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特開2024-106109キャッピング装置及びキャッピング方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106109
(43)【公開日】2024-08-07
(54)【発明の名称】キャッピング装置及びキャッピング方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 41/34 20060101AFI20240731BHJP
【FI】
B65D41/34 116
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023010224
(22)【出願日】2023-01-26
(71)【出願人】
【識別番号】000228442
【氏名又は名称】日本クロージャー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100153497
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 信男
(74)【代理人】
【識別番号】100138254
【弁理士】
【氏名又は名称】澤井 容子
(72)【発明者】
【氏名】丸山 有友
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA04
3E084AA12
3E084BA01
3E084CA01
3E084CC03
3E084DA01
3E084DB02
3E084FA09
3E084FB01
3E084GA01
3E084GB01
3E084HB02
3E084HD04
3E084KA13
3E084LA17
3E084LB02
3E084LB07
3E084LD01
(57)【要約】
【課題】簡単な構成で、容器口部への装着時にブリッジに大きな負荷を与えることがなく、製造コストの増加を抑制でき、開栓時の回転トルクの増加を抑制可能なスクリューキャップを提供すること。
【解決手段】容器Bにスクリューキャップ100を装着するキャップ装着ユニット210と、キャップ装着ユニット210で容器Bに装着したスクリューキャップ100のTEバンド120に追加工を施すバンド加工ユニット220とを有するキャッピング装置200であって、キャップ装着ユニット210は、スクリューキャップ100を自転可能に保持するキャップ保持部211と、容器Bを保持する容器保持部212とを有し、バンド加工ユニット220は、TEバンド120の複数箇所を半径方向外方から半径方向内方へ押圧変形する押圧変形部材Tを有すること。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の口部にTEバンドが設けられたスクリューキャップを装着するキャップ装着ユニットと、TEバンドに追加工を施すバンド加工ユニットとを有するキャッピング装置であって、
前記キャップ装着ユニットは、スクリューキャップを自転可能に保持するキャップ保持部と、容器を保持する容器保持部とを有し、
前記バンド加工ユニットは、TEバンドの複数箇所を半径方向外方から半径方向内方へ押圧変形する凸部が設けられた押圧変形部材を有することを特徴とするキャッピング装置。
【請求項2】
前記押圧変形部材は、加熱可能であることを特徴とする請求項1に記載のキャッピング装置。
【請求項3】
前記押圧変形部材の前記凸部は、TEバンドに接触する箇所の最上端部が、上に凸の弧状に形成され、上端から下端に徐々に幅広に形成されており、TEバンドの下端まで押圧変形可能に備えられていることを特徴とする請求項1に記載のキャッピング装置。
【請求項4】
前記押圧変形部材の凸部は、軸方向にみてそれぞれ同一の高さで形成されていることを特徴とする請求項1に記載のキャッピング装置。
【請求項5】
前記押圧変形部材の凸部は、TEバンドの上端に設けられた複数のブリッジのうちの一部の直下を押圧することを特徴とする請求項2に記載のキャッピング装置。
【請求項6】
前記バンド加工ユニットは、容器に装着されたスクリューキャップ又はスクリューキャップ単体を保持し搬送可能な保持搬送部をさらに有し、
前記押圧変形部材は、前記保持搬送部に保持された状態で移動する容器に装着されたスクリューキャップ又はスクリューキャップ単体の側方からTEバンドを押圧変形することを特徴とする請求項1に記載のキャッピング装置。
【請求項7】
前記保持搬送部は、容器に装着されたスクリューキャップ又はスクリューキャップ単体を自転可能に保持し、
前記押圧変形部材は、前記保持搬送部で保持した状態で自転可能に移動する容器に装着されたスクリューキャップ又はスクリューキャップ単体の側方からTEバンドを押圧変形することを特徴とする請求項6に記載のキャッピング装置。
【請求項8】
容器の口部にTEバンドが設けられたスクリューキャップを装着するキャップ装着手段と、TEバンドに追加工を施すバンド加工手段とを有するキャッピング方法であって、
前記キャップ装着手段は、スクリューキャップを自転可能に保持するキャップ保持手段と、容器を保持する容器保持手段とを有し、
前記バンド加工手段は、TEバンドの複数箇所を半径方向外方から半径方向内方へ押圧変形する押圧変形手段を有し、
前記押圧変形手段は、前記キャップ装着手段で容器の口部に装着したスクリューキャップのTEバンドを押圧変形することを特徴とするキャッピング方法。
【請求項9】
前記押圧変形手段は、加熱された状態でTEバンドを押圧変形することを特徴とする請求項8に記載のキャッピング方法。
【請求項10】
前記バンド加工手段は、容器に装着されたスクリューキャップ又はスクリューキャップ単体を搬送可能な保持搬送手段をさらに有し、
前記押圧変形手段は、前記保持搬送手段に保持された状態で移動する容器に装着されたスクリューキャップ又はスクリューキャップ単体の側方からTEバンドを押圧変形することを特徴とする請求項8に記載のキャッピング方法。
【請求項11】
前記保持搬送手段は、容器に装着されたスクリューキャップ又はスクリューキャップ単体を自転可能に保持し、
前記押圧変形手段は、前記保持搬送手段で保持した状態で自転可能に移動する容器に装着されたスクリューキャップ又はスクリューキャップ単体の側方からTEバンドを押圧変形することを特徴とする請求項10に記載のキャッピング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、TEバンドを有したスクリューキャップを容器の口部に装着するキャッピング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、キャッピング装置によって容器の口部(容器の口頸部40)に装着されるスクリューキャップ(容器蓋2)として、キャップ本体と、キャップ本体の下部に接続されたTEバンド(タンパーエビデント裾部20)とを有するスクリューキャップ(容器蓋2)が特許文献1で公知である。
【0003】
特許文献1で公知のスクリューキャップ(容器蓋2)は、キャップ天面(天面壁4)と、キャップ天面(天面壁4)の外周縁から垂下するスカート壁(6)と、スカート壁(6)の内周面に形成されたキャップ側ネジ部(雌螺条28)とを有し、TEバンド(タンパーエビデント裾部20)は、円筒状に形成されたバンド本体と、バンド本体の上端をスカート壁(6)の下端に接続するブリッジと、バンド本体の内周面から半径方向内方に突出する係止手段30とを有しており、キャップ装着手段であるキャップ装着ユニットの容器保持部に保持された容器の口部(容器の口頸部40)に形成された容器側ネジ部と、キャップ保持手段で回転可能に保持されたスクリューキャップ(容器蓋2)のキャップ側ネジ部(雌螺条28)とを相対回転させてねじ係合することで、容器を密封するものである。
容器の口部(容器の口頸部40)のキャップ側ネジ部(雌螺条28)の下方には、半径方向外方に突出形成されたカブラ(係止あご部44)が設けられており、スクリューキャップ(容器蓋2)を容器の口部(容器の口頸部40)にキャップ装着ユニットによって装着する際、TEバンド(タンパーエビデント裾部20)の係止手段30である突起32がTEバンド(タンパーエビデント裾部20)を拡径する方向に弾性変形させながらカブラ(係止あご部44)を乗り越えた後、カブラ(係止あご部44)の下方に係止手段30である突起32が到達する位置で容器はスクリューキャップ(容器蓋2)によって密封されるものである。
【0004】
容器開栓時は、スクリューキャップ(容器蓋2)を回転させることでキャップ側ネジ部(雌螺条28)と容器側ネジ部との係合に沿ってスクリューキャップ(容器蓋2)は容器から離脱する方向へ移動(上昇)し、やがてキャップ側ネジ部(雌螺条28)と容器側ネジ部とのネジ係合を解除することで開栓できるが、このとき、TEバンド(タンパーエビデント裾部20)はカブラ(係止あご部44)に係止手段30である突起32が干渉するためキャップ本体と共に上昇できず、やがてブリッジが破断することでキャップ本体からTEバンド(タンパーエビデント裾部20)が分離して容器の口部(容器の口頸部40)に残るものである。
【0005】
また、特許文献2で公知のスクリューキャップ(容器蓋10)は、係止手段以外のスクリューキャップ(容器蓋10)全体を成形した後、TEバンド(タンパーエビデントバンド16)の側面から加熱した押圧変形手段である押圧変形部材(パンチ50)を押し当てることで係止手段19を形成するものであり、これによって、予め係止手段19を含めたスクリューキャップ(容器蓋10)全体を射出成形する場合に比べてTEバンド(タンパーエビデントバンド16)を薄肉成形することができ、スクリューキャップ(容器蓋10)の成形に必要な樹脂の使用量を軽減することができるものである。
【0006】
また、特許文献3で公知のスクリューキャップ(密封蓋)は、係止手段が形成されていないスクリューキャップ(密封蓋)をキャップ保持手段であるキャップ保持部で回転可能に保持し、容器保持手段である容器保持部で保持した容器の口部(容器の頸部1)に装着した後、TEバンド(帯5)を全周にわたって押圧変形手段である押圧変形部材(圧接ローラ15)で容器の口部(容器の頸部1)に密着するように押圧変形させるものであり、これによって、TEバンド(帯5)の下端部を容器側ネジ部(ねじ部分2)の下方へ潜り込ませて係止手段とすることができるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2013-126881号公報
【特許文献2】特開2008-239184号公報
【特許文献3】特開昭51-44087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、上記特許文献等で公知のスクリューキャップを装着するキャッピング装置には、未だ改善の余地があった。
すなわち、特許文献1および特許文献2で公知のスクリューキャップは、キャッピング時に係止手段を形成されたTEバンドがカブラを乗り越える際に、TEバンドを大きく拡径してしまうため、ブリッジの破断方向に大きな負荷がかかることがある。
これによって、キャッピング中にブリッジが破断してしまう虞があった。
【0009】
また、特許文献2で公知のスクリューキャップは、キャッピング前に係止手段を成形しているため特許文献1と同じくカブラを乗り越える際にブリッジの破断方向に大きな負荷がかかり、キャッピング中にブリッジが破断してしまう虞がある。
さらに、係止手段のみ別工程で成形し、かつ係止手段成形の為の設備(パンチ50とダイ55)が必要となるため、作業の手間がかかり、製造コストが増大してしまう虞があった。
【0010】
特許文献3で公知のスクリューキャップは、TEバンドを全周にわたって容器側ネジ部の下方に潜り込ませるように変形させるため、開栓時にスクリューキャップが回転する際、TEバンドが全周にわたって容器口部に密着しているため、接触面積が増加し、回転トルクが大きくなり、初動時及びブリッジを破断させるために必要な力が大きくなってしまい、開栓しにくくなる虞があった。
また、ブリッジが全周にわたって断続的に複数形成されている場合、それぞれのブリッジに開栓時の負荷が均一にかかるため、開栓に大きな力が必要になってしまい、開栓しにくくなる虞があった。
【0011】
本発明は、これらの問題点を解決するものであり、簡単な構成で、容器口部へのスクリューキャップ装着時にブリッジに大きな負荷を与えることがなく、製造コストの増加を抑制でき、開栓時の回転トルクの増加を抑制可能なスクリューキャップを装着するキャッピング装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のキャッピング装置は、容器の口部にTEバンドが設けられたスクリューキャップを装着するキャップ装着ユニットと、TEバンドに追加工を施すバンド加工ユニットとを有するキャッピング装置であって、前記キャップ装着ユニットは、スクリューキャップを自転可能に保持するキャップ保持部と、容器を保持する容器保持部とを有し、前記バンド加工ユニットは、TEバンドの複数箇所を半径方向外方から半径方向内方へ押圧変形する凸部が設けられた押圧変形部材を有することにより、前記課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係るキャッピング装置は、キャップ装着ユニットで容器に装着したスクリューキャップのTEバンドを、バンド加工ユニットの押圧変形部材で半径方向外方から半径方向内方へ押圧変形するため、バンド本体に、半径方向内方に突出するように形成した複数の係止部が形成され、バンド本体の厚みはほぼ変わらず係止部が形成された箇所のバンド本体の外周面には内径側に凹んだ形状が複数形成される。
これによって、カブラにTEバンドが干渉せずにキャッピングできるため、TEバンドが拡径せず、ブリッジにも負荷がかかることがなく、ブリッジの破断強度を低減することができ、より軽い力で開栓することができる。
また、TEバンド全体の拡径を抑制できるため、例えば、カブラの寸法公差が大きく、カブラの外径が、すっぽ抜けが発生してしまうほどの小さいものが混在する場合でも、係止部の内方への突出量を通常の係止手段よりも増加させることで、外径の小さなカブラに対しても十分に係止部が係止してすっぽ抜けを防止できる。
また、TEバンドに肉厚を持ったフックやフラップ等の係合部を形成する必要がなく、樹脂量の削減が可能である。
さらに、バンド本体のうち、係止部が形成されていない箇所は、容器の口部と接触していないため、例えば、キャッピング後にスクリューキャップと容器の口部との間を洗浄する場合、液体がTEバンドの内周面と容器口部との間に溜まることがなく、確実にスクリューキャップと容器口部との間の空間を洗い流すことができる。
【0014】
請求項2に記載の構成によれば、押圧変形部材は加熱可能であるため、加熱された状態でTEバンドを押圧変形できる。
これによって、TEバンドに押圧変形部材の熱を伝達させながら容易に変形することができ、スクリューキャップの係止部を効率的に形成できる。
請求項3に記載の構成によれば、押圧変形部材の凸部は、TEバンドに接触する箇所の最上端部が、上に凸の弧状に形成され、上端から下端に徐々に幅広に形成されており、TEバンドの下端まで押圧変形可能に備えられている。
これによって、TEバンドに接触する箇所の最上端部が、上に凸の弧状に形成され、上端から下端に徐々に幅広に形成されているため、押圧変形部材によって係止部は、上に凸の弧状に形成されるとともに上端から下端にかけてバンド本体の周方向に拡がるように形成される。
さらに、TEバンドの下方側が拡径しやすく、ブリッジに近いTEバンドの上方側が下方側に比べて拡径しにくくなり、係止部を形成したスクリューキャップをキャッピングする際、カブラを乗り越える際にTEバンドの変形をブリッジから遠い下方側で吸収させることができ、より一層ブリッジの破断を抑制できるとともに、キャップ成形時にブリッジ自体の破断強度を低減することもできる。
また、キャッピング後にTEバンドの外周面に治具を押し当てて係止部を形成する場合、TEバンドの加工代を確保できるため、所望の係止部の形状および変形量を得ることができる。また、TEバンドに押し当てた治具を若干下方に移動させながら半径方向外方へ移動することで、治具がTEバンドに引っかかることなく迅速且つ確実にTEバンドから離脱することができ、作業効率が向上する。
【0015】
請求項4の記載の構成によれば、押圧変形部材は、軸方向にみてそれぞれ同一の高さで形成されているため、TEバンドの係止部は同一の高さで形成される。開封時にTEバンドは斜めに上昇することなく、係止部がボトルカブラと均一に当接し係合することで、ブリッジを確実に破断してから開封することができる。
換言すれば、ブリッジを破断することなくTEバンドがキャップ本体と接続したまま容器から離脱(いわゆるすっぽ抜け)してしまうことを抑制できる。
請求項5に記載の構成によれば、押圧変形部材は、TEバンドの上端に設けられた複数のブリッジのうちの一部の直下を押圧するため、係止部の最上端は、一部のブリッジの直下に配置され、開栓時に係止部のそれぞれに最も近傍に形成されたブリッジに対して力が集中して破断し、その後係止部から離れた位置のブリッジに対して力が集中して順に破断する。
これによって、全てのブリッジに均一に力が加わる場合に比べて軽い力でブリッジを破断させて開栓することができる。
【0016】
請求項6に記載の構成によれば、バンド加工ユニットは、容器に装着されたスクリューキャップ又はスクリューキャップ単体を保持し搬送可能な保持搬送部をさらに有し、押圧変形部材は、保持搬送部に保持された状態で移動する容器に装着されたスクリューキャップ又はスクリューキャップ単体の側方からTEバンドを押圧変形するため、キャッピングした容器を次の工程へ搬送しながら内方変形部を形成することができ、工程の増加による生産速度の低下を抑制できる。
請求項7に記載の構成によれば、保持搬送部は、容器に装着されたスクリューキャップ又はスクリューキャップ単体を自転可能に保持し、押圧変形部材は、保持搬送部で保持した状態で自転可能に移動する容器に装着されたスクリューキャップ又はスクリューキャップ単体の側方からTEバンドを押圧変形するため、装置全体を稼働させるよりも簡易に押圧変形加工が可能となる。
また、容器に装着されたスクリューキャップ又はスクリューキャップ単体を移動させながら押圧変形加工が可能であるため、生産ラインへの組み込みも可能であり、生産時間をより一層短縮できる。
【0017】
請求項8に係るキャッピング方法は、容器の口部にTEバンドが設けられたスクリューキャップを装着するキャップ装着手段と、TEバンドに追加工を施すバンド加工手段とを有するキャッピング方法であって、キャップ装着手段は、スクリューキャップを自転可能に保持するキャップ保持手段を有し、容器を保持する容器保持手段とを有し、バンド加工手段は、TEバンドの複数箇所を半径方向外方から半径方向内方へ押圧変形する押圧変形手段を有し、キャップ装着手段で容器の口部に装着したスクリューキャップのTEバンドを押圧変形するため、キャップ成形時に係止部をすでに成形しているものとは異なり、カブラにTEバンドが干渉せずにキャッピングできるため、TEバンドが拡径せず、ブリッジに負荷がかかることがなく、ブリッジの破断強度を低減することができ、より軽い力で開栓することができる。
また、TEバンド全体の拡径を抑制できるため、例えば、カブラの寸法公差が大きく、カブラの外径が、すっぽ抜けが発生してしまうほどの小さいものが混在する場合でも、係止部の内方への突出量を通常の係止手段よりも増加させることで、外径の小さなカブラに対しても十分に係止部が係止してすっぽ抜けを防止できる。
また、TEバンドに肉厚を持った係合部を形成する必要がなく、樹脂量の削減が可能である。
さらに、バンド本体のうち、係止部が形成されていない箇所は、容器の口部と接触していないため、例えば、キャッピング後にスクリューキャップと容器の口部との間を洗浄する場合、液体がTEバンドの内周面と容器口部との間に溜まることがなく、確実にスクリューキャップと容器口部との間の空間を洗い流すことができる。
請求項9に記載の構成によれば、押圧変形手段は、加熱された状態でTEバンドを押圧変形するため、TEバンドに押圧変形手段から熱を伝達させながら容易に変形することができ、スクリューキャップの係止部を効率的に形成できる。
【0018】
請求項10に記載の構成によれば、バンド加工手段は、容器に装着されたスクリューキャップ又はスクリューキャップ単体を搬送可能な保持搬送手段をさらに有し、押圧変形手段は、保持搬送手段に保持された状態で移動する容器に装着されたスクリューキャップ又はスクリューキャップ単体の側方からTEバンドを押圧変形するため、キャッピングした容器を次の工程へ搬送しながら内方変形部を形成することができ、工程の増加による生産速度の低下を抑制できる。
請求項11に記載の構成によれば、保持搬送手段は、容器に装着されたスクリューキャップ又はスクリューキャップ単体を自転可能に保持し、押圧変形手段は、保持搬送手段で保持した状態で自転可能に移動する容器に装着されたスクリューキャップ又はスクリューキャップ単体の側方からTEバンドを押圧変形するため、装置全体を稼働させるよりも簡易に押圧変形加工が可能となる。
また、容器に装着されたスクリューキャップ又はスクリューキャップ単体を移動させながら押圧変形加工が可能であるため、生産ラインへの組み込みも可能であり、生産時間をより一層短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態に係るキャッピング装置200を示す全体模式図。
図2】本発明の一実施形態に係るキャッピング装置200で取り扱うスクリューキャップ100の、係止部が形成されていない状態を示す側面半断面図。
図3】本発明の一実施形態に係るキャッピング装置200による、キャッピング手順1を示す半断面図。
図4】本発明の一実施形態に係るキャッピング装置200による、キャッピング手順2を示す半断面図。
図5】本発明の一実施形態に係るキャッピング装置200による、キャッピング手順3を示す半断面図。
図6】本発明の一実施形態に係るキャッピング装置200による、係止部122の成形方法を示すA部拡大図。
図7】本発明の一実施形態に係るキャッピング装置200で取り扱ったスクリューキャップ100を装着した容器の、開栓手順1を示す半断面図。
図8】本発明の一実施形態に係るキャッピング装置200で取り扱ったスクリューキャップ100を装着した容器の、開栓手順2を示す半断面図。
図9】本発明の他の実施形態に係るキャッピング装置200のバンド加工ユニット220を示す上面模式図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明の一実施形態に係るキャッピング装置200について、図1乃至図9を用いて説明する。
なお、図1図3乃至図9において、キャッピング装置200の一部を図示していない。
【0021】
本発明の一実施形態に係るキャッピング装置200は、図1に示すように、後述するスクリューキャップ100を装着するキャップ装着ユニット210と、キャップ装着ユニットで容器の口部に装着したスクリューキャップに追加工を施すバンド加工ユニット220とを有している。
【0022】
キャップ装着ユニット210は、スクリューキャップ100を回転可能に保持するキャップ保持部211と、容器Bを保持する容器保持部212とを有しており、キャップ保持部211は、容器保持部212上へ移動可能且つ少なくとも容器保持部212上で昇降可能に構成されている。
【0023】
バンド加工ユニット220は、後述するバンド本体121を側方から押圧可能に構成された押圧変形部材Tと、押圧変形部材Tを進退移動する進退移動部材(図示しない)を有している。
【0024】
スクリューキャップ100は、図2に示すように、TEバンド120を有し、容器Bの口部Bmに装着されるものであり、キャップ本体110と、キャップ本体110の下部にブリッジ123を介して接続されたTEバンドとを有している。
【0025】
キャップ本体110は、キャップ天面111と、キャップ天面111の外周縁から垂下するスカート壁114とを有している。
キャップ天面111の下面には、下方に延びる環状のインナーリング112およびアウターリング113が形成されている。
スカート壁114の内周面には、断続的に隙間を設けて形成されたキャップ側ネジ部115が形成され、スカート壁114の外周面には、上下方向に延びるナール116が全周にわたって形成されている。
【0026】
TEバンド120は、筒状に形成されたバンド本体121と、バンド本体121の上部に断続的に複数設けられたブリッジ123とを有している。
【0027】
また、バンド本体121の厚みは、バンド本体121の内周面に係止部等の突起を有する形状に成形する場合に比べて薄く成形されている。
【0028】
容器Bの口部Bmは、円筒状に形成され、口部Bmの外周面には、断続的に隙間を設けて形成された容器側ネジ部Bsと、容器側ネジ部Bsよりも下方から半径方向外方に突出形成されたリング状のカブラBcとが設けられている。
【0029】
次に、本発明の一実施形態に係るキャッピング装置200による、スクリューキャップ100の、容器Bの口部Bmへのキャッピング手順について、図3乃至図6を用いて説明する。
【0030】
まず、容器Bを容器保持部212で保持して位置を固定し、キャップ保持部211でスクリューキャップ100を上方から保持する。
次に、容器保持部212で保持した容器Bの口部Bmの上方にスクリューキャップ100を保持したキャップ保持部211を移動した後、キャップ保持部211を下降させてスクリューキャップ100を口部Bmへ押圧しながら回転させる。
これによって、キャップ側ネジ部115と容器側ネジ部Bsとが噛み合うと、徐々にスクリューキャップ100は回転しながら容器B側に下降する。
【0031】
このとき、バンド本体121には係止部122がまだ形成されていないため、TEバンド120はカブラBcに干渉することなく通過できる。
これによって、バンド本体121がカブラBcによって拡径されることがなく、バンド本体121が拡径した際に生じるブリッジ123を破断する方向にかかる力が発生しないため、ブリッジ123の強度を低く設計することができ、さらに開栓時のブリッジ123を破断するために必要な力を軽くできる。
【0032】
キャップ保持部211によってスクリューキャップ100の回転を続けると、図4に示すように、口部Bmの先端がインナーリング112とアウターリング113との間に挟まれる位置でキャップ天面111と当接し、スクリューキャップ100の下降が止まる。
【0033】
次に、TEバンド120の係止部122の形成について、図5および図6を用いて説明する。
【0034】
スクリューキャップ100の下降が止まった後、キャップ保持部211はスクリューキャップ100から離脱する。
次に、バンド本体121の外周面を、加熱した押圧変形部材Tが側方から進出して押圧する。
押圧変形部材Tがバンド本体121を押圧する先端部Taは、上端部が上に凸の弧状に形成され、下方に向かうに従って幅広となる形状を有している。
【0035】
押圧変形部材Tは加熱されているため、バンド本体121の押圧変形部材Tで押圧した箇所が温められて柔らかくなり、図6に示すように、押圧変形部材Tの形状に沿ってバンド本体121が変形して口部Bmの外周面に押し付けられ、係止部122が形成される。
押圧変形部材Tがバンド本体121から離脱すると、係止部122は押圧変形部材Tに押圧された際の形状を維持したまま冷やされて形状が固定される。
これによって、TEバンド120は係止部122をカブラBcの下方且つ口部Bmに密着するように配置することができ、容器Bへのスクリューキャップ100のキャッピングが完了する。
【0036】
また、図9に示すような他の実施形態では、押圧変形部材Tは搬送路Rの側方に配置された全体が弧状の平板部材であり、内周側にはTEバンド120を押圧する複数の凸部である先端部Taが等間隔で形成されている。
先端部Taの軸方向の幅はTEバンド120と同等の幅を有しており、先端部Taの内周側の周方向の長さは、スクリューキャップ100の円周と同じか、やや長ければよい。
先端部Taの各々の上端部は、上に凸の弧状に形成され、下方に向かうに従って幅広となる形状を有している。
まず、キャップ装着ユニット210でスクリューキャップ100を装着された容器Bがバンド加工ユニット220へ搬送される。
このとき、押圧変形部材TとTEバンド120の高さが同一となるように搬送される。
スクリューキャップ100が装着された容器Bは、保持搬送部230によって自転しながら押圧変形部材Tの先端部TaとTEバンド120を次々に当接しながら搬送路R上を進み、次工程へ搬送される。
この際、スクリューキャップ100は押圧変形部材TにTEバンド120を押し付ける力が加わるような位置関係で搬送することで、効率的に係止部を形成できる。
なお、押圧変形部材Tをスクリューキャップ100側に押圧するように進退移動部材(図示しない)で進退移動させるように構成してもよい。
【0037】
なお、係止部122はTEバンド120の周方向に断続的に複数設けられているため、例えば、キャッピングしたスクリューキャップ100と口部Bmとの間に液体を通して洗浄する場合、液体がTEバンド120の内周面と口部Bmとの間に溜まることがなく、確実にスクリューキャップ100と口部Bmとの間の空間を洗い流すことができる。
また、係止部122は、バンド本体121の下端まで形成されているため、押圧変形部材Tをバンド本体121の下方側を越えて大きく形成することができ、加熱した押圧変形部材Tを極端に加熱しなくてもバンド本体121に係止部122を形成するのに十分な熱量を維持することができ、係止部122の成形不良や焦げ付きを防止できる。
さらに、進退移動部材(図示しない)が、押圧変形部材Tをバンド本体121の側方からの進退移動に加えて、上下方向にも移動可能に構成されていれば、バンド本体121から押圧変形部材Tを離脱させる際に、若干下方に移動させることができるため、押圧変形部材TがTEバンド120に引っかかることなく迅速且つ確実にTEバンド120から離脱することができ、作業効率が向上する。
【0038】
次に、本発明の一実施形態に係るスクリューキャップ100を装着した容器Bの開栓手順について、図7および図8を用いて説明する。
【0039】
まず、ナール116部分を指で掴んでスクリューキャップ100を開栓方向に回転させると、キャップ側ネジ部115と容器側ネジ部Bsとの係合に沿ってスクリューキャップ100が口部Bmから離脱する方向へ上昇を開始する。
キャップ本体110はスクリューキャップ100の回転に伴って上昇するが、TEバンド120はカブラBcの下方に係止部122が干渉するため、TEバンド120の上昇は制限される。
これによって、キャップ本体110とTEバンド120とを接続するブリッジ123が破断する方向へ力を受ける。
【0040】
このとき、係止部122の上端はカブラBcと直接干渉しているため、係止部122の上端から近いブリッジ123の周囲は、係止部122の上端から遠いブリッジ123の周囲に比べてTEバンド120の変形量が少なく、ブリッジ123にかかる力が集中しやすい。
したがって、係止部122の上端に近いブリッジ123が、係止部122の上端から遠いブリッジ123よりも先に破断し、その後係止部122の上端から遠いブリッジ123に力が大きくかかるようになる。
スクリューキャップ100の上昇に伴って、図8に示すように全てのブリッジ123が破断すると、TEバンド120は口部Bmに残り、キャップ本体110のみ口部Bmから離脱し、開栓を完了する。
【0041】
すなわち、全てのブリッジ123に均一にブリッジ123を破断する方向への力を同時に受ける場合に比べて、本発明の一実施形態に係るスクリューキャップ100は、小さい力でブリッジ123を破断して開栓できるものである。
また、バンド本体121の周方向に対する係止部122の形成位置は特に限定されないが、複数のブリッジ123のうち特定のブリッジ123の直下に位置するように選択的に係止部122を形成することで、ブリッジ123を破断する順番を制御することもできる。
【0042】
なお、係止部122は押圧変形部材Tの先端形状に沿って変形しているため、例えば、押圧変形部材Tの先端形状が略弧状に形成されていた場合、係止部122と口部Bmとの接触面積がより一層少なくなるため、開栓時にスクリューキャップ100の回転トルクの増加を抑制でき、より一層軽い力で開栓することができる。
【0043】
また、係止部122は、押圧変形部材Tをバンド本体121に外周面から押圧することで形成するものであれば形成方法は特に限定されず、例えば、押圧変形部材Tを定点で進退移動部材(図示しない)によって進退移動させ、スクリューキャップ100を押圧変形部材Tに押圧される位置でキャップの円周1周分を自転させて次々に係止部122を形成することを前述の実施例で説明したが、例えば押圧変形部材の全長を2周分以上確保し、段階的に内方へ加工してもよい。
また、複数の割ツメによって形成される円筒部材において、割ツメ内面の先端に押圧変形部材Tを形成してバンド本体121を覆うように配置し、割ツメを閉じることでバンド本体121の全周に同時に係止部122を形成してもよい。
【0044】
以上、本発明の実施形態を詳述したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【0045】
なお、上述した実施形態では、押圧変形部材は、係止部をバンド本体の下方まで形成し、係止部の上端部を上に凸の弧状に形成し、下方に向かうにしたがって徐々にTEバンドの周方向へ拡径するように形成するものとして説明したが、押圧変形部材によって形成された係止部の形状はこれに限定されず、例えば、バンド本体の中央付近に球面上に形成してもよく、係止部の下端がバンド本体の下端まで到達しないように形成してもよい。
また、上述した実施形態では、キャップ本体の外周面にはナールが形成されているものとして説明したが、キャップ本体の構成はこれに限定されず、例えば、ナールが形成されていなくてもよい。
【0046】
また、上述した実施形態では、押圧変形部材は、係止部をカブラの下方に位置するように形成するものとして説明したが、係止部の形成位置はこれに限定されず、例えば、カブラを有さない容器の口部に対して、キャップ側ネジ部の下方に位置するように押圧変形部材を押圧して係止部を形成してもよい。
また、上述した実施形態では、キャップ側ネジ部および容器側ネジ部が断続的に隙間を設けて形成されているものとして説明したが、キャップ側ネジ部および容器側ネジ部の形状はこれに限定されず、例えば、キャップ側ネジ部および容器側ネジ部が隙間を設けずに連続するように形成されていてもよい。
【0047】
また、上述した実施形態では、容器保持部は容器を位置固定するように保持し、保持搬送部は容器を自転可能に保持して搬送路上を移動するように構成されているものとして説明したが、容器保持部や保持搬送部の構成はこれに限定されず、例えば、容器保持部がキャッピングを完了した容器を保持したまま搬送路上を自転しながら移動するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0048】
100 ・・・ スクリューキャップ
110 ・・・ キャップ本体
111 ・・・ キャップ天面
112 ・・・ インナーリング
113 ・・・ アウターリング
114 ・・・ スカート壁
115 ・・・ キャップ側ネジ部
116 ・・・ ナール
120 ・・・ TEバンド
121 ・・・ バンド本体
122 ・・・ 係止部
123 ・・・ ブリッジ
200 ・・・ キャッピング装置
210 ・・・ キャップ装着ユニット
211 ・・・ キャップ保持部
212 ・・・ 容器保持部
220 ・・・ バンド加工ユニット
230 ・・・ 保持搬送部
B ・・・ 容器
Bm ・・・ 口部
Bs ・・・ 容器側ネジ部
Bc ・・・ カブラ
T ・・・ 押圧変形部材
Ta ・・・ 先端部
R ・・・ 搬送路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9