(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106156
(43)【公開日】2024-08-07
(54)【発明の名称】ゲーム機、それに用いられるコンピュータプログラム、及び制御方法
(51)【国際特許分類】
A63F 9/30 20060101AFI20240731BHJP
【FI】
A63F9/30 502C
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023010305
(22)【出願日】2023-01-26
(71)【出願人】
【識別番号】000169477
【氏名又は名称】株式会社コナミアミューズメント
(74)【代理人】
【識別番号】100099645
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 晃司
(74)【代理人】
【識別番号】100161090
【弁理士】
【氏名又は名称】小田原 敬一
(72)【発明者】
【氏名】西野 雄人
(57)【要約】
【課題】興趣性の向上を図ることができるゲーム機を提供する。
【解決手段】ゲーム機1は、収容部11に収容された捕獲対象PSを挟むための開閉動作を実行する複数のアーム部13Aを有し、入力装置IPを介して入力されるプレイ行為に応じた位置において開閉動作を実行するクレーン装置13を通じて捕獲対象PSを解放口14まで移動させた場合にユーザに景品を付与する景品獲得ゲームを提供する。また、ゲーム機1は、クレーン装置13の移動に応じて生じる情報として各アーム部13Aの位置に関係する位置情報を取得し、捕獲対象PSを挟む方向に作用する力としての閉じる力が各アーム部13Aから解放口14までの距離の遠近に応じて各アーム部13A間で相違するように、位置情報に基づいて各アーム部13Aの閉じる力を制御する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容部に収容された遊技体を挟むための開閉動作を実行する複数のアーム部を有し、入力装置を介して入力されるプレイ行為に応じた位置において前記開閉動作を実行するクレーン装置を通じて前記遊技体を所定位置まで移動させた場合にユーザに景品を付与する景品獲得ゲームを提供するゲーム機であって、
前記クレーン装置の移動に応じて生じる情報として各アーム部の位置に関係する位置情報を取得する情報取得手段と、
前記遊技体を挟む方向に作用する力としての閉じる力が各アーム部から前記所定位置までの距離の遠近に応じて各アーム部間で相違するように、前記位置情報に基づいて各アーム部の前記閉じる力を制御するアーム制御手段と、
を備える、ゲーム機。
【請求項2】
前記アーム制御手段は、所定の位置条件が満たされた場合に各アーム部の前記閉じる力を制御する、請求項1に記載のゲーム機。
【請求項3】
前記位置条件は、前記開閉動作の位置、前記所定位置の付近に設定される所定の付近位置、及び前記開閉動作の位置と前記所定位置との間の途中に設定される所定の途中位置の少なくともいずれか一つにおいて満たされる、請求項2に記載のゲーム機。
【請求項4】
前記アーム制御手段は、前記所定位置までの距離の遠近に応じた各アーム部の前記閉じる力の組合せによって生じる複数のパターンのいずれかを設定することにより、各アーム部の前記閉じる力を制御する、請求項1~3のいずれか一項に記載のゲーム機。
【請求項5】
前記アーム制御手段は、前記複数のパターンのうちランダムに選択されたパターンが生じるように、各アーム部の前記閉じる力を制御する、請求項4に記載のゲーム機。
【請求項6】
各アーム部に前記複数のパターンのいずれかに対応する前記閉じる力をそれぞれ設定するための設定機会における設定結果を取得する結果取得手段を備え、
前記アーム制御手段は、前記設定結果に対応するパターンが生じるように、各アーム部の前記閉じる力を制御する、請求項4に記載のゲーム機。
【請求項7】
前記複数のパターンは、前記景品獲得ゲームのプレイ状況に異なる影響を与える二以上のパターンを含み、
前記設定機会は、目標となるプレイ状況としての目標プレイ状況の指定を通じて前記二以上のパターンのうち前記目標プレイ状況に近づく影響を与えるパターンに対応する前記閉じる力が設定されるように構成される、請求項6に記載のゲーム機。
【請求項8】
前記二以上のパターンは、前記景品獲得ゲームが所定の対価と引き換えに提供される場合の前記対価の所定期間における累計額に対する当該所定期間における前記景品の費用の累計額の割合としてのペイアウト率の増加に影響を与える増加パターンと、前記ペイアウト率の減少に影響を与える減少パターンと、を含んでいる、請求項7に記載のゲーム機。
【請求項9】
前記目標プレイ状況として、前記ペイアウト率の目標としての目標ペイアウト率が利用され、
前記設定機会では、前記目標ペイアウト率が指定される、請求項8に記載のゲーム機。
【請求項10】
前記情報取得手段は、前記位置情報として各アーム部の位置の情報を取得する、請求項1~3のいずれか一項に記載のゲーム機。
【請求項11】
前記所定位置が変化する場合に、前記位置情報に基づいて各アーム部から前記所定位置までの距離に応じた前記複数のアーム部間の遠近を判別する遠近判別手段を備える、請求項1~3のいずれか一項に記載のゲーム機。
【請求項12】
前記クレーン装置は、当該クレーン装置の位置に基づいて各アーム部から前記所定位置までの距離の遠近が判別されるように、垂直方向を軸線とする前記複数のアーム部の回転動作が制限され、
前記情報取得手段は、前記位置情報として前記クレーン装置の位置の情報を取得する、請求項1~3のいずれか一項に記載のゲーム機。
【請求項13】
前記入力装置、及び前記クレーン装置に接続されるコンピュータを、請求項1~3のいずれか一項に記載のゲーム機の各手段として機能させるように構成されたコンピュータプログラム。
【請求項14】
収容部に収容された遊技体を挟むための開閉動作を実行する複数のアーム部を有し、入力装置を介して入力されるプレイ行為に応じた位置において前記開閉動作を実行するクレーン装置を通じて前記遊技体を所定位置まで移動させた場合にユーザに景品を付与する景品獲得ゲームを提供するゲーム機に組み込まれるコンピュータに、
前記クレーン装置の移動に応じて生じる情報として各アーム部の位置に関係する位置情報を取得する情報取得手順と、
前記遊技体を挟む方向に作用する力としての閉じる力が各アーム部から前記所定位置までの距離の遠近に応じて各アーム部間で相違するように、前記位置情報に基づいて各アーム部の前記閉じる力を制御するアーム制御手順と、
を実行させる、制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収容部に収容された遊技体を挟むための開閉動作を実行する複数のアーム部を有し、入力装置を介して入力されるプレイ行為に応じた位置において開閉動作を実行するクレーン装置を通じて遊技体を所定位置まで移動させた場合にユーザに景品を付与する景品獲得ゲームを提供するゲーム機等に関する。
【背景技術】
【0002】
収容部に収容された遊技体を挟むための開閉動作を実行する複数のアーム部を有し、入力装置を介して入力されるプレイ行為に応じた位置において開閉動作を実行するクレーン装置を通じて遊技体を所定位置まで移動させた場合にユーザに景品を付与する景品獲得ゲームを提供するゲーム機が存在する。例えば、このようなクレーン装置として、一対のアームを有するクレーンユニットを利用するゲーム装置が知られている(例えば特許文献1)。その他、本発明に関連する先行技術文献として特許文献2が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-114644号公報
【特許文献2】特開2021-145937号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のゲーム装置には設定画面が用意される。その設定画面では、一対のアームの左側のアームと右側のアームとに異なる把持力が設定される場合がある。しかし、その設定では左側のアーム、或いは右側のアームといった具合に対象が絶対的に指定されるに過ぎず、落とし穴(所定位置)との間の位置関係(遠近関係)に応じた相対的な設定は実行できない。一方で、特許文献1のようなクレーンゲームでは落とし穴の位置が意識される可能性が高い。このため、落とし穴との間の位置関係に応じて各アームを制御できれば新しい興趣性を付加できる可能性がある。
【0005】
また、特許文献2のゲーム装置では、クレーンの把持力が落下口に近づいたときに弱められる等、クレーン全体の把持力が境界座標との距離に応じて制御される。しかし、このゲーム装置ではクレーン全体の把持力が制御されるに過ぎず、クレーンのアームが個別に制御される構成ではない。当然、そのような制御が境界座標と各アームとの遠近関係に応じて実行される構成でもない。
【0006】
そこで、本発明は、興趣性の向上を図ることができるゲーム機等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のゲーム機は、収容部に収容された遊技体を挟むための開閉動作を実行する複数のアーム部を有し、入力装置を介して入力されるプレイ行為に応じた位置において前記開閉動作を実行するクレーン装置を通じて前記遊技体を所定位置まで移動させた場合にユーザに景品を付与する景品獲得ゲームを提供するゲーム機であって、前記クレーン装置の移動に応じて生じる情報として各アーム部の位置に関係する位置情報を取得する情報取得手段と、前記遊技体を挟む方向に作用する力としての閉じる力が各アーム部から前記所定位置までの距離の遠近に応じて各アーム部間で相違するように、前記位置情報に基づいて各アーム部の前記閉じる力を制御するアーム制御手段と、を備える、ものである。
【0008】
また、本発明のコンピュータプログラムは、前記入力装置、及び前記クレーン装置に接続されるコンピュータを、上述のゲーム機の各手段として機能させるように構成された、ものである。
【0009】
さらに、本発明の制御方法は、収容部に収容された遊技体を挟むための開閉動作を実行する複数のアーム部を有し、入力装置を介して入力されるプレイ行為に応じた位置において前記開閉動作を実行するクレーン装置を通じて前記遊技体を所定位置まで移動させた場合にユーザに景品を付与する景品獲得ゲームを提供するゲーム機に組み込まれるコンピュータに、前記クレーン装置の移動に応じて生じる情報として各アーム部の位置に関係する位置情報を取得する情報取得手順と、前記遊技体を挟む方向に作用する力としての閉じる力が各アーム部から前記所定位置までの距離の遠近に応じて各アーム部間で相違するように、前記位置情報に基づいて各アーム部の前記閉じる力を制御するアーム制御手順と、を実行させる、ものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一形態に係るゲーム機の構成を示す図。
【
図2】ゲーム機から取り外された状態のクレーン装置を示す斜視図。
【
図3】ゲーム機の制御系の要部を示す機能ブロック図。
【
図4】各アーム部の閉じる力の制御の一例を説明するための説明図。
【
図5】アーム部間の遠近に応じた制御が実行される位置を説明するための説明図。
【
図6】クレーン装置に生じる挟む力のパターンの一例を説明するための説明図。
【
図8】データ生成処理の手順の一例を示すフローチャート。
【
図9】個別制御処理の手順の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(ゲーム機の構成)
以下、本発明の一形態に係るゲーム機の一例を説明する。まず、
図1を参照して、本発明の一形態に係るゲーム機の構成を説明する。ゲーム機1は、景品獲得ゲーム(プライズゲーム)を提供するゲーム装置として構成される。景品獲得ゲームは、物理的な遊技体を収容する収容部においてその遊技体の位置を変化させる動作手段を、入力装置を介して入力されるプレイ行為に応じて動作させるとともに、動作手段の動作を通じてその遊技体が所定位置まで移動した場合にユーザに景品を付与するタイプのゲームである。ゲーム機1は家庭用のゲーム機として構成されてもよいが、
図1の例では商業用(業務用)のゲーム機(アーケードゲーム機と呼ばれることがある)として構成されている。
【0012】
アーケードゲーム機は、多数のユーザにゲームを繰り返しプレイさせて収益を上げることを主たる目的として所定の施設に設置されるタイプのコンピュータ装置である。ゲーム機1は、コンピュータ装置(据置型又はブック型のパーソナルコンピュータ、スマートフォン等の携帯電話、据置型の家庭用ゲーム機、携帯型ゲーム機、或いは携帯型タブレット端末装置といったユーザ端末装置を含む)を介して遠隔的にプレイされてもよいが、
図1の例では施設等においてユーザが直接的にプレイするように構成されている。また、例えば所定の施設への入場料等により別途対価が徴収される場合等、ゲーム機1は適宜に無料で景品獲得ゲームを提供してもよいが、一例として有料で景品獲得ゲームを提供する。つまり、ゲーム機1は、所定のプレイ料金(対価)の支払いと引き換えに、そのプレイ料金に対応した範囲でユーザに景品獲得ゲームをプレイさせるタイプの商業用(業務用)のゲーム機として構成されている。
【0013】
景品獲得ゲームは動作手段の種類等に応じて適宜に分類され得るが、ゲーム機1はそれらのうちクレーンゲームを提供するクレーンゲーム機として構成される。クレーンゲーム機は、動作手段としてクレーン装置13を利用するタイプの景品獲得ゲームである。クレーン装置13は、物理的な捕獲対象(例えば遊技体)を捕獲(取得)するための装置の一種であり、捕獲対象を掴んで(挟んで)運搬するタイプの動作手段である。
【0014】
クレーン装置13は、捕獲対象を挟むための複数のアーム部13A(
図1の例では三つのアーム部13Aが示されているが、適宜の数であってよい)を有し、このアーム部13Aで挟むことによって捕獲対象を掴む(捕獲する)ように構成される。このようなクレーン装置13は捕獲対象を収容する収容部の上方に配置される。また、アーム部13Aによる捕獲動作の位置は左右方向及び奥行方向の二軸方向に関するユーザのプレイ行為を通じて決定される。そして、クレーン装置13は、そのユーザのプレイ行為を通じて指定された位置において下降し、アーム部13Aの開閉動作を通じて捕獲対象を挟む捕獲動作を実行する。捕獲対象は、景品自体である場合が多いが、景品に関連付けられる代替物である場合もある。そして、このような捕獲対象がクレーン装置13によって捕獲され、所定位置まで運搬された(移動した)場合に景品がユーザに付与される。
【0015】
具体的には、ゲーム機1は、筐体10を有している。筐体10には、収容部11と、排出口12と、入力装置IPと、が設けられている。排出口12は、遊技体としての捕獲対象PSを排出するための開口である。収容部11は、捕獲対象PSを収容するための空間である。収容部11は、アクリル或いはガラス等の内部を視認可能な透明な素材によって外部と内部とが仕切られ、外部から内部が視認可能なように構成される。収容部11は、多くの捕獲対象PSを収容可能に構成され、それらは収容部11の底部11Aに配置される。
【0016】
収容部11の内部には、クレーン装置13、及び解放口14が設けられる。クレーン装置13は、収容部11の内部に収容される捕獲対象PSを捕獲するように動作する。具体的には、クレーン装置13は、収容部11の上部に吊り下げ部材を介して吊り下げられ、収容部11における水平方向の移動、垂直方向の昇降、及びアーム部13Aの開閉(捕獲対象PSを掴む動作)といった動作を含む捕獲対象PSを獲得(変位)させるための一連の動作を実行する。このため、クレーン装置13は、水平方向の移動を実現するために、左右方向XD及び奥行方向YDをそれぞれX軸及びY軸とした場合のXY平面において各座標位置に配置されるように左右方向XD及び奥行方向YDの二軸方向に移動可能に構成される。また、クレーン装置13は、このような各座標位置において所定の高さ(所定の下降位置)まで下降する下降動作を実行するとともに、その所定の高さにおいて捕獲対象PSを掴む捕獲動作(開閉動作)を実行するように構成される。さらに、クレーン装置13は、その後に元の高さまで上昇する(戻る)上昇動作、掴んだ捕獲対象PS(実際には掴んでいなくてもよい)を所定位置まで運搬する運搬動作、及び所定位置において掴んだ捕獲対象PSを解放する解放動作を順に実行可能に構成される。
【0017】
入力装置IPは、ユーザのプレイ行為を入力するための入力装置である。入力装置IPには各種のプレイ行為が適宜に実行されてよいが、
図1の例ではプレイ行為として操作が実行される場合を示している。また、入力装置IPにはプレイ行為としての操作の種類に応じて適宜の操作部が設けられ得るが、
図1の例では方向操作部IP1、及び決定操作部IP2が設けられている。方向操作部IP1は、クレーン装置13の移動動作における方向を指示するための操作が実行される操作部である。つまり、方向操作部IP1への操作を通じて、XY平面におけるクレーン装置13の移動方向が指定される。一方、決定操作部IP2は、XY平面においてクレーン装置13が下降動作を実行すべき位置を決定するための操作が実行される操作部である。具体的には、クレーン装置13は方向操作部IP1への操作を通じてXY平面上の任意の位置に移動しつつ、決定操作部IP2が操作されたときの位置において下降動作を実行するとともに、クレーン装置13と捕獲対象PS等との接触(いわゆる底付きが)が検出された高さといった所定の高さにおいて更に捕獲動作を実行する。
【0018】
解放口14は、解放口14と排出口12とを接続する接続通路15に開口している。つまり、収容部11の内部は、解放口14を介して排出口12と接続されている。そして、解放口14は、クレーン装置13によって解放動作が実行されるべき所定位置として機能する。このため、実際にクレーン装置13によって捕獲対象PSが掴まれていた場合には、解放動作に伴いその捕獲対象PSは解放口14の上方で解放されて落下し、解放口14を介して排出口12から排出される。捕獲対象PSは上述のとおり景品の代替物であってもよいが、
図1の例では景品自体が利用されている。具体的には、捕獲対象PSは、景品を内包するカプセルとして構成されている。このため、捕獲対象PSが排出口12から排出された場合、その捕獲対象PS、換言すればそこに内包する景品がクレーンゲームをプレイするユーザに付与される。つまり、捕獲対象PSが解放口14の上方で解放された場合、その捕獲対象PSの排出を通じて直接的に景品がユーザに付与される。
【0019】
(クレーン装置の構成)
次に、
図2を参照して、クレーン装置13の構成について説明する。
図2は、ゲーム機1から取り外された状態のクレーン装置13を示す斜視図である。
図2に示すように、クレーン装置13には、昇降装置部20、捕獲装置部21、及び接続パイプPPが設けられる。昇降装置部20は、各種の機構等を収容する筐体として構成される。昇降装置部20には、例えばアーム部13Aの下降動作、及び上昇動作(戻る動作)といった垂直方向の動作を実現するための各種機構等が設けられる。例えば、昇降装置部20には、昇降モータVMT、吊り下げ機構22、及びワイヤ巻き取りプーリ29が設けられる。
【0020】
吊り下げ機構22は、捕獲装置部21を昇降可能に吊り下げるための機構である。吊り下げ機構22は、捕獲装置部21を吊り下げる力を調整可能に構成される。吊り下げる力は適宜の操作を通じて調整されてよく、吊り下げ機構22にはそのような操作に応じた各種の操作部材が設けられ得るが、
図2の例では操作部材の一例として操作ダイヤル23が設けられている。
【0021】
ワイヤ巻き取りプーリ29はワイヤWYを巻き取るためのプーリ(滑車)である。ワイヤ巻き取りプーリ29はテンションプーリ22Cを介してワイヤWYを巻き取るように配置される。昇降モータVMTは、ワイヤ巻き取りプーリ29にワイヤWYを巻き取る動作を実行させるための駆動源である。昇降モータVMTは、ワイヤ巻き取りプーリ29を介したワイヤWYの巻き取り、或いはその解除(巻き取られたワイヤWYが解放され、自重により捕獲装置部21が下降する状態)を実行し、ワイヤWYを介して吊り下げられている捕獲装置部21の昇降を実現する。昇降装置部20には、例えばその他にも捕獲装置部21の下降に伴いクレーン装置13が捕獲対象PSや収容部11の底に到達した状態(いわゆる底付き状態)を検出するためのセンサ等が適宜に設けられ得るが、それらの図示は省略した。
【0022】
捕獲装置部21は、アーム部13Aを介した捕獲動作(開閉動作)を実行するための装置である。捕獲装置部21には捕獲動作を実現するための各種の機構等が適宜に設けられ得るが、
図2の例ではアーム部13A、及び開閉装置部13Bが設けられている。アーム部13Aは、捕獲対象PSを掴む(挟む)捕獲動作を実行する部分である。アーム部13Aは開閉装置部13Bの下側に設けられる。アーム部13Aは適宜の数のアームによって構成されてよいが、
図2の例では三つのアームによって構成されている。
【0023】
捕獲動作におけるアーム部13Aの挟む(閉じる)力(開閉動作等において捕獲対象PSを挟む方向に作用する力)、或いはアーム間の間隔といった捕獲に関連する要素は固定的であってもよいが、一例として調整可能に(可変的に)構成される。このような調整は適宜に実現され得るが、例えば
図2の例では開閉装置部13Bに調整つまみRPが設けられている。調整つまみRPは、アーム部13Aの間隔を調整するための回転操作が実行される操作部である。つまり、調整つまりRPを回す回転操作を通じて、アーム部13A間の間隔が調整される。
【0024】
また、開閉装置部13Bには、アーム部13Aの閉じる力(開く方向に作用する力への抵抗として反作用的に挟む方向に作用する力を含む)を調整するための調整機構が設けられる。調整機構は閉じる力を生じさせる機構等に応じて適宜に構成され得るが、例えば開く方向に抵抗力として作用するバネによって閉じる力が生じる場合、そのバネの抵抗力を調整する機構として構成される。さらに、この調整機構は、その閉じる力をアーム部13A毎に調整可能に構成される。つまり、調整機構は、各アーム部13Aの閉じる力をアーム部13A毎に相違させることができるように構成される。この調整機構の調整は制御ユニット31を通じて動作するモータ等の各種の駆動源によって実現されるが、バネを含む調整機構、或いは駆動源といったそれらの機構等の図示は省略した。同様に、開閉装置部13Bには、例えばその他にもアーム部13Aの開閉を検出するためのセンサ等、捕獲動作、及び解放動作といったアーム部13Aの開閉動作を実現するための各種機構等が適宜に設けられ得るが、それらの図示は省略した。
【0025】
接続パイプPPは、昇降装置部20と捕獲装置部21とを接続する部材である。接続パイプPPは、昇降装置部20の下側と開閉装置部13Bの上側とを接続するように設けられ、クレーン装置13の垂直方向の動作に対応するように伸縮可能に構成される。
【0026】
(ゲーム機の制御系)
次に、
図3を参照してゲーム機1の制御系の要部を説明する。ゲーム機1には、コンピュータとしての制御ユニット31と、記憶手段としての記憶ユニット32と、演出機器34と、搬送装置35と、設定ユニットSUと、上述のクレーン装置13、及び入力装置IPとが設けられる。記憶ユニット32、演出機器34、搬送装置35、設定ユニットSU、クレーン装置13、及び入力装置IPはいずれも制御ユニット31に接続される。ゲーム機1には各種の出力装置及び入力装置が適宜に設けられ得るが、
図3の例ではこれらが示されている。
【0027】
入力装置IPは上述のとおりであるが、方向操作部IP1、及び決定操作部IP2への押す操作に応じた信号を制御ユニット31に入力する。設定ユニットSUはクレーン装置13の動作に関する設定を入力するための入力装置の一種であるが、出力装置を含む場合があり、その場合には出力装置としても機能する。例えば、設定ユニットSUは
図3の例ではモニタMO、及びタッチセンサTSを含んでいる。
【0028】
モニタMOは設定用の各種画像を含む設定画面を表示するための表示装置である。モニタMOは出力装置に該当し、制御ユニット31からの出力信号に応じて設定画面を表示する。設定画面は各種の設定に用いられてよいが、一例として各アーム部13Aの閉じる力の設定(閉じる力の制御のために調整機構に設けられる駆動源を制御するための設定)に用いられる。タッチセンサTSはユーザのタッチ操作の位置を検出するセンサ(検出装置)である。タッチセンサTSはモニタMOの表示面を覆うように配置され、設定画面へのタッチ操作の位置に応じた信号を制御ユニット31に出力(入力)する。つまり、タッチセンサTSは、各アーム部13Aの閉じる力の設定を入力するための入力装置として機能する。設定ユニットSUは適宜に構成されてよく、例えば各種押しボタン等を通じて設定を入力するように構成され、モニタMO等の出力装置を含んでいなくてもよいが、一例としてこのように構成される。
【0029】
一方、クレーン装置13、演出機器34、及び搬送装置35は、ゲーム機1に設けられる出力装置の一例であるが、各種センサ(検出装置)等を有する場合もあり、その場合には入力装置としても機能する。これらはいずれも制御ユニット31によってその動作が制御される。例えば、演出機器34は、クレーンゲームの各種演出を実現するための機器である。演出機器34にはスピーカ、表示装置、或いは照明機器といった各種の出力装置が含まれる。演出機器34は制御ユニット31からの出力信号に応じて各種の演出を実現するように動作する。
【0030】
搬送装置35は、移動動作、或いは運搬動作といった、クレーン装置13の主に水平方向の移動を実現するための装置である。搬送装置35は適宜に構成されてよく、クレーン装置13の一部として機能してもよいが、例えば搬送モータSMTを有している。搬送モータSMTはクレーン装置13の水平方向の動作を実現するための駆動源であり、制御ユニット31によって制御される。搬送装置35にはその他にも各種の機構等が適宜に設けられ得るが、
図3の例では搬送センサSDSが示されている。搬送センサSDSはクレーン装置13の位置を検出するためのセンサ(検出装置)である。搬送センサSDSはクレーン装置13の位置を判別可能な適宜の要素を検出してよいが、例えばXY平面におけるクレーン装置13の座標を判別するために左右方向XD及び奥行方向YDにおける搬送モータSMTの駆動量(初期位置からのクレーン装置13の移動量)を検出するように構成される。
【0031】
クレーン装置13は上述のとおりであるが、例えば昇降装置部20、或いは捕獲装置部21といった部分を有している。昇降装置部20、或いは捕獲装置部21には捕獲装置部21の昇降動作、或いはアーム部13Aの開閉動作(捕獲動作及び開放動作を含む)といった各種動作等を実現するための適宜の機構(装置を含む)が設けられ得るが、
図3の例ではそれらの一例としてモータ群MTG、及びセンサ群DSGが示されている。
【0032】
モータ群MTGは昇降動作、或いは開閉動作といった動作を実現するための各種モータである。モータ群MTGは、例えば上述の昇降モータVMT、及び各アーム部13Aの閉じる力を調整するために調整機構に設けられる駆動源といった各種の駆動源を含んでいる。モータ群MTGは適宜に制御され得るが、一例としていずれも制御ユニット31に接続され、制御ユニット31によって制御される。換言すれば、アーム部13Aの各種動作、及び各アーム部13Aの閉じる力等は、モータ群MTGを介して制御ユニット31によって制御される。同様に、センサ群DSGは昇降動作、或いは開閉動作といった動作の状態を検出するための各種センサである。センサ群DSGは、例えば捕獲装置部21の底付き状態を検出するセンサ、或いは各アーム部13Aの開閉状態を検出するためのセンサを含んでいる。センサ群DSGは昇降動作等の制御のために制御ユニット31に接続され、検出結果に応じた信号を制御ユニット31に出力(入力)する。
【0033】
制御ユニット31は、所定のコンピュータプログラムに従って各種の処理を実行するプロセッサの一例としてのCPUと、その動作に必要な内部メモリその他の周辺装置とを組み合わせたコンピュータとして構成されている。制御ユニット31には、制御ユニット31のハードウエア資源とソフトウエア資源としてのゲームプログラムPGとの組合せによって実現される論理的装置が設けられる。制御ユニット31には、このような論理的装置が適宜に設けられ得るが、
図3の例では動作制御部37、及び演出制御部38が示されている。
【0034】
動作制御部37は、クレーン装置13、及び搬送装置35の動作を制御するための各種の処理を実行する。このような処理には設定ユニットSUを介して実行された設定の設定結果をクレーン装置13、及び搬送装置35の動作に反映するための処理が含まれる。このため、動作制御部37には、例えばクレーン装置13、搬送装置35、入力装置IP、及び設定ユニットSUが接続される。例えば、動作制御部37が実行する処理には、入力装置IPへの各種操作に応じて移動動作、下降動作、捕獲動作、運搬動作、或いは解放動作といった一連の動作をクレーン装置13に実行させるための処理が含まれる。さらに、動作制御部37が実行する処理には、設定ユニットSUを介して設定された設定結果に応じて各アーム部13Aの閉じる力を個別に制御する処理も含まれる。動作制御部37は、このような処理の一例としてデータ生成処理、及び個別制御処理を実行する。データ生成処理、及び個別制御処理の手順の詳細は後述する。
【0035】
演出制御部38は、演出機器34の動作を制御するための各種の処理を実行する論理的装置である。このため、演出制御部38には演出機器34が接続される。また、演出制御部38が実行する処理には、例えば演出機器34に各種演出を実行させるための処理が含まれる。
【0036】
記憶ユニット32は、ハードディスク、半導体記憶装置といった不揮発性記憶媒体(コンピュータ読み取り可能な記憶媒体)を含んだユニットによって実現される外部記憶装置である。記憶ユニット32には、上述したゲームプログラムPGとともに、各種のデータが記録され得るが、
図3の例ではゲームデータGDが示されている。ゲームデータGDは、ゲームプログラムPGに従ってユーザにクレーンゲームをプレイさせるためのデータである。ゲームデータGDはBGM等の各種音声を再生するための音声データ等のクレーンゲームの提供に必要な各種のデータを適宜に含むが、
図3の例では設定データSDが示されている。設定データSDは、クレーン装置13の動作に関するパラメータ等の各種設定を管理するデータである。設定データSDは、そのようなパラメータの一例としてアーム部13A毎の閉じる力に関する情報を含んでいる。設定データSDの詳細は後述する。
【0037】
(各アーム部の閉じる力の制御)
次に、
図4~
図6を参照して、各アーム部13Aの閉じる力の制御について説明する。上述のとおり各アーム部13Aの閉じる力は、アーム部13A毎に個別に制御される。
図4は、各アーム部13Aの閉じる力の制御の一例を説明するための説明図である。
図4の例は、収容部11の底部11Aを上から見た平面図を模式的に示している。また、
図4の(A)及び(B)は、クレーン装置13がXY平面の第一位置、及び第二位置にそれぞれ位置する場合の各アーム部13Aの閉じる力の制御の一例を示している。
図4の例では(A)及び(B)のいずれにおいても三つのアーム部13Aは、第1アーム部13A1~第3アーム部13A3としてそれぞれ右斜線柄、格子柄、及びドット柄にて示されている。
【0038】
図4の(A)に示すように、第一位置では各アーム部13Aのうち第1アーム部13A1が解放口14に対して他のアーム部13Aと比べて比較的遠くに位置し、第2アーム部13A2及び第3アーム部13A3が第1アーム部13A1と比べていずれも同程度に比較的近くに位置している。つまり、各アーム部13Aから解放口14までの距離に基づく位置関係(遠近関係)として、三つのアーム部13Aの間に第1アーム部13A1が最も遠く、他のアーム部13Aが同程度に近いという関係が形成されている。このような位置関係において各アーム部13Aの閉じる力は適宜に制御されてよいが、一例として第2アーム部13A2及び第3アーム部13A3の閉じる力は同程度に制御され、第1アーム部13A1の閉じる力は第2アーム部13A2及び第3アーム部13A3よりも弱くなるように制御される。つまり、各アーム部13Aの閉じる力は、XY平面における各アーム部13Aの位置と解放口14の位置(所定位置)との間の距離(アーム部13A間の遠近)に応じて距離が遠いほど弱くなるように制御される。
【0039】
一方、
図4の(B)に示すように、第二位置では各アーム部13Aのうち第2アーム部13A2が解放口14に対して他のアーム部13Aと比べて比較的近くに位置し、第1アーム部13A1及び第3アーム部13A3が第2アーム部13A2と比べていずれも同程度に比較的遠くに位置している。つまり、第二位置では、各アーム部13Aから解放口14までの距離に基づく位置関係(遠近関係)として、三つのアーム部13Aの間に第2アーム部13A2が最も近く、他のアーム部13Aが同程度に遠いという関係が形成され、三つのアーム部13A間には第一位置と比べて異なる遠近関係が生じている。このため、第二位置において第一位置と同様の遠近に応じた閉じる力が適用される場合、第1アーム部13A1及び第3アーム部13A3の閉じる力は同程度に制御され、第2アーム部13A2の閉じる力はそれらの二つのアーム部13Aよりも強くなるように制御される。つまり、解放口14までの距離が遠いアーム部13Aほど閉じる力が弱くなるという同じ制御(設定)であってもクレーン装置13の位置に応じて三つのアーム部13A間には異なる閉じる力が適用される。
【0040】
アーム部13A間の遠近に応じた閉じる力は設定画面を通じて適宜に設定されてよく、例えば解放口14から遠い場合に20ポイント、近い場合に30ポイントといった具合に遠近毎に(距離に応じて)個別に(絶対的に)設定されてもよいし、設定画面にて設定された初期値(基準値)を基準に相対的に設定されてもよい。初期値を基準に相対的に設定される場合、例えば設定画面において設定された初期値を基準に解放口14から比較的近いアーム部13Aは初期値をプラス20ポイントし、遠いアーム部13Aはマイナス10ポイントするといった具合に閉じる力の初期値を増減させることにより遠近に応じた閉じる力が実現されてもよい。
【0041】
あるいは、アーム部13A間の遠近に応じた閉じる力は、三つのアーム部13Aの閉じる力の組み合わせによってクレーン装置13の全体に生じる閉じる力(以下、挟む力と呼ぶ場合がある)のパターンを指定するように設定されてもよい。さらに、各パターンがクレーンゲームの結果にそれぞれ異なる影響を与える可能性がある場合、目標となる結果の指定を通じてその結果に関連するパターンが設定されてもよい。このような目標となる結果には各種の結果が適宜に含まれてよく、例えば一定期間における景品の付与数、或いはプレイの対価の所定期間における累計額に対するその所定期間における景品の費用の累計額の割合としてのペイアウト率といった各種の結果が適宜に含まれていてよい。そして、目標となる結果として景品付与数の目標値、或いはペイアウト率の目標値といった値が設定画面において指定されてよい。このようにアーム部13A間の遠近に応じた閉じる力の設定方法は各種想定され得るが、以下では一例としてペイアウト率の目標値が指定され、その目標に関連するパターン(アーム部13A間の遠近に応じた閉じる力の組合せ)がクレーン装置13の挟む力に生じる場合について説明する。
【0042】
また、
図4の例では、説明の便宜のため、解放口14と各アーム部13Aとの間の距離は、解放口14の基準位置(クレーン装置13が解放動作を行う解放口14の中心付近に位置する黒塗りの点)と各アーム部13Aの基準位置(中心付近)との間を結ぶ破線にて示されているが、実際にはいずれの基準位置(
図4の例では中心付近に設定されているが、適宜の位置に設定されてよく、例えば解放口14の周囲等、解放口14の近くの外側に設定されてもよい)も判別可能に表示されていなくてよい。また、解放口14と各アーム部13Aとの間の距離、換言すれば三つのアーム部13A間の遠近は適宜に特定されてよく、各アーム部13Aに設けられた通信装置や各アーム部13Aの姿勢(例えば垂直方向を軸線とする回転動作の回転角度)等に基づき個別に特定されてもよい。あるいは、各アーム部13Aの姿勢が固定(回転動作が制限)される(クレーン装置13の位置が同じであれば三つのアーム部13A間において解放口14に対する距離の関係が固定される、換言すれば昇降装置部20から見たときの各アーム部13A間の位置関係が固定される)場合、クレーン装置13の位置に基づいて解放口14と各アーム部13Aとの間の距離(アーム部13A間の遠近)は特定されてもよい。このように解放口14と各アーム部13Aとの間の距離は適宜に特定され得るが、以下では一例として各アーム部13Aの姿勢が固定され、クレーン装置13の位置に基づいて各アーム部13A間の遠近が特定される場合について説明する。
【0043】
図5は、閉じる力の個別の制御、つまりアーム部13A間の遠近(解放口14と各アーム部13Aとの間の距離)に応じた制御が実行される位置を説明するための説明図である。
図5の例も、
図4の例と同様に、収容部11の底部11Aを上から見た平面図を模式的に示している。閉じる力の個別の制御は適宜の位置で実行されてよく、例えばクレーン装置13の位置の変化(移動)に伴い随時実行されてもよいが、
図5の例では所定の位置において実行される場合を示している。具体的には、
図5の例では所定の位置として(A)捕獲位置、(B)途中位置、及び(C)付近位置の三つの位置が示されている。
【0044】
図5の例の(A)に示すように、捕獲位置CPは、クレーン装置13が捕獲動作(開閉動作)を実行する位置である。アーム部13A間の遠近(解放口14と各アーム部13Aとの間の距離)は捕獲位置CPに応じて相違し得るが、
図5の(A)の例では第1アーム部13A1が最も遠くに位置し、他の二つのアーム部13Aはそれよりも近いほぼ同程度の距離に位置している。このため、捕獲位置CPにおいて
図4の例と同様の閉じる力が適用される場合、解放口14から最も遠くに位置する第1アーム部13A1が最も弱い閉じる力で捕獲動作を、その他が同程度の閉じる力で捕獲動作を、それぞれ実行するように各アーム部13Aの閉じる力が個別に制御される。
【0045】
また、
図5の例の(B)に示すように、途中位置は、捕獲位置CPと解放口14とを結ぶ運搬経路(
図5の例の破線)における途中(捕獲位置CPと解放口14との間)の位置である。運搬経路は捕獲動作後の運搬動作において捕獲位置CPから解放口14の基準位置に向かって戻る(運搬する)ための経路である。運搬経路は解放口14と捕獲位置CPとの位置に応じて設定されるが、解放口14の位置が固定的な場合には捕獲位置CPのみに基づいて設定されてもよい。いずれにしても運搬経路は捕獲位置CPに応じて相違する。同様に、
図5の例の(C)に示すように、付近位置は解放口14の付近(近く)に設定される位置である。付近位置は運搬経路によって相違し得るが、一例として解放口14の基準位置を基準にそこから所定距離に該当する解放口14の周囲に設定される。
【0046】
付近位置、及び途中位置における各アーム部13Aと解放口14との間の距離関係(遠近関係)は、運搬経路に応じて相違し得る。また、途中位置の場合、同様の関係は更に運搬経路のいずれの位置かに応じても相違し得るが、
図5の例では付近位置、及び途中位置のいずれにおいても第2アーム部13A2が解放口14から最も近くに位置し、その他の二つのアーム部13Aはいずれもそれよりも遠いほぼ同程度の距離に位置している。このため、
図4の例と同様の閉じる力が適用される場合、途中位置、及び付近位置のいずれにおいても解放口14から最も近くに位置する第2アーム部13A2が最も強い閉じる力で制御され、その他の二つのアーム部13Aはいずれもそれよりも弱い同程度の閉じる力で制御される。各アーム部13Aの閉じる力は、一例としてこのように捕獲位置CP、途中位置、或いは付近位置といった所定の位置において制御される。また、これらの所定の位置は固定的であってもよいが、一例として設定画面を通じてゲーム機1の管理者によって適宜に設定される。
【0047】
図6は、各アーム部13Aの閉じる力の組合せによってクレーン装置13に生じる挟む力(三つのアーム部13Aの全体としての閉じる力)のパターンの一例を説明するための説明図である。
図6の例は、収容部11を横から見た状態を模式的に示している。
図4及び
図5の例では解放口14から相対的に遠いアーム部13Aの閉じる力が他のアーム部13Aに比べて弱くなる場合を説明しているが、各アーム部13Aの閉じる力は適宜に生じてよい。このため、クレーン装置13にはそれらのアーム部13Aの閉じる力の組合せに応じたパターンの挟む力(掴む力)が生じ得る。
図6の例ではその一例として三つのパターンが示されている。なお、
図6の例では、説明の便宜のため、捕獲対象PSとして景品が示されている。また、
図6の例では、所定の位置の一例として付近位置において各アーム部13Aの閉じる力に個別の制御が実行される場合を示している。
【0048】
例えば、
図6の(A)は、クレーン装置13に生じる各種の挟む力のうち基礎パターンを示している。基礎パターンは、三つのアーム部13Aに同じ閉じる力が生じるパターンである。つまり、各アーム部13Aの閉じる力が遠近に応じて個別に制御されていない場合に生じるパターンである。基礎パターンは運搬経路において適宜の時期に適用されてよく、例えば各アーム部13Aの閉じる力が遠近に応じて個別に制御される所定の位置を挟む(所定の位置において基礎パターンから他のパターンに変化し、運搬経路における所定の位置よりも後の適宜の位置で再度基礎パターンに戻る)ように適用されてもよいが、一例として所定の位置に向かうまでの運搬経路に適用される。つまり、所定の位置までは基礎パターンが適用され、所定の位置において基礎パターンから他のパターンに変化し、以降では他のパターンが維持される。この場合、
図6の(A)に示すように、クレーン装置13は、捕獲位置CPで捕獲対象PSを捕獲後に所定の位置(付近位置)に向かうまでの間に基礎パターンの挟む力にて運搬動作を実行する。このため、付近位置まで捕獲対象PSは各アーム部13Aによって比較的バランスよく挟まれた状態で運搬される。
【0049】
一方、
図6の(B)及び(C)は、いずれも各アーム部13Aの閉じる力に遠近に応じた個別の制御が生じているパターンを示している。具体的には、
図6の(B)はクレーン装置13の挟む力が所定の位置において基礎パターンから第1変形パターンに変化した場合を示している。第1変形パターンは、解放口14から相対的に遠いアーム部13Aの閉じる力が他のアーム部13Aに比べて弱くなるパターンである。この場合、
図6の(B)に示すように、第1変形パターンではクレーン装置13の挟む力は基礎パターンに比べてバランスを失い、解放口14から相対的に遠い(閉じる力が最も弱い)アーム部13Aが他のアーム部13Aの閉じる力や運搬時の振動等の影響を受けて基礎パターンの状態よりも開いてしまう可能性がある。
【0050】
三つのアーム部13Aの一つでも必要以上に開いてしまうと、捕獲対象PSの捕獲を維持できず、落下させる可能性が高くなる。このため、捕獲対象PSが解放口14まで運搬される可能性、つまり景品が付与される可能性が基礎パターンに比べて低くなる。このため、第1変形パターンは基礎パターンに比べてペイアウト率を減少させる影響を与える可能性が高い。また、仮に落下する場合、捕獲対象PSは閉じる力が最も弱いアーム部13A、つまり解放口14から最も遠いアーム部13A(
図6の(B)の右端)から傾くように落下する可能性が高く、結果的に捕獲対象PSは解放口14から遠ざかる方向に転がる可能性が高い。解放口14から遠ざかるに従って捕獲対象PSが解放口14に至る可能性は一般的に低くなる。
【0051】
一方、
図6の(C)は、クレーン装置13の挟む力が所定の位置において基礎パターンから第2変形パターンに変化した場合を示している。第2変形パターンは、第1変形パターンとは反対に、解放口14から相対的に近いアーム部13Aの閉じる力が他のアーム部13Aに比べて弱くなるパターンである。
図6の(C)に示すように、第2変形パターンでもクレーン装置13の挟む力は基礎パターンに比べて同様にバランスを失う。このため、第1変形パターンと同様に捕獲対象PSを落下させる可能性が高くなる。このため、景品が付与される可能性は第1変形パターンと同様に基礎パターンに比べると低くなり、第2変形パターンも基礎パターンに比べてペイアウト率を減少させる影響を与える可能性が高い。
【0052】
一方で、第2変形パターンの場合、解放口14から最も近いアーム部13A(
図6の(C)の左端)から傾くように落下する可能性が高く、結果的に捕獲対象PSは解放口14に近づく方向に転がる可能性が高い。つまり、同じように捕獲対象PSが落下する場合でも、第1変形パターンと第2パターンとでは異なる(ほぼ正反対の)影響が生じる可能性が高い。そして、解放口14に近づく場合と遠ざかる場合とを比べると、解放口14に近づく場合の方が景品獲得には好影響を与える可能性が高い。例えば、付近位置において第2変形パターンが適用された場合、捕獲対象PSは落下するものの、解放口14の方向に転がり、結果的に解放口14まで至る可能性もある。このため、第2変形パターンは、第1変形パターンに比べてペイアウト率の増加に影響を与える可能性が高い。
【0053】
同様に、例えば
図6の例において遠近関係の中間に位置するアーム部13A(解放口14から最も遠いアーム13Aと最も近いアーム部13Aとの間に位置するアーム部13A)の閉じる力が最も弱くなる場合、或いは三つのアーム部13Aの閉じる力がいずれも相違する場合等、第1変形パターン及び第2変形パターンの他にも三つのアーム部13Aの閉じる力の組み合わせによりクレーン装置13には各種のパターンが生じ得る。そして、それらのパターンに応じてペイアウト率に異なる影響が生じ得る。設定画面において目標のペイアウト率(以下、目標ペイアウト率と呼ぶ場合がある)が設定された場合、その目標ペイアウト率と現在のペイアウト率との間の相違に応じてそれらのパターンから目標ペイアウト率に近づくタイプのパターンがクレーン装置13に設定され、そのパターンに対応する閉じる力が各アーム部13Aに設定される。この例において第1変形パターン及び第2変形パターンが、本発明の二以上のパターンとして機能し、かつ減少パターン、及び増加パターンとしてそれぞれ機能する。
【0054】
(設定データ)
次に、
図7を参照して、設定データSDの詳細について説明する。
図7は、設定データSDの構成の一例を示す図である。
図7の例は、目標となる結果の指定を通じてその目標に関連するパターンがクレーン装置13の挟む力に設定される場合の設定データSDの一例を示している。また、
図7の例は、各アーム部13Aの位置関係が固定される(捕獲装置部21の昇降装置部20に対する回転動作が制限される)場合を示している。この場合、
図7に示すように、設定データSDは、“初期値”、“パターン”、“設定”、及び“目標”の情報を含んでいる。設定データSDには、これらの情報が相互に関連付けられるように記録されている。
【0055】
“初期値”は、初期値として設定される各アーム部13Aの閉じる力を示す情報である。初期値はアーム部13A毎に設定されてもよいが、一例として三つのアーム部13Aに共通に設定される。このため、“初期値”には基礎パターンにおいて各アーム部13Aに生じる閉じる力の情報が記述される。
【0056】
“パターン”は、クレーン装置13の挟む力に対応する各パターンのうち所定の位置において適用されるパターンを示す情報である。“パターン”には各パターンを特定可能な適宜の情報が記述され得るが、一例として各パターンを識別するためにパターン毎にユニークなパターンIDの情報が記述される。また、設定画面において目標ペイアウト率が指定される場合、その目標ペイアウト率と現在のペイアウト率との相違に応じて目標ペイアウト率に近づく方向に影響を与えるパターンが、クレーン装置13に設定されるように、“パターン”に記述される。例えば、目標ペイアウト率が現在の値よりも高い場合、第1変形パターン、及び第2変形パターンのうち景品付与の可能性を高める(換言すればペイアウト率の現在値を上昇させる可能性を高める)第2変形パターンがクレーン装置13に設定されるように、その第2変形パターンに対応するパターンIDが“パターン”に記述される。一方、目標ペイアウト率が現在の値よりも低い場合、第1変形パターン、及び第2変形パターンのうち景品付与の可能性を低下させる(換言すればペイアウト率の現在値を減少させる可能性を高める)第1変形パターンがクレーン装置13に設定されるように、その第1変形パターンに対応するパターンIDが“パターン”に記述される。
【0057】
“設定”は、各パターンにおける各アーム部13Aの閉じる力に関する設定内容を示す情報である。このため、“設定”は各アーム部13Aに個別に設定されるべき閉じる力の情報を含んでいる。また、その個別の閉じる力は絶対値として記述されてもよいが、一例としてプラス20ポイント等の初期値を基準とした相対的な閉じる力として記述される。
【0058】
“目標”は、設定画面(設定機会)を通じて設定された目標となるプレイ状況を示す情報である。例えば、ペイアウト率の目標が設定された場合、“目標”にはそのペイアウト率の目標値の情報が記述される。なお、設定データSDには、これらに限定されず、設定画面における設定方法等に応じて各種の適宜の情報が含まれていてよい。あるいは、反対に上述の各情報が適宜に省略されてもよい。例えば、アーム部13A毎に初期値が設定される場合、“初期値”の情報は各アーム部13Aを識別する情報を含んでいてもよい。同様に、各アーム部13Aの位置関係が動作状況等に応じて変化する場合、“パターン”の情報は位置関係(解放口14からの遠近関係)を示す情報を含んでいてよい。また、例えば目標ペイアウト率に対応する各パターンや各パターンに対応する相対的な閉じる力がプログラムに記述される(定義される)場合、“パターン”や“設定”の情報は省略されてもよい。
【0059】
(ゲーム機の処理)
次に、
図8~
図9を参照して、データ生成処理、及び個別制御処理について説明する。データ生成処理は、設定データSDを生成するための処理である。動作制御部37は設定画面(設定機会)において設定が実行される毎、並びに所定期間(ペイアウト率を集計する期間)毎に
図8のデータ生成処理を開始し、まず設定画面における設定結果を取得する(ステップS101)。設定画面ではクレーン装置13の挟む力のパターンや各アーム部13Aの個別の閉じる力等が適宜に設定され得るが、例えば各アーム部13Aの初期値(基礎パターンにおける各アーム部13Aの閉じる力)が設定される場合、設定結果にはその初期値の情報が含まれる。また、目標ペイアウト率が指定される場合、その目標ペイアウト率の情報も含まれる。
【0060】
続いて動作制御部37は、ステップS101で取得した設定結果に基づいて設定データSDを生成する(ステップS102)。具体的には、動作制御部37は、ステップS101で取得した目標ペイアウト率と現在のペイアウト率とを比較し、その相違に応じて現在のペイアウト率が目標ペイアウト率に近づくように、所定の位置においてクレーン装置13に生じるべき挟む力のパターンを判別する。
【0061】
例えば、動作制御部37は、現在のペイアウト率が目標ペイアウト率よりも高い場合はペイアウト率を減少させる影響を与える第1変形パターンを、その反対に目標ペイアウト率の方が現在のペイアウト率よりも高い場合はペイアウト率を増加させる影響を与える第2変形パターンを、それぞれクレーン装置13に生じるべき挟む力のパターンと判別する。あるいは、目標ペイアウト率と現在のペイアウト率とが同程度(一致していなくとも相違が一定範囲に含まれる場合を含む)の場合には、ペイアウト率への影響が比較的低い(例えば
図6の例における遠近関係の中間に位置するアーム部13Aの閉じる力が最も弱くなるパターン等、捕獲対象PSが落下しても解放口14に近づいたり遠ざかったりする可能性が低い)パターンを、クレーン装置13に生じるべき挟む力のパターンと判別する。各パターンとペイアウト率への影響との関係は適宜のデータにて管理されていてもよいし、プログラム等において予め指定されていてもよい。各パターンとそのパターンを実現するための各アーム部13Aの閉じる力との関係も同様である。
【0062】
パターンの判別の後に動作制御部37は、その判別結果に対応する設定データSDを生成する。具体的には、動作制御部37は、ステップS101で取得した初期値、及び目標ペイアウト率の情報を“初期値”及び“目標”としてそれぞれ含み、かつ判別したパターン、及びそのパターンを実現するための各アーム部13Aの閉じる力の情報を“パターン”及び“設定”としてそれぞれ含む設定データSDを生成する。この生成には既存の設定データSDの更新が含まれる。動作制御部37は一例としてこのような手順で設定データSDを生成する。そして、設定データSDの生成の後に動作制御部37は今回のデータ生成処理を終了する。これにより、設定画面における設定結果に応じた設定データSDが生成される。また、目標ペイアウト率と現在のペイアウト率との間の相違に応じて目標ペイアウト率に近づくパターンが設定されるように所定期間毎に設定データSDの情報(“パターン”及び“設定”の情報)が更新される。
【0063】
個別制御処理は、解放口14からの距離の遠近に応じて各アーム部13Aの閉じる力を制御するための処理である。
図9の例は、捕獲位置CP等の所定の位置において各アーム部13Aの閉じる力が制御される場合の個別制御処理を示している。また、
図9の例は、クレーン装置13において各アーム部13A間の位置関係が固定されている場合を示している。この場合、動作制御部37はユーザのプレイ行為(例えば方向操作部IP1への操作)に基づいてXY平面におけるクレーン装置13の移動を開始させると解放口14において解放動作が実行されるまで所定の周期で繰り返し
図9の個別制御処理を開始し、まず各アーム部13Aの位置を特定するための位置情報を取得する(ステップS201)。
【0064】
各アーム部13Aの位置は適宜に特定されてよく、例えば各アーム部13A等に各アーム部13Aの個別の位置を検出可能な各アーム部13A用のセンサ等が設けられている場合、そのセンサの検出結果に基づいて個別に特定されてもよいが、一例としてクレーン装置13の位置を基準に特定される。このため、位置情報の一例として搬送センサSDSの検出結果が利用される。つまり、動作制御部37は、ステップS201において位置情報として搬送センサSDSの検出結果を取得する。
【0065】
続いて動作制御部37は、ステップS201で取得した位置情報に基づいてクレーン装置13の位置を判別する(ステップS202)。クレーン装置13において各アーム部13Aの位置関係が固定される場合、クレーン装置13の位置に基づいて各アーム部13Aの位置関係(解放口14に対する遠近関係)が特定される。このため、クレーン装置13の位置の判別には各アーム部13Aの遠近関係の判別が含まれる。また、解放口14の位置が固定的である場合、解放口14とクレーン装置13との間の位置関係の判別は省略されてもよい。つまり、解放口14の位置は各アーム部13Aの遠近関係の判別に使用されなくてもよい。このため、動作制御部37は、ステップS202においてクレーン装置13の位置の判別を通じて各アーム部13Aの遠近関係を判別する。
【0066】
次に動作制御部37は、クレーン装置13の位置が所定の位置条件を満たすか否か判別する(ステップS203)。位置条件は、各アーム部13Aの閉じる力を遠近に応じて制御するか否か判別するための条件である。各アーム部13Aの遠近に応じた閉じる力の制御は、一例として所定の位置において実行される。このため、位置条件は、クレーン装置13の位置が捕獲位置CP、途中位置、或いは付近位置といった所定の位置に該当する場合に満たされる。
【0067】
位置条件が満たされない場合、つまりクレーン装置13の位置が所定の位置に該当しない場合(ステップS203:No)、動作制御部37は各アーム部13Aをいずれも同じ初期値の閉じる力で制御する(ステップS204)。つまり、動作制御部37はクレーン装置13に基礎パターンに対応する挟む力が生じるように各アーム部13Aの閉じる力を一律に制御する。そして、動作制御部37は、この制御の後に今回の個別制御処理を終了する。
【0068】
一方、位置条件が満たされる場合、つまりクレーン装置13の位置が所定の位置に該当する場合(ステップS203:Yes)、動作制御部37は各アーム部13Aに適用すべき個別の閉じる力を判別する(ステップS205)。この判別は設定データSDに基づいて実行される。具体的には、動作制御部37は、設定データSDの“設定”(若しくは“パターン”)を参照し、クレーン装置13に生じるべき挟む力のパターンを実現する各アーム部13Aの閉じる力(例えば第1アーム部13A1は初期値からマイナス10ポイント等)を各アーム部13Aの遠近関係に基づいて特定する。
【0069】
次に動作制御部37は、ステップS205で特定した閉じる力が生じるように各アーム部13Aを制御する(ステップS206)。つまり、動作制御部37は、各アーム部13Aの閉じる力の組み合わせによりクレーン装置13の挟む力に目標ペイアウト率に近づくパターンが生じるように解放口14からの遠近に応じて各アーム部13Aの閉じる力を制御する。そして、この制御の後に動作制御部37は今回の個別制御処理を終了する。これにより、所定の位置以外では各アーム部13Aは遠近関係にかかわらず一律の初期値に対応する閉じる力で制御される。つまり、クレーン装置13には基礎パターンに対応する挟む力が生じる。一方で、所定の位置では解放口14までの遠近関係に応じて相違する閉じる力が各アーム部13Aに個別に生じるように制御される。より具体的には、目標ペイアウト率に近づく方向に影響を与えるパターンの挟む力が生じるように、各アーム部13Aの閉じる力が遠近関係に応じて個別に制御される。
【0070】
以上に説明したように、この形態によれば、各アーム部13Aから解放口14までの距離の遠近に応じて各アーム部13A間で相違するように、所定の位置において各アーム部13Aの閉じる力が制御される。つまり、解放口14との間の位置関係(遠近関係)に応じて各アーム部13Aの閉じる力が制御される。解放口14との各アーム部13Aとの間の位置関係は、
図4或いは
図5で例示のとおりクレーン装置13の位置に応じて変化する場合が多い。このため、解放口14との間の位置関係に応じた制御により、各アーム部13Aの閉じる力をクレーン装置13の位置に応じて変化させることができる。例えば
図4及び
図5に例示のとおり、同じ設定(同じパターン)が適用されるクレーン装置13であっても、運搬経路、及びそのパターンが適用される運搬経路上の位置に応じて各アーム部13Aの閉じる力を相違させることができる。これにより、新しい興趣性を付加できる可能性があるので、興趣性の向上を図ることができる。
【0071】
また、
図6に例示のとおり各アーム部13Aの閉じる力の組み合わせによってクレーン装置13の挟む力には各種のパターンが生じ得る。このため、これらのパターンを通じて各種の展開(演出)を付与することができる。例えば、第1変形パターン、或いは第2変形パターンを適用することにより、捕獲対象PSの落下を演出したり、その落下を通じて捕獲対象PSを解放口14から離れる方向に転がしたり、近づく方向に転がしたりすることができる。例えば所定の位置として付近位置が適用される場合、解放口14の付近においてこれらの展開を付与することができる。具体的には、例えば第1変形パターンの挟む力がクレーン装置13に生じる場合、捕獲対象PSが落下しても解放口14から離れる方向に転がる可能性が高い。このため、ペイアウト率を減少させる(景品の付与を抑制する)という目標が設定される場合において、捕獲対象PSが傾かず比較的真っ直ぐ落下する場合(例えば全てのアーム部13Aの閉じる力が一律に弱くなる等、各アーム部13Aの閉じる力が一様に制御され、閉じる力による傾きが生じずに落下する場合)よりも付近位置を解放口14の近くに設定することができる。つまり、解放口14のより近くでの落下を演出することができる。反対に、第2変形パターンの挟む力がクレーン装置13に生じる場合、捕獲対象PSが傾かず比較的真っ直ぐ落下する場合と比べて、解放口14からより離れた位置に付近位置が設定されても景品の獲得につながる可能性がある。つまり、解放口14のより遠くでの落下が景品の獲得につながるという演出を実現できる。これらにより、ユーザの期待感に起伏を与える演出(ハラハラドキドキする演出)を実現することができる。所定の位置として途中位置等が適用される場合も、同様の演出は実現可能である。また、第1変形パターン、或いは第2変形パターンはペイアウト率等のプレイ状況にも影響を与える。このため、これらの展開を通じて自然な方法でプレイ状況を調整することができる。さらに、例えば第1変形パターン等における捕獲対象PSの落下を逆手にとり、下方の捕獲対象PSにぶつけて解放口14に移動させるといった遊び方(興趣性)を付加することもできる。結果として、クレーンゲームの興趣性の更なる向上を図ることができる。
【0072】
以上の形態において、ゲーム機1の動作制御部37が、
図9の手順を実行することにより本発明の情報取得手段、及びアーム制御手段として機能する。具体的には、動作制御部37が、
図9のステップS201の手順を実行することにより情報取得手段として、ステップS206の手順を実行することによりアーム制御手段として、それぞれ機能する。また、ゲーム機1の動作制御部37が、
図8の手順のステップS101を実行することにより本発明の結果取得手段として機能する。
【0073】
本発明は上述した形態に限定されず、適宜の変形又は変更が施された形態にて実施されてよい。また、本発明は、上述の形態、及び以下の変形等が施された形態に含まれる各種の技術的手段が適宜に組み合わされて得られる形態にて実施されてもよい。例えば、上述の形態では、クレーン装置13において各アーム部13Aの位置関係は固定されている。しかし、本発明は、このような形態に限定されない。例えば、クレーン装置13において各アーム部13Aは向きが変化する(例えば垂直方向を軸線として各アーム部13Aがその軸前回りに回転可能である)等、各アーム部13Aの位置関係は可変的であってもよい。この場合、例えば
図9の手順のステップS202において動作制御部37は位置情報としてクレーン装置13における各アーム部13Aの向き等、各アーム部13Aの位置を示す検出結果を取得し、その情報に基づいて各アーム部13Aの遠近関係を判別してもよい。この場合、動作制御部37が、そのステップS202を実行することにより本発明の遠近判別手段として機能する。
【0074】
上述の形態では、解放口14(所定位置)は固定的に配置されている。しかし、本発明は、このような形態に限定されない。例えば、収容部11は、解放口14の位置を任意の位置に変化可能に構成されてもよい。この場合、例えば
図9の手順のステップS201において動作制御部37は更に解放口14の位置を判別するための情報を取得し、ステップS202においてその解放口14の位置とクレーン装置13との位置とに基づいて各アーム部13Aの遠近関係を判別してよい。
【0075】
上述の形態では、解放口14との間の遠近関係に応じて各アーム部13Aの閉じる力が制御されている。しかし、本発明は、このような形態に限定されない。各アーム部13Aの閉じる力は、適宜の対象との間の遠近関係に応じて制御されてよい。例えば、各アーム部13Aの閉じる力は、捕獲動作において捕獲位置CPとの間の遠近関係に応じて制御されてもよい。つまり、各アーム部13Aの閉じる力は、捕獲位置CPから遠いアーム部13Aの閉じる力が強く、近いアーム部13Aの閉じる力が弱いといった具合に、捕獲位置CP(目標位置)との間の遠近関係に応じて制御されてもよい。
【0076】
上述した実施の形態及び変形例のそれぞれから導き出される本発明の各種の態様を以下に記載する。なお、以下の説明では、本発明の各態様の理解を容易にするために添付図面に図示された対応する部材を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【0077】
本発明のゲーム機は、収容部(11)に収容された遊技体(PS)を挟むための開閉動作を実行する複数のアーム部(13A)を有し、入力装置(IP)を介して入力されるプレイ行為に応じた位置において前記開閉動作を実行するクレーン装置(13)を通じて前記遊技体を所定位置(14)まで移動させた場合にユーザに景品を付与する景品獲得ゲームを提供するゲーム機(1)であって、前記クレーン装置の移動に応じて生じる情報として各アーム部の位置に関係する位置情報を取得する情報取得手段(37)と、前記遊技体を挟む方向に作用する力としての閉じる力が各アーム部から前記所定位置までの距離の遠近に応じて各アーム部間で相違するように、前記位置情報に基づいて各アーム部の前記閉じる力を制御するアーム制御手段(37)と、を備える、ものである。
【0078】
本発明によれば、各アーム部から前記所定位置までの距離の遠近に応じて各アーム部間で相違するように、位置情報に基づいて各アーム部の閉じる力が制御される。つまり、所定位置との間の位置関係(遠近関係)に応じて各アーム部の閉じる力が制御される。所定位置との間の位置関係はクレーン装置の位置に応じて変化する場合が多い。このため、所定位置との間の位置関係に応じた制御により、各アーム部の閉じる力をクレーン装置の位置に応じて変化させることができる。これにより、新しい興趣性を付加できる可能性があるので、興趣性の向上を図ることができる。
【0079】
前記所定位置までの距離の遠近に応じた各アーム部の閉じる力の制御は適宜の時期に実行されてよい。例えば、各アーム部の閉じる力はクレーン装置の移動に伴う位置関係の変化に従って随時実行されてもよい。あるいは、各アーム部の閉じる力は所定の条件を満たす位置(若しくは時期)において実行されてもよい。例えば、本発明のゲーム機の一態様において、前記アーム制御手段は、所定の位置条件が満たされた場合に各アーム部の前記閉じる力を制御してもよい。
【0080】
位置条件は適宜の位置において満たされてよい。例えば、位置条件は遊技体を挟むための開閉動作を実行する位置において満たされてもよいし、その後の所定位置に移動するまでの適宜の途中位置において満たされてもよい。例えば、本発明のゲーム機の一態様において、前記位置条件は、前記開閉動作の位置(CP)、前記所定位置の付近に設定される所定の付近位置、及び前記開閉動作の位置と前記所定位置との間の途中に設定される所定の途中位置の少なくともいずれか一つにおいて満たされてよい。
【0081】
各アーム部の閉じる力の組合せに応じてクレーン装置には適宜の挟む力が生じてよい。例えば、本発明のゲーム機の一態様において、前記アーム制御手段は、前記所定位置までの距離の遠近に応じた各アーム部の前記閉じる力の組合せによって生じる複数のパターンのいずれかを設定することにより、各アーム部の前記閉じる力を制御してもよい。
【0082】
クレーン装置の挟む力に複数のパターンが生じる場合において、それらのうちクレーン装置に実際に適用されるパターンは適宜に設定されてよい。例えば、実際の適用されるパターンは、ユーザ等による選択、プレイ状況、或いはランダムといった各種の条件に基づいて設定されてもよい。例えば、本発明のゲーム機の一態様において、前記アーム制御手段は、前記複数のパターンのうちランダムに選択されたパターンが生じるように、各アーム部の前記閉じる力を制御してもよい。あるいは、本発明のゲーム機の一態様として、各アーム部に前記複数のパターンのいずれかに対応する前記閉じる力をそれぞれ設定するための設定機会における設定結果を取得する結果取得手段(37)を備え、前記アーム制御手段は、前記設定結果に対応するパターンが生じるように、各アーム部の前記閉じる力を制御する態様が採用されてもよい。
【0083】
設定機会は適宜に提供されてよく、例えばゲーム機によって提供されてもよい。あるいは、ゲーム機がサーバ装置等の各種装置にネットワークを介して接続される場合、例えば設定機会はそれらの装置を介して提供されてもよい。つまり、設定機会における設定はゲーム機において実行されても、設定機会を提供するWebサイトが構築されたサーバ装置に接続されるユーザ端末等を介して実行されてもよい。また、設定機会は各アーム部の閉じる力を設定可能な適宜の構成で提供されてよい。例えば、設定機会は、各アーム部の閉じる力を遠近に応じて個別に設定するように提供されてもよい。また、設定機会は全アーム部に共通に設定される初期値を設定するように提供され、その初期値から遠近関係に応じて適宜に変化するように各アーム部の閉じる力が設定されてもよい。あるいは、クレーン装置の挟む力に生じるパターンの指定を通じて各アーム部の閉じる力が設定されてもよい。この場合、パターンが直接的に指定されても、間接的に指定されてもよい。パターンが間接的に指定される場合、パターンと指定との間には適宜の要素が介在してよい。例えば、各パターンがプレイ状況に与える影響と関連付けられる場合、目標となるプレイ状況が指定され、その目標に近づく影響を与えるパターンを実現するように各アーム部の閉じる力が設定されてもよい。また、このようなプレイ状況として、例えば景品の付与数、或いはゲームが対価と引き換えに提供される場合の対価に対する費用の割合といった各種の要素が適宜に利用されてよい。
【0084】
具体的には、例えば、本発明のゲーム機の一態様において、前記複数のパターンは、前記景品獲得ゲームのプレイ状況に異なる影響を与える二以上のパターンを含み、前記設定機会は、目標となるプレイ状況としての目標プレイ状況の指定を通じて前記二以上のパターンのうち前記目標プレイ状況に近づく影響を与えるパターンに対応する前記閉じる力が設定されるように構成されてもよい。また、この態様において、前記二以上のパターンは、前記景品獲得ゲームが所定の対価と引き換えに提供される場合の前記対価の所定期間における累計額に対する当該所定期間における前記景品の費用の累計額の割合としてのペイアウト率の増加に影響を与える増加パターンと、前記ペイアウト率の減少に影響を与える減少パターンと、を含んでいてもよい。さらに、この態様において、前記目標プレイ状況として、前記ペイアウト率の目標としての目標ペイアウト率が利用され、前記設定機会では、前記目標ペイアウト率が指定されてもよい。
【0085】
位置情報として各アーム部の位置を特定可能な各種の情報が適宜に利用されてよい。例えば、適宜のセンサ等を通じて各アーム部の位置が個別に特定可能な場合、そのセンサ等の検出結果が位置情報として利用されてもよい。あるいは、クレーン装置が垂直方向を軸線とする複数のアーム部の回転動作が制限(固定)されるように構成される(クレーン装置において複数のアーム部間の位置関係が固定されている)場合、換言すればクレーン装置の位置が特定できれば固定的な位置関係に基づいて各アーム部の位置を特定可能な場合、位置情報としてクレーン装置の位置を示す情報が利用されてもよい。この場合、クレーン装置の位置は適宜に検出されてよく、例えばクレーン装置の移動量によって検出されても、クレーン装置の位置を直接的に検出可能なセンサ等に基づいて検出されてもよい。同様に、所定位置は固定的であっても可変的であってもよい。
【0086】
具体的には、例えば、本発明のゲーム機の一態様において、前記情報取得手段は、前記位置情報として各アーム部の位置の情報を取得してもよい。また、本発明のゲーム機の一態様として、前記所定位置が変化する場合に、前記位置情報に基づいて各アーム部から前記所定位置までの距離に応じた前記複数のアーム部間の遠近を判別する遠近判別手段(37)を備える態様が採用されてもよい。あるいは、本発明のゲーム機の一態様において、前記クレーン装置は、当該クレーン装置の位置に基づいて各アーム部から前記所定位置までの距離の遠近が判別されるように、垂直方向を軸線とする前記複数のアーム部の回転動作が制限され、前記情報取得手段は、前記位置情報として前記クレーン装置の位置の情報を取得してもよい。
【0087】
また、本発明のコンピュータプログラム(PG)は、前記入力装置、及び前記クレーン装置に接続されるコンピュータ(31)を、上述のゲーム機の各手段として機能させるように構成された、ものである。
【0088】
さらに、本発明の制御方法は、収容部(11)に収容された遊技体(PS)を挟むための開閉動作を実行する複数のアーム部(13A)を有し、入力装置(IP)を介して入力されるプレイ行為に応じた位置において前記開閉動作を実行するクレーン装置(13)を通じて前記遊技体を所定位置(14)まで移動させた場合にユーザに景品を付与する景品獲得ゲームを提供するゲーム機(1)に組み込まれるコンピュータ(31)に、前記クレーン装置の移動に応じて生じる情報として各アーム部の位置に関係する位置情報を取得する情報取得手順と、前記遊技体を挟む方向に作用する力としての閉じる力が各アーム部から前記所定位置までの距離の遠近に応じて各アーム部間で相違するように、前記位置情報に基づいて各アーム部の前記閉じる力を制御するアーム制御手順と、を実行させる、ものである。本発明のコンピュータプログラム、或いは制御方法が実行されることにより、本発明のゲーム機を実現することができる。
【符号の説明】
【0089】
1 ゲーム機
11 収容部
13 クレーン装置
14 解放口(所定位置)
31 制御ユニット(コンピュータ)
37 動作制御部(情報取得手段、アーム制御手段、結果取得手段、遠近判別手段)
13A アーム部
CP 捕獲位置(開閉動作の位置)
IP 入力装置
PG ゲームプログラム(コンピュータプログラム)
PS 捕獲対象(遊技体)