(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106265
(43)【公開日】2024-08-07
(54)【発明の名称】電気光学装置、電気光学ユニット、および、表示装置
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1343 20060101AFI20240731BHJP
G02F 1/13 20060101ALI20240731BHJP
G02F 1/1335 20060101ALI20240731BHJP
G02F 1/1347 20060101ALI20240731BHJP
【FI】
G02F1/1343
G02F1/13 505
G02F1/1335
G02F1/1347
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023010519
(22)【出願日】2023-01-26
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大平 啓史
(72)【発明者】
【氏名】吉田 公二
【テーマコード(参考)】
2H088
2H092
2H189
2H291
【Fターム(参考)】
2H088EA45
2H088EA47
2H088HA02
2H088HA08
2H088HA12
2H088JA04
2H088JA05
2H088JA10
2H088MA01
2H088MA20
2H092GA03
2H092HA04
2H092JA21
2H092PA08
2H092PA10
2H092PA11
2H092PA13
2H092QA06
2H092QA07
2H092RA10
2H189AA22
2H189AA27
2H189AA32
2H189HA16
2H189JA05
2H189JA10
2H189JA14
2H189LA03
2H189LA10
2H189LA14
2H189LA16
2H189LA17
2H189LA20
2H189MA08
2H189NA07
2H291FA22X
2H291FA22Z
2H291FA30X
2H291FA30Z
2H291FA81Z
2H291GA04
2H291GA19
2H291HA06
2H291HA11
2H291HA15
2H291LA26
2H291MA03
2H291NA74
2H291NA76
(57)【要約】
【課題】視野角を適切に制御することができる電気光学装置を提供すること。
【解決手段】電気光学装置は、第1制御基板21と、第1制御基板21に配置されている第1電極24と、第1制御基板21と対向して配置されている第2制御基板22と、第1電極24と対向して第2制御基板22に配置される第2電極25と、第1電極24と第2電極25との間に設けられる制御液晶層23と、を備え、第2電極25は、第1方向に沿って並ぶ複数の分割電極26を有し、複数の分割電極26において、互いに隣接する2つの分割電極26は、スリットSを介して配置されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板と、
前記第1基板に配置されている第1電極と、
前記第1基板と対向して配置されている第2基板と、
前記第1電極と対向して前記第2基板に配置される第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間に設けられる液晶層と、を備え、
前記第2電極は、第1方向に沿って並ぶ複数の分割電極を有し、
前記複数の分割電極において、互いに隣接する2つの分割電極は、スリットを介して配置されている、
電気光学装置。
【請求項2】
互いに隣接する前記2つの分割電極において、前記第1方向の第1側の分割電極の電位は、前記第1方向の第2側の分割電極の電位より高い、
請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項3】
前記複数の分割電極のうち一の分割電極の電位は、前記第1電極の電位と等しく、
前記複数の分割電極のうち他の分割電極の電位は、前記一の分割電極の電位より高い、
請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項4】
請求項1から3の何れか1項に記載の電気光学装置を2つ備え、
2つの前記電気光学装置のうち第1の電気光学装置が有する複数の第1の分割電極において、互いに隣接する2つの第1の分割電極は、第1のスリットを介して配置され、
2つの前記電気光学装置のうち第2の電気光学装置が有する複数の第2の分割電極において、互いに隣接する2つの第2の分割電極は、前記2つの第1の分割電極と平面視で重なり、かつ、第2のスリットを介して配置され、
前記第2のスリットは、平面視で前記第1のスリットと重なる、
電気光学ユニット。
【請求項5】
請求項1から3の何れか1項に記載の電気光学装置を2つ備え、
2つの前記電気光学装置のうち第1の電気光学装置が有する複数の第1の分割電極において、互いに隣接する2つの第1の分割電極は、第1のスリットを介して配置され、
2つの前記電気光学装置のうち第2の電気光学装置が有する複数の第2の分割電極において、互いに隣接する2つの第2の分割電極は、前記2つの第1の分割電極と平面視で重なり、第2のスリットを介して配置され、
前記第2の電気光学装置は、前記第1の電気光学装置の背面側に配置され、
前記第2のスリットは、平面視で前記第1のスリットより前記第1方向の第1側にある、
電気光学ユニット。
【請求項6】
請求項1から3の何れか1項に記載の電気光学装置と、
表示領域を有する表示パネルと、を備え、
前記電気光学装置は、平面視で前記表示領域の全体と重なる、
表示装置。
【請求項7】
前記表示領域は、平面視で前記スリットと平行な帯状の黒表示領域を有し、
前記黒表示領域は、平面視で前記スリットと重なる、
請求項6に記載の表示装置。
【請求項8】
前記表示領域は、平面視で前記スリットと平行な帯状の黒表示領域を有し、
前記黒表示領域は、平面視で前記スリットより前記第1方向の第1側にある、
請求項6に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電気光学装置、電気光学ユニット、および、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ツイステッドネマチック素子(液晶分子)を有し、表示面の視野角を制御する視野角制御素子(電気光学装置の一例)を備えている視野角制御表示装置が開示されている。視野角制御表示装置は、例えば、車両に搭載される。視野角制御素子は、表示面に表示される画像を、例えば、運転席の搭乗者が視認できないように、かつ、助手席の搭乗者が視認できるように、表示面の視野角を制御する。
【0003】
特許文献1の視野角制御素子は1つの一対の電極のみによって構成されており、表示面の全体にわたって視野角は一律に制御される。つまり、運転席の搭乗者に視認させないときの水平方向における運転席側の視野角は、表示面の全体でほぼ一定となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
表示装置において、表示面の水平方向長さが長くなると、水平方向における表示面に対する搭乗者の視角が大きくなる。この場合、上記の視野角制御表示装置のように、運転席の搭乗者に視認させないときの水平方向における運転席側の視野角が表示面の全体でほぼ一定であると、表示面の運転席側に表示される画像が、運転席の搭乗者に視認される可能性がある。
【0006】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであり、視野角を適切に制御することができる電気光学装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の電気光学装置は、第1基板と、前記第1基板に配置されている第1電極と、前記第1基板と対向して配置されている第2基板と、前記第1電極と対向して前記第2基板に配置される第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に設けられる液晶層と、を備え、前記第2電極は、第1方向に沿って並ぶ複数の分割電極を有し、前記複数の分割電極において、互いに隣接する2つの分割電極は、スリットを介して配置されている。
【0008】
本開示の電気光学ユニットは、上記の電気光学装置を2つ備え、2つの前記電気光学装置のうち第1の電気光学装置が有する複数の第1の分割電極において、互いに隣接する2つの第1の分割電極は、第1のスリットを介して配置され、2つの前記電気光学装置のうち第2の電気光学装置が有する複数の第2の分割電極において、互いに隣接する2つの第2の分割電極は、前記2つの第1の分割電極と平面視で重なり、かつ、第2のスリットを介して配置され、前記第2のスリットは、平面視で前記第1のスリットと重なる。
【0009】
本開示の表示装置は、上記の電気光学装置と、表示領域を有する表示パネルと、を備え、前記電気光学装置は、平面視で前記表示領域の全体と重なる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る表示装置の平面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示すA-A線に沿った表示装置の断面図である。
【
図5】
図5は、表示領域の全体が白表示された場合に、制御回路が非視認信号に基づいて視野角制御パネルを制御したときにおいて、基準軸からX方向の両側それぞれに傾いた方向に沿って+Z側から表示領域を見たときにおける、その傾いた方向の角度を示すX方向の傾角と表示領域の輝度を、分割電極毎に示す図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態の変形例に係る表示装置の平面図である。
【
図7】
図7は、第2実施形態に係る表示装置の電気光学ユニットの断面図である。
【
図8】
図8は、第2実施形態に係る第1の視野角制御パネルの第1のスリットおよび第2の視野角制御パネルの第2のスリットを模式的に示す断面図である。
【
図9】
図9は、第2実施形態の変形例に係る第1の視野角制御パネルの第1のスリットおよび第2の視野角制御パネルの第2のスリットを模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本開示が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
【0012】
なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、開示の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本開示の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0013】
図面で示すX方向およびY方向は、互いに直交し、かつ、表示装置1に含まれる基板の主面(例えば前面)に平行な方向に相当する。X方向の+X側、-X側、Y方向の+Y側、-Y側は、表示装置1の側方に相当する。Z方向は、表示装置1に含まれる基板の主面に直交する方向に相当し、Z方向の+Z側は、表示装置1において画像が表示される前面側に相当し、Z方向の-Z側は、表示装置1の背面側に相当する。また、本明細書において、「平面視」は、+Z側および-Z側の一方からZ方向に沿って表示装置1を見ることである。X方向は、「第1方向」に相当し、X方向の-X側は、「第1方向の第1側」に相当し、X方向の+X側は、「第1方向の第2側」に相当する。なお、X、Y、Zの方向は一例であって、本開示はこれらの方向に限定されない。
【0014】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る表示装置1の平面図である。第1実施形態において、表示装置1は、例えば車両に搭載されおり、運転席の搭乗者M1および助手席の搭乗者M2が表示装置1の前面を視認できる位置に取り付けられている。また、運転席の搭乗者M1は、表示装置1より-X側に位置する。助手席の搭乗者M2は、表示装置1とZ方向において重なる位置、具体的には表示装置1の正面に位置する。
【0015】
表示装置1は、画像を表示する矩形状の表示領域DAを前面に有する。表示領域DAは、互いに同じ矩形状の複数の副表示領域SDに区画されている。複数の副表示領域SDの個数は、4つであり、第1副表示領域SD1、第2副表示領域SD2、第3副表示領域SD3、および、第4副表示領域SD4が、-X側から+X側に向けてX方向に沿ってこの順に並ぶ。
【0016】
複数の副表示領域SDには、互いに異なる画像が表示されてもよいし、互いに隣接する少なくとも2つの副表示領域SDにおいて1つの画像が表示されてもよい。なお。複数の副表示領域SDが矩形状に限定されないこと、および、副表示領域SDの個数が4つに限定されないことは言うまでもない。
【0017】
図2は、
図1に示すA-A線に沿った表示装置1の断面図である。表示装置1は、表示パネル10、電気光学装置である視野角制御パネル20、および、バックライトユニット30を備えている。表示パネル10、視野角制御パネル20、および、バックライトユニット30は、+Z側から-Z側に向けてこの順に配置されている。また、表示パネル10と視野角制御パネル20とは、張り合わされている。
【0018】
表示パネル10は、横電界方式(例えばFFS(Fringe Field Switching)方式)の透過型液晶ディスプレイである。なお、表示パネル10の駆動方式は、FFS方式以外のIPS方式でもよいし、TN(Twisted Nematic)方式およびVA(Vertical Alignment)方式などの縦電界方式でもよい。
【0019】
表示パネル10は、第1表示基板11、第1表示基板11と対向して配置されている第2表示基板12、および、第1表示基板11と第2表示基板12との間にある表示液晶層13と、を備えている。
【0020】
第1表示基板11は、第2表示基板12の背面側に位置している。第1表示基板11の前面側には、配向膜AL1、絶縁膜IL、共通電極CE、および、複数の画素電極PEが配置されている。配向膜AL1は、表示液晶層13に接触している。
【0021】
共通電極CEは、第1表示基板11と絶縁膜ILとの間に設けられている。複数の画素電極PEは、絶縁膜ILと配向膜AL1との間に設けられている。
【0022】
複数の画素電極PEは、表示パネル10において画像を表示する表示領域DAと平面視で重なる。また、複数の画素電極PEは、絶縁膜ILを介して1つの共通電極CEに平面視で重なる。画素電極PEおよび共通電極CEは、表示液晶層13に電圧を印加する。
【0023】
第2表示基板12の背面側には、配向膜AL2が配置されている。配向膜AL2は、表示液晶層13に接触している。
【0024】
表示パネル10は、表示液晶層13において液晶分子を封止するシールSE1をさらに有している。また、表示パネル10は、第1偏光板14、および、第2偏光板15をさらに備えている。第1偏光板14は、第1表示基板11の背面側に配置されている。第2偏光板15は、第2表示基板12の前面側に配置されている。
【0025】
第2偏光板15の前面は、表示装置1の前面に相当する。第1偏光板14の透過軸および第2偏光板15の透過軸は、Z方向と直交している。また、第1偏光板14の透過軸と第2偏光板15の透過軸とは、互いに直交している。
【0026】
なお、
図2では表示パネル10の主要部のみが簡素化して図示されており、表示パネル10は、図示されていない部材をさらに備えている。例えば、第2表示基板12は、遮光層、カラーフィルタ層、オーバーコート層、スペーサなどを備えている。また、第1表示基板11は、複数の走査線、複数の信号線、および、各画素電極PEと電気的に接続されるスイッチング素子、各種絶縁膜などを備えている。
【0027】
図3は、視野角制御パネル20の平面図である。視野角制御パネル20は、有効領域AAにおいて、表示領域DAのX方向の視野角を調整する。有効領域AAは、平面視で表示領域DAと重なる。また、有効領域AAは、複数の副表示領域SDに対応する複数の副有効領域SAによって区画されている。
【0028】
副有効領域SAの個数は、副表示領域SDの個数と等しい。具体的には、副有効領域SAの個数は4つであり、複数の有効領域AAは、平面視で第1副表示領域SD1と重なる第1副有効領域SA1、平面視で第2副表示領域SD2と重なる第2副有効領域SA2、平面視で第3副表示領域SD3と重なる第3副有効領域SA3、および、平面視で第4副表示領域SD4と重なる第4副有効領域SA4によって区画されている。
【0029】
視野角とは、表示領域DAに表示される画像を搭乗者M1,M2が視認することができる角度である。
図2に示すように、視野角は、X方向の視野角であり、視野角制御パネル20が有する後述する基板の主面(例えば前面)と直交する方向(本実施形態ではZ方向と平行)を基準軸Axとし、かつ、表示領域DA上の任意の点を基準点として、基準軸からX方向への傾きをあらわすX方向の傾角を用いて表される。以下、基準軸Axから+X側への傾角によって表される視野角を+X側の視野角θ1と称し、基準軸Axから-X側への傾角によって表される視野角を-X側の視野角θ2と称する。
【0030】
本実施形態では、視野角制御パネル20は、運転席の搭乗者M1および助手席の搭乗者M2の両方が表示領域DAに表示される画像を視認できる視野角と、運転席の搭乗者M1が画像を視認できなく、かつ、助手席の搭乗者M2が画像を認識できる視野角とを切り替える(詳細は後述する)。
【0031】
視野角制御パネル20は、縦電界方式(例えばTN方式)の液晶パネルである。視野角制御パネル20は、平面視で表示領域DAの全体と重なる。視野角制御パネル20は、第1制御基板21、第1制御基板21に対向して配置されている第2制御基板22、および、第1制御基板21と第2制御基板22との間にある制御液晶層23を備えている。
【0032】
第1制御基板21は、第2制御基板22の背面側に位置している。第1制御基板21の前面側には、配向膜AL3、および、第1電極24が配置されている。配向膜AL3は、制御液晶層23に接触している。第1電極24は、単一のシート状であり、第1制御基板21と配向膜AL3との間に配置されている。第1電極24は、平面視で有効領域AAと重なる。
【0033】
第2制御基板22の背面側には、配向膜AL4、および、第2電極25が配置されている。配向膜AL4は、制御液晶層23に接触している。
【0034】
第2電極25は、第2制御基板22と配向膜AL4との間に配置されている。第2電極25は、第1電極24と対向して配置されている。第2電極25は、平面視で有効領域AAと重なる。また、第2電極25は、複数の分割電極26に区画されている。
【0035】
図4は、第2制御基板22の平面図である。なお、
図4において配向膜AL4は、図示されていない。複数の分割電極26の個数は、複数の副有効領域SAの個数と等しい。具体的には、複数の分割電極26の個数は4つであり、第1分割電極26a、第2分割電極26b、第3分割電極26c、および、第4分割電極26dが-X側から+X側に向けてX方向に沿ってこの順に並ぶ。第1分割電極26a、第2分割電極26b、第3分割電極26c、および、第4分割電極26dは、互いに同じ単一のシート状かつ、平面視で矩形状である。
【0036】
また、第1分割電極26aは、第1副有効領域SA1および第1副表示領域SD1(
図1)と平面視で重なる。第2分割電極26bは、第2副有効領域SA2および第2副表示領域SD2と平面視で重なる。第3分割電極26cは、第3副有効領域SA3および第3副表示領域SD3と平面視で重なる。第4分割電極26dは、第4副有効領域SA4および第4副表示領域SD4と平面視で重なる。なお、第1分割電極26a、第2分割電極26b、第3分割電極26c、および、第4分割電極26dを区別することなく説明するときは、単に「分割電極26」と称する。
【0037】
互いに隣接する2つの分割電極26は、Y方向に沿って延びるスリットSを介して配置されている。具体的には、第1分割電極26aと第2分割電極26bとは、第1スリットS1を介して配置されている。第2分割電極26bと第3分割電極26cとは、第2スリットS2を介して配置されている。第3分割電極26cと第4分割電極26dとは、第3スリットS3を介して配置されている。
【0038】
また、第1スリットS1は、第1副有効領域SA1と第2副有効領域SA2との境界線、および、第1副表示領域SD1と第2副表示領域SD2との境界線と平面視で重なる。第2スリットS2は、第2副有効領域SA2と第3副有効領域SA3との境界線、および、第2副表示領域SD2と第3副表示領域SD3との境界線と平面視で重なる。第3スリットS3は、第3副有効領域SA3と第4副有効領域SA4との境界線、および、第3副表示領域SD3と第4副表示領域SD4との境界線と平面視で重なる。なお、第1スリットS1、第2スリットS2、および、第3スリットS3を区別することなく説明するときは、単に「スリットS」と称する。スリットSの幅は、例えば、20μmである。
【0039】
なお、第1表示基板11、第2表示基板12、第1制御基板21、および、第2制御基板22は、例えばガラス製および樹脂製であり、透光性を有する。共通電極CE、画素電極PE、第1電極24、および、第2電極25は、インジウム錫酸化物(ITO)やインジウム亜鉛酸化物(IZO)などの導電材料製であり、透光性を有する。配向膜AL1、AL2,AL3,AL4,は、X-Y平面と平行な配向規制力を有する水平配向膜である。
【0040】
図2に示すように、表示装置1は、制御液晶層23において液晶分子を封止するシールSE2をさらに有している。制御液晶層23は、後述するように、直線偏光である偏光成分の偏光軸を回転させる旋光能を有している。
【0041】
また、視野角制御パネル20は、第3偏光板27と、第4偏光板28と、偏光軸回転素子29と、をさらに備えている。第3偏光板27は、第1制御基板21の背面側に配置されている。第4偏光板28は、第2制御基板22の前面側に配置されている。偏光軸回転素子29は、第4偏光板28の前面側に配置されている。
【0042】
第3偏光板27の透過軸および第4偏光板28の透過軸は、それぞれ、Z方向と直交している。第3偏光板27の透過軸と第4偏光板28の透過軸とは、互いに直交している。さらに、第4偏光板28の透過軸と、第1偏光板14の透過軸とは、Z方向に沿うZ軸回りにおいて、互いに異なる方位に位置している。
【0043】
偏光軸回転素子29は、第4偏光板28から表示パネル10に向かう光の偏光軸を回転させる光学シートである。第4偏光板28を透過した光は、第4偏光板28の透過軸と平行な偏光軸を有している。偏光軸回転素子29は、第4偏光板28を透過した光の偏光軸を、第1偏光板14の透過軸と整合させるように回転させる。
【0044】
なお、偏光軸回転素子29は、単一の光学シートであってもよいし、多層の光学シートであってもよい。また、偏光軸回転素子29は、偏光軸を回転させる機能を発現できるものであればよく、光学シートに限らず、ツイストネマティック液晶素子などの旋光能を有する素子であってもよい。
【0045】
バックライトユニット30は、視野角制御パネル20を介して表示パネル10に光を照射する。バックライトユニット30は、エッジ型であり、光源(不図示)および導光板(不図示)と、を備えている。光源は、例えばLED(Light Emitting Diode)および蛍光灯などである。導光板は、光源から出射された光を視野角制御パネル20に照射させるように案内する。なお、バックライトユニット30は、直下型でもよい。
【0046】
なお、表示装置1は、バックライトユニット30を備えなくてもよい。この場合、表示装置1は、自然光が表示パネル10に照明されるように構成される。
【0047】
このような表示装置1において、バックライトユニット30から出射される光(自然光)は、視野角制御パネル20を透過し、さらに表示パネル10を透過することで、表示領域DAに画像が出力される。
【0048】
次に、視野角制御パネル20が表示領域DAの視野角を調整する動作を説明する。視野角制御パネル20の駆動方式は上記のようにTN方式であり、制御液晶層23に含まれている液晶分子は、ツイスト配向した状態である。
【0049】
まず、制御液晶層23に電圧が印加されていない状態について説明する。制御液晶層23に電圧が印加されていない状態では、制御液晶層23に含まれる液晶分子の長軸は、Z方向と直交している。
【0050】
これにより、制御液晶層23において、光の進む方向は変化しない。よって、有効領域AAの全体における制御液晶層23の透過率は、比較的高い状態でほぼ等しく、対称性を有している。したがって、表示領域DAの視野角も、対称性を有している。
【0051】
一方、制御液晶層23に電圧が印加されている状態では、制御液晶層23に含まれる液晶分子の長軸は、Z方向と直交せず、X-Y平面と交差するように傾斜する。
【0052】
これにより、制御液晶層23において、液晶分子の長軸の傾きに応じて、光の進む方向が傾く。これにより、制御液晶層23の透過率は、有効領域AAで、非対称性を有する。したがって、表示領域DAの視野角も、非対称性を有する。
【0053】
本実施形態においては、制御液晶層23に電圧が印加された場合、制御液晶層23の透過率は、X方向において、非対称となる。具体的には、+Z側かつ-X側から視野角制御パネル20を見たとき(すなわち、基準軸Axから-X側に傾いた方向に沿って+Z側から視野角制御パネル20を見たとき)の制御液晶層23の透過率(以下、-X側の透過率と称する。)が低下する。また、制御液晶層23の-X側の透過率は、+Z側かつ+X側から視野角制御パネル20を見たとき(すなわち、基準軸Axから+X側に傾いた方向に沿って+Z側から視野角制御パネル20を見たとき)の制御液晶層23の透過率(以下、+X側の透過率と称する。)よりも低くなる。つまり、制御液晶層23に電圧が印加された場合、表示領域DAにおいて、-X側の視野角θ2は低下し、+X側の視野角θ1より小さくなる。つまり、運転席の搭乗者M1が画像を視認しにくくなる。
【0054】
また、制御液晶層23に印加される電圧が大きいほど、-X側の透過率は低下し、ひいては、表示パネル10の-X側の視野角θ2が小さくなる。つまり、制御液晶層23に印加される電圧が大きいほど、運転席の搭乗者M1が画像を視認しにくくなる。このように、視野角制御パネル20において制御液晶層23に印加される電圧が切り替えられることで、表示パネル10の視野角が切り替られる。
【0055】
図2に示すように、表示装置1は、第1制御回路40、および、第2制御回路50をさらに有している。第1制御回路40は、第1表示基板11に配置されている。第1制御回路40は、外部装置(不図示)から送信される画素信号に基づいて表示パネル10を制御し、表示液晶層13を透過する光の偏光成分を変調させることで、表示領域DAに画像を表示させる。
【0056】
第2制御回路50は、第1制御基板21に配置されている。第2制御回路50は、外部装置から送信される切替信号に基づいて、視野角制御パネル20を制御し、上記のように制御液晶層23に印加される電圧を切り替えることで、表示パネル10の視野角を切り替える。
【0057】
切替信号は、表示領域DAに表示される画像の全部を運転席の搭乗者M1および助手席の搭乗者M2の両方に視認させる視認信号、および、表示領域DAの表示される画像の一部を運転席の搭乗者M1に視認させず、かつ、助手席の搭乗者M2に視認させる非視認信号を有する。本実施形態において、運転席の搭乗者M1が視認することができない画像の一部は、第1~第3副表示領域SD1,SD2,SD3に表示される画像である。
【0058】
例えば、第1~第3副表示領域SD1,SD2,SD3を用いて1つの動画が表示されており、動画を運転中である運転席の搭乗者M1に視認させたくない場合に、外部装置にあるスイッチ(不図示)がオンされることで、非視認信号が第2制御回路50に送信される。なお、第4副表示領域SD4には、例えば道路案内の画像が表示されており、非視認信号が第2制御回路50に送信された場合でも、第4副表示領域SD4に表示されている画像を運転席の搭乗者M1が視認することができる。
【0059】
第2制御回路50は、視認信号を受信した場合、視野角制御パネル20の第1電極24と第2電極25との間に電位差を生じさせない。これにより、制御液晶層23に電圧が印加されず、上記のように、制御液晶層23の透過率は、有効領域AAの全体において比較的高い状態でほぼ等しく、対称性を有する。したがって、表示パネル10の視野角は比較的大きい角度で対称性を有し、運転席の搭乗者M1および助手席の搭乗者M2の両方が表示領域DAに表示される画像の全部を視認することができる。
【0060】
一方、第2制御回路50は、非視認信号を受信した場合、第1分割電極26aに対応する第1副表示領域SD1、第2分割電極26bに対応する第2副表示領域SD2、第3分割電極26cに対応する第3副表示領域SD3、および、第4分割電極26dに対応する第4副表示領域SD4毎に、視野角を調節する。
【0061】
具体的には、第2制御回路50は、非視認信号を受信した場合、視野角制御パネル20の第1電極24と第4分割電極26dとの間に電位差を生じさせない。つまり、第4分割電極26dの電位は、第1電極24の電位と等しい。これにより、第4分割電極26dと第1電極24との間の制御液晶層23には電圧が印加されず、第4分割電極26dに対応する第4副有効領域SA4の全体における制御液晶層23の透過率は、比較的高い状態でほぼ等しく、対称性を有する。
【0062】
したがって、第4副有効領域SA4に対応する第4副表示領域SD4において、表示パネル10の視野角は比較的高い状態で対称性を有し、運転席の搭乗者M1および助手席の搭乗者M2の両方が第4副表示領域SD4に表示される画像を視認することができる。
【0063】
また、第2制御回路50は、非視認信号を受信した場合、視野角制御パネル20の第1電極24と第1~第3分割電極26a,26b,26cとの間に電位差を生じさせる。つまり、第1~第3分割電極26a,26b,26cの電位は、第4分割電極26dの電位より高くなる。これにより、第1電極24と第1~第3分割電極26a,26b,26cとの間に電圧が印加され、第1~第3分割電極26a,26b,26cに対応する第1~第3副有効領域SA3それぞれにおいて、-X側の透過率が低下する。つまり、第2制御回路50が非視認信号を受信した場合、第1~第3副表示領域SD1,SD2,SD3それぞれにおいて、-X側の視野角θ2は低下し、+X側の視野角θ1より小さくなる。
【0064】
さらに、第2制御回路50は、第1電極24と第3分割電極26cとの電位差、第1電極24と第2分割電極26bとの電位差、および、第1電極24と第1分割電極26aとの電位差の順に、電位差を大きくする。つまり、第2制御回路50は、第3分割電極26cの電位、第2分割電極26bの電位、および、第1分割電極26aの電位の順に、電位を高くする。すなわち、第1~第3分割電極26a,26b,26cのうち互いに隣接する2つの分割電極26において、X方向の-X側の分割電極26の電位は、X方向の+X側の分割電極26の電位より高い。
【0065】
図5は、表示領域DAの全体が白表示された場合に、第2制御回路50が非視認信号に基づいて視野角制御パネル20を制御したときにおいて、基準軸AxからX方向の両側それぞれに傾いた方向に沿って+Z側から表示領域DAを見たときにおける、その傾いた方向の角度を示すX方向の傾角と表示領域DAの輝度を、分割電極26毎に示す図である。
図5において、X方向の傾角は、基準軸Axから+X側に傾いた角度を+X側の傾角として示し、かつ、基準軸AxからX方向の-X側に傾いた角度を-X側の傾角として示している。
【0066】
また、表示領域DAの全体が白表示された場合に、第2制御回路50が視認信号に基づいて視野角制御パネル20を制御したときにおいて、表示領域DAの輝度の最大値を「1」とする。また、表示領域DAの輝度が予め定められている所定の輝度以上であると、表示領域DAに表示された画像を運転席の搭乗者M1および助手席の搭乗者M2が視認できる。所定の輝度は、実験等で予め導出されており、例えば0.1である。つまり、所定の輝度以上となる表示領域DAの輝度に対応するX方向の傾角が視野角に相当する。
【0067】
表示領域DAの全体が白表示された場合に、第2制御回路50が非視認信号に基づいて視野角制御パネル20を制御したとき、上記のように、第3分割電極26cの電位、第2分割電極26bの電位、および、第1分割電極26aの電位の順に、電位が高くなる。これにより、第3分割電極26cに対応する第3副有効領域SA3、第2分割電極26bに対応する第2副有効領域SA2、および、第1分割電極26aに対応する第1副有効領域SA1の順に、-X側の透過率が低下する。
【0068】
透過率が低いほど、表示領域DAの輝度は低くなる。よって、-X側の透過率が低下すると、
図5の-X側の傾角の領域において、第3副有効領域SA3に対応する第3副表示領域SD3の輝度、第2副有効領域SA2に対応する第2副表示領域SD2の輝度、および、第1副有効領域SA1に対応する第1副表示領域SD1の輝度は、この順に低くなる。つまり、第3副表示領域SD3、第2副表示領域SD2、および、第1副表示領域SD1の順に、-X側の視野角θ2が小さくなる。
【0069】
上記のように、所定の輝度(=0.1)以上となる表示領域DAの輝度に対応するX方向の傾角が視野角に相当する。具体的には、第3副表示領域SD3の-X側の視野角θ2は、およそ19°であり、第2副表示領域SD2の-X側の視野角θ2は、およそ12°であり、第1副表示領域SD1の-X側の視野角θ2は、およそ7°である。
【0070】
つまり、表示装置1より-X側に位置する運転席の搭乗者M1は、第3副表示領域SD3、第2副表示領域SD2、および、第1副表示領域SD1の順に、画像を視認しにくくなり、3つの副表示領域SD1,SD2,SD3に表示される画像を視認することができない。
【0071】
例えば、表示領域DAがX方向に比較的長く、表示領域DAと運転席の搭乗者M1が比較的近い場合、運転席の搭乗者M1に最も近い第1副表示領域SD1に表示される画像を運転席の搭乗者M1が視認することができる可能性がある。しかしながら、上記のように、第3副表示領域SD3、第2副表示領域SD2、および、第1副表示領域SD1の順に、-X側の視野角θ2を小さくすることで、表示領域DAがX方向に比較的長い場合においても、3つの副表示領域SD1,SD2,SD3に表示される画像を運転席の搭乗者M1に視認させないようにすることができる。
【0072】
一方、第3副表示領域SD3、第2副表示領域SD2、および、第1副表示領域SD1の+X側の表示領域DAの輝度は、傾角が0から80°の間で「0.1」以上である。よって、の3つの副表示領域SD1,SD2,SD3の+X側の視野角θ1は、80°以上であり、表示装置1の正面に位置する助手席の搭乗者M2は、3つの副表示領域SD1,SD2,SD3に表示される画像を視認することができる。
【0073】
また、表示領域DAの-X側の視野角θ2が比較的小さい場合、表示領域DAと助手席の搭乗者M2との位置関係によっては、助手席の搭乗者M2が3つの副表示領域SD1,SD2,SD3の何れか1つに表示される画像を視認することができない可能性がある。しかしながら、上記のように、第3副表示領域SD3、第2副表示領域SD2、および、第1副表示領域SD1が+X側から-X側にこの順に並び、第3副表示領域SD3、第2副表示領域SD2、および、第1副表示領域SD1の順に、-X側の視野角θ2が小さくなることで、表示装置1の正面に位置する助手席の搭乗者M2は、3つの副表示領域SD1,SD2,SD3に表示される画像を視認することができる。
【0074】
なお、表示領域DAの全体が白表示された場合に、第2制御回路50が視認信号に基づいて視野角制御パネル20を制御したときにおいて、表示領域DAの輝度は、-X側の傾角が80°以下、および、+X側の傾角が80°以下のときに「0.1」以上である。すなわち、表示領域DAにおいて、-X側の視野角θ2および+X側の視野角θ1は、80°以上である。つまり、表示領域DAのX方向の視野角は、160°以上であり、運転席の搭乗者M1および助手席の搭乗者M2は、表示領域DAに表示される画像を視認することができる。
【0075】
このように、第2制御回路50が視認信号および非視認信号に基づいて分割電極26の電位を制御することで、視野角制御パネル20および表示装置1は、表示領域DAの視野角を適切に制御することができる。
【0076】
<第1実施形態の変形例>
次に、第1実施形態の変形例に係る表示装置1について説明する。
図6は、第1実施形態の変形例に係る表示装置1の平面図である。
【0077】
本変形例の表示領域DAは、黒表示領域BDを有している。黒表示領域BDは、表示領域DAにおいて、黒が表示されている領域である。黒表示領域BDは、平面視でスリットSと平行な帯状である。黒表示領域BDの幅は、スリットSの幅と等しい。また、黒表示領域BDは、平面視で第3副表示領域SD3と第4副表示領域SD4との境界線と重なり、さらに、第3スリットS3と重なる。具体的には、黒表示領域BDのX方向の両端と、第3スリットS3のX方向の両端とは、平面視でほぼ一致する。
【0078】
これにより、第3スリットS3から漏れるバックライトユニット30の光が、搭乗者M1に視認されることが抑制される。よって、上記のように非視認信号によって第3副表示領域SD3の画像が運転席の搭乗者M1に視認できない場合に、第3スリットS3から漏れる光が表示装置1より-X側に位置する運転席の搭乗者M1に視認されることを抑制することができる。
【0079】
なお、黒表示領域BDは、複数のスリットSのうち何れか1つのスリットSと重なってもよい。また、黒表示領域BDが複数あり、複数の黒表示領域BDが複数のスリットSに重なってもよい。
【0080】
また、黒表示領域BDの幅が第3スリットS3の幅より大きく、黒表示領域BDの-X側の端が、平面視で第3スリットS3の-X側の端より-X側に位置してもよい。さらに、この場合、黒表示領域BDの+X側の端が、平面視で第3スリットS3の両端の間に位置してもよい。
【0081】
なお、黒表示領域BDは、平面視で第3スリットS3よりX方向の-X側にあってもよい。つまり、この場合、黒表示領域BDのX方向の両端は、第3スリットS3よりX方向の-X側にある。この場合、黒表示領域BDが平面視で第3スリットS3よりX方向の-X側において、換言すれば、第2スリットS2と第3スリットS3との間において、第3スリットS3の近傍に位置することで、第3スリットS3から漏れる光が運転席の搭乗者M1に視認されることをより抑制することができる。
【0082】
また、黒表示領域BDは、平面視で第1スリットS1よりX方向の-X側にあってもよいし、平面視で第2スリットS2よりX方向の-X側にあってもよい。
【0083】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態に係る表示装置1について、主として上記の第1実施形態の表示装置1と異なる部分について説明する。本第2実施形態の表示装置1は、第1実施形態の視野角制御パネル20に代えて、2つの電気光学装置から構成されている電気光学ユニット150を備えている。
【0084】
図7は、第2実施形態に係る表示装置1の電気光学ユニット150の断面図である。電気光学ユニット150が備える一方の電気光学装置である第1の視野角制御パネル20αの構成は、上記の第1実施形態の視野角制御パネル20の構成と同じである。
【0085】
また、電気光学ユニット150が備える他方の電気光学装置である第2の視野角制御パネル20βは、第1の視野角制御パネル20αの背面側に張り付けられている。第2の視野角制御パネル20βの構成は、第1実施形態の視野角制御パネル20が備える第4偏光板28に対応する偏光板、および、偏光軸回転素子29に対応する素子を備えないこと以外、第1実施形態の視野角制御パネル20の構成と同じである。
【0086】
以下、第1の視野角制御パネル20αの構成部材の名称を、上記の第1実施形態の視野角制御パネル20の構成部材の名称に「第1の」を追加した名称とし、第1の視野角制御パネル20αの構成部材の符号を、上記の第1実施形態の視野角制御パネル20の構成部材の符号に「α」を追加した符号とする。また、第2の視野角制御パネル20βの構成部材の名称を、上記の第1実施形態の視野角制御パネル20の構成部材の名称に「第2の」を追加した名称とし、第2の視野角制御パネル20βの構成部材の符号を、上記の第1実施形態の視野角制御パネル20の構成部材の符号に「β」を追加した符号とする。
【0087】
つまり、第1の視野角制御パネル20αは、第1の第1制御基板21α、第1の第2制御基板22α、第1の制御液晶層23α、第1の第1電極24α、第1の第2電極25α、第1の第3偏光板27α、第1の第4偏光板28α、および、変更軸回転素子29αを有している。
【0088】
また、第1の第2電極25αは、複数の第1の分割電極26αに区画されている。複数の第1の分割電極26αは、第1の第1分割電極26aα、第1の第1分割電極26aαと第1の第1スリットS1αを介して隣接する第1の第2分割電極26bα、第1の第2分割電極26bαと第1の第2スリットS2αを介して隣接する第1の第3分割電極26cα、および、第1の第3分割電極26cαと第1の第3スリットS3αを介して隣接する第1の第4分割電極26dαを有する。第1の第1スリットS1α、第1の第2スリットS2α、および、第1の第3スリットS3αは、第1のスリットSαを構成する。
【0089】
第2の視野角制御パネル20βは、第2の第1制御基板21β、第2の第2制御基板22β、第2の制御液晶層23β、第2の第1電極24β、第2の第2電極25β、および、第2の第3偏光板27βを有している。第2の第2制御基板22βは、第1の第3偏光板27αの背面に張り付けられている。また、第1の第3偏光板27αの透過軸と、第2の第3偏光板27βの透過軸とは直交する。
【0090】
また、第2の第2電極25βは、複数の第2の分割電極26βに区画されている。複数の第2の分割電極26βは、第2の第1分割電極26aβ、第2の第1分割電極26aβと第2の第1スリットS1βを介して隣接する第2の第2分割電極26bβ、第2の第2分割電極26bβと第2の第2スリットS2βを介して隣接する第2の第3分割電極26cβ、および、第2の第3分割電極26cβと第2の第3スリットS3βを介して隣接する第2の第4分割電極26dβを有する。第2の第1スリットS1β、第2の第2スリットS2β、および、第2の第3スリットS3βは、第2のスリットSβを構成する。
【0091】
そして、第1の第1分割電極26aαは、第2の第1分割電極26aβと平面視で重なり、第1の第2分割電極26bαは、第2の第2分割電極26bβと平面視で重なる。また、第1の第3分割電極26cαは、第2の第3分割電極26cβと平面視で重なり、第1の第4分割電極26dαは、第2の第4分割電極26dβと平面視で重なる。
【0092】
図8は、第2実施形態に係る第1の視野角制御パネル20αの第1のスリットSαおよび第2の視野角制御パネル20βの第2のスリットSβを模式的に示す断面図である。
図8は、第1の第3スリットS3αおよび第2の第3スリットS3βを示す。
【0093】
図8に示すように、第1の第3スリットS3αと第2の第3スリットS3βとは、平面視で重なる。具体的には、第1の第3スリットS3αのX方向の両端と、第2の第3スリットS3βのX方向の両端とは、平面視でほぼ一致する。よって、第2の第3スリットS3βから-X側に漏れる光(
図8の破線の矢印)は、第1の第3分割電極26cαと第1の第1電極24αとの間の第1の制御液晶層23αを通過する。したがって、上記のように非視認信号によって第3副表示領域SD3の画像が運転席の搭乗者M1に視認できない場合に、第2の第3スリットS3βから漏れる光(
図8の破線の矢印)が表示装置1より-X側に位置する運転席の搭乗者M1に視認されることを抑制することができる。
【0094】
なお、第1の第1スリットS1αと第2の第1スリットS1βとが平面視で重なってもよいし、第1の第2スリットS2αと第2の第2スリットS2βとが平面視で重なってもよい。
【0095】
また、第2の第3スリットS3βの幅が第1の第3スリットS3αの幅と異なっており、第2の第3スリットS3βのX方向の+X側の端が、平面視で第1の第3スリットS3αのX方向両端の間に位置してもよい。さらに、第2の第3スリットS3βのX方向の+X側の端が、平面視で第1の第3スリットS3αのX方向の-X側の端と重ならなくてもよい。このことは、第1の第1スリットS1αと第2の第1スリットS1βとの関係、および、第1の第2スリットS2αと第2の第2スリットS2βとの関係についても同様である。
【0096】
図9は、第2実施形態の変形例に係る第1の視野角制御パネル20αの第1のスリットSαおよび第2の視野角制御パネル20βの第2のスリットSβを模式的に示す断面図である。
図9は、第1の第3スリットS3αおよび第2の第3スリットS3βを示す。
【0097】
図9に示すように、第2の第3スリットS3βは、平面視で、第1の第3スリットS3αよりX方向の-X側にある。つまり、この場合、第2の第3スリットS3βのX方向の両端は、第1の第3スリットS3αのX方向の両端よりX方向の-X側にある。この場合、上記のように非視認信号によって第3副表示領域SD3の画像が運転席の搭乗者M1に視認できない場合に、電気光学ユニット150および表示装置1は、第2の第3スリットS3βから漏れる光(
図9の破線の矢印)が表示装置1より-X側に位置する運転席の搭乗者M1に視認されることをより抑制することができる。
【0098】
また、電気光学ユニット150は、2つの視野角制御パネル20α、20βを備えることで、第1実施形態の視野角制御パネル20と同様に、表示領域DAの視野角を適切に制御することができる。
【0099】
なお、第2の第1スリットS1βが平面視で第1の第1スリットS1αよりX方向の-X側にあってもよいし、第2の第2スリットS2βが平面視で第1の第2スリットS2αよりX方向の-X側にあってもよい。
【0100】
<他の変形例>
以上、本発明の好適な実施の形態を説明したが、本発明はこのような実施の形態に限定されるものではない。実施の形態で開示された内容はあくまで一例にすぎず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で行われた適宜の変更についても、当然に本発明の技術的範囲に属する。上述した各実施形態および各変形例の要旨を逸脱しない範囲で、構成要素の種々の省略、置換および変更のうち少なくとも1つを行うことができる。
【0101】
例えば、第2制御回路50は、非視認信号を受信した場合、第4分割電極26dの電位を、第1電極24の電位より大きく、第3分割電極26cの電位より小さくする。この場合、表示装置1は、運転席の搭乗者M1が第4副表示領域SD4に表示されている画像を視認できないようにすることができる。
【0102】
また、第2制御回路50は、非視認信号を受信した場合、第1~第3分割電極26a,26b,26cの少なくとも何れか1つを第1電極24の電位と等しくしてもよい。この場合、表示装置1は、第1電極24と同電位の第1~第3分割電極26a,26b,26cに対応する副表示領域SDに表示されている画像を運転席の搭乗者M1が視認できるようにすることができる。
【0103】
また、制御液晶層23に電圧が印加された場合、制御液晶層23の+X側の透過率が低下してもよい。この場合、複数の副表示領域SDの全体それぞれにおいて、+X側の透過率が低下してもよく、さらに、互いに隣接する2つの分割電極26において、X方向の+X側の分割電極26の電位は、X方向の-X側の分割電極26の電位より高くてもよい。この場合、複数の副表示領域SDそれぞれにおいて、+X側の視野角θ1が、-X側の視野角θ2より小さくなる。
【0104】
また、視野角制御パネル20は、X方向と交差する方向の視野角を制御してもよい。
【0105】
また、第1の制御液晶層23αおよび第2の制御液晶層23βそれぞれに電圧が印加された場合に、第1の視野角制御パネル20αの透過率および第2の視野角制御パネル20βの透過率が互いに異なる方向の非対称性を示してもよい。
【0106】
また、本実施形態において述べた態様によりもたらされる他の作用効果について本明細書記載から明らかなもの、又は当業者において適宜想到し得るものについては、当然に本開示によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0107】
1 表示装置
10 表示パネル
20 視野角制御パネル(電気光学装置)
20α 第1の視野角制御パネル(第1の電気光学装置)
20β 第2の視野角制御パネル(第2の電気光学装置)
21 第1制御基板(第1基板)
22 第2制御基板(第2基板)
23 制御液晶層(液晶層)
24 第1電極
25 第2電極
26 分割電極
26α 第1の分割電極
26β 第2の分割電極
150 電気光学ユニット
BD 黒表示領域
DA 表示領域
Sα 第1のスリット
Sβ 第2のスリット