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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106115
(43)【公開日】2024-08-07
(54)【発明の名称】物品保管ユニット
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/02 20060101AFI20240731BHJP
   B65G 1/00 20060101ALI20240731BHJP
【FI】
H05K13/02 Z
B65G1/00 537Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023010234
(22)【出願日】2023-01-26
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174104
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 康一
(72)【発明者】
【氏名】小林 雄太
【テーマコード(参考)】
3F022
5E353
【Fターム(参考)】
3F022AA12
3F022CC02
3F022FF01
3F022MM67
5E353EE35
5E353EE83
5E353HH26
5E353HH40
5E353NN18
5E353QQ30
(57)【要約】
【課題】信頼性を向上する。
【解決手段】物品保管ユニット1は、左右方向に隣り合うように配列された複数の仕切り板14と、仕切り板14同士の間において可動しないように固定され、前後方向に延在し、後下がりに傾斜する規制面30rSに所定の部材としてのリール18が載置される固定レバー30と、仕切り板14同士の間において少なくとも一部分が固定レバー30よりも後側に位置するように配置され、左右方向に沿う回動軸としての可動レバー支持シャフト26を中心に回動可能であり、リール18が載置される可動レバー40とを設けるようにする。
【選択図】図4

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右方向に隣り合うように配列された複数の仕切り板と、
前記仕切り板同士の間において可動しないように固定され、前後方向に延在し、後下がりに傾斜する規制面に所定の部材が載置される固定レバーと、
前記仕切り板同士の間において少なくとも一部分が前記固定レバーよりも後側に位置するように配置され、前記左右方向に沿う回動軸を中心に回動可能であり、前記所定の部材が載置される可動レバーと
を有する物品保管ユニット。
【請求項2】
前記固定レバーは、
前記規制面よりも前側において前下がりに傾斜するガイド面が形成されている
請求項1に記載の物品保管ユニット。
【請求項3】
前記固定レバーは、
前記規制面と前記ガイド面との交点を頂点とする山なりの形状である
請求項2に記載の物品保管ユニット。
【請求項4】
前記固定レバーは、
前記固定レバー及び前記可動レバーに載置された前記所定の部材の重心よりも前後方向に関し前側に配された前記規制面が前記所定の部材と当接する
請求項1に記載の物品保管ユニット。
【請求項5】
前記可動レバーは、
前記固定レバー及び前記可動レバーに載置された前記所定の部材の重心よりも、前後方向に関し、後側において前記所定の部材と当接し、前側において前記回動軸が配置されている
請求項1に記載の物品保管ユニット。
【請求項6】
前記可動レバーの後端部は、前記固定レバーにおける前記規制面と前記ガイド面との交点よりも高い箇所に位置している
請求項3に記載の物品保管ユニット。
【請求項7】
前記可動レバーの後端部を上方向へ付勢する付勢部材
をさらに有し、
前記可動レバーは、
前記所定の部材が前記可動レバーに載置されると前記所定の部材の重さにより前記可動レバーの後端部が下方向へ回動して装着状態となる一方、前記所定の部材が前記可動レバーに載置されていないと前記付勢部材の付勢力により前記可動レバーの後端部が上方向へ回動して非装着状態となる
請求項1に記載の物品保管ユニット。
【請求項8】
前記可動レバーは、
前記非装着状態において、後端部が前記仕切り板の上端部よりも低い箇所に位置している
請求項7に記載の物品保管ユニット。
【請求項9】
前記固定レバーは、
外部から入射された光を前記固定レバーの前側まで導光する導光路が形成されている
請求項1に記載の物品保管ユニット。
【請求項10】
前記固定レバーは、
所定の固定部において前記仕切り板に対し可動しないように固定されており、
前記導光路は、前記固定部を避けて配設されている
請求項9に記載の物品保管ユニット。
【請求項11】
前記所定の部材が前記固定レバー及び前記可動レバーに載置された装着状態か、前記所定の部材が前記固定レバー及び前記可動レバーに載置されていない非装着状態かを検出し、前記装着状態と前記非装着状態とで発光部から互いに異なる色の光を発光させ前記固定レバーの前記導光路に向けて入射させる制御部
をさらに有する請求項9に記載の物品保管ユニット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は物品保管ユニットに関し、例えば部品が格納されたリール等を収容する物品保管ユニットに適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子部品が格納されたリールを格納する物品保管ユニットにおいては、スロットに設けられた回動可能な可動レバーの上にリールを載置可能であり、スロットに対しリールを装着又は取り出しさせる姿勢と、スロットにリールを保管する姿勢とに可動レバーを回動させるものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2018-507834号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような物品保管ユニットにおいては、リールが可動レバーに装着された状態において可動レバーに力が加わったとしても、可動レバーが可動してしまうことを防止し、信頼性を向上させることが望まれている。
【0005】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、信頼性を向上し得る物品保管ユニットを提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を解決するため本発明の物品保管ユニットにおいては、左右方向に隣り合うように配列された複数の仕切り板と、仕切り板同士の間において可動しないように固定され、前後方向に延在し、後下がりに傾斜する規制面に所定の部材が載置される固定レバーと、仕切り板同士の間において少なくとも一部分が固定レバーよりも後側に位置するように配置され、左右方向に沿う回動軸を中心に回動可能であり、所定の部材が載置される可動レバーとを設けるようにした。
【0007】
本発明は、リール装着状態において、可動レバーに力が加わったとしても、固定レバーの規制面によりリールの前方向への移動を防止し、可動レバーが取外方向へ回動してしまうことを防止できる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、リール装着状態において、可動レバーに力が加わったとしても、固定レバーの規制面によりリールの前方向への移動を防止し、可動レバーが取外方向へ回動してしまうことを防止でき、かくして信頼性を向上し得る物品保管ユニットを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】物品保管ユニットの外観構成を示す斜視図である。
図2】メカユニットの外観構成を示す斜視図である。
図3】リール非装着状態のメカユニットの構成を示し、図2におけるA-A矢視断面図である。
図4】リール装着状態のメカユニットの構成を示し、図2におけるA-A矢視断面図である。
図5】仕切り板の外観構成を示す斜視図である。
図6】固定レバーの外観構成(1)を示す斜視図である。
図7】固定レバーの外観構成(2)を示し、図6におけるB-B矢視断面図である。
図8】可動レバーの外観構成を示す斜視図である。
図9】リール非装着状態のストッパの様子を示し、図3における拡大図である。
図10】リール装着状態のストッパの様子を示し、図4における拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
【0011】
[1.物品保管ユニットの構成]
図1に示すように、物品保管ユニット1は、複数段の棚板とそれを支持するフレームとからなる筐体2の内部に、複数個(例えば36個)のメカユニット10が配置されている。因みに以下では、図1の物品保管ユニット1における図中で右下側を物品保管ユニット1の正面とし、この正面と対峙して見た場合の上下方向、左右方向及び前後方向をそれぞれ定義した上で説明する。それぞれのメカユニット10は、何れも同様に構成されている。なお図1においては正面側に配置された18個のメカユニット10が図示されているものの、実際には、各メカユニット10の後側にもメカユニット10が前後対称の状態で配置されている。
【0012】
物品保管ユニット1は、統合制御部4により全体を統括制御する。この統合制御部4は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等を有しており、所定のプログラムを読み出して実行することにより、様々な処理を実行する。
【0013】
[2.メカユニットの構成]
図2に示すように、メカユニット10は、フレーム12、仕切り板14及び制御基板16を有しており、仕切り板14同士の間に、リール18を保持するスロット20を形成している。メカユニット10は、それぞれのスロット20に、1個ずつリール18を格納可能となっている。リール18は、表面実装の電子部品が格納されたテープが巻かれた円柱形状の部材である。またメカユニット10は、該メカユニット10の正面に対峙した作業者により、該メカユニット10に対しリール18を装着すると共に、該メカユニット10からリール18を取り外し可能となっている。それぞれのスロット20には、図3に示すように、固定レバー30、可動レバー40及び圧縮スプリング52が設けられている。
【0014】
[2-1.フレームの構成]
図2及び図3に示すように、フレーム12は、フレーム本体部12M、フレーム左側板12L、フレーム右側板12R、仕切り板支持シャフト22、固定レバー支持シャフト24及び可動レバー支持シャフト26により構成されている。フレーム本体部12M、フレーム左側板12L及びフレーム右側板12Rは、1枚の金属板が板金加工されることにより製造されている。
【0015】
フレーム本体部12Mは、フレーム12の大部分を占めており、水平方向に沿って左右方向に延びる薄板形状である。フレーム左側板12Lは、フレーム本体部12Mの左端部近傍に配され、左右方向に薄く前後方向に長い、前後方向及び鉛直方向に沿う薄板形状であり、フレーム本体部12Mから立設している。フレーム右側板12Rは、フレーム本体部12Mの右端部近傍に配され、左右方向に薄く前後方向に長い、前後方向及び鉛直方向に沿う薄板形状であり、フレーム本体部12Mから立設している。
【0016】
仕切り板支持シャフト22は、それぞれ左端部がフレーム左側板12Lの後端部近傍に、右端部がフレーム右側板12Rの後端部近傍に固定されており、フレーム左側板12Lとフレーム右側板12Rとの間において水平方向に沿って左右方向に延びる円筒形状のシャフトである。この仕切り板支持シャフト22は、全ての仕切り板14を貫通することにより、仕切り板14をフレーム12に固定させる。
【0017】
固定部としての固定レバー支持シャフト24は、それぞれ左端部がフレーム左側板12Lの前端部近傍の下側に、右端部がフレーム右側板12Rの前端部近傍の下側に固定されており、フレーム左側板12Lとフレーム右側板12Rとの間において水平方向に沿って左右方向に延びる円筒形状のシャフトである。この固定レバー支持シャフト24は、全ての固定レバー30の内部を貫通することにより、固定レバー30をフレーム12に対し位置決めする。
【0018】
可動レバー支持シャフト26は、固定レバー支持シャフト24のやや後方に配され、それぞれ左端部がフレーム左側板12Lに、右端部がフレーム右側板12Rに固定されており、フレーム左側板12Lとフレーム右側板12Rとの間において水平方向に沿って左右方向に延びる円筒形状のシャフトである。この可動レバー支持シャフト26は、全ての可動レバー40の内部を貫通することにより、可動レバー40をフレーム12に対し回動可能に保持する。
【0019】
[2-2.仕切り板の構成]
仕切り板14は、フレーム12のフレーム左側板12Lとフレーム右側板12Rとの間において、互いに左右方向に等間隔を空けて複数枚(例えば32枚)が互いに平行に左右方向に並んでいる。この仕切り板14は、図5に示すように、仕切り板本体部14M、後側フレーム固定部14B、前側フレーム固定部14F及びリブ14Rにより構成されている。
【0020】
仕切り板本体部14Mは、仕切り板14の大部分を占めており、左右方向に薄く前後方向に長い、前後方向及び鉛直方向に沿う薄板形状である。
【0021】
後側フレーム固定部14Bは、円周方向の一部分が右端部から左端部まで切り欠かれた円筒形状であり、フレーム12の仕切り板支持シャフト22が挿通する孔部が仕切り板本体部14Mの右側面から左側面まで貫通するように形成されている。
【0022】
前側フレーム固定部14Fは、円周方向の一部分が右端部から左端部まで切り欠かれた円筒形状であり、フレーム12の可動レバー支持シャフト26が挿通する孔部が仕切り板本体部14Mの右側面から左側面まで貫通するように形成されている。また前側フレーム固定部14Fは、外周面の一部分において右端部から左端部まで左右方向に沿って外周方向へ突出する四角柱形状のストッパ14Sが形成されている。
【0023】
仕切り板14は、それぞれ後側フレーム固定部14Bが仕切り板支持シャフト22に、前側フレーム固定部14Fが可動レバー支持シャフト26に挿通されることにより、フレーム12に固定されている。
【0024】
リブ14Rは、仕切り板14の前端部分から右方向へ向かって突出している。このリブ14Rは、全ての固定レバー30に設けられた凹み部30Dに嵌まり込むことにより、固定レバー30が回動しないように、仕切り板14に固定させる。
【0025】
[2-3.固定レバーの構成]
図2図3及び図4に示すように、固定レバー30は、可動しないようにフレーム12に固定されており、全体として、左右方向に隣接する仕切り板14同士の間隔よりも左右方向の幅がやや細く、フレーム12の前端近傍から、前後方向に関し図4に示すリール装着状態におけるリール18の中心よりも後側まで延びている。
【0026】
この固定レバー30は、内部を光が透過可能な透明な樹脂により形成されており、図6及び図7に示すように、全体として、前側部30F及び後側部30Bにより構成されている。前側部30Fは、固定レバー30における前半分ほどを占めており、ガイド面30gS、規制面30rS、頂点30V、位置決め部30X、凹み部30D、光出射面30oSが形成されている。
【0027】
後側部30Bは、固定レバー30における後半分ほどを占め、前側部30Fよりも高さが低く、前側部30Fにおける下側後端部から後方へ向けて水平方向に沿って延びており、光入射面30iSが形成されている。
【0028】
ガイド面30gSは、固定レバー30の前端部から後方へ向かうに連れて上方へ向かって湾曲する面である。このガイド面30gSは、法線が鉛直方向よりも前方を向いており、作業者に把持されスロット20よりも前側からスロット20に向かって後方へ移動してきたリール18の下側に当接することにより、リール18を持ち上げつつ後方へガイドする。
【0029】
規制面30rSは、ガイド面30gSの後端部から後方へ向かうに連れて下方へ向かって、リール18の周側面と同一の曲率で湾曲する面である。この規制面30rSは、法線が鉛直方向よりも後方を向いており、リール装着状態(図4)においてリール18を載置させるように保持すると共に、前後方向に関しリール装着状態におけるリール18の中心(すなわち重心)よりも前側に位置し、リール18の下側における前側に当接することにより、リール18の前方向への移動を規制する。
【0030】
このようなガイド面30gSと規制面30rSとの交点には、固定レバー30において最も高さが高い箇所である頂点30Vが左右方向に沿って形成されている。また、ガイド面30gS、規制面30rS及び頂点30Vは、後側部30Bよりも上側に配置されている。このように固定レバー30は、最も高く位置する頂点30Vを境目として後下がり及び前下がりである山なりの形状となっている。
【0031】
位置決め部30Xは、固定レバー30における重心位置付近に設けられており、フレーム12の固定レバー支持シャフト24(図4)が挿通する孔部が固定レバー30の右側面から左側面まで貫通するように形成されている。固定レバー30は、位置決め部30Xが固定レバー支持シャフト24に挿通されることにより、フレーム12に対し位置決めされている。
【0032】
凹み部30Dは、前側部30Fにおいて仕切り板14のリブ14R(図5)が嵌まり込む箇所において設けられた凹みである。固定レバー30は、凹み部30Dにリブ14Rが嵌まり込むことにより、回動しないように仕切り板14に固定されている。
【0033】
光入射面30iSは、固定レバー30における後端面であり、制御基板16のLED(Light Emitting Diode)56(図4)と前後方向に対向するように配置されており、LED56から出射された光を固定レバー30の内部に取り込む。光入射面30iSと光出射面30oSとの間には、固定レバー30内部において光が通過可能な導光路30Pが連続的に形成されている。導光路30Pは、光入射面30iSから後側部30B内部を前方向へ向かって延びてから、前側部30F内部の後端部を上方向へ向かって延び、位置決め部30Xを避けて位置決め部30Xよりも上側を前方向へ向かって光出射面30oSまで延びている。光出射面30oSは、固定レバー30における前端面であり、光入射面30iSから固定レバー30の内部に取り込まれ導光路30Pを通過した光を前方向へ出射することにより、LED56から出射された光を作業者に視認させる。
【0034】
[2-4.可動レバーの構成]
図3図4及び図8に示すように、可動レバー40は、回動可能にフレーム12に固定されており、全体として、固定レバー30と同様の左右方向の幅であり、固定レバー30と同一の左右方向の位置において、前半分程度が固定レバー30の上側に配され、後半分程度が固定レバー30の後側に配されている。また可動レバー40は、フレーム12に対し着脱可能に構成されている。
【0035】
この可動レバー40は、樹脂により形成されており、全体として、前側部40F及び後側部40Bにより構成されている。前側部40Fは、可動レバー40における前半分ほどを占めており、前端部に回動支持部40Rが形成されている。
【0036】
回動支持部40Rは、前側が開口する略円筒形状であり、フレーム12の可動レバー支持シャフト26及び仕切り板14の前側フレーム固定部14Fが挿通する孔部が可動レバー40の右側面から左側面まで貫通するように形成されている。可動レバー40は、回動支持部40Rが可動レバー支持シャフト26及び前側フレーム固定部14Fに挿通されることにより、フレーム12に対しに回動可能に固定されている。このため可動レバー40は、可動レバー支持シャフト26を軸として、図3中反時計回り方向である装着方向Drと、図3及び図9中時計回り方向である取外方向Dsとに回動可能となっている。これにより可動レバー40は、図4に示すようにリール18がスロット20に装着された状態であるリール装着状態から取外方向Dsに回動することにより、図3及び図9に示すようにリール18がスロット20から取り外された状態であるリール非装着状態に遷移可能となっている。また可動レバー40は、リール非装着状態(図3)から装着方向Drに回動することにより、リール装着状態(図4)に遷移可能となっている。
【0037】
回動支持部40Rは、前後方向に関しリール装着状態におけるリール18の中心(すなわち重心)よりも前側に位置している。換言すれば、可動レバー40の回動軸は、載置面40S(後述する)とリール18との当接部、すなわちリール18と可動レバー40との当接部に対して、リール18の中心を挟んで反対側である前側に位置している。
【0038】
後側部40Bは、可動レバー40における後半分ほどを占めており、載置面40S、磁石保持部40Mが形成されている。載置面40Sは、後方へ向かうに連れて上方へ向かって、リール18の周側面と同一の曲率で湾曲し、可動レバー40の後端まで形成された面である。この載置面40Sは、法線が鉛直方向よりも前方を向いており、リール装着状態(図4)においてリール18を載置させるように保持すると共に、リール18の下側における後側に当接することにより、リール18の後方向への移動を規制する。また可動レバー40は、リール非装着状態(図3)において、その後端部を、仕切り板14の上端部よりも低い箇所に位置させている。さらに可動レバー40は、リール装着状態(図4)において、その後端部を、固定レバー30の頂点30Vよりも高い箇所に位置させている。
【0039】
磁石保持部40Mは、前後方向に関し後側部40Bの中央付近の下側に形成されており、磁石50を保持する。磁石50は、リール非装着状態(図3)においては制御基板16のホール素子54(後述する)に対し上側へ大きく離隔する一方、リール装着状態(図4)においては制御基板16のホール素子54に近接する。
【0040】
図3に示すように、可動レバー40における回動支持部40Rとは逆側の端部である後端の下面側と、フレーム12との間には、圧縮スプリング52が通常状態よりも圧縮された状態で設けられている。このため付勢部材としての圧縮スプリング52は、通常状態に戻ろうとする復元力により、可動レバー40に対し取外方向Dsへ回動するように付勢力を加える。
【0041】
このため可動レバー40は、リール非装着状態(図3)においては、リール装着状態(図4)に対し、圧縮スプリング52の付勢力により取外方向Dsへ回動し、図10に示す状態から図9に示す状態のように、回動支持部40Rの上側の前端部が仕切り板14における前側フレーム固定部14Fのストッパ14Sに当接することにより、それ以上の取外方向Dsへの回動が規制される。
【0042】
一方、可動レバー40は、リール装着状態(図4)においては、リール非装着状態(図3)に対し、リール18の重量で圧縮スプリング52が通常状態よりも圧縮されることにより装着方向Drへ回動し、回動支持部40Rの上側の前端部が仕切り板14における前側フレーム固定部14Fのストッパ14Sよりも後側へ離隔すると共に、圧縮された状態の圧縮スプリング52を挟んでフレーム12に当接することにより、それ以上の装着方向Drへの回動が規制される。
【0043】
またリール装着状態(図4)においてリール18は、固定レバー30の規制面30rSと可動レバー40の載置面40Sとに当接するものの、可動レバー40の回動支持部40Rには当接しない。これにより物品保管ユニット1は、リール非装着状態からリール18がスロット20に装着される際に、リール18が回動支持部40Rに当接して装着方向Drへの可動レバー40の回動を阻害してしまうことを防止している。
【0044】
[2-5.制御基板の構成]
制御基板16は、ホール素子54及びLED56を含む複数の電子部品が搭載されていると共に、図示しない制御部が実装されている。制御部は、CPU、ROM及びRAM等を有しており、所定のプログラムを読み出して実行することにより、統合制御部4(図1)の指示に従い、様々な処理を実行する。
【0045】
ホール素子54は、磁気センサであり、リール装着状態(図4)において可動レバー40の磁石50と近接した状態で上下方向に対向する位置に配されている。ホール素子54は、周囲の磁気を検出し、得られた検出結果を制御部に通知する。これに応じて制御部は、現在、リール非装着状態(図3)又はリール装着状態(図4)の何れの状態であるかを判定する。具体的に、リール非装着状態(図3)においては磁石50がホール素子54から離隔するため、ホール素子54は、磁気を検出していないという検出結果を制御部に通知する。これに応じて制御部は、現在はリール非装着状態(図3)であると判定する。一方、リール装着状態(図4)においては磁石50がホール素子54に近接するため、ホール素子54は、磁気を検出しているという検出結果を制御部に通知する。これに応じて制御部は、現在はリール装着状態(図4)であると判定する。
【0046】
また制御部は、発光部としてのLED56の点灯及び消灯を制御すると共に、点灯時に出射させる色を制御する。この制御部は、作業者により入力された部品情報に基づき、該部品情報に対応したリール18が保管されているスロット20のLED56を点灯させることにより、該部品情報に対応したリール18が保管されているスロット20を作業者に認識させる。
【0047】
また制御部は、リール非装着状態(図3)においては、LED56を例えば赤色で点灯させることにより、該LED56に対応したスロット20はリール非装着状態(図3)であることを作業者に認識させる。一方、制御部は、リール装着状態(図4)においては、LED56をリール非装着状態(図3)とは異なる例えば緑色で点灯させることにより、該LED56に対応したスロット20はリール装着状態(図4)であることを作業者に認識させる。
【0048】
[3.動作]
作業者がリール18を前側から後側へ移動させつつ、固定レバー30の頂点30Vを越えないで装着しようとした場合、固定レバー30において法線が鉛直方向よりも前方を向くガイド面30gSにリール18が当接して前方向に戻ってきてしまい、リール18を装着できないこととなる。
【0049】
このようなリール非装着状態においては、可動レバー40は、圧縮スプリング52の付勢力により取外方向Dsへ回動し、回動支持部40Rの上側の前端部が仕切り板14における前側フレーム固定部14Fのストッパ14Sに当接することにより、それ以上の取外方向Dsへの回動が規制される。このとき、磁石50が制御基板16のホール素子54に対し上側へ大きく離隔することにより、制御部は、ホール素子54の検出結果に基づき、現在は、リール非装着状態であると判定する。続いて制御部は、LED56を例えば赤色で点灯させることにより、光を固定レバー30の導光路30Pを通過させ前方向へ出射することにより、LED56から出射された光を作業者に視認させる。
【0050】
一方、作業者がリール18を前側から後側へ移動させつつ、固定レバー30の頂点30Vを越えさせた場合、固定レバー30において法線が鉛直方向よりも後方を向く規制面30rSの上をリール18が後方に向かって転がってゆき、図4に示すようにリール18が可動レバー40に載る。
【0051】
このようなリール装着状態においては、可動レバー40は、リール18の重量で圧縮スプリング52が通常状態よりも圧縮されることにより装着方向Drへ回動し、回動支持部40Rの上側の前端部が仕切り板14における前側フレーム固定部14Fのストッパ14Sよりも後側へ離隔する(図10)と共に、圧縮された状態の圧縮スプリング52を挟んでフレーム12に当接することにより、それ以上の装着方向Drへの回動が規制される。このとき、磁石50が制御基板16のホール素子54に近接することにより、制御部は、ホール素子54の検出結果に基づき、現在は、リール装着状態であると判定する。続いて制御部は、LED56を例えば緑色で点灯させることにより、光を固定レバー30の導光路30Pを通過させ前方向へ出射することにより、LED56から出射された光を作業者に視認させる。
【0052】
また、作業者がリール18を取り出す際は、取り出す対象となるリール19の部品番号等から対象となるスロット20を指定する。制御部は、指定されたスロット20においてLED56を例えば赤色で点灯させ、光を固定レバー30の導光路30Pを通過させ前方向へ出射することにより、LED56から出射された光を作業者に視認させる。作業者は対象となるスロット20を確認した後、取り出す対象となるリール18自体を持ち上げ、固定レバー30の頂点30Vを乗り越えさせるように前側へ移動させて取り出す。
【0053】
[4.効果等]
ここで、従来の物品保管ユニットにおいては、回動する1つの可動レバーでリールを保持するものがあった。しかしながらそのような従来の物品保管ユニットの場合、リール装着状態において、衝撃等によって可動レバーに力が加わると、可動レバーがリール装着状態からリール非装着状態に向かう方向へ回動してしまう場合があった。また従来の物品保管ユニットは、可動レバーがリール装着状態からリール非装着状態に向かう方向へ回動した際に、リールの荷重と可動レバーの重心とのバランスが取れてしまうと、回動レバーが中途半端な位置で止まってしまう場合があり、そのような場合、リールの装着を検知できないため、リールが不正に取り出されたと誤検出するエラーが発生してしまった。
【0054】
これに対し物品保管ユニット1は、固定レバー30と可動レバー40とを別体で設け、固定レバー30を可動レバー40に対し作業者が対面する前側において可動しないように配置し、可動レバー40を固定レバー30よりも後側において前端を回動軸として回動可能に配置するようにした。また物品保管ユニット1は、リール装着状態において固定レバー30における前後方向に関しリール18の中心よりも前側に、リール18と当接する後下がりの規制面30rSを形成するようにした。さらに物品保管ユニット1は、リール装着状態において可動レバー40における前後方向に関しリール18の中心よりも後側に、リール18と当接し該リール18に対し規制面30rSに向かう前方向へ向かう力を加える前下がりの載置面40Sを形成するようにした。このように物品保管ユニット1は、リール装着状態において前方向へのリール18の落下を固定レバー30の規制面30rSにより防止し、後方向へのリール18の落下を可動レバー40の載置面40Sにより防止するようにした。
【0055】
このため物品保管ユニット1は、リール装着状態(図4)において、衝撃等によって可動レバー40に力が加わって回転力が発生したとしても、該可動レバー40とは別体で構成した固定レバー30は回動しないように固定されているため、固定レバー30の規制面30rSにより、リール18の前方向への移動を防止できる。これにより物品保管ユニット1は、リール装着状態において可動レバー40が取外方向Dsへ回動してしまうことを防止し、リール非装着状態から可動レバー40が取外方向Dsへ中途半端に回動して止まってしまうエラーが発生することを防止できる。
【0056】
また物品保管ユニット1は、メカユニット10の正面に対峙した作業者に対し、奥まった位置である、固定レバー30よりも後側に、可動可能な可動レバー40を配置すると共に、リール18が取り外されると、作業者により操作されることなく、圧縮スプリング52の付勢力により可動レバー40を取外方向Dsへ回動させリール非装着状態(図3)とするようにした。このため物品保管ユニット1は、作業者が誤って可動レバー40を操作してしまうことを防止し、誤操作によるエラーの発生を防止することできる。
【0057】
さらに物品保管ユニット1は、固定レバー30を、頂点30Vを境目として、それぞれ後側に後下がりの規制面30rSを、前側に前下がりのガイド面30gSを形成し、山なりの形状とするようにした。このため物品保管ユニット1は、リール18が前側から後側へ移動してスロット20に装着される際に、リール18が固定レバー30の頂点30Vを乗り越えるまでは、ガイド面30gSに沿って前方向へ転がす一方、リール18が固定レバー30の頂点30Vを乗り越えた後は、規制面30rSに沿って後方向へ転がし可動レバー40に到達させることができる。これにより物品保管ユニット1は、リール18が固定レバー30における中途半端な位置で留まってしまうことを防止し、リール18を装着していたつもりが装着されていなかったというミスを防止できる。
【0058】
さらに物品保管ユニット1は、リール装着状態においてリール18の中心よりも後側において可動レバー40の載置面40Sをリール18に当接させ、前側において可動レバー40の回動軸としての可動レバー支持シャフト26を配置するようにした。このため物品保管ユニット1は、リール装着状態においてリール18の中心よりも後側に可動レバー40の回動軸を配置する場合と比較して、リール18の自重で可動レバー40に対し装着方向Drへ大きなモーメントを加えることができる。これにより物品保管ユニット1は、例えば、リール18に格納された電子部品の数が減少して軽くなった場合であっても、可動レバー40をリール非装着状態からリール装着状態へ確実に遷移させることができる。
【0059】
さらに物品保管ユニット1は、リール装着状態において、可動レバー40の後端部を、固定レバー30の頂点30Vよりも高い箇所に位置させるようにした。このため物品保管ユニット1は、スロット20にリール18が装着される際に前側から後側へ移動するリール18が固定レバー30の頂点30Vを越え規制面30rSの上を後方に向かって転がっていったときに、可動レバー40によりリール18を受け止めることができ、リール18が可動レバー40を乗り越えて後側に落下してしまうことを防止できる。
【0060】
さらに物品保管ユニット1は、リール非装着状態において、可動レバー40の後端部を仕切り板14の上端部よりも低い箇所に位置させるようにした。このため物品保管ユニット1は、リール非装着状態において、外部から作業者が誤って可動レバー40に触れてしまうことを抑止できる。
【0061】
以上の構成によれば物品保管ユニット1は、左右方向に隣り合うように配列された複数の仕切り板14と、仕切り板14同士の間において可動しないように固定され、前後方向に延在し、後下がりに傾斜する規制面30rSに所定の部材としてのリール18が載置される固定レバー30と、仕切り板14同士の間において少なくとも一部分が固定レバー30よりも後側に位置するように配置され、左右方向に沿う回動軸としての可動レバー支持シャフト26を中心に回動可能であり、リール18が載置される可動レバー40とを設けるようにした。
【0062】
これにより物品保管ユニット1は、リール装着状態において、可動レバー40に力が加わったとしても、固定レバー30の規制面30rSによりリール18の前方向への移動を防止し、可動レバー40が取外方向Dsへ回動してしまうことを防止できる。
【0063】
[5.他の実施の形態]
なお上述した実施の形態において物品保管ユニット1は、ガイド面30gSを、固定レバー30の前端部から後方へ向かうに連れて上方へ向かって湾曲する面、すなわち、頂点30Vから前方へ向かうに連れて下方へ向かって湾曲する面とする場合について述べた。本発明はこれに限らず物品保管ユニット1は、ガイド面30gSを、平面形状としたり、頂点30Vから水平方向に沿って前方へ向かう面としたり、頂点30Vから規制面30rSの傾斜に沿って前方へ向かうに連れて上方へ向かって傾斜する面としたりしても良い。その場合物品保管ユニット1は、固定レバー30のガイド面30gSが高さ方向に延びた分装置高さも高くなってしまうものの、リール装着状態においてリール18が前方へ移動してしまうことは規制できる。
【0064】
さらに上述した実施の形態において物品保管ユニット1は、可動レバー40を回動させることによりリール装着状態とリール非装着状態とに遷移させる場合について述べた。本発明はこれに限らず物品保管ユニット1は、可動レバー40を上下方向にスライド移動させたり、可動レバー40を分割して上下方向のスライド移動と回動とを組み合わせたりする等、他の種々の移動方法で可動レバー40を移動させることによりリール装着状態とリール非装着状態とに遷移させても良い。
【0065】
さらに上述した実施の形態において物品保管ユニット1は、リール装着状態においてリール18の中心よりも前後方向に関し前側に可動レバー40の回動軸である可動レバー支持シャフト26を配置する場合について述べた。本発明はこれに限らず物品保管ユニット1は、リール18に格納された電子部品の数が減少して軽くなった場合でも可動レバー40をリール装着状態に遷移させることができる場合に限り、リール装着状態においてリール18の中心よりも前後方向に関し後側に可動レバー40の回動軸を配置しても良い。
【0066】
さらに上述した実施の形態において物品保管ユニット1は、リール非装着状態又はリール装着状態に応じてLED56を互いに異なる色で発光させたり、出庫時にLED56を特定の色で発光させたりして光に可動レバー40を通過させて作業者にスロット20の状態や位置を視認させる場合について述べた。本発明はこれに限らず物品保管ユニット1は、リール非装着状態又はリール装着状態の何れにおいてもLED56を同じ色で発光させたり、出庫時にLED56の点灯を省略したりしても良い。
【0067】
さらに上述した実施の形態においては、電子部品が格納されたリール18を収容するメカユニット10に本発明を適用する場合について述べた。本発明はこれに限らず、円筒形状の他の種々の部材を収容する他の種々の機構に本発明を適用しても良い。
【0068】
さらに本発明は、上述した各実施の形態及び他の実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した各実施の形態と上述した他の実施の形態の一部又は全部を任意に組み合わせた実施の形態にも本発明の適用範囲が及ぶものである。また本発明は、上述した各実施の形態及び他の実施の形態のうち任意の実施の形態に記載された構成の一部を抽出し、上述した各実施の形態及び他の実施の形態のうちの任意の実施の形態の構成の一部と置換・転用した実施の形態や、抽出された構成の一部を任意の実施の形態に追加した実施の形態にも本発明の適用範囲が及ぶものである。
【0069】
さらに上述した実施の形態においては、仕切り板としての仕切り板14と、固定レバーとしての固定レバー30と、可動レバーとしての可動レバー40とによって、物品保管ユニットとしての物品保管ユニット1を構成する場合について述べた。本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる本体部と、仕切り板と、固定レバーと、可動レバーとによって、物品保管ユニットを構成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、リールを収容する場合に利用できる。
【符号の説明】
【0071】
1……物品保管ユニット、2……筐体、4……統合制御部、10……メカユニット、12……フレーム、12M……フレーム本体部、12L……フレーム左側板、12R……フレーム右側板、14……仕切り板、14M……仕切り板本体部、14B……後側フレーム固定部、14F……前側フレーム固定部、14S……ストッパ、14R……リブ、16……制御基板、18……リール、20……スロット、22……仕切り板支持シャフト、24……固定レバー支持シャフト、26……可動レバー支持シャフト、30……固定レバー、30F……前側部、30B……後側部、30gS……ガイド面、30rS……規制面、30V……頂点、30X……位置決め部、30iS……光入射面、30oS……光出射面、30P……導光路、30D……凹み部、40……可動レバー、40F……前側部、40B……後側部、40R……回動支持部、40S……載置面、40M……磁石保持部、50……磁石、52……圧縮スプリング、54……ホール素子、56……LED、Ds……取外方向、Dr……装着方向。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10