(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106279
(43)【公開日】2024-08-07
(54)【発明の名称】小動物用排泄容器
(51)【国際特許分類】
A01K 1/01 20060101AFI20240731BHJP
【FI】
A01K1/01 801A
A01K1/01 801G
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023010543
(22)【出願日】2023-01-26
(71)【出願人】
【識別番号】594033846
【氏名又は名称】株式会社マルカン
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(72)【発明者】
【氏名】松本 幸彦
【テーマコード(参考)】
2B101
【Fターム(参考)】
2B101AA13
2B101CA08
2B101CB01
2B101CC02
(57)【要約】
【課題】トレイ内の排泄物が飼育空間内を汚染することを効果的に抑制することができる小動物用排泄容器を提供する。
【解決手段】小動物用排泄容器は、トレイと、格子床部と、仕切り壁部とを備え、トレイは、底壁部及び周側壁部を有するトレイ本体と、周側壁部の外側面側に設けられた第1トレイ係合部と、周側壁部における第1トレイ係合部と対向する位置に設けられた第2トレイ係合部とを有し、格子床部は、床本体と、仕切り壁部の背面側の床本体の周縁部に設けられるとともに第1トレイ係合部に対し外側から係脱する第1床係合部と、床本体における第1床係合部と対向する位置に設けられるとともに第2トレイ係合部に係脱する第2床係合部とを有し、格子床部は、第1床係合部の第1トレイ係合部に対する係合を解除した後に、第2床係合部の第2トレイ係合部に対する係合を解除するように構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方に開口するトレイと、前記トレイの開口部を覆う格子床部と、前記格子床部の周縁部の一部から上方に延びる仕切り壁部とを備え、
前記トレイは、底壁部及び底壁部の周縁部から立ち上がる周側壁部を有するトレイ本体と、前記周側壁部の外側面側に設けられた第1トレイ係合部と、前記周側壁部における前記第1トレイ係合部と対向する位置に設けられた第2トレイ係合部とを有し、
前記格子床部は、前記開口部を覆う形状を有する床本体と、前記仕切り壁部の背面側の前記床本体の周縁部に設けられるとともに前記第1トレイ係合部に対し外側から係脱する第1床係合部と、前記床本体における前記第1床係合部と対向する位置に設けられるとともに前記第2トレイ係合部に係脱する第2床係合部とを有し、
前記格子床部は、前記第1床係合部の前記第1トレイ係合部に対する係合を解除した後に、前記第2床係合部の前記第2トレイ係合部に対する係合を解除するように構成されている、小動物用排泄容器。
【請求項2】
前記第1及び第2トレイ係合部は、それぞれ前記周側壁部から外方に突出して設けられ、
前記第1及び第2床係合部は、それぞれ前記第1及び第2トレイ係合部に外側から係止されることにより係合するように構成され、
前記第2床係合部の前記第2トレイ係合部に対する係合量は、前記第1床係合部の前記第1トレイ係合部に対する係合量よりも大きくした、請求項1記載の小動物用排泄容器。
【請求項3】
前記第1床係合部は、前記床本体から垂下するとともに外側に弾性変形する操作片と、前記操作片の内側面から内側に突出するとともに前記操作片の操作に伴い前記第1トレイ係合部の下面に係脱する係止凸部とを備え、
前記第2床係合部は、前記床本体から垂下するとともに前記第2トレイ係合部が挿通される係止孔部が設けられた垂下部を備える、請求項2記載の小動物用排泄容器。
【請求項4】
前記垂下部は、板状に形成されており、
前記第2床係合部は、前記垂下部の幅方向両端縁の少なくとも一端縁に沿って延びるとともに上端が前記床本体に接続されている補強リブをさらに備える、請求項3記載の小動物用排泄容器。
【請求項5】
前記仕切り壁部は、前記格子床部の中心側に開放された入隅部を有し、
前記第1床係合部は、前記入隅部の背面側に設けられている、請求項1記載の小動物用排泄容器。
【請求項6】
前記仕切り壁部の高さ寸法は、前記入隅部に近づくにつれて大きくなるように設定されている、請求項5記載の小動物用排泄容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小動物用排泄容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一般家庭などにおいて飼育される小動物が生活する飼育空間を清潔に保つために、当該飼育空間に小動物用の排泄容器を設置することが広く知られている。また、ウサギなどの小動物の一部は、壁際に臀部を向けて排泄を行う習性を有していることが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、仕切り壁一体型容器と、この容器内に配設された通水性底板(格子床部)と、を備えるトイレが開示されている。具体的には、この仕切り壁一体型容器は、直角二等辺三角形の底壁部及び前記底壁部の周縁部から立ち上がる3つの側壁を有する容器本体を有する容器(トレイ)と、前記3つの側壁のうちの前記底壁部の直角を挟む隣辺から立ち上がる2つの側壁から上方に延びる仕切り壁部と、前記3つの側壁のうちの底壁部の斜辺から立ち上がる側壁に設けられた容器係合部と、を備え、容器と仕切り壁部と容器係合部とが一体に形成されている。この仕切り壁一体型容器は、前記底壁部の斜辺を前側にすることにより、ケージ内の隅部に設置することができる。
【0004】
一方、通水性底板は、前記容器の開口部を覆う直角二等辺三角形状を有しており、複数の孔部が形成されている底板本体と、前記底板本体の斜辺から下方に突出するフックと、前記底板本体から下方に延びて前記底壁部に接地する複数の脚と、を有している。この通水性底板は、前記仕切り壁一体型容器の前記容器係合部に前記フックを引っ掛けてから、前記複数の脚を前記底壁部に接地させることにより、前記仕切り壁一体型容器に取り付けることができる。その一方で、前記仕切り壁一体型容器の容器内に溜まった排泄物を処理する場合には、前記複数の脚が前記底壁部から離れるように前記通水性底板の後側を持ち上げた状態で、前記フックを前記容器係合部から抜き取るように前記フックを前方(上前方)に移動させて前記容器係合部との係合状態を解除することにより、前記仕切り壁一体型容器から前記通水性底板を取り外すことができる。
【0005】
特許文献1に記載のトイレによれば、前記仕切り壁部によって壁際が形成されるため、トイレ内で排泄を行うよう小動物を誘導することが可能であり、かつ、小動物から排泄された排泄物は通水性底板の孔部を通じて容器の底面に落下して小動物から分離される。このため、小動物が排泄物を踏みつけるなどして小動物が汚れることが抑制されるため、清潔な飼育空間を提供できる点で有利である。
【0006】
また、特許文献1に記載のトイレによれば、通水性底板が仕切り壁一体型容器に対して着脱可能に構成されているため、トイレを効率よく清掃することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、ウサギなどの小動物の一部は、ストレスなどを原因として、飼育空間内で暴れることがある。このような小動物が特許文献1に記載のトイレを利用する場合、前記容器内に溜まった排泄物によって、飼育空間内が汚染される可能性がある。具体的には、特許文献1に記載のトイレでは、前記通水性底板の後側を持ち上げて、容器の前側、すなわち小動物側に設けられた前記フックと前記容器係合部との係合状態を解除するだけで前記通水性底板を前記仕切り壁一体型容器から取り外すことが可能である。そのため、前記小動物が、ストレスなどを原因として、例えば前記通水性底板に噛みついた状態で前記通水性底板を振り回すなどした場合、前記フックと前記容器係合部との係合状態が不測に解除され、通水性底板が容器から取り外されるおそれがある。この場合、前記通水性底板が前記仕切り壁一体型容器から取り外されるため、容器内に貯留されている排泄物を小動物が踏みつけるなどして、排泄物が小動物に付着することがあり、当該排泄物によって飼育空間内が汚染される可能性がある。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、格子床部がトレイから不測に取り外され、トレイ内の排泄物が飼育空間内を汚染することを効果的に抑制することができる小動物用排泄容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明に係る小動物用排泄容器は、上方に開口するトレイと、前記トレイの開口部を覆う格子床部と、前記格子床部の周縁部の一部から上方に延びる仕切り壁部とを備え、前記トレイは、底壁部及び底壁部の周縁部から立ち上がる周側壁部を有するトレイ本体と、前記周側壁部の外側面側に設けられた第1トレイ係合部と、前記周側壁部における前記第1トレイ係合部と対向する位置に設けられた第2トレイ係合部とを有し、前記格子床部は、前記開口部を覆う形状を有する床本体と、前記仕切り壁部の背面側の前記床本体の周縁部に設けられるとともに前記第1トレイ係合部に対し外側から係脱する第1床係合部と、前記床本体における前記第1床係合部と対向する位置に設けられるとともに前記第2トレイ係合部に係脱する第2床係合部とを有し、前記格子床部は、前記第1床係合部の前記第1トレイ係合部に対する係合を解除した後に、前記第2床係合部の前記第2トレイ係合部に対する係合を解除するように構成されている。
【0011】
この小動物用排泄容器によれば、前記トレイと、前記格子床部と、前記仕切り壁部とを備えるので、壁際で排泄を行う小動物の習性を利用して排泄容器内での排泄を促すことができる。また、前記トレイは、前記トレイ本体と、前記第1トレイ係合部と、前記第2トレイ係合部とを有し、前記格子床部は、前記開口部を覆う形状を有する床本体と、前記第1床係合部と、前記第2床係合部とを有するので、前記格子床部は、前記第1及び第2床係合部が前記第1及び第2トレイ係合部に係合することにより前記トレイに着脱自在に取り付けることができる。これにより、少なくとも対向する二点で各係合部を係合させることにより前記格子床部を前記トレイに取り付けることができる一方、前記トレイに溜まった排泄物を処理する場合には、各係合部の係合状態を解除して、前記トレイから前記格子床部を取り外すことができ、これにより小動物用排泄容器を清掃することができる。
【0012】
この小動物用排泄容器をケージの隅部に配置した場合には、前記第2の各係合部(トレイ係合部及び床係合部)が飼育空間に臨むことになるが、前記格子床部は、前記第1床係合部の前記第1トレイ係合部に対する係合を解除した後に、前記第2床係合部の前記第2トレイ係合部に対する係合を解除するように構成されるので、第2の各係合部にアクセスしただけでは、前記トレイから格子床部を取り外すことができない。一方、前記第1床係合部は、前記仕切り壁部の背面側の前記床本体の周縁部に設けられるとともに前記第1トレイ係合部に対し外側から係合するので、前記仕切り壁部が邪魔になって小動物が前記第1床係合部にアクセスし難くなっている。このため、小動物によって、前記第1床係合部と前記第1トレイ係合部との係合が不測に解除されることにより、前記格子床部が前記トレイから不測に取り外され、前記トレイ内の排泄物が飼育空間内を汚染することを効果的に抑制することができる。
【0013】
この発明において、前記第1及び第2トレイ係合部は、それぞれ前記周側壁部から外方に突出して設けられ、前記第1及び第2床係合部は、それぞれ前記第1及び第2トレイ係合部に外側から係止されることにより係合するように構成され、前記第2床係合部の前記第2トレイ係合部に対する係合量は、前記第1床係合部の前記第1トレイ係合部に対する係合量よりも大きくしたことが好ましい。
【0014】
このように構成すれば、前記第1床係合部の前記第1トレイ係合部に対する係合を解除した後に、前記第2床係合部の前記第2トレイ係合部に対する係合を解除するという前記格子床部の構成を容易に実現できる。具体的には、上記構成では、前記第2床係合部の前記第2トレイ係合部に対する係合量を、前記第1床係合部の前記第1トレイ係合部に対する係合量よりも大きくしている。つまり、前記第2床係合部の前記第2トレイ係合部に対する係合を解除するために必要な前記第2床係合部の移動量を、前記第1床係合部の前記第1トレイ係合部に対する係合を解除するために必要な第1床係合部の移動量よりも大きくしている。このため、例えば各床係合部の各トレイ係合部に対する係合先端位置を調整する、という簡単な構成で、前記第1床係合部の前記第1トレイ係合部に対する係合を解除した後に、前記第2床係合部の前記第2トレイ係合部に対する係合を解除するという前記格子床部の構成を実現できる。
【0015】
ここで、本発明に係る「係合量」とは、各床係合部の係合先端位置と、各トレイ係合部の突出先端位置との前記各トレイ係合部の突出方向における距離を言う。
【0016】
この発明において、前記第1床係合部は、前記床本体から垂下するとともに外側に弾性変形する操作片と、前記操作片の内側面から内側に突出するとともに前記操作片の操作に伴い前記第1トレイ係合部の下面に係脱する係止凸部とを備え、前記第2床係合部は、前記床本体から垂下するとともに前記第2トレイ係合部が挿通される係止孔部が設けられた垂下部を備えることが好ましい。
【0017】
このように構成すれば、前記第1床係合部は、前記操作片と前記係止凸部とを備えるので、前記操作片を外側に弾性変形させるといった簡単な操作により、前記係止凸部と前記第1トレイ係合部との係止状態を解除できる。一方、前記第2床係合部は、前記床本体から垂下するとともに前記第2トレイ係合部が挿通される係止孔部が設けられた垂下部を備えるので、前記係止孔部に前記第2トレイ係合部を挿通させることにより前記第2床係合部と前記第2トレイ係合部とを簡単に係合させることができる。
【0018】
また、上記構成では、前記係止孔部に前記第2トレイ係合部を挿通させることにより前記第2床係合部と前記第2トレイ係合部との係合が実現されるため、前記第2トレイ係合部の外方への突出量、すなわち前記第2トレイ係合部の突出先端の位置を調整するだけで、前記第2床係合部の前記第2トレイ係合部に対する係合を解除するために必要な前記第2床係合部の移動量を、前記第1床係合部の前記第1トレイ係合部に対する係合を解除するために必要な前記第1床係合部の移動量よりも大きくすることができる。このため、前記第1床係合部の前記第1トレイ係合部に対する係合を解除した後に、前記第2床係合部の前記第2トレイ係合部に対する係合を解除するという前記格子床部の構成を容易に実現できる。
【0019】
この発明において、前記垂下部は、板状に形成されており、前記第2床係合部は、前記垂下部の幅方向両端縁の少なくとも一端縁に沿って延びるとともに上端が前記床本体に接続されている補強リブをさらに備えることが好ましい。
【0020】
このように構成すれば、前記補強リブによって前記垂下部の剛性が向上するため、前記垂下部を外側に弾性変形させることが困難になる。このため、前記垂下部を外側に弾性変形させることにより、前記第1床係合部の前記第1トレイ係合部に対する係合を解除することなく前記第2床係合部の前記第2トレイ係合部に対する係合を解除することが困難になる。
【0021】
この発明において、前記仕切り壁部は、前記格子床部の中心側に開放された入隅部を有し、前記第1床係合部は、前記入隅部の背面側に設けられていることが好ましい。
【0022】
このように構成すれば、前記第1床係合部は前記格子床部の中心側に開放された背面側に形成されるため、前記仕切り壁部の端部から十分に離れた位置に前記第1床係合部を設けることができる。つまり、小動物がアクセスし難い位置に、前記第1床係合部を設けることができる。このため、小動物によって、前記第1床係合部と前記第1トレイ係合部との係合が不測に解除されることを抑制できる。
【0023】
この発明において、前記仕切り壁部の高さ寸法は、前記入隅部に近づくにつれて大きくなるように設定されていることが好ましい。
【0024】
このように構成すれば、前記仕切り壁部の高さ寸法は、前記入隅部に近づくにつれて大きくなるため、前記第1床係合部の小動物に対する隠ぺい性が、前記入隅部に近づくにつれて向上する。これにより、小動物がよりアクセスし難い位置に前記第1床係合部が設けられることになるため、小動物によって前記第1床係合部と前記第1トレイ係合部との係合が不測に解除されることをより確実に抑制することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、格子床部がトレイから不測に取り外され、トレイ内の排泄物が飼育空間内を汚染することを効果的に抑制することが可能な小動物用排泄容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明に係る小動物用排泄容器の一実施形態を示す分解斜視図である。
【
図3】前記小動物用排泄容器のトレイの平面図である。
【
図4】
図2の小動物用排泄容器を切断面線IV-IVから見た断面図である。
【
図5】
図2の小動物用排泄容器を切断線面V-Vから見た断面図である。
【
図7】
図2の小動物用排泄容器を切断線面VII-VIIから見た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態に係る小動物用排泄容器1について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した例であって、本発明の技術的な範囲を限定するものではない。
【0028】
本実施形態に係る小動物用排泄容器1は、ウサギやモルモット、さらにはハムスター等のように、壁際、特に入隅が形成されている部分に臀部を向けて排泄を行う習性を有する小動物を飼育する際に所定のケージ内に配設されるものである。以下では、小動物がウサギである場合を例にして小動物用排泄容器1の説明を行うが、小動物の種類はこれに限定されるものではなく、ストレスなどを原因として飼育空間内で暴れるおそれがある小動物に広く適用可能である。
【0029】
図1は、小動物用排泄容器1の一実施形態を示す分解斜視図であり、
図2は、その組み立て斜視図である。なお、図面において、X方向を左右方向、X方向に直交するY方向を前後方向、X方向及びY方向に直交するZ方向を上下方向といい、特に+Xを左方、+Yを後方、+Zを上方として便宜上説明する。
【0030】
図1及び
図2に示すように、小動物用排泄容器1は、異形の直方体状を呈する容器本体10と、容器本体10内に敷設されてウサギの尿などを吸収するシーツ100とを備える。容器本体10は、平面視において互いに前後方向に対向する位置に面取りされた角部をそれぞれ有する異形の四角形状を呈するとともに上方が開口しているトレイ20と、トレイ20の開口部20Aを覆うようにトレイ20に取り付けられている格子床部30と、格子床部30から上方に延びる仕切り壁部40とを有している。
【0031】
図3は、トレイ20の平面図である。トレイ20は、ウサギの排泄物を貯留する機能を有し、本実施形態では深皿状に形成されている。トレイ20は、
図3に示すように、トレイ本体20Bと、トレイ本体20Bの後述する周側壁部22の外側面側に設けられている後側被係止部243(本発明の「第1トレイ係合部」に対応)と、トレイ本体20Bの後述する周側壁部22における後側被係止部243と対向する位置に設けられた前側被係止部253(本発明の「第2トレイ係合部」に対応)と、を有している。なお、本実施形態において、トレイ本体20B、前側被係止部253、及び後側被係止部243は、合成樹脂により一体成形されている。
【0032】
トレイ本体20Bは、前後方向に対向する角が面取りされた異形正方形状の底壁部21と、底壁部21の周縁部から立ち上がる周側壁部22とを備え、これにより前部及び後部のそれぞれに面取りされた角部C2,C1を有している。なお、本実施形態では、底壁部21と周側壁部22とが合成樹脂により一体成形されている。
【0033】
底壁部21は、上記のように異形方形状の板状体として形成され、トレイ本体20Bの載置面に対して上面21aが平行(略平行を含む)に配置される。
【0034】
周側壁部22は、本実施形態では、格子床部30が位置決めされた状態で載置可能に構成されている。具体的には、周側壁部22は、
図3に示すように、トレイ本体20Bの後部における角部C1を形成する一対の側壁部23と、当該角部C1を面取りする態様で一対の側壁部23の間に介在する板状の面取り壁部24と、一対の側壁部23の角部C1と反対側の端部23a同士を繋ぐとともに角部C1の前方に対向する対向角部C2を形成する接続壁部25とを有している。
【0035】
一対の側壁部23は、それぞれの上縁の延長線同士が所定の交差点23Pにおいて交差、本実施形態では直交するように平面視ハの字状に配置され、各一端部(
図3では後端部)が面取り壁部24の左右両端部にそれぞれ接続され、各他端部(
図3では前端部)23aが接続壁部25の左右両端部にそれぞれ接続されている。
【0036】
図4は、
図2の小動物用排泄容器1を切断面線IV-IVから見た断面図である。側壁部23は、
図4に示すように、側壁本体部231と、側壁本体部231の下端と底壁部21とを接続する側壁湾曲部232と、側壁本体部231の上端から平面視において外方に張り出している側壁フランジ部233と、側壁フランジ部233の外縁部から上方に立ち上がる側壁立設部234と、を有している。
【0037】
側壁本体部231は、下方に向かうにしたがって内側に傾斜する抜き勾配を有しており、当該抜き勾配のために底壁部21の法線に対して傾斜している。側壁本体部231の底壁部21の法線に対する傾斜角度(以下、「側壁傾斜角度」と称する)は、一般的な抜き勾配、例えば0.5°以上、5°以下に設定されている。本実施形態では、側壁傾斜角度は1°に設定されている。
【0038】
側壁湾曲部232は、外方に膨出するように湾曲して側壁本体部231の下端と底壁部21とを接続している。
【0039】
側壁フランジ部233は、側壁本体部231の上端から外方に張り出しており、上面に格子床部30の後述する後側枠辺部31aが載置される。
【0040】
側壁立設部234は、側壁フランジ部233の外縁部から上方に立ち上がり、側壁フランジ部233に載置されている後述する後側枠辺部31aを位置決めする。
【0041】
面取り壁部24は、一対の側壁部23が後方に向かって延長されることによって形成される角を面取りする態様で、一対の側壁部23の間に介在している。本実施形態に係る面取り壁部24は、
図3に示すように、一対の側壁部23の側壁本体部231の上端から側壁湾曲部232の下端に亘って介在している。すなわち、面取り壁部24は、底壁部21の後縁部から立ち上がる壁部であり、角部C1をいわゆるC面取りするように一対の側壁部23のそれぞれに接続されている。なお、面取り壁部24による面取りの態様はC面取りに限定されるものではなく、R面取りなどに適宜変更可能である。
【0042】
図5は、
図2の小動物用排泄容器1を切断線面V-Vから見た断面図であり、
図6は、
図5に示す領域VIの拡大図である。
図5に示すように、面取り壁部24は、面取り壁部24の上下方向における中間部よりも上方に設けられており、格子床部30の後述する後面取り部31cが上面に載置される上垂壁部241と、上垂壁部241の下端、すなわち周側壁部22の上部から、下方に向かうにしたがって内側に傾斜して延びる傾斜壁部242と、を有している。
【0043】
傾斜壁部242は、格子床部30の後述する角対応孔部H1の下方に設けられるように設計されており、角対応孔部H1を通じてトレイ本体20Bに落下するウサギの糞を角部C1から離れる方向に誘導する機能を有する。具体的には、
図3の二点鎖線に示すように、傾斜壁部242は、平面視において外縁部よりも内側の中央部分が角対応孔部H1に重複する位置に設けられ、これにより角対応孔部H1を通じて落下する糞が当たるように設定されている。
図5に示すように、傾斜壁部242は表面242aが平面に形成されており、底壁部21の法線に対して傾斜している。傾斜壁部242の底壁部21の法線に対する傾斜角度(以下「傾斜壁部傾斜角度θ1」と称する)は、側壁傾斜角度、後述する第2側壁傾斜角度、及び第2面取り本体部252aの傾斜角度よりも大きく設定され、30°以上、75°以下の範囲内で設定されるのが好ましい。なお、本実施形態において、傾斜壁部傾斜角度θ1は60°に設定されている。
【0044】
傾斜壁部242の下端部は、
図5に示すように、断面視において、外方に突出する円弧状に形成されており、底壁部21に滑らかに接続されている。これにより、傾斜壁部242を転がり落ちる糞の勢いを殺すことなく糞を底壁部21に導くことができる。傾斜壁部242は、面取り壁部24の高さ寸法に対して半分以上の高さ寸法を有している。具体的には、本実施形態では、傾斜壁部242の上端が格子床部30の後述する床本体35Aの下端と同等の高さ位置に配設されている。
【0045】
図3に示すように、接続壁部25は、左右対称な形状に形成され、一対の側壁部23同士を繋いでいる。接続壁部25は、角部C1に対して前方に対向する対向角部C2を形成する一対の第2側壁部251と、一対の第2側壁部251同士の間に介在する第2面取り壁部252とを有している。
【0046】
一対の第2側壁部251は、
図3に示すように、それぞれの上縁の延長線同士が所定の交差点251Pにおいて直交するように平面視逆ハの字状に配置され、各一端部(
図3では前端部)が第2面取り壁部252の左右両端部にそれぞれ接続され、各他端部(
図3では後端部)が一対の側壁部23の端部23aにそれぞれ接続されている。
【0047】
図7は、
図2の小動物用排泄容器1を切断線面VII-VIIから見た断面図である。第2側壁部251は、
図7に示すように、第2側壁本体部251aと、第2側壁本体部251aの下端と底壁部21とを接続する第2側壁湾曲部251bと、第2側壁本体部251aの上端から平面視において外方に張り出している第2側壁フランジ部251cと、第2側壁フランジ部251cの外縁部から上方に立ち上がる第2側壁立設部251dとを有している。
【0048】
第2側壁本体部251aは、下方に向かうにしたがって内側に傾斜する抜き勾配を有しており、当該抜き勾配のために底壁部21の法線に対して傾斜している。第2側壁本体部251aの底壁部21の法線に対する傾斜角度(以下「第2側壁傾斜角度」と称する)は、一般的な抜き勾配、例えば0.5°以上、5°以下に設定されている。本実施形態において、第2側壁傾斜角度は側壁傾斜角度と同等に設定されている。
【0049】
第2側壁湾曲部251bは、外方に膨出するように湾曲して第2側壁本体部251aの下端と底壁部21とを接続している。
【0050】
第2側壁フランジ部251cは、第2側壁本体部251aの上端から外方に張り出しており、側壁フランジ部233と面一に形成されることにより格子床部30の後述する前側枠辺部31bが載置される。
【0051】
第2側壁立設部251dは、第2側壁フランジ部251cの外縁部から上方に立ち上がり、側壁フランジ部233に載置されている後述する前側枠辺部31bを位置決めする。なお、
図3に示すように、本実施形態に係る第2側壁立設部251dは、第2側壁フランジ部251cの全長に亘って設けられているのではなく、第2側壁フランジ部251cの前端部の所定範囲を残して設けられている。つまり、本実施形態において、第2側壁立設部251dは第2面取り壁部252の近傍に設けられていない。
【0052】
第2面取り壁部252は、
図3に示すように、一対の第2側壁部251の間に介在し、本実施形態では一対の第2側壁本体部251aの上端から一対の第2側壁湾曲部251bの下端に亘って介在している。すなわち、第2面取り壁部252は底壁部21の前縁部から上方に延びており、対向角部C2をいわゆるC面取りするように一対の第2側壁部251に接続されている。第2面取り壁部252による面取りの大きさは、面取り壁部24による面取りの大きさよりも大きく設定され、これにより第2面取り壁部252の下端の左右方向における寸法は、面取り壁部24の下端の左右方向における寸法よりも大きく設定されている。
【0053】
図3及び
図5に示すように、第2面取り壁部252は、第2面取り本体部252aと、第2面取り本体部252aの下端と底壁部21とを接続する第2面取り湾曲部252bと、第2面取り本体部252aの上縁から外方に張り出している第2面取りフランジ部252cと、を有している。
【0054】
第2面取り本体部252aは、下方に向かうにしたがって内側に傾斜する抜き勾配を有しており、当該抜き勾配のために底壁部21の法線に対して傾斜している。本実施形態において、第2面取り本体部252aの傾斜角度は第2側壁傾斜角度と同等に設定されている。
【0055】
第2面取り湾曲部252bは、外方に膨出するように湾曲して第2面取り本体部252aの下端と底壁部21とを接続している。
【0056】
第2面取りフランジ部252cは、第2面取り本体部252aの上縁から外方に張り出しており、第2側壁フランジ部251cと面一に形成されることにより上面に格子床部30の後述する前面取り部31dが載置される。
【0057】
後側被係止部243は、格子床部30の後述する後側係止部35が係止されるものであり、面取り壁部24の外側面における上端部に突設されている。具体的には、後側被係止部243は、
図5及び
図6に示すように、上垂壁部241の上端部から後方に突出している凸部である。後側被係止部243は、上面243aと、下面243bと、傾斜面243cと、を有している。上面243aは、上垂壁部241の上面及び側壁部23の側壁フランジ部233の上面と面一に形成され、後述する後面取り部31cが載置される。下面243bは、後側係止部35の後述する係止凸部352が係止される。傾斜面243cは、上面243aと後面(符号省略)との間に形成されており、後方に向かうにしたがって先下がりに傾斜している。傾斜面243cは、後述する係止凸部352の傾斜下面352aと摺接して、後側係止部35を後方に案内する。
【0058】
前側被係止部253は、周側壁部22において後側被係止部243の前方に対向する位置の外周面側の外方に突出して設けられ、後述する前側係止部34に係止される。すなわち、前側被係止部253は、後述する舌片341の係止孔部342に挿通されるように第2面取り本体部252aから前方に突出し、本実施形態では上部の突出量が下部の突出量より大きくなるように構成されている。これにより、前側被係止部253は、後述する前側係止部34との係止解除がより確実に抑制されるようになされている。具体的には、前側被係止部253は、
図1、
図3及び
図5に示すように、第2面取り本体部252aの上部でありかつ左右方向における中央部から前方に突出する前側被係止凸部253aと、前側被係止凸部253aの上縁から外方に張り出している前側被係止フランジ部253bと、を有している。
図5に示すように、前側被係止部253の第2面取り本体部252aからの前後方向における突出量は、後側被係止部243の上垂壁部241からの前後方向における突出量よりも大きい。これにより、後述する前側係止距離L1を後側係止距離L2よりも大きくして、たとえ前側係止部34の後述する舌片341が不測に操作されて前後に弾性変形したとしても、前側係止部34と前側被係止部253との係止状態が基本的には解除されないように調整されている。
【0059】
図9は、小動物用排泄容器1の正面図である。前側被係止凸部253aは、
図9に示すように、正面視において横長の矩形状を呈している。すなわち、前側被係止凸部253aの左右方向における幅寸法は、上下方向における幅寸法よりも大きく設定されている。本実施形態において、前側被係止凸部253aの上下方向における寸法は、第2面取り本体部252aの上下方向における寸法の3分の1に設定されている。
【0060】
前側被係止フランジ部253bは、前側被係止凸部253aの上縁から前方及び左右各側方に張り出しており、第2面取りフランジ部252cと面一に形成されることにより上面に格子床部30の後述する前面取り部31dが載置される。
図5に示すように、前側被係止フランジ部253bの前端縁は、前側被係止凸部253aの前端縁よりも前方に位置している。これにより、上記したように、後述する舌片341が不測に操作されたとしても、舌片341の後端縁を前側被係止フランジ部253bの前端縁よりも前方まで弾性変形させなければ、前側係止部34と前側被係止部253との係止状態を解除できないため、前側被係止部253と前側係止部34との係止状態を解除することが基本的にできない。前側被係止フランジ部253bの上下方向における寸法は、
図5に示すように、前側被係止凸部253aの上下方向における寸法よりも小さく設定されている。
【0061】
格子床部30は、排泄を行うウサギの足場としての機能を有するとともに、ウサギの排泄物を飼育空間から分離する機能を有する。本実施形態において、格子床部30と仕切り壁部40とは合成樹脂により一体成形されている。
図8は、小動物用排泄容器1の平面図である。格子床部30は、
図8に示すように、トレイ20の開口部20Aを覆う形状を有する床本体35Aと、床本体35Aをトレイ本体20Bから離脱又は取り付けるための係止機構35Bとを備え、これらが一体成形されている。
【0062】
床本体35Aは、平面視においてトレイ20の開口部20Aに対応した形状を有するとともに格子床部30の外周を構成する枠部31と、枠部31の内側に並設されている複数の第1桟部32及びこれらの第1桟部32に直交する複数の第2桟部33と、を有しており、これらの各部31~33によって枠部31内に複数の孔部Hを有する。
【0063】
枠部31は、
図8に示すように、トレイ20の開口部20Aの形状、すなわち平面視において前後方向に互いに対向する角部が面取りされた異形の四角形状を呈する。具体的には、枠部31は、各側壁フランジ部233に載置されて各側壁立設部234の内側に位置決めされる一対の後側枠辺部31aと、各第2側壁フランジ部251cに載置されて各第2側壁立設部251dの内側に位置決めされる一対の前側枠辺部31bと、上垂壁部241及び後側被係止部243に載置される後面取り部31cと、第2面取りフランジ部252c及び前側被係止フランジ部253bに載置される前面取り部31dと、を有している。
【0064】
一対の後側枠辺部31aのそれぞれは、内縁が各側壁フランジ部233から内側にはみ出るように幅寸法が設定されている。これにより、トレイ本体20Bにシーツ100を敷設した場合に、複数の孔部Hが確実にシーツ100の上方に配置されるため、ウサギの排泄物をトレイ本体20Bの内側領域に確実に導くことができる。また、本実施形態において、一対の後側枠辺部31aの幅寸法は、前方から後方に向かうにつれて各側壁フランジ部233の内縁からのはみ出し寸法が大きくなるように設定されており、これにより、後述する角対応孔部H1の左右側縁が一対の側壁部23に対して内側に偏位した位置に配置される。
【0065】
一対の後側枠辺部31aと同様に、一対の前側枠辺部31b、後面取り部31c、前面取り部31dのそれぞれの幅寸法は、内縁が、各第2側壁フランジ部251c、上垂壁部241、第2面取りフランジ部252cのそれぞれの内縁に対して内側にはみ出すように設定されている。特に、前面取り部31dの幅寸法(前後寸法)は、前側被係止凸部253aの突出量を考慮して、前側被係止凸部253aの上方を確実に被覆することが可能な寸法に設定されている。これにより、仮にウサギが前側被係止凸部253aの上方において糞を排出したとしても、当該糞が前側被係止凸部253aの突出により形成されるトレイ本体20Bの段部26(
図1参照)上に積層して、格子床部30の後述する複数の孔部Hから溢れることが抑制されている。
【0066】
複数の第1桟部32は、枠部31の内側において角部C1の内角二等分線に対して直交する左右方向に延び、本実施形態では前面取り部31d、後面取り部31cと平行に並設されている。
図5に示すように、複数の第1桟部32のそれぞれは、延出方向に直交する断面視において略扇状を呈しており、前後幅寸法が下方に向かって先細り状に形成されている。これにより、複数の孔部Hを通過する排泄物と複数の第1桟部32との接触面積を減らして、糞詰まりを抑制するとともに尿切れを良くしている。
図8に示すように、複数の第1桟部32は、複数の第1桟部32のうち角部C1に近接、すなわち後面取り部31cの前方側に隣接する外側第1桟部321と、外側第1桟部321に対して前方側に隣接する隣接第1桟部322と、隣接第1桟部322の前方側に並設されている複数の内側第1桟部323と、を有している。
【0067】
複数の第2桟部33は、枠部31の内側において、第1桟部32と直交するように前後方向に延びている。
図4及び
図7に示すように、複数の第2桟部33のそれぞれは、複数の第1桟部32と同様に延出方向に直交する断面視において略扇状を呈しており、左右幅寸法が下方に向かって先細り状に形成されている。また、隣接第1桟部322及び複数の内側第1桟部323と複数の第2桟部33とが直交する直交部分350における表面は、水平方向に沿ったフラットな形状に形成されている。本実施形態では、第2桟部33は外側第1桟部321と前面取り部31dとの間の領域に設けられており、後面取り部31cと外側第1桟部321との間の領域には設けられていない。これにより、複数の孔部Hのうち前後方向における最も後方側に、単一の角対応孔部H1が形成されている。
【0068】
角対応孔部H1は、複数の孔部Hのうち、格子床部30における角部C1に対応する格子床角部C3に形成されている孔であり、後述する入隅部Iに近接するように複数の孔部Hのうち前後方向における最も後方側に形成されている孔である。ウサギは、後述する入隅部Iに臀部を向けて排泄を行う習性を有していることから、ウサギの排泄物の通過頻度は、複数の孔部Hのうち角対応孔部H1において最も高くなることが想定される。
図8に示すように、本実施形態に係る角対応孔部H1は、外側第1桟部321と一対の後側枠辺部31aと後面取り部31cとを構成部材として形成されている単一の孔である。
図3に示すように、角対応孔部H1は、平面視において傾斜壁部242における外縁部よりも内側部分に重なるように、トレイ20の開口部20Aの縁部に対して内側に偏位した位置に形成されている。すなわち、本実施形態では、角対応孔部H1が傾斜壁部242の上方に配置されるように、一対の後側枠辺部31aや各桟部32、33の寸法及び配置等が設定されている。これにより、角対応孔部H1を通過するウサギの排泄物を傾斜壁部242の外縁部よりも内側部分に導くことができる。そのため、底壁部21、及び、傾斜壁部242を含めた周側壁部22に沿ってシーツ100が敷設された場合においても、シーツ100の上に確実に排泄物を導くことができ、例えばシーツ100から外れた位置に排尿が落下してシーツ100の下方(すなわち、シーツ100の下面と底壁部21の上面21aとの間の隙間)へ小動物の排尿が回り込むことを抑制しつつ、糞を適切にトレイ本体20Bの内側領域に誘導することができる。
【0069】
図8に示すように、角対応孔部H1の前後方向における最大寸法P1は、外側第1桟部321と当該外側第1桟部321に隣接する隣接第1桟部322との離間寸法P2よりも大きく設定されている。また、離間寸法P2は、隣接第1桟部322と当該隣接第1桟部322の前方に配置されている内側第1桟部323との間の第2離間寸法P3、及び、内側第1桟部323同士の間における第3離間寸法P4よりも大きく設定されている。つまり、本実施形態では、ウサギの前記習性を考慮して、ウサギの排泄物が落下してくる可能性が高いと想定される格子床角部C3には前後方向に大きく開口している角対応孔部H1を形成する一方、排泄物が落下してくる可能性が低いと想定される格子床角部C3から離れた領域には複数の第1桟部32が密集するように、離間寸法P2、第2離間寸法P3、第3離間寸法P4を設定している。これにより、ウサギの排泄物を角対応孔部H1において確実に通過させつつ、ウサギの足の接地面積を増加させてウサギの足にかかる負担を低下させることができる。なお、本実施形態において、最大寸法P1は15mmに、離間寸法P2は14mmに、第2離間寸法P3及び第3離間寸法P4は13mmに、それぞれ設定されている。
【0070】
係止機構35Bは、
図5及び
図9に示すように、枠部31の前端縁部から垂下し、前側被係止部253に外側から係止されることにより前側被係止部253に対して係合する前側係止部34(本発明の「第2床係合部」に対応)と、仕切り壁部40の背面側における枠部31の後端縁部から垂下し、後側被係止部243に外側から係止されることにより後側被係止部243に係合する後側係止部35(本発明の「第1床係合部」に対応)とを有している。この係止機構35Bは、トレイ20の前側被係止部253及び後側被係止部243と協働して、格子床部30について、後側係止部35の後側被係止部243に対する係合を解除した後に、前側係止部34の前側被係止部253に対する係合を解除するように構成されている。言い換えれば、この係止機構35Bは、格子床部30について、後側係止部35の後側被係止部243に対する係合を解除した後でなければ、前側係止部34の前側被係止部253に対する係合を解除できないように構成されている。
【0071】
具体的には、前側係止部34は、
図5及び
図9に示すように、前面取り部31dの前端縁部から下方に延びる板状に形成され、上部に係止孔部342が貫設された舌片341(本発明の「垂下部」に対応)と、舌片341の左右幅方向の両端縁に沿ってそれぞれ延びるとともに舌片341から前方にそれぞれ突出する一対の補強リブ343とを備える。また、
図5に示すように、前側係止部34は、仕切り壁部40に対して前側に配設されている。
【0072】
舌片341は、正面視矩形板状に形成され、枠部31の前面取り部31dの前端縁部から後側にオフセットした位置から垂下する。このように舌片341を後側にオフセットさせることにより、オフセットさせない場合に比べて、舌片341を前側被係止凸部253aの基端側に係止させることができる。これにより、舌片341の後端縁から前側被係止フランジ部253bの前端縁までの前後方向(前側被係止部253の突出方向)の距離(以下、前側係止距離L1と称する)、すなわち、前側係止部34の前側被係止部253に対する係合先端位置から前側被係止部253の突出先端までの前後方向における係合量、をオフセットさせない場合に比べて大きく確保することができる。その結果、格子床部30をトレイ20に組み付けた状態において、後側係止部35と後側被係止部243との係止解除をした後でなければ、前側係止部34と前側被係止部253との係止解除がし難くなる。
【0073】
また、舌片341と第2面取り本体部252aとの間には、前後方向における隙間が形成されている。これにより、格子床部30の後側を持ち上げて傾けた際に、舌片341と第2面取り本体部252aとが干渉することを抑制できる。舌片341の上部には、前側被係止凸部253aの正面視形状に対応する係止孔部342が貫通して設けられている。
【0074】
係止孔部342は、前側被係止凸部253aを挿通されることにより、舌片341を前側被係止凸部253aに係止させるためのものである。本実施形態に係る係止孔部342は、前側被係止凸部253aに遊嵌可能な大きさ及び形状に形成されている。また、本実施形態において、係止孔部342は、舌片341の上部に貫設されている。これにより、係止孔部342を舌片341の下部に設ける場合と比べて、舌片341が弾性変形をする際に支点となる部分(舌片341の上縁)と係止孔部342との距離を小さくすることができる。その結果、前側係止部34と前側被係止部253との係止状態を解除するために必要となる弾性変形量(回転量)が大きくなるため、格子床部30をトレイ20に組み付けた状態において、前側係止部34と前側被係止部253との係止解除がし難くなる。また、本実施形態では、係止孔部342に前側被係止部253を挿通させることにより、前側被係止部253と前側係止部34との係合(具体的には係止)が実現される。そのため、前側被係止フランジ部253bの突出先端の位置を調整するだけで、前側係止部34と前側被係止部253との係止解除をし難くできる。
【0075】
各補強リブ343は、舌片341の剛性を向上させて、舌片341の前後方向における弾性変形を抑制するために設けられたものである。各補強リブ343は、舌片341の上端から下端部に亘って延び、上端は前面取り部31dに接続されている。本実施形態では、補強リブ343により舌片341の前後方向における弾性変形が抑制されていることによって、前側被係止凸部253aが係止孔部342から抜けるように舌片341の下端部を前方に引くといった操作を行うことが困難になっている。
【0076】
一方、後側係止部35は、
図5及び
図6に示すように、仕切り壁部40の枠部31の後端縁部から垂下し、後側被係止部243に外側から係止されることにより後側被係止部243に係合している。具体的には、後側係止部35は、後面取り部31cの後端縁部から下方に延びる板状に形成されている操作片351と、後側被係止部243の下面243bに係止するように操作片351の前側面から前方に向かって突出する係止凸部352とを有している。また、
図5に示すように、後側係止部35は、仕切り壁部40に対して後側(背面側)に配設されている。具体的には、後側係止部35は、仕切り壁部40の後述する入隅部Iの後側に配設されている。このように、仕切り壁部40の端部から十分に離れた位置、すなわち小動物がアクセスし難い位置に後側係止部35を設けることにより、後側係止部35と後側被係止部243との係合が不測に解除されることを抑制できる。
【0077】
操作片351は、左右幅寸法が舌片341の左右幅寸法よりも小さい矩形板状に形成され、これにより舌片341に比べて前後方向に弾性変形し易くなるように構成されている。この操作片351は、後側被係止部243の外側に位置するように後面取り部31cの後端縁部から下方に垂下している。また、操作片351は、扁平な板状に形成されている。これにより、操作片351に補強リブなどを付設する場合と比較して、操作片351を後方に弾性変形させること、具体的には操作片351の下端部を後方に引くといった操作を行うことが容易になっている。なお、本実施形態において、操作片351の厚み寸法(前後幅寸法)は舌片341の厚み寸法(前後幅寸法)と略同一に設定されているが、操作片351の弾性変形を容易にする観点から、操作片351の厚み寸法は舌片341の厚み寸法よりも小さく形成されていてもよい。
【0078】
係止凸部352は、操作片351の内側面における上部から前方に突出する単一の突条であり、後側被係止部243の下面243bに係止するものである。
図6に示すように、係止凸部352は、前方に向かうにつれて先上がりに傾斜する傾斜下面352aを有している。このため、後側被係止部243に後側係止部35を係合させる際は、係止凸部352の傾斜下面352aと後側被係止部243の傾斜面243cとを上下方向に当接させることにより、各傾斜面352a、243cに沿って操作片351の弾性力に抗して係止凸部352が後方に案内され、これにより係止凸部352が後側被係止部243の下方に回り込むため、係止凸部352を下面243bに容易に係止させることができる。また、本実施形態では、係止凸部352の前端縁から後側被係止部243の後端縁までの前後方向(後側被係止部243の突出方向)の距離(以下、後側係止距離L2と称する)、すなわち後側係止部35の後側被係止部243に対する係合先端位置から後側被係止部243の突出先端までの前後方向における係合量、が前側係止距離L1よりも短くなるように、係止凸部352の突出量が設定されている。この係合量は、操作片351を弾性変形させることにより、係止凸部352の後側被係止部243に対する係止状態を解除することができるように調整されている。つまり、本実施形態では、前側係止部34と前側被係止部253との係止状態を解除するために必要な舌片341の弾性変形量が、後側係止部35と後側被係止部243との係止状態を解除するために必要な操作片351の弾性変形量よりも大きくなるように、係止凸部352の突出量が調整されている。これにより、係止凸部352と後側被係止部243との係止状態を解除することなく、前側係止部34と前側被係止部253との係止状態を解除することが基本的にできない。その結果、ウサギによって舌片341が操作されるとともに前側係止部34と前側被係止部253との係止状態が解除され、格子床部30がトレイ20から不測に取り外されることが抑制される。
【0079】
仕切り壁部40は、角部C1に対応する入隅部Iを有し、入隅部Iで排泄を行うウサギの習性を利用することにより、排泄時にウサギを角部C1の上方に誘導するためのものである。
図5に示すように、仕切り壁部40は、少なくとも板状の一対の仕切り壁本体41によって前方側に開放された入隅部Iが形成され、この入隅部Iが格子床部30の格子床角部C3に一致するように格子床部30と一体に形成されている。すなわち、仕切り壁部40は、トレイ本体20Bの角部C1に対応して、当該角部C1の上方に配置されている。具体的には、仕切り壁部40は、
図8に示すように、枠部31の一対の後側枠辺部31aの内側縁から上方に延びる一対の仕切り壁本体41と、これらの一対の仕切り壁本体41の間に介在する仕切り面取り壁部42と、各仕切り壁本体41の外側面から外方に突出しており、所定の取り付け具を介して小動物用排泄容器1をケージに連結するためのケージ取り付け部43とを備え、本実施形態では一対の仕切り壁本体41及び仕切り面取り壁部42によって格子床部30の中心側に開放された入隅部Iが形成されている。
【0080】
図8に示すように、一対の仕切り壁本体41は、互いの延長線が、トレイ本体20Bの角部C1と同等の角度で交差するように配置され、本実施形態では互いに直交するように配置されることにより前方側に入隅部Iを形成している。一対の仕切り壁本体41は、一対の後側枠辺部31aの内側縁から上方に延びており、すなわち一対の側壁部23に対して内側に偏位した位置に配置されている。本実施形態では、各仕切り壁本体41は、入隅部Iに近づくにつれて高さ寸法が大きくなるように形成されている。これにより、入隅部Iに近づくにつれて隠ぺい性が高まるように仕切り壁本体41が構成されるので、ウサギをより入隅部Iに誘導することができる。また、このように各仕切り壁本体41を構成すれば、入隅部Iに近づくにつれて後側係止部35のウサギに対する隠ぺい性が向上するため、ウサギが後側係止部35を不測に操作することをより確実に抑制できる。また、本実施形態において、一対の仕切り壁本体41の上端縁は、上方に向かって突出するように湾曲している。
【0081】
仕切り面取り壁部42は、各仕切り壁本体41の近接端部同士を繋ぐ板状体であり、格子床部30の後面取り部31cの内側縁から上方に垂直に延びるように配置されている。このように、仕切り面取り壁部42が後面取り部31cの内側縁から立設されることにより、この仕切り面取り壁部42も格子床部30の外縁から内側に偏位した位置に配置されている。これにより、ウサギの排泄物をトレイ本体20Bの内側領域に確実に導くことができる。また、
図4に示すように、仕切り面取り壁部42の左右方向における最大寸法W1は、傾斜壁部242の左右方向における最小寸法W2よりも小さく設定されている。入隅部Iに臀部を向けて排泄を行うウサギの習性上、ウサギの排尿は仕切り面取り壁部42を伝って傾斜壁部242に落下することが想定されるが、上記構成によれば、仕切り面取り壁部42を伝う排尿を確実に傾斜壁部242に導くことができる。
図9に示すように、仕切り面取り壁部42の高さ寸法は、一対の仕切り壁本体41における高さ寸法が最も大きい部分と同一に設定されている。
【0082】
シーツ100は、平面視においてトレイ20の開口部20Aよりも大きい四角形状を呈しており、これにより、トレイ本体20Bの内側領域を全面的に被覆するように敷設される。このシーツ100は、不織布シートと遮水シートとの間に吸水性ポリマーを介在させるなどして構成され、ウサギの排泄物の水分を吸収するとともにトレイ本体20Bの上面の汚染を抑制する。このシーツ100のトレイ本体20Bに対する敷設は任意である。本実施形態において、シーツ100は正方形状に形成されている。また、本実施形態において、底壁部21の左右方向における第1最大寸法S1(
図3参照)は、底壁部21の前後方向における第2最大寸法S2(
図3参照)よりも大きくなるように設定されている。そのため、シーツ100の中央部分が底壁部21の中央部分に重なるとともに、シーツ100の角部C4(
図1参照)がトレイ本体20Bの角部C1に重なるようにシーツ100をトレイ本体20Bに敷設することにより、シーツ100の角部C1に対応する部分を上垂壁部241に沿って起立させるとともに、シーツ100の対向角部C2に対応する部分を第2面取り本体部252aに沿って起立させることができる。ウサギの飼い主は、シーツ100を交換する際は、これらの起立部分を掴むとともに両起立部分が重なり合うようにシーツ100を折り畳むことにより、ウサギの糞に触れることなく糞をシーツ100に包むことができる。また、上記のように、本実施形態では、枠部31の後面取り部31c、前面取り部31dのそれぞれの幅寸法は、内縁が上垂壁部241、第2面取りフランジ部252cのそれぞれの内縁に対して内側にはみ出すように設定されている。このため、両起立部分がウサギの排泄物によって汚染されることが抑制されている。また、本実施形態において、両起立部分は不織布シートと遮水シートとによって構成されており、これらのシートの間に吸水性ポリマーは介在していない。このため、ウサギの飼い主が両起立部分を掴んだ際に、排泄物の水分が飼い主の手に付着することが抑制されている。以上のようにして、シーツ100を交換する際にウサギの飼い主の手が汚れることが抑制されている。
【0083】
(組み立て)
以上のように構成された小動物用排泄容器1は、次のようにして組み立てる。
【0084】
まず、トレイ本体20Bに、シーツ100を敷設する。具体的には、シーツ100の中央部分が底壁部21の中央部分に重なるとともに、シーツ100の角部C4がトレイ本体20Bの角部C1に重なるようにシーツ100をトレイ本体20Bに敷設する。この状態では、シーツ100の外周縁部がトレイ本体20Bの周側壁部22に沿って立ち上がる。特に、シーツ100の角部C1の上方を被覆する部分が上垂壁部241に沿って起立し、シーツ100の対向角部C2の上方を被覆する部分が第2面取り本体部252aに沿って起立する。
【0085】
次に、このシーツ100が敷設されたトレイ本体20Bに仕切り壁部40が一体形成された格子床部30を組み付ける。具体的には、まず、格子床部30の後側を持ち上げて傾けた状態で、前側被係止部253の前側被係止凸部253aを前側係止部34の係止孔部342に挿通させ、前側係止部34と前側被係止部253とを係合させる。そして、この挿通状態で、トレイ本体20Bの第2面取りフランジ部252c及び前側被係止フランジ部253bの上面を支点にして、格子床部30の後部を下方に回動させ、枠部31の一対の前側枠辺部31b及び一対の後側枠辺部31aのそれぞれを各第2側壁フランジ部251c及び各側壁フランジ部233のそれぞれの上面に載置するとともに、後側係止部35を降下させる。ここで、この後側係止部35の降下の最中、傾斜下面352aと後側被係止部243の傾斜面243cとが当接すると、各傾斜面352a、243cに沿って、後側係止部35の操作片351が外方に弾性変形し、係止凸部352が後側被係止部243を乗り越えると、操作片351の弾性回復力によって後側被係止部243の下面243bに係止する。これにより、前側係止部34の前側被係止部253に対する係合と、後側係止部35の後側被係止部243に対する係合とが完了し、トレイ20に格子床部30が組み付けられる。ここで、上記したように、本実施形態に係る後側係止距離L2は、前側係止距離L1よりも短くなるように設定されている。そのため、この組み付け状態では、操作片351を操作して後側係止部35と後側被係止部243との係止状態を解除しなければ、前側係止部34と前側被係止部253との係止状態を解除することができない。したがって、仮に、ウサギが格子床部30に噛みついた状態で格子床部30を振り回したとしても、後側係止部35と後側被係止部243との係止状態が解除されない限り、格子床部30がトレイ20から不測に取り外されることが抑制される。また、この組み付け状態では、枠部31の一対の後側枠辺部31a又は一対の前側枠辺部31bが例えば外方に移動することが各側壁立設部234又は各第2側壁立設部251dによって規制されるため、格子床部30のトレイ20に対する取り付け位置がずれることが抑制されている。
【0086】
(配置)
以上のように組み立てた小動物用排泄容器1をケージの内部に配置する。ここでは、ケージが、平面視において四角形状を呈しており、複数の縦桟と複数の横桟とによって形成される格子状のケージ壁部(図示省略)を有している場合を想定する。また、ケージ壁部が、ケージの隅部を形成する一対のケージ側壁部を有している場合を想定する。本実施形態に係る小動物用排泄容器1は、ケージの隅部に配置される。具体的には、一対の仕切り壁本体41のそれぞれの外側(背面側)に一対のケージ側壁部のそれぞれが位置するように、ケージの隅部に配置される。この状態で、所定の取り付け具を介してケージ取り付け部43とケージ壁部とを連結することにより、小動物用排泄容器1をケージに固定する。なお、本実施形態に係る取り付け具は、例えばケージ壁部の横桟に係止されているリングと、ケージ取り付け部43が有する取り付け孔43aに係止されている別リングと、これらの両リングを繋ぐチェーンとによって構成されている。このようにして小動物用排泄容器1をケージの隅部に配置した場合には、前側係止部34及び前側被係止部253が飼育空間に臨むことになる。ここで、上記したように、本実施形態に係る格子床部30は、後側係止部35の後側被係止部243に対する係合を解除した後に、前側係止部34の前側被係止部253に対する係合を解除するように構成されるので、前側係止部34及び前側被係止部253にアクセスしただけでは、トレイ20から格子床部30を取り外すことができない。また、以上のように小動物用排泄容器1をケージの隅部に配置することにより、仕切り壁部40と一対のケージ側壁部とにより囲まれる位置に後側係止部35の操作片351を配設することができる。つまり、仕切り壁部40、及び、ケージ壁部が邪魔になってウサギが容易にアクセスすることができない位置に操作片351を設けることができる。これにより、ウサギによって操作片351が操作されることが抑制されるため、格子床部30がトレイ20から不測に取り外されることを抑制できる。一方、ウサギの飼い主は、仕切り壁部40の上側から、この仕切り壁部40の背面側に配設されている操作片351を操作することにより、格子床部30をトレイ20から容易に取り外すことができる。具体的には、操作片351を後方に引いて係止凸部352と後側被係止部243との係止状態を解除するとともに、操作片351を上方に押し上げた状態で、前側被係止凸部253aが係止孔部342から抜けるように格子床部30を前方に押すことにより、前側係止部34と前側被係止部253との係止状態が解除されるため、格子床部30をトレイ20から取り外すことができる。このように、ウサギの飼い主はトレイ20から格子床部30を容易に取り外すことができるため、トレイ20に排泄物が溜まった場合などに、トレイ20から格子床部30を取り外して、小動物用排泄容器1を清掃することができる。
【0087】
(作用効果)
本実施形態に係る小動物用排泄容器1によれば、トレイ20と、格子床部30と、仕切り壁部40とを備えるので、壁際で排泄を行うウサギの習性を利用して排泄容器内での排泄を促すことができる。また、トレイ20は、トレイ本体20Bと、後側被係止部243と、前側被係止部253とを有し、格子床部30は、開口部20Aを覆う形状を有する床本体35Aと、後側係止部35と、前側係止部34とを有するので、格子床部30は、後側係止部35及び前側係止部34が後側被係止部243及び前側被係止部253に係合することによりトレイ20に着脱自在に取り付けることができる。これにより、少なくとも対向する二点で各係合部を係合させることにより格子床部30をトレイ20に取り付けることができる一方、トレイ20に溜まった排泄物を処理する場合には、各係合部の係合状態を解除して、トレイ20から格子床部30を取り外すことができ、これにより小動物用排泄容器1を清掃することができる。
【0088】
この小動物用排泄容器1をケージの隅部に配置した場合には、前側係止部34及び前側被係止部253が飼育空間に臨むことになるが、格子床部30は、後側係止部35の後側被係止部243に対する係合を解除した後に、前側係止部34の前側被係止部253に対する係合を解除するように構成されるので、前側係止部34及び前側被係止部253にアクセスしただけでは、トレイ20から格子床部30を取り外すことができない。一方、後側係止部35は、仕切り壁部40の背面側の床本体35Aの周縁部に設けられるとともに後側被係止部243に対し外側から係合するので、仕切り壁部40が邪魔になって小動物が後側係止部35にアクセスし難くなっている。このため、ウサギによって、後側係止部35と後側被係止部243との係合が不測に解除されることにより、格子床部30がトレイ20から不測に取り外され、トレイ20内の排泄物が飼育空間内を汚染することを効果的に抑制することができる。
【0089】
また、本実施形態によれば、後側係止部35の後側被係止部243に対する係合を解除した後に、前側係止部34の前側被係止部253に対する係合を解除するという格子床部30の構成を容易に実現できる。具体的には、本実施形態では、前側係止部34の前側被係止部253に対する係合量を、後側係止部35の後側被係止部243に対する係合量よりも大きくしている。つまり、前側係止部34の前側被係止部253に対する係合を解除するために必要な前側係止部34の移動量を、後側係止部35の後側被係止部243に対する係合を解除するために必要な後側係止部35の移動量よりも大きくしている。このため、例えば各係止部35、34の各被係止部243、253に対する係合先端位置を調整する、という簡単な構成で、後側係止部35の後側被係止部243に対する係合を解除した後に、前側係止部34の前側被係止部253に対する係合を解除するという格子床部30の構成を実現できる。
【0090】
また、本実施形態によれば、後側係止部35は、操作片351と係止凸部352とを備えるので、操作片351を外側に弾性変形させるといった簡単な操作により、係止凸部352と後側被係止部243との係止状態を解除できる。一方、前側係止部34は、床本体35Aから垂下するとともに前側被係止部253が挿通される係止孔部342が形成された舌片341を備えるので、係止孔部342に前側被係止部253を挿通させることにより前側係止部34と前側被係止部253とを簡単に係合させることができる。
【0091】
また、本実施形態によれば、係止孔部342に前側被係止部253を挿通させることにより前側係止部34と前側被係止部253との係合が実現されるため、前側被係止部253の外方への突出量、すなわち前側被係止部253の突出先端の位置を調整するだけで、前側係止部34の前側被係止部253に対する係合を解除するために必要な前側係止部34の移動量を、後側係止部35の後側被係止部243に対する係合を解除するために必要な後側係止部35の移動量よりも大きくすることができる。このため、後側係止部35の後側被係止部243に対する係合を解除した後に、前側係止部34の前側被係止部253に対する係合を解除するという格子床部30の構成を容易に実現できる。
【0092】
また、本実施形態によれば、補強リブ343によって舌片341の剛性が向上するため、舌片341を外側に弾性変形させることが困難になる。このため、舌片341を外側に弾性変形させることにより、後側係止部35の後側被係止部243に対する係合を解除することなく前側係止部34の前側被係止部253に対する係合を解除することが困難になる。
【0093】
また、本実施形態によれば、後側係止部35は格子床部30の中心側に開放された背面側に形成されるため、仕切り壁部40の端部から十分に離れた位置に後側係止部35を設けることができる。つまり、小動物がアクセスし難い位置に、後側係止部35を設けることができる。このため、ウサギによって、後側係止部35と後側被係止部243との係合が不測に解除されることを抑制できる。
【0094】
また、本実施形態によれば、仕切り壁部40の高さ寸法は、入隅部Iに近づくにつれて大きくなるため、後側係止部35の小動物に対する隠ぺい性が、入隅部Iに近づくにつれて向上する。これにより、小動物がよりアクセスし難い位置に後側係止部35が設けられることになるため、ウサギによって後側係止部35と後側被係止部243との係合が不測に解除されることをより確実に抑制することができる。
【0095】
さらに、本実施形態では、前側被係止部253及び後側被係止部243がトレイ本体20Bと合成樹脂により一体成形されており、かつ、係止機構35B、すなわち前側係止部34及び後側係止部35が床本体35Aと合成樹脂により一体成形されている。このような構成は、トレイ本体20B及び床本体35Aとは別体の固定部材、例えばボルト及びナットを用いて格子床部30をトレイ20に取り付ける場合と比較して、当該固定部材の紛失のおそれがない点、及びコスト面において有利である。
【0096】
(変形実施形態)
なお、以上に説明した小動物用排泄容器1は、本発明の小動物用排泄容器の一実施形態であり、その具体的構成等についてはその趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。以下、本実施形態の変形例について説明する。
【0097】
(1)上記実施形態では、格子床部について、第1床係合部の第1トレイ係合部に対する係合を解除した後に、第2床係合部の第2トレイ係合部に対する係合を解除するように構成するために、各係止部35、34の各被係止部243、253に対する係合量と、前側係止部34及び後側係止部35の弾性変形量と、係止孔部342の貫設高さ位置と、を調整する例について説明した。
【0098】
具体的には、後側係止距離L2が前側係止距離L1よりも短くなるように、前側被係止部253及び後側被係止部243のそれぞれの突出量を調整した。
【0099】
また、舌片341に補強リブ343を付設するとともに、舌片341の左右方向幅寸法を操作片351の左右幅寸法よりも大きい矩形板状に形成して、舌片341を操作片351よりも弾性変形量が小さくなるよう調整した。
【0100】
また、係止孔部342を舌片341の上部に形成して、前側係止部34と前側被係止部253との係止状態を解除するために必要となる舌片341の移動量が、係止孔部342を舌片341の下部に形成する場合よりも大きくなるよう調整した。
【0101】
しかしながら、本発明に係る小動物用排泄容器は、これらの構成の全てを必須とするものではない。小動物用排泄容器は、これらの構成のうちの一部を備えることにより、上記した格子床部についての構成を実現してもよい。
【0102】
(2)上記実施形態では、後側被係止部243が上垂壁部241の上端部から後方に突出することにより形成され、前側被係止部253が第2面取り本体部252aから前方に突出することにより形成される例について説明した。しかしながら、第1トレイ係合部及び第2トレイ係合部の構成はこれに限定されるものではなく、各トレイ係合部は例えば孔部(有底孔部を含む)として形成されていてもよい。具体的には、第1トレイ係合部は上垂壁部241の外側面の一部が内側(前側)に窪むことなどにより孔状に形成されていてもよく、第2トレイ係合部は第2面取り本体部252aの外側面の一部が内側(後側)に窪むことなどにより孔状に形成されていてもよい。この場合、第2床係合部は、上記実施形態における第1床係合部(後側係止部35)と同様に、フック状に形成され、格子床部がトレイに組み付けられた状態で、弾性変形などにより第2トレイ係合部との係合状態が解除されないように、後方への突出量が第2床係合部の弾性変形量よりも大きくなるように設定される。このように構成しても、格子床部について、第1床係合部の第1トレイ係合部に対する係合を解除した後に、第2床係合部の前記第2トレイ係合部に対する係合を解除するように構成、言い換えると、第1床係合部の第1トレイ係合部に対する係合を解除した後でなければ、第2床係合部の前記第2トレイ係合部に対する係合を解除することができないように構成することができる。
【0103】
(3)上記実施形態では、単一の突条により係止凸部が構成されている例について説明した。しかしながら、係止凸部は、例えば、複数の突条により構成されていてもよい。具体的には、係止凸部は、操作片351の内側面において左右方向に並設されており、それぞれが操作片351の内側面から前方に突出する複数の突条により構成されていてもよい。
【0104】
(4)上記実施形態では、板状に形成されている舌片341により垂下部が構成される例について説明した。しかしながら、垂下部は、例えば、枠部31の前面取り部31dの前端縁部から垂下するとともに下方に凸となるように湾曲し、正面視において略U字状を呈する帯状部により構成されていてもよい。この場合、係止孔部は、帯状部の内縁により形成される。
【0105】
(5)上記実施形態では、仕切り壁部40が格子床部30と一体に形成されている例について説明しているが、これに限定されるものではない。例えば、格子床部30と仕切り壁部40とが別体に形成されてこれらが組付けられているものであってもよい。
【0106】
(6)上記実施形態では、平面視異形方形状の小動物用排泄容器1について説明したが、平面視の形状についてはこれに限定されるものではなく、正方形状、長方形状、三角形状、その他の多角形状、円形状、楕円形状等、種々採用可能である。この場合、第1及び第2トレイ係合部、及び第1及び第2床係合部はトレイ及び格子床部の各々対向位置に設けられ、格子床部はトレイに対して少なくとも2点で係合されることにより取り付けられる。
【符号の説明】
【0107】
1 :小動物用排泄容器
20 :トレイ
20A :開口部
20B :トレイ本体
21 :底壁部
22 :周側壁部
30 :格子床部
34 :前側係止部(第2床係合部)
35 :後側係止部(第1床係合部)
35A :床本体
40 :仕切り壁部
243 :後側被係止部(第1トレイ係合部)
253 :前側被係止部(第2トレイ係合部)
341 :舌片(垂下部)
342 :係止孔部
343 :補強リブ
351 :操作片
352 :係止凸部
I :入隅部