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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106235
(43)【公開日】2024-08-07
(54)【発明の名称】基礎型枠構造及び基礎型枠工法
(51)【国際特許分類】
   E02D 27/01 20060101AFI20240731BHJP
【FI】
E02D27/01 D
E02D27/01 Z
E02D27/01 C
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023010461
(22)【出願日】2023-01-26
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-05-15
(71)【出願人】
【識別番号】515219045
【氏名又は名称】株式会社地耐協
(74)【代理人】
【識別番号】110002435
【氏名又は名称】弁理士法人井上国際特許商標事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100077919
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 義雄
(74)【代理人】
【識別番号】100153899
【弁理士】
【氏名又は名称】相原 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100172638
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 隆治
(74)【代理人】
【識別番号】100159363
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 淳子
(72)【発明者】
【氏名】猪野 明彦
(72)【発明者】
【氏名】猪野 洋平
【テーマコード(参考)】
2D046
【Fターム(参考)】
2D046BA16
(57)【要約】
【課題】捨てコンクリートを打設する必要がなく、基礎工事の更なる容易化を実現する基礎構造を提供する。
【解決手段】 地盤上に設けられた砕石層150と、砕石層150の上に設けられ、上面が平坦で地盤よりも比重の軽い樹脂ブロック層151と、樹脂ブロック層151の上面を覆うシート層152と、シート層152の上に設けられた樹脂板層153と、外周立ち上がり部157が形成されるように、粘着剤156によって樹脂板層153の上面に固定された複数の第1の型枠支持具100と、内部立ち上がり部257が形成されるように、粘着剤156により樹脂板層153の上面に固定された複数の第2の型枠支持具200と、第1の型枠支持具100または第2の型枠支持具200によって支持された複数の型枠パネル110、120、220と、を備える基礎型枠構造とする。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地盤上に設けられた砕石層と、
前記砕石層の上に設けられ、上面が平坦で地盤よりも比重の軽い樹脂ブロック層と、
前記樹脂ブロック層の上面を覆うシート層と、
前記シート層の上に設けられた樹脂板層と、
外周立ち上がり部が形成されるように、粘着剤によって前記樹脂板層の上面に固定された複数の第1の型枠支持具と、
内部立ち上がり部が形成されるように、粘着剤により前記樹脂板層の上面に固定された複数の第2の型枠支持具と、
前記第1の型枠支持具または前記第2の型枠支持具によって支持された複数の型枠パネルと、
を備える基礎型枠構造。
【請求項2】
前記樹脂ブロック層は、上面が平坦な1以上の樹脂ブロックからなり、前記樹脂ブロックは通水性の開口部を有することで地中水位が上昇した際に前記樹脂ブロック層内に地中の水が浸入する構造を有する請求項1に記載の基礎型枠構造。
【請求項3】
各前記第1の型枠支持具は、
平坦形状の底面を有する第1の基部と、
前記第1の基部から上方に延びる第1の鉛直部材と、
前記第1の基部から上方に延びる第2の鉛直部材と、
前記第1の鉛直部材と前記第2の鉛直部材の間に架け渡された第1の水平部材と、
を有し、
前記第2の鉛直部材は、前記第2の鉛直部材に対する前記第1の水平部材の固定状態と固定解除状態を切り替え可能な第1の固定解除手段を含み、
前記第1の基部は、前記第1の鉛直部材の外側で、前記複数の型枠パネルに含まれる第1の型枠パネルを垂直方向に支持する第1のパネル支持部を含み、
前記第1の水平部材は、前記第2の鉛直部材の内側で、前記複数の型枠パネルに含まれる第2の型枠パネルを垂直方向に支持する、第2のパネル支持部を含む請求項1に記載の基礎型枠構造。
【請求項4】
各前記第2の型枠支持具は、
平坦形状の底面を有する第2の基部と、
前記第2の基部から上方に延びる一対の第3の鉛直部材と、
一対の前記第3の鉛直部材の間に架け渡された第2の水平部材と、
を有し、
各前記第3の鉛直部材は、前記第3の鉛直部材に対する前記第2の水平部材の固定状態と固定解除状態を切り替え可能な第2の固定解除手段を含み、
前記第2の水平部材は、各前記第3の鉛直部材の内側で前記型枠パネルを支持する一対の第3のパネル支持部を含む請求項1に記載の基礎型枠構造。
【請求項5】
前記地盤の表面が前記型枠パネルの下端と上端の間の高さにある請求項1に記載の基礎型枠構造。
【請求項6】
前記型枠パネルが鋼板パネルである請求項1に記載の基礎型枠構造。
【請求項7】
地盤上に砕石層を設けるステップと、
前記砕石層の上に、上面が平坦で地盤よりも比重の軽い樹脂ブロック層を設けるステップと、
前記樹脂ブロック層の上面をシート層により覆うステップと、
前記シート層の上に樹脂板層を設けるステップと、
外周立ち上がり部が形成されるように、前記樹脂板層の上面に複数の第1の型枠支持具を粘着剤によって固定するステップと、
内部立ち上がり部が形成されるように、前記樹脂板層の上面に複数の第2の型枠支持具を粘着剤によって固定するステップと、
前記第1の型枠支持具または前記第2の型枠支持具に型枠パネルを支持させるステップと、を含む基礎型枠工法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
簡便な方法で基礎工事を行うことができる建築物の基礎型枠構造及び基礎型枠工法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、簡便な方法で基礎工事を行うことができる建築物の基礎型枠支持具として、型枠の高さ調整が可能で捨てコンクリートを打設する必要のないものが提案されている(特許文献1、特許文献2、特許文献3)。また、工事の容易化と工期の短縮を実現する型枠支持具が提案されている(特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-179152号公報
【特許文献2】実開昭59-22855号公報
【特許文献3】実開昭60-170455号公報
【特許文献4】特許第6757997号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
原材料価格の高騰および熟練工の高齢化を背景として、更なる材料の削減および工事の容易化が求められている。これに鑑み、本発明は、捨てコンクリートを打設する必要がなく、かつ、基礎工事の更なる容易化を実現する基礎型枠構造及び基礎型枠工法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
地盤上に設けられた砕石層と、
前記砕石層の上に設けられ、上面が平坦で地盤よりも比重の軽い樹脂ブロック層と、
前記樹脂ブロック層の上面を覆うシート層と、
前記シート層の上に設けられた樹脂板層と、
外周立ち上がり部が形成されるように、粘着剤によって前記樹脂板層の上面に固定された複数の第1の型枠支持具と、
内部立ち上がり部が形成されるように、粘着剤により前記樹脂板層の上面に固定された複数の第2の型枠支持具と、
前記第1の型枠支持具または前記第2の型枠支持具によって支持された複数の型枠パネルと、
を備える基礎型枠構造とする。
【0006】
地盤上に砕石層を設けるステップと、
前記砕石層の上に、上面が平坦で地盤よりも比重の軽い樹脂ブロック層を設けるステップと、
前記樹脂ブロック層の上面をシート層により覆うステップと、
前記シート層の上に樹脂板層を設けるステップと、
外周立ち上がり部が形成されるように、前記樹脂板層の上面に複数の第1の型枠支持具を粘着剤によって固定するステップと、
内部立ち上がり部が形成されるように、前記樹脂板層の上面に複数の第2の型枠支持具を粘着剤によって固定するステップと、
前記第1の型枠支持具または前記第2の型枠支持具に型枠パネルを支持させるステップと、を含む基礎型枠工法とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、捨てコンクリートを打設する必要がなく、かつ、基礎工事の更なる容易化を実現する基礎型枠構造及び基礎型枠工法を提供することできる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本願の実施形態に係る外周立ち上がり部位置の型枠構造を示す縦断面図である。
図2】本願の実施形態に係る建築物の基礎構造であってコンクリート打設し基礎完成後の状態を示す断面概略図である。
図3】本願の実施形態に係る内部立ち上がり部位置の型枠構造を示す縦断面図である。
図4】本願の実施形態に係る基礎型枠工法の手順を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明による建築物の基礎型枠構造及び基礎型枠工法の実施形態を説明する。本実施形態で使用する言葉は以下の用に定義する。「第1の鉛直部材の外側」で、とは、第1の鉛直部材側であって第2の鉛直部材とは反対側で、という意味合いである。「第1の鉛直部材の外側」で、とは、第1の鉛直部材側であって第2の鉛直部材とは反対側で、という意味合いである。「第2の鉛直部材の内側」で、とは、第2の鉛直部材側であって第1の鉛直部材と対面する側で、という意味合いである。「各第2の鉛直部材の内側」で、とは、各第2の鉛直部材側であって相対する第2の鉛直部材と対面する側で、という意味合である。「立ち上がり部」とは、建築物の基礎型枠構造の一部としての基礎立ち上がり部の事である。「外周立ち上がり部」とは、建築物の外周に沿った立ち上がりの事であり、建築物の外周を囲んで形成されるものである。「内部立ち上がり部」とは、外周立ち上がり部に囲まれた部分の内部に形成される立ち上がり部の事である。「粘着剤」には、両面粘着テープやペースト状の粘着剤が含まれる。
【0010】
図1から図3を用いて、本実施形態に係る建築物の基礎型枠構造及び基礎型枠工法について説明する。
【0011】
<<本実施形態の建築物の基礎型枠構造の概要>>
本実施形態における建築物の基礎型枠構造の概要は以下の通りである。先ず最下部に、地盤面の安定化のための砕石層150を有する。砕石層150の上には、直下地盤の圧密沈下を軽減化し建物の支持力を確保するための上面が平坦で地盤よりも比重の軽い樹脂ブロック層151を有する。樹脂ブロック層151の上には、樹脂ブロック層151の上面を覆って設置されたシート層152を有する。シート層152の上には、上面が平坦な1以上の樹脂板153aからなる樹脂板層153を有する。樹脂板層153の上面には、外周立ち上がり部位置に外周立ち上がり部157が形成されるように、かつ、粘着剤156により固定されて配置された、複数の第1の型枠支持具100を有する。同様に樹脂板層153の上面には、内部立ち上がり部位置に内部立ち上がり部257が形成されるように、かつ、粘着剤156により固定されて配置された、複数の第2の型枠支持具200を有する。複数の第1の型枠支持具および複数の第2の型枠支持具200には、各型枠支持具(100、200)によって重力方向に支持され、外周立ち上がり部157または内部立ち上がり部257が形成されるように重力方向に立った、複数の第1の型枠パネル110および複数の第2の型枠パネル120を有する。各型枠パネル(110、120)の上には、各型枠パネル(110、120)の各一対を上から幅止めする複数の幅止め具130を有する。各幅止め具130には、各幅止め具130に嵌め込まれた複数の補強材140を有する。
【0012】
<<本実施形態の樹脂ブロック層について>>
<基本的構成>
本実施形態において、樹脂ブロック層151は、樹脂製の上面が平坦な1以上の樹脂ブロック151aからなり、各樹脂ブロック151aは通水性の開口部を有することで地中水位が上昇した際に樹脂ブロック層151内に地中の水が浸入する構造である。なお、樹脂ブロック151aについては、特許第4210312号又は特許第4967105号と同様の構成とすることができる。
【0013】
<具体的構成>
樹脂ブロック151aは、全体としては直方体状の骨格部材であり、大小の開口が多数形成されて軽量化された部材である。樹脂ブロックは、再生オレフィン系の樹脂で形成することができ、例えばポリプロピレン、ポリエチレン又はこれらの混合材料で形成される。1つの樹脂ブロック151aで樹脂ブロック層151を構成するものであっても、複数の樹脂ブロック151aを横に並べて樹脂ブロック層151を構成するものであっても良い。また、1以上の樹脂ブロック151aをさらに縦に並べて層を構成したものであっても良い。
【0014】
樹脂ブロック層151は地盤より比重が軽いため、地盤置換により直下地盤の圧密沈下を軽減化し建物の支持力を確保することが可能となる。また、地中の水が浸入する構造のため、地震時に、樹脂ブロック層内に間隙水を取入れ、水圧による噴砂を防ぐことで、液状化による建物の沈下を防ぐことが可能となる。さらに、上面が平坦であるため、樹脂ブロックの上に樹脂板層153を設定でき、その樹脂板153aにより簡易に水平面を作ることができる。そして、平坦形状の底面を有する基部を備える各型枠支持具(100、200)を、樹脂板層153の上に各基部(101、201)を粘着剤で貼り付けるだけで、樹脂板層153の上に各型枠支持具(100、200)を固定し配置できることになる。
【0015】
<<本実施形態の外周立ち上がり部位置の型枠構造について>>
<基本的構成>
実施形態に係る外周立ち上がり部位置の型枠構造1000と、この型枠構造1000に用いる第1の型枠支持具100について、図1および図2を参照しながら説明する。図1は、型枠構造1000を示す縦断面図である。図2は、本願の実施形態に係る建築物の基礎型枠構造であってコンクリート打設し基礎完成後の状態を示す断面概略図である。図2においては、基礎完成後になお残る各型枠支持具(100、200)や鉄筋は図示されていない。すなわち、図1は、図2の外周立ち上がり部位置における型枠構造の1セットであってコンクリート打設前の構造を示すものである。
【0016】
本実施形態において、各第1の型枠支持具100は、平坦形状の底面を有する第1の基部101と、第1の基部101から上方に延びる第1の鉛直部材102と、第1の基部101から上方に延びる第2の鉛直部材103と、第1の鉛直部材102と第2の鉛直部材103の間に架け渡された第1の水平部材104と、を有し、第2の鉛直部材103は、第2の鉛直部材103に対する第1の水平部材104の固定状態と固定解除状態を切り替え可能な第1の固定解除手段105を含み、第1の基部101は、第1の鉛直部材102の外側で、1つの第1の型枠パネル110を垂直方向に支持する第1のパネル支持部106を含み、第1の水平部材104は、第2の鉛直部材103の内側で1つの第2の型枠パネル120を垂直方向に支持する第2のパネル支持部107を含み、第1の型枠パネル110と第2の型枠パネル120とは互いに略平行になる様に支持される。
【0017】
各幅止め具130は、各第1の型枠支持具100に支持された1つの第1の型枠パネル110と1つの第2の型枠パネル120とを上から幅止めするものであって、主部131と、主部131の端部にそれぞれ固定され、一対の補強材140を立ち上り部の長手方向に保持する一対の補強材保持部132を有する。
【0018】
第1の型枠パネル110は外周立ち上がり部157の最外周に位置する。すなわち、1つの第1の型枠支持具100が、外周立ち上がり部157の最外周位置で1つの第1の型枠パネル110を支持し、外周立ち上がり部157の内部側で1つの第2の型枠パネル120を支持する。1つの第1の型枠パネル110と1つの第2の型枠パネル120の対は、外周立ち上がり部157で、複数の第1の型枠支持具100によって支持され得る。また、1つの幅止め具130は、外周立ち上がり部157で、1つの第1の型枠パネル110と1つの第2の型枠パネル120の対を幅止めする。1つの第1の型枠パネル110と1つの第2の型枠パネル120の対は、外周立ち上がり部157で、複数の幅止め具130によって幅止めされ得る。また、地表面GLが各第1の型枠パネル110の下端と上端との間にある位置関係となる。第1の型枠パネル110、前記第2の型枠パネル120、のいずれも鋼板パネルとし得る。
【0019】
<具体的構成>
型枠構造1000は、底盤コンクリート155と、外壁を支持する外周立ち上がり部157を構築するために用いられる。型枠構造1000は、図1に示すように、第1の型枠支持具100と、第1の型枠パネル110と、第2の型枠パネル120と、幅止め具130と、一対の補強材140とを有する。第1の型枠支持具100は、図1の左右方向に長い第1の基部101と、重力方向に長い第1の鉛直部材102と、重力方向に長い第2の鉛直部材103と、水平方向に長い第1の水平部材104と、第1の固定解除手段105とを有する。
【0020】
第1の型枠支持具100の第1の基部101は、底面が平坦形状の部材から形成されている。第1の鉛直部材102側の第1の基部101の端部には、上方に折れ曲がり、第1の鉛直部材102に対向する屈折端部101aが形成されている。屈折端部101aの略中央には、第1の基部101の長手方向に貫通した仮止め用孔部101bが形成されている。
【0021】
第1の型枠支持具100の第1の鉛直部材102は、その下部が第1の基部101に固定され、上方に直線状に延びている。第1の鉛直部材102は、板状の部材から形成され、長手方向に対して垂直に切断した断面が概略U字型をしている。第1の鉛直部材102の下部は、第2の鉛直部材103側に屈曲した第1の固定部102aを形成している。第1の固定部102aは、例えばリベットによって第1の基部101に固定される。 第1の鉛直部材102には、第1の基部101の長手方向に貫通し、上下方向に長い不図示のスリットが形成されている。スリットの長手方向に延びる両側面は、波型に形成されている。スリットの両側には上下方向に等間隔に配置された不図示の目盛りが表示されている。なお、第1の型枠支持具及び第2の型枠支持具については上記特許文献4(特許第6757997号公報)記載のものと同様であるため、詳細な図は省略する。
【0022】
第1の型枠支持具100の第2の鉛直部材103は、第1の鉛直部材102と同様の構成をしており、第1の鉛直部材102に対向して第1の基部101に固定されている。第1の鉛直部材102と第2の鉛直部材103は、第1の基部101の長手方向において、それぞれ、第1の基部101の両端から離隔した位置に配置されている。
【0023】
第1の鉛直部材102と第2の鉛直部材103の間には、第1の水平部材104が架け渡されている。第1の水平部材104は、主に水平方向に広がる板状の部材から形成されている。第1の水平部材104は、第2の鉛直部材103近傍から上方へ突出した突起片104aを有している。第1の水平部材104は、第1の鉛直部材102側の第1の端部と、第2の鉛直部材103側の第2の端部とを有している。第1の端部は、第1の基部101側へ直角に屈曲し、第1の鉛直部材102に沿って配置されている。第2の端部も、第1の基部101側へ直角に屈曲し、第2の鉛直部材103に沿って配置されている。第1の端部は、例えばリベットによって第1の鉛直部材102に固定される。第1の端部の高さは、第2の型枠パネル120の下端の高さに応じて設定することができる。第2の端部は、第1の固定解除手段105によって、第2の鉛直部材103に固定される。
【0024】
第1の固定解除手段105は、第2の端部の固定状態と固定解除状態の切り替えが可能である。第2の端部の固定を解除することにより、第1の水平部材104が弾性変形する範囲内で、第2の鉛直部材103側の第1の水平部材104の部分を上下に移動させ、所望の位置で固定することができる。第1の固定解除手段105としては、例えば、第2の鉛直部材103に形成されたスリットを通した部材を用いて第2の鉛直部材103を締付ける機構を採用することができ、例えば、ネジ、傾斜カムなどを用いた締付機構とすることができる。
【0025】
型枠構造1000において、第1の型枠支持具100は、図1に示すように、樹脂板層153の樹脂板153aの上面に設置される。第1の型枠支持具100は、第1の鉛直部材102が建物の外側、第2の鉛直部材103が建物の内側になるように配置される。第1の型枠支持具100は、粘着剤156によって樹脂板層153の樹脂板153aの上面に固定される。粘着剤156の詳細については後述する。第1の型枠支持具100を設置する樹脂板153aの部分が傾斜している場合には、第1の固定解除手段105による第1の水平部材104の固定を解除して、容易に高さを調整することができる。
【0026】
第1の型枠支持具100は所定の間隔で複数設置する。第1の型枠支持具100を設置した後は、第1の型枠パネル110の建て込み、鉄筋154の配筋、第2の型枠パネル120の建て込みの順に作業を進める。第1の型枠支持具100が第1の型枠パネル110と第2の型枠パネル120の位置決めの役割を果たすため、第1の型枠パネル110と第2の型枠パネル120の建て込みを容易に行うことができる。第1の型枠パネル110と第2の型枠パネル120は捨て型枠とし、建物の完成後にも残存するものとすることができる。これにより、型枠の解体作業を不要とし、また、外周立ち上がり部157の強度を高めることができる。第1の型枠パネル110、第2の型枠パネル120としては、例えば、鋼板パネルを採用することができる。
【0027】
鋼板パネルは、合板型枠や木製型枠と比較して風化や劣化が生じ難く耐久性が高いため、型枠の解体が不要で捨て型枠として利用することが可能である。また、廃材が出ないため、消却コスト削減、トラック台数の削減、さらにそれに伴い、環境破壊の抑制や、二酸化炭素の削減にも繋がる効果を有する。
【0028】
鋼板パネルは、波状をして、凹凸が重力方向に延びてリブ(補強用凸条)として機能するものであることが望ましい。鋼板パネルを波状とすることで、例えば板厚0.4mmといった様に合板等の型枠パネルよりも薄くでき、かつ、合板等の型枠パネルと比較して1/3程度の重量に軽量化することができ、軽量さと強度を同時に実現することができる。それにより更に、運搬コスト低減や、作業の容易化・効率化による工期短縮を図れる。鋼板パネルの材料としては、溶融亜鉛メッキ鋼板を用いることが望ましい。溶融亜鉛メッキ鋼板は、例えばステンレスと比較して安価であり、且つ錆にも強いという特性を有している。したがって、本実施形態において捨て型枠とするための第1の型枠パネル110と第2の型枠パネル120の材料として好適である。本発明においては、型枠パネルとして必要な強度および耐久性を達成できるものであれば、第1の型枠パネル110、第2の型枠パネル120が共に鋼板パネルであることは必要条件とはならない。例えば、外部環境の必要性から、第1の型枠パネル110、第2の型枠パネル120のいずれか一方が断熱材から構成されるものであってもよい。断熱材は、コンクリート打設時に型枠パネルとしての役割も果たす。
【0029】
第1の型枠パネル110の下部は、図1の奥行方向に延びる第1の下部レール111を介して、第1の型枠支持具100の第1の鉛直部材102と屈折端部101aの間に挟まれ、第1の鉛直部材102側の第1の基部101の端部上に載置される。第1の鉛直部材102側の第1の基部101の端部は、第1のパネル支持部106を構成する。第1の型枠パネル110の下部は、仮止め手段によって、第1の型枠支持具100に仮止めしても良い。仮止め手段としては、例えば、仮止め用孔部101bを通して、第1の型枠パネル110の下部に打ち込むビス、釘等を採用することができる。第1の下部レール111は、第1の型枠パネル110の水平方向の全長にわたって設けられる。第1の下部レール111の長手方向に垂直な断面は全長にわたって概略U字型をしている。第2の型枠パネル120の下部は、第2の下部レール121を介して、第1の型枠支持具100の第2の鉛直部材103と突起片104aの間に挟まれ、第1の水平部材104上に載置される。第2の鉛直部材103側の第1の水平部材104の部分は、第2のパネル支持部107を構成する。第2の下部レール121は、第1の下部レール111と同様の形状をしている。第1の型枠パネル110と第2の型枠パネル120の上部には、図1に示すように、幅止め具130が取り付けられる。
【0030】
幅止め具130は、金属製の板材から形成され、長方形状の主部131と、主部131の両端部にそれぞれ設けられた一対の補強材保持部132を有している。
【0031】
一対の補強材保持部132は、金属製の板材から形成され、主部131の短手方向に見たときに、それぞれ概略U字型をしている。一対の補強材保持部132は、それぞれ、主部131側の上端部で主部131の端部と結合している。主部131とは反対側の補強材保持部132の部分の中央には、板厚方向に貫通した貫通孔部141aがそれぞれ形成されている。
【0032】
幅止め具130の設置は、図1に示すように、一対の上部レール112を介して、各々、補強材保持部132と突起部131bの間に、第1の型枠パネル110および第2の型枠パネル120の上部を挟み、一対の上部レール112の上に載置することで、容易に行うことができる。一対の上部レール112は、それぞれ、全長にわたって、長手方向に垂直な断面がU字状をしている。幅止め具130の固定は、主部131に形成された一対の孔部を通して、一対の仮止め具134aを、それぞれ、一対の上部レール112に打ち込むことにより、容易に行うことができる。仮止め具134aとしては、例えば、釘やビスを採用することができる。幅止め具130は外周立ち上がり部157の長手方向に所定の間隔で複数配置する。
【0033】
幅止め具130を固定した後、一対の補強材保持部132に、それぞれ各1つの補強材140を嵌め込む。補強材140は長尺の部材であり、外周立ち上がり部157の長手方向に沿って配置される補強材140としては、例えば、桟木、鋼管などを用いることができる。各補強材140の仮止めを行う場合、各補強材保持部132に形成された貫通孔部132aを通して、仮止め部材141aを補強材140に打ち込むことで、容易に行うことができる。仮止め部材141aとしては、例えば、釘、ビス等を採用することができる。一対の補強材140を設けることで、型枠構造1000の通りを良くし、型枠を堅固なものとすることができる。
【0034】
上記型枠構造1000を採用した場合、図1に示すように、外周立ち上がり部157の主筋161は、幅止め具130から吊り下げた懸垂材140aによって保持することができる。懸垂材140aとしては、例えば、Sカンを採用することができる。また、上記型枠構造1000において、第1の型枠パネル110、第2の型枠パネル120として例えば鋼板パネルを採用した場合、外周立ち上がり部157の腹筋、下端筋を設けなくても、外周立ち上がり部157に必要な強度を確保することができる。これにより、外周立ち上がり部157の配筋のための工期を短縮化し、省力化することができる。また、特に、第1の型枠パネル110として鋼板パネルを採用した場合、外周立ち上がり部157最外周の経年劣化等で発生するクラックによる浸水やシロアリ等の虫の侵入リスクを回避できる。
【0035】
また、型枠構造1000によれば、第1の型枠パネル110は樹脂板層153の上面で第1の基部101により配置され、第2の型枠パネル120は第1の型枠支持具100の第1の水平部材104により支持して樹脂板層153から浮かせて配置される構造である。よって、底盤コンクリート155と外周立ち上がり部157のコンクリート打設を同時に行うことができる。これにより、コンクリートの打設・養生のための工期の短縮と工事の容易化を実現することができる。また、底盤コンクリート155と外周立ち上がり部157との間に継ぎ目が生じず、浸水やシロアリなどの虫の侵入リスクを回避できる。
【0036】
本実施形態は図2に示すとおり、地表面GLが各第1の型枠パネル110の下端と上端との間にある位置関係となっている。鋼板パネルを採用した場合において型枠の解体が不要であるため、鋼板パネルを貫いた配管や型枠構造の外側であって地表面GLより下部の配管を行った後、外周を埋め戻してからコンクリートの打設を行うことができる。この様な埋め戻しにより、型枠の補強が簡便なもので済むようになる。
【0037】
一般的に基礎工事においては、各立ち上り部に土台を固定するアンカーボルトを埋め込む必要がる。しかし、アンカーボルトと本型枠構造1000との構造的な関係や、コンクリートの打設前にアンカーボルトを各型枠構造に固定する手段等については、本発明を構成する部分ではないため説明を省略する。
【0038】
<<本実施形態の内部立ち上がり部位置の型枠構造について>>
<基本的構成>
次に、内部立ち上がり部位置の型枠構造2000の構成について、図2および図3を参照しながら説明する。図3は、型枠構造2000を示す縦断面図である。図3は、図2の内部立ち上がり部257位置におけるコンクリート打設前の型枠構造を示すものである。
【0039】
本実施形態において、各第2の型枠支持具200は、平坦形状の底面を有する第2の基部201と、第2の基部201から上方に延びる一対の第3の鉛直部材203と、一対の第3の鉛直部材203の間に架け渡された第2の水平部材204と、を有し、各第3の鉛直部材203は、第3の鉛直部材203に対する第2の水平部材204の固定状態と固定解除状態を切り替え可能な第2の固定解除手段205を含み、第2の水平部材204は、各第3の鉛直部材203の内側で、各1つの第2の型枠パネル220を互いに平行になる様に垂直方向に支持する、一対の第3のパネル支持部207を含む。
【0040】
各幅止め具130は、各第2の型枠支持具200に支持された一対の第2の型枠パネル120を上から幅止めするものするものであって、主部131と、一対の補強材140を立ち上り部の長手方向に保持する、主部131の端部にそれぞれ固定された、一対の補強材保持部132を有する。1つの第2の型枠支持具200が、内部立ち上がり部257で一対の第2の型枠パネル120を支持する。一対の第2の型枠パネル120は、内部立ち上がり部257で複数の第2の型枠支持具200によって支持され得る。1つの幅止め具130は、内部立ち上がり部257で一対の第2の型枠パネル120を幅止めする。一対の第2の型枠パネル120は、内部立ち上がり部257で複数の幅止め具130によって幅止めされ得る。第2の型枠パネル120は鋼板パネルとすることができる。
【0041】
<具体的構成>
型枠構造2000は、上記型枠構造1000と多くの点で共通するため、型枠構造1000について参照符号を付して説明した部分に対応する部分については、型枠構造1000の説明で使用した参照符号に100を足した数字からなる参照符合を付し、重複する説明は省略する。例えば、型枠構造1000の第1の水平部材104に対応する型枠構造2000の第2の水平部材には「204」の参照符号を付する。
【0042】
型枠構造2000は、建物の内壁を支持する内部立ち上がり部257を構築するために用いられるものである点において、型枠構造1000とは異なる。型枠構造2000は、一対の第2の型枠パネル120のいずれも、第2の型枠支持具200の第2の水平部材204により支持し、樹脂板層153から浮かせて配置する。
【0043】
型枠構造2000は、図3で示されるところにおいて左右対称の構造となっている点や、幅止め具の懸垂材が存在しない点、鉄筋の構造の点が、型枠構造1000と異なる。しかし、型枠構造1000の図1で示される片側(左側、すなわち、第2の型枠パネル120側)と図3の左側とは同一の構造である。よって詳細な構造は、幅止め具の懸垂材が存在や鉄筋の構造を除き、型枠構造1000における第2の型枠パネル120側の説明内容と同一なので説明を省略する。
【0044】
また、型枠構造1000と同様に、第2の型枠パネル120としては、例えば、鋼板パネルを採用することができるが、当該鋼板パネルの形状や材料については、型枠構造1000と同様である。ただし本発明においては、型枠パネルとして必要な強度および耐久性を達成できるものであれば、第2の型枠パネル120が鋼板パネルであることは必要条件ではない。
【0045】
本型枠構造2000によれば、底盤コンクリート255と内部立ち上がり部257のコンクリートを一度に打設でき、建物の内壁を支持する内部立ち上がり部257を短い工期で容易に構築することができる。型枠構造2000を構成する部材は、第1の型枠支持具100を除いて、型枠構造1000の型枠構造と共通するため、型枠構造1000と共に好適に利用することができる。
【0046】
<<本実施形態の粘着剤について>>
<基本的構造>
各型枠支持具(100、200)における各基部の平坦形状の底面が樹脂板層153の上面に粘着剤156により固定され、各型枠支持具(100、200)が各型枠パネル(110、120)と幅止め具130と補強材140と、を支える構造である。
【0047】
<<本実施形態の底盤コンクリートの上面と地表面との位置関係について>
<基本的構造>
本実施形態において、
底盤コンクリート155の上面は地表面GLより低い位置とすることができる。
【0048】
<本構造の説明>
従来技術では、底盤コンクリートの上面位置を地表面より低くするとその部分への浸水のリスクが生じる。しかし、地表面の高さよりも低い部分の空間の容積は、重量ゼロで地盤を置換していることになり圧密沈下を軽減化する効果を持つので、浸水リスクと圧密沈下軽減化のための空間確保の間でトレードオフとなる。
【0049】
本実施形態においては、上述の通り、型枠構造1000における底盤コンクリート155と外周立ち上がり部157のコンクリートを同時に打設し、浸水防止の効果が期待できるので、底盤コンクリート155の上面位置を地表面GLより低くして、圧密沈下軽減化のための空間確保が可能である。
【0050】
<本実施形態のシート層>
シート層152は、上述の通り、樹脂ブロック層の上面を覆って設置される。シート層152は、樹脂ブロック層151が、通地中水位が上昇した際に樹脂ブロック層151内に地中の水が浸入する構造であるため、防水性を有することが好ましい。
【0051】
<樹脂板層>
樹脂板層153は、上述の通り、シート層152の上面に設置された、上面が平坦な1以上の樹脂板153aからなる。必要な位置(例えば各立ち上がり部(157、257)など)のみ複数の樹脂板153aを配置して樹脂板層153を構成し、不必要な位置には樹脂板層153が構成されないものであっても良い。
【0052】
樹脂の材料としては、例えばポリプロピレンの様に、剛性があり、傷がつきにくく、荷重たわみ温度も高く、化学安定性(耐薬品性)・耐水性・絶縁性に優れた性質をもっている樹脂を採用することが望ましい。ポリプロピレンは比重が0.91と軽量であり、価格的にも安価であるため好ましい。また、ポリプロピレンは、例えばポリエチレンに比べ軽くて強度に優れ、融点が高いという性質も有するため好ましい。
【0053】
<基礎型枠工法>
次に図4を参照して本願の実施形態に係る基礎型枠工法について説明する。基礎型枠工法は、地盤上に砕石層150を設けるステップS1と、砕石層150の上に、上面が平坦で地盤よりも比重の軽い樹脂ブロック層151を設けるステップS2と、樹脂ブロック層151の上面をシート層152により覆うステップS3と、シート層152の上に樹脂板層153を設けるステップS4と、外周立ち上がり部157が形成されるように、樹脂板層153の上面に複数の第1の型枠支持具100を粘着剤156によって固定するステップS5と、内部立ち上がり部257が形成されるように、樹脂板層153の上面に複数の第2の型枠支持具200を粘着剤によって固定するステップS6と、第1の型枠支持具100または第2の型枠支持具200に型枠パネル110、120、220を支持させるステップS7と、を含む。
【0054】
<<本実施形態による建築物の基礎型枠構造の総合的効果について>>
このような実施形態により、捨てコンクリートを打設する必要がなく、基礎工事の更なる容易化を実現する基礎型枠構造を提供できる。その理由は以下の通りである。
【0055】
本実施形態の基礎型枠構造は、各型枠支持具の各固定解除手段により各型枠の高さ調整が可能な構造で、かつ、樹脂ブロックの上に樹脂板層を設定する構造のため、樹脂板により簡易に、すなわち捨てコンクリートを打設せずに水平面を作ることができる。そして、平坦形状の底面を有する各基部がベースとなり、当該基部や基部の上に備わる鉛直部材によって型枠パネルを設定する型枠支持具の構造であって、樹脂板層の上に各基部を粘着剤で貼り付けることができ、粘着剤だけで樹脂板層の上に型枠支持具を固定し配置できる。
【0056】
本実施形態の基礎型枠構造は、各型枠支持具の各基部を粘着剤によって樹脂板に固定する粘着剤により、各基部を各基部の2以上の長孔部を通して均しコンクリートにコンクリート釘やコンクリートビスで固定する手段と比較して簡易な手段となっている。
【0057】
さらには樹脂ブロックの上に樹脂板層を設定し、型枠支持具を配置する構造のため、部分的な樹脂板層の構成で足りる。よって、材料費の節約とともに、基礎工事の更なる容易化と工期短縮を実現できる。
【0058】
このような実施形態であって、底盤コンクリートの上面が地表面より低い位置関係となっている構造であるものは、地耐力が非常に小さいより軟弱な地盤に対しても安価なコストで圧密沈下防止の効果を得ることができる基礎型枠構造を提供できる。
【0059】
本実施態の基礎型枠構造における樹脂ブロック層は、地盤置換による直下地盤の圧密沈下を軽減化できるため、底盤コンクリートの上面の高さをそれほど低くする必要がないので、外周立ち上がり部や内部立ち上がり部の高さが相対的に高くならず、使用コンクリート量を低減できる。高くした場合には強度確保のために立ち上がり部自体を厚くしたり厚い土台を設ける必要がありコンクリート量が増大する。
【0060】
また、底盤コンクリートの上面が地表面よりも低い位置である構造と樹脂ブロック層を設けた構造とすることとは、互いに協働して安価なコストで高い地盤置換の効果をもたらし、地耐力が小さい軟弱な地盤に対しても安価なコストで圧密沈下防止の効果を得ることができる。
【0061】
さらには、上述の通り、樹脂ブロック層と型枠支持具等により捨てコンクリートを使わない構成とすることができ、軽量の樹脂板層による地盤置換が可能で直下地盤の圧密沈下を軽減できるとともに、コンクリート量を減らすことが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
以上のように本発明による基礎型枠構造は、捨てコンクリートを打設する必要がなく、かつ、基礎工事の更なる容易化を実現する基礎型枠構造を提供できる点で有用である。
【符号の説明】
【0063】
100 第1の型枠支持具
101 第1の基部
101a 屈折端部
101b 仮止め用孔部
102 第1の鉛直部材
102a 第1の固定部
103 第2の鉛直部材
103a 第2の固定部
104 第1の水平部材
104a、204a 突起片
105 第1の固定解除手段
106 第1のパネル支持部
107 第2のパネル支持部
110 第1の型枠パネル
111 第1の下部レール
112 上部レール
120 第2の型枠パネル
121 第2の下部レール
130 幅止め具
131 主部
131a 切り欠き部
131b 突起部
131d 孔部
132 補強材保持部
132a 貫通孔部
134a 仮止め具
140 補強材
140a 懸垂材
141a 仮止め部材
150 砕石層
151 樹脂ブロック層
151a 樹脂ブロック
152 シート層
153 樹脂板層
154、251、254 鉄筋
155、255 底盤コンクリート
156 粘着剤
157 外周立ち上り部
200 第2の型枠支持具
201 第2の基部
203 第3の鉛直部材
204 第2の水平部材
205 第2の固定解除手段
207 第3のパネル支持部
257 内部立ち上り部
1000 外周立ち上がり部位置の型枠構造
2000 内部立ち上がり部位置の型枠構造
GL 地表面
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2023-03-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地盤上に設けられた砕石層と、
前記砕石層の上に設けられ、上面が平坦で地盤よりも比重の軽い樹脂ブロック層と、
前記樹脂ブロック層の上面を覆うシート層と、
前記シート層の上に設けられた樹脂板層と、
外周立ち上がり部が形成されるように、粘着剤によって前記樹脂板層の上面に固定された複数の第1の型枠支持具と、
内部立ち上がり部が形成されるように、粘着剤により前記樹脂板層の上面に固定された複数の第2の型枠支持具と、
前記第1の型枠支持具または前記第2の型枠支持具によって支持された複数の型枠パネルと、
を備え、
前記地盤の表面が前記型枠パネルの下端と上端の間の高さにあり、
前記型枠パネルが鋼板パネルであり、
コンクリートを打設する前の状態において、前記外周立ち上がり部の外側の前記鋼板パネルの下部が前記地盤に埋まっている基礎型枠構造。
【請求項2】
前記樹脂ブロック層は、上面が平坦な1以上の樹脂ブロックからなり、前記樹脂ブロックは通水性の開口部を有することで地中水位が上昇した際に前記樹脂ブロック層内に地中の水が浸入する構造を有する請求項1に記載の基礎型枠構造。
【請求項3】
各前記第1の型枠支持具は、
平坦形状の底面を有する第1の基部と、
前記第1の基部から上方に延びる第1の鉛直部材と、
前記第1の基部から上方に延びる第2の鉛直部材と、
前記第1の鉛直部材と前記第2の鉛直部材の間に架け渡された第1の水平部材と、を有し、
前記第2の鉛直部材は、前記第2の鉛直部材に対する前記第1の水平部材の固定状態と固定解除状態を切り替え可能な第1の固定解除手段を含み、
前記第1の基部は、前記第1の鉛直部材の外側で、前記複数の型枠パネルに含まれる第1の型枠パネルを垂直方向に支持する第1のパネル支持部を含み、
前記第1の水平部材は、前記第2の鉛直部材の内側で、前記複数の型枠パネルに含まれる第2の型枠パネルを垂直方向に支持する、第2のパネル支持部を含む請求項1に記載の基礎型枠構造。
【請求項4】
各前記第2の型枠支持具は、
平坦形状の底面を有する第2の基部と、
前記第2の基部から上方に延びる一対の第3の鉛直部材と、
一対の前記第3の鉛直部材の間に架け渡された第2の水平部材と、
を有し、
各前記第3の鉛直部材は、前記第3の鉛直部材に対する前記第2の水平部材の固定状態と固定解除状態を切り替え可能な第2の固定解除手段を含み、
前記第2の水平部材は、各前記第3の鉛直部材の内側で前記型枠パネルを支持する一対の第3のパネル支持部を含む請求項1に記載の基礎型枠構造。
【請求項5】
地盤上に砕石層を設けるステップと、
前記砕石層の上に、上面が平坦で地盤よりも比重の軽い樹脂ブロック層を設けるステップと、
前記樹脂ブロック層の上面をシート層により覆うステップと、
前記シート層の上に樹脂板層を設けるステップと、
外周立ち上がり部が形成されるように、前記樹脂板層の上面に複数の第1の型枠支持具を粘着剤によって固定するステップと、
内部立ち上がり部が形成されるように、前記樹脂板層の上面に複数の第2の型枠支持具を粘着剤によって固定するステップと、
前記第1の型枠支持具または前記第2の型枠支持具に型枠パネルとして鋼板パネルを支持させるステップと、
コンクリートを打設する前に、前記外周立ち上がり部の外側の前記鋼板パネルの下部を、前記地盤の表面が前記型枠パネルの下端と上端の間の高さになるまで前記地盤に埋めるステップと、
を含む基礎型枠工法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
地盤上に設けられた砕石層と、
前記砕石層の上に設けられ、上面が平坦で地盤よりも比重の軽い樹脂ブロック層と、
前記樹脂ブロック層の上面を覆うシート層と、
前記シート層の上に設けられた樹脂板層と、
外周立ち上がり部が形成されるように、粘着剤によって前記樹脂板層の上面に固定された複数の第1の型枠支持具と、
内部立ち上がり部が形成されるように、粘着剤により前記樹脂板層の上面に固定された複数の第2の型枠支持具と、
前記第1の型枠支持具または前記第2の型枠支持具によって支持された複数の型枠パネルと、
を備え、
前記地盤の表面が前記型枠パネルの下端と上端の間の高さにあり、
前記型枠パネルが鋼板パネルであり、
コンクリートを打設する前の状態において、前記外周立ち上がり部の外側の前記鋼板パネルの下部が前記地盤に埋まっている基礎型枠構造とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
地盤上に砕石層を設けるステップと、
前記砕石層の上に、上面が平坦で地盤よりも比重の軽い樹脂ブロック層を設けるステップと、
前記樹脂ブロック層の上面をシート層により覆うステップと、
前記シート層の上に樹脂板層を設けるステップと、
外周立ち上がり部が形成されるように、前記樹脂板層の上面に複数の第1の型枠支持具を粘着剤によって固定するステップと、
内部立ち上がり部が形成されるように、前記樹脂板層の上面に複数の第2の型枠支持具を粘着剤によって固定するステップと、
前記第1の型枠支持具または前記第2の型枠支持具に型枠パネルとして鋼板パネルを支持させるステップと、
コンクリートを打設する前に、前記外周立ち上がり部の外側の前記鋼板パネルの下部を、前記地盤の表面が前記型枠パネルの下端と上端の間の高さになるまで前記地盤に埋めるステップと、
を含む基礎型枠工法とする。