にし、且つ活性成分として本発明の前述の多形の少なくとも一つの有効量を、慣用の医薬的に無害な賦形剤及び添加剤に加えて含む医薬製剤の形状で、動物、特に哺乳類に、そして特にヒト、イヌ及びニワトリに投与されうる。
【0057】
治療薬は経口的に、例えば丸剤、錠剤、コーティング剤、糖衣錠、ハード及びソフトのゼラチンカプセル、水剤、シロップ、乳剤又は懸濁液の形状において又はエアロゾル剤として投与されうる。しかしながら投与はまた直腸的に例えば坐薬の形状において、又は非経口的に、例えば注射又は点滴の形状において、又は経皮的に例えば軟膏、クリーム、チンキの形状において行われてもよい。
【0058】
臨床試験では、活性化合物を含む製剤が白色を有する場合、それは非常に有利である。臨床試験は「プラセボ効果」を避けるために、すなわち医者又は患者のいずれかがプラセボと認識できうる場合に偏りを避けるために、時々二重盲検である。不十分な結果では、試験の遅延及び費用の増大に繋がる。Mandy Wan et al.Arch Dis Child September 2013,Vol 98 No.9。それゆえ、有効成分を含む組成物が着色される場合に、プラセボ及び活性製剤を同等化するための手段をとらなければならない。従って、臨床的な製剤が白色である場合に非常に大きな利点がある。
【0059】
本発明の上述の多形に加えて、医薬組成物はさらに従来の通常の挿入担体材料又は賦形剤を含みうる。それゆえ、医薬的な調製物はまた添加剤、例えば、増量剤、崩壊剤、結合剤、流動促進剤、湿潤剤、安定剤、乳化剤、保存剤、甘味料、着色剤、香料、緩衝物質、及びさらにデポ効果を得るための溶剤又は可溶化剤又は試薬、及び浸透圧を変化するための塩、コーティング剤又は抗酸化物質を含みうる。それらはまた本発明の2以上の多形の上述の塩及びまた他の治療的に有効な物質を含みうる。
【0060】
それゆえ、本発明の多形は単独又は他の活性化合物との組み合わせ、例えば前記疾病の治療のために既知の薬物との組み合わせで用いられてもよく、それによって後者の場合において、好適な加算的、増幅効果が認められる。ヒトへの投与に適当な量は5から500mg、特に10mgから100mgに及ぶ。
【0061】
医薬的な調製物の調製のために、医薬的に挿入する無機又は有機の賦形剤が用いられうる。丸剤、錠剤、コーティング剤及びハードゼラチンカプセルの調製のために、例えば、ラクトース、コーンスターチ又はその誘導体、タルク、ステアリン酸又はその塩、等が用いられうる。ソフトゼラチンカプセル及び坐薬のための賦形剤は、例えば、脂肪、ワックス、半固体及び液体のポリオール、天然油又は硬化油等である。溶液及びシロップの産物のための適当な賦形剤は、例えば、水、スクロース、転化糖、グルコース、ポリオール等である。注射溶液の産物のための適当な賦形剤は、例えば、水、アルコール、グリセロール、ポリオール又は植物油である。
【0062】
投与量は幅広い制限内で変化してもよく、そして個々のケースの個々の状態に適当なものにする必要がある。上記の使用のために、適当な投与量は投与方法、治療すべき特定の状態及び所望される効果に依存して変化するだろう。しかしながら、実際に、動物体重の約1~100mg/kg、特に1~50mg/kgの投与量で良好な結果が成し遂げられる。より大きな哺乳類、例えばヒトのための適当な投与量は約10mgから3g/日のオーダーであって、都合よく一回又は分割した投与量において例えば1日2から4回、又は持続放出製剤で投与される。
【0063】
実際に、個人に約10mgから100mg、特に10から50mgへの日々の投与量は経口投与の場合に適当である。他の投与経路の場合においても、日々の投与量は類似の範囲である。
【発明を実施するための形態】
【0064】
1.式Iに記載の化合物又はその溶媒和化合物及び/又はその水和物のCa塩の白色の結晶多形Aであって、
【化2】
式Iに記載の前記化合物とカルシウムとの2±0.3のモル比を有する白色の結晶多形A。
【0065】
2.以下に示す値の±0.2の2θ角を示す特徴的なピークを有する粉末X線回折パターンを特徴とする態様1に記載の式Iに記載の化合物又はその溶媒和化合物及び/又はその水和物のCa塩の白色の結晶多形A:
2θ=5.91°、9.64°、16.78°、17.81°、19.81°、25.41°。
【0066】
3.特徴的なピークが以下に示す値の±0.2の2θを有する態様1又は2に記載の式Iに記載の化合物又はその溶媒和化合物及び/又はその水和物のCa塩の白色の結晶多形A。
表1:カルシウム-ビドフルジムス多形Aのピークリスト
【表2】
【0067】
4.
図1に示す粉末X線回折パターンを特徴とする態様1又は2に記載の式Iに記載の化合物又はその溶媒和化合物及び/又はその水和物のCa塩の白色の結晶多形A。
〔
図1〕
【0068】
5.
図2に示すスペクトルの1664、1624、1617、1532、1449、1338cm
-1に示される以下の特徴的なピークを有するFTラマン吸収スペクトルを特徴とする態様1から4のいずれか一項に記載の式Iに記載の化合物又はその溶媒和化合物及び/又はその水和物のCa塩の白色の結晶多形A。
〔
図2〕
【0069】
6.
図3に示すスペクトルの1980、1659、1584、1335、1145cm
-1に示される特徴的なピークを有する赤外吸収スペクトルを特徴とする態様1から5のいずれか一項に記載の式Iに記載の化合物又はその溶媒和化合物及び/又はその水和物のCa塩の白色の結晶多形A。
〔
図3〕
【0070】
7.
図4に示すスペクトルの15.2、8.3、7.6、7.5、7.4、7.2、6.8、3.8、2.7、1.6ppmに示される特徴的なピークを有する
1H-NMRスペクトルを特徴とする態様1から6のいずれか一項に記載の式Iに記載の化合物又はその溶媒和化合物及び/又はその水和物のCa塩の白色の結晶多形A。
〔
図4〕
【0071】
8.約1:1の式Iに記載の化合物と水とのモル比を有する水和物である態様1から7のいずれか一項に記載の式Iに記載の化合物又はその溶媒和化合物及び/又はその水和物のCa塩の白色の結晶多形A。
【0072】
9.態様1から8のいずれか一項に記載の式Iに記載の化合物又はその溶媒和化合物及び/又はその水和物のCa塩の白色の結晶多形Aを含む医薬製剤。
【0073】
10.720ppm未満のTHF含有量を有する態様1に記載の医薬製剤。
【0074】
11.医薬品として使用するための態様1から8のいずれか一項に記載の式Iに記載の化合物若しくはその溶媒和化合物及び/若しくはその水和物のCa塩の白色の結晶多形A又は態様9若しくは10に記載の医薬製剤。
【0075】
12.リウマチ、急性免疫不全、自己免疫疾患、悪性細胞増殖により起こる疾病、炎症性疾患、ヒト及び動物の原虫感染により起こる疾病、ウイルス感染及びニューモシスチス・カリニにより起こる疾病、繊維症、ぶどう膜炎、鼻炎、喘息又は関節症を含む群から選択した疾病の治療に使用するための態様1から8のいずれか一項に記載の式Iに記載の化合物若しくはその溶媒和化合物及び/若しくはその水和物のCa塩の白色の結晶多形A又は態様9若しくは10に記載の医薬製剤。
【0076】
13.移植片対宿主及び宿主対移植片反応、関節リウマチ、多発性硬化症、筋委縮性側索硬化症、エリテマトーデス、炎症性腸疾患、並びに乾癬を含む群から選択した疾病又は治療指針を含む群から選択した、疾病の治療に使用するための態様1から8のいずれか一項に記載の式Iに記載の化合物若しくはその溶媒和化合物及び/若しくはその水和物のCa塩の白色の結晶多形A又は態様9若しくは10に記載の医薬製剤。
【0077】
14.・Ca-ビドフルジムス又はその溶媒和化合物及び/又はその水和物、好ましくはビドフルジムス又はその溶媒和化合物及び/又はその水和物のCa塩の結晶多形を提供すること、
・非プロトン性有機溶媒、好ましくは、DMF、DMSO、NMP、THF、アセトン、ジオキサン、2-メチル-THF又は(メタノール/CH2Cl2(1:3))、好ましくはアセトンを含む群から選択した非プロトン性有機溶媒を用いて、カルシウム-ビドフルジムス又はその溶媒和化合物及び/又はその水和物のカルシウム塩を洗浄すること、
並びに、
・アルコール溶媒で得た分離したカルシウム-ビドフルジムス又はその溶媒和化合物及び/又はその水和物にスラリー化すること及び前記スラリーに水を加えること、
の工程を含む、態様1から8のいずれか一項に定義した式Iに記載の化合物若しくはその溶媒和化合物及び/若しくはその水和物のCa塩の白色の結晶多形Aの製造工程。
【0078】
15.a)水酸化カルシウムと式Iに記載の化合物又はその溶媒和化合物及び/又はその水和物の遊離酸との混合物に有機溶媒及び水を加えること
b)a)工程で得られた懸濁液を溶液が得られるまで撹拌すること、
c)式Iに記載の化合物又はその溶媒和化合物及び/又はその水和物のカルシウム塩の懸濁液を得るために前記有機溶媒及び水を少なくとも部分的に蒸発すること
d)水とc)工程で得られた式Iに記載の化合物又はその溶媒和化合物及び/又はその水和物のカルシウム塩の前記懸濁液とを十分に混合できる非プロトン性有機溶媒を加えること
e)d)工程で得られた懸濁液を撹拌すること、
f)e)工程で得られた混合物から式Iに記載の化合物又はその溶媒和化合物及び/又はその水和物のカルシウム塩を回収すること、並びに
g)f)工程で得られた式Iに記載の化合物又はその溶媒和化合物及び/又はその水和物のカルシウム塩をd)工程で述べられた非プロトン性有機溶媒で洗浄すること
h)g)工程で得られた式Iに記載の化合物又はその溶媒和化合物及び/又はその水和物の分離したカルシウム塩をアルコール溶媒で15~80℃でスラリー化すること
i)h)工程で得られたスラリーに水を15~85℃で加えること
j)i)工程で得られた混合物から式Iに記載の化合物又はその溶媒和化合物及び/又はその水和物のカルシウム塩を回収すること、並びに、
k)j)工程で得られた式Iに記載の化合物又はその溶媒和化合物及び/又はその水和物のカルシウム塩をd)工程で述べられた非プロトン性有機溶媒で洗浄すること
の工程を含む、態様1から8のいずれか一項に定義した式Iに記載の化合物若しくはその溶媒和化合物及び/若しくはその水和物のCa塩の白色の結晶多形Aの製造工程。
【0079】
16.g)工程及びk)工程の後に乾燥工程が加えられ、そして任意にその後に粉砕工程、任意にその後に再結晶化工程が加えられた態様14又は15に記載の結晶多形の製造工程。
【0080】
17.b)工程後及びc)工程前に溶液が濾過され、そしてその時にフィルターが前記有機溶媒で洗浄される態様14から16のいずれか一項に記載の結晶多形の製造工程。
【0081】
18.a)工程の懸濁液を25~30℃で加温する態様14から17のいずれか一項に記載の結晶多形の製造工程。
【0082】
19.e)工程の懸濁液を15~25℃で加温する態様14から18のいずれか一項に記載の結晶多形の製造工程。
【0083】
20.前記有機溶媒をDMF、DMSO、NMP、THF、アセトン、ジオキサン、2-メチル-THF又は(メタノール/CH2Cl2(1:3))、好ましくはアセトンを含む群から選択した態様14から19のいずれか一項に記載の結晶多形の製造工程。
【0084】
21.前記非プロトン性有機溶媒をDMF、DMSO、NMP、THF、アセトン、ジオキサン、2-メチル-THF又は(メタノール/CH2Cl2(1:3))、好ましくはアセトンを含む群から選択した態様14から20のいずれか一項に記載の結晶多形の製造工程。
【0085】
22.態様14から21のいずれか一項に記載の工程により入手できる式Iに記載の化合物とカルシウムとの2±0.3のモル比を有する式Iに記載の化合物又はその溶媒和化合物及び/又はその水和物のカルシウム塩の白色の結晶多形。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【0087】
【
図2】Caビドフルジムスの多形Aのラマンスペクトル
【0088】
【
図3a】Caビドフルジムスの多形Aの赤外スペクトル、完全な範囲
【0089】
【
図3b】Caビドフルジムスの多形Aの赤外スペクトル、特徴の範囲
【0090】
【
図4】Caビドフルジムスの多形Aの
1H-NMRスペクトル
【0091】
【
図5】式Iに記載の化合物CのCa塩の多形CのPXRD。
【0092】
【
図6】式Iに記載の化合物BのCa塩の多形CのPXRD。
【実施例0093】
実施例1
【0094】
式Iの化合物は様々な方法を介して得てもよく、JP-A-50-121428に記載の方法を含む。特に合成の2つの以下の方法を用いた。
【0095】
方法1:最初のステップにおいて、シクロアルケン-1,2-ジカルボン酸をR.N.Mc Donald and R.R.Reitz,J.Org.Chem.37,(1972)2418-2422により記載されるように対応のα,α’-ジブロモアルカンジカルボン酸から得ることができる。シクロペンテン-1,2-ジカルボン酸はまたピメリン酸から多量に得ることができる[D.C.Owsley and J.J.Bloomfiled,Org.Prep.Proc.Int.3,(1971)61-70;R.Willstatter,J.Chem.Soc.(1926),655-663]。
【0096】
環内又は環上に置換したジカルボン酸を一般的にシアノヒドリン合成を介して合成することができる[Shwn-Jiuan Lee et.al.,Bull.Inst.Chem.Academia Sinica Number 40,(1993),1-10 or B.R.Baker et al.,J.Org.Chem.13,1948,123-133;and B.R.Baker et al.,J.Org.Chem.12,1947,328-332;L.A.Paquette et.al.,J A,.Chem.Soc.97,(1975),6124-6134]。
【0097】
ジカルボン酸を続けて酢酸無水物によりそれらを反応することで対応の酸無水物に変換できる[P.Singh and S.M.Weinreb,Tetrahedron 32,(1976),2379-2380]。
【0098】
式(II)の異なる酸無水物を調製するための他の方法はV.A.Montero et.al.,J.Org.Chem.54,(1989),3664-3667;P.ten Haken,J.Heterocycl.Chem.7,(1970),1211-1213;K.Alder,H.Holzrichter,J.Lieb.Annalen d.Chem.524,(1936),145-180;K.Alder,E.Windemuth,J.Lieb.Annalen d.Chem.543,(1940),56-78;and W.Flaig,J.Lieb.Annalen d.Chem.568,(1950),1-33に記載されている。
【0099】
これらの無水物を続けて式(I)の所望されるアミドに対応のアミンと反応させてもよい。この反応をJ.V.de Julian Ortiz et al.,J.Med.Chem.42,(1999),3308(実施例1内の経路Aと名付けた)又は4-ジメチルアミノピリジンの使用により(実施例1内の経路Bと名付けた)記載された反応状態の使用により実施できる。
【0100】
方法2:式(I)のアミドをまた、式(IV)のアミンと一般的な式(V)のアリールボロン酸との反応により合成できる[M.P.Winters,Tetrahedron Lett.,39,(1988),2933-2936]
【0101】
ビアリールアニリンを一般的にパラジウム触媒カップリングを介して合成できる[G.W.Kabalka et.al.,Chem.Commun.,(2001),775;A Demeter,Tetrahedron Lett.38;(1997),5219-5222;V.Snieckus,Chem.Commun.22,(1999),2259-2260]。
【0102】
方法3:式(I)のアミドをまた式(VI)のハロゲン誘導体と一般的な式(VII)のアリールボロン酸とを反応することで合成できる[N。E。Leadbeater,S.M.Resouly,Tetrahedron,55,1999,11889~11894]。
【0103】
実施例2
【0104】
実験的な/機器設定
【0105】
1H-NMR:1H-NMRスペクトルを300.13MHzのプロトン共鳴周波数、30°の励起パルス及び1秒のリサイクル遅延によりBruker DPX300分光器を用いて記録した。16スキャンを集積し、D2O;MeOD又はd6-DMSOを溶媒として用いた。
【0106】
DSC:示差走査型カロリメトリーをPerkin Elmer DSC-7装置(N2雰囲気下の閉鎖型の金製サンプルパン)を用いて実行した。試料は(10K/minの速度で)融点まで加熱し、その後(200K/minの冷却速度で)冷却し、そして後で再度10K/minで加熱した。
【0107】
DVS(SMS):Surface Measurement Systems Ltd。DVS-1水蒸気吸着測定装置。試料を白金サンプルパンに置き、そして試料を所定の相対湿度、通常50%相対湿度で平衡化することを可能にした。その後、あらかじめ決められた湿度プログラムを1時間あたり5%r.h.の走査速度で開始した。第一段階:(50から95%r.h.の出発材料としてありうる水和物の場合の)50%相対湿度から0%相対湿度、第二段階:(95から0%r.h.としてありうる水和物の場合の)0%から95%r.h.。
【0108】
FT-ラマン分光法:FT-ラマン分光を近赤外Nd:1064nmで操作するYAGレーザー及び液体窒素冷却ゲルマニウム検出器を用いてBruker RFS 100 FT-ラマンシステムで記録した。各試料について、最小64スキャンを2cm-1の分解能で集積した。FT-ラマンデータを3500から100cm-1の間の領域で示した。100cm-1以下のデータはRayleighフィルターのカットオフのため信頼できない。
【0109】
光学顕微鏡:Leica DFC280カメラ及びIM50 v.5画像取得ソフトウェアを備えたLeitz Orthoplan 110680顕微鏡。画像を偏光板の有無及び4倍、10倍又は25倍の倍率で記録した。
【0110】
粉末X線回折:Bruker D8;銅Ka放射線、40kV/40mA;LynxEye検出器、0.02°2θ刻み幅、37秒のステップ時間。試料の調製:平らな表面を得るためのごくわずかな圧力の利用以外の特別な処理なく試料を一般的に測定した。シリコン製の単回用の結晶試料ホルダーを用いた(0.1、0.5又は1mmの深さ)。試料を測定中に回転した。
【0111】
ラマン顕微鏡法:レシニョー inVia Reflex ラマンシステム。785nm励起による安定化ダイオードレーザーの励起及び検出器としてNIR拡張ペルチェ冷却CCDカメラ。測定を20倍対物レンズの長い作動距離で実行した。波数は2000~100cm-1にわたり、10秒の検出時間、スペクトルあたり3つの集積。
【0112】
溶媒:全ての試験について、Fluka、Merck又はABCR分析グレード溶媒を用いた。
【0113】
TG-FTIR:熱重量測定をNetzsch Thermo-Microbalance TG209とBruker FTIR Spectrometer Vector22又はIFS28とを結合して実施した(ピンホールを有するサンプルパン、N2雰囲気、10℃/分の加熱速度、25~350℃の範囲)。
【0114】
実施例3
【0115】
DHODH活性の阻害アッセイ
【0116】
標準アッセイ混合物には50μM デシクロユビキノン、100μM ジヒドロオロト酸、60μM 2,6-ジクロロインドフェノール及び20mU DHODHが含まれた。リコンビナント酵素の総活性は30U/mLだった。測定を最終液量1mLの50mM TrisHCl(150 mM KCl、0.1% Triton X-100、pH8.0)において30℃で行った。組成物を混合し、そしてその反応をジヒドロオロト酸を添加することで開始した。反応過程は、2分間600nmで吸収の減少を分光光度的に測定することで続けられた。
【0117】
阻害研究を阻害剤の追加の変化量により通常のアッセイにおいて実施した。IC50値(50%阻害のために必要な阻害剤濃度)の決定のために少なくとも5つの異なる阻害剤濃度を適用した。
【0118】
これらの調査をProf.M.Loffler,Marburg,Germany[M.Loffler,Chem.Biol.Interact.124,(2000),61-76]に提供されたヒトリコンビナント及びマウスリコンビナントのDHODHで実行した。
【0119】
参照としてレフルノミドA77-1726(化合物12)の活性代謝物を用いた[J.Jockel et al.Biochemical Pharmacology 56(1998),1053-1060]。
【0120】
阻害アッセイの結果をJockel et.alの前述の出版物の表1に示す。本発明に記載の塩の調製に用いられる化合物がレフルノミドの活性代謝物よりもヒトの酵素における同等の又はさらに良い阻害活性を有するだけでなく、ヒト酵素に対する高い特異性を有することがIC50値の比較から明らかである。
【0121】
実施例4
【0122】
ヒトT細胞の増殖アッセイ
【0123】
ヒトの末梢血単核球(PBMC)を健康な有志から得て、そして10%の透析したウシ胎児血清を含むRPMI1640培地に移した。1ウエル当たり80,000細胞数を96ウエルプレートにピペットで注入し、そしてT細胞の増殖を刺激するために終濃度20μg/mLになるようリン酸緩衝生理食塩水にフィトヘマグルチニン(PHA)を添加した。ビドフルジムスを20nMから50μMに及ぶ終濃度になるようにジメチルスルホキシド(DMSO,終濃度:0.1 Vol%)に添加した。48時間の培養後、細胞増殖をメーカーの説明書に従い「細胞増殖ELISA BrdU(Roche)」を用いてクエンチした。半数阻害濃度(IC50)を4-パラメータシグモイドカーブフィッティングを用いて計算した。T細胞増殖を4.1μMのIC50でビドフルジムスによって阻害した。
【0124】
実施例5
【0125】
カルシウム塩の調製
【0126】
式(I)の化合物のカルシウム塩の合成を2012/001148に詳細に記載し、本明細書に参照により取り込まれる。
【0127】
加えて、
図5に示す粉末X線回折は結晶材料が得られることを示すが、しかしながら遊離酸のそれから異なる回折パターンを有する(
図6参照)。光学顕微鏡を用いて、結晶を可視化し(
図4)、DSC(示差走査型カロリメトリー)では約155℃の融点を実証し(溶媒化合物及び非溶媒和化合物の形状の溶解することを示すこと)、TG-FTIR(熱重量分析-フーリエ変換赤外分光法)ではおそらくメタノール溶媒和化合物及び水和物を形成し、動的水蒸気吸着により、脱溶媒和とそれに続く約85%の相対湿度での0.3%の水の取り込み及び95%で0.4%の水の(不可逆的な)取り込みが明らかになったことを示した。
【0128】
実施例6
【0129】
多形Aの合成
【0130】
ビドフルジムスの多形Aを以下のように生成する:
a)水酸化カルシウムと式Iに記載の化合物又はその溶媒和化合物及び/又はその水和物の遊離酸との混合物に有機溶媒及び水を加えること
b)a)工程で得られた懸濁液を溶液が得られるまで撹拌すること、
c)式Iに記載の化合物又はその溶媒和化合物及び/又はその水和物のカルシウム塩の懸濁液を得るために前記有機溶媒及び水を少なくとも部分的に蒸発すること
d)水とc)工程で得られた式Iに記載の化合物又はその溶媒和化合物及び/又はその水和物のカルシウム塩の前記懸濁液とを十分に混合できるアセトンを加えること
e)d)工程で得られた懸濁液を撹拌すること、
f)e)工程で得られた混合物から式Iに記載の化合物又はその溶媒和化合物及び/又はその水和物のカルシウム塩を回収すること、並びに
g)f)工程で得られた式Iに記載の化合物又はその溶媒和化合物及び/又はその水和物のカルシウム塩をd)工程で述べられた溶媒で洗浄すること
h)g)工程で得られた式Iに記載の化合物又はその溶媒和化合物及び/又はその水和物の分離したカルシウム塩をアルコール溶媒で15~80℃でスラリー化すること
i)h)工程で得られたスラリーに水を15~85℃で加えること
j)i)工程で得られた混合物から式Iに記載の化合物又はその溶媒和化合物及び/又はその水和物のカルシウム塩を回収すること、並びに、
k)j)工程で得られた式Iに記載の化合物又はその溶媒和化合物及び/又はその水和物のカルシウム塩をd)工程で述べられた非プロトン性有機溶媒で洗浄すること
【0131】
実施例7
【0132】
バイオアベイラビリティの測定
【0133】
カルシウム塩及びビドフルジムスの遊離酸の経口のバイオアベイラビリティをオスのウィスターラットにおいて比較した。前記遊離酸又はカルシウム塩をゼラチンカプセル内に充填し、動物は体重1キログラム当たり約10mgの遊離酸の投与レベルで単回投与を受けた。
【0134】
1群あたり4匹のオスのウィスターラット(体重の範囲:250~275g)をビドフルジムス遊離酸又はそのカルシウム塩により治療した。そのカプセル剤を適応装置を用いて動物の食道内に投与した。静脈血の試料をイソフルラン麻酔下で投与後の以下の時点で動物から得た:30分;1時間;2時間;4時間;6時間;8時間;24時間;28時間;32時間及び48時間。凝固をヘパリンナトリウムを用いて阻害し、血漿を血液試料の遠心分離により産生した。血漿試料をLC-MS/MSによりビドフルジムスについて分析し、そして薬物動態学的なパラメータを複合対数線形台形法に従って計算した。
【0135】
カリウム塩の試験によると、6匹のメスのLewisラットを30mg/kg(遊離酸等量)の投与レベルでビドフルジムス遊離酸又はそのカリウム塩のいずれかを用いて治療した。前記化合物をリン酸緩衝生理水内で0.5%メチルセルロースにおいて製剤化し、そして動物を経口経管栄養法で治療した。静脈血試料イソフルラン麻酔下で投与後の以下の時点で動物から得た:30分;1時間;2時間;4時間;8時間;26時間;33時間;48時間及び72時間。凝固をヘパリンナトリウムを用いて阻害し、血漿を血液試料の遠心分離により産生した。血漿試料をLC-MS/MSによりビドフルジムスについて分析し、そして薬物動態学的なパラメータ(AUC)を対数線形台形法に従って計算した。
【0136】
塩の経口バイオアベイラビリティを血漿濃度-時間曲線(AUCs)下面積と遊離酸の投与後見られるそれらを有する塩の投与後のビドフルジムスの最大到達血漿濃度(Cmax値)とを比較することにより評価される。これらの比を表2に示す。
【0137】
表2:ビドフルジムスのラットへの経口適応後PKパラメータの比較
【表3】
【0138】
実施例8
【0139】
ビドフルジムスカルシウム原薬の以前のGMPバッチ(IM90838;バッチRL01L156A1)は、フェーズI試験で用いられ、現在のバッチと同じ設備、すなわちPatheon DPx Fine Chemicals Regensburg GmbH-ResCom,Regensburg,Germanyでビドフルジムス中間体から製造した。使用されたそのビドフルジムス中間体をCambrex Karlskoga AB,Karlskoga,Swedenで製造した。
【0140】
ビドフルジムスカルシウム原薬は一般的に約6,000から10,000ppmのレベルでテトラヒドロフラン溶媒(THF)と組み合わせるため、製造工程の最終ステップではTHFレベルを低減するために最適化される:
未精製のビドフルジムスカルシウムをエタノールにより処理し、水により処理を受けた中間的なエタノール溶媒和化合物を形成することは、二水和物としてビドフルジムスカルシウムの必要な多形を与える。最終原薬におけるエタノールは許容可能である約2,000から6,000ppmのレベルで保持する。その過程を2.1.S.2.2セクションで記載する。
【0141】
予備的な実験室の工程の結果を以下に要約する。約20gのビドフルジムス(VIDO-5)のラボスケールのバッチを3.2.S.2.2セクションに記載した工程によりビドフルジムスカルシウムに変換した。分析的な結果を表1に要約する。
【表4】