(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106102
(43)【公開日】2024-08-07
(54)【発明の名称】生体情報計測装置、生体情報計測システム、生体情報計測方法および生体情報計測プログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/01 20060101AFI20240731BHJP
【FI】
A61B5/01 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023010213
(22)【出願日】2023-01-26
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新井 真実
(72)【発明者】
【氏名】宮本 格
【テーマコード(参考)】
4C117
【Fターム(参考)】
4C117XA01
4C117XB01
4C117XB02
4C117XC15
4C117XC26
4C117XE13
4C117XE23
4C117XE37
4C117XF22
4C117XG06
4C117XH16
4C117XJ03
4C117XL01
(57)【要約】
【課題】生体に関するデータを計測するための複数のセンサを近接させて配置させた場合でも、計測するデータへの影響を与えないようにすること。
【解決手段】本開示に係る生体情報計測装置は、皮膚温度を計測する温度センサと、バイタルデータを計測するLEDセンサと、前記温度センサおよびLEDセンサを用いてユーザの情報を計測する制御部とを備える。前記温度センサおよび前記LEDセンサは、前記生体情報計測装置を装着する前記ユーザの体表に接する、当該生体情報計測装置の同一面に配置される。前記制御部は、前記温度センサを用いて前記ユーザの皮膚温度を連続的に計測するとともに、前記LEDセンサを間欠的に動作させ前記ユーザのバイタルデータを計測する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚温度を計測する温度センサと、
バイタルデータを計測するLEDセンサと、
前記温度センサおよびLEDセンサを用いてユーザの情報を計測する制御部と、を備える生体情報計測装置であって、
前記温度センサおよび前記LEDセンサは、前記生体情報計測装置を装着する前記ユーザの体表に接する、当該生体情報計測装置の同一面に配置され、
前記制御部は、前記温度センサを用いて前記ユーザの皮膚温度を連続的に計測するとともに、前記LEDセンサを間欠的に動作させ前記ユーザのバイタルデータを計測する、
ことを特徴とする生体情報計測装置。
【請求項2】
皮膚温度を計測する温度センサと、
バイタルデータを計測するLEDセンサと、
前記温度センサおよびLEDセンサを用いてユーザの情報を計測する制御部と、を備える生体情報計測装置であって、
前記LEDセンサは、前記生体情報計測装置において前記温度センサの中心からの平面距離が30ミリメートル以内に含まれるよう配置され、
前記制御部は、前記温度センサを用いて前記ユーザの皮膚温度を連続的に計測する間に、前記LEDセンサを間欠的に動作させ前記ユーザのバイタルデータを計測する、
ことを特徴とする生体情報計測装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の生体情報計測装置と、演算装置とを含む生体情報計測システムであって、
前記演算装置は、
前記生体情報計測装置によって計測された前記ユーザの情報を取得する取得部と、
前記ユーザの情報から演算に用いるデータを選択して演算をする演算部とを備え、
前記演算部は、
前記演算に用いるデータとして前記ユーザの皮膚温度を選択する際には、前記LEDセンサの動作周期において当該LEDセンサが動作を停止する規定時間において計測された皮膚温度を選択する、
ことを特徴とする生体情報計測システム。
【請求項4】
請求項1または2に記載の生体情報計測装置と、演算装置とを含む生体情報計測システムであって、
前記演算装置は、
前記生体情報計測装置によって計測された前記ユーザの情報を取得する取得部と、
前記ユーザの情報を演算に用いるデータに補正して演算をする演算部とを備え、
前記演算部は、
前記LEDセンサの動作周期において取得された前記ユーザの皮膚温度を、当該動作周期における当該LEDセンサの動作に基づく温度影響分で補正する、
ことを特徴とする生体情報計測システム。
【請求項5】
皮膚温度を計測する温度センサと、バイタルデータを計測するLEDセンサと、を備える生体情報計測装置であって、前記温度センサおよび前記LEDセンサは、前記生体情報計測装置を装着する前記ユーザの体表に接する、当該生体情報計測装置の同一面に配置される、生体情報計測装置と、
演算装置と、を含む生体情報計測システムが実行する生体情報計測方法であって、
生体情報計測装置が、
前記温度センサおよびLEDセンサを用いてユーザの情報を計測する場合に、前記温度センサを用いて前記ユーザの皮膚温度を連続的に計測するとともに、前記LEDセンサを間欠的に動作させ前記ユーザのバイタルデータを計測し、
前記演算装置が、
生体情報計測装置によって計測された前記ユーザの情報を取得し、
前記ユーザの情報から演算に用いるデータを選択して演算し、さらに、前記演算に用いるデータとして前記ユーザの皮膚温度を選択する際には、前記LEDセンサの動作周期において当該LEDセンサが動作を停止する規定時間において計測された皮膚温度を選択する、
ことを含む生体情報計測方法。
【請求項6】
皮膚温度を計測する温度センサと、バイタルデータを計測するLEDセンサと、を備える生体情報計測装置であって、前記温度センサおよび前記LEDセンサは、前記生体情報計測装置を装着する前記ユーザの体表に接する、当該生体情報計測装置の同一面に配置される、生体情報計測装置と、
演算装置と、を含む生体情報計測システムが実行する生体情報計測方法であって、
生体情報計測装置が、
前記温度センサおよびLEDセンサを用いてユーザの情報を計測する場合に、前記温度センサを用いて前記ユーザの皮膚温度を連続的に計測するとともに、前記LEDセンサを間欠的に動作させ前記ユーザのバイタルデータを計測し、
前記演算装置が、
生体情報計測装置によって計測された前記ユーザの情報を取得し、
前記ユーザの情報を演算に用いるデータに補正して演算し、さらに、前記LEDセンサの動作周期において取得された前記ユーザの皮膚温度を、当該動作周期における当該LEDセンサの動作に基づく温度影響分で補正する、
ことを含む生体情報計測方法。
【請求項7】
コンピュータを、
皮膚温度を計測する温度センサと、バイタルデータを計測するLEDセンサと、を備える生体情報計測装置であって、前記温度センサおよび前記LEDセンサは、前記生体情報計測装置を装着する前記ユーザの体表に接する、当該生体情報計測装置の同一面に配置される、生体情報計測装置と、
演算装置と、を含む生体情報計測システムとして実行させる生体情報計測プログラムであって、
生体情報計測装置が、
前記温度センサおよびLEDセンサを用いてユーザの情報を計測する場合に、前記温度センサを用いて前記ユーザの皮膚温度を連続的に計測するとともに、前記LEDセンサを間欠的に動作させ前記ユーザのバイタルデータを計測し、
前記演算装置が、
生体情報計測装置によって計測された前記ユーザの情報を取得し、
前記ユーザの情報から演算に用いるデータを選択して演算をし、さらに、前記演算に用いるデータとして前記ユーザの皮膚温度を選択する際には、前記LEDセンサの動作周期において当該LEDセンサが動作を停止する規定時間において計測された皮膚温度を選択する、
ように機能させる生体情報計測プログラム。
【請求項8】
コンピュータを、
皮膚温度を計測する温度センサと、バイタルデータを計測するLEDセンサと、を備える生体情報計測装置であって、前記温度センサおよび前記LEDセンサは、前記生体情報計測装置を装着する前記ユーザの体表に接する、当該生体情報計測装置の同一面に配置される、生体情報計測装置と、
演算装置と、を含む生体情報計測システムとして実行させる生体情報計測プログラムであって、
生体情報計測装置が、
前記温度センサおよびLEDセンサを用いてユーザの情報を計測する場合に、前記温度センサを用いて前記ユーザの皮膚温度を連続的に計測するとともに、前記LEDセンサを間欠的に動作させ前記ユーザのバイタルデータを計測し、
前記演算装置が、
生体情報計測装置によって計測された前記ユーザの情報を取得し、
前記ユーザの情報を演算に用いるデータに補正して演算し、さらに、前記LEDセンサの動作周期において取得された前記ユーザの皮膚温度を、当該動作周期における当該LEDセンサの動作に基づく温度影響分で補正する、
ように機能させる生体情報計測プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、生体情報計測装置、生体情報計測システム、生体情報計測方法および生体情報計測プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
人体の生体情報(バイタルデータ)を計測するにあたり、様々なセンサや計測技術が活用されている。
【0003】
例えば、発光素子であるLED(Light Emitting Diode)を用いたLEDセンサと、温度計測のためのサーミスタセンサとを併用し、心拍数や血中酸素飽和度(以下、「SpO2」と称する)と体表温度とを同時に計測する装置が知られている(例えば、下記の特許文献1)。また、同様のセンサ構成を有する装置において、LED周辺温度上昇がLED発光強度に影響するとして、LEDの温度を検出する温度検出手段を設け、受光素子センサの測定値に補正を施す技術も知られている(例えば、下記の特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2008-531216号公報
【特許文献2】特許第7022963号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術によれば、LEDセンサ自身の温度を温度センサで検出することで、LEDセンサ計測データの精度を安定させることができる。
【0006】
しかしながら、人体に密着して利用される計測装置においては、ユーザの装着感の向上等を目的として装置を縮小するため、LEDセンサと温度センサとをきわめて近距離に配置することが求められる。この場合、LEDセンサと温度センサとが近接することになるため、例えば温度を0.01℃単位レベルで計測しようとすると、LEDセンサの回路自体の熱が温度センサに影響を及ぼしてしまい、皮膚表面温度計測の正確性に影響を与えるおそれがある。
【0007】
そこで、本開示では、生体に関するデータを計測するための複数のセンサを近接させて配置させた場合でも、計測するデータへの影響を与えないようにすることのできる生体情報計測装置、生体情報計測システム、生体情報計測方法および生体情報計測プログラムを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本開示に係る生体情報計測装置は、皮膚温度を計測する温度センサと、バイタルデータを計測するLEDセンサと、前記温度センサおよびLEDセンサを用いてユーザの情報を計測する制御部とを備える。前記温度センサおよび前記LEDセンサは、前記生体情報計測装置を装着する前記ユーザの体表に接する、当該生体情報計測装置の同一面に配置される。前記制御部は、前記温度センサを用いて前記ユーザの皮膚温度を連続的に計測するとともに、前記LEDセンサを間欠的に動作させ前記ユーザのバイタルデータを計測する。
【発明の効果】
【0009】
実施形態の一態様によれば、生体に関するデータを計測するための複数のセンサを近接させて配置させた場合でも、計測するデータへの影響を与えないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態に係る生体情報計測処理の流れを模式的に示す図である。
【
図2】実施形態に係る計測デバイスの構造を示す図(1)である。
【
図3】実施形態に係る計測デバイスの構造を示す図(2)である。
【
図4】実施形態に係る計測デバイスの構造を示す図(3)である。
【
図5】実施形態に係る計測デバイスの構成例を示す図である。
【
図6】実施形態に係る演算サーバの構成例を示す図である。
【
図7】第1の生体情報計測処理を説明するための図(1)である。
【
図8】第1の生体情報計測処理を説明するための図(2)である。
【
図9】第1の生体情報計測処理を説明するための図(3)である。
【
図10】第2の生体情報計測処理を説明するための図(1)である。
【
図11】第2の生体情報計測処理を説明するための図(2)である。
【
図12】演算サーバの機能を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本開示の実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態において、同一の部位には同一の符号を付することにより重複する説明を省略する。
【0012】
(1.実施形態)
(1-1.実施形態に係る生体情報計測処理の一例)
図1は、実施形態に係る生体情報計測処理の流れを模式的に示す図である。実施形態に係る生体情報計測処理は、
図1に示す生体情報計測システム1により実行される。生体情報計測システム1は、本開示に係る生体情報計測装置の一例である計測デバイス10と、演算サーバ100と、ユーザ端末200とを含む。生体情報計測システム1に含まれる各装置は、無線通信等により相互にデータの送受信が可能である。
【0013】
計測デバイス10は、ユーザの生体情報を測定する機能を有する測定機器である。例えば、計測デバイス10は、LEDセンサと温度センサとを有し、ユーザの心拍数やSpO2、体表温度とを継続的に計測する。具体的には、計測デバイス10は、いわゆるウェアラブルデバイスであり、ユーザの下着など衣服内に収納され、連続的もしくは定期的(例えば毎晩決まった時刻)にユーザの生体情報を測定する。なお、本開示では、区別のため、LEDセンサによって計測される心拍数およびSpO2をバイタルデータと称し、体表温度を温度データと称する場合がある。
【0014】
演算サーバ100は、計測デバイス10が計測した計測データを取得し、取得した計測データに関する各種演算を実行する情報処理装置である。例えば、演算サーバ100は、クラウドサーバ等である。
【0015】
ユーザ端末200は、ユーザによって利用される端末装置であり、例えばスマートフォンやタブレット端末等である。ユーザ端末200は、ユーザの操作等に従い、演算サーバ100による演算結果や、計測デバイス10による計測結果等を表示する。
【0016】
実施形態に係る生体情報計測処理において、計測デバイス10は、ユーザの生体情報を継続的に計測する(ステップS1)。計測デバイス10は、計測したデータを、逐次もしくは定期的に、演算サーバ100に送信する(ステップS2)。演算サーバ100は、取得した計測データをデータベース80に蓄積するとともに、取得したデータに基づき、ユーザのバイタルデータおよび温度データとして適切な値を取得するための所定の演算を行う(ステップS3)。なお、演算処理の詳細は後述する。その後、演算サーバ100は、計測データの閲覧を希望するユーザの要求等に従い、分析した計測データをユーザ端末200に表示させる(ステップS4)。
【0017】
以上のように、生体情報計測システム1は、ユーザの生体情報を継続的に計測し、計測したデータを収集し、蓄積し、分析し、表示するといった一連の処理を行う。
【0018】
ところで、上記のような生体情報計測処理を行うにあたり、計測デバイス10は、ユーザの身体に密着して継続的に計測を行う必要があることから、装着感の向上等の目的のため、小型化が求められる。すなわち、計測デバイス10の構造として、LEDセンサと温度センサとがきわめて近距離に配置されることが求められる。
【0019】
この点について、
図2を用いて、計測デバイス10の構造を図示する。
図2は、実施形態に係る計測デバイス10の構造を示す図(1)である。
図2には、計測デバイス10がユーザに装着される際の配置図、ならびに、平面図および側面図を示す。
【0020】
図2に示すように、計測デバイス10は、第1温度センサ20と、LEDセンサユニット30とを含む。例えば、計測デバイス10は、第1温度センサ20がユーザの体表に接するように装着され、ユーザの生体情報を継続的に計測する。また、
図2の断面図に示すように、LED30は、計測デバイス10の内部に配置される。
【0021】
第1温度センサ20は、例えば、サーミスタ(Thermistor)を用いて構成される。LEDセンサユニット30は、発光素子であるLEDを含む電子回路により構成される。なお、第1温度センサ20やLEDセンサユニット30の構成は例示に限られず、ユーザの生体情報を計測することが可能な構成であれば、いずれの構成をとってもよい。なお、計測デバイス10は、側面(装着時にユーザの体表に接しない部分)に第2温度センサ40を備えてもよい。また、計測デバイス10は、充電用端子45を備えてもよい。
【0022】
上述のように、計測デバイス10はユーザに常時装着されることを前提とするものであるため、可能な限り小型に形成される。例えば、計測デバイス10の平面長手寸法L11は、およそ40mm(millimetre)から50mmほどで形成される。また、計測デバイス10の平面短手寸法L12は、およそ30mmから40mmほどで形成される。また、計測デバイス10の厚み寸法L13は、およそ10mmほどで形成される。なお、寸法は例示であり、これに限られない。また、
図2に示すように、第1温度センサ20およびLEDセンサユニット30は、計測デバイス10を装着するユーザの体表に接する同一面に配置される。この場合の同一面とは、第1温度センサ20と、LEDセンサユニット30の照射面(照射方向)とが、計測デバイス10において同一の面(ユーザに接する側)に所在するということを含む。
【0023】
次に、
図3を用いて、第1温度センサ20とLEDセンサユニット30との位置関係を説明する。
図3は、実施形態に係る計測デバイス10の構造を示す図(2)である。
【0024】
図3では、計測デバイス10の平面図における、第1温度センサ20とLEDセンサユニット30との位置関係を示す。
図3に示す例では、第1温度センサ20の中心から、LEDセンサユニット30の、第1温度センサ20から遠い側の端部までの距離L15は、およそ15mmから30mmほどで形成される。言い換えれば、LEDセンサユニット30の全形は、第1温度センサ20の中心から30mm以内に含まれるよう配置される。
図3に示すように、計測デバイス10の小型化を実現する場合、第1温度センサ20とLEDセンサユニット30も近接して配置されることを余儀なくされる。
【0025】
次に、
図4を用いて、第1温度センサ20とLEDセンサユニット30との高さ方向の位置関係を説明する。
図4は、実施形態に係る計測デバイス10の構造を示す図(2)である。
【0026】
図4では、計測デバイス10の断面図における、第1温度センサ20とLEDセンサユニット30との位置関係を示す。
図4に示す例において、計測デバイス10の厚みL13が10mmの場合、LEDセンサユニット30の下端部から計測デバイス10の表面に配置される第1温度センサ20の下端部までの距離L18は、およそ5mmほどで形成される。なお、
図4に示した寸法もあくまで例示であり、各センサの寸法や配置関係は、これに限られない。
【0027】
以上、
図1乃至
図4を用いて説明したように、計測デバイス10において、第1温度センサ20とLEDセンサユニット30とは近接して配置される。この場合、例えば温度を0.01℃単位レベルで計測しようとすると、LEDセンサユニット30の回路自体の熱が第1温度センサ20に影響を及ぼしてしまい、皮膚表面温度計測の正確性に影響を与えるおそれがある。
【0028】
そこで、生体情報計測システム1は、以下に説明する処理によって、LEDセンサユニット30による影響を抑制した温度計測を実現する。具体的には、生体情報計測システム1は、第1温度センサ20による計測と、LEDセンサユニット30による計測とのタイミングをずらすことで、LEDセンサユニット30による影響を抑制した温度計測を実現する。
【0029】
例えば、計測デバイス10は、第1温度センサ20を用いてユーザの皮膚温度を連続的に計測するとともに、LEDセンサユニット30を間欠的に動作させてユーザのバイタルデータを計測する。具体的には、計測デバイス10は、LEDセンサユニット30を2分間動作させ、その後10分間動作を停止するといった、間欠的な動作を設定する。そして、計測デバイス10は、LEDセンサユニット30が動作を停止し、回路の降温が一定となった(降温飽和した状態)と推定される状況下のみで、ユーザの皮膚温度を計測する。なお、かかる計測は、計測デバイス10が連続的に皮膚温度を計測し、計測されたデータを収集する演算サーバ100が、降温飽和したと推定される状況下での温度データのみを採用する、といった手法により実現されてもよい。上記処理の詳細は、
図7以下で詳述する。
【0030】
このように、生体情報計測システム1は、LEDセンサユニット30の動作タイミングと、ユーザの皮膚温度の計測タイミングとを調整しながら、ユーザの生体情報を計測する。これにより、生体情報計測システム1は、人体に装着されることを前提とした小型計測デバイスを用いる場合であっても、LEDセンサユニット30からの熱の影響を抑制しつつ、高精度での連続的な温度計測を可能とする。
【0031】
(1-2.実施形態に係る計測デバイスの構成)
以下、生体情報計測システム1に含まれる各装置の構成について説明する。まず
図5を用いて、計測デバイス10の構成について説明する。
図5は、実施形態に係る計測デバイス10の構成例を示す図である。
【0032】
図5に示すように、計測デバイス10は、電子回路基板11と、バッテリー15と、第1温度センサ20と、LEDセンサユニット30と、第2温度センサ40とを有する。
【0033】
電子回路基板11は、通信部12と、制御部13と、電源部14とを備える。なお、計測デバイス10は、ユーザや管理する管理者等から各種操作を受け付ける入力部(例えば、物理ボタン等)や、各種情報を表示するための表示部(例えば、液晶ディスプレイ等)を有してもよい。
【0034】
通信部12は、例えば、ネットワークインタフェースコントローラ(Network Interface Controller)等によって実現される。通信部12は、ネットワークN(例えばインターネットやローカルネットワーク)と有線又は無線で接続され、ネットワークNを介して、演算サーバ100やユーザ端末200等との間で情報の送受信を行う。例えば、通信部12は、Wi-Fi(登録商標)、SIM(Subscriber Identity Module)、LPWA(Low Power Wide Area)等の通信規格もしくは通信技術を用いて、情報の送受信を行ってもよい。
【0035】
制御部13は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等によって、計測デバイス10内部に記憶されたプログラムがRAM(Random Access Memory)等を作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部13は、コントローラ(controller)であり、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現される。
【0036】
制御部13は、計測デバイス10の計測処理を制御したり、電子回路基板11および各種センサの電源に関する処理を制御したりする。電源部14は、計測デバイス10の電源のオンオフを制御したり、計測デバイス10を駆動させるための電源であるバッテリー15の充電等を制御する。
【0037】
第1温度センサ20および第2温度センサ40は、ユーザの皮膚温度を計測する。例えば、第1温度センサ20および第2温度センサ40は、サーミスタを用いて温度計測を行う。
【0038】
LEDセンサユニット30は、LEDの照射を制御することによりユーザの心拍数やSpO
2等のバイタルデータを計測する。LEDセンサユニット30は、赤外LED31、フォトダイオードA32、赤色LED33、フォトダイオードB34、緑色LED35を有し、それぞれの波長に対応したバイタルデータを計測する。なお、LEDセンサユニット30の構成は
図5に限られず、バイタルデータを計測可能な構成であれば、既知のどのような構成であってもよい。
【0039】
(1-3.実施形態に係る演算サーバの構成)
次に、
図6を用いて、演算サーバ100の構成について説明する。
図6は、実施形態に係る演算サーバ100の構成例を示す図である。
【0040】
図6に示すように、演算サーバ100は、通信部110と、記憶部120と、制御部130とを備える。
【0041】
通信部110は、例えば、ネットワークインタフェースコントローラ等によって実現される。通信部110は、ネットワークNと有線又は無線で接続され、ネットワークNを介して、計測デバイス10やユーザ端末200等との間で情報の送受信を行う。
【0042】
記憶部120は、例えば、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。計測データ記憶部121は、計測デバイス10によって測定されたバイタルデータや温度データを記憶する。なお、計測データ記憶部121に記憶される情報は、必ずしも演算サーバ100自体が保持する必要はなく、例えばクラウド上のデータサーバ等に保持されてもよい。
【0043】
制御部130は、例えば、CPUやMPU、GPU等によって、演算サーバ100内部に記憶されたプログラムがRAM等を作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部130は、コントローラであり、例えば、ASICやFPGA等の集積回路により実現される。
【0044】
図6に示すように、制御部130は、取得部131と、演算部132と、出力部133とを含む。
【0045】
取得部131は、ユーザに装着された計測デバイス10から、ユーザのバイタルデータおよび温度データを取得する。
【0046】
演算部132は、計測デバイス10の動作制御や、計測デバイス10によって計測されたバイタルデータや温度データを取り扱うための各種演算処理を行う。例えば、演算部132は、取得部131によって取得されたバイタルデータおよび温度データのうち、適正値として取り扱うデータを選択して演算する。具体的には、演算部132は、演算に用いるデータとして、ユーザの皮膚温度を選択する際には、LEDセンサユニット30の動作周期において、LEDセンサユニット30が動作を停止する規定時間において計測された皮膚温度を選択する。
【0047】
また、演算部132は、必要な場合には、取得部131によって取得されたバイタルデータおよび温度データに対して補正を行う。例えば、演算部132は、LEDセンサユニット30の動作周期において取得されたユーザの皮膚温度を、動作周期におけるLEDセンサユニット30の動作に基づく温度影響分で補正する。演算部132の処理の詳細は、
図7から
図11を用いて後述する。
【0048】
出力部133は、演算部132による演算処理結果を出力する。例えば、出力部133は、演算部132による演算処理結果をユーザがユーザ端末200で確認できるよう、演算処理結果をユーザ端末200に出力する。
【0049】
(1-4.生体情報計測処理の具体例)
図7から
図11を用いて、実施形態に係る生体情報計測処理を説明する。
図7は、第1の生体情報計測処理を説明するための図(1)である。
【0050】
図7に示す例では、計測デバイス10が、LEDセンサユニット30による計測を間欠的に行うことで、温度センサに対する影響を抑制する処理を示している。具体的には、計測デバイス10は、約2分間、LEDセンサユニット30を点灯(回路を駆動すること)し、その後、約10分間、LEDセンサユニット30を消灯するといった、間欠的な動作制御を行う。計測デバイス10は、かかる動作制御を1サイクルとして、ユーザの生体情報を計測する。なお、かかる動作制御は、計測デバイス10が行ってもよいし、計測デバイス10を制御する演算サーバ100によって行われてもよい。
【0051】
図7の一例では、計測の1サイクルを1時14分15秒から1時26分5秒の間とすると、計測デバイス10は、LEDセンサユニット30をオンした1時14分15秒からの2分間で、ユーザの心拍数とSpO
2を計測する。その後、計測デバイス10は、1時16分15秒からの10分間、LEDセンサユニット30をオフする。このとき、LEDセンサユニット30の駆動により上昇したと想定されるユーザの皮膚温度は、LEDセンサユニット30がオフされることに伴い、徐々に低下する。
【0052】
そして、計測デバイス10は、計測の1サイクルの最後の約2分間ほど(1時24分15秒から1時26分5秒)において、第1温度センサ20を用いてユーザの皮膚温度を計測する。
【0053】
上記処理について、
図8を用いて、より詳細に説明する。
図8は、第1の生体情報計測処理を説明するための図(2)である。
【0054】
図8では、計測の1サイクルを1時38分45秒から1時50分45秒の間にとった例を示す。
図8に示すように、計測デバイス10がユーザの心拍数とSpO
2を計測しようとしてLEDセンサユニット30をオンすると、その回路の駆動に伴い、ユーザの皮膚温度も上昇する。この間、計測デバイス10は、ユーザの皮膚温度を計測しないか、もしくは、計測された温度データを採用しないようにする。そして、計測デバイス10は、LEDセンサユニット30をオフし、ユーザの皮膚温度が充分に降温した時間(例えば、LEDセンサユニット30の駆動前に計測された温度と同じ温度となった際)、すなわち計測の1サイクルの最後の2分間において、ユーザの皮膚温度を計測する。
【0055】
このように、計測デバイス10は、ユーザの皮膚温度について、昇温中と降温中初期段階データを取得せず、計測の1サイクル(
図7および
図8の例では12分間)の終期段階の温度データを取得(採用)する。
【0056】
図9に、第1の生体情報計測処理によって計測された生体情報の例を示す。
図9は、第1の生体情報計測処理を説明するための図(3)である。
【0057】
図9には、計測デバイス10によって計測されたデータのうち、演算サーバ100が記憶部120に蓄積したデータの一例を示す。例えば、
図9に示すデータのうち四角で囲った数値は、計測デバイス10によって間欠的もしくは連続的に計測されたデータのうち、演算サーバ100が適正値として採用したデータを示す。
図9に示すように、演算サーバ100は、連続的に計測された温度データのうち、計測の1サイクルの最後(1時48分45秒以降)に計測された温度データを採用する。これにより、演算サーバ100は、LEDセンサユニット30の駆動により上昇したと想定される温度データを排除し、適正値としてのユーザの皮膚温度を取得することができる。
【0058】
すなわち、生体情報計測システム1は、計測の1サイクルを定め、LEDセンサユニット30を間欠的に動作させる。これにより、生体情報計測システム1は、複数のセンサを近接させて配置させたデバイスを利用する場合にも、互いのセンサが計測するデータへ影響を与えないようにすることができる。
【0059】
なお、上述した計測の1サイクルは一例であり、生体情報計測システム1の管理者やユーザは、1サイクルの時間を任意に設定可能である。また、生体情報計測システム1は、必ずしもサイクルの時間を明確に定めなくても、LEDセンサユニット30による温度上昇の影響がなくなったと判定された段階で皮膚温度を計測するよう制御してもよい。かかる制御を第2の生体情報計測処理として、
図10および
図11を用いて説明する。
【0060】
図10は、第2の生体情報計測処理を説明するための図(1)である。
図10に示す例では、計測デバイス10が、LEDセンサユニット30による計測を間欠的に行い、温度が定常状態に復帰したとき(すなわち、LEDセンサユニット30による影響が最低値で飽和状態になるとき)に、ユーザの皮膚温度を計測する。一例として、演算サーバ100は、計測デバイス10により連続的に計測されたデータを取得し、所定タイミング(1分ごとなど)における温度変化が0.02℃未満となった際に、温度が飽和したと判定する。この場合、演算サーバ100は、飽和したと判定したあとに、所定時間(例えば2分間)だけユーザの皮膚温度を計測し、その後、LEDセンサユニット30を駆動させるといった計測サイクルを実施する。
【0061】
上記処理について、
図11を用いて、より詳細に説明する。
図11は、第2の生体情報計測処理を説明するための図(2)である。
【0062】
図11では、計測デバイス10が1時29分15秒にLEDセンサユニット30をオフしたのち、1時32分45秒以降に、ユーザの皮膚温度が飽和状態になった例を示す。演算サーバ100は、かかる飽和状態が観測されたのちに計測されたユーザの皮膚温度を、適正値として採用する。ユーザの皮膚温度を取得すると、演算サーバ100もしくは計測デバイス10は、次の計測サイクルを実施する。すなわち、生体情報計測システム1は、次の計測サイクルを実施する。すなわち、生体情報計測システム1は、LEDセンサユニット30を駆動させ、ユーザの心拍数とSpO
2を計測する。
【0063】
上記のように、生体情報計測システム1は、必ずしも計測のサイクルを時間で固定せず、LEDセンサユニット30による温度変化の影響が消失したと想定されるタイミングで計測を行ってもよい。
【0064】
ユーザの個々の特性や体調によって、温度最低値(飽和値)への所要時間は一定でないことが想定される。このため、生体情報計測システム1は、計測ごとに飽和値を判定することで、より確実に温度の影響を排除したデータを取得することができる。なお、生体情報計測システム1は、所定期間(例えば7日間など)にわたり、当該ユーザの温度飽和値への到達所要時間を計測し、個々のユーザごとに最適なLEDセンサユニット30のオンオフ時間を学習してもよい。これにより、生体情報計測システム1は、ユーザの日々の体調変化などに柔軟に対応可能な計測を行うことができる。
【0065】
また、生体情報計測システム1は、計測された温度データに対して所定の演算(補正)を行い、その補正後のデータを採用してもよい。
図7および
図10で示したように、ある程度の期間にわたり計測を行った場合、LEDセンサユニット30を所定時間だけ駆動させると、ユーザの皮膚温度に対してどれくらい影響を与えるかといったデータが蓄積される。このため、演算サーバ100は、LEDセンサユニット30の駆動直後に計測された温度データであっても、後処理でLEDセンサユニット30による発熱分を差し引く演算を行うことで、適正値として取り扱いうる温度データを取得できる。具体的には、演算サーバ100は、LEDセンサユニット30による発熱要因の温度上昇分に対し、LEDセンサユニット30がオフされた後、降温して飽和した温度を最小値として、その温度上昇分と最小値の温度差を差し引く。かかる処理によれば、演算サーバ100は、計測の1サイクルのうち一部だけの温度データだけでなく、適正な温度データを連続的に取得することが可能となる。
【0066】
また、生体情報計測システム1は、所定期間にわたり計測データが蓄積された結果、例えば外気温が飽和状態に移行するまでの時間に影響を与えていると観測されるような時期には、LEDセンサユニット30をオフにする時間を長くするなどの調整を行ってもよい。また、生体情報計測システム1は、個々のユーザの体格や体温ごとのLEDセンサユニット30の駆動時間を学習し、その学習結果に基づいて、新規ユーザの駆動時間を自動的に設定する等の処理を行ってもよい。
【0067】
(2.実施形態の変形例)
上記実施形態では、生体情報計測システム1は、計測デバイス10と演算サーバ100とユーザ端末200とが協働して処理を実行する例を示した。しかし、生体情報計測システム1の構成はこれに限られない。例えば、計測デバイス10は、自装置のみで実施形態に係る生体情報計測処理(例えば、実施形態において演算サーバ100が実行する、計測データの選択処理や補正演算処理等)を実行してもよい。また、計測デバイス10は、自装置でLEDセンサユニット30の駆動のオンオフを制御してもよいし、演算サーバ100による遠隔制御によってLEDセンサユニット30の駆動のオンオフを制御してもよい。あるいは、ユーザが、ユーザ端末200にインストールされたアプリを用いて、計測デバイス10の駆動のオンオフの制御設定を行ってもよい。すなわち、実施形態で示した装置構成は一例であり、柔軟に変形可能である。
【0068】
また、実施形態では、生体情報計測システム1は、ユーザの生体情報として心拍数とSpO2と皮膚温度とを計測する例を示したが、生体情報はこれに限られない。すなわち、計測デバイス10のように、ユーザに装着するために小型化が要求され、複数のセンサが近接して配置されるような構成を有するデバイスにおいては、取得する生体情報の種類に依らず、本開示に係る生体情報計測を応用しうる。
【0069】
(3.その他の実施形態)
上述した実施形態に係る処理は、上記実施形態以外にも種々の異なる形態にて実施されてよい。
【0070】
例えば、上記実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られない。
【0071】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0072】
また、上述してきた実施形態及び変形例は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【0073】
また、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものでは無く、他の効果があってもよい。
【0074】
(4.本開示に係る生体情報計測装置および生体情報計測システムの効果)
上述してきたように、本開示に係る生体情報計測装置(実施形態では計測デバイス10)は、皮膚温度を計測する温度センサ(実施形態では第1温度センサ20)は、バイタルデータを計測するLEDセンサ(実施形態ではLEDセンサユニット30)と、温度センサおよびLEDセンサを用いてユーザの情報を計測する制御部(実施形態では制御部13)とを備える。温度センサおよびLEDセンサは、生体情報計測装置を装着するユーザの体表に接する、当該生体情報計測装置の同一面に配置される。制御部は、温度センサを用いてユーザの皮膚温度を連続的に計測するとともに、LEDセンサを間欠的に動作させユーザのバイタルデータを計測する。例えば、LEDセンサは、生体情報計測装置において温度センサの中心からの平面距離が30ミリメートル以内に含まれるよう配置される。
【0075】
このように、本開示に係る生体情報計測装置は、LEDセンサを間欠的に動作させ、その駆動により発生する温度上昇の影響を排除して温度計測を行うので、複数のセンサを近接させて配置させた場合でも、計測するデータへの影響を与えないようにできる。
【0076】
また、本開示に係る生体情報計測システム(実施形態では生体情報計測システム1)は、生体情報計測装置と演算装置(実施形態では演算サーバ100)とを含む。記演算装置は、生体情報計測装置によって計測されたユーザの情報を取得する取得部(実施形態では取得部131)と、ユーザの情報から演算に用いるデータを選択して演算をする(実施形態では演算部132)とを備える。
【0077】
演算部132は、演算に用いるデータとしてユーザの皮膚温度を選択する際には、LEDセンサの動作周期において当該LEDセンサが動作を停止する規定時間において計測された皮膚温度を選択する。これにより、生体情報計測システムは、LEDセンサの駆動の影響を受けていない、適正な皮膚温度を取得することができる。
【0078】
あるいは、演算部は、LEDセンサの動作周期において取得されたユーザの皮膚温度を、動作周期における当該LEDセンサの動作に基づく温度影響分で補正してもよい。これにより、生体情報計測システムは、計測の1サイクルのうち一部だけの温度データだけでなく、適正な温度データを連続的に取得することが可能となる。
【0079】
(5.ハードウェア構成)
上述してきた実施形態に係る演算サーバ100や計測デバイス10等の情報機器は、例えば
図12に示すような構成のコンピュータ1000によって実現される。以下、実施形態に係る演算サーバ100を例に挙げて説明する。
図12は、演算サーバ100の機能を実現するコンピュータ1000の一例を示すハードウェア構成図である。コンピュータ1000は、CPU1100、RAM1200、ROM(Read Only Memory)1300、HDD(Hard Disk Drive)1400、通信インターフェイス1500、及び入出力インターフェイス1600を有する。コンピュータ1000の各部は、バス1050によって接続される。
【0080】
CPU1100は、ROM1300又はHDD1400に格納されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。例えば、CPU1100は、ROM1300又はHDD1400に格納されたプログラムをRAM1200に展開し、各種プログラムに対応した処理を実行する。
【0081】
ROM1300は、コンピュータ1000の起動時にCPU1100によって実行されるBIOS(Basic Input Output System)等のブートプログラムや、コンピュータ1000のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。
【0082】
HDD1400は、CPU1100によって実行されるプログラム、及び、かかるプログラムによって使用されるデータ等を非一時的に記録する、コンピュータが読み取り可能な記録媒体である。具体的には、HDD1400は、プログラムデータ1450の一例である本開示に係る生体情報計測処理を実行するプログラムを記録する記録媒体である。
【0083】
通信インターフェイス1500は、コンピュータ1000が外部ネットワーク1550(例えばインターネット)と接続するためのインターフェイスである。例えば、CPU1100は、通信インターフェイス1500を介して、他の機器からデータを受信したり、CPU1100が生成したデータを他の機器へ送信したりする。
【0084】
入出力インターフェイス1600は、入出力デバイス1650とコンピュータ1000とを接続するためのインターフェイスである。例えば、CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、キーボードやマウス等の入力デバイスからデータを受信する。また、CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、ディスプレイやスピーカーやプリンタ等の出力デバイスにデータを送信する。また、入出力インターフェイス1600は、所定の記録媒体(メディア)に記録されたプログラム等を読み取るメディアインターフェイスとして機能してもよい。メディアとは、例えばDVD(Digital Versatile Disc)、PD(Phase change rewritable Disk)等の光学記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、または半導体メモリ等である。
【0085】
例えば、コンピュータ1000が実施形態に係る演算サーバ100として機能する場合、コンピュータ1000のCPU1100は、RAM1200上にロードされた生体情報計測処理プログラムを実行することにより、制御部130等の機能を実現する。また、HDD1400には、本開示に係る生体情報計測処理を実行するプログラムや、記憶部120内のデータが格納される。なお、CPU1100は、プログラムデータ1450をHDD1400から読み取って実行するが、他の例として、外部ネットワーク1550を介して、他の装置からこれらのプログラムを取得してもよい。
【0086】
以上、本願の実施形態を図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【符号の説明】
【0087】
1 生体情報計測システム
10 計測デバイス10
15 制御部
20 第1温度センサ
30 LEDセンサユニット
40 第2温度センサ
100 演算サーバ
110 通信部
120 記憶部
130 制御部
131 取得部
132 演算部
133 出力部
200 ユーザ端末