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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106227
(43)【公開日】2024-08-07
(54)【発明の名称】非常用照明装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/105 20200101AFI20240731BHJP
   H05B 45/382 20200101ALI20240731BHJP
   H05B 45/355 20200101ALI20240731BHJP
   H05B 45/38 20200101ALI20240731BHJP
【FI】
H05B47/105
H05B45/382
H05B45/355
H05B45/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023010443
(22)【出願日】2023-01-26
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】相場 明穂
(72)【発明者】
【氏名】平本 雄也
(72)【発明者】
【氏名】篠田 健吾
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273AA03
3K273BA37
3K273CA02
3K273DA07
3K273DA08
3K273EA06
3K273EA07
3K273EA22
3K273EA23
3K273EA25
3K273EA35
3K273EA38
3K273FA14
3K273FA27
3K273FA32
3K273GA02
3K273GA06
3K273GA12
3K273GA14
(57)【要約】
【課題】本開示は非常用照明装置に関し、点検と同時に電池の活性化を十分に行うことで、非常点灯時のパフォーマンスを改善できる非常用照明装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本開示の非常用照明装置は、光源部と、光源部に電力を供給する電池と、電池を、外部電源により充電するための常用電源回路と、疑似停電時に電池の電力により光源部を点灯させる非常用電源回路と、常用電源回路及び非常用電源回路を制御することで、電池の点検処理を実施する制御部とを備える。点検処理は、疑似停電の開始から解除まで実施され、疑似停電の開始から規定時間が経過する前に、電池電圧が電池寿命判定閾値に達した場合、電池が寿命であると判断する処理と、疑似停電の開始から規定時間が経過する前に、電池電圧が電池寿命判定閾値に達しなかった場合、電池が正常であると判断する処理と、電池電圧が電池寿命判定閾値に達した後に、疑似停電の解除を実施する処理とを含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源部と、
前記光源部に電力を供給する電池と、
前記電池を、外部電源により充電するための常用電源回路と、
疑似停電時に前記電池の電力により前記光源部を点灯させる非常用電源回路と、
前記常用電源回路及び前記非常用電源回路を制御することで、前記電池の点検処理を実施する制御部と
を備え、
前記点検処理が、
前記疑似停電の開始から解除まで実施され、
前記疑似停電の開始から規定時間が経過する前に、電池電圧が電池寿命判定閾値に達した場合、前記電池が寿命であると判断する処理と、
前記疑似停電の開始から前記規定時間が経過する前に、電池電圧が前記電池寿命判定閾値に達しなかった場合、前記電池が正常であると判断する処理と、
前記電池電圧が前記電池寿命判定閾値に達した後に、前記疑似停電の解除を実施する処理と
を含む非常用照明装置。
【請求項2】
前記疑似停電の解除が、電池電圧が前記電池寿命判定閾値に達した時点で実施される
請求項1に記載の非常用照明装置。
【請求項3】
前記疑似停電の解除が、電池電圧が電池過放電閾値に達した時点で実施され、
前記電池過放電閾値が、前記電池寿命判定閾値よりも低い電池電圧である
請求項1に記載の非常用照明装置。
【請求項4】
電池の状態を外部に知らせる報知部をさらに備える
請求項1から3の何れか一項に記載の非常用照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、非常用照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
不特定多数の人が集まる場所で、火災、地震等の災害または事故の際に、停電が生じることがある。停電が生じた場合、人々が安全に避難できるようにするため、室内を照らす非常用照明装置が用いられる。
【0003】
非常用照明装置は、常用時には、外部電源から供給される電力で電池を充電する。一方、非常時には、外部電源から電力が供給されないため、常用時に充電した電池から電力を供給し、光源を点灯させる。そのため、この電池が劣化している場合、十分な点灯時間を確保できず、停電時の避難が安全に行えなくなる問題が生じる。
【0004】
そこで、電池の劣化を検知するため、非常用照明装置は、建築基準法、消防法、あるいはJIL規格に則った動作ができることを、定期的に点検することが義務付けられている。すなわち、決められた期間内に非常用照明装置の点検を行うことで、非常時にも問題が発生しないようにしている。
【0005】
一方、電池は、放電せずに充電している状態が続くと、放電時のパフォーマンスが低下する。そのため、充電の合間に一時的に放電を取り入れることで、放電時のパフォーマンスを改善することができる。以降、この処理を、電池の活性化と称する。
【0006】
特許文献1には、定期的に放電処理を行うことで、非常用照明装置の点検を行う技術が開示されている。このように、非常用照明装置の点検動作を定期的に行うことで、電池の活性化を同時に行うことができるため、放電時のパフォーマンスを改善できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4894909号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、点検動作が短い場合、放電が十分に行われない。すなわち、電池の活性化が十分に行われないため、非常点灯時のパフォーマンスが劣化する課題があった。
【0009】
本開示は上述の問題を解決するため、点検と同時に電池の活性化を十分に行うことで、非常点灯時のパフォーマンスを改善できる非常用照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の態様は、光源部と、光源部に電力を供給する電池と、電池を、外部電源により充電するための常用電源回路と、疑似停電時に電池の電力により光源部を点灯させる非常用電源回路と、常用電源回路及び非常用電源回路を制御することで、電池の点検処理を実施する制御部と、を備え、点検処理が、疑似停電の開始から解除まで実施され、疑似停電の開始から規定時間が経過する前に、電池電圧が電池寿命判定閾値に達した場合、電池が寿命であると判断する処理と、疑似停電の開始から規定時間が経過する前に、電池電圧が電池寿命判定閾値に達しなかった場合、電池が正常であると判断する処理と、電池電圧が電池寿命判定閾値に達した後に、疑似停電の解除を実施する処理と、を含む非常用照明装置であることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本開示の態様によれば、点検と同時に電池の活性化を十分に行うことで、非常点灯時のパフォーマンスを改善できる非常用照明装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示の実施の形態1に係る非常用照明装置の回路ブロック図である。
図2】本開示の実施の形態1に係る、疑似停電時の放電波形を示すグラフである。
図3】本開示の実施の形態2に係る、疑似停電時の放電波形を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施の形態1
【0014】
[本開示の実施の形態1に係る非常用照明装置の構成]
以下に、本開示の実施の形態について添付の図面を用いて説明する。各図では、同一又は相当する部分に同一の符号を付している。重複する説明は、適宜簡略化あるいは省略する。なお、以下に説明される実施の形態により本開示が限定されるものではない。
【0015】
図1は、本開示の実施の形態1に係る非常用照明装置の回路ブロック図である。非常用照明装置100は、光源部30を備える。光源部30は、非常時に明るさを確保するための光源である。光源部30は、例えばLEDである。光源部30をLEDとすることで、非常用照明装置100の消費エネルギーを抑制できる。
【0016】
非常用照明装置100は、点灯ユニット10を備える。点灯ユニット10は、外部電源80から供給された電力によって、電池50を充電する。外部電源80は、例えば交流電源である。電池50は、充電可能な電池であれば良く、例えばニカド電池、ニッケル水素電池またはリチウムイオン電池などの2次電池である。電池50は、停電等の非常時には、光源部30に電力を供給し、光源部30を点灯させる。
【0017】
点灯ユニット10は、ダイオードブリッジ1を有する。ダイオードブリッジ1は、交流電流を直流電流に変換する。ダイオードブリッジ1の出力は、常用電源回路2に接続される。ダイオードブリッジ1の出力の低電位側は、接地用端子27に接続される。
【0018】
常用電源回路2は、例えば、絶縁型フライバック回路である。常用電源回路2は、常用時に外部電源80から供給された電力によって、電池50を充電する。
【0019】
なお、常用時とは、外部電源80が停電状態または疑似停電状態では無い状態を示す。また、以下の説明においては、特に断りが無い限り、停電状態または疑似停電状態をまとめて停電状態と称する。
【0020】
常用電源回路2は、コンデンサ11を備える。コンデンサ11は、外部電源80の全波とスイッチングによるリップルを低減するため、ダイオードブリッジ1の出力と並列に接続される。コンデンサ11の正極には、抵抗12の一端及びトランス14の一次側の一端が接続される。
【0021】
トランス14の一次側の他端には、スイッチング素子15の第1端子が直列に接続される。スイッチング素子15の第2端子は、コンデンサ11の負極に接続される。スイッチング素子15の制御端子は、制御IC16に接続される。ここで、制御端子は、第1端子、第2端子間をスイッチングするための端子である。
【0022】
スイッチング素子15は、例えばMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)である。スイッチング素子15がMOSFETの場合、第1端子はドレイン端子、第2端子はソース端子、制御端子はゲート端子である。すなわち、スイッチング素子15において、第1端子がトランス14と接続され、第2端子が接地用端子27と接続され、制御端子が制御IC16と接続される。
【0023】
制御IC16は、例えばPFC(Power Factor Correction)ドライバである。制御IC16は、スイッチング素子15を駆動させる。また、制御IC16の電源は、コンデンサ11と並列に抵抗12、コンデンサ13の順で接続された回路によって供給される。さらに、制御IC16は、常用電源回路2を制御する。
【0024】
制御IC16には、抵抗17を介してフォトカプラ18が接続される。抵抗17およびフォトカプラ18は、トランス14の二次側の情報を制御IC16に入力するために設けられる。
【0025】
常用電源回路2は、疑似停電発生回路19を有する。疑似停電発生回路19は、疑似停電状態を発生させる回路である。疑似停電発生回路19は、疑似停電点検スイッチ、リモコン点検ボタンなどを有する。また、疑似停電発生回路19は、例えば、疑似停電点検スイッチを入れることをトリガとして、制御IC16を動作させることができる。これにより、疑似停電発生回路19は、疑似的に停電状態を作り出すことができる。すなわち、疑似停電発生回路19の動作により、外部電源80が停電した場合に、非常用照明装置100が正常に動作するかを確認できる。
【0026】
トランス14の二次側のフライバック巻き線の一端には、ダイオード20のアノードが接続される。ダイオード20は、トランス14の二次側に直列に接続され、出力側に安定した電圧を伝達するために設けられる。ダイオード20のカソードには、電解コンデンサ21の正極が接続される。電解コンデンサ21の負極は、接地用端子27に接続される。
【0027】
常用電源回路2の接地用の経路において、トランス14の一次側と二次側は、コンデンサ24によって絶縁されている。
【0028】
常用電源回路2は、常用電源出力電圧検出部26を備える。常用電源出力電圧検出部26は、直列に接続された抵抗22と抵抗23から構成される。常用電源出力電圧検出部26は、電解コンデンサ21と並列に接続される。
【0029】
抵抗22と抵抗23の分圧値は、制御部7に含まれるマイクロコンピュータに入力される。マイクロコンピュータは、各種の演算を行うCPUと、メモリと、タイマを有する、メモリは、例えば不揮発性メモリから構成される。このマイクロコンピュータにより、制御部7は、常用電源回路2の出力電圧を検出する。
【0030】
また、常用電源回路2は、充電回路であり、電池50を充電する。抵抗31は、トランス14のフライバック巻きと電池50の間に接続されている。抵抗31の他端には、電池50の正極が接続される。抵抗31は、電池50と直列に接続されることで、電池50の電流を制限するために設けられる。電池50の負極は、接地用端子27に接続される。すなわち、常用電源回路2の出力端には、抵抗31、電池50が直列に接続される。
【0031】
電池電圧検出部4は、直列に接続された抵抗51と抵抗52から構成される。電池電圧検出部4は、電池50と並列に接続される。また、電池電圧検出部4は、コンデンサ32と並列に接続される。抵抗51及び抵抗52で電池電圧を分圧した電圧は、制御部7に入力される。制御部7は、常用電源出力電圧検出部26で検出した常用電源回路2の出力電圧と、抵抗51及び抵抗52で電池電圧を分圧した電圧との電位差を算出する。制御部7は、算出した電位差に基づいて演算を行い、スイッチング素子15をオンオフする信号の目標値を算出する。
【0032】
制御部7は、算出された、スイッチング素子15をオンオフする信号の目標値を、出力端子から出力する。制御部7の出力端子には、フォトカプラ25が接続される。制御部7から出力される信号は、フォトカプラ25を介し、トランス14の一次側に設けられたフォトカプラ18に伝達される。
【0033】
制御部7の出力信号は、フォトカプラ18、抵抗17を介し、制御IC16へ伝達される。制御IC16は、制御部7から受ける出力信号により、出力電圧の目標値と常用電源回路2の出力電圧が一致するように、スイッチング素子15をオンオフ制御する。すなわち、制御部7は、制御IC16を介し、常用電源回路2を制御する。以上により、絶縁型フライバック回路である常用電源回路2によるフィードバック制御が実現する。
【0034】
点灯ユニット10は、非常用電源回路6を有する。非常用電源回路6は、例えば、昇圧型スイッチング回路である。非常用電源回路6は、外部電源80の停電時等、非常時に動作し、電池50の出力電圧を昇圧して光源部30を点灯させる。すなわち、非常用電源回路6は、直流電源である電池50から電力の供給を受け、光源部30を点灯させる。
【0035】
非常用電源回路6の入力端には、コンデンサ32が並列に接続される。コンデンサ32の正極には、電池50の正極とコイル53の一端が接続される。コンデンサ32の負極は、接地用端子27に接続される。コイル53の他端は、ダイオード54のアノードに接続される。ダイオード54のカソードは、コンデンサ58の正極に接続される。コンデンサ58の負極は、コンデンサ32の負極に接続される。すなわち、コンデンサ32と並列に、コイル53、ダイオード54、コンデンサ58の順で接続された直列回路が接続されている。
【0036】
コイル53とダイオード54の接続点と、接地用端子27との間には、スイッチング素子55が接続されている。スイッチング素子55は、例えばMOSFETである。スイッチング素子55の第1端子は、ダイオード54のアノードに接続される。スイッチング素子55の第2端子は、コンデンサ58の負極に接続される。スイッチング素子の制御端子は、制御部7に接続される。
【0037】
コンデンサ58の正極には、光源部30のアノード側が接続される。光源部30のカソード側には、抵抗59の一端が接続される。抵抗59の他端は、コンデンサ58の負極に接続される。なお、ここでは、光源部30がLEDを2つ有する態様が示されているが、これに限られない。すなわち、非常用照明装置100が備える光源の数は、1つ以上であれば良い。
【0038】
また、非常用電源回路6は、非常用電源出力電圧検出部60を備える。非常用電源出力電圧検出部60は、直列に接続された抵抗56と抵抗57から構成される。非常用電源出力電圧検出部60は、コンデンサ58と並列に接続される。抵抗56と抵抗57の分圧値は、制御部7に入力される。これにより、制御部7は非常用電源回路6の出力電圧を検出する。
【0039】
非常用電源回路6は、出力電流検出部70を備える。出力電流検出部70は、LEDのカソード側に接続された抵抗59から構成される。非常用電源回路6が動作すると、コンデンサ58には、電池50の出力電圧を昇圧した電圧が印加される。コンデンサ58に印加される電圧は、非常用電源回路6の出力電圧である。抵抗59には、光源部30を流れる電流に対応する電圧が印加される。抵抗59に印加される電圧は、制御部7に入力される。これにより、制御部7は、非常用電源回路6の出力電流を検出する。すなわち、制御部7は、非常用電源出力電圧検出部60で検出した出力電圧で、出力電流の目標値を設定することにより、光源部30を定電流制御する。このように、制御部7は、光源部30の電力を一定に制御する。
【0040】
点灯ユニット10は、停電検出回路5を有する。停電検出回路5は、外部電源80の停電状態を検出する回路である。停電検出回路5は、トランス14の二次側のフライバック巻き線の一端からの出力電圧の信号によって、外部電源80が停電状態であるか否かを監視する。すなわち、外部電源80の停電状態を検出する。停電検出回路5は、制御部7に接続される。停電検出回路5は、外部電源80の停電を検出すると、外部電源80が停電状態であることを示す信号を、制御部7に伝達する。制御部7は、停電検出回路5から当該信号を受けると、非常用電源回路6を動作させる。すなわち、制御部7は、非常用電源回路6を制御する。
【0041】
また、制御部7は、接続されている電池50の状態を示す信号を報知部8へ伝達する。報知部8は、制御部7から信号を受けると、非常用照明装置100の外部に電池50の状態を報知する。報知部8は、例えば、報知用LEDである。報知部8は、報知用LEDを点滅状態にして、電池50の状態が異常であることを外部へ報知する。また、報知部8は、報知用LEDを点灯状態にして、電池50の状態が正常であることを外部へ報知する。さらに、報知部8は、報知用LEDを消灯状態にして、電池50が未接続であることを外部へ報知する。
【0042】
なお、電池50の状態を外部に報知する際、充電用LEDを使用しても良い。充電用LEDは、常用電源回路2によって充電が行われているか否かを報知するためのLEDである。これにより、報知部8として新たにLEDを追加する必要がなくなる。なお、報知部8は、報知用LEDには限定されず、例えばスピーカーのような、音または音声を出力する音出力部であっても良い。
【0043】
さらに、制御部7は、電池電圧検出部4から入力された電池電圧の分圧値と予めプログラムされた閾値とを比較し、常用電源回路2の出力電圧を制御する。なお、この閾値は、マイクロコンピュータのメモリに記憶しても良い。この場合、制御部7は、メモリから閾値を読み出し、電池電圧の分圧値と比較しても良い。
【0044】
[本開示の実施の形態1に係る疑似停電時の放電]
本開示の実施の形態1に係る疑似停電時の放電方法について説明する。図2は、本開示の実施の形態1に係る、疑似停電時の放電波形を示すグラフである。
【0045】
電池は、放電せずに充電している状態が続くと、放電時のパフォーマンスが低下する。そのため、充電の合間に一時的に放電を取り入れることで、電池の活性化を行う。これにより、放電時のパフォーマンスを改善することができる。すなわち、点検時の放電を長時間継続させることで、点検と同時に電池の活性化を行い、放電時のパフォーマンスを回線させることができる。
【0046】
図2の一番上のグラフは、電池電圧の経時変化を示す。また、図2の下の二つのグラフは、点検モニタ及び活性化モニタにおけるオンオフの経時変化を示す。これにより、本実施形態における、点検処理の継続期間及び活性化処理の継続期間を示している。
【0047】
グラフ150は、電池容量が少ない従来例における電池電圧を示す。点検が開始されると、電池が疑似停電状態となるため、放電が開始される。電池容量が少ない場合に時間210から放電を開始すると、規定時間214に達する前の時間212の時点で、電池電圧が電池寿命判定閾値200に到達する。ここで、規定時間214は、制御部7で事前に設定されている時間である。このように、電池電圧が、規定時間214よりも前に電池寿命判定閾値200に到達した場合、電池が「寿命である」と判断され、疑似停電状態が解除される。
【0048】
この放電を、電池の活性化という観点で考える。電池の放電は、電池電圧が電池寿命判定閾値200に達するまで実施されている。すなわち、電池の放電が十分に行われているため、電池の活性化は十分であると考えられる。
【0049】
グラフ152は、電池容量が多い従来例における電池電圧を示す。点検が開始されると、電池が疑似停電状態となるため、放電が開始される。電池容量が多い場合に時間210から放電を開始すると、規定時間214に達した時点では、電池電圧が電池寿命判定閾値200に到達していない。このように、電池電圧が、規定時間214に達しても電池寿命判定閾値200に到達していない場合、電池が「正常である」と判断され、疑似停電状態が解除される。
【0050】
この放電を、電池の活性化という観点で考える。電池の放電は、電池電圧が電池寿命判定閾値200に達するまで実施されていない。すなわち、電池の放電が十分に行われていないため、電池の活性化は十分ではないと考えられる。
【0051】
上述の通り、従来の点検では、活性化処理を十分に行えない場合がある。本開示では、これを改善する。
【0052】
グラフ154は、本開示の実施の形態1に係る、電池容量が多い場合の電池電圧を示す。本実施形態の点検は、電池容量が少ない場合は、従来例と同様の処理となる。しかし、電池容量が多い場合でも、電池電圧が電池寿命判定閾値200に到達するまで放電処理を継続させる。この点が、従来例と異なる。
【0053】
電池容量が多い従来例において、電池の活性化が十分に行われない原因として、電池電圧が電池寿命判定閾値200に到達する前に、疑似停電状態を解除してしまっていることが挙げられる。そこで、本実施形態では、規定時間214に達した時点での電池電圧が、電池寿命判定閾値200に到達していない場合に、疑似停電状態を継続させる。
【0054】
図2を用いて、本実施形態における具体例を示す。まず、電池容量が少ない場合は、グラフ150と同様の経時変化となるため、説明を割愛する。なお、この場合、点検モニタは、時間210から時間212までがオン状態、それ以降はオフ状態となる。また、活性化モニタは常にオフ状態である。
【0055】
グラフ154は、本開示の実施の形態1に係る、電池容量が多い場合の電池電圧を示す。点検が開始されると、電池が疑似停電状態となるため、放電が開始される。時間210から放電を開始すると、規定時間214に達した時点では、電池電圧が電池寿命判定閾値200に到達していない。この場合、電池が「正常である」と判断した上で、疑似停電状態を継続する。そして、時間216において、電池電圧が電池寿命判定閾値200に到達した時点で、疑似停電状態を解除する。これにより、電池容量が多い場合でも、電池の寿命を判断すると同時に十分な放電を行うことができる。
【0056】
なお、この場合、点検モニタは、時間210から規定時間214までがオン状態、それ以降はオフ状態となる。また、活性化モニタは、規定時間214から時間216までがオン状態、それ以降はオフ状態となる。すなわち、規定時間214より前は従来通りの点検処理が実施され、規定時間214より後は本実施形態特有の活性化処理が追加で実施されている。
【0057】
ここで、報知部8は、点検中のため疑似停電状態になっているときは、外部にその動作状態を報知している。例えば、報知部8は、点検報知用LEDを点灯させて、外部にその動作状態を報知する。しかし、規定時間214から時間216のように、電池が「正常である」と判断し、引き続き疑似停電状態を継続している場合は、点検とは目的が異なる。そのため、例えば、異なる活性化報知用LEDを点灯させて、活性化処理中であることを報知する。こうすることで、例えば、使用者が点検を中断する際に、「電池の寿命判断」あるいは「電池の活性化」が完了しているかを判断することができる。
【0058】
以上の通り、本実施形態では、点検中の電池電圧をモニタする。電池電圧が、一定期間経過する前に電池寿命判定閾値を下回った場合は、電池が寿命であると判断する。また、電池電圧が、一定期間経過しても電池寿命判定閾値を下回らなかった場合は、電池が正常であると判断する。そして、電池寿命の判断に関わらず、電池電圧が電池寿命判定閾値に達する時点まで、点検動作を維持する。このように、点検と同時に電池の活性化を十分に行うことで、非常点灯時のパフォーマンスを十分に改善できる。
【0059】
実施の形態2
図3は、本開示の実施の形態2に係る、疑似停電時の放電波形を示すグラフである。本実施形態の点検は、電池電圧が電池過放電閾値202に到達するまで放電処理を継続させる点が、実施の形態1と異なる。なお、従来例に係るグラフ150及びグラフ152については、実施の形態1と同様であるため、説明を割愛する。
【0060】
グラフ156は、本開示の実施の形態2に係る、電池容量が少ない場合の電池電圧を示す。点検が開始されると、電池が疑似停電状態となるため、放電が開始される。時間210から放電を開始すると、規定時間214に達する前の時間212の時点で、電池電圧が電池寿命判定閾値200に到達する。この場合、電池が「寿命である」と判断した上で、疑似停電状態を継続する。そして、電池電圧が電池過放電閾値202に到達したところで、疑似停電状態を解除する。
【0061】
なお、この場合、点検モニタは、時間210から時間212までがオン状態、それ以降はオフ状態となる。また、活性化モニタは、時間212から規定時間214までがオン状態、それ以降はオフ状態となる。すなわち、時間212より前は従来通りの点検処理が実施され、時間212より後は本実施形態特有の活性化処理が追加で実施されている。
【0062】
これにより、電池容量が少ない場合でも、電池の寿命を判断すると同時に十分な放電を行うことができる。すなわち、電池の活性化をさらに促すことができる。
【0063】
グラフ158は、本開示の実施の形態2に係る、電池容量が少ない場合の電池電圧を示す。点検が開始されると、電池が疑似停電状態となるため、放電が開始される。時間210から放電を開始すると、規定時間214に達した時点では、電池電圧が電池寿命判定閾値200に到達していない。この場合、電池が「正常である」と判断した上で、疑似停電状態を継続する。そして、電池電圧が電池過放電閾値202に到達したとき、疑似停電状態を解除する。
【0064】
なお、この場合、点検モニタは、時間210から規定時間214までがオン状態、それ以降はオフ状態となる。また、活性化モニタは、規定時間214から時間216までがオン状態、それ以降はオフ状態となる。すなわち、規定時間214より前は従来通りの点検処理が実施され、規定時間214より後は本実施形態特有の活性化処理が追加で実施されている。
【0065】
これにより、電池容量が多い場合でも、電池の寿命を判断すると同時に十分な放電を行うことができる。すなわち、電池の活性化をさらに促すことができる。
【0066】
以上の通り、本実施形態では、点検中の電池電圧をモニタする。電池電圧が、一定期間経過する前に電池寿命判定閾値を下回った場合は、電池が寿命であると判断する。同時に、電池電圧が電池過放電閾値に達する時点まで、点検動作を維持する。また、電池電圧が、一定期間経過しても電池寿命判定閾値を下回らなかった場合は、正常であると判断する。同時に、電池電圧が電池過放電閾値に達する時点まで、点検動作を維持する。すなわち、点検と同時に電池の活性化をさらに促すことで、非常点灯時のパフォーマンスを十分に改善できる。
【符号の説明】
【0067】
2 常用電源回路
6 非常用電源回路
7 制御部
8 報知部
30 光源部
50 電池
80 外部電源
100 非常用照明装置
200 電池寿命判定閾値
202 電池過放電閾値
214 規定時間
図1
図2
図3