(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106160
(43)【公開日】2024-08-07
(54)【発明の名称】歩行型管理機
(51)【国際特許分類】
A01B 33/12 20060101AFI20240731BHJP
【FI】
A01B33/12 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023010311
(22)【出願日】2023-01-26
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】田中 仁司
(72)【発明者】
【氏名】増田 繁
(72)【発明者】
【氏名】森脇 稔仁
【テーマコード(参考)】
2B033
【Fターム(参考)】
2B033AA06
2B033AB01
2B033DB34
2B033DB37
2B033DB43
(57)【要約】
【課題】走行車輪の後隣りに位置する耕耘ロータリ、耕耘ロータリを上方から覆うカバーが備えられた歩行型管理機において、機体の旋回走行、移動走行などの際、耕耘ロータリのカバーから露出する露出部がガードされながら走行することを可能にする。
【解決手段】耕耘ロータリ15に対するガード部材18が備えられている。ガード部材18は、耕耘ロータリ15の対地高さが予め設定された設定高さ位置SHよりも高くなると、耕耘ロータリ15のうちのカバー16から露出する露出部15cと操縦者との間に位置する第1状態G1と、露出部15cと操縦者との間から退避する第2状態と、に切り換わる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行車輪によって支持される機体と、
前記機体から後方に延びる操縦ハンドルと、
前記走行車輪の後隣りに位置する耕耘ロータリと、
前記耕耘ロータリを上方から覆うカバーと、
前記耕耘ロータリの対地高さが予め設定された設定高さ位置よりも高くなると、前記耕耘ロータリのうちの前記カバーから露出する露出部と操縦者との間に位置する第1状態と、前記露出部と操縦者との間から退避する第2状態と、に切り換わるガード部材と、が備えられている歩行型管理機。
【請求項2】
前記ガード部材は、前記第1状態と前記第2状態とに昇降によって切り換わる請求項1に記載の歩行型管理機。
【請求項3】
前記機体の前後傾斜角を検出する傾斜角センサと、前記ガード部材を昇降操作するアクチュエータと、前記傾斜角センサによる検出情報を基に前記アクチュエータを制御するガード部材昇降制御部と、が備えられている請求項2に記載の歩行型管理機。
【請求項4】
前記ガード部材は、前記機体の左右方向に沿って延びる棒状部材である請求項1に記載の歩行型管理機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歩行型管理機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示されるように、走行車輪(車輪)によって支持される機体(フレーム、ミッションケース)と、機体から後方に延びる操縦ハンドルと、走行車輪の後隣りに位置する耕耘ロータリ(爪軸)と、耕耘ロータリを上方から覆うカバーと、が備えられた歩行型管理機がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した歩行型管理機では、耕耘ロータリの一部がカバーから露出し、耕耘の際、耕耘ロータリのうちのカバーから露出する露出部が土中に入るように構成される。機体の旋回走行、移動走行など耕耘が行われない際、車軸芯を揺動支点にして機体を後上り姿勢にして耕耘ロータリが土に触れないように持ち上げられる。このように耕耘ロータリが持ち上げられた際、耕耘ロータリのうちの露出部が操縦者の前方に位置するので、露出部がガードされることが要望されている。
【0005】
本発明は、耕耘が行われない際、耕耘ロータリの露出部がガードされながら機体走行をさせることができる歩行型耕耘機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による歩行型耕耘機は、
走行車輪によって支持される機体と、前記機体から後方に延びる操縦ハンドルと、前記走行車輪の後隣りに位置する耕耘ロータリと、前記耕耘ロータリを上方から覆うカバーと、前記耕耘ロータリの対地高さが予め設定された設定高さ位置よりも高くなると、前記耕耘ロータリのうちの前記カバーから露出する露出部と操縦者との間に位置する第1状態と、前記露出部と操縦者との間から退避する第2状態と、に切り換わるガード部材と、が備えられている。
【0007】
本構成によると、耕耘ロータリが土に触れないように持ち上げられる耕耘ロータリの対地高さのうちの最も低いと考えられる対地高さよりも少し低い対地高さが設定高さ位置として設定されると、耕耘ロータリが土に触れないように持ち上げられた際、耕耘ロータの対地高さが設定高さ位置よりも高くなってガード部材が第1状態になるので、耕耘ロータリが土に触れないように持ち上げられた際、耕耘ロータリの露出部がガード部材によってガードされながら機体走行をさせることができる。
【0008】
ガード部材が第2状態に切り換わることにより、ガード部材が露出部と操縦者との間から退避するので、耕耘ロータリの露出部を土中に入り込ませることの障害にガード部材がならず、耕耘ロータリの露出部を土中に入り込ませて耕耘を行うことができる。
【0009】
本発明においては、
前記ガード部材は、前記第1状態と前記第2状態とに昇降によって切り換わると好適である。
【0010】
本構成によると、第2状態でのガード部材の配置に必要な機体左右方向でのスペースを少なくとも第1状態でのガード部材の配置に必要な機体左右方向でのスペースと同じにできるので、耕耘が行われない際、第2状態のガード部材が機体の横外側にあまり突出しないようにできる。
【0011】
本発明においては、
前記機体の前後傾斜角を検出する傾斜角センサと、前記ガード部材を昇降操作するアクチュエータと、前記傾斜角センサによる検出情報を基に前記アクチュエータを制御するガード部材昇降制御部と、が備えられていると好適である。
【0012】
本構成によると、車軸芯を揺動支点にして機体を後上り姿勢にして耕耘ロータリの持ち上げが行われるので、傾斜角センサによる検出情報を基に耕耘ロータリの対地高さを検出してガード部材がアクチュエータによって第1状態と第2状態とに切り換えられ、ガード部材を第1状態と第2状態とにスムーズに切り換えることができる。
【0013】
本発明においては、
前記ガード部材は、前記機体の左右方向に沿って延びる棒状部材であると好適である。
【0014】
本構成によれば、ガード部材を軽くできるので、ガード部材を第1状態と第2状態とにスムーズに切り換えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図3】耕耘ロータリの設定高さ位置の説明図である。
【
図4】耕耘ロータリの持ち上げ状態での歩行型管理機の側面図である。
【
図9】耕耘爪のダウンカット用の取付姿勢での駆動についての説明図である。
【
図10】耕耘爪のアッパカット用の取付姿勢での駆動についての説明図である。
【
図11】別実施形態の耕耘爪のダウンカット用の取付姿勢での駆動についての説明図である。
【
図12】別実施形態の耕耘爪のアッパカット用の取付姿勢での駆動についての説明図である。
【
図13】別実施形態の耕耘爪の支持構造の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一例である実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、以下の説明では、歩行型管理機の機体に関し、
図1に示される矢印Fの方向を「機体前側」、矢印Bの方向を「機体後側」、矢印Uの方向を「機体上側」、矢印Dの方向を「機体下側」、
図1の紙面表側の方向を「機体右側」、紙面裏側の方向を「機体左側」とする。
【0017】
〔歩行型管理機の全体の構成〕
図1に示されるように、歩行型管理機は、左右一対の走行車輪1によって支持される機体2を備えている。機体2の前部にエンジン3を有する原動部4が備えられている。機体2の後部に耕耘装置5が設けられている。機体2の後部に備えられたハンドル支持部6aから操縦ハンドル6が後向きに延ばされている。機体2は、ミッションケース7、ミッションケース7の前部から前向きに延されてエンジン3を支持するエンジンフレーム8などによって構成されている。ミッションケース7の上部から変速レバー9が後向きに延ばされている。変速レバー9は、操縦ハンドル6の上方に位置している。操縦ハンドル6の後部に、主クラッチレバー10およびデフロックレバー11が設けられている。
【0018】
〔耕耘装置〕
図1に示されるように、耕耘装置5は、左右一対の走行車輪1の後隣りに設けられている。耕耘装置5には、耕耘ロータリ15、耕耘ロータリ15用のカバー16、耕耘ロータリ15用のガード部材18、抵抗棒17が備えられている。
【0019】
耕耘ロータリ15は、
図1に示されるように、ミッションケース7の後下部を左右に貫通する状態でミッションケース7に回転駆動可能に支持される駆動軸15a、ミッションケース7の左横外側および右横外側で駆動軸15aに支持される複数本の耕耘爪15bを備えている。耕耘爪15bは、ダウンカット用の取付姿勢と、アッパカット用の取付姿勢とに姿勢変更して駆動軸15aに取付け可能である。駆動軸15aは、
図1,5に示される正回転方向aと、
図5に示される逆回転方向bとに切り換えて駆動可能である。
【0020】
〔動力伝達装置〕
図5は、エンジン3から耕耘装置5および走行車輪1に動力伝達する動力伝達装置20を示すブロック図である。動力伝達装置20においては、エンジン3の出力が主クラッチ21に入力され、主クラッチ21の出力がミッションケース7に入力されてミッションケース7から耕耘ロータリ15と走行車輪1とに分配して伝達される。
図5に示されるように、ミッションケース7には、ロータリ変速部22、作業クラッチ23、走行変速部24、走行クラッチ25および車輪差動機構26が備えられている。
【0021】
主クラッチ21は、クラッチ入りに切換えられると、エンジン3からの動力をミッションケース7に入力して走行車輪1および耕耘ロータリ15の駆動を可能にし、クラッチ切りに切換えられると、エンジン3からミッションケース7への入力を絶って走行車輪1および耕耘ロータリ15を停止させる。主クラッチ21のクラッチ入りとクラッチ切りとの切換え操作は、主クラッチ21に操作ケーブル(図示せず)などによって連係された主クラッチレバー10(
図1参照)によって行われる。
【0022】
ロータリ変速部22では、正転伝動と逆転伝動とに切換え可能に構成され、正転伝動に切り換えられると、主クラッチ21からの動力が正転動力に変換して出力され、逆転伝動に切り換えられると、主クラッチ21からの動力が逆転動力に変換して出力される。正転動力は、耕耘ロータリ15の駆動軸15aを正回転方向a(
図1,5参照)に駆動する動力である。逆転動力は、耕耘ロータリ15の駆動軸15aを逆回転方向b(
図5参照)に駆動する動力である。ロータリ変速部22の正転伝動と逆転伝動との切り換えの操作は、変速レバー9(
図1参照)によって行われる。
【0023】
作業クラッチ23は、クラッチ入りに切り換えられると、ロータリ変速部22からの正転動力あるいは逆転動力を駆動軸15aに伝達して耕耘ロータリ15を正回転方向a(
図1参照)あるいは逆回転方向b(
図5参照)に駆動し、クラッチ切りに切り換えられると、ロータリ変速部22から駆動軸15aに対する動力伝達を絶って耕耘ロータリ15を停止させる。作業クラッチ23のクラッチ入りとクラッチ切りとの切換え操作は、作業クラッチ23に操作ケーブル(図示せず)などによって連係されてデフロックレバー11(
図1参照)によって行われる。
【0024】
走行変速部24では、主クラッチ21からの動力が入力され、入力された動力を複数段階の前進動力と、1段階の後進動力とに変換して出力する。走行変速部24の変速操作は、変速レバー9(
図1参照)によって行われる。
【0025】
走行クラッチ25は、クラッチ入りに切り換えられると、走行変速部24からの前進動力あるいは後進動力を車輪差動機構26に伝達して走行車輪1の前進駆動、後進駆動を可能にし、クラッチ切りに切り換えられると、走行変速部24からの動力の車輪差動機構26への伝達を絶って走行車輪1を停止させる。
【0026】
車輪差動機構26は、差動許容伝動と差動ロック伝動とに切換え可能に構成されている。車輪差動機構26においては、差動許容伝動に切り換え操作されると、走行クラッチ25からの動力が左右一対の走行車輪1に伝達され、この動力伝達は、左右一対の走行車輪1の差動を許容しながら行われる。車輪差動機構26においては、差動ロック伝動に切り換えられると、走行クラッチ25からの動力が左右一対の走行車輪1に伝達され、この動力伝達は、左右一対の走行車輪1の差動を阻止しながら行われる。車輪差動機構26の差動許容伝動と差動ロック伝動との切換えの操作は、車輪差動機構26に操作ケーブル(図示せず)などによって連係されたデフロックレバー11(
図1参照)によって行われる。
【0027】
〔カバー〕
図1に示されるように、カバー16は、耕耘ロータリ15を上方から覆うように構成されている。具体的は、
図1,2に示されるように、カバー16は、駆動軸15aに沿う方向視で円弧形状に形成され、耕耘ロータリ15の外周囲に位置するカバー本体16aと、カバー本体16aの両横側部から下向きに延びる左右の横カバー部16bとを備えている。カバー本体16aは、前部においてミッションケース7に固定されている。左右の横カバー部16bは、カバー本体16aに固定され、カバー本体16aを介してミッションケース7に固定されている。
【0028】
〔ガード部材〕
図2,6,7に示されるように、ガード部材18は、機体2の左右方向に沿って延びる棒状部材によって構成されている。具体的には、ガード部材18は、機体2の左右方向に沿って延びる丸鋼管によって構成されている。ガード部材18の長さは、耕耘ロータリ15の全幅よりも長く設定されている。ガード部材18を構成する棒状部材としては、丸鋼管に限らず、角鋼管、中実の丸棒材、中実の角棒材、アングルなどの採用が可能である。
【0029】
図6,7に示されるように、ガード部材18の両端部から支持アーム30が耕耘ロータリ15の横外側を通ってカバー16に向けて延ばされ、左の支持アーム30のガード部材18に連結している側とは反対側の端部、および、右の支持アーム30のガード部材18に連結している側とは反対側の端部に支軸31が設けられている。支軸31は、カバー本体16aの上部における左右方向での2箇所に設けられた支持部材32に支持されている。
【0030】
図2,4,6,7に示されるように、ガード部材18は、左右の支持アーム30、支軸31および左右の支持部材32を介してカバー本体16aに連結され、機体2の左右方向に沿う支軸31の軸芯Xを揺動支点にして第1状態[G1]と第2状態[G2]とに亘って昇降可能な状態でカバー16に支持されている。
【0031】
ガード部材18は、
図4に示されるように、第1状態[G1]に切り換えられると、耕耘ロータリ15のうちのカバー16から露出している露出部15cと、機体2の後方を歩行しながら機体2を操縦する操縦者との間に位置して露出部15cを後方からガードする。ガード部材18は、
図2に示されるように、第2状態[G2]に切り換えられると、露出部15cと操縦者との間から上方に退避する。
【0032】
耕耘ロータリ15が土に触れないように持ち上げられるときの耕耘ロータリ15の対地高さのうち最も低い対地高さよりも少し低い対地高さとして考えられる対地高さが設定高さ位置[SH]として予め設定され、ガード部材18は、
図4に示される如く耕耘ロータリ15の対地高さが設定高さ位置[SH]よりも高くになると第1状態[G1]に切り換わり、
図2に示される如く耕耘ロータリ15の対地高さが設定高さ位置[SH]以下になると第2状態[G2]に切り換わるように構成されている。
【0033】
具体的には、設定高さ位置[SH」は、
図3に示されるように、駆動軸15aの軸芯Pの対地高さで設定されている。設定高さ位置[SH]は、駆動軸15aの軸芯Pの対地高さに限らず、耕耘爪15bの先端の回転軌跡の上端あるいは下端など耕耘ロータリ15のどのような部位で設定してもよい。
【0034】
図6,7に示されるように、左の支持アーム30と、左の支持部材32に備えられたシリンダ支持部32aとに電動シリンダ34が連結され、右の支持アーム30と右の支持部材32に備えられたシリンダ支持部32aとに電動シリンダ34が連結されている。左右の電動シリンダ34は、伸縮作動によって支持アーム30を揺動操作してガード部材18を第1状体[G1]と第2状態[G2]とに亘って昇降操作する。
図7に示されるように、左右の電動シリンダ34に制御装置35が連係され、制御装置35に傾斜角センサ36およびガード部材位置センサ37が連係されている。
【0035】
傾斜角センサ36は、機体2に支持され、機体2の前後傾斜角を検出するように構成されている。具体的には、傾斜角センサ36は、機体2が車軸芯Zを揺動支点して揺動操作されることによって変化する機体2の前後傾斜角を検出するように構成されている。
【0036】
ガード部材位置センサ37は、支持部材32と支持アーム30とに亘って設けられ、支持部材32に対する支持アーム30の揺動位置をガード部材18の位置として検出するように構成されている。
【0037】
図7に示されるように、制御装置35は、マイクロコンピュータを利用して構成され、ガード部材昇降制御部38、対地高さ位置設定部39を備えている。
【0038】
対地高さ位置設定部39は、設定高さ位置[SH]を設定している。
【0039】
ガード部材昇降制御部38は、傾斜角センサ36の検出情報を基に耕耘ロータリ15の対地高さ(軸芯Pの対地高さ)を検出し、検出対地高さ[KH]と、対地高さ位置設定部39による設定高さ位置[SH]とを比較し、検出対地高さ[KH]が設定高さ位置[SH]よりも高いと判断した場合、ガード部材18を下降させる方向に左右の電動シリンダ34を作動させ、ガード部材位置センサ37の検出情報を基にガード部材18が第1状態[G1]になったことを検出すると電動シリンダ34を停止させてガード部材18を第1状態[G1]に切り換える。
【0040】
ガード部材昇降制御部38は、検出対地高さ[KH]が設定高さ位置[SH]以下であると判断した場合、ガード部材18を上昇させる方向に左右の電動シリンダ34を作動させ、ガード部材位置センサ37の検出情報を基にガード部材18が第2状態[G2]になったことを検出すると電動シリンダ34を停止させてガード部材18を第2状態[G2]に切り換える。
【0041】
図4に示されるように、機体2を旋回走行、移動走行など、耕耘を行わない際、操縦ハンドル6を作業時よりも持ち上げて機体2が車軸芯Zを揺動支点にして後上がり姿勢にされて耕耘ロータリ15が地面に当らないように持ち上げられる。すると、耕耘ロータリ15の対地高さが設定高さ位置[SH]よりも高くなり、傾斜角センサ36による検出情報、対地高さ位置設定部39による設定高さ位置[SH]、ガード部材位置センサ37による検出情報を基にガード部材昇降制御部38がガード部材18を第1状態[G1]に切換え操作する。耕耘ロータリ15の持ち上げによって操縦者の前方に位置する耕耘ロータリ15の露出部15cがガード部材18によってガードされながら機体走行をさせることができる。
【0042】
図2に示されるように、耕耘作業を行う際、操縦ハンドル6を旋回走行、移動走行など耕耘を行わない時よりも下げて機体2が車軸芯Zを揺動支点にして後下がり姿勢にされる。これによって耕耘ロータリ15の対地高さが設定高さ位置[SH]以下になると、傾斜角センサ36による検出情報、対地高さ位置設定部39による設定高さ位置[SH]、ガード部材位置センサ37による検出情報を基にガード部材昇降制御部38がガード部材18を第2状態[G2]に切換え操作する。耕耘ロータリ15の露出部15cを土中に入り込ませることの障害にガード部材18がならなくて露出部15cを土中に入り込ませて耕耘を行うことができる。
【0043】
〔耕耘爪〕
図8に示されるように、耕耘爪15bは、ボス部40が駆動軸15aに外嵌されて連結部材45によって駆動軸15aに固定されることによって駆動軸15aに取付けられる。駆動軸15aに対するボス部40の取付け向きを変更することにより、駆動軸15aに対する耕耘爪15bの取付姿勢を、
図9に示されるダウンカット用の取付姿勢と、
図10に示されるアッパカット用の取付姿勢とに姿勢変更することができる。
図9,10に示す矢印Yの方向は、機体2の前進方向である。
【0044】
図8に示されるように、ボス部40は、駆動軸15aに連結部材45によって固定される内ボス部40aと、内ボス部40aに外嵌する外ボス部40bとに分割されている。内ボス部40aと外ボス部40bとにわたって一方向クラッチ41が設けられている。
【0045】
図9に示されるように、耕耘爪15bが駆動軸15aにダウンカット用の取付姿勢で取付けられ、ロータリ変速部22が正転伝動に変速操作された場合、正回転方向aに駆動される駆動軸15aの動力が連結部材45、内ボス部40aおよび一方向クラッチ41を介して外ボス部40bに伝達され、耕耘爪15bが耕耘反力cに抗して正回転方向aに駆動されて耕耘が行われる。
【0046】
図9に示されるように、耕耘爪15bが駆動軸15aにダウンカット用の取付姿勢で取付けられ、ロータリ変速部22が逆転伝動に変速操作された場合、逆回転方向bに駆動される駆動軸15aの動力が連結部材45を介して内ボス部40aに伝達されるが、内ボス部40aから外ボス部40bへの動力伝達が一方向クラッチ41によって絶たれて耕耘爪15bが駆動されなくて耕耘が行われない。
【0047】
図10に示されるように、耕耘爪15bが駆動軸15aにアッパカット用の取付姿勢で取付けられ、ロータリ変速部22が逆転伝動に変速操作された場合、逆回転方向bに駆動される駆動軸15aの動力が連結部材45、内ボス部40aおよび一方向クラッチ41を介して外ボス部40bに伝達され、耕耘爪15bが耕耘反力dに抗して逆回転方向bに駆動されて耕耘が行われる。
【0048】
図10に示されるように、耕耘爪15bが駆動軸15aにアッパカット用の取付姿勢で取付けられ、ロータリ変速部22が正転伝動に変速操作された場合、正回転方向aに駆動される駆動軸15aの動力が連結部材45を介して内ボス部40aに伝達されるが、内ボス部40aから外ボス部40bへの動力伝達が一方向クラッチ41によって絶たれ、耕耘爪15bが駆動されなくて耕耘が行われない。
【0049】
〔別実施形態〕
(1)
図11は、別の実施形態の耕耘爪15bを示す側面図である。別の実施形態の耕耘爪15bは、ボス部40が駆動軸15aに外嵌されて駆動軸15aに固定されることによって駆動軸15aに取付けられる。駆動軸15aに対するボス部40の取付け向きを変更することにより、駆動軸15aに対する耕耘爪15bの取付姿勢を、
図11に示されるダウンカット用の取付姿勢と、
図12に示されるアッパカット用の取付姿勢とに姿勢変更することができる。
図11,12に示す矢印Yの方向は、機体2の前進方向である。
図11,13に示されるように、耕耘爪15bは、ボス部40に備えられた支持部42に連結軸43を介して揺動可能に連結されている。支持部42に、耕耘爪15bの揺動を規制する揺動規制部44が設けられている。
【0050】
図11に示されるように、耕耘爪15bが駆動軸15aにダウンカット用の取付姿勢で取付けられ、ロータリ変速部22が正転伝動に変速操作された場合、正回転方向aに駆動される駆動軸15aの動力がボス部40に伝達され、耕耘爪15bに耕耘反力cが掛かっても耕耘爪15bの基部が揺動規制部44によって受け止められて耕耘爪15bの連結軸43を揺動支点にした揺動が揺動規制部44によって阻止され、耕耘爪15bが耕耘反力cに抗して正回転方向aに駆動されて耕耘を行う。
【0051】
図11に示されるように、耕耘爪15bが駆動軸15aにダウンカット用の取付姿勢で取付けられ、ロータリ変速部22が逆転伝動に変速された場合、逆回転方向bに駆動される駆動軸15aの動力がボス部40に伝達されるが、耕耘爪15bに耕耘反力dが掛かっても耕耘爪15bの基部が揺動規制部44によって受け止められなくて耕耘爪155bが耕耘反力dによって連結軸43を揺動支点にして後退揺動し、耕耘爪15bが耕耘を行わない。
【0052】
図12に示されるように、耕耘爪15bが駆動軸15aにアッパカット用の取付姿勢で取付けられ、ロータリ変速部22が逆転伝動に変速操作された場合、逆回転方向bに駆動される駆動軸15aの動力がボス部40に伝達され、耕耘爪15bに耕耘反力dが掛かっても耕耘爪15bの基部が揺動規制部44によって受け止められて耕耘爪15bの連結軸43を揺動支点にした揺動が揺動規制部44によって阻止され、耕耘爪15bが耕耘反力dに抗して逆回転方向bに駆動されて耕耘を行う。
【0053】
図12に示されるように、耕耘爪15bが駆動軸15aにアッパカット用の取付姿勢で取付けられ、ロータリ変速部22が正転伝動に変速操作された場合、正回転方向aに駆動される駆動軸15aの動力がボス部40に伝達されるが、耕耘爪15bに耕耘反力cが掛かっても耕耘爪15bの基部が揺動規制部44によって受け止められなくて耕耘爪15bが耕耘反力cによって連結軸43を揺動支点にして後退揺動し、耕耘爪15bが耕耘を行われない。
【0054】
(2)上記した実施形態では、ガード部材18が機体2の左右方向に沿う軸芯Xを揺動支点にした揺動によって第1状態[G1]と第2状態[G2]とに切り換わる構成を採用しているが、これに限らず、機体2の上下方向にスライド昇降して第1状態[G1]と第2状態[G2]とに切り換わる構成、あるいは、カバー16に沿って昇降して第1状態[G1]と第2状態[G2]とに切り換わる構成、あるいは、耕耘ロータリ15の後方と横側方とにわたって移動して第1状態[G1]と第2状態[G2]とに切り換わる構成を採用したものであってもよい。
【0055】
(3)上記した実施形態では、ガード部材18の状態の切換えを行うアクチュエータとして電動シリンダ34を採用した例を示したが、これに限らず、電動モータ、油圧シリンダなど各種のアクチュエータを採用したものであってもよい。
【0056】
(4)上記した実施形態では、傾斜角センサ36、電動シリンダ34およびガード部材昇降制御部38を採用した例を示したが、傾斜角センサ36、電動シリンダ34およびガード部材昇降制御部38を採用しないものであってもよい。たとえば、ガード部材18を第1状態[G1]に付勢する第1付勢状態と、ガード部材18を第2状態[G2]に付勢する第2付勢状態とに切換え可能なトグルスプリング、機体2の前後傾斜によって作動してトグルスプリングを切換え操作するリンク機構を採用したものであってもよい。
【0057】
(5)上記実施形態では、ガード部材18が棒状部材によって構成された例を示したが、これに限らず、板部材によって構成されたものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、機体から後方に延びる操縦ハンドル、走行車輪の後隣りに位置する耕耘ロータリ、耕耘ロータリを上方から覆うカバーが備えられた歩行型管理機に適用できる。
【符号の説明】
【0059】
1 走行車輪
2 機体
6 操縦ハンドル
15 耕耘ロータリ
16 カバー
34 電動シリンダ(アクチュエータ)
36 傾斜角センサ
38 ガード部材昇降制御部