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特開2024-106240情報処理プログラム、情報処理装置及び情報処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106240
(43)【公開日】2024-08-07
(54)【発明の名称】情報処理プログラム、情報処理装置及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 30/18 20200101AFI20240731BHJP
   H04W 16/18 20090101ALI20240731BHJP
【FI】
G06F30/18
H04W16/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023010474
(22)【出願日】2023-01-26
(71)【出願人】
【識別番号】000141060
【氏名又は名称】株式会社関電工
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】持田 雅志
(72)【発明者】
【氏名】金子 潔
(72)【発明者】
【氏名】板野 純希
(72)【発明者】
【氏名】並木 淳
【テーマコード(参考)】
5B146
5K067
【Fターム(参考)】
5B146AA14
5B146DE03
5B146DJ14
5B146FA02
5K067AA21
5K067EE10
5K067EE16
5K067FF23
(57)【要約】
【課題】アンテナ設置位置に加えて、送受信装置からアンテナまでの配線経路、又は、経路途中に電波分配器があるか否かの情報をフロア平面図に重畳表示する画面を出力する情報処理プログラム、情報処理装置及び情報処理方法を提供すること。
【解決手段】情報処理プログラムは、施設内のフロア平面図を取得し、前記フロアに設置する移動通信システム用アンテナの設置位置、アンテナケーブルの配線経路、並びに電波分配器の位置を取得し、取得した前記設置位置、前記配線経路、及び、前記電波分配器の情報、並びに、前記アンテナのカバーエリアを、前記フロア平面図に重畳表示する画面を出力する処理をコンピュータに行わせる。
【選択図】図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設内のフロア平面図を取得し、
前記フロアに設置する移動通信システム用アンテナの設置位置、アンテナケーブルの配線経路、並びに電波分配器の位置を取得し、
取得した前記設置位置、前記配線経路、及び、前記電波分配器の情報、並びに、前記アンテナのカバーエリアを、前記フロア平面図に重畳表示する画面を出力する
処理をコンピュータに行わせる情報処理プログラム。
【請求項2】
前記アンテナのカバーエリアは、前記アンテナケーブルの長さ及び太さに基づき求める
請求項1に記載の情報処理プログラム。
【請求項3】
前記フロア平面図を複数取得し、
取得したフロアごとに、前記アンテナのカバーエリアを、前記フロア平面図に重畳表示する
請求項1又は請求項2に記載の情報処理プログラム。
【請求項4】
前記アンテナは前記施設に設置する基地局を構成する送受信機に接続され、前記アンテナのカバーエリアは、前記送受信機からの距離に基づき求める
請求項1又は請求項2に記載の情報処理プログラム。
【請求項5】
前記設置位置、前記配線経路、及び、前記電波分配器に関する情報を対応付けた表データを記憶する
請求項1又は請求項2に記載の情報処理プログラム。
【請求項6】
前記施設の立面図を取得し、
取得した前記立面図に、前記設置位置、前記配線経路、及び、前記電波分配器の情報を重畳表示した図面を出力する
請求項1又は請求項2に記載の情報処理プログラム。
【請求項7】
前記設置位置、前記配線経路、及び、前記電波分配器の情報、並びに、前記アンテナのカバーエリアが重畳表示された前記フロア平面図に対する更新内容を受け付け、
受け付けた前記更新内容に基づいて、前記表データを更新する
請求項5に記載の情報処理プログラム。
【請求項8】
前記表データへの更新内容を受け付け、
受け付けた前記更新内容に基づいて、前記設置位置、前記配線経路、及び、前記電波分配器の情報、並びに、前記アンテナのカバーエリアが重畳表示された前記フロア平面図を更新する
請求項5に記載の情報処理プログラム。
【請求項9】
施設内のフロア平面図を取得する第1取得部と、
前記フロアに設置する移動通信システム用アンテナの設置位置、アンテナケーブルの配線経路、並びに電波分配器の位置を取得する第2取得部と
取得した前記設置位置、前記配線経路、及び、前記電波分配器の情報、並びに、前記アンテナのカバーエリアを、前記フロア平面図に重畳表示する画面を出力する出力部と
を備える情報処理装置。
【請求項10】
コンピュータが、
施設内のフロア平面図を取得し、
前記フロアに設置する移動通信システム用アンテナの設置位置、アンテナケーブルの配線経路、並びに電波分配器の位置を取得し、
取得した前記設置位置、前記配線経路、及び、前記電波分配器の情報、並びに、前記アンテナのカバーエリアを、前記フロア平面図に重畳表示する画面を出力する
処理を行う情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナの位置を平面図に重畳表示する情報処理プログラム、情報処理装置及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
移動通信システムの普及に伴い、場所に関わらず常に通信可能であることが求められている。そのため、外部からの電波が届きにくい施設内でも安定した通信環境を提供するために、無線基地局の施設内設置が行われている。無線基地局の設置のための設計においては、アンテナの設置位置と電波出力レベルが重要である。施設内の環境に従った、適した本数のアンテナを適した位置に設置し、適切なレベルで電波を出力しなければ、通信が行えない空白地帯が発生してしまうからである。
【0003】
アンテナの配置を設計する際、まず、施設の平面図や立面図を用いて、図面上で配置や配線等を机上設計する。机上設計に基づきアンテナの配置を示す平面図が作成される。その後、施設に赴いて行う現場調査、設計通りに個々のアンテナを配置することが可能か否か確認され、変更がある場合は、その変更を平面図に反映する必要がある。その後、設置工事が行われるが、その際に、変更が生じる場合があり、その際にも図面の変更が必要となる。このようにアンテナの配置設計や設置工事においては、図面の参照、変更が複数回、生じる。そのため、アンテナの設置位置を示した図面を一括管理し、必要に応じて参照、変更が行えるシステムが望まれる。
【0004】
同様な状況は、無線LANのアクセスポイントを設置する際にも生じており、例えば、特許文献1には、無線LANのアクセスポイントを平面図に表示するシステムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004-304255号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記従来技術は、無線基地局アンテナの配置設計等に活用できない。アンテナの配置設計などの場合には、アンテナの設置位置、送受信装置からアンテナまでの配線経路、経路途中に電波分配器があるか否かの情報など、無線LANのアクセスポイントの場合とは、異なる情報を扱う必要があるからである。
【0007】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものである。その目的は、アンテナ設置位置に加えて、送受信装置からアンテナまでの配線経路、又は、経路途中に電波分配器があるか否かの情報をフロア平面図に重畳表示する画面を出力する情報処理プログラム、情報処理装置及び情報処理方法の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願の一態様に係る情報処理プログラムは、施設内のフロア平面図を取得し、前記フロアに設置する移動通信システム用アンテナの設置位置、アンテナケーブルの配線経路、並びに電波分配器の位置を取得し、取得した前記設置位置、前記配線経路、及び、前記電波分配器の情報、並びに、前記アンテナのカバーエリアを、前記フロア平面図に重畳表示する画面を出力する処理をコンピュータに行わせる。
【発明の効果】
【0009】
本願の一態様にあっては、アンテナ設置位置に加えて、送受信装置からアンテナまでの配線経路、又は、経路途中に電波分配器があるか否かの情報をフロア平面図に重畳表示する画面を出力することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】設計システムの構成例を示す説明図である。
図2】情報処理装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。
図3】事業所端末のハードウェア構成例を示すブロック図である。
図4】現場端末のハードウェア構成例を示すブロック図である。
図5】ユーザDBの例を示す説明図である。
図6】案件DBの例を示す説明図である。
図7】業務フローの例を示す説明図である。
図8】平面図の例である。
図9】平面図の例である。
図10】平面図の例である。
図11】立面図の例である。
図12】設計シートの例である。
図13】案件登録処理の手順例を示すフローチャートである。
図14】更新処理の手順例を示すフローチャートである。
図15】更新内容反映処理の手順例を示すフローチャートである。
図16】平面図の他の例である。
図17】立面図の他の例である。
図18】設計シートの他の例である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下実施の形態を、図面を参照して説明する。図1は設計システムの構成例を示す説明図である。設計システム100は、施設内に移動通信システムの無線基地局を設置するに際して、移動通信システム用アンテナの配置、アンテナケーブルの配線経路等を設計することが可能なシステムである。設計システム100は情報処理装置1、事業所端末2及び現場端末3を含む。情報処理装置1、事業所端末2及び現場端末3は、ネットワークNにより、互いに通信可能に接続されている。図1において、事業所端末2及び現場端末3は各1台を表示しているが、それぞれ2台以上でもよい。
【0012】
情報処理装置1はサーバコンピュータ、ワークステーション、PC(Personal Computer)等で構成する。情報処理装置1を複数のコンピュータからなるマルチコンピュータ、ソフトウェアによって仮想的に構築された仮想マシン又は量子コンピュータで構成してもよい。さらに、情報処理装置1の機能をクラウドサービスで実現してもよい。
【0013】
事業所端末2は主として事業所において、ユーザがアンテナ配置等の設計を行う際に使用する端末を想定している。事業所端末2はデスクトップPC、ノートパソコン、タブレットコンピュータ等で構成する。
【0014】
現場端末3は主として施工現場において、ユーザが設計図を参照、又は、設計の変更を行う際に使用する端末を想定している。現場端末3は、タブレットコンピュータ、ノートパソコン、スマートフォン等で構成する。
【0015】
図2は情報処理装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。情報処理装置1は制御部11、主記憶部12、補助記憶部13、通信部14及び読み取り部15を含む。制御部11、主記憶部12、補助記憶部13、通信部14及び読み取り部15はバスBにより接続されている。
【0016】
制御部11は、一又は複数のCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等の演算処理装置を有する。制御部11は、補助記憶部13に記憶された制御プログラム1P(プログラム、プログラム製品)を読み出して実行することにより、情報処理装置1に係る種々の情報処理、制御処理等を行い、第1取得部、第2取得部及び出力部等の機能部を実現する。
【0017】
主記憶部12は、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、フラッシュメモリ等である。主記憶部12は主として制御部11が演算処理を実行するために必要なデータを一時的に記憶する。
【0018】
補助記憶部13はハードディスク又はSSD(Solid State Drive)等であり、制御部11が処理を実行するために必要な制御プログラム1Pや各種DB(Database)を記憶する。補助記憶部13は、ユーザDB131、案件DB132、図面DB133、及び設計シートDB134を記憶する。補助記憶部13は情報処理装置1と別体で外部接続された外部記憶装置であってもよい。補助記憶部13に記憶する各種DB等を、情報処理装置1とは異なるデータベースサーバやクラウドストレージに記憶してもよい。
【0019】
通信部14はネットワークNを介して、事業所端末2、現場端末3と通信を行う。また、制御部11が通信部14を用い、ネットワークN等を介して他のコンピュータから制御プログラム1Pをダウンロードし、補助記憶部13に記憶してもよい。
【0020】
読み取り部15はCD(Compact Disc)-ROM及びDVD(Digital Versatile Disc)-ROMを含む可搬型記憶媒体1aを読み取る。制御部11が読み取り部15を介して、制御プログラム1Pを可搬型記憶媒体1aより読み取り、補助記憶部13に記憶してもよい。また、半導体メモリ1bから、制御部11が制御プログラム1Pを読み込んでもよい。
【0021】
図3は事業所端末のハードウェア構成例を示すブロック図である。事業所端末2は制御部21、主記憶部22、補助記憶部23、通信部24、入力部25及び表示部26を含む。制御部21、主記憶部22、補助記憶部23、通信部24、入力部25及び表示部26はバスBにより接続されている。
【0022】
制御部21は、一又は複数のCPU、MPU、GPU等の演算処理装置を有する。制御部21は、補助記憶部23に記憶された制御プログラム2P(プログラム、プログラム製品)を読み出して実行することにより、種々の機能を提供する。
【0023】
主記憶部22は、SRAM、DRAM、フラッシュメモリ等である。主記憶部22は主として制御部21が演算処理を実行するために必要なデータを一時的に記憶する。
【0024】
補助記憶部23はハードディスク又はSSD等であり、制御部21が処理を実行するために必要な各種データを記憶する。補助記憶部23は事業所端末2に接続された外部記憶装置であってもよい。補助記憶部23に記憶する各種DB等を、データベースサーバやクラウドストレージに記憶してもよい。
【0025】
通信部24はネットワークNを介して、情報処理装置1と通信を行う。また、制御部21が通信部24を用い、ネットワークN等を介して他のコンピュータから制御プログラム2Pをダウンロードし、補助記憶部23に記憶してもよい。
【0026】
入力部25はキーボードやマウスである。表示部26は液晶表示パネル等を含む。表示部26は情報処理装置1が出力した図面や設計シートなどを表示する。入力部25と表示部26とを一体化し、タッチパネルディスプレイを構成してもよい。なお、事業所端末2は外部の表示装置に表示を行ってもよい。
【0027】
図4は現場端末のハードウェア構成例を示すブロック図である。現場端末3は制御部31、主記憶部32、補助記憶部33、通信部34、表示パネル35及び操作部36を含む。制御部31、主記憶部32、補助記憶部33、通信部34、表示パネル35及び操作部36はバスBで接続されている。
【0028】
制御部31は、一又は複数のCPU、MPU、GPU等の演算処理装置を有する。制御部31は、補助記憶部33に記憶された制御プログラム3P(プログラム、プログラム製品)を読み出して実行することにより、種々の機能を提供する。
【0029】
主記憶部32は、SRAM、DRAM、フラッシュメモリ等である。主記憶部32は主として制御部31が演算処理を実行するために必要なデータを一時的に記憶する。
【0030】
補助記憶部33はハードディスク又はSSD等であり、制御部31が処理を実行するために必要な各種データを記憶する。補助記憶部33は現場端末3と別体で、外部接続された外部記憶装置であってもよい。補助記憶部33に記憶する各種DB等を、データベースサーバやクラウドストレージに記憶してもよい。
【0031】
通信部34はネットワークNを介して、情報処理装置1と通信を行う。また、制御部31が通信部34を用い、ネットワークN等を介して他のコンピュータから制御プログラム3Pをダウンロードし、補助記憶部33に記憶してもよい。
【0032】
表示パネル35は、液晶パネル又は有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等で構成することができる。操作部36は、例えば、表示パネル35に組み込まれたタッチパネルで構成することができ、ユーザが表示パネル35上で行う所定の操作を行うことができる。また、操作部36は、表示パネル35に表示したソフトウェアキ-ボード上の操作を行うことができる。なお、操作部36は、ハードウェアキーボード、マウスなどでもよい。
【0033】
次にデータベースについて説明する。図5はユーザDBの例を示す説明図である。ユーザDB131はユーザID列、氏名列、所属列及びE-mail列を含む。ユーザID列はユーザを一意に特定可能なID、例えば社員番号を記憶する。氏名列はユーザの氏名を記憶する。所属列はユーザの所属を記憶する。E-mail列はユーザの電子メールアドレスを記憶する。
【0034】
図6は案件DBの例を示す説明図である。案件DB132は案件ID列、局名列及び階数列を含む。案件ID列は案件を一意に特定可能なIDを記憶する。局名列は設置する無線基地局の名称を記憶する。階数列は無線基地局を設置する建物の階数を記憶する。
【0035】
図面DB133は平面図、立面図等の図面データを記憶する。図面データはベクタデータであってもよいし、ラスタデータであってもよい。
【0036】
設計シートDB134は設計シートの内容を記憶する。設計シートDBは、アンテナの設置位置、送受信機からの配線経路、経路途中に設置する電波分配器、及びアンテナ出力それぞれに関する情報を対応付けた電波減衰量、電波出力レベルの設計データを記憶する。設計データは表形式で表示可能な表データである。表計算ソフトウェア(スプレッドシート)のデータと同様に、他の値から計算によって求まる値がある場合、当該計算の方法を示す計算式のデータも、設計シートDB134は記憶してもよい。
【0037】
続いて、業務フローについて説明する。図7は業務フローの例を示す説明図である。無線基地局の設置工事を受注したら、発注者から平面図データ、立面図データ等の図面データを受領する。この段階での図面データはCAD(Computer-Aided Design)データ等のベクタデータではなく、ラスタデータであることも想定される。設計担当ユーザは受領した図面データを用いて机上設計を行う(ステップS1)。机上設計は図面から得られる情報を用いて無線基地局の設計を行うことである。設計には、送受信機の配置、アンテナや分配器の配置、送受信機からアンテナまでの信号線の配線経路等を含む。なお、図面には発注者が検討したアンテナ配置が含まれている場合がある。このような場合、発注者の検討結果を出来る限り活かすように設計することが望ましい。机上設計においては、各機材の仕様、規格に基づき、各アンテナの出力を算出し、通信可能なエリアの推定も含む。机上設計が完了したら、現地調査を行う(ステップS2)。施工担当ユーザは机上検討で作成した設計に沿った施工が可能であるか否かを、現地で確認する。施工担当ユーザは確認の結果、設計変更が必要となった場合、その変更を図面データ等に反映し、変更を反映した結果を確認する(ステップS3)。なお、設計担当ユーザと施工担当ユーザが異なる場合、結果を確認するのは、主に設計担当ユーザとなる。机上設計の完了後、現地調査の前後で、無線基地局を設置する建物のオーナから設置の承認を正式に取り付け、平面図、立面図のCADデータを受領する。設計担当ユーザは本設計を行い、設計図書を作成する(ステップS4)。設計担当ユーザは設定図書を発注者に納品する。発注者は設計図書を利用して、別途、無線基地局の設置許可申請(免許申請)を行政機関、例えば総務省に対して行う。設計図書を基に工事を行う(ステップS5)。施工担当ユーザがアンテナ等の設置工事、配線工事を行う。施工担当ユーザは工事完了後、竣工図を作成し(ステップS6)、業務を完了する。竣工図は必要に応じて、発注者に納品される。
【0038】
次に、設計システム100で扱う図面を例示する。以下に示す図面は、建物の地下1階、1階及び3階にアンテナ配置をする場合の例である。図8から図10はフロアごとの平面図(フロア平面図)の例である。図8は地下1階の平面図の例である。地下1階においては、アンテナ2機を配置する設計となっている。
【0039】
図8の例では、右上の非常用発電機室内に送受信装置APが設置されている。M1、M2は、それぞれ第1の装置、第2の装置であり、分配器又は分岐器である。C1、C2及びC3はアンテナケーブルを示している。アンテナケーブルは、例えば同軸ケーブルで構成する。
【0040】
図9は1階の平面図の例である。1階においては、アンテナ4機を配置する設計となっている。図10は3階の平面図の例である。3階においては、アンテナ4機を配置する設計となっている。各平面図には、幅方向及び奥行方向について、大まかな寸法が入っている。各平面図において黒丸がアンテナの配置位置である。各アンテナ位置に付されているのが、アンテナの順番号である。円又は楕円は、アンテナ毎に推定した通信可能範囲(カバーエリア)を示す。当該範囲は、送受信機の出力、アンテナの性能、送受信機からアンテナまでのケーブルや、途中に設けられる分配器等による損失等を考慮して推定することが可能である。
【0041】
図11は立面図の例である。図11に示す立面図は、図8から図10に示した平面図において紙面下方から上方に向けて建物を見た場合の図面である。立面図においては、各階について、床面を基準とした天井の高さが入っている。図11において、アンテナは地下1階に2機、1階に4機、3階に4機が描かれており、図8から10で示した平面図と整合している。図8から図11において、平面図、立面図に加えて、設置するアンテナの型式や仕様、設置する電波分波器の型式や仕様、信号ケーブルの型式や長さを示す一覧を表示してもよい。
【0042】
続いて、設計シートについて説明する。図12は設計シートの例である。設計シートは、アンテナの設置位置、送受信機からの配線経路、経路途中に設置する電波分配器、及びアンテナ出力それぞれに関する情報を対応付け、表形式で記憶する。設計シートは、装置列、ANT列、系統列、Floor列、標高列、装置列、及びフィーダ構成列を含む。装置列は送受信機の形式等を記憶する。ANT列はアンテナの順番号を含むデータを記憶する。系統列は設計する電波の系統を記憶する。系統列はキャリア列及び周波数帯列を含む。キャリア列は無線基地局が通信業者の基地局と機能する場合に、通信業者を示す値を記憶する。無線基地局がローカル5G等に含まれる局である場合、キャリア列は空白又はローカル局を示す値、例えばlocalを記憶する。周波数帯列は電波の周波数帯を記憶する。周波数帯が800MHz帯の場合、周波数帯列は800Mを記憶する。Floor列はアンテナが設置される階数の情報を記憶する。Floor列は階数列及び天井高列を含む。階数列はアンテナが設置される階を記憶する。天井高列はアンテナ設置される階の天井高、床面から天井までの高さを記憶する。単位はメートル(m)である。標高列は標高に関する情報を記憶する。標高列は海抜高列及び地上高列を含む。海抜高は階の海抜高を記憶する。単位はメートル(m)である。地上高は階の地上高を記憶する。単位はメートル(m)である。階の海抜高は地表の海抜高に地上高を加えた値となるが、地上高列には値が入力されていないため、海抜高列の値は一律となっている。装置列は送受信機の出力能力を記憶する。装置列は装置Total Power列及び装置Pilot Power列を含む。装置Total Power列は送受信機の出力パワーを記憶する。装置Pilot Power列はパイロットチャネルの出力パワーを記憶する。装置Total Power列及び装置Pilot Power列の単位は、dBm/FAである。dBmはデシベルミリワットである。FAはFrequency Assignment(周波数割当)である。フィーダ構成列は、送受信機からアンテナまでの伝送路に関する情報を記憶する。フィーダ構成列は4種類の列を複数含む。第1種の列は、「装置~第1」、「第1~第2」、「第2~第3」、「第3~第4」等の名称が付された列である。第1種の列は機器間を結ぶ信号ケーブルの長さを記憶する。長さの単位はメートル(m)である。第2種の列は「Cable Maker」の名称が付された列である。第2種の列は機器間を結ぶケーブルの種別を記憶する。10Dはケーブルの太さがおよそ13mmであることを示す。8Dはケーブルの太さがおよそ11mmであることを示す。第1種及び第2種の列により、機器間を結ぶケーブルの情報となる。第3種の列は「第1」、「第2」、「第3」等の名称が付された列である。第3種の列は機器による電力ロスを記憶する。第4種の列は「HYB or CUP」の名称が付された列である。第4種の列は機器の種類を記憶する。HYBは入力信号を2つ以上の出力に等しく分配する分配器を示す。CUPは入力信号を2つ以上の出力に分けるが、出力端子毎に出力強度が異なる分岐器を示す。第3種及び第4種の列により、機器の情報となる。第1種から第4種の列は十分な数だけ繰り返し設けられている。第1種から第4種の列のすべてに値が入力されている必要はなく、アンテナまでの経路に則した列に値が入力されていればよい。ANT Type列はアンテナ型式を記憶する。ANT偏波面列は偏波の種別を記憶する。Hは水平偏波を示す、Vは垂直偏波を示す。ANT Gain列はアンテナの利得を記憶する。アンテナ利得の単位はデシベル(dB)である。図12では、アイソトロピックアンテナを基準にした絶対利得を示しているので、単位はdBiとなる。ANT指向方向列は、アンテナに指向性がある場合、指向性を示す角度を記憶する。単位は度である。無指向性の場合、空白である。ANT半値幅列は半値幅を記憶する。半値幅は、電界強度が最大放射方向の1/2(デシベルで-3dB、電力で1/2)となる2点間の幅の角度である。単位は度である。Total Cable Loss列は、送受信機からアンテナに至るまでの経路を構成するケーブルによる損失の合計値を記憶する。当該損失は、フィーダ構成列に記憶した、ケーブルの太さ、ケーブル長、ケーブルの太さに対応する単位長さあたりの損失に基づいて算出する。Total 分配器 Loss列は、送受信機からアンテナに至るまでの経路上にある分配器又は分岐器による損失の合計値を記憶する。当該損失は、フィーダ構成列に記憶した各機器の損失値を足し合わせて求める。Total Filter Loss列は、送受信機からアンテナに至るまでの経路上にあるフィルタによる損失の合計値を記憶する。Total System Loss列は、送受信機からアンテナに至るまでの経路での損失の合計値を記憶する。当該損失は、Total Cable Loss列、Total 分配器 Loss列、Total Filter Loss列それぞれの値を足し合わせた値となる。以上述べた損失の単位はデシベル(dB)である。ANT Total EIRP列はアンテナの送信電力を記憶する。単位はデシベルミリワット(dBm)である。送信電力は、装置Total Power列、ANT Gain列、Total System Loss列それぞれの値に基づいて算出する。装置Total Power列の値と、ANT Gain列の値と足し合わせ、足し合わせた値からTotal System Loss列の値を引いた値が、ANT Total EIRP列の値となる。ANT Pilot EIRP列は、アンテナのパイロットチャネルについての送信電力を記憶する。ANT Total EIRP列の値と同様で、装置Total Pilot列の値と、ANT Gain列の値と足し合わせ、足し合わせた値からTotal System Loss列の値を引いた値が、ANT Pilot EIRP列の値となる。
【0043】
次に、設計システム100が行う情報処理について説明する。図13は案件登録処理の手順例を示すフローチャートである。案件登録処理は、新たな発生した案件を設計システム100へ登録する際に実行する。ユーザは事業所端末2を操作して案件登録の指示をする。事業所端末2の制御部21は登録要求を情報処理装置1へ送信する(ステップS21)。情報処理装置1の制御部11は登録要求を受信する(ステップS22)。制御部11は登録画面を事業所端末2へ送信する(ステップS23)。事業所端末2の制御部21は登録画面を受信し、表示する(ステップS24)。ユーザは案件情報、例えば、局の名称、建物名、建物所在地、階数等の情報を入力する。制御部21は入力を受け付ける(ステップS25)。また、ユーザは発注者から受領した図面データを添付する。制御部21は受け付けた案件情報及び図面データを情報処理装置1へ送信する(ステップS26)。情報処理装置1の制御部11は案件情報及び図面データを受信し、案件情報を案件DB132に、図面データを図面DB133に記憶する(ステップS27)。制御部11は新たな案件IDを発番し、発番したと対応付けて、案件情報と図面データとを記憶する。制御部11は完了通知を事業所端末2へ送信する(ステップS28)。事業所端末2の制御部21は完了通知を受信、表示し(ステップS29)、処理を終了する。
【0044】
図14は更新処理の手順例を示すフローチャートである。更新処理は、ユーザが図面、設計シートを更新する際に行われる処理である。ここでの更新は図面を新たに起こすことも含む。ユーザは事業所端末2を操作して更新の指示をする。更新の指示には、対象案件の案件ID、更新対象(平面図、立面図、設計)等の指示を含む。事業所端末2の制御部21は更新の要求を情報処理装置1へ送信する(ステップS41)。情報処理装置1の制御部11は要求を受信する(ステップS42)。制御部11は更新対象に適合した編集画面を事業所端末2へ送信する(ステップS43)。制御部11は更新対象の図面が図面DB133に記憶されている場合、又は、更新対象の設計シートが設計シートDB134に既に記憶されている場合、図面又は設計シートを編集画面に埋め込んで、事業所端末2へ送信する。事業所端末2の制御部21は編集画面を受信し、表示する(ステップS44)。ユーザは編集画面で図面や設計シートの新規作成や更新を行う。制御部21は新規作成や変更などの更新内容を受け付ける(ステップS45)。制御部21は更新内容を情報処理装置1へ送信する(ステップS46)。情報処理装置1の制御部11は更新内容を受信する(ステップS47)。制御部11は更新内容反映処理を行う(ステップS48)。制御部11は更新内容反映後のデータに基づく画面を生成する(ステップS49)。制御部11は生成した画面を事業所端末2へ送信する(ステップS50)。事業所端末2の制御部21は画面を受信、表示する(ステップ51)。ユーザは終了するか、更新を継続するかを事業所端末2へ指示する。制御部21は終了するか否かを判定する(ステップS52)。制御部21は終了しないと判定した場合(ステップS52でNO)、処理をステップ45へ戻す。制御部21は終了すると判定した場合(ステップS52でYES)、処理を終了する。
【0045】
図15は更新内容反映処理の手順例を示すフローチャートである。更新内容反映処理は図14のステップS48に対応する処理である。情報処理装置1の制御部11は更新内容が図面の更新であるか否かを判定する(ステップS61)。制御部11は図面の更新であると判定した場合(ステップS61でYES)、他図面へ更新内容を反映するか否かを判定する(ステップS62)。更新内容がアンテナや分配器などの機器の追加又は削除、機器の設置位置変更、アンテナと機器とを結ぶケーブルの配線変更が更新内容に含まれる場合、他図面へ反映すると、制御部11は判定する。位置や配線が変更されることなく、アンテナや機器の機種や型式等の変更の場合、他図面へ反映はしないと、制御部11は判定する。制御部11は他図面へ更新内容を反映すると判定した場合(ステップS62でYES)、他の図面へ更新内容を反映する(ステップS63)。例えば、平面図上で機器が追加され、新たなケーブル配線が追加された場合、その内容を立面図に反映させる。また、立面図が更新された場合、制御部11は平面図に更新内容を反映する。立面図において機器が追加された場合、奥行方向の位置が確定しないため、平面図上に仮置き状態にし、ユーザに平面図を更新するように通知してもよい。制御部11は処理をステップS64へ進める。制御部11は他図面へ更新内容を反映しないと判定した場合(ステップS62でNO)、変更内容を設計シートに反映する(ステップS64)。アンテナが追加された場合、制御部11は設計シートのレコードを追加する。分配器や分岐器が追加され、配線がされた場合、設計シートのフィーダ構成列を更新する。図面の更新内容に、アンテナや分配器又は分岐器の桁式、ケーブルの太さが含まれていない場合、ユーザに設定を促す通知をしてもよい。制御部11は処理を呼び出し元へ戻す。制御部11は図面の更新でないと判定した場合(ステップS61でNO)、設計シートの更新内容を図面へ反映する(ステップS65)。設計シートにおいて、機器やケーブルが追加された場合、正確な位置や配線経路は確定しないので、図面上に仮置き状態にし、ユーザに図面を更新するように通知してもよい。制御部11は処理を呼び出し元へ戻す。制御部11は図14のステップS49以降を実行する。
【0046】
次に、図面の編集例を示す。図16は平面図の他の例である。図16は、図8に示した平面図を編集した後を示している。図16では図8の状態からアンテナが1機増設されている。また、増設前の番号2のアンテナは番号が3に変更され、増設したアンテナの番号2となっている。図17は立面図の他の例である。図17は、平面図での変更が図11に示した立面図に反映された後の図である。地階1階にアンテナが1機増設されている。他の階については、アンテナが増設されたことにより、アンテナ番号が1つ後ろにずれている。1階のアンテナ番号は、3~6から4~7へ変更、3階のアンテナ番号は、7~10から8~11へ変更されている。図18は設計シートの他の例である。図18は、平面図での変更が図12に示した設計シートに反映された後のシートである。番号2(ANT-2)のアンテナが追加されたので、2行追加されている。フィーダ構成列はまだ設定されていない状態である。
【0047】
本実施の形態は、以下の効果を奏する。平面図において、アンテナ設置位置に加えて、送受信装置からアンテナまでの配線経路、又は、経路途中に電波分配器があるか否かの情報を重畳表示する画面を出力可能である。また、平面図の変更を、立面図及び設計シートに反映可能である。設計シートにより、設置する各アンテナのEIRPを求めることができるので、平面図において、推定した通信可能エリアを表示することが可能となる。
【0048】
なお、平面図において、通信可能なエリアを表示する際には、EIRPの大小によって、色分けをしてもよい。また、アンテナから離れるほど電波が減衰する様子を、色の違いや濃淡等で示してもよい。さらに、図面から読み取れるアンテナ周囲の環境に応じて、通信可能なエリアを示す図形を円以外の図形としてもよい。
【0049】
各実施の形態で記載されている技術的特徴(構成要件)はお互いに組み合わせ可能であり、組み合わせすることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
特許請求の範囲には他の2以上のクレームを引用するクレームを記載する形式(マルチクレーム形式)を用いているが、これに限るものではない。マルチクレームを少なくとも一つ引用するマルチクレーム(マルチマルチクレーム)を記載する形式を用いて記載してもよい。
【符号の説明】
【0050】
100 :設計システム
1 :情報処理装置
11 :制御部
12 :主記憶部
13 :補助記憶部
131 :ユーザDB
132 :案件DB
133 :図面DB
134 :設計シートDB
14 :通信部
15 :読み取り部
1P :制御プログラム
1a :可搬型記憶媒体
1b :半導体メモリ
2 :事業所端末
21 :制御部
22 :主記憶部
23 :補助記憶部
24 :通信部
25 :入力部
26 :表示部
2P :制御プログラム
3 :現場端末
31 :制御部
32 :主記憶部
33 :補助記憶部
34 :通信部
35 :表示パネル
36 :操作部
3P :制御プログラム
4 :アンテナ
N :ネットワーク
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