(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024010628
(43)【公開日】2024-01-24
(54)【発明の名称】免疫賦活剤及び免疫賦活方法
(51)【国際特許分類】
A61K 33/00 20060101AFI20240117BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20240117BHJP
A23K 20/20 20160101ALI20240117BHJP
【FI】
A61K33/00
A61P37/06
A23K20/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022112081
(22)【出願日】2022-07-12
(71)【出願人】
【識別番号】722004104
【氏名又は名称】株式会社ナノジャパン
(72)【発明者】
【氏名】高田 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】高田 哲也
【テーマコード(参考)】
2B150
4C086
【Fターム(参考)】
2B150DH07
2B150DH15
4C086AA01
4C086AA02
4C086HA18
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA41
4C086NA14
4C086ZB09
(57)【要約】
【課題】優れた免疫賦活効果及び消臭機能を備えた多孔質粒子を含む免疫賦活剤及び前記免疫賦活剤を用いる免疫を賦活する方法を提供する。
【解決手段】有効成分を含む免疫賦活剤であって、多孔質体からなる多孔質粒子を前記有効成分として含み、前記多孔質粒子が、複数の細孔を有し、前記細孔の平均孔径が8nm±2nmの範囲内であり、かつ前記細孔の形状が略円筒状であり、前記細孔が、貫通孔であり、さらに、<111>配向している結晶を含む免疫賦活剤。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効成分を含む免疫賦活剤であって、多孔質体からなる多孔質粒子を前記有効成分として含むことを特徴とする免疫賦活剤。
【請求項2】
前記多孔質粒子が、複数の細孔を有し、前記細孔の平均孔径が8nm±2nmの範囲内であり、かつ前記細孔の形状が略円筒状である請求項1記載の免疫賦活剤。
【請求項3】
前記細孔が、貫通孔である請求項2記載の免疫賦活剤。
【請求項4】
前記細孔が、<111>配向している結晶を含む請求項2又は3に記載の免疫賦活剤。
【請求項5】
前記細孔の孔径と深さとの比が、1:10~1:1000の範囲内である請求項2~4のいずれかに記載の免疫賦活剤。
【請求項6】
前記多孔質粒子のJIS Z8722に規定される白色度が90以上である請求項1~5のいずれかに記載の免疫賦活剤。
【請求項7】
前記多孔質粒子の平均粒径が0.1μm~10μmである請求項1~6のいずれかに記載の免疫賦活剤。
【請求項8】
前記多孔質粒子が酸化物を主成分として含む請求項1~7のいずれかに記載の免疫賦活剤。
【請求項9】
前記酸化物がSiO2を含む請求項8に記載の免疫賦活剤。
【請求項10】
前記酸化物におけるFe2O3の含有量が0.01at%~0.5at%である請求項8又は9に記載の免疫賦活剤。
【請求項11】
前記多孔質粒子が、前記細孔を5以上含む請求項1~10のいずれかに記載の免疫賦活剤。
【請求項12】
前記多孔質粒子が、珪藻土を主成分として含む請求項1記載の免疫賦活剤。
【請求項13】
水生動物の免疫賦活剤である請求項1~12のいずれかに記載の免疫賦活剤。
【請求項14】
家畜用の免疫賦活剤である請求項1~12のいずれかに記載の免疫賦活剤。
【請求項15】
愛玩動物用の免疫賦活剤である請求項1~12のいずれかに記載の免疫賦活剤。
【請求項16】
免疫賦活剤を用いて、水生動物を養殖する方法であって、前記免疫賦活剤が請求項1~12のいずれかに記載の免疫賦活剤であることを特徴とする方法。
【請求項17】
免疫賦活剤を用いて、家畜を飼育する方法であって、前記免疫賦活剤が請求項1~12のいずれかに記載の免疫賦活剤であることを特徴とする方法。
【請求項18】
免疫賦活剤を用いて、愛玩動物を飼育する方法であって、前記免疫賦活剤が請求項1~12のいずれかに記載の免疫賦活剤であることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多孔質粒子を含む免疫賦活剤及び前記多孔質粒子を含む免疫賦活剤を用いる免疫を賦活する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、薬剤耐性菌の世界的な広まりが懸念されている。世界保健機関(WHO)は、原因の1つとして家畜用抗生物質の乱用を指摘しており、畜産業界からは抗生物質の代替、すなわち感染症に対する解決策が求められている。生体がもともと持つ免疫機能の向上は感染症対策として有効であり、免疫賦活効果を持つ免疫賦活剤が期待されている。
免疫賦活剤は、自然免疫を活性化させて、体内の免疫応答を向上させることが実現できるので、従来、これら適用について多くの改良がなされ、種々検討されている。
【0003】
特許文献1には、グルカンと脂質を含有する水不溶性の免疫賦活剤が免疫賦活効果を有していると記載されている。しかしながら、これら免疫賦活剤は、栄養状態が偏り、家畜による食べ残しや悪臭の発生が生育環境の悪化を引き起こし、結果として健康状態の悪化をまねき、また、菌が繁殖するといった問題があった。
特許文献2には、遊離分岐鎖アミノ酸、タンパク質、糖類、ゲル化剤及びプロバイオティクスを含有し、ゲル化剤として大豆多糖類を含むゲル状食品組成物が免疫賦活作用を持つと記載されている。しかしながら、これらは、栄養状態が偏っており、家畜による食べ残しや悪臭の発生が生育環境の悪化を引き起こし、結果として健康状態の悪化をまねく問題があった。また、製造工程が煩雑であり、人工食品添加物が使用されているといった問題もあった。
特許文献3には、糖類及び乳酸菌を有効成分として含有する免疫賦活剤が、食品素材として利用可能であると記載されている。しかしながら、これら免疫賦活剤は、長期間の保存が難しく、品質が劣化しやすく、家畜による食べ残しや悪臭の発生が生育環境の悪化を引き起こし、結果として健康状態の悪化をまねき、また、品質にバラつきが生じやすいといった問題があった。
特許文献4には、イノシンを含有する組成物が免疫賦活剤として利用することで、魚粉の配合量を低減しつつ魚類の免疫を賦活することが検討されている。しかしながら、このような免疫賦活剤は、イノシンが使われているため、取り扱いに注意を要し、水質問題、環境問題、健康問題に配慮して使用量や排水の処理等、適切に別途専用の処理設備等を用意する必要があり、必ずしも満足のいくものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6530846号公報
【特許文献2】特許第6949723号公報
【特許文献3】特許第4782385号公報
【特許文献4】特許第6763453号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、優れた免疫賦活効果及び消臭機能を備えた多孔質粒子を含む免疫賦活剤及び前記免疫賦活剤を用いる免疫を賦活する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、有効成分を含む免疫賦活剤であって、前記免疫賦活剤が、多孔質体を含む多孔質粒子を前記有効成分として含む免疫賦活剤が、食欲増進を促し、胃腸を整え、優れた免疫賦活効果、消臭機能を備えていること等を知見し、このような免疫賦活剤が、上記した従来の問題を一挙に解決できるものであることを見出した。
また、本発明者らは、上記知見を得た後、さらに検討を重ねて、本発明を完成させるに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、以下の発明に関する。
[1] 有効成分を含む免疫賦活剤であって、多孔質体からなる多孔質粒子を前記有効成分として含むことを特徴とする免疫賦活剤。
[2] 前記多孔質粒子が、複数の細孔を有し、前記細孔の平均孔径が8nm±2nmの範囲内であり、かつ前記細孔の形状が略円筒状である前記[1]記載の免疫賦活剤。
[3] 前記細孔が、貫通孔である前記[2]記載の免疫賦活剤。
[4] 前記細孔が、<111>配向している結晶を含む前記[2]又は[3]に記載の免疫賦活剤。
[5] 前記細孔の孔径と深さとの比が、1:10~1:1000の範囲内である前記[2]~[4]のいずれかに記載の免疫賦活剤。
[6] 前記多孔質粒子のJIS Z8722に規定される白色度が90以上である前記[1]~[5]のいずれかに記載の免疫賦活剤。
[7] 前記多孔質粒子の平均粒径が0.1μm~10μmである前記[1]~[6]のいずれかに記載の免疫賦活剤。
[8] 前記多孔質粒子が酸化物を主成分として含む前記[1]~[7]のいずれかに記載の免疫賦活剤。
[9] 前記酸化物がSiO2を含む前記[8]に記載の免疫賦活剤。
[10] 前記酸化物におけるFe2O3の含有量が0.01at%~0.5at%である前記[8]又は[9]に記載の免疫賦活剤。
[11] 前記多孔質粒子が、前記細孔を5以上含む前記[1]~[10]のいずれかに記載の免疫賦活剤。
[12] 前記多孔質粒子が、珪藻土を主成分として含む前記[1]記載の免疫賦活剤。
[13] 水生動物の免疫賦活剤である前記[1]~[12]のいずれかに記載の免疫賦活剤。
[14] 家畜用の免疫賦活剤である前記[1]~[12]のいずれかに記載の免疫賦活剤。
[15] 愛玩動物用の免疫賦活剤である前記[1]~[12]のいずれかに記載の免疫賦活剤。
[16] 免疫賦活剤を用いて、水生動物を養殖する方法であって、前記免疫賦活剤が前記[1]~[12]のいずれかに記載の免疫賦活剤であることを特徴とする方法。
[17] 免疫賦活剤を用いて、家畜を飼育する方法であって、前記免疫賦活剤が前記[1]~[12]のいずれかに記載の免疫賦活剤であることを特徴とする方法。
[18] 免疫賦活剤を用いて、愛玩動物を飼育する方法であって、前記免疫賦活剤が前記[1]~[12]のいずれかに記載の免疫賦活剤であることを特徴とする方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明の多孔質粒子を含む免疫賦活剤及び前記多孔質粒子を含む免疫賦活剤を用いる方法は、優れた免疫賦活効果及び消臭機能を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明に用いられる多孔質体の好適な実施態様の一例を模式的に示す図である。
【
図2】実施例における顕微鏡像(TEM像)を示す。
【
図3】本発明の免疫賦活剤を愛玩動物に適用する場合の好適な実施態様の一例を模式的に示す図である。
【
図4】本発明の免疫賦活剤を家畜に適用する場合の好適な実施態様の一例を模式的に示す図である。
【
図5】本発明の免疫賦活剤を水生動物に適用する場合の好適な実施態様の一例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の免疫賦活剤は、有効成分を含む免疫賦活剤であって、前記免疫賦活剤が、多孔質体を含む多孔質粒子を前記有効成分として含む免疫賦活剤であれば特に限定されない。「免疫賦活剤」とは、通常、免疫力を向上させる、免疫を賦活化(活性化)する作用を有する剤である。また、免疫系(自然免疫系や獲得免疫系)が、賦活化されたときに、「免疫が賦活化した」といい、本発明では便宜上前記免疫賦活剤の対象となる、免疫を有する生物の生理現象に基づく不随意運動などの回数や病気の罹患率の増減によって判断してもよい。
【0011】
前記免疫賦活剤における前記多孔質粒子の含有量は、本発明の目的を阻害しない限り、特に限定されないが、本発明においては、5重量%以上であるのが好ましく、10重量%以上であるのがより好ましく、30重量%以上であるのが最も好ましい。
【0012】
免疫賦活剤には、前記多孔質粒子の他に添加剤及び/又は溶媒等が含まれていてもよい。前記添加剤及び/又は溶媒等の好適な例としては、例えば、水、油脂、糖類、ビタミン類、甘味料、調味料、酸味料、保存料、香料、着色料、賦形剤、増量剤、結合剤、増粘剤、安定剤、乳化剤、pH調整剤等が挙げられる。
【0013】
前記多孔質粒子は、前記多孔質体を含む粒子であればそれでよく、粒子の形状等は特に限定されない。本発明においては、前記粒子の平均粒径が0.1μm~10μmであるのが好ましい。このような好ましい範囲によれば、免疫賦活効果、消臭機能、病原体の吸着や不純物の捕集蓄積において、より優れた性能を発揮することができる。なお、前記平均粒径は、任意に抽出した10個の粒子の粒径の平均値をいう。
【0014】
前記多孔質体は、複数の細孔を有するものであって、前記細孔の平均孔径が8nm±2nmの範囲内であり、前記細孔の形状が略円筒状であれば特に限定されないが、前記細孔の孔径と深さとの比が、1:3~1:100の範囲内であるのが好ましい。前記多孔質体の好適な態様を
図1に示す。
図1の多孔質体は、複数の細孔を有している多孔質体であり、
図1には、A-A’断面図とともに、前記細孔の形状が円筒状であることが示されている。前記細孔は、平均孔径が8nm±2nmの範囲内であり、かつ形状が略円筒状であることが捕集蓄積機能において肝要である。本発明においては、前記平均孔径が8nm±2nmの範囲内であるのが好ましく、前記形状が円筒状であるのも好ましく、前記孔径と深さの比が、1:4~1:10の範囲内であるのもより好ましい。
【0015】
前記平均孔径は、任意に抽出した10個の細孔の孔径の平均値をいう。前記孔径は、
図1に示されるw1をいい、前記深さはd1をいう。なお、
図1のw1は、例えば8nmであり、d1は、例えば50nmである。
【0016】
前記多孔質粒子の構成材料は、本発明の目的を阻害しない限り特に限定されないが、本発明においては、酸化物を主成分として含むのが好ましい。前記酸化物は、SiO2を含むのが好ましく、また、Al2O3を含むのも好ましい。
【0017】
前記多孔質粒子は、前記細孔を5以上含むのが好ましく、このような好ましい範囲によれば、免疫賦活効果及び消臭機能をより優れたものとすることができる。
【0018】
前記多孔質粒子は、例えば、タイや日本等の珪藻土層において、SEM又はTEM等の顕微鏡にて測定される、前記細孔の平均孔径が8nm±2nmの範囲内であり、前記細孔の形状が略円筒状であり、前記細孔の孔径と深さとの比が、1:3~1:100の範囲内の多孔質体が含まれる珪藻土層の区画から、所定の珪藻土を常法に従い取り出し、ついで公知の手段を用いて粒子状に整粒することにより、容易に得ることが可能である。なお、タイや日本(例えば稚内等)などの珪藻土層において、前記区画が存在し、かつ前記区画にて容易に前記細孔の平均孔径が8nm±2nmの範囲内であり、前記細孔の形状が略円筒状である前記多孔質体を含む前記多孔質粒子を取り出せることは、本発明者らによる新知見である。
【0019】
本発明の免疫賦活剤は、例えば、前記多孔質粒子を、通常用いられる食品あるいは食品成分、医薬担体または賦形剤と、通常用いられる方法で混合して、免疫力を高める食品や医薬品とすることができる。また、用いる食品あるいは食品成分、医薬担体または賦形剤は特に限定するものではなく、目的とする免疫賦活剤の具体的用途に応じて適宜選択できる。前記免疫賦活剤の形態は、特に限定するものではなく、具体的用途に応じて、種々の固体や液体の形態とすることができ、粉末、顆粒等の固体、液体、ペースト等のいずれであってもよい。また、前記免疫賦活剤の剤型は、投与方法、投与対象等に応じて適宜選択することができる。剤型としては、例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、トローチ剤、散剤、液剤等の経口投与用製剤が挙げられる。これらの製剤は、賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、安定剤、矯味矯臭剤、希釈剤等の添加剤を用いて公知の方法に従って製造することができる。また、免疫賦活剤を含有させて、健康食品、健康補助食品等の食品組成物、飲料組成物、飼料等を構成することもできる。
【0020】
前記免疫賦活剤は、通常、免疫を有する生物に投与されるが、本発明においては、水生動物又は家畜に投与されるのが好ましい。前記水生動物又は家畜等の投与対象に投与されると、前記対象において免疫賦活作用を発現する。これにより、前記対象における感染症の発症を抑制することができる。すなわち、前記免疫賦活剤は、前記対象の感染症の予防方法に適用することができる。前記投与の対象となる前記生物としては、好適には動物が挙げられ、より具体的には例えば、哺乳動物、鳥類又は魚介類等が挙げられる。前記哺乳動物は、ヒトを含んでいてもよく、ヒト以外の哺乳動物であってもよい。ヒト以外の哺乳動物としては、ブタ、ウシ、ウマ、ヒツジ、サルの他イヌ、ネコ等の愛玩動物等が挙げられる。前記鳥類としては、肉鶏、産卵鶏、七面鳥、アヒル、ハト等が挙げられる。前記水生動物としては、好適には魚介類が挙げられる。前記魚介類としては、サケ、マス、ヤマメ、イワナ、イトウ等のサケ科魚類、コイ、フナ、ティラピア、ナマズ、スズキ、ブリ、カンパチ、ハマチ、ヒラメ、タイ、マグロ、ウナギ、エビ、ヒラメ、ウニ、メダカ、鯉、金魚等が挙げられる。前記家畜としては、例えば、ツジ、ヤギ、ウマ、ロバ、ラクダ、スイギュウ、ウサギ、トナカイ、ダマジカ、ウシ、ブタ、シチメンチョウ、アヒル、ガチョウ及びニワトリ等が挙げられる。
【0021】
本発明においては、前記免疫賦活剤を用いて、前記水生動物を養殖することにより、前記水生動物の免疫の賦活化のみならず、水質汚濁等による悪臭の発生を防ぐことができ、さらには、前記水生動物の居住水域の水質浄化をも容易に実現することができる。また、本発明においては、前記免疫賦活剤を用いて、前記家畜を飼育することにより、前記家畜の免疫の賦活化のみならず、牧舎内の悪臭の発生を防ぐことができ、さらには、前記家畜の肉質や風味をもより良好なものにすることができる。また、本発明においては、前記免疫賦活剤を用いて、前記愛玩動物を飼育することにより、前記愛玩動物の免疫の賦活化のみならず、飼育環境下の悪臭の発生を防ぐことができ、さらには、前記愛玩動物の発色やツヤをより良好なものとすることができる。
【実施例0022】
(実施例1)
タイの一定の深さにある珪藻土層において、
図2に示されるように、顕微鏡(TEM)にて測定される、前記細孔の平均孔径が8nm±2nmの範囲内であり、前記細孔の形状が円筒状であり、前記細孔の孔径と深さとの比が、1:10~1:1000の範囲内となる多孔質体が得られる珪藻土層の区画から、珪藻土を取り出し、ついで660℃で焼成及び1μmに整粒することにより、本発明の多孔質粒子を得た。なお、得られた多孔質粒子は、Xe-NMRにて細孔解析を実施したところ細孔壁面の形状は真っ直ぐに貫通された形状であり、貫通孔を有していた。また、X線回折装置を用いて多孔質粒子の結晶性につき評価したところ<111>配向している結晶であることがわかった。また、白度計(JIS Z8722)にて10箇所以上の複数地点で計測したところ、いずれも80以上であり、かつ平均で90以上であり、きれいで且つ良好な白色を有していた。また、得られた多孔質粒子のFe2O3の含有量を測定したところ、0.5at%以下であった。
【0023】
(試験例1)
図3に示すように、実施例1で得られた多孔質粒子12を、ドッグフードの皿10に入れ、ペットの犬11に食べさせ、経過を観察した。その結果、ドッグフードの皿10から生じる悪臭が消え、さらに、くしゃみなどの回数が劇的に減少し、良好な健康状態が続いた。
【0024】
(試験例2)
図4に示すように、実施例1で得られた多孔質粒子12を、給餌台13に入れ、家畜の牛14に食べさせ、経過を観察した。その結果、給餌台13から生じる悪臭が消え、牧舎内の悪臭が大幅に軽減され、さらに、牛14の良好な健康状態が続き、病気にかかる牛14がまったくいなくなった。
【0025】
(試験例3)
図5に示すように、実施例1で得られた多孔質粒子12を、水槽9の人工海水(W)の中に入れ、人工海水中の養殖魚(ブリ稚魚)8に与えて経過を観察した。その結果、水槽9から生じる悪臭が消え、水質も通常汚れるところ、綺麗なままであり、養殖魚の色ツヤも良好であり、健康状態も特に問題なく、元気に泳ぎ回っていた。