IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ナムコの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106171
(43)【公開日】2024-08-07
(54)【発明の名称】ゲームシステム
(51)【国際特許分類】
   A63F 13/52 20140101AFI20240731BHJP
   A63F 13/214 20140101ALI20240731BHJP
   A63F 13/798 20140101ALI20240731BHJP
【FI】
A63F13/52
A63F13/214
A63F13/798
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023010331
(22)【出願日】2023-01-26
(71)【出願人】
【識別番号】306014714
【氏名又は名称】株式会社バンダイナムコアミューズメント
(74)【代理人】
【識別番号】100124682
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100104710
【弁理士】
【氏名又は名称】竹腰 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100090479
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 一
(72)【発明者】
【氏名】川合 潤
(72)【発明者】
【氏名】大澤 淳人
(57)【要約】
【課題】従来よりも簡単に楽しめる投擲型体感ゲームを実現する技術を提供すること。
【解決手段】ゲームシステム1000は、表示部1206と、プレーヤ2であるユーザにより投じられたボール4(遊戯媒体)が表示部1206の表示面に衝突した衝突位置を検出する検出部1208と、ゲームの進行を制御する制御部1250と、を備える。制御部1250は、衝突位置に基づく所与の表示位置の表示態様を変更する表示態様変更処理を行い、当該処理の結果に基づくゲームの進行又は結果の判定を所与の判定タイミングに行う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部と、
ユーザにより投じられた遊戯媒体が前記表示部に衝突した衝突位置を検出する検出部と、
ゲームの進行を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記衝突位置に基づく所与の表示位置の表示態様を変更する表示態様変更処理を行うことと、
前記表示態様変更処理の処理結果に基づく前記ゲームの進行又は結果の判定を所与の判定タイミングに行うことと、
を実行する、
ゲームシステム。
【請求項2】
前記遊戯媒体は球状体であり、
前記表示部に衝突して落下した前記遊戯媒体が高低差を利用して移動するための傾斜部と、
前記傾斜部の低位部に設けられた前記遊戯媒体の留め部と、
を更に備え、
前記検出部は、同時に複数の衝突位置を検出可能であり、
前記制御部は、前記検出部により同時に複数の衝突位置が検出された場合、当該衝突位置毎に前記表示態様変更処理を行う、
請求項1に記載のゲームシステム。
【請求項3】
前記表示部、前記検出部、前記傾斜部および前記留め部を具備するステーションを複数備え、
前記ゲームは、共通ゲーム画像が前記ステーションそれぞれに共通に表示される対戦ゲームであり、
前記制御部は、前記ステーションそれぞれの前記表示部に前記共通ゲーム画像を表示させ、前記衝突位置に基づくステーション間での共通の前記表示位置の表示態様を、当該衝突が検出されたステーションに基づいて上書き的に変更することで前記表示態様変更処理を行う、
請求項2に記載のゲームシステム。
【請求項4】
前記ステーション毎に前記表示態様の変更内容が設定されており、
前記制御部は、前記衝突位置に基づくステーション間での共通の前記表示位置に対して、当該衝突が検出されたステーションに設定された前記表示態様の変更内容に従って上書き的に変更することで前記表示態様変更処理を行う、
請求項3に記載のゲームシステム。
【請求項5】
前記表示部、前記検出部、前記傾斜部および前記留め部を具備するステーションを複数備え、
前記ゲームは、背景画像および表層画像が前記ステーションそれぞれに表示される対戦ゲームであり、
前記制御部は、前記ステーションそれぞれの前記表示部に表示される前記表層画像のうち、前記衝突位置に基づくステーション間での共通の前記表示位置に該当する画像の表示態様を、当該衝突が検出されたステーションに基づいて上書き的に変更することで前記表示態様変更処理を行う、
請求項2に記載のゲームシステム。
【請求項6】
前記制御部は、前記ステーションそれぞれの前記表示部に表示される前記表層画像のうち、前記衝突位置に基づくステーション間での共通の前記表示位置に該当する画像の表示態様を、当該衝突が検出されたステーションと、当該衝突が検出されたステーション以外のステーションとで異ならせることで前記表示態様変更処理を行う、
請求項5に記載のゲームシステム。
【請求項7】
前記ステーション毎に別体のゲーム装置として構成された、
請求項3から6の何れか一項に記載のゲームシステム。
【請求項8】
前記ゲームは、前記ステーション間での対戦ゲームであり、
前記制御部は、
前記ステーション毎に、ゲーム進行中の途中成績を算出することと、
前記途中成績の前記ステーション間の優劣に基づいて、前記ステーション別に所与のハンディキャップ処理を行うことと、
を実行する、
請求項3から6の何れか一項に記載のゲームシステム。
【請求項9】
前記ゲームは、前記ステーション間での対戦ゲームであり、
前記制御部は、
前記ステーション毎に、当該ステーションでプレイするユーザのプレイレベル又はプレイレベルに相当する内容の操作入力を受け付けることと、
前記受け付けた操作入力に基づいて、前記ステーション別に所与のハンディキャップ処理を行うことと、
を実行する、
請求項3から6の何れか一項に記載のゲームシステム。
【請求項10】
前記制御部は、前記表示部に表示する画像をスクロール表示する制御を行う、
請求項1から6の何れか一項に記載のゲームシステム。
【請求項11】
前記制御部は、前記表示部を複数の領域に分割し、各領域別に画像をスクロール表示する制御を行う、
請求項1から6の何れか一項に記載のゲームシステム。
【請求項12】
前記制御部は、
前記表示部に所与の標的オブジェクトを表示する制御を行うことと、
前記衝突位置に基づいて、前記遊戯媒体が前記標的オブジェクトに当たったかを判定することと、
前記標的オブジェクトに当たったと判定された場合に、所与の影響表示範囲を設定し、当該影響表示範囲の表示態様を変更することで前記表示態様変更処理を行うことと、
を実行する、
請求項1から6の何れか一項に記載のゲームシステム。
【請求項13】
前記標的オブジェクトは複数種類があり、
前記制御部は、当たったと判定された前記標的オブジェクトの種類に基づいて前記影響表示範囲を設定する、
請求項12に記載のゲームシステム。
【請求項14】
前記制御部は、
ゲーム進行中の途中成績を算出することと、
前記途中成績に基づいて前記影響表示範囲の大きさを制御することと、
を実行する、
請求項12に記載のゲームシステム。
【請求項15】
前記制御部は、
前記ゲームの進行に応じてゲージ値が変化する所与のゲージを表示する制御を行うことと、
前記ゲージ値が所与の発動条件を満たした場合に、所与の態様変更効果範囲を設定し、当該態様変更効果範囲の表示態様を変更することで前記表示態様変更処理を行うことと、
を実行する、
請求項1から6の何れか一項に記載のゲームシステム。
【請求項16】
前記制御部は、
ゲーム進行中の途中成績を算出することと、
前記途中成績に基づいて前記発動条件を変更することと、
を実行する、
請求項15に記載のゲームシステム。
【請求項17】
前記検出部は、前記遊戯媒体の衝突速度を検出し、
前記制御部は、前記表示態様変更処理において変更する表示態様の範囲を前記衝突速度に応じて制御する、
請求項1から6の何れか一項に記載のゲームシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲームシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
人気の業務用ゲーム装置として、プレーヤが、正面に立設されたディスプレイに表示される標的に向けて、備え付けのボールを投げて当該標的に当てる「的当て体感ゲーム」がある(例えば、特許文献1を参照)。的当て体感ゲームは、ルールが簡単・明快であり、レバー操作やボタンスイッチ操作を覚える必要もないことから、老若男女が混じって一緒に楽しむことができる体感ゲームとして人気である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-209451号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の的当て体感ゲームのような投擲型体感ゲームでは、標的が存在し、プレーヤは標的を狙う必要があった。しかし、ボールを投げて狙った位置に当てるのは、思いのほか技術が必要とされる。特に、小学生などの低年齢プレーヤは的に当てられないことがあった。そこで、従来よりも簡単に楽しめる投擲型体感ゲームが望まれていた。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、従来よりも簡単に楽しめる投擲型体感ゲームを実現する技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するための第1の発明は、表示部と、ユーザにより投じられた遊戯媒体が前記表示部に衝突した衝突位置を検出する検出部と、ゲームの進行を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記衝突位置に基づく所与の表示位置の表示態様を変更する表示態様変更処理を行うことと、前記表示態様変更処理の処理結果に基づく前記ゲームの進行又は結果の判定を所与の判定タイミングに行うことと、を実行する、ゲームシステムである。
【0007】
第1の発明によれば、プレーヤであるユーザが表示部に向けて投げた遊戯媒体の衝突位置に基づいて、表示部の表示態様(例えば、色、明度、模様の有無や種類、など)が変更される。そして、表示が変更された結果に基づいてゲームの進行やゲーム結果が決まる。つまり、第1の発明のゲームシステムは、従来よりも簡単に楽しめる投擲型体感ゲームを実現できる。
【0008】
第2の発明は、上記のゲームシステムにおいて、前記遊戯媒体は球状体であり、前記表示部に衝突して落下した前記遊戯媒体が高低差を利用して移動するための傾斜部と、前記傾斜部の低位部に設けられた前記遊戯媒体の留め部と、を更に備え、前記検出部は、同時に複数の衝突位置を検出可能であり、前記制御部は、前記検出部により同時に複数の衝突位置が検出された場合、当該衝突位置毎に前記表示態様変更処理を行う、ゲームシステムである。
【0009】
第2の発明によれば、遊戯媒体は、プレーヤであるユーザにより投げられた後、傾斜部を自重で転動又は滑落して留め部に自然に戻ってくる。よって、プレーヤは次から次へと遊戯媒体を繰り返し投げられる。そして、検出部は同時に衝突した複数の衝突位置を検出可能なので、1人のプレーヤが、1つずつ遊戯媒体を投げるプレイスタイルでプレイ可能であるのは勿論のこと、1人のプレーヤが、留め部に溜まっている複数の遊戯媒体を両手で拾って投げるプレイスタイルでもプレイ可能である。また、複数のプレーヤがペアやチームを組んでシングルプレイすることもできる。つまり、マルチプレイへの対応性に優れたゲームシステムを実現できる。
【0010】
第3の発明は、上記のゲームシステムにおいて、前記表示部、前記検出部、前記傾斜部および前記留め部を具備するステーションを複数備え、前記ゲームは、共通ゲーム画像が前記ステーションそれぞれに共通に表示される対戦ゲームであり、前記制御部は、前記ステーションそれぞれの前記表示部に前記共通ゲーム画像を表示させ、前記衝突位置に基づくステーション間での共通の前記表示位置の表示態様を、当該衝突が検出されたステーションに基づいて上書き的に変更することで前記表示態様変更処理を行う、ゲームシステムである。
【0011】
ここで言う「ステーション」とは、単数又は複数のプレーヤが、ゲーム進行上1人のプレーヤとしてプレイする部分である。
第3の発明によれば、対戦ゲームに参加するプレーヤであるユーザ(又はユーザチーム)のそれぞれがステーションを使うことに適したゲームシステムを構成できる。ゲームルール上も、表示態様変更処理によって、表示態様の変更が上書き的に実行されるので、あるプレーヤが投げた遊戯媒体が衝突して表示態様が変更された箇所に、別のプレーヤが遊戯媒体を当てて、既に変更された表示態様を更に変更することができる。つまり、標的が無くとも表示態様が変更された面積を成績とした対戦ゲームをプレイできる。見た目で対戦成績の現状が直ぐに理解できるので、例えば低年齢のプレーヤでも十分にゲームの推移を理解しながら楽しむことができる。
【0012】
第4の発明は、上記のゲームシステムにおいて、前記ステーション毎に前記表示態様の変更内容が設定されており、前記制御部は、前記衝突位置に基づくステーション間での共通の前記表示位置に対して、当該衝突が検出されたステーションに設定された前記表示態様の変更内容に従って上書き的に変更することで前記表示態様変更処理を行う、ゲームシステムである。
【0013】
第4の発明によれば、ステーション別に表示態様の変更内容が設定されている。そのため、当該ステーションを使うプレーヤであるユーザにとってみれば、自分がプレイに使っているステーションに対応した変更内容に従って上書き的に変更されたことを直ぐに理解することができる。共通ゲーム画像上では自分の変更内容で塗り潰された領域が、自分が遊戯媒体を当てた場所を示し、その広さがこれまでの成績を示すこととなる。例えば、低年齢プレーヤであっても、ゲームルールや成績の途中経過が直ぐに分かる投擲型体感ゲームを実現できる。
【0014】
第5の発明は、上記のゲームシステムにおいて、前記表示部、前記検出部、前記傾斜部および前記留め部を具備するステーションを複数備え、前記ゲームは、背景画像および表層画像が前記ステーションそれぞれに表示される対戦ゲームであり、前記制御部は、前記ステーションそれぞれの前記表示部に表示される前記表層画像のうち、前記衝突位置に基づくステーション間での共通の前記表示位置に該当する画像の表示態様を、当該衝突が検出されたステーションに基づいて上書き的に変更することで前記表示態様変更処理を行う、ゲームシステムである。
【0015】
第5の発明によれば、対戦ゲームに参加するプレーヤであるユーザ(又はユーザチーム)のそれぞれがステーションを使う対戦ゲームに適したゲームシステムを構成できる。ゲームルール上も、表示態様変更処理によって、表示態様の変更が上書き的に実行されるので、あるプレーヤが投げた遊戯媒体が衝突して表示態様が変更された箇所に、別のプレーヤが遊戯媒体を当てて、既に変更された表示態様を更に変更することができる。つまり、標的が無くとも表示態様が変更された面積を成績とするといった対戦ゲームをプレイできる。見た目で対戦成績の現状が直ぐに理解できるので、例えば低年齢のプレーヤでもゲームの推移を視覚的に簡単に把握することができる。
【0016】
更に第5の発明では、表示態様の変更結果を表層画像として管理できるので、それまでのゲーム成績の結果を用いた表示制御(例えば、ステーション別の表示態様の変更内容をステーション別に反転して表示する、など)が容易になり、ゲームの興趣を高めることができる。
【0017】
第6の発明は、上記のゲームシステムにおいて、前記制御部は、前記ステーションそれぞれの前記表示部に表示される前記表層画像のうち、前記衝突位置に基づくステーション間での共通の前記表示位置に該当する画像の表示態様を、当該衝突が検出されたステーションと、当該衝突が検出されたステーション以外のステーションとで異ならせることで前記表示態様変更処理を行う、ゲームシステムである。
【0018】
第6の発明によれば、表示位置に該当する画像の表示態様を、当該衝突が検出されたステーションと、当該衝突が検出されたステーション以外のステーションとで異ならせることで、対戦中の各プレーヤが見ている画像では、自身が遊戯媒体を衝突させたことで生じた表示態様の変更箇所と、それ以外とを明確に分けて見ることができるようになる。よって、対戦参加人数が多くなっても戦況が分かり易くなる。
【0019】
第7の発明は、上記のゲームシステムにおいて、前記ステーション毎に別体のゲーム装置として構成されたゲームシステムである。
【0020】
第7の発明によれば、1つのステーションを1台のゲーム装置とすることができる。
【0021】
第8の発明は、上記のゲームシステムにおいて、前記ゲームは、前記ステーション間での対戦ゲームであり、前記制御部は、前記ステーション毎に、ゲーム進行中の途中成績を算出することと、前記途中成績の前記ステーション間の優劣に基づいて、前記ステーション別に所与のハンディキャップ処理を行うことと、を実行する、ゲームシステムである。
【0022】
第8の発明によれば、マルチプレイにおいて、途中成績に基づいてハンディキャップを導入して、ステーション間の優劣差を解消できる。或いは優劣差の拡大を抑制することができる。マルチプレイでゲームを楽しむプレーヤが、子供と大人のように、そもそもプレイする能力に格差のある組み合せであっても拮抗した対戦状況を作り出し、子供も大人もどちらも楽しめるゲームを提供できる。
【0023】
第9の発明は、上記のゲームシステムにおいて、前記ゲームは、前記ステーション間での対戦ゲームであり、前記制御部は、前記ステーション毎に、当該ステーションでプレイするユーザのプレイレベル又はプレイレベルに相当する内容の操作入力を受け付けることと、前記受け付けた操作入力に基づいて、前記ステーション別に所与のハンディキャップ処理を行うことと、を実行する、ゲームシステムである。
【0024】
第9の発明によれば、プレイするユーザのプレイレベル又はプレイレベルに相当する内容の操作入力の結果に基づいてハンディキャップを導入して、ステーション間の優劣差を解消或いは優劣差の拡大を抑制することができる。
【0025】
第10の発明は、上記のゲームシステムにおいて、前記制御部は、前記表示部に表示する画像をスクロール表示する制御を行うゲームシステムである。
【0026】
第10の発明によれば、表示部で表示されているサイズよりも広いゲームフィールドを使ったプレイが可能になる。
【0027】
第11の発明は、上記のゲームシステムにおいて、前記制御部は、前記表示部を複数の領域に分割し、各領域別に画像をスクロール表示する制御を行う、ゲームシステムである。
【0028】
第11の発明によれば、ゲーム画面の表示レイアウトを多様にして、ゲームの興趣を高めることができる。
【0029】
第12の発明は、上記のゲームシステムにおいて、前記制御部は、前記表示部に所与の標的オブジェクトを表示する制御を行うことと、前記衝突位置に基づいて、前記遊戯媒体が前記標的オブジェクトに当たったかを判定することと、前記標的オブジェクトに当たったと判定された場合に、所与の影響表示範囲を設定し、当該影響表示範囲の表示態様を変更することで前記表示態様変更処理を行うことと、を実行する、ゲームシステムである。
【0030】
第12の発明によれば、遊戯媒体を標的オブジェクトに当てれば、影響表示範囲の表示態様を変更できるので、影響表示範囲の設定次第によってゲームの興趣を高めることができる。例えば、影響表示範囲を、遊戯媒体が標的オブジェクトに当たっていない場合に適用される範囲よりも大きく設定すれば、標的オブジェクトは一気に表示態様の変更面積を増やすことになる。シングルプレイでは、一気に成績を高める手段となり、マルチプレイでは一気に勝負の行方を逆転する手段ともなり、ゲームの興趣が高まる。
【0031】
第13の発明は、上記のゲームシステムにおいて、前記標的オブジェクトは複数種類があり、前記制御部は、当たったと判定された前記標的オブジェクトの種類に基づいて前記影響表示範囲を設定する、ゲームシステムである。
【0032】
第13の発明によれば、より一層ゲームの興趣を高めることができる。
【0033】
第14の発明は、上記のゲームシステムにおいて、前記制御部は、ゲーム進行中の途中成績を算出することと、前記途中成績に基づいて前記影響表示範囲の大きさを制御することと、を実行する、ゲームシステムである。
【0034】
第14の発明によれば、途中成績に応じて、その後の成績の稼ぎやすさを調整できる。例えば、低年齢のプレーヤは、遊戯媒体を拾って投げるまでの動作が大人に比べて遅い場合が多く、当然ながら途中成績も大人がプレイした場合よりも劣る。そのままゲームが進行すると最終成績が大人に対して劣ることになり得る。しかし、途中成績に基づいて影響表示範囲の大きさを制御することでそうした事態を抑制できる。
【0035】
第15の発明は、上記のゲームシステムにおいて、前記制御部は、前記ゲームの進行に応じてゲージ値が変化する所与のゲージを表示する制御を行うことと、前記ゲージ値が所与の発動条件を満たした場合に、所与の態様変更効果範囲を設定し、当該態様変更効果範囲の表示態様を変更することで前記表示態様変更処理を行うことと、を実行する、ゲームシステムである。
【0036】
第15の発明によれば、ゲージ値に応じて態様変更効果範囲を設定して、当該範囲の表示態様を変更することで、ゲージ値を留めることによって特別な「技」が発動することを視覚的に容易に知らせることができる。よって、ゲームの興趣を高めることができる。
【0037】
第16の発明は、上記のゲームシステムにおいて、前記制御部は、ゲーム進行中の途中成績を算出することと、前記途中成績に基づいて前記発動条件を変更することと、を実行する、ゲームシステムである。
【0038】
第16の発明によれば、途中成績に基づいて発動条件が変更されることで、態様変更効果範囲が設定されやすくなったり、逆に設定されにくくなったりする。
【0039】
第17の発明は、上記のゲームシステムにおいて、前記検出部は、前記遊戯媒体の衝突速度を検出し、前記制御部は、前記表示態様変更処理において変更する表示態様の範囲を前記衝突速度に応じて制御する、ゲームシステムである。
【0040】
第17の発明によれば、プレーヤが遊戯媒体を投げた勢いをゲームに反映することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】第1実施形態であるゲームシステムの構成例を示す斜視外観図。
図2】マルチプレイ時の様子を示す図。
図3】ゲーム装置の前後方向の部分縦断面図。
図4】マルチプレイにおけるゲーム画面の表示例を示す図。
図5】プレイ画面を生成するためのレイヤー構造の例を示す図。
図6】標的オブジェクトの表示例を示す図。
図7】標的オブジェクトに係る表示変更について説明するための図。
図8】移動型の標的オブジェクトに係る表示態様の変更について説明するための図。
図9】ゲージと「技」について説明するための図。
図10】ハンディキャップについて説明するための図。
図11】ICメモリに記憶されるプログラムやデータの例を示す図。
図12】ゲームプログラムを実行することで実現される機能部を示す図。
図13】プレイデータのデータ構成例を示す図。
図14】標的オブジェクト定義データのデータ構成例を示す図。
図15】マルチプレイにおけるマスター機であるゲーム装置の処理の流れを説明するためのフローチャート。
図16図15より続くフローチャート。
図17】衝突速度に応じた変更範囲の表示について説明するための図。
図18】第2実施形態であるゲームシステムの構成例を示す斜視外観図。
図19】スクロール表示の変形例を説明するための図。
図20】ゲームフィールドの変形例を示す図。
図21】ゲームフィールドの変形例を示す図。
図22】プレイ画面を生成するレイヤー構成の変形例および表示態様変更処理の変形例を示す図。
図23】表示態様変更処理の変形例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明の実施形態の例を説明するが、本発明を適用可能な形態が以下の実施形態に限られないことは勿論である。
【0043】
〔第1実施形態〕
図1は、第1実施形態であるゲームシステム1000の構成例を示す斜視外観図であるとともに、シングルプレイの様子を示す図でもある。図2は、マルチプレイの様子を示す図である。
【0044】
ゲームシステム1000は、単数のゲーム装置1200、又は複数のゲーム装置1200を併設して構成される。図1および図2では、第1ゲーム装置1200aと、第2ゲーム装置1200bの2台で1つのゲームシステム1000を構成した例を示している。1台のゲーム装置1200は、1箇所のステーション1100として機能するようにデザインされている。ステーション1100とは、単数又は複数のユーザが、1プレーヤとしてゲームプレイする部分であって、当該1プレーヤとして占有又は半占有する部分を意味する。
【0045】
ゲームシステム1000は、プレーヤ2が、使用するゲーム装置1200の前方に立ち、表示部1206に表示されるプレイ画面(ゲーム画面)へ向けて、備え付けの遊戯媒体であるボール4を投げつけてプレイする、コンピュータシステムである。
【0046】
ゲームシステム1000をシングルプレイ専用として運用する場合には、ゲーム装置1200を1台ずつ分けて設置・運用する。ゲームシステム1000をシングルプレイもマルチプレイも両方可能に運用する場合には、図1のように複数のゲーム装置1200(1200a,1200b)を併設するとともにネットワーク9を介して通信接続して、ゲーム装置1200(ステーション1100)間での対戦ゲームを実現する。
【0047】
プレーヤ2は、プレイ開始前に、支払受付装置1220でプレイの対価を支払う。支払受付装置1220は、プリペイドカードのリーダ、電子マネーのコード読取装置、電子マネー機能を有するスマートフォンなどの携帯端末との通信機、投入された硬貨を検出・選別する硬貨選別機、などで実現される。支払受付装置1220は、1台のゲーム装置1200に複数種類搭載されていてもよい。
【0048】
プレーヤ2は、プレイ対価を支払った後に、操作スイッチ1222を操作してシングルプレイかマルチプレイかを選択入力する。マルチプレイが選択された場合には、マルチプレイが選択された機体同士で通信接続してマルチプレイを実現する。
【0049】
マルチプレイの場合は、図2に示すように、ゲーム装置1200(1200a,1200b)それぞれに少なくとも1名のプレーヤ2(2a,2b,2c)が前方に立ってプレイする。ゲームシステム1000にとっては、複数のゲーム装置1200(ステーション1100)を使用したゲームプレイ(マルチプレイ)としてゲームを進行制御するだけであり、それぞれのゲーム装置1200(ステーション1100)であたかも一人のプレーヤがプレイしているかのように制御することとなる。そのため、1つのゲーム装置1200(ステーション1100)に対して、実際には複数のプレーヤがプレイする場合も起こり得る。業務用のゲーム装置ならではの楽しみ方である。ちなみに、図2には、第1ゲーム装置1200aを大人プレーヤ2aが使用し、第2ゲーム装置1200bを第1子供プレーヤ2b,第2子供プレーヤ2cの2名で使用している例を示している。第1子供プレーヤ2bと第2子供プレーヤ2cの2名が、第2ゲーム装置1200bのプレーヤ(装置側にとっては、第2ゲーム装置1200bをプレイする1プレーヤ)に該当している。
【0050】
図3は、ゲーム装置1200の前後方向の部分縦断面図である。
1台のゲーム装置1200は、放音部1204(図1参照)と、表示部1206とを有する。表示部1206は、筐体1201の後方上部位置に、表示面を前方(プレーヤ2の側)へ向け、上端部がやや前方に傾くようにして立設されている。
【0051】
表示部1206は、例えばフラットパネルディスプレイ、又はスクリーンと投影機のセットで実現される。表示部1206の表示面の外縁部には、検出部1208が装着されている。
【0052】
検出部1208は、プレーヤ2によって投げられたボール4が表示部1206の表示面に衝突した位置(衝突位置)を検出するデバイスであって、同時(「同時」と言える「ほぼ同時」の場合を含む)に複数の衝突位置を区別して検出できる。検出部1208は、例えば投影型赤外線方式のタッチパネルで実現できる。その他の方式のタッチパネルでもよい。
【0053】
検出部1208は、装置前後方向に併設された第1タッチパネル1208aと、第2タッチパネル1208bとを有し、ボール4が表示部1206の表示面に衝突した速度(衝突速度)を検出する。具体的には、第1タッチパネル1208aで検出された第1タイミングと、第2タッチパネル1208bで検出された第2タイミングとの時間差で衝突速度を求める。
【0054】
表示部1206の前方の左右それぞれは、サイドウォール1210に囲まれている。サイドウォール1210は、例えば、透明アクリル板で作られる。
【0055】
筐体1201の表示部1206より前部分には、前方へ向けて傾斜した傾斜部1212がある。傾斜部1212の前端部の位置には、左右のサイドウォール1210間をわたすように留め部1214が立設されている。
【0056】
プレーヤ2によって投げられたボール4は、基本的に表示部1206の表示面に衝突し、サイドウォール1210に囲まれた範囲で傾斜部1212に落下する。そして、傾斜部1212の高低差を利用してその自重で転動して、留め部1214へ移動して溜まる。留め部1214は、傾斜部1212の低位部に設けられており、左右のサイドウォール1210にわたる壁部として例示しているが、溝部などの凹構造部で実現してもよい。
【0057】
留め部1214には、常に幾つかのボール4が貯留された状態にあり、プレーヤ2は、留め部1214に溜まったボール4を拾っては投げ、拾っては投げしてゲームプレイする。
【0058】
表示部1206に表示されるプレイ画面は、制御部1250により表示制御される。
【0059】
図1に示すように、制御部1250は、CPU(Central Processing Unit)1251やGPU(Graphics Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)などの各種マイクロプロセッサ、VRAMやRAM,ROM等の各種ICメモリ1252、通信装置1253、インターフェース回路1254、を搭載する。制御部1250の一部又は全部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)や、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、SoC(System on a Chip)により実現するとしてもよい。
【0060】
通信装置1253は、ネットワーク9を介して他機(他のゲーム装置1200)と通信接続する。ネットワーク9の種類は、例えば、インターネット、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、近距離無線通信で構成するアドホックネットワーク、などである。ネットワーク9への接続方法は、無線でも有線でもよい。通信装置1253は、接続するネットワーク9の種類や接続方式に応じて適宜選定する。
【0061】
インターフェース回路1254は、放音部1204、表示部1206、検出部1208、支払受付装置1220、操作スイッチ1222、などとの信号の入出力を制御する。
【0062】
ゲーム装置1200は、制御部1250が所定のプログラムおよびデータに基づいて演算処理することにより、ゲーム進行制御と、プレイ画面の画像生成と、プレイ画面の表示制御と、を行う。
【0063】
図4は、マルチプレイにおけるゲーム画面の表示例を示す図である。
図5は、プレイ画面を生成するためのレイヤー構造の例を示す図である。
プレイ画面W2は、表示部1206に表示される映像である。プレイ画面W2は、共通ゲーム画像20と、第1ゲージ25と、第2ゲージ26と、残時間表示27と、を有する。共通ゲーム画像20は、マルチプレイに使用されるゲーム装置1200で共通に表示される内容であって、第1領域21と、第2領域22と、第3領域23と、を含む。
【0064】
第1領域21と第3領域23は、同じ第1ゲームフィールド画像31をスクロール表示する領域である。白矢印がスクロール方向の例を示している。第1領域21と第3領域23は、第2領域22により上下に分断されて別々の領域に見えているが、図5に示すように、演算処理上は、プレイ画面W2を生成するための背面レイヤー41に描かれた第1ゲームフィールド画像31を表示する一続きの領域である。つまり、第1領域21と第3領域23は、第1ゲームフィールド画像31をプレーヤに見せるウィンドウに相当する。
【0065】
第1ゲームフィールド画像31の大きさや形状は適宜設定可能である。例えば、図5の例では、第1ゲームフィールド画像31の大きさは、左右幅が第1領域21および第3領域23と同じであるが、上下方向を長尺な帯状平面画像としている。勿論、第1ゲームフィールド画像31の左右幅を第1領域21および第3領域23の幅より大きく設定してもよい。また、上下方向の帯状の画像を環状の画像としてもよい。
【0066】
図4に示すように、第2領域22は、第2ゲームフィールド画像32をスクロール表示する領域である。第2領域22内の白矢印がスクロール方向の例を示している。第2領域22には、プレイ画面W2を生成するための中間レイヤー42(図5参照)に描かれた画像を表示する領域である。つまり、第2領域22は、相対移動する第2ゲームフィールド画像32の一部をプレーヤに見せるウィンドウに相当する。
【0067】
第2ゲームフィールド画像32の大きさや形状は適宜設定可能である。例えば、図5の例では、第2ゲームフィールド画像32の大きさは、上下幅が第2領域22と同じであるが、左右方向を長尺な帯状平面画像としている。勿論、第2ゲームフィールド画像32の上下幅を第2領域22の幅より大きく設定してもよい。また、左右方向の帯状の画像を環状の画像としてもよい。
【0068】
図4に示すように、第1ゲージ25は、当該ゲージが満杯となることで、当該プレイ画面W2を見ているプレーヤがゲーム内で技を発動させるための要件が満たすことを示し、満杯になるまでの途中経過を示す。第2ゲージ26は、当該ゲージが満杯となることで、当該プレイ画面W2を見ているプレーヤの対戦相手がゲーム内で技を発動させるための要件が満たすことを示し、満杯になるまでの途中経過を示す。残時間表示27は、ゲームプレイ可能な残り時間を示す。図5に示すように、第1ゲージ25と、第2ゲージ26と、残時間表示27は、プレイ画面W2を生成するための透明な前面レイヤー43に描かれた画像を表示する領域である。
【0069】
プレイ画面W2は、背面レイヤー41に描かれた第1ゲームフィールド画像31の画像の上に、中間レイヤー42に描かれた第2ゲームフィールド画像32の画像を重ね、更に前面レイヤー43に描かれた第1ゲージ25・第2ゲージ26・残時間表示27の画像を重ねて合成される。
【0070】
図4に戻って、プレイ中に、プレーヤ2がボール4を投げ、それが表示部1206の表示面に衝突すると、その衝突位置50(ゲーム画面上には表示されない)が検出部1208により検出される。具体的には、検出部1208で検出した検出座標系の位置が、プレイ画面W2の表示座標系の位置に変換されて衝突位置50とされる。衝突位置50は、シングルプレイの場合は当該プレーヤのみの専用位置情報であるが、マルチプレイの場合は共通の位置情報となる。
【0071】
ゲーム装置1200は、衝突位置50に基づいて変更範囲51を決定し、当該変更範囲51の表示態様を変更する。具体的には、衝突したボール4を投げたプレーヤ2が使用するステーション1100別に予め割り当てられたステーション別のカラー(変更後の表示態様;以下、プレーヤカラーという)で変更範囲51を塗り潰すように、背面レイヤー41又は中間レイヤー42を上書き的に変更する。
【0072】
変更範囲51のデザインは適宜設定可能である。図4の例では、ボール4をペンキの液滴に見立てて、液滴が平面に衝突して飛び散った様子としてデザインされているがこれに限らない。例えば、変更範囲51のアウトラインは、幾何学模様、文字、図形、であってもよい。所与の面積となるようにランダムにその都度生成してもよい。また変更範囲51の内側も、図4に示すように単色で塗り潰す例にかぎらず、縞模様やドットパターン、シンボルマークが濃淡で描かれている、などでもよい。
【0073】
なお、変更範囲51が第1領域21と第2領域22に跨がる場合、跨がった領域のそれぞれが変更される。レイヤー構造上、中間レイヤー42は背面レイヤー41より前方にあるので、第2領域22に及ぶ変更範囲51の変更は、中間レイヤー42に適用されるが、中間レイヤー42の背面に位置する背面レイヤー41には及ばない。
【0074】
プレイ画面W2が有する領域の数や、相対位置関係、相対面積関係、領域の形状は、図4の例に限らない。例えば、第2領域22を省略してもよい。この場合、表示画面は1つの領域であり実質的に第3領域23も存在しないことになる。また例えば、第2領域22を画面の上端や下端に寄せた画面レイアウトでもよい。また例えば、第2領域22と同様の第4領域を追加してもよい。
【0075】
シングルプレイの場合は、所定のプレイ可能時間内に、どれだけの面積を、自身のプレーヤカラーで塗り潰しできたかによってプレイ成績が決まる。
マルチプレイの場合は、所定のプレイ可能時間内に、より広い面積を自身のプレーヤカラーで塗り潰した側が勝者としてプレイ成績が決まる。なお、マルチプレイの場合は、複数回のプレイの総合成績で最終的な勝敗を決めるセットマッチ形式としてもよい。
【0076】
図6は、標的オブジェクト6の表示例を示す図である。
ゲーム装置1200は、プレイ画面W2の中に、時折、標的オブジェクト6(6a,6b)を表示させる。標的オブジェクト6は、標的として機能する表示体であって、当該標的にボール4を当てることで所与の発動条件を満たした場合に、衝突位置50に基づく変更範囲51とは別に広範囲に表示態様を変更する処理が発動される。
【0077】
標的オブジェクト6のデザインは、広域に表示態様が変更されそうなことを連想させるように適宜設定する。図6の標的オブジェクト6(6a,6b)は、「蓋の開いたペンキ缶」という設定である。標的オブジェクト6aは、初期表示状態(中にペンキが入っている状態)の例を表し、標的オブジェクト6bは、表示変更が行われた状態(横転して入っていたペンキがこぼれて広がった状態)の例を表している。
【0078】
図7は、標的オブジェクト6に係る表示変更について説明するための図である。図7中のボール4の網掛け表示パターンは、当該ボールのプレーヤ2に割り振られたプレーヤカラーを表している。ボール4aと、ボール4bとは網掛け表示パターン(色)が異なっており、両者が異なるプレーヤにより投げられたものであることを意味している。
【0079】
図7の標的オブジェクト6は「蓋の開いたペンキ缶」としてデザインされているので、標的オブジェクト6は、表示位置で、第1ゲームフィールド画像31が描かれた背面レイヤー41に対して固定される。つまり、スクロール表示によってプレイ画面W2を移動するように表示される。
【0080】
標的オブジェクト6は、所定の発動回数条件を満たすだけ連続して同じプレーヤ2によりボール4が当てられた場合に発動する。
具体的には、図7(1)に示すように、標的オブジェクト6には、予告部69が備わっており、表示されたばかりの初期状態の標的オブジェクト6では、予告部69(69a)は初期の予告カラー(例えば、白)で表示される。図7の例では、標的オブジェクト6は、「蓋の開いたペンキ缶」なので、中に満たされているペンキを表す部位や、缶の表に貼られるシールなどが変更後の表示態様を予告する予告カラーで表示される。
【0081】
新たに衝突が検出されたボール4の衝突位置50が、初期状態の標的オブジェクト6の表示位置から所定範囲であるならば、ゲーム装置1200は、当該ボール4が当該標的オブジェクト6に衝突したと判定する。そして、ゲーム装置1200は、図7(2)に示すように、衝突したボール4のプレーヤ2にとって当該標的オブジェクト6の連続衝突回数が1回の場合、つまり当該衝突が第1衝突である場合、予告部69(69b)の予告カラーを、衝突したボール4のプレーヤ2のプレーヤカラーに変える。
【0082】
そして、図7(3)に示すように、予告部69にプレーヤカラーが設定された標的オブジェクト6に、再度同じプレーヤカラーのプレーヤ2のボール4が衝突したと判定された場合、ゲーム装置1200は、当該標的オブジェクト6は所定の連続衝突回数条件を満たしたとみなす。連続衝突回数条件としては、衝突したボール4のプレーヤ2にとって当該標的オブジェクト6の連続衝突回数が「n」回(nは2以上の整数)になるように設定するとよい。
【0083】
図7(4)に示すように、ゲーム装置1200は、連続衝突回数条件を満たした標的オブジェクト6について発動させる。すなわち、所定の動作をするように表示制御するとともに、所定の影響表示範囲61を設定して、影響表示範囲61の表示態様を、予告部69の予告カラーで上書き的に塗り潰すように変更する。具体的には、図7の標的オブジェクト6は「ペンキの入ったバケツ」としてデザインされているので、ゲーム装置1200は、標的オブジェクト6にボール4が当たって横転し、中に入っていたペンキが広がって一気に広範囲を塗り潰したように表示する。
【0084】
なお、マルチプレイの場合は、予告部69に予告カラーが既に設定されている標的オブジェクト6に、前回とは異なるプレーヤのボール4bが衝突したと判定された場合は、図7(5)に示すように、予告部69(69c)の予告カラーが、当該異なるプレーヤ2のプレーヤカラーに変更される。つまり、マルチプレイするプレーヤは、相手に先んじて連続して標的オブジェクト6にボール4を連続して当てなければ、当該標的オブジェクト6を発動させることはできない。
【0085】
図8は、移動型の標的オブジェクト6に係る表示態様の変更について説明するための図である。標的オブジェクト6は、表示開始以降の背面レイヤー41に描かれている第1ゲームフィールド画像31に対する相対位置が変化しない(或いはほとんど変化しない)固定型(図7参照)と、発動後に背面レイヤー41に描かれている第1ゲームフィールド画像31に対する相対位置が変化する移動型と、がある。
【0086】
移動型の標的オブジェクト6uは、図8(1)から図8(3)に示すように、未発動状態の表示位置は、第1ゲームフィールド画像31に対して固定されているが、図8(4)に示すように、ゲーム装置1200は、発動した移動型の標的オブジェクト6uを第1ゲームフィールド画像31に対して所与の移動経路に沿って移動させ、変更範囲51を拡げるように表示制御する。
【0087】
移動型の標的オブジェクト6uは、移動することをプレーヤが連想し得るデザインとすると好適である。図8の例では、大きな筆62を持ったウサギのキャラクタとしてデザインされている。そして、このウサギの標的オブジェクト6uは、発動後、移動しながら筆で地面を塗ってゆくように表示制御される。その他のデザインとしても勿論構わない。例えば、散水車などでもよい。
【0088】
図9は、ゲージと「技」について説明するための図である。
プレイ画面W2の下端に表示される第1ゲージ25は、当該プレイ画面W2を見てプレイしているプレーヤのボール4の衝突検出回数を表す。プレイ画面W2の上端に表示される第2ゲージ26は、マルチプレイ時に対戦相手毎に用意され、当該対戦相手のボール4の衝突検出回数を表す。また、第1ゲージ25および第2ゲージ26の何れかに、残時間表示27が添付表示される
【0089】
ボール4の衝突検出回数は、所定の発動回数でフルゲージとなるように表示され、ゲージが示す衝突検出回数が発動条件に達すると、自動的に「技」が発動されてゲージは「0」にリセットされる。図9の例では、発動条件は「10」に設定されており、10回衝突が検出される毎に「技」が発動され、ゲージが「0」にリセットされる。
【0090】
なお、「技」の発動には、操作スイッチ1222の操作を必要としてもよい。すなわち、ゲージが満杯になった状態で操作スイッチ1222が操作されると「技」が発動されて、ゲージが「0」にリセットされるとしてもよい。この場合、技の発動タイミングをプレーヤが任意に選択できる。
【0091】
「技」は、一度に広域に亘って表示態様を変更できるボーナスチャンスである。発動条件が満たされると、態様変更効果範囲55が設定され、当該範囲の表示態様が変更される。具体的には、発動条件を満たしたゲージのプレーヤのプレーヤカラーで塗りつぶされる。
【0092】
態様変更効果範囲55の形状は、「技」の種類別に異なっており、それぞれ適宜設定可能である。図9の例では、態様変更効果範囲55の形状は、複数の長三角形が交差したデザインを有している。表示態様変更処理が実行されると、プレイ画面W2の上方の長三角形から下方の長三角形へ順に、左右交互から塗り潰されるように表示される。画面上は、あたかも画面左右から交互に、長三角形が次々に描かれるよう見える。なお、プレーヤは、プレイ開始前に自身が使用する「技」の種類を選択することができる。
【0093】
図10は、ハンディキャップについて説明するための図である。
マルチプレイでは、ハンディキャップが適用される。ハンディキャップは、プレーヤのプレーヤレベル又はプレーヤレベルに相当する情報に基づいてプレイ開始時から適用される初期ハンディキャップと、途中成績に基づいて随時導入される臨時ハンディキャップと、がある。
【0094】
初期ハンディキャップは、プレイ開始前にプレーヤによるプレーヤレベル又はプレーヤレベルに相当する情報の申告操作入力を受け付け、プレーヤレベルが所定のレベル差条件を満たす場合に適用される。例えば、プレーヤレベルとして初心者・中級者・上級者の何れかを選択操作入力させる場合、初心者と上級者とが対戦する場合はレベル差条件を満たすと判定する。プレーヤレベルに相当する情報としてプレイ回数を入力させる場合、プレイ回数差が所定の回数差条件を満たす場合には、レベル差条件を満たすと判定してもよい。プレーヤレベルに相当する情報としてプレーヤの年齢や年代を入力させる場合、その差が所定条件を満たす場合にレベル差条件を満たすと判定してもよい。プレーヤレベルに相当する情報としてプレーヤが子供か大人か、或いは、女性か男性かを入力させる場合、異なっていればレベル差条件を満たすと判定してもよい。
【0095】
臨時ハンディキャップは、ゲーム進行中の所与の判定タイミング毎に途中成績を算出し、途中成績が所定の過剰成績差に達している場合に、劣勢側のプレーヤが一時的に有利になるように適用される。
【0096】
初期ハンディキャップおよび臨時ハンディキャップは、技の発動条件の変更により実現される。例えば、劣勢側のプレーヤの発動条件を発動し易くする。図10(1)の例は、劣勢側のプレーヤの発動条件を、初期値の衝突回数「10」から「7」に変更して発動し易くする例を示している。勿論、優勢側のプレーヤの条件回数を増加させて発動条件を発動し難くするとしてもよい。
【0097】
また、初期ハンディキャップおよび臨時ハンディキャップは、標的オブジェクト6の影響表示範囲61の変更により実現してもよい。図10(2)の例は、劣勢側のプレーヤが標的オブジェクト6を発動させた場合に設定される影響表示範囲61を、ハンディキャップが適用されていない場合よりも広くなるように変更する例を示している。優勢側のプレーヤが標的オブジェクト6を発動させた場合に設定される影響表示範囲61を、劣勢側のプレーヤが発動させた場合よりも狭くなるように変更するとしてもよい。
【0098】
図11は、ICメモリ1252に記憶されるプログラムやデータの例を示す図である。
ICメモリ1252は、ゲームプログラム501と、ステーションID506と、ステーションカラー508と、ゲームフィールド定義データ510と、技定義データ520と、標的オブジェクト定義データ530と、プレイデータ700と、現在日時900と、を記憶する。カウンタ、タイマー、フラグなどのその他のデータも適宜記憶する。
【0099】
CPU1251でゲームプログラム501を読み出して実行することによって、図12に示すように、制御部250は、ゲーム進行制御部202、スクロール制御部210、
ゲージ制御部212、標的オブジェクト制御部214、表示態様変更部216、判定部218、ハンディキャップ制御部220、として機能する。
【0100】
ゲーム進行制御部202は、ゲームの進行を統合的に制御する。ゲーム進行制御部202は、マルチプレイ制御部204を有する。
【0101】
マルチプレイ制御部204は、マルチプレイに参加するプレーヤが使用する他のゲーム装置1200との通信接続と、自機をマスター機又はスレーブ機としてマルチプレイのゲーム進行制御を行う。
【0102】
具体的には、プレイ開始前のシングルプレイ/マルチプレイの選択入力において、プレーヤとなるユーザがマルチプレイを選択した場合、他のゲーム装置1200と通信して、他機へマルチプレイへの参加リクエストを送る。
【0103】
何れの他機からもリクエストに応じる返信が無ければ、自機をマスター機として、所定時間、他機からのリクエストを待ち受けする。待ち受けしている所定時間内に、他機からのリクエストを受信すると、当該他機へリクエストに応じる返信をして当該他機をスレーブ機として登録する。もし、所定時間内に何れの他機からもリクエストが無ければ、シングルプレイとしてゲーム進行制御を開始する。
何れかの他機からリクエストを受け付けた旨の返信があれば、自機をスレーブ機とする。
【0104】
ゲーム装置1200は、自機がスレーブ機の場合、操作入力情報を逐一マスター機へ送信する。自機がマスター機の場合は、ゲーム進行制御・プレイ画面W2のデータの管理・プレイ成績の判定・ハンディキャップの管理などを行い、スレーブ機へプレイ画面W2を表示するためのデータを送信する。
【0105】
スクロール制御部210は、表示部1206を複数の領域に分割し、各領域別に画像をスクロール表示する制御を行う。
【0106】
ゲージ制御部212は、ゲームの進行に応じてゲージ値が変化する所与のゲージを表示する制御を行う。
【0107】
標的オブジェクト制御部214は、所与の標的オブジェクト6を表示する制御と、衝突位置に基づいてボール4が標的オブジェクト6に当たったかの判定と、を実行する(図7参照)。
【0108】
表示態様変更部216は、検出されたボール4の衝突位置に基づく所与の表示位置の表示態様を、衝突位置毎に変更する表示態様変更処理を行う。具体的には、表示態様変更部216は、表示態様変更処理において変更する表示態様の範囲(変更範囲51;図4参照)を衝突速度に応じて制御する。具体的には、変更範囲51のデザインと大きさとを変更するように制御する。
【0109】
マルチプレイの場合、表示態様変更部216は、ステーション1100それぞれの表示部1206に共通ゲーム画像20を表示させ、衝突位置に基づくステーション1100間での共通の表示位置の表示態様を、当該衝突が検出されたステーション1100に予め設定されている表示態様の変更内容(当該ステーションのステーションカラーであるプレーヤカラー)に従って、上書き的に変更することで表示態様変更処理を行う。
【0110】
標的オブジェクト6にボール4が当たったと判定された場合には、表示態様変更部216は、当たったと判定された標的オブジェクト6の種類に基づいて所与の影響表示範囲61(図7参照)を設定し、当該影響表示範囲61の表示態様を変更することで前記表示態様変更処理を行う。
【0111】
ゲージ値が所与の発動条件を満たした場合には、表示態様変更部216は、所与の態様変更効果範囲55(図9参照)を設定し、当該態様変更効果範囲55の表示態様を変更することで表示態様変更処理を行う。
【0112】
判定部218は、表示態様変更処理の処理結果に基づくゲームの進行又は結果の判定を所与の判定タイミングに行う。具体的には、判定部218は、所定周期を判定タイミングとし、ステーション1100毎にゲーム進行中の途中成績を算出する。
【0113】
ハンディキャップ制御部220は、ステーション1100別に所与のハンディキャップ処理を行う。
【0114】
具体的には、ハンディキャップ制御部220は、プレイするユーザのプレイレベル又はプレイレベルに相当する内容の操作入力を受け付ける処理を行い、受け付けた操作入力に基づいて、ステーション1100別(プレーヤ別)に所与のハンディキャップ処理を行う(初期ハンディキャップ)。また、ハンディキャップ制御部220は、ゲーム進行中の途中成績のステーション1100間の優劣に基づいて、ハンディキャップ処理を行う(臨時ハンディキャップ)。ハンディキャップ処理では、技の発動条件を変更することと、途中成績に基づいて影響表示範囲61の大きさを制御する(図10参照)。なお、標的オブジェクト6に対するボール4の衝突判定の大きさを変更することでハンディキャップ処理を行ってもよい。
【0115】
図11に戻って、ゲームフィールド定義データ510は、使用するゲームフィールド毎に用意され、プレイ画面W2のどの領域(第1領域21、第2領域22,第3領域23;図4参照)に表示する画像であるかを示す適用領域と、ゲームフィールド画像データ(第1ゲームフィールド画像31、第2ゲームフィールド画像32;図5参照)と、を格納する。
【0116】
技定義データ520は、技の種類毎に用意され、当該技に係る各種初期設定データを格納する。1つの技定義データ520は、例えば、技種類521と、初期発動条件522と、初期態様変更効果範囲データ523と、を含む。
【0117】
標的オブジェクト定義データ530は、標的オブジェクト6(図7図8参照)の種類毎に用意され、当該標的オブジェクト6に係る各種初期設定データを格納する。
1つの標的オブジェクト定義データ530は、例えば、オブジェクト種類531と、オブジェクトモデル532と、出現条件定義データ533と、標的オブジェクト6が発動した際に実行される動作を定義する動作定義データ534と、初期影響表示範囲データ535と、を含む。出現条件定義データ533は、当該標的オブジェクト6を出現させるために満たすべき条件を示す。出現条件は、例えば、プレイ開始からの経過時間、ゲーム進行の進度、途中成績、などについての条件として記述してもよい。
【0118】
図13は、プレイデータ700のデータ構成例を示す図である。
プレイデータ700は、プレイモード701と、マスター機登録データ703と、スレーブ機登録データ705と、プレイ開始日時707と、プレーヤ管理データ710と、プレイ画面管理データ730と、検出データ740と、変更範囲データ742と、標的オブジェクト管理データ750と、を含む。勿論、これら以外のデータも適宜含めることができる。
【0119】
プレイモード701は、シングルプレイ/マルチプレイの何れかを格納する。
【0120】
マスター機登録データ703は、自機がスレーブ機となる場合にマスター機となる他機のステーションIDや通信接続用のアドレス情報等を格納する。スレーブ機登録データ705は、自機がマスター機となる場合にスレーブ機となる他機のステーションIDや通信接続用のアドレス情報等を格納する。
【0121】
プレーヤ管理データ710は、プレーヤ別に用意される。シングルプレイの場合は、1つだけ作成され、マルチプレイの場合は、自機がマスター機であれば、参加人数分だけ作成される。1つのプレーヤ管理データ710は、プレーヤIDの代用となる使用ステーションID711と、使用プレーヤカラー712と、プレーヤレベル713と、使用技種類714と、ゲージ値715と、適用される技の発動条件を示す適用技発動条件716と、適用態様変更効果範囲データ717と、適用影響表示範囲倍率718と、成績データ719と、を含む。勿論、これら以外のデータも適宜含めることができる。
【0122】
マスター機であるゲーム装置1200は、シングルプレイを実行する場合、使用ステーションID711に自機のそれをコピーし、自機のステーションカラー508を使用プレーヤカラー712とするプレーヤ管理データ710を1つだけ作成する。使用技種類714は、自機のプレーヤが選択した技の種類を格納する。
【0123】
マルチプレイの場合、マスター機であるゲーム装置1200は、使用ステーションID711がマスター機であるゲーム装置1200は、使用プレーヤカラー712を自機のステーションカラー508としたプレーヤ管理データ710と、スレーブ機の他機のそれぞれからステーションID506およびステーションカラー508を取得して、使用ステーションID711、使用プレーヤカラー712にそれぞれ設定したプレーヤ管理データ710と、を作成する。使用技種類714は、スレーブ機のそれぞれのプレーヤが選択した技の種類を、各スレーブ機から取得して格納する。
【0124】
プレーヤレベル713は、各ゲーム装置1200(ステーション1100)を使用するプレーヤであるユーザが、プレイ開始前に自己申告で操作入力した情報である。例えば、初心者・中級者・上級者の選択肢を表示部1206で表示して、何れかを選択させるとしてもよい。これまでにプレイした回数を入力させるなどとしてもよい。
【0125】
適用技発動条件716は、使用技種類714が示す技の初期発動条件522(図11参照)が初期設定として写されるが、ハンディキャップが適用される場合にはこれが変更される。
【0126】
適用態様変更効果範囲データ717は、ゲーム開始時に、使用技種類714が示す技の初期態様変更効果範囲データ523(図11参照)の写しとして、初期態様変更効果範囲を示すように初期設定される。ハンディキャップが適用される場合には、初期態様変更効果範囲に所与の倍率を乗じて拡大或いは縮小したデータに置き換えられる。
【0127】
適用影響表示範囲倍率718は、標的オブジェクト6が発動した際に設定される影響表示範囲61(図7参照)を設定する際に、初期影響表示範囲データ535(図11参照)の示す初期影響表示範囲に対して乗算される倍率を示す。初期値は「1.0」であるが、ハンディキャップが適用される場合に変更される。つまり、実際に表示態様変更処理が適用される影響表示範囲61の大きさは、ハンディキャップが適用された分だけ、初期影響表示範囲データ535が示す初期影響表示範囲よりも拡大又は縮小されることになる。
【0128】
プレイ画面管理データ730は、シングルプレイを実行する場合、又はマルチプレイを実行する場合であって自機がマスター機である場合に作成され、プレイ画面W2(図4図9参照)を構成するための各種レイヤーのデータ(図5参照)、プレイ画面W2の画像データを格納する。例えば、プレイ画面管理データ730は、共通ゲーム画像データ731と、参加人数分のゲージデータ735とを含む。勿論、これら以外のデータも適宜含めることができる。
【0129】
共通ゲーム画像データ731は、背面レイヤー41の最新の画像データである背面レイヤー画像データ732と、中間レイヤー42の最新の画像データである中間レイヤー画像データ733と、を含む(図5参照)。
【0130】
プレイ開始時点では、背面レイヤー画像データ732には、ゲームフィールド定義データ510から第1ゲームフィールド画像31の画像データがコピーされ、中間レイヤー画像データ733には第2ゲームフィールド画像32の画像データがコピーされる。
【0131】
そして、ゲーム進行制御開始以降、背面レイヤー画像データ732および中間レイヤー画像データ733は、変更範囲51(図4参照)、影響表示範囲61(図7参照)、態様変更効果範囲55(図9参照)に対する表示態様変更処理により上書き的に表示態様が変更される。つまり、背面レイヤー画像データ732および中間レイヤー画像データ733は、表示態様変更処理の処理結果に基づく最新のゲームの進行又は結果を記録していることになる。
【0132】
検出データ740は、検出部1208の検出毎にその検出結果の情報を格納する。1つの検出データ740は、検出日時と、衝突位置座標と、衝突速度と、を対応づけて格納している。同時に複数の衝突を検出した場合には、検出日時と衝突位置座標との組み合わせが異なることで、異なる別個の検出データ740であることが分かる。
【0133】
変更範囲データ742は、衝突位置50に基づく変更範囲51(図4参照)のデータである。
【0134】
標的オブジェクト管理データ750は、表示される標的オブジェクト6毎に作成され、当該オブジェクトに係る各種データを格納する。1つの標的オブジェクト定義データ530は、例えば図14に示すように、オブジェクトID751と、オブジェクト種類752と、表示位置座標753と、表示態様変更処理による変更後の表示態様を示す予告カラー754と、動作制御データ755と、当該オブジェクトにボール4が当たった回数を示す衝突回数756と、第1衝突プレーヤID757と、影響表示範囲61を示す影響表示範囲データ758と、を含む。勿論、これら以外のデータも適宜含めることができる。
【0135】
表示位置座標753は、第1ゲームフィールド画像31又は第2ゲームフィールド画像32(図5参照)の座標系で定められる。表示位置座標753の初期値は、表示開始時点におけるプレイ画面W2の画像範囲内にランダムに設定されるとしてもよい。標的オブジェクト6の種類によってはプレイ画面W2の画面座標系に対して固定位置であってもよい。
【0136】
衝突回数756の初期値は「0」である。
第1衝突プレーヤID757は、衝突回数756を「1」にした衝突が検出されたプレーヤIDを格納する。プレーヤIDは、ステーション1100のステーションIDを兼ねているので、第1衝突プレーヤID757は、第1衝突検出ステーションIDと言ってもよい。
【0137】
影響表示範囲データ758は、当該標的オブジェクト6が発動されるのにともない表示態様が変更される影響表示範囲61(図7参照)を示すデータである。影響表示範囲データ758は、当該標的オブジェクト6の初期影響表示範囲データ535に適用影響表示範囲倍率718(図13参照)を乗算して、範囲を拡大/縮小して求められる。
【0138】
図15図16は、マルチプレイにおけるマスター機であるゲーム装置1200の処理の流れを説明するためのフローチャートである。先ず、ゲーム装置1200は次の状態にあるものとする。すなわち、マルチプレイに参加リクエストした他機はスレーブ機として既に登録されており、スレーブ機はマスター機から逐次受信したデータに基づいて表示部1206でプレイ画面W2等の画面を表示して、検出部1208の検出結果情報や操作スイッチ1222への操作入力の情報を、逐一マスター機へ送信する。
【0139】
図15に示すように、マスター機であるゲーム装置1200は、先ずプレーヤのプレイレベル又はプレイレベルに相当する内容の申告操作入力の受け付け処理と(ステップS10)、使用する技の選択操作入力の受け付け処理と(ステップS12)、を実行する。スレーブ機からはこれらの受け付け処理における操作入力結果がマスター機へ送信されるので、マスター機であるゲーム装置1200は、それらを送信元のスレーブ機のプレーヤ管理データ710に格納する。
【0140】
次に、マスター機であるゲーム装置1200は、初期ハンディキャップの設定処理を実行する(ステップS14)。同処理において、ゲーム装置1200は、ステップS10で取得したプレーヤレベル713に基づいて、初期ハンディキャップの要否を判定する。そして、要判定の場合、初期ハンディキャップを実現するために適用技発動条件716、適用態様変更効果範囲データ717、適用影響表示範囲倍率718、の1つ又は複数を初期設定から変更する。
【0141】
次に、マスター機であるゲーム装置1200は、第1領域21・第2領域22・第3領域23毎に、スクロール表示の初期位置合わせを行う(ステップS16)。
【0142】
次に、マスター機であるゲーム装置1200は、プレイ画面W2を生成してゲーム進行制御を開始する(ステップS18)。これに伴い、ゲーム装置1200は、プレイ画面W2の生成に係る制御として、第1領域21・第2領域22・第3領域23の各領域での第1ゲームフィールド画像31や第2ゲームフィールド画像32のスクロール表示制御(図5参照)を開始する。また、衝突位置が検出された回数に基づくゲージ値の更新および第1ゲージ25・第2ゲージ26の表示制御(図9参照)を開始する。
【0143】
ゲーム進行開始後、出現条件を満たした標的オブジェクト6があれば(ステップS30のYES)、新たな標的オブジェクト6の表示を開始する(ステップS32;図6の標的オブジェクト6aを参照)。
【0144】
ボール4が表示部1206の表示面に衝突すると、検出部1208により衝突位置と衝突速度とが検出される。スレーブ機は、自機のステーションID506とともに検出した衝突位置の情報と、衝突速度の情報とをマスター機であるゲーム装置1200へ送信する。
【0145】
マスター機であるゲーム装置1200は、衝突位置と衝突速度とを自機で検出するか、或いはスレーブ機から衝突位置の情報および衝突速度の情報を受信すると(ステップS40のYES)、当該衝突位置50を基準点として変更範囲51を設定する(ステップS42)。
【0146】
具体的には、例えば図17のように、変更範囲51には、その輪郭が衝突の勢いを想起させる複数種類のデザイン(51a、51b、51c)が、衝突速度の速度域別に用意されている。マスター機であるゲーム装置1200は、衝突速度が適合する速度域のデザインを選択し、衝突速度が大きい程面積が大きくなるようにサイズを変更して、変更範囲51とする。なお、デザインの種類は3種類以上でもよい。
【0147】
そして、マスター機であるゲーム装置1200は、変更範囲51に対して表示態様変更処理を実行する(ステップS44)。すなわち、変更範囲51は、当該範囲設定の起源となった衝突をもたらしたボール4を投げたプレーヤの使用プレーヤカラー712(図13参照)、言い換えると衝突を検出したステーション1100に設定されている変更後表示態様で上書き的に変更される。これにより、共通ゲーム画像データ731(図13参照)が更新される。
【0148】
図15に戻って、ゲーム進行制御開始以降、マスター機であるゲーム装置1200は、途中成績の判定タイミングの到来を監視している。
判定タイミングが到来すると(ステップS60のYES)、マスター機であるゲーム装置1200は、マルチプレイに参加しているプレーヤ別に途中成績を算出・判定し(ステップS62)、当該途中成績に応じて臨時ハンディキャップの要否を判定する(ステップS64)。
【0149】
そして、マスター機であるゲーム装置1200は、臨時ハンディキャップが必要とされるほど途中成績に差が開いている場合(ステップS64のYES)、臨時ハンディキャップを適用する(ステップS66)。具体的には、劣勢側プレーヤが以降一時的に有利になるように、適用技発動条件716、適用態様変更効果範囲データ717、適用影響表示範囲倍率718の1つ又は複数を変更する。
【0150】
なお、臨時ハンディキャップの適用は、適用開始から所定時間後に自動的に解除するとしてもよい。
【0151】
図16に移って、ゲーム進行制御開始以降、マスター機であるゲーム装置1200は、新たに検出された衝突位置と、表示中の標的オブジェクト6の表示位置とを比較して、新たに検出された衝突をもたらしたボール4が、表示中の標的オブジェクト6に当たったかを監視している。
【0152】
ボール4が標的オブジェクト6に当たったと判定した場合(ステップS80のYES)、マスター機であるゲーム装置1200は、当該標的オブジェクト6の衝突回数756(図14参照)を「1」加算する(ステップS82)。
【0153】
そして、マスター機であるゲーム装置1200は、加算後の衝突回数756が「1」であれば(ステップS84のYES)、第1衝突プレーヤID757を、当該衝突を検出したステーション1100のプレーヤに設定する(ステップS86)。更に、当該標的オブジェクト6の予告カラー754を、第1衝突プレーヤID757の示すプレーヤの使用プレーヤカラー712(図13参照)に設定して、予告部69の表示を変更する(ステップS88;図7(2)参照)。
【0154】
次いで、マスター機であるゲーム装置1200は、当該標的オブジェクト6の衝突回数756が発動回数条件を満たしている場合(ステップS100のYES)、影響表示範囲61を設定する(ステップS102)。具体的には、当該標的オブジェクト6の初期影響表示範囲データ535(図11参照)が示す初期影響表示範囲を、第1衝突プレーヤID757のプレーヤの適用影響表示範囲倍率718で拡大/縮小して、影響表示範囲61を設定する。
【0155】
次いで、マスター機であるゲーム装置1200は、影響表示範囲61に対して表示態様変更処理を実行する(ステップS104)。すなわち、影響表示範囲61を第1衝突プレーヤID757のプレーヤの使用プレーヤカラー712で上書き的に塗り潰しする。
【0156】
そして、当該標的オブジェクト6をプレイ画面W2から消去し、当該標的オブジェクト6の標的オブジェクト管理データ750を消去する(ステップS106)。
【0157】
次に、マスター機であるゲーム装置1200は、適用技発動条件716を満たすプレーヤがあるならば(ステップS120のYES)、適用態様変更効果範囲データ717に基づいて態様変更効果範囲55(図9参照)を設定して(ステップS122)、当該範囲に対して表示態様変更処理を実行する(ステップS124)。すなわち、態様変更効果範囲55を、適用技発動条件716を満たすプレーヤの使用プレーヤカラー712で上書き的に塗り潰しする。そして、ゲージ値715を「0」にリセットする(ステップS126)。
【0158】
次に、マスター機であるゲーム装置1200は、ゲーム終了条件が満たされているかを判定する。満たされていなければ(ステップS130のNO)、ステップS30に戻ってゲーム進行を継続する。ゲーム終了条件が満たされたならば(ステップS130のYES)、マスター機であるゲーム装置1200は、総合成績の判定と判定結果の表示とを行って(ステップS132)、一連の処理の流れを終了する。
【0159】
総合成績の判定には、先ず、背面レイヤー画像データ732が示す塗り潰しがされた第1ゲームフィールド画像31のなかから、プレーヤ別に使用プレーヤカラー712で塗られた第1面積と、中間レイヤー画像データ733が示す塗り潰しされた第2ゲームフィールド画像32の中からプレーヤ別に使用プレーヤカラー712で塗られた第2面積と、をそれぞれ小計する。そして、プレーヤ別の第1面積と第2面積との合計面積を、各プレーヤの総合成績とする。合計面積が大きいプレーヤを勝者と認定する。
【0160】
以上、本実施形態によれば、従来よりも簡単に楽しめる投擲型体感ゲームを実現できる。すなわち、プレーヤであるユーザが表示部1206に向けて投げたボール4の衝突位置に基づいて、表示部1206の表示態様が変更される。そして、表示が変更された結果に基づいてゲームの進行や結果が決まるゲーム、つまり、従来よりも簡単に楽しめる投擲型体感ゲームを実現できる。
【0161】
また、ゲームシステム1000は、対戦ゲームに参加するプレーヤであるユーザ(又はユーザチーム)のそれぞれがステーションを使う、対戦ゲームに適したゲームシステム1000となっている。ゲームルール上も、表示態様変更処理によって、表示態様の変更が上書き的に実行されるので、あるプレーヤが投げたボール4の衝突を起源に表示態様が変更された箇所に、別のプレーヤがボール4を当てて、既に変更された表示態様を更に変更することができる。つまり、標的が無くとも表示態様が変更された面積を成績とした対戦ゲームをプレイできる。見た目で対戦成績の現状が直ぐに理解できるので、低年齢のプレーヤでも十分にゲームの推移を理解しながら楽しむことができる。
【0162】
また、1箇所のステーション1100が、1台のゲーム装置1200となるように構成されているので、備え付けのボール4を当該ステーション1100・当該ゲーム装置1200の専用品とすることができる。例えば、ボール4を1つずつ拾っては投げることを毎回繰り返すプレーヤと、複数個のボール4を掬って放るようにして投げるプレーヤとが、複数のステーション1100を有する1台のゲーム装置1200で一緒にプレイする場合、備え付けられたボール4の数によっては、プレイスタイルによって有利不利が生じる。しかし、ステーション1100毎に別体のゲーム装置1200として構成されていれば、各プレーヤに同数のボール4が用意されることになり、それをどのように投ずるかはプレーヤ次第となり、公平なマルチプレイが可能になる。検出部1208が同時(「同時」と言える「ほぼ同時」の場合を含む)に複数の衝突位置を区別して検出することができることも、プレイの興趣性の向上に寄与する。
【0163】
また、ゲームシステム1000は、マルチプレイにおいて、プレイするユーザのプレイレベル又はプレイレベルに相当する内容の操作入力の結果に基づいてハンディキャップを導入して、ステーション間の優劣差を解消する或いは優劣差の拡大を抑制することができる。
【0164】
また、標的オブジェクト6の存在が、ゲームの興趣を高めてくれる。すなわち、ボール4を標的オブジェクト6に当てれば、影響表示範囲61の表示態様を一気に変更できるので、マルチプレイであれば標的オブジェクト6は、一気に優劣の立場を逆転できるキーポイントとなる。また、シングルプレイでも一気に成績を高めるキーポイントとなる。
【0165】
また、ゲームシステム1000は、マルチプレイにおいて、途中成績に応じたハンディキャップを適用して、その後の成績の稼ぎやすさを調整できる。例えば、低年齢のプレーヤは、ボール4を拾って投げるまでの動作が大人に比べて遅い場合が多く、当然ながら途中成績も大人がプレイした場合よりも劣る。そのままゲームが進行すると最終成績が大人に対して大いに劣ることになり、その差が大きすぎれば再びゲームプレイしたいと思う気持ちを萎ませてしまうかもしれない。しかし、途中成績に基づいて影響表示範囲の大きさを制御することでそうした事態を抑制できる。
【0166】
また、ゲージ値715を貯めると発動する特別な「技」もまたゲームの興趣を高めてくれる。
【0167】
〔第2実施形態〕
次に、第2実施形態について説明する。
図18は、第2実施形態であるゲームシステム1000Bの構成例を示す斜視外観図である。第2実施形態のゲームシステム1000Bは、複数箇所のステーション1100(1100a、1100b)を1台のゲーム装置1200Bで実現する。
【0168】
第1ステーション1100aおよび第2ステーション1100bは、それぞれ留め部1214に設けられた取り出し口1215(1215a、1215b)と、操作スイッチ1222と、を有する。取り出し口1215は、留め部1214で堰き止められたボール4に手を伸ばし易くするための切り欠き部である。
【0169】
ゲーム装置1200Bの表示部1206Bは、ゲーム装置1200の表示部1206(図1参照)より左右幅が大きい。図18の例では、2箇所のステーション1100(1100a、1100b)を1台のゲーム装置1200Bとして実現しているので、表示部1206Bの左右幅は、ゲーム装置1200の表示部1206の左右幅の2倍以上とするとよい。
【0170】
ボール4には、第1ステーション1100a用の第1色のボール4aと、第2ステーション1100b用の第2色のボール4bとが混在している。第1ステーション1100aを使うプレーヤは、第1色のボール4aを選んで取って投げ、第2ステーション1100bを使うプレーヤは、第2色のボール4bを選んで取って投げる必要がある。
【0171】
2色のボール4を1台のゲーム装置1200Bで使用するために、ゲーム装置1200Bの検出部1208Bは、衝突位置の検出と、衝突速度の検出と、衝突したボール4の色の識別と、を行う。検出部1208Bは、留め部1214の左右それぞれに設けられた右方カラービデオカメラ1217Rと、左方カラービデオカメラ1217Lで構成される。右方カラービデオカメラ1217Rと、左方カラービデオカメラ1217Lは、表示部1206Bの表示面に向けて飛翔するボール4をステレオ撮影する。
【0172】
ゲーム装置1200Bの制御部1250は、右方カラービデオカメラ1217Rと左方カラービデオカメラ1217Lそれぞれで撮影される画像から、幾何的にボール4の飛翔位置を算出する。そして、表示部1206Bの表示面とされる所定距離に達すると、衝突発生と判定し、その時の位置を衝突位置とみなす。衝突速度の検出は、前後する複数の撮影フレーム間の時間差と、飛翔位置の差とから算出される。衝突したボール4の色は、衝突したと判定されたボール4が写っている部分の色情報として読み取る。
【0173】
ゲーム装置1200Bが記憶するプログラムやデータは、基本的には第1実施形態と同様である(図11参照)。また、ゲーム装置1200Bが実行する処理の流れは、基本的には第1実施形態と同様である(図15図16参照)。
【0174】
但し、ゲーム装置1200Bが記憶するプログラムは、検出部1208Bとしてステレオカメラを用いて2色のボール4を識別しながら衝突位置および衝突速度を検出するための機能を実現する。また、検出データ740(図13参照)には、衝突検出されたボール4の色情報を格納する。また、ゲーム装置1200Bは、複数のステーション1100を有しているので、ステーション1100の数以下であれば、マルチプレイの実行にともなう他機との通信機能やマスター機/スレーブ機の役割分けをする機能は省略できる。
【0175】
表示部1206Bは、第1ステーション1100aと第2ステーション1100bとで共用で同じプレイ画面W2(図4参照)を表示する。或いは、左右中央で2分割して、第1ステーション1100a向けのプレイ画面と、第2ステーション1100b向けのプレイ画面とを、マルチ画面表示するとしてもよい。
【0176】
当該構成でのマルチプレイでは、第1色のボール4aの衝突は、第1ステーション1100aを使用するプレーヤのものとされ、第2色のボール4bの衝突は、第2ステーション1100bを使用するプレーヤのものとして、ゲーム進行制御される。プレーヤは、時に自分が使用するステーション1100の色と違った色のボール4を選んで投げてしまうこともあるが、それはそれでハプニング要素としてゲームの興趣を高めてくれる。
【0177】
なお、第1ステーション1100a向けのプレイ画面と、第2ステーション1100b向けのプレイ画面とを、それぞれマルチ画面表示する場合、衝突位置がどちら向けのプレイ画面の表示範囲に入っているかに応じて、表示態様変更処理の実行/非実行を分けてもよい。具体的には、衝突位置のプレイ画面が対応するステーション1100の色と、衝突検出されたボール4の色とが同じ場合に限って、表示態様変更処理を実行するように限定してもよい。つまり、他プレーヤ向けのプレイ画面が表示されている範囲にボール4を当てても、表示態様変更処理は実行されず当該プレーヤの成績にもならない、としてもよい。
【0178】
第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0179】
〔変形例〕
以上、本発明を適用した実施形態の例について説明したが、本発明を適用可能な形態は上記形態に限定されるものではなく適宜構成要素の追加・省略・変更を施すことができる。
【0180】
(変形例その1)
例えば、遊戯媒体としてボール4(球体)を例示したが、傾斜部1212を自重で転動できるならば球体に限らない。例えば、準球体と見なせる多面体などの球状体であってもでもよい。特定のキャラクタや、リンゴや苺などを模したデザインであってもよい。
【0181】
そして、1つのゲーム装置1200に備え付ける遊戯媒体の種類は複数種類であってもよい。形状が異なる複数種類の遊戯媒体を使用する場合は、検出部1208・検出部1208Bで検出する輪郭の違いから遊戯媒体の種類を判別し、遊戯媒体の種類毎に変更範囲51の形状を変えるとしてもよい。
【0182】
(変形例その2)
また、上記実施形態では、スクロール表示の方向を一方向とする例を示したが、スクロール表示の方向はこれに限らない。例えば図19に示すように、ゲームフィールド画像33に対して、プレイ画面として表示する表示範囲34を様々な方向に相対移動するようにスクロール表示させてもよい。長破線で屈曲部と直線部とで構成されるスクロール経路の例を示しているが、スクロール経路の一部又は全部が曲線であってもよい。また、一度通った場所をバックして戻るようにスクロール表示させてもよい。
【0183】
(変形例その3)
また、上記実施形態では、平面状のゲームフィールド画像(例えば、第1ゲームフィールド画像31,第2ゲームフィールド画像32;図5参照)を例示したが、図20で例示するような立方体ゲームフィールド35や、図21で示すような球形ゲームフィールド36のように、立体的な形状であってもよい。勿論、立体的な形状はこれらに限らない。プレイ画面として表示する表示範囲34は、立体的なゲームフィールドの一部を表示するウィンドウに相当する。
【0184】
ゲームフィールドを立体的な形状とした場合、衝突位置50が検出された立体面に応じて変更範囲51の形状を変更する処理を追加(例えば、ステップS42に追加)すると好適である。図20の例では、衝突位置50e、衝突位置50fは、プレーヤから見て斜面にあたるので、変更範囲51eや変更範囲51fは、斜面に液滴が衝突して傾斜方向へ広がるように飛び散った形状に設定されている。同様にして図21の例では変更範囲51gは、対応する衝突位置が球の側曲面に当たるので、片広がりの形状に設定されている。変更範囲51hは、対応する衝突位置が球体の中心を射ぬく位置なので全周略均等に広がるような形状に設定されている。
【0185】
(変形例その4)
また、上記実施形態では、変更範囲51に対する表示態様変更処理を、背面レイヤー41に描かれた第1ゲームフィールド画像31や、中間レイヤー42に描かれた第2ゲームフィールド画像32に対して上書き的に実行して、最新のゲーム進行状況や結果を背面レイヤー41及び中間レイヤー42に残してきたが、これに限らない。
【0186】
例えば、図22に示すように、第1ゲームフィールド画像31が描かれた背面レイヤー41を第1背景画像レイヤー44とみなしてその直前に第1表層画像レイヤー45を設定する。そして、背面レイヤー41の変更範囲51に対する表示態様変更処理を、第1表層画像レイヤー45へ上書き的に実行するとしてもよい。つまり、第1背景画像レイヤー44(背面レイヤー41)には、第1ゲームフィールド画像31はプレイ開始当初のオリジナル画像がそのまま残っており、最新のゲーム進行状況や結果は第1表層画像レイヤー45に残されている。
【0187】
同様にして、第2ゲームフィールド画像32が描かれた中間レイヤー42を第2背景画像レイヤー46とみなしてその直前面に第2表層画像レイヤー47を設定し、中間レイヤー42の変更範囲51に対する表示態様変更処理を、第2表層画像レイヤー47へ上書き的に実行するとしてもよい。
【0188】
最新のゲーム進行状況や結果を独立したレイヤーに残す構成とすることで、それらのレイヤーへの変更処理によって、ゲーム結果を一部覆すようなルール設定とその制御が容易に実行可能になる。
【0189】
例えば、マルチプレイにおいて、発動時に表示態様変更処理がなされた部位の表示態様をプレーヤ間で入れ替える効果を有する特殊効果型の標的オブジェクト6を設定するとしてもよい。プレーヤ2名による対戦プレイの場合、当該特殊効果型の標的オブジェクト6を発動させれば、途中成績の優劣関係を逆転させることができる。なお、入れ替え効果は、当該標的オブジェクトの影響表示範囲61に限定するとしてもよい。また例えば、影響表示範囲61の表示態様をオリジナルのゲームフィールド画像に戻す特殊効果型の標的オブジェクト6を設定してもよい。当該標的オブジェクト6は、消しゴムのようにせっかくボール4を当てて塗り潰した箇所を元に戻してしまう。
【0190】
こうした特殊効果型の標的オブジェクト6の設定は、シングルプレイは勿論のことことにマルチプレイの対戦においてゲームの興趣を高めるのに大いに役立つ。
【0191】
(変形例その5)
表示態様変更処理を上記実施形態とは異なることとしてもよい。
図23は、レイヤー構造の変形例と表示態様変更処理の変形例を説明するための図である。図23中の「1P」に対応する個別プレイ画面W6aは、第1プレーヤが使用するマスター機であるゲーム装置1200(ステーション1100)で表示されるプレイ画像である。図23中の「2P」に対応する個別プレイ画面W6bは、第2プレーヤが使用するスレーブ機であるゲーム装置1200(ステーション1100)で表示されるプレイ画面である。
【0192】
当該構成のゲームシステム1000では、マルチプレイに参加するステーション1100毎に、個別プレイ画面W6(W6a、W6b)が表示される。
個別プレイ画面W6(W6a、W6b)は、前面レイヤー43の背面位置に表層画像38が描かれる第1表層画像レイヤー45を設定し、更にその背面位置に第1ゲームフィールド画像31が背景画像37として描かれる第1背景画像レイヤー44を設定して合成される。第1表層画像レイヤー45の初期状態は、第1背景画像レイヤー44を覆い隠すように、表層画像38の初期表示態様(図示の例では網掛け単色)で塗り潰しされている。背景画像37は、共通画像であってもよいし、ステーション1100毎に異なる内容の画像でもよい。
【0193】
マスター機であるゲーム装置1200(図23中の「1P」に対応)は、自機で検出された衝突位置50nに対応する変更範囲51nについては、表示態様変更処理として、自機の第1表層画像レイヤー45aのうち変更範囲51の範囲内の初期表示態様を透明に変更する。つまり、表示態様変更処理により、第1表層画像レイヤー45aの覆いを一部解除する。
【0194】
マスター機であるゲーム装置1200は、他機で検出された衝突位置50mに対応する変更範囲51mについては、表示態様変更処理として、自機の第1表層画像レイヤー45aのうち変更範囲51nの範囲内を初期表示態様で上書き的に変更する。衝突位置50m及び変更範囲51mの大きさによっては、覆いが解除された部分が再び覆われてしまうことになる。
【0195】
マスター機であるゲーム装置1200は、スレーブ機で表示する個別プレイ画面W6bについては、当該スレーブ機で検出された衝突位置50mに対応する変更範囲51mについては、表示態様変更処理として、当該スレーブ機の第1表層画像レイヤー45bのうち変更範囲51nの範囲内を透明に変更する。つまり、表示態様変更処理により、第1表層画像レイヤー45bの覆いを一部解除する。
【0196】
当該スレーブ機にとって他機で検出された衝突位置50nに対応する変更範囲51nについては、表示態様変更処理として、当該スレーブ機の第1表層画像レイヤー45bのうち変更範囲51nの範囲内を初期表示態様で上書き的に変更する。衝突位置50n及び変更範囲51nの大きさによっては、覆いが解除された部分が、再び覆われてしまうことになる。
【0197】
つまり、当該構成におけるマルチプレイの対戦ゲームでは、背景画像および表層画像が、マルチプレイに参加するステーション1100それぞれに表示される。そして、制御部1250は、ステーション1100それぞれの表示部1206に表示される表層画像(第1表層画像レイヤー45)のうち、衝突位置に基づくステーション1100間での共通の表示位置に該当する画像(変更範囲51)の表示態様を、当該衝突が検出されたステーション1100に基づいて上書き的に変更することで表示態様変更処理を行う、といえる。
【0198】
当該構成によれば、各プレーヤは、なるべく背景画像37がより広く見えるようにするために、ボール4を表示部1206に投げつけて、第1表層画像レイヤー45による覆いを解除させるようにプレイする。覆いが解除された面積が当該プレーヤにとっての成績となる。しかし、あるプレーヤにとっての第1表層画像レイヤー45の覆いの解除は、他プレーヤにとっては第1表層画像レイヤー45による覆いとされるので、各プレーヤは、対戦相手よりもできるだけ早く近寄った場所にボール4を当てるように競うことになる。
【0199】
なお、当該構成における標的オブジェクト6は、影響表示範囲61を透明にする/覆いをする効果を発揮する。
【0200】
また、他機で検出された衝突位置50に対応する変更範囲51の表示態様変更処理は、その全てについて実行せず、2回の衝突につき1回の衝突分と判断して実行するといった具合に間引き実行するとしてもよい。この場合、ゲームが進行するにつれてどのプレーヤにとっても徐々に背景画像37の覆いが解かれて徐々に当該画像の全容が見えてくるので、ゲームを進めるモチベーションを高めるのに好適である。
【0201】
(変形例その6)
また、上記実施形態では、遊戯媒体の衝突位置を検出する手段として、投影型赤外線方式タッチパネル(検出部1208;図1参照)や、ステレオカメラ(検出部1208B;図18参照)を例示したが、これらに限らない。例えば、衝突位置と衝突速度を検出する手段として、1つLiDAR(Light Detection And Ranging)を用いたり、又は異方向からセンシングするように配置された複数のLiDARを用いて実現するとしてもよい。具体的には、左方カラービデオカメラ1217Lおよび右方カラービデオカメラ1217R(図18参照)のように、左右それぞれにLiDARを配置するとしてもよい。ボール4の色の識別が必要構成では、LiDARとともにカラービデオカメラを追加すればよい。
【0202】
(変形例その7)
また、プレイ画面W2(図2参照)内に、所与のアイテムを表示させ、当該アイテムにボール4を当てると、当該アイテムを獲得したとみなし、当該アイテムの作用効果を発動させるとしてもよい。
【0203】
アイテムの例としては、例えば、初期ハンディキャップ及び/又は臨時ハンディキャップを発動させるアイテムが挙げられる。具体的には、初期ハンディキャップ及び/又は臨時ハンディキャップが適用されるプレーヤのプレイ画面W2内に、所与のアイテムを表示させ、当該アイテムにボール4が当たったと判定した場合、当該アイテムを獲得したとみなす。そして、当該アイテムを獲得すると、初期ハンディキャップ及び/又は臨時ハンディキャップの適用が開始されるとしてもよい。
また、別のアイテムの例としては、第1ゲージ25のカウント数を一時的に加算するアイテムが挙げられる。
【0204】
(変形例その8)
ゲームシステム1000を、スタンドアローンのゲーム装置1200として例示したが、これに限らない。例えば、別途ゲームサーバを用意して、ゲーム装置1200をクライアントとして通信接続したクライアント・サーバシステムでゲームシステム1000を構成してもよい。この場合、マスター機で実現される機能部(図12参照)の一部又は全部をゲームサーバにて実現する。
【0205】
(変形例その9)
また、初期ハンディキャップの設定処理(ステップS14;図15参照)における、初期ハンディキャップの要否判定をステップS10で取得したプレーヤレベル713に基づいて実現したが、これに限らない。例えば、図18に示すように、プレーヤを正面から撮影するカメラ1219を設ける。そして、当該カメラ1219で撮影された撮影画像からプレーヤが子供であるか大人であるかを画像認識処理し、子供と大人の対戦プレイである場合に、子供プレーヤに初期ハンディキャップを自動設定する、としてもよい。
【符号の説明】
【0206】
2…プレーヤ(ユーザ)
4…ボール
6…標的オブジェクト
20…共通ゲーム画像
21…第1領域
22…第2領域
23…第3領域
25…第1ゲージ
26…第2ゲージ
31…第1ゲームフィールド画像
32…第2ゲームフィールド画像
37…背景画像
38…表層画像
50…衝突位置
51…変更範囲
55…態様変更効果範囲
61…影響表示範囲
202…ゲーム進行制御部
204…マルチプレイ制御部
210…スクロール制御部
212…ゲージ制御部
214…標的オブジェクト制御部
216…表示態様変更部
218…判定部
220…ハンディキャップ制御部
501…ゲームプログラム
508…プレーヤカラー
510…ゲームフィールド定義データ
520…技定義データ
530…標的オブジェクト定義データ
700…プレイデータ
710…プレーヤ管理データ
711…使用ステーションID
712…使用プレーヤカラー
713…プレーヤレベル
714…使用技種類
715…ゲージ値
716…適用技発動条件
717…適用態様変更効果範囲データ
718…適用影響表示範囲倍率
730…プレイ画面管理データ
731…共通ゲーム画像データ
735…ゲージデータ
740…検出データ
742…変更範囲データ
750…標的オブジェクト管理データ
758…影響表示範囲データ
1000…ゲームシステム
1100…ステーション
1200…ゲーム装置
1206…表示部
1208…検出部
1214…留め部
1250…制御部
W2…プレイ画面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23