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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106130
(43)【公開日】2024-08-07
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
   E06B 1/62 20060101AFI20240731BHJP
   E06B 3/58 20060101ALI20240731BHJP
【FI】
E06B1/62 B
E06B3/58 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023010257
(22)【出願日】2023-01-26
(71)【出願人】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小倉 千裕
(72)【発明者】
【氏名】植田 英範
【テーマコード(参考)】
2E011
2E016
【Fターム(参考)】
2E011JA01
2E011LB01
2E011LC02
2E011LD01
2E011LD08
2E011LE13
2E011LF06
2E016AA04
2E016BA01
2E016BA08
2E016CA01
2E016CB01
2E016CC03
2E016DA01
2E016DB03
2E016DC02
2E016DD03
(57)【要約】
【課題】外観品質及び断熱性の向上を図る。
【解決手段】面材1と、面材1の縁部に設けられる形材11,12とを備える建具であって、形材11,12は、面材1の室内に臨む表面1bを支持する樹脂構成部21,23を備え、樹脂構成部21,23は、内周側に向けて延在する板状の板状延在部21a,23dを有し、板状延在部21a,23dを介して面材1の表面1bを支持するものであり、板状延在部21a,23dは、室内に臨む見付け面が額縁31,32によって覆われる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
面材と、前記面材の縁部に設けられる形材とを備える建具であって、
前記形材は、前記面材の室内に臨む表面を支持する押縁を備え、
前記押縁は、少なくとも内周側に向けて延在する板状の板状延在部を有し、前記板状延在部を介して前記面材の表面を支持するものであり、
前記板状延在部は、室内に臨む見付け面の少なくとも一部が額縁によって覆われることを特徴とする建具。
【請求項2】
前記押縁は、前記板状延在部の室内に臨む見付け面の全面が前記額縁によって覆われることを特徴とする請求項1に記載の建具。
【請求項3】
前記形材の室外側となる部分には、前記面材の室外に臨む表面を支持する第二の押縁が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の建具。
【請求項4】
前記押縁は、樹脂によって成形されていることを特徴とする請求項1に記載の建具。
【請求項5】
前記形材は、前記面材よりも室外側となる位置から室内側となる位置までの間に連続して配置される形材本体を備え、前記形材本体の室内側に位置する縁部に前記押縁を装着するための押縁装着部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建具に関するもので、押縁を介してガラス等の面材を形材に支持した建具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
FIX窓等の建具では、中空状の押縁を介してガラス等の面材を形材に支持するようにしたものがある。この種の建具では、押縁の中空部によって室内外方向の熱伝達が抑えられるため、中空部を有していない押縁に比べれば断熱性の点で有利となる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-30113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、中空状の押縁は、室内側に見込み面及び見付け面が露出する構成となる。このため、建具の外観品質を考慮した場合には、必ずしも好ましいとはいえない。さらに、見込み面及び見付け面を通じた熱の授受が懸念されるため、断熱性を考慮した場合、未だ改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みて、外観品質及び断熱性の向上を図ることのできる建具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る建具は、面材と、前記面材の縁部に設けられる形材とを備える建具であって、前記形材は、前記面材の室内に臨む表面を支持する押縁を備え、前記押縁は、少なくとも内周側に向けて延在する板状の板状延在部を有し、前記板状延在部を介して前記面材の表面を支持するものであり、前記板状延在部は、室内に臨む見付け面の少なくとも一部が額縁によって覆われることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、板状を成す板状延在部を有した押縁を適用し、かつこの板状延在部を額縁によって覆うようにしているため、室内への露出部が小さくなるため、外観品質の向上を図るばかりでなく、断熱性の点でも有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態である建具の縦断面図である。
図2図1に示した建具の横断面図である。
図3図1に示した建具の分解縦断面図である。
図4図1に示した建具の分解横断面図である。
図5】本発明の変形例1である建具の要部縦断面図である。
図6】本発明の変形例2である建具の要部横断面図である。
図7】本発明の変形例3である建具の要部縦断面図である。
図8】本発明の変形例4である建具の要部横断面図である。
図9】本発明の変形例5である建具の要部横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら本発明に係る建具の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、以下においては便宜上、見込み方向及び見付け方向という用語を用いる場合がある。見込み方向とは、図中の矢印Aで示すように、建具の奥行きに沿った方向である。見込み方向に沿った面については見込み面と称する場合がある。見付け方向とは、下枠等のように水平方向に沿って延在するものの場合、見込み方向に直交した上下に沿う方向である。縦枠等のように上下方向に沿って延在するものの場合には、見込み方向に直交した水平に沿う方向を見付け方向という。見付け方向に沿った面については、見付け面と称する場合がある。
【0010】
図1図2は、本発明の実施の形態である建具を示したものである。ここで例示する建具は、面材1の四周に上枠(形材)11、下枠(形材)12及び左右の縦枠(形材)13を備えたFIX窓と称されるものである。面材1としては、外形が長方形の複層ガラスを適用している。上枠11、下枠12及び左右の縦枠13は、アルミニウム合金等の金属によって成形した押し出し形材である金属構成部(形材本体)と、樹脂によって成形した押し出し形材である樹脂構成部(押縁)とを有したもので、金属構成部と樹脂構成部との間に面材1の四周縁部を挟持している。以下、上枠11、下枠12、縦枠13の構成について詳述し、併せて本願発明の特徴部分について説明する。なお、以下の説明においては、躯体Bに取り付けた状態の姿勢で上枠11、下枠12、縦枠13それぞれの方向を特定することとする。また、縦枠13については、左右でほぼ対称形状となっているため、一方についてのみ説明し、他方については同一の符号を付して説明を省略する。
【0011】
図1図3に示すように、上枠11の金属構成部20は、上方基部20a、上方取付ヒレ部20b、上方面材支持ヒレ部20c、上方押縁装着部20dを一体に成形したものである。上方基部20aは、見込み方向に沿ってほぼ水平に延在する板状を成すものである。上方取付ヒレ部20bは、上枠11を躯体Bに取り付ける際の取付部となる板状を成すもので、上方基部20aの外周側となる見込み面において見込み方向のほぼ中間となる位置から外周に向けて見付け方向に延在している。上方面材支持ヒレ部20cは、面材1の室外に臨む表面1aを支持するためのもので、上方基部20aの内周側となる見込み面において上方取付ヒレ部20bよりも室外側となる位置から内周に向けて見付け方向に延在している。上方面材支持ヒレ部20cの延在縁部には、室内に臨む部分にシール装着部20eを介してシール部材2が装着してある。なお、図示の例では、上方面材支持ヒレ部20cと上方基部20aとの連結部において内周側、かつ室外側となる部分に上方中空部20fが構成してある。上方押縁装着部20dは、上方基部20aの内周側となる見込み面において室内側となる縁部に設けたもので、内周側に向けて開口した溝状を成している。上方押縁装着部20dには、室外側の開口縁部及び室内側の開口縁部にそれぞれ上方押縁係合片20gが設けてある。
【0012】
上枠11の樹脂構成部21は、上方板状延在部(板状延在部)21a、上方押縁係合板部21bを一体に成形したものである。上方板状延在部21aは、見付け方向に沿って延在する板状を成すものである。上方板状延在部21aの延在縁部において室外に臨む部分には、室外に向けて突出するようにシール装着用突条21cが設けてある。上方押縁係合板部21bは、上方板状延在部21aの外周側となる縁部から室外に向けて漸次外周となるように傾斜延在したものである。上方板状延在部21aと上方押縁係合板部21bとの連結部において外周側となる部分には、係合凹部21dが設けてある。この樹脂構成部21は、上方押縁係合板部21bの延在縁部を上方押縁装着部20dにおいて室外側の上方押縁係合片20gとの間に挿入するとともに、係合凹部21dを室内側の上方押縁係合片20gに係合させることにより、金属構成部20に着脱可能に装着することが可能である。樹脂構成部21を金属構成部20に装着した場合には、上方面材支持ヒレ部20cとの間に面材1の上縁部を収容することのできる隙間を確保した状態で上方板状延在部21aが上方面材支持ヒレ部20cに対向した状態に維持される。
【0013】
下枠12の金属構成部22は、下方基部22a、下方取付ヒレ部22b、下方面材支持ヒレ部22c、水切りヒレ部22d、樹脂連結ヒレ部22eを一体に成形したものである。下方基部22aは、見込み方向に沿ってほぼ水平に延在する板状を成すものである。下方取付ヒレ部22bは、下枠12を躯体Bに取り付ける際の取付部となる板状を成すもので、下方基部22aの外周側となる見込み面において室外寄りとなる位置から外周に向けて見付け方向に延在している。下方面材支持ヒレ部22cは、面材1の室外に臨む表面1aを支持するためのもので、下方基部22aの室外側に位置する縁部から内周に向けて見付け方向に延在している。下方面材支持ヒレ部22cの延在縁部には、室内に臨む部分にシール装着部22fを介してシール部材2が装着してある。水切りヒレ部22dは、下方面材支持ヒレ部22cの室外に臨む見付け面において見付け方向のほぼ中間となる位置から室外に向けて漸次外周となるように傾斜延在した板状を成すものである。なお、図示の例では、水切りヒレ部22dと下方面材支持ヒレ部22cとの連結部において外周側、かつ室外側となる部分に下方中空部22gが構成してある。樹脂連結ヒレ部22eは、下方基部22aの内周側となる見込み面において室内側となる縁部に設けたもので、内周側に向けて見付け方向に延在した後、室外に向けて屈曲して延在している。樹脂連結ヒレ部22eの内周側への延在寸法は、下方面材支持ヒレ部22cよりも短い。
【0014】
下枠12の樹脂構成部23は、下方支持板部23a、下方脚板部23b、連結板部23c、下方板状延在部(板状延在部)23dを一体に成形したものである。下方支持板部23aは、見込み方向に沿ってほぼ水平に延在した板状を成すものである。下方脚板部23bは、下方支持板部23aの室内側縁部から内周に向けて見付け方向に延在した板状を成すものである。連結板部23cは、下方脚板部23bの延在縁部から室内に向けて見込み方向に延在した中空状の板状を成すものである。下方板状延在部23dは、連結板部23cの室内側縁部から内周に向けて見付け方向に延在した板状を成すものである。下方板状延在部23dの延在縁部において室外に臨む部分には、室外に向けて突出するようにシール装着用突条23eが設けてある。この樹脂構成部23は、下方支持板部23aを金属構成部22における下方基部22aの内周側に位置する見込み面に当接した場合に連結板部23cが樹脂連結ヒレ部22eの内周側となる見込み面に当接するように構成してあり、連結板部23cを介して樹脂連結ヒレ部22eにネジを螺合することによって金属構成部22に連結してある。金属構成部22に連結した状態の樹脂構成部23は、下方板状延在部23dが樹脂連結ヒレ部22eの見付け方向に延在する部分の延長上となる部分に位置し、かつ下方面材支持ヒレ部22cとの間に面材1の下縁部を収容することのできる隙間を確保した状態で下方板状延在部23dが下方面材支持ヒレ部22cに対向した状態に維持される。
【0015】
図2図4に示すように、縦枠13の金属構成部24は、側方基部24a、側方取付ヒレ部24b、側方面材支持ヒレ部24c、側方押縁装着部24dを一体に成形したものである。側方基部24aは、見込み方向に沿ってほぼ水平に延在する板状を成すものである。側方取付ヒレ部24bは、縦枠13を躯体Bに取り付ける際の取付部となる板状を成すもので、側方基部24aの外周側となる見込み面において見込み方向のほぼ中間となる位置から外周に向けて見付け方向に延在している。側方面材支持ヒレ部24cは、面材1の室外に臨む表面1aを支持するためのもので、側方基部24aの内周側となる見込み面において側方取付ヒレ部24bよりも室外側となる位置から内周に向けて見付け方向に延在している。側方面材支持ヒレ部24cの延在縁部には、室内に臨む部分にシール装着部24eを介してシール部材2が装着してある。側方押縁装着部24dは、側方基部24aの内周側となる見込み面において室内側となる縁部に設けたもので、内周側に向けて開口した溝状を成している。側方押縁装着部24dには、室外側の開口縁部及び室内側の開口縁部にそれぞれ側方押縁係合片24fが設けてある。
【0016】
縦枠13の樹脂構成部25は、側方板状延在部(板状延在部)25a、側方押縁係合板部25bを一体に成形したものである。特に、実施の形態では縦枠13の樹脂構成部25として上枠11の樹脂構成部21と同一形状のものを適用している。すなわち、側方板状延在部25aは、見付け方向に沿って延在する板状を成すものである。側方板状延在部25aの延在縁部において室外に臨む部分には、室外に向けて突出するようにシール装着用突条25cが設けてある。側方押縁係合板部25bは、側方板状延在部25aの外周側となる縁部から室外に向けて漸次外周となるように傾斜延在したものである。側方板状延在部25aと側方押縁係合板部25bとの連結部において外周側となる部分には、係合凹部25dが設けてある。この樹脂構成部25は、側方押縁係合板部25bの延在縁部を側方押縁装着部24dにおいて室外側の側方押縁係合片24fとの間に挿入するとともに、係合凹部21dを室内側の側方押縁係合片24fに係合させることにより、金属構成部24に着脱可能に装着することが可能である。樹脂構成部25を金属構成部24に装着した場合には、側方面材支持ヒレ部24cとの間に面材1の側縁部を収容することのできる隙間を確保した状態で側方板状延在部25aが側方面材支持ヒレ部24cに対向した状態に維持される。
【0017】
上述の上枠11、下枠12、左右の縦枠13によって建具を構成する場合には、図3図4に示すように、下枠12は金属構成部22に樹脂構成部23を連結しておく一方、上枠11、左右の縦枠13は金属構成部20,24からそれぞれ樹脂構成部21,25を取り外した状態とする。この状態から下枠12と、上枠11の金属構成部20及び縦枠13の金属構成部24とを予め連結して枠状体を構成し、この枠状体を躯体Bに設けた開口の内周面に取り付ける。より具体的には、それぞれの取付ヒレ部20b,22b,24bを介して躯体Bの室外に臨む表面にネジを螺合するとともに、それぞれの基部20a,22a,24aのもっとも室内側に位置する部分を介して躯体Bの開口内周面にネジを螺合すれば、枠状体を躯体に取り付けることができる。なお、取付ヒレ部20b,22b,24bを介して躯体Bにネジを螺合した場合には、必ずしも基部20a,22a,24aの室内側に位置する部分にネジを螺合する必要はない。
【0018】
次いで、枠状体の内部に面材1を収容させ、面材1の室外に臨む表面1aを個々のシール部材2を介してそれぞれの面材支持ヒレ部20c,22c,24cに当接させる。このとき、下枠12については、金属構成部22の下方基部22aに予めセッティングブロック4を配置し、面材1の下面をセッティングブロック4の上面に搭載する。また、樹脂構成部23の下方板状延在部(板状延在部)23dに設けたシール装着用突条23eにシール部材2を装着することにより、シール部材2を介して下方面材支持ヒレ部22cと下方板状延在部23dとの間に面材1の下縁部を挟持する。
【0019】
次いで、上枠11、左右の縦枠13については、押縁装着部20d,24dに樹脂構成部21,25を装着するとともに樹脂構成部21,25のシール装着用突条21c,25cにそれぞれシール部材3を装着し、シール部材2,3を介してそれぞれの面材支持ヒレ部20c,24cと樹脂構成部21,25との間に面材1の縁部を挟持する。
【0020】
最後に、躯体Bの開口において枠状体よりも室内側となる部分の四周にそれぞれ額縁31,32,33を設ければ良い。額縁31,32,33は、木製の平板状を成すものである。上方及び両側方に配置する額縁31,33としては、樹脂構成部21,25の板状延在部21a,25aにおいて室内に臨む見付け面の全面を覆うことのできる板厚を有したものを適用している。下方に配置する額縁32としては、樹脂構成部23の下方板状延在部23dにおいて室内に臨む見付け面の全面を覆うことのできる板厚を有したものを適用している。なお、額縁31,32,33については、必ずしも木製である必要はなく、アルミニウム合金等の金属や樹脂によって成形したものを適用しても良い。
【0021】
上記のようにして構成した建具においては、上枠11、下枠12、左右の縦枠13のそれぞれが金属構成部20,22,24及び樹脂構成部21,23,25を有し、かつ樹脂構成部21,23,25を室内に配置しているため、断熱性の点で有利となる。しかも、室内側の樹脂構成部21,23,25は、それぞれ板状を成す板状延在部21a,23d,25aを有し、板状延在部21a,23d,25aを介して面材1の室内に臨む表面1bを支持するとともに、板状延在部21a,23d,25aの室内に臨む見付け面の全面が額縁31,32,33によって覆われた状態にある。従って、樹脂構成部21,23,25において室内に露出する部分は、各板状延在部21a,23d,25aの先端縁のみとなる。換言すれば、上記の建具においては、室内側から見た場合、上枠11、下枠12、左右の縦枠13は、それぞれの板状延在部21a,23d,25aの先端縁以外に外部に露出していない。これにより、この建具によれば、外観品質を向上させることができるとともに、断熱性を向上させることが可能となる。
【0022】
なお、上述した実施の形態では、下枠12の樹脂構成部23として下方支持板部23a、下方脚板部23b、連結板部23c、下方板状延在部23dを一体に成形したものを適用し、かつ連結板部23cを介してネジにより金属構成部22に連結するものを例示しているが、本発明はこれに限定されない。例えば図5に示す変形例1のように、下枠12の金属構成部22において室内側となる部分に押縁装着部22hを構成し、かつこの押縁装着部22hに対して、上枠11や縦枠13と同様の形状を有した樹脂構成部26を着脱可能に装着するようにしても良い。すなわち、この変形例1では、下枠12の金属構成部22として、樹脂連結ヒレ部22eの内周側となる部分に押縁装着部22hを構成し、かつ下枠12の樹脂構成部26として、下方板状延在部(板状延在部)26a、下方押縁係合板部26bを一体に成形したものを適用している。その他、変形例1において実施の形態と同様の構成については同一の符号が付してある。この変形例1においては、実施の形態と同様の効果を奏するばかりでなく、樹脂構成部26を四周で共用化でき、製造コストの面でも有利となる。
【0023】
また、上述した実施の形態では、樹脂構成部21,23,25の板状延在部21a,23d,25aにおいて室内に臨む見付け面の全面を額縁31,32,33によって覆うようにしているが、本発明はこれに限定されず、図6に示す変形例2及び図7に示す変形例3のように、板状延在部の少なくとも一部が額縁によって覆われていれば十分である。
【0024】
すなわち、図6に示す変形例2においては、額縁34として樹脂構成部25の側方板状延在部25aにおいて室内に臨む見付け面の一部を覆うことのできる板厚を有したものを適用している。変形例2においてその他の構成は実施の形態と同様であり、同一の符号が付してある。
【0025】
図7に示す変形例3では、下枠12の金属構成部122として、下方基部22a、下方取付ヒレ部22b、下方面材支持ヒレ部22c、水切りヒレ部22d、下方中空構成板部22j、下方押縁装着部22k、押縁係合ヒレ部22mを一体に成形したものを適用し、下枠12の樹脂構成部123として下方突出板状延在部(板状延在部)123a、下方係合板部123bを一体に成形したものを適用している。金属構成部122の下方中空構成板部22jは、任意の形状で良いが、図示の例では下方基部22aの室内側に位置する縁部から内周側に向けて延在した後、室外側に向けて屈曲し、屈曲した延在縁部が下方面材支持ヒレ部22cの室内に臨む見付け面においてほぼ中間となる位置に連結したものを適用している。下方押縁装着部22kは、下方基部22aの内周側となる見込み面において下方中空構成板部22jよりも室内側となる部分から上方に延在することにより、下方中空構成板部22jとの間に上方に開口した溝状部を構成するものである。押縁係合ヒレ部22mは、下方中空構成板部22jの屈曲部分から上方に向けて漸次室内側となるように延在した板状を成すものである。押縁係合ヒレ部22mの延在縁部は、下方面材支持ヒレ部22cの内周側となる縁部よりも外周側において終端している。樹脂構成部123の下方突出板状延在部123aは、見付け方向に沿って延在した板状を成すものである。この下方突出板状延在部123aは、外周側の縁部を下方基部22aの見込み面に当接させた場合に内周側に位置する縁部が下方面材支持ヒレ部22cの内周側に位置する縁部とほぼ一致する寸法に構成してある。下方突出板状延在部123aの外周側となる縁部には、下方押縁装着部22kに係合可能となる押縁係合部123cが設けてある。下方突出板状延在部123aの内周側となる縁部において室外に臨む部分には、室外に向けて突出するようにシール装着用突条123dが設けてある。下方係合板部123bは、下方突出板状延在部123aの押縁係合部123cを下方押縁装着部22kに係合させた際に押縁係合ヒレ部22mを収容するものである。図示の例では、下方突出板状延在部123aの室外に臨む見付け面において、金属構成部122に設けた押縁係合ヒレ部22mの延在縁部に対応する位置から室内に向けて見込み方向に延在した後、外周側に向けて見付け方向に延在し、さらに室外に向けて見付け方向に延在して下方係合板部123bが構成してある。この樹脂構成部123は、下方突出板状延在部123aと下方係合板部123bとの間に押縁係合ヒレ部22mを挿入するとともに、押縁係合部123cを下方押縁装着部22kに係合させることにより金属構成部122に着脱可能に装着することが可能である。樹脂構成部123を金属構成部122に装着した場合には、下方面材支持ヒレ部22cとの間に面材1の下縁部を収容することのできる隙間を確保した状態で下方突出板状延在部123aが下方面材支持ヒレ部22cに対向した状態に維持される。額縁35として樹脂構成部123の下方突出板状延在部123aにおいて室内に臨む見付け面の一部を覆うことのできる板厚を有したものを適用している。変形例3においてその他の構成は実施の形態と同様であり、同一の符号が付してある。なお、樹脂構成部123については、例えば図中の符号Sで例示するように、金属構成部122との間をネジSによって螺合しても良い。すなわち、押縁となる樹脂構成部123は、金属構成部122に対してネジSを螺合して取り付けるようにしても良い。
【0026】
これら変形例2及び変形例3においても、室内側の樹脂構成部25,123が、それぞれ板状を成す板状延在部25a,123aを有し、板状延在部25a,123aを介して面材1の室内に臨む表面1bを支持するとともに、板状延在部25a,123aの室内に臨む見付け面の一部が額縁34,35によって覆われた状態にあるため、建具の外観品質を向上させることができるとともに、建具の断熱性を向上させることが可能となる。
【0027】
またさらに、上述した実施の形態では、面材1の室外に臨む表面1aを金属構成部20,22,24に一体に設けられた面材支持ヒレ部20c,22c,24cによって支持するようにしているが、本発明はこれに限定されず、図8に示す変形例4及び図9に示す変形例5のように、金属構成部に対して着脱可能となる外押縁(第二の押縁)によって面材を支持するように構成しても良い。
【0028】
すなわち、図8の変形例4では、例えば縦枠13の金属構成部124として、側方基部24aの内周側となる見込み面において見込み方向のほぼ中間となる部分に、側方面材支持ヒレ部24cに代えて、外押縁装着部24gを有したものを適用している。外押縁装着部24gは、内周側に向けて開口した溝状を成すもので、室外側の開口縁部及び室内側の開口縁部にそれぞれ外押縁係合片24hを有している。この外押縁装着部24gには、外押縁40が着脱可能に装着してある。外押縁40は、アルミニウム合金等の金属によって成形した押し出し形材であり、押縁基板部40a、外押縁係合部40bを有している。押縁基板部40aは、見付け方向に沿った平板状を成すものである。押縁基板部40aの内周側に位置する縁部において室内に臨む部分には、外方シール装着部40cを介してシール部材2が装着してある。外押縁係合部40bは、押縁基板部40aの外周側となる縁部から室内に向けて漸次外周となるように傾斜延在したものである。この外押縁40は、外押縁係合部40bを外押縁装着部24gに挿入して係合させることにより、金属構成部124に着脱可能に装着することが可能である。金属構成部124に外押縁40を装着した状態においては、それぞれシール部材2,3を介して外押縁40と樹脂構成部25との間に面材1の縁部を挟持することが可能となる。変形例4においてその他の構成は実施の形態と同様であり、同一の符号が付してある。
【0029】
図9に示す変形例5では、例えば縦枠13の金属構成部224として、側方基部24aの内周側となる見込み面において見込み方向のほぼ中間となる部分に外押縁装着部24jを有したものを適用している。外押縁装着部24jは、内周側に向けて開口した幅広の溝状を成すもので、室内側の開口縁部にのみ外押縁係合片24kを有している。この外押縁装着部24jには、外押縁41が装着してある。外押縁41は、アルミニウム合金等の金属によって成形した押し出し形材であり、押縁基板部41a、外押縁連結板部41bを有している。押縁基板部41aは、見付け方向に沿った平板状を成すものである。押縁基板部41aの内周側に位置する縁部において室内に臨む部分には、外方シール装着部41cを介してシール部材2が装着してある。外押縁連結板部41bは、押縁基板部41aの外周側となる縁部において見込み方向に延在したものである。外押縁連結板部41bの室外側に位置する縁部と押縁基板部41aの室外に臨む見付け面との間には、カバー部材42を装着するためのカバー装着部41dが構成してある。この外押縁41は、外押縁連結板部41bを外押縁装着部24jに挿入して外押縁係合片24kに係合させた後、外押縁連結板部41bを介して金属構成部224の側方基部24aにネジ225を螺合することにより、金属構成部224に着脱可能に装着することが可能である。ネジ225を螺合した後においては、カバー装着部41dにカバー部材42を装着することによりネジ225を覆い隠すことができる。金属構成部224に外押縁41を装着した状態においては、それぞれシール部材2,3を介して外押縁41と樹脂構成部25との間に面材1の縁部を挟持することが可能となる。変形例5においてその他の構成は実施の形態と同様であり、同一の符号が付してある。
【0030】
上述した変形例4及び変形例5によれば、外押縁40,41を金属構成部124,224から取り外すことにより、室内側の額縁33を取り外すことなく面材1の交換を行うことが可能となる。変形例4の外押縁装着部24g及び変形例5の外押縁装着部24jを設ける位置は、必ずしも側方基部24aのほぼ中間となる位置に限らない。
【0031】
なお、上述した実施の形態では、面材の四周に設けられる形材すべてに板状延在部を有した押縁が設けられ、かつ板状延在部の室内に臨む見付け面を額縁によって覆うようにしているが、本発明はこれに限定されず、少なくとも形材の一つに適用されていれば良い。また、縦長の建具であれば縦枠に適用することが好ましく、横長の建具であれば上枠及び下枠に適用することが好ましい。また、押縁として樹脂によって成形したものを例示しているが、押縁を金属によって成形しても良い。さらに、取付ヒレ部を有した形材を例示しているが、取付ヒレ部は必ずしも必要ではない。なお、取付ヒレ部を設ける場合に実施の形態では、見込み方向のほぼ中央となる部分に取付ヒレ部を設けているが、これに限定されない。また、取付ヒレ部よりも室外側となる位置に面材支持ヒレ部を設けるようにしているが、面材支持ヒレ部の位置は取付ヒレ部よりも室内側であっても良い。
【0032】
以上のように、本発明に係る建具は、面材と、前記面材の縁部に設けられる形材とを備える建具であって、前記形材は、前記面材の室内に臨む表面を支持する押縁を備え、前記押縁は、少なくとも内周側に向けて延在する板状の板状延在部を有し、前記板状延在部を介して前記面材の表面を支持するものであり、前記板状延在部は、室内に臨む見付け面の少なくとも一部が額縁によって覆われることを特徴としている。
この発明によれば、板状を成す板状延在部を有した押縁を適用し、かつこの板状延在部を額縁によって覆うようにしているため、室内への露出部が小さくなるため、外観品質の向上を図るばかりでなく、断熱性の点でも有利となる。
【0033】
また本発明は、上述した建具において、前記押縁は、前記板状延在部の室内に臨む見付け面の全面が前記額縁によって覆われることを特徴としている。
この発明によれば、室内への露出が最小限となり、外観品質及び断熱性をさらに向上することができる。
【0034】
また本発明は、上述した建具において、前記形材の室外側となる部分には、前記面材の室外に臨む表面を支持する第二の押縁が設けられていることを特徴としている。
この発明によれば、第二の押縁を着脱することにより、面材を交換する際の作業を容易化することができる。
【0035】
また本発明は、上述した建具において、前記押縁は、樹脂によって成形されていることを特徴としている。
この発明によれば、押縁を金属によって構成した場合に比べて断熱性をさらに向上させることができる。
【0036】
また本発明は、上述した建具において、前記形材は、前記面材よりも室外側となる位置から室内側となる位置までの間に連続して配置される形材本体を備え、前記形材本体の室内側に位置する縁部に前記押縁を装着するための押縁装着部が設けられていることを特徴としている。
この発明によれば、押縁の構造を単純化することができる。
【符号の説明】
【0037】
1 面材、1a,1b 面材の表面、11 上枠、12 下枠、13 縦枠、20,22,24,122,124,224 金属構成部、20d 上方押縁装着部、21,23,25,26,123 樹脂構成部、21a 上方板状延在部、22h 押縁装着部、22k 下方押縁装着部、23d 下方板状延在部、24d 側方押縁装着部、25a 側方板状延在部、26a 下方板状延在部、31,32,33,34,35 額縁、40,41 外押縁、123a 下方突出板状延在部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9