(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106195
(43)【公開日】2024-08-07
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/14 20060101AFI20240731BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20240731BHJP
B41J 5/30 20060101ALI20240731BHJP
【FI】
G03G21/14
G03G21/00 370
B41J5/30 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023010375
(22)【出願日】2023-01-26
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116964
【弁理士】
【氏名又は名称】山形 洋一
(74)【代理人】
【識別番号】100120477
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 賢改
(74)【代理人】
【識別番号】100135921
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 昌彦
(74)【代理人】
【氏名又は名称】半田 淳一
(72)【発明者】
【氏名】平田 勝
【テーマコード(参考)】
2C187
2H270
【Fターム(参考)】
2C187AC06
2C187AD14
2C187BF50
2C187BG05
2C187FC01
2C187FD01
2C187FD14
2C187HA09
2C187HA33
2H270MD02
2H270MF20
2H270MH16
2H270NE07
2H270NE10
2H270NE14
2H270ZC04
2H270ZC06
(57)【要約】
【課題】画像データの転送を指示する制御部において、障害発生時に、再度画像を形成するページを容易に特定できるようにする。
【解決手段】プリンタエンジン制御部150は、部分画像データに関して予め定められた処理が終了した場合に、同期信号を第1の状態から第2の状態に切り替え、同期信号の切り替えをプリンタコントローラ制御部140が認識した後に、その同期信号を第2の状態から第1の状態に切り替えることで、プリンタコントローラ制御部140に、次のページの部分画像データの転送を指示し、プリンタコントローラ制御部140は、同期信号が第1の状態から第2の状態に切り替えられた後に、第2の状態から第1の状態に切り替えられると、指示されたページの部分画像データを、プリンタエンジン制御部150に転送する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データで示される画像を媒体に形成する処理を制御する第1の制御部と、
前記第1の制御部からの同期信号に従って、前記画像データを一ページずつ前記第1の制御部に転送する第2の制御部と、を備え、
前記第1の制御部は、一ページ分の前記画像データである部分画像データに関して予め定められた処理が終了した場合に、前記同期信号を第1の状態から第2の状態に切り替え、前記同期信号の切り替えを前記第2の制御部が認識した後に、前記同期信号を前記第2の状態から前記第1の状態に切り替えることで、前記第2の制御部に、次のページの前記部分画像データの転送を指示し、
前記第2の制御部は、前記同期信号が前記第1の状態から前記第2の状態に切り替えられた後に、前記第2の状態から前記第1の状態に切り替えられると、指示されたページの前記部分画像データを、前記第1の制御部に転送すること
を特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第1の制御部は、
前記部分画像データを受信する中継コントローラと、
前記部分画像データを記憶する一時記憶部と、
前記一時記憶部から前記部分画像データを読み出して、像担持体に静電潜像を形成する露光部に送る画像形成コントローラと、を備え、
前記第2の制御部は、
前記画像データの転送を指示する画像処理コントローラと、
前記画像データを記憶する画像データ記憶部と、
前記画像処理コントローラからの指示に応じて、前記画像データを一ページずつ読み出して、読み出された一ページ分の前記画像データを前記部分画像データとして前記第1の制御部に転送する転送コントローラと、を備え、
前記中継コントローラは、前記画像形成コントローラが前記部分画像データを前記露光部に送り終わると、前記同期信号を前記第1の状態から前記第2の状態に切り替えてから予め定められた期間が経過した後に、前記同期信号を前記第2の状態から前記第1の状態に切り替えること
を特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記転送コントローラは、LVDS(Low Voltage Differential Signaling)で、前記部分画像データを転送すること
を特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第1の制御部は、前記部分画像データの転送途中で予め定められたエラーが発生した場合には、前記第2の制御部に、転送の停止を指示する転送停止指示を送り、
前記第2の制御部は、前記転送停止指示に応じて、前記部分画像データの転送を転送途中で停止すること
を特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第1の制御部は、UART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)を用いて、前記転送停止指示を前記第2の制御部に通知すること
を特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
画像データで示される画像を媒体に形成する処理を制御する第1の制御部と、
前記第1の制御部からの同期信号に従って、前記画像データを一ページずつ前記第1の制御部に転送する第2の制御部と、を備え、
前記第1の制御部は、1ページ分の前記画像データである部分画像データの転送途中で予め定められたエラーが発生した場合には、前記第2の制御部に、転送の停止を指示する転送停止指示を送り、
前記第2の制御部は、前記転送停止指示に応じて、前記部分画像データの転送を転送途中で停止すること
を特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、画像を媒体に形成する画像形成装置が使用されている。画像形成装置では、画像を形成する際に、画像の形成を実際に制御するプリンタエンジン制御部に画像を形成するための画像データを転送する。
【0003】
具体的には、画像形成装置は、媒体の先端が書込みセンサに到達したことを検知すると、印刷開始タイミングを示す同期信号であるFSYNCをONに設定して、画像データの転送を開始する(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の制御方法では、プリンタエンジン制御部への画像データの転送インタフェースを、高速化、かつ、低電力化させるために、DMA(Direct Memory Access)を採用すると、障害発生時の再印刷が困難になる問題があった。
【0006】
この問題は、プリンタエンジン制御部へのデータ転送の速度が、プリンタエンジン制御部から露光部へのデータ転送の速度よりも高速であるために生じる。具体的には、プリンタエンジン制御部から露光部へのデータ転送中に、ジャム等のエラーが発生すると、画像形成装置の処理を全般的に制御しているプリンタコントローラ制御部がどのページから再印刷を行えばよいのかを判断することができなくなる。
【0007】
そこで、本開示の一又は複数の態様は、画像データの転送を指示する制御部において、障害発生時に、再度画像を形成するページを容易に特定できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の第1の態様に係る画像形成装置は、画像データで示される画像を媒体に形成する処理を制御する第1の制御部と、前記第1の制御部からの同期信号に従って、前記画像データを一ページずつ前記第1の制御部に転送する第2の制御部と、を備え、前記第1の制御部は、一ページ分の前記画像データである部分画像データに関して予め定められた処理が終了した場合に、前記同期信号を第1の状態から第2の状態に切り替え、前記同期信号の切り替えを前記第2の制御部が認識した後に、前記同期信号を前記第2の状態から前記第1の状態に切り替えることで、前記第2の制御部に、次のページの前記部分画像データの転送を指示し、前記第2の制御部は、前記同期信号が前記第1の状態から前記第2の状態に切り替えられた後に、前記第2の状態から前記第1の状態に切り替えられると、指示されたページの前記部分画像データを、前記第1の制御部に転送することを特徴とする。
【0009】
本開示の第2の態様に係る画像形成装置は、画像データで示される画像を媒体に形成する処理を制御する第1の制御部と、前記第1の制御部からの同期信号に従って、前記画像データを一ページずつ前記第1の制御部に転送する第2の制御部と、を備え、前記第1の制御部は、1ページ分の前記画像データである部分画像データの転送途中で予め定められたエラーが発生した場合には、前記第2の制御部に、転送の停止を指示する転送停止指示を送り、前記第2の制御部は、前記転送停止指示に応じて、前記部分画像データの転送を転送途中で停止することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本開示の一又は複数の態様によれば、画像データの転送を指示する制御部において、障害発生時に、再度画像を形成するページを容易に特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施の形態1及び2に係る画像形成装置の構成を概略的に示す縦断面図である。
【
図2】実施の形態1及び2における画像形成装置の制御系の構成を概略的に示すブロック図である。
【
図3】実施の形態1における制御系の動作のタイミングチャートである。
【
図4】実施の形態2における制御系の動作のタイミングチャートである。
【
図5】(A)及び(B)は、ハードウェア構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る画像形成装置100の構成を概略的に示す縦断面図である。
ここでは、電子写真方式で白黒の画像を形成するモノクロの画像形成装置100を例に説明するが、実施の形態1は、このような例に限定されない。カラーの画像形成装置であってもよい。
【0013】
画像形成装置100には、独立したイメージドラムユニットである印刷機構101が、媒体の挿入側から排出側へ向かう搬送路に配置されている。
【0014】
印刷機構101は、ブラック(K)の画像を形成するための電子写真式LEDプリント機構(画像形成機構)である。
印刷機構101は、感光ドラム102と、帯電ローラ103と、現像ローラ104と、現像ブレード105と、供給ローラ106と、除電光照射部107と、トナーカートリッジ108とを備える。
【0015】
感光ドラム102は、像を担持する像担持部(像担持体)である。例えば、感光ドラム102は、静電潜像、及び、その静電潜像に現像剤を付着させることにより形成される現像剤像であるトナー像を担持する。
帯電ローラ103は、感光ドラム102の表面を一様に帯電させる帯電部である。
現像ローラ104は、感光ドラム102に形成された静電潜像に、現像剤であるトナーを付着させることで、現像剤像としてのトナー像を形成する現像部である。
【0016】
現像ブレード105は、現像ローラ104の表面のトナーを薄膜化する規制部である。
供給ローラ106は、トナーカートリッジ108に収納されたトナーを、現像ローラ104に供給する供給部である。
【0017】
除電光照射部107は、感光ドラム102に除電光を照射することで、感光ドラム102を除電する。
トナーカートリッジ108は、トナーを収納するトナー収容部(現像剤収容部)である。なお、トナーカートリッジ108にはブラックのトナーが収容されている。
【0018】
印刷機構101の感光ドラム102の上には、LED(Light Emitting Diode)ヘッド109が配置されている。
LEDヘッド109は、感光ドラム102の表面に露光することで、静電潜像を形成する露光部である。
【0019】
そして、LEDヘッド109は、画像データに従ってLEDアレイを発光させることで、感光ドラム102の表面が露光され、感光ドラム102の表面に静電潜像が形成される。この静電潜像に現像ローラ104からのトナーが静電気力によって付着することで、トナー像が形成される。
【0020】
また、画像形成装置100は、媒体としての用紙を供給するための給紙機構(媒体供給機構)110を備える。
給紙機構110は、用紙収容カセット111と、ホッピングローラ112と、搬送ローラ群113、114とを備える。
【0021】
用紙収容カセット111は、用紙を収容する用紙収容部(媒体収容部)である。
ホッピングローラ112は、用紙収容カセット111に収容されている用紙を一枚ずつ取り出す。
【0022】
搬送ローラ群113、114は、ホッピングローラ112により取り出された一枚の用紙のスキューを修正し、その一枚の用紙を印刷機構101に搬送する。
なお、一枚の用紙の位置又はジャムを検出するため、用紙の搬送路にセンサ115、116、117が配置されている。ここで、センサ117で用紙の先頭が検出されたタイミングで、LEDヘッド109への画像データの転送が開始されるため、このセンサ117を書込みセンサ117ともいう。
【0023】
印刷機構101の感光ドラム102の下には、転写ローラ120が配置されている。
転写ローラ120には転写電圧が印加され、転写ローラ120により、感光ドラム102の表面に形成されたトナー像が搬送されてきた一枚の用紙に転写される。言い換えると、転写ローラ120は、感光ドラム102に形成されたトナー像を媒体に転写する転写部として機能する。
【0024】
トナー像の転写後、印刷機構101から分離された一枚の用紙は、定着部としての定着機構130に送られる。
定着機構130は、ヒートローラ131と、ヒートローラ131を加圧する加圧ローラ132と、ヒートローラ131を加熱するヒータ133と、ヒートローラ131の温度を検出するサーミスタ134とを備える。
【0025】
この定着機構130は、搬送されてきた一枚の用紙上のトナーを加熱して、溶融することで、その一枚の用紙にトナー像を定着させる。
ヒートローラ131は、図示しないヒータモータによって駆動され、加圧ローラ132は、ヒートローラ131の回転に従って回転する。
【0026】
ヒータ133は、ヒートローラ131の中に配置された、熱源としてハロゲンランプである。
ヒートローラ131の表面近くにはサーミスタ134が配置されている。
また、用紙の位置又はジャムを検出するため、ヒートローラ131の下流側にセンサ1135が配置されている。
【0027】
定着機構130によりトナー像が定着された一枚の用紙は、排出ローラ群136、137により、画像形成装置100の外に排出される。
【0028】
図2は、画像形成装置100の制御系の構成を概略的に示すブロック図である。
画像形成装置100の制御系は、プリンタコントローラ制御部140と、プリンタエンジン制御部150とを備える。
なお、プリンタエンジン制御部150を第1の制御部、プリンタコントローラ制御部140を第2の制御部ともいう。
【0029】
プリンタコントローラ制御部140と、プリンタエンジン制御部150とは、第1の信号路160、第2の信号路161及び第3の信号路162で接続されている。
また、プリンタエンジン制御部150と、LEDヘッド109とは、第4の信号路163で接続されている。
【0030】
第1の信号路160、第2の信号路161、第3の信号路162及び第4の信号路163の各々は、少なくとも一部が無線となっていてもよいが、ここでは、有線であるものとして説明する。
【0031】
プリンタコントローラ制御部140は、画像データ記憶部141と、転送コントローラ142と、画像処理コントローラ143とを備える。
【0032】
画像データ記憶部141は、形成する画像を示す画像データを記憶する。画像データは、ページ毎に区別されているものとする。なお、一ページ分の画像データを、部分画像データともいう。
【0033】
転送コントローラ142は、画像処理コントローラ143からの指示に応じて、画像データ記憶部141に記憶されている画像データをプリンタエンジン制御部150に転送する。ここで、転送コントローラ142は、画像処理コントローラ143からの指示に応じて、画像データ記憶部141から画像データを一ページずつ読み出して、読み出された一ページ分の画像データをプリンタエンジン制御部150に転送する。
【0034】
具体的には、転送コントローラ142は、DMAコントローラとして機能し、メモリとしての画像データ記憶部141から一ページ毎に画像データを読み出して、その一ページ毎の画像データをプリンタエンジン制御部150に転送する。
ここで、転送コントローラ142は、第3の信号路162を介して、ビデオインタフェースであるLVDS(Low Voltage Differential Signaling)で、画像データの転送を行う。
【0035】
画像処理コントローラ143は、CUファームウェアによって動作し、主に、画像データの生成、編集及び展開処理を実行する。
また、画像処理コントローラ143は、第1の信号路160を介して、プリンタエンジン制御部150を制御するためのコマンドインタフェースであるUART(Universal AsynchrONous Receiver Transmitter)を使って、コマンドの送受信を行う。
【0036】
さらに、画像処理コントローラ143は、第2の信号路161を介して、プリンタエンジン制御部150から同期信号を受信することで、画像データの送信タイミングを検知するとともに、プリンタエンジン制御部150が処理しているページを把握する。
【0037】
また、画像処理コントローラ143は、転送コントローラ142に画像の転送を指示する。例えば、画像処理コントローラ143は、転送コントローラ142に指示することで、必要なページの画像データをプリンタエンジン制御部150に転送させる。具体的には、画像処理コントローラ143は、プリンタエンジン制御部150により同期信号がONに設定されると、転送コントローラ142に指示することで、次に処理するページの画像データを転送させる。
【0038】
以上のように、プリンタコントローラ制御部140は、プリンタエンジン制御部150からの同期信号に従って、画像を形成するための画像データを一ページずつプリンタエンジン制御部150に転送する。具体的には、プリンタコントローラ制御部140は、同期信号が第1の状態(ここではON)から第2の状態(ここではOFF)に切り替えられた後に、第2の状態から第1の状態に切り替えられると、プリンタエンジン制御部150から指示されたページの部分画像データを、プリンタエンジン制御部150に転送する。
【0039】
プリンタエンジン制御部150は、プリンタコントローラ制御部140から画像データの転送を受けて、その転送された画像データに基づいて、媒体に画像を形成する処理を制御する。
【0040】
プリンタエンジン制御部150は、中継コントローラ151と、一時記憶部152と、画像形成コントローラ153とを備える。
ここで、中継コントローラ151と、画像形成コントローラ153とは、第5の信号路154で接続されている。第5の信号路154は、少なくともその一部を無線とすることができるが、ここでは、有線であるものとして説明する。
【0041】
中継コントローラ151は、中継ファームウェアによって動作し、画像形成コントローラ153と、プリンタコントローラ制御部140との間で、画像データを中継する処理を制御する。
【0042】
例えば、中継コントローラ151は、画像処理コントローラ143からのコマンドをUARTで受信し、画像形成コントローラ153へ転送する。
また、中継コントローラ151は、画像形成コントローラ153からコマンドを図示していない内部バス経由で受信し、UARTで画像処理コントローラ143へ送信する。
【0043】
さらに、中継コントローラ151は、転送コントローラ142から画像データ(ここでは、部分画像データ)を受信する。例えば、中継コントローラ151は、画像処理コントローラ143からUARTで印刷プロセス開始コマンドを受信すると、第2の信号路161の同期信号をONに設定し、転送コントローラ142からLVDSを用いて、画像データを受信する。そして、中継コントローラ151は、受信された画像データを、一時記憶部152に記憶させる。
【0044】
一時記憶部152は、少なくとも一ページ分の画像データである部分画像データを格納することのできるRAM(Random Access Memory)等の記憶装置で構成されている。
そして、一時記憶部152は、中継コントローラ151で受信された部分画像データを記憶する。
【0045】
画像形成コントローラ153は、
図1に示されている各部を制御することで、媒体を搬送して、その媒体に画像を転送し、その転送された画像を媒体に定着させて、画像が定着された媒体を排出する一連の処理を制御する。
【0046】
例えば、画像形成コントローラ153は、一時記憶部152から一ページ分の画像データである部分画像データを読み出して、その部分画像データをLEDヘッド109に送る。具体的には、画像形成コントローラ153は、
図1に示されている書込みセンサ117上に用紙が搬送されたタイミングで、第5の信号路154における内部同期信号をONに設定し、一時記憶部152に記憶されている一ページ分の画像データを、LEDヘッド109へ転送する。
【0047】
図3は、実施の形態1における制御系の動作のタイミングチャートである。
ここでの動作では、2ページの片面印刷において、2ページ目の印刷途中でジャムが発生し、その後、ジャムが発生した2ページ目の再印刷を実行する例を挙げて説明することとする。
【0048】
まず、画像処理コントローラ143は、1ページ目の画像データの生成、編集及び画像データ記憶部141への展開処理が完了後、中継コントローラ151にイメージセットアップコマンドをUART経由で送信する(S10)。
【0049】
中継コントローラ151は、イメージセットアップコマンド受信すると、画像形成コントローラ153に図示していない内部バスを経由して、イメージセットアップコマンドを送信する(S11)。
【0050】
画像形成コントローラ153は、イメージセットアップコマンドを受信すると、一枚の用紙をピックアップして、その一枚の用紙の搬送を開始する等の印刷準備を行い、準備が完了するとイメージセットアップの認証コマンドを図示していない内部バスを経由して、中継コントローラ151に送信する(S12)。
【0051】
中継コントローラ151は、イメージセットアップの認証コマンドを受信すると、UARTを経由して、画像処理コントローラ143にイメージセットアップの認証コマンドを送信する(S13)。
【0052】
画像処理コントローラ143は、イメージセットアップの認証コマンドを受信すると、印刷プロセス開始コマンドを中継コントローラ151にUART経由で送信する(S14)。
【0053】
中継コントローラ151は、印刷プロセス開始コマンドを受信すると、第2の信号路161における同期信号をONに設定し(S15)、印刷プロセス開始コマンドを画像形成コントローラ153に図示していない内部バスを経由して送信する(S16)。
【0054】
画像処理コントローラ143は、同期信号がONに設定されると、1ページ目の画像データを送信するように転送コントローラ142に指示し、転送コントローラ142は、LVDSで、中継コントローラ151に画像データを転送する(S17)。ここで、中継コントローラ151は、LVDSで受信した画像データを一時記憶部152に格納しながら、画像形成コントローラ153に印刷画像データを転送する。
【0055】
画像形成コントローラ153は、用紙の先端が書込みセンサ117に到達すると、書込みセンサON割込を検知し(S18)、内部同期信号をONに設定し(S19)、画像データをLEDヘッド109に転送する(S20)。
【0056】
なお、このとき画像処理コントローラ143は、既に2ページ目の画像データの生成、編集及び展開処理が完了し、1ページ目と同様、イメージセットアップコマンドの送信(S21、S22)、イメージセットアップの認証コマンドの受信(S23、S24)、印刷プロセス開始コマンドの送信を行う(S25、S26)。
【0057】
次に、1ページ目の画像データが全てLEDヘッド109に転送されると、画像形成コントローラ153は、内部同期信号をOFFに設定する(S27)。その後、内部信号OFF割込が発生し(S28)、中継コントローラ151は、このOFF割込を検知すると、同期信号をOFFに設定する(S29)。
【0058】
同期信号がOFFに設定された後、中継コントローラ151は、ステップS21で2ページ目の印刷プロセス開始コマンドが既に画像処理コントローラ143から送信されているため、所定時間である50[ms]後に、再度、同期信号をONに設定する(S30)。
【0059】
その後、1ページ目の画像データと同様に、画像処理コントローラ143の指示で転送コントローラ142から2ページ目の画像データが中継コントローラ151にデータ転送される(S31)。ここで、中継コントローラ151は、2ページ目の画像データを、一時記憶部152に格納しながら、画像形成コントローラ153にデータ転送する。
【0060】
画像形成コントローラ153は、1ページ目の用紙と同様に、2ページ目の用紙の先端が書込みセンサ117に到達すると、書込みセンサON割込を検知し(S32)、内部同期信号をONに設定し(S33)、LEDヘッド109に2ページ目の画像データを転送する(S34)。
【0061】
次に、LEDヘッド109へ2ページ目の画像データの転送中にジャムが発生したとする(S35)。
【0062】
ジャムが発生すると、画像形成コントローラ153は、内部信号をOFFに設定する(S36)。内部信号がOFFに設定されると、内部信号OFF割込が発生し(S37)、中継コントローラ151は、このOFF割込を検知し、同期信号をOFFに設定する(S38)。
【0063】
また、画像形成コントローラ153は、ジャム発生通知コマンドを中継コントローラ151経由で、画像処理コントローラ143に送信する(S39、S40)。
【0064】
画像処理コントローラ143は、ジャム発生通知コマンドを受信すると、直前にデータ転送した2ページ目の画像データでジャムが発生したと判断する。具体的には、画像処理コントローラ143は、2ページ目の画像データに対して、同期信号がOFFとなる前にジャム発生通知コマンドを受信すると、まだLEDヘッド109への転送が完了していない画像データである2ページ目でジャムが発生していると判断することができる。
【0065】
このため、画像処理コントローラ143は、ジャム解除後の再印刷において、上記と同様、イメージセットアップコマンドの送信(S41、S42)、イメージセットアップの認証コマンドの受信(S43、S44)、印刷プロセス開始コマンドの送信を行う(S45、S46)。これにより、画像処理コントローラ143は、転送コントローラ142に、2ページ目の画像データを、再びLVDSで中継コントローラ151に転送させることができる(S47)。
【0066】
以上のように、プリンタエンジン制御部150は、一ページ分の画像データである部分画像データに関して予め定められた処理(ここでは、LEDヘッド109への転送)が終了した場合に、同期信号を第1の状態(ここではON)から第2の状態(ここではOFF)に切り替え、その同期信号の切り替えをプリンタコントローラ制御部140が認識した後に、その同期信号を第2の状態から第1の状態に切り替えることで、プリンタコントローラ制御部140に、次のページの部分画像データの転送を指示する。
【0067】
具体的には、中継コントローラ151は、画像形成コントローラ153が部分画像データをLEDヘッド109に送り終わると、同期信号を第1の状態(ここでは、ON)から第2の状態(ここでは、OFF)に切り替えてから予め定められた期間が経過した後に、その同期信号を第2の状態から第1の状態に切り替える。同期信号の第1の状態から第2の状態への切り替えにより、画像処理コントローラ143は、直前に送信したページの部分画像データに対する予め定められた処理(ここでは、LEDヘッド109への転送)が終了したことを認識することができる。ここでの予め定められた期間については、画像処理コントローラ143が同期信号の切り替えを認識することのできる期間であればよく、画像処理コントローラ143の動作クロック等から設定されていればよい。例えば、その期間は、画像処理コントローラ143の動作クロックの周期よりも長い期間であればよい。そして、同期信号が、その後に、第2の状態から第1の状態に切り替えられることで、画像処理コントローラ143は、次のページの部分画像データの送信タイミングを認識することができ、転送コントローラ142に次のページの部分画像データの転送を指示することができる。
【0068】
なお、同期信号のON及びOFFについては、以上の記載の反対であってもよい。
【0069】
以上のように、実施の形態1によれば、中継コントローラ151は、同期信号のOFF後、画像処理コントローラ143が同期信号のOFFを確実に認識することのできる期間(ここでは、50[ms])の経過後に、同期信号をONに設定し、次のページの画像データの転送を画像処理コントローラ143に要求する。このため、印刷途中でジャム等のエラーが発生した場合であっても、画像処理コントローラ143から次のページの画像データの転送はまだ行われない。これにより、ジャム解除後の再印刷で、画像処理コントローラ143は、エラーが発生した際に処理されていたページを認識できるため、直前にデータ転送したページの画像データを再送すればよく、容易に再印刷が実現可能となる。
【0070】
実施の形態2.
図1に示されているように、実施の形態1に係る画像形成装置200の画像を形成するための概略的な構成は、実施の形態1に係る画像形成装置100と同様である。
実施の形態2に係る画像形成装置200は、制御系の構成において、実施の形態1に係る画像形成装置100と異なっている。
【0071】
図2に示されているように、画像形成装置200の制御系は、プリンタコントローラ制御部240と、プリンタエンジン制御部250とを備える。
【0072】
プリンタコントローラ制御部240は、画像データ記憶部141と、転送コントローラ242と、画像処理コントローラ243とを備える。
実施の形態2におけるプリンタコントローラ制御部240の画像データ記憶部141は、実施の形態1におけるプリンタコントローラ制御部140の画像データ記憶部141と同様である。
【0073】
転送コントローラ242は、実施の形態1の転送コントローラ142と同様の処理を行う他、画像処理コントローラ143からの要求に応じて、LVDSを使って転送中の画像データの転送を停止する。画像データの転送は、実施の形態1と同様に、第3の信号路162を介して行われる。
【0074】
画像処理コントローラ243は、実施の形態1の画像処理コントローラ143と同様の処理を行う他、第1の信号路160を介して、プリンタエンジン制御部250からデータ転送停止指示コマンドを、UARTを使って受信した場合には、転送コントローラ242に、データ転送停止要求を送る。
【0075】
プリンタエンジン制御部250は、中継コントローラ251と、一時記憶部152と、画像形成コントローラ253とを備える。
実施の形態2におけるプリンタエンジン制御部250の一時記憶部152は、実施の形態1におけるプリンタエンジン制御部150の一時記憶部152と同様である。
【0076】
中継コントローラ251は、実施の形態1における中継コントローラ151と同様の処理を行う他、図示していない内部バスを介して、画像形成コントローラ253から用紙サイズエラーコマンドを受信すると、UARTを用いて、画像処理コントローラ243に、用紙サイズエラーコマンドを送信する。また、中継コントローラ251は、画像形成コントローラ253からデータ転送停止コマンドを受信すると、UARTを用いて、画像処理コントローラ243に、データ転送停止指示コマンドを送信する。
【0077】
画像形成コントローラ253は、実施の形態1における画像形成コントローラ153と同様の処理を行う他、媒体サイズエラーとしての用紙サイズエラーを検知すると、図示していない内部バスを介して、中継コントローラ251へ用紙サイズエラーコマンドを送信する。また、画像形成コントローラ253は、図示していない内部バスを介して、中継コントローラ251へデータ転送停止指示コマンドを送信する。
【0078】
以上のように、実施の形態2では、プリンタエンジン制御部150は、部分画像データの転送途中で予め定められたエラー(ここでは、用紙サイズエラー)が発生した場合には、プリンタコントローラ制御部140に、転送の停止を指示する転送停止指示を送る。ここでの転送停止指示は、UARTを用いてプリンタコントローラ制御部140に通知される。
転送停止指示を受けたプリンタコントローラ制御部140は、その転送停止指示に応じて、部分画像データの転送を転送途中で停止する。
【0079】
図4は、実施の形態2における制御系の動作のタイミングチャートである。
実施の形態2の動作では、1ページ片面印刷において、トレイに入っている用紙サイズ(例えば、A4縦用紙サイズ)よりも大きい用紙サイズ(例えば、A3縦用紙サイズ)の画像データがプリンタコントローラ制御部240から転送され、その後、用紙サイズエラーが発生し、再印刷を実行する例を説明する。
【0080】
まず、画像処理コントローラ243が、A3縦サイズの1ページ分の画像データの生成及び編集、並びに、画像データ記憶部141への展開処理が完了すると、中継コントローラ251にイメージセットアップコマンドをUART経由で送信する(S60)。
【0081】
中継コントローラ251は、イメージセットアップコマンドを受信すると、画像形成コントローラ153に図示していない内部バスを経由して、イメージセットアップコマンドを送信する(S61)。
【0082】
画像形成コントローラ253は、イメージセットアップコマンドを受信すると、一枚の用紙をピックアップして、その一枚の用紙の搬送を開始する等の印刷準備を行い、準備が完了するとイメージセットアップの認証コマンドを図示していない内部バスを経由して、中継コントローラ251に送信する(S62)。
【0083】
中継コントローラ251は、イメージセットアップの認証コマンドを受信すると、UARTを経由して、画像処理コントローラ243にイメージセットアップの認証コマンドを送信する(S63)。
【0084】
画像処理コントローラ243は、イメージセットアップの認証コマンドを受信すると、印刷プロセス開始コマンドを中継コントローラ251にUART経由で送信する(S64)。
【0085】
中継コントローラ251は、印刷プロセス開始コマンドを受信すると、第2の信号路161における同期信号をONに設定し(S65)、印刷プロセス開始コマンドを画像形成コントローラ153に図示していない内部バスを経由して送信する(S66)。
【0086】
画像処理コントローラ243は、同期信号がONに設定されると、A3縦サイズの1ページ分の画像データを送信するように転送コントローラ242に指示し、転送コントローラ242は、LVDSで、中継コントローラ251に画像データを送信する(S67)。ここで、中継コントローラ251は、LVDSで受信した画像データを一時記憶部152に格納しながら、画像形成コントローラ153に印刷画像データを転送する。
【0087】
画像形成コントローラ253は、用紙(ここでは、A4縦用紙サイズ)の先端が書込みセンサ117に到達すると、書込みセンサON割込を検知し(S68)、内部同期信号をONに設定し(S69)、画像データのLEDヘッド109への転送を開始する(S70)。
【0088】
その後、LEDヘッド109へのデータ転送中に、その用紙の後端が書込みセンサ117に到達すると、画像形成コントローラ253は、内部信号OFF割込を発生させる(S71)。
【0089】
また、画像形成コントローラ253は、用紙サイズエラーを検知し、中継コントローラ251経由で画像処理コントローラ243に用紙サイズエラーコマンドを送信する(S72、S73)。
【0090】
中継コントローラ251は、内部信号OFF割込を検知すると、同期信号をOFFに設定する(S74)。
【0091】
その後、画像形成コントローラ253は、LVDSを使用したデータ転送を停止させるため、データ転送停止指示コマンドを中継コントローラ251経由で画像処理コントローラ243に送信する(S75、S76)。
【0092】
画像処理コントローラ243は、データ転送停止指示コマンドを受信すると、転送コントローラ242に転送停止要求を出し(S77)、転送コントローラ242は、転送停止要求を受けると、LVDSを用いたデータ転送動作を停止する(S78)。
【0093】
画像処理コントローラ243は、データ転送停止指示コマンドを受信すると、直前にデータ転送した1ページ分の画像データでエラーが発生したと判断する。例えば、画像処理コントローラ243は、その1ページ分の画像データに対して、同期信号がOFFとなる前にデータ転送停止指示コマンドを受信すると、その画像データでエラーが発生していると判断することができる。
【0094】
このため、画像処理コントローラ243は、用紙サイズエラー解除後の再印刷において、上記と同様、イメージセットアップコマンドの送信(S79、S80)、イメージセットアップの認証コマンドの受信(S81、S82)、印刷プロセス開始コマンドの送信を行う(S83、S84)。これにより、画像処理コントローラ243は、転送コントローラ242に、その1ページ分の画像データを、再びLVDSで中継コントローラ251に転送させることができる(S85)。
【0095】
以上のように、実施の形態2によれば、用紙サイズエラー発生後、すぐにLVDSを用いたデータ転送を停止させることができるため、LVDSのデータ転送が全て完了するまで待つ必要がない。これによって、用紙サイズエラー発生後のリカバリー処理を迅速に実行することができる。
【0096】
以上に記載された実施の形態1及び2における転送コントローラ142、242、画像処理コントローラ243、中継コントローラ151、251及び画像形成コントローラ153、253は、それぞれ、例えば、
図5(A)に示されているように、単一回路、複合回路、プログラムで動作するプロセッサ、プログラムで動作する並列プロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)又はFPGA(Field Programmable Gate Array)等の処理回路10で構成することもできる。
【0097】
また、画像処理コントローラ243、中継コントローラ151、251及び画像形成コントローラ153、253は、それぞれ、例えば、
図5(B)に示されているように、メモリ11と、メモリ11に格納されているプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ12とにより構成することができる。このようなプログラムは、ネットワークを通じて提供されてもよく、また、記録媒体に記録されて提供されてもよい。即ち、このようなプログラムは、例えば、プログラムプロダクトとして提供されてもよい。
【0098】
以上のように、転送コントローラ142、242、画像処理コントローラ243、中継コントローラ151、251及び画像形成コントローラ153、253は、処理回路網により実現することができる。例えば、プリンタエンジン制御部150、250は、第1の処理回路網により実現でき、プリンタコントローラ制御部140、240は、第2の処理回路網により実現できる。
【0099】
また、画像データ記憶部141は、HDD(Hard Disc Drive)、SSD(Solid State Drive)、揮発性メモリ又は不揮発性メモリ等の記憶装置により実現することができる。
【0100】
以上に記載した実施の形態1及び2では、主に、プリンタとしての画像形成装置100、200について説明したが、実施の形態1及び2は、このような例に限定されない。例えば、実施の形態1及び2は、MFP(Multi Function Printer)であってもよい。
【符号の説明】
【0101】
100,200 画像形成装置、 109 LEDヘッド、 140,240 プリンタコントローラ制御部、 141 画像データ記憶部、 142,242 転送コントローラ、 143,243 画像処理コントローラ、 150,250 プリンタエンジン制御部、 151,251 中継コントローラ、 152 一時記憶部、 153,253 画像形成コントローラ。