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特開2024-106226分散剤、樹脂組成物、およびその用途
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106226
(43)【公開日】2024-08-07
(54)【発明の名称】分散剤、樹脂組成物、およびその用途
(51)【国際特許分類】
   C08L 101/00 20060101AFI20240731BHJP
   C08L 23/08 20060101ALI20240731BHJP
   C08L 1/00 20060101ALI20240731BHJP
   C08F 210/16 20060101ALI20240731BHJP
   C09K 23/52 20220101ALI20240731BHJP
【FI】
C08L101/00
C08L23/08 ZNM
C08L1/00
C08F210/16
C09K23/52
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023010439
(22)【出願日】2023-01-26
(71)【出願人】
【識別番号】000005887
【氏名又は名称】三井化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001070
【氏名又は名称】弁理士法人エスエス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金谷 浩貴
(72)【発明者】
【氏名】立松 涼
(72)【発明者】
【氏名】吉田 悠人
【テーマコード(参考)】
4D077
4J002
4J100
【Fターム(参考)】
4D077AC05
4D077BA02
4D077DD09X
4D077DD13X
4D077DE10X
4J002AA00W
4J002AB01Y
4J002AH00Y
4J002BB00W
4J002BB02X
4J002BB21X
4J002GG01
4J002GN00
4J002GQ00
4J100AA02P
4J100AA03Q
4J100CA04
4J100DA01
4J100DA04
4J100DA09
4J100DA22
4J100DA29
4J100FA09
4J100FA19
4J100FA28
4J100FA29
4J100GC07
4J100GC26
4J100HA01
4J100HA57
4J100HC30
4J100HC36
4J100HE05
4J100HE14
4J100HE41
4J100JA15
4J100JA28
4J100JA43
4J100JA58
(57)【要約】
【課題】セルロースファイバーなどの有機フィラーの分散性に優れる分散剤、該分散剤と有機フィラーとを含む、加工性および柔軟性に優れる樹脂組成物およびその用途を提供すること。
【解決手段】下記要件(a1)~(a5)を満たすエチレン・α-オレフィン共重合体(a)を含む分散剤(A)。
(a1)エチレンから導かれる構成単位の含有量が15~85mol%である
(a2)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が、1,000~100,000である
(a3)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比である分子量分布(Mw/Mn)が2.5以下である
(a4)150℃における回転粘度が1~5,000mPa・sである
(a5)流動点が0℃以下である
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記要件(a1)~(a5)を満たすエチレン・α-オレフィン共重合体(a)を含む分散剤(A)。
(a1)エチレンから導かれる構成単位の含有量が15~85mol%である
(a2)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が、1,000~100,000である
(a3)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比である分子量分布(Mw/Mn)が2.5以下である
(a4)150℃における回転粘度が1~5,000mPa・sである
(a5)流動点が0℃以下である
【請求項2】
前記エチレン・α-オレフィン共重合体(a)におけるα-オレフィンがプロピレンである、請求項1に記載の分散剤(A)。
【請求項3】
前記エチレン・α-オレフィン共重合体(a)が、不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸誘導体から選ばれる1種以上の化合物によってグラフト変性されており、該化合物から導かれる構成単位の含有量が0.1~30質量%である、請求項1に記載の分散剤(A)。
【請求項4】
前記エチレン・α-オレフィン共重合体(a)が、マレイン酸および無水マレイン酸から選ばれる1種以上によってグラフト変性されており、酸価が1~200mgKOH/gである、請求項1に記載の分散剤(A)。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の分散剤(A)、該分散剤(A)以外の熱可塑性樹脂(B)、および、フィラー(C)を含有する樹脂組成物。
【請求項6】
前記分散剤(A)、前記熱可塑性樹脂(B)および前記フィラー(C)の含有量の合計を100質量%とした時、前記分散剤(A)の含有量が0.1~30質量%である、請求項5に記載の樹脂組成物。
【請求項7】
前記熱可塑性樹脂(B)が、炭素数2~12のα-オレフィンから選ばれる1種以上から導かれる構成単位を含有するオレフィン系重合体を含む、請求項5に記載の樹脂組成物。
【請求項8】
前記フィラー(C)が有機フィラーを含む、請求項5に記載の樹脂組成物。
【請求項9】
前記フィラー(C)が、木粉、セルロースファイバーおよびセルロースナノファイバーからなる群より選ばれる1種以上の有機フィラーを含む、請求項5に記載の樹脂組成物。
【請求項10】
請求項5に記載の樹脂組成物を含む、成形体。
【請求項11】
請求項5に記載の樹脂組成物を含む、自動車用部品。
【請求項12】
請求項5に記載の樹脂組成物を含む、電気・電子部品。
【請求項13】
請求項5に記載の樹脂組成物を含む、食品容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分散剤、樹脂組成物、およびその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
木粉、セルロースファイバー、竹粉、稲わら等の有機フィラーと、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等の熱可塑性樹脂とを複合した樹脂組成物が広く知られている。この樹脂組成物を、押出成形法、射出成形法等の各種成形法によって目的とする形状に成形することで、産業廃材として捨てられてきた天然素材の有効活用を目的の一つとして実用化が検討されている。
【0003】
しかしながら、従来の、セルロースファイバーやセルロースナノファイバーなどの有機フィラーを含有する樹脂組成物は、成形性が悪く、特に流動性が低いため、使用する有機フィラーのサイズが限定されたり(大きな有機フィラーの使用が求められる)、有機フィラーの含有量が限定されたりする等の制限があった。そこで、この制限を取り払うべく、樹脂組成物の流動性を向上させるための添加剤の開発が種々行われている。
【0004】
特許文献1では、有機フィラーの分散剤(相容化剤)として、特定のポリオレフィンワックスまたは石油樹脂を用いることが提案されている。また、特許文献2では、特定のポリオレフィンワックスを、有機フィラーの分散剤として用いることが提案されている。特許文献1および2では、有機フィラーとして、平均粒径がミクロンサイズの大きな木粉が用いられている。一方、特許文献3および4では、有機フィラーとして、ナノサイズの小さなセルロースナノファイバーが用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6470402号公報
【特許文献2】特開2020-111690号公報
【特許文献3】特開2020-012050号公報
【特許文献4】特開2020-076082号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のいずれの有機フィラーを含む樹脂組成物においても、分散剤として、高い融点を有するポリオレフィンワックスや高いガラス転移点を有する石油樹脂が用いられているため、高い弾性率を有する樹脂組成物への応用に限定されていた。なお、これらの樹脂組成物に、ゴム系材料を配合することで弾性率を低くすることは可能であるが、該ゴム系材料は高分子量体であるため、樹脂組成物の加工性を損なうことが問題となっていた。
これらのことから、従来の有機フィラーを含む樹脂組成物は、加工性と柔軟性との両立ができず、この点で改良の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記課題に鑑みてなされたものであり、セルロースファイバーなどの有機フィラーの分散性に優れる分散剤、該分散剤と有機フィラーとを含む、加工性および柔軟性に優れる樹脂組成物およびその用途を提供することを課題とする。
本発明の構成例は、以下の通りである。
【0008】
[1] 下記要件(a1)~(a5)を満たすエチレン・α-オレフィン共重合体(a)を含む分散剤(A)。
(a1)エチレンから導かれる構成単位の含有量が15~85mol%である
(a2)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が、1,000~100,000である
(a3)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比である分子量分布(Mw/Mn)が2.5以下である
(a4)150℃における回転粘度が1~5,000mPa・sである
(a5)流動点が0℃以下である
【0009】
[2] 前記エチレン・α-オレフィン共重合体(a)におけるα-オレフィンがプロピレンである、[1]に記載の分散剤(A)。
【0010】
[3] 前記エチレン・α-オレフィン共重合体(a)が、不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸誘導体から選ばれる1種以上の化合物によってグラフト変性されており、該化合物から導かれる構成単位の含有量が0.1~30質量%である、[1]または[2]に記載の分散剤(A)。
【0011】
[4] 前記エチレン・α-オレフィン共重合体(a)が、マレイン酸および無水マレイン酸から選ばれる1種以上によってグラフト変性されており、酸価が1~200mgKOH/gである、[1]~[3]のいずれかに記載の分散剤(A)。
【0012】
[5] [1]~[4]のいずれかに記載の分散剤(A)、該分散剤(A)以外の熱可塑性樹脂(B)、および、フィラー(C)を含有する樹脂組成物。
【0013】
[6] 前記分散剤(A)、前記熱可塑性樹脂(B)および前記フィラー(C)の含有量の合計を100質量%とした時、前記分散剤(A)の含有量が0.1~30質量%である、[5]に記載の樹脂組成物。
【0014】
[7] 前記熱可塑性樹脂(B)が、炭素数2~12のα-オレフィンから選ばれる1種以上から導かれる構成単位を含有するオレフィン系重合体を含む、[5]または[6]に記載の樹脂組成物。
【0015】
[8] 前記フィラー(C)が有機フィラーを含む、[5]~[7]のいずれかに記載の樹脂組成物。
【0016】
[9] 前記フィラー(C)が、木粉、セルロースファイバーおよびセルロースナノファイバーからなる群より選ばれる1種以上の有機フィラーを含む、[5]~[8]のいずれかに記載の樹脂組成物。
【0017】
[10] [5]~[9]のいずれかに記載の樹脂組成物を含む、成形体。
[11] [5]~[9]のいずれかに記載の樹脂組成物を含む、自動車用部品。
[12] [5]~[9]のいずれかに記載の樹脂組成物を含む、電気・電子部品。
[13] [5]~[9]のいずれかに記載の樹脂組成物を含む、食品容器。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、セルロースファイバーなどの有機フィラーの分散性に優れる分散剤を提供することができる。また、本発明によれば、該分散剤と有機フィラーとを含む、加工性および柔軟性に優れる樹脂組成物およびその用途を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明について具体的に説明する。なお、本明細書において、数値範囲を示す「~」は、例えば「M~N」と表記した場合、特に断りがなければ「M以上、N以下」を意味する。
【0020】
本明細書において、ある重合体を構成するオレフィンをMとしたときに、「Mから導かれる構成単位」なる表現が用いられることがあるが、これは「Mに対応する構成単位」、例えば、Mの二重結合を構成するπ結合が開くことにより形成される、一対の結合手を有する構成単位をいう。
本明細書において、ある重合体を構成するオレフィンをMとしたときに、「M含有量」なる表現が用いられることがあるが、ある重合体が変性重合体である場合、これは変性前の重合体中におけるオレフィンMのモル含有率(モル%)をいう。
【0021】
本明細書において、「(メタ)アクリル」なる語は、アクリル、メタクリル、アクリルとメタクリルとの両方を包括する概念として用いられる。
本明細書において、「芳香族」および「芳香環」なる語は、ベンゼン環のみならず、ナフタレン、アントラセン、トリフェニレンなどの縮合多環芳香族や、フラン、チオフェン、ピロール、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、ピリジンなどの複素芳香族、シクロペンタジエニルアニオンなどイオン性芳香族、アズレン、ポルフィリンなどの芳香族性を示す種々の化合物、等の芳香族性を示す環を包括する概念として用いられる。
【0022】
≪分散剤(A)≫
本発明に係る分散剤(以下「本分散剤(A)」ともいう。)は、下記要件(a1)~(a5)を満たすエチレン・α-オレフィン共重合体(a)(以下「共重合体(a)」ともいう。)を含むことを特徴とする。
本分散剤(A)は、フィラー、特に有機フィラーの分散剤として好適に用いることができる。
本分散剤(A)に用いる共重合体(a)は、1種でもよく、2種以上でもよい。
本分散剤(A)は、本発明の効果を損なわない範囲で、その他成分を含んでもよいが、好ましくは共重合体(a)のみからなる。
【0023】
<共重合体(a)>
共重合体(a)は、下記要件(a1)~(a5)を満たすエチレン・α-オレフィン共重合体である。
【0024】
〈要件(a1)〉
共重合体(a)におけるエチレンから導かれる構成単位の含有量(以下「エチレン含有量」ともいう。)は、15~85モル%である。但し、エチレンから導かれる構成単位の含有量とα-オレフィンから導かれる構成単位との含有量の合計を100モル%とする。
【0025】
前記エチレン含有量は、加工性および柔軟性に優れる樹脂組成物を容易に得ることができる等の点から、好ましくは20~80モル%、より好ましくは30~70モル%、さらに好ましくは40~60モル%である。
エチレン含有量が前記範囲より多すぎるまたは少なすぎると、共重合体(a)の結晶性が高くなり、後述する熱可塑性樹脂(B)と混練する時のハンドリング性が悪化する場合や、得られる樹脂組成物の柔軟性が悪化する場合がある。
【0026】
前記共重合体(a)のエチレン含有量は、13C-NMR法で測定することができ、例えば、後述する実施例に記載の方法、または、「高分子分析ハンドブック」(朝倉書店発行、163~170頁)に記載の方法に従ってピークの同定と定量とを行うことができる。
【0027】
前記共重合体(a)におけるα-オレフィンとしては、炭素数3以上のα-オレフィンが挙げられ、典型例として、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、1-トリデセン、1-テトラデセン、1-ペンタデセン、1-ヘキサデセン、1-ヘプタデセン、1-オクタデセン、1-ノナデセン、1-エイコセン等の炭素数3~20のα-オレフィンが挙げられる。
これらのα-オレフィンは、1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
【0028】
これらのα-オレフィンのうち、効果的に結晶性を低下させ、液状の共重合体(a)を得ることができ、前記所望の効果を奏する組成物を容易に得ることができる等の点から、炭素数3~10のα-オレフィンが好ましく、プロピレン、1-ブテンがより好ましく、プロピレンがさらに好ましい。
【0029】
また、共重合体(a)は、エチレンと前記α-オレフィン以外に、環状オレフィンから選択される少なくとも1種の他のモノマーから導かれる構成単位を含んでもよい。
前記環状オレフィンとしては、例えば、シクロペンテン、シクロヘプテン、ノルボルネン、5-メチル-2-ノルボルネン、5-エチリデン-2-ノルボルネン、5-ビニル-2-ノルボルネン、テトラシクロドデセンなどの炭素数3~30、好ましくは3~20の環状オレフィンが挙げられる。
【0030】
エチレンから導かれる構成単位とα-オレフィンから導かれる構成単位との含有量の合計100質量部に対して、前記他のモノマーから導かれる構成単位の含有量は、例えば20質量部以下、好ましくは10質量部以下である。
【0031】
前記エチレン、α-オレフィンおよび他のモノマーは、化石燃料由来のモノマーであってもよく、バイオマス由来のモノマーであってもよく、化石燃料由来のモノマーとバイオマス由来のモノマーとを用いてもよい。言い換えると、共重合体(a)は、化石燃料由来のモノマーのみから構成されてもよく、バイオマス由来のモノマーのみから構成されてもよく、化石燃料由来のモノマーとバイオマス由来のモノマーとから構成されてもよい。
化石燃料としては、例えば、石油、石炭、天然ガス、シェールガスまたはこれらの組合せが挙げられる。
バイオマスとは、菌類、酵母、藻類および細菌類を含む、植物由来または動物由来などの、あらゆる再生可能な天然原料およびその残渣が挙げられる。
【0032】
〈要件(a2)〉
共重合体(a)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、1,000~100,000である。
該Mwは、具体的には、後述する実施例に記載の方法で測定することができる。
【0033】
前記共重合体(a)のMwは、加工性および力学特性に優れる樹脂組成物を容易に得ることができる等の点から、好ましくは1,500~50,000、より好ましくは2,000~30,000、さらに好ましくは2,500~20,000である。
Mwが前記範囲より大きすぎると、後述する熱可塑性樹脂(B)と混練する時のハンドリング性が悪化する場合や、流動性が悪化する場合がある。また、Mwが前記範囲より小さすぎると、後述する熱可塑性樹脂(B)と混練する時に揮発性ガスが発生して、ハンドリング性が悪化する場合や、得られる樹脂組成物(特に成形体)に揮発性ガス由来の気泡が発生して力学特性が悪化する場合がある。
【0034】
〈要件(a3)〉
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比である分子量分布(Mw/Mn)は、2.5以下である。
該Mw/Mnは、具体的には、後述する実施例に記載の方法で測定することができる。
【0035】
前記共重合体(a)のMw/Mnは、加工性および力学特性に優れる樹脂組成物を容易に得ることができる等の点から、好ましくは2.3以下、より好ましくは2.0以下、さらに好ましくは1.8以下であり、下限は特に制限されないが、好ましくは1.0以上である。
Mw/Mnが前記範囲より大きすぎると、後述する熱可塑性樹脂(B)と混練する時に高分子量成分に起因して、ハンドリング性が悪化する場合や、流動性が低下する場合がある。また、Mw/Mnが前記範囲より小さすぎると、後述する熱可塑性樹脂(B)と混練する時に、低分子量成分に起因する揮発性ガスが発生して、ハンドリング性が悪化する場合や、得られる樹脂組成物(特に成形体)に揮発性ガス由来の気泡が発生して力学特性が悪化する場合がある。
【0036】
〈要件(a4)〉
共重合体(a)の150℃における回転粘度は、1~5,000mPa・sである。
該回転粘度は、具体的には、後述する実施例に記載の方法で測定することができる。
【0037】
前記共重合体(a)の150℃における回転粘度は、加工性および力学特性に優れる樹脂組成物を容易に得ることができる等の点から、好ましくは1~3,000mPa・s、より好ましくは1~1,000mPa・s、さらに好ましくは1~500mPa・sである。
回転粘度が前記範囲より大きすぎると、後述する熱可塑性樹脂(B)と混練する時に高分子量成分に起因して、ハンドリング性が悪化する場合や、流動性が低下する場合がある。また、回転粘度が前記範囲より小さすぎると、後述する熱可塑性樹脂(B)と混練する時に、低分子量成分に起因する揮発性ガスが発生して、ハンドリング性が悪化する場合や、得られる樹脂組成物(特に成形体)に揮発性ガス由来の気泡が発生して力学特性が悪化する場合がある。
【0038】
〈要件(a5)〉
共重合体(a)の流動点は、0℃以下である。
該流動点は、ASTM D97に記載の方法に従い測定され、具体的には、後述する実施例に記載の方法で測定することができる。
【0039】
共重合体(a)の流動点は、加工性および柔軟性に優れる樹脂組成物を容易に得ることができる等の点から、好ましくは-10℃以下、より好ましくは-20℃以下、さらに好ましくは-30℃以下であり、下限は特に制限されない。
流動点が前記範囲より高すぎると、後述する熱可塑性樹脂(B)と混練する時にハンドリング性が悪化する場合や、得られる樹脂組成物の柔軟性が悪化する場合がある。
【0040】
また、共重合体(a)は、0℃以上の温度領域で示差走査熱量計(DSC)によって融点(Tm)が検出されない。0℃以上の温度領域で融点が検出されないことは、流動点が0℃以下であることを意味するため、結果として、後述する熱可塑性樹脂(B)と混練する時のハンドリング性の悪化や、得られる樹脂組成物の柔軟性の悪化を抑制できる。
【0041】
〈共重合体(a)の製造方法〉
前記共重合体(a)の製造方法は特に限定されないが、特公平2-1163号公報、特公平2-7998号公報等に記載されている、バナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とを含むバナジウム系触媒を用いる方法、高い重合活性で共重合体を製造する方法として、特開昭61-221207号、特公平7-121969号公報、特許第2796376号公報等に記載されている、ジルコノセンなどのメタロセン化合物と有機アルミニウムオキシ化合物(アルミノキサン)とを含む触媒系を用いる方法などが挙げられる。得られる共重合体の塩素含有量、およびα-オレフィンの2,1-挿入が低減できるため、後者の方法がより好ましい。バナジウム系触媒を用いる方法では、メタロセン化合物を用いる方法に対し、助触媒として塩素化合物をより多く使用するため、得られる共重合体(a)中に微量の塩素が残存する可能性がある。
【0042】
また、α-オレフィンの2,1-挿入を低減することにより、共重合体分子内のエチレン連鎖をより低減することが可能になり、エチレンの分子内結晶性を抑制できることから、得られる共重合体(a)は流動性に優れる非晶性の共重合体となる傾向にある。このような共重合体(a)を用いることにより、得られる樹脂組成物の加工性が良好となる。
α-オレフィンの2,1-挿入量は、特開平7-145212号公報に記載された方法に従って13C-NMR測定の解析によって求められ、好ましくは1%未満、さらに好ましくは0~0.5%、より好ましくは0~0.1%である。特に、15.0~17.5ppmの範囲にピークが観察されないことが好ましい。
【0043】
特に、以下の方法(I)により、分子量制御、分子量分布、非晶性などの点において良好な性能バランスを有する共重合体(a)を容易に得ることができる。
・方法(I)
少なくとも1種の下記式[I]で表される架橋メタロセン化合物(P)(以下「化合物(P)」ともいう。)と、
有機金属化合物(Q-1)、有機アルミニウムオキシ化合物(Q-2)および前記化合物(P)と反応してイオン対を形成する化合物(Q-3)からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物(Q)と
を含むオレフィン重合触媒の存在下で、エチレンと炭素数3~20のα-オレフィンとを共重合することにより製造する方法。
【0044】
【化1】
【0045】
・化合物(P)
前記化合物(P)は、前記式[I]で表される。式[I]中のY、M、R~R14、Q、nおよびjを以下に説明する。
【0046】
Yは、第14族原子であり、例えば、炭素原子、ケイ素原子、ゲルマニウム原子およびスズ原子が挙げられ、好ましくは炭素原子またはケイ素原子であり、より好ましくは炭素原子である。
【0047】
Mは、チタン原子、ジルコニウム原子またはハフニウム原子であり、好ましくはジルコニウム原子である。
【0048】
~R12は、水素原子、炭素数1~20の炭化水素基、ケイ素含有基、窒素含有基、酸素含有基、ハロゲン原子およびハロゲン含有基からなる群より選ばれる原子または置換基であり、それぞれ同一でも異なっていてもよい。また、R~R12までの隣接した置換基は互いに結合して環を形成していてもよい。
【0049】
炭素数1~20の炭化水素基としては、炭素数1~20のアルキル基、炭素数3~20の環状飽和炭化水素基、炭素数2~20の鎖状不飽和炭化水素基、炭素数3~20の環状不飽和炭化水素基が例示される。
【0050】
炭素数1~20のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基などの直鎖状飽和炭化水素基;イソプロピル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、t-アミル基、ネオペンチル基、3-メチルペンチル基、1,1-ジエチルプロピル基、1,1-ジメチルブチル基、1-メチル-1-プロピルブチル基、1,1-プロピルブチル基、1,1-ジメチル-2-メチルプロピル基、1-メチル-1-イソプロピル-2-メチルプロピル基、シクロプロピルメチル基などの分岐状飽和炭化水素基が例示される。
アルキル基の炭素数は、好ましくは1~6である。
【0051】
炭素数3~20の環状飽和炭化水素基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、ノルボルネニル基、1-アダマンチル基、2-アダマンチル基などの環状飽和炭化水素基;3-メチルシクロペンチル基、3-メチルシクロヘキシル基、4-メチルシクロヘキシル基、4-シクロヘキシルシクロヘキシル基、4-フェニルシクロヘキシル基などの環状飽和炭化水素基の水素原子が炭素数1~17の炭化水素基で置き換えられた基が例示される。
環状飽和炭化水素基の炭素数は、好ましくは5~11である。
【0052】
炭素数2~20の鎖状不飽和炭化水素基としては、エテニル基(ビニル基)、1-プロペニル基、2-プロペニル基(アリル基)、1-メチルエテニル基(イソプロペニル基)などのアルケニル基;エチニル基、1-プロピニル基、2-プロピニル基(プロパルギル基)などのアルキニル基が例示される。
鎖状不飽和炭化水素基の炭素数は、好ましくは2~4である。
【0053】
炭素数3~20の環状不飽和炭化水素基としては、シクロペンタジエニル基、ノルボルニル基、フェニル基、ナフチル基、インデニル基、アズレニル基、フェナントリル基、アントラセニル基などの環状不飽和炭化水素基;3-メチルフェニル基(m-トリル基)、4-メチルフェニル基(p-トリル基)、4-エチルフェニル基、4-t-ブチルフェニル基、4-シクロヘキシルフェニル基、ビフェニリル基、3,4-ジメチルフェニル基、3,5-ジメチルフェニル基、2,4,6-トリメチルフェニル基(メシチル基)などの環状不飽和炭化水素基の水素原子が炭素数1~15の炭化水素基で置き換えられた基;ベンジル基、クミル基などの直鎖状炭化水素基または分岐状飽和炭化水素基の水素原子が炭素数3~19の環状不飽和炭化水素基で置き換えられた基が例示される。
環状不飽和炭化水素基の炭素数は好ましくは6~10である。
【0054】
ケイ素含有基としては、前記炭素数1~20の炭化水素基において、1つ以上の炭素原子がケイ素原子で置き換えられた基である、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t-ブチルジメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基等のアルキルシリル基;ジメチルフェニルシリル基、メチルジフェニルシリル基、t-ブチルジフェニルシリル基等のアリールシリル基;ペンタメチルジシラニル基;トリメチルシリルメチル基が例示される。
アルキルシリル基の炭素数は1~10が好ましく、アリールシリル基の炭素数は6~18が好ましい。
【0055】
窒素含有基としては、アミノ基;前記炭素数1~20の炭化水素基、前記ケイ素含有基または下記酸素含有基において、1つ以上の=CH-構造が窒素原子で置き換えられた基、1つ以上の-CH-構造が水素原子または炭素数1~20の炭化水素基が結合した窒素原子で置き換えられた基、1つ以上の-CH構造が水素原子もしくは炭素数1~20の炭化水素基が結合した窒素原子またはニトリル基で置き換えられた基が挙げられ、具体的には、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、N-モルホリニル基、ジメチルアミノメチル基、シアノ基、ピロリジニル基、ピペリジニル基、ピリジニル基、ニトロ基が例示される。
窒素含有基としては、ジメチルアミノ基、N-モルホリニル基が好ましい。
【0056】
酸素含有基としては、水酸基;前記炭素数1~20の炭化水素基、前記ケイ素含有基または前記窒素含有基において、1つ以上の-CH-構造が酸素原子またはカルボニル基で置き換えられた基、1つ以上の-CH構造が水素原子または炭素数1~20の炭化水素基が結合した酸素原子で置き換えられた基が挙げられ、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、t-ブトキシ基、フェノキシ基、トリメチルシロキシ基、メトキシエトキシ基、ヒドロキシメチル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、t-ブトキシメチル基、1-ヒドロキシエチル基、1-メトキシエチル基、1-エトキシエチル基、2-ヒドロキシエチル基、2-メトキシエチル基、2-エトキシエチル基、n-2-オキサブチレン基、n-2-オキサペンチレン基、n-3-オキサペンチレン基、アルデヒド基、アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基、トリメチルシリルカルボニル基、カルバモイル基、メチルアミノカルボニル基、カルボキシ基、メトキシカルボニル基、カルボキシメチル基、エトカルボキシメチル基、カルバモイルメチル基、フラニル基、ピラニル基が例示される。
酸素含有基としては、メトキシ基が好ましい。
【0057】
ハロゲン原子としては、第17族元素であるフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が例示される。
ハロゲン含有基としては、前記炭素数1~20の炭化水素基、ケイ素含有基、窒素含有基または酸素含有基において、1つ以上の水素原子がハロゲン原子によって置換された基が挙げられ、具体的には、トリフルオロメチル基、トリブロモメチル基、ペンタフルオロエチル基、ペンタフルオロフェニル基が例示される。
【0058】
Qは、ハロゲン原子、炭素数1~20の炭化水素基、アニオン配位子および孤立電子対で配位可能な中性配位子から選ばれる原子または置換基であり、Qが複数個ある場合、それぞれ同一でも異なっていてもよい。また、Qが複数個ある場合、隣接したQは互いに結合して環を形成していてもよい。
ハロゲン原子および炭素数1~20の炭化水素基の詳細は、前述のとおりである。Qがハロゲン原子である場合は、塩素原子が好ましい。Qが炭素数1~20の炭化水素基である場合は、該炭化水素基の炭素数は1~7であることが好ましい。
【0059】
アニオン配位子としては、メトキシ基、t-ブトキシ基、フェノキシ基などのアルコキシ基;アセテート、ベンゾエートなどのカルボキシレート基;メシレート、トシレートなどのスルホネート基を例示することができる。
孤立電子対で配位可能な中性配位子としては、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルメチルホスフィンなどの有機リン化合物;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、1,2-ジメトキシエタンなどのエーテル化合物を例示することができる。
【0060】
jは1~4の整数であり、好ましくは2である。
nは1~4の整数であり、好ましくは1または2、より好ましくは1である。
【0061】
13およびR14は、水素原子、炭素数1~20の炭化水素基、アリール基、置換アリール基、ケイ素含有基、窒素含有基、酸素含有基、ハロゲン原子およびハロゲン含有基からなる群より選ばれる原子または置換基であり、それぞれ同一でも異なっていてもよい。また、R13およびR14は互いに結合して環を形成していてもよい。
【0062】
炭素数1~20の炭化水素基、ケイ素含有基、窒素含有基、酸素含有基、ハロゲン原子およびハロゲン含有基の詳細については、前述の通りである。
アリール基としては、前述した炭素数3~20の環状不飽和炭化水素基の例と一部重複するが、芳香族化合物から誘導された置換基であるフェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、アントラセニル基、フェナントレニル基、テトラセニル基、クリセニル基、ピレニル基、インデニル基、アズレニル基が例示される。アリール基としては、フェニル基または2-ナフチル基が好ましい。
【0063】
芳香族化合物としては、芳香族炭化水素である、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、テトラセン、クリセン、ピレン、インデン、アズレンが例示される。
【0064】
置換アリール基としては、前述した炭素数3~20の環状不飽和炭化水素基の例と一部重複するが、前記アリール基が有する1つ以上の水素原子が、炭素数1~20の炭化水素基、アリール基、ケイ素含有基、窒素含有基、酸素含有基、ハロゲン原子およびハロゲン含有基からなる群より選ばれる少なくとも1種で置換されてなる基が挙げられ、具体的には、3-メチルフェニル基(m-トリル基)、4-メチルフェニル基(p-トリル基)、3-エチルフェニル基、4-エチルフェニル基、3,4-ジメチルフェニル基、3,5-ジメチルフェニル基、ビフェニリル基、4-(トリメチルシリル)フェニル基、4-アミノフェニル基、4-(ジメチルアミノ)フェニル基、4-(ジエチルアミノ)フェニル基、4-モルホリニルフェニル基、4-メトキシフェニル基、4-エトキシフェニル基、4-フェノキシフェニル基、3,4-ジメトキシフェニル基、3,5-ジメトキシフェニル基、3-メチル-4-メトキシフェニル基、3,5-ジメチル-4-メトキシフェニル基、3-(トリフルオロメチル)フェニル基、4-(トリフルオロメチル)フェニル基、3-クロロフェニル基、4-クロロフェニル基、3-フルオロフェニル基、4-フルオロフェニル基、5-メチルナフチル基、2-(6-メチル)ピリジル基、ピロリル基、ピリジル基、フラニル基、チオフェニル基が例示される。
【0065】
中でも、R13もしくはR14のいずれか一方、または、R13およびR14の両方が独立してアリール基である化合物(P)が好ましく、R13およびR14の両方が独立してアリール基である化合物(P)がより好ましい。
特に、R13およびR14の両方が独立してアリール基である化合物(P)は、エチレンとα-オレフィンとの共重合に対する重合活性が高く、該化合物(P)を用いることで、分子末端への水素導入により重合が選択的に停止するため、得られる共重合体(a)の不飽和結合が少なくなる。このため、より簡便な水素添加操作を行うだけで、または水素添加操作を行わなくても、飽和度が高く耐熱性に優れる共重合体(a)を得ることができ、コストの面でも優れる。また、該化合物(P)を用いて得られる共重合体(a)は、ランダム共重合性が高いため、制御された分子量分布を有する傾向にある。
【0066】
前述の通り、前記式[I]で表される化合物(P)において、より好ましくはnが1である。このような架橋メタロセン化合物(以下「化合物(P-1)」ともいう。)は、下記式[II]で表される。
【0067】
【化2】
【0068】
前記式[II]において、Y、M、R~R14、Qおよびjの定義は、前述の通りである。
化合物(P-1)を用いることで、前記式[I]におけるnが2~4の整数である化合物を用いた場合に比べ、共重合体(a)の製造工程が簡素化され、製造コストが低減される。
【0069】
前記式[I]で表される化合物(P)、および前記式[II]で表される化合物(P-1)において、Mはジルコニウム原子であることがさらに好ましい。Mがジルコニウム原子である化合物を含むオレフィン重合触媒の存在下で、エチレンと炭素数3~20のα-オレフィンから選ばれる1種以上のモノマーとを共重合する場合、Mがチタン原子またはハフニウム原子である場合に比べ重合活性が高く、共重合体(a)の製造コストが低減されるという利点が得られる。
【0070】
このような化合物(P)としては、[ジメチルメチレン(η5-シクロペンタジエニル)(η5-フルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、[ジメチルメチレン(η5-シクロペンタジエニル)(η5-2,7-ジ-t-ブチルフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、[ジメチルメチレン(η5-シクロペンタジエニル)(η5-3,6-ジ-t-ブチルフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、[ジメチルメチレン(η5-シクロペンタジエニル)(η5-オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、[ジメチルメチレン(η5-シクロペンタジエニル)(η5-テトラメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、[シクロヘキシリデン(η5-シクロペンタジエニル)(η5-フルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、[シクロヘキシリデン(η5-シクロペンタジエニル)(η5-2,7-ジ-t-ブチルフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、[シクロヘキシリデン(η5-シクロペンタジエニル)(η5-3,6-ジ-t-ブチルフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、[シクロヘキシリデン(η5-シクロペンタジエニル)(η5-オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、[シクロヘキシリデン(η5-シクロペンタジエニル)(η5-テトラメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、[ジフェニルメチレン(η5-シクロペンタジエニル)(η5-フルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、[ジフェニルメチレン(η5-シクロペンタジエニル)(η5-2,7-ジ-t-ブチルフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、[ジフェニルメチレン(η5-2-メチル-4-t-ブチルシクロペンタジエニル)(η5-2,7-ジ-t-ブチルフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、[ジフェニルメチレン(η5-シクロペンタジエニル)(η5-3,6-ジ-t-ブチルフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、[ジフェニルメチレン(η5-シクロペンタジエニル)(η5-オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、[ジフェニルメチレン{η5-(2-メチル-4-i-プロピルシクロペンタジエニル)}(η5-オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、[ジフェニルメチレン(η5-シクロペンタジエニル)(η5-テトラメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、[メチルフェニルメチレン(η5-シクロペンタジエニル)(η5-フルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、[メチルフェニルメチレン(η5-シクロペンタジエニル)(η5-2,7-ジ-t-ブチルフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、[メチルフェニルメチレン(η5-シクロペンタジエニル)(η5-3,6-ジ-t-ブチルフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、[メチルフェニルメチレン(η5-シクロペンタジエニル)(η5-オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、[メチルフェニルメチレン(η5-シクロペンタジエニル)(η5-テトラメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、[メチル(3-メチルフェニル)メチレン(η5-シクロペンタジエニル)(η5-フルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、[メチル(3-メチルフェニル)メチレン(η5-シクロペンタジエニル)(η5-2,7-ジ-t-ブチルフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、[メチル(3-メチルフェニル)メチレン(η5-シクロペンタジエニル)(η5-3,6-ジ-t-ブチルフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、[メチル(3-メチルフェニル)メチレン(η5-シクロペンタジエニル)(η5-オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、[メチル(3-メチルフェニル)メチレン(η5-シクロペンタジエニル)(η5-テトラメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、[メチル(4-メチルフェニル)メチレン(η5-シクロペンタジエニル)(η5-フルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、[メチル(4-メチルフェニル)メチレン(η5-シクロペンタジエニル)(η5-2,7-ジ-t-ブチルフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、[メチル(4-メチルフェニル)メチレン(η5-シクロペンタジエニル)(η5-3,6-ジ-t-ブチルフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、[メチル(4-メチルフェニル)メチレン(η5-シクロペンタジエニル)(η5-オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、[メチル(4-メチルフェニル)メチレン(η5-シクロペンタジエニル)(η5-テトラメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、[ジフェニルシリレン(η5-シクロペンタジエニル)(η5-フルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、[ジフェニルシリレン(η5-シクロペンタジエニル)(η5-2,7-ジ-t-ブチルフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、[ジフェニルシリレン(η5-シクロペンタジエニル)(η5-3,6-ジ-t-ブチルフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、[ジフェニルシリレン(η5-シクロペンタジエニル)(η5-オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、[ジフェニルシリレン(η5-シクロペンタジエニル)(η5-テトラメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、[ビス(3-メチルフェニル)シリレン(η5-シクロペンタジエニル)(η5-フルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、[ビス(3-メチルフェニル)シリレン(η5-シクロペンタジエニル)(η5-2,7-ジ-t-ブチルフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、[ビス(3-メチルフェニル)シリレン(η5-シクロペンタジエニル)(η5-3,6-ジ-t-ブチルフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、[ビス(3-メチルフェニル)シリレン(η5-シクロペンタジエニル)(η5-オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、[ビス(3-メチルフェニル)シリレン(η5-シクロペンタジエニル)(η5-テトラメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、[ジシクロヘキシルシリレン(η5-シクロペンタジエニル)(η5-フルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、[ジシクロヘキシルシリレン(η5-シクロペンタジエニル)(η5-2,7-ジ-t-ブチルフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、[ジシクロヘキシルシリレン(η5-シクロペンタジエニル)(η5-3,6-ジ-t-ブチルフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、[ジシクロヘキシルシリレン(η5-シクロペンタジエニル)(η5-オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、[ジシクロヘキシルシリレン(η5-シクロペンタジエニル)(η5-テトラメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、
[エチレン(η5-シクロペンタジエニル)(η5-フルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、[エチレン(η5-シクロペンタジエニル)(η5-2,7-ジ-t-ブチルフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、[エチレン(η5-シクロペンタジエニル)(η5-3,6-ジ-t-ブチルフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、[エチレン(η5-シクロペンタジエニル)(η5-オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、[エチレン(η5-シクロペンタジエニル)(η5-テトラメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、エチレン[η5-(3-t-ブチル-5-メチルシクロペンタジエニル)](η5-フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン[η5-(3-t-ブチル-5-メチルシクロペンタジエニル)][η5-(3,6-ジ-t-ブチルフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、エチレン[η5-(3-t-ブチル-5-メチルシクロペンタジエニル)][η5-(2,7-ジ-t-ブチルフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、エチレン[η5-(3-t-ブチル-5-メチルシクロペンタジエニル)](オクタメチルオクタヒドロジベンズフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン[η5-(3-t-ブチル-5-メチルシクロペンタジエニル)](ベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン[η5-(3-t-ブチル-5-メチルシクロペンタジエニル)](ジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン[η5-(3-t-ブチル-5-メチルシクロペンタジエニル)](オクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン[η5-(3-t-ブチル-5-メチルシクロペンタジエニル)][η5-(2,7-ジフェニル-3,6-ジ-t-ブチルフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、エチレン[η5-(3-t-ブチル-5-メチルシクロペンタジエニル)][η5-(2,7-ジメチル-3,6-ジ-t-ブチルフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、エチレン[η5-(3-t-ブチルシクロペンタジエニル)](η5-フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン[η5-(3-t-ブチルシクロペンタジエニル)][η5-(3,6-ジ-t-ブチルフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、エチレン[η5-(3-t-ブチルシクロペンタジエニル)][η5-(2,7-ジ-t-ブチルフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、エチレン[η5-(3-t-ブチルシクロペンタジエニル)](オクタメチルオクタヒドロジベンズフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン[η5-(3-t-ブチルシクロペンタジエニル)](ベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン[η5-(3-t-ブチルシクロペンタジエニル)](ジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン[η5-(3-t-ブチルシクロペンタジエニル)](オクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン[η5-(3-t-ブチルシクロペンタジエニル)][η5-(2,7-ジフェニル-3,6-ジ-t-ブチルフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、エチレン[η5-(3-t-ブチルシクロペンタジエニル)][η5-(2,7-ジメチル-3,6-ジ-t-ブチルフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、エチレン[η5-(3-n-ブチルシクロペンタジエニル)](η5-フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン[η5-(3-n-ブチルシクロペンタジエニル)][η5-(3,6-ジ-t-ブチルフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、エチレン[η5-(3-n-ブチルシクロペンタジエニル)][η5-(2,7-ジ-t-ブチルフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、エチレン[η5-(3-n-ブチルシクロペンタジエニル)](オクタメチルオクタヒドロジベンズフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン[η5-(3-n-ブチルシクロペンタジエニル)](ベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン[η5-(3-n-ブチルシクロペンタジエニル)](ジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン[η5-(3-n-ブチルシクロペンタジエニル)](オクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン[η5-(3-n-ブチルシクロペンタジエニル)][η5-(2,7-ジフェニル-3,6-ジ-t-ブチルフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、エチレン[η5-(3-n-ブチルシクロペンタジエニル)][η5-(2,7-ジメチル-3,6-ジ-t-ブチルフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン[η5-(3-t-ブチル-5-メチルシクロペンタジエニル)](η5-フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン[η5-(3-t-ブチル-5-メチルシクロペンタジエニル)][η5-(3,6-ジ-t-ブチルフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン[η5-(3-t-ブチル-5-メチルシクロペンタジエニル)][η5-(2,7-ジ-t-ブチルフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン[η5-(3-t-ブチル-5-メチルシクロペンタジエニル)](オクタメチルオクタヒドロジベンズフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン[η5-(3-t-ブチル-5-メチルシクロペンタジエニル)](ベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン[η5-(3-t-ブチル-5-メチルシクロペンタジエニル)](ジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン[η5-(3-t-ブチル-5-メチルシクロペンタジエニル)](オクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン[η5-(3-t-ブチル-5-メチルシクロペンタジエニル)][η5-(2,7-ジフェニル-3,6-ジ-t-ブチルフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン[η5-(3-t-ブチル-5-メチルシクロペンタジエニル)][η5-(2,7-ジメチル-3,6-ジ-t-ブチルフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン[η5-(3-t-ブチルシクロペンタジエニル)](η5-フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン[η5-(3-t-ブチルシクロペンタジエニル)][η5-(3,6-ジ-t-ブチルフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン[η5-(3-t-ブチルシクロペンタジエニル)][η5-(2,7-ジ-t-ブチルフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン[η5-(3-t-ブチルシクロペンタジエニル)](オクタメチルオクタヒドロジベンズフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン[η5-(3-t-ブチルシクロペンタジエニル)](ベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン[η5-(3-t-ブチルシクロペンタジエニル)](ジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン[η5-(3-t-ブチルシクロペンタジエニル)](オクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン[η5-(3-t-ブチルシクロペンタジエニル)][η5-(2,7-ジフェニル-3,6-ジ-t-ブチルフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン[η5-(3-t-ブチルシクロペンタジエニル)][η5-(2,7-ジメチル-3,6-ジ-t-ブチルフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン[η5-(3-n-ブチルシクロペンタジエニル)](η5-フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン[η5-(3-n-ブチルシクロペンタジエニル)][η5-(3,6-ジ-t-ブチルフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン[η5-(3-n-ブチルシクロペンタジエニル)][η5-(2,7-ジ-t-ブチルフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン[η5-(3-n-ブチルシクロペンタジエニル)](オクタメチルオクタヒドロジベンズフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン[η5-(3-n-ブチルシクロペンタジエニル)](ベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン[η5-(3-n-ブチルシクロペンタジエニル)](ジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン[η5-(3-n-ブチルシクロペンタジエニル)](オクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン[η5-(3-n-ブチルシクロペンタジエニル)][η5-(2,7-ジフェニル-3,6-ジ-t-ブチルフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン[η5-(3-n-ブチルシクロペンタジエニル)][η5-(2,7-ジメチル-3,6-ジ-t-ブチルフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジ(p-トリル)メチレン[η5-(3-t-ブチル-5-メチルシクロペンタジエニル)](η5-フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-トリル)メチレン[η5-(3-t-ブチル-5-メチルシクロペンタジエニル)][η5-(3,6-ジ-t-ブチルフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジ(p-トリル)メチレン[η5-(3-t-ブチル-5-メチルシクロペンタジエニル)][η5-(2,7-ジ-t-ブチルフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジ(p-トリル)メチレン[η5-(3-t-ブチル-5-メチルシクロペンタジエニル)](オクタメチルオクタヒドロジベンズフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-トリル)メチレン[η5-(3-t-ブチル-5-メチルシクロペンタジエニル)](ベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-トリル)メチレン[η5-(3-t-ブチル-5-メチルシクロペンタジエニル)](ジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-トリル)メチレン[η5-(3-t-ブチル-5-メチルシクロペンタジエニル)](オクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-トリル)メチレン[η5-(3-t-ブチル-5-メチルシクロペンタジエニル)][η5-(2,7-ジフェニル-3,6-ジ-t-ブチルフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジ(p-トリル)メチレン[η5-(3-t-ブチル-5-メチルシクロペンタジエニル)][η5-(2,7-ジメチル-3,6-ジ-t-ブチルフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジ(p-トリル)メチレン[η5-(3-t-ブチルシクロペンタジエニル)](η5-フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-トリル)メチレン
[η5-(3-t-ブチルシクロペンタジエニル)][η5-(3,6-ジ-t-ブチルフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジ(p-トリル)メチレン[η5-(3-t-ブチルシクロペンタジエニル)][η5-(2,7-ジ-t-ブチルフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジ(p-トリル)メチレン[η5-(3-t-ブチルシクロペンタジエニル)](オクタメチルオクタヒドロジベンズフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-トリル)メチレン[η5-(3-t-ブチルシクロペンタジエニル)](ベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-トリル)メチレン[η5-(3-t-ブチルシクロペンタジエニル)](ジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-トリル)メチレン[η5-(3-t-ブチルシクロペンタジエニル)](オクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-トリル)メチレン[η5-(3-t-ブチルシクロペンタジエニル)][η5-(2,7-ジフェニル-3,6-ジ-t-ブチルフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジ(p-トリル)メチレン[η5-(3-t-ブチルシクロペンタジエニル)][η5-(2,7-ジメチル-3,6-ジ-t-ブチルフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジ(p-トリル)メチレン[η5-(3-n-ブチルシクロペンタジエニル)](η5-フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-トリル)メチレン[η5-(3-n-ブチルシクロペンタジエニル)][η5-(3,6-ジ-t-ブチルフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジ(p-トリル)メチレン[η5-(3-n-ブチルシクロペンタジエニル)][η5-(2,7-ジ-t-ブチルフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジ(p-トリル)メチレン[η5-(3-n-ブチルシクロペンタジエニル)](オクタメチルオクタヒドロジベンズフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-トリル)メチレン[η5-(3-n-ブチルシクロペンタジエニル)](ベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-トリル)メチレン[η5-(3-n-ブチルシクロペンタジエニル)](ジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-トリル)メチレン[η5-(3-n-ブチルシクロペンタジエニル)](オクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-トリル)メチレン[η5-(3-n-ブチルシクロペンタジエニル)](2,7-ジフェニル-3,6-ジ-t-ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジ(p-トリル)メチレン[η5-(3-n-ブチルシクロペンタジエニル)][η5-(2,7-ジメチル-3,6-ジ-t-ブチルフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド等が挙げられる。
【0071】
化合物(P)としては、さらに、前記化合物のジルコニウム原子をハフニウム原子やチタン原子に置き換えた化合物、クロロ配位子をメチル基に置き換えた化合物などが例示される。
【0072】
なお、例示した化合物(P)の構成部分であるη5-テトラメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニルは、4,4,7,7-テトラメチル-(5a,5b,11a,12,12a-η5)-1,2,3,4,7,8,9,10-オクタヒドロジベンゾ[b,H]フルオレニル基、η5-オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニルは、1,1,4,4,7,7,10,10-オクタメチル-(5a,5b,11a,12,12a-η5)-1,2,3,4,7,8,9,10-オクタヒドロジベンゾ[b,H]フルオレニル基をそれぞれ表す。
【0073】
・化合物(Q)
前記化合物(Q)は、有機金属化合物(Q-1)、有機アルミニウムオキシ化合物(Q-2)および前記化合物(P)と反応してイオン対を形成する化合物(Q-3)からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である。
【0074】
(有機金属化合物(Q-1))
有機金属化合物(Q-1)(以下「化合物(Q-1)」ともいう。)の具体例としては、以下のような周期律表第1、2族および第12、13族の金属元素を有する有機金属化合物(Q-1a)、(Q-1b)、(Q-1c)が挙げられる。
【0075】
式(Q-1a)で表される有機アルミニウム化合物。
Al(OR ・・・(Q-1a)
[式中、RおよびRは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素数1~15、好ましくは炭素数1~4の炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子を示し、mは0<m≦3、nは0≦n<3、pは0≦p<3、qは0≦q<3の数であり、かつm+n+p+q=3である。]
【0076】
式(Q-1a)で表される化合物としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ-n-ブチルアルミニウム、トリ-n-ヘキシルアルミニウム、トリ-n-オクチルアルミニウムなどのトリ-n-アルキルアルミニウム;トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ-s-ブチルアルミニウム、トリ-t-ブチルアルミニウム、トリ-2-メチルブチルアルミニウム、トリ-3-メチルヘキシルアルミニウム、トリ-2-エチルヘキシルアルミニウムなどのトリ分岐状アルキルアルミニウム;トリシクロヘキシルアルミニウム、トリシクロオクチルアルミニウムなどのトリシクロアルキルアルミニウム;トリフェニルアルミニウム、トリ(4-メチルフェニル)アルミニウムなどのトリアリールアルミニウム;ジイソプロピルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライドなどのジアルキルアルミニウムハイドライド;式(i-CAl(C10(式中、x、y、zは正の数であり、z≦2xである。)で表されるイソプレニルアルミニウムなどのアルケニルアルミニウム;イソブチルアルミニウムメトキシド、イソブチルアルミニウムエトキシドなどのアルキルアルミニウムアルコキシド;ジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジブチルアルミニウムブトキシドなどのジアルキルアルミニウムアルコキシド;エチルアルミニウムセスキエトキシド、ブチルアルミニウムセスキブトキシドなどのアルキルアルミニウムセスキアルコキシド;式R 2.5Al(OR0.5などで表される平均組成を有する部分的にアルコキシ化されたアルキルアルミニウム;ジエチルアルミニウムフェノキシド、ジエチルアルミニウム(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノキシド)などのアルキルアルミニウムアリーロキシド;ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジブチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド、ジイソブチルアルミニウムクロリドなどのジアルキルアルミニウムハライド;エチルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロミドなどのアルキルアルミニウムセスキハライド;エチルアルミニウムジクロリドなどのアルキルアルミニウムジハライドなどの部分的にハロゲン化されたアルキルアルミニウム;ジエチルアルミニウムヒドリド、ジブチルアルミニウムヒドリドなどのジアルキルアルミニウムヒドリド;エチルアルミニウムジヒドリド、プロピルアルミニウムジヒドリドなどのアルキルアルミニウムジヒドリド;その他の部分的に水素化されたアルキルアルミニウム;エチルアルミニウムエトキシクロリド、ブチルアルミニウムブトキシクロリド、エチルアルミニウムエトキシブロミドなどの部分的にアルコキシ化およびハロゲン化されたアルキルアルミニウムを例示することができる。
【0077】
また、前記式(Q-1a)で表される化合物に類似する化合物も使用することができ、例えば、窒素原子を介して2つ以上のアルミニウム化合物が結合した有機アルミニウム化合物が挙げられる。このような化合物として具体的には、(CAlN(C)Al(Cなどが挙げられる。
【0078】
式(Q-1b)で表される周期律表第1族金属とアルミニウムとの錯アルキル化物。
AlR ・・・(Q-1b)
[式中、MはLi、NaまたはKを示し、Rは炭素数1~15、好ましくは炭素数1~4の炭化水素基を示す。]
このような化合物としては、LiAl(C、LiAl(C15などを例示することができる。
【0079】
式(Q-1c)で表される周期律表第2族または第12族金属のジアルキル化合物。
・・・(Q-1c)
[式中、RおよびRは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素数1~15、好ましくは炭素数1~4の炭化水素基を示し、MはMg、ZnまたはCdである。]
【0080】
(有機アルミニウムオキシ化合物(Q-2))
有機アルミニウムオキシ化合物(Q-2)(以下「化合物(Q-2)」ともいう。)としては、例えば、従来公知のアルミノキサンをそのまま使用することができる。具体例としては、下記式[III]で表される化合物および下記式[IV]で表される化合物を挙げることができる。
【0081】
【化3】
【0082】
式[III]および[IV]中、Rはそれぞれ独立に炭素数1~10の炭化水素基、nは2以上の整数を示す。
特に、Rがメチル基であるメチルアルミノキサンであって、nが3以上、好ましくは10以上の化合物が好ましい。これらアルミノキサン類に若干の有機アルミニウム化合物が混入していても差し支えない。
【0083】
共重合体(a)の製造方法において、エチレンと炭素数が3以上のα-オレフィンとの共重合を高温で行う場合には、特開平2-78687号公報に例示されているベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物なども用いることができる。また、特開平2-167305号公報に記載されている有機アルミニウムオキシ化合物、特開平3-103407号公報に記載されている二種類以上のアルキル基を有するアルミノキサンなども好適に用いることができる。
なお、「ベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物」とは、60℃のベンゼンに溶解するAl成分がAl原子換算で通常10%以下、好ましくは5%以下、特に好ましくは2%以下であり、ベンゼンに対して不溶性または難溶性の化合物である。
【0084】
また、化合物(Q-2)としては、下記式[V]で表される修飾メチルアルミノキサン等も挙げることができる。
【0085】
【化4】
【0086】
式[V]中、Rxは炭素数1~10の炭化水素基を示し、Meはメチル基を示し、mおよびnはそれぞれ独立に2以上の整数を示す。
【0087】
化合物(Q-2)の一例であるメチルアルミノキサンは、容易に入手可能であり、かつ高い重合活性を有するので、オレフィン重合における活性剤として一般的に使用されている。しかしながら、メチルアルミノキサンは、飽和炭化水素に溶解させ難いため、環境的に望ましくないトルエンまたはベンゼンなどの芳香族炭化水素の溶液として使用されてきた。このため、近年、飽和炭化水素に溶解させたアルミノキサンとして、式[V]で表されるメチルアルミノキサンの可撓性体(flexible body)が開発され、使用されている。式[V]で表される修飾メチルアルミノキサンは、例えば、米国特許第4960878号明細書、米国特許第5041584号明細書に示されるように、トリメチルアルミニウムおよびトリメチルアルミニウム以外のアルキルアルミニウムを用いて調製され、例えば、トリメチルアルミニウムおよびトリイソブチルアルミニウムを用いて調製される。Rxがイソブチル基であるアルミノキサンは、飽和炭化水素溶液の形でMMAO、TMAOの商品名で市販されている(Tosoh Finechem Corporation、Tosoh Research&Technology Review、Vol 47、55(2003)を参照)。
【0088】
さらに、化合物(Q-2)として、下記式[VI]で表されるボロンを含んだ有機アルミニウムオキシ化合物も挙げることができる。
【0089】
【化5】
【0090】
式[VI]中、Rは炭素数1~10の炭化水素基を示す。Rは、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子または炭素数1~10の炭化水素基を示す。
【0091】
(化合物(P)と反応してイオン対を形成する化合物(Q-3))
化合物(P)と反応してイオン対を形成する化合物(Q-3)(以下「化合物(Q-3)」ともいう。)としては、特表平1-501950号公報、特表平1-502036号公報、特開平3-179005号公報、特開平3-179006号公報、特開平3-207703号公報、特開平3-207704号公報、米国特許第5321106号明細書などに記載されたルイス酸、イオン性化合物、ボラン化合物およびカルボラン化合物等が挙げられる。さらに、ヘテロポリ化合物およびイソポリ化合物も挙げられる。
【0092】
化合物(Q-3)としては、下記式[VII]で表されるホウ素化合物が好ましい。
【0093】
【化6】
【0094】
式[VII]中、Re+としては、H、カルベニウムカチオン、オキソニウムカチオン、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、シクロヘプチルトリエニルカチオン、遷移金属を有するフェロセニウムカチオンなどが挙げられる。R~Rは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素数1~20の炭化水素基、ケイ素含有基、窒素含有基、酸素含有基、ハロゲン原子およびハロゲン含有基から選ばれる置換基であり、好ましくは置換アリール基である。
【0095】
前記カルベニウムカチオンとして具体的には、トリフェニルカルベニウムカチオン、トリス(4-メチルフェニル)カルベニウムカチオン、トリス(3,5-ジメチルフェニル)カルベニウムカチオンなどの三置換カルベニウムカチオンなどが挙げられる。
【0096】
前記アンモニウムカチオンとして具体的には、トリメチルアンモニウムカチオン、トリエチルアンモニウムカチオン、トリ(n-プロピル)アンモニウムカチオン、トリイソプロピルアンモニウムカチオン、トリ(n-ブチル)アンモニウムカチオン、トリイソブチルアンモニウムカチオンなどのトリアルキル置換アンモニウムカチオン;N,N-ジメチルアニリニウムカチオン、N,N-ジエチルアニリニウムカチオン、N,N-2,4,6-ペンタメチルアニリニウムカチオンなどのN,N-ジアルキルアニリニウムカチオン;ジイソプロピルアンモニウムカチオン、ジシクロヘキシルアンモニウムカチオンなどのジアルキルアンモニウムカチオンなどが挙げられる。
【0097】
前記ホスホニウムカチオンとして具体的には、トリフェニルホスホニウムカチオン、トリス(4-メチルフェニル)ホスホニウムカチオン、トリス(3,5-ジメチルフェニル)ホスホニウムカチオンなどのトリアリールホスホニウムカチオンなどが挙げられる。
【0098】
e+としては、前記具体例のうち、カルベニウムカチオン、アンモニウムカチオンなどが好ましく、トリフェニルカルベニウムカチオン、N,N-ジメチルアニリニウムカチオン、N,N-ジエチルアニリニウムカチオンがより好ましい。
【0099】
化合物(Q-3)のうち、カルベニウムカチオンを含む化合物の好適例としては、トリフェニルカルベニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス{3,5-ジ-(トリフルオロメチル)フェニル}ボレート、トリス(4-メチルフェニル)カルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリス(3,5-ジメチルフェニル)カルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートが挙げられる。
【0100】
化合物(Q-3)のうち、トリアルキル置換アンモニウムカチオンを含む化合物の好適例としては、トリエチルアンモニウムテトラフェニルボレート、トリプロピルアンモニウムテトラフェニルボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラフェニルボレート、トリメチルアンモニウムテトラキス(4-メチルフェニル)ボレート、トリメチルアンモニウムテトラキス(2-メチルフェニル)ボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリエチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラキス(2,4-ジメチルフェニル)ボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラキス(3,5-ジメチルフェニル)ボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラキス{4-(トリフルオロメチル)フェニル}ボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラキス{3,5-ジ(トリフルオロメチル)フェニル}ボレート、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラキス(2-メチルフェニル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラフェニルボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(4-メチルフェニル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(4-メチルフェニル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(2,4-ジメチルフェニル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(3,5-ジメチルフェニル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス{4-(トリフルオロメチル)フェニル}ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス{3,5-ジ(トリフルオロメチル)フェニル}ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムが挙げられる。
【0101】
化合物(Q-3)のうち、N,N-ジアルキルアニリニウムカチオンを含む化合物の好適例としては、N,N-ジメチルアニリニウムテトラフェニルボレート、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス{3,5-ジ(トリフルオロメチル)フェニル}ボレート、N,N-ジエチルアニリニウムテトラフェニルボレート、N,N-ジエチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N-ジエチルアニリニウムテトラキス{3,5-ジ(トリフルオロメチル)フェニル}ボレート、N,N-2,4,6-ペンタメチルアニリニウムテトラフェニルボレート、N,N-2,4,6-ペンタメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートが挙げられる。
【0102】
化合物(Q-3)のうち、ジアルキルアンモニウムカチオンを含む化合物の好適例としては、ジ-n-プロピルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラフェニルボレートが挙げられる。
【0103】
その他、特開2004-51676号公報に例示されているイオン性化合物等も制限無く使用が可能である。
【0104】
前記オレフィン重合触媒の構成例としては、例えば、以下の[1]~[4]が挙げられる。なお、化合物(P)、化合物(Q-1)~(Q-3)は、任意の順序で反応系に導入すればよい。
[1]化合物(P)および化合物(Q-2)を含む
[2]化合物(P)、化合物(Q-1)および化合物(Q-2)を含む
[3]化合物(P)、化合物(Q-1)および化合物(Q-3)を含む
[4]化合物(P)、化合物(Q-2)および化合物(Q-3)を含む
【0105】
・担体(R)
前記オレフィン重合触媒としては、必要に応じて担体(R)を用いてもよい。
前記担体(R)は、無機または有機の化合物であって、顆粒状ないしは微粒子状の固体である。このうち無機化合物としては、多孔質酸化物、無機塩化物、粘土、粘土鉱物またはイオン交換性層状化合物が好ましい。
【0106】
多孔質酸化物の具体例としては、SiO、Al、MgO、ZrO、TiO、B、CaO、ZnO、BaO、ThOなど、またはこれらを含む複合物または混合物が挙げられ、例えば、天然または合成ゼオライト、SiO-MgO、SiO-Al、SiO-TiO、SiO-V、SiO-Cr、SiO-TiO-MgOが挙げられる。これらのうち、SiOおよび/またはAlを主成分とするものが好ましい。種類および製法によりその性状は異なるが、このような多孔質酸化物の好適例としては、粒径が、好ましくは0.5~300μm、より好ましくは1.0~200μmであって、比表面積が、好ましくは50~1000m/g、より好ましくは100~700m/gであり、細孔容積が、好ましくは0.3~3.0cm/gである多孔質酸化物が挙げられる。
これらの多孔質酸化物は、必要に応じて、例えば100~1000℃、好ましくは150~700℃で焼成してから使用してもよい。
【0107】
無機塩化物としては、MgCl、MgBr、MnCl、MnBr等が用いられる。無機塩化物は、そのまま用いてもよいし、ボールミル、振動ミル等により粉砕した後で用いてもよい。また、アルコールなどの溶媒に無機塩化物を溶解させた後、析出剤によって微粒子状に析出させたものを用いてもよい。
【0108】
粘土は、通常、粘土鉱物を主成分として構成される。また、イオン交換性層状化合物は、例えば、イオン結合などによって、構成される面が互いに弱い結合力で平行に積み重なった結晶構造を有する化合物であり、含まれるイオンが交換可能な化合物等が挙げられる。大部分の粘土鉱物はイオン交換性層状化合物である。また、これらの粘土、粘土鉱物、イオン交換性層状化合物としては、天然産に限らず、人工合成物を使用することもできる。
【0109】
粘土、粘土鉱物またはイオン交換性層状化合物としては、粘土、粘土鉱物、六方細密パッキング型、アンチモン型、CdCl型、CdI型などの層状の結晶構造を有するイオン結晶性化合物などを例示することができる。
このような粘土、粘土鉱物としては、例えば、カオリン、ベントナイト、木節粘土、ガイロメ粘土、アロフェン、ヒシンゲル石、パイロフィライト、ウンモ群、モンモリロナイト群、バーミキュライト、リョクデイ石群、パリゴルスカイト、カオリナイト、ナクライト、ディッカイト、ハロイサイト、ペクトライト、テニオライト、合成雲母が挙げられる。
イオン交換性層状化合物としては、例えば、α-Zr(HAsO・HO、α-Zr(HPO、α-Zr(KPO・3HO、α-Ti(HPO、α-Ti(HAsO・HO、α-Sn(HPO・HO、γ-Zr(HPO、γ-Ti(HPO、γ-Ti(NHPO・HOなどの多価金属の結晶性酸性塩が挙げられる。
【0110】
前記粘土、粘土鉱物としては、化学処理を施したものを用いてもよい。化学処理としては、表面に付着している不純物を除去する表面処理、粘土の結晶構造に影響を与える処理など、何れも使用できる。化学処理として、具体的には、酸処理、アルカリ処理、塩類処理、有機物処理などが挙げられる。
【0111】
イオン交換性層状化合物は、イオン交換性を利用し、層間の交換性イオンを別の大きな嵩高いイオンと交換することで、層間が拡大した状態の層状化合物であってもよい。このような嵩高いイオンは、層状構造を支える支柱的な役割を担っており、通常、ピラーと呼ばれる。また、このように層状化合物の層間に別の物質(ゲスト化合物)を導入することをインターカレーションという。
【0112】
ゲスト化合物としては、例えば、TiCl、ZrClなどの陽イオン性無機化合物;Ti(OR)、Zr(OR)、PO(OR)、B(OR)などの金属アルコキシド(Rは炭化水素基など);[Al13(OH)247+、[Zr(OH)142+、[FeO(OCOCHなどの金属水酸化物イオンが挙げられる。これらのゲスト化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
【0113】
また、これらの化合物をインターカレーションする際に、Si(OR)、Al(OR)、Ge(OR)などの金属アルコキシド(Rは炭化水素基など)などを加水分解重縮合して得た重合物や、SiOなどのコロイド状無機化合物などを共存させることもできる。
また、ピラーとしては、前記金属水酸化物イオンを層間にインターカレーションした後に加熱脱水することにより生成する酸化物などが挙げられる。
【0114】
これらのうち、好ましいものは粘土または粘土鉱物であり、特に好ましいものはモンモリロナイト、バーミキュライト、ペクトライト、テニオライトおよび合成雲母である。
【0115】
前記担体(R)における有機化合物としては、粒径が0.5~300μmの範囲にある顆粒状ないしは微粒子状固体を挙げることができる。具体的には、エチレン、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテンなどの炭素数が2~14のα-オレフィンを主成分として生成される(共)重合体;ビニルシクロヘキサン、スチレンなどを主成分として生成される(共)重合体;これらの変成体を例示することができる。
【0116】
・方法(I)の条件等
前記オレフィン重合触媒の各成分の使用法、添加順序は任意に選ばれる。また、オレフィン重合触媒に用いる各成分の少なくとも2つ以上を予め接触されてから用いてもよい。
【0117】
化合物(P)は、反応容積1リットル当り、通常10-9~10-1モル、好ましくは10-8~10-2モルになるような量で用いられる。
【0118】
化合物(Q-1)は、化合物(Q-1)と、化合物(P)中の遷移金属原子(M)とのモル比[(Q-1)/M]が、通常0.01~50,000、好ましくは0.05~10,000となるような量で用いられる。
【0119】
化合物(Q-2)は、成分(Q-2)中のアルミニウム原子と、化合物(P)中の遷移金属原子(M)とのモル比[(Q-2)/M]が、通常10~5,000、好ましくは20~2,000となるような量で用いられる。
【0120】
化合物(Q-3)は、化合物(Q-3)と、化合物(P)中の遷移金属原子(M)とのモル比[(Q-3)/M]が、通常1~10,000、好ましくは1~5,000となるような量で用いられる。
【0121】
重合温度は、通常-50~300℃、好ましくは30~250℃、より好ましくは100~250℃、さらに好ましくは130~200℃である。前記範囲の重合温度領域では温度が高くなるに従い、重合時の溶液粘度が低下し、重合熱の除熱も容易となる。
【0122】
重合圧力は、通常、常圧~10MPaゲージ圧(MPa-G)、好ましくは常圧~8MPa-Gである。
【0123】
重合反応は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行うことができる。さらに、重合を反応条件の異なる二つ以上の重合器で連続的に行うことも可能である。
【0124】
得られる共重合体(a)の分子量は、重合系中の水素濃度や重合温度を変化させることによって調節することができる。さらに、使用する化合物(Q)の量により調節することもできる。水素を添加する場合、その量は生成する共重合体(a)1kgあたり0.001~5,000NL程度が適当である。
【0125】
前記重合の方法としては特に制限されないが、液相重合法が好ましい。
液相重合法において用いられる重合溶媒は、通常、不活性炭化水素溶媒であり、好ましくは常圧下における沸点が50~200℃の飽和炭化水素である。重合溶媒の具体例としては、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油などの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素が挙げられ、特に好ましくは、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、シクロヘキサンが挙げられる。重合対象であるα-オレフィン自身を重合溶媒として用いることもできる。なお、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類やエチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素も重合溶媒として使用することができるが、環境への負荷軽減の観点および人体健康への影響の最少化の観点からは、これらの使用は好ましくない傾向にある。
【0126】
共重合体(a)の100℃における動粘度は共重合体(a)の分子量に依存する。すなわち、共重合体(a)が高分子量であれば高粘度となり、低分子量であれば低粘度となるため、前述の分子量調整により100℃における動粘度を調整することができる。また、減圧蒸留のような従来公知の方法により、得られた共重合体(a)の低分子量成分を除去することで、得られる共重合体(a)の分子量分布(Mw/Mn)を調整することができる。
【0127】
さらに得られた共重合体(a)について、従来公知の方法により水素添加(以下「水添」ともいう。)を行ってもよい。水添により、得られた共重合体(a)の2重結合が低減されれば、酸化安定性および耐熱性が向上する。
【0128】
<変性共重合体(aa)>
前記共重合体(a)は、不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸誘導体から選ばれる1種以上の化合物によってグラフト変性されていることが好ましい。
本明細書において、前記化合物によってグラフト変性された共重合体(a)を、変性共重合体(aa)という。グラフト変性に用いる不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸誘導体は、1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
本分散剤(A)に変性共重合体(aa)を用いる場合、用いる変性共重合体(aa)は、1種単独でもよく、2種以上でもよい。
【0129】
不飽和カルボン酸としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ナジック酸(エンドシス-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2,3-ジカルボン酸)等が挙げられる。
不飽和カルボン酸誘導体としては、前記不飽和カルボン酸の酸無水物、エステル、アルコール性ヒドロキシ基を有するエステル、アミドおよびイミド等が挙げられる。
【0130】
不飽和カルボン酸の酸無水物としては、例えば、無水マレイン酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、無水クロトン酸、無水ナジック酸が挙げられる。
【0131】
不飽和カルボン酸のエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、マレイン酸モノエチルエステル、マレイン酸ジエチルエステル、フマル酸モノメチルエステル、フマル酸ジメチルエステル、イタコン酸モノメチルエステル、イタコン酸ジエチルエステル等のエステルおよびハーフエステルが挙げられる。
【0132】
不飽和カルボン酸のアルコール性ヒドロキシ基を有するエステルとしては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルアセチルフォスフェートが挙げられる。
【0133】
不飽和カルボン酸のアミドとしては、例えば、(メタ)アクリルアミド、マレイン酸モノアミド、マレイン酸ジアミド、マレイン酸-N-モノエチルアミド、マレイン酸-N,
N-ジエチルアミド、マレイン酸-N-モノブチルアミド、マレイン酸-N,N-ジブチ
ルアミド、フマル酸モノアミド、フマル酸ジアミド、フマル酸-N-モノブチルアミド、フマル酸-N,N-ジブチルアミドが挙げられる。
【0134】
不飽和カルボン酸のイミドとしては、例えば、マレイミド、N-ブチルマレイミド、N-フェニルマレイミドが挙げられる。
【0135】
不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸誘導体の中では、不飽和ジカルボン酸および不飽和ジカルボン酸誘導体がより好ましく、特に、変性共重合体(aa)を製造する反応においてホモポリマー等の副生物が生じにくい等の点から、マレイン酸および無水マレイン酸が特に好ましい。
【0136】
不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸誘導体から導かれる構成単位の含有量は、変性共重合体(aa)の全構成単位の合計を100質量%とした時、好ましくは0.1~30質量%、より好ましくは0.2~20質量%、さらに好ましくは0.3~10質量%である。
【0137】
グラフト変性に、マレイン酸および無水マレイン酸から選ばれる1種以上の化合物を用いた場合、変性共重合体(aa)の酸価(JIS K 5902:1969に準拠)は、好ましくは1~200mgKOH/g、より好ましくは2~130mgKOH/g、さらに好ましくは3~70mgKOH/gである。
【0138】
〈変性共重合体(aa)の製造方法〉
変性共重合体(aa)は、前記共重合体(a)を、不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸誘導体から選ばれる1種以上の化合物によってグラフト変性することで製造することができる。その具体例としては、特開昭61-126120号公報や特許第2593264号公報などに記載されている従来公知の種々の方法、下記方法(1)や(2)が挙げられる。
方法(1):共重合体(a)を押出機、バッチ式反応機などに装入し、そこに、反応させる不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸誘導体から選ばれる1種以上の化合物を添加して変性する方法
方法(2):共重合体(a)を溶媒に溶解させて、不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸誘導体から選ばれる1種以上の化合物を添加して変性する方法
【0139】
前記いずれの方法でも、不飽和カルボン酸および不飽和カルボン酸誘導体から選ばれる1種以上の化合物を効率よくグラフトするために、1種または2種以上のラジカル開始剤等の存在下でグラフト共重合を行うことが好ましい。
ラジカル開始剤としては、例えば、有機ペルオキシド、アゾ化合物が挙げられる。
【0140】
有機ペルオキシドとしては、ベンゾイルペルオキシド、ジクロロベンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ジ-t-ブチルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)-3-ヘキシン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキサン、1,4-ビス(t-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン等が挙げられる。
アゾ化合物としては、アゾビスイソブチロニトリル、ジメチルアゾイソブチレート等が挙げられる。
これらの中でも、特に、ジクミルペルオキシド、ジ-t-ブチルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)-3-ヘキシン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキサン、1,4-ビス(t-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼンなどのジアルキルペルオキシドが好ましく用いられる。
【0141】
ラジカル開始剤の使用量は、変性前の共重合体(a)100質量部に対して、通常は0.001~5質量部、好ましくは0.01~4質量部、さらに好ましくは0.05~3質量部である。
【0142】
空気および/または酸素を用いた酸化反応によって共重合体(a)を変性する場合、反応を促進するために、前記ラジカル開始剤の他に、金属、金属塩、無機酸および有機酸などから選ばれる1種または2種以上の存在下で反応を行ってもよい。
金属または金属塩としては、酢酸マンガン、酢酸コバルト、塩化マンガン、酸化ニッケル、銅などが挙げられ、無機酸としては、塩酸、硝酸などが挙げられ、有機酸としては、ギ酸、酢酸、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、酒石酸、リンゴ酸、アジピン酸、クエン酸などが挙げられる。
【0143】
グラフト変性における反応温度は、通常20~350℃、好ましくは60~300℃である。また、反応性の気体を用いて変性する場合、反応圧力は、常圧~5MPaが好ましい。
【0144】
前記反応性の気体や液体としては、空気、酸素、オゾン、塩素、臭素、二酸化硫黄、塩化スルフリルなどが挙げられ、これらのうち1種または2種以上を用いることができる。これらの中では、空気および/または酸素を用いる酸化反応や、塩素を用いる塩素化、塩化スルフリルまたは塩素と二酸化硫黄とを用いるクロロスルホン化反応、塩素と塩化スルフリルとを用いるクロロスルホン化反応、塩素と二酸化硫黄と塩化スルフリルとを用いるクロロスルホン化反応が好ましい。
なお、前記反応性の気体は、窒素、アルゴン、二酸化炭素など不活性ガスを用いて任意の濃度に希釈し使用してもよい。
【0145】
変性共重合体(aa)は、前記方法により製造した変性共重合体を、さらに2次変性してもよい。該2次変性の方法としては、例えば、特表2008-508402号公報などに記載の方法が挙げられる。
【0146】
≪樹脂組成物≫
本発明に係る樹脂組成物(以下「本組成物」ともいう。)は、本分散剤(A)、該本分散剤(A)以外の熱可塑性樹脂(B)およびフィラー(C)を含有する。
【0147】
[本分散剤(A)]
本組成物に用いる本分散剤(A)は、1種でもよく、2種以上でもよい。
本分散剤(A)の含有量は、本分散剤(A)、熱可塑性樹脂(B)およびフィラー(C)の含有量の合計を100質量%とした時、好ましくは0.1~30質量%、より好ましくは0.2~10質量%、さらに好ましくは0.3~5質量%である。
【0148】
[熱可塑性樹脂(B)]
熱可塑性樹脂(B)は、本分散剤(A)以外の熱可塑性の樹脂であれば特に制限されず、従来公知の熱可塑性樹脂を用いることができる。
熱可塑性樹脂についての定義、製法は周知であり、「実用プラスチック事典」(実用プラスチック事典編集委員会編、(株)産業調査会発行)等の刊行物に記載されている。
本組成物に用いる熱可塑性樹脂(B)は、1種でもよく、2種以上でもよい。
【0149】
熱可塑性樹脂(B)の含有量は、本分散剤(A)、熱可塑性樹脂(B)およびフィラー(C)の含有量の合計を100質量%とした時、好ましくは20~99.8質量%、より好ましくは30~80質量%、さらに好ましくは40~60質量%である。
【0150】
熱可塑性樹脂(B)としては、オレフィン系重合体が挙げられ、具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ1-ブテン、ポリ4-メチル-1-ペンテン、ポリメチルブテンなどのオレフィン単独重合体;エチレン・α-オレフィン共重合体、プロピレン・α-オレフィン共重合体、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体、4-メチル-1-ペンテン・α-オレフィン共重合体などのオレフィン系共重合体を挙げることができる。なお、オレフィン系共重合体の中では、ランダム共重合体が好ましい。
これらオレフィン系重合体のうち、炭素数2~12のα-オレフィンから導かれる構成単位を含有するオレフィン系重合体であることが好ましい。
【0151】
前記オレフィン系重合体の一態様としては、例えば、エチレン(共)重合体が挙げられる。
エチレン(共)重合体は、エチレン単独重合体(ポリエチレン)、エチレンと炭素数3~12のα-オレフィンとの共重合体であることが好ましい。
エチレン単独重合体には、超高分子量ポリエチレン、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン等が含まれる。
【0152】
エチレンと炭素数3~12のα-オレフィンとの共重合体における、エチレンから導かれる構成単位の含有量は、好ましくは91.0~99.9モル%、より好ましくは93.0~99.9モル%、さらに好ましくは95.0~99.9モル%、特に好ましくは95.0~99.0モル%である。炭素数3~12のα-オレフィンから導かれる構成単位の含有量は、好ましくは0.1~9.0モル%、より好ましくは0.1~7.0モル%、さらに好ましくは0.1~5.0モル%、特に好ましくは1.0~5.0モル%である。ただし、エチレンから導かれる構成単位と炭素数3~12のα-オレフィンから導かれる構成単位との合計の含有量は100モル%である。
前記オレフィン系重合体の構成単位の含有量は、13C-NMRスペクトルの解析により求めることができる。
【0153】
前記炭素数3~12のα-オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセンなどの直鎖状または分岐状のα-オレフィンが挙げられる。好ましくは、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテンであり、さらに好ましくは炭素数が3~8のα-オレフィンであり、特に好ましくはプロピレン、1-ブテンである。エチレンとプロピレンや1-ブテンとを共重合すると、得られる樹脂組成物の加工性、外観、機械強度のバランスが良好となる。
前記炭素数3~12のα-オレフィンは、1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
【0154】
エチレン(共)重合体の示差走査熱量計(DSC)で測定される融点(Tm)は、好ましくは30~140℃、より好ましくは40~120℃、さらに好ましくは60~100℃である。
エチレン(共)重合体の融点(Tm)がこの範囲にあると、外観、機械強度、耐熱性のバランスが良好な樹脂組成物を容易に得ることができる。
【0155】
前記オレフィン系重合体の他の態様としては、例えば、プロピレン(共)重合体が挙げられる。
プロピレン(共)重合体としては、例えば、プロピレン単独重合体(ポリプロピレン)、プロピレン・α-オレフィン共重合体が挙げられる。
プロピレン・α-オレフィン共重合体におけるα-オレフィンとしては、エチレンおよび炭素数4~12のα-オレフィンから選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
【0156】
プロピレン・α-オレフィン共重合体が、プロピレンとエチレンとの共重合体である場合、プロピレンから導かれる構成単位の含有量は、好ましくは60~99.5モル%、より好ましくは80~99モル%、さらに好ましくは90~98.5モル%、特に好ましくは95~98モル%である。ただし、プロピレンから導かれる構成単位とエチレンから導かれる構成単位との含有量の合計は100モル%である。
プロピレン由来の構成単位量が多いプロピレン共重合体を用いると、外観、機械強度、耐熱性のバランスが良好な樹脂組成物を容易に得ることができる。
【0157】
前記炭素数4~12のα-オレフィンとしては、例えば、1-ブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセンなどの直鎖状または分岐状のα-オレフィンが挙げられる。その中でも、1-ブテンが特に好ましい。
炭素数4~12のα-オレフィンは、1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
【0158】
前記プロピレン・α-オレフィン共重合体が、プロピレンと炭素数4~12のα-オレフィンとの共重合体である場合、プロピレンから誘導される構成単位の含有量は、好ましくは60~90モル%、より好ましくは65~88モル%、さらに好ましくは70~85モル%、特に好ましくは75~82モル%である。一方、炭素数4~12のα-オレフィン由来の構成単位の含有量は、好ましくは10~40モル%、より好ましくは12~35モル%、さらに好ましくは15~30モル%、特に好ましくは18~25モル%である。ただし、プロピレンから導かれる構成単位と炭素数4~12のα-オレフィンから導かれる構成単位との合計の含有量は100モル%である。
【0159】
プロピレン・α-オレフィン共重合体が、炭素数4~12のα-オレフィンから導かれる構成単位を含有する場合、さらに、例えば、エチレンから導かれる構成単位を少量(例:10モル%以下の量)含んでいてもよい。一方で、エチレンから誘導される構成単位が含まれないことも、樹脂組成物の耐熱性と機械強度のバランスを高めるとの観点では好ましい態様の一つである。
【0160】
プロピレン・α-オレフィン共重合体の組成が前記範囲にあると、外観に優れる樹脂組成物を容易に得ることができる。その理由は明らかではないが、結晶化速度が遅いために、金型上、または冷却工程において、樹脂組成物が流動し得る時間が長くなる。そしてその結果、表面性が良好になると考えられる。また、プロピレン・α-オレフィン共重合体の組成が前記範囲にあると、機械強度と耐熱性に優れる樹脂組成物を容易に得ることができる。
【0161】
プロピレン(共)重合体の示差走査熱量計(DSC)で測定される融点(Tm)は、通常40~170℃であり、好ましくは50~165℃、より好ましくは60~160℃である。
【0162】
前記オレフィン系重合体の他の態様としては、例えば、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体が挙げられる。
該エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体としては、エチレンと、炭素原子数3~12のα-オレフィンと、非共役ポリエンとの共重合体であることが好ましく、これらがランダムに共重合したポリマーであることがより好ましい。
【0163】
エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体におけるα-オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセンなどの炭素原子数が3~12の直鎖状または分岐状のα-オレフィンが挙げられる。該α-オレフィンは、1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
【0164】
非共役ポリエンとしては、環状または鎖状の非共役ポリエンが挙げられる。
環状の非共役ポリエンとしては、例えば、5-エチリデン-2-ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、5-ビニル-2-ノルボルネン、ノルボルナジエン、メチルテトラヒドロインデンが挙げられる。
鎖状の非共役ポリエンとしては、例えば、1,4-ヘキサジエン、7-メチル-1,6-オクタジエン、4-エチリデン-8-メチル-1,7-ノナジエン、4-エチリデン-1,7-ウンデカジエンが挙げられる。
これらの中でも、5-エチリデン-2-ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、5-ビニル-2-ノルボルネンが好ましい。
非共役ポリエンは、1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
【0165】
前記エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体の例としては、エチレン・プロピレン・ジエン三元共重合体(EPDM)が挙げられる。
【0166】
前記オレフィン系重合体の他の態様としては、例えば、プロピレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体、1-ブテン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体、4-メチル-1-ペンテン・α-オレフィン共重合体も挙げられる。
【0167】
4-メチル-1-ペンテン・α-オレフィン共重合体の具体例としては、例えば、国際公開第2011/055803号に開示の重合体が挙げられる。
4-メチル-1-ペンテン・α-オレフィン共重合体における4-メチル-1-ペンテンから導かれる構成単位の含有量は、好ましくは5~95モル%であり、4-メチル-1-ペンテン以外のα-オレフィンから導かれる構成単位の含有量は、好ましくは5~95モル%である。ただし、4-メチル-1-ペンテン・α-オレフィン共重合体を構成する全構成単位の合計量は100モル%である。
該α-オレフィンとしては、4-メチル-1-ペンテン以外の炭素数2~20のα-オレフィンから選ばれる1種以上のα-オレフィンが好ましい。
【0168】
4-メチル-1-ペンテン・α-オレフィン共重合体は、非共役ポリエンから導かれる構成単位を含んでいてもよく、この場合、非共役ポリエンから導かれる構成単位含有量は、好ましくは0~10モル%である。ただし、4-メチル-1-ペンテン・α-オレフィン共重合体を構成する全構成単位の合計量は100モル%である。
【0169】
前記オレフィン系重合体の立体規則性に関しては、特に制限はないが、オレフィン系重合体が前記プロピレン(共)重合体である場合には、実質的にシンジオタクティック構造を有することが好ましい。例えば、プロピレン(共)重合体が、実質的にシンジオタクティック構造を有すると、同一分子量において絡み合い点間分子量(Me)が小さくなり、分子の絡み合いが多くなるため、溶融張力が大きくなり液だれを起こし難くなる。また、実質的にシンジオタクティック構造を有するプロピレン(共)重合体を含む樹脂組成物を用いて成形体を製造する際、成形用の金型やロールに、適度に密着しやすくなる。
また、一般的なアイソタクティックポリプロピレン(共)重合体と比較して、実質的にシンジオタクティック構造を有するプロピレン(共)重合体は、結晶化速度が遅いため、金型やロールでの冷却がゆっくりとなり、金型やロールへの密着性が向上する。その結果、成形品の表面の光沢性が高まったり、耐摩耗性や、耐傷付性、耐衝撃性等が高まると推察される。
なお、プロピレン(共)重合体が実質的にシンジオタクティック構造を有するとは、13C-NMRスペクトルにおける19.5~20.3ppmに相当するピーク面積が、相対的に0.5以上であることをいう。実質的にシンジオタクティック構造を有するプロピレン(共)重合体は、成形できる程度に結晶化速度が遅くなり、加工性が非常に良好になる。
【0170】
また、プロピレンから導かれる構成単位が、実質的にシンジオタクティック構造を有するプロピレン(共)重合体は、汎用ポリオレフィン系樹脂であるポリエチレン、ブロックポリプロピレン、アイソタクティックポリプロピレンよりも耐摩耗性や耐傷付性が非常に良好となる。なお、実質的にシンジオタクティック構造を有するプロピレン(共)重合体は、種々公知の製造方法で製造し得る。
【0171】
[フィラー(C)]
フィラー(C)としては特に制限されないが、本発明の効果がより発揮される等の点から、有機フィラーであることが好ましい。
本組成物に用いるフィラー(C)は、1種でもよく、2種以上でもよい。
【0172】
フィラー(C)の含有量は、分散剤(A)、熱可塑性樹脂(B)およびフィラー(C)の含有量の合計を100質量%とした時、好ましくは0.1~79.9質量%であり、より好ましくは19.8~69.8質量%、さらに好ましくは39.7~59.7質量%である。
【0173】
フィラー(C)は、本分散剤(A)、熱可塑性樹脂(B)と混合可能であり、所望の外観や物性が得られるものであることが好ましい。
有機フィラーとして、好ましくは植物(例えば、木、竹、芋、稲)の葉、茎、地下茎、根、果実等由来のフィラー等が挙げられ、より好ましくは木や竹の廃材や間伐材、稲わら、もみ殻、茶殻、果実やコーヒー豆の絞り粕、木等から得られたフィラー(例:木粉、パルプ)であり、特に好ましくは木粉、セルロースファイバー、セルロースナノファイバーである。
【0174】
フィラー(C)の平均繊維長は、好ましくは0.001~5mm、より好ましくは0.01~3mmである。フィラー(C)が凝集している場合、当該凝集体の平均繊維長もこの範囲にあることが好ましい。
平均繊維長が前記下限値以上であると、得られる樹脂組成物(特に成形体)の機械強度を向上させやすく、平均繊維長が前記上限値以下であると、フィラー(C)の分散性が損なわれにくい。
【0175】
フィラー(C)の平均繊維径は、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下である。平均繊維径の下限値は特に制限されないが、例えば10nmである。フィラー(C)が凝集している場合、当該凝集体の平均繊維径は、好ましくは2mm以下、より好ましくは1mm以下である。
フィラー(C)の平均繊維長および平均繊維径は、樹脂組成物(特に射出成形した試験片)の走査型電子顕微鏡(SEM)による画像データから、任意の100個のフィラー(C)の繊維長および繊維径をそれぞれ測定し、それらの平均値を平均繊維長および平均繊維径として測定することができる。
【0176】
前記セルロースファイバー、セルロースナノファイバーなどのセルロース繊維は、例えば、木材類、パルプ類、紙類、植物茎・葉類および植物殻類等から選ばれるセルロース含有原料を粉砕機で処理して得ることができる。具体的には、セルロース含有原料を、シュレッダー等の裁断機を利用して粗粉砕を行った後、衝撃式の粉砕機または押出機による処理を行ったり、乾燥処理を行ったりすることで得ることができる。その後、粉砕機を用いて攪拌することで、微細化されたセルロース繊維を得ることができる。
また、セルロース繊維は、例えば、パルプ類を裁断後、100℃以上の熱水等で処理し、ヘミセルロース部分を加水分解して脆弱化したのち、高圧ホモジナイザー、マイクロフリュイダイザー、ボールミル、ディスクミル等を用いた粉砕法により解繊して得ることもできる。
【0177】
フィラー(C)としては、パルプを原料としたセルロースファイバー、セルロースナノファイバー、またはこれらの変性物を用いることが好ましい。これらの中でも、安定性、性能などの点から、セルロースファイバーおよびセルロースナノファイバーの変性物がより好ましい。
【0178】
セルロースファイバーまたはセルロースナノファイバーの変性物としては、エステル化剤、シリル化剤、イソシアネート化合物、ハロゲン化アルキル化剤、酸化アルキレンおよび/またはグリシジル化合物から選択される1種以上の変性剤により変性された変性物が挙げられる。
【0179】
エステル化剤の例としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ピバリン酸、イソ酪酸等の脂肪族モノカルボン酸;シクロヘキサンカルボン酸等の脂環式モノカルボン酸;安息香酸、トルイル酸、α-ナフタレンカルボン酸、β-ナフタレンカルボン酸、メチルナフタレンカルボン酸、フェニル酢酸等の芳香族モノカルボン酸;これらから任意に選ばれる複数の混合物;これらから任意に選ばれる、対称無水物(例:無水酢酸、無水マレイン酸、シクロヘキサンカルボン酸無水物)、混合無水物(例:酪酸-吉草酸無水物)、環状無水物(例:無水コハク酸、無水フタル酸、ナフタレン-1,8:4,5-テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサン-1,2,3,4-テトラカルボン酸3,4-無水物)、エステル酸無水物(例:酢酸3-(エトキシカルボニル)プロパン酸無水物、炭酸ベンゾイルエチル)が挙げられる。
【0180】
シリル化剤の例としては、セルロース繊維の表面のヒドロキシル基またはその加水分解後の基と反応できる少なくとも一つの反応性基を有するSi含有化合物が挙げられる。
シリル化剤の例としては、クロロジメチルイソプロピルシラン、クロロジメチルブチルシラン、クロロジメチルオクチルシラン、クロロジメチルドデシルシラン、クロロジメチルオクタデシルシラン、クロロジメチルフェニルシラン、クロロ(1-ヘキセニル)ジメチルシラン、ジクロロヘキシルメチルシラン、ジクロロヘプチルメチルシラン、トリクロロオクチルシラン、ヘキサメチルジシラザン、1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシラザン、1,3-ジビニル-1,3-ジフェニル-1,3-ジメチルジシラザン、1,3-N-ジオクチルテトラメチルジシラザン、ジイソブチルテトラメチルジシラザン、ジエチルテトラメチルジシラザン、N-ジプロピルテトラメチルジシラザン、N-ジブチルテトラメチルジシラザン、1,3-ジ(パラ-t-ブチルフェネチル)テトラメチルジシラザン、N-トリメチルシリルアセトアミド、N-メチルジフェニルシリルアセトアミド、N-トリエチルシリルアセトアミド、t-ブチルジフェニルメトキシシラン、オクタデシルジメチルメトキシシラン、ジメチルオクチルメトキシシラン、オクチルメチルジメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、オクチルトリエトキシシランが挙げられる。
【0181】
ハロゲン化アルキル化剤の例としては、セルロース繊維の表面のヒドロキシル基と反応してこれをハロゲン化アルキル化できる少なくとも一つの官能基を有する有機化合物が挙げられる。
ハロゲン化アルキル化剤の例としては、クロロプロパン、クロロブタン、ブロモプロパン、ブロモヘキサン、ブロモヘプタン、ヨードメタン、ヨードエタン、ヨードオクタン、ヨードオクタデカン、ヨードベンゼンが挙げられる。これらの中でも、反応性、安定性、価格などの点から、ブロモヘキサンおよびヨードオクタンが好ましい。
【0182】
イソシアネート化合物の例としては、セルロース繊維の表面のヒドロキシル基と反応できるイソシアネート基を少なくとも一つ有する有機化合物が挙げられる。また、イソシアネート化合物は、特定の温度でブロック基が脱離してイソシアネート基を再生することが可能なブロックイソシアネート化合物であってもよく、また、ポリイソシアネートの2量体や3量体、ビューレット化イソシアネートなどの変性体、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(ポリメリックMDI)等であってもよい。
【0183】
イソシアネート化合物の例としては、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、ブロックイソシアネート化合物、ポリイソシアネートが挙げられる。
イソシアネート化合物の具体例としては、テトラメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2-メチルペンタン-1,5-ジイソシアネート、3-メチルペンタン-1,5-ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、トリレンジイソシアネート(TDI)、2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、4,4’-ジベンジルジイソシアネート、1,5-ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、α,α,α,α-テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の脂肪族、脂環族、芳香族または芳香脂肪族イソシアネート化合物;これらイソシアネート化合物にオキシム系ブロック剤、フェノール系ブロック剤、ラクタム系ブロック剤、アルコール系ブロック剤、活性メチレン系ブロック剤、アミン系ブロック剤、ピラゾール系ブロック剤、重亜硫酸塩系ブロック剤またはイミダゾール系ブロック剤を反応させたブロックイソシアネート化合物が挙げられる。これらの中でも、反応性、安定性、価格などの点から、TDI、MDI、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートの変性体、ヘキサメチレンジイソシアネートを原料とするブロックイソシアネートが好ましい。
【0184】
酸化アルキレンおよび/またはグリシジル化合物としては、例えば、セルロースナノファイバーの表面のヒドロキシル基と反応できる、酸化アルキレン基、グリシジル基およびエポキシ基から選ばれる少なくとも一つを有する有機化合物が挙げられる。
酸化アルキレンおよび/またはグリシジル化合物の例として、具体的には、メチルグリシジルエーテル、エチルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル、2-メチルオクチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、p-t-ブチルフェニルグリシジルエーテル、s-ブチルフェニルグリシジルエーテル、n-ブチルフェニルグリシジルエーテル、フェニルフェノールグリシジルエーテル、クレジルグリシジルエーテル、ジブロモクレジルグリシジルエーテル等のグリシジルエーテル;グリシジルアセテート、グリシジルステアレート等のグリシジルエステル;エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、ヘキサメチレングリコールジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリブチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ソルビタンポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル等の多価アルコールグリシジルエーテルが挙げられる。これらの中でも、反応性、安定性、価格などの点から、2-メチルオクチルグリシジルエーテル、ヘキサメチレングリコールジグリシジルエーテルおよびペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテルが好ましい。
【0185】
[その他の成分]
本組成物は、所望の性能等に応じて、本発明の目的を損なわない範囲で、一般の樹脂組成物に配合される公知の各種配合剤などのその他の成分を含有してもよい。例えば、本分散剤(A)以外の分散剤、架橋剤、架橋助剤、老化防止剤、加工助剤、アルコキシシラン化合物、活性剤、反応抑制剤、着色剤、軟化剤、難燃剤、可塑剤、酸化防止剤、スコーチ防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、防カビ剤、素練促進剤、粘着付与剤、分散染料や酸性染料などの各種染料、界面活性剤、塗料、発泡剤や発泡助剤などの発泡のための化合物、脱泡剤を挙げることができる。
【0186】
[本樹脂組成物の製造方法]
本樹脂組成物は、本分散剤(A)、熱可塑性樹脂(B)、フィラー(C)、および必要に応じて前記その他の成分を、公知の方法で混合することで製造することができる。
この混合の際の各成分の添加順は特に制限されず、各成分を同時に混合してもよいし、任意の順序で混合してもよい。
【0187】
また、本樹脂組成物は、本分散剤(A)、フィラー(C)、および必要に応じて前記その他の成分を溶融混練した後、さらに熱可塑性樹脂(B)で希釈して製造してもよい。
【0188】
また、本分散剤(A)をフィラー(C)に含浸させた後、得られた含浸体と、熱可塑性樹脂(B)と、必要に応じて前記その他の成分とを混合してもよい。
フィラー(C)に本分散剤(A)を含浸させる方法は特に限定されないが、例えば、溶融した本分散剤(A)とフィラー(C)を接触させた状態で、フィラー(C)にロールやバーで張力をかけたり、フィラー(C)の拡幅と集束とを繰り返したり、フィラー(C)に圧力や振動を加えたりする方法が挙げられる。これらの方法によれば、分散剤(A)をフィラー(C)の内部まで含浸させることができる。
【0189】
混合には、タンブラー、V型ブレンダー、ナウターミキサー、バンバリーミキサー、混練ロール、単軸または二軸の押出機等を用いることができる。
【0190】
[本樹脂組成物の用途]
本樹脂組成物は、通常、射出成形、ブロー成形、インフレーション成形、キャストフィルム成形、異型押出成形等の押出成形、圧縮成形等により成形し、成形体として使用される。これらの成形方法の中でも、意匠性と成形性の観点から射出成形が好ましい。
該成形体の形状は特に制限されず、所望の用途に応じた形状であればよいが、フィルム状、シート状、繊維状、各部品形状、容器状等が挙げられる。
【0191】
本樹脂組成物は、家庭用品から工業用品に至る広い用途の成形体の製造に使用することができる。
該用途の例としては、電気・電子部品、自動車用部品、機械機構部品、食品容器が挙げられる。その具体例としては、プリンター、パソコン、ワープロ、キーボード、PDA(小型情報端末機)、電話機、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、WiFiルーター、ファクシミリ、複写機、ECR(電子式金銭登録機)、電卓、電子手帳、電子辞書、カード、ホルダー、文具等の事務・OA機器;洗濯機、冷蔵庫、掃除機、電子レンジ、照明器具、ゲーム機、アイロン、こたつ等の家電機器;TV、VTR、ビデオカメラ、デジタルカメラ、一眼レフカメラ、携帯オーディオ端末、ラジカセ、テープレコーダー、ミニディスク、CDプレイヤー、スピーカー、液晶ディスプレイ等のAV機器;コネクター、リレー、コンデンサー、スイッチ、プリント基板、コイルボビン、半導体封止材料、電線、ケーブル、トランス、偏向ヨーク、分電盤、時計等の電気・電子部品および通信機器が挙げられる。
【0192】
また、用途の例としては、座席(例:詰物、表地)、ベルト、天井張り、コンパーチブルトップ、アームレスト、ドアトリム、リアパッケージトレイ、カーペット、マット、サンバイザー、ホイルカバー、タイヤ、マットレスカバー、エアバック、絶縁材、吊り手、吊り手帯、電線被服材、電気絶縁材、塗料、コーティング材、上張り材、床材、隅壁、デッキパネル、カバー類、合板、天井板、仕切り板、壁、壁紙、壁装材、外装材、内装材、屋根材、防音板、断熱板、窓材等の自動車、車両、船舶、航空機および建築用材料;衣類、カーテン、シーツ、合板、合繊板、絨毯、玄関マット、シート、バケツ、ホース、容器、眼鏡、鞄、ケース、ゴーグル、スキー板、ラケット、テント、楽器等の生活・スポーツ用品も挙げられる。
【0193】
さらに、用途の例としては、シャンプーや洗剤、化粧品等のボトル;食用油、醤油等の調味料ボトル;ミネラルウォーターやジュース等の飲料用ボトル;弁当箱、椀等の耐熱食品用容器;皿、箸等の食器類;その他各種食品容器;包装フィルム、包装袋、歯ブラシや包丁の柄も挙げられる。
本樹脂組成物は、自動車用部品、電気・電子部品、食品容器に好適であり、中でも、機械強度が求められる用途、例えば、自動車用部品に特に好適である。
【実施例0194】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0195】
[共重合体(a)の測定方法]
分散剤(A)に含まれる共重合体(a)および変性共重合体(aa)の各種物性の測定方法は以下の通りである。
【0196】
<エチレン含有量>
共重合体(a)のエチレン含有量は、下記測定条件により測定された13C-NMRスペクトルから、「高分子分析ハンドブック」(朝倉書店発行、163~170頁)、G.J.Ray(Macromolecules,10,773(1977))、J.C.Randall(Macromolecules,15,353(1982))およびK.Kimura(Polymer,25,4418(1984))らの報告に基づいて求めた。
(測定条件)
装置:日本電子(株)製ECP500型核磁気共鳴装置
溶媒:オルトジクロロベンゼン/重ベンゼン(80/20容量%)混合溶媒
試料濃度:55mg/0.6mL
測定温度:120℃
観測核:13C(125MHz)
シーケンス:シングルパルスプロトンデカップリング
パルス幅:4.7μ/s(45°パルス)
繰り返し時間:5.5秒
積算回数:1万回以上
ケミカルシフトの基準値:27.50ppm
【0197】
<重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn)>
共重合体(a)および変性共重合体(aa)の重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn)は、下記測定条件により決定した。
(測定条件)
高速GPC測定装置:東ソー(株)製HLC8320GPC
移動相:THF(富士フイルム和光純薬(株)製、安定剤不含有、液体クロマトグラフィー用グレード)
カラム:東ソー(株)製TSKgel Super MultiporeHZ-M 2本を直列連結
サンプル濃度:5mg/mL
移動相流速:0.35mL/min
測定温度:40℃
検量線用標準サンプル:東ソー(株)製PStQuick MP-M
【0198】
<150℃回転粘度>
共重合体(a)および変性共重合体(aa)の回転粘度は、ASTM D2983に準拠し、150℃にてブルックフィールド粘度計により測定した。
【0199】
<流動点>
共重合体(a)および変性共重合体(aa)の流動点は、ASTM D97に記載の方法により測定した。なお、流動点が-50℃を下回る場合は、-50℃以下と記載した。
【0200】
<100℃動粘度>
100℃における共重合体(a)の動粘度(100℃動粘度)は、JIS K 2283:2000に記載の方法により、測定、算出した。
【0201】
<グラフトモノマー含有量>
変性共重合体(aa)のグラフトモノマー含有量は、前記<エチレン含有量>と同様の方法により測定した。
【0202】
<酸価>
変性共重合体(aa)の酸価は、JIS K 5902:1969に記載の方法により測定した。
【0203】
≪分散剤(A)≫
分散剤(A)として、下記製造方法で得られた共重合体(a-1)または(aa-1)を用いた。
【0204】
[製造例1]エチレン・プロピレン共重合体(a-1)の製造
充分に窒素置換した内容積2Lのステンレス製オートクレーブに、ヘプタン760mL、プロピレン120gを装入し、系内の温度を150℃に昇温した後、水素0.85MPa、エチレン0.19MPaを供給することにより全圧を3MPaGとした。次に、トリイソブチルアルミニウム0.4mmol、ジフェニルメチレン[η5-(3-n-ブチルシクロペンタジエニル)][η5-(2,7-ジ-t-ブチルフルオレニル)]ジルコニウムジクロリド0.0002mmol、およびN,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート0.002mmolを窒素で圧入し、撹拌回転数を400rpmにすることにより重合を開始した。その後、エチレンを連続的に供給することにより全圧を3MPaGに保ち、150℃で5分間重合を行った。その後、少量のエタノールを系内に添加することにより重合を停止した後、未反応のエチレン、プロピレン、水素をパージした。得られた共重合体溶液は、0.2mol/Lの塩酸1000mLで3回、次いで蒸留水1000mLで3回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた共重合体を80℃の減圧下で10時間乾燥した。得られたエチレン・プロピレン共重合体(a-1)(以下「共重合体(a-1)」ともいう。)のエチレン含有量は49.5mol%、Mwは5,100、Mw/Mnは1.7、150℃回転粘度は30mPa・s、流動点は-30℃、100℃動粘度は150mm/sであった。
【0205】
[製造例2]無水マレイン酸変性エチレン・プロピレン共重合体(aa-1)の製造
製造例1と同様の方法で得たエチレン・プロピレン共重合体100gを系内に仕込み、120℃まで昇温後、120℃にて窒素バブリングを開始して系内を160℃に保温した。その後、2個の滴下ロートから、各々予め仕込んでおいた無水マレイン酸3.8g(70℃前後に加温して液状にしておいた)、および、ジ-t-ブチルペルオキシド0.8gを3時間かけて供給し、供給完了後1時間かけて反応させた。その後、さらに175℃まで昇温し、系内を脱圧後、真空ポンプにて徐々に窒素を通気しながら1時間減圧して不純物(未反応の無水マレイン酸およびジ-t-ブチルペルオキシドの分解物)を除去した。得られた無水マレイン酸変性エチレン・プロピレン共重合体(aa-1)(以下「共重合体(aa-1)」ともいう。)のエチレン含有量は49.5mol%、Mwは17,000、Mw/Mnは2.3、150℃回転粘度は70mPa・s、流動点は-25℃、グラフトモノマー含有量は5.3質量%、酸価は60mgKOH/gであった。
【0206】
≪分散剤(A’)≫
比較例では以下の市販品を分散剤(A’)として使用した。
分散剤(A’-1):三洋化成工業(株)製の酸変性PP(商品名:ユーメックス1010、酸変性ポリプロピレン、160℃回転粘度:6000mPa・s(すなわち、150℃回転粘度は5000mPa・sを超える。)、融点:138℃、グラフトモノマー含有量:4.6質量%、酸価:52mgKOH/g)
【0207】
≪熱可塑性樹脂(B)≫
実施例および比較例では以下の市販品を熱可塑性樹脂(B)として使用した。
熱可塑性樹脂(B-1):(株)プライムポリマー製のPP(商品名:プライムポリプロJ107G、融点:160℃、MFR:30g/10分、密度:910kg/m
【0208】
≪フィラー(C)≫
実施例および比較例では以下の市販のフィラーを使用した。
フィラー(C-1):日本製紙(株)製のセルロースファイバー(商品名:KCフロックW-100GK、平均粒子径:37μm、見掛比重:0.3~0.4g/cc)
【0209】
[実施例1~2、比較例1~2]
表1に記載の各成分を、表1に記載の配合比でラボプラストミルにて10分間混練した。得られた混練物を取り出した後、熱圧縮機にて220℃で10分間加圧することにより厚み2mm×65mm四方のプレスシートを作製した。
樹脂組成物の評価は、下記の方法によりを行った。結果を表1に示す。
【0210】
<加工性:トルク>
前記混練物を得る際のラボプラストミルでの10分間混練時の9~10分時点の定常トルクを測定し、時間平均値(N・m)を算出した。
【0211】
<力学特性(柔軟性):引張強度、引張弾性率および引張伸び>
作製したプレスシートからダンベル試験片を打ち抜き、JIS K 7161-1:2014に準拠して、チャック間距離115mm、試験速度50mm/分の条件で引張試験を行い、引張強度(MPa)、引張弾性率(MPa)、および引張伸び(%)を測定した。
【0212】
【表1】
【0213】
表1に示す通り、各実施例における樹脂組成物は、加工性および柔軟性ともに良好な結果となった。一方で、本分散剤(A)ではない分散剤を用いた比較例1における樹脂組成物では、加工性および柔軟性ともに劣る結果となり、分散剤を用いていない比較例2における樹脂組成物では、加工性に劣る結果となった。