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特開2024-106167運転支援装置、運転支援方法、及び、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106167
(43)【公開日】2024-08-07
(54)【発明の名称】運転支援装置、運転支援方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20240731BHJP
【FI】
G08G1/16 C
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023010326
(22)【出願日】2023-01-26
(71)【出願人】
【識別番号】322003857
【氏名又は名称】パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】岩村 宏
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB13
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC14
5H181CC24
5H181FF04
5H181FF22
5H181FF27
5H181FF33
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL04
5H181LL06
(57)【要約】
【課題】適切なタイミングで注意喚起を行うことができる運転支援装置等を提供する。
【解決手段】運転支援装置100は、第1車両を運転している第1ユーザの視線を検出する視線検出部101と、第1車両の周囲にある物標を検出する物標検出部102と、検出された視線、及び、検出された物標に基づいて、当該物標を第1ユーザが視認したか否かを判定する視認判定部103と、第1車両の第1位置を検出する位置検出部104と、物標が第2ユーザに過去に視認されたときの第2車両の第2位置を取得する取得部106と、物標を第1ユーザが視認していないと視認判定部に判定されている場合、第1位置及び第2位置を比較した結果に基づいて決定したタイミングで、第1ユーザに物標を視認することを促す注意喚起を実行する注意喚起部107と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1車両を運転している第1ユーザの視線を検出する視線検出部と、
前記第1車両の周囲にある物標を検出する物標検出部と、
検出された前記視線、及び、検出された前記物標に基づいて、当該物標を前記第1ユーザが視認したか否かを判定する視認判定部と、
前記第1車両の第1位置を検出する位置検出部と、
前記物標が第2ユーザに過去に視認されたときの第2車両の第2位置を取得する取得部と、
前記物標を前記第1ユーザが視認していないと前記視認判定部に判定されている場合、前記第1位置及び前記第2位置を比較した結果に基づいて決定したタイミングで、前記第1ユーザに前記物標を視認することを促す注意喚起を実行する注意喚起部と、を備える
運転支援装置。
【請求項2】
前記注意喚起部は、前記物標を前記第1ユーザが視認していないと前記視認判定部に判定されている場合、検出された前記第1位置が前記第2位置から前記物標までの区間内に到達したタイミングで前記注意喚起を実行する
請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項3】
前記取得部は、さらに、前記物標が前記第1ユーザに過去に視認されたときの前記第1車両の第3位置を取得し、
前記注意喚起部は、前記物標を前記第1ユーザが視認していないと前記視認判定部に判定されている場合であって、前記第3位置が前記第2位置よりも前記物標に近い位置に位置する場合、前記第1位置が前記第2位置よりも前記物標から遠い第4位置から前記物標までの区間内に到達したタイミングで前記注意喚起を実行する
請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項4】
さらに、
前記注意喚起を実行するか否かの設定を示す注意喚起設定情報を物標毎に記憶している記憶部と、
前記第2位置よりも前記物標から遠い位置に位置する前記第3位置で前記第1ユーザに過去に視認された物標の注意喚起設定情報を、前記注意喚起を実行しないことを示す設定に更新する更新部と、を備え、
前記注意喚起部は、前記記憶部に記憶されている前記注意喚起設定情報で前記注意喚起を実行すると設定されている第1物標に対して前記注意喚起を実行し、前記注意喚起を実行しないと設定されている第2物標に対して前記注意喚起を実行しない
請求項3に記載の運転支援装置。
【請求項5】
さらに、
前記物標の種類毎に、前記注意喚起を実行するか否かの設定を示す注意喚起設定情報を記憶している記憶部と、
前記設定の変更を受け付ける受付部と、
前記受付部による受け付けられた前記変更に応じて、前記注意喚起設定情報を更新する更新部と、を備え、
前記注意喚起部は、前記記憶部に記憶されている前記注意喚起設定情報で前記注意喚起を実行すると設定されている第1種類の第3物標に対して前記注意喚起を実行し、前記注意喚起を実行しないと設定されている第2種類の第4物標に対して前記注意喚起を実行しない
請求項1から3のいずれか1項に記載の運転支援装置。
【請求項6】
さらに、
前記視認判定部による判定結果と、当該判定結果の基になった前記視線及び前記物標が検出されたときの前記第1車両の位置とが対応付けられた視認情報を記憶する記憶部を備え、
前記取得部は、前記記憶部に記憶されている過去の視認情報に基づいて前記第2位置を取得する
請求項1から3のいずれか1項に記載の運転支援装置。
【請求項7】
さらに、
前記第1車両の第1速度を検出する速度検出部を備え、
前記取得部は、さらに、前記物標が前記第2ユーザに過去に視認されたときの前記第2車両の第2速度を取得し、
前記タイミングは、さらに、前記第1速度及び前記第2速度を比較した結果に基づいて決定される
請求項1から3のいずれか1項に記載の運転支援装置。
【請求項8】
さらに、
前記第1車両外の環境の状態を示す第1環境情報を検出する環境検出部を備え、
前記取得部は、さらに、前記物標が前記第2ユーザに過去に視認されたときの前記第2車両外の環境の状態を示す第2環境情報を取得し、
前記タイミングは、さらに、前記第1環境情報及び前記第2環境情報を比較した結果に基づいて決定される
請求項1から3のいずれか1項に記載の運転支援装置。
【請求項9】
前記第2ユーザは、前記第1ユーザよりも運転技術が高い
請求項1から3のいずれか1項に記載の運転支援装置。
【請求項10】
第1車両を運転している第1ユーザの視線を検出し、
前記第1車両の周囲にある物標を検出し、
検出された前記視線、及び、検出された前記物標に基づいて、当該物標を前記第1ユーザが視認したか否かを判定し、
前記第1車両の第1位置を検出し、
前記物標が第2ユーザに過去に視認されたときの第2車両の第2位置を取得し、
前記物標を前記第1ユーザが視認していないと判定されている場合、前記第1位置及び前記第2位置を比較した結果に基づいて決定したタイミングで、前記第1ユーザに前記物標を視認することを促す注意喚起を実行する
運転支援方法。
【請求項11】
請求項10に記載の運転支援方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、運転支援装置、運転支援方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ドライバーの視線分布と、データベース上の視線分布とを比較し、比較結果からドライバーが車両周辺の視認すべき対象に視線を向けているか否かを判断する運転支援装置が開示されている。この運転支援装置では、視線分布の結果より算出した運転熟練度を元に、ドライバー熟練度に応じた注意喚起を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-71537号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術では、適切なタイミングで注意喚起を行うことが考慮されていない。このため、ドライバーに注意喚起を行っても車両が視認すべき対象を通り過ぎている可能性があり、ドライバーは、車両周辺の視認すべき対象を見落とす恐れがある。
【0005】
本開示は、適切なタイミングで注意喚起を行うことができる運転支援装置等を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る運転支援装置は、第1車両を運転している第1ユーザの視線を検出する視線検出部と、前記第1車両の周囲にある物標を検出する物標検出部と、検出された前記視線、及び、検出された前記物標に基づいて、当該物標を前記第1ユーザが視認したか否かを判定する視認判定部と、前記第1車両の第1位置を検出する位置検出部と、前記物標が第2ユーザに過去に視認されたときの第2車両の第2位置を取得する取得部と、前記物標を前記第1ユーザが視認していないと前記視認判定部に判定されている場合、前記第1位置及び前記第2位置を比較した結果に基づいて決定したタイミングで、前記第1ユーザに前記物標を視認することを促す注意喚起を実行する注意喚起部と、を備える。
【0007】
また、本開示の一態様に係る運転支援方法は、第1車両を運転している第1ユーザの視線を検出し、前記第1車両の周囲にある物標を検出し、検出された前記視線、及び、検出された前記物標に基づいて、当該物標を前記第1ユーザが視認したか否かを判定し、前記第1車両の第1位置を検出し、前記物標が第2ユーザに過去に視認されたときの第2車両の第2位置を取得し、前記物標を前記第1ユーザが視認していないと判定されている場合、前記第1位置及び前記第2位置を比較した結果に基づいて決定したタイミングで、前記第1ユーザに前記物標を視認することを促す注意喚起を実行する。
【0008】
また、本開示の一態様に係るプログラムは、本開示の一態様に係る運転支援方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0009】
なお、これらの包括的又は具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム又はコンピュータ読み取り可能なCD-ROM等の記録媒体で実現されてもよく、装置、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本開示の一態様に係る運転支援装置等によれば、適切なタイミングで注意喚起を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施の形態1に係る運転支援装置を含む運転支援システムの構成を示すブロック図である。
図2図2は、物標の具体例を説明するための図である。
図3図3は、物標の具体例を説明するための図である。
図4図4は、物標の具体例を説明するための図である。
図5図5は、運転支援装置の視認情報を記憶する処理の一例を示すフローチャートである。
図6図6は、運転支援装置による注意喚起処理の一例を示すフローチャートである。
図7図7は、実施の形態1における注意喚起処理の具体例を説明するための図である。
図8図8は、実施の形態2に係る運転支援装置を含む運転支援システムの構成を示すブロック図である。
図9図9は、実施の形態2における注意喚起処理の具体例を説明するための図である。
図10図10は、実施の形態2における注意喚起設定処理の一例を示すフローチャートである。
図11図11は、実施の形態2における注意喚起処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示の第1の態様に係る運転支援装置は、第1車両を運転している第1ユーザの視線を検出する視線検出部と、前記第1車両の周囲にある物標を検出する物標検出部と、検出された前記視線、及び、検出された前記物標に基づいて、当該物標を前記第1ユーザが視認したか否かを判定する視認判定部と、前記第1車両の第1位置を検出する位置検出部と、前記物標が第2ユーザに過去に視認されたときの第2車両の第2位置を取得する取得部と、前記物標を前記第1ユーザが視認していないと前記視認判定部に判定されている場合、前記第1位置及び前記第2位置を比較した結果に基づいて決定したタイミングで、前記第1ユーザに前記物標を視認することを促す注意喚起を実行する注意喚起部と、を備える。
【0013】
これによれば、物標を第1ユーザが視認していないと判定されているときの第1車両の第1位置と、当該物標を第2ユーザが過去に視認したときの第2車両の第2位置とを比較した結果に基づいて決定したタイミングで、第1ユーザに物標を視認することを促す注意喚起を実行する。つまり、第1車両の位置に基づいて、第1ユーザが物標を視認できるタイミングで注意喚起を実行することができるため、物標を第1ユーザが見落とすことを低減することができる。
【0014】
本開示の第2の態様に係る運転支援装置は、第1の態様に係る運転支援装置であって、前記注意喚起部は、前記物標を前記第1ユーザが視認していないと前記視認判定部に判定されている場合、検出された前記第1位置が前記第2位置と同じ位置であるタイミングで前記注意喚起を実行する。
【0015】
これによれば、少なくとも第2ユーザが過去に物標を視認したタイミングで第1ユーザへ注意喚起を実行するため、物標を第1ユーザが見落とすことを低減することができる。
【0016】
本開示の第3の態様に係る運転支援装置は、第1の態様に係る運転支援装置であって、
前記取得部は、さらに、前記物標が前記第1ユーザに過去に視認されたときの前記第1車両の第3位置を取得し、前記注意喚起部は、前記物標を前記第1ユーザが視認していないと前記視認判定部に判定されている場合であって、前記第3位置が前記第2位置よりも前記物標に近い位置に位置する場合、前記第1位置が前記第2位置よりも前記物標から遠い第4位置であるタイミングで前記注意喚起を実行する。
【0017】
これによれば、少なくとも第2ユーザが過去に物標を視認したタイミングよりも早いタイミングで第1ユーザへ注意喚起を実行するため、物標を第1ユーザが見落とすことを低減することができる。
【0018】
本開示の第4の態様に係る運転支援装置は、第1の態様から第3の態様のいずれか1つの態様に係る運転支援装置であって、さらに、前記注意喚起を実行するか否かの設定を示す注意喚起設定情報を物標毎に記憶している記憶部と、前記第2位置よりも前記物標から遠い位置に位置する前記第3位置で前記第1ユーザに過去に視認された物標の注意喚起設定情報を、前記注意喚起を実行しないことを示す設定に更新する更新部と、を備え、前記注意喚起部は、前記記憶部に記憶されている前記注意喚起設定情報で前記注意喚起を実行すると設定されている第1物標に対して前記注意喚起を実行し、前記注意喚起を実行しないと設定されている第2物標に対して前記注意喚起を実行しない。
【0019】
これによれば、過去に第1ユーザが第2ユーザよりも早いタイミングで視認した物標は、第1ユーザが見落としにくい物標であると判断できるため、注意喚起を実行しないように注意喚起設定情報を更新する。このため、第1ユーザが視認しやすい物標への注意喚起をスキップすることで処理負荷を低減でき、また、見落としにくい物標への注意喚起を行うことで第1ユーザへ煩雑さを感じさせることを低減することができる。
【0020】
本開示の第5の態様に係る運転支援装置は、第1の態様から第3の態様のいずれか1つの態様に係る運転支援装置であって、さらに、前記物標の種類毎に、前記注意喚起を実行するか否かの設定を示す注意喚起設定情報を記憶している記憶部と、前記設定の変更を受け付ける受付部と、前記受付部による受け付けられた前記変更に応じて、前記注意喚起設定情報を更新する更新部と、を備え、前記注意喚起部は、前記記憶部に記憶されている前記注意喚起設定情報で前記注意喚起を実行すると設定されている第1種類の第3物標に対して前記注意喚起を実行し、前記注意喚起を実行しないと設定されている第2種類の第4物標に対して前記注意喚起を実行しない。
【0021】
これによれば、受け付けられた変更に応じて、例えば、注意喚起を実行しないように注意喚起設定情報を更新するため、第1ユーザに必要十分な注意喚起を実現できる。つまり、第1ユーザにとって不要な注意喚起をスキップすることで処理負荷を低減できる。
【0022】
本開示の第6の態様に係る運転支援装置は、第1の態様から第5の態様のいずれか1つの態様に係る運転支援装置であって、さらに、前記視認判定部による判定結果と、当該判定結果の基になった前記視線及び前記物標が検出されたときの前記第1車両の位置とが対応付けられた視認情報を記憶する記憶部を備え、前記取得部は、前記記憶部に記憶されている過去の視認情報に基づいて前記第2位置を取得する。
【0023】
このため、第1ユーザによる視認結果を蓄積することができ、蓄積した結果を、注意喚起を実行するタイミングの決定に用いることができる。よって、最新の視認結果を蓄積できるため、注意喚起を実行するタイミングを精度よく決定することができる。
【0024】
本開示の第7の態様に係る運転支援装置は、第1の態様から第6の態様のいずれか1つの態様に係る運転支援装置であって、さらに、前記第1車両の第1速度を検出する速度検出部を備え、前記取得部は、さらに、前記物標が前記第2ユーザに過去に視認されたときの前記第2車両の第2速度を取得し、前記タイミングは、さらに、前記第1速度及び前記第2速度を比較した結果に基づいて決定される。
【0025】
これによれば、各車両の速度に応じて注意喚起を実行するタイミングを決定するため、精度よくタイミングを決定することができる。
【0026】
本開示の第8の態様に係る運転支援装置は、第1の態様から第7の態様のいずれか1つの態様に係る運転支援装置であって、さらに、前記第1車両外の環境の状態を示す第1環境情報を検出する環境検出部を備え、前記取得部は、さらに、前記物標が前記第2ユーザに過去に視認されたときの前記第2車両外の環境の状態を示す第2環境情報を取得し、前記タイミングは、さらに、前記第1環境情報及び前記第2環境情報を比較した結果に基づいて決定される。
【0027】
これによれば、各車両外の環境に応じて注意喚起を実行するタイミングを決定するため、精度よくタイミングを決定することができる。
【0028】
本開示の第9の態様に係る運転支援装置は、第1の態様から第8の態様のいずれか1つの態様に係る運転支援装置であって、前記第2ユーザは、前記第1ユーザよりも運転技術が高い。
【0029】
これによれば、第1ユーザよりも運転技術が高い第2ユーザが過去に視認したときの第2車両の第2位置を基準として、注意喚起を実行するタイミングを決定するため、より適切に上記タイミングを決定することができる。
【0030】
本開示の第10の態様に係る運転支援方法は、第1車両を運転している第1ユーザの視線を検出し、前記第1車両の周囲にある物標を検出し、検出された前記視線、及び、検出された前記物標に基づいて、当該物標を前記第1ユーザが視認したか否かを判定し、前記第1車両の第1位置を検出し、前記物標が第2ユーザに過去に視認されたときの第2車両の第2位置を取得し、前記物標を前記第1ユーザが視認していないと判定されている場合、前記第1位置及び前記第2位置を比較した結果に基づいて決定したタイミングで、前記第1ユーザに前記物標を視認することを促す注意喚起を実行する。
【0031】
これによれば、物標を第1ユーザが視認していないと判定されているときの第1車両の第1位置と、当該物標を第2ユーザが過去に視認したときの第2車両の第2位置とを比較した結果に基づいて決定したタイミングで、第1ユーザに物標を視認することを促す注意喚起を実行する。つまり、第1車両の位置に基づいて、第1ユーザが物標を視認できるタイミングで注意喚起を実行することができるため、物標を第1ユーザが見落とすことを低減することができる。
【0032】
本開示の第11の態様に係る運転支援は、第10の態様に係る運転支援方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0033】
なお、これらの包括的又は具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム又はコンピュータ読み取り可能なCD-ROM等の非一時的な記録媒体で実現されてもよく、装置、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム又は非一時的な記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0034】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0035】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序等は、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。したがって、例えば、各図において縮尺等は必ずしも一致しない。また、各図において、同じ構成部材については同じ符号を付している。
【0036】
(実施の形態1)
[構成]
図1は、実施の形態1に係る運転支援装置を含む運転支援システムの構成を示すブロック図である。
【0037】
運転支援システム1は、車両に搭載され、第1ユーザ(車両10の運転者)による当該車両の運転を支援する。運転支援システム1は、運転支援装置100と、記憶装置120と、視線検出装置210と、物体検出装置220と、位置検出装置230と、経路設定装置240と、表示装置310と、音響装置320とを備える。第1ユーザは、車両10を運転しているユーザであり、視線の検出対象となるユーザである。
【0038】
まず、視線検出装置210、物体検出装置220、位置検出装置230、及び、経路設定装置240について説明する。
【0039】
視線検出装置210は、第1ユーザの視線を検出し、検出結果である視線情報を運転支援装置100へ出力する。視線検出装置210は、例えば、運転席の前方に配置される第1ユーザの目を含む画像を撮影するカメラから得られた画像から検出された第1ユーザの目の向きに基づいて、第1ユーザの視線を検出してもよい。視線検出装置210は、例えば、所定のサンプリング周期で第1ユーザの視線を逐次検出し、逐次視線情報を出力する。視線検出装置210は、例えば、カメラ及びカメラにより得られた画像から第1ユーザの視線を検出する処理を実行するコンピュータにより実現される。
【0040】
物体検出装置220は、車両の周囲の物体を検出し、物体検出結果を運転支援装置100へ出力する。車両10の周囲の物体は、例えば、車両10の周囲を走行する他の車両、歩行者、その他の障害物などを含む。物体検出装置220は、例えば、車両10から所定の距離の範囲内の物体を検出する。物体検出装置220は、例えば、車両10の周囲をカメラで撮影し、撮影により得られた画像から、物体を検出するための機械学習モデルを用いて画像内の物体を認識することで、物体を検出してもよい、物体検出装置220は、例えば、LiDAR(Light Detection And Ranging)などのレーザ光を照射し、物体に照射したレーザ光が物体に反射して返ってくるまでの時間を計測することで、物体までの距離を検出する装置であってもよい。また、物体検出装置220は、車両10から、検出した物体までの方向を合わせて検出する。つまり、物体検出装置220は、車両10の周囲の物体と、当該物体が車両10に対して位置する方向とを検出する。物体検出装置220は、例えば、車両の周囲の物体及びその方向を所定のサンプリング周期で逐次検出し、物体検出結果を逐次出力する。物体検出装置220は、カメラの画像から物体を認識する装置と、LiDARの検出結果から物体を検出する装置との組み合わせであってもよい。つまり、物体検出装置220は、カメラ及びカメラにより得られた画像から物体を認識する処理を実行するコンピュータを含む装置、LiDAR及びLiDARの検出結果を分析して物体を検出する処理を実行するコンピュータを含む装置、又は、これらの装置の組み合わせた装置により実現される。
【0041】
位置検出装置230は、車両10の位置(走行位置)を検出し、検出結果である走行位置情報を運転支援装置100へ出力する。走行位置情報は、例えば、図示しない、GPS(Global Positioning System)などの衛星測位システムの信号を受信することで得られた車両10の現在位置を示す位置情報である。位置検出装置230は、LiDARの検出結果と、車両10の走行位置に応じて予め取得されメモリなどの記憶装置に記憶されている検出結果とを比較することで車両10の走行位置を検出してもよい。位置検出装置230は、例えば、車両10の位置を所定のサンプリング周期で逐次検出し、検出結果を逐次出力する。位置検出装置230は、例えば、衛星測位システムの信号を受信する受信装置及び当該信号から位置情報を算出する処理を実行するコンピュータにより実現される。
【0042】
経路設定装置240は、位置検出装置230により検出されている車両10の走行位置から、第1ユーザにより設定された目的地までの走行予定経路を設定する装置である。経路設定装置240は、例えば、カーナビゲーションシステムにより実現される。
【0043】
なお、視線検出装置210、物体検出装置220及び位置検出装置230に設定されている所定のサンプリング周期は、互いに同じであってもよいし、互いに異なっていてもよい。視線検出装置210、物体検出装置220及び位置検出装置230は、繰り返し検出していればよく、これらの装置における検出タイミングは、互いに同期されていなくてもよい。
【0044】
次に、運転支援装置100の構成について説明する。
【0045】
運転支援装置100は、視線検出部101と、物標検出部102と、視認判定部103と、位置検出部104と、生成部105と、取得部106と、注意喚起部107とを備える。
【0046】
視線検出部101は、視線検出装置210により得られた視線情報に基づいて、車両10(第1車両)を運転している第1ユーザの視線を検出する。視線検出部101は、例えば、所定のサンプリング周期で取得された視線情報を視線検出装置210から取得し、所定のサンプリング周期の第1ユーザの視線を逐次検出する。
【0047】
物標検出部102は、物体検出装置220により得られた物体検出結果に基づいて、車両10の周囲にある物標を検出する。物標検出部102は、取得した物体検出結果のうちの予め定められた物標を抽出することで、車両10の周囲にある物標を検出する。物標は、車両の運転時に運転者が安全に車両を運転するために視認すべき視認対象である。物標は、道路標識、路面標示、信号機、道路反射鏡などである。また、物標は、住宅街の交差点における建物の死角が存在する方向を含んでもよい。また、物標検出部102は、物標を検出すると共に、物標に対応付けられている方向を検出する。つまり、物標検出部102は、車両10に対して物標が位置する物標の方向を物標と併せて検出する。物標検出部102は、例えば、所定のサンプリング周期で取得された物体検出結果を、物体検出装置220から取得し、所定のサンプリング周期で物標を逐次検出する。
【0048】
図2図4は、物標の具体例を説明するための図である。
【0049】
図2には、交差点403における物標が示されている。図2に示されるように、物標は、停止線401、車線402、交差点403、歩行者用信号機404、横断歩道405、車両用信号機406などを含む。
【0050】
図3には、T字路414における物標が示されている。図3に示されるように、物標は、路面標示411、停止線412、道路標識413、T字路414、道路標識415などを含む。
【0051】
図4には、T字路423における物標が示されている。図4に示されるように、物標は、道路標識421、停止線422、T字路423などを含む。
【0052】
視認判定部103は、視線検出部101により検出された視線、及び、物標検出部102により検出された物標に基づいて、当該物標を第1ユーザが視認したか否かを判定する。具体的には、視認判定部103は、視線の方向と、物標の方向とを比較して、視線の方向と、物標の方向との差が所定の誤差未満である場合に、物標を第1ユーザが視認したと判定し、上記差が所定の誤差以上である場合に、物標を第1ユーザが視認していないと判定する。判定に用いられる視線及び物標は、同じタイミングで検出された検出結果が用いられる。同じタイミングで検出された検出結果とは、例えば、視線を検出する所定のサンプリング周期、及び、物標を検出する所定のサンプリング周期のうち長い時間未満の時間差となる2つの時刻で検出された検出結果である。つまり、視線が検出されたタイミングと、物標が検出されたタイミングとの差が、視線を検出する所定のサンプリング周期、及び、物標を検出する所定のサンプリング周期のうち長い時間未満の時間差であれば、両者が検出されたタイミングは同じであると見なしてもよい。視認判定部103は、判定結果を生成部105へ出力する。
【0053】
位置検出部104は、位置検出装置230により得られた走行位置情報に基づいて、車両10の位置(第1位置)を検出する。
【0054】
生成部105は、視認判定部103による判定結果と、視認判定部103による判定に用いられた視線及び物標のいずれかが検出されたタイミングと同じタイミングで検出された第1位置と、視線の検出対象となったユーザを識別するユーザ識別情報と、を含む視認情報を生成する。なお、ユーザ識別情報は、ユーザが車両10を運転するときにユーザにより入力されることで特定されてもよいし、視線検出装置210により撮影されたユーザの顔を含む画像の顔認証を行うことで特定されてもよいし、ユーザが所持する端末や回路との無線通信により特定されてもよい。視認情報は、さらに、車両10が走行中の走行経路を示す経路情報を含んでいてもよい。生成部105は、視認情報を記憶装置120へ出力する。
【0055】
取得部106は、記憶装置120にユーザ毎に記憶されている過去の複数の視認情報を記憶装置120から読み出して、物標検出部102により検出された物標が第2ユーザに過去に視認されたときの車両10の第2位置を取得する。ここで、第2ユーザは、第1ユーザが運転する車両10のユーザであって、第1ユーザとは異なるユーザである。なお、第2ユーザは、他の車両を運転するユーザであってもよい。第2ユーザは、後述する注意喚起部107の判定の基準となるユーザである。第2ユーザは、第1ユーザに指定されたユーザであってもよいし、第1ユーザの運転技術のレベルに応じて決定されたユーザであってもよい。第2ユーザは、例えば、第1ユーザよりも運転技術が高いユーザである。
【0056】
注意喚起部107は、物標検出部102に検出された物標を第1ユーザが視認していないと視認判定部103に判定されている場合、車両10の現在の位置である第1位置、及び、物標検出部102により検出された物標が第2ユーザに過去に視認されたときの車両10の第2位置を比較した結果に基づいて決定したタイミングで、第1ユーザに物標を視認することを促す注意喚起を実行する。注意喚起部107は、具体的には、物標検出部102に検出された物標を第1ユーザが視認していないと視認判定部103に判定されている場合、位置検出部104により逐次検出されている第1位置が、第2位置から物標までの区間内に到達したタイミングで、注意喚起を実行する。つまり、注意喚起部107は、走行中の車両10が第2位置に到達した(あるいは第2位置を通り過ぎた)と判定されたタイミングで、注意喚起を実行する。注意喚起では、物標を視認することを促すメッセージを含む文字または画像を表示装置310に表示させるための表示情報を表示装置310へ出力してもよい。また、注意喚起では、物標を視認することを促す音声のメッセージを音響装置320に出力させるための音声情報を音響装置320へ出力してもよい。
【0057】
記憶装置120は、生成部105により出力された視認情報を記憶する。記憶装置120は、注意喚起で用いられる表示情報または音声情報を記憶していてもよい。記憶装置120は、記憶部の一例である。
【0058】
表示装置310は、運転支援装置100に制御されて画像を表示する装置であり、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、HUD(Head Up Display)等の表示デバイスである。表示装置310は、運転支援装置100から出力された表示情報に基づいて、メッセージを含む文字または画像を表示する。
【0059】
音響装置320は、運転支援装置100に制御されて音を出力する音響装置である。音響装置320は、運転支援装置100において再生された音声信号を出力することで、音を出力してもよい。音響装置320は、運転支援装置100から出力された音声情報に基づいて、メッセージの音声を出力する。音響装置320は、例えば、アンプ及びスピーカによって実現される。
【0060】
[動作]
次に、運転支援装置100の動作について説明する。図5は、運転支援装置の視認情報を記憶する処理の一例を示すフローチャートである。
【0061】
運転支援装置100は、経路設定装置240により設定された走行予定経路を示す経路情報を取得する(S11)。
【0062】
次に、運転支援装置100は、車両10の走行開始を検出する(S12)。運転支援装置100は、例えば、検出された車両10の位置が変化していない状態から、変化している状態に遷移した場合に、車両10が走行を開始したと判定してもよい。また、車両10の走行速度を検出することで、走行速度が0より大きくなった場合に車両10が走行を開始したと判定してもよい。
【0063】
次に、運転支援装置100は、視線検出装置210により得られた視線情報に基づいて、車両10(第1車両)を運転している第1ユーザの視線を検出する(S13)。
【0064】
次に、運転支援装置100は、物体検出装置220により得られた物体検出結果に基づいて、車両10の周囲にある物標を検出する(S14)。
【0065】
なお、ステップS13とステップS14とは、ステップS13がステップS14より先に実行されなくてもよく、ステップS14がステップS13より先に実行されてもよいし、並行して実行されてもよい。
【0066】
次に、運転支援装置100は、検出された視線、及び、検出された物標に基づいて、当該物標を第1ユーザが視認したか否かを判定する(S15)。
【0067】
次に、運転支援装置100は、位置検出装置230により得られた走行位置情報に基づいて、車両10の位置(第1位置)を検出する(S16)。
【0068】
次に、運転支援装置100は、補助情報を取得する(S17)。補助情報は、例えば、車両10の速度、車両10外の環境の状態などを示す情報である。車両10外の環境の状態とは、日時、天気などを含む。
【0069】
次に、運転支援装置100は、視認判定部103による判定結果と、視認判定部103による判定に用いられた視線及び物標のいずれかが検出されたタイミングと同じタイミングで検出された第1位置と、視線の検出対象となったユーザを識別するユーザ識別情報と、を含む視認情報を生成する(S18)。視認情報は、さらに、車両10が走行中の走行経路を示す経路情報を含んでいてもよいし、補助情報を含んでいてもよい。
【0070】
次に、運転支援装置100は、注意喚起処理を実行する(S19)。注意喚起処理の詳細は、図6を用いて後述する。
【0071】
次に、運転支援装置100は、車両10が走行終了したか否かを判定する(S20)。運転支援装置100は、車両10が走行終了したと判定した場合(S20でYes)、ステップS21を実行し、車両10が走行終了していないと判定した場合(S20でNo)、ステップS13に戻る。 ステップS21において、運転支援装置100は、走行開始から走行終了までの間に生成された視認情報を記憶装置120に記憶させる(S21)。
【0072】
図6は、運転支援装置による注意喚起処理(S19)の一例を示すフローチャートである。
【0073】
運転支援装置100は、車両10が走行中の経路を特定する(S31)。運転支援装置100は、現在(ステップS31を実行するタイミング)までの車両10の位置の時系列の変化に基づいて、車両10が走行中の経路を特定する。例えば、走行中の経路は、車両10の現在位置及び車両10の走行方向を含む情報で表されてもよい。
【0074】
次に、運転支援装置100は、特定した車両10の経路と同一の経路を示す経路情報を含む視認情報を記憶装置120から取得する(S32)。
【0075】
次に、運転支援装置100は、位置検出装置230により得られた走行位置情報に基づいて、車両10の位置(第1位置)を検出する(S33)。
【0076】
次に、運転支援装置100は、第2ユーザの視認情報である第2視認情報を記憶装置120から取得する(S34)。
【0077】
次に、運転支援装置100は、第1ユーザの視認情報である第1視認情報を記憶装置120から取得する(S35)。なお、ステップS35において、第1視認情報を記憶装置120から取得するとしたが、これに限らずに、ステップS18で生成された情報を取得してもよい。
【0078】
次に、運転支援装置100は、第1視認情報と第2視認情報とを比較する(S36)。
【0079】
次に、運転支援装置100は、第1視認情報から得られる第1位置から検出された物標までの第1距離が、第2視認情報から得られる第2位置から当該物標までの第2距離以下であるか否かを判定する(S37)。つまり、運転支援装置100は、第1位置が第2位置よりも、検出された物標から近い位置にある、または、第1位置が第2位置であるか否かを判定する。さらに言い換えると、運転支援装置100は、第1位置が第2位置から物標までの区間内に到達した(車両10が第2位置に到達した)タイミングであるか否かを判定する。運転支援装置100は、第1距離が第2距離以下であると判定した場合(S37でYes)、ステップS38を実行し、第1距離が第2距離より長いと判定した場合(S37でNo)、ステップS19の注意喚起処理を終了する。なお、ステップS37でYesと判定された場合は、第1ユーザが第2ユーザよりも物標を視認するのに長い時間を要したことを意味する。
【0080】
ステップS38において、運転支援装置100は、注意喚起を実行する(S38)。
【0081】
図7は、実施の形態1における注意喚起処理の具体例を説明するための図である。図7は、車両10の走行中に、物標としての道路標識431を車両10のユーザが視認したときの車両10の位置を示す図である。
【0082】
位置P1は、第1ユーザが車両10を運転した場合に道路標識431を視認したときの車両の位置である。位置P2は、第2ユーザが車両10(または他の車両)を運転した場合に道路標識431を視認したときの車両10(または他の車両)の位置である。
【0083】
この場合、第1ユーザが運転する車両10が位置P2に到達しても、第1ユーザは道路標識431を視認していないため、車両10が位置P2に到達したタイミングで注意喚起が実行される。
【0084】
[効果など]
本実施の形態に係る運転支援装置100は、視線検出部101と、物標検出部102と、視認判定部103と、位置検出部104と、取得部106と、注意喚起部107とを備える。視線検出部101は、車両10を運転している第1ユーザの視線を検出する。物標検出部102は、車両10の周囲にある物標を検出する。視認判定部103は、検出された視線、及び、検出された物標に基づいて、当該物標を第1ユーザが視認したか否かを判定する。位置検出部104は、車両10の第1位置を検出する。取得部106は、物標が第2ユーザに過去に視認されたときの第2車両の第2位置を取得する。注意喚起部107は、物標を第1ユーザが視認していないと視認判定部103に判定されている場合、第1位置及び第2位置を比較した結果に基づいて決定したタイミングで、第1ユーザに物標を視認することを促す注意喚起を実行する。
【0085】
これによれば、物標を第1ユーザが視認していないと判定されているときの車両10の第1位置と、当該物標を第2ユーザが過去に視認したときの第2車両の第2位置とを比較した結果に基づいて決定したタイミングで、第1ユーザに物標を視認することを促す注意喚起を実行する。つまり、車両10の位置に基づいて、第1ユーザが物標を視認できるタイミングで注意喚起を実行することができるため、物標を第1ユーザが見落とすことを低減することができる。
【0086】
また、本実施の形態に係る運転支援装置100において、注意喚起部107は、検出された物標を第1ユーザが視認していないと視認判定部103に判定されている場合、検出された第1位置が第2位置と同じ位置であるタイミングで注意喚起を実行する。
【0087】
これによれば、少なくとも第2ユーザが過去に物標を視認したタイミングで第1ユーザへ注意喚起を実行するため、物標を第1ユーザが見落とすことを低減することができる。
【0088】
また、本実施の形態に係る運転支援装置100は、さらに、視認判定部103による判定結果と、当該判定結果の基になった視線及び物標が検出されたときの車両10の位置とが対応付けられた視認情報を記憶する記憶装置120を備える。取得部106は、記憶装置120に記憶されている過去の視認情報に基づいて第2位置を取得する。
【0089】
このため、第1ユーザによる視認結果を蓄積することができ、蓄積した結果を、注意喚起を実行するタイミングの決定に用いることができる。よって、最新の視認結果を蓄積できるため、注意喚起を実行するタイミングを精度よく決定することができる。
【0090】
また、本実施の形態に係る運転支援装置100において、第2ユーザは、第1ユーザよりも運転技術が高い。これによれば、第1ユーザよりも運転技術が高い第2ユーザが過去に視認したときの第2車両の第2位置を基準として、注意喚起を実行するタイミングを決定するため、より適切に上記タイミングを決定することができる。
【0091】
[実施の形態1の変形例]
(1)
上記実施の形態に係る運転支援装置100は、車両10の車速を検出し、検出した車速を視認情報に含めて記憶装置120に記憶させてもよい。この場合、運転支援装置100の注意喚起部107は、車速を考慮して注意喚起を実行するタイミングを調整してもよい。つまり、注意喚起部107は、検出した車両10の第1車速と、物標が第2ユーザに過去に視認されたときの車両10(または他の車両)の第2速度とを比較して、第1速度及び第2速度を比較した結果に基づいて、注意喚起を実行するタイミングを決定してもよい。
【0092】
具体的には、第1車速が第2車速よりも早い場合、車両10が第2位置に到達する前の位置(つまり、対象の物標からの距離が第2位置よりも対象の物標から遠い位置)を通過するタイミングで注意喚起を実行してもよい。反対に、第1車速が第2車速よりも遅い場合、車両が第2位置を通過した後の位置(つまり、対象の物標からの距離が第2位置よりも対象の物標に近い位置)を通過するタイミングで注意喚起を実行してもよい。これによれば、各車両の速度に応じて注意喚起を実行するタイミングを決定するため、精度よくタイミングを決定することができる。
【0093】
(2)
上記実施の形態に係る運転支援装置100は、車両10外の環境の状態を示す第1環境情報を検出し、検出した環境情報を視認情報に含めて記憶装置120に記憶させてもよい。この場合、運転支援装置100の注意喚起部107は、車両10外の環境の状態を考慮して注意喚起を実行するタイミングを調整してもよい。つまり、注意喚起部107は、第1環境情報と、物標が第2ユーザに過去に視認されたときの車両10(または他の車両)外の環境の状態を示す第2環境情報とを比較した結果に基づいて、注意喚起を実行するタイミングを決定してもよい。
【0094】
具体的には、記憶装置120から取得する第2視認情報を、第1環境情報と同じ状態の第2環境状態を含む第2視認情報に絞り込むことで、車両10外の環境の条件が同じ第2視認情報に基づいて、注意喚起を実行するタイミングを決定することができる。これによれば、各車両外の環境に応じて注意喚起を実行するタイミングを決定するため、精度よくタイミングを決定することができる。
【0095】
(実施の形態2)
[構成]
図8は、実施の形態2に係る運転支援装置を含む運転支援システムの構成を示すブロック図である。
【0096】
実施の形態2に係る運転支援システム1Aは、実施の形態1に係る運転支援システム1と比較して、運転支援装置100Aの構成が異なる。このため、運転支援装置100Aの異なる構成について主に説明する。
【0097】
運転支援装置100Aは、実施の形態1の運転支援装置100と比較して、受付部108と、更新部109と、設定部110とをさらに備える点が異なる。取得部106及び注意喚起部107により実行される処理が異なる。また、記憶装置120が記憶している情報が異なる。
【0098】
記憶装置120は、注意喚起を実行するか否かの設定を示す注意喚起設定情報を物標毎に記憶している。注意喚起設定情報は、物標の種類毎に定められてもよい。
【0099】
取得部106は、さらに、物標が第1ユーザに過去に視認されたときの車両10の第3位置を取得する。
【0100】
注意喚起部107は、物標を第1ユーザが視認していないと視認判定部103に判定されている場合であって、第3位置が第2位置よりも物標に近い位置に位置する場合、第1位置が第2位置よりも物標から遠い第4位置から物標までの区間内に到達したタイミングで注意喚起を実行する。つまり、注意喚起部107は、この場合、走行中の車両10が第4位置に到達した(あるいは第4位置を通り過ぎた)と判定されたタイミングで、注意喚起を実行する。
【0101】
図9は、実施の形態2における注意喚起処理の具体例を説明するための図である。図9は、車両10の走行中に、物標としての道路標識431を車両10のユーザが視認したときの車両10の位置を示す図である。
【0102】
位置P12は、第2ユーザが過去に車両10(または他の車両)を運転した場合に道路標識431を視認したときの車両10(または他の車両)の位置である。位置P13は、第1ユーザが過去に車両10を運転した場合に道路標識431を視認したときの車両10の位置である。位置P14は、位置P12よりも道路標識431から遠い位置に設定される、第1ユーザが運転する車両10が通過するときに注意喚起を実行するタイミングを示す位置である。つまり、注意喚起部107は、第1ユーザが過去に第2ユーザよりも遅いタイミングで道路標識431を視認した場合に、第1ユーザが次に同じ経路で車両10を運転しているときに、第2位置P12の手前の第4位置P14に位置したタイミングで注意喚起を実行する。
【0103】
受付部108は、第1ユーザから、設定の変更を示す入力受け付ける。
【0104】
更新部109は、第2位置よりも物標から遠い位置に位置する第3位置で第1ユーザに過去に視認された物標の注意喚起設定情報を、注意喚起を実行しないことを示す設定に更新する。つまり、注意喚起設定情報は、第1ユーザが過去に特定の物標を視認したタイミングが、第2ユーザが過去に特定の物標を視認したタイミングよりも早ければ、特定の物標に対して注意喚起をしないように設定されてもよい。また、更新部109は、受付部108により受け付けられた変更に応じて、注意喚起設定情報を更新してもよい。
【0105】
注意喚起部107は、記憶装置120に記憶されている注意喚起設定情報で注意喚起を実行すると設定されている第1物標に対して注意喚起を実行し、注意喚起を実行しないと設定されている第2物標に対して注意喚起を実行しなくてもよい。
【0106】
[動作]
図10は、実施の形態2における注意喚起設定処理の一例を示すフローチャートである。
【0107】
注意喚起設定処理は、ステップS31~ステップS37までが実施の形態1の注意喚起処理と同じであるため、異なる処理について主に説明する。
【0108】
運転支援装置100Aは、第1距離が第2距離より長いと判定した場合(S37でYes)、ステップS38aを実行し、第1距離が第2距離以下である場合(S37でNo)、ステップS38bを実行する。
【0109】
ステップS38aにおいて、運転支援装置100Aは、注意喚起処理の処理対象となった物標に対して注意喚起を実行することを示す設定に更新するために、注意喚起リストに当該物標を追加する(S38a)。注意喚起リストは、複数の物標のそれぞれごとに設定される注意喚起設定情報を示す情報である。
【0110】
ステップS38bにおいて、運転支援装置100Aは、注意喚起処理の処理対象となった物標に対して注意喚起を実行しないことを示す設定に更新するために、注意喚起リストから当該物標を除外する(S38a)。
【0111】
図11は、実施の形態2における注意喚起処理の一例を示すフローチャートである。
【0112】
運転支援装置100Aは、記憶装置120から注意喚起対象リストを取得する(S41)。
【0113】
次に、運転支援装置100は、位置検出装置230により得られた走行位置情報に基づいて、車両10の位置(第1位置)を検出する(S42)。
【0114】
次に、運転支援装置100は、第2ユーザの視認情報である第2視認情報を記憶装置120から取得する(S43)。
【0115】
次に、運転支援装置100Aは、第2視認情報に基づいて得られた第2位置にマージンを加算した位置を第4位置として生成する(S44)。
【0116】
次に、運転支援装置100は、第1ユーザの視認情報である第1視認情報を記憶装置120から取得する(S45)。なお、ステップS35において、第1視認情報を記憶装置120から取得するとしたが、これに限らずに、ステップS18で生成された情報を取得してもよい。
【0117】
次に、運転支援装置100は、第1位置と第4位置とを比較する(S46)。
【0118】
次に、運転支援装置100は、第1位置から検出された物標までの第1距離が第4位置から当該物標までの第4距離以下であるか否かを判定する(S47)。つまり、運転支援装置100は、第1位置が第4位置よりも、検出された物標から近い位置にある、または、第1位置が第4位置であるか否かを判定する。さらに言い換えると、運転支援装置100は、第1位置が第4位置から物標までの区間内に到達した(車両10が第4位置に到達した)タイミングであるか否かを判定する。運転支援装置100は、第1距離が第4距離以下である場合(S47でYes)、ステップS48を実行し、第1距離が第4距離以下でない場合(S47でNo)、ステップS19の注意喚起処理を終了する。
【0119】
ステップS48において、運転支援装置100は、注意喚起を実行する(S48)。
【0120】
[効果など]
本実施の形態に係る運転支援装置100Aにおいて、取得部106は、さらに、物標が第1ユーザに過去に視認されたときの第1車両の第3位置を取得する。注意喚起部107は、物標を第1ユーザが視認していないと視認判定部103に判定されている場合であって、第3位置が第2位置よりも物標に近い位置に位置する場合、第1位置が第2位置よりも物標から遠い第4位置であるタイミングで注意喚起を実行する。
【0121】
これによれば、少なくとも第2ユーザが過去に物標を視認したタイミングよりも早いタイミングで第1ユーザへ注意喚起を実行するため、物標を第1ユーザが見落とすことを低減することができる。
【0122】
また、本実施の形態に係る運転支援装置100Aは、さらに、記憶装置120と、更新部109とを備える。記憶装置120は、注意喚起を実行するか否かの設定を示す注意喚起設定情報を物標毎に記憶している。更新部109は、第2位置よりも物標から遠い位置に位置する第3位置で第1ユーザに過去に視認された物標の注意喚起設定情報を、注意喚起を実行しないことを示す設定に更新する。注意喚起部107は、記憶装置120に記憶されている注意喚起設定情報で注意喚起を実行すると設定されている第1物標に対して注意喚起を実行し、注意喚起を実行しないと設定されている第2物標に対して注意喚起を実行しない。
【0123】
これによれば、過去に第1ユーザが第2ユーザよりも早いタイミングで視認した物標は、第1ユーザが見落としにくい物標であると判断できるため、注意喚起を実行しないように注意喚起設定情報を更新する。このため、第1ユーザが視認しやすい物標への注意喚起をスキップすることで処理負荷を低減でき、また、見落としにくい物標への注意喚起を行うことで第1ユーザへ煩雑さを感じさせることを低減することができる。
【0124】
また、本実施の形態に係る運転支援装置100Aは、さらに、記憶装置120と、受付部108と、更新部109とを備える。記憶装置120は、物標の種類毎に、注意喚起を実行するか否かの設定を示す注意喚起設定情報を記憶している。受付部108は、設定の変更を受け付ける。更新部109は、受付部108による受け付けられた変更に応じて、注意喚起設定情報を更新する。注意喚起部107は、記憶装置120に記憶されている注意喚起設定情報で注意喚起を実行すると設定されている第1種類の第3物標に対して注意喚起を実行し、注意喚起を実行しないと設定されている第2種類の第4物標に対して注意喚起を実行しない。
【0125】
これによれば、受け付けられた変更に応じて、例えば、注意喚起を実行しないように注意喚起設定情報を更新するため、第1ユーザに必要十分な注意喚起を実現できる。つまり、第1ユーザにとって不要な注意喚起をスキップすることで処理負荷を低減できる。
【0126】
(他の実施の形態)
上記実施の形態では、運転支援システム1、1Aが備える記憶装置120が視認情報を記憶するとしたが、これに限らずに、運転支援システム1、1Aに接続される外部の記憶装置が運転支援システム1、1Aから視認情報を取得して、記憶する構成であってもよい。この場合、運転支援装置100、100Aは、注意喚起の実行タイミングを判定するための視認情報を外部の記憶装置から取得してもよい。外部の記憶装置は、運転支援システム1、1Aとネットワークを介して通信可能に接続される装置(ネットワーク上の記憶装置)であり、車両10の外部に設けられる装置である。外部の記憶装置は、例えば、クラウドサーバである。
【0127】
以上、一つ又は複数の態様に係る表示制御装置等について、上記実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、上記実施の形態に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を上記実施の形態に施したものも、本開示の範囲内に含まれてもよい。
【0128】
また、例えば、上記実施の形態において、運転支援システム1、1Aが備える各装置の処理部の各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU(Central Processing Unit)又はプロセッサ等のプログラム実行部が、ハードディスク又は半導体メモリ等の非一時的な記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0129】
なお、以下のような場合も本開示に含まれる。
【0130】
(1)上記の少なくとも1つの装置は、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクユニット、ディスプレイユニット、キーボード、マウス等から構成されるコンピュータシステムである。そのRAM又はハードディスクユニットには、コンピュータプログラムが記憶されている。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、上記の少なくとも1つの装置は、その機能を達成する。ここでコンピュータプログラムは、所定の機能を達成するために、コンピュータに対する指令を示す命令コードが複数個組み合わされて構成されたものである。
【0131】
(2)上記の少なくとも1つの装置を構成する構成要素の一部又は全部は、1個のシステムLSI(Large Scale Integration:大規模集積回路)から構成されているとしてもよい。システムLSIは、複数の構成部を1個のチップ上に集積して製造された超多機能LSIであり、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAM等を含んで構成されるコンピュータシステムである。上記RAMには、コンピュータプログラムが記憶されている。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、システムLSIは、その機能を達成する。
【0132】
(3)上記の少なくとも1つの装置を構成する構成要素の一部又は全部は、その装置に脱着可能なICカード又は単体のモジュールから構成されているとしてもよい。ICカード又はモジュールは、マイクロプロセッサ、ROM、RAM等から構成されるコンピュータシステムである。ICカード又はモジュールは、上記の超多機能LSIを含むとしてもよい。マイクロプロセッサが、コンピュータプログラムにしたがって動作することにより、ICカード又はモジュールは、その機能を達成する。このICカード又はこのモジュールは、耐タンパ性を有するとしてもよい。
【0133】
(4)本開示は、上記に示す方法であるとしてもよい。また、これらの方法をコンピュータにより実現するコンピュータプログラムであるとしてもよいし、コンピュータプログラムからなるデジタル信号であるとしてもよい。
【0134】
また、本開示は、コンピュータプログラム又はデジタル信号をコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD(Compact Disc)-ROM、DVD、DVD-ROM、DVD-RAM、BD(Blu-ray(登録商標) Disc)、半導体メモリ等に記録したものとしてもよい。また、これらの記録媒体に記録されているデジタル信号であるとしてもよい。
【0135】
また、本開示は、コンピュータプログラム又はデジタル信号を、電気通信回線、無線又は有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク、データ放送等を経由して伝送するものとしてもよい。
【0136】
また、プログラム又はデジタル信号を記録媒体に記録して移送することにより、又はプログラム又はデジタル信号を、ネットワーク等を経由して移送することにより、独立した他のコンピュータシステムにより実施するとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0137】
本開示は、適切なタイミングで注意喚起を行うことができる運転支援装置等として有用である。
【符号の説明】
【0138】
1 運転支援システム
10 車両
100 運転支援装置
101 視線検出部
102 物標検出部
103 視認判定部
104 位置検出部
105 生成部
106 取得部
107 注意喚起部
108 受付部
109 更新部
120 記憶装置
210 視線検出装置
220 物体検出装置
230 位置検出装置
240 経路設定装置
310 表示装置
320 音響装置
401、412、422 停止線
402 車線
403 交差点
404 歩行者用信号機
405 横断歩道
406 車両用信号機
411 路面標示
412 停止線
413、415、421 道路標識
414、423 T字路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11