(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106203
(43)【公開日】2024-08-07
(54)【発明の名称】複合プリフォーム、複合容器及び複合容器の製造方法
(51)【国際特許分類】
B29C 49/22 20060101AFI20240731BHJP
B65D 1/02 20060101ALI20240731BHJP
B29C 49/24 20060101ALI20240731BHJP
B29B 11/04 20060101ALI20240731BHJP
【FI】
B29C49/22
B65D1/02 110
B29C49/24
B29B11/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023010385
(22)【出願日】2023-01-26
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100202304
【弁理士】
【氏名又は名称】塙 和也
(72)【発明者】
【氏名】江口 誠
(72)【発明者】
【氏名】関根 章智
【テーマコード(参考)】
3E033
4F201
4F208
【Fターム(参考)】
3E033AA02
3E033BA17
3E033BB08
3E033CA07
3E033CA11
3E033CA16
3E033CA20
3E033DA03
3E033DB01
3E033DD02
3E033FA03
3E033GA02
4F201AA24
4F201AA50
4F201AG03
4F201AG07
4F201AH55
4F201AR12
4F201BA03
4F201BC02
4F201BC25
4F201BD06
4F201BM02
4F201BM05
4F201BM13
4F201BM14
4F208AA24
4F208AA50
4F208AG03
4F208AG07
4F208AH55
4F208AR12
4F208LA08
4F208LB01
4F208LB22
4F208LG03
4F208LG06
4F208LG28
4F208LG32
(57)【要約】
【課題】複合容器の衛生性を高めるとともに、複合容器の環境負荷を低減することが可能な、複合プリフォーム、複合容器及び複合容器の製造方法を提供する。
【解決手段】複合プリフォーム70は、内層21aと、内層21aの外側に配置された外層22aとを有するプリフォーム10aと、プリフォーム10aの外側を取り囲むように密着して設けられたプラスチック製部材40とを備えている。プリフォーム10aは、口部11aと、口部11aに連結された胴部20aと、胴部20aに連結された底部30aと、を有している。内層21aは、バージンポリエステル、バイオマス由来ポリエステル又はケミカルリサイクルポリエステルを含んでいる。外層22aは、メカニカルリサイクルポリエステルを含んでいる。胴部20aにおいて、外層22aの厚みt2は、内層21aの厚みt1の1倍以上12倍以下である。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合プリフォームにおいて、
内層と、前記内層の外側に配置された外層とを有するプリフォームと、
前記プリフォームの外側を取り囲むように密着して設けられたプラスチック製部材とを備え、
前記プリフォームは、
口部と、
前記口部に連結された胴部と、
前記胴部に連結された底部と、を有し、
前記内層は、バージンポリエステル、バイオマス由来ポリエステル又はケミカルリサイクルポリエステルを含み、
前記外層は、メカニカルリサイクルポリエステルを含み、
前記胴部において、前記外層の厚みは、前記内層の厚みの1倍以上12倍以下である、複合プリフォーム。
【請求項2】
前記外層の内面は、全体にわたって前記内層に覆われている、請求項1に記載の複合プリフォーム。
【請求項3】
複合容器において、
内層と、前記内層の外側に配置された外層とを有する容器本体と、
前記容器本体の外側に密着して設けられたプラスチック製部材とを備え、
前記容器本体は、
口部と、
前記口部の下方に設けられた胴部と、
前記胴部の下方に設けられた底部と、を有し、
前記内層は、バージンポリエステル、バイオマス由来ポリエステル又はケミカルリサイクルポリエステルを含み、
前記外層は、メカニカルリサイクルポリエステルを含み、
前記胴部において、前記外層の厚みは、前記内層の厚みの1倍以上12倍以下である、複合容器。
【請求項4】
前記外層の内面は、全体にわたって前記内層に覆われている、請求項3に記載の複合容器。
【請求項5】
複合容器の製造方法において、
内層と、前記内層の外側に配置された外層とを有するプリフォームを準備する工程と、
前記プリフォームの外側に、プラスチック製部材を設ける工程と、
前記プリフォーム及び前記プラスチック製部材に対して二軸延伸ブロー成形を施すことにより、前記プリフォーム及び前記プラスチック製部材を一体として膨張させる工程と、を備え、
前記プリフォームは、
口部と、
前記口部に連結された胴部と、
前記胴部に連結された底部と、を有し、
前記内層は、バージンポリエステル、バイオマス由来ポリエステル又はケミカルリサイクルポリエステルを含み、
前記外層は、メカニカルリサイクルポリエステルを含み、
前記胴部において、前記外層の厚みは、前記内層の厚みの1倍以上12倍以下である、複合容器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複合プリフォーム、複合容器及び複合容器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルは、機械的特性、化学的安定性、耐熱性、ガスバリア性及び透明性などに優れ、かつ安価であることから、飲料品などを充填する容器などの製造に広く使用されている。このような容器は、ポリエステル製のプリフォームを準備し、このプリフォームを用いてブロー成形することにより得られる。
【0003】
近年、環境負荷の低減を目的として、種々の方法によりリサイクルしたポリエステルが容器の製造に使用されている(例えば、特許文献1)。特許文献1では、中間層材料として、再生ポリエステルを用いる予備成形体が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、リサイクルを繰り返した場合、ポリエステルを重合するための触媒や、除去されず蓄積された汚染物質の内容物への溶出が懸念される。また、コンビニエンスストアなどにおいては、内容物が充填された容器を正立させ、ホットウォーマー内で加温し販売されているが、このような加温状態の場合に上記触媒の溶出は特に問題となる。
【0006】
本開示はこのような点を考慮してなされたものであり、複合容器の衛生性を高めるとともに、複合容器の環境負荷を低減することが可能な、複合プリフォーム、複合容器及び複合容器の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1の態様は、複合プリフォームにおいて、内層と、前記内層の外側に配置された外層とを有するプリフォームと、前記プリフォームの外側を取り囲むように密着して設けられたプラスチック製部材とを備え、前記プリフォームは、口部と、前記口部に連結された胴部と、前記胴部に連結された底部と、を有し、前記内層は、バージンポリエステル、バイオマス由来ポリエステル又はケミカルリサイクルポリエステルを含み、前記外層は、メカニカルリサイクルポリエステルを含み、前記胴部において、前記外層の厚みは、前記内層の厚みの1倍以上12倍以下である、複合プリフォームである。
【0008】
本開示の第2の態様は、上述した第1の態様による複合プリフォームにおいて、前記外層の内面は、全体にわたって前記内層に覆われていても良い。
【0009】
本開示の第3の態様は、複合容器において、内層と、前記内層の外側に配置された外層とを有する容器本体と、前記容器本体の外側に密着して設けられたプラスチック製部材とを備え、前記容器本体は、口部と、前記口部の下方に設けられた胴部と、前記胴部の下方に設けられた底部と、を有し、前記内層は、バージンポリエステル、バイオマス由来ポリエステル又はケミカルリサイクルポリエステルを含み、前記外層は、メカニカルリサイクルポリエステルを含み、前記胴部において、前記外層の厚みは、前記内層の厚みの1倍以上12倍以下である、複合容器である。
【0010】
本開示の第4の態様は、上述した第3の態様による複合容器において、前記外層の内面は、全体にわたって前記内層に覆われていても良い。
【0011】
本開示の第5の態様は、複合容器の製造方法において、内層と、前記内層の外側に配置された外層とを有するプリフォームを準備する工程と、前記プリフォームの外側に、プラスチック製部材を設ける工程と、前記プリフォーム及び前記プラスチック製部材に対して二軸延伸ブロー成形を施すことにより、前記プリフォーム及び前記プラスチック製部材を一体として膨張させる工程と、を備え、前記プリフォームは、口部と、前記口部に連結された胴部と、前記胴部に連結された底部と、を有し、前記内層は、バージンポリエステル、バイオマス由来ポリエステル又はケミカルリサイクルポリエステルを含み、前記外層は、メカニカルリサイクルポリエステルを含み、前記胴部において、前記外層の厚みは、前記内層の厚みの1倍以上12倍以下である、複合容器の製造方法である。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、複合容器の衛生性を高めるとともに、複合容器の環境負荷を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、一実施の形態による複合容器を示す部分垂直断面図である。
【
図2】
図2は、一実施の形態による複合容器を示す断面図(
図1のII-II線断面図)である。
【
図3】
図3は、一実施の形態による複合プリフォームを示す部分垂直断面図である。
【
図4】
図4は、一実施の形態による複合プリフォームを示す断面図(
図3のIV-IV線断面図)である。
【
図5】
図5(a)-(d)は、各種プラスチック製部材を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、一実施の形態によるプリフォームの製造方法を示す図である。
【
図7】
図7は、一実施の形態によるプリフォームの製造方法を示す図である。
【
図8】
図8は、一実施の形態によるプリフォームの製造方法を示す図である。
【
図9】
図9は、一実施の形態によるプリフォームの製造方法を示す図である。
【
図10】
図10(a)-(f)は、一実施の形態による複合容器の製造方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して一実施の形態について説明する。
図1乃至
図10は一実施の形態を示す図である。以下に示す各図は、模式的に示した図である。そのため、各部の大きさ、形状は理解を容易にするために、適宜誇張している。また、技術思想を逸脱しない範囲において適宜変更して実施できる。なお、以下に示す各図において、同一部分には同一の符号を付しており、一部詳細な説明を省略する場合がある。また、本明細書中に記載する各部材の寸法等の数値及び材料名は、実施の形態としての一例であり、これに限定されることなく、適宜選択して使用できる。本明細書において、形状や幾何学的条件を特定する用語、例えば平行や直交、垂直等の用語については、厳密に意味するところに加え、実質的に同じ状態も含めて解釈することとする。
【0015】
<複合容器と複合プリフォーム>
まず、
図1乃至
図5により、本実施の形態による複合容器10A及び本実施の形態による複合プリフォーム70について説明する。なお、本明細書中、「上」及び「下」とは、それぞれ複合容器10A及び複合プリフォーム70を正立させた状態(
図1及び
図3)における上方及び下方のことをいう。
【0016】
(複合容器)
まず、
図1及び
図2により、複合容器10Aについて説明する。複合容器10Aは、プリフォーム10a及びプラスチック製部材40aを備える複合プリフォーム70(
図3及び
図4参照)に対してブロー成形を施すことにより、プリフォーム10a及びプラスチック製部材40aを一体として膨張させて得られる容器である。
【0017】
図1に示すように、複合容器10Aは、内層21と、内層21の外側に配置された外層22とを有する容器本体10と、容器本体10の外側に密着して設けられたプラスチック製部材40とを備えている。容器本体10の内層21及び外層22は、互いに一体に形成されている。また、プラスチック製部材40は、容器本体10の外面に薄く延ばされた状態で密着されており、容器本体10に対して容易に移動又は回転しない状態で取付けられている。
【0018】
(容器本体)
次に、容器本体10について詳述する。
図1に示すように、本実施の形態において、容器本体10は、口部11と、口部11の下方に設けられた胴部20と、胴部20の下方に設けられた底部30と、を有している。具体的には、容器本体10は、口部11と、口部11に連結された首部13と、首部13に連結された肩部12と、肩部12に連結された胴部20と、胴部20に連結された底部30とを有している。このうち口部11は、図示しないキャップが螺着されるネジ部14と、ネジ部14の下方に設けられたフランジ部17とを含んでいる。このような口部11から容器本体10に内容液等の内容物が充填され、口部11に図示しないキャップが螺着されることにより、内容物入り複合容器が作製される。なお、口部11の形状は、従来公知の形状であっても良い。
【0019】
首部13は、フランジ部17と肩部12との間に位置しており、略均一な径をもつ略円筒形状を有している。
【0020】
肩部12は、首部13と胴部20との間に設けられ、下方に向けて外径が徐々に拡大する形状を有している。
【0021】
胴部20は、全体として略均一な径をもつ円筒形状を有している。しかしながら、これに限られるものではなく、胴部20が四角形筒形状や八角形筒形状等の多角形筒形状を有していても良い。あるいは、胴部20が上方から下方に向けて均一でない水平断面をもつ筒形状を有していても良い。胴部20の外面には、例えば、減圧吸収パネル又は溝等の凹凸が形成されていても良い。
【0022】
底部30は、中央に位置する陥没部31と、陥没部31の周囲に設けられた接地部32とを有している。これにより、容器本体10内に加熱された内容物を充填したときや、充填後に内容物を加熱したときにおける内圧の増減による容器本体10の変形を抑制できる。なお、底部30の形状についても特に限定されるものではなく、従来公知の底部形状(例えばペタロイド底形状や丸底形状等)を有していても良い。
【0023】
このような容器本体10は、容量/重量が、5mL/g以上50mL/g以下であることが好ましく、8mL/g以上45mL/g以下であることがより好ましい。容器本体10の容量/重量が5mL/g以上であることにより、容器本体10のブロー成形性を向上できる。また、容器本体10の容量/重量が50mL/g以下であることにより、容器本体10の耐熱性及び強度を向上できる。
【0024】
(容器本体の内層)
次に、容器本体10の内層21について説明する。
図1に示すように、内層21は、口部11の上端から、底部30にかけて設けられており、外層22の内面は、全体にわたって内層21に覆われている。これにより、外層22に後述するメカニカルリサイクルポリエステルを使用し、自動販売機などの中において横に倒した状態で加温保管した場合であっても、内容物への触媒(例えば、アンチモン)の溶出を効果的に抑制できる。
【0025】
内層21は、バージンポリエステル、バイオマス由来ポリエステル又はケミカルリサイクルポリエステル(以下、単にバージンポリエステル等とも記す)を含んでいる。これにより、後述するように外層22にメカニカルリサイクルポリエステルを使用した場合であっても、内容物への触媒(例えば、アンチモン)の溶出を抑制できる。ここで、本明細書中、「バージンポリエステル」とは、リサイクル処理が施されていないポリエステル、すなわち、未使用のポリエステルのことをいう。また、本明細書中、「バイオマス由来ポリエステル」とは、バイオマス由来のモノマーを含む原料から得られたポリエステルのことをいう。また、本明細書中、「ケミカルリサイクルポリエステル」とは、ポリエステル容器をモノマーレベルまで分解して、再度重合することにより得られたポリエステルのことをいう。
【0026】
内層21において、バージンポリエステル等の含有量は、内層21に含まれる樹脂材料の総量100質量部に対し、20質量部以上100質量部以下であることが好ましく、60質量部以上90質量部以下であることがより好ましい。バージンポリエステル等の含有量が20質量部以上であることにより、後述するようにメカニカルリサイクルポリエステルを含む外層22と、内層21との密着性を向上でき、内層21と外層22との間のデラミネーションを抑制できる。また、バージンポリエステル等の含有量が60質量部以上であることにより、メカニカルリサイクルポリエステルを含む外層22と、内層21との密着性をより向上でき、内層21と外層22との間のデラミネーションをより効果的に抑制できる。さらに、バージンポリエステル等の含有量が90質量部以下であることにより、例えばバリア性等の機能を有する樹脂をバージンポリエステル等とブレンドした際に、内層21内における当該樹脂の分散効率を向上できる。なお、内層21には、後述するメカニカルポリエステルが含まれていないことが好ましい。これにより、複合容器10Aの衛生性を高めることができる。
【0027】
内層21がバージンポリエステルを含んでいる場合、バージンポリエステルは、アンチモン触媒ポリエステル、マンガン触媒ポリエステル、チタン触媒ポリエステル、アルミニウム触媒ポリエステル、リチウム触媒ポリエステル及びゲルマニウム触媒ポリエステルから選択されても良い。本明細書において、例えば、アンチモン触媒ポリエステルとは、ポリエステルの製造時に、重合触媒として、アンチモン触媒が用いられたポリエステルを意味する。したがって、上記列挙したポリエステルは、重合触媒として、それぞれの触媒が用いられたポリエステルを意味する。
【0028】
アンチモン触媒としては、例えば、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、酢酸アンチモン、トリフェニルアンチモン及びアンチモングリコールなどが挙げられる。
【0029】
マンガン触媒としては、例えば、酢酸マンガンなどの脂肪酸マンガン塩、炭酸マンガン、塩化マンガン、マンガンのアセチルアセトナート塩及び水酸化マンガンなどが挙げられる。
【0030】
チタン触媒としては、例えば、テトラ-n-プロピルチタネート、テトラ-i-プロピルチタネート、テトラ-n-ブチルチタネート、テトラ-n-ブチルチタネートテトラマー、テトラ-t-ブチルチタネート、テトラシクロヘキシルチタネート、テトラフェニルチタネート、テトラベンジルチタネート等のチタンアルコキシド、チタンアルコキシドの加水分解により得られるチタン酸化物、酢酸チタン、シュウ酸チタン、シュウ酸チタンカリウム、シュウ酸チタンナトリウム、チタン酸カリウム、チタン酸ナトリウム、チタン酸-水酸化アルミニウム混合物、塩化チタン、塩化チタン-塩化アルミニウム混合物、臭化チタン、フッ化チタン、六フッ化チタン酸カリウム、六フッ化チタン酸コバルト、六フッ化チタン酸マンガン、六フッ化チタン酸アンモニウム及びチタンアセチルアセトナートなどが挙げられる。
【0031】
アルミニウム触媒としては、例えば、アルミニウムトリスアセチルアセテート、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)及びエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレートなどが挙げられる。
【0032】
リチウム触媒としては、例えば、エチルリチウム、プロピルリチウム、n-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウム、tert-ブチルリチウム及びフェニルリチウムなどが挙げられる。
【0033】
ゲルマニウム触媒としては、例えば、二酸化ゲルマニウム、四酸化ゲルマニウム、ゲルマニウムテトラメトキシド、ゲルマニウムテトラエトキシド、ゲルマニウムテトラプロポキシド、ゲルマニウムテトラブトキシド、ゲルマニウムテトラペンタキシド及びゲルマニウムテトラヘキソキシドなどが挙げられる。
【0034】
ここで、本実施の形態において、「ポリエステル」とは、ジカルボン酸化合物とジオール化合物との共重合体を意味する。
【0035】
ジカルボン酸化合物としては、例えば、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、エイコサンジオン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、メチルマロン酸及びエチルマロン酸、アダマンタンジカルボン酸、ノルボルネンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、デカリンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、1,8-ナフタレンジカルボン酸、4,4’-ジフェニルジカルボン酸、4,4’-ジフェニルエーテルジカルボン酸、5-ナトリウムスルホイソフタル酸、フェニルエンダンジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、フェナントレンジカルボン酸、9,9’-ビス(4-カルボキシフェニル)フルオレン酸及びこれらのエステル誘導体などが挙げられる。
【0036】
ジオール化合物としては、例えば、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、ブタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジエタノール、デカヒドロナフタレンジメタノール、デカヒドロナフタレンジエタノール、ノルボルナンジメタノール、ノルボルナンジエタノール、トリシクロデカンジメタノール、トリシクロデカンエタノール、テトラシクロドデカンジメタノール、テトラシクロドデカンジエタノール、デカリンジメタノール、デカリンジエタノール、5-メチロール-5-エチル-2-(1,1-ジメチル-2-ヒドロキシエチル)-1,3-ジオキサン、シクロヘキサンジオール、ビシクロヘキシル-4,4’-ジオール、2,2-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシルプロパン)、2,2-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)シクロヘキシル)プロパン、シクロペンタンジオール、3-メチル-1,2-シクロペンタジオール、4-シクロペンテン-1,3-ジオール、アダマンジオール、パラキシレングリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールS,スチレングリコール、トリメチロールプロパン及びペンタエリスリトールなどが挙げられる。
【0037】
ポリエステルの中でも、テレフタル酸と、エチレングリコールとの共重合体であるポリエチレンテレフタレート、又はこれに共重合モノマーが添加された改質ポリエチレンテレフタレートが好ましい。
【0038】
また、ポリエステルは、バイオマス由来のポリエチレンテレフタレートであっても良く、化石燃料由来のポリエチレンテレフタレートであっても良い。バイオマス由来のポリエチレンテレフタレートは、ジカルボン酸化合物が化石燃料由来のテレフタル酸であり、ジオール化合物がバイオマス由来のエチレングリコールであるポリエチレンテレフタレートであっても良い。このように、内層21がバイオマス由来のポリエチレンテレフタレートを含むことにより、複合容器10Aの環境負荷を更に低減できる。
【0039】
一例として、「バイオマス由来ポリエステル」のバイオマス度は、3%以上である。「バイオマス度」は、放射性炭素(C14)測定によるバイオマス由来の炭素の含有量を測定した値である。大気中の二酸化炭素には、C14が一定割合(105.5pMC)で含まれている。このため、大気中の二酸化炭素を取り入れて成長する植物、例えばトウモロコシ中のC14含有量も105.5pMC程度であることが知られている。また、化石燃料中にはC14が殆ど含まれていないことも知られている。したがって、ポリエステル中の全炭素原子中に含まれるC14の割合を測定することにより、バイオマス由来の炭素の割合を算出することができる。
【0040】
例えば、ポリエステル中のC14の含有量をPC14とした場合の、バイオマス由来の炭素の含有量Pbioは、以下のようにして求められる。
Pbio(%)=PC14/105.5×100
【0041】
本実施の形態の特性を損なわない範囲において、ポリエステルは、ジカルボン酸化合物及びジオール化合物以外のモノマーを含んでいても良い。この場合、その含有量は、全構成単位に対し、10モル%以下であることが好ましく、5モル%以下であることがより好ましく、3モル%以下であることがさらに好ましい。
【0042】
本実施の形態の特性を損なわない範囲において、内層21は、添加剤を含んでいても良い。添加剤としては、例えば、酸素吸収剤、ガスバリア性樹脂(ナイロン6、ナイロン6,6及びポリメタキシリレンアジパミド(MXD6)などのポリアミド)、可塑剤、紫外線安定化剤、酸化防止剤、着色防止剤、艶消し剤、消臭剤、難燃剤、耐候剤、帯電防止剤、糸摩擦低減剤、スリップ剤、離型剤、抗酸化剤、イオン交換剤、アセトアルデヒド吸収剤(例えば、Color Matrix社製のAA Scavengers)及び着色剤などが挙げられる。
【0043】
容器本体10の胴部20における内層21の厚み(径方向距離)T1は、容器本体10の胴部20の任意の領域において、0.02mm以上0.48mm以下であることが好ましく、0.05mm以上0.4mm以下であることがより好ましい。内層21の厚みT1が0.02mm以上であることにより、外層22にメカニカルリサイクルポリエステルを使用した場合であっても、外層22に含まれるメカニカルリサイクルポリエステルが内層21の内面から露出することを効果的に抑制できる。このため、複合容器10Aにおいて、内容物への触媒(例えば、アンチモン)の溶出を効果的に抑制できる。また、内層21の厚みT1が0.48mm以下であることにより、容器本体10における外層22の割合を増やすことができ、複合容器10Aの環境負荷をより低減できる。なお、胴部20の外面に減圧吸収パネル又は溝等の凹凸が形成されている場合、内層21の厚みT1は、当該凹凸が形成されていない領域で測定する。
【0044】
(容器本体の外層)
次に、容器本体10の外層22について説明する。
図1に示すように、外層22は、口部11の上部から、底部30にかけて設けられている。このように、容器本体10の口部11にも外層22が存在することにより、容器本体10において、バージンポリエステル等の使用量に対する、後述するメカニカルリサイクルポリエステルの使用量を多くできる。このため、複合容器10Aの環境負荷をより低減できる。なお、上述したように、外層22の内面は、全体にわたって内層21に覆われている。
【0045】
外層22は、メカニカルリサイクルポリエステルを含んでいる。これにより、本実施の形態の複合容器10Aの環境負荷を低減できる。ここで、本明細書中、「メカニカルリサイクルポリエステル」とは、ポリエステル容器を選別・粉砕・洗浄して汚染物質や異物を除去し、フレークを得て、フレークを更に高温・減圧下等で一定時間処理して樹脂内部の汚染物質を除去することにより得られたポリエステルのことをいう。メカニカルリサイクルポリエステルは、二種以上の触媒を含むものであっても良い。この場合、メカニカルリサイクルポリエステルは、例えば、アンチモン触媒ポリエステル、マンガン触媒ポリエステル、チタン触媒ポリエステル、アルミニウム触媒ポリエステル、リチウム触媒ポリエステル及びゲルマニウム触媒ポリエステルのうちの二種以上を含んでも良い。
【0046】
ここで、上述したように、ポリエステルは、ポリエチレンテレフタレートであることが好ましい。この場合、一例として、メカニカルリサイクルポリエステル(メカニカルリサイクルポリエチレンテレフタレート)は、アンチモン元素を20mg/L以上54mg/L以下、好ましくは25mg/L以上50mg/L以下の割合で含有する。別の一例として、メカニカルリサイクルポリエチレンテレフタレートは、ナトリウム元素を12mg/L以上、好ましくは14mg/L以上の割合で含有する。又は、メカニカルリサイクルポリエチレンテレフタレートは、カルシウム元素を4mg/L以上、好ましくは4.5mg/L以上の割合で含有する。又は、メカニカルリサイクルポリエチレンテレフタレートは、マグネシウム元素を2.5mg/L以上、好ましくは3.0mg/L以上の割合で含有する。
【0047】
外層22において、メカニカルリサイクルポリエステルの含有量は、外層22に含まれる樹脂材料の総量100質量部に対し、20質量部以上100質量部以下であることが好ましく、60質量部以上90質量部以下であることがより好ましい。メカニカルリサイクルポリエステルの含有量が20質量部以上であることにより、複合容器10Aの環境負荷をより低減できる。また、メカニカルリサイクルポリエステルの含有量が60質量部以上であることにより、複合容器10Aの環境負荷を更に低減できる。さらに、メカニカルリサイクルポリエステルの含有量が90質量部以下であることにより、例えばバリア性等の機能を有する樹脂をメカニカルリサイクルポリエステルとブレンドした際に、外層22内における当該樹脂の分散効率を向上できる。
【0048】
また、容器本体10において、メカニカルリサイクルポリエステルの含有量は、容器本体10に含まれる樹脂材料の総量100質量部に対し、40質量部以上85質量部以下であることが好ましく、60質量部以上80質量部以下であることがより好ましい。メカニカルリサイクルポリエステルの含有量が、容器本体10に含まれる樹脂材料の総量100質量部に対し、40質量部以上であることにより、複合容器10Aの環境負荷をより低減できる。また、メカニカルリサイクルポリエステルの含有量が、容器本体10に含まれる樹脂材料の総量100質量部に対し、85質量部以下であることにより、容器本体10において外層22に含まれるメカニカルリサイクルポリエステルが内層21の内面から露出することを抑制できる。
【0049】
さらに、容器本体10の溶出アンチモン濃度は、6ppb未満であることが好ましく、3ppb未満であることがより好ましい。溶出アンチモン濃度が6ppb未満であることにより、アメリカ食品医薬品局(FDA)の21CFR(連邦法第21章)において推奨される値が満たされることとなるため好ましい。また、容器本体10に充填する内容物の種類によっては、既に微量のアンチモンを含んでいる場合がある。容器本体10の溶出アンチモン濃度が3ppb未満であることにより、内容物へ最終的に溶存するアンチモンを低減できる。なお、本実施の形態において、「容器本体の溶出アンチモン濃度」とは、容器本体10内に23℃の超純水を充填し、水が充填された容器本体10を横に倒した状態で、70℃の環境下において14日間静置した後、容器本体10から取り出した水に含まれるアンチモンの濃度を意味する。
【0050】
本実施の形態の特性を損なわない範囲において、外層22は、添加剤を含んでいても良い。添加剤としては、例えば、酸素吸収剤、ガスバリア性樹脂(ナイロン6、ナイロン6,6及びポリメタキシリレンアジパミド(MXD6)などのポリアミド)、可塑剤、紫外線安定化剤、酸化防止剤、着色防止剤、艶消し剤、消臭剤、難燃剤、耐候剤、帯電防止剤、糸摩擦低減剤、スリップ剤、離型剤、抗酸化剤、イオン交換剤、アセトアルデヒド吸収剤(例えば、Color Matrix社製のAA Scavengers)及び着色剤などが挙げられる。
【0051】
容器本体10の胴部20における外層22の厚み(径方向距離)T2は、容器本体10の胴部20の任意の領域において、0.02mm以上0.48mm以下であることが好ましく、0.05mm以上0.4mm以下であることがより好ましい。外層22の厚みT2が0.02mm以上であることにより、容器本体10における外層22の割合を増やすことができ、複合容器10Aの環境負荷をより低減できる。また、外層22の厚みT2が0.48mm以下であることにより、容器本体10を薄肉化できる。なお、胴部20の外面に減圧吸収パネル又は溝等の凹凸が形成されている場合、外層22の厚みT2は、当該凹凸が形成されていない領域で測定する。
【0052】
また、容器本体10の胴部20において、外層22の厚みT2は、内層21の厚みT1の1倍以上12倍以下であっても良い。外層22の厚みT2が内層21の厚みT1の1倍以上であることにより、容器本体10における外層22の割合を増やすことができ、複合容器10Aの環境負荷をより低減できる。また、外層22の厚みT2が内層21の厚みT1の12倍以下であることにより、外層22に含まれるメカニカルリサイクルポリエステルが容器本体10の内面から露出することを効果的に抑制しつつ、容器本体10を薄肉化できる。
【0053】
このような容器本体10は、容器本体10内に高温の内容物を充填した場合や、内容物充填後に内容物を加温した場合であっても、内容物にアンチモンなどが溶出することを抑制できる。このため、複合容器10Aは、加温用容器として好適に用いることができる。
【0054】
なお、本開示による容器本体10は、赤色、青色、黄色、緑色、茶色、黒色又は白色等の色に着色されていても良いが、リサイクルのしやすさを考慮した場合、無色透明であることが好ましい。また、本開示による容器本体10は、内層21の内面に位置する蒸着膜(図示せず)を更に備えていても良い。これにより、複合容器10Aのガスバリア性を向上できる。
【0055】
蒸着膜としては、例えば、アルミニウムなどの金属から構成される蒸着膜を挙げることができる。また、蒸着膜としては、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグシウム、酸化カルシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化ホウ素、酸化ハフニウム及び酸化バリウムなどの無機酸化物、ヘキサメチルジシロキサンなどの有機珪素化合物、並びにDLC(Diamond Like Carbon)膜などの硬質炭素膜から構成される蒸着膜を挙げることができる。
【0056】
なお、DLC膜からなる硬質炭素膜とは、iカーボン膜又は水素化アモルファスカーボン膜(a-C:H)とも呼ばれる硬質炭素膜のことで、SP3結合を主体にしたアモルファスな炭素膜のことである。
【0057】
また、蒸着膜の厚みは、特に限定されるものではなく、例えば、1nm以上150nm以下であっても良い。
【0058】
蒸着膜の形成は、従来公知の方法を用いて行うことができ、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法及びイオンプレーティング法などの物理気相成長法(Physical Vapor Deposition法、PVD法)、並びにプラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法及び光化学気相成長法などの化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法、CVD法)などを挙げることができる。
【0059】
(プラスチック製部材)
次に、プラスチック製部材40について説明する。プラスチック製部材40は、後述するプラスチック製部材40aをプリフォーム10aの外側に密着させた後、プリフォーム10aと共に二軸延伸ブロー成形を施すことにより得られた部材である。
【0060】
プラスチック製部材40は容器本体10の外面に接着されることなく取付けられており、容器本体10に対して移動又は回転しないほどに密着されている。このプラスチック製部材40は、容器本体10の外面において薄く引き延ばされて容器本体10を覆っている。また、
図2に示すように、プラスチック製部材40は、容器本体10を取り囲むようにその周方向全域にわたって設けられており、略円形状の水平断面を有している。
【0061】
この場合、
図1に示すように、プラスチック製部材40は、容器本体10のうち、口部11を除く、首部13、肩部12、胴部20及び底部30を覆うように設けられている。これにより、容器本体10の首部13、肩部12、胴部20及び底部30に対して所望の機能や特性を付与できる。
【0062】
なお、プラスチック製部材40は、容器本体10のうち口部11以外の全域又は一部領域に設けられていても良い。例えば、プラスチック製部材40は、容器本体10のうち、口部11及び首部13を除く、肩部12、胴部20及び底部30の全体を覆うように設けられていても良い。又は、プラスチック製部材40は、容器本体10のうち、口部11、首部13及び底部30の中心部を除く、肩部12、胴部20及び底部30を覆うように設けられていても良い。
【0063】
プラスチック製部材40は、容器本体10に対して溶着ないし接着されていないため、容器本体10から剥離して除去できる。具体的には、例えば刃物等を用いてプラスチック製部材40を切除したり、プラスチック製部材40に予め図示しない切断線を設け、この切断線に沿ってプラスチック製部材40を剥離して除去できる。これにより、プラスチック製部材40を容器本体10から分離して除去できる。
【0064】
このようなプラスチック製部材40(後述するプラスチック製部材40a)としては、プリフォーム10aに対して収縮する作用をもたないものであっても良く、収縮する作用をもつものであっても良い。
【0065】
プラスチック製部材40(後述するプラスチック製部材40a)がプリフォーム10aに対して収縮する作用をもつ場合、後述するプラスチック製部材40aは、プリフォーム10aの外側に設けられ、プリフォーム10aと一体となって加熱される。そして、後述するプラスチック製部材40a及びプリフォーム10aに対して二軸延伸ブロー成形が施されることにより、プラスチック製部材40が得られる。
【0066】
プラスチック製部材40としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ-4-メチルペンテン-1、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹旨、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、フタル酸ジアリル樹脂、フッ素系樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリロニトリル、ポリアクリルアミド、ポリブタジエン、ポリブテン-1、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、エチレンプロピレンゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ナイロン6、ナイロン6,6、芳香族ポリアミド、ポリカーボネート、ポリテレフタル酸エチレン、ポリテレフタル酸ブチレン、ポリナフタレン酸エチレン、Uポリマー、液晶ポリマー、変性ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、不飽和ポリエステル、アルキド樹脂、ポリイミド、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、シリコーン樹脂、ポリウレタン、フェノール樹脂、尿素樹脂、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリアセタール、エポキシ樹脂等を挙げることができる。このうち低密度ポリエチレン(LDPE)等のポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等の熱可塑性非弾性樹脂を用いることが好ましい。また、プラスチック製部材40は、これらのブレンド材料から構成されていても良く、多層構造又は部分的多層構造を有していても良い。さらに、プラスチック製部材40の材料には、その特性が損なわれない範囲において、主成分の樹脂以外にも、各種の添加剤が添加されていても良い。添加剤としては、例えば、可塑剤、紫外線安定化剤、着色防止剤、艶消し剤、消臭剤、難燃剤、耐候剤、帯電防止剤、糸摩擦低減剤、スリップ剤、離型剤、抗酸化剤、イオン交換剤、及び着色顔料等が挙げられる。
【0067】
プラスチック製部材40は、紫外線等の不可視光線をバリアする光線バリア性を有する材料からなっていても良い。この場合、プリフォーム10aとして多層プリフォームやブレンド材料を含むプリフォーム等を用いることなく、複合容器10Aの光線バリア性を高め、紫外線等により内容液が劣化することを抑制できる。このような材料としては、ブレンド材料、又はPETやPE、PPに遮光性樹脂を添加した材料が考えられる。また、熱可塑性樹脂の溶融物に不活性ガス(窒素ガス、アルゴンガス)を混ぜることにより作製された、0.5μm以上100μm以下の発泡セル径を持つ発泡部材が、プラスチック製部材40の材料に使用されても良い。
【0068】
プラスチック製部材40は、容器本体10(プリフォーム10a)を構成するプラスチック材料よりも保冷性又は保温性の高い材料(熱伝導性の低い材料)からなっていても良い。この場合、容器本体10の厚みを厚くすることなく、内容液の温度が複合容器10Aの表面まで伝達しにくくすることが可能となる。これにより、複合容器10Aの保冷性又は保温性が高められる。また、使用者が複合容器10Aを把持した際、冷たすぎたり熱すぎたりすることにより複合容器10Aを持ちにくくなることが抑制される。このような材料としては、発泡化したポリウレタン、ポリスチレン、PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、フェノール樹脂、ポリ塩化ビニル、ユリア樹脂、シリコーン、ポリイミド、メラミン樹脂などが考えられる。この場合、これらの樹脂を含んでなる樹脂材料に、中空粒子が混合されていることが好ましい。中空粒子の平均粒子径は、1μm以上200μm以下であることが好ましく、5μm以上80μm以下であることがより好ましい。なお、「平均粒子径」とは、体積平均粒子径を意味し、粒度分布・粒径分布測定装置(ナノトラック粒度分布測定装置、日機装株式会社製)を用いて公知の方法により測定できる。また、中空粒子としては、樹脂などから構成される有機系中空粒子であっても良く、ガラスなどから構成される無機系中空粒子であっても良いが、分散性が優れるという理由から、有機系中空粒子が好ましい。有機系中空粒子を構成する樹脂としては、例えば、架橋スチレン-アクリル樹脂等のスチレン系樹脂、アクリロニトリル-アクリル樹脂等の(メタ)アクリル系樹脂、フェノール系樹脂、フッ素系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエーテル系樹脂等が挙げられる。また、ローペイクHP-1055、ローペイクHP-91、ローペイクOP-84J、ローペイクウルトラ、ローペイクSE、ローペイクST(ロームアンドハース(株)製)、ニポールMH-5055(日本ゼオン(株)製)、SX8782、SX866(JSR(株)製)等の市販される中空粒子を用いることもできる。中空粒子の含有量としては、プラスチック製部材40に含有される樹脂材料100質量部に対して、0.01質量部以上50質量部以下であることが好ましく、1質量部以上20質量部以下であることがより好ましい。
【0069】
また、プラスチック製部材40は、容器本体10(プリフォーム10a)を構成するプラスチック材料よりも滑りにくい材料からなっていても良い。この場合、容器本体10の材料を変更することなく、使用者が複合容器10Aを把持しやすくなる。
【0070】
プラスチック製部材40は、赤色、青色、黄色、緑色、茶色、黒色又は白色等の色に着色されていても良く、さらに透明であっても不透明であっても良い。
【0071】
また、プラスチック製部材40の厚みは、これに限定されるものではないが、容器本体10に取り付けられた状態で例えば5μm以上500μm以下程度とすることができる。
【0072】
(複合プリフォーム)
次に、
図3乃至
図5により、複合プリフォーム70について説明する。複合プリフォーム70は、上記複合容器10Aを製造するために用いる部材である。
図3に示すように、複合プリフォーム70は、内層21aと、内層21aの外側に配置された外層22aとを有するプリフォーム10aと、プリフォーム10aの外側を取り囲むように密着して設けられたプラスチック製部材40aとを備えている。内層21a及び外層22aは、互いに一体に形成されている。
【0073】
本実施の形態において、プリフォーム10aは、口部11aと、口部11aに連結された胴部20aと、胴部20aに連結された底部30aとを有している。
【0074】
このうち口部11aは、上述した容器本体10の口部11に対応する部分であり、口部11と略同一の形状を有している。すなわち、口部11aは、ネジ部14aと、ネジ部14aの下方に設けられたフランジ部17aとを含んでいる。プリフォーム10aのネジ部14a及びフランジ部17aは、それぞれ、容器本体10のネジ部14及びフランジ部17に対応する部分であり、ネジ部14及びフランジ部17と略同一の形状を有している。
【0075】
胴部20aは、上述した容器本体10の首部13、肩部12及び胴部20に対応する部分である。胴部20aは、口部11aに連結され、口部11aから下方に向けて延びている。また、胴部20aの水平断面は、その上端から下端までの任意の箇所において円形となっている。しかしながら、これに限られるものではなく、胴部20aが楕円筒形状、又は四角形筒形状等の多角形筒形状等の筒形状を有していても良い。
【0076】
底部30aは、上述した容器本体10の底部30に対応する部分であり、略半球形状を有している。
【0077】
このようなプリフォーム10aの口部11a、胴部20a及び底部30aは、互いに一体的に形成されている。
【0078】
(プリフォームの内層)
次に、プリフォーム10aの内層21aについて説明する。
図3に示すように、内層21aは、口部11aの上端から、底部30aにかけて設けられており、外層22aの内面は、全体にわたって内層21aに覆われている。これにより、プリフォーム10aから作製される容器本体10において、外層22に含まれるメカニカルリサイクルポリエステルが内層21の内面から露出することを抑制できる。このため、複合容器10Aの衛生性を高めることができる。
【0079】
内層21aを構成する材料は、容器本体10の内層21を構成する材料と同一である。すなわち、プリフォーム10aの内層21aは、バージンポリエステル、バイオマス由来ポリエステル又はケミカルリサイクルポリエステルを含んでいる。
【0080】
プリフォーム10aの胴部20aにおける内層21aの厚み(径方向距離)t1は、プリフォーム10aの胴部20aの任意の領域において、0.2mm以上1mm以下であることが好ましく、0.5mm以上0.8mm以下であることがより好ましい。内層21aの厚みt1が0.2mm以上であることにより、外層22aにメカニカルリサイクルポリエステルを使用した場合であっても、外層22aに含まれるメカニカルリサイクルポリエステルが内層21aの内面から露出することを効果的に抑制できる。このため、複合プリフォーム70から作製される複合容器10Aにおいて、内容物への触媒(例えば、アンチモン)の溶出を効果的に抑制できる。また、内層21aの厚みt1が1mm以下であることにより、プリフォーム10aにおける外層22aの割合を増やすことができ、複合プリフォーム70から作製される複合容器10Aの環境負荷をより低減できる。
【0081】
なお、上述したように、複合容器10Aは、複合プリフォーム70に対してブロー成形を施すことにより得られる。この場合、容器本体10の首部13、肩部12、胴部20及び底部30は、プリフォーム10aの胴部20a及び底部30aが延伸されることにより形成される。このため、延伸倍率が高いプリフォーム10aの胴部20aや底部30aにおいて、内層21aの厚みを口部11aよりも厚くしても良い。これにより、ブロー成形後の容器本体10において、外層22が内層21の内面から露出することを効果的に抑制できる。
【0082】
このようなプリフォーム10aの内層21aは、合成樹脂製ペレットを射出成形することにより作製された層である。
【0083】
(プリフォームの外層)
次に、プリフォーム10aの外層22aについて説明する。
図3に示すように、外層22aは、口部11aの上部から、底部30aにかけて設けられている。このように、プリフォーム10aの口部11aにも外層22aが存在することにより、プリフォーム10aにおいて、バージンポリエステル等の使用量に対するメカニカルリサイクルポリエステルの使用量を多くできる。このため、複合プリフォーム70から作製される複合容器10Aの環境負荷をより低減できる。なお、上述したように、外層22aの内面は、全体にわたって内層21aに覆われている。
【0084】
外層22aを構成する材料は、容器本体10の外層22を構成する材料と同一である。すなわち、プリフォーム10aの外層22aは、メカニカルリサイクルポリエステルを含んでいる。
【0085】
このようなプリフォーム10aの外層22aの厚み(径方向距離)は、外層22aが設けられた任意の領域において、内層21aの厚み(径方向距離)よりも厚くなっていることが好ましい。これにより、プリフォーム10aにおいて、バージンポリエステル等の使用量に対するメカニカルリサイクルポリエステルの使用量を多くできる。このため、複合プリフォーム70から作製される複合容器10Aの環境負荷をより低減できる。
【0086】
プリフォーム10aの胴部20aにおける外層22aの厚み(径方向距離)t2は、プリフォーム10aの胴部20aの任意の領域において、1mm以上2.4mm以下であることが好ましく、1.5mm以上2.0mm以下であることがより好ましい。外層22aの厚みt2が1mm以上であることにより、プリフォーム10aにおける外層22aの割合を増やすことができ、複合プリフォーム70から作製される複合容器10Aの環境負荷をより低減できる。また、外層22aの厚みt2が2.4mm以下であることにより、プリフォーム10aを薄肉化できる。このため、複合プリフォーム70から作製される複合容器10Aの容器本体10を薄肉化できる。
【0087】
また、プリフォーム10aの胴部20aにおいて、外層22aの厚みt2は、内層21aの厚みt1の1倍以上12倍以下であっても良い。外層22aの厚みt2が内層21aの厚みt1の1倍以上であることにより、プリフォーム10aにおける外層22aの割合を増やすことができ、複合プリフォーム70から作製される複合容器10Aの環境負荷をより低減できる。また、外層22aの厚みt2が内層21aの厚みt1の12倍以下であることにより、外層22aに含まれるメカニカルリサイクルポリエステルがプリフォーム10aの内面から露出することを効果的に抑制しつつ、プリフォーム10aを薄肉化できる。このため、複合プリフォーム70から作製される複合容器10Aにおいて、外層22に含まれるメカニカルリサイクルポリエステルが容器本体10の内面から露出することを効果的に抑制しつつ、容器本体10を薄肉化できる。
【0088】
このようなプリフォーム10aの外層22aは、合成樹脂製ペレットを射出成形することにより作製された層である。具体的には、外層22aは、内層21aの外面に射出樹脂を射出することにより得られた層である。このように、外層22aが内層21aの外面に射出樹脂を射出することによって作製されることにより、外層22aと内層21aとの間の密着性を向上でき、内層21aと外層22aとの間のデラミネーションを抑制できる。
【0089】
(プラスチック製部材)
次に、プラスチック製部材40aについて説明する。プラスチック製部材40aは、プリフォーム10aの外面に接着されることなく取付けられており、プリフォーム10aに対して移動又は回転しないほどに密着されているか、又は自重で落下しない程度に密着されている。
図4に示すように、プラスチック製部材40aは、プリフォーム10aを取り囲むようにその周方向全域にわたって設けられており、円形状の水平断面を有している。
【0090】
この場合、プラスチック製部材40aは、プリフォーム10aのうち、胴部20aの全域と、底部30aの全域とを覆うように設けられている。なお、プラスチック製部材40aは、口部11a以外の全域又は一部領域に設けられていても良い。例えば、プラスチック製部材40aは、底部30aを除く、胴部20aを覆うように設けられていても良い。
【0091】
このようなプラスチック製部材40aとしては、プリフォーム10aに対して収縮する作用をもたないものであっても良く、収縮する作用をもつものであっても良い。
【0092】
プラスチック製部材40aが収縮する作用をもつ場合、プラスチック製部材40aは、例えば、外的な作用(例えば熱)が加えられた際、プリフォーム10aに対して収縮(例えば熱収縮)するものが用いられても良い。あるいは、プラスチック製部材40aは、それ自体が収縮性ないし弾力性を持ち、外的な作用を加えることなく収縮可能なものであっても良い。
【0093】
なお、プラスチック製部材40aが熱収縮作用をもつ場合、円筒状のプラスチック製部材40aをプリフォーム10aに嵌め込んだ後、プラスチック製部材40aの下端部(口部11aとは反対側の端部)に形成された余白部を熱圧着しても良い。
【0094】
プラスチック製部材40aとしては、例えばダイレクトブロー成形により作製されたダイレクトブローチューブ、シート成形により作製されたシート成形チューブ、押出成形により作製された押出チューブ、射出成形により作製された射出成形チューブ、インフレーション成形により作製されたインフレーション成形チューブ等を用いることができる。なお、プラスチック製部材40aは、これに限定されるものではなく、上記以外の成形方法で作製されたチューブ等を用いても良い。
【0095】
プラスチック製部材40aは、赤色、青色、黄色、緑色、茶色、黒色又は白色等の色に着色されていても良く、さらに透明であっても不透明であっても良い。
【0096】
次にプラスチック製部材40aの形状について説明する。
【0097】
図5(a)に示すように、プラスチック製部材40aは、全体として有底円筒形状からなり、円筒状の胴部41と、胴部41に連結された底部42とを有していても良い。この場合、プラスチック製部材40aの底部42がプリフォーム10aの底部30aを覆うので、複合容器10Aのうち、容器本体10の胴部20に対応する領域に加え、底部30に対応する領域に対してもバリア性等の様々な機能や特性を付与できる。また、プラスチック製部材40aは、全周にわたって繋ぎ目がない円筒形状からなっていても良い。このようなプラスチック製部材40aは、例えば上述したダイレクトブローチューブ、シート成形チューブ又は射出成形チューブであっても良い。
【0098】
また、
図5(b)に示すように、プラスチック製部材40aは、全体として円管形状(無底円筒形状)からなり、円筒状の胴部41を有していても良い。また、プラスチック製部材40aは、全周にわたって繋ぎ目がない円筒形状からなっていても良い。この場合、プラスチック製部材40aは、例えば上述したブローチューブ、押出チューブ、インフレーション成形チューブ又はシート成形チューブであっても良い。
【0099】
また、
図5(c)及び
図5(d)に示すように、プラスチック製部材40aは、フィルムを筒状に形成してその端部を貼り合わせることにより作製されても良い。この場合、
図5(c)に示すように、プラスチック製部材40aは、胴部41を有する管形状(無底円筒形状)に構成されていても良く、
図5(d)に示すように、底部42を貼り合わせることにより有底筒形状に構成されていても良い。
【0100】
次に、
図6乃至
図10(a)-(f)により、このような構成からなる本実施の形態の作用、すなわち、複合プリフォーム70(プリフォーム10a)の製造方法及び複合容器10Aの製造方法について説明する。
【0101】
まず、
図6に示すように、バージンポリエステル等を含む内層21aを形成する。このとき、まず、第1キャビティ側金型71と、コア72を含むコア側金型73とを有する第1金型組合体70Aを準備する。次に、第1キャビティ側金型71内にコア72を挿入する。このようにして、第1キャビティ側金型71とコア側金型73とを型締めする。ここで、第1キャビティ側金型71の内面は、プリフォーム10aの内層21aの外面に対応する形状を有しており、コア側金型73のコア72の外面は、プリフォーム10aの内層21aの内面に対応する形状を有している。また、第1キャビティ側金型71のうち、プリフォーム10aの底部30aに対応する位置には、射出樹脂を射出するゲート(注入口)74が形成されている。
【0102】
次に、第1キャビティ側金型71とコア72との間の空間に、射出樹脂を射出する。この際、第1キャビティ側金型71とコア側金型73とを型締めした状態で、第1キャビティ側金型71とコア72との間の空間に、第1キャビティ側金型71に設けられた射出樹脂のゲート74から、バージンポリエステル等を含む射出樹脂を射出する。ゲート74から射出された射出樹脂は、第1キャビティ側金型71とコア72との間に進入する。これにより、
図6に示すように、バージンポリエステル等を含む内層21aが形成される。
【0103】
次いで、
図7に示すように、第1金型組合体70Aのうち、第1キャビティ側金型71が、コア側金型73及び作製された内層21aから取り外される。
【0104】
次に、
図8に示すように第2キャビティ側金型75と、コア72を含むコア側金型73と、分割可能なリップ型77とを有する第2金型組合体70Bを準備する。このとき、コア側金型73のコア72には、作製された内層21aが装着されている。次に、第2キャビティ側金型75内に、内層21aが装着されたコア72を挿入する。この際、まず、コア側金型73にリップ型77を装着する。次に、第2キャビティ側金型75に対してコア72を接近させ、第2キャビティ側金型75内にコア72を挿着する。このようにして、第2キャビティ側金型75とコア側金型73とリップ型77とを型締めする。ここで、第2キャビティ側金型75の内面は、プリフォーム10aの外層22aの外面に対応する形状を有している。また、第2キャビティ側金型75のうち、プリフォーム10aの底部30aに対応する位置には、射出樹脂を射出するゲート(注入口)76が形成されている。
【0105】
次いで、
図9に示すように、第2キャビティ側金型75と、コア72に装着された内層21aとの間の空間に、射出樹脂を射出する。すなわち、内層21aの外面に射出樹脂を射出する。この際、第2キャビティ側金型75等を型締めした状態で、第2キャビティ側金型75及びリップ型77と内層21aとの間の空間に、第2キャビティ側金型75に設けられた射出樹脂のゲート76から、メカニカルリサイクルポリエステルを含む射出樹脂を射出する。ゲート76から射出された射出樹脂は、第2キャビティ側金型75及びリップ型77と内層21aとの間に進入する。これにより、メカニカルリサイクルポリエステルを含む外層22aが形成される。このようにして、内層21aと外層22aとが互いに一体に形成され、内層21aと、内層21aの外側に配置された外層22aとを備えるプリフォーム10aが形成される。
【0106】
そして、得られたプリフォーム10aが、第2金型組合体70Bから外方へ取り出される。
【0107】
次に、複合容器10Aの製造方法について説明する。
【0108】
まず、プリフォーム10aを準備する(
図10(a)参照)。この際、例えば、
図6乃至
図9に示す方法により、プリフォーム10aを作製する。
【0109】
次に、プリフォーム10aの外側にプラスチック製部材40aを設けることにより、プリフォーム10aと、プリフォーム10aの外側に密着されたプラスチック製部材40aとを有する複合プリフォーム70を作製する(
図10(b)参照)。この場合、プラスチック製部材40aは、全体として有底円筒形状からなり、円筒状の胴部41と、胴部41に連結された底部42とを有している。
【0110】
この際、プリフォーム10aの外径と同一又はわずかに小さい内径をもつプラスチック製部材40aを、プリフォーム10aに対して押し込むことにより、プリフォーム10aの外面に密着させても良い。あるいは、熱収縮性をもつプラスチック製部材40aをプリフォーム10aの外面に設け、このプラスチック製部材40aを50℃乃至100℃に加熱することにより熱収縮させてプリフォーム10aの外面に密着させても良い。
【0111】
このように、予めプリフォーム10aの外側にプラスチック製部材40aを密着させ、複合プリフォーム70を作製しておくことにより、複合プリフォーム70を作製する一連の工程(
図10(a)-(b))と、ブロー成形を行う一連の工程(
図10(c)-(f))とを別々の場所(工場等)で実施することが可能になる。
【0112】
次に、複合プリフォーム70を加熱する(
図10(c)参照)。このとき、複合プリフォーム70は、口部11aを下に向けた状態で回転しながら、加熱装置51によって周方向に均等に加熱される。この加熱工程における複合プリフォーム70の加熱温度は、例えば90℃乃至130℃としても良い。
【0113】
その後、プリフォーム10a及びプラスチック製部材40aに対して二軸延伸ブロー成形を施すことにより、プリフォーム10a及びプラスチック製部材40aを一体として膨張させる(
図10(d)-(e)参照)。このとき、まず、複合プリフォーム70をブロー成形用のブロー成形型50に装着する(
図10(d)参照)。このブロー成形型50は、互いに分割された一対の胴部型50a、50bと、底部型50cとを有している。胴部型50a、50b及び底部型50cは、それぞれ容器本体10の首部13、肩部12、胴部20及び底部30に対応する形状を有している。
【0114】
次に、ブロー用エアが複合プリフォーム70内に吹き込まれることによって、ブロー成形型50のキャビティ内で複合プリフォーム70が成形品の複合容器10Aとなるまで膨張する(
図10(e)参照)。この間、胴部型50a、50bは30℃乃至80℃まで加熱され、底部型50cは5℃乃至25℃まで冷却される。この際、ブロー成形型50内では、複合プリフォーム70のプリフォーム10a及びプラスチック製部材40aが一体として膨張される。これにより、プリフォーム10a及びプラスチック製部材40aは、一体となってブロー成形型50の内面に対応する形状に賦形される。このようにして、容器本体10と、容器本体10の外側に密着して設けられたプラスチック製部材40とを備える複合容器10Aが得られる。
【0115】
このようにブロー成形型50内で複合容器10Aが成形された後、型開きし、複合容器10Aの完成品がブロー成形型50外へ取り出される(
図10(f)参照)。
【0116】
このようにして、
図1に示す複合容器10Aが得られる。
【0117】
以上のように本実施の形態によれば、プリフォーム10aの内層21aが、バージンポリエステル、バイオマス由来ポリエステル又はケミカルリサイクルポリエステルを含み、外層22aが、メカニカルリサイクルポリエステルを含んでいる。また、プリフォーム10aの胴部20aにおいて、外層22aの厚みt2が、内層21aの厚みt1の1倍以上12倍以下である。このように、外層22aの厚みt2が、内層21aの厚みt1の1倍以上であることにより、プリフォーム10aにおける外層22aの割合を増やすことができ、プリフォーム10aにおいて、メカニカルリサイクルポリエステルの使用量を多くできる。このため、複合プリフォーム70から作製される複合容器10Aの環境負荷を低減できる。また、外層22aの厚みt2が内層21aの厚みt1の12倍以下であることにより、外層22aに含まれるメカニカルリサイクルポリエステルがプリフォーム10aの内面から露出することを効果的に抑制しつつ、プリフォーム10aを薄肉化できる。このため、複合プリフォーム70から作製される複合容器10Aにおいて、外層22に含まれるメカニカルリサイクルポリエステルが容器本体10の内面から露出することを効果的に抑制しつつ、容器本体10を薄肉化できる。
【0118】
また、複合プリフォーム70が、内層21aと、内層21aの外側に配置された外層22aとを有するプリフォーム10aと、プリフォーム10aの外側を取り囲むように密着して設けられたプラスチック製部材40aとを備えている。これにより、複合プリフォーム70から作製される複合容器10Aに対して、ガスバリア性等の様々な機能又は特性を付与できる。
【0119】
また、プラスチック製部材40を容器本体10から分離して除去できるので、無色透明な容器本体10をリサイクルする場合に、従来と同様に、容器本体10をリサイクルできる。
【0120】
さらに、本実施の形態によれば、外層22aの内面が、全体にわたって内層21aに覆われている。これにより、プリフォーム10aから作製される容器本体10において、外層22に含まれるメカニカルリサイクルポリエステルが内層21の全内面から露出することを抑制できる。このため、複合容器10Aの衛生性を高めることができる。
【0121】
なお、上述した本実施の形態において、容器本体10の外層22の内面が、全体にわたって内層21に覆われている例について説明したが、これに限られない。また、プリフォーム10aの外層22aの内面が、全体にわたって内層21aに覆われている例について説明したが、これに限られない。例えば、図示はしないが、容器本体10の口部11において、外層22の内面の一部が内層21に覆われていなくても良い。この場合、プリフォーム10aの口部11aにおいて、外層22aの内面の一部が内層21aに覆われていなくても良い。この場合においても、複合容器10Aを正立させたときに、容器本体10の内面のうち内容物が接する領域を内層21により覆うことができる。このため、プリフォーム10aにおいて外層22aにメカニカルリサイクルポリエステルを使用した場合であっても、複合容器10Aにおいて、内容物への触媒(例えば、アンチモン)の溶出を効果的に抑制できる。
【0122】
上記実施の形態及び各変形例に開示されている複数の構成要素を必要に応じて適宜組合せることも可能である。あるいは、上記実施の形態及び各変形例に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良い。
【符号の説明】
【0123】
10 容器本体
10A 複合容器
10a プリフォーム
11 口部
11a 口部
20 胴部
20a 胴部
21 内層
21a 内層
22 外層
22a 外層
30 底部
30a 底部
40 プラスチック製部材
40a プラスチック製部材
70 複合プリフォーム