(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106140
(43)【公開日】2024-08-07
(54)【発明の名称】遊技場用システム
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20240731BHJP
【FI】
A63F7/02 337
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023010276
(22)【出願日】2023-01-26
(71)【出願人】
【識別番号】000108937
【氏名又は名称】ダイコク電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】山田 將貴
【テーマコード(参考)】
2C088
【Fターム(参考)】
2C088AA66
2C088BB31
(57)【要約】
【課題】所謂スマート遊技機に対応し、記録媒体のコストを考慮して獲得価値の発行処理を行う場合に、遊技者へストレスを与える虞を低減する。
【解決手段】遊技装置は、遊技玉が残存している状態で発行操作がなされたときに、保有玉が発行基準値に達していれば、第1処理により遊技玉から持玉に変換させ或いはその変換操作を遊技者に促した上で発行処理を行う一方、発行基準値に達していなければ当該第1処理を抑制するので、発行操作前に無駄な計数に関する処理を行う必要性を低減しつつも必要な場合(記録媒体のコストに見合う獲得価値がある場合)に第1処理が行われることで、記録媒体のコストを考慮しつつも遊技者へストレスを与える虞を低減できるようになる。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の遊技機各々と1対1で対応して設けられる遊技装置を備えた遊技場用システムにおいて、
遊技者が遊技により獲得した遊技価値であって、前記遊技機側で管理される遊技機価値から前記遊技装置側で管理される装置価値に変換する第1変換処理を、遊技者による第1変換操作に応じて実行可能である一方、前記装置価値から前記遊技機価値に変換する第2変換処理を実行可能である変換手段と、
遊技者による所定の発行操作に基づいて、前記装置価値を対応付け可能な記録媒体の発行処理を行う発行手段と、
前記遊技機価値と前記装置価値とを合算した合算価値を特定する合算特定手段と、
前記遊技機価値が残存している状態で前記発行操作が行われた場合に、前記合算価値が予め定められた発行基準値に達していれば、前記第1変換処理を実行させるための処理、又は前記第1変換操作を促すための処理である第1処理を実行する一方、前記発行基準値に達していなければ、当該第1処理を抑制する変換関連手段と、を備えた遊技場用システム。
【請求項2】
遊技者が所有する貨幣価値と、対応する遊技機で用いられるレートとは異なるレートの遊技価値である他レート価値と、のうち少なくとも一方である他有価価値を特定する他有価価値特定手段を備え、
前記変換関連手段は、前記合算価値が前記発行基準値に達しておらず前記第1処理を抑制する場合、前記他有価価値が残存していれば、前記第2変換処理を実行させるための第2処理を実行する請求項1に記載の遊技場用システム。
【請求項3】
遊技者が所有する貨幣価値と、対応する遊技機で用いられるレートとは異なるレートの遊技価値である他レート価値と、のうち少なくとも一方である他有価価値を特定する他有価価値特定手段を備え、
前記発行手段は、前記合算価値が前記発行基準値に達しておらず前記第1処理が抑制される場合、前記他有価価値が残存していなければ前記発行処理を抑制する請求項1又は2に記載の遊技場用システム。
【請求項4】
前記変換関連手段は、前記発行操作が行われた場合に、前記合算価値が前記発行基準値に達し且つ前記遊技機価値が予め定められた獲得基準値に達していれば、前記第1処理として前記第1変換操作を促す第1表示を行い、
前記発行手段は、前記第1表示後に前記第1変換操作が行われれば前記発行処理を行う一方、前記第1変換操作が行われなければ前記発行処理を抑制する請求項1又は2に記載の遊技場用システム。
【請求項5】
前記発行手段は、前記第1処理が実行される場合、当該第1処理に伴い前記遊技機価値が残存しなくなったことを条件として前記発行処理を行う請求項1又は2に記載の遊技場用システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技場用システムに関する。
【背景技術】
【0002】
遊技場では遊技価値を貸出すための入金残高や遊技により得た獲得価値を対応付けたカードのような記録媒体を発行し、その記録媒体に基づき入金残高や獲得価値を精算させるようしている。この場合、記録媒体のコストを考慮して、入金残高はあるが獲得価値(例えば計数玉)が基準値に達していなければ獲得価値を全て払出してから入金残高を対応付けて記録媒体を発行することが提案されている(例えば特許文献1の段落0026参照)。
一方で、近年、所謂封入式やメダルレス遊技機等のスマート遊技機が市場に出回りつつあるが、スマート遊技機では所謂遊技玉やクレジットといった遊技機側が主に管理する遊技機価値と、上記した記録媒体に対応付けられる発行価値とに獲得価値が区分される。そして、遊技終了時に遊技機価値が残されたまま発行される虞を考慮して、遊技機価値が残存しないことを記録媒体の発行条件とする遊技場用システムも考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
さて、上記のように遊技機価値が残存しないことを記録媒体の発行条件とした場合、その発行時に遊技機価値を発行価値に移行する所謂計数処理を促すことや行うことが想定される。この場合、記録媒体のコストを考慮して特許文献1の構成を取り入れるものとすれば、発行前に計数処理を行ったにも拘わらず、発行価値が基準値に達していなければ遊技価値を払出す代わりに遊技機価値へ戻すことになり、遊技者が発行前の計数処理を無駄に感じてストレスとなる虞が生じ得る。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、所謂スマート遊技機に対応し、記録媒体のコストを考慮して獲得価値の発行処理を行う場合に、遊技者へストレスを与える虞を低減した遊技場用システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、複数の遊技機各々と1対1で対応して設けられる遊技装置を備えた遊技場用システムにおいて、
遊技者が遊技により獲得した遊技価値であって、前記遊技機側で管理される遊技機価値(例えば遊技玉)から前記遊技装置側で管理される装置価値(例えば持玉)に変換する第1変換処理(例えば
図7のS6,S15の計数処理)を、遊技者による第1変換操作(例えば計数釦20での計数操作)に応じて実行可能である一方、前記装置価値から前記遊技機価値に変換する第2変換処理(例えばS11の再プレイ処理)を実行可能である変換手段(例えば制御部40)と、
遊技者による所定の発行操作(例えば返却釦18での発行操作)に基づいて、前記装置価値を対応付け可能な記録媒体の発行処理を行う発行手段(例えば制御部40)と、
前記遊技機価値と前記装置価値とを合算した合算価値を特定する合算特定手段(例えば制御部40)と、
前記遊技機価値が残存している状態で前記発行操作が行われた場合に、前記合算価値が予め定められた発行基準値(例えば25玉)に達していれば、前記第1変換処理を実行させるための処理(例えば
図7のS5,S6,S8,S15,S16の計数処理に係る処理)、又は前記第1変換操作を促すための処理(例えばS7の計数確認表示に係る処理)である第1処理を実行する一方、前記発行基準値に達していなければ、当該第1処理を抑制する変換関連手段(例えば制御部40)と、を備える。
【0007】
上記構成によれば、例えば遊技玉が残存している状態で発行操作がなされた場合に、保有玉が発行基準値に達していれば、第1処理により遊技玉から持玉に変換させ或いはその変換操作を遊技者に促した上で発行処理を行う一方、発行基準値に達していなければ当該第1処理を抑制するので、所謂スマート遊技機に対応し、記録媒体のコストを考慮して獲得価値の発行処理を行う場合に、遊技者へストレスを与える虞を低減できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一実施形態における遊技場用システムの構成を示す概略図
【
図5】遊技装置において表示される画面を例示する説明図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、一実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、遊技場用システムの全体構成を示す概略図である。遊技場内には多数の遊技機1が設置されており、それら遊技機1各々と1対1で対応して、遊技装置2及び情報表示装置3が付設されている。
遊技機1、遊技装置2及び情報表示装置3は、2台ずつ中継装置4に接続され、中継装置4は、LAN5を介して管理装置6と接続されている。管理装置6は、遊技機1における遊技状況を示す遊技情報を受信することにより、遊技機1毎に遊技情報を管理する。この場合、遊技機1における遊技情報は、当該遊技機1側から遊技装置2、中継装置4を順次経由して管理装置6にて受信される。一方、管理装置6において設定される、後述する遊技装置2の各種設定情報は、当該管理装置6側から中継装置4を経由して遊技装置6にて受信される。
【0010】
遊技場には、景品交換端末(以下、POS)7や、図示しない精算機も設置されており、LAN5を介して管理装置6と接続されている。
POS7は、遊技装置2で発行された会員カード10aや一般カード10bといったICカード10(
図3参照)により特定される持玉や貯玉等の遊技価値に基づいて景品交換処理を実行する。POS7は、景品交換処理する場合、遊技者が獲得した持玉や持メダルをICカード10から読取ったり、景品交換を希望する会員を特定することで当該会員としての遊技者が遊技場へ預入れた貯蓄価値(貯玉、貯メダル)を管理装置6からオンラインで取得することで景品交換可能な遊技価値を特定したりする。
【0011】
図示は省略するが、前記精算機は、ICカード10がカード挿入口に挿入されると、挿入されたICカード10を受付け当該ICカード10に記録されている入金残高(貨幣価値、以下「残高」と略す場合がある)をカードリーダ(図示せず)により読取り、その読取った残高に対応する紙幣や硬貨を返却口から返却する。また、精算機には、紙幣が投入される紙幣投入口が設けられており、ICカード10に記録されている入金残高に投入金額を加算可能となっている。
【0012】
ICカード10としての、会員カード10aと一般カード10bは、何れも図示しないICチップが内蔵され、遊技価値と残高(貨幣価値)とを特定可能な記録媒体である。このうち、一般カード10bは、不特定多数の一般遊技者に対して発行される一般記録媒体であり、予め会員登録を行った会員に対して発行される会員カード10aと区別する。以下では説明の便宜上、「カード10b」というとき一般カード10bを指すものとする(ICカード10について一般カード10bを中心に説明する)。
【0013】
図1に示す管理装置6は、遊技場内の例えば事務室等に設置されており、遊技場の管理者が操作するキーボード14、モニタ15、図示しないプリンタ等が接続されている。
図1では図示を省略したが、実際には例えば数百台の遊技機1が管理装置6の管理対象となっている。管理装置6は、遊技場内に設置された遊技機1、遊技装置2、POS7、精算機等の稼動状況を管理する。
【0014】
続いて、遊技機1及び遊技装置2について説明する。
本実施形態の遊技機1は、所謂封入式のパチンコ機を例とする。遊技機1は、遊技者が所有する残高や、持玉、貯玉を換算した遊技玉を記憶・管理している管理遊技機であり、その記憶している遊技玉が残っていることを条件として内部のパチンコ玉を発射装置に供給して盤面に発射し、入賞して遊技者が遊技玉を獲得すると、遊技玉を払出すことなくデータ上の獲得玉として加算するといったように、その増減につき主となって管理する。
遊技機1各々において、遊技者が遊技により獲得した遊技価値であって、遊技機1側で主として管理される遊技玉を遊技機価値とも称し、遊技装置2側で主として管理される持玉を装置価値とも称する。また本実施形態では、それら遊技機価値及び装置価値を合わせた(遊技玉と持玉とを合算した)保有玉を合算価値とも称する。
【0015】
図2に示すように、遊技機1は、パチンコ玉が発射される盤面1a、発射装置を構成する操作ハンドル16、残高を遊技玉に換算するための貸出釦17、会員カード10aや一般カード10bを発行するための返却釦18、残高を表示する残高表示部19、遊技玉を持玉に換算するための計数釦20、遊技玉数を表示する遊技玉表示部21を有する。盤面1aには、普図表示部22、普図保留表示部23、特図表示部24、普図入賞口25、一般入賞口26,27、第1保留数表示部28、第2保留数表示部29、第1始動口30、第2始動口31、大入賞口32を有する。また、計数釦20及び遊技玉表示部21の下方に、装飾用パネル33を有する。
【0016】
遊技機1は以下のように動作する。
(1)第1始動口30は入賞率が変動しない入賞口(所謂ヘソ入賞口)であり、第2始動口31は入賞率が変動する入賞口(所謂電チュー)である。各始動口30,31への入賞(始動入賞)に応じて大当り抽選を行い、抽選結果を特図表示部24にて行う図柄変動(単位遊技)にて報知し、その変動結果に応じて大当りとなる。
(2)図柄変動中に始動入賞した場合には所定の保留上限値(例えば各4つ)まで図柄変動を累積的に保留し、図柄変動終了後に保留している図柄変動を開始する。なお、保留している図柄変動数(保留数)が上限値である状態で始動入賞した場合、図柄変動は保留されない。
【0017】
(3)遊技機設定値(モード)が6段階で設けられている。このモードにより、
図4のモード別スペック値に例示する通り、大当り抽選の当選確率(大当り確率)を通常遊技状態(通常状態、通常)と確変状態(確変状態、確変)とを対象として調整可能となっている。大当りがその後に確変となる大当り(確変大当り)となる割合である確変率(例えば66%で全モード共通)も定められている。また、通常状態と確変の大当り確率は、高設定ほど高い確率に設定されているが、当該大当り確率をモードにより不変とする一方、確変率を調整可能とするように、通常状態と確変の大当り確率や確変率、後述するラウンド振分率等の少なくとも1つがモードにより調整可能であればよい。
【0018】
(4)大当りが発生すると対応するラウンド(R)分だけ大入賞口32を開放する。1Rの上限入賞数は10個、上限開放期間は30秒であり、上限入賞数又は上限開放期間の何れか満たされた場合に1Rを終了する。対応するラウンドも大当り抽選と同様に抽選され、その振分率は、第1始動口30に入賞した場合は、2Rが10%、8Rが50%、15Rが40%であるが、第2始動口31に入賞した場合は、8Rが10%、15Rが90%であり、入賞に応じた図柄変動の保留消化優先順位は第1始動口30よりも第2始動口31の方が高く設定される。
【0019】
(5)確変中は大当り確率が向上すると共に、第2始動口31の入賞率が高くなる時短状態(時短)になる。また、確変大当りでない大当り(通常大当り)が発生した場合は大当り後に確変でない時短(単独時短)となり、所定の時短回数(例えば100回)分の図柄変動を行うか大当りが発生するまで時短を継続し、大当りが発生せずに時短回数分の図柄変動を行うと通常状態に戻る。
【0020】
(6)第2始動口31は普図入賞口25への入賞に応じて変動する普通図柄(普図)が当りとなった場合に通常の状態よりも入賞率の高い開放状態となる。この場合、普
図1回の変動期間は通常状態では30秒であり、時短状態では3秒である。又、開放期間は通常状態では0.3秒であり、時短では5秒である。即ち、時短では通常状態と比較して普図変動期間が短くなる一方、開放期間が長くなることで開放状態になり易くなり、第2始動口31の入賞率が高くなる。
【0021】
(7)大入賞口32や第2始動口31が盤面1aの右側にあることから時短中や大当り中には盤面1aの右側を狙って打つ所謂右打ちが行われる。以上は機種Aを例にして説明したが、例示した値は例えば機種Bであればラウンドの振分が異なる等、機種に応じて様々な値となり、遊技性も異なる。また、遊技機1の構成については、カード10の発行時に操作される返却釦18を遊技装置2側に設ける等、適宜変更しうるものである。
【0022】
遊技機1は、遊技者による玉の打ち込みや各始動口30,31への始動入賞等の遊技の進行に伴って、以下に示すデータ項目を出力する。
・アウト=前回データ送信時からの消費(使用、打込)価値(アウト)を1玉単位で示すデータ項目。
・セーフ=前回データ送信時からの入賞に応じて付与された入賞付与価値(セーフ)を1玉単位で示すデータ項目。
【0023】
・S入賞(回数)=前回データ送信時からの始動入賞(S入賞)を1回単位で示すデータ項目。
・スタート(回数)=前回データ送信時からのS入賞により作動(変動)する役物(特図表示部24)のスタート(図柄変動数、役物作動数、単位遊技数)を示すデータ項目。確定した時点で計数されるが、開始した時点で計数してもよい。
・作動中(状態)=データ送信時に図柄変動中等の役物が作動中であればON、非作動中ならOFFを示すデータ項目であり、ONとなってからOFFとなるまでの期間が役物作動中として特定される。
【0024】
・大当り(回数)=前回データ送信時から発生した大当り数を1回単位で示すデータ項目。発生した時点で計数されるが、終了した時点で計数してもよい。
・大当り(状態)=データ送信時に大当り状態の発生中であればON、大当り状態の発生中でなければOFFを示すデータ項目であり、ONとなってからOFFとなるまでの期間が大当り中として特定される。
【0025】
・甘中(状態)=データ送信時に、特別状態中(甘中)或いは大当り状態の発生中であればON、それ以外であればOFFを示すデータ項目であり、ONとなってからOFFとなるまでの期間が甘中或いは大当り中として特定される。例えば甘中(状態)がONの場合、大当り(状態)がONであれば大当り中、OFFなら甘中と特定される。また、大当り(状態)と甘中(状態)のいずれもOFFであれば通常状態と特定される。なお、大当り中では、甘中が必ずしもONにならなくてもよい。甘中は、上記した時短や確変といった特別状態に対応しており、甘中或いは大当り中は、特賞中に相当する。
【0026】
・遊技玉数=遊技機1にて記憶している遊技玉数であって、当該遊技機1での遊技に使用可能な遊技玉の数を1玉単位で示すデータ項目。
上記のデータ項目は、これを特定可能な電文のようなデータ信号として、前回送信時からの累計データ(更新データ)が遊技機1から遊技装置2に対し一定間隔(例えば200ミリ秒毎)で送信され、上記のデータ項目以外の不正情報等も出力対象となる。
【0027】
図2に示すように、遊技装置2は、遊技機1の遊技状態や遊技装置2の状態を示す状態表示灯34、貨幣(貨幣価値)が投入される貨幣投入口35、遊技者からの操作入力を受付けると共に後述する各種の遊技データを表示するタッチパネル式の液晶表示部36、持玉(会員であれば貯玉も含む)を払出すための遊技釦37、会員カード10a或いは一般カード10bが挿入されるカード挿入口38、遊技者の顔を含む上半身を撮影するカメラ39(
図2では保護カバーのみ図示)、従業員が携帯して操作する従業員リモコン42(
図1参照)からの信号を受信するリモコン受光部41等を有する。
【0028】
図3の機能ブロック図は、遊技装置2の構成を中心に示している。遊技装置2の制御部40は、CPU40a、ROM40b、RAM40c、I/O40d等を有するマイクロコンピュータを主体に構成されている。
制御部40に接続された周辺部としては、上記した状態表示灯34を構成するLED、液晶表示部36及び当該表示部36上に設けられたタッチパネル36a、遊技釦37、リモコン受光部41を含むとともに、管理装置6や遊技機1との間で各種信号や各種データを送受信するI/F部40e、貨幣投入口35に投入された紙幣の真贋を判定する紙幣処理部35a、カード挿入口38に挿入されたカード10a,10bに記録されている各種情報を読取ったり、書込んだりするカードRW(リーダライタ)38a、最大10枚の一般カード10bをストック可能なカードストック部38b等を含む。
【0029】
遊技装置2は以下のように動作する。
(1)貨幣を受付けると(貨幣受付処理)、遊技機1と遊技装置2との双方に入金額を残高に加算して表示し、残高がある状態で遊技機1の貸出釦17の押下(貸出操作)が行われると、貸出1単位(例えば125玉)分を貸出玉として遊技機1の遊技玉を加算し(貸出処理、対価付与処理)、レートに応じた対価分を残高から引落とす。
なお、貨幣は複数回の対価付与処理の対応分を受付可能である(例えば1万円まで)。また、レートには、例えば貸出単価が1玉4円の4円レートや、1玉1円の1円レートといった複数種別のものがある。このうち、対応する遊技機1で用いられるレート(例えば4円レート)とは異なるレート(例えば1円レート)の遊技価値を他レート価値とも称し、係る他レート価値と、残高と、のうち少なくとも一方を他有価価値とも称する。
【0030】
(2)遊技機1では遊技玉を管理しており、盤面1aへの玉の打出し(使用)に応じて遊技玉を減算し、入賞に応じて遊技玉を加算する。遊技装置2は持玉を管理し、持玉は直接的には遊技に使用できないが、遊技釦37の押下(再プレイ操作、付与操作)に応じて払出1単位分の持玉を遊技玉に変換する付与処理(再プレイ処理)を行う。この場合、換算率を別途設けてもよい(次の計数処理についても同様)。
再プレイ処理は、変換手段としての制御部40により持玉から遊技玉に変換する第2変換処理である。また、制御部40は、遊技玉が基準値に達しなくなったが持玉は残存している場合に再プレイ操作を伴うことなく再プレイ処理を実行するようにしてもよい。
【0031】
(3)遊技に応じて遊技機1の遊技玉が増加した場合、遊技機1の計数釦20の押下(計数操作)に応じて遊技玉を持玉へ変換する計数処理を行う。この場合、1回の押下に応じて1玉を換算対象とするが、押下した状態を継続させると連続的、且つ加速的に換算可能となる。
このように、計数処理は、変換手段としての制御部50及び計数釦20により遊技玉から持玉に変換する第1変換処理であり、遊技者による計数釦20での計数操作(第1変換操作)に応じて実行可能である。
(4)計数処理により遊技玉と持玉とを更新し、遊技装置2では残高が0の状態(貨幣価値が残存する状態)或いは持玉が残存する状態で遊技機1の返却釦18を押下するといった発行操作を行うと、その残高や持玉を特定可能な一般カード10bを発行する(発行処理)。このように、制御部40及び返却釦18は発行手段として機能し、遊技者による返却釦18の押下(所定の発行操作)に基づいて、残高や持玉を対応付け可能な記録媒体の発行処理を行わしめる。
【0032】
(5)一般カード10bが挿入口38に挿入されている状態で返却釦18が押下されたときには、その挿入口38に挿入されている一般カード10bに残高及び持玉の情報を記録して発行し、一般カード10bが挿入口38に挿入されていない状態で返却釦18が押下されたときには、カードストック部38bにストックしているカード10bをカードRW38a側に繰出して残高及び持玉を記録する(対応付ける)ことで、一般カード10bとして挿入口38外側へ繰り出して発行する(発行処理)。一般カード10bを発行すると、自装置2を特定可能な情報(遊技装置ID)、発行した一般カード10bを特定可能な情報(カードID)、一般カード10bに記録した残高や持玉の情報等を含む発行情報を管理装置6に送信する。また、必ずしもカード10bに残高や持玉を直接的に記録する必要はなく、例えばカード10bに記録されるカードIDにより管理装置6へ残高や持玉を問合わせるような構成であれば、持玉や残高を特定可能な情報はカードIDとなるので、残高や持玉を直接的に記録する必要はなくなる。即ち、記録媒体に残高や持玉等を対応付ければどのような対応付けを採用してもよい。なお、残高や持玉の一部を発行対象とする分割発行も可能とする。
【0033】
(6)発行処理には遊技機1における遊技玉に応じた発行条件が設けられている。例えば、一般カード10bの発行条件は、残高が予め定められた残高基準値(貨幣価値が残存しない旨を判定するための基準値、例えば1円)に達していない場合、保有玉が予め定められた発行基準値(発行処理を行うために必要な保有玉数の基準値、例えば25玉)に達していることを条件とする。このため、例えば残高が0で貨幣価値が残存しない場合に、保有玉が25玉に達していなければ発行操作に応じて発行処理を行わない(抑制する)。この場合、その旨を注意表示してもよいし、従業員の認証を条件として従業員リモコン42を用いた発行処理を行ってもよい。
【0034】
(7)遊技機1から送信される遊技情報には、遊技への使用や計数処理等により遊技玉が「0」になった旨の情報(遊技玉数に係る情報)も含むことから、遊技装置2における、発行条件の成否の判定や、遊技玉並びにこれと持玉を合算した保有玉の特定(管理)をも可能としている。なお、持玉が主に遊技装置2にて管理されている点に関して、遊技装置2では管理装置6や従業員リモコン42からの指令操作や自装置2自体への操作入力等により持玉をクリアすることや発行処理の対象とすることは可能だが、遊技玉をクリアすることや発行処理の対象とすることは不能としていること等を例示できる。
【0035】
(8)中継装置4とのシリアル通信により管理装置6にて貨幣受付処理や対価付与処理、残高や持玉、貸出玉数、換算(変換)玉数、入金額、計数玉数や貸出玉数や貸出玉の対価となる売上額、及び持玉券(カード10b)の受付や発行処理等の各種情報を特定可能とするが、これらをパルス信号(例えば入金1000円毎に1パルス、売上100円毎に1パルス等)にて特定可能としてもよい。
【0036】
(9)従業員リモコン42からの指令をリモコン受光部41で受信(受光)し、指令内容に応じた各種処理(エラー解除や前記発行処理の認証等)を実行する。
上記したように、遊技装置2の制御部40は、対応する遊技機1側で管理される遊技玉(遊技機価値)と、持玉(装置価値)とを合算した保有玉(合算価値)を特定する合算特定手段として機能する。また、制御部40、カードRW38a、カード挿入口38及び貨幣投入口35は遊技装置2各々に設けられ、カード10b或いは貨幣価値を受付けて、遊技者が所有する貨幣価値を示す残高と、前記他レート価値と、の双方を特定可能な他有価価値特定手段として機能する。
【0037】
さて、「発明が解決しようとする課題」で述べたように、保有玉の全てを発行対象にすべく計数処理を行ってもカードコストに見合わない持玉しかないカード10bを発行し、その残高を精算した場合、残りの持玉の返却手段がなくなるので、発行処理の際、予め再プレイ処理により計数した遊技玉を再変換して持玉が残存しない状態にする必要がある。そうすると先の計数処理が無駄になり、遊技者のストレスになる虞がある。
【0038】
そこで、本実施形態の遊技装置2の制御部40は、遊技玉が残存している状態で発行操作が行われた場合に、保有玉が前記発行基準値(例えば25玉)に達していれば、計数処理(第1変換処理)を実行させるための処理、又は例えば計数釦20での計数操作を促すための処理である第1処理を実行する一方、発行基準値に達していなければ、当該第1処理を抑制する変換関連手段として構成されている。
なお、残存するとの判定は遊技玉、持玉、保有玉、貨幣価値とその残存基準値(例えば「1」)とを比較することで判定すればよいが、例えば「5」のような仮に遊技場が取込んでも大きなクレームとならない1以外の数値を基準値としてもよいし、0であるかどうかといった直接的に残存するかを判定することで特定してもよい。また、本実施形態では第1処理として、例えば第1変換操作を促す第1表示(
図6参照)を行うものとする。
以下では、「1.表示部における表示画面と第1表示」について、液晶表示部36を「表示部36」、制御主体としての制御部40を単に「遊技装置2」と称し、
図5、
図6も参照しながら詳述する。
【0039】
<1.表示部における表示画面と第1表示>
図5は、遊技装置2の表示部36に表示される各種画面51,52の一例を示している。
同図中、左端に示す画面51は、例えば開店時のように遊技装置2において残高がなく且つ保有玉もなく、新たな遊技者による遊技を待つ遊技開始前の待機画面51を示している。待機画面51には、当該遊技装置2における種別「4円貸」・単位付与数「125玉」を表す欄51aと、「紙幣を投入できます」として貨幣を投入口35へ投入するイメージ画像を表す欄51Tが設けられている。
【0040】
このように、待機画面51では、次の遊技に向けた待機用の表示画面であり、対応する遊技機1で用いられるレート(同欄51aでは4円レート)も表示される。遊技装置2は、待機画面51の表示中に貨幣が投入口35から投入されて、これを残高として特定した場合に、待機画面51から一般カード画面52に遷移する。
【0041】
遊技装置2は、一般カード画面52を表示している場合、残高や持玉と一般カード10bを対応付けており、例えば上記した貨幣の投入により待機画面51から当該一般カード画面52に遷移したときには、カードストック部38bにストックしているカード10bをカードRW38a側に繰り出して、残高として対応付ける。
【0042】
それ故、一般カード画面52は、同
図5に示す種別・単位付与数を表す欄51aの他、「一般カード」を表す欄52cにおいて「入金残高」たる残高と、「持玉」或いは「保有玉」とを表す欄52M,52Hが設けられるとともに、「遊技台の計数ボタンで玉を計数」する旨を説明する欄52bと、その「持玉払出」が可能であることを表す欄52dが設けられている。
同図における「持玉」の文字部分の欄52Mと、「保有玉」の文字部分の欄52Hは夫々タグ釦となっており、そのタグ釦のタッチ操作に応じて持玉と保有玉の選択的な表示を可能としている。なお、同図では「1000玉」の「保有玉」を表示し、白抜き文字の「持玉」を非表示としたものを例示している。
【0043】
こうして、遊技者は、持玉と保有玉の双方を把握することができ、例えば持玉があっても遊技玉がなければ(遊技できないため)、遊技釦37の押下により持玉を遊技玉に変換する再プレイ処理を行う。勿論、残高があれば貸出釦17の押下により残高を遊技玉に変換する貸出処理を行えばよい。一方、遊技玉があっても持玉がなければ発行処理を行えないが、計数釦20の押下により遊技玉を持玉に変換する計数処理を行えばよいし、分割発行が行われたときには遊技玉が残存していても一般カード10bの発行が許容される。
【0044】
このため、遊技装置2では、こうした再プレイ処理、貸出処理、計数処理、分割発行処理といった有価価値が増減する処理に伴い、当該処理後に残った有価価値に応じた値を示す画面52が表示され、有価価値(残高と保有玉を含む)が残らなければ待機画面51が表示される。
なお、貸出操作時の釦17と再プレイ操作時の釦37とを別個の釦として異ならせたが、上述した通り再プレイ操作を伴うことなく(自動で)再プレイ処理を行うのであれば、例えば遊技釦37を設けずに、或いはそれら釦17,37を一個の共通釦として遊技装置2に設けるように構成してもよい。後者の共通釦の構成では、これを操作することで条件(例えば、持玉→残高→再プレイといった優先順位で、その優先順位の高い有価価値から処理対象とする)に応じた処理を行うようにしてもよい。
【0045】
そして、遊技装置2(変換関連手段)は、例えば遊技玉が残存し上記の一般カード画面52を表示している状態で、返却釦18での発行操作が行われた場合に、保有玉の値(同画面52の保有玉の欄52H参照)が例えば前記発行基準値の25玉に達し且つ遊技玉が予め定められた獲得基準値(例えば100玉)に達していれば、同画面52から
図6の計数確認表示画面62に遷移して第1表示を行い、計数釦20での計数操作を促す第1処理を実行する。
【0046】
即ち、残高或いは保有玉が対応する発行基準値(例えば1円或いは25玉)に達している場合、遊技玉について獲得基準値(遊技玉が端数であるか否か判定するための遊技玉基準値(
図7のS3或いはS14参照))を基に判定を行う。これにより、遊技玉が獲得基準値である例えば100玉に達していると判定され、端数とはいえないようなケースでは、その計数操作を促す計数確認表示画面62を表示させる。
【0047】
図6の右側に示すように、計数確認表示画面62では、種別・単位付与数や保有玉等を表す欄51a,52M,52Hの他、「遊技玉が多数あります。発行する場合、遊技台の計数ボタンを操作して遊技玉を0にしてください。」とのメッセージ欄62aと「キャンセル」釦60が設けられている。
よって、遊技装置2では、計数確認表示画面62の表示後に(第1表示後に)、計数釦20での計数操作が行われることにより、遊技玉が残存基準値1に達しなくなったら発行処理を行う(待機画面51に遷移する)。残存基準値1は、遊技玉が残存しない旨を判定するための基準値(例えば1玉)である(
図7のS16参照)。一方、計数操作が行われることなく計数確認表示画面62のキャンセル釦60でキャンセル操作が行われ、或いは計数操作が途中で(遊技玉が1玉になる前に)止められたら、前記発行処理を抑制し一般カード画面52に遷移する。
【0048】
なお、残存基準値1は1玉に限らず、又、第1表示は計数操作を促すものであるため、計数確認表示画面62に代わる第1表示として、同図の計数確認表示画面61を表示してもよい。計数確認表示画面61のメッセージ欄61aには、「遊技玉が多数あります。発行する場合、遊技台の計数ボタンを操作してください。」と表示される。これは、計数釦20での計数操作により遊技玉が1玉になるまで或いはキャンセル釦60でキャンセル操作が行われるまで、計数操作を続けて行うように表示してもよい。
【0049】
上記した計数確認表示画面62の表示に係る処理は、保有玉が発行基準値に達し且つ遊技玉が獲得基準値に達していることを前提に、第1処理として計数操作を促す第1表示を行うものである。
また、保有玉が発行基準値に達していても遊技玉が獲得基準値(例えば100玉)に達していなければ、計数確認表示画面62を表示させることなく、そのまま計数処理を自動で行う処理(第1変換処理を実行させるための処理)を第1処理として実行し、これにより遊技玉が残存基準値に達しなくなったら発行処理を行う。
【0050】
他方、上記した保有玉等の有価価値について、対応する前記レートが例えば4円レートのとき、それ以外の1円レートといった他レート価値や残高は、他有価価値ということができる。なお、本実施形態では他レート価値は保有玉の対象から除外しているが、対象に含めてもよい。詳しくは以下のフローチャート以降で説明するように、保有玉が発行基準値に達しておらず第1処理が抑制される場合、他有価価値の何れかが残存していれば、再プレイ処理を実行させるための第2処理を実行し、残存していなければ発行処理を抑制する。
【0051】
例えば、保有玉が25玉に達していないため計数処理が自動で行われず、又、計数確認表示画面62の表示も行われない場合、残高としての貨幣価値が残高基準値に達していれば、持玉について残存基準値2(
図7のS10参照)を基に判定を行う。残存基準値2は、持玉が残存しない旨を判定するための基準値(例えば1玉)であり、その残存基準値2に持玉が達していなければ発行処理を行う一方、達していれば再プレイ処理により自動で遊技玉に変換してから発行処理を行うようになっている。
以下のフローチャートでは、上記した計数確認表示画面62による第1表示を含む第1処理や、他有価価値として残高に基づき再プレイ処理を実行させるときの第2処理を含む各々の処理パターンについて説明する。
【0052】
<2.発行処理と変換関連手段による処理の流れ>
図7のフローチャートは、遊技装置2により所定周期で繰り返し実行される処理の流れを示しており、同図のS1,S2,…は各ステップを示している。なお、同図のS3,S14に示す「遊技玉基準値」は、上記の如く獲得基準値(例えば100玉)に相当するものではあるが、少量しかないと判定するための指標となるものであればよく、例えば1000玉を超える値に設定する等、レート等に応じて適宜変更されるものとする。
【0053】
遊技装置2は、待機フローとして返却釦18での発行操作が行われたか(S1:No)を判定する処理を実行する。遊技装置2は、返却釦18での発行操作が行われたと判定すると(S1:Yes)、残高が残高基準値(例えば1円)に達しているか否かを判定する(S2)。
ここで、遊技装置2は、残高が0で貨幣価値が残高基準値に達していないと判定した場合(S2:No)、保有玉が発行基準値(例えば25玉)に達しているか否かを判定し(S13)、保有玉も発行基準値に達していなければ(S13:No)リターンする。このように、貨幣価値が残存せず保有玉も25玉に達していない状態で発行操作が行われた場合、発行処理が抑制されるが、表示部36でのエラー画面(図示略)の表示によりエラー報知してもよい。
【0054】
一方、遊技装置2は、保有玉が発行基準値に達していると判定した場合(S13:Yes)、遊技玉が獲得基準値(遊技玉基準値:例えば100玉)に達しているか否かを判定する(S14)。そして、遊技装置2は、遊技玉が獲得基準値に達していると判定した場合(S14:Yes)、第1処理として計数確認表示画面62を表示させて第1表示を行う(S7、
図6参照)。これにより、計数操作が促されて遊技者による計数釦20での第1変換操作が行われれば(S8:Yes)、これに伴い計数処理を実行する(S15)一方、同画面62においてキャンセル釦60でキャンセル操作が行われれば(S9:Yes)リターンする。
【0055】
また、S15での計数処理は、遊技玉が残存基準値1(例えば1玉)に達しなくなるまで行われ(S16:Yes)、達しなくなったら(S16:No)、発行処理を行い(S17)、リターンする。このときの計数処理は、計数釦20が押下されている間に限り行ってもよいし、特別計数処理として一度の押下で残存基準値1に達しなくなるまで行ってもよい。何れにしても、係る計数操作である第1変換操作が行われなければ(S8:No)、キャンセル操作により(S9:Yes)発行処理は抑制されることとなる。
【0056】
前記S14において遊技玉が獲得基準値に達していない場合は(S14:No)、計数処理を行い(S15)、上記S16,S17の如く当該遊技玉が残存基準値1に達しなくなったら発行処理が行われる。この場合、計数処理が遊技機主導で行われるのであれば遊技機1に対して計数処理を行うように遊技装置2から指示するようにすればよい。更に計数操作が必要となる場合も想定できるので、遊技装置2から指示する代わりに計数確認表示画面62のような計数処理を促す報知を表示部36等で行ってもよく(この場合、遊技玉が遊技玉基準値に達していなければ計数確認表示画面61、達していれば計数確認表示画面62を表示するといった使分けを行ってもよい)、以下のS5でも(計数処理S6の前のステップ)でも同様とする。
【0057】
一方、前記S2において、残高が残高基準値に達している場合(S2:Yes)、遊技装置2は、遊技玉が獲得基準値に達しているか否かを判定する(S3)。これにより、遊技装置2は、遊技玉が獲得基準値に達していると判定した場合(S3:Yes)、計数確認表示画面62を表示させて(S7)、計数確認表示を行う等、上記のS7~S9或いはS7,S15~S17が実行されることとなる。
【0058】
また、遊技装置2は、遊技玉が獲得基準値に達していないと判定した場合(S3:No)、保有玉が発行基準値に達しているか否かを判定する(S4)。これにより、遊技装置2は、保有玉が発行基準値に達していると判定した場合(S4:Yes)、遊技玉が残存基準値1に達しなくなるまで(S5:Yes)自動で計数処理を行う(S6)。係るS5,S6(或いは前記S8,S15,S16)は、第1変換処理を実行させるための処理(第1処理)として実行され、遊技玉が残存しなくなったら(S5:No)、発行処理を行う(S12)。このように、第1処理が実行される場合、当該第1処理に伴い遊技玉が残存しなくなったことを条件として発行処理が行われる(S5,S12或いはS16,S17)。
【0059】
一方、遊技装置2は、保有玉が発行基準値に達していなければ(S4:No)、持玉が残存基準値2(例えば1玉)に達しなくなるまで(S10:Yes)自動で再プレイ処理を行う(S10)。この場合、第1変換処理を実行させるための処理(S5,S6,S15,S16)、又は第1変換操作を促すための計数確認表示画面62の表示処理(S7)である第1処理は行われることなく(抑制され)、再プレイ処理により持玉が残存しない状態となったら(S10:No)、発行処理を行う(S12)。
【0060】
以上説明した実施形態によれば、次のような効果を奏する。
遊技装置2は、遊技玉が残存している状態で発行操作が行われた場合に、保有玉が予め定められた発行基準値(例えば25玉)に達していれば、第1変換処理を実行させるための処理(例えば
図7の計数処理に係るS5,S6,S8,S15,S16)、又は第1変換操作を促すための処理である第1処理(例えば計数操作を促すための表示処理に係るS7)を実行する一方、発行基準値に達していなければ、当該第1処理を抑制する変換関連手段として構成されている。
【0061】
これによれば、遊技玉が残存している状態で発行操作がなされた場合に、保有玉が発行基準値に達していれば、第1処理により遊技玉から持玉に変換させ或いはその変換操作を遊技者に促した上で発行処理を行う一方、発行基準値に達していなければ当該第1処理を抑制するので、発行操作前に無駄な計数に関する処理を行う必要性を低減しつつも必要な場合(カード10bのような記録媒体のコストに見合う獲得価値がある場合)に第1処理が行われることで、記録媒体のコストを考慮しつつも遊技者へストレスを与える虞を低減できるようになる。
【0062】
図7のフローチャートでは、他有価価値として残高を例示したが(
図7のS2参照)、例えば対応する遊技機1で用いられるレート(例えば4円レート)とは異なるレート(例えば1円レート)の遊技価値である他レート価値を扱っており、他レート価値が残っている場合にも本案を採用できる(同様に遊技装置2が残高を扱っていない場合に他レート価値を残高の代わりに取扱ってもよい)。例えば、残高はないが、他レート価値が残っている場合には、対応する遊技機1での獲得価値(遊技価値)に関わらず発行処理を行う必要がある(他レート価値も発行基準値との比較が行われた上で発行処理されているので他レート価値について再度発行基準値との比較を行う必要性は低い)ので、その場合にも残高を他レート価値に置き換えてS2同様の処理を行えばよい。
【0063】
このように、遊技装置2は、保有玉が発行基準値に達しておらず第1処理を抑制する場合、他有価価値が残存していれば、第2変換処理を実行させるための第2処理(例えば再プレイ処理に係るS10,S11)を実行する。
これによれば、保有玉が発行基準値に達しておらず第1処理を抑制する場合、例えば他レート価値や残高といった他有価価値が残存すれば、持玉から遊技玉に変換するための第2処理を行った上で発行処理を行うことができ、その発行した記録媒体の残高精算時に端数分の獲得価値が残り、残りの端数分の獲得価値に対する処理を行う必要性を低減できる。
【0064】
また、遊技装置2は、保有玉が発行基準値に達しておらず第1処理が抑制される場合、他有価価値が残存していなければ発行処理を抑制する(S12,S13参照)。
これによれば、保有玉が発行基準値に達しておらず第1処理を抑制する場合、例えば他レート価値と貨幣価値との何れも残存しなければ発行処理が抑制される(つまり例えば発行処理の禁止や従業員による認証を条件として発行処理を行う)ので、記録媒体のコストを考慮して発行処理を抑制する場合に、無駄に計数に関する処理や発行処理が行われる虞を低減できる。
【0065】
遊技装置2は、発行操作が行われた場合に、保有玉が発行基準値に達し且つ遊技玉が予め定められた獲得基準値(例えば100玉)に達していれば、第1処理として第1変換操作を促す第1表示(例えば計数確認表示画面62の表示)を行い、その第1表示後に第1変換操作が行われれば発行処理を行う(S7,S17参照)一方、第1変換操作が行われなければ発行処理を抑制する(S9参照)。
このように、発行操作が行われた場合、保有玉が発行基準値に達し且つ遊技玉が獲得基準値に達していれば、遊技者に対して遊技玉の変換処理を行うかを促す表示を行い、当該表示後にその変換操作があれば、遊技玉から持玉への変換処理を行った上で発行処理を行う一方、例えばその変更操作が行われずにキャンセルされれば発行処理が抑制される。このため、例えば遊技玉が多数あり、その計数に係る変換処理に時間を要する場合に遊技者に発行処理前の計数に係る処理時間を要することを把握させることができ、仮に誤って発行操作をした場合や計数に係る処理時間を要することを許容しない場合に発行処理をキャンセルするといった遊技者の選択肢を広げられる。
【0066】
遊技装置2は、第1処理が実行される場合、当該第1処理に伴い遊技玉が残存しなくなったことを条件として発行処理を行う(S5,S12,S16,S17参照)。このように、第1処理に基づき遊技玉が残存しなくなったことを発行処理の条件とするので、記録媒体の発行に際して、遊技玉が残存しないといった条件を確実に満たせられる。
【0067】
本発明は、上記実施形態に限定されることなく、次のように変形または拡張するようにしてもよい。
遊技玉が獲得基準値に達していない場合、そのまま計数処理を行うことを例示したが(
図7のS14,S15等参照)、上記した通りS7の「計数確認表示」のように計数確認表示画面62を表示させ計数操作を促す報知を行い、その計数操作に応じて計数処理を行うようにしてもよい。
【0068】
保有玉が発行基準値に達している場合に(S4:Yes、或いはS13:Yes参照)、上記の計数確認表示画面62での報知も含めた第1処理を行い、発行基準値に達していない場合に第1処理を抑制すれば、必ずしも第2処理を行わなくともよく、例えば遊技玉が獲得基準値に達していない場合に(S3:No参照)、S11の再プレイ処理を行わずにリターンしてもよい(
図5に示すような待機画面へ戻ってもよい)。
【0069】
図7のS3,S7のように、遊技玉が獲得基準値に達している場合、計数確認表示画面62での報知を行うことを例示したが、係る報知や計数釦20での計数操作等を行うことなく計数処理を行ってもよいし、待機画面へ戻ってもよい。また、遊技玉と獲得基準値とを比較することなく(つまりS3やS14を実行することなく)、保有玉と発行基準値との比較結果に応じた処理を行ってもよい。
【0070】
残高が0で貨幣価値が残存しない場合、保有玉が発行基準値に達していなければ(S2:No且つS13:NO)発行処理を行わない旨を例示したが、上記のようにエラー画面を表示してもよいし、再プレイ処理や計数処理等を行ってもよいし、発行基準値を設けずに発行処理を行ってもよい。
【0071】
第1処理を抑制する場合に、計数処理や計数確認表示画面62での報知をしないことでの抑制を例示したが、例えば、その表示時間を短くする、計数釦20の操作を複数回として複雑化する、計数するために別途従業員の認証を必要とするといった他の抑制方法を採用してもよい。第1処理以外の例えば発行処理のような処理の抑制についても、他の抑制方法を採用しうることは勿論である。
発行対象として残高も含めたが、上記した通り残高を取扱わない遊技装置にて本案を採用してもよく、その場合は、上記の如く
図7のS2の残高を他レート価値に置き換えて、その処理を行えばよい。
【0072】
保有玉と発行基準値との比較結果に応じて計数処理や再プレイ処理といった変換処理を行う場合に、遊技玉や持玉が残存基準値に達しなくなるまで変換処理を継続することを例示したが(S4~S6やS10,S11参照)、遊技者は遊技終了しようと思った際に発行処理を行うのであり、変換処理の対象となる遊技価値が端数程度(例えば再プレイであれば1回分の再プレイ処理である125玉以内)であることが多いので、残存基準値と比較することなく1回分、或いは規定値分の変換処理を行うだけの簡易的な構成であっても十分な効果を見込める。この場合、獲得基準値(S3,S14の遊技玉基準値)を上記1回分、或いは規定値分を考慮した適切な値とすることで更なる効果を見込める。
【0073】
発行基準値は記録媒体のコストを考慮するので、レートが下がれば高い値を設定することになる。例えばレートが1円レートの場合に100玉と設定し、保有玉が90玉ある状態で実施例同様の発行処理を行えば、再プレイ処理が行われることを考慮すると90玉の遊技玉が残ってしまう。
この場合、遊技者に対し、例えば「遊技玉が**玉残っています」といった注意メッセージを表示部36に表示する注意報知を行い、注意を促すようにしてもよい。また、この場合の注意報知に代えて、或いは加えて、発行基準値(例えば100玉)よりも小さい発行抑制値(仮に遊技玉として残った場合に遊技者からクレームとなる虞の高い値、例えば10玉)を設定し、保有玉が当該発行抑制値に達していない場合、或いは発行基準値に達している場合には実施例同様に発行処理を行う一方、発行抑制値に達しているが発行基準値には達していない場合は発行処理を行わないようにしてもよい。
【0074】
本発明については封入式の遊技機1及びその遊技装置2を例に説明したが、所謂メダルレス遊技機及びその遊技装置といった例示した以外の態様についても同様に適用することが可能である。
また、合算価値として遊技玉と持玉との合計を示す保有玉を例示したが、係る遊技機価値或いは装置価値を、メダル或いはクレジットのような異なる合算価値を対象としてもよいことは勿論である。
【0075】
各設定値は管理者が任意に操作入力により設定しても、予め管理装置6の製造メーカにて設定しても、外部(例えばチェーン店本部等)のサーバから設定情報をダウンロードして設定してもよい。なお、この場合もサーバにて操作入力により入力された設定値となる。
例示した全ての遊技情報は入力した信号により直接的に特定しても演算式を利用して間接的に特定してもよい。また、遊技信号としてデータ信号を例示したがパルス信号のような他の信号を採用してもよい。
【0076】
数値、桁数、項目等は例示であり、どのような数値を採用してもよい。
以上と超過についてはどちらを採用してもよく、「達した」等の表現は以上となった或いは超過した、の何れにも対応する表現となる。以下と未満についても同様で、「達していない」等の表現は双方に対応する表現となる。
【0077】
遊技価値のように「価値」と表現しているのは本例のようなデータで管理される合算価値を包含する概念として表すためである。
管理装置6が行う処理の一部を中継装置4、遊技装置2等にて行ってもよく、どのように構成してもよい。更に例示した構成は変形例も含めて、どのように組合せてもよいし、適宜、採用しない構成を設けてもよい。
【符号の説明】
【0078】
図面中、1は遊技機、2は遊技装置(合算特定手段、他有価価値特定手段、変換手段、発行手段、合算特定手段、変換関連手段、他有価価値特定手段)、10aは会員カード(記録媒体)、10bは一般カード(記録媒体)、35は貨幣投入口(他有価価値特定手段)、38はカード挿入口(他有価価値特定手段、発行手段)、38aはカードRW(他有価価値特定手段、発行手段)、40は遊技装置の制御部(合算特定手段、他有価価値特定手段、変換手段、発行手段、合算特定手段、変換関連手段、他有価価値特定手段)、61,62は計数確認表示画面(第1表示)である。