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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106174
(43)【公開日】2024-08-07
(54)【発明の名称】合成樹脂製容器及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 1/02 20060101AFI20240731BHJP
【FI】
B65D1/02 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023010335
(22)【出願日】2023-01-26
(71)【出願人】
【識別番号】000003768
【氏名又は名称】東洋製罐グループホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平松 健太
(72)【発明者】
【氏名】市川 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】飯野 裕喜
【テーマコード(参考)】
3E033
【Fターム(参考)】
3E033AA01
3E033BA14
3E033BA15
3E033BA16
3E033BA17
3E033BA18
3E033BB08
3E033CA01
3E033CA18
3E033DA03
3E033DB03
3E033DC10
3E033DD01
3E033FA03
(57)【要約】
【課題】発泡樹脂からなる層を有するとともに、耐衝撃性が改善された合成樹脂製容器を提供する。
【解決手段】合成樹脂製容器は、内容物が収容される収容部を含む所定の容器形状に成形され、収容部が、気泡を内包する発泡樹脂からなる層を少なくとも有する単層又は複数層の発泡樹脂含有領域を備えるとともに、発泡樹脂含有領域に対して気泡率を低下せしめた、非発泡領域又は低発泡領域を部分的に備える。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収容される収容部を含む所定の容器形状に成形された合成樹脂製容器であって、
前記収容部が、
気泡を内包する発泡樹脂からなる層を少なくとも有する単層又は複数層の発泡樹脂含有領域を備えるとともに、
前記発泡樹脂含有領域に対して気泡率を低下せしめた、非発泡領域又は低発泡領域を部分的に備えることを特徴とする合成樹脂製容器。
【請求項2】
前記非発泡領域又は前記低発泡領域は、前記容器形状の周方向に沿って設けられている、請求項1に記載の合成樹脂製容器。
【請求項3】
前記非発泡領域又は前記低発泡領域は、耐衝撃性が弱い範囲に設けられている、請求項1に記載の合成樹脂製容器。
【請求項4】
前記低発泡領域は、気泡を内包しない非発泡樹脂からなる層の比率を高めることにより、前記発泡樹脂含有領域に対して気泡率を低下せしめた、請求項1~3のいずれか一項に記載の合成樹脂製容器。
【請求項5】
押出機からダイヘッドを介して押し出されたパリソンを、一対の分割金型間に挟み込み、前記パリソン内にブローエアーを吹き込んで所定の容器形状にブロー成形する合成樹脂製容器の製造方法であって、
発泡剤を含侵させた発泡性樹脂材料を含む第一樹脂を、前記ダイヘッド内に設けられた第一ダイヘッド吐出口から吐出させて、発泡樹脂からなる層を有する単層又は複数層の発泡樹脂含有領域を備えるパリソンを形成するとともに、
所定の領域において、発泡剤を含まない非発泡性樹脂材料を、前記ダイヘッド内に設けられた第二ダイヘッド吐出口から吐出させて、前記パリソンに非発泡領域又は低発泡領域を部分的に形成することを特徴とする合成樹脂製容器の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成樹脂製容器及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、合成樹脂製の容器は、各種の用途に広く利用されるようになってきており、用途に応じた工夫も種々なされている。例えば、着色剤を配合せずに遮光性を付与するために、容器壁に気泡(発泡セル)を多数存在させた、いわゆる発泡容器が知られており、このような発泡容器に関しても種々の提案がなされている。特許文献1では、発泡容器の気泡による酸素等に対するバリア性の低下など、内容物保護性能の低下を生じさせないように、特定の気泡分布とした発泡容器を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-234627号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このような発泡容器についても、当然ながら落下などの衝撃に対する耐性が求められる。しかしながら、発泡容器は、非発泡容器と比較して、衝撃強度の低下が避けられず、落下などの衝撃により、特に応力集中部において割れが発生しやすいという問題があることが、本発明者らによって見出された。
【0005】
そこで、本発明者らは、耐衝撃性が改善された発泡容器を提供すべく鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る合成樹脂製容器は、内容物が収容される収容部を含む所定の容器形状に成形された合成樹脂製容器であって、前記収容部が、気泡を内包する発泡樹脂からなる層を少なくとも有する単層又は複数層の発泡樹脂含有領域を備えるとともに、前記発泡樹脂含有領域に対して気泡率を低下せしめた、非発泡領域又は低発泡領域を部分的に備える構成としてある。
【0007】
また、本発明に係る合成樹脂製容器の製造方法は、押出機からダイヘッドを介して押し出されたパリソンを、一対の分割金型間に挟み込み、前記パリソン内にブローエアーを吹き込んで所定の容器形状にブロー成形する合成樹脂製容器の製造方法であって、発泡剤を含侵させた発泡性樹脂材料を含む第一樹脂を、前記ダイヘッド内に設けられた第一ダイヘッド吐出口から吐出させて、発泡樹脂からなる層を有する単層又は複数層の発泡樹脂含有領域を備えるパリソンを形成するとともに、所定の領域において、発泡剤を含まない非発泡性樹脂材料を、前記ダイヘッド内に設けられた第二ダイヘッド吐出口から吐出させて、前記パリソンに非発泡領域又は低発泡領域を部分的に形成する方法としてある。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、発泡樹脂からなる層を有するとともに、耐衝撃性が改善された合成樹脂製容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態の一例に係る合成樹脂製の容器の概略を示す正面図である。
図2】本実施形態の一例に係る合成樹脂製の容器の要部拡大断面図である。
図3】本実施形態の一例に係る合成樹脂製において、ブロー成形型にセットされたパリソンと、このパリソンがブロー成形型内で所定の容器形状に成形される容器との関係を概略的に示す説明図である。
図4】本実施形態の一例に係る合成樹脂製の容器をブロー成形するためのパリソンの要部拡大断面図である。
図5】本実施形態の一例に係る合成樹脂製の容器をブロー成形するためのパリソン成形装置の概略を示す説明図である。
図6】本実施形態の他の例に係る合成樹脂製の容器の要部拡大断面図である。
図7】本実施形態の他の例に係る合成樹脂製の容器をブロー成形するためのパリソンの要部拡大断面図である。
図8】本実施形態の他の例に係る合成樹脂製の容器の要部拡大断面図である。
図9】本実施形態の他の例に係る合成樹脂製の容器をブロー成形するためのパリソンの要部拡大断面図である。
図10】本実施形態の他の例に係る合成樹脂製の容器の要部拡大断面図である。
図11】本実施形態の他の例に係る合成樹脂製の容器をブロー成形するためのパリソンの要部拡大断面図である。
図12】本実施形態の他の例に係る合成樹脂製の容器の要部拡大断面図である。
図13】本実施形態の他の例に係る合成樹脂製の容器をブロー成形するためのパリソンの要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0011】
[第一実施形態]
まず、本発明の第一実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る合成樹脂製の容器1の概略を示す正面図である。図1は、容器1の右側を切り欠いて、その断面を示している。図1及び以降の図面の断面にあらわれる部材の肉厚は、誇張して模式的に描写されている。
【0012】
図1に示す容器1は、内容物の注入出口となる口部2と、内容物が収容される収容部3とを備えている。収容部3は、その高さ方向上端側の部位が口部2に向かって縮径して口部2の下端に連接する胴部4と、胴部4の高さ方向下端側を閉塞する底部5とを含むように成形することができる。図示する例では、容器1が、概ね円筒状の容器形状を備えるように成形されているが、容器1の形状は、これに限定されない。
【0013】
ここで、高さ方向とは、口部2側を上にして容器1を水平面に正立させたときに、水平面に直交する方向をいうものとし、容器1の上下左右及び縦横の方向は、口部2側を上にして正立させた図1に示す状態で規定するものとする。
【0014】
図示する例において、円筒状に形成された口部2の周面には、図示しない蓋体を螺着によって取り付けるためのネジ山2aが設けられているが、蓋体の取り付け手段は、これに限定されない。ネジ山2aに代えて係合突部を設けることにより、打栓によって蓋体が取り付けられるようにしてもよい。
【0015】
本実施形態において、容器1は発泡容器として成形されており、容器1の収容部3は、気泡を内包する発泡樹脂からなる層1aを有し、かかる層1aを中間層として、その内周面側及び外周面側に、気泡を内包しない非発泡樹脂からなる層1bが内層及び外層として積層された、発泡樹脂含有領域30を備えている。
【0016】
また、容器1の収容部3は、発泡樹脂からなる層1aを含まずに非発泡樹脂からなる層1bからなる、すなわち発泡樹脂含有領域30に対して気泡率を低下せしめた非発泡領域31を部分的に備えている。本実施形態では、容器1の非発泡領域31は、非発泡樹脂からなる層1b単層により形成され、これにより、気泡率が発泡樹脂含有領域30よりも低い構成となっている。
なお、図2は、本実施形態に係る容器1の要部拡大断面図であり、(a)は、容器1において、発泡樹脂含有領域30を備える任意の部位の断面を模式的に示しており、(b)は、容器1において、非発泡領域31近傍の断面を模式的に示している。発泡樹脂含有領域30及び非発泡領域31は、容器1のいずれの部位にも、例えば湾曲形状にも備えることができるが、図2では、容器壁の樹脂構造を説明するために、その断面形状を直線状にあらわしている。
【0017】
ここで、本実施形態における気泡率とは、気泡率を求める所定の領域(試験片)の比重と、試験片と同一樹脂材料からなる非発泡状態の樹脂片の比重から、下記式(1)を用いて算出した数値である。
気泡率=(1-(試験片の比重/非発泡状態の樹脂片の比重))×100・・・(1)
【0018】
容器1の発泡樹脂含有領域30の気泡率rは、容器1の目的、所望の機能に従って適宜設定することができるが、例えば10~20%とすることができる。
【0019】
本実施形態において、非発泡領域31は、収容部3の少なくとも一部の領域に設けられ、特に、耐衝撃性が弱い部分に設けられることで、この種の発泡容器において、その耐衝撃性を改善することができる。
【0020】
発泡樹脂からなる層1aを備える発泡容器は、容器壁の発泡化により強度が低下する虞がある。
例えば、HDPE樹脂を用いて、中間層を発泡樹脂からなる層1aとし、内層及び外層を非発泡樹脂からなる層1bとした三層構造で、気泡率が15.8%の発泡容器をブロー成形によって製造し、製造された容器から切り取られた試験片について引張衝撃試験を行うと、同様の方法で作成された非発泡樹脂からなる層1b単層の容器から切り取られた試験片の衝撃強度を1とした場合、発泡樹脂からなる層1aを含む三層構造の試験片の衝撃強度は0.15程度まで低下することが、本発明者によって確認されている。なお、引張衝撃試験は、JIS K7160を参考とした引張衝撃試験機を使用した独自評価(4形試験片を参考に破断部を9mmに変更した試験片形状を使用)により行った。
【0021】
また、発泡樹脂からなる層1aを備える発泡容器は、例えば、ダイレクトブロー成形によって、発泡樹脂からなる層1aを有するパリソンをブロー成形することで製造することができるが、このような発泡容器は、応力集中部や高延伸部で割れが発生しやすい傾向にある。これは、応力集中部では、発泡化による衝撃強度の低下により落下時の衝撃に耐えられなくなるため割れが発生すると考えられる。高延伸部では、延伸による気泡構造の変化で、より顕著な衝撃強度低下がおこり割れが発生すると考えられる。
なお、図3は、ブロー成形型にセットされたパリソン10と、このパリソン10がブロー成形型内で所定の容器形状に成形される容器1との関係を概略的に示す説明図である。
【0022】
そこで、本実施形態では、高延伸部であり、落下時に割れが発生しやすいヒール部(胴部4と底部5の境界近傍から胴部4側へ延びた領域、図1の破線で囲った部分)に、その周方向の全周にわたって非発泡領域31を設けている。ただし、非発泡領域31は耐衝撃性が弱い範囲に設けられればよく、容器形状によって適宜選択することができ、これに限定されるものではない。容器1の形状によってはリブが形成されている部分に応力集中が起こり、割れが発生しやすいことも考えられる。
【0023】
このようにして容器1の収容部3に発泡樹脂含有領域30に対して気泡率を低下せしめた非発泡領域31を部分的に備えることで、当該領域31における耐衝撃性を相対的に高めることができる。
【0024】
このような合成樹脂製の容器1は、押出機からダイヘッドを介して筒状に押し出されたパリソン10を、一対の分割金型間に挟み込み、パリソン10内にブローエアーを吹き込んで所望の容器形状にブロー成形する、いわゆる発泡ダイレクトブロー成形によって製造することができる。本実施形態においては、パリソン10は、気泡を内包する発泡樹脂からなる層1aを含む発泡樹脂含有領域11を備えるとともに、発泡樹脂含有領域11に対して気泡率を低下せしめた、非発泡領域12を部分的に備えるように形成されている。
なお、図4は、本実施形態に係る容器1をブロー成形するのに好適なパリソン10の要部拡大断面図であり、(a)は、パリソン10において、発泡樹脂含有領域11を備える任意の部位の断面を模式的に示しており、(b)は、パリソン10において、非発泡領域12近傍の断面を模式的に示している。図4及び以降の図面の断面にあらわれる部材の肉厚は、誇張して模式的に描写されている。
図2及び図4に示されるように、本実施形態におけるパリソン10の発泡樹脂含有領域11(図4(a))は、ブロー成形されて容器1の発泡樹脂含有領域30(図2(a))となり、パリソン10の非発泡領域12(図4(b))は、ブロー成形されて容器1の非発泡領域31(図2(b))となる。
【0025】
容器1(パリソン10)を形成する樹脂材料としては、任意の熱可塑性樹脂を用いることができ、具体的には、ポリプロピレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン-ポリプロピレン共重合体等のポリオレフィン系樹脂、又はこれらの混合物、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンフラノエート又はこれらの共重合体などのポリエステル系樹脂などが好ましく用いられる。
【0026】
容器1(パリソン10)の発泡樹脂からなる層1aと非発泡樹脂からなる層1bとは、容器成形の観点から、同じ樹脂によって形成されるのが好ましい。
【0027】
発泡樹脂からなる層1aは、上記した樹脂を熔融混錬する際に、炭酸ガス、窒素ガスなどの不活性ガスを物理発泡剤として、又は熱分解により炭酸ガスを発生する炭酸塩、熱分解により窒素ガスを発生するアゾ化合物などの熱分解性化合物を化学発泡剤として、熔融された樹脂に溶解させるなどして、所定量の発泡剤を樹脂中に含有させた発泡性樹脂材料によって形成することができる。
【0028】
容器1をダイレクトブロー成形によって成形するに際し、発泡樹脂からなる層1aを含む発泡樹脂含有領域11を備えるとともに、非発泡領域12を部分的に備えるパリソン10は、次のようにして形成することができる。
図5は、第一実施形態にかかる容器1をブロー成形するためのパリソン成形装置100の概略を示す説明図である。
【0029】
図示するパリソン成形装置100は、ダイヘッドに、環状に第一樹脂が押し出される第一ダイヘッド吐出口111と、環状に第二樹脂が押し出される第二ダイヘッド吐出口112とを備えている。第一ダイヘッド吐出口111からは、第一樹脂押出機121aから押し出された樹脂が内層として、第一樹脂押出機121bから押し出された樹脂が中間層として、第一樹脂押出機121cから押し出された樹脂が外層として、これらが第一樹脂として押し出される。これにより、第一樹脂押出機121aと第一樹脂押出機121cからは発泡剤を含まない非発泡性樹脂材料を押し出されるように、第一樹脂押出機121bからは発泡剤を含侵させた発泡性樹脂材料を押し出されるようにして、発泡樹脂からなる層1aを中間層とし、その内周面側及び外周面側に、気泡を内包しない非発泡樹脂からなる層1bが内層及び外層として積層された、三層構造の複合樹脂材料が吐出される。また、第二ダイヘッド吐出口112からは、第二樹脂押出機122によって発泡剤を含まない非発泡性樹脂材料からなる第二樹脂が吐出される。図示する例では、第二ダイヘッド吐出口112は、吐出される第二樹脂が第一樹脂の外周面側に吐出されるように配置されている。
第一実施形態にかかる容器1を製造するためのパリソン10は、第一樹脂を第一ダイヘッド吐出口111から吐出させて発泡樹脂からなる層1aを含むパリソン10を形成するに際し、所望の領域において第一ダイヘッド吐出口111からの第一樹脂の吐出を停止するとともに第二ダイヘッド吐出口112から非発泡性樹脂材料を吐出し、次いで、第二樹脂の吐出を停止するとともに第一樹脂を吐出させて、第一樹脂と第二樹脂とを接続した状態とすることにより、一部の領域に非発泡領域12を含むパリソン10を形成する。
【0030】
このようにして形成されたパリソン10を、金型で挟み込み、パリソン10の押し出し方向の先端側をピンチオフするとともに融着させた後に、パリソン10内にブローエアーを吹き込んでブロー成形することで、容器1を製造することができる。
【0031】
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態について説明する。
図6は、本実施形態に係る容器1の要部拡大断面図であり、(a)は、容器1において、発泡樹脂含有領域30を備える任意の部位の断面を模式的に示しており、(b)は、容器1において、以下に説明する低発泡領域32近傍の断面を模式的に示している。図6では、図2と同様に、容器壁の樹脂構造を説明するために、その断面形状を直線状にあらわしている。
前述した第一実施形態にかかる容器1では、非発泡樹脂からなる層1bで形成されている非発泡領域31を部分的に備える構成とした。これに対して、本実施形態の容器1は、中間層の発泡樹脂からなる層1aが発泡樹脂含有領域30よりも減量するとともに外周面側の非発泡樹脂からなる層1bが増量して、非発泡樹脂からなる層1bの比率を高めることにより、発泡樹脂からなる層1aに対する非発泡樹脂からなる層1bの肉厚比を高めて、発泡樹脂含有領域30に対して気泡率を低下せしめた低発泡領域32を部分的に備える構成となっている。
【0032】
低発泡領域32の気泡率rは、発泡樹脂含有領域30の気泡率rが10~20%とした場合、0<r<5%、好ましくは0<r<1%とすることができる。
【0033】
第二実施形態によれば、外周面側の非発泡樹脂からなる層1bが増加することにより、すなわち容器1の容器壁の外周面側に非発泡樹脂からなる層1bが多く存在することにより、内周面側の非発泡樹脂からなる層1bが増加するよりも、外側から加えられる衝撃に対する耐性をより増加させることができるため好ましい。
【0034】
このような第二実施形態にかかる容器1は、気泡を内包する発泡樹脂からなる層1aを含む発泡樹脂含有領域11を備えるとともに、発泡樹脂含有領域11に対して気泡率を低下せしめた、低発泡領域13を部分的に備えるように形成されたパリソン10を形成し、形成されたパリソン10を、一対の分割金型間に挟み込み、パリソン10内にブローエアーを吹き込んで所望の容器形状にブロー成形することで、製造することができる。
なお、図7は、本実施形態に係る容器1をブロー成形するのに好適なパリソン10の要部拡大断面図であり、(a)は、パリソン10において、発泡樹脂含有領域11を備える任意の部位の断面を模式的に示しており、(b)は、パリソン10において、低発泡領域13近傍の断面を模式的に示している。
【0035】
本実施形態では、パリソン10を形成するに際し、第一樹脂の吐出を停止させるのではなくその吐出量を減少させ、第一樹脂の吐出量を減少させるとともに第二樹脂を吐出させることで、第一樹脂と第二樹脂とでパリソン10の低発泡領域13を構成する以外は、第一実施形態の製造方法と同様にして、パリソン10を形成することができる。これは、第一実施形態で説明したパリソン成形装置100を用いて、第一樹脂押出機121a、121b、121cと第二樹脂押出機122の稼働を調整することで製造することができる。
本実施形態は、上記の点で第一実施形態の製造方法と異なっているが、他の構成は第一実施形態と同様であるため、重複する説明は省略する。
【0036】
[第三実施形態]
次に、本発明の第三実施形態について説明する。
図8は、本実施形態に係る容器1の要部拡大断面図であり、(a)は、容器1において、発泡樹脂含有領域30を備える任意の部位の断面を模式的に示しており、(b)は、容器1において、非発泡領域31近傍の断面を模式的に示している。図8では、図2と同様に、容器壁の樹脂構造を説明するために、その断面形状を直線状にあらわしている。
前述した第一実施形態にかかる容器1では、容器1の発泡樹脂含有領域30を、発泡樹脂からなる層1aを中間層とし、内層及び外層として非発泡樹脂からなる層1bが積層された複数層の層構造とした。これに対して、本実施形態の容器1の発泡樹脂含有領域30は、非発泡樹脂からなる層1bを含まない単層の層構造となっている。
また、本実施形態の容器1は、第一実施形態と同様に、発泡樹脂含有領域30に対して気泡率を低下せしめた、非発泡樹脂からなる層1b単層となる非発泡領域31を部分的に備えている。
【0037】
このような第三実施形態にかかる容器1は、気泡を内包する発泡樹脂からなる層1aからなる単層の発泡樹脂含有領域11を備えるとともに、発泡樹脂含有領域11に対して気泡率を低下せしめた、非発泡領域12を部分的に備えるように形成されたパリソン10を形成し、形成されたパリソン10を、一対の分割金型間に挟み込み、パリソン10内にブローエアーを吹き込んで所望の容器形状にブロー成形することで、製造することができる。
なお、図9は、本実施形態に係る容器1をブロー成形するのに好適なパリソン10の要部拡大断面図であり、(a)は、パリソン10において、発泡樹脂含有領域11を備える任意の部位の断面を模式的に示しており、(b)は、パリソン10において、非発泡領域12近傍の断面を模式的に示している。
【0038】
本実施形態では、パリソン10を形成するに際し、第一樹脂を発泡樹脂からなる層1aのみで形成された単層の層構造とする以外は、第一実施形態の製造方法と同様にして、パリソン10を形成することができる。これは、第一実施形態で説明したパリソン成形装置100を用いて、第一樹脂押出機のうち121aと121cを稼働させない状態として製造してもよいし、第一樹脂押出機121a、121b、121cによって第一樹脂が押し出される構造として製造してもよい。または、第一樹脂として発泡樹脂からなる層1aのみが押し出しされる構造のパリソン成形装置を用いてもよい。
本実施形態は、上記の点で第一実施形態と異なっているが、他の構成は第一実施形態と同様であるため、重複する説明は省略する。
【0039】
[第四実施形態]
次に、本発明の第四実施形態について説明する。
図10は、本実施形態に係る容器1の要部拡大断面図であり、(a)は、容器1において、発泡樹脂含有領域30を備える任意の部位の断面を模式的に示しており、(b)は、容器1において、以下に説明する低発泡領域32近傍の断面を模式的に示している。図10では、図2と同様に、容器壁の樹脂構造を説明するために、その断面形状を直線状にあらわしている。
前述した第二実施形態にかかる容器1では、容器1の発泡樹脂含有領域30を、発泡樹脂からなる層1aを中間層とし、内層及び外層として非発泡樹脂からなる層1bが積層された三層構造とした。これに対して、本実施形態の容器1の発泡樹脂含有領域30は、非発泡樹脂からなる層1bを含まない単層の層構造となっている。
また、本実施形態の容器1は、第二実施形態と同様に、発泡樹脂からなる層1aが発泡樹脂含有領域30よりも減量するとともに外周面側に非発泡樹脂からなる層1bを追加して、非発泡樹脂からなる層1bの比率を高めることにより、発泡樹脂からなる層1aに対する非発泡樹脂からなる層1bの肉厚比を高めて、発泡樹脂含有領域30に対して気泡率を低下せしめた、低発泡領域32を部分的に備える構成となっている。
【0040】
低発泡領域32の気泡率rは、発泡樹脂含有領域30の気泡率rが10~20%とした場合、0<r<5%、好ましくは0<r<1%とすることができる。
【0041】
このような第四実施形態にかかる容器1は、気泡を内包する発泡樹脂からなる層1aからなる単層の発泡樹脂含有領域11を備えるとともに、発泡樹脂含有領域11に対して気泡率を低下せしめた、低発泡領域13を部分的に備えるように形成されたパリソン10を形成し、形成されたパリソン10を、一対の分割金型間に挟み込み、パリソン10内にブローエアーを吹き込んで所望の容器形状にブロー成形することで、製造することができる。
なお、図11は、本実施形態に係る容器1をブロー成形するのに好適なパリソン10の要部拡大断面図であり、(a)は、パリソン10において、発泡樹脂含有領域11を備える任意の部位の断面を模式的に示しており、(b)は、パリソン10において、低発泡領域13近傍の断面を模式的に示している。
【0042】
本実施形態では、パリソン10を形成するに際し、第一樹脂を発泡樹脂からなる層1aのみで形成された単層の層構造とする以外は、第二実施形態の製造方法と同様にして、パリソン10を形成することができる。これは、第一実施形態で説明したパリソン成形装置100を用いて、第一樹脂押出機のうち121aと121cを稼働させない状態として製造してもよいし、第一樹脂押出機121a、121b、121cによって第一樹脂が押し出される構造として製造してもよい。または、第一樹脂として発泡樹脂からなる層1aのみが押し出しされる構造のパリソン成形装置を用いてもよい。
本実施形態は、上記の点で第二実施形態と異なっているが、他の構成は第二実施形態と同様であるため、重複する説明は省略する。
【0043】
[第五実施形態]
次に、本発明の第五実施形態について説明する。
図12は、本実施形態に係る容器1の要部拡大断面図であり、(a)は、容器1において、発泡樹脂含有領域30を備える任意の部位の断面を模式的に示しており、(b)は、容器1において、以下に説明する低発泡領域32近傍の断面を模式的に示している。図12では、図2と同様に、容器壁の樹脂構造を説明するために、その断面形状を直線状にあらわしている。
前述した第一実施形態にかかる容器1では、非発泡樹脂からなる層1bで形成されている非発泡領域31を部分的に備える構成とした。これに対して、本実施形態の容器1は、中間層の発泡樹脂からなる層1aが発泡樹脂含有領域30よりも減量するとともに内周面側及び外周面側の非発泡樹脂からなる層1bが増量して、非発泡樹脂からなる層1bの比率を高めることにより、発泡樹脂からなる層1aに対する非発泡樹脂からなる層1bの肉厚比を高めて、発泡樹脂含有領域30に対して気泡率を低下せしめた、低発泡領域32を部分的に備える構成となっている。
【0044】
低発泡領域32の気泡率rは、発泡樹脂含有領域30の気泡率rが10~20%とした場合、0<r<5%、好ましくは0<r<1%とすることができる。
【0045】
このような第五実施形態にかかる容器1は、気泡を内包する発泡樹脂からなる層1aを含む発泡樹脂含有領域11を備えるとともに、発泡樹脂含有領域11に対して気泡率を低下せしめた、低発泡領域13を部分的に備えるように形成されたパリソン10を形成し、形成されたパリソン10を、一対の分割金型間に挟み込み、パリソン10内にブローエアーを吹き込んで所望の容器形状にブロー成形することで、製造することができる。
なお、図13は、本実施形態に係る容器1をブロー成形するのに好適なパリソン10の要部拡大断面図であり、(a)は、パリソン10において、発泡樹脂含有領域11を備える任意の部位の断面を模式的に示しており、(b)は、パリソン10において、低発泡領域13近傍の断面を模式的に示している。
【0046】
このような第五実施形態にかかる容器1を製造するためのパリソン10は、発泡剤を含浸させた発泡性樹脂材料と、発泡剤を含まない非発泡性樹脂材料とをダイヘッド内で合流させて、中間層が発泡樹脂からなる層1a、内層及び外層が非発泡樹脂からなる層1bの三層構造となるようにダイヘッド吐出口から押し出してパリソンを形成するに際し、低発泡領域13となる箇所では、発泡性樹脂材料の吐出量を相対的に減少させるとともに、非発泡性樹脂材料の吐出量を相対的に増量させることで、形成することができる。
このようにして形成されたパリソン10を、金型で挟み込み、パリソン10の押し出し方向の先端側をピンチオフするとともに融着させた後に、パリソン10内にブローエアーを吹き込んでブロー成形することで、容器1を製造する。
本実施形態は、上記の点で第一実施形態と異なっているが、他の構成は第二実施形態と同様であるため、重複する説明は省略する。
【0047】
このようにして容器1の収容部3に発泡樹脂含有領域30に対して気泡率を低下せしめた非発泡領域31又は低発泡領域32を部分的に備えることで、当該領域における耐衝撃性を相対的に高めることができ、発泡樹脂からなる層1aを有する発泡容器であって、耐衝撃性が改善された合成樹脂製容器を提供することが可能となる。
【0048】
以上、本発明について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明は、前述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることはいうまでもない。
【0049】
例えば、本実施形態では、気泡を内包する発泡樹脂からなる層1aを少なくとも有する複数層の発泡樹脂含有領域30を備える容器1として、発泡樹脂からなる層1aを中間層とし、その内周面側及び外周面側に、気泡を内包しない非発泡樹脂からなる層1bが内層及び外層として積層された、三層構造の発泡樹脂含有領域30を備える容器1を例示したが、複数層の発泡樹脂含有領域30を備える容器1は、このような三層構造に限定されない。発泡樹脂からなる層1aが内層又は外層に積層された二層構造としてもよいし、その他の層構造としてもよい。
また、前述の第六実施形態にかかる容器1では、発泡樹脂からなる層1aを中間層として有する複数層の発泡樹脂含有領域30を備える容器1として例示されたが、気泡を内包する発泡樹脂からなる層を少なくとも有する発泡樹脂含有領域を備えていれば、このような層構造に限定されない。発泡樹脂からなる層1aのみからなる単層の発泡樹脂含有領域30としてもよい。
【符号の説明】
【0050】
1 容器
1a 発泡樹脂からなる層
1b 非発泡樹脂からなる層
2 口部
3 収容部
30 発泡樹脂含有領域
31 非発泡領域
32 低発泡領域
4 胴部
5 底部
10 パリソン
11 発泡樹脂含有領域
12 非発泡領域
13 低発泡領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13