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特開2024-106207着雪低減機器およびそれを備える着雪低減管状構造体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106207
(43)【公開日】2024-08-07
(54)【発明の名称】着雪低減機器およびそれを備える着雪低減管状構造体
(51)【国際特許分類】
   E01F 9/40 20160101AFI20240731BHJP
【FI】
E01F9/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023010397
(22)【出願日】2023-01-26
(71)【出願人】
【識別番号】000190116
【氏名又は名称】信越ポリマー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002697
【氏名又は名称】めぶき弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100110973
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 洋
(72)【発明者】
【氏名】井口 優香
(72)【発明者】
【氏名】小森 敦
(72)【発明者】
【氏名】四方田 房男
【テーマコード(参考)】
2D064
【Fターム(参考)】
2D064AA11
2D064AA22
2D064CA02
2D064CA03
2D064HA01
(57)【要約】
【課題】
鋼管柱上の積雪を低減して大きな塊のまま落雪することを防ぐと共に、耐候性の高い着雪低減機器、およびそれを管状構造体に備える着雪低減管状構造体を提供する。
【解決手段】
本発明は、管状構造体20への着雪を低減可能であって、管状構造体20の頂部曲面に固定可能な台座1と、台座1を覆うように台座1の一部または全部に接着された、主にシリコーンゴムから構成されるシート形状の着雪低減材2とを備え、着雪低減材2は、台座1の上から管状構造体20の外周の一部または全部を被覆可能である着雪低減機器10、および着雪低減機器10の底面を管状構造体20の頂部曲面に固定した形態を有する着雪低減管状構造体30に関する。
【選択図】図3

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管状構造体への着雪を低減可能な着雪低減機器であって、
前記管状構造体の頂部曲面に固定可能な台座と、
前記台座を覆うように前記台座の一部または全部に接着された、主にシリコーンゴムから構成されるシート形状の着雪低減材と、
を備え、
前記着雪低減材は、前記台座の上から前記管状構造体の外周の一部または全部を被覆可能であることを特徴とする、着雪低減機器。
【請求項2】
前記台座は、前記頂部曲面に固定可能な底部と、前記底部の反対側に位置し、板を固定可能な頂部とを備え、前記頂部に固定された板であって降雪を当該板の端面にて分けるための雪切板を立設され、
前記雪切板は、少なくとも前記端面が前記着雪低減材から露出していることを特徴とする、請求項1に記載の着雪低減機器。
【請求項3】
前記雪切板は、主にシリコーンゴムから構成されている、請求項2に記載の着雪低減機器。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の着雪低減機器の底面を、前記管状構造体の前記頂部曲面に固定した形態を有する、着雪低減管状構造体であって、
前記台座は、前記頂部曲面に固定され、
前記着雪低減材は、前記台座の上から前記管状構造体の外周の一部または全部を覆っており、
前記着雪低減材は、前記管状構造体の長手方向から見て前記頂部曲面上から左右両側に向けて、それぞれ曲線からなる傾斜を備えることを特徴とする、着雪低減管状構造体。
【請求項5】
前記曲線は、下に凸であることを特徴とする、請求項4に記載の着雪低減管状構造体。
【請求項6】
前記曲線は、上に凸であることを特徴とする、請求項4に記載の着雪低減管状構造体。
【請求項7】
前記着雪低減材は、前記管状構造体の長手方向から見て前記頂部曲面を含めた外周の上半分以上を覆っていることを特徴とする、請求項4に記載の着雪低減管状構造体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管状構造物への着雪を低減可能な着雪低減機器、およびそれを管状構造体に備える着雪低減管状構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、線路上や道路上にある鋼管柱(ビームや梁)では、冬の間、降雪により積雪が発生し、その後の落雪および落氷により交通障害が起きている。特に、積雪地域および豪雪地域においては、道路上方に設置されている道路標識や鋼管ビーム上に積雪して固化すると、日中の気温上昇によりそれが大きな塊のまま路面や走行中の車輌上に落下して事故につながるおそれがある。
【0003】
このような落雪および落氷による事故を防ぐ方法として、例えば、標識板を設置する標識設置柱において、標識板を車道の上に支持する横支柱部の上に配設される雪庇防止具が知られている(特許文献1を参照。)。かかる雪庇防止具は、発泡スチロールよりなり、一対の傾斜部と底部とを有する傾斜部材と、傾斜部材の底部に配設され磁石を含むシート状部材と、磁力を利用して傾斜部材を横支柱部に固定する固定部材と、傾斜部材の傾斜部に対応して設けられたポリウレタン樹脂よりなる被覆層とを備え、従来よりも簡単に短期間で取り付けることができるという長所を有する。
【0004】
また、屋根部材が道路標識を覆うように、該道路標識の上方に支柱を介して設置された着雪防止構造も知られている(特許文献2を参照。)。この着雪防止構造において、屋根部材は、屋根面が枠体フレームに張設された膜材で構成され、支柱との間に設けられた振れ角規制部材により振れ角が規制された状態で支柱に取付支点を介して揺動可能に支持されている。このような着雪防止構造により、簡易な構造でかつ耐久性があり、着雪した氷雪を効率よく除雪できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-139302号公報
【特許文献2】特開2001-323421号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記の従来の方法では、鋼管柱上の積雪を低減する効果が必ずしも十分ではない。また、長期の使用に伴い日光の作用による劣化を防ぐことが難しい。
【0007】
本発明は、鋼管柱上の積雪を低減して大きな塊のまま落雪することを防ぐと共に、耐候性の高い着雪低減機器、およびそれを管状構造体に備える着雪低減管状構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)上記目的を達成するための一実施形態に係る着雪低減機器は、管状構造体への着雪を低減可能な着雪低減機器であって、
前記管状構造体の頂部曲面に固定可能な台座と、
前記台座を覆うように前記台座の一部または全部に接着された、主にシリコーンゴムから構成されるシート形状の着雪低減材と、
を備え、
前記着雪低減材は、前記台座の上から前記管状構造体の外周の一部または全部を被覆可能である。
(2)別の実施形態に係る着雪低減機器において、好ましくは、
前記台座は、前記頂部曲面に固定可能な底部と、前記底部の反対側に位置し、板を固定可能な頂部とを備え、前記頂部に固定された板であって降雪を当該板の端面にて分けるための雪切板を立設され、
前記雪切板は、少なくとも前記端面が前記着雪低減材から露出していてもよい。
(3)別の実施形態に係る着雪低減機器において、好ましくは、前記雪切板は、主にシリコーンゴムから構成されていてもよい。
(4)上記目的を達成するための一実施形態に係る着雪低減管状構造体は、上述のいずれかの着雪低減機器の底面を、前記管状構造体の前記頂部曲面に固定した形態を有し、
前記台座は、前記頂部曲面に固定され、
前記着雪低減材は、前記台座の上から前記管状構造体の外周の一部または全部を覆っており、
前記着雪低減材は、前記管状構造体の長手方向から見て前記頂部曲面上から左右両側に向けて、それぞれ曲線からなる傾斜を備える。
(5)別の実施形態に係る着雪低減管状構造体において、好ましくは、前記曲線は、下に凸であってもよい。
(6)別の実施形態に係る着雪低減管状構造体において、好ましくは、前記曲線は、上に凸であってもよい。
(7)別の実施形態に係る着雪低減管状構造体において、好ましくは、前記着雪低減材は、前記管状構造体の長手方向から見て前記頂部曲面を含めた外周の上半分以上を覆っていてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、鋼管柱上の積雪を低減して大きな塊のまま落雪することを防ぐと共に、耐候性の高い着雪低減機器、およびそれを管状構造体に備える着雪低減管状構造体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、第1実施形態に係る着雪低減機器を表した斜視図を示す。
図2図2は、第1実施形態に係る着雪低減機器を管状構造体に固定した状態の着雪低減管状構造体を表した斜視図を示す。
図3図3は、図2の着雪低減管状構造体を長手方向から見た正面図を示す。
図4図4は、第2実施形態に係る着雪低減機器を表した斜視図を示す。
図5図5は、図4の雪切板の端面近傍の拡大断面図を示す。
図6図6は、図5における雪切板の端面近傍と着雪低減材との位置関係の変形例を、図5と同様に拡大断面図にて示す。
図7図7は、着雪低減管状構造体の変形例を長手方向から見た正面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲の各請求項に係る発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている諸要素およびその組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0012】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る着雪低減機器を表した斜視図を示す。図2は、第1実施形態に係る着雪低減機器を管状構造体に固定した状態の着雪低減管状構造体を表した斜視図を示す。図3は、図2の着雪低減管状構造体を長手方向から見た正面図を示す。
【0013】
第1実施形態に係る着雪低減機器10は、管状構造体20の頂部曲面に固定して管状構造体20への着雪を低減可能な機器である。着雪低減機器10は、着雪の低減の機能に加えて、落雪促進の機能を併せ持つ。少量の落雪を頻繁に行わせると、落雪事故の被害を小さくできる。かかる観点から、「着雪低減機器」は、別名で「落雪促進機器」と称しても良い。着雪低減機器10は、管状構造体20の頂部曲面に固定可能な台座1と、台座1を覆うように台座1の一部または全部に接着された、主にシリコーンゴムから構成されるシート形状の着雪低減材2と、を備える。ここで、「主に」は、全体に対して50体積%を超えることを意味する。台座1は、好ましくは50体積%超を、より好ましくは70体積%超を、さらにより好ましくは90体積%超を、シリコーンゴムで構成されている。このため、着雪低減材2の耐候性をより高めることができる。着雪低減材2は、シリコーンゴム以外に、合成樹脂、金属、セラミックス等を含んでいても良い。また、シリコーンゴムには、シリカ、グラファイト等のフィラーが含まれていても良い。
【0014】
台座1は、底部3を介して、着雪低減材2を含む着雪低減機器10を、管状構造体20の頂部曲面に固定する役割を有する。台座1は、管状構造体20の頂部曲面に固定可能であれば、角柱状、円柱状、縦長の棒状または板状など、種々の形状をとり得るが、後述する傾斜の形成のために、着雪低減材2と接する面を曲面とする形状を有するのが好ましい。
【0015】
台座1は、本実施形態では中空の部材であるが、中実の部材であってもよい。中空の部材からなる台座1の場合は、中空部にヒータ等の加熱手段を備えてもよい。台座1は、合成樹脂、ゴム、金属、セラミックス、ガラス、炭素材料、木材などの如何なる材料から構成されていても良いが、ゴムや合成樹脂などの、底部3の形状を管状構造体20の頂部曲面に沿って湾曲変形可能な材料で構成されていることが好ましい。
【0016】
台座1は、少なくとも一部に着雪低減材2を接着している。台座1と着雪低減材2との接着方法には、特に制約はないが、好ましくは、接着剤または粘着剤を用いた接着を例示できる。接着剤としては、シリコーン系接着剤を好適に用いることができる。また、台座1と着雪低減材2との接着箇所には特に制約はないが、後述する傾斜の形成のために、台座1の側面が好ましい。
【0017】
着雪低減材2は、管状構造体20を被覆可能なシート形状の部材であり、空から降ってくる雪が管状構造体20に着雪することを防止する役割を有する。また、着雪低減材2は、管状構造体20を被覆した際に曲線からなる傾斜を形成し、雪と当該傾斜との間で発生する摩擦抵抗等を分散させて小さくすることで、直線傾斜の場合よりも積雪を不安定化させ、落雪を促進する。着雪低減材2は、耐候性の観点から、主にシリコーンゴムで構成される。
【0018】
着雪低減材2は、透明な構造体、半透明な構造体、または不透明な有色構造体でも良い。着雪低減材2は、有色構造体の場合には、好ましくは黒色構造体である。着雪低減材2を黒色にすると、赤外線の吸収能が高くなり、積雪を抑止できる。
【0019】
着雪低減材2は、台座1の上から管状構造体20の外周の一部または全部を被覆可能な大きさであればよいが、管状構造体20の頂部曲面を含めた上半分以上を被覆可能な大きさであれば好ましい。
【0020】
着雪低減機器10に用いられる着雪低減材2の枚数および被覆方法は、特に限定されない。例えば、1枚の大きな着雪低減材2を台座1の上から折って覆うように用いてもよく、また、2枚以上の着雪低減材2を台座1に貼り合わせて覆うように用いてもよい。
【0021】
本実施形態に係る着雪低減管状構造体30は、着雪低減機器10の底部3を管状構造体20の頂部曲面に固定した形態を有する(図2および図3を参照。)。管状構造体20は、線路上や道路上にある鋼管柱(ビームや梁)を含むように解釈されるが、当該鋼管柱に限定されない。また、管状構造体20は、その内部を中空とするものに限定されず、中実で円柱状の構造体でも良い。管状構造体20の形状は、真円柱形状または真円筒形状に限定されず、楕円柱形状または楕円筒形状でも良い。
【0022】
着雪低減管状構造体30において、台座1は、着雪低減機器10の一部として、底部3を管状構造体20の頂部曲面に固定されている。着雪低減機器10の底部3を管状構造体20の頂部曲面に固定する方法としては、接着剤または粘着剤を用いた方法を例示できる。接着の好適な方法としては、シリコーン系接着剤の使用、パテの使用、あるいはその併用を挙げることができる。シリコーン系接着剤としては、硬化性シリコーン組成物、特に、空気中の水分を利用して硬化可能な縮合反応型の硬化性シリコーン組成物が好ましい。管状構造体20の頂部曲面と着雪低減機器10の底部3との強固な固定を実現するために、当該頂部曲面にプライマーを塗布してから、底部3または頂部曲面に硬化性シリコーン組成物を供するのが好ましい。このように、底部3と頂部曲面との間に接着剤または粘着剤を挟んで固定することにより、着雪低減機器10の管状構造体20への手軽でかつ確実な固定が可能となる。
【0023】
着雪低減管状構造体30において、着雪低減材2は、台座1の上から管状構造体20の外周の一部または全部を覆っている。着雪低減材2は、台座1を覆っていればよく、管状構造体20を直接覆っていなくても構わないが、好ましくは管状構造体20の長手方向から見て頂部曲面を含めた外周の上半分以上を覆っている。また、この時着雪低減材2は台座1の側面および/または管状構造体20の外周と密着するように被覆されていることが好ましい。
【0024】
着雪低減材2は、管状構造体20の長手方向から見て頂部曲面上から左右両側に向けて、それぞれ曲線からなる傾斜を備える(図3を参照。)。当該傾斜は、着雪低減材2が台座1の側面および/または管状構造体20の外周を被覆することで形成される。当該傾斜は、着雪を不安定化させて大量の積雪を防止するととともに、少量の落雪を促進する。当該傾斜が描く曲線の軌跡は、特に限定されないが、落雪を促進するため、下に凸または上に凸であることが好ましい。また、着雪した雪を迅速に落とすため、サイクロイド曲線であることが好ましい。さらに、当該傾斜の曲線は、途中で変曲点を有していてもよい。
【0025】
着雪低減材2は、着雪防止および落雪促進のため、一部または全部が風で揺動可能な状態で設置されていることが好ましい。着雪低減材2を風で揺動可能とすると、揺動によって積もった雪を管状構造体20の外側に弾くことができるため、落雪を促進できる。
【0026】
着雪低減管状構造体30において、管状構造体20の長さ方向に沿った台座1の長さ、状構造体20の長さ方向に沿った着雪低減材2の長さおよび管状構造体20の長さは、同一であることが好ましい。
【0027】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る着雪低減機器について説明する。第1実施形態と共通する部分については同じ符号を付して重複した説明を省略する。
【0028】
図4は、第2実施形態に係る着雪低減機器を表した斜視図を示す。
【0029】
第2実施形態に係る着雪低減機器10aの台座1aは、管状構造体20の頂部曲面に固定可能な底部3と、底部3の反対側に位置し、板を固定可能な頂部4とを備えている。台座1aの頂部4には固定された板であって降雪を当該板の端面5にて分けるための雪切板6が立設されている。雪切板6は、台座1aとともに着雪低減材2で覆われているが、少なくとも端面5の近傍は着雪低減材2から露出している。雪切板6の短手方向の側面は、本実施形態では露出しているが、着雪低減材2に被覆されていてもよい。
【0030】
台座1aの頂部4の形状は、雪切板6が固定可能であれば、特に限定されず、例えば、頂部4は雪切板6を嵌め込み可能な溝を備えてもよい。ただし、溝は台座1aに必須の構成ではない。例えば、台座1aに溝を形成せずに、雪切板6の固定側の端面にV字若しくはU字状の溝を形成して、台座1aの頂部4に雪切板6の溝を合わせて接着等の手法で固定しても良い。
【0031】
台座1aの頂部4と雪切板6との固定方法には、特に制約はないが、好ましくは、接着剤または粘着剤を用いた固定、または嵌め込み式の固定を例示できる。接着剤としては、シリコーン系接着剤を好適に用いることができる。
【0032】
雪切板6は、降雪を分ける役割を有する平板である。雪切板6の材料には、特に制約はないが、合成樹脂、ゴム、金属、木材、グラファイト、またはセラミックス等で構成可能である。別の実施形態では、雪切板6は、耐候性を高くするため、好ましくは、主にシリコーンゴムから構成されている。「主に」の意味は、前述した台座1と同様である。雪切板6は、好ましくは50体積%超を、より好ましくは70体積%超を、さらにより好ましくは90体積%超を、シリコーンゴムで構成されている。雪切板6は、シリコーンゴム以外に、合成樹脂、金属、セラミックス等を含んでいても良い。シリコーンゴムには、シリカ、グラファイト等のフィラーが含まれていても良い。雪切板6は、透明な構造体、半透明な構造体、または不透明な有色構造体でも良い。雪切板6は、有色構造体の場合には、好ましくは黒色構造体である。雪切板6を黒色にすると、赤外線の吸収能が高くなり、雪切の温度を上げることができる。この結果、積雪が融けて水が生じやすく、落雪しやすくできる。
【0033】
図5は、図4の雪切板の端面近傍の拡大断面図を示す。図6は、図5における雪切板の端面近傍と着雪低減材との位置関係の変形例を、図5と同様に拡大断面図にて示す。
【0034】
雪切板6は、上述した通り着雪低減材2で覆われているが、降雪を分ける機能を維持するため、少なくとも端面5近傍を着雪低減材2から露出させている。さらに変形例として、端面5に加えて、雪切板6の少なくとも一部が着雪低減材2から露出していてもよい(図6を参照。)。雪切板6の端面5先端の角度は、好ましくは0度より大きく80度以下である。雪切板6の先端を鋭角に尖らせることにより、雪切板6の頂上部位への積雪を低減できる。
【0035】
雪切板6と着雪低減材2との接着方法には、特に制約はないが、好ましくは、接着剤または粘着剤を用いた接着、または両面テープを用いた接着を例示できる。接着剤としては、シリコーン系接着剤を好適に用いることができる。また、雪切板6は、着雪低減材2と密着していることが好ましい。
【0036】
雪切板6は、風で揺動可能な状態で立設されていることが好ましい。雪切板6を風で揺動可能とすると、揺動によって積もった雪を管状構造体20の外側に弾くことができるため、落雪を促進できる。
【0037】
着雪低減管状構造体30は、図4に示す着雪低減機器10aを備えても良い。この時、管状構造体20の長さ方向に沿った台座1aの長さ、管状構造体20の長さ方向に沿った着雪低減材2の長さ、管状構造体20の長さ方向に沿った雪切板6の長さおよび管状構造体20の長さは、同一であることが好ましい。
【0038】
以上、本発明の実施形態およびその変形例について説明したが、本発明は、これらの形態に限定されず、種々変形可能である。
【0039】
(その他の実施形態)
図7は、着雪低減管状構造体の変形例を長手方向から見た正面図を示す。
【0040】
例えば、着雪低減管状構造体30は、図2および図3に示された態様に限定されず、図7に示すような縦長の棒状の台座1を用いたようなものであってもよい。このような場合であっても、着雪低減材2が台座1の上から管状構造体20の外周の一部または全部を覆っているため、当該着雪低減管状構造体30の着雪低減機能および落雪促進機能は損なわれない。
【0041】
また、上述した二つの実施形態において、管状構造体20の長さと、管状構造体20の長さ方向に沿った着雪低減機器10または10aの各構成部材の長さとは同一であることが好ましいとしているが、異なっていてもよい。
【0042】
さらに、上述した第2実施形態では、雪切板6は一枚の板に限定されず、二枚以上の板が管状構造体20の長さ方向または幅方向に並列に備えられていてもよい。風による揺動を強くするため、雪切板6は、一箇所以上のスリットを設けられていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、管状構造体への着雪低減を行う分野において利用可能である。
【符号の説明】
【0044】
1、1a・・・台座、2・・・着雪低減材、3・・・底部、4・・・頂部、5・・・端面、6・・・雪切板、10、10a・・・着雪低減機器、20・・・管状構造体、30・・・着雪低減管状構造体。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7