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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106241
(43)【公開日】2024-08-07
(54)【発明の名称】洗浄装置及び洗浄方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20240731BHJP
【FI】
H01L21/304 648G
H01L21/304 644B
H01L21/304 644Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023010477
(22)【出願日】2023-01-26
(71)【出願人】
【識別番号】000002428
【氏名又は名称】芝浦メカトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081961
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 光春
(74)【代理人】
【識別番号】100112564
【弁理士】
【氏名又は名称】大熊 考一
(74)【代理人】
【識別番号】100163500
【弁理士】
【氏名又は名称】片桐 貞典
(74)【代理人】
【識別番号】230115598
【弁護士】
【氏名又は名称】木内 加奈子
(72)【発明者】
【氏名】金井 隆宏
【テーマコード(参考)】
5F157
【Fターム(参考)】
5F157AA17
5F157AB02
5F157AB14
5F157AB33
5F157AB90
5F157BA07
5F157BA14
5F157BA31
5F157CC11
5F157CD36
5F157CE32
5F157CF42
5F157CF44
5F157DB02
5F157DC90
(57)【要約】      (修正有)
【課題】基板の洗浄処理における清浄度を向上させることができる洗浄装置及び洗浄方法を提供する。
【解決手段】洗浄装置1は、基板Wの外周に接して基板Wを回転させる複数のローラ100と、ローラ100を回転させる回転機構と、基板Wに対して基板洗浄液Lwを吐出する基板洗浄液吐出部40と、基板洗浄液Lwが吐出されるとともに回転する基板Wの少なくとも一方の面に接触して、基板Wの面を洗浄するブラシを備える基板洗浄部と、基板洗浄液Lwにより液膜が形成された基板Wを回転させているローラ100に、ローラ洗浄液Lrを供給するローラ洗浄部50と、を有する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の外周に接して前記基板を回転させる複数のローラと、
前記ローラを回転させる回転機構と、
前記基板に対して基板洗浄液を吐出する基板洗浄液吐出部と、
前記基板洗浄液が吐出されるとともに回転する前記基板の少なくとも一方の面に接触して、前記基板の面を洗浄するブラシを備える基板洗浄部と、
前記基板洗浄液により液膜が形成された前記基板を回転させている前記ローラに、ローラ洗浄液を供給するローラ洗浄部と、
を有することを特徴とする洗浄装置。
【請求項2】
前記ローラ洗浄部による前記ローラ洗浄液の供給領域は、前記ローラに保持された前記基板が存在する領域を含まないことを特徴とする請求項1記載の洗浄装置。
【請求項3】
前記供給領域は、前記ローラの、前記基板を回転させる伝達部の一部を含むことを特徴とする請求項2記載の洗浄装置。
【請求項4】
前記ローラ洗浄部は、前記ローラ洗浄液を吐出するノズルを有し、前記ノズルの軸は、前記ローラの回転の軸に平行であることを特徴とする請求項2記載の洗浄装置。
【請求項5】
前記回転機構は、前記ローラ洗浄部が前記ローラに前記ローラ洗浄液を供給しているときにおける前記ローラの回転速度を、前記基板洗浄部が前記ブラシによる前記基板の洗浄をしているときにおける前記ローラの回転速度よりも低くすることを特徴とする請求項1記載の洗浄装置。
【請求項6】
前記基板に供給された前記基板洗浄液を回収する回収部と、
前記回収部により回収された前記基板洗浄液に含まれるパーティクルの量または大きさを検出する検出部と、
を有することを特徴とする請求項1記載の洗浄装置。
【請求項7】
前記検出部により検出された前記パーティクルの量または大きさに応じて、前記ローラの洗浄、前記基板洗浄液の吐出及び前記ブラシによる洗浄を制御する制御部を有することを特徴とする請求項6記載の洗浄装置。
【請求項8】
前記回収部は、
前記ローラと前記回転機構との間に介在して前記回転機構を覆うカバーにおいて、前記ローラの近傍に設けられた回収孔と、
前記回収孔と前記検出部との間に接続され、前記基板洗浄液が流通する回収経路と、
を有することを特徴とする請求項6又は請求項7記載の洗浄装置。
【請求項9】
回転する複数のローラが、基板の外周に接して前記基板を回転させ、
基板洗浄液吐出部が、回転する前記基板に対して基板洗浄液を吐出し、
基板洗浄部が、前記基板洗浄液が吐出されるとともに回転する前記基板の少なくとも一方の面に、ブラシを接触させることにより前記基板の面をブラシ洗浄し、
前記基板洗浄液により液膜が形成された前記基板を回転させている前記ローラに、ローラ洗浄部がローラ洗浄液を供給することにより、ローラ洗浄を行う、
ことを特徴とする洗浄方法。
【請求項10】
前記ブラシ洗浄後、前記基板洗浄液吐出部が前記基板洗浄液を吐出しながら、回収部が前記基板洗浄液を回収し、
検出部が、前記回収部により回収された前記基板洗浄液に含まれるパーティクルの量または大きさを検出し、
前記検出部により検出された前記パーティクルの量または大きさが所定のしきい値を超える場合に、前記ローラ洗浄部が前記ローラ洗浄を行う、
ことを特徴とする請求項9記載の洗浄方法。
【請求項11】
前記ローラ洗浄後、前記基板洗浄液吐出部が前記基板洗浄液を吐出するとともに、前記基板洗浄部が前記ブラシ洗浄を行うことを特徴とする請求項10記載の洗浄方法。
【請求項12】
前記ローラ洗浄後、前記基板洗浄液吐出部が前記基板洗浄液を吐出するリンス処理を行うことを特徴とする請求項10記載の洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄装置及び洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造工程においては、基板である半導体のウェーハの表面を高い清浄度で洗浄することが要求される場合がある。例えば、基板の表面を平坦化するために、化学機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)を行った後は、基板の表面に、有機物、金属を含む研磨屑やスラリの残渣屑などの汚染物が付着している。
【0003】
汚染物は、平坦な成膜の妨げや、回路パターンのショートにつながるため、製品不良を起こすことになる。そのため、基板を洗浄液で洗浄することにより、汚染物を除去する必要がある。このような洗浄を行う装置として、回転するブラシを用いる洗浄装置が知られている。
【0004】
ブラシを用いた洗浄装置は、基板を回転駆動するとともに、回転するブラシを、洗浄液を介して基板の表面に接触させて、基板と平行な方向に移動させる。これにより、洗浄液によって基板の表面に付着した汚染物が浮いて、ブラシによって基板の外に排出されるので、基板が全体に亘って洗浄される。
【0005】
基板は、外周を複数のローラによって保持され、そのローラを回転機構によって同一方向に回転駆動することにより回転される。回転機構は、ローラに接続された回転軸と、回転軸に駆動力を伝達するモータによって構成される。これにより、基板の上下にブラシが移動可能な空間が確保されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002-170806号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のようなローラを用いて基板を回転させる洗浄装置においては、ローラに汚染物の粒子(以下、パーティクルとする)が付着していると、このパーティクルが基板に付着して、基板の清浄度が下がる原因となる。例えば、研磨工程など、洗浄工程よりも前の工程から基板に付着していて洗浄装置内に持ち込まれたパーティクルがローラに付着した場合、ローラの回転によりパーティクルが基板に飛んで再付着することにより、基板の洗浄度が下がる場合がある。
【0008】
本発明の実施形態は、上述のような課題を解決するために提案されたものであり、その目的は、基板の洗浄処理における清浄度を向上させることができる洗浄装置及び洗浄方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、本発明の実施形態の洗浄装置は、基板の外周に接して前記基板を回転させる複数のローラと、前記ローラを回転させる回転機構と、前記基板に対して基板洗浄液を吐出する基板洗浄液吐出部と、前記基板洗浄液が吐出されるとともに回転する前記基板の少なくとも一方の面に接触して、前記基板の面を洗浄するブラシを備える基板洗浄部と、前記基板洗浄液により液膜が形成された前記基板を回転させている前記ローラに、ローラ洗浄液を供給するローラ洗浄部と、を有する。
【0010】
本発明の実施形態の洗浄方法は、回転する複数のローラが、基板の外周に接して前記基板を回転させ、基板洗浄液吐出部が、回転する前記基板に対して基板洗浄液を吐出し、基板洗浄部が、前記基板洗浄液が吐出されるとともに回転する前記基板の少なくとも一方の面に、ブラシを接触させることにより前記基板の面をブラシ洗浄し、前記基板洗浄液により液膜が形成された前記基板を回転させている前記ローラに、ローラ洗浄部がローラ洗浄液を供給することにより、ローラ洗浄を行う。
【発明の効果】
【0011】
本発明の実施形態によれば、基板の洗浄処理における清浄度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1の実施形態の洗浄装置の概略構成を示す斜視図である。
図2】解放位置にあるローラ(A)、保持位置にあるローラ(B)を示す側面図である。
図3】解放位置にあるローラ(A)、保持位置にあるローラ(B)を示す平面図である。
図4】洗浄の開始位置にある洗浄部(A)、洗浄中の洗浄部(B)、終了位置にある洗浄部(C)を示す平面図である。
図5】ローラ及び回転機構を示す断面図である。
図6】ローラ洗浄液の供給態様を示す側面図である。
図7】ローラ洗浄液の供給領域を示す平面図である。
図8】第1の実施形態の洗浄処理の手順を示すフローチャートである。
図9】第2の実施形態の洗浄装置を示す構成図である。
図10】第2の実施形態の洗浄装置を示す平面図である。
図11】第2の実施形態の基板洗浄液の回収とパーティクルの検出を示す説明図である。
図12】第2の実施形態の洗浄処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[第1の実施形態]
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。本実施形態は、図1に示すように、基板Wを回転させながら、基板洗浄液Lwとブラシ25(図2参照)によって洗浄する洗浄装置1である。洗浄対象となる基板Wは、典型的には半導体のウェーハである。基板Wは円形であり、その外周にはベベル加工が施されている。つまり角を研削することによる面取りがなされている。なお、基板Wは、ウェーハには限定されず、洗浄が必要な基板Wに広く適用できる。
【0014】
[構成]
洗浄装置1は、回転駆動部10、基板洗浄部20、ブラシ駆動部30、基板洗浄液吐出部40、ローラ洗浄部50、制御部60を有する。
【0015】
(回転駆動部)
回転駆動部10は、複数のローラ100を回転させることにより、基板Wを回転駆動する。複数のローラ100は、基板Wの外周に接して基板Wを回転させる。回転駆動部10は、第1の保持部11、第2の保持部12、第1の駆動部13及び第2の駆動部14を有する。第1の保持部11及び第2の保持部12は、基板Wを挟んで対向する位置に配置される。
【0016】
第1の保持部11、第2の保持部12は、それぞれ一対のローラ100を有する。図6に示すように、ローラ100は、基板Wの面に直交する軸Ax1を中心に回転可能に設けられている。また、図2(A)に示すように、第1の保持部11と第2の保持部12における各ローラ100は、伝達部101、基体部102を有する。伝達部101は、基板Wの外縁に接して回転させる(図2(B)、図3(B)、図4(A)~(C)参照)。伝達部101は、円柱形状であり、その外周面101aは、基板Wの外周に当接することにより、基板Wを保持する。
【0017】
基体部102は、伝達部101と同心で、伝達部101から径が拡張された円柱形状である。基体部102の上面102aは、伝達部101に保持された基板Wの下方に位置する傾斜面となっている。この上面102aは、全周に亘り、外周側から伝達部101に向かって高くなるように、円錐の側面形状である傘状のテーパ面をなしている。
【0018】
なお、ローラ100は、基板洗浄液Lwと、後述するローラ洗浄液Lrに対する耐性を有する材料により形成される。ローラ100が金属などの基板Wよりも硬度が高い材料で形成されると、基板Wを保持して回転させたときに、基板Wが摩耗して損傷することがある。そのため、ローラ100は、例えば、PEEK、PCTFEなどの樹脂材料により形成される。耐摩耗性に優れ、基板Wとの接触でのパーティクルが発生し難いPCTFEを用いることが、より好ましい。
【0019】
図1に示すように、第1の駆動部13及び第2の駆動部14は、それぞれ第1の保持部11、第2の保持部12を支持し、ローラ100を、その回転の軸Ax1を中心に回転させるとともに、ローラ100を基板Wの外縁に接離する方向に移動させる。第1の駆動部13、第2の駆動部14内は、回転機構110、カバー120を有する。
【0020】
回転機構110は、ローラ100を、シャフト111を介して回転させる。回転機構110は、シャフト111を駆動軸とするモータ112により構成できる。つまり、各ローラ100は、その下部の中心にモータ112のシャフト111が接続され、モータ112の作動により回転する。モータ112は、図示しない支持体に固定され、鉛直方向のシャフト111が上方に向いている。
【0021】
カバー120は、図1図2に示すように、ローラ100と回転機構110との間に介在し、回転機構110を覆う部材である。カバー120は、第1の保持部11の一対のローラ100に対応する回転機構110を覆うカバー120、第2の保持部12の一対のローラ100に対応する回転機構110を覆うカバー120に分かれている。カバー120は、回転機構110を収容した閉空間を形成する容器である。
【0022】
なお、第1の駆動部13及び第2の駆動部14は、上記のように、基板Wに対して接離する方向に移動可能に構成されている。つまり、第1の駆動部13と第2の駆動部14のそれぞれの下端に、図示しない駆動機構が設けられ、この駆動機構によって、第1の駆動部13と第2の駆動部14が基板Wに対して接離する方向に移動する。これにより、第1の保持部11と第2の保持部12も、基板Wに対して接離する方向に移動する。例えば、駆動機構としては、第1の駆動部13及び第2の駆動部14の下端にそれぞれ設けられた駆動軸を、基板Wの面に平行な方向に沿って、互いに逆方向に移動させるロータリシリンダを用いることができる。
【0023】
駆動機構によって、第1の保持部11及び第2の保持部12が互いに離れる方向に移動することにより、図2(A)、図3(A)に示すように、ローラ100の伝達部101が基板Wから離れる解放位置となる。駆動機構によって、第1の保持部11及び第2の保持部12が互いに近づく方向に移動することにより、図2(B)、図3(B)に示すように、ローラ100の伝達部101が基板Wに接して保持する保持位置となる。なお、図2においては、対向して位置する一対のローラ100が、図中、左右方向に沿って配置されている状態を示しており、その他のローラ100は図示を省略している。
【0024】
(基板洗浄部)
基板洗浄部20は、回転する基板Wの面に、回転するブラシ25を接触させることにより、基板Wの面を洗浄する。なお、ここでいう接触は、ブラシ25が直接接する場合も、基板洗浄液Lwが介在して接する場合も含む。図2(A)に示すように、基板洗浄部20は、胴部21、ブラシホルダ23、支持体24、ブラシ25を有する。胴部21は、円筒形状の容器であり、内部にモータ(図示せず)を収容している。モータは、ブラシ25を回転させる駆動源である。
【0025】
ブラシホルダ23は、モータの駆動軸に取り付けられ、支持体24が着脱可能に設けられた円盤形状の部材である。ブラシホルダ23は、胴部21とは独立して回転可能に設けられている。支持体24は、ブラシ25が固定され、ブラシホルダ23に、チャック機構等により着脱される円盤形状の部材である。
【0026】
ブラシ25は、柔軟性と弾性を有する材質で形成された円柱形状の部材である。本実施形態のブラシ25は、PVA(ナイロン系樹脂)、PTFE(フッ素系樹脂)などのスポンジ状の樹脂を用いる。なお、同様の樹脂製の毛ブラシを用いてもよい。つまり、本実施形態のブラシ25には、スポンジ状の塊のものも、多数の毛状体が密集したものも含まれる。なお、スポンジ状の塊としたブラシ25には、複数の繊維体が密集したものを塊にしたものも含まれる。また、支持体24に設けられるブラシ25の数は、単一であっても、複数であってもよい。
【0027】
(ブラシ駆動部)
図1に示すように、ブラシ駆動部30は、基板洗浄部20を基板Wの面に平行な方向に移動させる。ブラシ駆動部30は、アーム31、駆動機構32を有する。アーム31は、基板Wに平行な方向の部材であり、一端に基板洗浄部20が取り付けられている。駆動機構32は、揺動機構と昇降機構を有する。
【0028】
揺動機構は、図4(A)~(C)に示すように、アーム31において、基板洗浄部20が設けられた端部とは反対側の端部を軸とする円弧の軌跡で、基板Wの外周上から反対側の外周上まで、基板Wの面に平行にアーム31を往復させる。また、揺動機構は、待機位置から基板Wの外周上まで、アーム31を往復させる。揺動機構は、アーム31から基板Wの面に直交する方向に延びた支軸と、支軸を揺動させる駆動源であるモータ(図示せず)を有する。アーム31は、基板Wの洗浄を行わないときには、基板Wの外部にある待機位置(図示せず)に位置付けられている。
【0029】
昇降機構は、図2(A)、(B)に示すように、アーム31を、基板洗浄部20が基板Wに接離する方向に移動させる。昇降機構としては、アーム31の支軸を昇降させるボールねじ機構、シリンダ等が適用できる。
【0030】
(基板洗浄液吐出部)
基板洗浄液吐出部40は、基板Wに対して基板洗浄液Lwを吐出する。基板洗浄液吐出部40は、ノズル41を有し、ノズル41の先端の吐出口41aから、回転する基板Wの両面に向けて基板洗浄液Lwを吐出する(図1図2(B)参照)。本実施形態の基板洗浄液Lwは、オゾン水や純水、SC-1(アンモニア水と過酸化水素水を混合した洗浄液)または酸系の薬液(フッ酸、硝酸、塩酸など)である。例えば、ブラシ25がPVAの時は、純水で洗浄する。また、ブラシ25がPTFEの場合、オゾン水、SC-1または酸系の薬液を使用する。PTFEは、耐液性があるため、オゾン水、SC-1、酸系の薬液のような基板洗浄液Lwを併用できる。
【0031】
基板洗浄液Lwは、ブラシ洗浄に用いられるものと、ブラシ洗浄後のリンス処理に用いられるもの(リンス液)が含まれるが、両者を同じ種類の液としてもよいし、異なる種類の液としてもよい。以下の説明では、ブラシ洗浄にはSC-1を用い、リンス処理には純水を用いているが、ブラシ洗浄に純水を用いてもよいし、リンス処理にSC-1を用いてもよい。
【0032】
ノズル41は、基板Wを挟んで、上下に一対設けられた筒状体である。ノズル41の一端は、基板Wの面に対して、例えば45°を成すように屈曲され、基板Wの面に向けて基板洗浄液Lwを吐出する吐出口41aを有する。なお、ノズル41は、基板Wの外側から基板Wの面の中央付近に向けて、つまり、ブラシ25の移動経路の途中に向けて吹き付けるように吐出する。
【0033】
ノズル41の他端は、配管を介して、図示しない基板洗浄液Lwの供給装置に接続されている。供給装置は、純水製造装置(純水貯留タンク)、オゾン水製造装置(オゾン水貯留タンク)及びSC-1供給装置または酸系の薬液の供給装置に接続された送液装置、バルブ等を有し、純水、オゾン水及びSC-1または酸系の薬液のいずれかを切り替えて供給可能である。
【0034】
上記のような基板洗浄部20、ブラシ駆動部30、基板洗浄液吐出部40は、図2に示すように、基板Wの上下の面(表面及び裏面とも言う)を洗浄可能となるように、基板Wを挟んで上下に一対設けられている。つまり、一対の基板洗浄部20及び基板洗浄液吐出部40が、それぞれのブラシ25及び吐出口41aが基板Wに向かうように、ブラシ駆動部30の一対のアーム31が基板Wの上下に配置される。駆動機構32は、一対のブラシ25が基板Wの面を挟むように接触する接触位置(図2(B))と、基板Wから離れる離隔位置(図2(A))との間で、一対のアーム31を移動させる。
【0035】
また、駆動機構32は、一対のアーム31を揺動させることにより、図4(A)~(C)に示すように、円弧の軌跡で、接触位置にある一対のブラシ25を移動させる。平面視で見た場合、アーム31が揺動することにより、ブラシ25は待機位置、開始位置、終了位置、離脱位置との間を移動する。待機位置は、平面視でブラシ25が基板Wの外周から外れて待機する位置である。開始位置は、図4(A)に示すように、ブラシ25が洗浄を開始する位置であり、終了位置は、ブラシ25が洗浄を終了する位置である。開始位置は、基板Wの外周上であって、終了位置は、接触位置とは反対の基板Wの外周上にある。離脱位置は、図4(C)に示すように、ブラシ25が終了位置を越えて基板Wの外周から外れる位置である。
【0036】
(ローラ洗浄部)
ローラ洗浄部50は、図5図6に示すように、基板Wを回転させているローラ100に、ローラ洗浄液Lrを供給することにより、ローラ100に付着したパーティクルを洗浄するローラ洗浄を行う。図7に示すように、ローラ洗浄部50によるローラ洗浄液Lrの供給領域SAは、ローラ100に保持された基板Wが存在する領域を含まないが、ローラ100の一部を含む。本実施形態では、基板Wを回転させる伝達部101の一部を含む。つまり、ローラ洗浄部50は、基板Wに直接かからないようにしつつ、基板Wと接触する外周面101a、上面102aにローラ洗浄液Lrを供給して洗浄することができる。
【0037】
ローラ洗浄部50は、ノズル51を有し、ノズル51の先端の吐出口51aから、回転するローラ100に向けてローラ洗浄液Lrを吐出する。ローラ洗浄液Lrとしては、オゾン水、純水、アンモニア水、SC-1(アンモニア水と過酸化水素水を混合した洗浄液)などを使用することができる。本実施形態においては、ローラ洗浄液Lrは、SC-1である。
【0038】
ノズル51は、各ローラ100の上方にそれぞれ設けられた筒状体である。ノズル51の軸Ax2は、ローラ100の回転の軸Ax1に平行である。ノズル51は、下方のローラ100に向けてローラ洗浄液Lrを吐出する吐出口51aを有する。図7に示すように、本実施形態のノズル51の軸Ax2は、平面視でローラ100の軸Ax1に対して、基板Wから離れる位置にずれているが、ローラ100からは外れない位置となるように配置されることにより、ローラ洗浄液Lrの供給領域SAが上記のように設定されている。
【0039】
ノズル51は、図示しない配管を介して各ローラ100の上方に支持され、ローラ洗浄液Lrの供給装置52に接続されている(図6参照)。供給装置52は、純水製造装置(純水貯留タンク)、オゾン水製造装置(オゾン水貯留タンク)、アンモニア水供給装置又はSC-1供給装置に接続された送液装置、バルブ等を有し、純水、オゾン水、アンモニア水及びSC-1のいずれかを供給可能である。なお、ローラ洗浄液Lrを、ノズル41に供給する基板洗浄液Lwと共通の洗浄液とする場合には、共通の供給装置を用いることができる。
【0040】
(制御部)
制御部60は、洗浄装置1の各部を制御する。制御部60は、洗浄装置1の各種の機能を実現するべく、プログラムを実行するプロセッサと、プログラムや動作条件などの各種情報を記憶するメモリ、各要素を駆動する駆動回路を有する。つまり、制御部60は、回転駆動部10、基板洗浄部20、ブラシ駆動部30、基板洗浄液吐出部40、ローラ洗浄部50などを制御する。また、制御部60は、情報を入力する入力装置、情報を表示する表示装置を有している。
【0041】
制御部60は、回転機構110、第1の駆動部13及び第2の駆動部14、ブラシ25を回転させるモータ、ブラシ駆動部30の駆動機構32、基板洗浄液Lwの供給装置、ローラ洗浄液Lrの供給装置52などの駆動を制御する。特に、本実施形態の制御部60は、基板洗浄液Lwにより液膜が形成された基板Wを回転させているローラ100に、ローラ洗浄部50によってローラ洗浄液Lrを供給することにより、ローラ100に付着したパーティクルを洗浄させる。
【0042】
[動作]
上記のような構成の洗浄装置1の動作を説明する。
(基板の搬入)
まず、基板Wの搬入動作を説明する。すなわち、前工程において、処理済みの基板Wの表面にはオゾン水がかけられており、酸化膜が形成されることにより、親水化されている。この酸化膜が形成された基板Wの表面には、前々工程であるCMP工程で残存した、有機系汚染物(スラリー等)や金属汚染物などが付着した状態となっている。これは、基板Wの表裏面に汚染物が付着したまま、オゾン水が供給された状態となっていること、つまり、汚染物が付着したまま、酸化膜が形成されていることを意味する。オゾン水には有機物を除去する能力はあるが、この前工程は、有機物を除去する工程ではなく、あくまでも基板Wの表裏面を親水化することが目的の工程である。
【0043】
搬送ロボットは、前工程から基板Wをロボットハンドにより搬出して、洗浄装置1に搬送し、図2(A)、図3(A)に示すように、第1の保持部11及び第2の保持部12のローラ100の間に搬入する。搬入された基板Wはローラ100の上面102aに載置される。第1の保持部11及び第2の保持部12は、図2(B)、図3(B)に示すように、互いに近付く方向に移動する。すると、4つのローラ100が基板Wに向かって移動するので、基体部102の上面102aの傾斜が基板Wの外周を押し上げて、伝達部101の外周面101aが基板Wの外周に接することにより、基板Wを保持する。
【0044】
(基板の洗浄)
次に、基板Wの洗浄動作を、図1図7に加えて、図8のフローチャートを参照して説明する。図3(B)に示すように、ローラ100が、図中、時計回りに回転することにより、基板Wが反時計回りに回転を開始する(ステップS101)。なお、図中の太い黒塗りの矢印は、基板Wの回転方向を示す。例えば、20~60rpmの低速で基板Wが回転する。図2(B)に示すように、ローラ100の外周面101aが基板Wの外周に接している場合には、ローラ100の回転が基板Wに伝達されて、基板Wの回転が維持される。
【0045】
次に、基板洗浄液吐出部40のノズル41から基板洗浄液Lwを吐出しながら、基板洗浄部20の回転するブラシ25によって、ブラシ洗浄を行う(ステップS102)。ここでは、基板洗浄液LwとしてSC-1を用いる。まず、上下のアーム31は、最初は、平面視で基板Wの外部にある待機位置に待機した状態にある。待機位置にある上下のアーム31は、モータによってブラシ25を回転させながら、図4(A)に示すように、基板Wの外周上の開始位置まで揺動して、一旦停止する。そして、上下のアーム31が互いに基板Wに近づく方向に移動することにより、上下の基板洗浄部20のブラシ25が、図2(B)に示すように、基板Wの表面、裏面に接触する接触位置となることにより、基板Wを挟む。
【0046】
上下のアーム31が回動することにより、上下のブラシ25が水平移動する。このとき、ノズル41の吐出口41aは、基板洗浄液Lwを吐出しているので、ブラシ25と基板Wとの間に基板洗浄液Lwが流れている。つまり、図4(A)、(B)に示すように、基板Wの外周の一方から移動を開始したブラシ25が、図中、白塗りの矢印で示す円弧の軌跡で移動しながら、基板洗浄液Lwとともに汚染物を基板Wの外周に排出する。
【0047】
このとき基板洗浄液Lwは、ローラ100にもかかるが、カバー120により、ローラ100の内部の回転機構110に基板洗浄液Lwが侵入することが防止される。図4(C)に示すように、ブラシ25が基板Wの外周の他方の終了位置を越えて、基板Wから外れる離脱位置に来て停止すると、ブラシ25は回転を停止する。
【0048】
そして、上下のアーム31が互いに離れる方向に移動することにより、上下のブラシ25が基板Wの表面、裏面から離れる離隔位置となり、さらに、アーム31が揺動することにより、基板Wの外周の外にある待機位置に移動する。
【0049】
次に、図6に示すように、回転する基板Wへの吐出口41aからの基板洗浄液Lwであるリンス液の吐出によるリンス処理を開始する(ステップS103)。リンス液としては、純水を用いる。リンス処理を行いながら、ローラ洗浄部50のノズル51が、回転する各ローラ100に向けて、ローラ洗浄液Lrを吐出することにより、ローラ洗浄を行う(ステップS104)。このとき、基板W上には基板洗浄液Lwであるリンス液の液膜が形成されている。また、ローラ洗浄液Lrの供給領域SAは、図7に示すように、ローラ100の基板Wに接する伝達部101を含み、ローラ100に保持された基板Wが存在する領域を含まないため、ローラ洗浄液Lrが基板Wには直接当たらず、ローラ100の外周面101a、上面102aが洗浄される。
【0050】
所定の時間が経過した場合(ステップS105のYES)、ローラ洗浄部50がローラ洗浄液Lrの供給を停止する(ステップS106)。そして、吐出口41aからの基板Wへのリンス液の吐出を停止して(ステップS107)、ローラ100が回転を停止することにより基板Wの回転が停止する(ステップS108)。なお、その後、上記の動作を繰り返すことにより、ブラシ25による洗浄を複数回行ってもよい。この場合、1回の洗浄毎に、アーム31は洗浄を開始する位置に戻る(図4(A)参照)。
【0051】
(基板の搬出)
搬送ロボットは、停止した基板Wの下部にロボットハンドを挿入し、第1の保持部11及び第2の保持部12が、互いに離れる方向に移動する。すると、4つのローラ100が基板Wから離れるので、基板Wが解放されてロボットハンドによって支持される。搬送ロボットは、基板Wを搬出して、スピン乾燥を行う乾燥装置に搬送する。
【0052】
[効果]
(1)以上のような本実施形態の洗浄装置1は、基板Wの外周に接して基板Wを回転させる複数のローラ100と、ローラ100を回転させる回転機構110と、基板Wに対して基板洗浄液Lwを吐出する基板洗浄液吐出部40と、基板洗浄液Lwが吐出されるとともに回転する基板Wの少なくとも一方の面に接触して、基板Wの面を洗浄するブラシを備える基板洗浄部20と、基板洗浄液Lwにより液膜が形成された基板Wを回転させているローラ100に、ローラ洗浄液Lrを供給するローラ洗浄部50と、を有する。
【0053】
本実施形態の洗浄方法は、回転する複数のローラ100が、基板Wの外周に接して基板Wを回転させ、基板洗浄液吐出部40が、回転する基板Wに対して基板洗浄液Lwを吐出し、基板洗浄部20が、基板洗浄液Lwが吐出されるとともに回転する基板Wの少なくとも一方の面に、ブラシ25を接触させることにより基板Wの面をブラシ洗浄し、基板洗浄液Lwにより液膜が形成された基板Wを回転させているローラ100に、ローラ洗浄部50がローラ洗浄液Lrを供給することにより、ローラ洗浄を行う。
【0054】
このように、ローラ100に付着したパーティクルを、ローラ洗浄部50により洗浄するので、基板Wにパーティクルが付着することを抑制できる。つまり、基板Wを回転させるローラ100に付着したパーティクルの基板Wへの影響を低減できるので、基板の清浄度を向上させて、品質を向上させることができる。また、ローラ洗浄液Lrの供給時においては、基板Wには基板洗浄液Lwの液膜が形成されているので、ローラ100から跳ね返ったローラ洗浄液Lrが基板Wへかかったとしても、液膜とともに排出されるので、基板Wはパーティクルから保護される。
【0055】
また、回転するローラ100は、基板Wと接触することにより摩耗する。この摩耗により発生する塵などの粒子は、パーティクルとなって基板Wに付着すると、基板Wの品質の低下を招く。ローラ100は樹脂製であるため、主なパーティクルは樹脂塵である。
【0056】
これに対処するため、ローラ100により基板Wを保持する力を弱くすることで、発生するパーティクルの量を低減することも考えられる。但し、この場合には、保持する力が弱いため、ブラシ25による圧力が加わると、基板Wが空回りしてしまう可能性がある。パーティクルの量を低減できるローラ100の形状や材質を選択することも考えられるが、基板の清浄度に影響を与えない程度にパーティクルの量を抑えることは困難である。上記のように、ブラシ25を通過する空間を確保する必要があるため、基板Wを回転させる機構として、外周に接して回転するローラ100以外のものを採用することはできない。
【0057】
本実施形態では、ローラ洗浄部50がローラ100を洗浄することにより、基板Wとの接触での摩耗により、ローラ100から発生するパーティクルの基板Wへの影響を低減でき、基板Wの清浄度が向上する。
【0058】
また、基板洗浄液LwとしてSC-1を使用すると、より多くのパーティクルを除去できる。しかし、SC-1は、ウェーハである基板Wの面が荒れることから、使用を控える傾向にある。一方、ローラ100に対して、ローラ洗浄液LrとしてSC-1を供給する場合には、基板W上には、基板洗浄液Lwとしてリンス液である純水の液膜が形成されている。これにより、基板Wは純水で保護されるので、パーティクル除去能が高いSC-1でローラを洗浄しつつ、ローラ100に供給されたSC-1が基板に飛散したとしても、基板上のSC-1の飛散を受けた箇所が荒れることを抑えることができる。
【0059】
なお、ウェーハでない基板Wであれば、面の荒れを考慮する必要はないが、コスト面からSC-1を大量には使用できない。さらに、SC-1を使用した場合であっても、数枚の基板Wを洗浄すると、ローラ100の摩耗によるパーティクルが蓄積し、基板Wに付着する量が増える。さらに、基板Wの外周の形状や粗さによって、パーティクルの発生の量やタイミングは一様ではない。本実施形態では、使用する基板洗浄液Lwの種類や基板Wの種類にかかわらず、ローラ100自体を洗浄することにより、パーティクルの発生による基板Wへの影響を抑えることができる。
【0060】
(2)ローラ洗浄部50によるローラ洗浄液Lrの供給領域SAは、ローラ100に保持された基板Wが存在する領域を含まない。このため、基板Wにローラ洗浄液Lrが直接かかることにより、基板Wがローラ洗浄液Lrによって部分的に処理されてしまうことを抑制できる。
【0061】
(3)供給領域SAは、ローラ100の、基板Wを回転させる伝達部101の一部を含む。このため、ローラ洗浄液Lrの基板Wへの付着を防止しつつ、摩耗が生じる箇所を洗浄できる。
【0062】
(4)ローラ洗浄部50は、ローラ洗浄液Lrを吐出するノズル51を有し、ノズル51の軸Ax2は、ローラ100の回転の軸Ax1に平行である。このため、ノズル51によるローラ洗浄液Lrの噴出方向が基板Wに向かうことが無く、基板Wへのローラ洗浄液Lrの付着を防止できる。
【0063】
[第2の実施形態]
第2の実施形態を、図9図12を参照して説明する。本実施形態は、基本的な構成は、上記の第1の実施形態と同様であるため、第1の実施形態と同様の構成については、同様の符号を付して説明は省略する。
【0064】
[構成]
本実施形態の洗浄装置1は、図9に示すように、回収部70、検出部80を有する。
(回収部)
回収部70は、基板Wに供給され、ローラ100上を流れた基板洗浄液Lwを回収する。回収部70は、回収孔71、回収経路72を有する。回収孔71は、カバー120におけるローラ100の近傍に設けられている。回収孔71の一端は、カバー120の上面のローラ100の近傍に形成された流入口71aとなっている。流入口71aは、図10に示すように、ローラ100の接線方向に延びた長孔である。回収孔71の他端は、図9に示すように、カバー120の肉厚部分を通って側面に延びて、側面に開口した排出口71bとなっている。
【0065】
回収経路72は、回収孔71に流入した基板洗浄液Lwを、回収して排出するための経路である。回収経路72は、検出路72a、バルブ72b、ポンプ72c、バイパス路72d、バルブ72eを有する。検出路72aは、後述する検出部80を介して、工場の排液流路に接続された配管である。バルブ72bは検出部80の上流で検出路72aを開閉する。ポンプ72cは、検出路72aに接続され、基板洗浄液Lwまたはローラ洗浄液Lrを排液流路に送り出す。
【0066】
バイパス路72dは、ローラ洗浄液Lrを、検出部80を迂回させて排液流路に送り出すとともに、ローラ洗浄液Lr内のガスを抜く経路である。バイパス路72dは、検出路72aのバルブ72bの手前で分岐して、検出部80の下流で、検出路72aのポンプ72cの手前に合流している。バルブ72eは、バイパス路72dを開閉する。
【0067】
(検出部)
検出部80は、回収部70により回収された基板洗浄液Lwに含まれるパーティクルの量または大きさを検出する。ここでいう大きさは、例えば、パーティクルの最大粒径など、パーティクルのサイズを示す値である。検出部80としては、例えば、検出路72aに接続された液中パーティクルカウンターを用いる。液中パーティクルカウンターは、ローラ洗浄液Lrを撮像した画像からパーティクルのサイズとともに、屈折率によりパーティクルの種類を識別してその数をカウントする。つまり、パーティクルの量及び大きさを検出できる。本実施形態の検出部80は、樹脂製のローラ100の摩耗によって発生する樹脂塵と、その他の気泡や金属粒子等とを区別してカウントできる。
【0068】
(制御部)
本実施形態の制御部60は、検出部80により検出されたパーティクルの量または大きさに応じて、ローラ洗浄、基板洗浄液Lwの吐出及びブラシ洗浄を制御する。より具体的には、制御部60は、判定部61、洗浄制御部62を有する。判定部61は、ブラシ洗浄後、検出部80により検出されたパーティクルの量または大きさが所定のしきい値を超えるか否かを判定する。つまり、判定部61は、パーティクルの量が許容範囲を超えるかどうか、許容範囲を超えるサイズのパーティクルが存在するかどうかなど、パーティクルの数及びサイズの双方又は一方によりローラ洗浄を行うかどうかを判定する。例えば、数十nmのサイズの樹脂塵の数が、数百個であると製品として問題があるが、数十個に抑えることができれば、問題はないため、数十個であることをしきい値とすることができる。洗浄制御部62は、判定部61がしきい値を超えると判定した場合に、ローラ洗浄部50によるローラ洗浄及び基板洗浄部20によるブラシ洗浄を行わせる。
【0069】
なお、本実施形態の表示装置は、検出部80により検出されたパーティクルの数、大きさ等を表示することができる。また、表示装置は、基板W及びその表面におけるパーティクルを表示することができる。
【0070】
[動作]
上記のような構成の洗浄装置1の動作を、図11の説明図、図12のフローチャートを参照して説明する。以下の動作の説明では、一例として、パーティクルの量を検出して判定する場合を説明する。なお、第1の実施形態と同様の動作については、説明を省略する。また、図11(A)に示すように、検出路72aのバルブ72bは閉じていて、バイパス路72dのバルブ72eは開いている。
【0071】
まず、第1の実施形態と同様に基板Wが回転し(ステップS201)、ブラシ洗浄が行われる(ステップS202)。その後、基板洗浄液Lwであるリンス液の供給を開始する(ステップS203)。このとき、図11(A)に示すように、ポンプ72cが作動することにより、基板洗浄液Lwが、回収孔71の流入口71aから流入して、バイパス路72dを介して排液流路に排出される。
【0072】
そして、図11(B)に示すように、バルブ72bが開き、バルブ72eが閉じることにより、検出路72aが開く(ステップS204)。つまり、回収孔71の流入口71aから流入する基板洗浄液Lwが、検出路72aを経由して検出部80への流入を開始する。
【0073】
検出路72aを開としてから、所定時間が経過すると(ステップS205のYES)、検出部80がパーティクルの量の検出を開始する(ステップS206)。この所定時間は、前回の洗浄処理において回収経路72に残留した基板洗浄液Lwを排出して、新たな基板洗浄液Lwに置換するための時間であり、例えば、数秒~数十秒、より好ましくは10~30秒とすると良い。
【0074】
そして、制御部60の判定部61が、検出部80により検出されたパーティクルの量が所定のしきい値を超えるか否かを判定する(ステップS207)。しきい値を超える場合には(ステップS208のYES)、図11(C)に示すように、制御部60の洗浄制御部62が、ローラ洗浄部50によるローラ洗浄を行わせる(ステップS209)。このローラ洗浄は、第1の実施形態のローラ洗浄(ステップS104)と同様である。
【0075】
所定の時間が経過した場合(ステップS210のYES)、ローラ洗浄部50がローラ洗浄液Lrの供給を停止する(ステップS211)。そして、洗浄制御部62は、ローラ洗浄後、基板洗浄液吐出部40によるリンス液の吐出を停止させ(ステップS212)、基板洗浄部20によるブラシ洗浄を行わせる(ステップS213)。このブラシ洗浄は、上記と同様である。
【0076】
ブラシ洗浄後、基板洗浄液吐出部40が基板洗浄液Lwの吐出によるリンス処理を行う(ステップS214)。このリンス処理中に、上記と同様に、検出部80がパーティクルの量を検出して、判定部61がしきい値を超えていると判定した場合には、再度、ローラ洗浄部50がローラ洗浄を行い、基板洗浄部20がブラシ洗浄を行い、その後リンス処理を行う(ステップS207~S214)。
【0077】
判定部61がしきい値以下と判定した場合には(ステップS208のNO)、基板洗浄液吐出部40が基板洗浄液Lwであるリンス液の吐出を停止して(ステップS215)、ローラ100が回転を停止することにより基板Wの回転が停止する(ステップS216)。その後、上記の第1の実施形態と同様に、搬送ロボットが基板Wを搬出し、次の基板Wの洗浄を行う。つまり、パーティクルの量がしきい値以下となるまで、次の基板Wの処理を行わない。
【0078】
[効果]
(1)本実施形態の洗浄装置1は、基板Wに供給された基板洗浄液Lwを回収する回収部70と、回収部70により回収された基板洗浄液Lwに含まれるパーティクルの量または大きさを検出する検出部80とを有する。そして、洗浄装置1は、検出部80により検出されたパーティクルの量または大きさに応じて、ローラ洗浄、基板洗浄液Lwの吐出及びブラシ洗浄を制御する制御部60とを有する。
【0079】
本実施形態の洗浄方法は、ブラシ洗浄後、基板洗浄液吐出部40が基板洗浄液Lwを吐出しながら、回収部70が、基板洗浄液Lwを回収し、検出部80が、回収部70により回収された基板洗浄液Lwに含まれるパーティクルの量または大きさを検出し、検出部80により検出されたパーティクルの量または大きさが所定のしきい値を超える場合に、ローラ洗浄部50がローラ洗浄を行う。
【0080】
これにより、本実施形態は、第1の実施形態と同様の効果を奏するとともに、検出部80によって検出されるパーティクルの量がしきい値を超える場合にのみ、ローラ洗浄を行うので、毎回ローラ洗浄を行う場合に比べて、生産性を向上できるとともに、ローラ洗浄液Lrの使用量を低減できる。
【0081】
(2)回収部70は、ローラ100と回転機構110との間に介在して回転機構110を覆うカバー120において、ローラ100の近傍に設けられた回収孔71と、回収孔71と検出部80との間に接続され、基板洗浄液Lwが流通する回収経路72と、を有する。このため、パーティクルが含まれ易いローラ100の近傍から基板洗浄液Lwを回収することができるので、パーティクルの量を適切に判定できる。
【0082】
(3)ローラ洗浄後、基板洗浄液吐出部40が基板洗浄液Lwを吐出するとともに、基板洗浄部20がブラシ洗浄を行う。このため、基板Wにパーティクルが付着したとしても、ブラシ洗浄により除去することができる。つまり、基板Wを清浄な状態で排出することができるので、基板Wの品質を向上させることができる。
【0083】
[変形例]
本実施形態は、上記の態様に限定されるものではなく、以下のような変形例も構成可能である。
(1)第1の実施形態においては、各基板Wの洗浄毎に、ローラ洗浄を行っていたが、複数枚の基板Wにつき1回、ローラ洗浄を行ってもよい。
【0084】
(2)第2の実施形態において、ローラ洗浄後に、基板洗浄液吐出部40が基板洗浄液Lwを吐出するリンス処理を行ってもよい。例えば、パーティクルの量の程度が異なる第1のしきい値、第2のしきい値を設定し、検出されたパーティクルの量が第1のしきい値を超えるが、これよりも大きい第2のしきい値以下の場合には、リンス処理のみを行い、第2のしきい値を超える場合には、ブラシ洗浄を行ってもよい。
【0085】
(3)回転機構110は、ローラ洗浄部50がローラ100にローラ洗浄液Lrを供給しているときにおけるローラ100の回転速度を、基板洗浄部20がブラシ25による基板Wの洗浄をしているときにおけるローラ100の回転速度よりも低くしてもよい。回転速度が速い、つまり単位時間当たりの回転数が高いと、発塵が多くなるが、ローラ100の洗浄時には回転速度を低く、つまり単位時間当たりの回転数を下げることで、回転量、つまり搬入されてから搬出されるまでの総回転回数が減るので、発塵する機会が減り、パーティクルの量を低減できる。
【0086】
(4)ローラ洗浄部50のノズル51は、ミスト状にローラ洗浄液Lrを噴出する2流体ノズルであってもよい。2流体ノズルは、主に空気と液体を混合して噴出することにより、衝突力を強く、粒子径を細かくすることができるため、洗浄力を高めることができる。また、2流体ノズルは、スプレー角度を狭く調整することができるので、供給領域SAを基板Wに影響を与えない範囲に調整しやすい。
【0087】
(5)ローラ洗浄部50は、ノズル51から供給する液の種類を切り替え可能なものであってもよい。つまり、基板洗浄液Lwと同様に、複数種類のローラ洗浄液Lrを使用してもよい。例えば、ローラ100へのSC-1の供給を停止した後に、純水に切り替え、ローラ100をリンス処理するようにしてもよい。
【0088】
(6)回収孔71の流入口71aの形状や位置は、上記の態様には限定されない。例えば、ローラ100の周囲の全周に亘って連続して又は断続的に、流入口71aを環状に形成することにより、より多くの基板洗浄液Lwを回収できる。
【0089】
(7)パーティクルの量、大きさ又は基板Wに残留したパーティクル等を表示装置に表示させて、これを作業者が目視で確認して、ローラ洗浄、再度のリンス処理又はブラシ洗浄等を、入力装置により指示入力することにより実行させてもよい。
【0090】
(8)回転機構110は、ベルトドライブ機構とすることもできる。つまり、駆動源であるモータ112の駆動軸と一方のローラ100の駆動軸に設けられたプーリの間、一対のローラ100の駆動軸に設けられたプーリの間に、それぞれ駆動力を伝達するベルトが架け渡されることにより、駆動源により一対のローラ100を回転可能に設けてもよい。
【0091】
(9)基板Wを回転させるローラ100の数は上記の態様には限定されない。また、基板洗浄部20の構成は、上記の態様には限定されない。例えば、基板Wの一方の面のみをブラシ25で洗浄する構成であってもよい。基板Wの面に平行な軸の円筒形状のブラシを用いて、ブラシの側面を基板Wに接触させることにより洗浄する構成であってもよい。
【0092】
[他の実施形態]
以上、本発明の実施形態及び各部の変形例を説明したが、この実施形態や各部の変形例は、一例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。上述したこれら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明に含まれる。
【符号の説明】
【0093】
1 洗浄装置
10 回転駆動部
11 第1の保持部
12 第2の保持部
13 第1の駆動部
14 第2の駆動部
20 基板洗浄部
21 胴部
23 ブラシホルダ
24 支持体
25 ブラシ
30 ブラシ駆動部
31 アーム
32 駆動機構
40 基板洗浄液吐出部
41 ノズル
41a 吐出口
50 ローラ洗浄部
51 ノズル
51a 吐出口
52 供給装置
60 制御部
61 判定部
62 洗浄制御部
70 回収部
71 回収孔
71a 流入口
71b 排出口
72 回収経路
72a 検出路
72b バルブ
72c ポンプ
72d バイパス路
72e バルブ
80 検出部
100 ローラ
101 伝達部
101a 外周面
102 基体部
102a 上面
110 回転機構
111 シャフト
112 モータ
120 カバー
Ax1、Ax2 軸
Lr ローラ洗浄液
Lw 基板洗浄液
SA 供給領域
W 基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12