(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106210
(43)【公開日】2024-08-07
(54)【発明の名称】読取装置
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20240731BHJP
【FI】
H04N1/00 350
H04N1/00 567H
H04N1/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023010403
(22)【出願日】2023-01-26
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】糸川 喜裕
【テーマコード(参考)】
5C062
【Fターム(参考)】
5C062AA05
5C062AA29
5C062AB02
5C062AB20
5C062AB22
5C062AB23
5C062AB30
5C062AB41
5C062AB43
5C062AB44
5C062AB46
5C062AC04
5C062AC05
5C062AC65
5C062AD02
5C062AE01
5C062AE15
5C062AF12
5C062AF14
5C062AF15
(57)【要約】
【課題】読取装置において、原稿台に原稿が置き忘れられた場合の報知について改善することを目的とする。
【解決手段】MFP10のコントローラ11は、原稿台20に原稿が残されているか否を判断する。コントローラ11は、原稿台20に原稿が残されていることが判断された場合に、現在のログインユーザに応じて、原稿台20に残されている原稿に関する報知を、ユーザIF16を用いて行う。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿台と、
スキャナと、
ユーザインタフェースと、
コントローラと、を備える読取装置であって、
前記コントローラは、
読取装置のログインユーザからの指示に応じて、前記スキャナに、前記原稿台に置かれた原稿を読み取らせることで画像データを生成することが可能であり、
前記原稿台に原稿が残されているか否を判断する残原稿判断処理と、
前記原稿台に原稿が残されていることが判断された場合に、現在のログインユーザに応じて、前記原稿台に残されている原稿に関する報知を、前記ユーザインタフェースを用いて行う報知処理と、を実行するように構成されている読取装置。
【請求項2】
前記コントローラは、
前記報知処理において、
現在のログインユーザが、前記原稿台に前記原稿が置かれたときのログインユーザと異なるログインユーザであれば、前記報知を行い、
現在のログインユーザが、前記原稿台に前記原稿が置かれたときのログインユーザと同じログインユーザであれば、前記報知を行わない、ように構成されている請求項1に記載の読取装置。
【請求項3】
前記コントローラは、
前記原稿台に原稿が置かれたときに、このときのログインユーザを示す識別情報をメモリに記憶させ、
前記報知処理において、
現在のログインユーザが、前記メモリに記憶されている識別情報で示されるログインユーザと異なるログインユーザであれば、前記報知を行い、
現在のログインユーザが、前記メモリに記憶されている識別情報で示されるログインユーザと同じログインユーザであれば、前記報知を行わない、ように構成されている請求項2に記載の読取装置。
【請求項4】
前記コントローラは、
ログインユーザを認証するときに、前記残原稿判断処理によって、前記原稿台に原稿が残されているか否かを判断し、かつ、前記原稿台に原稿が残されていることが判断された場合に、
前記報知処理によって、
認証されたログインユーザが、前記原稿台に前記原稿が置かれたときのログインユーザと異なるログインユーザであれば、前記報知を行い、
認証されたログインユーザが、前記原稿台に前記原稿が置かれたときのログインユーザと同じログインユーザであれば、前記報知を行わない、ように構成されている請求項2に記載の読取装置。
【請求項5】
前記原稿台に原稿が置かれたことを検知するセンサを備え、
前記コントローラは、
前記残原稿判断処理において、前記原稿台に原稿が置かれたことによる前記センサからの出力の変化に基づいて、前記原稿台に原稿が残されていることを判断する、ように構成されている請求項4に記載の読取装置。
【請求項6】
前記原稿台に原稿が置かれたことを検知するセンサを備え、
前記コントローラは、
前記原稿台に原稿が置かれたことによる前記センサからの出力の変化に基づいて、フラグを第1値に設定し、
前記原稿台から原稿が取り除かれたことによる前記センサからの出力の変化に基づいて、前記フラグを第2値に設定し、
前記残原稿判断処理では、前記ログインユーザの認証が完了する前から、前記フラグが前記第1値に設定されている場合に、前記原稿台に原稿が残されていることを判断する、ように構成されている請求項4に記載の読取装置。
【請求項7】
前記コントローラは、
前記スキャナによる原稿の読取を指示する操作を受け付けたときに、前記残原稿判断処理によって、前記原稿台に原稿が残されているか否かを判断し、かつ、前記原稿台に原稿が残されていることが判断された場合に、
前記報知処理によって、
認証されたログインユーザが、前記原稿台に前記原稿が置かれたときのログインユーザと異なるログインユーザであれば、前記報知を行い、
認証されたログインユーザが、前記原稿台に前記原稿が置かれたときのログインユーザと同じログインユーザであれば、前記報知を行わない、ように構成されている請求項2に記載の読取装置。
【請求項8】
前記原稿の読取を指示する操作は、前記ユーザインタフェースに表示された前記原稿の読取に対応するアイコンの操作である、ように構成されている請求項7に記載の読取装置。
【請求項9】
媒体の接近を検知する無線通信インタフェースを備え、
前記原稿の読取を指示する操作は、前記原稿の読取に対応する前記媒体を、前記無線通信インタフェースに接近させることである、ように構成されている請求項7に記載の読取装置。
【請求項10】
前記コントローラは、
前記無線通信インタフェースが前記媒体の接近を検知すると、前記無線通信インタフェースを介して、前記媒体に記憶された、ユーザを識別する情報を取得し、取得された前記ユーザを識別する情報を用いて、ログインユーザの認証を行うことが可能であり、
前記報知処理において、
前記ユーザを識別する情報を用いて認証されたログインユーザが、前記原稿台に原稿が置かれたときのログインユーザと異なるログインユーザであれば、前記報知を行い、
前記ユーザを識別する情報を用いて認証されたログインユーザが、前記原稿台に原稿が置かれたときのログインユーザと同じログインユーザであれば、前記報知を行わない、ように構成されている請求項9に記載の読取装置。
【請求項11】
前記コントローラは、
前記報知処理において、
現在のログインユーザが、前記原稿台に前記原稿が置かれたときのログインユーザと同じユーザであるか否かが判断できない場合に、前記報知を行い、
現在のログインユーザが、前記原稿台に前記原稿が置かれたときのログインユーザと同じユーザであると判断できれば、前記報知を行わない、ように構成されている請求項1に記載の読取装置。
【請求項12】
前記コントローラは、
前記原稿台に原稿が置かれたときに、このときのログインユーザを示す識別情報をメモリに記憶し、
前記報知処理において、
現在のログインユーザが、前記識別情報で示されるログインユーザと異なるログインユーザであれば、前記報知を行い、
現在のログインユーザが、前記識別情報で示されるログインユーザと同じログインユーザであれば、前記報知を行わず、
前記識別情報が記憶されていなければ、前記報知を行う、ように構成されている請求項11に記載の読取装置。
【請求項13】
前記コントローラは、
ログインユーザを認証するときに、前記残原稿判断処理によって、前記原稿台に原稿が残されているか否かを判断し、かつ、前記原稿台に原稿が残されていることが判断された場合に、
前記報知処理において、
認証されたログインユーザが、前記原稿台に前記原稿が置かれたときのログインユーザと同じユーザであるか否かが判断できなければ、前記報知を行い、
認証されたログインユーザが、前記原稿台に前記原稿が置かれたときのログインユーザと同じユーザであると判断できれば、前記報知を行わない、ように構成されている請求項11に記載の読取装置。
【請求項14】
前記コントローラは、
原稿の読取を指示する操作を受け付けたときに、前記残原稿判断処理によって、前記原稿台に原稿が残されているか否かを判断し、かつ、前記原稿台に原稿が残されていると判断された場合に、
前記報知処理において、
認証されたログインユーザが、前記原稿台に前記原稿が置かれたときのログインユーザと異なるログインユーザであれば、前記報知を行い、
認証されたログインユーザが、前記原稿台に前記原稿が置かれたときのログインユーザと同じログインユーザであれば、前記報知を行わない、ように構成されている請求項11に記載の読取装置。
【請求項15】
原稿台と、
スキャナと、
ユーザインタフェースと、
コントローラと、を備える読取装置であって、
前記コントローラは、
読取装置のログインユーザからの指示に応じて、前記スキャナに、前記原稿台に置かれた原稿を読み取らせることで画像データを生成することが可能であり、
ログインユーザが認証されたときに、前記原稿台に原稿が残されているか否かを判断する残原稿判断処理と、
前記原稿台に原稿が残されていることが判断された場合に、前記原稿台に残された原稿に関する報知を、前記ユーザインタフェースを用いて行う報知処理と、を実行するように構成されている読取装置。
【請求項16】
前記原稿台に原稿が置かれたことを検知するセンサを備え、
前記コントローラは、
前記残原稿判断処理において、前記原稿台に原稿が置かれたことによる前記センサからの出力の変化に基づいて、前記原稿台に原稿が残されていることを判断する、ように構成されている請求項15に記載の読取装置。
【請求項17】
前記原稿台に原稿が置かれたことを検知するセンサを備え、
前記コントローラは、
前記原稿台に原稿が置かれたことによる前記センサからの出力の変化に基づいて、フラグを第1値に設定し、
前記原稿台から原稿が取り除かれたことによる前記センサからの出力の変化に基づいて、前記フラグを第2値に設定し、
前記残原稿判断処理では、前記ログインユーザが認証される前から、前記フラグが前記第1値に設定されている場合に、前記原稿台に原稿が残されていることを判断する、ように構成されている請求項15に記載の読取装置。
【請求項18】
前記コントローラは、
前記原稿台に原稿が置かれたときに、このときのログインユーザを示す識別情報をメモリに記憶させ、
前記報知処理において、前記原稿台に原稿が残されていることが判断された場合に、前記メモリに記憶された識別情報で示されるログインユーザに応じて、前記報知を行う、ように構成されている請求項15に記載の読取装置。
【請求項19】
原稿台と、
スキャナと、
ユーザインタフェースと、
コントローラと、を備える読取装置であって、
前記コントローラは、
前記スキャナに、前記原稿台に置かれた原稿を読み取らせることで画像データを生成することが可能であり、
前記スキャナによる原稿の読取を指示する操作を受け付けたときに、前記原稿台に原稿が残されているか否かを判断する残原稿判断処理と、
前記原稿台に原稿が残されていることが判断された場合に、前記原稿台に残された原稿に関する報知を、前記ユーザインタフェースを用いて行う報知処理と、を実行するように構成されている読取装置。
【請求項20】
前記コントローラは、
前記原稿台に原稿が置かれたときに、このときのログインユーザを示す識別情報をメモリに記憶し、
前記報知処理において、前記原稿台に原稿が残されていることが判断された場合に、前記メモリに記憶された識別情報で示されるログインユーザに応じて、前記報知を行う、ように構成されている請求項19に記載の読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
原稿台に置かれた原稿を読み取ることで画像データを生成する読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、原稿台に置かれた原稿をスキャナに読み取らせることで画像データを生成する読取装置が記載されている。また、読取装置は、原稿台に原稿が置き忘れられていることが判断された場合に、ユーザのメールアドレスにメールを送信することで、ユーザに対して、報知を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された読取装置では、原稿が置き忘れられている場合に、原稿を置き忘れたユーザを対象として報知を行う構成であり、原稿の置き忘れ時における報知について改善する余地がある。
【0005】
本発明は、読取装置において、原稿台に原稿が置き忘れられた場合の報知について改善することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本実施形態に開示された読取装置では、原稿台と、スキャナと、ユーザインタフェースと、コントローラと、を備えている。コントローラは、読取装置のログインユーザからの指示に応じて、スキャナに、原稿台に置かれた原稿を読み取らせることで画像データを生成することが可能であり、原稿台に原稿が残されているか否を判断する残原稿判断処理と、原稿台に原稿が残されていることが判断された場合に、現在のログインユーザに応じて、原稿台に残されている原稿に関する報知を、ユーザインタフェースを用いて行う報知処理と、を実行するように構成されている。
【0007】
上記構成では、コントローラは、原稿台に原稿が残されていることを判断すると、現在のログインユーザに応じて、原稿台に残されている原稿に対する報知を、ユーザインタフェースを用いて行う。これにより、読取装置を使用するログインユーザに応じた有効な報知を行うことが可能になる。
【発明の効果】
【0008】
一律に、ユーザに対して報知を行う場合に比べて、読取装置を使用するログインユーザに応じた有効な報知を行うことが可能な読取装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】コントローラにより実行される処理の手順を説明するフローチャートである。
【
図6】
図2のS11の処理の手順を説明するフローチャートである。
【
図7】コントローラにより実行される処理の手順を説明するフローチャートである。
【
図8】
図2のS14の処理の手順を説明するフローチャートである。
【
図12】第2実施形態に係るコントローラにより実行される処理の手順を説明するフローチャートである。
【
図13】
図12のS72で実行される処理の手順を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1実施形態) 読取装置の実施形態をMFP(Multi Function Peripheralの略称)を用いて説明する。MFP10は、コントローラ11、メモリ12、プリンタ13、FAXIF14、スキャナ15、ユーザIF16、無線通信IF17、通信IF18を備えている。これらの構成要素は、バスを介して互いに通信可能に接続されている。
【0011】
スキャナ15は、例えば、CCDやCISなどの読取センサを有し、原稿の読取りに応じた画像データを生成する。本実施形態では、スキャナ15は、フラットベッド型のスキャナであり、原稿台20に置かれた原稿を、読取センサにより読み取ることができる。また、MFP10は、ADF(Auto document feederの略称)22を備えており、スキャナ15は、ADF22により送られた原稿を、読み取ることも可能である。また、原稿台20の付近には、原稿台20に原稿が置かれたことを検知するセンサ21が取り付けられている。センサ21は、原稿台20に原稿が置かれたことに応じて、コントローラ11に出力する信号を変化させる。
【0012】
プリンタ13は、シートやディスクなどの被記録媒体に画像を印刷する印刷動作を実行する。シートを用紙とも呼ぶ。印刷は画像形成の一例である。プリンタ13の記録方式としては、インクジェット方式や、電子写真方式などを採用することができる。FAXIF14は、スキャナ15が読み取ることで生成された画像データを、ネットワークに接続された外部装置に送信するFAX送信を行うことができる。また、FAXIF14は、外部装置から受信したFAX受信データを、プリンタ13に印刷させることや、FAX受信データをメモリ12に保存するFAX受信処理を実行することができる。
【0013】
ユーザIF16は、ユーザによるMFP10に対する各種操作を受付可能なインタフェースである。ユーザIF16は、液晶ディスプレイを含むタッチパネルや各種スイッチ等を含んでいる。通信IF18は、例えば無線LAN通信を行い、無線LANに接続されている不図示のPCおよびサーバなどと通信を行う。
【0014】
無線通信IF17は、無線通信によって、IDカード19に記憶された情報を読み取るハードウェアである。例えば、MFP10は、本体の前面にIDカード19の読取台(不図示)を備えており,当該読取台の裏側に無線通信IF17を配置している。IDカード19には、IDカード19を識別するための情報であるCard番号が記憶されている。ユーザが、読取台に向けて、IDカード19を接近させることで、無線通信IF17は、IDカード19に記憶されたCard番号を読取ることが可能となる。後述するように、MFP10のコントローラ11は、Card番号に対応付けて、ユーザIDや、ショートカット情報をメモリ12に記憶しておくことが可能である。ユーザID及びショートカット情報については後述する。無線通信IF17は、例えば、NFC(Near Field Communicationの略称)に従った無線通信を行う。本実施形態では、IDカード19が媒体の一例である。なお、無線通信IF17は、IDカード19以外にも、携帯端末といった媒体からの情報を、無線により読み取るハードウェアであってもよい。
【0015】
メモリ12は、RAMなどの揮発性メモリ、NVRAMなどの不揮発性メモリ、ROM等が組み合わされて構成されている。不揮発性のメモリとして、SSD、HDDなどを用いてもよい。各種プログラムの実行時に用いられる、コントローラ11が備えるバッファも、メモリ12の一部とみなしてよい。なお、メモリ12は、コントローラ11が読取り可能なストレージ媒体であってもよい。コントローラ11が読取り可能なストレージ媒体とは、non-transitoryな媒体である。non-transitoryな媒体には、上記の例の他に、CD-ROM、DVD-ROM等の記録媒体も含まれる。また、non-transitoryな媒体は、tangibleな媒体でもある。一方、インターネット上のサーバなどからダウンロードされるプログラムを搬送する電気信号は、コンピュータが読取り可能な媒体の一種であるコンピュータが読取り可能な信号媒体であるが、non-transitoryなコンピュータが読取り可能なストレージ媒体には含まれない。
【0016】
コントローラ11は、CPUや、内部メモリが組み合わされて構成されている。本実施形態では、主に、プログラムに記述された命令に従ったコントローラ11の処理を示す。すなわち、以下の説明における「判断」、「取得」、「受付」、「制御」等の処理は、コントローラ11の処理を表している。なお「取得」は要求を必須とはしない概念で用いる。すなわち、コントローラ11が要求することなくデータを受信するという処理も、「コントローラ11がデータを取得する」という概念に含まれる。また、本明細書中の「データ」とは、コントローラ11に読取可能なビット列で表される。そして、実質的な意味内容が同じでフォーマットが異なるデータは、同一のデータとして扱われるものとする。本明細書中の「情報」についても同様である。なお、コントローラ11は、1つに限らず、複数のコントローラにより構成されていてもよい。この場合において、コントローラ11により実行される後述する各処理は、複数のコントローラにより分散されて実行されてもよい。
【0017】
コントローラ11は、MFP10の電源がONされたことを契機に、
図2に示す処理を実行する。まずは、ユーザAが原稿台20に、原稿M1を置き、この原稿M1を読み取ることを含む特定の機能を実行する場合を例に説明する。
【0018】
コントローラ11は、ステップ10(以下、ステップをSと記載する。)で、
図3に示す待機画面40をユーザIF16に表示させる。待機画面40には、アイコン表示領域44と、ログイン状態表示欄45と、タブ43とを含んでいる。アイコン表示領域44は、操作対象となるアイコンをm行n列(m,nは自然数)で表示する領域である。
図3では、アイコン表示領域44を破線で囲んでいる。具体的には、アイコン表示領域44には、MFP10が実行可能な「FAX」、「コピー」、「スキャン」の各機能の実行指示を受付けるアイコン41A,41B,41C,41Dや、未登録キー42、ショートカットアイコン46が含まれている。なお、待機画面40に表示される各アイコンの詳細については後述する。
【0019】
ログイン状態表示欄45は、ユーザのログインが行われていないパブリック状態と、ユーザのログインが行われているログイン状態とのいずれかを示す情報を表示する欄である。
図3では、ログイン状態表示欄45には、パブリック状態であることを示す「Public」が表示されている。また、待機画面40は、複数の画面により構成されており、本実施形態では、画面下部に表示されたタブ43A~43Dを操作することで、ユーザIF16に、操作されたタブ43に対応する画面を表示させることができる。
図3に示す待機画面40は、タブ43Aに対応する「Basic1」の画面を表示している。
【0020】
S11では、コントローラ11は、ログインユーザの認証の可否を行うユーザ認証処理を実行する。本実施形態では、コントローラ11はユーザ認証処理において、ユーザIF16に対する操作に応じて、ログインの許可又は不許可を行う(以下、手動操作によるユーザの切替とも記載する。)と、IDカード19を無線通信IF17に接近させたことに応じて、ログインの許可又は不許可を行う(以下、IDカード認証とも記載する)とがある。手動操作によるユーザの切替では、
図4に示すログイン画面50をユーザIF16に表示させて、ユーザによる操作を受け付けることで、ログインに対する許可、又は不許可を行う。
【0021】
図6は、S11で実行されるユーザ認証処理の手順を示すフローチャートである。S30では、コントローラ11は、手動操作による、ユーザの切替指示を受け付けたか否かを判断する。手動操作では、
図4に示すログイン画面50で、ログインユーザを識別するユーザIDの入力と、パスワードの入力とを受け付ける。ユーザが、ユーザIF16を操作して、ユーザID入力欄51に、自身(この例では、ユーザA)を示すユーザIDを入力し、パスワード入力欄52にパスワードを入力する。ユーザAが、ログイン画面50において、確定ボタン53を操作することで、コントローラ11は、手動操作による、ユーザの切替指示を受け付けたことを判断し(S30:YES)、S31に進む。
【0022】
S31では、コントローラ11は、ログインユーザを示すユーザIDを用いてログイン処理を実行する。ログイン処理では、コントローラ11は、ログイン画面50に対する入力により取得されたパスワードが、ユーザIDに紐づけて登録されているパスワードと一致していれば、ユーザIDで示されるログインユーザに対してログインを許可する。なお、ログイン画面50に対する入力により取得されたパスワードが、ユーザIDに紐づけて登録されているパスワードと一致していなければ、ユーザIDで示されるログインユーザに対してログインを許可しない。
【0023】
IDカード認証によるユーザの切替では、ユーザAが、IDカード19を無線通信IF17に接近させることで、コントローラ11は、IDカード19に記憶されている、Card番号を、無線通信IF17を介して取得し(S32:YES)、S31に進む。S31では、コントローラ11は、IDカード19から取得されたCard番号に対応するユーザIDが、メモリ12に記憶されていれば、このユーザIDで示されるログインユーザに対してログインを許可し、Card番号に対応するユーザIDが、メモリ12に記憶されていなければ、ログインを許可しない。この例では、ユーザAが認証されることでログインが許可され、
図5に示されるように、待機画面40において、ログイン状態表示欄45の表示が、「Public」から、「ユーザA」に変更される。コントローラ11は、ログイン状態において、現在ログイン中のユーザを示すユーザIDを、メモリ12に保持している。なお、IDカード19に、Card番号に対応付けてユーザIDを記憶する構成としてもよい。この場合、S31で実行するログイン処理では、コントローラ11は、IDカード19から取得したユーザIDが、メモリ12に記憶されていれば、ログインユーザに対してログインを許可し、ユーザIDがメモリ12に記憶されていなければ、ログインユーザに対してログインを許可しない。
【0024】
S33では、コントローラ11は、原稿台20に原稿が置かれているか否かを判断する。本実施形態では、コントローラ11は、センサ21からの出力がONになっている場合に、原稿台20に原稿が置かれていると判断し、センサ21からの出力がOFFになっている場合に、原稿台20に原稿が置かれていないと判断する。コントローラ11は、原稿台20に原稿が置かれていないため(S33:NO)、
図6の処理を終了し、
図2のS12に進む。本実施形態では、コントローラ11が実行するS33の処理が、残原稿判断処理の一例である。センサ21からの出力がONに設定されることが、第1値に設定されることの一例であり、OFFに設定されることが、第2値に設定されることの一例である。
【0025】
本実施形態において、原稿とは、スキャナ15の読取対象となるものであればよく、いわゆる紙の原稿だけに限定されない。例えば、原稿は、スキャナ15により読み取ることができるものであれば、IDカードや、紙以外の材料でできたシートであってもよい。
【0026】
ここでは、ユーザAは、
図2のS12でのアイコンの操作に先立ち、ログイン処理の実行後に、原稿台20に原稿M1を置くものとする。コントローラ11は、原稿台20を遮蔽する蓋の開閉が行われたことを契機に、
図7の処理を実行する。コントローラ11は、
図7に示す処理を、
図2に示す処理と並列に実行することが可能である。
【0027】
原稿台20に原稿が置かれていない状態で、ユーザAが、原稿台20に原稿M1を置くことで、センサ21の出力がOFFからONへと変化する。コントローラ11は、センサ21からの出力がOFFからONへ変化したことを検知すると(S50:YES)、S51に進み、ログイン状態であるか否かを判断する。コントローラ11は、ユーザAがログインしていることを判断し(S51:YES)、S52に進む。
【0028】
S52では、コントローラ11は、現在のログインユーザであるユーザAを示すユーザIDを、原稿所有者情報31として、メモリ12に記憶する。原稿所有者情報31は、原稿台20に原稿が置かれたときのログインユーザを示す情報であり、言い換えると、原稿の所有者を識別するための識別情報でもある。本実施形態では、原稿所有者情報31は、ユーザIDそのものではなく、ユーザIDを識別可能な情報であってもよい。
【0029】
S53で、コントローラ11は、メモリ12に記憶された一致フラグ32をONに設定する。一致フラグ32は、現在のログインユーザと、原稿台20に原稿が置かれたときのログインユーザとが一致しているか否か示す情報である。一致フラグ32がONに設定されていれば、現在のログインユーザと、原稿台20に原稿が置かれたときのログインユーザとが一致していることを示し、OFFに設定されていれば、現在のログインユーザと、原稿台20に原稿が置かれたときのログインユーザとが一致していないことを示す。コントローラ11は、S53を終了すると、S50に戻る。
【0030】
図2に戻り、S12で、コントローラ11は、待機画面40において、スキャンに対応するアイコンが操作されたか否かを判断する。なお、スキャンに対応するアイコンとは、スキャナ15に原稿を読み取らせることを指示するアイコンであり、本実施形態では、後述するアイコン41A,41B,41C、41D、ショートカットアイコン46である。
【0031】
ユーザAが機能「FAX」に関するアイコン41Aを操作した場合(S12:YES)、コントローラ11は、S14に進み、S12でのスキャンに対応する操作に応じた機能(この例では、機能「FAX」)を実行する。機能「FAX」では、スキャナ15が読取ることで生成された画像データを、FAXIF14を介して送信先の装置に送信することができる。ユーザAが機能「コピー」に関するアイコン41Bを操作した場合(S12:YES)は、コントローラ11は、S14に進み、S12でのスキャンに対応する操作に応じた機能(この例では、機能「コピー」)を実行する。機能「コピー」では、スキャナ15が原稿を読取ることで生成された画像データを、プリンタ13により印刷させることができる。ユーザが機能「スキャン」に関するアイコン41Cを操作した場合(S12:YES)、コントローラ11は、S14に進み、S12でのスキャンに対応する操作に応じた機能(この例では、機能「スキャン」)を実行する。機能「スキャン」は、スキャナ15が原稿を読取ることで生成された画像データを、通信IF18を介して例えばPC又はサーバなどへ送信し、又はUSBメモリへ保存する。
【0032】
アイコン41A~41Cを操作することで実行される機能は、後述するショートカット情報で示されるパラメータを用いて実行するのではなく、メモリ12に記憶されている各機能のデフォルトパラメータを用いて実行される。コントローラ11は、ユーザIF16を介した操作によりデフォルトパラメータが変更された場合は、変更後のパラメータにより各処理を実行することになる。
【0033】
また、待機画面40のアイコン表示領域44には、ショートカットアイコンを割り当てることが可能な未登録キー42を含んでいる。コントローラ11は、S15において、ユーザIF16に対する操作によって、機能「スキャン」、機能「コピー」、機能「FAX」などの機能の指定と、パラメータの指定とをユーザから受け付け、指定された機能に対応するショートカットアイコンを、未登録キー42が存在していた位置に割り当てることができる。コントローラ11は、このショートカットアイコンに対応付けて、機能及びパラメータを示す情報をショートカット情報としてメモリ12に記憶する。ユーザAが、ショートカットアイコン46を操作した場合(S12:YES)、コントローラ11は、S14で、対応するショートカット情報をメモリ12から読み出し、ショートカット情報が示す機能「スキャン」を、ショートカット情報が示すパラメータで実行する。本実施形態では、待機画面40には、機能「スキャン」に対応するショートカットアイコン46が割り当てられているが、これ以外にも、機能「FAX」、機能「コピー」に対応するショートカットアイコンを割り当てることもできる。以下では、ショートカットアイコンに、MFP10の機能、及びショートカット情報を関連付けることを「ショートカット登録」とも記載する。
【0034】
S15において、また、ユーザは、ユーザIF16を介した操作によってショートカットアイコンを選択し、選択されたショートカットアイコンに対応するショートカット情報を、IDカード19に対応付けることができる。なお、コントローラ11が、S15において、ユーザIF16を介した操作によって、機能「スキャン」、機能「コピー」、機能「FAX」などの機能の指定操作と、パラメータの指定操作とを受け付け、IDカード19のCard番号に対応付けて、ショートカット情報をメモリ12に記憶させるという構成でもよい。ユーザAが、いずれかの機能に対応するIDカード19を無線通信IF17に接近させることで(S13:YES)、コントローラ11は、S14で、IDカード19から取得されたCard番号に対応するショートカット情報をメモリ12から読み出し、このショートカット情報が示す機能を、ショートカット情報が示すパラメータで実行する。なお、IDカード19を無線通信IF17に接近させることは、「スキャンに対応する操作を行う」ことの一例である。
【0035】
ショートカット情報に登録されるパラメータは、ショートカット登録される機能によって異なる。例えば、機能がコピーに関するものであれば、設定項目「出力サイズ」、「品質」、「色」の設定値、設定項目「コピー枚数」、「両面印刷」などの設定値が用いられる。また、例えば、「機能」がスキャンに関するものであれば、設定項目「保存先」、「読取りサイズ」、「出力サイズ」、「品質」、「色」の設定値、設定項目「拡大縮小」の設定値などが用いられる。
【0036】
なお、ショートカット情報のメモリ12への記憶は、ユーザIF16を介した操作ではなく、PCやサーバといった外部装置からの指示により行われるものであってもよい。この場合、コントローラ11は、外部装置からの指示により、待機画面40に割り当てられたショートカットアイコンに関連付けて、ショートカット情報をメモリ記憶する。コントローラ11は、MFP10にUSBメモリが装着された場合に、このUSBメモリに記憶されたショートカット情報を読み出すことで、待機画面40にショートカットアイコンを割り当てもよい。更には、工場出荷時から、ショートカット情報がメモリ12に記憶されていてもよい。この場合、工場出荷時から、待機画面40にはショートカットアイコンが割り当てられている。例えば、待機画面40に表示される機能「2in1 IDコピー」に対応するアイコン41Dは、工場出荷時からメモリに記憶されているショートカット情報に対応するアイコンの一例である。なお、機能「2in1 IDコピー」は、原稿台20にIDカード19の表面が読取センサに向くように置いてスキャンし、その後、裏面が読取センサに向くように置いてスキャンすると、表面と裏面それぞれのスキャンデータを生成し、1枚のシートに、表と裏と両方を印刷する。
【0037】
図8は、コントローラ11が、S14で実行する、スキャンに対応する操作に応じた機能の手順を示すフローチャートである。S60では、コントローラ11は、ADF22に原稿が置かれているか否かを判断する。この例では、ADF22に原稿が置かれていないため(S60;NO)、コントローラ11は、S62に進み、原稿台20に原稿が置かれているか否かを判断する。S62で、原稿台20に原稿が置かれているか否かの判断は、
図6のS33での判断と同様の処理である。
【0038】
コントローラ11は、原稿台20に原稿M1が置かれているため(S62:YES)、S63に進み、現在のログインユーザ(この例では、ユーザA)と、メモリ12に記憶された原稿所有者情報31で示されるログインユーザとが一致するか否かを判断する。具体的には、メモリ12に記憶された一致フラグ32がONに設定されていれば、現在のログインユーザと、原稿所有者情報31で示されるログインユーザとが一致すると判断し(S63:YES)、S64に進む。
【0039】
S64では、コントローラ11は、原稿台20に置かれた原稿M1を、スキャナ15に読み取らせることにより、画像データを生成するスキャン処理を実行する。なお、コントローラ11は、生成した画像データを、一時的にメモリ12に記憶する。
【0040】
S69で、コントローラ11は、S64でのスキャン処理により生成された画像データを、スキャンに対応する操作(
図3 S12、S13)に応じて処理する。具体的には、
図3のS12で、待機画面40のFAXアイコン41Aが操作されることで、機能「FAX」が指示されている場合、コントローラ11は、生成された画像データを用いてFAX送信データを生成し、このFAX送信データを、指定されたアドレスに向けてFAXIF14によりFAX送信させる。S12で、コピーアイコン41Bが操作されることで、機能「コピー」が指示されている場合、コントローラ11は、生成された画像データを用いて印刷データを生成し、この印刷データを、プリンタ13により印刷させる。S12で、スキャンアイコン41Cが操作されることで、機能「スキャン」が指示されている場合、コントローラ11は、生成された画像データを、指定されたメモリ12、可搬型メモリ、PC、又はサーバに記憶させる。
【0041】
なお、S12で、待機画面40のショートカットアイコン46が操作されることで、機能「スキャン」が指示されている場合、コントローラ11は、S69で、ショートカットアイコン46に対応するショートカット情報をメモリ12から読み出し、ショートカット情報が示す機能「スキャン」を、生成された画像データ、及びショートカット情報が示すパラメータを用いて実行する。なお、待機画面40に機能「FAX」、機能「コピー」に対応するショートカットアイコンが割り当てられており、各ショートカットアイコンが操作された場合の処理も、上述のショートカットアイコン46が操作された場合と同様である。
【0042】
一方、ユーザAが、スキャンに対応するIDカードを無線通信IF17に接近させた場合(S13:YES)、コントローラ11は、S14に進み、スキャンに対応する操作に応じた機能のうち、IDカードに対応する機能を実行する。具体的には、機能「スキャン」、機能「FAX」、機能「コピー」のいずれかに対応するIDカード19が無線通信IF17に接近された場合である。この場合において、コントローラ11は、既に説明した
図8のS69で、IDカード19から取得されたCard情報に対応するショートカット情報をメモリ12から読み出し、このショートカット情報が示す機能を、生成された画像データ、及びショートカット情報が示すパラメータを用いて実行する。
【0043】
コントローラ11は、S69を終了すると、
図2のS16に進む。なお、ADF22に原稿が置かれている場合(S60:YES)、コントローラ11は、S61に進み、ADF22に置かれた原稿をスキャナ15に読み取らせることで、画像データを生成するスキャン処理を実行することになる。
【0044】
また、S62で、コントローラ11は、センサ21からの出力により、原稿台20に原稿が置かれていないことを判断する場合(S62:NO)、S66に進み、
図9に示す原稿準備報知画面60を、ユーザIF16を用いて表示させる。例えば、原稿台20に原稿が置かれた後に、何らかの理由により、原稿が取り除かれた場合である。原稿準備報知画面60には、原稿台20に原稿が置かれていないことを示す表示領域61と、非表示ボタン62とを含んでいる。例えば、ユーザAが、非表示ボタン62を操作した後、原稿台20に原稿を置くことで、コントローラ11は、既に説明した
図7のS50~S53の処理を実行する。そして、コントローラ11は、原稿台20に原稿が置かれたことを判断し(S67:YES)、S60に戻る。そして、コントローラ11は、S60~S63の処理を実行した後、S64で、原稿台20に置かれた新たな原稿を用いてスキャン処理を実行する。なお、原稿台20に原稿が置かれることなく、所定時間が経過すると(S68:YES)、コントローラ11は、
図8の処理を終了し、
図2のS16に進む。この場合、コントローラ11は、S64でのスキャン処理を実行しない。
【0045】
図2のS16では、コントローラ11は、ログイン状態であるか否かを判断する。コントローラ11は、現在、ユーザAのログイン中であるため(S16:YES)、S17に進み、ログイン状態を解除するためのログアウトボタンが操作されたか否かを判断する。ここでは、ユーザAがログアウトボタンを操作したとして(S17:YES)、コントローラ11は、S19に進み、ログアウト処理を実行する。コントローラ11は、ログアウト処理において、現在のログインユーザを示すユーザIDをメモリ12から削除することで、ログアウト状態になる。
【0046】
ユーザAが、スキャンに対応するいずれかのアイコンを操作した場合(S18:NO、S12:YES)、コントローラ11は、S14に進み、操作されたアイコンに応じてスキャンに対応する操作に応じた機能を再度実行することになる。なお、ユーザAが、ログアウトボタンを操作することなく(S17:NO)、かつ無操作のまま所定時間が経過した場合(S18:YES)、コントローラ11は、S19に進み、ログアウト処理を実行する。
【0047】
S20では、コントローラ11は、メモリ12に記憶されている一致フラグ32を、OFFに設定する。なお、コントローラ11がS20で一致フラグ32をOFFに設定した場合でも、メモリ12に記憶された原稿所有者情報31は削除されない。そのため、S19でのログアウト処理の実行後においても、原稿台20に最後に置かれていた原稿M1の所有者を示す原稿所有者情報31(この例では、ユーザA)は、保存されたままとなる。
【0048】
次に、ユーザAとは異なるユーザBが、ユーザIF16を操作してスキャンに対応する操作に応じた機能を実行する場合を説明する。この例では、ユーザAは、ログアウト後に原稿台20に置いた原稿M1を取り除いており、ユーザBが、スキャンに対応する操作に応じた機能の指示をMFP10に行うときには、原稿台20に原稿の置き忘れがないものとする。
【0049】
図2のS11において、コントローラ11は、ユーザBに対するユーザ認証処理を実行する。原稿台20に原稿が置かれていない場合に、コントローラ11が実行するユーザ認証処理は、既に、
図6を用いて説明している。ユーザBによるログインが許可されることで、
図5に示す待機画面40において、ログイン状態表示欄45の表示が、「ユーザA」から、「ユーザB」に変更される。この例においても、コントローラ11は、
図6のS31でのログイン処理の実行後に、原稿台20に原稿が置かれていないことを判断し(S33:NO)、
図2のS12に進む。
【0050】
次に、ユーザBが、原稿台20の蓋を開くことで、コントローラ11は、
図7の処理を実行する。原稿台20に原稿を置く場合に、コントローラ11が実行する
図7の処理は既に説明している。この場合においても、S51で、コントローラ11は、現在、ユーザBのログインを判断し(S51:YES)、S52に進み、ユーザBのユーザIDを原稿所有者情報31としてメモリ12に保存する。これにより、現在のログインユーザと、原稿所有者情報31で示されるユーザとが、共に「ユーザB」になることで、S53で、コントローラ11は、一致フラグをONに設定し、S50に戻る。
【0051】
図2のS12に進み、コントローラ11は、ユーザBがスキャンに対応する操作を行ったことを判断すると(S12:YES、又はS13:YES)、S14に進み、スキャンに対応する操作に応じた機能を実行する。コントローラ11がS14で実行する処理は、既に説明している。この場合にいても、
図8のS63で、コントローラ11は、一致フラグ32がONに設定されているため(S63:YES)、S64に進み、スキャナ15に原稿M2を読み取らせることで画像データを生成する。S69で、S12,S13で受け付けた操作に応じた機能により画像データを処理する。コントローラ11は、S69の処理を終了すると、
図2のS16に進む。ユーザBが、ログアウトボタンを操作した後の処理は、既に説明した。
【0052】
次に、ユーザAが、原稿台20に原稿M1を置き忘れた後、ユーザBがスキャンに対応する操作に応じた機能の実行を指示する場合を例に説明を行う。即ち、この例では、ユーザBのログイン前からメモリ12に、ユーザAを示す原稿所有者情報31が保存されている。
【0053】
図2のS11において、コントローラ11は、ユーザ認証処理を実行する。
図6のS31で、コントローラ11は、ユーザBに対するログイン処理を実行する。S33で、コントローラ11は、原稿台20に原稿M1が置かれているため(S33:YES)、S34に進む。コントローラ11は、メモリ12にユーザA示す原稿所有者情報31が記憶されていることを判断し(S34:YES)、S40に進む。
【0054】
S40で、コントローラ11は、現在のログインユーザと、原稿所有者情報31で示されるユーザとが一致するか否かを判断する。この例では、現在のログインユーザは、「ユーザB」であるのに対して、原稿所有者情報31は「ユーザA」を示しており、一致フラグ32がOFFに設定されている(S40:NO)。そのため、コントローラ11は、S41に進み、
図10に示す原稿交換報知画面63を、ユーザIF16を用いて表示させる。即ち、ユーザに対して、原稿台20に置かれた原稿M1の交換を促すことを報知する。本実施形態では、コントローラ11が実行するS41の処理、及び後述するS39での処理が、報知処理の一例である。
【0055】
図10で示す、原稿交換報知画面63は、ユーザに対して原稿台20に置かれた原稿の交換を促すテキストが表示される表示領域64と、原稿交換報知画面63のユーザIF16からの非表示指示を受け付ける非表示ボタン65とを含んでいる。ここでは、ユーザBが、原稿交換報知画面63で示される内容を確認し、非表示ボタン65を操作した後に、原稿台20に置かれた原稿M1を、新たな原稿M2に置き換えるものとする。ユーザBが原稿台20に置かれた原稿M1を取り除くことで、コントローラ11は、センサ21の出力がONからOFFに変化したことを判断し(
図7、S54:YES)、S55に進み、メモリ12に記憶されているユーザAを示す原稿所有者情報31を削除する。S56では、コントローラ11は、メモリ12に記憶された一致フラグ32をOFFに設定する。なお、この例では、ユーザAに対するログアウト処理(S19)の実行後に、S20で、一致フラグ32がOFFに設定されているため、S56では、コントローラ11は、一致フラグ32をOFFに維持することになる。
【0056】
次に、ユーザBが、原稿台20に新たな原稿M2を置くことで、コントローラ11は、センサ21の出力がOFFからONに変化したことを判断し(S50:YES)、S51に進む。S51で、コントローラ11は、現在、ユーザBがログインしているため(S51:YES)、S52に進み、ユーザBのユーザIDを原稿所有者情報31としてメモリ12に保存する。これにより、現在のログインユーザと、原稿所有者情報31で示されるユーザとが、共に「ユーザB」になることで、コントローラ11は、S53で、一致フラグをONに設定し、S50に戻る。
【0057】
なお、
図6のS31でのユーザBに対するログイン処理から、S40の処理までの間に、ユーザBが、原稿台20に置かれた原稿を、原稿M1から原稿M2に置き換えた場合、
図7のS50で、一致フラグ32がONに設定される。この場合に、
図6のS40で、コントローラ11は、一致フラグ32がONに設定されていることを判断し(S40:YES)、原稿交換報知画面63を表示することなく、
図6で示すユーザ認証処理を終了することになる。
【0058】
図2のS12に進み、コントローラ11は、ユーザBがスキャンに対応する操作を行ったことを判断すると(S12:YES、又はS13:YES)、S14に進み、スキャンに対応する操作に応じた機能を実行する。そのため、
図8のS62で、コントローラ11は、原稿台20に原稿M2が置かれていることを判断し(S62:YES)、S63に進む。S63で、コントローラ11は、一致フラグ32がONに設定されていることを判断し(S63:YES)、S64み、原稿台20に置かれた原稿M2を用いてスキャン処理を実行する。コントローラ11は、S69で、スキャンに対応する操作に応じた機能を実行すると、
図2のS16に進む。ユーザBがログアウトボタンを操作した後の処理は、既に説明した。
【0059】
次に、ユーザBのログイン中に、
図6のS41で原稿交換報知画面63が表示された後に、ユーザBが、ユーザAが置き忘れた原稿M1を交換しない場合の処理を説明する。
【0060】
図2で、ユーザBが、スキャンに対応する操作を行うと(S12:YES、又はS13:YES)、コントローラ11は、S14に進み、スキャンに対応する操作に応じた機能を実行する。
図8のS62で、原稿台20にユーザAが置き忘れた原稿M1が置かれているため(S62:YES)、S63に進み、ログインユーザと原稿所有者情報31で示されるユーザとが一致するか否かを判断する。この例では、原稿交換報知画面63の表示後も、ユーザBは、原稿台20から原稿M1を取り除いていないため、一致フラグ32がOFFに設定されている。そのため、コントローラ11は、S63を否定判断し(S63:NO)、S65に進み、
図10に示した原稿交換報知画面63を、再び、ユーザIF16を用いて表示させる。
【0061】
本実施形態では、S65での原稿交換報知画面63の表示後に、原稿台20の原稿が交換されない場合は、コントローラ11は、S64でのスキャン処理を実行しない。即ち、原稿台20の原稿が交換されることなく、所定時間が経過すると(S68:YES)、
図8の処理が終了され、
図2のS16に進むことになる。
【0062】
ユーザBが、S65で再び表示された原稿交換報知画面63により、原稿台20に置かれた原稿M1を原稿M2に取り換えたとする。なお、ユーザBが原稿台20に置かれた原稿M1を原稿M2に取り換える際の、コントローラ11が実行する処理は、
図7により既に説明した。ユーザBが原稿台20に置かれた原稿M1を原稿M2に取り換えることで、コントローラ11は、S52で、ユーザBのユーザIDを原稿所有者情報31としてメモリ12に記憶し、S53で一致フラグ32をONに設定する。
【0063】
図8のS67では、コントローラ11は、原稿台20の原稿M1が新たな原稿M2に置き換えられたことを判断し(S67:YES)、S60に戻る。既に説明したように、コントローラ11は、一致フラグ32がONに設定されることで(S63:YES)、S64に進み、原稿台20に置かれた原稿M2を用いてスキャン処理を実行し、S69で、スキャンに対応する操作に応じた機能を実行する。
【0064】
次に、ユーザBのログイン前から、原稿台20に原稿M3が置かれているが、メモリ12に原稿所有者情報31が記憶されていない場合に、コントローラ11が実行する処理を説明する。例えば、ユーザB のログイン前に、ログインしていない他のユーザが原稿台20に原稿M3を置き、スキャンに対応する操作に応じた機能を実行することなく、ユーザBがログインする場合である。この場合、原稿台20に原稿M3が置かれたときは、ログイン状態ではないため(
図7 S51:NO)、コントローラ11は、メモリ12に原稿所有者情報31を記憶していない。
【0065】
図2のS11において、コントローラ11は、ユーザ認証処理を実行する。
図6のS31で、コントローラ11は、ユーザBに対するログイン処理を実行する。S33で、コントローラ11は、原稿台20に原稿M3が置かれているため(S33:YES)、S34に進み、メモリ12に原稿所有者情報31が記憶されているか否かを判断する。この例では、メモリ12には原稿所有者情報31が記憶されていないため(S34:NO)、コントローラ11は、S35に進む。
【0066】
S35で、コントローラ11は、
図11で示す原稿確認報知画面66をユーザIF16に表示させる。原稿確認報知画面66は、ユーザに対して原稿台20に置かれた原稿が自身の原稿であるか確認を促すテキストが表示される表示欄67と、Yesボタン68と、Noボタン69とを含んでいる。言い換えると、コントローラ11は、原稿所有者情報31がメモリ12に記憶されておらず、現在のログインユーザと原稿の所有者とが一致するか否かが判断できない場合も、ユーザBに対して、ユーザIF16を用いて報知を行う。
【0067】
ユーザBが、原稿台20に置かれた原稿M3を確認して、原稿M3を自分のものと判断し、Yesボタン68を操作すると(S36:YES)、コントローラ11は、S37で、現在のログインユーザ(この例では、ユーザB)を示すユーザIDを、原稿所有者情報31としてメモリ12に保存する。S38では、コントローラ11は、メモリ12に記憶された一致フラグ32をONに設定し、
図2のS12に進む。
【0068】
一致フラグ32がONに設定されることで、既に説明した、S14のスキャンに対応する操作に応じた機能において、コントローラ11は、
図8のS63を肯定判断し(S63:YES)、S64で、原稿台20に置かれた原稿M3を用いて、スキャン処理を実行する。S69で、コントローラ11は、S12又はS13で受け付けた操作に応じて、生成された画像データを処理する。
【0069】
一方、ユーザBが、原稿台20に置かれた原稿M3を自分のものでないと判断し、Noボタン69を操作すると(S36:NO)、コントローラ11は、S39で、
図10で示す原稿交換報知画面63をユーザIF16に表示させる。即ち、ユーザBに対して、原稿台20に置かれた原稿M3の交換を促す。既に説明したように、ユーザBが、原稿台20に置かれた原稿M3を、新たな原稿に取り換えることで、
図7のS52でユーザBを示すユーザIDが原稿所有者情報31としてメモリ12に保存される。そして、S53で、コントローラ11は、メモリ12に記憶された一致フラグ32をONに設定し、
図2のS12に進む。
【0070】
S53で一致フラグ32がONに設定されることで、既に説明した、S14のスキャンに対応する操作に応じた機能の実行において、コントローラ11は、
図8のS63を肯定判断し(S63:YES)、S64で、原稿台20に置かれた原稿M3を用いてスキャン処理を実行する。S69で、コントローラ11は、受け付けた操作に応じて、生成された画像データを処理する。ユーザBによるログアウトボタンを操作した後のコントローラ11が実行する処理は、既に説明した。
【0071】
次に、
図2のS11でのユーザ認証処理が実行される前に、ユーザBが、原稿台20に原稿を置いた場合の、コントローラ11が実行する処理を説明する。この場合、コントローラ11は、
図6のS33で、原稿台20に原稿が置かれていることを判断し(S33:YES)、S34に進み、メモリ12に原稿所有者情報31が記憶されているか否かを判断する。この例では、メモリ12には原稿所有者情報31が記憶されていないため(S34:NO)、コントローラ11は、S35に進み、
図11で示した原稿確認報知画面66をユーザIF16に表示させる。言い換えると、コントローラ11は、原稿所有者情報31がメモリ12に記憶されておらず、現在のログインユーザと原稿の所有者とが一致するか否かが判断できない場合も、ユーザBに対してユーザIF16を用いて報知を行う。
【0072】
ユーザBが、原稿台20に置かれた原稿を確認して、原稿を自分のものと判断し、Yesボタン68を操作すると(S36:YES)、コントローラ11は、S37で、現在のログインユーザ(ユーザB)を、原稿所有者情報31としてメモリ12に保存する。S38では、コントローラ11は、メモリ12に記憶された一致フラグ32をONに設定し、
図2のS12に進む。以下、コントローラ11は、スキャンに対する操作が行われると(S12:YES、又はS13:YES)、S14で、既に説明したようにスキャンに対応する操作に応じた機能を実行する。
【0073】
以上説明した本実施形態では、以下の効果を奏することができる。
MFP10のコントローラ11は、原稿台20に原稿が残されていることを判断した場合に、現在のログインユーザに応じて、原稿台20に残されている原稿に関する報知を、ユーザIF16を用いて行う。これにより、原稿台20に原稿が残されている場合に、一律に、ログインユーザに対して報知を行う場合に比べて、ログインユーザに応じた有効な報知を行うことが可能になる。
【0074】
コントローラ11は、現在のログインユーザが、原稿台20に原稿が置かれたときのログインユーザを示す原稿所有者情報31で示されるログインユーザと異なれば、ユーザIF16を用いて報知を行う。一方、コントローラ11は、現在のログインユーザが、原稿所有者情報31で示されるログインユーザと同じログインユーザであれば、ユーザIF16を用いて報知を行わない。これにより、原稿台20に原稿が置かれたときのログインユーザと、現在のログインユーザとの比較により、ユーザに報知を行うか否かを切替えることができる。
【0075】
コントローラ11は、ログインユーザを認証するときに、原稿台20に原稿が残されているか否かを判断し、かつ、原稿台20に原稿が残されていることが判断された場合に、一致フラグ32がOFFに設定されていれば、報知を行う。これにより、ログインユーザを認証するタイミングで、原稿台20に原稿が残されているか否かが判断され、報知が必要であれば、ユーザに対して報知が行われる。その結果、最適なタイミングで、ユーザに対して報知を行うことができる。
【0076】
コントローラ11は、原稿の読取を指示する操作を受け付けたときに、原稿台20に原稿が残されているか否かを判断し、かつ、原稿台20に原稿が残されていることを判断した場合に、一致フラグ32がOFFに設定されていれば、報知を行う。これにより、ユーザにより原稿の読取を指示する操作が行われたタイミングで、原稿台20に原稿が残されているか否かが判断され、報知が必要であれば、ユーザに対して報知が行われる。その結果、最適なタイミングで、ユーザに対して報知を行うことができる。
【0077】
コントローラ11は、現在のログインユーザが、原稿所有者情報31で示されるログインユーザと同じユーザであるか否かが判断できない場合にも、報知を行う。これにより、ログインユーザに対して、報知を行う機会を増やすことができる。
【0078】
コントローラ11は、ログインユーザを認証するときに、原稿台20に原稿が残されているか否かを判断し、かつ、原稿台20に原稿が残されていることが判断された場合に、一致フラグ32がメモリ12に記憶されていなければ、報知を行う。これにより、原稿台20に原稿が置かれたときのログインユーザが現在のログインユーザと一致するか否かが判断できない場合も、報知を行うことで、ユーザに対して報知を行う機会を増やすことができる。
【0079】
コントローラ11は、原稿の読取を指示する操作を受け付けたときに、原稿台20に原稿が残されているか否かを判断し、かつ、原稿台20に原稿が残されていると判断すると、一致フラグ32がOFFに設定されていれば、報知を行う。これにより、原稿の読取が指示されたタイミングで、ユーザに対して報知を行うか否かを判断し、報知が必要であれば報知を行うことで、ユーザに対して、最適なタイミングで報知を行うことができる。
【0080】
コントローラ11は、ログインユーザが認証されたときに、原稿台20に原稿が残されているか否かを判断する。コントローラ11は、原稿台20に原稿が残されていることを判断すると、原稿所有者情報31がメモリ12に記憶されておらず、現在のログインユーザと原稿の所有者とがわからない場合も、ユーザIF16を用いて報知を行う。これにより、所有者の分からない原稿に関する報知を行うことで、ユーザに原稿台20に置かれた原稿の確認を促すことができる。
【0081】
コントローラ11は、スキャナ15による原稿の読取を指示する操作を受け付けたときに、原稿台に原稿が残されているか否かを判断する。コントローラ11は、原稿台20に原稿が残されていることを判断すると、原稿所有者情報31がメモリ12に記憶されておらず、現在のログインユーザと原稿の所有者とがわからない場合も、ユーザIF16を用いて報知を行う。これにより、原稿の読取を指示する操作を受け付けたタイミングで、所有者が分からない原稿に関する報知を行うことができ、ユーザに原稿の確認を促すことができる。
【0082】
(第1実施形態の変形例)
上述の実施形態では、コントローラ11は、原稿台20に原稿が置かれているか否かを、センサ21からの出力に応じて判断した。これに代えて、例えば、コントローラ11は、S19のログアウト処理を実行した後に、S20で一致フラグをOFFに設定しない場合、一致フラグ32を用いて、原稿台20に原稿が置かれているか否かを判断してもよい。この場合において、コントローラ11は、
図6のS33で、S31でのログイン処理においてログインユーザの認証が完了よりも前から、一致フラグ32がONになっていることを判断すると、原稿台20に原稿が置かれていると判断する。本実施形態では、一致フラグ32がONに設定されることが、第1値に設定されることの一例であり、OFFに設定されることが、第2値に設定されることの一例である。
【0083】
上述の実施形態では、コントローラ11は、一致フラグ32がONに設定されている場合に、現在のログインユーザと、S52で記憶しておいた原稿所有者情報31とが同じログインユーザを示すと判断した(S40,S63)。これに代えて、コントローラ11は、メモリ12に記憶した現在のログインユーザを示すユーザIDと、S52で記憶しておいた原稿所有者情報31とを比較し、ログインユーザと原稿所有者情報31で示されるログインユーザが一致するか否かを判断してもよい(S40,S63:YES)。この場合において、コントローラ11は、S38、S53で、一致フラグ32をメモリ12に記憶しなくともよい。
【0084】
(第2実施形態)
第2実施形態では、第1実施形態と異なる構成を主に説明を行う。第2実施形態において第1実施形態と同一の箇所については同じ符号を付し、その説明を繰り返さない。
本実施形態では、コントローラ11は、IDカード19が無線通信IF17に1回か接近されたことに応じて、ユーザ認証処理と、スキャンに対応する操作に応じた機能(FAX、コピー、スキャン)とを実行することが、第1実施形態と異なる。
【0085】
本実施形態では、ユーザAが、原稿台20に原稿M1を置き忘れた状況下で、ユーザBがIDカード19を無線通信IF17に接近させることで、スキャンに対応する操作に応じた機能の実行を指示する場合を例に説明を行う。
図12のS10で、コントローラ11は、パブリック状態での待機画面40を、ユーザIF16に表示させる。S70で、コントローラ11は、ログイン処理及びスキャンに対応する操作が対応付けられたIDカード19が無線通信IF17に接近されたことを判断し(S70:YES)、S71に進み、ログイン状態であるか否かを判断する。ここでは、ログイン状態でないとして、コントローラ11は、S72に進み、ユーザ認証処理を実行する。
【0086】
図13は、コントローラ11が、S72で実行するユーザ認証処理の手順を説明するフローチャートである。S31では、コントローラ11は、IDカード19から取得されたユーザIDと、パスワードとを用いてログイン処理を実行する。コントローラ11は、原稿台20にユーザAが置き忘れた原稿M1が置かれているため(S33:YES)、S34に進む。S34で、コントローラ11は、ユーザAを示す原稿所有者情報31がメモリ12に記憶されているため(S34:YES)、S40に進む。コントローラ11は、一致フラグ32がOFFに設定されているため(S40:NO)、S41に進み、
図10で示される原稿交換報知画面63をユーザIF16に表示させる。
【0087】
この例においても、ユーザBが、原稿交換報知画面63で示される内容を確認し、非表示ボタン65を操作した後に、原稿台20に置かれた原稿M1を、新たな原稿M2に置き換えるものとする。原稿台20に置かれた原稿M1が原稿M2に置き換えられることにより、コントローラ11が実行する
図7の処理は、既に説明した。ユーザBが、原稿台20に新たな原稿M2を置くことで、
図7のS52で、コントローラ11は、ユーザBを示す原稿所有者情報31をメモリ12に記憶し、S53で、一致フラグ32をONに設定する。
【0088】
図12のS14に進み、コントローラ11は、スキャンに対応する操作に応じた機能を実行する。言い換えると、本実施形態では、IDカード19を無線通信IF17に接近させるだけで、コントローラ11に、スキャンに対応する操作に応じた機能の実行を指示することになる。既に説明したように、
図8のS62で、コントローラ11は、原稿台20に原稿M2が置かれていることを判断し(S62:YES)、S63に進む。S63で、コントローラ11は、一致フラグ32がONに設定されているため(S63:YES)、S64み、原稿台20に置かれた原稿M2を用いてスキャン処理を実行する。コントローラ11は、S69で、生成された画像データに対して処理を行い、S69を終了すると、
図12のS16に進む。
【0089】
ユーザBがログインボタンを操作せず、スキャンに対応する操作を行う場合、コントローラ11は、S73に進み、待機画面40を、ログイン状態でユーザIF16に表示する。なお、ユーザBがログアウトボタンを操作した後の、コントローラ11の処理は既に説明した。
【0090】
以上説明した本実施形態では、IDカード19を無線通信IF17に接近させることで、ログイン処理と、スキャンに対応する操作に応じた機能の実行とを指示できるMFP10においても、原稿台20に原稿の置き忘れがある場合に、ログインユーザに応じて、最適な報知を行うことができる。
【0091】
(その他の実施形態) 本明細書で開示される技術は、上述の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態に変形することができ、例えば次のような変形も可能である。
ログインユーザに対するS39,S40での報知は、
図10に示す原稿交換報知画面63をユーザIF16に表示させることに限定されない。例えば、コントローラ11は、
図10で示す原稿交換報知画面63とは別の画面をユーザIF16に表示させるものであってもよい。
これ以外にも、コントローラ11は、ログインユーザが管理するPCや、携帯端末と通信IF18を介してアクセス可能な構成である場合に、S39,S40で、PCや携帯端末に、原稿交換報知画面63を表示させるものであってもよい。この場合において、PCや携帯端末に、
図10で示す原稿交換報知画面63とは別の画面を表示させるものであってもよい。
【0092】
図2のS11で実行するユーザ認証処理は、ユーザIF16に対する操作や、無線通信IF17へのIDカード19の接近により実行されるものに限定されない。例えば、コントローラ11は、S11で、周知の、顔認証、指紋認証、静脈認証、虹彩認証などを用いて、ログインユーザに対するユーザ認証を実行するものであってもよい。
読取装置の説明として、MFPを用いたことは一例であり、読取装置は、スキャン処理といった単体の機能のみを有する装置であってもよい。
【符号の説明】
【0093】
11…コントローラ、12…メモリ、13…プリンタ、14…FAXIF、15…スキャナ、16…ユーザIF、17…無線通信IF、40…待機画面、41…アイコン、46…ショートカットアイコン