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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106230
(43)【公開日】2024-08-07
(54)【発明の名称】インターホンシステム
(51)【国際特許分類】
   H04M 9/00 20060101AFI20240731BHJP
【FI】
H04M9/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023010447
(22)【出願日】2023-01-26
(71)【出願人】
【識別番号】000100908
【氏名又は名称】アイホン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135127
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 正己
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 大輔
(72)【発明者】
【氏名】播磨 宏和
【テーマコード(参考)】
5K038
【Fターム(参考)】
5K038AA07
5K038CC08
5K038DD15
5K038EE02
5K038EE05
(57)【要約】
【課題】 通信回線が脆弱な端末が存在しても全体の画質の低下を最小限に抑えることができ、加えて途中にトラフィック調整のための装置を必要としない。
【解決手段】 カメラ12は、出力する映像データを5段階に調整する画質調整部12aを有し、親機3は受信した映像データの到達率を算出し、到達率が基準より低い場合に、基準値に達するようカメラ12が出力する映像データ削減させるための要請画質を生成する要請画質生機能を有する一方、各親機3が生成した要請画質から所定の条件を満たす要請画質を選択する画質選択部35を具備する。画質選択部35は、要請画質を比較して最も低い要請画質が、他の要請画質に対して一定割合未満の差に収まっていたら、最もデータ量の低い要請画質を指示画質とし、一定割合以上の差を有して下回った要請画質は無視する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
来訪者を撮像するカメラ及び居住者を呼び出して通話する機能を備えた子機と、前記カメラの撮像映像を表示するモニタ及び呼び出しに応答する機能を備えた3台以上の親機を備えたインターホンシステムであって、
前記カメラは、出力する映像データのデータ量を少なくとも3段階に調整する画質調整部を有すると共に、
個々の前記親機は、受信した前記映像データの到達率を算出する到達率算出部と、算出した前記到達率が基準より低い場合に、基準値に達するよう前記カメラが出力する映像データのデータ量を削減させるための要請画質を生成する要請画質生成部と、を有し、
更に各前記親機が生成した前記要請画質の情報を基に、その中から所定の条件を満たす前記要請画質を前記カメラに通知する指示画質として選択する画質選択部を具備し、
前記画質選択部は、複数の前記要請画質を比較して、最も低いデータ量の前記要請画質が、他の前記要請画質のデータ量に対して一定割合未満の差に収まっていたら、最もデータ量の低い前記要請画質を前記指示画質とする一方、
一定割合以上の差を有して下回っていたら無視し、残りの前記要請画質のうち最も低いデータ量の前記要請画質を前記指示画質として前記カメラに通知し、
前記カメラは、受信した前記指示画質に基づいたデータ量に調整した画質の映像データを出力することを特徴とするインターホンシステム。
【請求項2】
前記親機のうち少なくとも1台の前記親機が前記子機と有線接続されると共に、少なくとも2台が前記子機と無線接続されており、
前記画質選択部が選択する前記要請画質は、有線接続されている前記親機の中の最も低い前記要請画質と、無線接続されている前記親機の最も低い前記要請画質との間で比較されて選択されることを特徴とする請求項1記載のインターホンシステム。
【請求項3】
前記画質選択部は、前記要請画質を無視した前記親機が無線接続された前記親機である場合は、当該親機に対して映像の送信を停止することを特徴とする請求項2記載のインターホンシステム。
【請求項4】
前記画質選択部が選択する前記要請画質は、前記要請画質が最も低い前記親機と、その次に低い前記親機とで比較して選択されることを特徴とする請求項2記載のインターホンシステム。
【請求項5】
前記画質選択部は、前記子機からの呼び出しに応答した前記親機の前記要請画質を前記指示画質とすることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載のインターホンシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、居住者を呼び出すための子機と呼び出しに応答するための親機とを備えたインターホンシステムに関し、特に子機にカメラを備えて来訪者を映像で確認できる親機を複数備えたインターホンシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年のインターホンシステムでは、居住者が来訪者を映像で確認しながら応答できるものが普及しているが、更に室内に設置される親機を複数備えて、それぞれの親機にて来訪者を映像で確認できるシステムがある。
複数の親機を備えたシステムでは、映像を送信する場合に幹線のトラフィックが混雑して映像が乱れたり、通信回線が脆弱な状況が発生して全体或いは一部の親機に表示される映像が乱れたり停止する場合があった。
【0003】
この問題を解消する技術として、例えば特許文献1では、ゲートウェイ機器等に映像信号のフレームレートを管理する制御部を設けて、通信回線が貧弱な端末に合わせて送信元が送出するフレームレートを落とすことで、通信の不具合を解消した。
また引用文献2では、幹線途中に映像信号のデータ量を変更する中継器を配置して、送信元が送出するフレームレートを変更せず、中継器が送信先の機器に合わせてデータ量を変更した映像信号を出力することで、処理能力の高い機器と低い機器が混在しても双方が良好に映像を表示可能とした。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-134268号公報
【特許文献2】特開2009-55366号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
通信回線が脆弱な場合、特許文献1の技術では、複数の親機に映像を伝送する際、通信回線が貧弱な親機が1台でも存在したらその端末に合わせた画質での伝送を行うため、殆どの端末の通信回線が良好な状態であっても、全ての端末に対してもデータ量を落とした映像が表示された。
一方、特許文献2の技術は、複数画像を加工する中継器に対しては負荷がかかるし、伝送路の分岐点までのトラフィックはかえって増大してしまうという欠点があった。
【0006】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑み、通信回線が脆弱な端末が存在しても全体の画質の低下を最小限に抑えることができ、加えて途中にトラフィック調整のために送信された映像のデータ量を調整する装置を必要としないインターホンシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する為に、本発明に係るインターホンシステムは、来訪者を撮像するカメラ及び居住者を呼び出して通話する機能を備えた子機と、カメラの撮像映像を表示するモニタ及び呼び出しに応答する機能を備えた3台以上の親機を備えたインターホンシステムであって、カメラは、出力する映像データのデータ量を少なくとも3段階に調整する画質調整部を有すると共に、個々の親機は、受信した映像データの到達率を算出する到達率算出部と、算出した到達率が基準より低い場合に、基準値に達するようカメラが出力する映像データのデータ量を削減させるための要請画質を生成する要請画質生成部と、を有し、更に各親機が生成した要請画質の情報を基に、その中から所定の条件を満たす要請画質をカメラに通知する指示画質として選択する画質選択部を具備し、画質選択部は、複数の要請画質を比較して、最も低いデータ量の要請画質が、他の要請画質のデータ量に対して一定割合未満の差に収まっていたら、最もデータ量の低い要請画質を指示画質とする一方、一定割合以上の差を有して下回っていたら無視し、残りの要請画質のうち最も低いデータ量の要請画質を指示画質としてカメラに通知し、カメラは、受信した指示画質に基づいたデータ量に調整した画質の映像データを出力することを特徴とする。
この構成によれば、親機で表示される映像は、通信状態の悪い親機でも映像が乱れないデータ量で映像データが送信されるが、表示映像の画質が大きく劣化する親機からの要請画質は無視するため、全体の画質が大きく劣化するのを避けることができる。そして、伝送路の途中にトラフィック調整の機器を配置する必要がない。
【0008】
本発明の別の態様は、上記構成において、親機のうち少なくとも1台の親機が子機と有線接続されると共に、少なくとも2台が子機と無線接続されており、画質選択部が選択する要請画質は、有線接続されている親機の中の最も低い要請画質と、無線接続されている親機の最も低い要請画質との間で比較されて選択されることを特徴とする。
この構成によれば、有線接続された親機の最も低い要請画質より、無線接続された複数の親機の少なくとも1台の要請画質が一定割合以上下回ったら、その要請画質は無視される。よって、有線接続された親機からの要請画質が優先され、有線接続された機器の表示映像は無線接続された親機の通信状態に左右され難い。
【0009】
本発明の別の態様は、上記構成において、画質選択部は、要請画質を無視した親機が無線接続された親機である場合は、当該親機に対して映像の送信を停止することを特徴とする。
この構成によれば、通信品質が大きく劣化した無線接続された親機に対しては、映像自体が送信されないため、映像が表示されない無線接続の親機を使用する居住者は、電波の状態が悪いことを認識できるし、劣化した映像が表示されて苛つくことがない。一方、伝送信号量を削減できるため、他の親機に対する通信品質を改善できる。
【0010】
本発明の別の態様は、上記構成において、画質選択部が選択する要請画質は、要請画質が最も低い親機と、その次に低い親機とで比較して選択されることを特徴とする。
この構成によれば、通信品質が劣化し易い無線接続の親機が多い場合は、無線接続の親機同士で比較することになるため、無線接続された複数の親機の要請画質が同レベルで最低の場合、無視されず映像が表示される。よって、映像の表示が優先されるため、表示されない状態の発生を削減できる。
【0011】
本発明の別の態様は、上記構成において、画質選択部は、子機からの呼び出しに応答した親機の要請画質を指示画質とすることを特徴とする。
この構成によれば、呼び出しに応答した親機の要請画質でカメラから映像データが出力されるため、応答した親機には確実に映像が表示される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、親機で表示される映像は、通信状態の悪い親機でも映像が乱れないデータ量で映像データが送信されるが、表示映像の画質が大きく劣化する親機からの要請画質は無視するため、全体の画質が大きく劣化するのを避けることができる。そして、伝送路の途中にトラフィック調整の機器を配置する必要がない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係るインターホンシステムの一例を示すブロック図である。
図2】画質調整の流れを示すフローチャートである。
図3】画質調整の説明図であり、親機の要請画質と画質選択部の指示画質の関係を示す表図である。
図4】画質調整の他の形態の表図である。
図5】画質調整の他の形態の表図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明に係るインターホンシステムのブロック図である。
インターホンシステム1は、玄関に設置されて来訪者が居住者を呼び出す機能を備えた1台の子機2、居室に設置されて子機2からの呼び出しに応答する機能を備えた6台の親機3とを有している。
親機3は、有線接続された3台の親機(以下、「有線親機」とする)30と、無線接続されて住戸内を携行可能とした3台の親機(以下、「無線親機」とする)40とで構成されている。無線親機40と子機2との通信は特定の有線親機30に接続されたルータ5を介して行われる。
【0015】
子機2は、呼出ボタン11、来訪者を撮像するためのカメラ12、通話するためのマイク13及びスピーカ14、子機2を制御する子機制御部15、親機3と通信する子機通信IF16等を備えている。カメラ12は画質調整部12aを有し、画質を5段階に変更して出力可能に構成されている。例えば、最高画質(画質5)を1024kbps、最低画質(画質1)を256kbpsの画質として、途中3段階が設定され、ビットレートを全5段階に変更して映像データを出力するよう構成されている。
【0016】
有線親機30のうち1台が子機2と伝送線(第1伝送線)L1を介して接続されている。この子機2と接続された親機30を主親機30aとして、他の2台の有線親機30を従親機30bとして以下説明する。従親機30bはそれぞれ伝送線(第3伝送線)L3を介して主親機30aに接続されている。また主親機30aは、伝送線(第2伝送線)L2を介して無線親機40と通信するためのルータ5と接続されている。
【0017】
主親機30a及び従親機30bは、カメラ12の撮像映像を表示するモニタ31、通話するためのマイク32及びスピーカ33、呼び出しに応答するボタン等を有する操作部34を有している。
そして、主親機30aは子機2に、カメラ12が出力する撮像映像の画質を指示する指示画質を通知する画質選択部35、主親機30aを制御する主親機制御部36、子機2及び他の親機3と通信する主親機通信IF37等を備えている。
一方、従親機30bは、従親機30bを制御する従親機制御部36a、主親機30aと通信する従親機通信IF37a等を備えている。
【0018】
ここで、画質選択部35の作用を具体的に説明する。画質選択部35は、各親機3から送信された後述する要請画質の情報を基に、指示画質を決定する。但し、親機3全体の要請画質が一定の割合未満であったら、その中から指示画質を選択するが、1台の親機3から送信された要請画質が他の親機3から送信された要請画質より一定割合以上低かったら、その要請画質を無視して、他の親機3からの要請画質から選択する。
例えば、カメラ12が出力する画質が、上述したように5段階に設定されている場合は、判断基準の一定割合を例えば2段階とし、1台の親機3の要請画質が画質3で、他の親機3の要請画質が何れも画質5であれば、画質3の要請画質は無視される。
【0019】
また、主親機制御部36、従親機制御部36aは、受信した映像データの到達率を算出する到達率算出部、到達率が低い場合にそれを上げるための要請画質のレベルを設定する要請画質生成部としての機能を有している。尚、到達率は、映像データの欠損量、遅延時間等を基に算出される。
【0020】
無線親機40は、カメラ12の撮像映像を表示するモニタ41、通話するためのマイク42及びスピーカ43、呼び出しに応答する通話ボタン等を有する操作部44、無線親機40を制御する無線親機制御部45、ルータ5と通信する無線親機通信部46等を備えている。そして、無線親機制御部45は、無線親機40の制御に加えて、受信した映像データの到達率を算出する到達率算出部、到達率を上げるための要請画質のレベルを設定する要請画質生成部としての機能を有している。
【0021】
ルータ5は、主親機30aと通信する有線通信部51、無線親機40と無線通信する無線通信部52、ルータ5を制御するルータ制御部53を有している。ルータ制御部53は、子機2から送信された呼出信号及び映像信号を無線親機40に送信し、子機2と無線親機40との間の通信を制御する。
【0022】
上記の如く構成されたインターホンシステムの動作は以下のようである。但し、子機2からの呼び出しに対して何れかの親機3で応答する基本動作は、従来と同様であるため説明を省略し、ここでは子機2の呼出操作に連動して起動したカメラ12が出力する撮像映像の画質の設定について説明する。
呼出ボタン11が押下されると、カメラ12が起動して撮像映像が各親機3に送信される。この時まず最もデータ量の多い画質5の映像が出力される。
【0023】
図2は、この映像制御の基本的な流れを示すフローチャートであり、このフローに基づいて説明する。但し、画質選択部35の指示画質を設定する際に無視する要請画質の判断基準(一定割合)を、2段階以上の差がある要請画質としている。
子機2の呼出操作によりカメラ12から映像データが出力されると、伝送線L1を介して主親機30aに送信される。そして、主親機30aから従親機30b及びルータ5を介して無線親機40に送信される(S1)。
【0024】
映像データを受信した親機3は、カメラ12の撮像映像を表示する一方で、映像データの到達率を算出する。エラーがなく到達率が100%であれば要請画質を生成しないが、100%でない場合は到達率に応じた要請画質を生成して出力する(S2)。
尚、エラーのない場合は、画質5の要請画質を送信させても良い。
【0025】
具体的に、エラーの発生により出画が乱れたり出画が困難になった親機3は、画質を1段階落とした映像データをカメラ12から出力させる内容の要請画質を送信する(S2)。主親機30aの画質選択部35が、個々の親機3が出力した要請画質を入手すると、入手した要請画質のうち最も低い要請画質が画質4の場合(S3でNO)は、カメラ12に対して画質4で送信させる内容の指示画質を生成して子機2に送信する(S5)。それでもエラーが無くならない場合は、画質をさらに1段階落とした画質3で送信するように要請画質を生成して出力する。
【0026】
こうして画質選択部35が、画質3の要請画質を特定の1台の親機3から受信し、他の親機3からの要請画質を受信しなければ(S3でYES)、この1台の親機3のみ他の親機3より要請画質が2段階低いためエラー多発と判断して無視し(S4)、他の親機3の要請画質の情報から再判定する。
但し、画質3の要請画質を出力した親機3の他に、要請画質4の親機3が1台でもあれば、画質3の要請画質は無視されない。
【0027】
再判定で、要請画質が全て画質5であったら、カメラ12に対して指示画質は通知しない(或いは、画質5の指示画質を通知する)。即ち、画質5の指示画質を生成して子機2のカメラ12に通知する(S5)。
尚、無視しない要請画質の最低が画質4であれば、画質4の指示画質を生成して子機2に通知する。
【0028】
その後、子機2からの呼び出しに応答した親機3があれば(S6でYES)、応答した親機3の要請画質が指示画質となって子機2に通知される(S7)。この通知を受けたカメラ12は、呼出操作された親機3の要請画質に応じた画質に変更して映像データを出力する。尚、応答した親機3が無ければ(S6でNO)、再び親機3は映像データの到達率を算出して要請画質を出力する(S2)。
【0029】
上記制御は、親機3が単に複数ある場合の制御を説明したものであるが、有線親機30と無線親機40の2種類がある場合、有線親機30と無線親機40とを同等に扱う制御、有線親機30の映像表示を優先させる制御、有線親機30を優先し且つエラーの多い無線親機40は映像の表示を停止させる制御等がある。以下順に説明する。
図3-5は、各親機3から送信された要請画質に対して画質選択部35が何れかを選択し、選択した要請画質を指示画質としてカメラ12に通知する表図を示し、これらの図を参照して説明する。但し、主親機を「有線A」、2台の従親機30bを「有線B,C」とし、3台の無線親機40を「無線A,B,C」としている。また「画質」の欄は、カメラ12が出力する画質である指示画質を示している。
【0030】
図3は、有線親機30と無線親機40とを同等に扱う制御を示している。ここでは、最もエラーの多い親機3の要請画質に基づいた画質の映像データの送信を基本とするが、1台だけ要請画質が2段階以上低い場合は、その要請画質を無視して指示画質が生成され、カメラ12に通知される制御を示している。
そのため、(c)欄に示す「無線C」の要請画質が画質3で、他の親機3の要請画質が全て画質5の場合は1台だけ2段階低いため、この要請画質は無視され、指示画質は画質5で通知される。
また、(d)欄では、要請画質に画質3があるが、画質4もあるため2段階の差異はない。よって、この場合の指示画質は画質3となる。
更に、(g)欄では、画質2の親機3(無線B,C)があり、要請画質が次に低い画質4より2段階低いが、1台では無く2台あるため無視せず、指示画質は画質2となる。
【0031】
このように、親機3で表示される映像は、通信状態の悪い親機3でも映像が乱れないデータ量で映像データが送信されるが、表示映像の画質が大きく劣化する親機3からの要請画質は無視するため、全体の画質が大きく劣化するのを避けることができる。
一方で、通信品質が劣化し易い無線親機40が多い場合は、無線親機40同士で比較することになり、無線親機40の要請画質が同レベルで最低の場合、無視されず映像が表示される。よって、映像の表示が優先される。
【0032】
図4は、有線親機30と無線親機40との間で比較し、有線親機30の映像表示を優先させる制御を示している。
例えば、(d)欄では、要請画質が2段階低い親機3は無いが、有線親機30と無線親機40を比較した場合、「無線C」が有線親機30の画質5より2段階低い画質3となっている。そのため、この要請画質は無視されて、その次に低い要請画質4が選択されて指示画質に設定される。
また、(g)欄では、2台の無線親機40(無線B,C)が要請画質2であり、有線親機30より3段階低い要請画質であるため、この要請画質は無視され、指示画質は画質5となる。
この制御の場合、有線親機30の最も低い要請画質より、無線親機40の少なくとも1台の要請画質が2段階以上下回ったら、その要請画質は無視される。よって、有線親機40からの要請画質が優先され、有線親機30の表示映像は無線親機40の通信状態に左右され難くできる。
【0033】
図5は、有線親機30を優先し且つエラーの多い無線親機40は映像の表示を停止させる制御を示している。尚、無線親機映像表示有無の項目を設け、「有」は映像表示有り、「無」は映像表示無しを示している。
例えば、(c)欄では、1台の無線親機40(無線C)の要請画質が画質3であり、他の親機3より2段階低いため、画質選択部35の制御により無線親機40には映像データが送信されず、無線親機40のモニタ41には映像が表示されない。
(d)(e)(g)欄では、有線親機30の画質5の要請画質に対して無線親機40に2段階低い画質3の要請画質があるため、無線親機40には映像データが送信されず、無線親機40には映像が表示されない。
(f)欄では、有線親機30の最も低い要請画質と無線親機40の最も低い要請画質は1段階しか差がないため、無線親機40の画質3の要請画質が指示画質として送信され、無線親機40は映像を表示する。
この制御の場合、通信品質が大きく劣化した無線親機40に対しては、映像自体が送信されないため、映像が表示されない無線親機40を使用する居住者は、電波の状態が悪いことを認識できるし、劣化した映像が表示されて苛つくことがない。一方、伝送信号量を削減できるため、他の親機3に対する通信品質を改善できる。
【0034】
このように、親機3で表示される映像は、通信状態の悪い親機3でも映像が乱れないデータ量で映像データが送信されるが、表示映像の画質が大きく劣化する親機3からの要請画質は無視するため、全体の画質が大きく劣化するのを避けることができる。そして、伝送路の途中にトラフィック調整の機器を配置する必要がない。
また、呼び出しに応答した際には、応答した親機3の要請画質でカメラ12から映像データが出力されるため、応答した親機3には確実に映像が表示される。
【0035】
尚、上記実施形態では、主親機30aに画質選択部35を設けているが、親機3とは独立して設けても良い。また、5段階に画質を変更して映像データを送信する構成であるが、5段階に固定するものでは無く、3段階で制御しても良いし、6段階或いは7段階で制御しても良い。
更に、映像データのデータ量を減らす制御としてビットレートを削減する制御を行っているが、フレームレートを削減しても良いし、ビットレートとフレームレートの双方を削減しても良い。
また、無視する要請画質を、他の親機3より2段階以上低い画質としたが、この無視する画質の割合は2段階以上に固定するものでなく、例えばカメラ12の出力画質が7段階で変更される場合は、3段階以上低い場合に無視する制御を行っても良い。
また、親機3が6台の場合を説明しているが、上記制御は親機3が3台以上あるインターホンシステムの映像制御に好適である。
【符号の説明】
【0036】
1・・インターホンシステム、2・・子機、3・・親機、5・・ルータ、12・・カメラ、12a・・画質調整部、15・・子機制御部、30(30a、30b)・・有線親機、31・・モニタ、35・・画質選択部、36・・主親機制御部(到達率算出部、要請画質生成部)、36b・・従親機制御部(到達率算出部、要請画質生成部)、40・・無線親機、41・・モニタ、45・・無線親機制御部。
図1
図2
図3
図4
図5