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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106200
(43)【公開日】2024-08-07
(54)【発明の名称】改装建具
(51)【国際特許分類】
   E06B 1/56 20060101AFI20240731BHJP
【FI】
E06B1/56 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023010382
(22)【出願日】2023-01-26
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】大東 正樹
(72)【発明者】
【氏名】筒井 淳司
【テーマコード(参考)】
2E011
【Fターム(参考)】
2E011JA02
2E011KA06
2E011KB03
2E011KC01
2E011KC09
2E011KD26
2E011KD28
2E011KD34
2E011KH01
(57)【要約】
【課題】突出部が設けられる既設枠に新設枠を取り付ける改装建具において、突出部を切断することなく、既設枠に新設枠を容易に取り付けることができる改装建具を提供すること。
【解決手段】、改装建具1は、建物躯体100の開口部11に設けられる既設枠2と、既設枠2の内周側に配置される新設枠3と、を備え、既設枠2及び新設枠3の間に配置されるアタッチメント4を備え、既設枠2は、既設枠2の内周側に突出する既設枠突出部217,237を有し、アタッチメント4が既設枠2に取り付けられた場合に、アタッチメント4と既設枠2との間には、既設枠突出部217,237が配置される空間S1,S2が形成される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物躯体の開口部に設けられる既設枠と、前記既設枠の内周側に配置される新設枠と、を備える改装建具であって、
前記既設枠及び前記新設枠の間に配置されるアタッチメントを備え、
前記既設枠は、前記既設枠の内周側に突出する既設枠突出部を有し、
前記アタッチメントが前記既設枠に取り付けられた場合に、前記アタッチメントと前記既設枠との間には、前記既設枠突出部が配置される空間が形成される、改装建具。
【請求項2】
前記既設枠は、室内外方向に延びる既設枠側室内外方向延在板を有し、
前記既設枠突出部は、前記既設枠側室内外方向延在板から前記既設枠の内周側に突出して形成され、
前記アタッチメントは、前記既設枠側に突出して前記既設枠側室内外方向延在板に当接するアタッチメント突出壁を有し、
前記既設枠突出部は、前記アタッチメント突出壁が前記既設枠側室内外方向延在板に当接した状態において、前記既設枠側室内外方向延在板から前記アタッチメント突出壁の突出長さの範囲に形成された前記空間に配置される、請求項1に記載の改装建具。
【請求項3】
前記アタッチメント突出壁は、室内外方向に離れて一対設けられ、
一対の前記アタッチメント突出壁は、いずれも、前記既設枠側室内外方向延在板に当接して配置され、
前記既設枠突出部は、室内外方向において一対の前記アタッチメント突出壁の間に配置される、請求項2に記載の改装建具。
【請求項4】
前記アタッチメントは、前記既設枠側室内外方向延在板に対向して室内外方向に延びるアタッチメント側室内外方向延在板を有し、
前記アタッチメント突出壁は、前記アタッチメント側室内外方向延在板の前記既設枠側の面から前記既設枠側に突出する、請求項2又は3に記載の改装建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、改装建具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物躯体の開口部をリフォーム等で改装する方法として開口部に新たな建具を設置するカバー工法が採用されている。カバー工法において、建物躯体の開口部に設けられる既設枠と、既設枠の内周側に配置される新設枠と、を備える改装建具が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の既設枠には、戸体を閉めた場合に戸体が当接する戸当たり部が設けられている。戸当たり部は、既設枠において、開口部の見付方向の内側の内周側に突出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-196667号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の建具においては、既設枠の戸当たり部が開口部の見付方向の内側の内周側に突出して設けられているため、戸当たり部を避けるように、戸当たり部の室外側に、新設枠を設けている。そのため、新設枠が室外側に寄った位置に配置されている。また、戸当たり部を切断して新設枠を設けることが考えられる。しかし、戸当たり部を切断することは煩雑である。そのため、戸当たり部(突出部)を切断することなく、新設枠の室内外方向の位置を室内側又は室外側に寄りすぎない適切な位置に容易に取り付けることができることが望まれる。
【0005】
本開示は、突出部が設けられる既設枠に新設枠を取り付ける改装建具において、突出部を切断することなく、既設枠に新設枠を容易に取り付けることができる改装建具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、建物躯体の開口部に設けられる既設枠と、前記既設枠の内周側に配置される新設枠と、を備える改装建具であって、前記既設枠及び前記新設枠の間に配置されるアタッチメントを備え、前記既設枠は、前記既設枠の内周側に突出する既設枠突出部を有し、前記アタッチメントが前記既設枠に取り付けられた場合に、前記アタッチメントと前記既設枠との間には、前記既設枠突出部が配置される空間が形成される、改装建具に関する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一実施形態の改装建具の正面図である。
図2図1のA-A線断面図であって、本実施形態の改装建具の上方側の部分の縦断面図である。
図3図1のB-B線断面図であって、本実施形態の改装建具の左右方向の端部の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の一実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1に示すように、本実施形態の改装建具1は、例えば、マンション等のビルなどの建物躯体100の開口部11に設けられる。図1は、改装建具1を室内側から見た様子を示している。改装建具1は、すでに設置されている既設枠2に、新設枠3を取り付ける改修を行って形成される。
【0009】
本明細書において、「見付方向」とは、建物躯体100の壁に形成された開口部11に納められた改装建具1における障子12の面材の面方向を意味し、「見込方向」とは、上記面材の厚さ方向(即ち、奥行き方向)を意味する。「見込方向」は室内外方向でもある。「見付面」は、改装建具1における室外側及び室内側に面するそれぞれの面を意味し、「見込面」は、改装建具1において室内外方向に延びる面を意味する。図面において、改装建具1の見込方向の室外側を室外側X1とし、改装建具1の見込方向の室内側を室内側X2とする。改装建具1の見付方向における横方向を左右方向とする。
【0010】
改装建具1は、図1に示すように、建物躯体100の開口部11に設置された既設枠2の内周側に、アタッチメント4(図2及び図3参照)を介して、新設枠3を取り付けることで構成される。改装建具1は、既設枠2と、新設枠3と、アタッチメント4(図2及び図3参照)と、を有する。新設枠3の内側には、障子12,12が開閉可能に納められる。
【0011】
既設枠2は、窓枠10と一体若しくは別体で構成され、開口部11に設けられる枠体である。既設枠2は、矩形の枠状に形成される。既設枠2は、アルミニウム製、アルミ樹脂複合製又は樹脂製の形材により構成される。既設枠2は、既設上枠21と、既設下枠22と、左右一対の既設縦枠23と、を有する。
【0012】
既設上枠21は、開口部11の上方で左右方向に沿って延びる長尺の部材である。既設下枠22は、開口部11の下方で左右方向に沿って延びる長尺の部材である。一対の既設縦枠23は、開口部11の左右方向の両端部で上下方向に延びる長尺の部材である。
【0013】
新設枠3は、アタッチメント4(図2及び図3参照)を介して、既設枠2の内周側に配置される。新設枠3は、矩形の枠状に形成される。新設枠3は、アルミニウム製の形材により構成される。新設枠3は、新設上枠31と、新設下枠32と、左右一対の新設縦枠33と、を有する。
【0014】
新設上枠31は、開口部11の上方で左右方向に沿って延びる長尺の部材である。新設下枠32は、開口部11の下方で左右方向に沿って延びる長尺の部材である。一対の新設縦枠33は、開口部11の左右方向の両端部で上下方向に延びる長尺の部材である。
【0015】
図2及び図3に示すように、アタッチメント4は、既設枠2と新設枠3の間に配置され、新設枠3を既設枠2に固定するための部材である。アタッチメント4は、アタッチメント上枠41(図2参照)と、アタッチメント下枠(図視せず)と、左右一対のアタッチメント縦枠43(図3参照)と、を有する。アタッチメント上枠41、アタッチメント下枠及び左右一対のアタッチメント縦枠43は、それぞれ、例えば、アルミニウム製の形材により構成される。
【0016】
アタッチメント上枠41、アタッチメント下枠、左右一対のアタッチメント縦枠43は、それぞれ、既設上枠21、既設下枠22、既設縦枠23の長手方向に沿って配置される。アタッチメント上枠41、アタッチメント下枠、左右一対のアタッチメント縦枠43は、既設上枠21、既設下枠22、既設縦枠23の長手方向において、間隔を空けて複数配置されてもよいし、既設上枠21、既設下枠22、既設縦枠23の長手方向に延びる1部材により構成されていてもよい。
【0017】
図2により、既設上枠21、新設上枠31及びアタッチメント上枠41の固定構造について説明する。
【0018】
既設上枠21は、図1に示すように、建物躯体100の開口部11の上部側に取り付けられている。既設上枠21は、図2に示すように、室内外方向に延びる室内外方向延在板211(既設枠側室内外方向延在板)と、室内外方向延在板211の室外側X1の端部から上方に突出する室外側突出板212(室外側突出板)と、室内外方向延在板211の室内側X2の端部から上方に突出する室内側突出板213(室内側突出板)と、室外側突出板212の上端から室内側X2に突出する室外側突出片214と、室内側突出板213の上端から室外側X1に突出する室内側突出片215と、室内側突出板213の上下方向の途中から室内側X2に突出する突出接続部216と、室内外方向延在板211の室内外方向の途中の室内側X2寄りの部分から下方に突出する突出部217(既設枠突出部)と、を有する。
【0019】
突出部217は、室内外方向延在板211から既設枠2の内周側に突出する。突出部217は、室内外方向延在板211から下方に突出する下方突出板217aと、下方突出板217aの下端に形成される気密材取付部217bと、を有する。本実施形態においては、突出部217は、既設の建具において、気密材が取り付けられると共に、既設の戸体が閉位置に位置する場合に戸体を受ける戸当たりとして用いられたものである。
【0020】
既設上枠21は、開口部11の上方において、室内側X2の端部が、突出接続部216を介して、建物躯体100の額縁部材101に固定されていると共に、室外側突出片214及び室内側突出片215において、建物躯体100に固定されている。
【0021】
アタッチメント上枠41は、既設上枠21と新設上枠31とを接続する。アタッチメント上枠41は、図2に示すように、開口部11の上方において、既設上枠21及び新設上枠31の間に配置される。アタッチメント上枠41は、既設上枠21の内周側に接続される。アタッチメント上枠41は、既設上枠21の下方に配置され、既設上枠21に固定される。
【0022】
アタッチメント上枠41は、室内外方向に延びる室内外方向延在板411(アタッチメント側室内外方向延在板)と、室内外方向延在板411の室内側X2の端部に配置され室内外方向に延びる室内側端部延出部412(室内側延出部)と、室内外方向延在板411の室内外方向の途中の室外側X1に形成され上方の既設上枠21側に突出する室外側突出板413(アタッチメント突出壁)と、室内外方向延在板411の室内外方向の途中の室内側X2に形成され上方の既設上枠21側に突出する室内側突出板414(アタッチメント突出壁)と、を有する。
【0023】
室内外方向延在板411は、既設上枠21の内周側において、既設上枠21の室内外方向延在板211に対向して配置される。室内外方向延在板411は、室内外方向の途中において、ネジ111により、既設上枠21の室内外方向延在板211及び建物躯体100に固定される。
【0024】
室外側突出板413及び室内側突出板414は、室内外方向延在板411の上面において室内外方向に離れて一対設けられ、室内外方向延在板411の上面(既設上枠21側の面)から上方側(既設上枠21側)に突出する。室外側突出板413及び室内側突出板414は、同じ長さに形成され、いずれの先端413a,414aも、既設上枠21の室内外方向延在板211の下面に当接する。
【0025】
アタッチメント上枠41が既設上枠21に取り付けられた場合に、アタッチメント上枠41と既設上枠21との間には、突出部217が配置される空間S1が形成される。空間S1は、室外側突出板413及び室内側突出板414が既設上枠21の室内外方向延在板211に当接した状態において、既設上枠21の室内外方向延在板211から室外側突出板413及び室内側突出板414の突出長さの範囲に形成される。空間S1は、既設上枠21の室内外方向延在板211、アタッチメント上枠41の室内外方向延在板411、室外側突出板413及び室内側突出板414で囲まれた部分であり、空間S1には、既設上枠21の突出部217が配置される。既設上枠21の突出部217は、室内外方向において、室外側突出板413及び室内側突出板414の間に配置される。
【0026】
既設上枠21の突出部217は、改装前の既設の建具において使用されたものであるが、本実施形態の改装建具1においては不要である。従来、改装建具において新設枠を設ける場合に、既設上枠21の突出部217を切断したり、既設上枠21の突出部217を避けるように新設枠を室外側に寄った位置に配置することがあった。
【0027】
これに対して、本実施形態においては、既設上枠21の室内外方向延在板211、アタッチメント上枠41の室内外方向延在板411、室外側突出板413及び室内側突出板414で囲まれた部分には、既設上枠21の突出部217が配置される空間S1が形成される。これにより、空間S1に既設上枠21の突出部217を配置することで、既設上枠21の突出部217を切断したり、既設上枠21の突出部217を避けるように新設上枠31を室外側に寄った位置に配置する必要がなく、新設上枠31を容易に設置することができる。
【0028】
既設上枠21の突出部217は、空間S1に配置されるように折り曲げてもよいし、既設上枠21の突出部217を折り曲げなくても空間S1に収容できる場合には折り曲げなくてもよい。本実施形態においては、図2に示すように、既設上枠21の突出部217を折り曲げずに、空間S1に配置している。
【0029】
室内外方向延在板411の室外側X1の端部の下面には、上枠カバー部51が固定される。上枠カバー部51は、室内側X2の端部に形成され室内外方向に延びる室内外方向延在板511と、室外側X1の端部に配置されるL字カバー部513(室外側部分)と、を有する。
【0030】
室内外方向延在板511は、アタッチメント上枠41の室内外方向延在板411の室外側X1の端部の下面に沿って配置される。室内外方向延在板511は、段差状に形成される。室内外方向延在板511は、アタッチメント上枠41の室内外方向延在板411の室外側X1の端部にネジ112により固定される。
【0031】
室内外方向延在板511の上面には、室内外方向延在板511の室外側X1の端部に形成され上方に延出する室外側上方延出部512が形成される。室外側上方延出部512の上端の室内側X2の面には、気密材514が取り付けられる。気密材514は、既設上枠21の下部側において、室外側上方延出部512と既設上枠21の室外側突出板212の室外側X1の面との間に配置される。
【0032】
L字カバー部513は、上枠カバー部51の室外側X1の端部に配置される。L字カバー部513は、既設上枠21よりも室外側X1に突出して配置され、室内側X2及び下方側に向けて開放するL字状に形成される。L字カバー部513は、新設上枠31の室外側X1に配置される。L字カバー部513は、新設上枠31の室外側X1の端部の少なくとも一部を覆うように配置される。
【0033】
新設上枠31は、図2に示すように、アタッチメント上枠41の内周側(アタッチメント上枠41の下方)に、スペーサ部材611を介して、取り付けられる。新設上枠31は、アタッチメント上枠41の室内外方向延在板411の下面との間に、板状のスペーサ部材611を挟んだ状態で、スペーサ部材611の下面に配置される。
【0034】
スペーサ部材611は、1枚以上のシートによって構成される。スペーサ部材611を構成するシートの厚み及びシートの積層数は、アタッチメント上枠41と新設上枠31との間の隙間の大きさ等に応じて適宜設定される。また、アタッチメント上枠41と新設上枠31との間の隙間の大きさによっては、スペーサ部材611を設けなくてもよい。
【0035】
新設上枠31は、新設上枠室外側中空部311と、新設上枠室内側中空部312と、横樋構造部313と、室内側端部延出板315と、室外側気密材取付部316と、下方突出取付片317,318と、を有する。
【0036】
新設上枠室外側中空部311及び新設上枠室内側中空部312は、中空状に形成され、室内外方向に並んで配置される。新設上枠室外側中空部311が室外側X1に配置され、新設上枠室内側中空部312が室内側X2に配置されている。新設上枠室外側中空部311は、室外側X1の上部の角部が凹んだ形状に形成される。新設上枠室内側中空部312は、室内側X2の下部の角部が凹んだ段差状に形成される。
【0037】
室内側端部延出板315は、新設上枠室内側中空部312の室内側X2の端部から室内側X2に延びる。室内側端部延出板315は、新設上枠31の室内側X2の端部側において、斜めに傾けたネジ113により、スペーサ部材611及びアタッチメント上枠41の室内側端部延出部412に固定される。
【0038】
下方突出取付片317,318は、新設上枠室外側中空部311及び新設上枠室内側中空部312の下面から下方に突出する。下方突出取付片317,318は、室内外方向に離れて配置される。新設上枠室外側中空部311及び新設上枠室内側中空部312の下部において、下方突出取付片317,318には、下方突出取付片317,318を跨るように樹脂製のアングル部材612が取り付けられている。
【0039】
アングル部材612には、室内側化粧カバー613が取り付けられる。室内側化粧カバー613は、室外側X1及び上方側が開放されたL字状に形成され、アタッチメント上枠41の室内側X2の端部側及び新設上枠31の室内側X2の端部側を覆うように配置される。
【0040】
室内側化粧カバー613と額縁部材101との境目は、ネジ614aによって額縁部材101に固定される断面L字状の見切り材614によって遮蔽されている。
【0041】
横樋構造部313は、新設上枠室外側中空部311の室外側X1に形成される。横樋構造部313は、下方に凹む凹状に形成されることで、上方に向けて開放する。これにより、横樋構造部313は、水を貯留して流すことができ、樋の機能を有する。横樋構造部313に浸入した水は、新設上枠31の長手方向の両端部に流れる。これにより、横樋構造部313を設けることにより、排水性能を向上できる。
【0042】
室外側気密材取付部316は、新設上枠31の室外側X1の端部において、室外側X1に向けて開放して形成される。室外側気密材取付部316には、気密材316aが取り付けられる。気密材316aは、新設上枠31の室外側X1の端部の室外側X1の面と、上枠カバー部51のL字カバー部513の下方(見付方向の内側)に突出する突出板513aの室内側X2の面との間に配置される。
【0043】
次に、図3により、既設縦枠23、新設縦枠33及びアタッチメント縦枠43の固定構造について説明する。
【0044】
既設縦枠23は、図1に示すように、建物躯体100の開口部11の左右方向の両端部に取り付けられている。既設縦枠23は、図3に示すように、室内外方向に延びる室内外方向延在板231(既設枠側室内外方向延在板)と、室内外方向延在板231の室外側X1の端部から左右方向の外側に突出する室外側突出板232(室外側突出板)と、室内外方向延在板211の室内側X2の端部から左右方向の外側に突出する室内側突出板233(室内側突出板)と、室外側突出板232の左右方向の外側の端部から室内側X2に突出する室外側突出片234と、室内側突出板233の左右方向の外側の端部から室外側X1に突出する室内側突出片235と、室内側突出板233の左右方向の途中から室内側X2に突出する突出接続部236と、室内外方向延在板231の室内外方向の途中の室内側X2寄りの部分から左右方向の内側に突出する突出部237(既設枠突出部)と、を有する。
【0045】
突出部237は、室内外方向延在板231から既設枠2の内周側に突出する。突出部237は、室内外方向延在板231から左右方向の内側に突出する見付方向突出板237aと、見付方向突出板237aの左右方向の内側の端部に形成される気密材取付部237bと、を有する。本実施形態においては、突出部237は、既設の建具において、気密材が取り付けられると共に、既設の戸体が閉位置に位置する場合に戸体を受ける戸当たりとして用いられたものである。
【0046】
既設縦枠23は、開口部11の左右方向の両端部において、室内側X2の端部が、突出接続部236を介して、建物躯体100の額縁部材103に固定されていると共に、室外側突出片234及び室内側突出片235において、建物躯体100に固定されている。
【0047】
アタッチメント縦枠43は、既設縦枠23と新設縦枠33とを接続する。アタッチメント縦枠43は、図3に示すように、開口部11の左右方向の両端部において、既設縦枠23及び新設縦枠33の間に配置される。アタッチメント縦枠43は、既設縦枠23の内周側に接続される。アタッチメント縦枠43は、既設縦枠23の左右方向の内側に配置され、既設縦枠23に固定される。
【0048】
アタッチメント縦枠43は、室内外方向に延びる室内外方向延在板431(アタッチメント側室内外方向延在板)と、室内外方向延在板431の室内側X2の端部に配置され室内外方向に延びる室内側端部延出部432(室内側延出部)と、室内外方向延在板431の室内外方向の途中の室外側X1に形成され左右方向の外側の既設縦枠23側に突出する室外側突出板433(アタッチメント突出壁)と、室内外方向延在板431の室内外方向の途中の室内側X2に形成され左右方向の外側の既設縦枠23側に突出する室内側突出板434(アタッチメント突出壁)と、を有する。
【0049】
室内外方向延在板431は、既設縦枠23の内周側において、既設縦枠23の室内外方向延在板231に対向して配置される。
【0050】
室外側突出板433及び室内側突出板434は、室内外方向延在板431の左右方向の外側の面において室内外方向に離れて一対設けられ、室内外方向延在板431の左右方向の外側の面(既設縦枠23側の面)から左右方向の外側(既設縦枠23側)に突出する。室外側突出板433及び室内側突出板434は、同じ長さに形成され、いずれの先端433a,434aも、既設縦枠23の室内外方向延在板231の左右方向の内側の面に当接する。
【0051】
アタッチメント縦枠43が既設縦枠23に取り付けられた場合に、アタッチメント縦枠43と既設縦枠23との間には、突出部237が配置される空間S2が形成される。空間S2は、室外側突出板433及び室内側突出板434が既設縦枠23の室内外方向延在板231に当接した状態において、既設縦枠23の室内外方向延在板231から室外側突出板433及び室内側突出板434の突出長さの範囲に形成される。空間S2は、既設縦枠23の室内外方向延在板231、アタッチメント縦枠43の室内外方向延在板431、室外側突出板433及び室内側突出板434で囲まれた部分であり、空間S2には、既設縦枠23の突出部237が配置される。既設縦枠23の突出部237は、室内外方向において、室外側突出板433及び室内側突出板434の間に配置される。
【0052】
既設縦枠23の突出部237は、改装前の既設の建具において使用されたものであるが、本実施形態の改装建具1においては不要である。従来、改装建具において新設枠を設ける場合に、既設縦枠23の突出部237を切断したり、既設縦枠23の突出部237を避けるように新設枠を室外側に寄った位置に配置することがあった。
【0053】
これに対して、本実施形態においては、既設縦枠23の室内外方向延在板231、アタッチメント縦枠43の室内外方向延在板431、室外側突出板433及び室内側突出板434で囲まれた部分には、既設縦枠23の突出部237が配置される空間S2が形成される。これにより、空間S2に既設縦枠23の突出部237を配置することで、既設縦枠23の突出部237を切断したり、既設縦枠23の突出部237を避けるように新設縦枠33を室外側に寄った位置に配置する必要がなく、新設縦枠33を容易に設置することができる。
【0054】
既設縦枠23の突出部237は、空間S2に配置されるように折り曲げてもよいし、既設縦枠23の突出部237を折り曲げなくても空間S2に収容できる場合には折り曲げなくてもよい。本実施形態においては、図3に示すように、既設縦枠23の突出部237を折り曲げて、空間S2に配置している。
【0055】
室内外方向延在板431の室外側X1の端部の左右方向の内側の面には、縦枠カバー部53が固定される。縦枠カバー部53は、室内側X2の端部に形成されL字状に形成されるL字接続部531と、L字接続部531の室外側X1の端部に配置されるL字カバー部533(室外側部分)と、を有する。
【0056】
L字接続部531は、アタッチメント縦枠43の室内外方向延在板431の室外側X1の端部の左右方向の内側の面に沿って配置され室内外方向延在板531aと、室内外方向延在板531aの室外側X1の端部から左右方向の外側に延びる見付方向延在板531bと、を有する。室内外方向延在板531aは、段差状に形成される。室内外方向延在板531aは、アタッチメント縦枠43の室内外方向延在板431の室外側X1の端部にネジ132により固定される。
【0057】
見付方向延在板531bの左右方向の外側の端部において、見付方向延在板531bの室内側X2の面には、気密材535が取り付けられる。気密材535は、既設縦枠23の左右方向の内側において、L字接続部531の見付方向延在板531bと既設縦枠23の室外側突出板232の室外側X1の面との間に配置される。
【0058】
L字カバー部533は、縦枠カバー部53の室外側X1の端部に配置される。L字カバー部533は、既設縦枠23よりも室外側X1に突出して配置され、室内側X2及び左右方向の内側に向けて開放するL字状に形成される。L字カバー部533は、新設縦枠33の室外側X1に配置される。L字カバー部533は、新設縦枠33の室外側X1の端部の少なくとも一部を覆うように配置される。
【0059】
新設縦枠33は、図3に示すように、アタッチメント縦枠43の内周側(アタッチメント縦枠43の左右方向の内側)に、スペーサ部材631を介して、取り付けられる。新設縦枠33は、アタッチメント縦枠43の室内外方向延在板431の左右方向の内側の面との間に、板状のスペーサ部材631を挟んだ状態で、スペーサ部材631の左右方向の内側の面に配置される。
【0060】
スペーサ部材631は、1枚以上のシートによって構成される。スペーサ部材631を構成するシートの厚み及びシートの積層数は、アタッチメント縦枠43と新設縦枠33との間の隙間の大きさ等に応じて適宜設定される。また、アタッチメント縦枠43と新設縦枠33との間の隙間の大きさによっては、スペーサ部材631を設けなくてもよい。
【0061】
新設縦枠33は、新設縦枠室外側中空部331と、新設縦枠室内側中空部332と、室内側端部延出板335と、室外側気密材取付部336と、見付方向突出取付片337,338と、を有する。
【0062】
新設縦枠室外側中空部331及び新設縦枠室内側中空部332は、いずれも室内外方向に延びる細長い長方形状の中空状に形成され、室内外方向に並んで配置される。新設縦枠室外側中空部331が室外側X1に配置され、新設縦枠室内側中空部332が室内側X2に配置されている。
【0063】
室内側端部延出板335は、新設縦枠室内側中空部332の室内側X2の端部から室内側X2に延びる。室内側端部延出板335は、新設縦枠33の室内側X2の端部側において、斜めに傾けたネジ133により、スペーサ部材631及びアタッチメント縦枠43の室内側端部延出部432に固定される。
【0064】
見付方向突出取付片337,338は、新設縦枠室外側中空部331及び新設縦枠室内側中空部332の左右方向の内側の面から左右方向の内側に突出する。見付方向突出取付片337,338は、室内外方向に離れて配置される。新設縦枠室外側中空部331及び新設縦枠室内側中空部332の下部において、見付方向突出取付片337,338には、見付方向突出取付片337,338を跨るように樹脂製のアングル部材632が取り付けられている。
【0065】
アングル部材632には、室内側化粧カバー633が取り付けられる。室内側化粧カバー633は、室外側X1及び左右方向の外側が開放されたL字状に形成され、アタッチメント縦枠43の室内側X2の端部側及び新設縦枠33の室内側X2の端部側を覆うように配置される。
【0066】
室内側化粧カバー633と額縁部材103との境目は、ネジ634aによって額縁部材103に固定される断面L字状の見切り材634によって遮蔽されている。
【0067】
室外側気密材取付部336は、新設縦枠33の室外側X1の端部において、室外側X1に向けて開放して形成される。室外側気密材取付部336には、気密材336aが取り付けられる。気密材336aは、新設縦枠33の室外側X1の端部の室外側X1の面と、縦枠カバー部53のL字カバー部533の左右方向の内側(見付方向の内側)に突出する突出板533aの室内側X2の面との間に配置される。
【0068】
本実施形態によれば、以下の効果が奏される。本実施形態の改装建具1においては、既設枠2(既設上枠21,既設縦枠23)は、既設枠2(既設上枠21、既設縦枠23)の内周側に突出する突出部217,237を有し、アタッチメント4が既設枠2に取り付けられた場合に、アタッチメント4(アタッチメント上枠41,アタッチメント縦枠43)と既設枠2(既設上枠21,既設縦枠23)との間には、突出部217,237が配置される空間S1,S2が形成される。これにより、既設枠2(既設上枠21、既設縦枠23)の突出部217,237を切断したり、既設枠2(既設上枠21、既設縦枠23)の突出部217,237を避けるように配置する必要がなく、新設枠3(新設上枠31,新設縦枠33)を容易に設置することができる。
【0069】
本実施形態においては、既設枠2(既設上枠21,既設縦枠23)の突出部217,237は、アタッチメント4(アタッチメント上枠41,アタッチメント縦枠43)の室外側突出板413,433及び室内側突出板414,434が既設枠2(既設上枠21,既設縦枠23)の室内外方向延在板211,231に当接した状態において、既設枠2(既設上枠21,既設縦枠23)の室内外方向延在板211,231から室外側突出板413,433及び室内側突出板414,434の突出長さの範囲に形成された空間S1,S2に配置される。これにより、既設枠2(既設上枠21,既設縦枠23)の突出部217,237を配置する空間S1,S2を簡易な構成で設けることができる。
【0070】
本実施形態においては、既設枠2(既設上枠21,既設縦枠23)の突出部217,237は、室内外方向において、一対の突出板(一対の室外側突出板413及び室内側突出板414、一対の室外側突出板433及び室内側突出板434)の間に配置される。これにより、既設枠2(既設上枠21,既設縦枠23)の突出部217,237の室内外方向の両側に、一対の突出板(一対の室外側突出板413及び室内側突出板414、一対の室外側突出板433及び室内側突出板434)を配置して、室内外方向の2箇所において、既設枠2(既設上枠21,既設縦枠23)の室内外方向延在板211,231に当接させるため、安定した状態で、空間S1,S2を設けることができる。
【0071】
本実施形態においては、アタッチメント4(アタッチメント上枠41,アタッチメント縦枠43)の室外側突出板413,433及び室内側突出板414,434は、アタッチメント4(アタッチメント上枠41,アタッチメント縦枠43)の室内外方向延在板411,431の既設枠2側の面から既設枠2側に突出する。そのため、アタッチメント4(アタッチメント上枠41,アタッチメント縦枠43)の室内外方向延在板411,431を既設枠2(既設上枠21,既設縦枠23)の室内外方向延在板211,231に対向させた状態で、アタッチメント4を既設枠2の内周側に取り付けるだけで、既設枠2(既設上枠21,既設縦枠23)の突出部217,237を配置する空間S1,S2を容易に設けることができる。
【0072】
以上、本開示の改装建具の一実施形態について説明したが、本開示の改装建具は適宜変更可能である。例えば、本開示の改装建具は、上述した2枚の障子12,12を有するものに制限されず、3枚以上の障子を有するものであってもよいし、1枚だけの障子を有する片引き窓を構成するものであってもよい。さらに、本開示の改装建具は、辷り出し窓やFIX窓、上げ下げ窓、外倒し窓、内倒し窓、あるいは開き窓を構成するものであってもよい。
【0073】
前記実施形態では、アタッチメント上枠において、アタッチメント突出壁413,414を一対設け、アタッチメント縦枠において、アタッチメント突出壁433,434を一対設けたが、これに限定されない。アタッチメント突出壁は、1つ設けるだけでもよい。
【0074】
前記実施形態においては、既設枠を既設上枠及び既設縦枠とし、アタッチメントをアタッチメント上枠及びアタッチメント縦枠とし、新設枠を新設上枠及び新設縦枠とした場合について説明したが、これに限定されない。既設枠を既設下枠とし、アタッチメントをアタッチメント下枠とし、新設枠を新設下枠としてもよい。
【0075】
前記実施形態においては、突出部217,237(既設枠突出部)を、既設の建具において、気密材が取り付けられると共に、既設の戸体が閉位置に位置する場合に戸体を受ける戸当たりとしたが、これに限定されない。既設枠において使用していたが、改装する場合に必要が無くなった、既設枠から突出する突出部であればよい。
【符号の説明】
【0076】
1 改装建具、2 既設枠、3 新設枠、4 アタッチメント、11 開口部、21 既設上枠(既設枠)、23 既設縦枠(既設枠)、31 新設上枠(新設枠)、33 新設縦枠(新設枠)、41 アタッチメント上枠(アタッチメント)、43 アタッチメント縦枠(アタッチメント)、100 建物躯体、211 室内外方向延在板(既設枠側室内外方向延在板)、217 突出部(既設枠突出部)、231 室内外方向延在板(既設枠側室内外方向延在板)、237 突出部(既設枠突出部)、411 室内外方向延在板(アタッチメント側室内外方向延在板)、413 室外側突出板(アタッチメント突出壁)、414 室内側突出板(アタッチメント突出壁)、431 室内外方向延在板(アタッチメント側室内外方向延在板)、433 室外側突出板(アタッチメント突出壁)、434 室内側突出板(アタッチメント突出壁)、S1 空間、S2 空間
図1
図2
図3