(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106107
(43)【公開日】2024-08-07
(54)【発明の名称】車両制御装置、車両制御用コンピュータプログラム及び車両制御方法
(51)【国際特許分類】
B60W 30/08 20120101AFI20240731BHJP
B60W 30/182 20200101ALI20240731BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20240731BHJP
B60R 21/0136 20060101ALI20240731BHJP
B60R 21/38 20110101ALI20240731BHJP
【FI】
B60W30/08
B60W30/182
G08G1/16 C
B60R21/0136
B60R21/38 310
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023010222
(22)【出願日】2023-01-26
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100133835
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 努
(74)【代理人】
【識別番号】100135976
【弁理士】
【氏名又は名称】宮本 哲夫
(72)【発明者】
【氏名】川島 渉
【テーマコード(参考)】
3D241
5H181
【Fターム(参考)】
3D241BA26
3D241BA31
3D241BB58
5H181AA01
5H181BB20
5H181CC11
5H181FF22
5H181FF27
5H181FF33
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL04
5H181LL09
(57)【要約】
【課題】車両に発生した衝突音に基づいて車両が小さい他物体と衝突したことを検知可能であり、ドライバが車両と物体との衝突に対して対応可能な車両制御装置を提供する。
【解決手段】車両制御装置は、音センサから取得された音信号に基づいて、車両と物体との衝突により発生した衝突音を検知し、且つ、検知された衝突音の信頼度を求める音検知部と、音検知部によって求められた信頼度が、第1の基準値以上であるか否かを判定する第1判定部と、車両の運転モードが、ドライバの運転に関与する程度の低い第1運転モードであるか又は第1運転モードよりもドライバの運転に関与する程度の高い第2運転モードであるかを判定する第2判定部と、第1判定部によって信頼度が第1の基準値以上であると判定され且つ第2判定部によって車両の運転モードが第1運転モードであると判定された場合、車両の運転モードを第2運転モードに移行することを決定する決定部とを有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
音センサから取得された音信号に基づいて、車両と物体との衝突により発生した衝突音を検知し、且つ、検知された衝突音の信頼度を求める音検知部と、
前記音検知部によって求められた前記信頼度が、第1の基準値以上であるか否かを判定する第1判定部と、
車両の運転モードが、ドライバの運転に関与する程度の低い第1運転モードであるか、又は、前記第1運転モードよりもドライバの運転に関与する程度の高い第2運転モードであるかを判定する第2判定部と、
前記第1判定部によって前記信頼度が前記第1の基準値以上であると判定され、且つ、前記第2判定部によって前記車両の運転モードが前記第1運転モードであると判定された場合、前記車両の運転モードを前記第2運転モードに移行することを決定する決定部と、
を有する、ことを特徴とする車両制御装置。
【請求項2】
前記音検知部によって求められた前記信頼度が、前記第1の基準値よりも大きい第2の基準値以上であるか否かを判定する第3判定部を有し、
前記第1判定部によって前記信頼度が前記第1の基準値以上であると判定され、且つ、前記第2判定部によって前記車両の運転モードが前記第1運転モードであると判定され、且つ、前記第3判定部によって前記衝突音の信頼度が前記第2の基準値以上であると判定された場合、前記決定部は、更に、車両を減速させることを決定する、請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項3】
音センサから取得された前記音信号に基づいて、前記衝突音の大きさが第3の基準値以上であるか否かを判定する第4判定部を有し、
前記第1判定部によって前記信頼度が前記第1の基準値以上であると判定され、且つ、前記第2判定部によって前記車両の運転モードが前記第1運転モードであると判定され、且つ、前記第4判定部によって前記衝突音の大きさが前記第3の基準値以上であると判定された場合、前記決定部は、更に、エアバッグを展開することか、又は、フロントフードを停止位置から持ち上げ位置へ移動させることを決定する、請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項4】
音センサから取得された前記音信号に基づいて、前記衝突音の大きさが第4の基準値以下であるか否かを判定する第5判定部を有し、
前記第1判定部によって前記信頼度が前記第1の基準値以上であると判定され、且つ、前記第2判定部によって前記車両の運転モードが前記第1運転モードであると判定され、且つ、前記第5判定部によって前記衝突音の大きさが前記第4の基準値以下であると判定された場合、前記決定部は、前記車両の運転モードを前記第2運転モードに移行する、請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項5】
音センサから取得された音信号に基づいて、車両と物体との衝突により発生した衝突音を検知し、且つ、検知された衝突音の信頼度を求める音検知部と、
前記信頼度が第1の基準値以上であるか否かを判定する第1判定部と、
車両の運転モードが、ドライバの運転に関与する程度の低い第1運転モードであるか、又は、前記第1運転モードよりもドライバの運転に関与する程度の高い第2運転モードであるかを判定する第2判定部と、
前記信頼度が前記第1の基準値以上であると判定され、且つ、前記車両の運転モードが前記第1運転モードであると判定された場合、前記車両の運転モードを前記第2運転モードに移行することを決定する、
ことを含む処理をプロセッサに実行させる、ことを特徴とする車両制御用コンピュータプログラム。
【請求項6】
音センサから取得された音信号に基づいて、車両と物体との衝突により発生した衝突音を検知し、且つ、検知された衝突音の信頼度を求める音検知部と、
前記信頼度が第1の基準値以上であるか否かを判定する第1判定部と、
車両の運転モードが、ドライバの運転に関与する程度の低い第1運転モードであるか、又は、前記第1運転モードよりもドライバの運転に関与する程度の高い第2運転モードであるかを判定する第2判定部と、
前記信頼度が前記第1の基準値以上であると判定され、且つ、前記車両の運転モードが前記第1運転モードであると判定された場合、前記車両の運転モードを前記第2運転モードに移行することを決定する、
ことを音制御装置が実行する、ことを特徴とする車両制御用コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両制御装置、車両制御用コンピュータプログラム及び車両制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載された自動制御システムは、例えば、自動制御システムが主体となって車両を運転する自動運転モードと、ドライバが主体となって車両を運転する手動運転モードとを有する。自動運転モードでは、車両の走行に必要な運転動作の一部又は全てが自動で実行されるので、ドライバの運転に関与する度合いが低い。一方、手動運転モードでは、自動で実行される運転動作の種類が自動運転モードよりも少ないか又はゼロであるので、ドライバの運転に関与する度合いが高い。
【0003】
車両は物体と衝突したことを検知するセンサを有している。例えば、車両が物体と衝突したことを検知するセンサとして、圧力センサ及び加速度センサが用いられている(例えば、特許文献1参照)。圧力センサは、センサが配置された位置によっては、物体の車両への衝突を検知できない場合がある。また、加速度センサは、エアバッグを展開することが必要となる比較的大きな衝突の検知に用いられている。
【0004】
車両が小さい物体と衝突した場合には、圧力センサ又は加速度センサでは検知できないことがある。そこで、衝突音を検出することにより車両と小さい物体との衝突を検知することが行われている。衝突音は、例えば、機械学習した識別器を用いて検知することが行われている。識別器は、衝突音を検知すると、検知された音が衝突音であることの信頼度を出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
自動制御システムは、車両が物体と衝突したことを検知すると、車両を制動させて減速又は停止させる。
【0007】
車両が衝突する物体として、小石のような小さい物体も含まれる。このような小さい物体と車両との衝突を正確に検知するために、所定の基準値以上の信頼度で衝突音が検知された場合に、車両が物体と衝突したと判定することがある。
【0008】
また、車両が小石のような小さい物体と衝突した場合に、車両を減速又は停止させると、車両の安全の確保よりも、車両に後続する他車両の走行に与える影響の方が大きいことがある。従って、車両が物体と衝突したことに対する対応は、ドライバの判断に任せることが好ましいと考えられる。
【0009】
そこで、本開示は、車両に発生した衝突音に基づいて車両が小さい他物体と衝突したことを検知可能であると共に、ドライバが車両と物体との衝突に対して対応可能な車両制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)一の実施形態によれば、車両制御装置が提供される。この車両制御装置は、音センサから取得された音信号に基づいて、車両と物体との衝突により発生した衝突音を検知し、且つ、検知された衝突音の信頼度を求める音検知部と、音検知部によって求められた信頼度が、第1の基準値以上であるか否かを判定する第1判定部と、車両の運転モードが、ドライバの運転に関与する程度の低い第1運転モードであるか、又は、第1運転モードよりもドライバの運転に関与する程度の高い第2運転モードであるかを判定する第2判定部と、第1判定部によって信頼度が第1の基準値以上であると判定され、且つ、第2判定部によって車両の運転モードが第1運転モードであると判定された場合、車両の運転モードを第2運転モードに移行することを決定する決定部と、を有する、ことを特徴とする。
【0011】
(2)(1)の車両制御装置において、音検知部によって求められた信頼度が、第1の基準値よりも大きい第2の基準値以上であるか否かを判定する第3判定部を有し、第1判定部によって信頼度が第1の基準値以上であると判定され、且つ、第2判定部によって車両の運転モードが第1運転モードであると判定され、且つ、第3判定部によって衝突音の信頼度が第2の基準値以上であると判定された場合、決定部は、更に、車両を減速させることを決定することが好ましい。
【0012】
(3)(1)の車両制御装置において、音センサから取得された音信号に基づいて、衝突音の大きさが第3の基準値以上であるか否かを判定する第4判定部を有し、第1判定部によって信頼度が第1の基準値以上であると判定され、且つ、第2判定部によって車両の運転モードが第1運転モードであると判定され、且つ、第4判定部によって衝突音の大きさが第3の基準値以上であると判定された場合、決定部は、更に、エアバッグを展開することか、又は、フロントフードを停止位置から持ち上げ位置へ移動させることを決定することが好ましい。
【0013】
(4)(1)の車両制御装置において、音センサから取得された音信号に基づいて、衝突音の大きさが第4の基準値以下であるか否かを判定する第5判定部を有し、第1判定部によって信頼度が第1の基準値以上であると判定され、且つ、第2判定部によって車両の運転モードが第1運転モードであると判定され、且つ、第5判定部によって衝突音の大きさが第4の基準値以下であると判定された場合、決定部は、車両の運転モードを第2運転モードに移行することが好ましい。
【0014】
(5)他の一の実施形態によれば、車両制御装用コンピュータプログラムが提供される。この車両制御装用コンピュータプログラムは、音センサから取得された音信号に基づいて、車両と物体との衝突により発生した衝突音を検知し、且つ、検知された衝突音の信頼度を求める音検知部と、信頼度が第1の基準値以上であるか否かを判定する第1判定部と、車両の運転モードが、ドライバの運転に関与する程度の低い第1運転モードであるか、又は、第1運転モードよりもドライバの運転に関与する程度の高い第2運転モードであるかを判定する第2判定部と、信頼度が第1の基準値以上であると判定され、且つ、車両の運転モードが第1運転モードであると判定された場合、車両の運転モードを第2運転モードに移行することを決定する、ことを含む処理をプロセッサに実行させる、ことを特徴とする。
【0015】
(6)また他の実施形態によれば、車両制御方法が提供される。この車両制御方法は、音センサから取得された音信号に基づいて、車両と物体との衝突により発生した衝突音を検知し、且つ、検知された衝突音の信頼度を求める音検知部と、信頼度が第1の基準値以上であるか否かを判定する第1判定部と、車両の運転モードが、ドライバの運転に関与する程度の低い第1運転モードであるか、又は、第1運転モードよりもドライバの運転に関与する程度の高い第2運転モードであるかを判定する第2判定部と、信頼度が第1の基準値以上であると判定され、且つ、車両の運転モードが第1運転モードであると判定された場合、車両の運転モードを第2運転モードに移行することを決定する、ことを音制御装置が実行する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本開示に係る車両制御装置は、車両に発生した衝突音に基づいて車両が小さい物体と衝突したことも検知可能であると共に、衝突音を検知すると、ドライバの運転に関与する程度の高い運転モードに移行することにより、ドライバが車両と物体との衝突に対して対応できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本実施形態の自動制御装置の動作の概要を説明する図である。
【
図2】本実施形態の自動制御装置を含む自動制御システムが実装される車両の概略構成図である。
【
図3】本実施形態の自動制御装置の車両制御処理に関する動作フローチャートの一例である。
【
図4】第2実施形態の自動制御装置の車両制御処理に関する動作フローチャートの一例である。
【
図5】第3実施形態の自動制御装置の車両制御処理に関する動作フローチャートの一例である。
【
図6】第4実施形態の自動制御装置の車両制御処理に関する動作フローチャートの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本実施形態の自動御装置11の動作の概要を説明する図である。以下、
図1を参照しながら、本明細書に開示する自動御装置11の車両制御処理に関する動作の概要を説明する。
【0019】
車両10は、マイク2及び自動制御装置11を有する。自動制御装置11は、ドライバの運転に関与する度合いの異なる2つの運転モードに応じて、車両10の動作を制御する。マイク2は、音センサの一例である。自動御装置11は、車両制御装置の一例である。車両10は、自動運転車両であってもよい。
【0020】
例えば、自動制御装置11は、ドライバの運転に関与する度合いの低い自動運転モード(例えば、レベル3~5の運転モード)と、ドライバの運転に関与する度合いの高い手動運転モード(例えば、レベル0~2の運転モード)とを有する。自動運転モードは、第1運転モードの一例である。手動運転モードは、第2運転モードの一例である。
【0021】
自動運転モードでは、自動制御装置11が主体となって車両10を運転する。また、手動運転モードでは、ドライバ(図示せず)が主体となって車両10を運転する。
図1に示す例では、車両10は、自動運転モードにおいて道路50を走行している。車両10の後ろには、他の車両60が走行している。
【0022】
マイク2は、車両10の外面に配置される。マイク2は、車両10の周囲の音を入力する。マイク2は、入力した音を音電気信号に変えて、自動御装置11へ出力する。
【0023】
図1に示す例では、車両10は、小石51と衝突する。マイク2は、この衝突により生じた衝突音を入力する。
【0024】
自動制御装置11は、マイク2から取得された音電気信号に基づいて、車両10と小石51との衝突により発生した衝突音を検知し、且つ、検知された衝突音の信頼度を求める。自動制御装置11は、信頼度が第1の基準値以上の場合、車両10が物体と衝突したと推定する。
【0025】
自動制御装置11は、信頼度が第1の基準値以上であり、且つ、車両10の運転モードが自動運転モードであるので、車両10の運転モードを手動運転モードに移行することを決定する。
【0026】
自動制御装置11は、車両10の運転モードを、自動運転モードから手動運転モードへ移行する。手動運転モードにおいて、ドライバは主体となって車両10を運転することを開始する。
【0027】
車両10が他の車両と衝突した場合には、車両10を減速又は停止させることが、車両10の安全を確保する観点から好ましいかもしれない。一方、車両10が小石51のような小さい物体と衝突した場合にも、車両10を減速又は停止させると、車両10の安全の確保よりも、車両10に後続する車両60の走行に与える影響の方が大きいことがある。
【0028】
そこで、自動制御装置11は、信頼度が第1の基準値以上である場合、車両10の運転を自動運転モードから手動運転モードへ移行する。手動運転モードでは、ドライバは、車両10及び周囲の状況を判断する。そして、ドライバは、自分の判断結果に基づいて車両10を運転する。
【0029】
図1に示す例では、ドライバは、車両10が小石のような小さな物体と衝突したと判定する。ドライバは、車両10を減速させることなく、車両10の運転を続ける。車両10に後続する車両60も、速度を落とすことなく走行を続けることができる。
【0030】
以上説明したように、本実施形態の自動御装置11は、車両10に発生した衝突音に基づいて車両10が小さい他物体と衝突したことも検知可能であると共に、ドライバが車両10と物体との衝突に対して対応可能である。
【0031】
図2は、本実施形態の自動御装置11を含む車両制御システム1が実装される車両10の概略構成図である。車両10は、マイク2と、エアバッグ3と、フード駆動装置4と、ユーザインターフェース(UI)5等とを有する。車両制御システム1は、少なくとも、マイク2と、自動御装置11とを含む。
【0032】
マイク2と、エアバッグ3と、フード駆動装置4と、UI5と、自動御装置11とは、コントローラエリアネットワークといった規格に準拠した車内ネットワーク13を介して通信可能に接続される。
【0033】
マイク2は、音センサの一例である。マイク2は、車両10の外の音を入力可能に、例えば、車両10の外面に配置される。また、マイク2は、物体が車両10と衝突した時に生じる衝突音を入力する。衝突音としては、例えば、車両10と小石等の小さい物体との衝突音、車両10と他車両等の移動物体との衝突音、車両10とガードレール等の静止物体との衝突音がある。
【0034】
マイク2は、入力した音を音電気信号に変えて、この音電気信号を車内ネットワーク13を介して自動御装置11へ出力する。
図2に示す例では、マイク2は、1つしか示されていないが、複数のマイクが車両10に配置されていてもよい。
【0035】
エアバッグ3は、自動御装置11に制御されて展開することにより、ドライバ等の搭乗者の安全を確保する。エアバッグ3は、車両10の運転席に配置される。
図2に示す例では、エアバッグ3は、1つしか示されていないが、助手席又は後部座席にもエアバッグが配置されていてもよい。
【0036】
フード駆動装置4は、自動御装置11に制御されて、車両10のフロントフード(図示せず)を駆動する。フロントフードは、通常、車両10の前方側から車室側に向かって、エンジン又はモータが配置される駆動室を覆っている。この時、フロントフードの車室側の端部は、停止位置に位置している。フード駆動装置4は、フロントフードの車室側の部分を停止位置から持ち上げ位置を上方へ移動させることにより、フロントフードと、駆動室との間に空間を生成する。これにより、フロントフードがエンジン室側に向かって変形可能となる。車両10と衝突した歩行者は、その頭部がフロントフードに打ち付けられても、フロントフードが駆動室側に向かって変形することにより、頭部の受ける衝撃が緩和される。
【0037】
UI5は、通知部の一例である。UI5は、自動御装置11等に制御されて、車両10に関する動作情報等をドライバへ通知する。車両10に関する動作情報は、車両10の走行情報、及び、車両10の運転モードを自動運転モードから手動運転モードへ移行することを要求する移行要求等を含む。UI5は、動作情報等を表示するために、液晶ディスプレイ又はタッチパネル等の表示装置5aを有する。また、UI5は、動作情報等をドライバへ通知するための音響出力装置(図示せず)を有していてもよい。UI5は、ドライバから車両10への操作情報を入力する入力装置として、例えば、タッチパネル又は操作ボタンを有する。操作情報として、例えば、目的位置、経由地、車両の速度、及び、運転モードの移行要求等が挙げられる。UI5は、入力された操作情報を、車内ネットワーク13を介して、自動御装置11等へ出力する。
【0038】
自動御装置11は、制御処理と、音検知処理と、判定処理と、決定処理とを実行する。そのために、自動御装置11は、通信インターフェース(IF)21と、メモリ22と、プロセッサ23とを有する。通信IF21と、メモリ22と、プロセッサ23とは、信号線24を介して接続されている。通信IF21は、自動御装置11を車内ネットワーク13に接続するためのインターフェース回路を有する。
【0039】
メモリ22は、記憶部の一例であり、例えば、揮発性の半導体メモリ及び不揮発性の半導体メモリを有する。そしてメモリ22は、プロセッサ23により実行される情報処理において使用されるアプリケーションのコンピュータプログラム及び各種のデータを記憶する。
【0040】
自動御装置11が有する機能の全て又は一部は、例えば、プロセッサ23上で動作するコンピュータプログラムにより実現される機能モジュールである。プロセッサ23は、制御部231と、音検知部232と、判定部233と、決定部234とを有する。あるいは、プロセッサ23が有する機能モジュールは、プロセッサ23に設けられる、専用の演算回路であってもよい。プロセッサ23は、1個又は複数個のCPU(Central Processing Unit)及びその周辺回路を有する。プロセッサ23は、論理演算ユニット、数値演算ユニットあるいはグラフィック処理ユニットといった他の演算回路を更に有していてもよい。
【0041】
制御部231は、車両10の走行を含む動作を制御する。制御部231は、ドライバの運転に関与する度合いの異なる2つの運転モードを有する。制御部231は、運転モードに応じて、車両10の動作を制御する。
【0042】
例えば、制御部231は、ドライバの運転に関与する度合いの低い自動運転モード(例えば、レベル3~5の運転モード)と、ドライバの運転に関与する度合いの高い手動運転モード(例えば、レベル0~2の運転モード)とを有する。自動運転モードでは、自動制御装置11が主体となって車両10を運転する。また、手動運転モードでは、ドライバが主体となって車両10を運転する。制御部231は、現在の運転モードを表すモード情報を、判定部233へ通知する。
【0043】
また、ドライバの運転に関与する度合いの低い運転モードは、車両10の走行に必要な運転動作の一部又は全てを自動で実行され、ドライバの運転に関与する度合いの高い運転モードは、自動で実行される運転動作の種類が、ドライバの運転に関与する度合いの低い運転モードよりも少ないか又はゼロであってもよい。
【0044】
自動運転モードでは、制御部231は、地図情報と、車両10に搭載されたセンサ(図示せず)の検知情報等とに基づいて、操舵、駆動、制動等の動作を制御する運転計画を生成する。制御部231は、この運転計画に基づいた自動制御信号を、車内ネットワーク13を介して、操舵輪を制御するアクチュエータ(図示せず)、駆動装置(図示せず)又はブレーキ(図示せず)へ出力する。
【0045】
また、手動運転モードでは、制御部231は、ドライバの操作に基づいて、操舵、駆動、制動等の車両10の動作を制御する手動制御信号を生成して、この手動制御信号を、車内ネットワーク13を介して、操舵輪を駆動するアクチュエータ、駆動装置又はブレーキへ出力する。
【0046】
制御部231は、自動運転モードが許容される領域(例えば、車両10を制御するための高精度地図が用意された領域)では、自動運転モードで車両10を運転可能である。制御部231は、自動運転モードが許容されない領域では、手動運転モードで車両10を制御する。また、制御部231は、ドライバの要求に応じて、自動運転モードから手動運転モードへ、又は、手動運転モードから自動運転モードへ移行する。また、制御部231は、自動運転モードにおいて車両10の安全な運転を行えないと判定した場合、自動運転モードから手動運転モードへ移行する。
【0047】
自動御装置11は、例えば、電子制御装置(Electronic Contorol Unit:ECU)である。
図2では、自動制御装置11は、制御部231と、音検知部232と、判定部233と、決定部234とは一つの装置として構成されていたが、制御部231と、音検知部232、判定部233及び決定部234とは、別の装置として構成されていてもよい。
【0048】
図3は、本実施形態の自動御装置11の車両制御処理に関する動作フローチャートの一例である。次に、
図3を参照しながら、自動御装置11の車両制御処理について、以下に説明する。自動御装置11は、所定の周期を有する車両制御時刻に、
図3に示される動作フローチャートに従って車両制御処理を実行する。
【0049】
まず、音検知部232は、マイク2から取得された音電気信号に基づいて、車両10と物体との衝突により発生した衝突音を検知し、且つ、検知された衝突音の信頼度を求める(ステップS101)。衝突エネルギーは音に変換されることにより、車両10が小さい物体と衝突した場合でも比較的大きな衝突音が発生するので、圧力センサ及び加速度センサよりも、車両10と小さい物体との衝突を検知する感度が高い。
【0050】
音検知部232は、音電気信号に基づいて衝突音を識別するように学習した識別器を有する。識別器として、例えば、音電気信号から、衝突音を表す電気信号を検出するように予め学習されたコンボリューショナルニューラルネットワーク(CNN)又は再帰ニューラルネットワーク(RNN)を用いることができる。音検知部232は、マイク2から取得された音電気信号を、衝突音を表す電気信号を識別するように学習した識別器に入力することにより、音電気信号に含まれる衝突音を表す電気信号を検知し、且つ、検知された衝突音の信頼度を出力する。信頼度は、例えば、0~1の間の実数で表される。数値が1に近い程、音電気信号に衝突音を表す電気信号が含まれることの信頼度が高い。
【0051】
識別器は、様々な種類の衝突音を含む教師データを用いて学習していることが好ましい。また、この教師データは、様々な種類の周波数及び波形の衝突音を含んでいることが好ましい。更に、この教師データは、様々な大きさの異なる衝突音を含んでいることが好ましい。なお、衝突音の信頼度を求める方法は、上述した識別器に限定されない。衝突音の信頼度を求める方法として、他の公知の技術を用いてもよい。
【0052】
次に、判定部233は、信頼度が第1の基準値以上であるか否かを判定する(ステップS102)。第1の基準値として、例えば、0.6~0.8とすることができる。自動制御装置11は、信頼度が第1の基準値以上の場合、車両10が物体と衝突したと推定する。判定部233は、第1判定部の一例である。判定部233は、今回の車両制御時刻と、1つ前の車両制御時刻との間に求められた信頼度について判定するようにしてもよい。
【0053】
信頼度が第1の基準値以上である場合(ステップS102-Yes)、判定部233は、車両10の運転モードが、ドライバの運転に関与する程度の低い自動運転モードであるか、又は、自動運転モードよりもドライバの運転に関与する程度の高い手動運転モードであるかを判定する(ステップS103)。判定部233は、モード情報が自動運転モードを表す場合、車両10の運転モードは自動運転モードであると判定する。また、判定部233は、モード情報が手動運転モードを表す場合、車両10の運転モードは手動運転モードであると判定する。判定部233は、第2判定部の一例である。
【0054】
車両10の運転モードが自動運転モードである場合(ステップS103-自動運転モード)、決定部234は、車両10の運転モードを、自動運転モードから手動運転モードへ移行することを決定して(ステップS104)、一連の処理を終了する。
【0055】
決定部234は、車両10の運転モードを自動運転モードから手動運転モードへ移行することを要求する移行要求を、UI5を介してドライバへ通知する。ここで、決定部234は、車両10が物体と衝突したことを、移行要求と共に、UI5を介してドライバへ通知してもよい。
【0056】
制御部231は、ドライバによる移行要求を承認する承認動作を確認した後、手動運転モードを開始する。承認動作として、例えば、ステアリングホイール(図示せず)を把持した状態で、アクセルペダル(図示せず)又はブレーキペダル(図示せず)が操作されることが挙げられる。なお、所定の時間内に、ドライバによる移行要求を承認する承認動作が確認されない場合、制御部231は、車両10を停止させてもよい。
【0057】
ドライバは、手動運転モードでの車両10の運転を開始すると、車両10及び周囲の状況を判断する。ドライバは、車両10が小石51のような小さい物体と衝突したと判断した場合には、車両10を減速又は停止させることなく、車両10を走行させてもよい。車両10が小石51のような小さい物体と衝突した場合にも、車両10を減速又は停止させると、車両10の安全の確保よりも、車両10に後続する車両60の走行に与える影響の方が大きいことがある。
【0058】
一方、ドライバは、車両10が、小石等よりも大きな物体と衝突したと判断した場合には、車両10を減速又は停止させることが好ましい。例えば、ドライバは、車両10を停止して、車両10及び車両10の周囲の安全を確認することが好ましい。
【0059】
車両10が衝突する物体には様々なものがあり得る。そこで、自動御装置11は、車両10が物体と衝突したと判定した場合、車両10の運転の主体をドライバへ移行して、ドライバにより状況を判断してもらう。
【0060】
また、信頼度が第1の基準値以上ではない場合(ステップS102-No)、又は、車両10の運転モードが手動運転モードである場合(ステップS103-手動運転モード)、一連の処理を終了する。信頼度が第1の基準値以上ではない場合には、車両10は物体と衝突していないと推定される。また、車両10の運転モードが手動運転モードである場合には、ドライバは、車両10及び周囲の状況を判断する。
【0061】
以上説明したように、本実施形態の自動御装置は、車両に発生した衝突音に基づいて車両が小さい物体と衝突したことも検知可能であると共に、ドライバが車両と物体との衝突に対して対応可能である。
【0062】
次に、本明細書に開示する第2~第4実施形態の自動御装置の動作について、
図4~
図6を参照して以下に説明する。
【0063】
図4は、第2実施形態の自動制御装置の車両制御処理に関する動作フローチャートの一例である。次に、
図4を参照しながら、自動御装置11の車両制御処理について、以下に説明する。自動御装置11は、所定の周期を有する車両制御時刻に、
図4に示される動作フローチャートに従って車両制御処理を実行する。
【0064】
本実施形態では、ステップS201~S204の処理は、上述したステップS101~S104と同じである。本実施形態では、ステップS205及びS206の処理が、第1実施形態の動作に追加されている。
【0065】
決定部234によって、車両10の運転モードを自動運転モードから手動運転モードへ移行することを決定された場合(ステップS204)、判定部233は、音検知部232により求められた信頼度が、第1の基準値よりも大きい第2の基準値以上であるか否かを判定する(ステップS205)。第2の基準値として、例えば、0.8~0.9とすることができる。判定部233は、第3判定部の一例である。
【0066】
信頼度が第2の基準値以上である場合(ステップS205-Yes)、決定部234は、車両10を減速させることを決定して(ステップS206)、一連の処理を終了する。
【0067】
衝突音の大きさが大きい程、信頼度も大きくなる傾向がある。そのため、信頼度が大きい程、車両10と衝突した物体も大きいことが推定される。そこで、本実施形態では、信頼度が第2の基準値以上である場合、決定部234は、車両10を減速させることを決定する。これにより、車両10の安全を確保できる。
【0068】
決定部234は、車両10を減速させることを制御部231へ通知する。制御部231は、ブレーキを用いるか、又は、加速をやめて、車両10を減速させる。また、制御部231は、車両10停止させてもよい。
【0069】
一方、信頼度が第1の基準値以上ではない場合(ステップS202-No)、又は、車両10の運転モードが手動運転モードである場合(ステップS203-手動運転モード)、又は、信頼度が第2の基準値以上ではない場合(ステップS205-No)、一連の処理を終了する。
【0070】
以上説明したように、本実施形態の自動御装置は、信頼度が第2の基準値以上である場合、車両10を減速させることにより、車両10の安全を確保できる。また、本実施形態の自動御装置は、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0071】
図5は、第3実施形態の自動制御装置の車両制御処理に関する動作フローチャートの一例である。次に、
図5を参照しながら、自動御装置11の車両制御処理について、以下に説明する。自動御装置11は、所定の周期を有する車両制御時刻に、
図5に示される動作フローチャートに従って車両制御処理を実行する。
【0072】
本実施形態では、ステップS301~S304の処理は、上述したステップS101~S104と同じである。本実施形態では、ステップS305及びS306の処理が、第1実施形態の動作に追加されている。
【0073】
決定部234によって、車両10の運転モードを自動運転モードから手動運転モードへ移行することを決定された場合(ステップS204)、判定部233は、マイク2から取得された音電気信号に基づいて、衝突音の大きさが第3の基準値以上であるか否かを判定する(ステップS305)。第3の基準値として、例えば、90デシベルとすることができる。音電気信号に基づいて、衝突音の大きさを求める方法としては、公知の技術を用いることができる。判定部233は、第4判定部の一例である。
【0074】
衝突音の大きさは、車両10と衝突した物体との相対速度と、物体の質量とに基づく。衝突音の大きさは、相対速度が大きい程大きくなる。また、衝突音の大きさは、物体の質量が大きい程大きくなる。
【0075】
衝突音の大きさが第3の基準値以上である場合(ステップS305-Yes)、決定部234は、エアバッグ3を展開することか、又は、フロントフードを停止位置から持ち上げ位置へ移動させることを決定して(ステップS306)、一連の処理を終了する。
【0076】
決定部234は、エアバッグ3を展開し、且つ、フロントフードを停止位置から持ち上げ位置へ移動させることを決定してもよい。
【0077】
衝突音の大きさが第3の基準値以上である場合、相対速度が大きいか、又は/及び、衝突した物体の質量が大きいと推定される。そこで、決定部234は、エアバッグ3を展開することにより、ドライバ等の搭乗者の安全を確保する。また、決定部234は、フロントフードを停止位置から持ち上げ位置へ移動させることにより、車両10と衝突した歩行者等の安全を確保する。
【0078】
エアバッグ3を展開することが決定された場合、決定部234は、エアバッグ3を展開させる展開信号を、車内ネットワーク13を介してエアバッグ3へ出力する。
【0079】
また、フロントフードを停止位置から持ち上げ位置へ移動させることが決定された場合、決定部234は、フードを駆動させる駆動信号を、車内ネットワーク13を介してフード駆動装置4へ出力する。
【0080】
一方、信頼度が第1の基準値以上ではない場合(ステップS302-No)、又は、車両10の運転モードが手動運転モードである場合(ステップS303-手動運転モード)、又は、衝突音の大きさが第3の基準値以上ではない場合(ステップS305-No)、一連の処理を終了する。
【0081】
以上説明したように、本実施形態の自動御装置は、衝突音の大きさが第3の基準値以上である場合、エアバッグを展開することか、又は、フロントフードを停止位置から持ち上げ位置へ移動させる。これにより、車両の搭乗者、又は、車両と衝突した歩行者等の安全を確保できる。また、本実施形態の自動御装置は、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0082】
図6は、第4実施形態の自動制御装置の車両制御処理に関する動作フローチャートの一例である。次に、
図6を参照しながら、自動御装置11の車両制御処理について、以下に説明する。自動御装置11は、所定の周期を有する車両制御時刻に、
図6に示される動作フローチャートに従って車両制御処理を実行する。
【0083】
本実施形態では、ステップS401~S403及びS405の処理は、上述したステップS101~S104と同じである。本実施形態では、ステップS404の処理が、ステップS403とステップS405との間に追加に追加されている。
【0084】
車両10の運転モードが自動運転モードである場合(ステップS403-自動運転モード)、判定部233は、マイク2から取得された音電気信号に基づいて、衝突音の大きさが第4の基準値以下であるか否かを判定する(ステップS404)。
【0085】
信頼度が第1の基準値以上であり(ステップS402-Yes)、且つ、衝突音の大きさが第4の基準値以下である場合(ステップS404-Yes)、車両10は、小石のような小さい物体と衝突したと推定される。第4の基準値として、小石のような小さい物体が車両10と衝突した時に生じる衝突音の大きさとすることができる。第4の基準値として、例えば、50~60デシベルとすることができる。
【0086】
衝突音の大きさが第4の基準値以下である場合(ステップS404-Yes)、決定部234は、車両10の運転モードを、自動運転モードから手動運転モードへ移行することを決定して(ステップS104)、一連の処理を終了する。
【0087】
車両10が小石のような小さい物体と衝突したと推定される場合には、車両10の運転の主体をドライバへ移行して、ドライバにより状況を判断してもらう。車両10が小石51のような小さい物体と衝突した場合にも、車両10を減速又は停止させると、車両10の安全の確保よりも、車両10に後続する車両60の走行に与える影響の方が大きいことがある。
【0088】
一方、信頼度が第1の基準値以上ではない場合(ステップS202-No)、又は、車両10の運転モードが手動運転モードである場合(ステップS203-手動運転モード)、又は、衝突音の大きさが第4の基準値以下ではない場合(ステップS404-No)、一連の処理を終了する。
【0089】
ここで、衝突音の大きさが第4の基準値以下ではない場合(ステップS404-No)、車両10の運転モードは、自動運転モードのままとなる。制御部231は、信頼度が第1の基準値以上であるので(ステップS402-Yes)、車両10が物体と衝突したと判定して、車両10を減速又は停止するように運転してもよい。
【0090】
以上説明したように、本実施形態の自動御装置は、衝突音の大きさが第4の基準値以下である場合、ドライバが車両と物体との衝突に対して対応可能とする。これにより、車両10が小石のような小さい物体と衝突した場合には、ドライバの判断により車両が適切に運転される。また、本実施形態の自動御装置は、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0091】
本開示では、上述した実施形態の車両制御装置、車両制御用コンピュータプログラム及び車両制御方法は、本開示の趣旨を逸脱しない限り適宜変更が可能である。また、本開示の技術範囲はそれらの実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶものである。また、一の実施形態で説明された内容は、他の実施形態にも適宜適用される。
【0092】
例えば、上述した実施形態では、1つのマイクと、1つのエアバッグとが車両に配置されていた。ここで、車両の左右のそれぞれにマイクを配置し、車両の車室内において運転席及び助手席のそれぞれにエアバッグを配置してもよい。上述した第3実施形態において、エアバッグを展開させることを決定した場合、第3基準値以上の大きさの衝突音を入力したマイクと同じ側のエアバッグを展開するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0093】
1 車両制御システム
2 マイク
3 エアバッグ
4 フード駆動装置
5 ユーザインターフェース
5a 表示装置
10 車両
11 自動制御装置
21 通信インターフェース
22 メモリ
23 プロセッサ
231 制御部
232 音検知部
233 判定部
234 決定部
24 信号線
13 車内ネットワーク