(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106146
(43)【公開日】2024-08-07
(54)【発明の名称】車両用ナビゲーション装置および自動運転車両
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20240731BHJP
G08G 1/0969 20060101ALI20240731BHJP
G01C 21/34 20060101ALI20240731BHJP
【FI】
G08G1/16 C
G08G1/0969
G01C21/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023010285
(22)【出願日】2023-01-26
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】100122426
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 清志
(72)【発明者】
【氏名】加藤 英明
【テーマコード(参考)】
2F129
5H181
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129AA05
2F129BB20
2F129BB21
2F129DD13
2F129DD15
2F129DD19
2F129DD21
2F129DD35
2F129DD53
2F129EE02
2F129EE43
2F129EE52
2F129EE78
2F129EE79
2F129EE81
2F129EE82
2F129EE95
2F129FF02
2F129FF19
2F129FF62
2F129FF72
2F129GG03
2F129GG04
2F129GG05
2F129GG06
2F129HH02
2F129HH12
5H181AA01
5H181AA16
5H181BB04
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC14
5H181FF13
5H181FF17
5H181FF18
5H181FF22
5H181FF25
5H181FF27
5H181FF33
5H181LL07
5H181LL08
5H181LL09
(57)【要約】
【課題】公共交通機関の車両の運行遅延情報を提供し、乗員の自発的判断で、公共交通機関の車両の運行遅延を抑制する。
【解決手段】道路を走行する公共交通機関の車両と信号の送受信を行う通信部110と、乗員端末から乗員の本日のスケジュール情報を取得するスケジュール取得部120と、乗員操作によって設定される目的地までの走行計画を算出する走行計画算出部210と、乗員に、公共交通機関の車両からの譲り要求信号を受信したことを示す通知を表示する表示部130と、乗員操作により譲り要求信号に対する応答設定を行う乗員操作部140と、を備え、通信部110は、公共交通機関の車両から譲り要求信号を受信した場合には、スケジュール情報およびまたは走行計画、応答設定に基づいて譲り要求応答信号を送信する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路を走行する公共交通機関の車両と信号の送受信を行う通信部と、
乗員端末から乗員のスケジュール情報を取得するスケジュール取得部と、
乗員操作によって設定される目的地までの走行計画を算出する走行計画算出部と、
乗員に、前記公共交通機関の車両からの譲り要求信号を受信したことを示す通知を表示する表示部と、
乗員操作により前記譲り要求信号に対する応答設定を行う乗員操作部と、
を備え、
前記通信部は、公共交通機関の車両から譲り要求信号を受信した場合には、前記スケジュール情報およびまたは前記走行計画、前記応答設定に基づいて譲り要求応答信号を送信することを特徴とする車両用ナビゲーション装置。
【請求項2】
前記乗員操作部における操作履歴情報と走行経路情報とを含む情報を記憶する記憶部と、
前記表示部の表示を制御する表示制御部と、
前記通信部と前記表示制御部との動作を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記通信部が前記公共交通機関の車両から譲り要求信号を受信した場合に、前記記憶部において、同じ日に同じ経路において前記公共交通機関の車両から前記譲り要求信号を受信した受信履歴を検索し、前記受信履歴がある場合には、前記表示制御部に対して、前記通知の表示を行わないように制御するとともに、前記受信履歴に紐ついた操作情報を前記通信部に出力することを特徴とする請求項1に記載の車両用ナビゲーション装置。
【請求項3】
前記請求項1に記載の車両用ナビゲーション装置と、
自車両の自動運転制御を実行する運転制御装置と、
を備え、
前記車両用ナビゲーション装置の通信部が公共交通機関の車両に進路を譲ることを示す前記譲り要求応答信号を送信した場合に、前記運転制御装置は、前記公共交通機関の車両に進路を譲るよう車両制御を実行することを特徴とする自動運転車両。
【請求項4】
前記運転制御装置は、前記車両用ナビゲーション装置の通信部が公共交通機関の車両に進路を譲ることを示す前記譲り要求応答信号を送信した場合に、車両制御として、車線変更、迂回路への誘導を含む制御を実行することを特徴とする請求項3に記載の自動運転車両。
【請求項5】
道路を走行する公共交通機関の車両と信号を送受信する通信部と、
乗員端末から乗員のスケジュール情報を取得するスケジュール取得部と、
乗員操作によって設定される目的地までの走行計画を算出する走行計画算出部と、
乗員に、前記公共交通機関の車両からの譲り要求信号を受信したことを示す通知を表示する表示部と、
乗員操作により前記譲り要求信号に対する応答の応答設定を行う乗員操作部と、
前記通信部を管理する管理部と、
を備え、
前記管理部は、
1つまたは複数のプロセッサと、前記1つまたは複数のプロセッサに通信可能に接続される1つまたは複数のメモリと、
を備え、
前記1つまたは複数のプロセッサは、前記通信部が、前記公共交通機関の車両から譲り要求信号を受信した場合に、前記スケジュール情報およびまたは前記走行計画、前記応答設定に基づいて譲り要求応答信号を送信することを特徴とする車両用ナビゲーション装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ナビゲーション装置および自動運転車両に関する。
【背景技術】
【0002】
路線バス等の公共交通機関は、我々の日常生活において、重要なインフラの1つである。
しかしながら、一方で、道路の交通渋滞等によって、運行ダイヤが乱れ、定刻時間通りの運行が、時間帯等によっては、実現できないという利便性上の問題も抱えている。
【0003】
こうした問題に対して、信号機の手前に互いに所定の間隔をおいて配置され、信号機の手前に走行してくる車両の中から路線バスを特定し、かつ当該路線バスの走行速度を検知するために用いる一対のセンサと、この一対のセンサによるセンサ信号をもとに、路線バスの速度を算出する手段と、この速度算出手段によって算出した路線バスの速度に基づき「青」信号の点灯時間を変化させる手段とを備えたことを特徴とする信号機の制御装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の技術は、上述の如く、路線バスが通行する道路に設置された信号機の青信号の点灯時間を路線バスの運行速度に基づいて、変更させるものである。
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、路線バスの運行をスムーズにする点においては、寄与するものの、例えば、複数路線バスの運行路線が交わる交差点等においては、路線バスが通行する道路に設置された信号機の青信号の点灯時間を路線バスの運行速度に基づいて、変更させるとすると、当該交差点を走行する他車両に大きな影響を与える結果、慢性的な渋滞が発生し、特許文献1に記載の技術が目指す課題自体の解決も阻害する虞がある。
【0006】
そこで、本発明は上述の課題に鑑みてなされたものであり、同じ経路を走行する他車両の乗員に、公共交通機関の車両の運行遅延情報を提供し、乗員の自発的判断で、公共交通機関の車両の運行遅延を抑制する車両用ナビゲーション装置および自動運転車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
形態1;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、道路を走行する公共交通機関の車両と信号の送受信を行う通信部と、乗員端末から乗員のスケジュール情報を取得するスケジュール取得部と、乗員操作によって設定される目的地までの走行計画を算出する走行計画算出部と、乗員に、前記公共交通機関の車両からの譲り要求信号を受信したことを示す通知を表示する表示部と、乗員操作により前記譲り要求信号に対する応答設定を行う乗員操作部と、を備え、前記通信部は、公共交通機関の車両から譲り要求信号を受信した場合には、前記スケジュール情報およびまたは前記走行計画、前記応答設定に基づいて譲り要求応答信号を送信することを特徴とする車両用ナビゲーション装置を提案している。
【0008】
形態2;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、前記乗員操作部における操作履歴情報と走行経路情報とを含む情報を記憶する記憶部と、前記表示部の表示を制御する表示制御部と、前記通信部と前記表示制御部との動作を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記通信部が前記公共交通機関の車両から譲り要求信号を受信した場合に、前記記憶部において、同じ日に同じ経路において前記公共交通機関の車両から前記譲り要求信号を受信した受信履歴を検索し、前記受信履歴がある場合には、前記表示制御部に対して、前記通知の表示を行わないように制御するとともに、前記受信履歴に紐ついた操作情報を前記通信部に出力することを特徴とする車両用ナビゲーション装置を提案している。
【0009】
形態3;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、形態1に記載の車両用ナビゲーション装置と、自車両の自動運転制御を実行する運転制御装置と、を備え、前記車両用ナビゲーション装置の通信部が公共交通機関の車両に進路を譲ることを示す前記譲り要求応答信号を送信した場合に、前記運転制御装置は、前記公共交通機関の車両に進路を譲るよう車両制御を実行することを特徴とする自動運転車両を提案している。
【0010】
形態4;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、前記運転制御装置は、前記車両用ナビゲーション装置の通信部が公共交通機関の車両に進路を譲ることを示す前記譲り要求応答信号を送信した場合に、車両制御として、車線変更、迂回路への誘導を含む制御を実行することを特徴とする自動運転車両を提案している。
【0011】
形態5;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、道路を走行する公共交通機関の車両と信号を送受信する通信部と、乗員端末から乗員のスケジュール情報を取得するスケジュール取得部と、乗員操作によって設定される目的地までの走行計画を算出する走行計画算出部と、乗員に、前記公共交通機関の車両からの譲り要求信号を受信したことを示す通知を表示する表示部と、乗員操作により前記譲り要求信号に対する応答の応答設定を行う乗員操作部と、前記通信部を管理する管理部と、を備え、前記管理部は、1つまたは複数のプロセッサと、前記1つまたは複数のプロセッサに通信可能に接続される1つまたは複数のメモリと、を備え、前記1つまたは複数のプロセッサは、前記通信部が、前記公共交通機関の車両から譲り要求信号を受信した場合に、前記スケジュール情報およびまたは前記走行計画、前記応答設定に基づいて譲り要求応答信号を送信することを特徴とする車両用ナビゲーション装置を提案している。
【発明の効果】
【0012】
本発明の1またはそれ以上の実施形態によれば、同じ経路を走行する他車両の乗員に、公共交通機関の車両の運行遅延情報を提供し、乗員の自発的判断で、公共交通機関の車両の運行遅延を抑制することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態に係る車両用ナビゲーション装置の構成を示す図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る自動運転車両の構成を示す図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る公共交通機関の車両の処理フロー図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る車両用ナビゲーション装置および自動運転車両の処理フロー図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る車両用ナビゲーション装置および自動運転車両の処理フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<実施形態>
図1から
図5を用いて、本実施形態に係る車両用ナビゲーション装置1および自動運転車両10について説明する。
【0015】
<車両用ナビゲーション装置1について>
本実施形態に係る車両用ナビゲーション装置1は、
図1に示すように、通信部110と、スケジュール取得部120と、表示部130と、乗員操作部140と、プロセッサ200と、メモリ300と、を含んで構成されている。
【0016】
通信部110は、道路を走行する公共交通機関の車両と信号の送受信を行う。
本実施形態においては、通信部110は、例えば、公共交通機関の車両からの譲り要求信号を受信する。
また、例えば、自車両の乗員が、公共交通機関の車両からの譲り要求信号に対して、応じる旨の意思を示した場合に、通信部110は、公共交通機関の車両に対して、譲り要求応答信号を送信する。
通信部110において受信された情報は、バスラインBLを介して、後述する制御部230に出力される。
なお、本実施形態において、公共交通機関の車両には、路線バス、高速バスを含む。
【0017】
スケジュール取得部120は、乗員端末から乗員のスケジュール情報を取得する。
スケジュール情報としては、目的地情報、時間帯を含む用件情報、重要度を示す情報が付加されている場合には、重要度情報、乗員のSNSの投稿内容等を例示することができる。
スケジュール取得部120において取得された情報は、バスラインBLを介して、後述する制御部230に出力される。
【0018】
表示部130は、車両用ナビゲーション装置1の正面に設けられた、例えば、液晶パネルであって、例えば、乗員に、公共交通機関の車両からの譲り要求信号を受信したことを示す通知を表示する。
なお、表示部130に公共交通機関の車両からの譲り要求信号を受信したことを示す通知を表示する際には、音声報知等の他の認知方法を伴わせて実行してもよい。
また、表示部130に、経路情報を含む走行情報を表示させている場合には、表示画面を通知画面に切り替えてもよいし、走行情報表示に重ねて通知情報を表示させてもよい。
【0019】
乗員操作部140は、乗員が公共交通機関の車両からの譲り要求信号に対する応答設定を行うための操作手段である。
乗員操作部140は、例えば、表示部130による通知表示に伴って、表示部130の液晶パネルに表示され、液晶パネルに表示された応答設定エリアをタッチすることにより、液晶パネルに積層されているタッチセンサが反応して、応答設定を実行できるようになっている。
乗員操作部140における応答情報は、バスラインBLを介して、後述する制御部230に出力される。
【0020】
プロセッサ200は、装置内に搭載されたROM(Random Access Memory)等に格納された制御プログラムに基づいて、車両用ナビゲーション装置1全体の動作を制御する。
本実施形態において、プロセッサ200は、公共交通機関の車両から譲り要求信号を受信した場合に、スケジュール情報およびまたは走行計画、応答設定に基づいて譲り要求応答信号を公共交通機関の車両に送信するよう通信部110を制御する。
プロセッサ200は、例えば、乗員操作によって設定される目的地までの走行計画を算出する。
プロセッサ200は、例えば、表示部130に対する表示情報の生成あるいは表示形態の制御を実行する。
プロセッサ200は、例えば、後述する運転制御装置との情報連携を実行する。
【0021】
メモリ300は、プロセッサ200が制御を実行するための制御プログラムを格納する。
メモリ300は、プロセッサが取得した情報あるいは履歴情報等を格納する。
メモリ300は、本実施形態においては、例えば、乗員操作部140における操作履歴情報と走行経路情報とを記憶する。
【0022】
<プロセッサ200の構成>
プロセッサ200は、
図1に示すように、走行計画算出部210と、表示制御部220と、制御部230と、を含んで構成されている。
さらに、メモリ300は、記憶部310を含んで構成されている。
【0023】
走行計画算出部210は、乗員操作によって設定される目的地までの走行計画を算出する。
走行計画算出部210によって算出された走行計画は、バスラインBLを介して、制御部230に出力される。
【0024】
表示制御部220は、表示部130に対する表示情報の生成あるいは表示形態の制御を実行する。
【0025】
制御部230は、図示しないROM(Random Access Memory)等に格納された制御プログラムに基づいて、車両用ナビゲーション装置1全体の動作を制御する。
本実施形態において、制御部230は、公共交通機関の車両から譲り要求信号を受信した場合に、スケジュール情報およびまたは走行計画、応答設定に基づいて譲り要求応答信号を公共交通機関の車両に送信するよう通信部110を制御する。
また、制御部230は、通信部110が公共交通機関の車両から譲り要求信号を受信した場合に、後述する記憶部310において、同じ日に同じ経路において公共交通機関の車両から譲り要求信号を受信した受信履歴を検索し、受信履歴がある場合には、表示制御部220に対して、通知の表示を行わないように制御するとともに、受信履歴に紐ついた操作情報を通信部110に出力する。
また、制御部230は、後述する運転制御装置との情報連携を実行する。
【0026】
記憶部310は、車両用ナビゲーション装置1全体の動作を制御するための各種情報を格納する。
記憶部310は、本実施形態においては、例えば、乗員操作部140における操作履歴情報と走行経路情報を記憶する。
<自動運転車両10の構成>
【0027】
図2に示すように、本実施形態に係る自動運転車両10は、車両用ナビゲーション装置1と、運転制御装置2と、を含んで構成されている。
【0028】
運転制御装置2は、車両センサと、駆動制御部と、を含んで構成されている。
車両センサは、車速センサ、車両の走行状況に関する情報を検出するセンサを含む。
また、車両センサは、例えば、カメラやレーダ装置、LIDAR(Light Detection and Ranging)、物体認識装置等を含む。
これらは、例えば、車両の周辺情報を検出するための構成要素である。
駆動制御部は、車両に駆動力等を与えて車両を走行させる。
駆動制御部は、例えば、車両が走行するための走行駆動力(トルク)を駆動輪に出力する走行駆動力出力部と、所定の制動操作に応じたブレーキトルクを各車輪に出力させるブレーキ部と、転舵輪の向きを変更させるステアリング部とを含む。
なお、本実施形態において、運転制御装置2が実行する車両制御としては、車線変更、迂回路への誘導を含む。
【0029】
<公共交通機関の車両の処理>
図3を用いて、本実施形態に係る公共交通機関の車両の処理について説明する。
【0030】
公共交通機関の車両の制御部は、現在、営業運転中であるか否かを判定する(ステップS110)。
公共交通機関の車両の制御部は、現在、営業運転中ではないと判定する場合(ステップS110の「NO」)には、処理を終了する。
【0031】
一方で、公共交通機関の車両の制御部は、現在、営業運転中であると判定する場合(ステップS110の「YES」)には、車両の運行ダイヤに関する情報を取得可能であるか否かを判定する(ステップS120)。
公共交通機関の車両の制御部は、車両の運行ダイヤに関する情報を取得可能ではないと判定する場合(ステップS120の「NO」)には、処理を元に戻して、待機モードに移行する。
【0032】
一方で、公共交通機関の車両の制御部は、車両の運行ダイヤに関する情報を取得可能であると判定する場合(ステップS120の「YES」)には、現在の運行状況が運行ダイヤから所定時間以上遅延しているか否かを判定する(ステップS130)。
公共交通機関の車両の制御部は、現在の運行状況が運行ダイヤから所定時間以上遅延していないと判定する場合(ステップS130の「NO」)には、処理を元に戻して、待機モードに移行する。
【0033】
一方で、公共交通機関の車両の制御部は、現在の運行状況が運行ダイヤから所定時間以上遅延していると判定する場合(ステップS130の「YES」)には、遅延判定処理を実行する(ステップS140)。
【0034】
公共交通機関の車両の制御部は、通信部を介して、前方を走行中の周辺車両に対して、譲り要求信号を送信するよう制御する(ステップS150)。
公共交通機関の車両の制御部は、通信部からの譲り要求信号の送信後も遅延判定処理を継続して実施する。
【0035】
公共交通機関の車両の制御部は、遅延が解消したか否かを判定する(ステップS160)。
そして、公共交通機関の車両の制御部は、遅延が解消していないと判定する場合(ステップS160の「NO」)には、処理をステップS110に遷移させる。
一方で、公共交通機関の車両の制御部は、遅延が解消していると判定する場合(ステップS160の「YES」)には、通信部による譲り要求信号の送信を停止して、処理を終了する。
【0036】
<自動運転車両10の処理>
図4、
図5を用いて、本実施形態に係る自動運転車両10の処理について説明する。
【0037】
制御部230は、自車両が走行中であるか否かを判定する(ステップS201)。
制御部230は、自車両が走行中でないと判定する場合(ステップS201の「NO」)には、処理を元に戻して、待機モードに移行する。
【0038】
一方で、制御部230は、自車両が走行中であると判定する場合(ステップS201の「YES」)には、交通機関の車両から譲り要求信号を受信したか否かを判定する(ステップS202)。
そして、制御部230は、交通機関の車両から譲り要求信号を受信していないと判定する場合(ステップS202の「NO」)には、処理を元に戻して、待機モードに移行する。
【0039】
一方で、制御部230は、交通機関の車両から譲り要求信号を受信していると判定する場合(ステップS202の「YES」)には、乗員のスケジュールが取得可能か否かを判定する(ステップS203)。
そして、制御部230は、乗員のスケジュールを取得不能と判定する場合(ステップS203の「NO」)には、処理をステップS211に遷移させる。
【0040】
一方で、制御部230は、乗員のスケジュールを取得可能と判定する場合(ステップS203の「YES」)には、目的地到着後に乗員に予定があるのか否かを判定する(ステップS204)。
そして、制御部230は、目的地到着後に乗員に予定があると判定する場合(ステップS204の「NO」)には、処理をステップS211に遷移させる。
【0041】
一方で、制御部230は、目的地到着後に乗員に予定がないと判定する場合(ステップS204の「YES」)には、自車両のナビゲーションが設定済か否かを判定する(ステップS205)。
そして、制御部230は、自車両のナビゲーションが設定済ではないと判定する場合(ステップS205の「NO」)には、処理をステップS211に遷移させる。
【0042】
一方で、制御部230は、自車両のナビゲーションが設定済であると判定する場合(ステップS205の「YES」)には、自車両の推定走行距離が閾値以下であるか否かを判定する(ステップS206)。
そして、制御部230は、自車両の推定走行距離が閾値以下ではないと判定する場合(ステップS206の「NO」)には、処理をステップS211に遷移させる。
【0043】
一方で、制御部230は、自車両の推定走行距離が閾値以下であると判定する場合(ステップS206の「YES」)には、公共交通機関の車両に対して、肯定的な応答を返送するよう通信部110を制御する(ステップS210)。
【0044】
制御部230は、自車両が自律運転可能か否かを判定する(ステップS208)。
そして、制御部230は、自車両が自律運転可能であると判定する場合(ステップS208の「YES」)には、運転制御装置2に譲り合い運転処理(ステップS209)を実行させ、自車両が自律運転可能でないと判定する場合(ステップS208の「NO」)には、乗員に対して、車線変更や迂回路走行を促す通知(ステップS210)を行って処理を終了する。
【0045】
一方で、制御部230は、ステップS207において、乗員が通知を受けるのが、同じ日に同じ経路で初めてか否かを判定する(ステップS207)。
そして、制御部230は、乗員が通知を受けるのが、同じ日に同じ経路では初めてであると判定する場合(ステップS207の「YES」)には、乗員に通知を行い(ステップS208)、乗員の承諾を得られた場合(ステップS209の「YES」)には、処理をステップS210に遷移させる。
【0046】
また、制御部230は、ステップS207において、乗員が通知を受けるのが、同じ日に同じ経路で初めてではないと判定する場合(ステップS207の「NO」)に、乗員から前回と同様の肯定的応答とすることに承諾が得られれば(ステップS214の「YES」)、処理をステップS210に遷移させる。
【0047】
一方で、制御部230は、ステップS207において、乗員が通知を受けるのが、同じ日に同じ経路で初めてではないと判定する場合(ステップS207の「NO」)に、乗員から前回と同様の肯定的応答とすることに承諾が得られない時(ステップS214の「NO」)には、公共交通機関の車両に対して、否定的な応答を返送するよう通信部110を制御して(ステップS215)、処理を終了する。
【0048】
<作用・効果>
以上、説明したように、本実施形態に係る車両用ナビゲーション装置1は、道路を走行する公共交通機関の車両と信号の送受信を行う通信部110と、乗員端末から乗員の本日のスケジュール情報を取得するスケジュール取得部120と、乗員操作によって設定される目的地までの走行計画を算出する走行計画算出部210と、乗員に、公共交通機関の車両からの譲り要求信号を受信したことを示す通知を表示する表示部130と、乗員操作により譲り要求信号に対する応答設定を行う乗員操作部140と、を備え、通信部110は、公共交通機関の車両から譲り要求信号を受信した場合には、スケジュール情報およびまたは走行計画、応答設定に基づいて譲り要求応答信号を送信する。
つまり、通信部110が公共交通機関の車両から譲り要求信号を受信した場合には、スケジュール情報およびまたは走行計画といった情報を加味し、乗員に配慮した上で、応答設定に基づいて譲り要求応答信号を送信する。
そのため、同じ経路を走行する他車両の乗員に、公共交通機関の車両の運行遅延情報を提供し、乗員の自発的判断で、公共交通機関の車両の運行遅延を抑制することができる。
【0049】
本実施形態に係る車両用ナビゲーション装置1は、乗員操作部140における操作履歴情報と走行経路情報とを含む情報を記憶する記憶部310と、表示部130の表示を制御する表示制御部220と、通信部110と表示制御部220との動作を制御する制御部230と、を備え、制御部230は、通信部110が公共交通機関の車両から譲り要求信号を受信した場合に、記憶部310において、同じ日に同じ経路において公共交通機関の車両から譲り要求信号を受信した受信履歴を検索し、受信履歴がある場合には、表示制御部220に対して、通知の表示を行わないように制御するとともに、受信履歴に紐ついた操作情報を通信部110に出力する。
つまり、制御部230は、通信部110が公共交通機関の車両から譲り要求信号を受信した場合に、記憶部310において、同じ日に同じ経路において公共交通機関の車両から譲り要求信号を受信したかを判定し、受信履歴がある場合には、表示制御部220に対して、通知の表示を行わないように制御するとともに、受信履歴に紐ついた操作情報を通信部110に出力する。
そのため、公共交通機関の車両の運行遅延情報を提供に対して、乗員の自発的判断を尊重し、かつ、乗員の操作負担を軽減しつつ、公共交通機関の車両の運行遅延を抑制することができる。
なお、上記のような場合に、乗員の意識が変化することも想定されるため、念のため、乗員の意思を確認するプロセスを設けてもよい。
【0050】
本実施形態に係る自動運転車両10は、車両用ナビゲーション装置1と、自車両の自動運転制御を実行する運転制御装置2と、を備え、車両用ナビゲーション装置1の通信部110が公共交通機関の車両に進路を譲ることを示す譲り要求応答信号を送信した場合に、運転制御装置2は、公共交通機関の車両に進路を譲るよう車両制御を実行する。
そのため、公共交通機関の車両の運行遅延情報を提供に対して、乗員の自発的判断を尊重し、かつ、乗員の運転操作に関する負担を低減しつつ、公共交通機関の車両の運行遅延を抑制することができる。
【0051】
本実施形態に係る自動運転車両10の運転制御装置2は、車両用ナビゲーション装置1の通信部110が公共交通機関の車両に進路を譲ることを示す譲り要求応答信号を送信した場合に、車両制御として、車線変更、迂回路への誘導を含む制御を実行する。
つまり、運転制御装置2は、乗員の利便性を考慮し、車線変更、迂回路への誘導等を判断した上で、公共交通機関の車両の運行遅延の抑制に寄与することができる。
【0052】
<変形例1>
公共交通機関の車両に進路を譲ることを示さない確率が高い運転者に対して、迂回等による到達時間の違いを表示するようにしてもよい。
つまり、迂回等による到達時間の違いが当該運転者の認識している時間よりも短い時間であれば、公共交通機関の車両に進路を譲ることに対する意識を高めることが期待できる。
【0053】
<変形例2>
公共交通機関の車両に進路を譲ることを示す確率が高い運転者に対して、何らかのインセンティブを与えるようにしてもよい。
つまり、公共交通機関の車両に進路を譲ることを示す確率が高い運転者に対して、何らかのインセンティブを与えることによって、より積極的に、公共交通機関の車両に進路を譲ることに対する意識を高めることが期待できる。
【0054】
<変形例3>
運転者が車両に乗り込みイグニッションキーをONしたことをトリガに、本機能の説明を画像表示するようにしてもよい。
つまり、非運転時の冷静な時に、運転者に本機能の説明を画像表示することにより、本機能の理解が進み、公共交通機関の車両に進路を譲ることに対する意識を高めることが期待できる。
【0055】
<変形例4>
例えば、ドライバーモニタリングシステムにより運転者の年代を把握し、年代層に応じた告知を行うようにしてもよい。
つまり、運転者の年代層に応じた告知を行うことにより、本機能の理解が深められ、公共交通機関の車両に進路を譲ることに対する意識を高めることが期待できる。
【0056】
なお、制御部230の処理をコンピュータシステムが読み取り可能な記録媒体に記録し、この記録媒体に記録されたプログラムを制御部230に読み込ませ、実行することによって本発明の車両用ナビゲーション装置1、自動運転車両10を実現することができる。ここでいうコンピュータシステムとは、OSや周辺装置等のハードウェアを含む。
【0057】
また、「コンピュータシステム」は、WWW(World Wide Web)システムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
【0058】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組合せで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0059】
以上、この発明の実施形態について、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0060】
1;車両用ナビゲーション装置
2;運転制御装置
10;自動運転車両
110;通信部
120;スケジュール取得部
130;表示部
140;乗員操作部
200;プロセッサ
210;走行計画算出部
220;表示制御部
230;制御部
300;メモリ
310;記憶部