IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社サンエイの特許一覧

<>
  • 特開-パイプ取付治具 図1
  • 特開-パイプ取付治具 図2
  • 特開-パイプ取付治具 図3
  • 特開-パイプ取付治具 図4
  • 特開-パイプ取付治具 図5
  • 特開-パイプ取付治具 図6
  • 特開-パイプ取付治具 図7
  • 特開-パイプ取付治具 図8
  • 特開-パイプ取付治具 図9
  • 特開-パイプ取付治具 図10
  • 特開-パイプ取付治具 図11
  • 特開-パイプ取付治具 図12
  • 特開-パイプ取付治具 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106223
(43)【公開日】2024-08-07
(54)【発明の名称】パイプ取付治具
(51)【国際特許分類】
   F16B 7/04 20060101AFI20240731BHJP
   F16B 2/10 20060101ALI20240731BHJP
【FI】
F16B7/04 301U
F16B2/10 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023010432
(22)【出願日】2023-01-26
(71)【出願人】
【識別番号】392025238
【氏名又は名称】株式会社サンエイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中筋 保
【テーマコード(参考)】
3J022
3J039
【Fターム(参考)】
3J022DA12
3J022EA37
3J022EB12
3J022EB14
3J022EC17
3J022EC22
3J022ED22
3J022ED26
3J022FB07
3J022FB12
3J022GA03
3J022GA12
3J022GB23
3J039AA08
3J039BB01
3J039CA02
3J039GA03
(57)【要約】
【課題】曲部を有するフレーム材に追加のパイプ材を取り付ける際の取付位置の自由度を向上させる。
【解決手段】フレーム材をその軸方向と直交する方向から挟持するフレーム挟持部11,21と、パイプ材Pをパイプ材Pの径方向から挟持するパイプ挟持部12,22と、をそれぞれ有する第1及び第2分割部材10,20を備え、フレーム挟持部11,21の筒軸方向の一端部には、筒軸方向の他端部側に向かって切り欠かれた切欠部11a,21,がそれぞれ形成されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの曲部を有するフレーム材に対して、該フレーム材の軸方向と交差する方向に延びるようにパイプ材を取り付けるためのパイプ取付治具であって、
前記フレーム材をその軸方向と直交する方向から挟持するフレーム挟持部及び前記パイプ材を該パイプ材の径方向から挟持するパイプ挟持部をそれぞれ有しかつ前記パイプ材の径方向に分割された、第1分割部材と第2分割部材とを備え、
前記各フレーム挟持部は、前記フレーム材の外周形状に適合する筒形状を半割した半筒形状をそれぞれなしており、
前記各パイプ挟持部は、半円筒状をそれぞれなしかつ前記各フレーム挟持部にそれぞれ連通しかつその筒軸が、前記各フレーム挟持部の筒軸と交差する方向にそれぞれ延びるように前記各フレーム挟持部から延びており、
前記各フレーム挟持部の筒軸方向の一端部には、該筒軸方向の他端部側に向かって切り欠かれた切欠部がそれぞれ形成されていることを特徴とするパイプ取付治具。
【請求項2】
請求項1に記載のパイプ取付治具において、
前記各切欠部の前記各パイプ挟持部側の端部は、該各パイプ挟持部の外周位置とそれぞれ一致しており、
前記各切欠部は、前記各パイプ挟持部の筒軸方向において、該各パイプ挟持部から遠い位置の方が、該各パイプ挟持部に近い位置よりも前記各フレーム挟持部の筒軸方向の前記他端部側に位置するようにそれぞれ切り欠かれており、
前記第1分割部材と前記第2分割部材とはヒンジ接続されており、
前記第1分割部材と前記第2分割部材とを接続するヒンジ部は、前記パイプ挟持部の径方向外側の位置でかつ前記フレーム挟持部の筒軸方向における前記切欠部が設けられた側の位置に配置されていることを特徴とするパイプ取付治具。
【請求項3】
請求項1に記載のパイプ取付治具において、
前記第1分割部材と前記第2分割部材とは、前記各フレーム挟持部の外周部分に設けられたフレーム側接続部と、前記各パイプ挟持部の外周部分に設けられたパイプ側接続部とにより接続されており、
前記第1及び第2分割部材の一方の前記フレーム側接続部は、第1ネジが締結するフレーム側ネジ孔を有する一方、前記第1及び第2分割部材の他方の前記フレーム側接続部は、第1ネジが挿通するフレーム側挿通孔を有し、
前記第1及び第2分割部材の一方の前記第2接続部は、第2ネジが締結するパイプ側ネジ孔を有する一方、前記第1及び第2分割部材の他方の前記パイプ側接続部は、第2ネジが挿通するパイプ側挿通孔を有することを特徴とするパイプ取付治具。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1つに記載のパイプ取付治具において、
前記フレーム材は、手押し車のフレームを構成するパイプであり、
前記各フレーム挟持部は、それぞれ半円筒状をなしていることを特徴とするパイプ取付治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示された技術は、パイプ取付治具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、軸状部材の軸方向と交差する方向に延びるようにパイプを取り付けるためのパイプ取付治具が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、一のパイプを挟持可能な貫通型の筒状部と、一のパイプに対して直交する方向に延びる他のパイプを挟持可能な非貫通型の筒状部とを有し、非貫通側の筒状部に設けられたボルト孔へ通したボルト及びナットの締め付け力により挟持した各パイプを固定し接続するパイプ継手が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、第一円筒形状部と第二円筒形状部を備え、該各円筒形状部にパイプを嵌挿させて複数のパイプを互いに直交するように接続するパイプジョイントが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011-174564号公報
【特許文献2】特開2020-56431号公報
【特許文献3】特開2019-151219号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1や2に示すパイプ取付治具の用途としては、台車、棚、作業台などのフレームを構成することが挙げられる。特に台車への適用方法としては、特許文献3に示すように、ショッピングカートなどの手押し車に、情報端末等を取り付けるための追加のパイプ材を設けることが考えられる。
【0007】
手押し車に情報端末等を取り付ける場合、追加のパイプ材は手押し車の把持部の近傍に取り付けられる。手押し車の把持部の近傍は、フレーム材が曲げられた曲部が比較的多い。特許文献1及び2に記載のようなパイプ取付治具は、フレーム材が真っ直ぐに延びる部分がある程度長い位置にしか取り付けることができず、追加のパイプ材の取付位置が限定されてしまう。一方で、フレーム材を挟持する部分を短くすると、支持強度が低下して、パイプ材を適切に支持できなくなるおそれがある。
【0008】
ここに開示された技術は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするとこは、曲部を有するフレーム材に追加のパイプ材を取り付ける際の取付位置の自由度を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、ここに開示された技術の第1の態様は、少なくとも1つの曲部を有するフレーム材に対して、該フレーム材の軸方向と交差する方向に延びるようにパイプ材を取り付けるためのパイプ取付治具を対象として、前記フレーム材をその軸方向と直交する方向から挟持するフレーム挟持部及び前記パイプ材を該パイプ材の径方向から挟持するパイプ挟持部をそれぞれ有しかつ前記パイプ材の径方向に分割された、第1分割部材と第2分割部材とを備え、前記各フレーム挟持部は、前記フレーム材の外周形状に適合する筒形状を半割した半筒形状をそれぞれなしており、前記各パイプ挟持部は、半円筒状をそれぞれなしかつ前記各フレーム挟持部にそれぞれ連通しかつその筒軸が、前記各フレーム挟持部の筒軸と交差する方向にそれぞれ延びるように前記各フレーム挟持部から延びており、前記各フレーム挟持部の筒軸方向の一端部には、該筒軸方向の他端部側に向かって切り欠かれた切欠部がそれぞれ形成されている、という構成とした。
【0010】
この構成によると、フレーム挟持部に切欠部が設けられていることにより、フレーム部材の曲部を切欠部によって逃がすことができる。これにより、フレーム挟持部をフレーム材の曲部の位置まで寄せることができる。これにより、パイプ材の取付位置の自由度を向上させることができる。
【0011】
また、フレーム挟持部を過剰に短くする必要がないため、パイプ材を適切に支持することもできる。
【0012】
ここに開示された技術の第2の態様は、前記第1の態様において、前記各切欠部の前記各パイプ挟持部側の端部は、該各パイプ挟持部の外周位置とそれぞれ一致しており、前記各切欠部は、前記各パイプ挟持部の筒軸方向において、該各パイプ挟持部から遠い位置の方が、該各パイプ挟持部に近い位置よりも前記各フレーム挟持部の筒軸方向の前記他端部側に位置するようにそれぞれ切り欠かれており、前記第1分割部材と前記第2分割部材とはヒンジ接続されており、前記第1分割部材と前記第2分割部材とを接続するヒンジ部は、前記パイプ挟持部の径方向外側の位置でかつ前記フレーム挟持部の筒軸方向における前記切欠部が設けられた側の位置に配置されている。
【0013】
この構成によると、ヒンジ部を中心に第1分割部材と前記第2分割部材とを互いに離れるように回動させたときには、第1分割部材の切欠部と第2分割部材の切欠部とが対称に並ぶため、各切欠部の位置にフレーム材が位置するようにパイプ取付治具を配置することができる。この状態からヒンジ部を中心に第1分割部材と前記第2分割部材とを互いに接近するように回動させたときには、各フレーム挟持部によりフレーム材を挟んだ状態にすることができる。これにより、パイプ取付治具の取付作業を容易にすることができる。
【0014】
ここに開示された技術の第3の態様は、前記第1の態様において、前記第1分割部材と前記第2分割部材とは、前記各フレーム挟持部の外周部分に設けられたフレーム側接続部と、前記各パイプ挟持部の外周部分に設けられたパイプ側接続部とにより接続されており、前記第1及び第2分割部材の一方の前記フレーム側接続部は、第1ネジが締結するフレーム側ネジ孔を有する一方、前記第1及び第2分割部材の他方の前記フレーム側接続部は、第1ネジが挿通するフレーム側挿通孔を有し、前記第1及び第2分割部材の一方の前記第2接続部は、第2ネジが締結するパイプ側ネジ孔を有する一方、前記第1及び第2分割部材の他方の前記パイプ側接続部は、第2ネジが挿通するパイプ側挿通孔を有する。
【0015】
この構成によると、フレーム挟持部の位置とパイプ挟持部の位置とのそれぞれに接続部が設けられていることにより、フレーム材及びパイプ材をそれぞれ強固に挟持することができる。これにより、パイプ取付治具の取付強度を向上させることができる。
【0016】
ここに開示された技術の第4の態様は、前記第1~第3の態様において、前記フレーム材は、手押し車のフレームを構成するパイプであり、前記各フレーム挟持部は、それぞれ半円筒状をなしている。
【0017】
この構成によると、ショッピングカートのような手押し車のフレーム材は、曲部が比較多く形成されている。このため、フレーム材に追加のパイプ材を取り付ける際の取付位置の自由度を向上させるという効果を適切に発揮することができる。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、ここに開示された技術によると、曲部を有するフレーム材に追加のパイプ材を取り付ける際の取付位置の自由度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、実施形態1に係るパイプ取付治具を有するショッピングカートを示す側面図である。
図2図2は、パイプ取付治具の斜視図である。
図3図3は、パイプ取付治具の分解斜視図である。
図4図4は、パイプ取付治具の左側面図である。
図5図5は、パイプ取付治具の右側面図である。
図6図6は、パイプ取付治具の正面図である。
図7図7は、パイプ取付治具の底面図である。
図8図8は、パイプ取付治具の使用例を示す図である。
図9図9は、パイプ取付治具の別の使用例を示す図である。
図10図10は、実施形態2に係るパイプ取付治具の右側面図である。
図11図11は、実施形態2に係るパイプ取付治具の分解斜視図である。
図12図12は、実施形態3に係るパイプ取付治具の右側面図である。
図13図13は、実施形態3に係るパイプ取付治具の背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、例示的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。尚、以下の説明では、ショッピングカートのユーザから見た上側、下側、前側、後側、左側、及び右側を、それぞれ上側、下側、前側、後側、左側、及び右側という。
【0021】
図1は、本実施形態に係るパイプ取付治具1を有するショッピングカート100を示す。ショッピングカート100は、上側カゴ配置部101と下側カゴ配置部102とを有する。詳細な図示は省略するが、上側カゴ配置部101と下側カゴ配置部102とは、左右一対のメインフレーム103により連結されている。各メインフレーム103は、それぞれパイプ材で構成されている。
【0022】
各メインフレーム103は、ショッピングカート100のユーザが把持する左右一対の把持部104から上側カゴ配置部101に向かって前側に延びた後、前側に向かって下側に斜めに延びる傾斜部103aを形成している。各メインフレーム103は、傾斜部103aの前端部から上側カゴ配置部101の位置で下側に向かって延びて、上側カゴ配置部101よりも下側の位置で、下側に向かって後側に延びた後、下側に向かって延びている。各メインフレーム103の下端部からは、下側カゴ配置部102を構成する左右一対の下側フレーム105(図1で左側の下側フレーム105のみ示す)が前側に向かって延びている。各メインフレーム103の下端及び下側フレーム105の前端には、車輪106がそれぞれ取り付けられている。
【0023】
各把持部104は、例えば樹脂、ゴム等の高分子材料製の素材により形成されている。ユーザが各把持部104を把持した状態で、ショッピングカート100を所望の方向に押し引きすることで、ショッピングカート100が移動する。
【0024】
ショッピングカート100には、情報端末Tが取り付けられている。情報端末Tは、パイプ材Pの上端部分に支持されている。
【0025】
パイプ材Pは、パイプ取付治具1によりメインフレーム103における把持部104の近傍部分に接続されている。パイプ材Pは、メインフレーム103の軸方向と交差する方向、より詳しくは、該軸方向と直交する方向に延びるように接続されている。
【0026】
以下、パイプ取付治具1の詳細について、ショッピングカート100のメインフレーム103にパイプ材Pを取り付ける場合を例にして説明する。また、説明を簡単にするために、パイプ材Pが配置される側を上側、その反対側を下側として説明する。
【0027】
図2に示すように、パイプ取付治具1は、2つに分割され、メインフレーム103及びパイプ材Pをそれぞれ径方向から挟持する第1分割部材10と第2分割部材20とを備える。
【0028】
第1及び第2分割部材10,20は、メインフレーム103を径方向(つまり、軸方向と直交する方向)から挟持する第1及び第2フレーム挟持部11,21をそれぞれ有する。第1及び第2フレーム挟持部11,21は、メインフレーム103の外周形状に適合する筒形状を半割した半筒形状、特に半円筒状をそれぞれなしている。第1及び第2フレーム挟持部11,21の曲率半径は、メインフレーム103の曲率半径よりも大きい。
【0029】
第1及び第2分割部材10,20は、パイプ材Pを径方向から挟持する第1及び第2パイプ挟持部12,22をそれぞれ有する。第1及び第2パイプ挟持部12,22は、半円筒状をそれぞれなしている。第1及び第2パイプ挟持部12,22の曲率半径は、パイプ材Pの曲率半径よりも大きい。
【0030】
図4及び図5に示すように、、第1及び第2フレーム挟持部11,21は、筒軸方向の一端部に、他端部に向かって切り欠かれた第1及び第2切欠部11a,21aがそれぞれ形成されている。第1及び第2切欠部11a,21aは、第1及び第2パイプ挟持部12,22の筒軸方向において、第1及び第2パイプ挟持部12,22から遠い位置の方が、第1及び第2パイプ挟持部12,22に近い位置よりも第1及び第2フレーム挟持部11,21の筒軸方向の前記他端部側に位置するようにそれぞれ湾曲状に切り欠かれている。第1切欠部11aと第2切欠部21aとは互いに対称になるようにそれぞれ切り欠かれている。
【0031】
図3に示すように、第1及び第2パイプ挟持部12,22は、第1及び第2フレーム挟持部11,21の筒軸方向と交差する方向、具体的には、第1及び第2フレーム挟持部11,21の筒軸方向と直交する方向に向かって延びている。つまり、第1及び第2パイプ挟持部12,22の筒軸と、第1及び第2フレーム挟持部11,21の筒軸とは直交している。第1及び第2パイプ挟持部12,22は、筒軸方向の一端部が第1及び第2フレーム挟持部11,21に連通している。
【0032】
図4及び図5に示すように、第1及び第2パイプ挟持部12,22は、その筒軸が、第1及び第2フレーム挟持部11,21の筒軸方向の中心よりも第1及び第2切欠部11a,21a寄りに位置するように設けられている。より具体的には、図7に示すように、第1及び第2パイプ挟持部12,22は、その一部が第1及び第2切欠部11a,21aに連通する位置にそれぞれ設けられている。また、第1及び第2切欠部11a,21aの上端部は、第1及び第2パイプ挟持部12,22の外周位置とそれぞれ一致している。
【0033】
図2図5に示すように、第1分割部材10と第2分割部材20とはヒンジ部30で接続されている。ヒンジ部30は、第1及び第2パイプ挟持部12,22の径方向外側の位置に形成されている。また、ヒンジ部30は、第1及び第2フレーム挟持部11,21の筒軸方向における第1及び第2切欠部11a,21aが設けられた側の位置に配置されている。
【0034】
図8に示すように、ヒンジ部30を中心に第1分割部材10と第2分割部材20とが互いに離れるように回動させたときには、第1切欠部11aと第2切欠部21aとが下側に向かって互いに離れるような状態になる。これにより、第1切欠部11aと第2切欠部21aとの間にメインフレーム103を配置する空間が形成される。この空間にメインフレーム103を配置した状態で、ヒンジ部30を中心に第1分割部材10と第2分割部材20とが互いに接近するように回動させたときには、、第1フレーム挟持部11と第2フレーム挟持部21とで、メインフレーム103を挟むことができる。
【0035】
図2図6に示すように、第1及び第2フレーム挟持部11,21の外周部には、第1分割部材10と第2分割部材20とを接続する第1及び第2フレーム側接続部13,23がそれぞれ設けられている。第1及び第2フレーム側接続部13,23は、第1及び第2フレーム挟持部11,21の径方向に突出しているとともに、第1及び第2フレーム挟持部11,21の筒軸方向全体に広がっている。
【0036】
図3に示すように、第1フレーム側接続部13には、第1ネジが締結する第1フレーム側ネジ孔13aが2つ設けられている。第1フレーム側ネジ孔13aは、第1フレーム挟持部11の筒軸方向に並んで配置されている。図4に示すように、第1フレーム側ネジ孔13aは、有底状であって、第1フレーム側接続部13を貫通していない。
【0037】
図3及び図5に示すように、第2フレーム側接続部23には、第1ネジが挿通する第2フレーム側挿通孔23aが2つ設けられている。第2フレーム側挿通孔23aは、第2フレーム挟持部21の筒軸方向に並んで配置されている。第2フレーム側挿通孔23aは、段差部23bを有しており、第1ネジのネジ頭が第2フレーム側挿通孔23aを通り抜けないようになっている。
【0038】
図6に示すように、第1フレーム側接続部13の幅は、第2フレーム側接続部23の幅よりも大きくなっている。第1ネジが締結されていない状態では、第1フレーム側接続部13と第2フレーム側接続部23との間には隙間が形成される。
【0039】
第1及び第2フレーム挟持部11,21でメインフレーム103を挟持するときには、第1フレーム挟持部11と第2フレーム挟持部21とを互いに開口部が対向するようにメインフレーム103の外周にそれぞれ配置した後、各第1ネジを、各第2フレーム側挿通孔23aにそれぞれ挿通させて第1フレーム側ネジ孔13aにそれぞれ締結させる。これにより、第1フレーム側接続部13と第2フレーム側接続部23とが隙間が小さくなるように互いに引き寄せられる。このとき、第1及び第2フレーム挟持部11,21が、その曲率半径が小さくなるように撓む。これにより、第1及び第2フレーム挟持部11,21により、メインフレーム103が強固に挟持される。
【0040】
図2図6に示すように、第1及び第2パイプ挟持部12,22の外周部には、第1分割部材10と第2分割部材20とを接続する第1及び第2パイプ側接続部14,24がそれぞれ設けられている。第1及び第2パイプ側接続部14,24は、第1及び第2フレーム挟持部11,21の外周部における第1及び第2切欠部11a,21aとは反対側の部分と第1及び第2パイプ挟持部12,22の外周部におけるヒンジ部30とは反対側の部分とを接続するようなリブ状をなしている。このため、第1及び第2パイプ側接続部14,24は、第1及び第2分割部材10,20の補強部としての役割も果たしている。
【0041】
図3に示すように、第1パイプ側接続部14には、第2ネジが締結する第1パイプ側ネジ孔14bを有するボス14aが2つ設けられている。ボス14aは、第1パイプ挟持部12の筒軸方向に並んで配置されている。ボス14aの間は、リブ14cで接続されている。
【0042】
図3及び図5に示すように、第2パイプ側接続部24には、第2ネジが挿通する第2パイプ側挿通孔24aが2つ設けられている。第2パイプ側挿通孔24aは、第2パイプ挟持部22の筒軸方向に並んで配置されている。第2パイプ側挿通孔24aは、段差部24bを有しており、第2ネジのネジ頭が第2パイプ側挿通孔24aを通り抜けないようになっている。
【0043】
図6に示すように、第2ネジが締結されていない状態では、第1パイプ側接続部14と第2パイプ側接続部24との間には隙間が形成される。
【0044】
第1及び第2パイプ挟持部12,22でパイプ材Pを挟持するときには、第1パイプ挟持部12と第2パイプ挟持部22とを互いに開口部が対向するようにパイプ材Pの外周にそれぞれ配置した後、各第2ネジを、各第2パイプ側挿通孔24aにそれぞれ挿通させて第1パイプ側ネジ孔14bにそれぞれ締結させる。これにより、第1パイプ側接続部14と第2パイプ側接続部24とが、隙間が小さくなるように引き寄せられる。このとき、第1及び第2パイプ挟持部12,22が、その曲率半径が小さくなるように撓む。これにより、第1及び第2パイプ挟持部12,22により、パイプ材Pが強固に挟持される。
【0045】
図4に示すように、第1分割部材10には、ビスを取り付け可能な第1ビス取付部15が設けられている。第1ビス取付部15は、第1パイプ挟持部12の筒軸方向に2つ並んで配置されている。また、図5に示すように、第2分割部材20には、ビスを取り付け可能な第2ビス取付部25が設けられている。第2ビス取付部25は、第2パイプ挟持部22の筒軸方向に2つ並んで配置されている。これら第1及び第2ビス取付部15,25は、第1及び第2パイプ挟持部12,22に挟持されたパイプ材Pをより強固に接続する際に、第1及び第2パイプ挟持部12,22とパイプ材Pとビスにより接続するための部分である。ビスは必ずしも取り付ける必要はないため、第1及び第2ビス取付部15,25は必須ではなく、設けなくてもよい。
【0046】
ここで、ショッピングカート100のメインフレーム103は、図1に示すように、把持部104の近傍に曲部を有することが多い。従来のパイプ取付治具は、メインフレーム103を挟持する部分が円筒のみで構成されていたため、前記曲部の近傍位置にはパイプ材Pを取り付けることが困難であった。これに対して、本実施形態1に係るパイプ取付治具1は、第1及び第2フレーム挟持部11,21が、第1及び第2切欠部11a,21aをそれぞれ有しているため、第1及び第2切欠部11a,21aによってメインフレーム103の曲部を逃がすことができる。これにより、パイプ取付治具1を該曲部の位置まで寄せて配置することができる。この結果、パイプ材Pの取付位置の自由度を向上させることができる。
【0047】
また、本実施形態1では、メインフレーム103に対して鉛直上側だけでなく、図9に示すような斜め上方向にパイプ材Pが延びるように、パイプ取付治具1をメインフレーム103に取り付けることができる。このことからも、パイプ材Pの取付位置の自由度を向上させることができる。尚、斜め下方向にパイプ材Pが延びるように、パイプ取付治具1をメインフレーム103に取り付けることも可能である。
【0048】
また、本実施形態1では、第1及び第2切欠部11a,21aの上端部は、第1及び第2パイプ挟持部12,22の外周位置とそれぞれ一致しており、第1及び第2切欠部11a,21aは、第1及び第2パイプ挟持部12,22の筒軸方向において、該第1及び第2パイプ挟持部12,22から遠い位置の方が、該第1及び第2パイプ挟持部12,22に近い位置よりも第1及び第2フレーム挟持部11,21の筒軸方向の前記他端部側に位置するようにそれぞれ切り欠かれており、第1分割部材10と第2分割部材20とはヒンジ接続されており、第1分割部材10と第2分割部材20とを接続するヒンジ部30は、第1及び第2パイプ挟持部12,22の径方向外側の位置でかつ第1及び第2フレーム挟持部11,21の筒軸方向における第1及び第2切欠部11a,21aが設けられた側の位置に配置されている。これにより、ヒンジ部30を中心に第1分割部材10と第2分割部材20とが互いに離れるように回動させたときには、第1切欠部11aと第2切欠部21aとが下側に向かって互いに離れるような状態になるため、第1切欠部11aと第2切欠部21aとの間にメインフレーム103を配置する空間を形成することができる。この結果、パイプ取付治具1の取り付けを容易にすることができる。
【0049】
また、本実施形態1では、第1及び第2分割部材10,20は、第1及び第2フレーム挟持部11,21の外周部に設けられた第1及び第2フレーム側接続部13,23と、第1及び第2パイプ挟持部12,22の外周部に設けられた第1及び第2パイプ側接続部14,24とにより互いに接続される。第1及び第2フレーム挟持部11,21の位置と第1及び第2パイプ挟持部12,22の位置とのそれぞれに接続部が設けられていることにより、フレーム材及びパイプ材Pをそれぞれ強固に挟持することができる。これにより、パイプ取付治具1の取付強度を向上させることができる。
【0050】
(実施形態2)
以下、実施形態2について、図面を参照しながら詳細に説明する。尚、以下の説明において前記実施形態1と共通の部分については、同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0051】
実施形態2に係るパイプ取付治具201は、ヒンジ部230の構成が前記実施形態1と異なり、第1及び第2フレーム挟持部11,21、第1及び第2パイプ挟持部12,22、第1及び第2切欠部11a,21a等の構成については、前記実施形態1と同じである。
【0052】
図10及び図11に示すように、ヒンジ部230は、第1分割部材210に形成された雌部231と、第2分割部材220に形成された雄部232とによって形成されている。雌部231及び雄部232はそれぞれ2つずつ形成されている。雌部231と雄部232とを係合させることで、第1及び第2分割部材210,320をヒンジ部230周りに回動させることができる。
【0053】
この実施形態2の構成では、第1分割部材210と第2分割部材220とを完全に分離させることができるため、パイプ取付治具201の収納をコンパクトにできるという利点がある。
【0054】
(実施形態3)
以下、実施形態3について、図面を参照しながら詳細に説明する。尚、以下の説明において前記実施形態1及び2と共通の部分については、同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0055】
実施形態3に係るパイプ取付治具301は、図11及び図12に示すように、第1分割部材310と第2分割部材320とがヒンジ接続されておらず、ネジによる接続のみである点が前記実施形態1及び2とは異なっている。すなわち、第1及び第2パイプ挟持部12,22の外周部における第1及び第2切欠部11a,21aが設けられた側の部分にも、ネジで接続される接続部が設けられている。この接続部について、第1分割部材310に設けられた部分を第3パイプ側接続部316、第2分割部材320に設けられた部分を第4パイプ側接続部326として説明する。
【0056】
図12に示すように、第3パイプ側接続部316には、第1パイプ側接続部14と同様に、ネジが締結するネジ孔を有するボス316aが2つ設けられている。ボス316aは、第1パイプ挟持部12の筒軸方向に並んで配置されている。
【0057】
図11に示すように、第4パイプ側接続部326には、第2パイプ側接続部24と同様に、ネジが挿通する第4パイプ側挿通孔326aが2つ設けられている。第4パイプ側挿通孔326aは、第2パイプ挟持部22の筒軸方向に並んで配置されている。第4パイプ側挿通孔326aは、段差部326bを有している。
【0058】
実施形態3の構成では、第1~第4パイプ側接続部14,24,316,326をそれぞれネジで接続することで、パイプ材Pを第1及び第2パイプ挟持部12,22でより強固に挟持することができる。
【0059】
(その他の実施形態)
ここに開示された技術は、前述の実施形態に限られるものではなく、請求の範囲の主旨を逸脱しない範囲で代用が可能である。
【0060】
例えば、前述の実施形態では、フレーム材がパイプで構成されている場合を例示したが、これに限らず、フレーム材は軸状であればよく、横断面形状が円形である必要はない。この場合、第1及び第2フレーム挟持部11,21は、フレーム材の外周形状に適合する筒形状を半割した半筒形状にすればよい。
【0061】
また、前述の実施形態では、第1及び第2パイプ挟持部12,22の筒軸方向が、第1及び第2フレーム材11,21の筒軸方向と直交する構成となっていた。これに限らず、第1及び第2パイプ挟持部12,22の筒軸方向が、第1及び第2フレーム材11,21の筒軸方向と平行にならず、交差する構成であればよい。
【0062】
また、前述の実施形態では、ショッピングカート100のメインフレーム103に適用する場合を例示したが、これに限らず、荷物を搬送するためのキャリーカートやピッキングカート等のフレーム材を対象にしてもよい。また、手押し車に限らず、作業台や椅子等の曲部を有するフレーム材に対しては、本実施形態のパイプ取付治具1,201,301を適用可能である。
【0063】
前述の実施形態は単なる例示に過ぎず、本開示の範囲を限定的に解釈してはならない。本開示の範囲は請求の範囲によって定義され、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本開示の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0064】
ここに開示された技術は、少なくとも1つの曲部を有するフレーム材に対して、該フレーム材の軸方向と交差する方向に延びるようにパイプ材を取り付けるためのパイプ取付治具として有用である。
【符号の説明】
【0065】
1 パイプ取付治具
10 第1分割部材
11 第1フレーム挟持部
11a 第1切欠部
12 第1パイプ挟持部
13 第1フレーム側接続部
13a 第1フレーム側ネジ孔
14 第1パイプ側接続部
14b 第1パイプ側ネジ孔
20 第2分割部材
22 第2パイプ挟持部
23 第2フレーム側接続部
23a 第2フレーム側挿通孔
24 第2パイプ側接続部
24a 第2パイプ側挿通孔
30 ヒンジ部
100 ショッピングカート(手押し車)
103 メインフレーム(フレーム材)
201 パイプ取付治具
210 第1分割部材
220 第2分割部材
230 ヒンジ部
301 パイプ取付治具
310 第1分割部材
320 第2分割部材
P パイプ材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13