(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024106305
(43)【公開日】2024-08-07
(54)【発明の名称】燃料電池システム及びその無負荷運転の判断方法
(51)【国際特許分類】
H01M 8/04537 20160101AFI20240731BHJP
H01M 8/04313 20160101ALI20240731BHJP
H01M 8/04694 20160101ALI20240731BHJP
H01M 8/04746 20160101ALI20240731BHJP
【FI】
H01M8/04537
H01M8/04313
H01M8/04694
H01M8/04746
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023183752
(22)【出願日】2023-10-26
(31)【優先権主張番号】10-2023-0010136
(32)【優先日】2023-01-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】507098483
【氏名又は名称】ヒュンダイ・モービス・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】弁理士法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リ ヨン ヒ
【テーマコード(参考)】
5H127
【Fターム(参考)】
5H127AB04
5H127AC05
5H127AC06
5H127BA02
5H127BA22
5H127BA28
5H127BA33
5H127BA58
5H127BA59
5H127BB02
5H127BB12
5H127BB34
5H127BB37
5H127BB40
5H127CC07
5H127DB66
5H127DB69
5H127DB71
5H127DB86
5H127DC02
5H127DC87
5H127DC99
(57)【要約】 (修正有)
【課題】燃料電池スタックの無負荷運転状態を判断し、水素極内に凝縮水が累積されたのか否かを判断して水素極内の凝縮水を排出する。
【解決手段】燃料電池システムは、燃料電池スタック10と、前記燃料電池スタックから生成される凝縮水を貯蔵するウォータートラップ100と、前記ウォータートラップの水位変化が存在する場合、補器類の消費電力と前記水位変化の割合を示す第1パラメーターに基づいて前記燃料電池スタックの無負荷運転の有無を判断する制御部200と、を含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池スタックと、
前記燃料電池スタックから生成される凝縮水を貯蔵するウォータートラップと、
前記ウォータートラップの水位変化が存在する場合、補器類の消費電力と前記水位変化の割合を示す第1パラメーターに基づいて前記燃料電池スタックの無負荷運転の有無を判断する制御部と、
を含む、燃料電池システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記ウォータートラップの水位が基準単位高くなるのに必要となる時間と前記第1パラメーターとの関係に基づいて前記燃料電池スタックの無負荷運転の有無を判断する、請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記所要時間による前記第1パラメーターの変化率が臨界値未満であり、前記変化率が前記臨界値未満になるポイントに対応される所要時間が第1時間以上の場合、前記燃料電池スタックを無負荷運転状態と判断する、請求項2に記載の燃料電池システム。
【請求項4】
前記変化率が前記臨界値未満になるポイントに対応される前記第1パラメーターの値を有する隣接した二つのポイントに対応される所要時間の差が第2時間以上の場合、前記燃料電池スタックの水素極に前記凝縮水が累積されたと判断する、請求項3に記載の燃料電池システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記凝縮水が累積されたと判断されれば、運転手に警告報知を遂行する、請求項4に記載の燃料電池システム。
【請求項6】
前記制御部は、前記運転手の負荷運転が感知されない場合、冷却ファンを最大回転数に制御し前記水素極を開放することで、前記凝縮水が前記水素極の外部に排出されるように制御する、請求項5に記載の燃料電池システム。
【請求項7】
前記制御部は、前記所要時間と前記第1パラメーターとの関係に基づいて前記燃料電池スタックの寿命を判断する、請求項3に記載の燃料電池システム。
【請求項8】
前記制御部は、前記変化率が前記臨界値未満になるポイントに対応される前記第1パラメーターの値に基づいて前記燃料電池スタックの寿命を判断する、請求項7に記載の燃料電池システム。
【請求項9】
燃料電池スタックから排出される凝縮水を貯蔵するウォータートラップの水位変化を獲得するステップと、
補器類の消費電力と前記水位変化の割合を示す第1パラメーターを算出するステップと、
前記第1パラメーターに基づいて前記燃料電池スタックの無負荷運転の有無を判断するステップと、
を含む、燃料電池システムの無負荷運転の判断方法。
【請求項10】
前記燃料電池スタックが無負荷運転と判断されれば前記燃料電池スタックの水素極内の前記凝縮水の累積有無を判断し、前記凝縮水が累積されたと判断されれば前記凝縮水を前記水素極の外部に排出するステップをさらに含む、請求項9に記載の燃料電池システムの無負荷運転の判断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本文書に開示されている実施形態は、燃料電池システム及びその無負荷運転の判断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池システムは、燃料電池スタックを利用して電気エネルギーを発生させることができる。例えば、水素が燃料電池スタックの燃料として用いられる場合、地球環境の問題を解決する代案になることができるので、燃料電池システムに対する持続的な研究と開発がなされている。
【0003】
燃料電池システムは、電気エネルギーを発生させる燃料電池スタック、燃料電池スタックに燃料(水素)を供給する燃料供給装置、燃料電池スタックに電気化学反応に必要な酸化剤である空気中の酸素を供給する空気供給装置、燃料電池スタックの反応熱をシステムの外部に除去し、燃料電池スタックの運転温度を制御しながら水管理機能を遂行する熱管理システム(thermal management system、TMS)、及び燃料電池システムの作動全般を制御する燃料電池システム制御機を含むことができる。燃料電池システムでは、燃料電池スタックで燃料である水素と空気中の酸素を反応させて電気を発生させ、反応副産物として熱と水を排出することになる。このとき、燃料電池スタックの安全性及び耐久性を保障するために、燃料電池スタックで生成される水がスタックの外部に安定的に排出されなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
燃料電池スタックの無負荷運転状態では、燃料電池スタックに水素が供給されないか供給される水素の圧力が低いため、燃料電池スタックで生成される凝縮水が外部に十分排出できない状況が発生し得る。このような場合、燃料電池スタックで生成される凝縮水が水素極内に溜まるようになって、燃料電池スタックの耐久性が低下し寿命が短縮する問題があった。
【0005】
そのため、燃料電池スタックの無負荷運転状態を判断し、水素極内に凝縮水が累積されたのか否かを判断して水素極内の凝縮水を排出する必要性があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本文書に開示される実施形態によれば、燃料電池システムは、燃料電池スタックと、前記燃料電池スタックから生成される凝縮水を貯蔵するウォータートラップと、前記ウォータートラップの水位変化が存在する場合、補器類の消費電力と前記水位変化の割合を示す第1パラメーターに基づいて前記燃料電池スタックの無負荷運転の有無を判断する制御部と、を含むことができる。
【0007】
実施形態によれば、前記制御部は、前記ウォータートラップの水位が基準単位高くなるのに必要となる時間と前記第1パラメーターとの関係に基づいて前記燃料電池スタックの無負荷運転の有無を判断することができる。
【0008】
実施形態によれば、前記制御部は、前記所要時間による前記第1パラメーターの変化率が臨界値未満であり、前記変化率が前記臨界値未満になるポイントに対応される所要時間が第1時間以上の場合、前記燃料電池スタックを無負荷運転状態と判断することができる。
【0009】
実施形態によれば、前記変化率が前記臨界値未満になるポイントに対応される前記第1パラメーターの値を有する隣接した二つのポイントに対応される所要時間の差が第2時間以上の場合、前記燃料電池スタックの水素極に前記凝縮水が累積されたと判断することができる。
【0010】
実施形態によれば、前記制御部は、前記凝縮水が累積されたと判断されれば、運転手に警告報知を遂行することができる。
【0011】
実施形態によれば、前記制御部は、前記運転手の負荷運転が感知されない場合、前記冷却ファンを最大回転数に制御し前記水素極を開放することで、前記凝縮水が前記水素極の外部に排出されるように制御することができる。
【0012】
実施形態によれば、前記制御部は、前記所要時間と前記第1パラメーターとの関係に基づいて前記燃料電池スタックの寿命を判断することができる。
【0013】
実施形態によれば、前記制御部は、前記変化率が前記臨界値未満になるポイントに対応される前記第1パラメーターの値に基づいて前記燃料電池スタックの寿命を判断することができる。
【0014】
本文書に開示される実施形態によれば、燃料電池システムの無負荷運転の判断方法は、燃料電池スタックから排出される凝縮水を貯蔵するウォータートラップの水位変化を獲得するステップと、補器類の消費電力と前記水位変化の割合を示す第1パラメーターを算出するステップと、前記第1パラメーターに基づいて前記燃料電池スタックの無負荷運転の有無を判断するステップと、を含むことができる。
【0015】
実施形態によれば、燃料電池システムの無負荷運転の判断方法は、前記燃料電池スタックが無負荷運転と判断されれば前記燃料電池スタックの水素極内の前記凝縮水の累積有無を判断し、前記凝縮水が累積されたと判断されれば前記凝縮水を前記水素極の外部に排出するステップをさらに含むことができる。
【発明の効果】
【0016】
本文書に開示される実施形態による燃料電池システムは、無負荷運転時にも水素極での凝縮水の累積を判断し、これが排出されるようにすることで燃料電池スタックの耐久性及び寿命を向上させることができる。
【0017】
また、本文書に開示される実施形態による燃料電池システムは、燃料電池スタックの残余寿命を算出することができ、それによって燃料電池スタックの寿命を効率的に管理することができる。
【0018】
その他、本文書を通じて直接的または間接的に把握される多様な効果が提供され得る。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本文書に開示されている一実施形態に係る燃料電池システムの構造を示す図である。
【
図2】本文書に開示されている一実施形態に係る燃料電池システムのブロック図である。
【
図3】本文書に開示されている一実施形態に係る燃料電池システムの所要時間及び第1パラメーターの関係の例示を示す図である。
【
図4】本文書に開示されている一実施形態に係る燃料電池システムの寿命に係る所要時間と第1パラメーターの関係の例示を示す図である。
【
図5】本文書に開示されている一実施形態に係る燃料電池システムの無負荷運転の判断方法を説明するためのフローチャートである。
【
図6】本文書に開示されている一実施形態に係る燃料電池システムの無負荷運転の判断過程を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の多様な実施形態が図を参照しつつ記載される。しかし、これは、本発明を特定の実施形態に対して限定しようとするものではなく、本発明の実施形態の多様な変更(modification)、均等物(equivalent)、及び/または代替物(alternative)を含むものと理解されなければならない。
【0021】
本文書においてアイテムに対応する名詞の単数形は、係わる文脈上明白に異なる指示をしない限り、前記アイテム一つまたは複数個を含むことができる。本文書において、『AまたはB』、『A及びBのうち少なくとも一つ』、『AまたはBのうち少なくとも一つ』、『A、BまたはC』、『A、B及びCのうち少なくとも一つ』及び『A、B、またはCのうち少なくとも一つ』などの語句のそれぞれは、その語句の中で該当する語句に共に羅列された項目中のいずれか一つ、またはそれらの全ての可能な組み合わせを含むことができる。『第1』、『第2』、または『第一』または『第二』などの用語は、単に当該構成要素を他の当該構成要素と区分するために用いられてよく、当該構成要素を他の側面(例:重要性または順序)で限定しない。ある(例:第1)構成要素が他の(例:第2)構成要素に、『機能的に』または『通信的に』という用語とともにまたはこのような用語なしで、『カップルド』または『コネクティッド』と言及された場合、それは、前記ある構成要素が前記他の構成要素に直接的に(例:有線で)、無線で、または第3構成要素を通じて連結され得るということを意味する。
【0022】
本文書で説明される構成要素のそれぞれの構成要素(例:モジュールまたはプログラム)は、単数または複数の個体を含むことができる。多様な実施形態によれば、当該構成要素中の一つ以上の構成要素または動作が省略されるか、または一つ以上の他の構成要素または動作が追加されてよい。代替的にまたは追加的に、複数の構成要素(例:モジュールまたはプログラム)は一つの構成要素に統合されてよい。このような場合、統合された構成要素は、前記複数の構成要素それぞれの構成要素の一つ以上の機能を、前記統合以前に前記複数の構成要素中の当該構成要素によって遂行されることと同一または類似して遂行することができる。多様な実施形態によれば、モジュール、プログラムまたは他の構成要素によって遂行される動作は、順次、並列的に、反復的に、またはヒューリスティックに実行されるか、前記動作中の一つ以上が別の順序で実行されるか、省略されるか、または一つ以上の他の動作が追加されてよい。
【0023】
本文書で用いられる用語『モジュール』、または『...部』は、ハードウェア、ソフトウェアまたはファームウェアに具現されたユニットを含むことができ、例えば、ロジック、論理ブロック、部品、または回路などの用語と相互互換的に用いられてよい。モジュールは、一体で構成された部品、または一つまたはそれ以上の機能を遂行する、前記部品の最小単位またはその一部となり得る。例えば、一実施形態によれば、モジュールはASIC(application-specific integrated circuit)の形態に具現されてよい。
【0024】
本文書の多様な実施形態は、機器(machine)により読取り可能な格納媒体(storage medium)(例:メモリ)に格納された一つ以上の命令語を含むソフトウェア(例:プログラムまたはアプリケーション)として具現されてよい。例えば、機器のプロセッサは、格納媒体から格納された一つ以上の命令語のうち少なくとも一つの命令を呼び出し、それを行うことができる。これは、機器が前記呼び出された少なくとも一つの命令語によって少なくとも一つの機能を遂行するように運営されることができるようにする。前記一つ以上の命令語は、コンパイラによって生成されたコードまたはインタプリタによって実行可能なコードを含むことができる。機器で読取り可能な格納媒体は、非一時的(non-transitory)格納媒体の形態で提供され得る。ここで、「非一時的」とは、格納媒体が実在(tangible)する装置であり、信号(signal)(例:電磁気波)を含まないということを意味するだけで、この用語が、データが格納媒体に半永久的に格納される場合と臨時的に格納される場合とを区分しない。
【0025】
図1は、本文書に開示されている一実施形態に係る燃料電池システムの構造を示す図である。
【0026】
図1に示されている通り、燃料電池システムは燃料電池スタック10を含むことができ、燃料電池スタック10の水素極と連結されて燃料電池スタック10に供給される水素が移動される水素供給ライン11、燃料電池スタック10の空気極と連結されて燃料電池スタック10に供給される空気が移動される空気供給ライン21、反応副産物である水分(水)や未反応気体などを外部に排出するための排出ライン31、33、35及びパージライン41をさらに含むことができる。
【0027】
燃料電池スタック10(または、「燃料電池」に参照され得る)は、燃料(例えば、水素)と酸化剤(例えば、空気)の酸化還元反応を通じて電気を生産することができる構造に形成されてよい。
【0028】
例えば、燃料電池スタック10は、水素イオンが移動する電解質膜を中心に膜の両側に電気化学反応が起こる触媒電極層が付着された膜電極接合体(membrane electrode assembly、MEA)、反応気体を均一に分布させ、発生した電気エネルギーを伝達する役割を担う気体拡散層(gas diffusion layer、GDL)、反応気体及び冷却水の気密性と適正な締結圧を維持するためのガスケット及び締結具、そして反応気体及び冷却水を移動させる分離板(bipolar plate)を含むことができる。
【0029】
燃料電池スタック10において燃料である水素と酸化剤である空気(酸素)が分離板の流路を通じて膜電極接合体のアノード(anode)とカソード(cathode)にそれぞれ供給されてよく、例えば、水素は水素極であるアノードに供給され、空気は空気極であるカソードに供給されてよい。
【0030】
アノードに供給された水素は、電解質膜の両側に構成された電極層の触媒によって水素イオン(proton)と電子(electron)に分解され、この中で水素イオンだけが選択的に陽イオン交換膜である電解質膜を通過してカソードに伝達され、同時に電子は、導体である気体拡散層と分離板を通じてカソードに伝達され得る。カソードでは、電解質膜を通じて供給された水素イオンと分離板を通じて伝達された電子が、空気供給装置によってカソードに供給された空気中の酸素と会って水を生成する反応を起こすことができる。この時に起こる水素イオンの移動に起因して外部導線を通じた電子の流れが発生し、このような電子の流れで電流が生成され得る。
【0031】
水素供給ライン11には水素遮断バルブ(Fuel Cut-Off Valve、FCV)、水素供給バルブ(Fuel Supply Valve、FSV)、水素排出器(Fuel Ejector、FEJ)などが配置されてよい。また、例えば、水素供給ライン11は水素タンクと連結されてよい。
【0032】
水素遮断バルブ(FCV)は、水素供給ライン11で水素タンクと水素供給バルブ(FSV)の間に配置されてよく、水素タンクから排出された水素が燃料電池スタック10に供給されることを遮断する役割を担うことができる。水素遮断バルブ(FCV)は、燃料電池システムの始動オン(On)状態で開放され、始動オフ(Off)状態で閉鎖されるように制御され得る。
【0033】
水素供給バルブ(FSV)は、水素供給ライン11から水素遮断バルブ(FCV)と水素排出器(FEJ)の間に配置されてよく、燃料電池スタック10に供給される水素の圧力を調節する役割を担うことができる。例えば、水素供給バルブ(FSV)は、水素供給ライン11の圧力が減少すれば開放されて水素が供給されるようにし、水素供給ライン11の圧力が増加すれば閉鎖されるように制御されてもよい。
【0034】
水素排出器(FEJ)は、水素供給ライン11で水素供給バルブ(FSV)と燃料電池スタック10の間に配置されてよく、水素供給バルブ(FSV)を通過した水素に圧力をかけて燃料電池スタック10に供給する役割を担うことができる。
【0035】
水素供給ライン11は、燃料電池スタック10の出口と水素排出器(FEJ)を連結することにより水素の循環ルートを形成することができる。よって、水素排出器(FEJ)によって排出された水素は、燃料電池スタック10内で空気と反応して電気エネルギーを発生させ、未反応の水素は燃料電池スタック10の出口に排出されて水素排出器(FEJ)に再流入され得る。この場合、未反応の水素を水素排出器(FEJ)に再流入して再び燃料電池スタック10に供給されるようにすることにより水素の反応効率を増大させることができる。
【0036】
燃料電池スタック10の水素極で未反応の水素が再循環する過程で、水素供給ライン11に存在する水分は凝縮され得る。このとき、凝縮された水(凝縮水)は、燃料電池スタック10の水素極で未反応の水素が水素排出器(FEJ)に移動される水素供給ライン11上の一ポイントと加湿器(Air Humidifier、AHF)を連結する第1排出ライン31を通じて排出され得る。
【0037】
第1排出ライン31上にはウォータートラップ(Fuel Water Trap、FWT)100及びドレーンバルブ(Fuel Drain Valve、FDV)が配置されてよい。
【0038】
ウォータートラップ(FWT)100は、水素供給ライン11の一ポイントで第1排出ライン31に流入された凝縮水を貯蔵する役割を担うことができる。
【0039】
ドレーンバルブ(FDV)は、ウォータートラップ(FWT)に貯蔵された凝縮水を第1排出ライン31に沿って加湿器(AHF)に排出する役割を担うことができる。ここでドレーンバルブ(FDV)は、ウォータートラップ(FWT)100に貯蔵された凝縮水が一定の水位を超過する前まで閉鎖状態となり、ウォータートラップ(FWT)100に貯蔵された凝縮水が一定の水位を超過すれば開放され、第1排出ライン31に沿って凝縮水が排出されるように制御され得る。
【0040】
空気供給ライン21にはエアコンプレッサー(Air Compressor、ACP)、加湿器(AHF)及び空気遮断バルブ(Air Cut-off Valve、ACV)などが配置されてよい。
【0041】
エアコンプレッサー(ACP)は、空気供給ライン21で外部空気(ambient air)を吸い込む空気吸込口と加湿器(AHF)の間に配置されてよく、外部空気を吸い込んで圧縮し、圧縮された空気を供給する役割を担うことができる。
【0042】
加湿器(AHF)は、空気供給ライン21でエアコンプレッサー(ACP)と空気遮断バルブ(ACV)の間に配置されてよく、エアコンプレッサー(ACP)によって吸込み及び圧縮された空気の湿度を調節することで燃料電池スタック10の空気極に供給する役割を担うことができる。加湿器(AHF)は、入口にエアコンプレッサー(ACP)によって圧縮された空気が流入されると、流入された空気に水分を供給して湿度を調節することができる。例えば、加湿器(AHF)は、第1排出ライン31を通じて流入された凝縮水または燃料電池スタック10の空気極と加湿器(AHF)を連結する第2排出ライン33を通じて排出された空気に含まれた水分を利用してエアコンプレッサー(ACP)から供給された空気を加湿することができる。
【0043】
加湿器(AHF)は、第1排出ライン31と連結されてよい。そのため、加湿器(AHF)は、第1排出ライン31を通じて流入された凝縮水を利用してエアコンプレッサー(ACP)から供給された空気に水分を供給することができる。
【0044】
また、加湿器(AHF)は、第2排出ライン33を通じて燃料電池スタック10の空気排出口と連結されてよく、燃料電池スタック10の空気極から排出された空気は、第2排出ライン33を通じて加湿器(AHF)に流入され得る。ここで、燃料電池スタック10の空気極から排出された空気は水分を含んでいるため、加湿器(AHF)は、燃料電池スタック10の空気極から排出された空気とエアコンプレッサー(ACP)から供給される空気の水分交換で加湿が行われ得る。このように、加湿器(AHF)によって水分が供給された空気は、燃料電池スタック10の空気極に流入されて水素と反応した後、反応物として水を生成することができる。
【0045】
一方、加湿器(AHF)は、第3排出ライン35を通じて外部排出口と連結されてよく、第2排出ライン33を通じて流入された空気を第3排出ライン35を通じて外部に排出することができる。このとき、第3排出ライン35には空気排気バルブ(Air Exhaust Valve、AEV)が配置されてよい。
【0046】
空気遮断バルブ(ACV)は、燃料電池スタック10及び加湿器(AHF)を連結する空気供給ライン21上に配置されてよく、加湿器(AHF)から排出された水素が燃料電池スタック10の空気極に供給されることを遮断するか、燃料電池スタック10の空気極に供給される空気の圧力を調節することができる。例えば、空気遮断バルブ(ACV)は、燃料電池システムの始動オン(On)状態で開放され、始動オフ(Off)状態で閉鎖されるように制御され得る。
【0047】
また、空気遮断バルブ(ACV)は、燃料電池スタック10と加湿器(AHF)を連結する第2排出ライン33とも連結されてよい。空気遮断バルブ(ACV)は、燃料電池スタック10の空気極から排出された空気が第2排出ライン33を通じて加湿器(AHF)に供給されることを遮断するか、燃料電池スタック10の空気極から加湿器(AHF)に排出される空気の圧力を調節することができる。
【0048】
図1では、空気遮断バルブ(ACV)が空気供給ライン21と第2排出ライン33に統合して配置されていることを示したが、空気供給ライン21上に配置された第1空気遮断バルブ(図示省略)と第2排出ライン33上に配置された第2空気遮断バルブ(図示省略)とがそれぞれ分離された形態に具現されてもよい。
【0049】
一方、水素排出器(FEJ)から燃料電池スタック10の水素極に供給される水素が移動する水素供給ライン11上の一ポイントにはパージラインが連結されてよく、パージライン上にはパージバルブ(Fuel-line Purge Valve、FPV)が配置されてよい。
【0050】
パージバルブ(FPV)は、燃料電池スタック10及び水素供給ライン11などの水素濃度を管理するために開閉されるバルブであって、燃料電池スタック10及び水素供給ライン11の水素濃度が所定の範囲を維持できるようにする役割を担うことができる。
【0051】
燃料電池スタック10は、水素と空気を発電させて電気エネルギーを発生させ、このような燃料電池スタック10が正常状態で運転されるうちにパージバルブ(FPV)は閉鎖状態となり得る。
【0052】
ここで、燃料電池スタック10に供給される空気は酸素以外に窒素などを含むので、水素極と空気極の窒素分圧差によってクロスオーバーが生じてセル電圧が減少し得る。そのため、パージバルブ(FPV)は、残留水素を排出して水素極内の水素の濃度を高めることにより窒素の濃度を低めることで、スタック性能が維持されるようにすることができる。パージバルブ(FPV)は、燃料電池スタック10で所定期間生成された電流を積分して計算された累積電流が目標値を超過する場合、開放されて水素をパージすることにより、水素極内の水素の濃度が所定量以上維持されるように制御され得る。
【0053】
図2は、本文書に開示されている一実施形態に係る燃料電池システムのブロック図である。
【0054】
図2に示されている通り、燃料電池システムは、燃料電池スタック10、ウォータートラップ100及び制御部200を含むことができる。
【0055】
実施形態によれば、ウォータートラップ100は、燃料電池スタック10から生成される凝縮水を貯蔵することができる。燃料電池スタック10で化学反応によって生成される凝縮水は、第1排出ライン31に沿ってウォータートラップ100に流入されウォータートラップ100に貯蔵され得る。ウォータートラップ100は、凝縮水の水位を測定するための水位センサー(図示省略)を含むことができる。
【0056】
実施形態によれば、制御部200は、プロセッサ(processor)やMPU(Micro Processor Unit)、MCU(Micro Controller Unit)、CPU(Central Processing Unit)、ECU(Electronic Contoller Unit)などのハードウェア装置であるか、またはプロセッサによって具現されるプログラムであってよい。制御部200は、燃料電池システムの各構成と連結されて熱管理システムの制御に関する全般的な機能を遂行することができる。例えば、制御部200は、燃料電池システムの全般的な機能を制御する燃料電池制御器(Fuel cell Control Unit、FCU)であってよい。
【0057】
実施形態によれば、制御部200は、燃料電池システムをなす各構成、例えば、燃料電池スタック10、水位センサー、冷却ファンなどと有線または無線で通信することができ、例えば、CAN通信に基づいて通信することができる。
【0058】
実施形態によれば、制御部200は、ウォータートラップ100の水位変化が存在する場合、無負荷運転の有無を判断することができる。制御部200は、ウォータートラップ100の水位センサーからウォータートラップ100の水位情報を受信して水位変化を獲得することができる。ここで、燃料電池スタックの無負荷運転は、燃料電池スタックが搭載された自動車、飛行体などにおいて、補器類などを除いてモーターにより駆動される負荷の要求電力がない状態を意味することができる。このとき、制御部200は、燃料電池スタック10の水素極目標圧と実際の水素極圧力とが既に設定された値で同一であるか否かをさらに確認することができる。既に設定された値は、例えば、1barであってよい。
【0059】
燃料電池スタック10が無負荷運転状態にある場合も補器類などで電力が消耗されるので、燃料電池スタック10の電力は0でない。例えば、燃料電池スタック10は、エアコンプレッサー(ACP)を最小回転数で動作させて水素供給バルブ(FSV)を最小開度率に制御することで、補器類などを制御するための最小電力を生成することができる。よって、燃料電池スタック10の無負荷運転時にもスタック10内で凝縮水が生成され得る。そのため、燃料電池システムは、燃料電池スタックの無負荷運転の有無を判断し、水素極内凝縮水の累積有無を判断することにより、無負荷運転時にも水素極内に累積される凝縮水が円滑に排出されるようにすることができる。
【0060】
実施形態によれば、制御部200は、補器類の消費電力とウォータートラップ100の水位変化の割合を示す第1パラメーターに基づいて燃料電池スタック10の無負荷運転の有無を判断することができる。例えば、第1パラメーターは、(補器類の消費電力)/(ウォータートラップの水位変化)と定義され得る。ここで、補器類は、空調システムなどをなす各種装置を含むことができる。
【0061】
補器類の消費電力は、燃料電池スタックの電力及び高電圧バッテリーの電力から算出され得る。例えば、補器類の消費電力は、燃料電池スタック10で生成された電力から高電圧バッテリーに充電された電力を差し引して算出され得る。例えば、補器類の消費電力は、
【数1】
のように算出され得る。
【0062】
ここで、高電圧バッテリーは、燃料電池システムに備えられ、燃料電池スタック10から生産された電力によって充電されてよく、負荷に電力を供給することができ、燃料電池スタック10と相互補完的に動作することができる。
【0063】
実施形態によれば、制御部200は、ウォータートラップ100の水位が基準単位高くなるのに必要となる時間と第1パラメーターとの関係に基づいて燃料電池スタック10の無負荷運転の有無を判断することができる。基準単位は既に決定されてよく、例えば、1mmであってよい。燃料電池システムにおいて負荷の消費電力が高いほど燃料電池スタック10に求められる生産電力が高くなるはずであり、それに伴い、燃料電池スタック10で化学反応によって生成される凝縮水の量も多くなるはずである。すなわち、負荷の消費電力が高いほどウォータートラップ100の水位が高くなる所要時間が短いことがあり、第1パラメーターの値が大きくなり得る。よって、制御部200は、ウォータートラップ100の水位変化及び第1パラメーターの値に基づいて燃料電池スタック10の無負荷運転の有無を判断することができる。
【0064】
例えば、制御部200は、
図3のように、所要時間と第1パラメーターの関係をグラフで示すことができる。例えば、燃料電池システムの運転中、特定の時点でウォータートラップ100の水位が1mm上昇するのに4秒が必要となった時の第1パラメーターの値が300W/mmである場合、制御部200は、グラフ上の(4、300)ポイントを示すことができる。この場合、第1パラメーターの値は、4秒間補器類が消費した電力の和であってよい。制御部200は、このように、燃料電池システムの運転中に獲得される所要時間と、所要時間の間の第1パラメーターの値をグラフ上のポイントで示し、獲得されたポイントに補間法(interpolation)を適用して所要時間と第1パラメーターの関係を確認することができる。
【0065】
実施形態によれば、制御部200は、所要時間による第1パラメーターの変化率が臨界値未満であり、変化率が臨界値未満になるポイントに対応される所要時間が第1時間以上である場合、燃料電池スタック10を無負荷運転状態と判断することができる。このとき、第1パラメーターの変化率は、前述したグラフ上で所要時間が1秒増加する時(すなわち、x軸の値が1増加する時)の第1パラメーター値の変化量(すなわち、y軸の値が変化量)、すなわち、傾きを意味することができる。例えば、制御部200が燃料電池スタック10の運転中に獲得したデータが、所要時間が3秒のとき第1パラメーターの値が900W/mmであり、所要時間が4秒のとき第1パラメーターの値が300W/mmである場合、当該ポイント(所要時間が4秒であるポイント)での第1パラメーターの変化率は-600W/mm*sに算出され得る。この場合、制御部200は、負荷の電力が減少した状態と判断することができる。このとき、変化率が臨界値未満になるポイントは、変化後のポイント(すなわち、前記例で4秒)を意味することができる。また、制御部200は、変化率が臨界値未満になるポイントに対応される所要時間が第1時間以上の場合は、負荷電力が減少した状態が一定時間持続したと判断して燃料電池スタック10を無負荷運転状態と判断することができる。ここで、変化率の臨界値及び第1時間は燃料電池スタック10の性能などによって変わることがあり、実験などによって決定され得る。
【0066】
実施形態によれば、制御部200は、第1パラメーターの変化率が臨界値未満になるポイントに対応される第1パラメーターの値を有する隣接した二つのポイントに対応される所要時間の差が第2時間以上である場合、燃料電池スタック10の水素極に凝縮水が累積されたと判断することができる。第2時間は予め決定されてよく、無負荷運転時に水素極に累積される凝縮水の量によって別に決定され得る。制御部200は、二つのポイントに対応される所要時間の差が第2時間以上である場合は、無負荷運転状態が十分持続したと判断して水素極内に凝縮水が累積されたと判断することができる。
【0067】
実施形態によれば、制御部200は、水素極に凝縮水が累積されたと判断されれば、運転手に警告報知を遂行することができる。例えば、制御部200は、車両の前面ディスプレーなどに負荷運転を誘導するか運転を終了させる報知メッセージを表示することができ、他の例で、スピーカーのような音響装置を通じて音声メッセージを出力することができる。
【0068】
他の実施形態で、制御部200は、水素極に凝縮水が累積されたと判断されれば、負荷出力を強制で高めることにより水素極から凝縮水が排出されるように制御することができる。すなわち、制御部200は、運転手にアラームを遂行したにもかかわらず、運転手の負荷運転または運転終了のような行動がない場合、強制で負荷出力を高めることにより水素極内の凝縮水が排出されるようにすることができる。このとき、制御部200が出力を高める負荷は、冷却ファンのように燃料電池スタック10の運転に大きい影響のない負荷に選択されてよい。
【0069】
燃料電池スタック10及び冷却ファンを制御して水素極から凝縮水が排出されるように制御することができる。すなわち、制御部200は、運転手にアラームを遂行したにもかかわらず、運転手の負荷運転または運転終了のような行動がない場合、強制で負荷出力を高めることにより水素極内の凝縮水が排出されるようにすることができる。
【0070】
実施形態によれば、制御部200は、運転手の負荷運転が感知されない場合、冷却ファンを最大回転数に制御し水素極を開放することで、凝縮水が水素極から排出されるように制御することができる。運転手の負荷運転が感知されない場合は、負荷の要求出力が0の場合を含むことができる。例えば、制御部200がアラームを送信したにもかかわらず、運転手がペダルを踏むかハンドルを操作するなどの負荷運転が遂行されない場合のように負荷出力が高くならない場合、制御部200は、強制で冷却ファンを駆動して出力を発生させることができる。このように、制御部200は、冷却ファンの回転数を最大回転数に制御して高電圧バッテリーを消尽させ、水素極を開放して燃料電池スタック10で水素圧が速やかに高くなるように制御することにより、凝縮水が水素極の外部に排出されるようにすることができる。場合によって、制御部200は、水素極から凝縮水を排出する過程と同時に燃料電池スタック10で生産される電力を高電圧バッテリーに充電することもできる。
【0071】
このように、燃料電池システムは、運転手の負荷運転が遂行されない場合も、無負荷運転及び水素極凝縮水の累積有無を判断し、強制的に負荷推力を高めて水素極内の凝縮水を水素極の外部に排出することができる。それにより、燃料電池システムは、燃料電池スタック10の耐久性及び寿命を向上させることができる。
【0072】
実施形態によれば、制御部200は、所要時間と第1パラメーターとの関係に基づいて燃料電池スタック10の寿命を判断することができる。
【0073】
一実施形態において、制御部200は、第1パラメーターの変化率が臨界値未満になるポイントに対応される第1パラメーターの値に基づいて燃料電池スタック10の寿命を判断することができる。燃料電池スタック10の使用回数が増えるほど、第1パラメーターの変化率が臨界値未満になるポイントに対応される第1パラメーターの値が増加し得る。よって、制御部200は、例えば、第1パラメーターの変化率が臨界値未満になるポイントに対応される第1パラメーターの値と比例するように燃料電池スタック10の使用回数を推定し、使用回数から燃料電池スタック10の寿命を推定することができる。
【0074】
他の実施形態において、制御部200は、第1パラメーターの変化率が臨界値未満になるポイントに対応される第1パラメーターの値を有する隣接した二つのポイントの対応される所要時間の差に基づいて燃料電池スタック10の寿命を判断することができる。燃料電池スタック10の使用回数が増えるほど水素極の逆滲透が減少するようになり、第1パラメーターの変化率が臨界値未満になるポイントに対応される第1パラメーターの値を有する隣接した二つのポイントの対応される所要時間の差が長くなり得る。よって、制御部200は、例えば、二つのポイントの所要時間の差に比例するように燃料電池スタック10の使用回数を推定し、使用回数から燃料電池スタック10の寿命を推定することができる。
【0075】
また他の実施形態において、制御部200は、所要時間と第1パラメーターから補間法を適用して獲得したグラフの帯域幅(bandwidth)に基づいて燃料電池スタック10の寿命を判断することができる。制御部200は、燃料電池システムの運転中に獲得される所要時間と第1パラメーターに対する有限な個数のポイントに補間法を適用してグラフを獲得するので、補間法が適用された推定グラフは帯域幅(bandwidth)を有するようになる。このとき、燃料電池の使用回数が増加するほど、推定されたグラフの帯域幅(bandwidth)が広くなる傾向がある。よって、制御部200は、例えば、推定されたグラフの帯域幅(bandwidth)に比例するように燃料電池スタック10の使用回数を推定し、使用回数から燃料電池スタック10の寿命を推定することができる。
【0076】
このように、燃料電池システムは、燃料電池スタック10の残余寿命を算出することができ、それによって燃料電池スタック10の寿命を効率的に管理することができる。
【0077】
図3は、本文書に開示されている一実施形態に係る燃料電池システムの所要時間及び第1パラメーターの関係の例示を示す図である。
【0078】
図3に示されている通り、制御部200は、燃料電池スタック10の運転中に獲得される所要時間及び第1パラメーターの値からこれらの関係を示すグラフを獲得することができる。
【0079】
このとき、グラフ上のx軸は、単なる時間の経過を表すものではなく所要時間であることに留意しなければならず、それによって燃料電池スタック10の運転時間の順序ではなく所要時間の順序によってグラフが獲得されることに留意しなければならない。
図3において制御部200は、第1パラメーターの変化率が臨界値未満になる所要時間が4秒であるポイントを無負荷運転の時点と判断することができ、所要時間が4秒であるポイントでの第1パラメーター値である300W/mmと同一値を有する、所要時間が10秒であるポイントを水素極凝縮水の累積時点と判断することができる。
【0080】
図4は、本文書に開示されている一実施形態に係る燃料電池システムの寿命による所要時間と第1パラメーターの関係の例示を示す図である。
【0081】
図4に示されている通り、燃料電池スタックの稼動回数によって所要時間と第1パラメーターの関係が変わることを確認することができる。すなわち、燃料電池スタックの稼動回数が多くなるにつれ、第1パラメーターの変化率が臨界値未満になるポイントに対応される第1パラメーターの値が増加し、第1パラメーターの変化率が臨界値未満になるポイントに対応される第1パラメーターの値を有する隣接した二つのポイントの対応される所要時間の差が長くなり、グラフの帯域幅(bandwidth)が広くなることを確認することができる。
【0082】
したがって、制御部200は、このような性質を利用し、実際の燃料電池システムの運転中に獲得されたデータから燃料電池スタック10の寿命を推定することができる。
図4において、1番の基準は、第1パラメーターの変化率が臨界値未満になるポイントに対応される第1パラメーターの値を意味し、2番の基準は、第1パラメーターの変化率が臨界値未満になるポイントに対応される第1パラメーターの値を有する隣接した二つのポイントの対応される所要時間の差を、3番の基準は、グラフの帯域幅(bandwidth)を意味することができ、制御部200は、1番の基準ないし3番の基準のうち少なくとも一つの基準に基づいて燃料電池スタック10の寿命を判断することができる。
【0083】
図5は、本文書に開示されている一実施形態に係る燃料電池システムの無負荷運転の判断方法を説明するためのフローチャートである。
図5は、
図1及び
図2の構成を利用して説明され得る。
【0084】
図5に示されている実施形態は一実施形態に過ぎず、本発明の多様な実施形態に係るステップの順序は
図5に示されているところと異なることがあり、
図5に示されている一部のステップが省略されたり、ステップ間の順序が変更されたり、ステップ同士が併合されたりすることもできる。
【0085】
図5に示されている通り、燃料電池システムの無負荷運転の判断方法は、ウォータートラップの水位変化を獲得するステップ(S100)、第1パラメーターを算出するステップ(S200)、第1パラメーターに基づいて無負荷運転の有無を判断するステップ(S300)、及び無負荷運転と判断されれば水素極内凝縮水の累積有無を判断し、凝縮水が累積されたと判断されれば凝縮水を排出するステップ(S400)を含むことができる。
【0086】
S100ステップにおいて、制御部200は、ウォータートラップ100の水位変化を獲得することができる。ウォータートラップ100は、水位センサーを含むことができ、制御部200は、水位センサーから水位情報を受信して水位変化を獲得することができる。
【0087】
S200ステップにおいて、制御部200は、第1パラメーターを算出することができる。第1パラメーターは、補器類の消費電力と水位変化の割合を示すことができる。例えば、第1パラメーターは、(補器類の消費電力)/(水位変化)と定義され得る。制御部200は、燃料電池スタック10の電力から高電圧バッテリーの電力を差し引いて補器類の消費電力を算出することができる。
【0088】
S300ステップにおいて、制御部200は、第1パラメーターに基づいて燃料電池スタック10の無負荷運転の有無を判断することができる。例えば、制御部200は、ウォータートラップの水位が基準単位高くなるのに必要となる時間と第1パラメーターとの関係に基づいて燃料電池スタック10の無負荷運転の有無を判断することができる。
【0089】
S400ステップにおいて、制御部200は、燃料電池スタック10が無負荷運転と判断されれば、水素極内凝縮水の累積有無を判断することができる。制御部200は、燃料電池スタック10が無負荷運転と判断されれば、運転手に警告報知を遂行することができる。
【0090】
制御部200は、凝縮水が累積されたと判断されれば、凝縮水を水素極の外部に排出することができる。例えば、制御部200は、冷却ファンを最大回転数に制御し水素極を開放することで、凝縮水が水素極の外部に排出されるように制御することができる。
【0091】
図6は、本文書に開示されている一実施形態に係る燃料電池システムの無負荷運転の判断過程を説明するためのフローチャートである。
【0092】
S510ステップにおいて、制御部200は、ウォータートラップ100の水位変化が0を超過しているか否かを判断することができる。制御部200は、ウォータートラップ100の水位変化が0超過の場合(S510 - Yes)、S520ステップに進むことができる。制御部200は、ウォータートラップ100の水位変化が0以下の場合(S510 - No)、開始ステップに戻ることができる。
【0093】
S520ステップにおいて、制御部200は、第1パラメーターを算出することができる。第1パラメーターは、補器類の消費電力と水位変化の割合を示すことができる。
【0094】
S530ステップにおいて、制御部200は、第1パラメーターの変化率が臨界値未満で、第1パラメーターの変化率が臨界値未満になるポイントに対応される所要時間が第1時間以上なのか否かを判断することができる。制御部200は、第1パラメーターの変化率が臨界値未満で、第1パラメーターの変化率が臨界値未満になるポイントに対応される所要時間が第1時間以上の場合(S530 - Yes)、S540に進むことができる。制御部200は、第1パラメーターの変化率が臨界値以上であるか、第1パラメーターの変化率が臨界値未満になるポイントに対応される所要時間が第1時間未満の場合(S530 - No)、手続きを終了することができる。
【0095】
S540ステップにおいて、制御部200は、燃料電池スタック10を無負荷運転状態と判断することができる。
【0096】
S550ステップにおいて、制御部200は、変化率が臨界値未満になるポイントに対応される第1パラメーターの値を有する隣接した二つのポイントに対応される所要時間の差が第2時間以上なのか否かを判断することができる。制御部200は、所要時間の差が第2時間以上の場合(S550 - Yes)、S560ステップに進むことができる。制御部200は、所要時間の差が第2時間未満の場合、S540ステップに戻ることができる。
【0097】
S560ステップにおいて、制御部200は、水素極内に凝縮水が累積されたものと判断することができる。このとき、制御部200は、運転手に警告報知を遂行することができる。
【0098】
S570ステップにおいて、制御部200は、負荷要求出力が0なのか否かを判断することができる。すなわち、制御部200は、運転手の負荷運転が遂行されたのか否かを判断することができる。制御部200は、負荷要求出力が0の場合(S570 - Yes)、S580ステップに進むことができる。制御部200は、負荷要求出力が0でない場合、開始ステップに戻ることができる。
【0099】
S580ステップにおいて、制御部200は、冷却ファンの回転数を最大に制御し、燃料電池スタック10の水素極を開放するように制御することができる。これを通じて、制御部200は、水素極内の凝縮水が水素極の外部に排出されるようにすることができる。
【0100】
以上、本文書に開示されている実施形態を構成する全ての構成要素が一つに結合するか結合して動作することと説明されたとして、本文書に開示されている実施形態が必ずしもこのような実施形態に限定されるものではない。すなわち、本文書に開示されている実施形態の目的範囲内であれば、その全ての構成要素が一つ以上に選択的に結合して動作することもできる。
【0101】
また、以上で記載された『含む』、『構成する』、または『有する』などの用語は、特に反対される記載がない限り、当該構成要素を内在し得ることを意味するものなので、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに含むことができるものと解釈されなければならない。技術的や科学的な用語を含んだ全ての用語には、別に定義されない限り、本文書に開示されている実施形態の属する技術分野で通常の知識を有する者によって一般的に理解されることと同一の意味がある。辞書に定義された用語のように一般的に用いられる用語は、関連技術の文脈上の意味と一致するものと解釈されなければならず、本文書で明白に定義しない限り、理想的や過度に形式的な意味に解釈されない。
【0102】
以上の説明は、本文書に開示されている技術思想を例示的に説明したことに過ぎないものであって、本文書に開示されている実施形態の属する技術分野で通常の知識を有する者であれば、本文書に開示されている実施形態の本質的な特性から外れない範囲で多様な修正及び変形が可能であろう。よって、本文書に開示されている実施形態は、本文書に開示されている実施形態の技術思想を限定するためではなく説明するためのものであり、このような実施形態によって本文書に開示されている技術思想の範囲が限定されるのではない。本文書に開示されている技術思想の保護の範囲は特許請求の範囲によって解釈されなければならず、それと同等な範囲内にある全ての技術思想は、本文書の権利範囲に含まれるものと解釈されなければならないはずである。
【符号の説明】
【0103】
10 燃料電池スタック
100 ウォータートラップ
200 制御部