(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106198
(43)【公開日】2024-08-07
(54)【発明の名称】基板処理装置および基板処理方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20240731BHJP
【FI】
H01L21/304 644C
H01L21/304 644E
H01L21/304 644F
H01L21/304 648A
H01L21/304 643C
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023010379
(22)【出願日】2023-01-26
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100093056
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100142930
【弁理士】
【氏名又は名称】戸高 弘幸
(74)【代理人】
【識別番号】100175020
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 知彦
(74)【代理人】
【識別番号】100180596
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 要
(74)【代理人】
【識別番号】100195349
【弁理士】
【氏名又は名称】青野 信喜
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 拓馬
(72)【発明者】
【氏名】中村 一樹
【テーマコード(参考)】
5F157
【Fターム(参考)】
5F157AA16
5F157AB02
5F157AB03
5F157AB14
5F157AB16
5F157AB33
5F157AB90
5F157AC04
5F157AC26
5F157BA13
5F157BA31
5F157BA41
5F157DB02
(57)【要約】
【課題】パーティクルの付着を防止しながら基板を洗浄することができる基板処理装置および基板処理方法を提供する。
【解決手段】基板Wの裏面を洗浄する基板処理装置1は、基板Wの裏面中央領域を保持すると共に、水平姿勢の基板を鉛直軸AX1周りに回転させる保持回転部3と、基板Wの周縁を保持する周縁保持部5と、保持回転部3で保持および回転された基板Wの裏面のうちの裏面中央領域を取り囲む裏面外側領域を洗浄液が供給された状態で洗浄する裏面洗浄ブラシ33と、周縁保持部5で保持された基板Wの裏面中央領域に二酸化炭素の粒子を噴出して裏面中央領域を洗浄する噴出ノズル39とを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の裏面を洗浄する基板処理装置であって、
基板の裏面中央領域を保持すると共に、水平姿勢の前記基板を鉛直軸周りに回転させる保持回転部と、
前記基板の周縁を保持する周縁保持部と、
前記保持回転部で保持および回転された前記基板の裏面のうちの前記裏面中央領域を取り囲む裏面外側領域を洗浄液が供給された状態で洗浄する裏面洗浄ブラシと、
前記周縁保持部で保持された前記基板の前記裏面中央領域に二酸化炭素の粒子を噴出して前記裏面中央領域を洗浄する噴出ノズルと、
を備えていることを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の基板処理装置において、
前記基板の前記裏面における洗浄位置と前記洗浄位置から離れた位置である離間位置との間で、前記裏面洗浄ブラシを移動させるブラシ駆動部と、
前記噴射ノズルに前記二酸化炭素を供給する二酸化炭素供給部と、
制御部と、を更に備え、
前記制御部は、
前記ブラシ駆動部を制御して、前記裏面洗浄ブラシを前記基板の前記洗浄位置に作用させて前記裏面外側領域を洗浄させるブラシ洗浄動作と、
前記ブラシ洗浄動作の後に、前記二酸化炭素供給部を制御して、前記噴出ノズルによって前記二酸化炭素の粒子を噴出させ、前記基板の前記裏面中央領域を洗浄させる粒子洗浄動作と、を行わせることを特徴とする基板処理装置。
【請求項3】
請求項1に記載の基板処理装置において、
前記保持回転部から前記周縁保持部に前記基板を搬送する基板搬送部を更に備えていることを特徴とする基板処理装置。
【請求項4】
請求項1に記載の基板処理装置において、
前記噴出ノズルを予め設定された第1水平方向に直線状に移動させる水平移動部を更に備え、
前記噴出ノズルは、前記第1水平方向と直交する第2水平方向に延びるスリット状の
噴出口を有し、
前記噴出口は、前記第2水平方向において、前記裏面中央領域を覆うように前記二酸化炭素の粒子を噴出することを特徴とする基板処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載の基板処理装置において、
前記水平移動部は、前記保持回転部、前記裏面洗浄ブラシおよび前記噴射ノズルを前記第1水平方向に直線状かつ一体的に移動させ、
前記保持回転部と前記裏面洗浄ブラシは、平面視で前記第1水平方向に沿って配置され、
前記噴出ノズルは、平面視で前記保持回転部と前記裏面洗浄ブラシの間に配置されることを特徴とする基板処理装置。
【請求項6】
請求項5に記載の基板処理装置において、
前記噴出ノズルは、前記二酸化炭素の粒子と気体とを選択的に噴出し、
前記噴出ノズルは、前記裏面洗浄ブラシで前記裏面外側領域を洗浄するときに、前記気体を噴出することを特徴とする基板処理装置。
【請求項7】
請求項1に記載の基板処理装置において、
前記噴出ノズルにより前記裏面中央領域に前記二酸化炭素の粒子を噴出しているときに、気体を前記基板の表面に噴出する表面側気体噴出ノズルを更に備えていることを特徴とする基板処理装置。
【請求項8】
請求項7に記載の基板処理装置において、
前記表面側気体噴出ノズルは、加熱された気体を噴出することを特徴とする基板処理装置。
【請求項9】
請求項1記載の基板処理装置において、
前記周縁保持部は、水平方向に移動可能な2個のチャックを有し、
前記2個のチャックは、水平姿勢の前記基板を挟み込むことで前記基板の周縁を保持することを特徴とする基板処理装置。
【請求項10】
請求項2に記載の基板処理装置において、
前記基板の前記裏面中央領域に洗浄液を吐出する洗浄液ノズルと、
前記洗浄液ノズルに洗浄液を供給する洗浄液供給部と、
前記基板の裏面に気体を噴出する気体噴出ノズルと、
前記気体噴出ノズルに気体を供給する気体供給部と、
前記保持回転部と前記周縁保持部との間で前記基板を搬送する基板搬送部と、
を更に備え、
前記制御部は、
前記ブラシ駆動部および前記洗浄液供給部を制御し、前記洗浄液ノズルにより前記基板に前記洗浄液を供給した状態で、前記裏面洗浄ブラシを前記基板の前記洗浄位置に作用させて前記裏面中央領域を洗浄させる事前ブラシ洗浄動作と、
前記事前ブラシ洗浄動作の後に、前記気体供給部を制御し、前記気体噴出ノズルにより前記裏面中央領域に気体を噴出することで、前記裏面洗浄ブラシで洗浄された前記裏面中央領域を乾燥させる気体乾燥動作と、
前記気体乾燥動作の後に、前記基板搬送部を制御することで、前記裏面中央領域が洗浄された前記基板を前記周縁保持部から前記保持回転部に搬送させる第1の基板搬送動作と、
前記第1の基板搬送動作の後に、前記ブラシ駆動部を制御することで実行される前記ブラシ洗浄動作と、
前記ブラシ洗浄動作の後に、前記基板搬送部を制御することで、前記裏面外側領域が洗浄された前記基板を前記保持回転部から前記周縁保持部に搬送させる第2の基板搬送動作と、
前記第2の基板搬送動作の後に、前記二酸化炭素供給部を制御することで実行される前記粒子洗浄動作と、を行わせることを特徴とする基板処理装置。
【請求項11】
基板の裏面を洗浄する基板処理方法であって、
基板の裏面中央領域を保持して前記基板を鉛直軸周りに回転させながら、前記基板の裏面のうちの前記裏面中央領域を取り囲む裏面外側領域を洗浄液が供給された状態で裏面洗浄ブラシにより洗浄する外側領域洗浄工程と、
前記外側領域洗浄工程が完了した後に、前記外側領域洗浄工程で前記裏面外側領域が洗浄された前記基板の周縁を保持し、前記保持された前記基板の前記裏面中央領域に噴出ノズルにより二酸化炭素の粒子を噴出して、前記裏面中央領域を洗浄する中央領域洗浄工程と、
を備えていることを特徴とする基板処理方法。
【請求項12】
請求項11に記載の基板処理方法において、
前記外側領域洗浄工程よりも前に、前記基板の周縁が保持された前記基板の前記裏面中央領域を洗浄液が供給された状態で前記裏面洗浄ブラシにより洗浄する事前中央領域洗浄工程を備えていることを特徴とする基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を処理する基板処理装置および基板処理方法に関する。基板は、例えば、半導体基板、FPD(Flat Panel Display)用の基板、フォトマスク用ガラス基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、セラミック基板、太陽電池用基板などが挙げられる。FPDは、例えば、液晶表示装置、有機EL(electroluminescence)表示装置などが挙げられる。
【背景技術】
【0002】
従来の基板処理装置は、上側の周縁保持部、下側の保持回転部および下面洗浄部を備える(例えば、特許文献1参照)。周縁保持部は、基板の外周端部の2つの部分に当接して基板を挟み込むことで基板を保持する。保持回転部は、Z方向の軸周りに回転可能な吸着保持部を備え、吸着保持部を用いて基板Wの下面中央領域を吸着保持する。保持回転部と下面洗浄部は、Y方向に沿って移動可能である。
【0003】
下面洗浄部は、下面ブラシ、液ノズルおよび気体噴出部を備える。気体噴出部は、窒素ガスを噴出する。気体噴出部の噴出口は、X方向に延びるスリット状に形成される。そのため、気体噴出部は、X方向に延びる帯状の窒素ガスを噴出する。
【0004】
従来の基板処理装置は、次のように動作する。基板の直径は300mmであるとする。周縁保持部が基板を回転させずに静止させた状態で基板の下面中央領域(例えば半径0~50mmの領域)を下面ブラシで洗浄する。この際、液ノズルから洗浄液が基板の下面に供給され、気体噴出部から帯状の窒素ガスが基板の下面に噴出される。
【0005】
その後、下面ブラシを基板の下面から離した状態で気体噴出部をY方向に移動させながら、気体噴出部からの帯状の窒素ガスで洗浄領域を乾燥させる。その後、保持回転部は、基板の下面中央領域を吸着保持部で保持する。その後、基板を回転させながら残った基板の下面外側領域(半径50~150mmの領域)を下面ブラシで洗浄する。その後、保持回転部で基板を高速回転させて、基板を乾燥させる。
【0006】
なお、特許文献2には、基板保持部で保持される基板の下面側に配置された噴射ノズルを備えた基板洗浄装置が開示されている。噴射ノズルは、基板の下面に向けて二酸化炭素の微粒子を噴射する。微粒子は基板に衝突し、その結果、基板の下面からパーティクルが除去される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2022-051029号公報
【特許文献2】特開2006-140201号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、このような構成を有する基板処理装置は、次の問題を有する。基板の下面中央領域を下面ブラシで洗浄した際に液滴が残る。液滴は、気体噴出部からの帯状の窒素ガスによって、吸着保持部の保持領域外に移動される。しかし、帯状の窒素ガスによる乾燥が不十分である場合がある。汚れた液滴が乾燥すると、液滴が付着していた所にパーティクルが生じる。また、下面中央領域を洗浄した後の下面外側領域の洗浄では、パーティクル源となる液滴およびパーティクルが除去できない場合がある。
【0009】
また、特許文献1では、下面中央領域を洗浄し、下面外側領域を洗浄した後、再度、下面中央領域を洗浄している。すなわち、下面外側領域を洗浄した後に下面中央領域を下面ブラシで洗浄している。この場合も同様に、帯状の窒素ガスによる乾燥が不十分で、残った液滴がパーティクル源になる場合がある。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、パーティクルの付着を防止しながら基板を洗浄することができる基板処理装置および基板処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。すなわち、本発明に係る基板処理装置は、基板の裏面を洗浄する基板処理装置であって、基板の裏面中央領域を保持すると共に、水平姿勢の前記基板を鉛直軸周りに回転させる保持回転部と、前記基板の周縁を保持する周縁保持部と、前記保持回転部で保持および回転された前記基板の裏面のうちの前記裏面中央領域を取り囲む裏面外側領域を洗浄液が供給された状態で洗浄する裏面洗浄ブラシと、前記周縁保持部で保持された前記基板の前記裏面中央領域に二酸化炭素の粒子を噴出して前記裏面中央領域を洗浄する噴出ノズルと、を備えていることを特徴とするものである。
【0012】
本発明に係る基板処理装置によれば、基板の裏面外側領域は洗浄液が供給された状態で裏面洗浄ブラシにより洗浄されるので、比較的効率よくパーティクルを除去できる。これに対し、裏面中央領域はパーティクル源となる液滴が残りやすいので、噴出ノズルにより裏面中央領域に二酸化炭素の粒子を噴出して裏面中央領域を洗浄する。基板の裏面中央領域に二酸化炭素の粒子を衝突させることで、裏面中央領域の付着物を除去して裏面中央領域を清浄化させることができる。また、二酸化炭素の粒子は、昇華により、固体から直接気体に変化する。そのため、乾燥状態で裏面中央領域を洗浄でき、それにより、パーティクル源となる液滴が残ることを防止する。したがって、パーティクルの付着を防止しながら基板を洗浄することができる。
【0013】
また、上述の基板処理装置は、前記基板の前記裏面における洗浄位置と前記洗浄位置から離れた位置である離間位置との間で、前記裏面洗浄ブラシを移動させるブラシ駆動部と、前記噴射ノズルに前記二酸化炭素を供給する二酸化炭素供給部と、制御部と、を更に備え、前記制御部は、前記ブラシ駆動部を制御して、前記裏面洗浄ブラシを前記基板の前記洗浄位置に作用させて前記裏面外側領域を洗浄させるブラシ洗浄動作と、前記ブラシ洗浄動作の後に、前記二酸化炭素供給部を制御して、前記噴出ノズルによって前記二酸化炭素の粒子を噴出させ、前記基板の前記裏面中央領域を洗浄させる粒子洗浄動作と、を行わせることが好ましい。従来の手法のように、裏面中央領域を洗浄した後に裏面外側領域を洗浄すると、裏面外側領域を洗浄するために保持回転部で基板を保持するので、基板の裏面中央領域に保持回転部のチャック痕が残る場合がある。しかし、裏面外側領域を洗浄した後に裏面中央領域を洗浄すると、噴出ノズルから噴出された二酸化炭素の粒子により裏面中央領域に残ったチャック痕を除去することができる。このチャック痕の除去は、乾燥状態で行うことができるので、パーティクルの付着を防止することができる。
【0014】
また、上述の基板処理装置は、前記保持回転部から前記周縁保持部に前記基板を搬送する基板搬送部を更に備えていることが好ましい。裏面外側領域を洗浄した後に裏面中央領域を洗浄することができる。
【0015】
また、上述の基板処理装置は、前記噴出ノズルを予め設定された第1水平方向に直線状に移動させる水平移動部を更に備え、前記噴出ノズルは、前記第1水平方向と直交する第2水平方向に延びるスリット状の噴出口を有し、前記噴出口は、前記第2水平方向において、前記裏面中央領域を覆うように前記二酸化炭素の粒子を噴出することが好ましい。水平移動部が噴出ノズルを移動させることで、裏面中央領域の全体を洗浄できる。そのため、裏面中央領域を効率よく洗浄することができる。
【0016】
また、上述の基板処理装置は、前記水平移動部は、前記保持回転部、前記裏面洗浄ブラシおよび前記噴射ノズルを前記第1水平方向に直線状かつ一体的に移動させ、前記保持回転部と前記裏面洗浄ブラシは、平面視で前記第1水平方向に沿って配置され、前記噴出ノズルは、平面視で前記保持回転部と前記裏面洗浄ブラシの間に配置されることが好ましい。
【0017】
水平移動部が噴出ノズルを移動させることで、裏面中央領域の全体を洗浄できる。そのため、裏面中央領域を効率よく洗浄することができる。また、保持回転部、裏面洗浄ブラシおよび噴出ノズルは、水平移動部によって、一体的かつ直線状に移動させる。そのため、噴出ノズルが保持回転部および裏面洗浄ブラシに対して個別に移動される構成と比較して、シンプルに構成することができる。また、噴出ノズルが保持回転部と裏面洗浄ブラシの間に配置されるので、保持回転部、裏面洗浄ブラシおよび噴出ノズルが一体的に移動される範囲が小さく抑えられる。そのため、基板処理装置をコンパクトに構成できる。
【0018】
また、上述の基板処理装置において、前記噴出ノズルは、前記二酸化炭素の粒子と気体とを選択的に噴出し、前記噴出ノズルは、前記裏面洗浄ブラシで前記裏面外側領域を洗浄するときに、前記気体を噴出することが好ましい。保持回転部と裏面洗浄ブラシの間に2個の噴出ノズル(二酸化炭素の粒子を噴出するためのノズルと気体を噴出するノズル)を配置させなくてもよい。そのため、水平移動部により保持回転部と裏面洗浄ブラシと噴射ノズルとを直線状かつ一体的に、保持回転部へ近接させるように移動させたときに、保持回転部と裏面洗浄ブラシの隙間を小さくでき、その結果、裏面洗浄ブラシによる洗浄をより基板の内側まで行うことができる。
【0019】
また、上述の基板処理装置は、前記噴出ノズルにより前記裏面中央領域に前記二酸化炭素の粒子を噴出しているときに、気体を前記基板の表面に噴出する表面側気体噴出ノズルを更に備えていることが好ましい。基板裏面の液滴などが基板の裏面からその表面に回り込むことを防止すると共に、基板表面の付近の湿度を低下させて基板表面の結露を防止することができる。
【0020】
また、上述の基板処理装置において、前記表面側気体噴出ノズルは、加熱された気体を噴出することが好ましい。基板を加熱することで、基板の表面および裏面の結露を防止し、また、基板の乾燥状態を維持できる。
【0021】
また、上述の基板処理装置は、前記周縁保持部は、水平方向に移動可能な2個のチャックを有し、前記2個のチャックは、水平姿勢の前記基板を挟み込むことで前記基板の周縁を保持することが好ましい。2個のチャックが水平姿勢の基板を挟み込むことで保持された基板に対して、二酸化炭素の粒子の噴出による洗浄を行うことができる。
【0022】
また、上述の基板処理装置は、前記基板の前記裏面中央領域に洗浄液を吐出する洗浄液ノズルと、前記洗浄液ノズルに洗浄液を供給する洗浄液供給部と、前記基板の裏面に気体を噴出する気体噴出ノズルと、前記気体噴出ノズルに気体を供給する気体供給部と、前記保持回転部と前記周縁保持部との間で前記基板を搬送する基板搬送部と、を更に備え、前記制御部は、前記ブラシ駆動部および前記洗浄液供給部を制御し、前記洗浄液ノズルにより前記基板に前記洗浄液を供給した状態で、前記裏面洗浄ブラシを前記基板の前記洗浄位置に作用させて前記裏面中央領域を洗浄させる事前ブラシ洗浄動作と、前記事前ブラシ洗浄動作の後に、前記気体供給部を制御し、前記気体噴出ノズルにより前記裏面中央領域に気体を噴出することで、前記裏面洗浄ブラシで洗浄された前記裏面中央領域を乾燥させる気体乾燥動作と、前記気体乾燥動作の後に、前記基板搬送部を制御することで、前記裏面中央領域が洗浄された前記基板を前記周縁保持部から前記保持回転部に搬送させる第1の基板搬送動作と、前記第1の基板搬送動作の後に、前記ブラシ駆動部を制御することで実行される前記ブラシ洗浄動作と、前記ブラシ洗浄動作の後に、前記基板搬送部を制御することで、前記裏面外側領域が洗浄された前記基板を前記保持回転部から前記周縁保持部に搬送させる第2の基板搬送動作と、前記第2の基板搬送動作の後に、前記二酸化炭素供給部を制御することで実行される前記粒子洗浄動作と、を行わせることが好ましい。
【0023】
本発明によれば、裏面中央領域の洗浄、裏面外側領域の洗浄、および二酸化炭素の粒子による裏面中央領域の洗浄がこの順番で行われる。そのため、基板の裏面中央領域および裏面外側領域の両方に対して、裏面洗浄ブラシによる洗浄を行うことができる。また、基板の裏面にパーティクルおよびチャック痕が付着した場合であっても、二酸化炭素の粒子を噴出することによって、それらを除去することができる。また、除去(洗浄)は乾燥状態で行われるので、基板の裏面に新たにパーティクルを付着することを防止する。
【0024】
また、本発明に係る基板処理方法は、基板の裏面を洗浄する基板処理方法であって、基板の裏面中央領域を保持して前記基板を鉛直軸周りに回転させながら、前記基板の裏面のうちの前記裏面中央領域を取り囲む裏面外側領域を洗浄液が供給された状態で裏面洗浄ブラシにより洗浄する外側領域洗浄工程と、前記外側領域洗浄工程が完了した後に、前記外側領域洗浄工程で前記裏面外側領域が洗浄された前記基板の周縁を保持し、前記保持された前記基板の前記裏面中央領域に噴出ノズルにより二酸化炭素の粒子を噴出して、前記裏面中央領域を洗浄する中央領域洗浄工程と、を備えていることを特徴とするものである。
【0025】
本発明に係る基板処理方法によれば、裏面外側領域は洗浄液が供給された状態で裏面洗浄ブラシにより洗浄されるので、比較的効率よくパーティクルを除去できる。これに対し、裏面中央領域はパーティクル源となる液滴が残りやすいので、噴出ノズルにより裏面中央領域に二酸化炭素の粒子を噴出して裏面中央領域を洗浄する。基板の裏面中央領域に二酸化炭素の粒子を衝突させることで、裏面中央領域の付着物を除去して裏面中央領域を清浄化させることができる。また、二酸化炭素の粒子は、昇華により、固体から直接気体に変化する。そのため、乾燥状態で裏面中央領域を洗浄でき、それにより、パーティクル源となる液滴が残ることを防止する。したがって、パーティクルの付着を防止しながら基板を洗浄することができる。
【0026】
また、従来の手法のように、裏面中央領域を洗浄した後に裏面外側領域を洗浄すると、裏面外側領域を洗浄するために保持回転部で基板を保持するので、基板の裏面中央領域に保持回転部のチャック痕が残る場合がある。しかし、裏面外側領域を洗浄した後に裏面中央領域を洗浄すると、噴出ノズルから噴出された二酸化炭素の粒子により裏面中央領域に残ったチャック痕を除去することができる。このチャック痕の除去は、乾燥状態で行うことができるので、パーティクルの付着を防止することができる。
【0027】
また、上述の基板処理方法は、前記外側領域洗浄工程よりも前に、前記基板の周縁が保持された前記基板の前記裏面中央領域を洗浄液が供給された状態で前記裏面洗浄ブラシにより洗浄する事前中央領域洗浄工程を備えていることが好ましい。
【0028】
本発明によれば、裏面中央領域の洗浄、裏面外側領域の洗浄、および二酸化炭素の粒子による裏面中央領域の洗浄がこの順番で行われる。基板の裏面中央領域および裏面外側領域の両方に対して、裏面洗浄ブラシによる洗浄を行うことができる。また、基板の裏面にパーティクルおよびチャック痕が付着した場合であっても、二酸化炭素の粒子を噴出することによって、それらを除去することができる。また、除去(洗浄)は乾燥状態で行われるので、基板の裏面に新たにパーティクルを付着することを防止する。
【発明の効果】
【0029】
本発明に係る基板処理装置および基板処理方法によれば、パーティクルの付着を防止しながら基板を洗浄することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】実施例1に係る基板処理装置の概略構成を示す平面図である。
【
図2】実施例1に係る基板処理装置の概略構成を示す側面図である。
【
図3】噴出ノズルとその近傍の構成を示す平面図である。
【
図4】実施例1の基板処理装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図5】(a)は、基板処理装置の動作を説明するための平面図であり、(b)、(c)は、基板処理装置の動作を説明するための側面図である。
【
図6】(a)~(c)は、基板処理装置の動作を説明するための側面図である。
【
図7】(a)、(b)は、基板処理装置の動作を説明するための側面図である。
【
図8】基板処理装置の動作を説明するための側面図である。
【
図9】(a)、(b)は、基板処理装置の効果を説明するための図である。
【
図10】実施例2の基板処理装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図11】(a)~(c)は、基板処理装置の動作を説明するための側面図である。
【
図12】変形例に係る噴出ノズルと気体噴出ノズルとそれらの近傍の構成を示す平面図である。
【
図14】(a)は、変形例に係る噴出ノズルの平面図であり、(b)は、変形例に係る噴出ノズルの側面図である。
【
図15】(a)は、変形例に係る噴出ノズルの平面図であり、(b)は、変形例に係る噴出ノズルの側面図である。
【実施例0031】
以下、図面を参照して本発明の実施例1を説明する。
図1は、実施例1に係る基板処理装置1の概略構成を示す平面図である。
図2は、実施例1に係る基板処理装置1の概略構成を示す側面図である。
図2において、図示の都合上、後述するチャック23A,23Bおよび支持部材25A,25Bは、Y方向に沿って配置されるように示される。
図3は、噴出ノズル39とその近傍の構成を示す平面図である。
【0032】
(1)基板処理装置の構成
図1、
図2を参照する。基板処理装置(基板洗浄装置)1は、基板Wの表面および裏面を洗浄する。基板処理装置1は、保持回転部3、周縁保持部5、基板搬送部7、裏面洗浄機構9、可動台11、表面洗浄機構13、気体供給機構15、および処理室17を備える。なお、
図1に示す符号CPは、洗浄液等の飛散防止用のカップの外形を示す。可動台11は、本発明の水平移動部に相当する。
【0033】
処理室17は、保持回転部3、周縁保持部5、基板搬送部7、裏面洗浄機構9、可動台11、表面洗浄機構13、気体供給機構15を収容する。しかし、後述する2個の洗浄液供給源43,73、二酸化炭素供給源55、不活性ガス供給源57,79、5つの開閉弁V1~V5は、処理室17の外部に設けられる。
【0034】
保持回転部3は、基板Wの裏面中央領域を保持する。これにより、保持回転部3は、基板Wを保持する。また、保持回転部3は、水平姿勢の基板Wを鉛直軸AX1周りに回転させる。なお、基板Wは、例えば円板状で形成される。
【0035】
基板Wの表面は、電子回路が形成された側の面(デバイス面)である。これに対して、基板Wの裏面は、電子回路が形成されていない面である。本実施例において、基板Wを処理する際の基板Wの向きは、基板Wの裏面は下向きであり、基板Wの表面は上向きである。そのため、保持回転部3が基板Wの裏面を保持するとき、保持回転部3は基板Wの下面を保持する。
【0036】
保持回転部3は、吸着保持部(スピンチャック)21と回転駆動部22を備える。吸着保持部21は、基板Wの裏面(下面)を真空吸着する円形の吸着面21Aを有する。なお、吸着保持部21は、静電チャックであってもよい。吸着保持部21が基板Wの裏面を保持するとき、基板Wの裏面のうちの吸着面21Aが吸着する領域を「裏面中央領域」と呼ぶ。また、基板Wの裏面のうちの裏面中央領域を取り囲む領域を「裏面外側領域」と呼ぶ。
【0037】
なお、具体的には、裏面外側領域は、吸着保持部21が基板Wの裏面を保持するとき、後述する裏面洗浄ブラシ33でスクラブ洗浄できる領域である。この場合、裏面外側領域の内側の領域が裏面中央領域である。また、
図3の幅HAは、後述するY方向移動部37によって裏面洗浄ブラシ33が吸着保持部21に最も近付いたときの幅である。この場合、裏面中央領域(符号BC)は、直径D1(直径D2+幅HA×2)の円形領域である。直径D2は、吸着保持部21の吸着面21Aの外径の直径である。
【0038】
回転駆動部22は、基板Wの中心を通る鉛直軸AX1周りに、吸着保持部21で保持された基板Wを回転させる。回転駆動部22は、駆動源として電動モータを備える。
【0039】
周縁保持部5は、保持回転部3の上方に配置される。周縁保持部5は、基板Wの周縁を保持する。これにより、周縁保持部5は、基板Wを保持する。周縁保持部5は、2個のチャック23A,23Bとチャック駆動部24を備える。2個のチャック23A,23Bは、水平方向(X方向)に移動可能である。2個のチャック23A,23Bは、平面視で保持回転部3を挟み込むように、X方向に沿って対向して配置される。2個のチャック23A,23Bは、水平姿勢の基板Wを挟み込むことで基板Wの周縁を保持する。
【0040】
チャック駆動部24は、チャック23A,23BをX方向に移動させる。チャック駆動部24は、2個のチャック23A,23Bを互いに近づけたり遠ざけたりする。チャック駆動部24および、後述する支持部材駆動部26は各々、電動モータを備える。
【0041】
また、周縁保持部5は、2個の支持部材25A,25Bと支持部材駆動部26を備える。2個の支持部材25A,25Bは、水平方向(X方向)に移動可能である。2個の支持部材25A,25Bは、平面視で保持回転部3を挟み込むように、X方向に沿って対向して配置される。
【0042】
支持部材駆動部26は、支持部材25A,25BをX方向に互いに近づけたとき、支持部材25A,25Bの各先端部で基板Wの周縁部でかつ裏面(下面)を支持する。また、支持部材駆動部26は、支持部材25A,25Bを互いに遠ざけたとき、支持部材25A,25Bの間に、水平姿勢の基板Wを上下方向(Z方向)に移動させることができる。なお、2個のチャック23A,23Bおよび2個の支持部材25A,25Bは各々、平面視でコの字状(C字状)に形成される。
【0043】
また、支持部材25A,25Bで基板Wを支持している状態でチャック23A,23Bを互いに近づけると、チャック23A,23Bは、支持部材25A,25Bから基板Wを受け取ることができる。また、チャック23A,23Bを遠ざけると、支持部材25A,25Bに基板Wを引き渡すことができる。なお、周縁保持部5は、チャック23A,23Bで保持された基板Wを基板Wの中心軸(鉛直軸)周りに回転できないように構成される。
【0044】
基板搬送部7は、保持回転部3と周縁保持部5との間で基板Wを搬送する。例えば、基板搬送部7は、保持回転部3から周縁保持部5に基板Wを搬送する。基板搬送部7は、保持回転部3の近傍に設けられる。基板搬送部7は、3本の支持ピン29、ピン連結部材30およびピン昇降駆動部31を備える。なお、支持ピン29の本数は、4本以上であってもよい。
【0045】
3本の支持ピン29は、平面視で吸着保持部21を取り囲むように配置される。また、各支持ピン29は、上下方向(Z方向)に延びるような姿勢で配置される。ピン連結部材30は、3本の支持ピン29を連結する。ピン昇降駆動部31は、3本の支持ピン29およびピン連結部材30を上下方向に昇降させる。ピン昇降駆動部31は、電動モータまたはエアシリンダを備える。
【0046】
裏面洗浄機構9は、裏面洗浄ブラシ33、回転駆動部34、ブラシ支持部材35、昇降駆動部36、Y方向移動部37、2個の洗浄液ノズル38および噴出ノズル39を備える。回転駆動部34、昇降駆動部36およびY方向移動部37は各々、電動モータを備える。
【0047】
裏面洗浄ブラシ33は、基板Wの裏面(下面)に接触して基板Wの裏面を洗浄するものである。例えば、裏面洗浄ブラシ33は、保持回転部3で保持および回転された基板Wの裏面のうちの裏面中央領域を取り囲む裏面外側領域を洗浄する。裏面洗浄ブラシ33は、例えば、PVA(ポリビニルアルコール、polyvinyl alcohol)のスポンジで形成されたスポンジブラシである。また、裏面洗浄ブラシ33は、円柱状または円板状に形成される。
【0048】
回転駆動部34は、裏面洗浄ブラシ33を鉛直軸AX2周りに回転可能に支持すると共に、裏面洗浄ブラシ33を鉛直軸AX2周りに回転させる。鉛直軸AX2は、円柱状または円板状の裏面洗浄ブラシ33の中心線を通過する。ブラシ支持部材35は、回転駆動部34、2個の洗浄液ノズル38および噴出ノズル39を支持する。昇降駆動部36は、ブラシ支持部材35を昇降可能に支持する。昇降駆動部36は、裏面洗浄ブラシ33、回転駆動部34、ブラシ支持部材35、2個の洗浄液ノズル38および噴出ノズル39を一体的に上下方向(Z方向)に昇降させる。また、昇降駆動部36は、基板Wの裏面における洗浄位置と、その洗浄位置から離れた位置である離間位置との間で、裏面洗浄ブラシ33を移動(昇降)させる。昇降駆動部36は、本発明のブラシ駆動部に相当する。なお、噴出ノズル39は、本発明の気体噴出ノズルに相当する。開閉弁V3および不活性ガス供給源57が本発明の気体供給部に相当する。
【0049】
Y方向移動部37は、保持回転部3に対して裏面洗浄ブラシ33をY方向に移動させる。Y方向移動部37は、スライダ37Aとガイドレール37Bを備える。スライダ37Aは、昇降駆動部36を支持する。ガイドレール37Bは、Y方向に延びるように配置されると共に、スライダ37AをY方向に移動可能に支持する。Y方向移動部37の電動モータは、スライダ37Aを移動させる。
【0050】
2個の洗浄液ノズル38は各々、洗浄液を吐出する。各洗浄液ノズル38の吐出口は、上方を向いている。各洗浄液ノズル38は、裏面洗浄ブラシ33の近傍に設けられ、例えば、基板Wの裏面外側領域に洗浄液を供給する。洗浄液として例えば純水が用いられ、純水として例えば、脱イオン水(DIW)が用いられる。洗浄液ノズル38の個数は、1個または3個以上であってもよい。
【0051】
図3に示すように、洗浄液配管41は、洗浄液供給源43から2個の洗浄液ノズル38に洗浄液を送るものである。洗浄液配管41は、先端側で2つに枝分かれし、枝分かれした2つの部分は、2個の洗浄液ノズル38にそれぞれ接続される。洗浄液配管41の基端部は、洗浄液供給源43に接続される。洗浄液配管41には、開閉弁V1が設けられる。開閉弁V1は、洗浄液の供給およびその供給の停止を行う。
【0052】
噴出ノズル39は、周縁保持部5で保持された基板Wの裏面中央領域に二酸化炭素の粒子を噴出して裏面中央領域を洗浄する。すなわち、ドライアイスの粉末を基板Wに噴射することで、基板Wに付着したパーティクルを除去するブラスト処理を行う。
【0053】
図3に示すように、噴出ノズル39は、スリット状の噴出口39Aを備える。スリット状の噴出口39Aは、上方を向いているが、噴出ノズル39から裏面洗浄ブラシ33に向かうように斜め上方に向いていてもよい。また、スリット状の噴出口39Aは、Y方向と直交するX方向に長手に延びるように形成されている。
図3に示すように、スリット状の噴出口39Aの幅WD1は、X方向において、裏面中央領域(
図3の符号BC)の直径D1よりも長くなるように形成される(幅WD1>直径D1)。例えば、裏面洗浄ブラシ33の直径D3は、裏面中央領域の直径D1以上であるとする(直径D3≧直径D1)。この場合、幅WD1が裏面洗浄ブラシ33の直径D3よりも長くなるように形成されることが好ましい(幅WD1>直径D3)。なお、なお、噴出口39Aは、本発明の噴出口に相当する。
【0054】
図3に示すように、保持回転部3と裏面洗浄ブラシ33は、平面視でY方向に沿って配置される。噴出ノズル39は、平面視で保持回転部3と裏面洗浄ブラシ33の間に配置される。なお、Y方向は本発明の第1水平方向に相当し、X方向は本発明の第2水平方向に相当する。
【0055】
噴出ノズル39には、例えば、二酸化炭素配管51と不活性ガス配管53が接続される。二酸化炭素配管51の基端部は、二酸化炭素供給源55に接続され、不活性ガス配管53の基端部は、不活性ガス供給源57に接続される。二酸化炭素配管51には、開閉弁V2が設けられる。二酸化炭素配管51は、二酸化炭素供給源55から噴出ノズル39に二酸化炭素の液体を送る。開閉弁V2は、二酸化炭素の液体の供給およびその供給の停止を行う。
【0056】
また、不活性ガス配管53には、開閉弁V3が設けられる。不活性ガス配管53は、不活性ガス供給源57から噴出ノズル39に不活性ガスとして例えば窒素ガスを送る。開閉弁V3は、窒素ガスの供給およびその供給の停止を行う。噴出ノズル39は、二酸化炭素の粒子と不活性ガスとを選択的に噴出することができる。次に具体的に説明する。
【0057】
例えば、開閉弁V2,V3を開状態にすることで、二酸化炭素の液体と窒素ガスが噴出ノズル39に送られる。噴出ノズル39から二酸化炭素の液体が噴出されると、二酸化炭素の液体は、断熱膨張により凍結されて二酸化炭素の粒子となる。二酸化炭素の粒子は、キャリアガスとして用いられる窒素ガスの気流に混合されて運ばれる。すなわち、噴出ノズル39は、キャリアガスにて運ばれる二酸化炭素の粒子を噴出する。噴出ノズル39は、例えば、2流体ノズルで構成されてもよい。具体的には、噴出ノズル39は、吐出口を各々有する内筒と外筒を備え、内筒から二酸化炭素の液体を噴出し、外筒から窒素ガスを噴出するように構成されてもよい。
【0058】
また、開閉弁V3を開状態にし、かつ開閉弁V2を閉状態にすることで、窒素ガスが噴出ノズル39に送られる。そのため、噴出ノズル39から窒素ガスが噴出される。噴出ノズル39は、裏面洗浄ブラシ33で裏面外側領域を洗浄するときに、窒素ガスを噴出する。これにより、裏面洗浄ブラシ33と吸着保持部21の間において、X方向に延びる窒素ガスのカーテン(バリア)を形成することができる。なお、開閉弁V2および二酸化炭素供給源55が本発明の二酸化炭素供給部に相当する。
【0059】
可動台11は、保持回転部3、基板搬送部7および裏面洗浄機構9(裏面洗浄ブラシ33および噴出ノズル39を含む)を予め設定されたY方向に一体的かつ直線状に移動させる。可動台11は、スライダ59、ガイドレール61および電動モータ(図示しない)を備える。スライダ59は、保持回転部3、基板搬送部7および裏面洗浄機構9を支持する。ガイドレール61は、スライダ59をY方向に移動可能に支持する。可動台11は、電動モータを駆動させることで、保持回転部3等が搭載されたスライダ59をY方向に移動させる。
【0060】
表面洗浄機構13は、保持回転部3で裏面中央領域が保持された基板Wの表面(上面)を洗浄する。表面洗浄機構13は、表面洗浄ブラシ63、アーム65、ブラシ移動部67および固定ノズル69を備える。表面洗浄ブラシ63は、例えば、裏面洗浄ブラシ33と同様に、PVAのスポンジでかつ円柱状に形成される。アーム65は、表面洗浄ブラシ63を鉛直軸AX3周りに回転可能に支持する。鉛直軸AX3は、円柱状の表面洗浄ブラシ63の中心線を通過する。
【0061】
ブラシ移動部67は、アーム65を介して表面洗浄ブラシ63を水平方向(XY方向)に移動し、上下方向(Z方向)に昇降させ、また、表面洗浄ブラシ63を鉛直軸AX3周りに回転させる。ブラシ移動部67は、駆動源として2以上の電動モータを備える。固定ノズル69は、保持回転部3で裏面中央領域が保持された基板Wの表面に洗浄液を供給する。固定ノズル69には、洗浄液配管71が接続される。洗浄液配管71の基端部は、洗浄液供給源73に接続される。洗浄液配管71は、洗浄液供給源73から固定ノズル69に洗浄液(例えばDIW)を送る。洗浄液配管71には、開閉弁V4が設けられる。開閉弁V4は、洗浄液の供給およびその供給の停止を行う。
【0062】
なお、表面洗浄機構13は、表面洗浄ブラシ63に代えて、2流体ノズル(スプレーノズル)を備えてもよい。2流体ノズルは、洗浄液(例えばDIW)と不活性ガス(例えば窒素ガス)を混合させた混合液を回転された基板Wの表面に吐出することで、基板Wの表面を洗浄してもよい。
【0063】
気体供給機構15は、表面側気体噴出ノズル75、アーム76、ノズル移動部77、不活性ガス配管78、不活性ガス供給源79、開閉弁V5、およびヒータ81を備える。表面側気体噴出ノズル75は、以下適宜「気体噴出ノズル75」と呼ぶ。気体噴出ノズル75は、噴出ノズル39により裏面中央領域に二酸化炭素の粒子を噴出しているときに、基板Wの表面に不活性ガス(例えば窒素ガス)を噴出する。気体噴出ノズル75から噴出された窒素ガスが基板Wの中心部から基板Wの周縁に向けて輪のように広がるように、気体噴出ノズル75の先端部には、例えば円板状のガイドが設けられていてもよい。
【0064】
ノズル移動部77は、X方向およびY方向の少なくとも一方に気体噴出ノズル75を移動させる。例えば、ノズル移動部77は、予め設定された鉛直軸AX4(
図1参照)周りに気体噴出ノズル75を回転させるように構成されてもよい。また、ノズル移動部77は、X方向に案内する第1のリニアガイドおよびY方向に案内する第2のリニアガイドの少なくとも一方を備えていてもよい。ノズル移動部77は、更に、気体噴出ノズル75を上下方向(Z方向)に昇降させるように構成されてもよい。ノズル移動部77は、1以上の電動モータを備える。
【0065】
気体噴出ノズル75には、不活性ガス配管78が接続される。不活性ガス配管78の基端部は、不活性ガス供給源79に接続される。不活性ガス配管78は、不活性ガス供給源79から気体噴出ノズル75に乾燥した窒素ガスを送る。不活性ガス配管78には、開閉弁V5が設けられる。開閉弁V5は、乾燥した窒素ガスの供給およびその供給の停止を行う。不活性ガス供給源79は、例えば、コンプレッサ方式またはゼオライト方式の除湿機を備えて、除湿機によって乾燥された窒素ガス(乾燥窒素ガス)を気体噴出ノズル75に供給してもよい。
【0066】
ヒータ81は、例えば、不活性ガス配管78の外側から不活性ガス配管78を通過する窒素ガスを加熱する。ヒータ81は、例えばニクロム線などの電熱器を備える。これにより、気体噴出ノズル75は、ヒータ81で加熱された乾燥窒素ガスを噴出する。なお、気体供給機構15は、必要によりヒータ81を備えていなくてもよい。
【0067】
基板処理装置1は、制御部90(
図1参照)と記憶部(図示しない)を備えている。制御部90は、基板処理装置1の各構成を制御し、また、基板Wの洗浄処理を制御する。制御部90は、例えば中央演算処理装置(CPU)などの1つ以上のプロセッサを備える。記憶部は、例えば、ROM(Read-Only Memory)、RAM(Random-Access Memory)、およびハードディスクの少なくとも1つを備えている。記憶部は、基板処理装置1の各構成を制御するために必要なコンピュータプログラムを記憶する。
【0068】
(2)基板処理装置の動作
次に、
図4のフローチャート等を参照しつつ基板処理装置1の動作について説明する。なお、
図5(b)等において、図示の都合上、チャック23A,23Bおよび支持部材25A,25Bは、Y方向に沿って配置されるように示される。
【0069】
〔ステップS01〕基板の搬入
図5(a)を参照する。周縁保持部5の支持部材駆動部26(
図1参照)は、支持部材25A,25BをX方向に互いに近づける。これにより、支持部材25A,25Bは、基板Wの周縁部でかつ下面を支持することができる。その後、処理室17の外部の搬送ロボットTRは、基板Wを保持するハンドRHを処理室17に入室させることで、処理室17の内部に基板Wを搬入する。そして、搬送ロボットTRは、支持部材25A,25Bに基板Wを載置する。載置された基板Wの表面は上向きであり、その基板Wの裏面は下向きである。基板Wを載置した後、搬送ロボットTRは、処理室17からハンドRHを退室させる。
【0070】
図5(b)を参照する。その後、基板搬送部7のピン昇降駆動部31(
図2参照)は、3本の支持ピン29を上昇させることで、支持部材25A,25Bから基板Wを受け取る。その後、支持部材駆動部26は、支持部材25A,25Bを互いに遠ざける。
図5(c)を参照する。その後、ピン昇降駆動部31は、2個の支持部材25A,25Bの間に基板Wを通過させながら、基板Wを支持する3本の支持ピン29を下降させる。これにより、基板Wは、3本の支持ピン29から保持回転部3の吸着保持部21上に引き渡される。
【0071】
すなわち、本ステップS01では、処理室17に搬入された基板Wを、裏面洗浄ブラシ33による裏面中央領域の洗浄をさせずに、保持回転部3に搬送する。
【0072】
なお、上述の説明において、搬送ロボットTRは、支持部材25A,25B上に基板Wを搬送した。この点、搬送ロボットTRは、上昇された3本の支持ピン29上に基板Wを搬送してもよい。また、搬送ロボットTRは、直接、吸着保持部21上に基板Wを搬送してもよい。
【0073】
〔ステップS02〕保持回転部による基板の保持・回転
その後、保持回転部3の吸着保持部21は、基板Wの裏面中央領域を保持する。加えて、保持回転部3の回転駆動部22は、水平姿勢の基板Wを鉛直軸AX1周りに回転させる。
【0074】
〔ステップS03〕裏面洗浄ブラシによる基板の裏面外側領域の洗浄
図6(a)を参照する。開閉弁V3(
図3参照)を開状態にし、かつ開閉弁V2を閉状態にすることで、噴出ノズル39から基板Wの裏面に窒素ガスを噴出する。これにより、保持回転部3と裏面洗浄ブラシ33との間に窒素ガスのカーテン(バリア)を形成する。その後、開閉弁V1(
図3参照)を開状態にすることで、2個の洗浄液ノズル38から、回転している基板Wの裏面外側領域に洗浄液(例えばDIW)を供給する。基板Wの裏面に着液した洗浄液は、基板Wの回転によって、裏面外側領域に広げられる。また、窒素ガスのカーテンは、吸着保持部21側に向かう洗浄液をブロックする。なお、裏面外側領域は、裏面のうちの裏面中央領域を取り囲む領域である。
【0075】
裏面洗浄ブラシ33は、保持回転部3で基板Wの裏面中央領域を保持して基板Wを鉛直軸AX1周りに回転させながら、基板Wの裏面外側領域を洗浄液が供給された状態でスクラブ洗浄する。具体的に説明する。回転駆動部34が裏面洗浄ブラシ33を鉛直軸AX2周りに回転させる。加えて、昇降駆動部36は、裏面洗浄ブラシ33を上昇させて裏面外側領域に裏面洗浄ブラシ33を接触させる。これにより、スクラブ洗浄が開始される。なお、スクラブ洗浄中に、Y方向移動部37は、保持回転部3に対して裏面洗浄ブラシ33をY方向に移動させてもよい。これにより、裏面洗浄ブラシ33で裏面外側領域を広範囲にスクラブ洗浄できる。なお、移動は、往路移動または往復移動であり、繰り返し行われてもよい。
【0076】
予め設定された期間、裏面洗浄ブラシ33によるスクラブ洗浄を行った後、昇降駆動部36は、裏面洗浄ブラシ33を下降させて基板Wの裏面外側領域から裏面洗浄ブラシ33を離す。これにより、スクラブ洗浄が終了される。なお、上述の基板Wの裏面外側領域を裏面洗浄ブラシ33でスクラブ洗浄する動作が、本発明におけるブラシ洗浄動作に相当する。
【0077】
また、保持回転部3が基板Wを保持しているときに、表面洗浄機構13は、基板Wの表面(上面)を洗浄する。すなわち、固定ノズル69は、鉛直軸AX1周りに回転される基板Wの表面に洗浄液を供給する。その後、ブラシ移動部67は、表面洗浄ブラシ63を鉛直軸AX3周りに回転させながら、回転される基板Wの表面に接触させることで、基板Wの表面を洗浄する。また、ブラシ移動部67は、接触させた表面洗浄ブラシ63を基板Wの中心と基板Wの周縁との間で移動させる。
【0078】
なお、ブラシ移動部67は、表面洗浄ブラシ63を基板Wの表面に接触させずに基板Wの表面に近接させ、かつ、表面洗浄ブラシ63の下面と基板Wの表面との間に洗浄液を満たした状態で基板Wの表面を洗浄してもよい。
【0079】
〔ステップS04〕スピン乾燥
裏面洗浄ブラシ33による裏面外側領域の洗浄後、開閉弁V1を閉状態にすることで、洗浄液ノズル38からの洗浄液の供給を停止する。その後、開閉弁V3を閉状態にすることで、噴出ノズル39からの窒素ガスの噴出を停止する。その後かつ基板Wの表面の洗浄後、保持回転部3の回転駆動部22は、基板Wを高速回転させて基板Wに付着した液滴を飛散させる。これにより、基板Wは乾燥される。その後、回転駆動部22は基板Wの回転を停止させると共に、吸着保持部21は、基板Wの保持を解除する。
【0080】
〔ステップS05〕基板の搬送
図6(b)を参照する。吸着保持部21による基板Wの保持を解除した後、基板搬送部7は、保持回転部3から周縁保持部5に基板Wを搬送させる。具体的に説明する。吸着保持部21による基板Wの保持を解除した後、基板搬送部7のピン昇降駆動部31は、3本の支持ピン29を上昇させる。これにより、3本の支持ピン29は、吸着保持部21から基板Wを受け取る。その後、ピン昇降駆動部31は、2個の支持部材25A,25Bの間に基板Wを通過させながら、基板Wを支持する3本の支持ピン29を更に上昇させる。これにより、基板Wは、支持部材25A,25Bよりも高い位置に移動される。
【0081】
その後、周縁保持部5の支持部材駆動部26は、支持部材25A,25BをX方向に互いに近づける。
図6(c)を参照する。その後、ピン昇降駆動部31は、基板Wを支持する3本の支持ピン29を下降させる。これにより、基板Wは、支持部材25A,25Bに載置される。なお、3本の支持ピン29は、各支持ピン29の先端が吸着保持部21の吸着面21よりも低い待機位置まで下降される。
【0082】
〔ステップS06〕周縁保持部による基板の保持
その後、周縁保持部5のチャック駆動部24は、チャック23A,23BをX方向に互いに近づける。周縁保持部5の2個のチャック23A,23Bは、水平姿勢の基板Wを挟み込むことで基板W(裏面外側領域が洗浄された基板)の周縁を保持する。
【0083】
〔ステップS07〕二酸化炭素の粒子による基板の裏面中央領域の洗浄
図7(a)を参照する。
図7(a)において、符号BCは、裏面中央領域を示す。3本の支持ピン29が支持部材25A,25Bに基板Wを載置させた後、可動台11は、裏面洗浄ブラシ33から保持回転部3に向かう+Y方向に、噴出ノズル39等を移動させる。すなわち、可動台11は、開始位置P0に噴出ノズル39を移動させる。開始位置P0は、噴出ノズル39が+Y方向側の裏面外側領域と対向する予め設定された位置である。また、昇降駆動部36は、噴出ノズル39を予め設定された高さ位置に上昇させる。
【0084】
また、基板Wの表面側において、ノズル移動部77は、平面視で基板Wの外側に予め設定された待機位置から基板Wの中央の上方位置に表面側気体噴出ノズル75を移動させる。
【0085】
噴出ノズル39が開始位置P0に移動された後、噴出ノズル39は、周縁保持部5のチャック23A,23Bで保持された基板Wの裏面中央領域に二酸化炭素の粒子を噴出して、裏面中央領域を洗浄する。具体的に説明する。開閉弁V2,V3を開く。これにより、噴出ノズル39は、キャリアガスにて運ばれる二酸化炭素の粒子を噴出する。
【0086】
図7(b)を参照する。噴出ノズル39からの二酸化炭素の粒子の噴出に加えて、可動台11は、二酸化炭素の粒子が噴出されている噴出ノズル39を保持回転部3から裏面洗浄ブラシ33に向かう-Y方向に移動させる。そして、噴出ノズル39が開始位置P0から終了位置P1まで移動されると、可動台11は噴出ノズル39の-Y方向の移動を停止させると共に、開閉弁V2,V3を閉じて二酸化炭素の粒子の噴出を停止する。
【0087】
なお、終了位置P1は、噴出ノズル39が-Y方向側の裏面外側領域と対向する予め設定された位置である。また、噴出ノズル39から二酸化炭素の粒子を噴出するとき、2個のチャック23A,23Bは、基板Wの中心を通る鉛直軸周りで基板Wを回転させない。なお、二酸化炭素の粒子を噴出している状態での噴出ノズル39の位置P0,P1間の移動は、複数回行われてもよく、往復移動であってもよい。
【0088】
基板Wの裏面中央領域に二酸化炭素の粒子を衝突させることで、裏面中央領域の付着物を除去して裏面中央領域を清浄化させることができる。また、二酸化炭素の粒子は、昇華により、固体から直接気体に変化する。そのため、乾燥状態で裏面中央領域を洗浄できる。なお、上述の噴出ノズル39からの二酸化炭素の粒子の噴出に加えて、可動台11が、二酸化炭素の粒子が噴出されている噴出ノズル39を保持回転部3から裏面洗浄ブラシ33に向かう-Y方向に移動させる動作が本発明における粒子洗浄動作に相当する。
【0089】
また、噴出ノズル39により裏面中央領域に二酸化炭素の粒子を噴出しているときに、開閉弁V5を開くことにより、気体噴出ノズル75は、加熱された乾燥窒素ガスを基板Wの表面に噴出する。これにより、基板Wの裏面に付着していた液滴が基板Wの表面に付着することを防止する。また、結露により基板Wの表面にパーティクル源となり得る水滴が付着することを防止する。
【0090】
表面側気体噴出ノズル75からの窒素ガスの噴出は、噴出ノズル39からの二酸化炭素の粒子の噴出を停止した後も予め設定された期間で継続してもよい。窒素ガスの噴出を停止させるときは、開閉弁V5を閉める。基板Wの表面への窒素ガスの噴出を停止した後、ノズル移動部77は、基板Wの中央の上方位置から待機位置に表面側気体噴出ノズル75を移動させる。
【0091】
〔ステップS08〕基板の搬出
図8を参照する。その後、チャック駆動部24は、チャック23A,23BをX方向に互いに遠ざける。これにより、基板Wは、チャック23A,23Bから支持部材25A,25Bに引き渡される。その後、搬送ロボットTRは、そのハンドRHを処理室17に入室させて、支持部材25A,25Bに載置された基板WをハンドRHで受け取る。その後、搬送ロボットTRは、基板Wを支持するハンドRHを処理室17から退室させて、次の目的地にその基板Wを搬送する。
【0092】
本実施例によれば、基板Wの裏面外側領域は洗浄液が供給された状態で裏面洗浄ブラシ33により洗浄されるので、比較的効率よくパーティクルを除去できる。これに対し、裏面中央領域はパーティクル源となる液滴が残りやすいので、噴出ノズル39により裏面中央領域に二酸化炭素の粒子を噴出して裏面中央領域を洗浄する。基板Wの裏面中央領域に二酸化炭素の粒子を衝突させることで、裏面中央領域の付着物を除去して裏面中央領域を清浄化させることができる。また、二酸化炭素の粒子は、昇華により、固体から直接気体に変化する。そのため、乾燥状態で裏面中央領域を洗浄でき、それにより、パーティクル源となる液滴が残ることを防止する。したがって、パーティクルの付着を防止しながら基板を洗浄することができる。
【0093】
また、制御部90は、裏面洗浄ブラシ33を用いて基板Wの裏面外側領域を洗浄させ、その後、二酸化炭素の粒子を噴出して基板Wの裏面中央領域を洗浄させる。従来の手法のように、裏面中央領域を洗浄した後に裏面外側領域を洗浄すると、裏面外側領域を洗浄するために保持回転部3で基板Wを保持するので、基板Wの裏面中央領域に保持回転部3のチャック痕が残る場合がある。しかし、裏面外側領域を洗浄した後に裏面中央領域を洗浄すると、噴出ノズル39から噴出された二酸化炭素の粒子により裏面中央領域に残ったチャック痕を除去することができる。このチャック痕の除去は、乾燥状態で行うことができるので、パーティクルの付着を防止することができる。
【0094】
図9(a)、
図9(b)等を参照しつつ本実施例の効果を補足する。従来の基板処理装置において、裏面洗浄ブラシ(下面ブラシ)233により基板Wの裏面中央領域BCを洗浄した際に、裏面中央領域BCに洗浄液の液滴が残る。液滴は、噴出ノズルから帯状の窒素ガスを噴出することで乾燥される。具体的には、乾燥は、窒素ガスで液滴を移動させることで行われる。例えば、帯状の窒素ガスによって、液滴は、吸着保持部221の保持領域R1の外の領域R2に移動されたとする。その後、例えば、基板Wが周縁保持部から保持回転部に搬送される間に領域R2に残った洗浄液(一部または全部)が乾燥することで、洗浄液の残っていた部分PLにパーティクルが生じる場合がある。また、その他に、窒素ガスによる処理液の移動が不十分でパーティクル源となる液滴が裏面中央領域BCに残る場合がある。
【0095】
その後、回転される基板Wの裏面外側領域(符号BO)が裏面洗浄ブラシ233によって洗浄されるが、裏面洗浄ブラシ233は、内周側の洗浄領域に限度があるので、領域R3を洗浄することができない。結果的に、
図9(b)に示すように、吸着保持部221の保持領域R1を取り囲む領域R3でパーティクルが付着する現象が見られた。すなわち、下面中央領域を洗浄した後の下面外側領域の洗浄では、パーティクル源となる液滴およびパーティクルが除去できない場合がある。本実施例は、窒素ガスによる乾燥が不十分でパーティクルが付着をすることが防止しながら基板を洗浄することができる。
【0096】
また、基板処理装置1は、噴出ノズル39を予め設定されたY方向に直線状に移動させる可動台11を備える。噴出ノズル39は、Y方向と直交するX方向に長手の噴出口39Aを有し、噴出口39Aは、X方向において、裏面中央領域を覆うように二酸化炭素の粒子を噴出する。可動台11が噴出ノズル39を移動させることで、裏面中央領域の全体を洗浄できる。そのため、裏面中央領域を効率よく洗浄することができる。
【0097】
また、保持回転部3、裏面洗浄ブラシ33および噴出ノズル39は、可動台11によって、一体的かつ直線状に移動させる。そのため、噴出ノズル39が保持回転部3および裏面洗浄ブラシ33に対して個別に移動される構成と比較して、シンプルに構成することができる。また、噴出ノズル39が保持回転部3と裏面洗浄ブラシ33の間に配置されるので、保持回転部3、裏面洗浄ブラシ33および噴出ノズル39が一体的に移動される範囲が小さく抑えられる。そのため、基板処理装置1をコンパクトに構成できる。
【0098】
また、噴出ノズル39は、二酸化炭素の粒子と窒素ガスとを選択的に噴出する。噴出ノズル39は、裏面洗浄ブラシ33で裏面外側領域をスクラブ洗浄するときに、窒素ガスを噴出する。保持回転部3と裏面洗浄ブラシ33の間に2個の噴出ノズル(二酸化炭素の粒子を噴出するための噴出ノズル39と窒素ガスを噴出する気体噴出ノズル92(後述する))を配置させなくてもよい。そのため、保持回転部3と裏面洗浄ブラシ33の隙間を小さくでき、その結果、裏面外側領域に対する裏面洗浄ブラシ33によるスクラブ洗浄をより内側まで行うことができる。すなわち、裏面中央領域を小さくできる。
【0099】
また、基板処理装置1は、噴出ノズル39により裏面中央領域に二酸化炭素の粒子を噴出しているときに、窒素ガスを基板Wの表面に噴出する表面側気体噴出ノズル75を備える。基板Wの裏面の液滴などが基板Wの裏面からその表面に回り込むことを防止すると共に、基板Wの表面の付近の湿度を低下させて基板Wの表面の結露を防止することができる。また、表面側気体噴出ノズル75は、加熱された窒素ガスを噴出する。基板Wを加熱することで、基板Wの表面および裏面の結露を防止し、また、基板Wの乾燥状態を維持できる。
【0100】
また、後述する裏面中央領域のスクラブ洗浄(
図10のステップS12)が行われず、裏面外側領域のスクラブ洗浄(ステップS03)と二酸化炭素の粒子による裏面中央領域の洗浄(ステップS07)とが行われる。そのため、洗浄時間を短縮できる。
次に、図面を参照して本発明の実施例2を説明する。なお、実施例1と重複する記載は省略されるか、簡単に説明される。実施例1では、処理室17に搬入された基板Wは、裏面洗浄ブラシ33により裏面中央領域の洗浄をさせずに、保持回転部3に搬送された。この点、実施例2では、処理室17に搬送された基板Wは、裏面洗浄ブラシ33により裏面中央領域の洗浄を行った後に、保持回転部3に搬送される。
具体的に説明する。回転駆動部34が裏面洗浄ブラシ33を鉛直軸AX2周りに回転させる。加えて、昇降駆動部36は、裏面洗浄ブラシ33を上昇させて裏面中央領域に裏面洗浄ブラシ33を接触させる。これにより、スクラブ洗浄が開始される。なお、スクラブ洗浄中に、Y方向移動部37は、保持回転部3に対して裏面洗浄ブラシ33をY方向に移動させずに静止させる。予め設定された期間の経過後、昇降駆動部36は、裏面洗浄ブラシ33を下降させて基板Wの裏面中央領域から裏面洗浄ブラシ33を離す。これにより、スクラブ洗浄が終了される。なお、上述した基板Wの周縁部が保持された基板Wの裏面中央領域を洗浄液が供給された状態で裏面洗浄ブラシ33によってスクラブ洗浄する動作が、本発明における事前ブラシ洗浄動作に相当する。
その後、ステップS02~S08は、実施例1のステップS02~S08と同じ動作が行われる。これらの動作を簡単に説明する。保持回転部3は、裏面中央領域がスクラブ洗浄された基板Wの裏面中央領域を保持すると共に、基板Wを水平姿勢で鉛直軸AX1周りに回転させる(ステップS02)。また、裏面洗浄ブラシ33は、保持回転部3で保持および回転された基板Wの裏面外側領域をスクラブ洗浄する(ステップS03)。回転基板Wは、スピン乾燥される(ステップS04)。なお、上述した裏面洗浄ブラシ33は、保持回転部3で保持および回転された基板Wの裏面外側領域をスクラブ洗浄する動作が、本発明におけるブラシ洗浄動作に相当する。
基板搬送部7は、裏面外側領域がスクラブ洗浄された基板Wを保持回転部3から周縁保持部5に搬送する(ステップS05)。周縁保持部5は、裏面外側領域がスクラブ洗浄された基板Wを保持する(ステップS06)。なお、上述した裏面外側領域がスクラブ洗浄された基板Wを保持回転部3から周縁保持部5に搬送する動作が、本発明における第2の基板搬送動作に相当する。
噴出ノズル39は、周縁保持部5で保持された基板Wの裏面中央領域に二酸化炭素の粒子を噴出して裏面中央領域を洗浄する(ステップS07)。搬送ロボットTRは、二酸化炭素の粒子の噴出により裏面中央領域が洗浄された基板Wを搬出する(ステップS08)。なお、上述した噴出ノズル39は、周縁保持部5で保持された基板Wの裏面中央領域に二酸化炭素の粒子を噴出して裏面中央領域を洗浄する動作が、本発明における粒子洗浄動作に相当する。
気体噴出ノズル92は、X方向に延びるスリット状の噴出口92Aを備える。気体噴出ノズル92は、平面視で噴出ノズル39と裏面洗浄ブラシ33の間に配置される。気体噴出ノズル92には、気体配管94が接続される。気体配管94の基端部は、開閉弁V3と不活性ガス供給源57の間の不活性ガス配管53に接続される。気体配管94には、開閉弁V6が設けられる。開閉弁V6は、不活性ガス供給源57から気体噴出ノズル92への窒素ガスの供給およびその供給の停止を行う。開閉弁V6が開状態でかつ、開閉弁V3が閉状態のとき、気体噴出ノズル92から窒素ガスを噴出できる。なお、気体噴出ノズル92は、本発明の気体噴出ノズルに相当する。開閉弁V6および不活性ガス供給源57が本発明の気体供給部に相当する。
なお、スリット状の噴出口39Aの幅WD1は、X方向において、裏面中央領域の直径D1よりも長くなるように形成されることで、二酸化炭素の粒子が衝突する領域に裏面中央領域が収まりやすくなる。そのため、X方向における裏面中央領域の両端部をより確実に洗浄できる。
(6)上述した各実施例および各変形例では、噴出ノズル39は、X方向に長手のスリット状の噴出口39Aを備え、二酸化炭素の粒子を噴出しながらY方向に移動された。この点、噴出口39Aは、X方向に長手に形成されていなくてもよい。この場合、上向きの噴出口39Aは、二酸化炭素の粒子を噴出しながら、駆動部(電動モータを有する)によってXY方向に移動されてもよい。また、予め設定された点を基点として噴出口39Aを二次元方向に揺動させて、噴出口39Aの向きを変えるように構成されていてもよい。
(8)上述した各実施例および各変形例では、基板搬送部7は、基板Wを搬送するために3本の支持ピン29を備えていた。この点、基板搬送部7は、3本の支持ピン29に代えて、搬送ロボットTRのハンドRHと同様のハンドを備えていてもよい。ハンドは、1枚の基板Wを保持し、ピン昇降駆動部31によって上下方向に昇降されるように構成されてもよい。また、移動可能なハンドRHを有する搬送ロボットTRが基板搬送部7を兼用してもよい。
(10)上述した各実施例および各変形例では、二酸化炭素供給源55は、液体の二酸化炭素を噴出ノズル39に供給した。この点、二酸化炭素供給源55は、キャリアガスで運ばれる二酸化炭素の粒子(固体)を噴出ノズル39に供給してもよい。
(11)上述した各実施例および各変形例では、裏面洗浄ブラシ33を作用させて基板Wの裏面を洗浄する方法として、裏面洗浄ブラシ33は、基板Wの裏面に接触してスクラブ洗浄した。この点、裏面洗浄ブラシ33は、基板Wの裏面に接触せずに基板Wの裏面に近接させ、かつ裏面洗浄ブラシ33と基板Wの裏面との間に洗浄液を満たした状態で基板Wの裏面を洗浄してもよい。
(12)上述した実施例1および各変形例では、裏面洗浄ブラシ33による基板外側領域の洗浄(ステップS03)の後に、二酸化炭素の粒子による裏面中央領域の洗浄(ステップS07)を行った。この点、二酸化炭素の粒子による裏面中央領域の洗浄後に、裏面洗浄ブラシ33による基板外側領域の洗浄を行ってもよい。